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Way of Ray with Bay

#アポカリプスヘル #【Q】 #ストレイト・ロード

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#アポカリプスヘル
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#【Q】
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#ストレイト・ロード


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 荒れ果てた大地に潮風が吹く。荒涼たる風の音に、潮騒が混じる。
 見下ろせば、長く遠く伸びる砂浜と、そこに寄せては返す細波が見える。
 荒野と砂浜の境界は妙に明確で、高く滑らかな崖が隔てる。堤防の名残だろうか。

 そこはきっと、『かつて』であれば人々で賑わうビーチであったのだろう。
 だが今は誰も居ない。誰もが、生きるだけで必死だからだ。

 どうしてこうなったのか。
 いつからこうなったのか。
 分からない。
 だが、一つだけ分かることがある。

 ――『敵』は、今もこの地を蹂躙し続けているのだ、と。



「おー、皆集まってくれたんやね!おおきにやー☆」
 グリモアベースに集まった猟兵達を、グリモア猟兵、ツキカ・アシュヴィン(星追いの渡り鳥・f24375)は明るい笑顔で出迎える。
「ほんで早速、今回のお仕事やけども!皆に、道作りをやって欲しいんよ」
 曰く。
 オブリビオン・ストームによる文明の崩壊以来、人々は基本的に各地の『拠点』から動くことがない。拠点の外で活動するのは、各地の廃墟を探索する奪還者をはじめ、相応の理由や動機がある者に限られる。言うまでもなく危険だからだ。
 何しろ、オブリビオン・ストームは道路や線路といった交通インフラも容赦なく破壊したため、そもそも拠点の外にはまともな道すら存在しない。近隣拠点に向かうだけでも、どれだけの回り道をせねばならないか想像もつかないのだ。
 だが、逆に言えば。拠点同士を結ぶ道を整備すれば、それだけでも拠点同士の行き来はかなり楽になるのではないか。そしてそれは、双方の拠点における人や物の往来を促し、以て世界復興の大きな一歩となるのでは――そう期待されるのだ。
「せやけど、まだちゃんとした道作るには材料も足らへんし、いつまたオブリビオン・ストームで壊されるかも分からへんさかい。今回は、マカダム式ちゅう方法で道を作ってもらお思うとるんよ」
 マカダム式とは、簡単に言えば細かく砕いた石を敷き詰めローラー等で固める方法である。これなら材料調達も補修も比較的容易であるため採用されたらしい。

「ほんで、今回道を作ってもらうんは…」
 続いてツキカは地図を広げる。今回の任務区域周辺の地図らしい。
「ここの拠点と、ここの拠点。この間の海岸沿いを真っ直ぐ走るように、道を引いたってや」
 二つの拠点はどちらも海辺に存在し、それ故に道を作るのも海岸沿いとなる。
「道中は瓦礫がいっぱいだったり穴だらけだったりするさかい、その辺もうまいこと処理したってな」
 瓦礫を砕いて穴を埋め、その上から砕石を敷き詰めていくのが理想かもしれない。

「あ、せやせや。折角海の近くなんやし、工事の合間に海を見てくのもええと思うで☆」
 文明が崩壊して久しい世界ゆえに人気は無く、しかして自然の営みは変わらず繰り返される海。アポカリプスヘルの海は、他の世界のそれとはまた違った趣を持つことだろう。
 工事を疎かにしない程度になら、水遊び等をしていくのも悪くはないかもしれない…などと言っていたツキカだが、不意にその表情が引き締まる。
「せやけど、工事にせよ海遊びにせよ、充分気ぃつけてや。その工事区域周辺に、オブリビオンが出るっちゅう予知も見えとるんよ」
 オブリビオンと聞いて、猟兵達の間にも緊張が走る。
 曰く、予知で見えたオブリビオンは二種。戦闘機じみた風体のオブリビオンの群れと、更に大きな、雲めいた存在――それらの姿が見えたらしい。
「詳しいコトは分からへんかって、申し訳ないねんけど…何にせよ、空飛ぶ方法なり、空中の敵への攻撃手段なりがあるとええかも知れんね」
 勿論、どちらも無くとも遣りようはあるかもしれない…とは言い添えて。

「と、こんなトコやな。この世界の復興をもっと進められるように、皆、よろしゅうな!」
 ツキカのグリモアが輝き、猟兵達を、かの荒廃世界へと送り出してゆく。


五条新一郎
 海が俺を呼んでる。かもしれない。
 五条です。

 さて夏も近いということで、海要素のシナリオをアポカリプスヘルよりお送り致します。
 儀式魔術【Q】の成功によって可能となった、道路作りのシナリオです。

●目的
 拠点二箇所を結ぶ道の敷設、及び同地に現れるオブリビオンの殲滅。

●作戦領域
 アポカリプスヘルのとある海岸地域。
 両拠点の間の区域はずっと海沿いになります。

●第一章
 道路作りを行う「冒険」です。
 かつて築かれた堤防は残っているので、波などへの対策は特に不要です。
 また、道路作りの合間に、休憩がてら海で暫く過ごすのもOKです。砂浜を散歩したり波打ち際で戯れたりするのが良いかと。流石にがっつり海に入るのは非推奨ですが。

●第二章
 道路作りの最中に出現したオブリビオンとの「集団戦」です。
 詳細は第二章移行時に公開となりますが、戦闘機のようなオブリビオンらしいです。

●第三章
 更に現れた強力なオブリビオンとの「ボス戦」です。
 此方も詳細は第三章移行時に。ツキカ曰く、巨大な雲のような存在だったらしいとか。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますので、それ以降からプレイングを受付致します。

 それでは、皆様の果てしないプレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『荒野を切り開け』

POW   :    道路を敷く為、荒れた地面の整地を行う

SPD   :    鋭い調査や直感によって、周囲の危険を避ける

WIZ   :    知恵や知識によって、最適な交通ルートを割り出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

テリブル・カトラリー
装甲車上部に搭乗、車を遠隔操縦し悪路を走破。
【支援狙撃】発動、上空からルート上の障害物等の情報収集及び、偵察を行う。

装甲車の上で海を見る
…私のいた世界では、
こういった自然の海はもう随分と見ていないな…。

銀河帝国の……滅ぼした側が懐かしむものでもないか。
作業に戻ろう。

施設予定路を移動しながら
周囲の瓦礫等を装甲車の大砲やアームドフォートの爆撃で破壊、
障害物の排除と周囲の警戒を継続。

過去の感傷に浸るより、この世界の復興を進める。
その方が建設的だ。



 海辺に程近い荒野を、一台の装甲車がゆっくりと走行する。運転席に人影は無し。遠隔操縦である。
 操縦者はその屋根の上。無骨な装甲服とトレンチコート故に体型は不明瞭なれど、マシンヘルムとマスクの合間から覗く目元は『彼女』の性別を明らかとしていた。
 彼女の名はテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)。2m半ばに迫る巨躯を有するウォーマシンであるが、今は身を包むナノマシン装甲によって、身長以外は人間と変わらぬ姿をしている。
「経路周辺に敵性存在は認められず。路面状態は…劣悪。まあ当然だな」
 頭脳CPUへと直接届く情報を確かめてゆく。先程打ち上げた偵察用ステルスドローン――戦闘時においては捕捉した敵へ長距離狙撃を敢行する為のそれを以て、作戦領域の地形や障害物を調査していたのである。
「……然し、海か」
 ふと、視界に入った青と白のうねりを認め、意識をそちらへ向ける。
「…自然の海が見れなくなって、もう随分と経つな」
 スペースシップワールドの出身であるテリブル。居住可能な惑星が失われて久しいかの世界では、こうして自然の海を見る機会も即ち失われていた。人工的に再現された海を擁する居住艦も少なくはないが、実際の惑星上に存在する海はやはり違う。
 かつて、かの世界で最後にこうした海を見たのは、何十年前だっただろうか。休眠時期を含めれば、己自身でも分からない程の昔から稼動していた古きウォーマシンにも、その記憶は曖昧で。
(…まあ、私に懐かしむ資格があるかどうか、も微妙ではあるが)
 感傷に浸りかけた処にそう思い出し、視線を荒野へ戻す。何しろかつての彼女は銀河帝国の――かの世界から斯様な機会を喪失せしめた元凶の一端、其を担っていた立場であったが故に。尤も、そればかりでもないが。
 ちょうど、ドローンによる調査も完了したところだ。己の武装たる大型浮遊移動砲台を展開し、次なる作業――障害物の除去作業に取り掛からんとする。

