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幽世葬送曲(作者 ハル
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●とある妖怪の独白
 ……幸せだったんだ。
 すごく、すごく幸せだったんだよ。
 人の世界から幽世に辿り着いて、行くあてのなかった私に、妖怪さん達は居場所をくれたんだ。
 それは食糧を得て生き永らえる以上の意味を持っていて、私に意味を与えてくれた。妖怪としてのアイデンティティを思い出させてくれた。
 それが、どうしてだろう?
 どうして、次々と、私に良くしてくれた妖怪さん達ばかりが亡くなってしまうんだろう。
 連続殺妖事件が発生して、もう五件目。
 私の手は、震えている。
 だって私には、大好きだった妖怪さん達が殺されたとされる時間の記憶だけが、何故かないのだから……。

 昭和の雰囲気の中に、どこか現代風の空気が混じり、妖怪にとっても懐かしさを感じさせる村の街並み。
 人間の真似をするように作られた商店街。
 でも私は、時折かけられる声にさえ、恐怖を覚えた。
 声の主に対してではない。自分に対する恐怖だ。
 私は商店街から、逃げるようにして立ち去るのであった。


「――事件の匂いがするのだ!」
 月詠・色葉(ロリ系焦熱妖狐のアーチャー・f03028)は、グリモアベースに集結した猟兵達に、そう言葉を投げかけた。
「それも、悲劇の匂いが色濃い……ように感じるのだ。なにせ、既に五件も続く連続殺妖事件についての予知だから、当然なのかもだけれど」
 妖狐である色葉の声色は、いつになく険しい。予知で語られた独白が、どれほどの悲嘆に暮れていたかを、聞く者に想像させるくらいには。
「だけど、この事件、悲劇を色葉達は終幕に導かなくてはならないのだ。そのためには、まずは情報が必要なのだ!」
 まず第一に、連続殺妖事件の犯人は、オブリビオンである。それも厄介な事に、普段は宿主の中に潜み、犯行時だけ宿主の記憶を奪ってオブリビオン化しているため、宿主には骸魂に取り憑かれている自覚はほとんどない。
「それでも、記憶がなくなっている事から、違和感は感じているようなのだ。そしてだからこそ、推理の材料を現場に残してしまっているのだ」
 その材料の一つが、犯人は女性である、というものだ。現場には、艶やかな長髪が二種類残されていた。一方は黒髪で、一方はピンク髪。これは恐らく、それぞれが宿主とオブリビオンどちらかのものだろう。
「また、殺妖犯行現場は全て妖怪さん達が暮らす家なのだ。誰かが押し入ったような形跡はなく、近しい関係性にある妖怪の仕業である可能性が高いので、近隣の妖怪さん――周辺には立派な商店街があるそうだから、そこで話を聞きつつ、殺されてしまった妖怪さんらと親しかった者らについての情報を得るといいのだ」
 そして不思議な事に、犯行現場である五軒の家は、全て立派な家だった、という情報も現時点で齎されている。
「ふむふむ、これも手掛かりになるのかな? 残りの手掛かりは現地調達し、犯人はどんな妖怪なのかを見事突き止めて欲しいのだ!」





第3章 集団戦 『輪入道』

POW ●燎原火炎陣
【激しく回転しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他の輪入道】の協力があれば威力が倍増する。
SPD ●紅蓮疾走
自身に【燃え盛る炎】をまとい、高速移動と【回転する炎の輪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ ●ファイアホイールスピニング
【回転速度】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔴

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 猟兵達が意識のない座敷童子を安全な場所へと移送しようと準備していると、ふいに屋敷を猛烈な熱気が包み込み、事実その屋敷は燃えかけていた。

「よくも、よくもアヤラ様を!」
「許さんぞ、ここで滅してくれる!」

 現れたのは『輪入道』。

「このオブリビオン、もしかして村に住んでいる妖怪さん達!?」
 
 その輪入道の一体の面影に、どこか思い当たるふしのあった猟兵が、ギリッと歯を軋ませる。
 恋獄姫アヤラが死の間際に残した嫌がらせにして、愛した相手を殺したいという欲求を叶えるための最後の悪あがき。
 悔し紛れの村の住民達のオブリビオン化。
 猟兵達は怒りを宿し、再び戦いの準備を始める。
 オブリビオン化した妖怪達を救いだすため、座敷童子にこれ以上の悲劇を見せないために!
 アヤラが撒き散らした配下――輪入道の骸魂を滅し、輪入道へと飲み込まれて変化してしまった村人達を救うのだ!
天御鏡・百々
アヤラめ……往生際の悪いことだな
! あの鈴は……鈴彦姫殿も飲み込まれたのか!?
急ぎ輪入道を討伐し、住民を助け出さねばならぬな

どうやら高速移動や突進が得意な様子
ならば、それを封じてしまおうか
『惑いの封魔鏡』にて、輪入道達を鏡の迷路に閉じ込めてやろう

如何に回転を増したとて、この迷宮は簡単には突破はできぬぞ
方向感覚も狂わせるため、出口を見つけることも難しかろう

そうこうしている間に制限時間だ
昏睡した敵は真朱神楽(武器:薙刀)で討伐だな
(なぎ払い35、破魔110、浄化20、神罰5)

