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海底のシャングリラ

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 その世界は全てがまっさらな海だった。
 どこまでも広がる青い青い世界の中に不思議な穴が開いたなら、飛び出してきたのは小さな海の仲間たち。
 彼らは自分達が望んでいた光景に目を輝かせ、これからの事を考え始めた。

 この世界をぼく達の国にしよう。
 岩がたくさんあるのだから、それでぼくらの都市を作ろう。
 好きなものを建てて、好きな風に彩って。
 いつかアリスが来たのなら一緒に遊べるといいな。
 みんなでずっとずっと住めるような素敵な国を作ろうね。

 仲間達は声を合わせて広い世界を楽しんでいく。
 そんな新しい国へ向け、黒い影が迫っている事には――まだ誰も気付いていない。


「集合お疲れ様。今回は海に行こうか」
 レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)は緩い笑顔を浮かべつつ、猟兵達を出迎える。
「アリスラビリンスにまっさらな『海の国』が見つかったんだ。皆にはこの国に向かって、愉快な仲間たちの手助けをして欲しいんだよ」

 『海の国』はその名の通り海で出来ている国だ。
 不思議なことに海水の中では誰もが呼吸をする事が可能で、猟兵達が入ったとしても支障はない。
 海水以外に存在しているのは深緑色の不思議な岩だけ。この岩は簡単に切り出せるが、同時に頑丈な素材としても扱えるようだ。
 けれど、今この国にあるのはこれが全て。これでは立派な国とは言えないだろう。

「ちょうどこの国に、海の生き物の姿をした仲間たちがやってきてるみたい。彼らに良いアイデアを提供しつつ、一緒に国を作ったらいいんじゃないかな」
 今回の仲間たちはぬいぐるみのように丸々とした姿の海の生き物だ。
 魚はもちろん、サメやシャチ、イカやタコの姿をした仲間たちも存在している。
 彼らは広がる海の世界を楽しみつつ、これからの事を考えている様子。
「仲間たちは水中に都市を作りたいみたいなんだ。だから住む家とかお店とか……あとは必要そうな施設なんかも作れば喜ぶんじゃないかな」
 彼らは猟兵達の提案を受けつつ、次々に岩を加工していく。
 仲間たちの見た目に合わせた可愛らしい家や、皆で集まれる大きな建物があれば楽しいだろうか。
 敢えて近未来的なビルを作ってみたり、お城なんかを作ってみるのもいいかもしれない。
 中に置く家具も自由に考える事が出来る。
 仲間たちの生活に合わせたものはもちろん、アリスが来た時のために人間用の家具だって必要だ。
 一緒にアイデアを出していけば、きっとすぐに素敵な都市が出来上がるだろう。

「ある程度建物が出来てきたら、今度は色なんかもつけると良さそうだね」
 イカやタコの仲間達はカラフルな墨を吐く事が出来る。
 青い海も深緑色の岩も美しいけれど、せっかくだからカラフルにするのも良いだろう。
 色を塗るだけでなく、何かを描いてみるのも楽しいかもしれない。
 繊細に色をつけるのも、思うままに何かを印すのもきっと素敵だ。
 世界すべてを彩ったなら――唯一無二の都市が出来上がるはず。

「けれど楽しいだけでは終わらない。この国にオウガが向かってきてもいるみたいだから、その討伐までお願いするよ」
 皆で作り上げた国を台無しにされてしまってはたまらない。
 最後にオウガを迎え撃つまでが今回の仕事になりそうだ。
 また、その時に備えて国の中に設備を作っておくのも悪くない。
 都市を守る壁や遠くを見渡せるポイントを作っておくのも一つの作戦だろう。

「せっかくの新しい国だ。皆がどんな都市を作り上げるのか、楽しみにしているね」
 レンは猟兵達へと再び笑みを向け、転移の準備を完了させた。


ささかまかまだ
 こんにちは、ささかまかまだです。
 海です。

 新しく見つかった『海の国』を開拓しましょう。
 『海の国』は全てが海中に沈んでいますが、呼吸に支障はありません。
 服装も普段着で大丈夫ですが、せっかくなので水着になるものいいですね。

●『海の国』と仲間たち
 美しい青の海水と深緑色の不思議な岩だけが存在する世界です。
 岩を使って色々と作ることが出来るようですね。加工は仲間たちに任せて大丈夫です。

 入植者は可愛らしい海の生き物の仲間たちです。
 仲間たちは皆ころころと丸っこい、ぬいぐるみのような姿をしています。
 魚、サメ、シャチ、イカ、タコ、エイ、その他諸々、海にいそうな生き物は大体います。
 こんな子と遊びたい、というのがあれば気軽に提案して下さい。

●一章「水中探索」・二章「極彩ブリックロード」
 開拓パートです。
 このパートでは能力値を気にせず自由にプレイングを書いていただければと思います。

 一章では愉快な仲間たちにアイデアを提供し、水中都市を作っていきます。
 常識と良識の範囲内なら割となんでも作ってくれます。

 二章では都市の中を彩る事ができます。
 カラフルにしちゃいましょう。

●三章「ボス戦『人魚姫』」
 最後にオウガが攻め込んできます。
 それに備えて都市に設備を作っておく事も可能です。


 どの章からでも参加していただいて大丈夫ですし、特定の章だけ参加していただくのも歓迎です。
 進行状況や募集状況はマスターページに適宜記載していく予定です。

 一章のプレイングは【7月18日(土)8:31~】受付開始とさせていただきます。

 それでは今回もよろしくお願いします。
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第1章 日常 『水中探索』

POW   :    ぷくぷくぷく

SPD   :    ぷくぷくぷく

WIZ   :    ぷくぷくぷく

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 転移した猟兵達を出迎えたのは透き通るような海水だった。
 海の中は不思議と暖かく、ふわふわとした浮遊感が心地いい。

 水の感覚に慣れてきた頃、愉快な仲間たちも猟兵の元へと集まってきた。
「お客さんだ!」
「ぼく達、ここに大きな都市を作るんだ! きみも一緒にやろうよ!」

 どうやらちょうど国作りが始まるタイミングだったようだ。
 新しい世界を住みよい場所にするために、猟兵達も力を貸してあげよう。
黒影・兵庫
【蜂皇族】
ゆかいな仲間の皆さんの国造りは2度目です!
しかも今度は海中とは!ときめきますね!
(「呼吸はできても服は濡れるからね。水着で作業しましょう」と頭の中の教導虫が話しかける)
そうですね!じゃあクロリアも水着に着替えて!
...どうしたの?ほら早くしないと国造りが始まっちゃうよ!
さて何を作るか...
え?クロリア、ダンスホールを作りたい?
...たしかに海底のコンサート会場みたいなのを作れば
俺たちのようなダンス好きがたくさん集まって、この国が
もっと賑やかになるかもしれませんね!
よし!じゃあ俺の『念動力』と『衝撃波』で岩を切り出して会場を設営しましょう!


播州・クロリア
【蜂皇族】
海の中ですか、困りましたね
私はスーツしか...え?あにさん
水着!?いやいや、そんな、あの水着は
人前に出せるようなものじゃ...
あ、だめだ、あにさん、まったく話を聞いてくれない...
うぅ...ダラキュです。こんな沢山の人...ではなく
愉快な仲間の皆さんの前で裸同然になるなんて...
(顔を真っ赤にしながら黒影の後に隠れるように歩こうとするがクロリアのほうが背が高いので隠れきれていない)
あ、あにさん
作るならダンスホールが良いです
集会場は必要ですし
踊る場所はもっと必要ですからね
あぁ...水着でなければ完成したダンスホールで思いっきり踊れるというのに...




 『海の国』の入り江にて、二人の人影――実際は三人だけれど――が準備を進めていた。
 海の方へと歩み寄り、ニコニコ笑顔を浮かべているのは黒影・兵庫(不惑の尖兵・f17150)だ。
「こういう国作りは2回目ですが……今度は海中とは! ときめきますね!」
『呼吸はできても服は濡れるからね。水着で作業しましょう』
 脳内に宿る教導虫の「せんせー」も同意を示し、早速持ち込んだ水着を取り出して。
 黒影の水着は黒を基調にしたシンプルなシルエットのものだ。腰には小さなポーチも取り付け、アクティブさを確保している。
 背中には愛用の警棒も背負い、戦いが起きたときの準備も万全。そして何よりこの水着ならいくらでも遊んでいる事が出来そうだ。
「せんせーもこう言ってるし、クロリアも水着に着替えて!」
「あ、あにさん……確かにスーツで海の中は困るかもしれませんが、あの水着は人前に出せるようなものでは……!」
 黒影に声をかけられ、隣で海を覗き込んでいた播州・クロリア(リアを充足せし者・f23522)が焦りの声をあげた。
 クロリアも今年は新しい水着を用意はしている。けれどあれを着て、はじめましての人達の元へ行くのは恥ずかしい。
 そんなクロリアの様子をよそに黒影は手早く準備を進めている。
「あにさん、待って……」
「……どうしたの? ほら早くしないと国造りが始まっちゃうよ! ほら、皆さん待ってるから!」
「あぁ、だめだ……あにさん、まったく話を聞いてくれない……」
 先に水着に着替えた黒影に手を引かれ、クロリアも観念したように水着を取り出す。
 そして準備が整ったのなら――あとは海へと飛び込むのみ!

「わぁ、こんにちは!」
「今から国を作ろうとしていたんだ。一緒に作ろう!」
 海中では早速様々な姿をした愉快な仲間たちが集まってきた。
 黒影も彼らへと笑顔を返しているが――その後ろで、クロリアは恥ずかしそうに身をかがめている。
「うぅ……ダラキュ、です。こんなに沢山の人……ではなく、愉快な仲間たちの前でこんな格好をするなんて……」
「大丈夫だって。クロリアの水着、格好いいから! それに……」
 クロリアが選んでいたのはホルターネックのビキニだ。黒と黄色を基調にしたデザインはクールな印象を与えている。
 普段のパンツスーツよりも遥かに露出度は高く、彼女のすらりとした肢体を強調しているが――慣れないものはどうしても慣れない。
 クロリアはなんとか身体を隠そうとしているが、彼女の背丈は黒影よりもかなり大きい。そのため微妙に隠れきる事が出来ていないのだ。
「このままじゃ作業できないよ。ほら、皆さん歓迎してくれてるし」
「……でも、もうちょっと隠れさせてください」
 顔を赤くし、もじもじとしながらクロリアは更に身をかがめる。
 黒影もしょうがないなぁ、と軽く苦笑いを零しつつ彼女の手を引いていた。

「お客さん、国作りの良いアイデアはある?」
「色んなものを作りたいんだけど、ぼく達だけじゃあんまり思いつかなくて……」
 ある程度国の中を進んだところで、仲間たちが二人へと意見を求めてきた。
 既にいくつかの建物は作られ始めているようだが、どれもシンプルな家ばかり。
 何か大きな施設を作る事が出来ればいいのだが――。
「さて、何を作ろうか……」
「あ、あにさん。作るならダンスホールが良いです」
「ダンスホール?」
 俯きがちだったクロリアが顔をあげ、悩む黒影へと言葉を投げる。その表情は先程までより幾分か明るかった。
「集会場は必要ですし、踊る場所はもっと必要ですからね。踊りは様々なものを豊かにします、リアです」
「……たしかに海底のコンサート会場みたいなのを作れば、俺たちのようなダンス好きが集まるね。もっとこの国を賑やかにできそう!」
 二人は笑顔で顔を見合わせ、これからの未来へ思いを馳せる。
 海の中でも楽しく踊れる場所がある。それはなんて素敵な事なのだろう。
『二人とも意見は同じみたいね。それなら早速作業しましょう』
「はい、せんせー! それじゃあクロリアも手伝って!」
「え、あ、はい……がんばり、ます」
 せんせーの同意も得られてウキウキしている黒影と、嬉しさ半分抜けきらない恥ずかしさ半分のクロリア。
 お互いの様子は違うけれど目指すところは同じ。二人は仲間たちへと声をかけ、共にダンスホール作成に取り組み始めた。

 海の中に存在している岩は簡単に切り出すことが出来た。
 まずは黒影が意識を集中し、自らの念動力で岩を運びやすい形に加工して。
「これは……この大きさでいいですか?」
「ありがとう、助かるよ」
 仲間たちとも打ち合わせしつつ、次々に素材の用意が進んでいく。
 出来上がった岩を運んだり組み上げるのはクロリアの仕事だ。
「は、早く終わらせたいです……」
 なるべく仲間たちと顔を合わさないようにしつつ、テキパキと作業を進めるクロリア。
 彼女の目の前では徐々にダンスホールが姿を現し始めていた。
「水着でなければ思いっきり踊れるというのに……ダラキュな気分です……」
「クロリア、大丈夫? 今度はこっちの岩を運んでくれる?」
「あ、分かりましたあにさん。今行きます」
 ちょっと残念な部分もあるけれど、ホールが出来上がっていくのは楽しい。
 黒影もどんどん完成に近づくホールに向けてキラキラとした視線を投げかけていた。
「完成、楽しみだね」
「はい、ここはリアな国になると思います」
 こうして二人の猟兵によって『海の国』に楽しい集会場が作られていく。
 それはこの国の楽しい始まりを示しているようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

チェリカ・ロンド
【ファランビー】!
海の中に町を作るなんて、素敵ね!

ロランの魔術で呼吸は安心。私は【全力魔法】でUC使って、周りをできるだけ照らすわ!
海底を照らしやすいよう、二人より上を泳ぎながら、周りを見渡すわ。
光に反射してキラキラしてるもの……できれば貝殻とか、おしゃれなのがいいわよね!
そういうのがあったら、二人に教えてあげるのよ。身軽なハロと賢いロランなら、きっといろいろ見つけてくれるわ!

あ、二人とも見て見て! キレイな魚が泳いでるわ!
砂の上には見たこともないカニとか、うねうねしたタコもいる。海っ、すごいわね!陸じゃ見れない生き物ばかり!
この魚たちも愉快な仲間たちも喜んでくれるような町、作らないとね!


ハロ・シエラ
【ファランビー】!
私は基本的には壊す事の方が得意ではありますが……お二人が一緒であれば、きっと何かを作る事も出来るでしょう。
ロランさんの術もありますが、私も自前で【深海適応】がありますし【素潜り】や【息止め】も出来ます。
【水中機動】で素早く【水泳】し、チェリカさんやロランさんの見つけてくれた物を取りに行きましょう。
私だからこそ出来る事もあるでしょう、例えばユーベルコードで大きな岩から一部を切り出し【怪力】で運んだりとか。

……ここは普通の海ですね、大きな魚やタコもオブリビオンではないはず。
それなら少し戯れたり見物したりも良いでしょう。
ええ、案内を買って出てくれた彼らの為にもいい町を作りましょう!


ロラン・ヒュッテンブレナー
水中都市を作るんだって
だから、【ファランビー】!なの

この新しい水着(メガリス)の特殊能力(スキル)をフル活用なの
まずは、【深海適応】できるように、水中呼吸の魔術を施すね
【結界術】の応用で、みんなの呼吸を確保するの

灯りは、チェリカちゃんに任せて、ぼくは【暗視】で見通してみるの
綺麗なサンゴとか、貝殻とか、石とかないかな?

お魚さん、見つけた?
それなら、【動物と話す】で綺麗なものがある所、案内お願いしちゃうの

ハロちゃん、頼もしいなぁ
ぼくには、こういう時に使えそうなUCがないの
考えておかないと…

愉快な仲間たちは、どんなのを作ってるかな?
良い素材いっぱい持って行って、いい街を作るの!




「今回の依頼ではね、水中都市を作るんだって。だから今日は三人でファランビー! なの」
「海の中に町を作るなんて、素敵ね! 私達も色々作ってみたいわね! どんな都市にしようかしら」
「いつもは壊してばかりの私ですが……お二人と一緒であれば、きっと何かを作る事も出来るでしょう。楽しみです」
 『海の国』の入り口で楽しそうにはしゃいでいるのは【ファランビー】な三人組。
 メガリス製のシックな水着で身を包み、魔術の詠唱を始めているのはロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)。
 その後ろでは大胆なピンクのビキニ姿で準備体操を進めるチェリカ・ロンド(聖なる光のバーゲンセール・f05395)の姿も見える。
 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)も可愛らしい白ビキニを着込み、腰にかけたレイピアの鞘の位置調整を行っている。
「海の中は安全みたいだけど、動きやすい風にしておきたいの。チェリカちゃん、ハロちゃん、魔術をかけさせてね」
 ロランはメガリスに籠められたスキルを使い、新しい魔術を展開していく。
 青紫色の美しい光が三人を包み込めば――あっという間に深海魔術の出来上がり。これで海の中であろうと陸上と変わらず軽やかに行動できるだろう。
「ロランさん、ありがとうございます。援護してもらえた分しっかり頑張りますね」
「海の中なら結構暗いわよね。灯りなら私に任せて!」
 チェリカも二人の前にどーんと構えると、自らの聖者としての力を高めていく。
 すると彼女の身体は眩い光に包まれていき、周囲をきらきらと照らし出していくのだ。
「これで準備は万端ね!」
「うん! 二人と一緒に行くの、楽しみなの」
「都市作り、頑張りましょうね」
 改めてファランビー! と高らかに声を合わせ、三人は海へと飛び込んでいく。
 彼ら彼女らの視界に入ったのは――美しい青色の世界だ。

 愉快な仲間たちが集まっている場所を目指しつつ、三人は海の中を突き進む。
「海の中、すっごく綺麗なの」
「チェリカさんが照らしてくれているので尚更ですね」
 ロランとハロの言う通り、灯りはチェリカが担当してくれていた。
 彼女は二人より少し高い所を泳ぎ、上空から海底を照らしている。ついでに高い視点から素敵なものも探そうという作戦だ。
「キラキラしてるものはないかしら……あっ、あそこにおしゃれな貝殻がある!」
 チェリカが発見したのは光を浴びて輝くカラフルな貝殻達。これを使えば素敵な飾り付けが出来そうだ。
「えーっと……すぐそばの岩もなんだかキラキラしてるの。あれも使えるかな?」
 ロランは暗い所も見渡せる視力を以て、見えにくい場所にある素敵なものを探していく。
 良さそうなものが発見出来たのなら、取りに行くのはハロの仕事だ。
「お二人ともありがとうございます。すぐに取ってきますからね」
 巧みな水泳の技術で水を蹴り、ハロは二人が示した方へと直進する。
 貝殻の回収は簡単そうだが、岩をそのまま持ち運ぶのは難しそうだ。それならある程度の大きさに切り分けてしまった方がいいだろう。
「……行きます!」
 ハロは勢いよくレイピアを引き抜くと、そのまま岩へと刃をぶつける。
 埒外の力とハロの剣術が相まって、大きな岩はスポンジのようにあっさりと切り取られた。
 その表面を見てみれば確かに不思議な輝きを放っている。きっと特殊な岩なのだろう。
「このくらいなら一人でも持ち運べそうですね」
 収集物をしっかりと手にとって、ハロは二人の元へと戻っていく。
「ハロ、すごいわ! ロランも素敵な岩を見つけてくれてありがとう! 賢いロランに身軽なハロもいてくれれば本当に無敵ね!」
「ハロちゃんの剣術すごかったの……! ぼくもこういう時に使える技を考えておかないと……」
「一緒に訓練するのも良さそうですね。三人なら、きっと良い戦い方も見いだせると思いますから」
 成果を確認すれば三人の顔に笑顔も咲いていく。
 この調子で海の中を進んでいけばたくさんの綺麗なものが集まりそうだ。