 所々に散らばる瓦礫に、浮遊砲台と装甲車の搭載砲とを撃ち込み、細かな石片と化さしめてゆく。
 凸凹の激しい路面。装甲車の頑丈なるタイヤとサスペンションならば大した障害ではないが、一般車両が通るには厳しい。やはり舗装が必要だ。
 ドローンの情報通り、程なくして前方に大きな障害物が見えてくる。倒壊したビルの残骸が、未だ充分に原型を残す形で前方に横たわっていた。
「ターゲットポイント設定、ロックオン完了――」
 その形状、構造を解析、最も効率よく破壊できるよう照準位置を設定。浮遊砲台の側面が開き、中からミサイル群が顔を出す。
「――斉射」
 ミサイルが煙棚引かせ次々と吐き出される。その着弾に合わせて砲撃も行われ、大きなビルの残骸が、爆発によって瞬く間に砕け落ち、無数の小さな破片と変じてゆく。
(――過去の感傷に浸るより、この世界の復興を進める方が。建設的だろう)
 心中独りごちるテリブルを乗せ、装甲車は前進する。復興の為の道を踏み固めながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

イヴェッタ・レチアーノ
奪還者になる前もなった後も道なき道を進むのはしんどすぎるから
作れる時に作っておくのに越したことはないわね

私のSNSから土木工事経験者にマカダム式の道路の作り方を習いながら
プロジェクト・ディーヴァで道路作りへの賛同者を呼びかけて
道路作りのプロになるわ
ふむふむ、石の敷き詰め方はこうで、
ローラーの運転はこうやるのね、
皆の教え方が分かりやすいし声援で幾らでも覚えられるわ♪
(たまには今の人格でデレておくの悪くないわね)

休憩する時は海を眺めながらおやつを食べるわ
おやつと言っても簡易保存食だけど、
広い海を眺めながら食べると味気ない味でも得した気分になるわね
尚の事何時か歩く奪還者の心休みになる道にしなきゃね



 ロードローラーの車上、長い赤毛を潮風に靡かせながら、イヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)は耳に手を当て目を閉じる。
 何もしていないわけではない。己の体に内蔵したSNサーバーを介し、己のSNSのフォロワーから此度の任務に必要な情報を収集しているのだ。
「――ふむふむ。石の敷き詰め方はこうで、ローラーの運転は――」
 目を開き、教えられた通りにレバーを操作、アクセルを踏み込めば。教えられた通りにロードローラーが動き、別の猟兵が敷き詰めていった砕石を踏み固めてゆく。
 その様がSNSにアップロードされれば、フォロワー達から上がる賞賛の声。この手の土木作業経験が無かった身とは思えぬ出来である、と。
「ふふ、皆の教え方が分かりやすいのよ。それに応援もしてくれるし、おかげでいくらでも覚えられるわ♪」
 普段は出さない甘い声で、作業の進め方を教えてくれる土木工事経験持ちのフォロワー達や、知識は無くとも応援してくれるフォロワー達に礼を返す。直接的な教授は勿論、ただの応援もまた、イヴェッタのユーベルコードを介して作業の進行に貢献しているのだ。
(…たまには今の人格でデレておくのも悪くないわね)
 一部のフォロワーが『表のデレ刺さるぅぅ!!』などと騒いでいる。通常、そうした他者に媚びる言動は拠点奉仕用の別人格の担当なのだが、たまに此方の人格で行うのも、希少性があって良いのかもしれない。そう感じるイヴェッタであったとか。

 そんな遣り取りをSNS上で交わしつつ、ロードローラーを運転し舗装作業を進めていくこと暫し。
「…ふう。流石に疲れるわね。一休みしましょうか」
 エンジン駆動に伴う振動と、慣れぬ運転。地味ながら確実に疲労が蓄積してきているのを感じ、イヴェッタは一度ロードローラーのエンジンを停止し降車。
(…作れるうちに作っておくのに、越したことはないわよね)
 ここまでの行程を振り返り、己の仕事を見返してイヴェッタは思う。この世界に生まれ育ち、オブリビオン・ストームで全てを失ったイヴェッタ。生きる為に荒野を渡った経験も少なからずあるが、それはとても困難なことであった。故に、かもしれない。此度の任務に志願したのは。

 一旦SNSからもログアウトし、海を見下ろす堤防跡に腰かける。空との境界まで果てしなく広がる紺碧を見渡しながら、取り出すのは『おやつ』――と称する簡易保存食。ペースト状にして乾燥させた練りものである。
 保存性を最優先したが故に味らしい味が無いそれを、水平線の彼方を眺めつつ口に入れる。飽きる程に口にした味気なさが、今は何故か、少しだけ特別なものに感じられた。眼前に広がる、この光景のせいだろうか。
(心休みには、丁度良いのかもね)
 願わくば、完成したこの道を行く人々にも、そう感じられる道にしたいと。改めて、此度の工事に意気込むイヴェッタであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アイ・リスパー
「今回は海岸沿いの舗装が任務ですね。ならば私とオベイロンにお任せ下さい!」

機動戦車オベイロンに乗り込んで出撃。
工事ルートに存在する瓦礫にロケットランチャーとミサイルランチャーを発射!
全部粉々に打ち砕いてあげましょう!

「あとは砕石を敷き詰めればOKですね!」

【エレクトロレギオン】で機械兵を召喚。
打ち砕いた瓦礫の破片や、周囲に散らばった砕石を拾い集めて地面に置いていかせます。

「ここで奥の手、オベイロン・ローラー、発進ですっ!」

敷き詰めた砕石の上をオベイロンで走行。
オベイロンの重さと無限軌道で押し固めていきましょう。

「あれ、なんかオベイロンのAIが不機嫌なような?
え、機動戦車は工事車両じゃない?」



 舗装工事の進む海岸沿いに、一台の戦闘車両がやってきた。アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)の駆る機動戦車『オベイロン』だ。
「舗装任務も私とオベイロンにお任せです!」
 その機内でやる気充分なアイ。アクセルを吹かしながら傍らのコンソールを操作すれば、その各部からミサイルとロケットの弾頭が次々と顔を出す。
「目標、前方の瓦礫群!ファイヤー!」
 エンターキー押下、放たれた無数の炸薬弾頭が行く手を阻む建物の残骸等の瓦礫群へ次々着弾。盛大に爆発し一帯に粉塵が舞い溢れる。潮風がそれを払った後に残るのは、無数の細かな破片ばかり。
「完璧です!後は砕石を敷き詰めていけばOKですね!」
 砲撃の成果を確かめ満足げに頷くアイ。再びコンソールの上で指を踊らせ始めるに応じ、機体後部から次々と小型の機械兵達が出撃していく。総勢400体を超える彼らはめいめいに散らばっては、先程の砲撃で砕けた瓦礫の破片や散らばる砕石を拾い集め、オベイロンの前方へ敷き詰めてゆく。
「――おっと。グループF、想定ラインより2cm程はみ出てます。修正を。グループC、想定ライン右端6m地点周辺へマテリアルの重点配置を」
 その様子をオベイロン車内にてモニタリングしつつ、適切に道が敷けるよう指示を出してゆくアイ。それに応えて機械兵は縦横に動き回り、真っ直ぐに砕石の道を敷き延ばしてゆく。
 やがて周辺の破片や砕石が尽きる頃には、随分と長く道が延びていた。機械兵の撤収を確認したアイは操縦桿を握り、意気揚々と宣言する。
「それではここで奥の手!オベイロン・ローラー発進ですっ!」
 緩やかに前進を開始するオベイロンが、敷き詰められた砕石の上をゆっくりと走行する。
 尚、ローラーと言っても何らかの特殊装備を施したわけではない。とはいえ、戦車としての重量と無限軌道を利用して押し固めるその動きは、充分にその役目を全うするものではあった。
「順調ですね、これなら完璧な仕上がりに――わわっ!?」
 満足げなアイであったが、そこで突如大きな振動を感じよろめく。しかし路面に異常は無くオブリビオンの襲撃というわけでもない。となれば考えられるのは。
「…なんか不機嫌そうですね」
 コンソールを叩き、モニタにオベイロン搭載AIとの会話ツールを呼び出す。自律的に思考し行動することも可能な高性能AI、どうやら擬似的な感情のようなものも具えているようで。モニタに浮かび上がらせた現状の思考というのが――
「…え、機動戦車は工事車両じゃない?」
 戦闘車両であることにプライドを持っているのか、戦闘ではなく土木作業に使われているのが不満な模様で。
 そんなAIを宥め賺しつつ、舗装作業を進めていくアイであったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
水害対策が残っているのは有難いですねぇ。
何とか頑張ってみましょうかぁ。

こういう工事でしたら『ローラー』は用意されているでしょうから、『砕石』と『輸送』を考えると良さそうですかねぇ?
【遍界招】を使用、元は『過去の女神様の使徒』が使用していた『道具』が『祭器』となった『ハンマー』や『大八車』を召喚し使用しましょう。
『ローラー』を押したり、『大八車』で輸送する際は[怪力]が役に立ちそうですぅ。

合間の休憩の際は、同じく【遍界招】で『釣り竿型祭器』を召喚して「釣り」を試みましょうかぁ。
あまり心得は有りませんし、そもそもこの世界の海で何か釣れるのかもわかりませんが。



 荒野の端、堤防の遺構の上に上体を預け、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はその具合を確かめる。和服を押し退けんばかりに過剰発育した胸元の膨らみが、体と堤防との間で潰れ撓む。
「――強度は問題なさそうですねぇ。流石はオブリビオン・ストームにも耐える堤防、というところでしょうかぁ」
 のんびりとした声音は感心しきりに。これならば水害を懸念する必要は無さそうだ。脅威はあくまでオブリビオンということだろう。