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎
●本体の神鏡へのダメージ描写NG


「アヤラめ……往生際の悪いことだな!」
 続々と、村人である妖怪達を飲み込んで姿を形成する骸魂――輪入道に、天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は落ち着きある双眸に苛立ちを募らせていた。死してなお己が欲望を諦めないとは、その執念、厄介極まりないと。
 しかしその苛立ちも、輪入道の中の一体が身に着けていた鈴を見て、一気に沸騰する。
「あの鈴は……鈴彦姫殿も飲み込まれたのか!?」
「アヤラ様、アヤラ様! アヤラ様ーー!」
 聞き知った彼女の鈴の音。そして百々が紡いできた歴史に敬意を払ってくれた女性。同胞という訳ではないが、それでも親近感は覚えた。
 元より戦う理由は十分であったが――。
「座敷童子殿、今しばらく待っていてくれ」
 百々は火の手から逃した座敷童子の汗と涙で解れた髪を梳くと、輪入道に向き直る。
(「ふむ、どうやら高速移動や突進が得意のようだな」)
 高速で百々の周囲を回り、隙を伺う輪入道を、百々もまた観察する。
 やがて輪入道は、観察する百々の予測を裏切るように、猛烈な炎を噴き上げて突進を敢行した。速度だけでなく、炎の勢いもパワーも六倍と化して!
「鈴彦姫殿の身を借りて、アヤラの名を出すな。それにな、汝がいくら能力を上げようとも、封じてしまえばそれまでよ」
 そして百々は、厳かに一節を口にした。
「鏡よ鏡、邪なる者を惑わし、封じ込めよ」
「ンンンーーー!?」
 途端、百々に狙いを澄ましていた突進が、唐突に逸れる。そして気がづけば、戦場全体が鏡張りとなり、複雑な迷路と化していた。
「如何に回転を増したとて、この迷宮は簡単には突破はできぬぞ。悪しき汝らの方向感覚は狂わされ、出口をみつけることも難しかろう」
 迷路に囚われた輪入道らは、狂ったように暴れまわる。が、迷路は微動だにせずそこにあった。
「――制限時間だ」
 一分待たずして、百々が告げた。
 まるでその文言を合図にしたかのように、輪入道は一体、また一体と昏倒していく。
「さて、急ぎ住人を助け出さねばな!」
 百々は朱色に塗られた薙刀――真朱神楽に神の力を込め、苦もなく昏倒した輪入道を撃破、浄化していった。
大成功 🔵🔵🔵

シャルロット・クリスティア
こうまで無数のオブリビオン……配下とも言って良さそうですが。
無理矢理に媚び諂わせて、お姫様気取りですかまったく……!

あまり時間をかけていてはこちらも危険ですね。
申し訳ないですが、手早くやらせて頂きます……多少痛いかもしれませんが、我慢してくださいよ。

回転数が上がれど、挙動自体は同じです。
走るにしろ回るにしろ、機動力は回転速度に比例する、であるならば『どの速度で回転しているか』さえ把握していれば、位置予測は可能。
後は、移動先に間違いなく弾丸を届けさせるだけ。私の腕なら難しいことでもありません。
無駄に苦しませることも無いでしょう。極力、一撃で仕留めたいところですが……。


 シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)は、牽制の意味も込めてマギテック・ショットガンから散弾を一発、二発と吐き出した。小気味よい音を奏で、輪入道を何体か屠るも、数で利する輪入道が徐々に回転速度までをも増強するにつれ、押し込まれかけている。
「こうまで無数のオブリブオン……配下とも言って良さそうですが!」
 シャルロットは、腹立たしい気持ちで一杯だった。
 何故なら――。
「我らがアヤラ様の敵に天誅を!」
「おいたわしや、おいたわしや、アヤラ様!」
 輪入道といえば、先程からずっとこの調子。あのアヤラの配下だとすれば、輪入道も魅了されているのだろう事はシャルロットにも容易に想像がつく。輪入道は幸か不幸か、殺す価値もないとアヤラに思われていたに違いない。
「無理矢理に媚び諂わせて、お姫様気取りですかまったく……!」
 その腹立たしさを経験で受け流し、彼女は輪入道の攻撃を躱し、ショットガンの引き金を絞るのだ。
「いえ、幸か不幸かなら……不幸には違いありませんか。あまり時間をかけていてはこちらも危険ですね。手早くやらせて頂きます」
 手探りの時間は終わりだと、ふいにシャルロットの視線が鋭さを増す。
「回転数が上がれど、挙動自体は同じです」
 輪入道のスピード、パワー共に序盤とは比にならない。
 しかし、銃弾が命中しさえすれば撃破は可能である事は証明済み。
「――で、あるならば。『どの速度で回転しているか』さえ把握していれば、位置予測は可能のはずです。飲み込まれてしまった妖怪の皆さん、多少痛いかもしれませんが、我慢してくださいよ」
 どうかご安心を、逃がすつもりはありませんので。シャルロットは小さく呟き、銃口を輪入道に向け、精神を研ぎ澄ませる。学んだ戦闘技術、魔術の全てを駆使し、殺到する輪入道へと銃弾を放った。
「ギャ!」
 と、轟音と共に輪入道の短い悲鳴が木霊する。
 そのシャルロットの狙撃は一見、見当違いの方向に向けて放たれているようにさえ見えた。しかし結果は、シャルロットが輪入道の動向を全て見切っていたかのように、銃弾は輪入道の進行方向上に置かれていた。
「移動先に間違いなく銃弾を届けさせる。私の腕なら難しい事でもありません」
 事も無げに告げるシャルロットの眼前で輪入道が倒れ、飲み込まれていた村人妖怪達が解放されていく。
 そして、残る輪入道が昏睡状態に陥ったのを見て、彼女は言った。
「無駄に苦しませることも無いでしょう。極力、一撃で仕留めたいと思っているんです」
 戦場に、銃声が響き渡る。
成功 🔵🔵🔴