 たくさんの貝殻や光る岩を回収しつつ更に三人は海を行く。
 しばらく進んでいけば――チェリカが遠くに何かを発見したようだ。
「あ、二人とも見て見て! キレイな魚が泳いでるわ! それにカニやうねうねしたタコもいる……!」
 どうやら愉快な仲間たち以外にもこの海には先住民がいたようだ。
 彼らは悠々自適に海の中で過ごしており、三人の事も気にせずまったりとしている様子。
「……ここは普通の海ですね、大きな魚やタコもオブリビオンではないはず。それなら少し戯れたり見物したりも良いでしょう」
「お魚さんならお話も出来ないかな? ぼく、ちょっと行ってくるの」
 ロランは集団で泳いでいた魚の方へと接近し、彼らへと声をかけていく。
 魔術を使えば海の生き物とも意思疎通が可能なのだ。
「あのね、お魚さん達が海の中を案内してくれるって」
 外敵も少ないこの海では住民達も穏やかな気質をしているようだ。彼らと三人はあっという間に打ち解けて、共に海を冒険していく。
「海っ、すごいわね! 陸じゃ見れない生き物ばかり! それに皆とお友達になれるなんて、とっても楽しいわ!」
 チェリカも小さな熱帯魚達と戯れつつ、色とりどりの鱗を照らしていく。
 その横ではハロが不思議そうな顔をしてタコと見つめ合っていた。
「本当にうねうねしていますね……故郷ではあまり見る事の出来なかった生き物ですから、面白いです」
 ロランが生き物達の言葉を通訳してくれているため、皆で和気あいあいと過ごす事が出来ていた。
「あっちにサンゴ礁がたくさんあるんだって。一緒に愉快な仲間たちの所にも来てくれるって言ってるの」
「本当? 貝殻にサンゴに綺麗な岩に……たくさん飾り付け出来ちゃいそうね!」
「この魚やタコ達も『海の国』には住めそうですね。皆で一緒に過ごせば楽しいはずです」
 楽しくおしゃべりしつつ、三人の周囲には海の生き物も増えていく。
 お土産になる素材もどんどん集まって、好きなだけ『海の国』を盛り上げる事が出来そうだ。

 三人と海の生き物達で持てるだけの素材を持ったのならば、いよいよ『海の国』の中央を目指す時だ。
「お魚さん、仲間たちの所にも案内してくれるって言ってるの。良い素材いっぱい持って行って、いい街を作るの!」
 ロランの言葉にチェリカとハロも大きく頷く。
「この魚たちも愉快な仲間たちも喜んでくれるような町、作らないとね!」
「ええ、案内を買って出てくれた彼らの為にもいい町を作りましょう!」
 三人が目指すのは、愉快な仲間たちだって海の生き物だって、猟兵だってアリスだって過ごせる素敵な都市だ。
 たくさんのお土産と仲間を連れて、一行は愉快な仲間たちの元へと辿り着く。
「こんにちは……わぁ、お客さんがいっぱいだ!」
「それに色んなものも持ってきてくれたんだね。楽しくなりそう!」
 彼らも一行を快く迎え入れ、共に都市を作るための準備を進めていく。
「皆喜んでくれて何よりね! ここからも頑張りましょ、ファランビー!」
「うん、ファランビー! なの」
「ファランビー! ですね。とても楽しくなりそうです」
 見知った友達もはじめましての仲間も一緒に盛り上がって。
 三人の楽しい海の冒険は、まだまだ始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アリア・モーント
ラフィお兄様と(f19461)
アドリブ等歓迎

ラフィお兄様の水着とっても素敵!
可愛いフリルも着こなしちゃうのね♪
紫の薔薇の花言葉をご存知かしら?
気品…いつだって紳士なお兄様にぴったりなのよ!
勿論、パパにだってきっと負けないのだわ?

わたしも水着なの
お兄様みたいに真っ黒なうさぎさんのサンダル
だからお気に入りなのよ♪

新しい海の国…お兄様!
せっかくですもの、わたし、あれが必要だと思うのよ?
そう、お兄様の得意なアレを楽しむ場所!

小さな石を繋げて飾ってシャンデリア
砕けた貝殻を張り合わせて薔薇の小窓
くるんとたこ足のテーブルとチェア
お皿は大きな貝殻がいいかしら?
シーグラスも素敵なのよ!
ええ、頑張りましょう♪


ラフィ・シザー
アリア(f19358)と
ふふっ、俺の水着褒めてくれてありがとうな。
紫の薔薇は気品か…紳士って言ったら俺達の義父さんがまさしくそんな感じだよな♪
俺もそんな風になれてるなら嬉しいぜ?

うん♪アリアの水着も似合ってるぜ。紫陽花の花がよく似合う。移り気なんて言うけれどきっと好奇心が旺盛なのさ。
そのサンダルは俺か。他にもあちこちに俺達『家族』のモチーフがあるな♪

さぁ、新しい国を作ろう。
時計ウサギの俺の得意なものはもちろん紅茶だ♪
アリアの案どれもいいな
ピンクの貝殻に…このシーグラスもつかえそうじゃないか?
みんなが気に入ってくれる素敵な場所をつくらなきゃな♪




 『海の国』の入り口で、水着姿の少年少女が楽しげに言葉を交わす。
「お兄様も水着を新調したのね。とっても素敵! 可愛いフリルも着こなしちゃうのね♪」
「ふふっ、俺の水着褒めてくれてありがとうな。綺麗な水着に仕立ててもらえたんだぜ」
 赤髪の少女アリア・モーント(四片の歌姫・f19358)が明るく声をあげたのなら、お兄様と呼ばれた少年ラフィ・シザー(【鋏ウサギ】・f19461)も顔をほころばせて。
 アリアの言うように、ラフィの水着は男性用だが愛らしさも感じさせるデザインだった。
 彼の水着は黒と紫を基調にし、ふんだんにフリルを使いつつ礼服のような気品を醸し出している。
 けれど水着としての機能もきちんと果たしており、夏を満喫出来そうな雰囲気もしっかり纏っていた。
 何よりも特徴的なのは散りばめられた紫色の薔薇達だろう。
「紫の薔薇の花言葉をご存知かしら?」
「ううん。どんなのなんだ? 教えてくれるか?」
「花言葉はね、『気品』なの。いつだって紳士なお兄様にぴったりなのよ!」
 アリアの言葉にラフィの表情は更にぱっと明るくなった。その花言葉は彼らにとって大切な人を思い起こさせるものだったからだ。
「気品か……紳士って言ったら俺達の義父さんがまさしくそんな感じだよな♪」
「ええ、そうね。けれど今のお兄様ならパパにだってきっと負けないのだわ?」
「ありがとう。俺もそんな風になれてるなら嬉しいぜ?」
 楽しい水着でのレジャーだろうと、紳士淑女らしく気品や優雅さを忘れない。
 二人にとって尊敬する家族のようになれるのなら、それはとても喜ばしい事だった。

「ねえお兄様。わたしも水着なの。ほら、これを見て?」
 アリアも自分の水着を主張するようにラフィの前に立ち、パーカーのフードとサンダルの方を指差した。
「うさぎさんのフードに、真っ黒なうさぎさんのサンダル。お兄様みたいでお気に入りなの♪」
 その言葉通り、アリアの水着は黒うさぎのモチーフが取り入れられていた。
 パーカーのデザインはシンプルだけれど、だからこそうさみみフードが印象的で。
 サンダルにはうさぎの耳だけでなく、尻尾の意匠も取り入れられている。パールも使ったデザインは上品で愛らしい。
 そして水着部分はラフィと同じく紫色を基調にしているが、こちらは薔薇とは別の花をモチーフにしているようだ。
「その水着は……紫陽花の花か。よく似合ってるぜ。花言葉は『移り気』なんて言うけれど、好奇心がきっと好奇心が旺盛なのさ」
「素敵な表現ね。とっても嬉しい!」
 そう言いつつアリアは持ち込んだビーチボールと小さな鞄を抱きしめる。
 ビーチボールには蜘蛛の意匠、鞄には大きな尻尾のようなファーの飾りが取り付けられ、模様は可愛いうさぎ柄。それらを眺めつつ、ラフィは更に言葉を紡ぐ。
「サンダルは俺だし……他にも俺達『家族』のモチーフが入ってるんだな。なんだか嬉しいぜ」
「ふふ、離れていても気持ちはみんな一緒だもの! 綺麗な水着に仕立ててもらえて、わたしも嬉しいのだわ」
 くすくすと顔を見合わせて、アリアとラフィは家族を思う。
 これから行く国も『家族』で遊びに行ける素敵な場所にしたい。そんな思いを籠めながら、二人も海の中へと入っていく。

 海の中では愉快な仲間たちが二人を迎え入れ、共に国作りを進める事となった。
「ちょうど新しいアイデアを考えていたところなんだ。何かあるかな?」
 丸っこい魚の仲間たちが二人を囲み、早速意見を求めてくる。
 アリアとラフィも顔を見合わせ、少しずつ考えを巡らせて――。
「……お兄様! せっかくですもの、わたし、あれが必要だと思うのよ?」
「ちょうどよかった。きっと同じものを考えていたところだぜ」
「嬉しいわ。お兄様の得意なアレを楽しむ場所、必要よね!」
「ああ! 時計ウサギの俺の得意なもの――もちろん紅茶だ!」
 二人が思いついたのはお茶を飲みながらくつろげる場所だった。
 愉快な仲間たちはもちろん、アリスを歓迎するのにはきっとうってつけ。
 ちょうど二人の目の前には大きな建物も出来上がりかけていた。ここを使えば良さそうだ。

 どうせなら内装も自分達の好みにしたい。二人は更に案を出し続ける事にした。
「きらきら光る小石を繋げればシャンデリアが出来るし、砕けた貝殻を上手く並べれば薔薇の小窓も作れるわ」
 アリアが思いつくままに言葉を紡げば、合わせて仲間たちが設営を進めていく。
「たこさん、モデルになってくださる? テーブルやチェアはくるんとしたたこ足にしたら可愛らしいと思うの」
 大きな貝殻のお皿を並べつつ、和気あいあいと作業を進めるアリア。
 その横ではラフィも設営を手伝っている。
「アリアの案どれもいいな。ピンクの貝殻で薔薇を作るの、可愛いし……。あ、このシーグラスもつかえそうじゃないか?」
「まあ! それも素敵なのよ。壁もきらきらにしましょう!」
 ラフィが手にとったのは淡く輝くシーグラス達。これで外壁や内壁を飾り付ければ、どこから見ても綺麗な建物になるに違いない。
「良い調子だ。みんなが気に入ってくれる素敵な場所をつくらなきゃな♪」
「ええ、頑張りましょう♪」
 歌うように軽やかに、楽しみながら二人はお茶処を作っていく。
 おとぎの国の住人が作り上げる場所ならば、海の中にも絵本のような光景になっていくだろう。
 その中央で笑うアリアとラフィも楽しい物語の一員のようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイナ・ラティエル
海の中で息出来るなんて凄いね!(わくわく)
あ、あのシャチくんやイルカくん達可愛い。

そういえば、お魚くん達は此処をどんな感じの大きな都市にしたいのかな。
折角だから賑やかな所になったらいいと思わないかい?

ボクはそうだな…やっぱりお城とかあったら目立って街のシンボルにもなるからいいと思う
だよ。
どうせならただのお城じゃなくてお客さんが来てくれた時様にお城風のホテルとか合ったら素敵だと思わないかい?

たぶんボク、何か出来る事がないか考えながら探索してるから気軽に声かけてね!

※服装は水着


天王寺・七海
アリスラビリンスに海に溢れた場所があるのね。
そして、お仲間も同様にいる世界。
ここは、ぜひとも守らないとね。
てなわけで、七海ちゃんも、色々と手伝ってあげるのね。

ここは、高低差もばんばん組んじゃって、周囲にはサンゴもいっぱい生やして壁っぽくしておいたほうがいいと思うわね。

もちろん、中心部はでっかいタワーみたいなのも付けておくべきかなって。
シャチとしては、同類と遊べるってのもいいものだからね。


アドリブ絡み歓迎


ルーヴェニア・サンテチエンヌ
せっかくの海!今年新しくした、ピンクと黒の水着で参加しますの!(2020年水着JC)
まだ泳ぎは自信がないけれど、呼吸ができるなら…浮き輪は置いていきますの。

なんだかみなさま可愛らしい方々ですの…!
許されるなら、少しじゃれたいのですわ…。
それはともかく。

素敵な場所ですもの、素敵な生活ができる街にしたいですわ。
食べ物はあるかしら?住むところは?故郷を思うと、一番に充実させたいの。

あ!いいこと閃いたの!
お城も作りましょう?似合うと思いますの。
中にはみんなのおうちになるようなお部屋も作って。

……そうしたら、オウガが来ても避難所になってくれるの。




 『海の国』の中を楽しげに泳ぐ人々の影が見える。
 そのうちの一人、アイナ・ラティエル(星の国のアリス・f19388)。
 青と白が眩しい水着を着込み、愉快な仲間たちを楽しそうに観察していた。
 普段はみつ編みにしている髪も緩めに結び、水着と共に潮の流れを受け止めている。
「海の中で息出来るなんて凄いね! シャチくんやイルカくん達も可愛いし」
 アイナがじーっと目を凝らした先では丸っこい海の仲間たちがぷかぷかと泳いでいた。
 その中で一際大きなシャチがアイナの視線に気づき、一気に距離を詰めてくる。
「わっ、こんにちは……あれ、キミってもしかして?」
「びっくりしたのね? 七海ちゃん、愉快な仲間たちじゃなくて猟兵なの」
 言葉の通り、大きなシャチはバイオモンスターの天王寺・七海(大海の覇者・f26687)だった。
 七海も元は人間だが、今はシャチの身体に記憶を宿している。
 彼女は今の自分と同じ海の生き物のため、国作りを手伝いにやってきたのだ。
「まあ、他の猟兵様もいらしていたのね。ご機嫌よう」
 更に二人の元へとやって来たのはルーヴェニア・サンテチエンヌ(人と狼の狭間が産むのは・f13108)だ。
 今年新調した黒とピンクの水着は愛らしく、海の流れを受けてフリルがゆらゆらと揺らめいていた。
 ちなみに大きな浮き輪はお留守番だ。泳ぎに自信はないけれど、この国ならばきっと大丈夫だろう。
「愉快な仲間たちも七海様も可愛らしいですの……! 一緒に遊びながら国を作れたら嬉しいのだけど……」
「楽しみながらやるのが一番だよ。ボクは賑やかな所に出来たらいいなって思うし。お魚くん達の意見も聞いてこようよ!」
「みんなで意見を出し合えばきっと素敵な国が作れるわね。さあ、行きましょう」
 三人は愉快な仲間たちにも声をかけつつ、国作りへと取り掛かる。
 ここから先は楽しい時間の始まりだ。

 せっかく人手があるのだから、何か大きなものを作りたい。それは三人に共通している意見だった。
「ボクはそうだな……やっぱりお城とかあったら目立って街のシンボルにもなるからいいと思うんだよ」
「わたくしもお城作りには賛成ですの。きっとこの国に似合うと思いますわ」
 アイナとルーヴェニアの脳裏には、中央に堂々と立つ城のイメージが浮かんでいた。
「ボクの故郷って平凡なところだったから、こう……派手なものがあると嬉しくて!」
「わたくしの故郷は――暖かかったけれど、世界自体はとても厳しかったですわ。だからこそ、ここは皆様の暮らしを充実させたいと思いますの」
 アイデアの源泉はバラバラだけれど、目指す先は同じだろう。
 この国に暮らす人々が楽しく、そして安全に過ごせるように。
 二人の意見を聞き入れながら、七海も何度も頷いていた。
「それならしっかりとした作りにもしたいわね。高低差をばんばん組んじゃって、サンゴの壁なんかも作った方がいいと思うの」
「サンゴは飾り付けにも使えそうだよね! きらきらにしちゃおうよ!」
「大きな防壁があれば何かあっても対応出来ますものね。素敵な国ですもの、見た目も大切にしたいですわ……!」
 三人は更に意見を出し合って、国のシンボル作りを進めていく。

「……そうだ! せっかくだからただのお城じゃなくて、お城風のホテルにもしてみない?」
 仲間たちが切り出した岩を運びつつ、アイナが大きな声をあげる。
 それに合わせてサンゴを集めていた七海も、アイナと同じく岩を運んでいたルーヴェニアも集まってきた。
「泊まれるようにしておけば、アリスや猟兵達も過ごしやすいと思わないかい?」
「良いアイデアね。それなら海の生き物達が住みやすいお部屋も必要だと思うの」
「それなら、みんなのおうちになるようなお部屋もどんどん作りましょう。楽しいお城になると思いますの」
 三人のアイデアを元に大きなお城はどんどん広がっていく。
 仲間たちが次々に岩を運び出し、縦にも横にも大きなお城になっていくのだ。
 人間用のお部屋にはクラゲの仲間たちがベッドを用意したり、椅子やテーブルだって備え付けたり。
 仲間たちにもそれぞれの住みやすい部屋を考えてもらった。薄暗い岩場の部屋や、空の光も取り入れられるような窓のある部屋なんかも用意して。
 内壁や外壁は可愛らしい貝殻で飾り付けも施してある。どこから見ても楽しいお城になっているはずだ。
 その周囲には七海の考案したサンゴの壁も設置しておく事となった。これで悪いやつが現れても簡単には侵入できないだろう。
 お城の設営には特にアイナが積極的に関わっていた。
 彼女は忙しなく海を泳ぎ回り、困っている人がいればすぐさま手助けを行っている。
 旅を愛する者として、はじめましての相手だろうと親切に行動する。
 アイナのその心がけは『海の国』をさらに楽しく明るく発展させていった。