「それでは、何とか頑張ってみましょうかぁ」
 路面を固めるのに使用するローラーは、近隣拠点から借りてきた。後は、障害物の破砕や砕石などの輸送だ。
「大いなる豊饒の女神、その鴻大なる知と力を持つ『祭器』を此処にお与え下さい――」
 そこでるこるは祈りを捧げユーベルコードを行使。彼女の呼びかけに応え齎されたるは、煌びやかな装飾を施され神々しい雰囲気を纏うハンマーや大八車といった道具。
 彼女の信仰する豊饒の女神に、かつて仕えていた使徒達が用いていた道具が祭器となった――とされる品々だ。祭器とはいえ、手にする者の身体能力を強化する力も相俟って作業用としての使用にも充分耐えるはずだ。
「ではまずはぁ…邪魔なものの排除ですねぇ」
 道を敷く予定の経路上には幾つもの瓦礫が横たわる。呼び出したハンマーを担ぎ、その前へ。如何にも重そうなそれだが、るこるの腕力ならば振り回すも苦ではない。
 徐に振り下ろせば、打ち据えられた瓦礫は一撃のもとに砕け、複数の破片となる。繰り返し振り下ろすうち、無数の小さな破片が出来上がる。
 一通り砕ききったら、散らばる砕石ともどもシャベルで掬って大八車へ積み込んでゆく。一杯になったところで車を引き、道を敷く経路上へ。積み込んだ破片や砕石を、均等に敷き詰めてゆく。
 そしてローラーの出番である。重いローラーを引いて、砕石を敷いた道上を歩き、重さを以て押し固めれば。マカダム式舗装路の完成である。
「ふぅ…流石に疲れますねぇ」
 膂力は常人を大きく超えるとはいえ、体力はそこまでの領域ではない。ここまでの工程を全て己の腕のみで成したるこる、疲労も少なからず蓄積しているのだ。

 一休みしようと、るこるは海岸へ下りてゆく。打ち寄せる波、紺碧の色合い。視界に広がるその海は、他世界のそれと大差ないように思える。
「…ちょっと一釣り、してみましょうかぁ」
 海の中の生き物はどうだろうか。そんな興味のもとに、再度ユーベルコードを用いて、今度は釣竿型の祭器を召喚する。そのまま、針を沖合いへ投げる。
 待つこと暫し、竿に引き。釣り上げてみれば、上がった魚はUDCアース等でも見られる種類――確か食べられた筈。早速焚き火を用意し、焼いてみる。
「…おぉ。普通に美味しいですねぇ」
 その味も馴染みのあるものだ。海の中は地上ほどには荒廃していない、ということなのかもしれない。
 意外な形での腹拵えも終えたところで、改めて作業に戻るるこるであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ニコレット・エスポワール
クリス(f02149)と一緒だよー♪

荒野って事で、お揃いの旅装で乗り込んだけど…
んむぅ、物の見事に荒れ地…地面があるだけマシ?
…って、住んでる人はそうも言ってられないか

まあいいや、その戦車で砕くの…って、ボクが砕くの?
まったくもー、しょうがないんだから♪(ひらりっ)
砲身の上に腰掛けて、ご機嫌なナンバー歌っちゃうよ!

♪かっとべラブキャノン、地平の果てまでっ♪
♪カモメが見てても、熱いのぶっぱなせーっ♪
※【天に響くは、月女神の詩】起動、瓦礫や岩を共振で破砕

うんうん、いっぱい砕けていい感じ♪
クリスもきっちり均してくれて…

ん?あ、出力ミスって遠めの岩まで!?
えへへ、ごめんごめん♪(テヘペロ&脚ブラブラ)


クリスティーヌ・エスポワール
ニコ(f02148)と参加よ
お揃いの旅装

確かに、道路なしで長距離移動は無理ね
大規模輸送なら、オンロードの方がいいでしょうし……
よし。それじゃ始めましょうか!

【電影の鞘は剣を抜く】で戦車と……こちらが本命の地雷原処理ローラーを召喚
「ニコ、瓦礫の方はお願いね!発車するわよ!」
本来は地雷用のローラーで地面を掘り返しつつ、瓦礫(ニコが砕いた分を含む)は穴に押し込んで、戦車の重量込みで均していくわ
「本来の用途とは違うけど、こういう使い方もありよね」
戦車の上で歌うニコのご機嫌なナンバーに乗って、整地作業も……
「って、こらー!それ片付けるの私なんだからね!」
調子に乗って遠くの岩まで破砕したニコにぷんぷん!



 荒野を歩む、お揃いの旅装を纏った二人の少女。ポニーテールに裸眼、ストレートに眼鏡と、装いに差異はあれど背丈や顔立ちは完全に同一の双子姉妹。
「んむぅ、ものの見事に荒地…地面があるだけマシ?」
 見渡す限りの荒野を眺め、緑の装いの姉、ニコレット・エスポワール(破璃の黒百合・f02148)が呟く。その『地面』さえ失われた世界の出身たる身としては、そうした感想も思わず漏れるが。実際に住む身としては…と思い直し前言撤回。
「確かに、この荒れ具合じゃあ長距離移動は無理ね」
 軽いノリのニコレットに対し、青の装いの妹、クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)は冷静に所感を述べる。大規模輸送は勿論、個人単位での行動にも難儀する有様である、と。
「よし。それじゃ、始めましょうか!」
 状況を一通り把握したクリスティーヌ、早速ユーベルコードを行使。電脳世界のアーカイブから呼び出されてきたのは、一台の戦車――に、クレーン車じみた長いアームが備わった車両。アームの先端には、複数の太いチェーンを備えたローラーを有している。
「おー?何々、このローラー?」
「本来は地雷処理に使うローラーよ。回転するチェーンで地面を掘り返して、地雷を安全に爆発させるためのものね」
 ニコレットが不思議そうに問うのに答えるクリスティーヌ。その距離は姉妹としても大変に近い。
「なるほどー、砲撃で瓦礫を砕いて、これで掘り返した地面に破片や石を敷き詰めていくってことだね」
「あ、瓦礫を砕くのはニコにお願いするわ」
 納得しかけたニコレットに、突っ込みじみたクリスティーヌの一言。予想外だったのか目を丸くして妹を見るニコレットだが、クリスティーヌの表情は紛い無き真顔であった。
「え、ボクが?…まったくもー、しょうがないんだからっ♪」
 しかしニコレットにとっても、それは理不尽な要求では決してなく。渋々といった様子は全く見せず、軽やかに跳躍すれば戦車の砲身の上へ腰掛ける。
「ええ、よろしくお願いね。それじゃ、発車するわよ!」
 クリスティーヌもまた戦車に乗り込むと、エンジンを始動させる。双子姉妹の道路敷設作業、開始である。

「さーって、これだけ広ければボクの歌声もめいっぱい届きそうだねっ」
 ニコレットの頭上の空間が歪む。彼女の念動力と展開されたナノマシンが、重力レンズを形成しているのだ。その凹面が向く先は前方、行く手に横たわる幾つもの瓦礫。
「La――La――La――…♪」
 発声練習とばかりに胸を張り、声を響かせる。歌声の齎す音波に思念の波が収束し、破壊のエネルギーが付与される。レンズによって指向性を与えられた波は瓦礫の一つへと向かって――これを粉々に砕いてゆく。
「うん、ご機嫌だねっ♪それじゃあテンション上げていくよー♪」
 コンディションは絶好調。軽快なテンポで歌い始めてゆく。瓦礫が次々と砕け、無数の細かな破片となって地に散らばってゆく。
「良い感じね。どんどん集めていっちゃいましょう」
 それらの破片を、クリスティーヌはローラーのアームに付属したドーザープレートを駆使して集め、ローラーの回転で抉られた地面に敷き詰めてゆく。そしてその上をゆっくりと前進すれば、戦車の重量によってそれらは踏み固められ、道路が形作られてゆく。
「かっとべラブキャノン、地平の果てまでっ♪カモメが見てても、熱いのぶっぱなせーっ♪」
 ノリノリで歌うニコレット、次々砕け散っていく瓦礫や岩。その破片を集めてゆくクリスティーヌの運転も心なしか軽快で。
「本来の用途とは違うけど、こういう使い方もありよね」
 何も兵器を戦闘以外に使ってはいけないという事はないのだ。平和的な利用法があるならそれに使ったって良い、クリスティーヌはそう考える。
(うんうん、いっぱい砕けていい感じ♪……あっ)
 妹の軽快かつ順調な舗装作業を満足げに眺めながらニコレットは尚も歌っていたが――そこで気付いた。
「って、こらニコーっ!!」
 同時にクリスティーヌも気付いたらしく、戦車の中から抗議の声が上がる。
 というのもニコレット、ユーベルコードの出力調整を間違えて、道路を敷設する予定の経路から随分離れた位置の岩まで砕いてしまったのである。
「まったくもう、調子に乗って!それ片付けるの私なんだからね!」
「えへへ、ごめんごめん♪」
 しかし当のニコレットは舌出しながら平謝り。両足は誤魔化すようにぶらぶらと。
 呆れながらも、本気では怒れない様子のクリスティーヌであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マイエ・ヴァナディース
【アドリブ・絡み・とらぶる等歓迎】

わたくしの愛車は荒野も平気ですが…
でも走り心地がいいに越した事はありませんわ
それに舗装や石畳と違って砂利道ベースなら楽ですわね

では早速…おいでなさい、アム!
『はい。お嬢様、只今』
※【アム・グランドブレイカー】起動、巨神姿のアムが召喚&変形
※【シルフェリオン二世・双環形態】と合体

『あの岩は整地に使えそうですね』
ええ、では砲撃してしまいましょう♪
『畏まりました。ファイア!』

こうしてビームやミサイルで破砕した石を
前部タイヤと後部クローラー2基、更にブレード4枚を駆使して
丁寧に敷き詰め押し固めますのよ

一通り済んだら海に脚を入れて涼を♪
アムは…あら、釣りをしてますわね?



 荒野を疾走する一台のバイク。科学より魔術の色が濃いようにも見える挙動のそれは、マイエ・ヴァナディース(メテオールフロイライン・f24821)の愛機『シルフェリオン二世』。その見た目通り、魔術的な力で稼動する魔導バイクだ。
「――やはり、走り心地が良いに越したことはありませんものね」
 潮風に靡く翠の髪の下から長く尖った耳を覗かせつつ、マイエは独りごちる。シルフェリオン二世はこうした荒野をも問題なく走破するものの、整備された道の方が走りやすいことには変わりない。故に、此度の任務は願ってもない機会だ。
「では早速始めましょうか。――おいでなさい、アム!」
 道を敷く予定の一帯を見据え、虚空に呼びかける。応えて空間が歪み、そこから現れるは、翠の鋼で形作られた巨大なる腕と脚、そして頭部。胴体は持たぬが挙動に支障は無い。それはかつて、アックス&ウィザーズの群竜大陸にて縁を結んだ魔導巨人。『アム』という名のゴーレムだ。
『はい、お嬢様。只今参りました』
 メイドを思わせる恭しい口調で、主たるマイエに応えるアム。それと同時に、胴持たぬ五体が変形してはシルフェリオン二世に接続され、四肢がキャノンやブレードといった武装となる。
「これより、この地に道を敷きます。協力、お願い致しますわね」
『畏まりました』
 主の意に応え、鋼鉄侍女の四肢が唸る。早速とばかり、前方に鎮座する岩を射程に捉える。
『あの岩は整地に使えそうですね』
「ええ、では砲撃してしまいましょう♪」
『畏まりました。――ファイア!』
 主に応え、アムの四肢が変形したビームキャノンが一斉に放たれる。狙い違わず岩へと撃ち込まれたビームが岩を砕き、無数の細かな砕石へと変じせしめる。
「あちらの瓦礫も砕いてしまいましょうか」
『心得ました。では――ファイア!』
 更に後部からはミサイルも放たれ、付近の瓦礫を打ち砕く。後に残るは小さな破片ばかりだ。
 そうして生じた砕石や瓦礫片は、前部のブレードを駆使して道の形へ敷き詰められてゆく。その上を、魔導バイクのタイヤとクローラーとが踏みしめ、押し固めてゆく。舗装作業は、順調に進行していった。

「…ふう、一先ずはこのくらいですかしら。アム、休憩に致しましょう」
『承知致しました』
 作業がひと段落したところでマイエが呼びかけると、応えたアムがバイクから分離して元のゴーレムの姿へと戻る。
 そして砂浜へと下りれば、目の前に寄せては返す波が見える。マイエは靴を脱いで波打ち際へ。
「…んっ、まだちょっと冷たいですわね…でも、気持ち良いです」
 波が白い素足を洗えば、冷たさに身を震わせる。しかし作業の後で火照った身には丁度良い。
 そうして涼みながら周囲を眺めれば、少し離れた場所で釣りを試みるアムの姿が見えた。
 美味しい魚が釣れるでしょうか、と釣果に期待を寄せるマイエであったとか。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
こういう時、工事に使える車両とか持ってるといいんですけどねぇ
仕方ないので、できることから始めましょうか

できること、すなわち
工事用触手の召喚です(まがお

いえ、わりと冗談ではないんですよ?
道路の敷地外から触手を召喚して
敷地内の瓦礫に絡みついて砕き、砕いた破片や砕石を触手が掴んで運搬して敷き詰めていく
あと、重たいローラーを動かして押さえつけるのも触手を操作してやればいいですかねー?

見た目は怪しいかもしれないですけど、術は術、道具は道具
ちゃんとコントロールしたら、人海戦術的に使えるんですよ?

ある程度作業がすんだら、海で一休みしに行きましょうか
足をつけて涼んだり…誰かいたら一緒に休むのもありですかね?



 潮風吹き抜ける荒野の只中、道路敷設予定の一帯を眺める青い髪の少女――もとい少年。彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)だ。
「こういう時、工事に使える車両とか持ってるといいんですけどねぇ」
 此度の任務に参加している猟兵の多くが、そうした車両を持ち込んだり呼び出したりしていたのを思い返し、ふと漏らす。一方のいちごはそのいずれも持たぬが、そんな己にも為し得ることがあると。そう思うが故に此度の任務へ参加したのである。
 彼にできること、即ち。
「ふんぐるいふんぐるい…星海の館にて微睡む我が眷属よ…」
 冒涜的な呪文に呼ばれ、彼の影から溢れ出すものは…そう、触手である。普段は任務の同行者をえっちな目に遭わせる存在という印象の強い存在であるが。
 いちごの制御を受けて、触手は道路敷設経路上の瓦礫に絡みつく。強靭なるそれらは、生物に対して同様に行えばその骨を粉々に砕く程の圧搾力を有している。瓦礫に対して行使すれば、瞬く間にそれらは砕け、無数の小片と化してゆく。
 そうして生じた破片や散らばる砕石は、長い触手が纏めて浚い、少数の浚い残しも小さな触手が掴み取ってゆく。それらを敷設経路に敷き詰め、穴を埋め、道の形に整えてゆく。
 その上を、近隣拠点から借り受けたローラーが転がってゆく。これも触手に引っ張られているものだ。
 いちごはそれらの触手を巧みに制御し、それぞれに作業を行わせることで、手数を以て車両持ちの猟兵に負けぬ程の作業量をこなしてみせる。触手という存在のイメージからは想像しづらいが、正しく制御できればこうした運用法も可能であるということだ。正しく制御できれば。

「…ふう、こんなところでしょうか」
 一通り道路の敷設作業を終え、いちごは触手を送還し一息つく。狂気の産物たる触手の制御は、見た目以上に精神力を消耗するのだ。
 一休みにと、近くの堤防跡から砂浜へと下りてゆく。果てなく広がる蒼い海が、潮騒と共にいちごを迎える。
 その波打ち際、履物を脱いで素足となって、波に足を浸してみる。海水の冷たさが、熱を帯びた肌に染み込み心地よい。
 水平線の上、空の中を、鳥じみた黒い影が舞い、大きな雲が渦を巻くのが見えた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『支える者』

POW   :    ――“発射”
【ミサイルや機関砲 】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    ――“散開”
技能名「【空中戦(回避機動) 】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ   :    ――“大祖国よ栄光あれ”
【大祖国の敵を撃滅する 】という願いを【他の“燕”】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 風の音と波の音とが断続する荒野の中、めいめいに工事を進めていく猟兵達。
 やがて、誰ともなく異変に気付く。それまでに感じられなかった異質な音が、耳に入ってきたのだ。

 聞こえてくるのは炎の音。高熱の炎が高速で噴出する――そう、ジェットの音だ。
 空を見上げれば音の主。鳥じみた黒い影が群れを成し、高速で飛翔し迫り来る。
 その正体は黒き鋼鉄の飛翔存在――戦闘機だ。この荒廃した世界の空を飛ぶ戦闘機など、尋常の存在ではあるまい。それを証立てるかのように、彼らの機首が一斉に火を噴く。機関砲による射撃が荒野を穿ち、猟兵達の敷いた道路にも突き刺さる。
 このまま好き勝手にさせれば、折角敷いた道路が一瞬でズタズタにされてしまうだろう。ただちに迎撃するべし。
アルトリウス・セレスタイト
遅参となったが働くか
まず堕ちて退場しろ

受ける攻撃は『絶理』『刻真』で自身を異なる時間へ置き影響を回避
此方の行動は目標が存在する時間へ向け実行
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる

天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める
高速詠唱を『刻真』で無限加速し即時展開
迷宮自体を『再帰』で無限循環して無数に重ね強度と自壊速度を最大化