「あとは……中央にでっかいタワーみたいなのも付けておくべきかなって」
「タワー? どうして?」
 七海のさらなる提案にアイナが小首を傾げる。ルーヴェニアも不思議そうな表情を浮かべていた。
「シャチとしては、同類と遊べるってのもいいものだからね。皆で遊べるシンボルっていうのもいいと思うのね」
「いざという時の見張り台にもなりそうですわ。そちらも早速作りましょう」
「それならもっと岩を運んで来ないとね! ボク、仲間たちを手伝ってくるよ!」
 アイナは勢いよく水を蹴り、さらなる資材の確保へ走る。
「それなら七海ちゃんはシャチの仲間と打ち合わせをしておくわね」
 七海も仲間たちの元へと泳いでいき、これから作るタワーについての意見を出し合う。
 同じ海に暮らす者同士だからこそ分かる事もあるはずだ。リアリティのある意見はどんどん国を発展させていく。

 ルーヴェニアも小さなサメやタコたちの元へと赴き、彼らとちょっとだけじゃれつきながらの意見を出し合っていた。
「住むところは十分でしょうが……食べ物はあるかしら? そういう部分を一番に充実させたいの」
「心配してくれてありがとう。大丈夫だよ!」
 愉快な仲間たちは人間と同じものを食べることが可能で、それらは自分達で持ち込んでいたようだ。
 何より生活には困らない、という事実を聞いてルーヴェニアは胸を撫で下ろす。
「良かったですわ。故郷のような厳しい暮らしを皆様にはして欲しくありませんもの」
 これからこの国はどんどん発展していくだろう。そんな中で悲しい思いをする人は一人でも少ない方がいい。
 けれど――もうひとつ、懸念しておかなければならな事がある。
「……あとはオウガの襲撃だけを解決しないといけませんわね」
 ルーヴェニアが城作りを提案したのは、皆の住む場所を確保したかったからだけではない。
 いざという時に皆が避難出来る場所を作っておきたい。そういう願いもあったのだ。
 だからこそアイナも城作りを提案してくれたのが嬉しかったし、七海が防壁を作ろうと言ってくれたのも安心した。
「これで守りは十分、ですわ」
 出来上がる城とタワーを見上げ、ルーヴェニアは再び安堵の息を吐いていた。

 それから暫く作業は進み。
 いよいよお城とタワーが完成する時がやってきた。
 住民たちとお客様の双方が暮らせるお城はとても立派で、遠くから見ても存在感を放っている。
 その横に備え付けられたタワーも堂々としており、その周りを泳ぎ回るだけでも楽しくなりそうだ。
 周囲のサンゴ壁も相まって景観は決して崩していない。むしろ初めからそこにあったかのような馴染み具合だ。
「わ、わぁ! すごいよ、こんな素敵なシンボルがあればみんな満足できるねっ!」
「ずーっと遊んでいられそうね。海の仲間としても嬉しいのよ」
「暮らす環境としてもばっちりですの。これで安心ですわね」
 三人も成果に満足し、互いの手を合わせて喜びを分かち合った。
 猟兵達が作り上げた場所はきっとこの国を支える大きな礎になるはずだ。

 その未来を示すような満足感が、暖かく三人の胸を満たしていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

桜田・鳥獣戯画
アルフレッド(f03702)と出かけるとなぜかよく依頼に巻き込まれる。
今度は何だ? 海底建国…?

行く!!水着で!

ほう、呼吸はできるのか!
アルフレッドは慣れているかもしれんが、私は初めての経験だな!
美しい世界にしばし目を奪われる。
…あっちが本物のエイか… ははは!あまり変わらんな!

皆の作業を観察。
アルフレッドは工事の片付けも抜かりないようだな!
私はどうしても防衛面が気になってな…王国を守る城塞が必要だな。この深緑色の岩はうってつけだ!
UC【前門の鳥・後門の獣】で私をもう一人呼び出し(with去年の水着)、岩を運んで壁を作ろう。
「「手は空いたかアルフレッド!手伝え!!」」

連携アドリブ協力作業歓迎!


アルフレッド・モトロ
戯画の姉御(f09037)と水着で海底へGO!

おいおい姉御ぉ!
「本物のエイ」ってなんだよ、俺も本物だぜ?

しかしこの世界にこんな場所があるなんてな。
しかも海の中で国づくりと来た!燃えてきた!

さあこの【怪力】
戦うためだけに揮うのがほとんどだったが
こうして平和的に使えるってのもいいもんだな
いや~日頃から鍛えていて良かった!

よっしゃ!【気合い】入れてきれいな海の国を作っていこう!

岩や物資をパワフルに運んで開拓だ!
不要物・廃棄物が出たら
蒼炎できれいさっぱり【焼却】する

……うおっ、姉御が呼んでる!
今手伝いに行くぞ!って、姉御が二人いるーッ!?

なるほど壁を作るのか
小さな魚たちが潮に流されちまうと困るもんな~




 時は少し遡り。
 桜田・鳥獣戯画(デスメンタル・f09037)はアルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)に誘われて出かける準備を進めていた。
「アルフレッドと出かけるとなぜかよく依頼に巻き込まれるな……今度は何だ?」
「アリスラビリンスで面白そうな話があるんだ! 海の中で国作りときた! 燃えるだろ!」
「海底建国……? なんだそれ、面白そうだな! 行く!! 水着で!」
「行こう!! 水着で!」
 あっさりと意気投合した二人は新調した水着を片手にアリスラビリンスへと飛び出した!

「ほう、この海の中は呼吸が出来るのか……。アルフレッドは慣れているかもしれんが、私は初めての経験だな!」
 早速『海の国』へと飛び込んだ猟兵達。鳥獣戯画は不思議な海の景色を楽しげに見回していた。
 青と緑の世界にあっても、彼女が着込んだライトグリーンの水着はどこか眩しい。
 イカした海賊風のコートやアクセサリーも波にゆらゆらと乗っていた。
「海の中でのびのび出来るのは楽しいだろ? 姉御も楽しそうで何よりだぜ」
 一方海産のキマイラであるアルフレッドはリラックスしたように海の流れを楽しんでいた。
 サーフボードこそ置いてきたが、今日の彼はサーファースタイル。
 黒を基調にした水着はどこの世界にあろうともクールな印象を与えてくれている。
「あっちには愉快な仲間たちも……あっ、本物のエイもいるんだな!」
 二人の視線の先には建国を進める海の仲間たちの姿もあった。
 魚だけでなくサメやエイもぷかぷかと泳ぎ、資材を運んだりしている様子。
 鳥獣戯画はエイとアルフレッドを見比べて楽しそうに笑みを零しているが、アルフレッドの方はちょっと複雑そうな表情をしている。
「おいおい姉御ぉ! 『本物のエイ』ってなんだよ、俺も本物だぜ?」
「ははは、そうか! あんまり変わらんな!」
 愉快な仲間のエイはちょっと丸っこくて可愛らしかったから、似ていると言われるのは微妙に複雑な気がしないでもないが……。
 豪快に笑う鳥獣戯画の声が楽しくて、アルフレッドもついついつられて笑ってしまう。楽しいのが一番なのだ。

 愉快な仲間たちの元まで行けば、彼らはあっさりと猟兵を迎え入れて共に国作りを行っていく。
「私は少し視察に行ってこようか。必要な設備を見極めたいからな」
「じゃあ俺は仲間たちを手伝ってるぜ。助けが必要になった呼んでくれ!」
 二人は一度別れ、それぞれの作業を進める事となった。
 アルフレッドは鍛えた身体を活かし、仲間たちが運びきれないような大きな岩を運搬していく。
「この怪力も戦いのために揮ってばっかりだったが、こうして平和的に使えるってのもいいもんだな」
「お兄さんみたいな逞しい人が来てくれて助かるよ、すごいね!」
「これも努力の賜物なんだぜ。いや~、日頃から鍛えていて良かった!」
 楽しく雑談も交えつつ、作業は順調に進行しているようだ。
 途中で生じた岩のカケラや砕けてしまった貝殻などの後処理もアルフレッドが担当していく。
「危ないからちょっと離れててくれよ」
 仲間たちに一声かけて、身体から生み出すのは水中でも燃える蒼い炎。
 埒外の力で生まれたエネルギーは不要物もあっさりと消し飛ばす事が出来るのだ。

「お兄さん、本当にすごいね!」
「俺は飛空戦艦の艦長もやってるからな。こういう作業の大切さも分かってるつもりだぜ」
 仲間たちに慕われつつ作業を進めるアルフレッドはとても頼もしい。
 視察を進めていた鳥獣戯画も彼らの様子を眺め、嬉しそうに目を細めている。
「アルフレッドは工事の片付けも抜かりないようだな! それなら私は……」
 鳥獣戯画も巨大な壁の拠点を治める者。彼女独自の視点でこの国に必要なものを考える事が出来ていた。
「やはり気になるのは防衛面だろうか。都市である以上、守りのための城塞が必要だな」
 次に視線を向けたのは国中に存在している深緑色の岩だった。
 これなら強固な壁を作る事も可能だろう。
「よし、善は急げだ!」
 鳥獣戯画はユーベルコードの力を高め、共に作業を行う者を呼び寄せる。
 二人で顔を見合わせてすぐに意思疎通を行ったのなら、あとはひたすら岩を運んで壁を築くだけだ。

 しかし国を守る城壁となるとやはり人手は必要だろう。
 ちょうどアルフレッドも行っていた作業が一段落したようだ。鳥獣戯画は大きく手を振って彼へと声をかけた。
「「手は空いたかアルフレッド! 手伝え!!」」
「……うおっ、姉御が呼んでる! 今手伝いに行くぞ! って……」
 水を蹴ってすぐさま移動を始めたアルフレッドだが、目の前の光景には思わず目を丸くしていた。
 何故なら鳥獣戯画の横に――もう一人の鳥獣戯画(着ているのは海中のような外套が格好いい去年の水着だ)が立っていたからだ。
「姉御が二人いるーッ!?」
「私が二人居れば心強いだろう! アルフレッドも一緒に作業をすれば百人力だ!」
「作業って……壁を作ってたのか?」
 鳥獣戯画達だけでも既にかなりの作業を進める事が出来ていた。少しずつではあるが、確実に強固な壁が国を覆い始めていたのだ。
「小さな魚たちが潮に流されちまうと困るもんな~。壁があれば小さい子も安心だな!」
「ああ! 何より守りはしっかりしておくのが一番だからな!」
 二人(ともう一人)は再び意気投合し、共に壁を作り始めていく。
 完成まで時間はかかるかもしれないが――しっかりと未来を見据えた設備は、きっと役に立つはずだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 日常 『極彩ブリックロード』

POW   :    手近な色から塗りたくる

SPD   :    インスピレーションに従って彩色する

WIZ   :    丁寧な配色にする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達の協力により『海の国』には多くの施設が出来上がっていた。

 すべての施設には貝殻やサンゴ、きらきら光る岩の装飾が施され、楽しい景観を作り上げていた。

 集会場も兼ねたダンスホールはとても広く、どんな大きな生き物ものびのびと踊って遊ぶ事が出来るだろう。
 音響も計算された室内ではコンサートなんかも開けるかもしれない。

 可愛らしいお茶処には貝殻やシーグラスを使った装飾が施され、海の中にありながらおとぎの国らしさを出している。
 海の生き物をモチーフにした内装も可愛らしく、誰でも紅茶を楽しむ事が出来るだろう。

 この国の住民やお客様がリラックスするなら大きなお城とタワーが一番だろう。
 ホテルとして使える部屋やいざという時の避難所も兼ねた部屋を用意して。タワー部分では海の生き物達が自由に遊び回る事も可能だ。

 国を守る壁もしっかりと用意されている。
 一番外側になる部分には深緑色の岩を使った強固な壁を。これだけの守りがあれば外敵の対応もしやすくなるはずだ。
 サンゴの壁や町の高低差も用意され、ただ暮らすだけではなく――しっかりとこれからの未来を考えた国が姿を現している。

 けれどまだまだ国を賑やかにする事は可能だ。
 タコやイカの仲間達が力を合わせ、色とりどりの墨を用意してくれている。
 海藻を使えば大きな刷毛や小さな絵筆も作り出せる。
 青と緑が中心のこの国に、好きな装飾を施せば――もっと愛着も湧くはずだ。

 唯一無二の国を作るため、猟兵達も彩色作業を手伝おう。


 2章のプレイングは【7月26日(日)8:31~】受付開始予定です。
 よろしくお願いします。
黒影・兵庫
【蜂皇族】
俺たち以外の猟兵の皆さんや愉快な仲間たち皆さんのおかげで
とても立派な国になりましたね!せんせー!
(「そういえばクロリアは?」と頭の中の教導虫が尋ねる)
あれ?さっきまで俺の後ろにいたはずですが...
ってダンスホールで踊ってる!
あんなに自分の水着姿を見られるのを恥ずかしがっていたのに
ダンサーの血が騒いだんだろうねぇ
(クロリアの踊っている姿をじっと見つめて何かを閃く)
そうだ!クロリアのダンスからイメージした絵を描いてみましょう!
(墨に{誘煌塗料}を混ぜ込んで輝く墨を作りクロリアと一緒にダンスホールの周りに塗っていく)
できた!名付けて海底の銀河!
いい感じじゃないでしょうか!?


播州・クロリア
【蜂皇族】
(ダンスホールを見てソワソワし始める)
うぅ...なんて立派なダンスホール...
ここで踊ればとても気持ちがいいでしょうね...
うぅ、でもこの水着姿...
(頭をぶんぶん振って)
もう我慢できません!
ノーダンスノーライフです!
(ダンスホールの中心に飛び出すと両足を前後に広げ、腕を横に広げながら天を仰いだ後{銀河の旋律}で『ダンス』を始める)
あぁこんなにリアな気持ちになれるなら
もっと早く踊っていればよかったです
(黒影がキラキラ光る墨を作るのを見て)
光る墨!なんて素敵なんでしょう!
私もダンスをしながら塗らせていただきます!
(『念動力』で墨を操るとダンスホールの周りを塗っていく)




「わぁ、皆さんのおかげでとても立派な国になりましたね! せんせー!」
『ええ、とても綺麗ね』
 立ち並ぶ『海の国』の建造物を見回りつつ、黒影・兵庫は楽しそうに水を蹴る。
 彼の目を通して教導虫のせんせーも景色を楽しんでいるようだ。
 兵庫の後ろには播州・クロリアもくっついているのだが、彼女の方はどこか様子がおかしかった。
「うぅ……なんて立派なダンスホール……」
 クロリアも周囲の建造物を見学していたのだが、彼女の視線はダンスホールへ向けられている事が多かった。
「ここで踊ればとても気持ちがいいでしょうね……」
 出来上がったダンスホールはとても立派なものとなった。
 更にここは水の中。浮力の中で踊ればいつもと違った感覚が楽しめるに違いない。
 けれどクロリアは視線を落としため息を吐いている。今日はいつものスーツではなく露出の多い水着姿。
 この格好で踊るというのはやはり恥ずかしい。
「でも……もう我慢できません! ノーダンスノーライフです!」
 兵庫達が遠くの建物を見ている間にクロリアはホールへ向けて全力で泳ぎだす。
 そんな彼女の様子に兵庫達が気付いたのは少し遅れての事だった。
『そういえばクロリアは?』
「あれ? さっきまで俺の後ろにいたはずですが……あ!」
 気がつくとダンスホールの方から歓声が響き渡る。誰かが踊り始めたのだろう。
「きっとあっちです! 行きましょう、せんせー!」
 楽しい予感を抱きつつ、兵庫達もダンスホールへと足を運ぶ。

 ホールの中心、大きなダンスフロアの中では予想通りクロリアが自由に舞い踊っていた。
 すらりとした手足を広げ、天を仰ぎ呼吸を整え。刻むのは全てを生み出し飲み込む生と死のリズム。
 いつもと違った浮遊感と共に手足を動かし、海の中すべてを包むようにクロリアは踊り続ける。
「あぁ、こんなにリアな気持ちになれるならもっと早く踊っていればよかったです」
 衣装が何であろうとも、晴れやかな気分で踊れるのならばそれでいい。
 胸の高鳴りを伝えるようにクロリアの舞は続いていく。
 兵庫もその様子を見守りつつ、共にリズムを刻んでいた。
「あんなに恥ずかしがっていたのに、ダンサーの血が騒いだんだろうねぇ」
 のびのびと踊るクロリアを見ていると、兵庫の脳裏にも様々なイメージが浮かんでくる。
 まるで海の中に銀河があるような――けれど恐ろしいだけではない、きらきらと星が瞬く素敵なイメージだ。
「……そうだ! このイメージから絵を描いてみましょう!」
 ちょうど近くでタコの仲間が塗料を運んでいたようだ。
 彼らから墨を分けてもらい、更に持参した誘煌塗料を混ぜ込めば――星が煌めくような美しい墨の出来上がり。
「できた! 名付けて海底の銀河! せんせー、いい感じじゃないでしょうか!?」
『墨と誘煌塗料を混ぜるのは良いアイデアね。早速塗っていきましょう』
 クロリアも踊りを続けつつ兵庫の作業を視認する。彼女の瞳にもきらきらと光が灯った。
「光る墨! なんて素敵なんでしょう! あにさん、一緒に塗りましょう!」
「うん、クロリアも一緒にやろう!」
 二人は念動力で墨を持ち上げ、踊りに合わせてその光を周囲へと散布していく。

 クロリアがくるりと身体を回せば同じようにきらきらが壁を舞い、兵庫が楽しくリズムを刻めば足跡のように床の上に銀河が広がる。
 二人の楽しげなダンスにつられるように仲間たちも墨を手にとってホールの中を動き回っているようだ。
「やはりダンスはリアです。皆で楽しむ事が出来ますから」
「ホールの中が宇宙になっていくみたいで……とっても楽しいです!」
 気がつくと銀河はホールの内部だけでなく外部にまで広がり始めていた。
 ホールの外壁も美しい星の輝きに覆われて、様々な紋様が刻まれていく。
 海底の銀河に同じ模様は一つもない。まるで海の生き物の多様性を示すような煌めきがホール全体を包んでいく。
 同じようにダンスもどんどん盛り上がり、皆が熱狂に飲み込まれていくようだ。
 けれどそこにあるのは純粋で真っ直ぐな感情達。楽しい、もっと踊りたい、皆でリズムを刻みたい。
 その中心に立つクロリアと兵庫の表情はとても心地よさそうなものだった。
「こうやってアートを形作る事も自己表現……つまりダンスのようでリアです。あにさんもリアな気分でしょうか?」
「もちろん! ホールが作れて良かったし、クロリアものびのび踊っていて安心したよ」
『とてもうずうずしていたみたいだものね。二人が楽しんでいるようで何よりだわ』
 クロリアと兵庫、そしてせんせーも共に広がる熱狂を味わっていく。
 今回の踊りは美しいアートの形として、そして愉快な仲間たちの思い出としてこの地に刻まれていくだろう。

 ダンスホールのこけら落としは大成功だ。
 三人の胸にも確かな思いが残されていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アキカ・シュテルア
SPD アドリブ・連携歓迎

水の中でも息が出来るというのは不思議なものですね。素敵な場所がいっぱいです!
【アート】は自信がありますので是非お手伝いさせてください!
水着は所持してませんので普段着のままですけども。

夜明紫電を巨大化させて塗っていきます。墨の用意、大変感謝ですね。【ジャンプ】したら高い所も塗れるでしょうか。

私の好きな色は紫ですが、皆さんの好きな色は何ですか?
本来の岩の色も大変素敵ですが、色は沢山あるのですから、自分の好きな色もあったらより楽しいと思うのです。

刷毛や筆を持って一緒に描いてもらえたら楽しいですね。


アイナ・ラティエル
ボクはこのままお城辺りを装飾しようかな。どんなカラフルな感じになるか楽しみだよ!