内から外へは何もできず、逆は自由な理不尽の檻
存分に憤れ

無論迷宮とは迷うもの
攻撃手段も自壊し真っ直ぐは進めん。精々惑うが良い

出口は自身に設定
辿り着くなら『討滅』の破壊の原理を乗せ打撃で始末



「――遅参となったが働くか」
 蒼き燐光を纏った、黒銀装う白き青年――の姿せしモノが、戦闘機飛び交う空に蒼の瞳を向ける。アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)、かのオブリビオン群の襲撃直前にこの地へ降り立った猟兵である。
「先行した者達の築いたもの。無と還させはしない」
 蒼の瞳が細められ、己を目掛け飛び迫る戦闘機群を睨む。残骸たる身には眩い、人の縁、人の営み。それらを侵すものを排除せんとする明確な意思を、かのモノ達へと向けて。
 応えるが如く、戦闘機群が両翼に備えたミサイルを――放たんとして、何もせぬままアルトリウスの上空を通り過ぎる。其処にいるはずの彼が『其処』に居なかったが故に。
 旋回、再度の襲撃。機首で輝く火花。無数の鉛弾が大地を穿ち土煙を巻き起こし、火線の雨がアルトリウスを目指して迫る。
「………」
 アルトリウスは動かない。一切の防御行動を取ることがない。必要が無いからだ。
 果たして、降り注ぎ来た機銃弾の嵐はアルトリウスのもとへと到達し――通り過ぎてゆく。アルトリウスの身にも着衣にも、傷どころか焦げ跡の一つさえ残さぬまま。残せぬまま。
 彼はその場に居ながらにして、異なる時間軸に立っていた。彼が操る『原理』の力、その一端。時の原理と断絶の原理。姿こそ其処にあれど、彼は『其処』にはいない。故に、戦闘機群の攻撃が彼まで届くことはないのだ。
 一方のアルトリウス側からの干渉は可能。戦闘機群の動きは既に把握した。これ以上、かの存在を動かさせ続ける理由は最早無い。
「まず堕ちて退場しろ」
 三度向かい来る鉄燕を視界に捉え、宣言する。
「惑え」
 直後、戦闘機群は真っ逆さまに急降下。そのまま地面へと激突し、盛大な火柱を噴き上げ爆散した。
 この時彼が行ったのは、原理を編み上げ構築した論理の迷宮による捕縛。実際の迷宮は存在しないとはいえ、囚われたものが『迷宮に囚われた』概念の中にいる以上、迷宮を抜けるための行動を余儀なくされる。
 そして飛行機が空中で速度を過剰に落とせば、待っているのはただ、失速からの墜落。迷宮の力による自壊を待つまでもなく、彼を狙ってきた戦闘機群は一瞬にして全滅した。
「――損傷は、無いか」
 ここまでに敷かれた道路に損傷が無いことを確かめ、頷くアルトリウス。他の猟兵達と合流するべく、彼らの敷いた道を辿り、歩いてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

テリブル・カトラリー
『戦争機械・蒼い戦機』発動
砲撃を行う敵に向けて飛翔・高速移動。
早業、敵機体をすれ違い様にビーム刃で属性攻撃。斬り墜とす。

せっかく皆が敷いた道だ。あまり壊すな。
その場に一旦停滞し、存在感を出す事で道路を目立たない様、
敵をおびき寄せる。

空中戦に移行。高速移動で敵の追跡を振り切り、
戦闘知識から敵の軌道を見切り、制圧射撃を行う。

敵機の注意を引いたまま、追跡を完全に振り切るのは難しいか。
四方から放たれたミサイル、に対して粒子シールドを展開、盾受け。

爆煙の中、粒子増量、圧縮。
外部カメラ。地上に残した装甲車から情報収集。
敵機を確認。シールドバッシュ。

圧縮した粒子を開放し、衝撃波で敵を吹き飛ばし破壊する。



 荒野に敷かれた砂利道と、それを敷設する猟兵達を狙い、攻撃を開始せんとする戦闘機群。
 そこに閃く、蒼い光。上空目掛けそれが突き抜けていった直後、編隊を構成する一機の片翼が斬れ落ちる。飛ぶ術失った機体もまた荒野を目掛け急降下、地へと突き刺さり爆散する。
 蒼い光が上空で静止する。それは蒼き装甲を身に纏うウォーマシン。片手には輝く粒子の刃を具えたライフル。テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)、彼女がそれまで纏っていたナノマシン装甲に代え、ユーベルコードの産物たる蒼の装甲を纏った姿だ。
「せっかく皆が敷いた道だ。あまり壊すな」
 髑髏を思わせる頭部の眼窩に戦闘機群を映し、威圧的に告げる。その存在感を脅威と捉えたか、飛翔する鉄燕は旋回と共に散開し、多方面から蒼き戦機を狙ってその機首を向ける。
 先陣とばかり真っ先に飛び来たる一群に対し、テリブルはブースタを吹かし彼らに負けぬ速度で飛翔。追いすがる燕らにライフルを構えれば、速射性能の限りを以て掃射。かわし損ねた一機が炎を噴きだしやがて爆散、残りは上下へ機首を向け散ってゆく。横合いから火線が走る。身を捻りかわす。
(やはり、追跡を完全に振り切るのは厳しいか)
 小回りというアドバンテージはあるものの、敵も然るもの。直接テリブルを狙うもの、その機動を抑えるべく距離を取って牽制するもの、と連携を以て彼女を追い詰めにかかる。
 そして四方を囲った鉄燕達が、中心の蒼き戦機に狙いを定める。全機の両翼より誘導弾頭が火を噴き、飛び出してゆく。蒼空に白煙の軌跡を描くミサイルの群れが、テリブル目掛けて殺到する。
(――粒子展開)
 腕を掲げる。輝く粒子が広がり、盾となってその身を守る。ミサイルが命中、黒煙と爆炎が空中に華と広がる。
(――外部カメラに接続)
 黒煙の中、通信を飛ばし視座を切り替える。地上に残してきた装甲車の車載カメラだ。遠隔操作で上空へとレンズを向ければ、未だ広がる爆煙の周囲を油断なく旋回する敵群が見える。
(――敵群、射程内。粒子増量、圧縮)
 地上の装甲車から上空を狙い、砲撃を行う。命中こそせずとも成果は十全。奇襲が、敵群の挙動に乱れを生ずる。好機。
(――粒子、解放。一斉放射)
 直後。黒煙の内側で、光が弾け。伴って生じた衝撃波が、黒煙を吹き飛ばし。無数の粒子と共に、周囲の戦闘機群へと突き刺さる。次々と爆発炎上し、墜落していく鉄燕。
「敵集団、全滅。――静かになったか」
 己以外に飛ぶものの見えなくなった空の中。淡々とした事実確認の後に漏れた一言は、淡白ながらに実感の重みが仄見えて。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
急いだ方が良さそうですねぇ。
始めましょうかぁ。

【燦華】を使用、全身を『光』に変換して上空へ一気に移動し戦闘機の『上』を取りましょう。
そして『FRS』『FSS』を展開し[砲撃]による[範囲攻撃]の雨を降らせますねぇ。
飛行機の構造上、上から狙い易い『主翼』『尾翼』等を破壊してしまえば撃墜は容易ですし、上に居る私を狙ってくれれば、地上への被害も減らせますぅ。
落下物が一点集中しない様小刻みに移動しますねぇ。

ジェット戦闘機の中には『音速』を越える物も有りますが、『光速』には及ばない以上速度は此方が勝りますし、実体の曖昧な『光』にミサイルや機関砲等は通じません。
確実に叩きましょう。


イヴェッタ・レチアーノ
道路一つ壊すのに戦闘機の集団なんて容赦ないわね
だったら私も手段を選ばないわよ

敵戦闘機の編隊の仕方から隊長とそれ以外を見抜いて
隊長以外に『飛躍せし抗体』で召喚したいソフト群による
電子データ化レーザーを当てるわよ

一機だけでも当てれば隊長以外の敵機の通信に介入して、
・私が貴方達の同盟国の人間であること
・貴方達の機体や通信は敵国に乗っ取られていて、誤った攻撃を誘導されていること
・私の力なら機体の乗っ取りを克服できること
を嘘と思われない位堂々としながら
敵の願いの賛同に邪魔していくわ

隊長が論破してきたらむしろそっちの祖国の良さを、
特に帝の素晴らしさを説いてリーダーの評判を間接的に下げるわ



「道路一つ壊すのに戦闘機の集団なんて、容赦ないわね」
 上空を飛び交う戦闘機群を見上げ、イヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)は眉根を寄せる。今更な感慨ではあるが、改めてオブリビオンという存在の理不尽さを実感せざるを得ない。
「あれだけの敵数。本腰入れてきたら一堪りもないかとぉ」
 応える夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)も声音こそ常ののんびりさを保っているが、見上げる視線に油断は無く。
「それなら、どんな手段を使ってでも殲滅しなきゃね。行きましょ」
「ええ、始めましょうかぁ」
 頷きあう両者。まず動くのはるこるだ。
「大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ――」
 己の奉ずる女神へ祈りを捧げれば、その身より光が生じ――否、るこるの肉体そのものが光と化して。人の形失った光の固まりが、一気に上空へと飛翔する。
 その速度は正しく光速。文字通り瞬きの間に、るこるの身は戦闘機群の飛翔高度より更に高くまで上昇。彼らの上を取って見せた。
 唐突に自分達の頭上へ現れた光に、鉄燕達の動きが目に見えて乱れる。無論、るこるはその隙を見逃しなどしない。
「それでは、落とさせて頂きますねぇ」
 そして光の中から現れ出るは、12基の大型砲台と8基の盾つきの砲台。彼女の主武装たる、浮遊武装達である。
 それらが一斉に火を噴き、熱線を放てば、戦闘機の主翼や尾翼を捉え、これらを次々と破壊していく。文字通り翼をもがれた鉄燕達は、そのまま墜落してゆくが――その落下軌道が急激に変化してゆく。あたかも物理法則を無視しているかのような動きで。その目指す先は――猟兵達の敷いてきた道路。
「死なば諸共、ってつもりかしら。ふざけたことしてくれるわね」
 あの機動。恐らくは敵対者の殲滅を願うという彼らのユーベルコードか。地上よりその様子を捉えたイヴェッタは忌々しげに呟く。無論、それだけではない。その背後に展開するのは、全70基近いレーザー銃。正確には、ネットワーク上のウィルスからコンピュータを守る為のソフトウェア、現実に顕現させたそれらから生成されたものだ。
「でも、その望み。邪魔させてもらうわよ!」
 狙うは、墜落軌道に入っている戦闘機達。指差したそれらへ、一斉にレーザーが放たれる。光条は正しく一瞬で目標まで到達、命中した対象は電子的なデータと化す。即ち、ソーシャルディーヴァたるイヴェッタが干渉を行える状態だ。
「――あ、あー。聞こえるかしら」
 己に搭載されたサーバを介し、戦闘機の搭乗者へ呼びかける。
「此方は――共和国の者よ。今すぐ攻撃行動を停止なさい」
『――!?――共和国、我等――大祖国の――』
 途切れ途切れに返ってくる、戦闘機パイロットからの通信。アポカリプスヘルに生まれ育った身の上ゆえ、オブリビオン・ストームの訪れる前に存在した国々のことも未だ記憶に残っている。かの戦闘機は恐らく、かつて存在した大国のもの。それを踏まえ、かの国の同盟国の名を出したのだ。
「そう。そしてその機体は――帝国の工作で敵味方を正常に認識できない状態にあるわ」
 続いて出したのは、かの大国と敵対していた国の名前。
「私ならあなた達を正しく誘導できる。従ってもらえるわね?」
『――だが、この機体はもう――』
「そうね。でも、守るべきものを墜落に巻き込んで破壊することは防げる。具体的には、あの道路をね」
 彼の視界に入っているだろう道路を示し、イヴェッタが告げる。このままいけば、戦闘機は道路を直撃して墜落するだろう。だが。
『――ああ――そう、か――俺達が――守るべき――は――』
 イヴェッタの言葉が届いたか。戦闘機群の墜落軌道が再度変化。道路を飛び越え、或いはその直前で。道路に影響を与えない地点で墜落し爆発した。

「翼を壊しても軌道変化可能でしたかぁ…油断大敵ですねぇ」
 一方、上空で光となっていたるこるは、尚も飛び迫る戦闘機群を撃ち落しながら顛末の一部始終を確かめ、苦笑する。とはいえ、未だ光と化している身ゆえ表情は窺い知れないが。
「そういうことならぁ、確実に一機ずつ破壊ですねぇ」
 だがそうと分かればやりようはある。火線を集中させ、一機一機を空中で確実に爆散せしめてゆく。反撃は光そのものたるるこるには通じず、伴う浮遊砲台群へ僅かな損害が生ずる程度だ。
 討ち漏らしはイヴェッタが対応し、道路への被害を与えさせはしない。
 そうして、この空域の戦闘機群も全滅と相成ったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコレット・エスポワール
クリス(f02149)と一緒っ♪

あの飛行機、歴史資料の映像で見たよっ!
でもアクロバットフライトなら演出に歓迎だけど
爆音は雑味が強くて使えないなぁ…

ってわけで、クリス飛んでっけぇーっ♪
ボクが即興でノセてあげるからさー…へへっ♡

♪レンズの泉で揺らめく瞳、赤い月の色♪
♪あなたに触れたなら、涙の星が降るの♪
♪見つめ合えば、ほら同じハートビート♪
♪時間なんて無関係、あなたと一緒なら♪
♪心が花火より煌めくの、二人のソラに♪

※クリスの戦闘機に同乗して軽く明るいラブソングを熱唱するが
※実はクリスを支える想いから【Chanson d'amour】として機能
※敵機の『攻撃手段』とパイロットの『マイナス思念』を攻撃


クリスティーヌ・エスポワール
ニコ(f02148)と参加よ

アポカリプスヘルの空で戦闘機!
間違いなくオブリビオンね……って爆音は流石にニコの演出には似合わないわよ?
もう少し軽い方が……

「そう、やっぱりこういう曲の方がニコには似合ってる。行くわよ、どこまでも飛んでいってあげる!」
自前の早期警戒機De108Eで敵と空戦!
ニコの歌に乗りながら【操縦】【空中戦】
空戦には不利な機体だけど、そこは腕で補う!
「♪時間なんて無関係、あなたと一緒なら♪」
ニコのリズムに乗りながら、天使とダンスするような戦闘機動
「心が花火より煌めくの、二人のソラに……だから、あなたは墜ちなさい!フォックス2!」
【電影の鞘は剣を抜く】でミサイルを投影し発射!



 爆音と機関砲弾の雨を残し荒野の空を飛び抜ける戦闘機群、弾雨をかわして離れゆく鉄燕を見据えるは双子の姉妹猟兵。
「わぁ、見てクリス!あの飛行機!歴史資料の映像で見たヤツだよっ!」
 今しがた攻撃されたことも気にしてないかの如く。嬉々として、戦闘機群を指差すのは姉のニコレット・エスポワール(破璃の黒百合・f02148)。
「でも紛れもなくオブリビオンね、いきなり私達に攻撃してきたし…」
 一方の妹、クリスティーヌ・エスポワール(廃憶の白百合・f02149)はあくまで冷静に。猟兵ならば一目でオブリビオンと分かる以上に、このアポカリプスヘルの空を飛ぶ戦闘機など尋常の存在では有り得ない。
「まあねぇ。アクロバットフライトは演出として良いんだけれど…」
 爆音は雑味が強くて使えないなぁ、とニコレットは肩を竦める。猟兵業の傍らで芸能活動をしている彼女、任務の合間であれ切欠あらばそうした思考が頭に浮かぶ模様。
「爆音は流石にニコの演出には似合わないわよ、もう少し軽い方が…」
 クリスティーヌが思わず彼女の思いつきに突っ込みを入れる合間に。遠ざかっていたその爆音が、再び迫ってくる。
「って、そんなこと言ってる場合じゃないわね」
 気付けば気を取り直して。クリスティーヌは電脳空間より一機の機体を呼び寄せる。『De108Eデルタ・アイ』、元はスペースシップワールドにて銀河帝国が運用していた宇宙戦闘機、その早期警戒型だ。元々宇宙での使用を前提とした機体ではあるが、鹵獲の後改良されたこれは大気圏内でも問題なく飛行が可能。即ちこれを以て空中戦を挑む構えである。
「さあ、行くわよニコ!どこまでも飛んでいってあげる!」
「おっけー、クリス飛んでっけぇーっ♪ボクが即興でノセてあげるからさー…」
 そして姉妹が乗り込めば、デルタ・アイは三枚の翼からバーニアを吹かし空へと舞い上がる。再度飛び迫る鉄燕の群れへ、向かってゆく。

「♪レンズの泉で揺らめく瞳、赤い月の色♪」
 デルタ・アイの機内に響くはニコレットの歌声。明るく軽快なラブソング。
 リズムに乗るようにデルタ・アイもまた軽快に宙を舞い、敵機が放つ火線の合間をすり抜けてゆく。
「♪あなたに触れたなら、涙の星が降るの♪」
 元々が索敵・電子戦性能と引き換えて機動性に劣る機体、改修で補ったとはいえ大気圏内の飛行には適さぬ仕様。対する敵は大気圏内の空戦に最適化された機体。性能上のビハインドは相当だが、クリスティーヌは巧みな操縦で機動力に上回る敵と渡り合う。彼女の操縦技術の賜物でもあるが、それだけではない。
「♪見つめ合えば、ほら同じハートビート♪」
 一瞬、姉妹の視線が重なる。歌声に重なる、妹を支えんとする姉の想い。それがユーベルコードとなって、クリスティーヌに本来以上の力を発揮せしめているのだ。
 そしてユーベルコードの効果は敵する鉄燕達にも。放たれる思念波が敵機を捉えれば、操縦者の攻撃意志が削がれると共に、機体の火器管制システムに異常を発生せしめ。幾度も姉妹の機体を捉えながら、攻撃行動を行えずにいた。
「「♪時間なんて無関係、あなたと一緒なら♪」」
 いつしかクリスティーヌも声を合わせ、姉妹はデュエットを奏でだす。青き乗機は天使とダンスするかの如き華麗な機動で敵機を捉え、放ったレーザーがこれを撃墜せしめる。
「「♪心が花火より煌くの、二人のソラに♪」」
 そして敵編隊を正面に捉えたその時。デルタ・アイの周囲に無数のミサイルが現れる。クリスティーヌのユーベルコードにより投影された空対空ミサイル群だ。
「…だから、あなた達は墜ちなさい!!」
 歌っていたクリスティーヌが叫べば、ミサイル群が一斉に点火、射出されて。迎撃の機銃もすり抜けたそれらが次々と戦闘機群へと命中、二人の踊る空へ無数の花火を咲かせていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
こんなところで戦闘機とは
やっぱりこちらも空飛ぶ乗り物が欲しいですね
そう思ってたら、こちらに来ていたマイエさん合流できたので、タンデムで一緒に乗せてもらいます
「すみません、お願いしますね」
後ろからしっかりと捕まって…マイエさんの身体柔らかい、とか考えてる場合ではっ