此処は海の国で今は青色と緑色が多いけど、どの色なら綺麗に合うかな~?
やっぱり白は合うだろけど、もっと明るい色やどうせなら少し派手な色も使いたいな。(悩み中)
…うん、だいたいの色は決まったね。

あ、壁や床とかは大きなハケを作ればきっと塗りやすいよね?
よ~し、ぱぱっと〈早業〉で塗ってくよ!

そうだ、塗るだけじゃなくて何処かに絵とかも描けたら楽しそうだね。
それに可愛くなりそう! 

たくさん頑張ったら今よりもっと素敵な賑やかな国になりそう
だよね☆

〈連携大歓迎〉




 海の中で建国が行われ、そこで色塗りが始まるという。
 その話を聞きつけたアキカ・シュテルア(グリッタークラフター・f09473)は愛用の丸筆『夜明紫電』を手に『海の国』へと訪れていた。
「水の中でも息が出来るというのは不思議なものですね。素敵な場所がいっぱいです!」
 ワンピースや上着がふわふわとする感覚を楽しみつつ、アキカは期待に胸を弾ませる。
 美しい海の世界を自由に彩る事が出来るなんて滅多にない機会だ。
 どこから塗ろうか見回していると、ふと大きな城が目に入った。
 ちょうど他の猟兵も色を塗ろうとしているタイミングだったようだ。まずはそちらに赴いてみよう。
 わくわくした感情のままアキカは海の中を泳いでいく。

「立派なお城になったね! どんなカラフルな感じになるか楽しみだよ!」
 完成した城を見上げつつ、アイナ・ラティエルは墨の準備を進めていた。
 この国には青と緑が多いけれど、他にはどんな色を使おうか。
 一番しっくり来るのは白だろう。けれど敢えて派手な色や明るい色で彩ってみるのも楽しそうだ。
 カラフルな塗料を眺めつつ、アイナが小首を傾げていると……ちょうどアキカも城の側へとやってきたようだ。
 二人は簡単に挨拶を交わし、色塗りの準備を進めていく。
「墨……たくさんありますね。用意してくれた仲間たちに感謝です」
「うん、いっぱいあるからどれを使おうか迷ってた所なんだ」
「私の好きな色は紫ですが、アイナさんは何色が好きですか?」
「ボクはやっぱり白色に……この水着みたいな爽やかな青色も良いかな?」
 カラフルな墨達は見ているだけで楽しい気分になってくる。
 気がつくと愉快な仲間たちも集まって、それぞれが好きな色を述べ始めていた。
「本来の岩の色も大変素敵ですが、色は沢山あるのですから、自分の好きな色もあったらより楽しいと思うのです。そうすればきっと印象にも残りますから」
「いい考えだね! それじゃあ……うん、ボクも使いたい色が決まったよ」
 思うままに楽しく彩る。それが自分の好きな色なら尚更嬉しい。
 そんな思いを抱きつつ、二人は選択した墨を手に取り水を蹴っていく。
「壁とか床なら大きなハケがあれば塗りやすいよね?」
「それなら私はこれを使いましょうか」
 アイナは仲間たちと協力し、海藻で大きな刷毛を作り上げていく。
 一方アキカの方は夜明紫電を巨大化させ、大きな絵筆を準備していた。
 道具の用意も終わればあとはひたすら色を塗るだけ。愉快な仲間たちもそれぞれの道具と墨を用意して色を塗ろうとしているようだ。

「ボクはお城の中を塗ろうかな!」
 アイナは白の塗料を中心に壁や床に色をつけていく。
 合間合間に青やオレンジで模様をつけたり、岩の区切りに合わせて色を変えてみたり。
「絵とかも描いたら楽しいかも! 可愛くなりそうだしね!」
 好んで使う星のモチーフもたくさんたくさん彩って。
 目立つ場所には黄色で大きな星を描き、その周囲には様々な色で小さな星を。
 逆に青く塗った壁には白で星を描いてみるのも可愛いだろう。水中の深い青や緑と合わさって、どこかキラキラしている印象だ。
「それなら……私は屋根を塗っていきますね」
 アキカの方は紫色を中心に城の屋根を彩っていく。
 上品な色合いで目立つ所を彩っていけば、城全体がシックな印象で深まっていくだろう。
 けれど親しみやすさも忘れない。カラフルな墨も使って愛らしい模様を刻んでいけば、どこか愛嬌も感じる城が出来上がっていく。
「皆さんも一緒にどうですか? 好きな色で、好きなものを描けばいいんですよ」
 周囲にいた愉快な仲間たちと共にアキカは更に城の屋根を塗っていく。
 魚たちは絵筆を加えてシンプルな模様を印していき、タコたちはにゅるりとした脚で器用に何かを描いている様子。
 猟兵達もその様子を見守りつつ、更に城を彩っていった。

 作業はどんどん進んでいくが、同時にアイデアもどんどん湧き上がってくる。
「そうですね……せっかくですから皆さんの似顔絵なんかも描いてみましょうか」
「面白そう! 可愛く描いてあげたいよね☆」
 猟兵達は顔を見合わせ、更に仲間たちを観察しつつ絵を描いていく。
 小さな魚の群れ、特徴的なタコやイカ達、大きなイルカやエイ。
 様々な生き物の絵が城を彩れば、ここが楽しい場所であるのを教えてくれているようだ。
「いい感じ! たくさん頑張ったら今よりもっと素敵な賑やかな国になりそうだよね☆」
「はい、この国の繁栄を願うように……もっと色をつけてみましょう!」
 アイナとアキカも楽しみながら作業を進める。
 この作業は満足行くまで続くだろうが、そこに疲れはないだろう。
 だって出来上がるのは唯一無二の素敵なお城。出来上がる時が来るのが楽しみで、どんどん作業に没頭できる。
 この作業に携わる誰もが笑顔を浮かべ、その思い出を胸に刻んでいくだろう。
 カラフルで賑やかなお城は――この国の明るい未来を示しているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天王寺・七海
そうなのね。
色的に、白黒メインにしようかしらね。
この床とかね。
なんていうか、本来、海はカラフルなんだけどね。
色々と見ると、単色な床とかに、色とりどりの魚達は、イメージにあってると思うの。
外側には、イソギンチャク付けちゃって、防御能力を強化できそうな気もするの。
あと、タワーには、望遠鏡も必要かしらね。
いい感じに仕上がればいいと思うの。

アドリブ絡み歓迎




 完成した巨大なタワーの周辺で、様々な仲間たちが自由気ままに遊んでいる。
 その光景を見上げながら、天王寺・七海はこれからの事を考えていた。
「そうなのね。色を塗るなら何色がいいかしらね」
 タワーを構成するのは深緑色の岩達だ。海の色と合わせて映えるが、せっかくだから色もつけたい。
「色的に、白黒メインにしようかしらね。この床とかね」
 せっかくだからタワーの周囲にも楽しく色をつけていこう。
 そう考えた七海は魚達と共にたくさんの墨を運んでいく。

「それじゃあ塗り始めていこうかしらね」
 準備が整えば、海藻の絵筆を口に咥えて水を蹴る。
 七海の身体は一瞬でタワーの頂上にまで辿り着き、その瞳には美しい海の光景が目に入る。
 下を見下ろせばカラフルな魚達も作業を進めているようだ。
「なんていうか、本来、海はカラフルなんだけどね。だからこそ白黒が映えると思うの」
 七海にとって『海の国』の主役は色とりどりの愉快な仲間たちだ。
 彼らが楽しく暮らし、その姿が美しく見えるような――そんな国を作り上げたい。
 そのために目立つタワーを彼らに合わせた装飾にするのは理にかなっているだろう。
 床も含めて上品な白と黒に染め上げつつ、七海はタワーを勢いよく彩り始めた。

 ある程度色が塗り終わったのなら、今度は別の仲間たちの力を借りる時だ。
 七海はイソギンチャクの仲間を集め、彼らの住処をタワーの周囲に確保していく。
「防御能力も必要だと思うのね。アンタ達の力を貸して欲しいのよね」
 仲間たちは七海の声に素直に従い、次々にタワーの周囲に住み着いていく。
 彼らの身体は白黒のタワーによく映えた。自然が作り上げる独特の色合いは海の世界ならではだろう。
「他には……望遠鏡なんかも必要かしらね。遠くを見渡せるのは便利だと思うの」
 今度はタコの仲間に協力を要請し、必要な素材を集めていく。
 海の素材を集めて加工し、誰もが使える望遠鏡を幾つか作り……合わせてタワーに窓も設置して。
 タワーの天辺にも望遠鏡があればいいだろう。敵襲に備えるだけでなく、周りの景色を楽しむ事も出来そうだ。

「いい感じに仕上がってきたの。これなら皆でこのタワーを活用出来るのね」
 七海の案により、タワーには機能的な役割も与えられた。
 普段は海の生き物の楽しい遊び場。有事の際は皆を守る立派な設備。
 どちらの面でも役立つタワーはこの国の要になりそうだ。
「これで一安心なのね」
 鮮やかに彩られたタワーを見上げ、七海は満足気に微笑んでいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ダンテ・ホーンテッド
アドリブ絡み共闘OK

【SPD】
水着を纏いメロンソーダタピオカを摂取し部屋に飾るマリンな流木リースを作る為に流木や貝殻を浜辺で集めて夏休みを満喫するが
他の猟兵から海底で国造りをすると聞いて絵描きの血が騒ぎ海の国へ

ダンテは意外と泳ぎは得意
この辺りの海中って息出来るのかと水中で浮く体をくるくる回してたら寄ってきたぬいぐるみのような丸っこい海の生き物を見てほっこり癒されつつ都市に到着

建物を観察し絵具を調合しながらどんな配色しようか考える
普段のような黒と極彩色のロックで派手な配色が好みだが海底なのでそれに合わせて黒に青&ミント、珊瑚色の極彩、濃い紺色と真珠やオーロラのような色で嗜好と海底に合う色を塗る




 黒を基調にしたロックテイストな水着を着込み、ダンテ・ホーンテッド(黒い幻雷と紫水晶・f23827)は『海の国』を訪れていた。
 最初は浜辺に落ちている流木や貝殻を集め、夏らしい流木リースを作ろうと計画していたのだが――。
「海底で国造りをしているなんて話を聞いたら黙っていられないな。絵描きとしての血が騒ぐぜ」
 持参したメロンソーダタピオカを飲みきったのなら準備は完了。
 軽く準備運動をした後、ダンテも海の中へと飛び込んでいく。

 ダンテはクリスタリアンながら泳ぎは得意だ。
 宇宙空間とは違った浮遊感を感じつつ、ひたすらに海の中を突き進む。
「呼吸も出来るのか……不思議な感じがするな」
 気まぐれに身体をくるりと回してみれば魚にでもなったような気分だ。
 結った髪もふわりと揺れて、そこに何かが当たった感触がある。
「ん……? ああ、あんた達がこの国の住民か」
「お兄さんはお客さんだね、こんにちは!」
 ダンテの側にいたのは可愛らしい海の生き物達だ。
 小さな魚から小柄なタコに、抱きかかえられそうなサイズのサメやイルカまで。
 彼らの姿は一様に丸っこく、どこかぬいぐるみを思わせる。
「一緒にぼくらの国まで行こうよ!」
「ああ、よろしく頼むぜ」
 愛らしい仲間達との遊泳も楽しみつつ、ダンテは『海の国』の中央部へと突き進んだ。

 『海の国』では既に色塗りが始まっていたようだ。
 ダンテも何色かの墨を拝借し、国の中を散策していく。
「ロックで派手にキメるのもいいけど、海ってシチュエーションも活かしたいよな……」
 インスピレーションが赴くままに墨を混ぜつつ、実際の配色を考えて。
 派手な柄の魚達が住む地域にはいつもどおり黒と極彩色のロックスタイルに塗るのがいいだろうか。
 青やミントカラーを使って爽やかに仕上げる場所があってもいいかもしれない。
 サンゴ礁もたくさん生息しているようだから、白地に塗った場所には彼らの模様も入れてみよう。
 いくつかサンプルも用意しつつ、ダンテは仲間達へと意見を求める。
「こういう風に色を塗ってみようと思うんだが、どうだ?」
「わぁ……すごい、綺麗だよ! ぜひ塗って欲しいな!」
 一番好評だったのは紺色の上に真珠やオーロラのような繊細な色を乗せていった模様だった。
 墨から複雑な色彩を作り上げられるのはダンテの手腕があってこそのもの。
 『海の国』は彼の手により更に鮮やかに染め上げられていく。

 仲間たちの反応も上々のようだ。
 喜びはしゃぐ彼らの姿を見て、思わずダンテも笑みを浮かべる。
「せっかくこれからも暮らす場所だからな。印象に残る都市に出来たのなら嬉しいぜ」
 ゴッドペインターとしての仕事を果たせた事を感じつつ、ダンテもまた国の景色を楽しんでいくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
【ファランビー】!
と言う事で、今度は装飾、と。
確かにこのままでも素敵な街並みですし、どう手を加えて良いか……。
あ……ほんとですね、綺麗です!
チェリカさん、私、こんな位置からお魚を見たのは初めてです……!
ロランさんはやはり本ですか、ふふ。
そうですね、ちょっと寄って見ましょう。
何か装飾のヒントもあるかも知れません。

なるほど、公園は憩いの場。
綺麗になれば喜ばれるでしょう。
私は絵や模様を描いた経験はあまりないので、せめてきっちり塗ります。
童謡がテーマと言う事で、ふさわしい色はロランさんにアドバイスしてもらって……この上からチェリカさんに何か描いて貰うのもいいかも。
音符くらいなら、私にも描けるかな?


ロラン・ヒュッテンブレナー
街の彩りも【ファランビー】なの

どこを装飾しようか?
街を歩きながら探してみる?
お魚の流星群かぁ…、いいモチーフなの!
あ、図書館…(ちらちらと二人をみる)
ここなら、愉快な仲間たちの童謡を調べられると思って【情報収集】

この公園、もっと、この街らしくできないかな?
えと、墨をもらえるんだっけ?道具は作るとして
デザイン、描いてみてもいい?
さっき調べた童謡をモチーフに描いてみるね
ここ、何色が良さそうかな?
みんなで相談して決めようね

ぼくも塗るの
イラストをあちこちに描いていくね
二人も、イラスト描いてみる?
描き方、教えるよ

きっと、たのしく過ごせる公園になると思うの
こっそり狼変身して手形を目立たない所に押しておくの


チェリカ・ロンド
【ファランビー】!
わぁ、このままでもとってもキレイ!
海の中って、やっぱりとても幻想的だわ。オシャレなお店ばかりだし、ふふ、目移りしちゃう!
見て見てハロ!町の上でお魚が泳いでるの。キラキラしてて、流れ星みたいだわ!
ロラン、図書館行きたいの?寄ってみる?……私だって少しは読めるわよ!図鑑とか絵本とか!

公園をもっと可愛くするのね。もちろんいいわよ!
筆とカラフルな墨があれば、何でも書けちゃうわ。ベンチはピンクにしようかなー♪
ロランのデザインをもとに塗っていくわよ。童話がモチーフってのが素敵ね!
教えてもらったイラストを、ハロの色の上に描いてみるわ!

町で暮らす人たちの憩いの場所になったらいいな!