こちらも【異界の深焔】で生きた炎を呼び出して戦闘機にぶつけていきますが…マイエさん、動きが速いですっ!?
急加速に急ターンでふりまわされ、落ちないようにしっかりとしがみついて…(ふにゅん
あ、ああっ、掴みやすいからって今掴んでるの胸っ!?
ごめんなさいごめんなさい、でも離したら落ちてしまうのでぇ!?

それにしてもすごいスピードですね…


マイエ・ヴァナディース
【恋華荘】
速い…あれが、噂に聞く鋼の鳥?
ですが、アム…!
『はい。不詳アム、本懐を果たしましょう』
※ユベコ起動で【空中戦】に突入
※合体時は槍の穂先的なSF戦闘機風フォルム
※風圧や酸欠は愛車の保護魔術で対処

あら…?まあ、いちごさん!
是非是非、後にお乗りくださいませっ
墜ちない様、しっかり掴ま(ふにゅ)…っ!?
と…ともあれ、参りますわよ!

ふふっ、小回りはこちらが上ですわね♪
背を取ったら追尾ビームや小型ミサイルで…!
※バイクらしい急旋回をキメつつ乱れ打ち

はぁ、はぁっ…い、いちごさん…あの、胸…
…恥ずかしいですが、離さないで下さいな…
※動力源の副作用と羞恥で赤面

『不詳アム、恐縮…です』
※少し照れた様な音声



「こんなところで戦闘機とは…」
 頭上の空を飛び交う戦闘機群を睨むは彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)。空を飛ぶ手段を持たぬ彼、やはり空飛ぶ乗り物が欲しい…そう思っていたところに地上から響くエンジン音。
「速い…あれが、噂に聞く鋼の鳥ですのね」
 近づいてくるのは魔導バイク『シルフェリオン二世』、騎乗するはマイエ・ヴァナディース(メテオールフロイライン・f24821)。上空の鉄燕群を見上げ、漏れるは感嘆の声音。
「マイエさん!」
「あら…?まあ、いちごさん!」
 見知った顔に気付いたいちご、彼女の名を呼び駆け寄る。マイエの方もいちごに気付けば、己が身を寄せる寮の管理人の見慣れた姿に嬉しげな声で応える。
「まさか、あんなオブリビオンが襲ってくるなんて…」
「なるほど、あの鋼の鳥への対抗手段を求めておいででしたのね」
 いちごの語る現況に、マイエは納得したように頷いて。
「そういうことでしたらば、どうぞ此方にお乗りくださいませっ」
 己の背後の乗車スペースを示し、いちごに乗るよう促す。即ちタンデムである。
「すみません、お願いしますね」
「ええ。墜ちないよう、私の腰にしっかり掴まって下さいませね」
 ぺこりと頭を下げ、応じてマイエの後ろに着席するいちご。そしてマイエの腰へと腕を回ししっかりと掴まりにかかるが。
「「…っ!?」」
 ふにゅりと。いちごにはマイエの身体の柔らかな感触が。マイエにはいちごが己の身体に掴まる感覚が伝わって。
(…ま、マイエさんの身体、柔らかいです…)
(いちごさんの腕、思ったよりしっかりとなさって…)
 互いに感じるその感触に、思わず顔を赤くしかけてしまうが。
「…と、ともあれ参りますわよ!アム!」
 誤魔化すようにマイエが叫べば、先程の工事の折にも協力したメイドゴーレムへと呼びかける。
『はい。不詳アム、本懐を果たしましょう』
 現れた無胴の魔導巨人は先程までと異なり、その四肢に数多の武装を備えた武器庫形態。マイエが発動したユーベルコードに応えてその形を変え、合わせるが如く変形する魔導バイクに合体してゆく。
 そうして形作られた姿は、鋭き槍の穂先を思わせる鋭角的なフォルム。スペースシップワールドの宙間戦闘機を想起させるその形状の名は『風精形態』。
「さあ、参りますわよ!風に乗って!」
『不詳アム、何処までもお供致します』
「はい、お願いします…!」
 マイエがハンドルを捻れば、シルフェリオン二世の後方で風が渦巻き――直後、ジェットめいた爆発的な加速を生む。その勢いのまま、風の槍となったバイクは上空目掛けて飛び立っていった。

 突如上空に現れた敵性存在に、戦闘機群は一瞬混乱したかのようであったが。すぐに平静を取り戻し、散開して迎撃に向かってくる。
 正面から来る戦闘機の放った機関砲を、シルフェリオン二世は滑るような飛行軌道変更でかわし、そのまま交錯。
「遠き星海にて燃え盛る神の炎よ…!」
 その瞬間、いちごが身を捻り片手を掲げれば。その掌から溢れ出た蒼い深淵の炎がミサイルじみて撃ち出され、戦闘機の胴部へと食らいつく。やがてエンジン部分に引火すれば、そのまま全体が炎に包まれ爆散していった。
「お見事ですわ、いちごさん!では私も…!」
 いちごの戦果に快哉を上げつつも、マイエは前方を見据える。見れば、前方を斜めに横切ってゆく戦闘機がミサイルを撃ち出してきたところだ。
「なんの!」
 ハンドルを更に握り込み、一気に加速。空中をうねりながら迫るミサイル群の間を駆け抜けて。
「背後、頂きますわよ!」
 そしてそのまま急旋回。離れてゆくミサイルの向こう、戦闘機の背後が見える。
「わわわっ!?」
 だがいちごはその急激な機動に対応しきれぬようで。必死にマイエの身体にしがみついて落下せぬよう耐える。
「…っ、はぁ、取りましたわ…!これで…!」
 グリップ根元のボタンを親指で押下。機体に備わる砲塔から放たれる魔力のビームが、戦闘機の尾翼へ喰らいつき。そのままエンジンまでも貫いて、これも爆散せしめる。
「まだまだ、頂きますわよ…!」
 ちょうど、下方を通り過ぎる戦闘機が見えた。再びハンドルを切り急旋回。転回完了を待たずして、装甲の一部が開けば、顔を出すのは無数の小型ミサイルだ。
「墜ちなさいっ!」
 高速で撃ち出される小型ミサイル群が、白い蛇めいて煙の尾を引き、鉄燕へと喰らいつき。無数の爆炎を以てこれをバラバラとせしめた。
「…す、凄いスピードと火力、ですね…」
 その機動力を最大限に活かして戦闘機群を翻弄し、撃墜せしめるシルフェリオン二世の勇姿に、いちごはただただ驚嘆するばかりだった。落ちてしまわないよう、柔らかなマイエの身体をぐっと握る。
「…ふぁっ、はぁ…っ。い、いちごさん…あの、胸…」
「…へっ!?」
 そこに上がる、マイエの艶かしい声音での抗議。気付けば、いつの間にかいちごの手は彼女の形良くも豊かな膨らみを鷲掴みにしていた。
「ご、ごめんなさい!?で、でもどうしたら…」
「…は、恥ずかしいですが…離さないで、下さいな…」
 顔を真っ赤にして慌てるいちごだが、それ以上に赤面した状態のマイエは敢えてその状態を維持させんとする。下手に離させようとすればいちごが落ちてしまう恐れがあるためだが…或いは、彼に遠い故郷の父の面影を見ているが故も、あるかもしれない。
『不詳アム…恐縮、です…』
 そんな二人の遣り取りを、バイクに合体した状態でも意識を保つアムが恥ずかしげに見守っていたとか。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
理緒さんと

「空を飛ぶ敵なら、こちらも飛んで対抗です!
オベイロン!ティターニアと合体です!」

【夏の夜の夢】でオベイロンとティターニアを変形合体。
パワードスーツとして装着し、高速で飛翔します。
そして理緒さんと戦術プログラムをリンク。情報を共有します。

「機関砲程度の攻撃は、このパワードスーツには通用しませんっ!」

敵の機関砲攻撃はパワードスーツの機動力で回避。
ミサイルは理緒さんのECMによるジャミングに任せましょう!