 建物が立ち並ぶ『海の国』を【ファランビー】の三人は散策していた。
 一行が進んでいるのは愉快な仲間たちの街。
 彼らが暮らす家だけでなくお店や公共施設といったものも立ち並んでおり、活気に溢れる景色は見回っているだけでも楽しい。
「わぁ、このままでもとってもキレイ! 海の中って、やっぱりとても幻想的だわ」
 チェリカ・ロンドはツインテールを揺らしつつ周囲をきょろきょろと見回っている。
 仲間たちのお店は人間用のものとは異なっているが、彼ら独自の文化が垣間見えて興味深い。
「確かにこのままでも素敵な街並みですし、どう手を加えて良いか……」
 ハロ・シエラも周囲を観察しているが、その表情はどこか真剣。
 この街並みに色をつけていきたいのだが、どこをどういう風に飾っていくか……というのはなかなか難しい。
「そうだね、どこを装飾しようか? もうちょっと街を歩きながら探してみる?」
 ロラン・ヒュッテンブレナーも建物達を見比べながら装飾について考え込んでいた。
 立派な国になり始めたからこそ出来る事もやりたい事もたくさんある。ヒントを探すべく、三人は更に街の中を進んでいく。

「あっ、見て見てハロ!」
「どうしました?」
 散策中、不意にチェリカがハロの肩を叩く。見ればチェリカの視線は頭上に向けられており、ハロもロランもつられて一緒に上を見る。
 そこでは魚の仲間たちが群れを作り、自由気ままに泳ぎ回っているようだ。彼らの鱗に陽の光が当たりきらきらと煌めく様は幻想的だった。
「キラキラしてて、流れ星みたいだわ!」
「あ……ほんとですね、綺麗です! 私、こんな位置からお魚を見たのは初めてです……!」
「綺麗よね、あれをモチーフに出来ないかしら?」
 幼少期から闇の世界で戦い続けてきたハロにとって、こんなに美しい海の光景を間近に見るというのは初めての体験だ。
 友達が喜ぶ顔を見てチェリカも顔を綻ばせている。
「お魚の流星群かぁ……、いいモチーフなの! 他にも探して……あれ?」
 ロランも微笑ましそうに二人の様子を見守っていたが、彼の視界にある物が目に入る。
 するとロランの興味はそちらにも向けられたようだ。
「図書館……」
「本当だわ。ロラン、図書館行きたいの?」
「ふふ、ロランさんはやはり本が気になるのですね」
 ちょうど通りがかりの位置に仲間たちの図書館が建っていたのだ。幼少期から本を読み、ずっと学びを得てきたロランからすればどうしても気になるところ。
「ここなら、愉快な仲間たちの童謡を調べられると思って。二人とも大丈夫かな? 退屈しない?」
「わ、私だって少しは読めるわよ、図鑑とか絵本とか! だから大丈夫!」
「そうですね。何か装飾のヒントもあるかもしれません。ちょっと寄って見ましょう」
 チェリカがちょっとわたわたした様子だが、合意も得たのなら三人で図書館へ。
 愉快な仲間たちの本は石に直接絵や文字を刻んだり、海藻を使って印したりしている様子。
 もちろんロランが望むような歴史や童謡の本も存在していた。
 ひとしきり情報を集めたのなら、いよいよ色塗りの作業を始める時だ。

 三人は更に街を散策し、自分達が作業するスポットを選んでいく。
 ちょうど目に入ったのは――少し大きな公園だ。仲間たちやアリスがくつろげるベンチがいくつかと楽しげな遊具が複数。
 海藻を使った芝生のような空間なんかも作られているようだ。
「チェリカちゃん、ハロちゃん。この公園、もっと、この街らしくできないかな?」
「なるほど、公園は憩いの場。綺麗になれば喜ばれるでしょう」
「公園をもっと可愛くするのね。もちろんいいわよ! さっそく道具を持ってこなくちゃね!」
 仲間たちからカラフルな墨を分けてもらい、近くにあった海藻や岩を駆使して絵筆を作る。
 こうして準備が整えば――次に考えるべきはデザインだ。
「デザイン、描いてみてもいい? さっき調べた童話を元に作ってみるの」
 デザイン作りの中心になったのはロランだ。
 調べた童話や街全体の風景とのバランス、更には三人の好みも合わせ次々に案を考えて。
「ぼくらの知ってる童話と似ている話も多かったの。お姫様が出てきたりとか……」
「それならこのベンチはピンクにしましょ! お姫様の椅子、みたいな感じで!」
「色塗りなら私がやりましょう。絵の経験はないですが……その分きっちり塗っていきますから」
 童話をモチーフにしているのもあって、使う色は淡めのものが多くなる。
 白やピンクだけでなく、海や岩の色とは異なる青に緑も。派手すぎず、かといって地味にもなりすぎないように気をつけつつ三人は更に作業を進めていく。

「イラストとかもあったらいいんじゃないかなって思うの。絵本には挿絵もあったから、それをモチーフにしてみたり……」
「あっ、絵本なら私も読んだわ。だからやってみようかしら?」
「それならちょうどここの墨が塗り終わったところです。チェリカさん、何か描いてもらっていいですか?」
 色やデザインを決めるのはロラン、きっちりと色を塗っていくのがハロの仕事なら、イラストを描き込んでいくのはチェリカの仕事だ。
「イラストの描き方もぼくが教えるの。難しくないから大丈夫だよ」
「ロランがついてくれるならばっちりね!」
「わ、私は初めてなのですが……音符くらいなら描けるかな……?」
 試行錯誤を進めつつ、三人の作業はまだまだ続く。
 人魚のお姫様に可愛いイルカ。ちょっと怖いサメやタコに、優しくて大きなクジラさん。
 彼らの周りには煌めく魚の流星群も舞い踊る。
 様々な生き物や物語をモチーフにした作品が公園の中を彩っていく。
 その中に一つだけ、陸の生き物の痕跡――小さな狼の手形もあったが、それは変身したロランがこっそり押したものだ。
 小さな紫色の手形は陸からのお客様のプレゼントとして残されていくだろう。
「ここは白色でどーんと塗って、いっぱいイラストを描けば可愛いと思うの!」
「良いアイデアですね。模様はカラフルにしてみましょうか」
「それならこういう模様があるの。三人で協力したら描けないかな……?」
 チェリカは女の子らしさと豪快さが合わさったアイデアを、ハロは丁寧な作業で細かい図形も担当し、更にそれをロランが取りまとめる。
 ファランビーの三人は戦いにおいてのみではなく、一緒に遊ぶ時だって手を取り合って何かを為すのだ。
 そしてその成果は間違いなく『海の国』に刻まれていく。

 三人が夢中で作業を進めれば、公園の中はカラフルな景色へと様変わりしていた。
 小さな子供が遊ぶような場所は賑やかに、大人が休憩するような場所はちょっとシックに。
 丁寧に選ばれた色やイラストはきっとこれからも国の人々に気に入ってもらえるだろう。
「いい感じね。街で暮らす人たちの憩いの場所になったらいいな!」
「きっと、たのしく過ごせる公園になると思うの」
「大人も子供も楽しめる……そんな場所になったと思います。私達もまたいつか遊びに来たいですね」
 出来上がった成果を確認し、三人は手を取り合って喜び合う。
 次にこの公園に遊びに来た時には――きっとこの街の人達と楽しい時が過ごせるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アリア・モーント
ラフィお兄様(f19461)と!
アドリブ等歓迎

ふふ、どこを見ても可愛くて素敵なのだわ!

あら、お兄様も家族なのよ?
だから、真っ白な墨に艶々の螺鈿に使う貝殻を粉末にして混ぜるのよ
ほら、とろりとしてきらきらで
光を返せば銀色みたいでしょう?
それにいつも、お兄様の瞳に映ると銀にわたしたちの色が散って…これみたいに色んな色が溶けて見えるのよ!

窓枠や扉はパパの赤
天井はお兄様の銀
テーブルセットはママの青
フロアタイルはファンお兄様の灰と黒で花柄に
壁に虹なんて素敵!

…あ!
わたしったらうっかりさんなのよ…
ここは海の不思議の国
新しいアリスが楽しめるように
虹の橋を渡る人魚さんも描かないといけないのだわ!


ラフィ・シザー
アリア(f19358)と

うん♪ピンクの貝殻やシーグラスも綺麗に飾ることができたな。

今度はこの国に色を増やす作業だ!
アリアはどんな色を増やしたい?
俺はアリアの髪の色みたいな赤や瞳の色みたいな青も好きだな♪
義父さんの瞳も青だし義母さんの瞳も赤だし。
俺は髪も瞳も地味な色だから綺麗な色は少し憧れる。
色が沢山あるのってなんだかわくわくするからいっぱい増やそう!
ふふ、いっそ壁に虹をかけてみるのもいいかもしれないなぁ。




 アリア・モーントとラフィ・シザーの二人は出来上がったお茶処へと足を運んでいた。
 可愛いピンクの貝殻やパステルカラーのシーグラス達は楽しくお茶会を彩ってくれている。
 海に存在しているもので薔薇を作る、という発想もアリスラビリンスに縁がある二人ならではのものだろう。
「ふふ、どこを見ても可愛くて素敵なのだわ!」
「うん♪ ピンクの貝殻やシーグラスも綺麗に飾ることができたな」
 建築と飾り付けの結果は上々。それなら今度は色を塗る作業だ。
「さっそく色を増やしていかないとな。アリアはどんな色を増やしたい?」
「せっかくだから色も可愛らしくしたいのだわ。それから何かモチーフがあれば素敵だと思うのよ」
「それなら俺達の家族みたいな色を塗ろうか!」
 そう言いつつラフィはいくつかも墨を運んでくる。
 選んだのは鮮やかな赤に青、それから上品な黒や灰色だ。
「アリアの髪みたいな赤色に、瞳みたいな青色。義父さんの瞳も青だし義母さんの瞳も赤だし。こんな色が俺は好きだな♪」
「まあ、素敵! もうひとりのお兄様のような黒色や灰色も綺麗なのだわ」
 様々な色の墨を見つめつつ、アリアは青の瞳をきらきらと輝かせている。
 その様子を眺めつつ、ラフィは少しだけ苦笑いを零した。
「俺は髪も瞳も地味な色だから……綺麗な色には少し憧れるな」
「あら、お兄様も家族なのよ? だから少し待っていて!」
 アリアははっとしたように立ち上がると、愉快な仲間たちの元へと駆けていく。

 暫くして戻ってきたアリアの手には――真っ白な墨と煌めく粉末を入れた小瓶が収まっていた。
「おかえり、アリア。その墨は分かるけれど……そっちの粉は何だ?」
「ただいま、お兄様。これは貝殻の粉末よ。艶々の螺鈿に使うものなの」
 話を続けつつ、アリアは墨と粉末を混ぜ合わせる。
 すると――ただの白色だった墨はどんどん艷やかな色彩を帯びていき、どこかとろりとした様子へと変わっていく。
 出来上がった墨は独特の色彩を映し出し輝いていた。
「ほら、こうするときらきらになって、光を返せば銀色みたいでしょう?」
「本当だ。すごく綺麗だけど……これって?」
「お兄様の瞳みたいでしょう?」
 アリアの言葉にラフィもはっとしたような表情を返す。
 きらきらの墨は他の墨の色も映し、鮮やかに煌めいている。その様子は眩しくてどこか幻想的だ。
「お兄様の瞳にわたしたちの色が散ると、こんな風に色んな色が溶けて見えるの。この墨だって、わたしたちみたいに綺麗な色を映すのだわ!」
「そんな風に考えてくれたのか……ありがとう、アリア」
「どういたしまして。ふふ、これでわたしたちの色は完成なのよ」
 改めて家族の絆を感じつつ、二人は笑顔で絵筆を手に取る。
 新しく生まれた国に自分たちの痕跡を残していこう。そうすればきっと、次に来る時だって嬉しくなるはずだから。

「窓枠や扉はパパの色、タコさん達のテーブルセットはママの色で……」
 ぺたぺたと墨を塗る音がお茶処に響き渡る。
 せっかく新調した水着を汚さないように注意しつつ、アリアは絵筆を器用に操っていた。
「天井はこの銀色でいいんだよな?」
「ええ! 上を見上げれば綺麗な色が溶けて見えるはずなのだわ。照明も当たって綺麗なのよ」
 高い所を塗るのはラフィの仕事だ。彼は軽やかに水を蹴り、手際よく天井に色をつけている。
「フロアタイルは……お兄様達の黒と灰ね。シックなお花柄も可愛いと思うのだわ!」
「カラフルだけど纏まってる感じがするぜ。色や柄が沢山あるのってなんだかわくわくするな!」
 床の色使いは敢えてシンプルに、けれど上品な柄を入れていけば見た目も華やかだ。

 しかし――次々と色塗りは進んでいくが、壁の色だけはまだ決まっていなかった。
「……いっそ壁に虹をかけてみるのもいいかもしれないなぁ。海の世界だと、空にかかる虹は見られないだろうから」
「まあ、壁に虹なんて素敵! きっととても綺麗になるはずよ」
 二人は更に墨を運び、壁を鮮やかに彩っていく。
 海の中に居ながら虹を見ることが出来るならば、愉快な仲間たちだけでなくお客様も楽しめるはずだ。
 その考えに至ったところで、アリアが小さく声をあげた。
「……あ、そうだわ。わたしったらうっかりさんなのよ……」
「どうした、アリア?」
「ここは海の不思議の国。それならアリスのお客様もやってくるわよね?」
 そう言いつつアリアは壁に何かのイラストを描き込んでいく。
 ラフィがその様子を覗き込めば――描かれているのは可愛らしい人魚の絵だった。
「これは虹の橋を渡る人魚さんよ。アリスさんみたいで素敵だと思うのだわ」
「良いアイデアだな! これで皆が楽しめる!」
 二人が生み出す自由な発想はきっと全てのお客様を楽しませていくだろう。
 それはきっと、いつかここを訪れる二人の家族だって。
 未来に思いを馳せながら、二人は更にお茶処を彩っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桜田・鳥獣戯画
乗りかかった舟、建てかけた海底王国!
引き続きアルフレッド(f03702)となんやかやするぞ!

出来上がったこの深緑色の岩壁を塗る!
アルフレッドは内側、私は外側だ!!

外側はやはりこう、赤やピンクの珊瑚のような色合いにしてだな!!(塗る)
…何? いやいやいや、赤やピンクだろ!!(塗る)
……何? ではオレンジもだ!!(塗る)

対抗心剥き出しで塗りたくる
だが結果的にその塗りシバき合いが、この海に妙に馴染んで見えた…
ような気がする

迷彩っぽい?

うむ! 王国まるごと秘密基地のようだ!!(だいぶサイケだがこれ)
内側も海底の砂のように明るく皆を照らしている
気に入ってもらえると良いな!!

(アドリブ連携歓迎です!)


アルフレッド・モトロ
夢の海底王国!
姉御(f09037)と今度は塗装タイム!

最初は壁の内側を担当!
俺のインスピなんとか溢れる色彩センスを見よ!

と見せかけて白一色!
海ん中って光が届きにくいしな
白い壁で光をたくさん反射させて
国中を明るくしようって寸法よ!

真っ白だから早く終わっちゃうな
外側担当の姉御を手伝いに行…

おいおい姉御ォ
なんだその色ォ(笑)

海だから水色系が良くね?(塗る)
いやここは黄緑で海藻をだな!(塗る)
ちょ、なんだそのオレンジ!(塗る)

と俺も対抗心マシマシで塗りたくったが…

あれ
なぁ姉御
これ迷彩っぽくね?


なるほど秘密基地か!
懐かしい気分になってきた
ガキの頃を思い出すな~

良い国になりますように!

(アドリブ連携歓迎)




 乗りかかった舟、建てかけた夢の海底王国。
 更にその国を賑やかにすべく、桜田・鳥獣戯画とアルフレッド・モトロは外壁の色塗りを始めようとしていた。
「深緑色も悪くないが、どうせならもっと楽しい色にしたいな!」
「おう! それじゃあ俺は内側を塗ってくるから、姉御は外側を頼むぜ」
 二人で役割を分担し、それぞれが墨を用意して。楽しい塗装タイムのはじまりだ!

「やはり外側は海の中でも映える色がいいだろうな。それでいて海らしさもある……よし!」
 最初に鳥獣戯画が手にとったのは赤やピンクといった色だった。
 海藻を使って自作した旗のような刷毛を片手に、早速色を乗せていく。
「うむ、サンゴ礁のような色合いだ。これなら上手く馴染むだろう!」
 彼女が選んだ墨は派手すぎない色味のものだった。海の生き物に近い色を使えば、鮮やかだけれど際立ちすぎない雰囲気を作り出せる。
 最初の成果に満足しつつ、鳥獣戯画は楽しげに作業を進めていく。

「壁の内側はどうしようか……俺のインスピなんとか溢れる色彩センスで華麗に魅せるのもアリだな!」
 アルフレッドも墨と巨大な刷毛を持参し壁の周囲を泳ぎ回る。
 そしてスタート地点を決めたのならまずは一筆。その色は意外にも眩い白色だった。
「海ん中って光が届きにくいしな。国の中を明るくするならこれが一番だ」
 アルフレッドは住民達の暮らしを考え色を選択していた。
 微かな光源しかなくとも、真っ白な壁に光が当たれば上手く反射してくれるはず。
 同じ海の生き物だからこそ見える視点でアルフレッドは内壁を彩っていた。

 こうして暫く時間は進み。
 アルフレッドの方は色合いシンプルだったためか、鳥獣戯画よりも早く塗装作業を終えたようだ。
「どうせなら姉御を手伝いに行くか。おーい、姉……」
 水を蹴って外壁の方まで泳げば、目に入るのは鮮やかな赤とピンク。
 下を見れば鳥獣戯画はノリノリで塗装を続けていた。
「おいおい姉御ォ、なんだその色ォ!」
「おお、アルフレッドか! なんだその色、とはなんだ!」
「だって予想外の色だったからよ、いや、すげぇな……」
 鳥獣戯画の選択に思わず吹き出すアルフレッド。けれど笑ってばかりもいられない。今度こそ自分の色彩センスを魅せる時だろうか。
「海といえば水色系が良くね? ほらこんな風に」
「あ、コラ! 勝手に色を重ねるんじゃない!」
 鳥獣戯画が塗った部分にアルフレッドは更に色を重ねていく。彼が選んだのは海の色によく似た澄んだ水色だった。
「いやいやいや、赤やピンクだろ!! 綺麗じゃないか!」
「確かに綺麗だけど海っぽくはないだろ!」
「サンゴ礁の色だぞ、海の色だろうが!」
「海の色ならこっちの方がいいぜ。ほら、ここは黄緑で海藻をだな!」
「……何? 確かに言われてみればそれっぽいが……それならこれも重ねるぞ! オレンジの生物もいるだろう!」
「ちょ、なんだそのオレンジ! そっちにはこう、深めの緑を乗せてだな……」
 子供のように対抗心を剥き出しにしつつ、二人は色を塗っていく。
 あーでもない、こーでもない。いやいやこっちの方がいい。その色にはこれを重ねてやる。
 二人は夢中になりながら壁をひたすらに塗りたくった。
 最初はカチャカチャした印象に染まる壁だったが――暫くすれば、なんだかそれがしっくり来たような気がしてくる。

「……なんだ、その。予想外に馴染んだな、この壁」
「ああ、俺もビックリだ。ぐちゃぐちゃになるかと思ったけど綺麗になったな」
 ようやく落ち着いた所で二人も壁を見上げ、一息吐いて。
 モザイク状に重ねられた色は予想より遥かにカラフルで鮮やかだった。
「……あれ。なぁ姉御、これ迷彩っぽくね?」
「迷彩っぽい? ……なるほど!」
 アルフレッドの一言に鳥獣戯画がぱぁっと顔を綻ばせる。
 確かに出来上がった壁は迷彩模様で彩られているようだ。なんだかその光景はとてもワクワクして見える。
「うむ! 王国まるごと秘密基地のようだ!! サイケにはなったがな!」
「おお、なるほど秘密基地か! 懐かしい気分になってきたなぁ」
 アルフレッドも子供の頃を思い出し、少ししみじみしている様子。
 大人になってからもこんな風にはしゃいでいい。それが皆の思い出になっていくのだろう。

「そういえば内側はどうなったんだ?」
 鳥獣戯画も水を蹴り、壁の内側へとその身を映す。
 赤茶色の瞳に映ったのは眩く輝く白の壁と、その光に照らされる海底王国だ。
「……海底の砂のように明るく皆を照らしているな。良い選択だ」
「外側がカラフルになったから尚更良かったかもな~」
 アルフレッドもの隣に並び、出来上がった光景をのんびり眺める。
「この壁も気に入ってもらえると良いな!!」
「ああ、良い国になりますように!」
 先程までの喧騒はどこへやら。二人は無邪気な笑顔を浮かべて顔を見合わせる。
 その光景は――様々な生き物が暮らしつつも仲良く過ごす、そんな国の在り方のようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーヴェニア・サンテチエンヌ
飾り付け。素敵な響きなの。
だって…平穏じゃなきゃ、豪華でおしゃれな飾り付けはできないの。

色塗りを手伝うのはもちろんですけれど、…海藻を街路樹みたいに植えてみたり、皆様の役に立つ小物なんかも作れないかなって、思いますの。

そういえば、ダンスホールだとか、歌える場所がございましたわね。
…そうですわ!残った岩があれば、楽器も作ってみたいのですの。
踊るにも歌うにも、伴奏は必要でしょう?

岩の板を作って長さを変えて並べれば、木琴…岩琴?の出来上がり。
筒を作って、並べたり穴をいくつか開ければ笛。
海藻を縒って岩に張れば弦楽器。……はちょっと強引かしら…。
愉快なお仲間様たちにも演奏できるような楽器を作りますの!




 『海の国』の飾り付けはどんどん進んでいる。
 明るく賑わう街の中を、ルーヴェニア・サンテチエンヌは跳ねるように見て回っていた。
「こうやって飾り付けをして……素敵な事なの」
 こんな風に楽しげな文化を広める事が出来るのは、この国が平穏である事の何よりの証拠だろう。
 もっともっと豪華に綺麗に。皆の心をときめかせるような、素敵な街にしていきたい。
 そこでルーヴェニアは周囲の仲間たちへと声をかける事にした。

「……と、こんな風に海藻を並べてみてはいかがですの?」
「わぁ、面白そう!」
 ルーヴェニアが提案したのは海藻を使った街路樹作りだ。
 そうすれば街並みに緑が映えてきっと美しい。
 更に街路樹には別の狙いもあった。海藻は小さな生き物達のベンチにもなるし、待ち合わせスポットにもなる。
 それに――いざという時は、この中に隠れる事だって出来るだろう。
 もちろんそんな風に使う機会は少ない方がいい。けれど備えておく事の大切さを、過酷な世界で生まれ育ったルーヴェニアはよく知っている。
「街並みはこれで良いかしら。次は……」
 周囲をきょろきょろと見回して、次にルーヴェニアの瞳に映ったのはきらきら輝くダンスホールだ。
 既に他の猟兵がダンスを行っているようだが、音楽方面はまだまだ未開拓の様子。
「……そうですわ!」
 狼耳をぴんと立て、ルーヴェニアは残った岩を集めていく。
 小さな岩でも活用方法はきっとあるだろう。集めた素材を抱え、ルーヴェニアはホールの中へと入っていった。

「お姉ちゃん、何してるの?」
「楽器を作っているのですわ。ほら、どうかしら?」
 ルーヴェニアがホールの中で作っていたのは様々な楽器達だった。
 様々な長さに切った岩を並べ、海藻の紐で括り付ければ木琴ならぬ岩琴の出来上がり。
 板を軽く叩いてみれば小気味よい音が鳴り響く。
 長細い岩があれば内部をくり抜き、等間隔に穴を開けてちょっとした笛も作る事が出来る。海生哺乳類の仲間ならきっと素敵な音楽を奏でられるだろう。
 更には強固な海藻を使って弦を作り、弦楽器だって作り上げられた。
「ちょっと無理かもと思いましたが……やってみるものですわね」
 弦を弾けば不思議な音がぽろんと鳴った。海の中だと音の聞こえも独特だ。
 気がつけば愉快な仲間たちも集まって、楽器を試して遊んでいる様子。
「……こんな風に皆で伴奏を奏でれば、ダンスや歌もやりやすくなるはずですわ」
 これからどんな文化が、そして音楽が広がっていくだろう。
 期待を胸に、ルーヴェニアも楽器の試し弾きに加わっていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『人魚姫』

POW   :    【自滅型UC】ヘル・ダイバー
【自身の身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【身体を、接触した存在を泡に変換する身体】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    【自滅型UC】堕水の契約
自身の【身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】を代償に、【契約した、海の魔女】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【強大な魔術を駆使する事】で戦う。
WIZ   :    【自滅型UC】懐かしき骸の水底へ
【自身の身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】【を代償に、敵対者のUCに対して耐性を獲得】【、同時に全ステータスを大幅に向上させる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達のさらなる活躍により『海の国』はより賑やかに姿を変えた。

 街を囲う外壁は色鮮やかで、童心に返してくれるようなワクワク感を抱かせてくれる。
 けれど内壁は純白に煌めいて街の景色を引き立ててくれていた。

 愉快な仲間たちの暮らす街はクールに、そして美しく彩られている。
 黒を基調にした建物は格好良く、別の場所では爽やかなミントカラーが皆を迎える。
 波に揺れる街路樹は愛らしく、そして誰もが利用する事が出来るだろう。
 憩いの場である公園には童話をモチーフにした可愛らしい絵が描かれて、遊びにきた人達を癒やしてくれるはずだ。

 皆の暮らしの場であるお城もカラフルに色を塗られている。
 自分達の好きな色で好きなものを描いたのだ。その弾む気持ちを伝えてくれるよう、城は立派に聳え立っている。
 横に備え付けられたタワーも楽しい。イソギンチャク達がのんびりと定着し、望遠鏡から遠くを見るのも素敵だろう。

 お茶処も愛らしく彩られた。
 シックで上品な色で飾られたお茶処には愛らしい人魚も待っている。どんなお客様も笑顔で足を踏み入れるはずだ。

 銀河のように煌めくダンスホールは、この国の文化の中心になるに違いない。
 伴奏用の楽器もたくさん作られ、誰もが毎日楽しい音楽を奏でるだろう。

 こうして『海の国』の暮らしは整うが――最後にやらなければならない事がある。


 暗い暗い海の向こうから、一人の人魚が姿を現す。
 彼女の視線は『海の国』へと向けられていた。
「賑やかで楽しそう……私は泡になって消えるしかないのに。せめて、みんな一緒に溶かしてやりましょう」
 妬むような、恨むような言葉と共に人魚のオウガは水を蹴る。
 このまま彼女を放っておけば、完成したばかりの『海の国』は蹂躙されてしまうだろう。

 それを阻止するためにも、猟兵達は戦わなければならない。


 3章のプレイングは【8月3日(月)8:31~】受付開始予定です。
 よろしくお願いします。
黒影・兵庫
【蜂皇族】
(クロリアの表情がこわばるのを見て)
どうしたの?クロリア
(「予知で言ってた敵が来たみたいね」と頭の中の教導虫が話しかける)
もう来たのか!
せっかくできた海の国をオウガに潰させやしません!
クロリア!敵の動きを遅くして!
そしたら俺が敵を捕まえる!
(『第六感』で敵の動きを予測し『衝撃波』と共に{錨虫}を射出して『念動力』で敵に絡ませ捕縛する)
今だ!伐採兵さん!お願いします!
(UC【蟷螂の鋸】を発動すると黒影の影から両腕が回転鋸の蟷螂が召喚され、敵に向かって回転鋸を一斉射する)
おとなしく帰るか
それが嫌なら骸の海へ還りな!


播州・クロリア
【蜂皇族】
!あにさん、敵が来たようです...
沼のように粘つく黒さで幸福を全てのみこもうとする渦のようなリズム
ダラキュです
ここで食い止めないと海の国が崩壊してしまいます
(黒影の指示を聞いて頷く)
わかりました。おまかせください
(直立し目を閉じて祈るようなポーズをした後{渦流の旋律}で『ダンス』を始める)
海中ならこのリズムが適切でしょう
(UC【蠱の宴】を発動し敵の動きを遅くする)
後はあにさんと伐採兵さんの攻撃に合わせて私も攻撃を加えましょう
(ダンスによって生み出した渦に『衝撃波』を加えて敵に向かって放つ)
ここは貴女のようなオウガが来る場所ではありません
どうぞ一人で骸の海へ堕ちてください




 煌めくダンスホールで【蜂皇族】の二人は楽しい時を過ごしていた。
 その最中、ふと播州・クロリアの顔が強張る。その様子に気付いた黒影・兵庫は覗き込むようにクロリアの表情を確認し、小首を傾げた。
「どうしたの、クロリア?」
『予知で言ってた敵が来たみたいね』
 答えを返したのは兵庫の頭の中に宿る教導虫だ。
「はい、あにさん、オフクロさん。敵が来たようです……」
 クロリアも肯定の言葉と頷きを返すが、彼女の表情はどんどん険しいものへと変わっていく。
 クロリアは認識したものを色とリズムに置き換え理解する能力を持っている。恐らくそれがやってきた敵を悍ましく捉えているのだろう。
「沼のように粘つく黒さで、幸福を全てのみこもうとする渦のようなリズム……ダラキュです。ここで食い止めないと海の国が崩壊してしまいます」
「そんな、もう来たのか! せっかくみんなで作り上げた『海の国』をオウガに潰させやしません! 行きましょう!」
 猟兵達は顔を見合わせホールを飛び出す。目指すは国の入り口だ。

 人魚のオウガはすぐに発見する事が出来た。
 彼女は虚ろな目線を猟兵達へ向け、にやりと厭な笑みを浮かべている。
「あら、可愛らしいお客さん。あなた達も纏めて泡にしてあげるわ」
 宣言と同時にずるり、とオウガの後方から大きな影が浮かび上がった。
 影は禍々しい呪詛を生み出し、それをオウガへと纏わせていく。あれは恐らく契約した海の魔女だろう。
 オウガを中心に大きな渦が荒れ狂い、猟兵達を飲み込もうと迫りくる。ただでさえ危険な魔術のようだが、このままでは『海の国』まで巻き込んでしまうだろう。
「クロリア、敵の動きを遅くして! そしたら俺が捕まえる!」
「わかりました。おまかせください」
 兵庫が『錨虫』を取り出している間に、クロリアが一歩渦へと近づいていく。
 そのまま瞳を閉じて祈るような姿勢を取ると、静かに呼吸を整えて。
「海中ならこのリズムが適切でしょう。猛る魔術の波よりも、本物の潮の流れが相応しい」
 『渦流の旋律』を纏いつつ、クロリアはのびのびと踊りを演じ始めた。
 手足を動かす度に海水の流れが肌を撫で、普段とは違った浮力が軽やかに身体を突き動かす。
 最初は恥ずかしかった水着だって、直接海のリズムを感じるならば最適な衣装だろう。
「さあ、あなたもダンスを楽しんで。リアですよ」
 クロリアのダンスが波を通して周囲に広がると、同時に魔力の渦はゆっくりと力を失っていく。

 オウガもクロリアのダンスに飲まれ、次第に動きを鈍らせていく。
「ダンスなんか楽しめる訳ないじゃない……!」
「それじゃあこっちはどうだ!」
 忌々しげな声を発したオウガの元へ、兵庫が勢いよく突っ込んだ。
 文字通り虫の知らせとも言える勘を働かせ、相手をしっかり観察すれば動きを追うのは難しくない。
 相手が逃げられないタイミングを見計らい、兵庫は衝撃波と共に錨虫を撃ち出していく。
 更に潮の流れも計算し、合わせて念動力で調整すれば――まるで魚でも捕らえるかのように、錨虫はオウガの身体を拘束しきった。
 作戦はこれで終わりではない。
 兵庫の影がざわざわと蠢き、そこから幾つもの目が海の底で輝き出す。伏兵はまだまだ潜んでいるのだ。
「今だ! 伐採兵さん! お願いします!」
 叫びとともに影から飛び出してきたのは大きな腕を持った蟷螂達だ。
 彼らの腕は丸鋸のようになっており、凄まじい勢いで回転を続けている。
 蟷螂達は飛び上がった際の勢いを殺さないように姿勢を傾け、一斉に刃を射出していく。
 殺到した丸鋸は次々にオウガの身を削り取り、苦痛の叫びと鮮血が海の中へと広がった。

 その様子を見遣りつつ、クロリアも姿勢を低くし腕を構える。
「私もあにさん達に合わせましょう」
 クロリアは再び渦流の旋律を踊りだし、それに合わせて渦の刃が生み出された。
 そして伐採兵達が攻撃した箇所に合わせるように刃を重ね、更にオウガの身体へと深い傷を刻んでいく。
「そんな、魔女の魔力まで得たのに……私一人で泡になるなんて……」
 オウガは忌々しげに猟兵達を睨みつけ、傷つく身体を必死に抑える。
 彼女の瞳から伝わるのはドス黒い嫉妬の感情。どうして凶行に及んだのかは分からないが、彼女は誰かを道連れにして死にたいようだ。
「一人で死ぬのは辛いだろうけど……せっかく作った国を巻き込むな! おとなしく帰るんだ!」
「ここは貴女のようなオウガが来る場所ではありません。大人しくするならこれ以上手出しはしませんが……」
 兵庫とクロリアも厳しい表情を返しオウガを見つめる。
 本当に彼女がこのまま消え去るというのなら、自然の摂理に任せるのも一つの手だろうが――。
「……うるさい!」
 オウガは諦めず、再び魔力の渦を生み出していく。交渉は決裂だ。
「それなら骸の海へ還りな!」
「どうぞ一人で骸の海へ堕ちてください」
 兵庫とクロリアが同時に衝撃波を放てば、魔力の渦はあっさりと消え去った。
 更にその刃はオウガの身を斬り裂いて、彼女の力を更に削いでいく。

 自分達で築き上げた国を、そして楽しい場所を守る。
 猟兵達が抱いた決意は着実にオウガの脅威を遠ざけていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ラフィ・シザー
アリア(f19358)と
せっかくみんなで作った国を壊される訳にはいかないからね。

泡と消えるとしてもお茶くらいは楽しんでいけるだろう?あの国には素敵なカフェラウンジだってあるんだ。
UC【紅茶の時間】
さぁ、アリア、紅茶の時間だぜ。
アリアはもちろん楽しんでくれるよな?

紅茶を楽しめないお客様にはお帰り願おうかな?
お茶席はしっかり【オーラ防御】
pureを【投擲】して侵入禁止ってな!

お茶くらいは飲めればってのは本当の気持ちではあったんだけどな…残念だぜ?


アリア・モーント
ラフィお兄様(f19461)と
アドリブ等歓迎

とっても可愛くて綺麗な海の国になったのだわ?
だから…しっかり守りましょうね、お兄様!

まぁ…!
楽しまないわけないのだわ?ないのだわ!
だってお兄様の紅茶の時間はいつだってわたしを楽しませてくださるもの

お兄様の淹れる紅茶は香りがすごくいいのだわ
一口目からふわふわと…お菓子の甘さも香りも邪魔しないのに、紅茶もしっかり楽しめちゃう
そんな素敵な時間を、貴女も…そっちの魔女さんも楽しめばいいのに…

紅茶の時間を楽しみながらご機嫌に【歌唱】してしまうのは歌姫の性なのだわ?
【風謳】を口遊むのよ

…せっかくのお兄様のお茶会
一緒に楽しめたらよかったのだけど
残念なのだわ…




 オウガ来訪の報せを受けて、ラフィ・シザーとアリア・モーントは『海の国』を駆け抜ける。
 その最中、目に入るのは築き上げた美しく楽しい景色。これを壊させる訳にはいかない。
「とっても可愛くて綺麗な海の国になったのだわ? だから……しっかり守りましょうね、お兄様!」
「ああ! せっかくみんなで作った国を壊される訳にはいかないからね。アリア、一緒に頑張ろう!」
 猟兵達は顔を見合わせ水を蹴る。
 国の入り口には――昏い笑みを浮かべたオウガが待ち構えていた。

「あなた達はアリスに時計ウサギね。随分楽しそうじゃない……泡にしてあげる」
 オウガはラフィとアリアの存在を認識すると、すぐに魔力を高めだした。
 彼女の背後に呼び出されたのは海の魔女の幻影だ。あの魔女に強力な魔術を行使されれば被害は免れないだろう。
 けれど猟兵達は焦らない。ラフィが優雅に【鋏印】のティーセットを取り出したのなら、海の中に穏やかな流れが生まれ始めた。
「可哀想な人魚さん、泡と消えるとしてもお茶くらいは楽しんでいけるだろう? この国には素敵なカフェラウンジだってあるんだ。体験させてやるぜ」
 ここが海の中で、水着姿だったとしても時計ウサギの性質自体は変わらない。
 お茶を愛し、どこでも素敵なお茶会を開催出来る。それを示すように、ティーセットの中からはあっという間に芳しい香りが発せられた。
「さぁ、アリア、紅茶の時間だぜ。アリアはもちろん楽しんでくれるよな?」
「まぁ……! 楽しまないわけないのだわ? ないのだわ!」
 ラフィから言葉を受けて、アリアの笑顔がぱっと花咲く。
 海の中でも大好きなお兄様の紅茶を楽しめるなんて。それはとっても素敵な事だから。
「お兄様の紅茶の時間はいつだってわたしを楽しませてくださるもの。ふふ、海の景色の中で紅茶を頂く……ロマンチックなのだわ!」
 近くの岩場に腰をかけ、周囲にオーラで防壁を生み出して。この中に居ればお茶菓子だってさくさくふわふわのままだ。
 準備が進むのと比例して時の流れは変わりゆく。ラフィの時計ウサギとしての性質がお茶会のお客様以外を弾き出しているのだ。
「さあ、アリア。紅茶が入ったぜ。少し身体が冷えているかもしれないし、ゆっくり味わってくれよ」
「ありがとう。お兄様の紅茶、香りがすごく良いのだわ」
 うっとりとした表情でアリアは紅茶に口をつけた。暖かな感触が身体を内側から包み込み、ふわふわとした夢心地へと変わっていく。
 今度はお茶菓子のクッキーを一枚口元へ。紅茶との味のバランスは絶妙で、どちらの良さも引き立つようだ。

「お菓子の甘さも香りも邪魔しないのに、紅茶もしっかり楽しめちゃう。本当に嬉しいわ」
「アリアが喜んでくれて嬉しいよ。それで……そっちのお客様もどうかな?」
 ごくごく普通の客人に接するように、ラフィはオウガへ笑顔を向ける。
 しかしオウガが返すのは怒りの声だけだ。
「うるさい……お茶会なんて楽しめる訳ないでしょう!」
 遅くなった時の中でオウガはどうにか抵抗しようとしているようだ。魔女と共に魔力を高め、少しずつだが強力な渦潮を生み出そうとしていた。
 けれど、その邪悪な渦は別の流れによってあっさりと掻き消されていく。
 その中心にいたのは――アリアだ。
 彼女は歌姫。楽しい事、幸せな事があればついつい歌うのが歌姫の性だろう。
 アリアが紡ぐ『風謳』の旋律は猟兵達を包み込み、悪しき流れだけを鋭く切り裂いていく。
「お茶会に歌に……そんなに楽しそうにするなんて、許せない……!」
 オウガもどうにか抵抗しようとしているようだが、彼女の願いは敵わないだろう。
 だってあのオウガはお茶会を楽しまないお客様。そんな相手は立ち入り禁止だ。
「残念だったな。俺達のお茶会にマナー違反のお客様は迎え入れられない。それならお帰り頂くしかないぜ」
 お茶会を守るのも時計ウサギの嗜みだろう。アリアが生み出す流れに合わせ、ラフィは細身の鋏を投擲していく。
 水流によって弾き飛ばされた刃はオウガの身体を更に切り裂き、魔女もろとも消し去った。

 オウガは更に強い怒号をあげつつ猟兵達を睨みつける。
 そんな彼女の様子にラフィとアリアが抱いたのは――憐憫の感情だった。
「お茶くらいは飲めればってのは本当の気持ちではあったんだけどな……残念だぜ?」
「そうね、せっかくのお兄様のお茶会……一緒に楽しめたらよかったのだけど。残念なのだわ……」
 あのオウガとも別の出会いをすれば一緒にお茶を飲めたかもしれない。
 彼女が恨みを抱いたまま泡になるのは可哀想だけれど、築き上げた国を滅茶苦茶にされる訳にもいかないのだ。
「もっと良い子に生まれ変わったら、改めて招待するぜ。その時まではさよならだ」
「次は一緒に素敵な歌を歌いましょう。あなたも楽しめるように」
 別れの挨拶代わりに、二人は再び鋏の斬撃と風の刃を投げつける。
 絶妙なコンビネーションで放たれる二人の攻撃は、悪しきオウガを更に『海の国』から遠ざけていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アイナ・ラティエル
〈おまかせ〉
ボク達がせっかく作ったこの国や一緒に頑張ったみんなを危険な目にあわすわけにはいかないよ。

〈ランスチャージ〉してからの〈先制攻撃〉から攻撃だよ。

あとはアリスランスを想像力で姿変えたりして戦ってくよ。
ボク想像するの得意だからね!

相手の攻撃は〈見切り〉で回避って…わっ?!
この人魚姫様‥泡に変えるって凄い危ない技使ってくるんだね?!!

※真の姿
〈アドリブ・連携大歓迎〉




 アリスランスを携えながらアイナ・ラティエルは国の入り口を目指していた。
 愉快な仲間たちもオウガの来訪に合わせ、家や海藻の中に隠れ始めているようだ。
「……せっかく作ったこの国も、一緒に頑張った皆も。危険な目に遭わせる訳にはいかないよね」
 それを守り抜くのが自分のやるべき仕事だろう。
 決意を胸に、アリスの少女は海の中を突き進む。

 『海の国』の入り口では既にオウガと猟兵の戦いが始まっていた。
 オウガはまだこちらに気付いていない。それなら攻め込むチャンスだろう。
 想像力を全力で働かせ、アイナは理想の自分を思い描く。
 煌めく星の如く瞬いて、皆を助ける自分になりたい。ボクならきっと出来るはず。
 アイナの意志に応えるように、彼女の身体が眩い光に包まれ始めた。
 身体を包むのは白と群青の勇ましい衣装に。周囲に星のオーラを煌めかせ、真の姿を解放したアイナは更に勢いよく加速していく。
「キミの好きにはさせないよ!」
 構えた白銀の槍はオウガへと狙いを定め、流星のように海の中で輝いた。
 オウガが逃げるより早く、槍の穂先が彼女の胴へと突き刺さる!

 このまま追撃を加えようか。アイナは槍を引き抜きつつ考えるが、どうにもオウガの様子がおかしい。
 彼女の手元に不気味な渦が見えるのだ。あれに触れるのは危険だと本能が教えてくれている。
「なに、するのよ……!」
 咄嗟にアイナが身を引いた瞬間、オウガが大きく手を振るった。
 その手が捉えたのは近くの岩場だったが――その岩達は一瞬に泡として溶け、海の中へと消えていく。
「わっ、何その技!」
 思わず目を見開くアイナ。どうやらオウガの手には危険な力が宿っているようだ。
「この人魚姫様……凄い危ない技使ってくるんだね?!!」
 思わず怖気づきそうになるけれど、それじゃ駄目だ。
 どきどきする鼓動をなんとか抑え込み、アイナはしっかりオウガを見つめる。
「なおさら国の中には入れられないね。なんとかここで食い止めないと……!」
 美しい景色も仲間達も、泡に変えさせてなるものか。
 思いは想像力へと変わり、アイナの周囲に更に星のオーラが煌めく。
 輝く光はアイナの衣服にオーロラのような光彩を施し、漲る力を与えてくれていた。
「だから……悪い人魚姫様は骸の海に還るんだよ!」
 思いのままにアイナは水を強く蹴る。そして全力で槍を突き出し、再び狙うはオウガの身体だ。
 オウガも負けじと腕を振るうが、スピードはアイナの方が上。渦がアイナに触れるより早く、白銀の穂先がオウガの胴を深く深く貫いていく。
「そんな、どうして……」
「さっきも言ったけど、キミの好きにはさせないよ。アリスのボクがおとぎの国を守るからね!」
 恨みがましく見つめてくるオウガに対し、アイナは眩い笑顔を返す。
 彼女の勇ましい様子こそが、暗い海の底を照らす星のようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロラン・ヒュッテンブレナー
一人でも、ファランビーなの

みんなで協力してできた都市、壊させないの

メガリス(水着)の力で、泳ぎは問題ないの【深海適正】【水中機動】
他の猟兵のみんなも戦ってるんだよね?
まずは、流れ弾から守らなきゃ
ヒュッテンブレナー式結界魔術、見せてあげるの【オーラ防御】【結界術】

う、あの魔女、つよいの…【情報収集】【学習力】
人魚姫の、絶望の力なの?
今のぼくじゃ、守れないなら…
ぼくの【勇気】を糧に、力を貸して、音狼!UC発動

海底を【ダッシュ】【残像】で高速移動して、近い距離から【全力魔法】の、音撃を繰り返すの
何度も、何度も、繰り返すの

キミも、寂しかったの?
一緒に逝ってあげられないけど、あるべき場所に、送って上げる


ハロ・シエラ
泡になってしまうのには同情します。
だからと言ってこの街や住人を……そして私と友人達の思い出を道連れにはさせません。

さて、後で消えてしまうとは言え厄介な敵ですね。
私がユーベルコードで起こす風も大して効きはしないでしょう。
ですが私の戦闘力は高められるはず。
風に乗り、【ダッシュ】と【早業】を駆使して敵に【切り込み】ます。
ステータスの上がった敵は強いでしょうが【第六感】にも頼って攻撃を避けつつダメージを与えて行きましょう。
やり取りの内に敵の動きを【見切り】、タイミングを掴めば、レイピアによる刺突と共に炎の【属性攻撃】で【焼却】を狙います。
泡になる前に一部でも灰にして、街の被害縮小を狙いましょう。


チェリカ・ロンド
【ファランビー】!
一人になんかさせないわよ!ロラン!ハロ!
あいつが敵ね。せっかくみんなで作り上げた国なのに、アンタ一人に壊されてたまるもんですか!

結界に守られながら【力溜め】。ロランが苦しそう……敵は強いのね。でも、必ずチャンスはあるわ!
ロランとハロが仕掛けたら、【全力魔法】の【連続チェリカ砲】をぶちこむわ!敵の気を引きつつ体力を削るわよ!
耐性を持たれても、どんなに強くなっても、二人が敵に近づけたなら、絶対うまくいくんだから!
ハロの剣とロランの魔術が届くまで、いくらでもおかわりさせてあげるわ!

……いつか生まれ変わったら、その時は友達になってあげる。だから今は――おやすみなさいっ!




 オウガの出現に合わせ、【ファランビー】の三人組も『海の国』入り口へと駆けつけていた。
 人魚の鬼も猟兵達をぎろりと睨み、攻撃の姿勢を取っている。
「みんなで協力してできた都市、壊させないの」
「ええ! せっかくみんなで作り上げた国なのに、アンタ一人に壊されてたまるもんですか!」
 ロラン・ヒュッテンブレナーとチェリカ・ロンドは力強く啖呵を切り、オウガの顔を睨み返す。
 一方ハロ・シエラの表情には二人と違った険しさが潜んでいた。
「泡になってしまうのには同情します。だからと言ってこの街や住人を……そして私と友人達の思い出を道連れにはさせません」
 何もせずともこのオウガは死んでしまう。だからといってそれまでの間に野放しにする訳にもいかないだろう。
 皆で作り上げた国を守るべく、猟兵達も戦いの準備を進めていく。

「ハロちゃん、チェリカちゃん、まずは結界を張るよ」
 最初に動いたのはロランだ。着込んだメガリスの力も使い、身体を海に馴染ませつつ展開するのはヒュッテンブレナー式結界魔術。
 淡く輝くオーラが三人を包み込み、オウガの攻撃や他の猟兵からの流れ弾からも守ってくれる。
「ロランさん、ありがとうございます。おかげで存分に切り込めますね」
「私も堂々と構えられるわ。二人の道、必ず切り拓くから!」
 結界に守られつつ、少女達も動き出す。
 ハロは嵐の如き暴風を身に纏いながら水を蹴り、チェリカは自らの聖なる光を全力でかき集めて。
 それぞれがやるべき事を判断し、敵への対応にあたる三人組。
 けれどオウガの方も黙って待ってくれる訳ではない。

「そうやって仲良くして、楽しく国を作り上げて……そういうの、全部滅茶苦茶にしてやりたいの」
 どろりとした恨みの感情を剥き出しにしつつ、オウガは魔女の幻影を呼び出していく。
 同時に発生するのは凄まじい勢いの渦潮だ。恐らくあれは魔女が生み出す魔力の塊、あれを乗り越えなければオウガにも攻撃は出来ないだろう。
「う、あの魔女の魔法、つよいの……」
 同じ魔術師であるロランは本能的に理解する。海の魔女の攻撃は生半可なものではなく、突破するにはかなりの覚悟が必要になるだろう。
 あれほどの魔力を生み出すのは人魚姫の絶望故か。あの渦潮が仲間を、そして作り上げた国を狙うというなら守りきれる自信はない。
「今のぼくじゃ、守れないなら……」
 それならこちらも覚悟を示そう。勇気を糧にロランもユーベルコードの力を高めていく。
「月下の音狼、暗き夜の森より、鬨を上げ。従う者に、命ず。汝、猟者なり――力を貸して、音狼!」
 一瞬だけ、海の上から月の光が降り注いだ。その輝きはロランを照らし、彼の身に宿る狼の力を高めていく。
 この術は強力だ。しかし身体への負担も大きく、長期戦を行うのは不利だろう。
「早く近づいてやっつけないと……」
 改めて覚悟を胸に、ロランも海の水を力強く蹴り出した。
「ロランさん、大丈夫ですか?」
「なんとか大丈夫なの。二人で挟み込みに行こう」
 先行していたハロの元へ追いつけば、彼女は少しだけ不安げな表情を浮かべて。
 友達が無理をしつつも突っ切ろうとしているのだ。そうしなければならない理由も、ロランにそれだけの覚悟があるのもよく分かる――けれど心配な気持ちは変わらない。
「……分かりました。速攻で切り込みましょう」
 こくりと頷き、ハロは更に纏う風を強めていく。
 風そのものはオウガまで届くか分からない。渦潮に打ち消されてしまうかもしれない。
 けれど接近するというのが最も大切だ。そうすれば、リトルフォックスの刃をオウガに向ける事が出来る。
 しかし――接近すればするほど、魔女の渦潮の威力が身体にも伝わってくるようだ。
 オウガ自体も自分の魔力を高めているようで、半端な攻撃では彼女の鱗に傷をつける事すら難しいだろう。
「どう攻め込めばいいものか……」
「近づけばどうにか出来るけど、近づくのも難しいの……」
 ハロもロランも実力者だからこそ敵の強さを感じ取れてしまう。怖気づきそうな二人だが――彼ら彼女らの後ろには、もう一人頼もしい仲間が存在している。

「大丈夫、一人になんかさせないわよ! ロラン! ハロ!」
 友人達が不安げな表情をしているのを察し、チェリカは大きな声をあげた。
 気がつくと彼女の身体にもかなりの量の光が蓄積され、海の中を眩く照らしている。その光はどこか勇気を後押ししてくれるようだ。
「(ロランは苦しそうだしハロも心配そうね。それだけ敵が強いのは……私も分かる)」
 二人に比べれば距離は離れているものの、チェリカもしっかり敵の様子を確認している。
 あれだけ強力な相手だ。攻めあぐねるのも不安になるのも仕方がない。だからこそ自分は後ろで構えると決めたのだ。
「必ずチャンスはあるわ! だから……私が道を作り出す!」
 聖なる光を掌に集中させ、しっかりと前に突き出して。呼吸を整えぶちかますのは、渾身の連続チェリカ砲!
「はぁぁぁっ!!」
 叫びと共に何本もの破壊の光が射出され、次々にオウガの元へと殺到していく。
 その内の数本は渦潮に阻まれあっさりと掻き消されるが――それだけ渦潮の力だって削ぐ事が可能だ。
「あなたや魔女がどれだけ強くたって、私の友達は負けないわ! 二人が近づけたら絶対上手く行くんだから!」
 だから、私に出来るのはその道を切り拓く事。
 どれだけ時間がかかっても、大変な道のりだとしても。大切な友達のためなら、このくらいはへっちゃらだ。

「チェリカちゃんの魔法、ちょっとずつ敵の力を削いでくれてるの……!」
「ならば今がチャンスですね。ロランさん、行きましょう!」
 後方からの光の嵐を感じつつ、ロランとハロも一気に身体を前へと突き出す。
 チェリカの魔術で弱まった渦潮ならばきっと簡単に乗り越えられるはずだ。
「いくよ、うぉぉおお!」
「音速を超えて……はっ!!」
 ロランが放つ咆哮とハロのレイピアから放たれる炎が渦潮へと殺到し、チェリカの光と合わせてその存在をかき消して。
 今ならオウガ本体にも近づける!
 ロランは力強く水を踏みしめ、小さな身体を高く跳ばす。それを思わずオウガが目で追った瞬間、ハロがその身を敵の方へと滑らせた。
「こっちですよ!」
 再びリトルフォックスに魔力を纏わせ、放つのは海の中でも消えない炎の刺突だ。
 このオウガが扱う魔術はあまりにも危険。先程の魔女の魔術だけでなく、他人を巻き込んで泡へと変える能力も持っていると聞いている。
 その被害を減らすためにハロが選択したのは炎だ。少しでも相手の身体を焦がし、灰へと変える。『海の国』を守るべく選んだ一つの手段だった。
 自分の出来る事を全力で。海の中であろうとも、ハロの気質も戦法も変わらない。だからこそそれが仲間を助ける力になるのだ。
「もう一度……うぉぉおおん!」
 オウガがハロの斬撃に気を取られている間に、ロランも再び音撃を放ちだす。
 海の中ならなおさら音は響きやすい。鋭い刃と化した咆哮は次々にオウガの身を削いでいく。

「なんで、なんで私ばっかり……一人で消えるなんて……!」
 猟兵達の攻撃を受け、オウガの表情にも焦りの色が滲み始めた。
 けれど猟兵達には分かる。彼女が抱いている思いはそれだけではなさそうだと、
「……キミも、寂しかったの?」
「事情はわかりませんが、一人で海の底に沈む訳ですからね……」
 他者を巻き込むような行動は見過ごせないが、オウガが抱く孤独は理解出来る。
 彼女とも別の出会い方をしていれば仲良くなれたかもしれない。
 けれど今のオウガは過去の存在。このまま放っておくわけにもいかないのだ。
「それなら……いつか生まれ変わったら、その時は友達になってあげる。今度はちゃんと出会って、一緒に遊びましょう!」
 チェリカもオウガへ寄り添うように言葉をかける。けれど、だからこそ光を放つ手は緩めない。
 未来に希望を繋げるためにも、ここはやりきらなければならないから。
「一緒に逝ってあげられないけど、あるべき場所に、送ってあげる」
「私達が今あなたにしてあげられるのは、眠りに導く事だけですが……またいつか会いましょう」
「だから今は――おやすみなさいっ!」
 別れの言葉と共に、音撃と炎、そして光がオウガの元へと殺到して。
 【ファランビー】の三人による優しさも籠めた攻撃が、更にオウガの悪しき力を奪い去っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

天王寺・七海
これは、まずいわね。
今回の相手、触れるだけで崩壊させるって、洒落にならないのね。
これは、仲間を危険に晒すわけにも行かないわね。

でも、こいつに対する策なら、色々とあるわよ!
今回の、こいつは許さないじゃん!!

対策として、、今回の相手にはシャチホコファンネル2基をメイン武器として人魚に対してバスターとランチャーの乱射で撹乱、その隙きに接近、尾びれを接触しないギリギリのラインで思いっきり振り付ける(強い流れを発生させる)。

そして、人魚が武器落としたら、そこで噛みつき・尾びれ(ドルフィンキック)、そして超音波を破壊音波化させて人魚に浴びせる。
「これで終わりよ」(頭をガブリ噛み付く)




 戦闘が繰り広げられる『海の国』の入り口へ天王寺・七海は勢いよく駆けつける。
 そこで目にしたのは――不自然な形で抉れた岩場だ。戦闘の余波の影響もあるだろうが、あの岩場を最も削っているのはオウガの能力だろう。
「これは、まずいわね」
 そんな洒落にならない能力を持つオウガが国の中へと踏み込めば。何が起きるかは考えるまでもなかった。
「仲間を危険に晒すわけにも行かないわね」
 だからこそ七海は策を練る。
 相手が如何に危険な存在だろうと決して許せはしないのだから、それならこちらも全力で。
 溢れる怒りが七海の身体を駆け巡り、それが悪を倒す力になってくれる。
 七海の身体はどんどん大きくなっていき、気がつくと人魚よりも遥かに威圧感のある姿へと変貌していた。

「何よ、大きなシャチだって泡にしてしまえば……」
 オウガも負けじと竪琴を奏で、体中に呪いのオーラを纏い始めた。
 あれに触れるのは危険だ。だから最初は相手の動きを撹乱させなくては。
「いくのよ、シャチホコファンネル!」
 そこで七海が呼び出したのは2基のシャチホコファンネル達だ。
 きらきら輝くファンネル達はジグザグに人魚の周囲を泳ぎ、装着したバスターとランチャーを放っていく。
 全ての弾が着弾しなくても構わない。実際乱射した攻撃の半分以上は泡にされてしまっている。
 しかし――人魚が攻撃をかき消せばかき消すほど、戦場は激しい泡に覆われていくのだ。
 それは海に暮らす人魚からすれば有利な事かもしれない。けれど七海だって海に暮らす者、同じ条件ならば負けはしないのだ。

「……今なのよ!」
 七海は一気に水を蹴り出し加速すると、オウガに触れるか触れないかの位置まで飛び出して尾びれを振るう。
 怒りによって七海の身体は相当な大きさまで変化している。ならば生み出す水流も凄まじいものへと変わっているはずだ。
「なに、これ……!」
 泡の中からオウガの困惑する声が聞こえてきた。同時に小さな金属音も聴覚へと入ってくるが、それは恐らく人魚が琴を落とした音だろう。
 お陰で呪いのオーラは消え去っている。追撃するなら今だ。
「てめぇみたいな悪い子に皆を傷つけさせる訳にはいかないんだよ!」
 怒りの声を破壊音波と化して七海は叫ぶ。更にその衝撃がオウガを怯ませ、彼女の動きを完全に止める事が出来た。
 同じ海の者として、ここは引導を渡してやらねば。
「これで終わりよ」
 七海の放った渾身は見事にオウガへぶち当たり、彼女の頭に深く歯が突き立てられた。
 刻まれた傷は怒りの証。海を愛し守る者として、七海はしっかりとオウガにダメージを与えたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アキカ・シュテルア
アドリブ・連携歓迎

......来ましたか。
気持ちは分からない訳ではありませんが、ここは彼らのための国ですからね。壊そうとするならば容赦はしませんよ。
せっかく作り上げたものを壊されてしまうのは私も悲しいですし。

【地形を利用】したり【なぎ払】ったりしてオウガに近づき、【高速詠唱】して発動させたUCでオウガを囲うことで行動を制限し攻撃する
模様を描き切ったインクは【フェイント】を掛けながらオウガを【追跡】する

『描くは印 力が示すは色の織』
色の籠からは出さないですから。


ルーヴェニア・サンテチエンヌ
そうね、可哀想ですわね。
寿命が短いと言われる人狼でも、そんなに早く消えることはないもの。

でも、最後まで可哀想なままでいるおつもりですの?

自分の不幸で他人を巻き込むなんて許せないですの。
…わたしみたいだから。

愉快なお仲間の皆様、どうか心を込めて演奏を。
『Courez, ma...』いいえ、違いますわね。
『Courez, la chanson de tout le monde!』(駆け巡れ、みんなの歌!)


固く閉した心を開いて
憂いなんか今は忘れて
一緒に喜び合いましょう

ここは幸せな国


強大な魔術も、高速移動で避けて。衝撃波で中和してもいいの。
…相手と同じく寿命を削って、相手以上に輝いてみせるの。




「……来ましたか」
 オウガ襲来の報せを受けて、アキカ・シュテルアは静かに表情を険しく変える。
 愛用のギターをチューニングしていたルーヴェニア・サンテチエンヌも、アキカの反応を見て姿勢を正した。
「あのオウガさんにも事情があるのは分かります。ですが……」
「ええ。ここは愉快な仲間たちの『海の国』。同情の気持ちはありますが、皆で作り上げたものを壊すというのなら容赦はできません」
 二人は顔を見合わせ頷きあい、しっかりと武器を握りしめる。
 けれどこの戦いに挑むのは猟兵達だけではない。ルーヴェニアと共に演奏していた仲間たちも各々の楽器を持ち、戦いに向けて気合を入れていた。
「みんなを危険な戦いに連れて行くのは心苦しいですが……そうすればわたくし達はもっと頑張れますの」
「皆で作り上げた国ですから。大丈夫です、私達が力を合わせればきっと皆を守りきれますよ」
 同じ場所で同じ目的のために集った仲間たち。彼らと一緒なら未曾有の危機だって乗り越えられるはずだ。
 覚悟を決めて呼吸を整え、猟兵達は戦場を目指して水を蹴り出していく。

 国の入り口では傷を負ったオウガが猟兵達と応戦していた。
 しかし彼女の表情には未だに気迫が宿っている。新たにここへとやってきたアキカとルーヴェニアにも鋭い敵意を向けているようだ。
「また私の邪魔をするの……。私は一人で消えたくないだけなのに」
 オウガの言葉を受け、猟兵達は少しだけ目を伏せた。
 彼女の辛さ、寂しさは分かる。それでも戦う事をやめる訳にはいかなかった。
「一人で消えるのが怖いのは分かります。けれどここは皆で作った国です。それを壊されるのも悲しいですし、見過ごせませんから」
 『夜明紫電』の柄を握り、アキカは堂々と顔を上げる。
 輝きを描く事を生業にしているアキカだからこそ、この国が作り上げられるまでの思いは理解している。
 相手に不幸な事情があろうと、それを壊す事は許せなかった。
「そうね、可哀想ですわね」
 一方ルーヴェニアはオウガの命の短さを思った。人狼である自分より、彼女に残された時間はよっぽど短い。
「ですが……最後まで可哀想なままでいるおつもりですの?」
 ルーヴェニアも顔を上げ、まっすぐにオウガへと視線を向けた。
 自分が不幸だからといって、誰かを好きに巻き込んで。それで全部終わらせるなんて見ていられない。
 それはわたしのようだから。だからあの子を終わらせてあげたい。
「……オウガさん。あなたの事は私達が、この国が止めてみせます」
「せめてこの国が生み出した煌めきをあなたに見せてあげますわ」
 絵画と音楽。それぞれ方向性は違うけれど、猟兵達が背負っているのは『海の国』を作り上げた技術だ。
 それを武器に変え、二人は改めてオウガへと向かい合った。

「愉快なお仲間の皆様、どうか心を込めて演奏を。共にこの国を守りましょう」
 ルーヴェニアの合図に合わせ、愉快な仲間たちがゆっくりと音楽を奏でていく。
 生み出される旋律は不思議な力となって、猟兵達の背を押してくれる。
「今日の曲は『Courez, ma……』いいえ、違いますわね。『Courez, la chanson de tout le monde!』」
 その意味は「駆け巡れ、みんなの歌!」。徐々に力強く、テンポも早くなる演奏は更に皆の力を高めていく。
 勇ましい音楽を背負いながら、アキカも思い切り水を蹴って上方へと身体を跳ばす。
 時に抉られた岩場も利用しつつ、目指すはオウガの元だ。
「その音楽に綺麗な絵筆……そんなものだって泡にしてあげる!」
「いいえ、させません。描くは印、力が示すは色の織。刺繍の籠織よ、オウガを止めて!」
 オウガが竪琴を奏で魔術を発動しようとした瞬間、アキカが更に勢いよく前へと飛んだ。
 同時に『夜明紫電』を振るえば、飛び散るインクは鋭い針へと変化して海の中を駆け巡っていく。
 鮮やかな模様を描き出しつつ殺到するインクはオウガの腕へと突き刺さり、彼女の動きを一時的に縫い止めた。
「ちっ……こんなもの……」
「こんなものではないですよ。この煌めきこそ、この国を作り上げた力です」
 アキカが今回の戦闘に使ったのは愉快な仲間たちが作った墨だ。
 いつものブルーブラックのインクと勝手は違うけれど、不思議と手には馴染んだ。
 更にインク達は海の中を駆け回り、オウガの動きを拘束していく。
「色の籠からは出さないですから」
 オウガを国の中へ入れてしまっては待ち受けるのは悲劇しかない。
 絶対に逃してなるものか。決意と共にアキカは更に筆を振るう。

 飛び交うインクの檻からどうにか隙を窺うオウガだが、ふと彼女の耳に何かの音楽が入っていく。
 それはルーヴェニア達が奏でる歌。先程よりも強く大きく『海の国』の歌は鳴り響く。
 その中央に立っているのは勿論ルーヴェニアだ。命すらも削るような勢いで、ルーヴェニアは高く高く歌を届ける。
 固く閉した心を開いて、憂いなんか今は忘れて。一緒に喜び合いましょう、ここは幸せな国だから。
 思いを籠めた歌はもはや一つの魔術へと化している。その響きは魂を揺する調べ、オウガの呪いよりもよっぽど強い。
「(わたくしだって寿命を削ります。それで相手以上に輝いてみせるの。それがわたくしの精一杯だから……!)」
 音楽の魔術は更にオウガの力を削いで、彼女の動きを止めていく。
「ルーヴェニアさん、合わせましょう。私達が出来る全力で……この国を守りましょう」
「はい、この国の皆さんとわたくし達の思いを伝えましょう……!」
 アキカは美しい幾何学模様を描き出し、ルーヴェニアは力強く声をあげる。
 二人のユーベルコードは輝く魔法へと変わり、更にオウガの身体を穿っていく。
 そこに籠められているのは強い願いだ。
 その願いの結晶のような彩りと音は、確かに『海の国』をオウガから守っていくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

桜田・鳥獣戯画
どうやら捨て身か、あるいは誰かを道連れにする気か
魔女と一体何を契約したのだ…

自滅系女子だ、油断するなよアルフレッド(f03702)!
できればUCはあまり使わせずに倒したい!

…なるほど、一族の生業か
ならばこれはお前さんの役目かもしれん

(拡声器で王国の生き物たちに向けて)
皆、ルーヴェニア達の作った城に避難してくれ!
そこならきっと安全だ!!

アルフレッド、貴様はいつもそうやって無茶を!世話の焼ける!!
UCザ・ウォールを使い、人魚の泡に触れぬよう引きはがす!

見えるかオウガの姫よ
チェリカ達の描いた海の民の絵
ラフィとアリアの描いた虹の橋の人魚の絵

皆、仲良くできればよいと願っていたのだ
それだけは知っておけ!!


アルフレッド・モトロ
引き続き姉御(f09037)と行動

人魚姫か
UDCアースで聞いたことがある
悲しいおとぎ話だ

今から消えてしまう身の上では
あの海の国は恨めしく見えたろうな

でも誰かの幸せを壊しても結局姫さんは消えちまう
ならせめて業を背負わせることなく
骸の海へと還してやりたい

よし【気合い】入れて行くぞ!姉御、援護頼む!
ここは【水中戦】の得意な俺に任せてくれ!

無駄だと分かっていても
攻撃を止めるように説得しつつ【水中機動】で接近する

今にも消えんとしている姫さんを止めようってんだ
俺だけ無事で居ようなんて甘い事は言わねぇよ
泡と化そうが構わん!【捨て身の一撃】だ!
蒼炎の拳が届けばいい!

さあ俺の身勝手な【優しさ】を食らえ!人魚姫!




 国の入り口での戦闘は佳境へと入っていた。
 人魚のオウガは傷つきつつも猟兵達を、そしてこの国を消し去ろうと呪いを纏う。
 その様子がどこか痛々しく見えて、桜田・鳥獣戯画は思わず顔を強張らせた。
「どうやら捨て身か、あるいは誰かを道連れにする気か……」
 オウガの呪いは魔女の力だという。彼女が何を願い、どんな契約を結んだのかはわからない。
 ただ一つ分かっているのは――オウガが自身の滅びに他者を巻き込もうとしている事だ。
「自滅系女子だ、油断するなよアルフレッド! 出来れば呪いの力も使わせずに倒したい!」
 鳥獣戯画の言葉を受けつつアルフレッド・モトロもこくりと頷く。
 けれど彼の表情は、どこか遠くを見ているようで。
「人魚姫か。聞いたことあるぜ、悲しいおとぎ話だ」
 思い出すのは王子様に恋をして、最期は自ら死を選んだ人魚の物語。
 物語と違って、オウガは自分の死を割り切れないのだろう。そんな中で『海の国』の煌めきを見れば恨んでしまうのも仕方がない。
「でも……姉御の言う通りだ。誰かの幸せを壊しても結局姫さんは消えちまう。なら少しでも業を背負わせずに還してやりたいな」
 二人が抱く気持ちは同じ。少しでもあの子を苦しませず、あるべき最期を迎えせてあげたい。
 アルフレッドは何かを思い出したかのように、右眼の傷から蒼い炎を溢れ出させる。
「それに、あの姫さんみたいなヤツを送るならきっと俺の炎が必要なはずだ。だから最初は俺に任せてくれ」
「……なるほど、一族の生業か。ならばこれはお前さんの役目かもしれん」
 仲間の瞳に宿る決意の光を見て、鳥獣戯画も大きく頷く。
 けれど胸がざわつくのは気の所為だろうか。鳥獣戯画は少しだけ不安げな表情を浮かべ、アルフレッドの顔を見返した。
「仲間たちの避難を終えたらすぐに戻る……無理はするなよ」
「ありがとう、姉御。大丈夫だぜ、きっとなんとか出来る」
 アルフレッドは悲しい人魚を止めるべく前方へ、鳥獣戯画は守るべき者達を救うべく後方へ。
 猟兵達はそれぞれ向かうべき場所へ向けて水を蹴る。

「先程の戦いに加わった者は逃げ遅れた者を引率してくれ! 避難場所はルーヴェニア達の作った城、そこならきっと安全だ!!」
 美しい絵が描かれた拡声器を片手に鳥獣戯画は愉快な仲間たちへと声をかけた。
 猟兵達の手助けをするべく前線へとやってきていた仲間たちにも協力を要請しつつ、避難活動は進んでいく。
 皆の活躍によりオウガ侵攻の被害は最小限に抑えられているものの、彼女が纏った呪いは強力だ。万が一巻き込まれてしまっては危険だろう。
 けれどそれは猟兵達も同じ事で。
「私が戻るまで、本当に無茶はするなよ……」
 大きくなる胸のざわめきを感じつつ、鳥獣戯画は更に声を張り上げた。

 一方アルフレッドは、キマイラとしての身体能力を活かしつつオウガの元へと接近していた。
「もうやめろ、攻撃すればするほどお前だって呪われていくじゃねぇか!」
「うるさい……! あなた達に何が分かるのよ!」
 少しでもオウガが苦しむ時間を減らせるように、アルフレッドは必死で声をかける。
 彼の指摘通り、オウガの身体は攻撃すればするほど弱っていっているようだ。尾鰭の先端が少しずつ泡へと変わり、海へと溶け込み始めていた。
 けれど黙ってもいられないのだろう。死にもの狂いで呪いを滾らせ、オウガは全てを泡へと変えようとしている。
 言葉だけではきっと届かない。それなら自分に出来る事はなんだ。
 身体をひたすら前へと突き出しつつ、アルフレッドは自身の蒼炎を更に激しく燃え上がらせた。
「……俺だけ無事で居ようなんて甘い事は言わねぇよ」
 自身に宿る『溟獄の炎』は、きっとこういう時のためにあるのだろう。
 炎は右手へ移っていき、海の底を眩く照らす。
 身勝手な優しさでいい。自分がどうなっても構わない。それで誰かが救えるなら。
「泡と化そうが構わん! この炎は誰かを傷つける為だけに在るわけじゃないって、信じてるから――だから、食らえ! 人魚姫!!」
 想いを籠めた拳が突き出され、オウガの身体へと辿り着く。
 溟獄の炎はオウガの邪心を少しずつ鎮めていくが、同時に呪いもアルフレッドの身体へと巡り――。
 けれど、彼の身体は泡にならない。不思議な浮力がアルフレッドの身体を引っ張り、呪いから引き剥がしたからだ。
「貴様はいつもそうやって無茶を! 世話の焼ける!!」
 聞こえてきたのは鳥獣戯画の怒号だった。
 彼女が操ったのは守護の力。本来なら自身の拠点を動かすためのサイキック能力だが、今回は仲間を守るために行使したのだ。

「そんな風に消えてしまっては何も残らないだろう! ほら、二人とも見ろ!」
 鳥獣戯画は後方の『海の国』へと向けて両手を広げる。
 呆気にとられていたアルフレッドもオウガもそちらへと視線を向ければ、そこにあったのは煌めく広大な世界だった。
「見えるかオウガの姫よ。この国にあるのはチェリカ達の描いた海の民の絵に、ラフィとアリアの描いた虹の橋の人魚の絵。この意味が分かるか?」
「それって……」
「皆、仲良くできればよいと願っていたのだ。例えそれがオウガだとしてもな。それは私やアルフレッドだって同じだ! それだけは知っておけ!!」
「……そうだ、俺達は姫さんに苦しんだまま消えて欲しくなかった。悔いは残るだろうが……それでも、一緒にこの景色を見たかったんだ」
 もちろん猟兵達の想いだって様々だ。
 許せないと思う気持ちも当然だし、少しでも仲良くなれればと思う気持ちだって間違いではない。
 誰もが『海の国』を思い、オウガに対して何かを思うからこそ動いた。
 そしてそれは――最期に少しだけ届いただろうか。
「……ありがとう」
 消え入りそうな言葉を呟き、人魚姫は泡と化す。
 広い広い海の世界はそれすらも飲み込んで、続いていくだろう。

 戦いが終わったのを実感し、猟兵達も『海の国』へと戻っていく。
 無茶をしたアルフレッドはきっと鳥獣戯画にこってり叱られるだろうが……それも彼らの在り方の一つ。
 互いを信頼しあっているからこそ背中を預けられるし、感情だってぶつけられる。
 その当然の営みも海は包み込んでくれるはずだ。

 それは『海の国』も同じこと。
 生まれたばかりの国は、これからたくさんの事を積み重ねていく。
 海底に生まれたシャングリラは、もっと素敵になるはずだ。
 その一歩を進め、守り抜いたのは間違いなく猟兵達の力だろう。
 この国は、きっとその事を忘れない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月12日


挿絵イラスト