「ミサイルを撃てるのがそちらだけだと思わないことですねっ!」

ミサイルランチャーを戦闘機に向けて構えます。

「理緒さん、今ですっ!」

理緒さんの対空攻撃とタイミングを合わせて攻撃です。


菫宮・理緒
アイさんと

ちょーっと出遅れたけど、ここから挽回だね!

空は飛べないから、ここは地上からの対空砲火でいこう。
【リオ・セレステ】に乗って、対空戦準備。
もちろん動きは止めずに、移動しながら戦うね。

【E.C.O.M.S】を使って対空砲火。
アイさんの『オベイロン』と連携して、敵機を撃ち落としてしていくね。
「戦術プログラムリンク。火器管制グリーン!」

同時に相手にジャミングをかけて、
できるならシステムダウンを引き起こしたいな。
そこまでは無理でも、ミサイルとかの誘導くらいは妨害しよう。
「ECM最大出力。フルジャミング開始っ」

立体機動で飛べるアイさんと、
2次元的動きが限界の戦闘機では、勝敗はあきらかだよね。



 機動戦車『オベイロン』のセンサーが、敵性存在の接近を探知する。
「むむっ。この反応は…戦闘機が複数ですね。…と、それと…?」
 オベイロンの操縦席にて、レーダーに映るそれらの反応を確かめ唸るアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)。敵は空を飛び、そして数も多い。苦戦は免れぬか…と思案していた処にキャッチした別種の反応。識別信号は猟兵。つまり味方だ。
『アイさーん!ちょーっと出遅れたけど、お手伝いに来たよー!』
 直後に繋がった通信から飛び込んできたのは、耳に馴染んだ友人の声。そしてモニタに映るもまた見慣れた姿――菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)だ。近づく反応は彼女の乗り込む装甲車『リオ・セレステ』であった。
「理緒さん!助かりました、丁度いいところに!」
 思いがけない援軍に、アイも明るい声で通信に応える。
『遅れた分、ばっちり挽回するよー!』
 理緒もやる気充分。そのまま即席の作戦会議が始まる。
「敵は空を飛んでいますから、こちらも飛んで対抗です」
『あう、リオ・セレステは空飛べないんだよね…。地上から援護するよ』
「おっと、そうでしたか…では援護お願いしますね。前衛はお任せを!」
『うん、アイさん気をつけて、ねー』
 作戦会議終了、直後にアイが動く。
「オベイロン!合体して仕掛けましょう!ティターニア転送、合体プログラム起動!」
 直後、オベイロンの直上へと電脳空間から転送されてくるのは小型の宇宙戦艦『ティターニア』。そして二機の戦車と戦艦とが唸りを上げて分解変形を開始。オベイロンから飛び出したアイの身を覆うように再構成、結合、合体してゆく。
 数秒の後にそこに立っていたのは、総身を白きパワードスーツで鎧ったアイの姿。二機の合体によって生まれた戦闘形態だ。
『戦術プログラムリンク開始。火器管制システムチェック…オールグリーン!』
 パワードスーツとリオ・セレステの間に、戦闘情報共有のためのリンクが確立される。リオ・セレステの周囲を、蒼く輝く正八面体のユニットが護るように旋回する。ユーベルコードによって生み出された戦闘ユニット『Octagonal Pyramid』だ。
「さあ、行きますよ!理緒さん、援護よろしくお願いします!」
『おっけー!アイさんも気をつけてね!』
 遣り取りの直後、パワードスーツの背部からバーニアが激しく吹かされ。白き巨体を、瞬く間に上空へと飛び立たせてゆく。

 白い光が駆け抜け、戦闘機の一機が爆散する。パワードスーツの腕部から展開されたプラズマブレードによって両断されたのだ。
 驚き対抗せんとする戦闘機群だが、地上から撃ち放たれるレーザーの嵐に貫かれ更に一機が落ちる。理緒の対空砲火だ。
 生き残った戦闘機達が四方から殺到し、機関砲の集中射撃を繰り出さんとするが。
「機関砲程度の攻撃、このパワードスーツには通用しませんよ!」
 巧みに機体を上下左右に動かし、火線の嵐を飛び抜けてゆく。その身に損傷は見えない。返す刀で撃ち放ったレーザーガトリングの掃射が一機を捉え、これを撃墜せしめた。
 機関砲で有効打を与えられぬと見て、戦闘機群が一斉にミサイルの発射準備に入るが。放たれたそれらは、てんでバラバラの方向へ飛んで爆散してゆく。何故か。
『ECM最大出力、フルジャミング開始っ!』
 理緒のコマンドに応え、リオ・セレステから強力な妨害電波が放たれているが故だ。流石に戦闘機そのもののシステムをダウンさせるには至らなかったものの、ミサイルの誘導システムを狂わせるなど戦闘機群には異変が生じその動きを鈍らせる。
「ミサイルを撃てるのは、そちらだけじゃないですよ!」
 そこにアイが動く。パワードスーツの肩に担いだミサイルランチャーを構え、飛び回る戦闘機群を次々とロック。
『よーし、一気に決めちゃおっか!』
 戦術プログラムを介しその動きを把握した理緒もまた、ユニット達に指示を下し。応えたユニット群は戦闘機達へと狙いを定める。
「行きますよ、理緒さん!3、2、1!」
『いっけー!!』
 ミサイルランチャーから無数のミサイルが吐き出され、更に地上の攻撃ユニット群が上空へ無数の光条を打ち上げる。
 ミサイルの爆発と、レーザーの光。常ならぬ存在の嵐に惑わされる戦闘機達は為す術なく巻き込まれ撃ち落され。

 そうして、戦闘機オブリビオンの一団は一機残らず、上空から姿を消すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『グレイ・グー』

POW   :    シビアウェザー
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
SPD   :    一度として現れないことを祈る
【集中豪雨】を降らせる事で、戦場全体が【極度の悪天候】と同じ環境に変化する。[極度の悪天候]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    終焉の灰
攻撃が命中した対象に【自己増殖するナノマシン】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【分解機能】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はウラン・ラジオアイソトープです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 戦闘機オブリビオンを全滅せしめた猟兵達。上空に影は無く、漂う雲はあくまで白く。
 安堵の息を吐きかけたところに、更なる異変が生じてきた。

 見る間に暗くなってゆく空。轟くのは雷鳴の音。見上げれば、うず高く聳え立つ積乱雲が、空より猟兵達へのしかからんとしていた。
 そして猟兵達の目には理解できる。――この存在は、オブリビオンである、と。
 雲そのもののオブリビオン、文字通り雲を掴むかの如き存在との対峙に、困惑する猟兵の声も漏れるが。

「あれは――完全な雲じゃあない。無数のナノマシンの集合体だ」

 猟兵の一人が告げる。無数の微細なナノマシンが集結し、大きな雲の形を作り上げているのだ、と。故に、攻撃を加えればそれだけナノマシンが壊死していく。殲滅しきることは充分に可能な相手だと彼女は言う。
 なれど、驚異的存在には変わるまい。雲塊が目前まで迫るに至り、大地には猛烈な大雨が降り注ぎ始める。長く放置すれば、折角敷いた道路が流されてしまいかねないほどの勢いだ。
 そうはいかない。この存在を打ち倒し、皆の成果にしてこの世界の未来たる道路を守るため。猟兵達は、雲へと挑んでゆく。
菫宮・理緒
アイさんと

引き続き【リオ・セレステ】に搭乗して戦うね。

しかしあれが全部ナノマシンなのか……。
ちまちまやっていても埒があきそうにないかな。

持久戦になったら、ジリ貧に追い込まれそうだし、
ここはアイさんと連携して、一気に決めないとかな!

アイさんのヴェルヌ・キャノンに頼りたいところだけど、
あの雲では月が見えない……ってそうか!
「見えないなら、見えるようにすればいい!」

【情報収集】と【世界知識】も使いつつ、
アイさんとの並列計算で月の位置を把握。

【テスカトリポカの鏡】の射線で、
雲に穴を開けて、月を出させるよ!

やった!?

と、思ったらまだナノマシンが残っていて、
アイさんといっしょに配信されてしまうのでした。


アイ・リスパー
理緒さんと

「理緒さん、大技を撃ちますので、援護をお願いします!」

高度な計算能力が必要になるので【並列計算】により戦闘の様子を周囲の拠点に生配信。
映像を見ている人たちの計算機から演算能力を分けてもらい、【月世界旅行】を発動します。

「理緒さん、今ですっ!」

理緒さんによって雲が吹き飛ばされた一瞬。

「月が……見えましたっ!」

装着しているパワードスーツにアンテナを展開。
月面に召喚した電基地からマイクロ波を受け取りエネルギーチャージ。
全力の荷電粒子砲で敵を撃ちます!

「やりましたかっ!?
って、きゃあっ!」

ナノマシンの分解攻撃を受け、パワードスーツごと服を分解され……
全裸になったところを生配信されるのでした。



 空色の装甲車に、容赦なく激しき雨が打ち付ける。その車内、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は外部の状況をモニタリングしながら眉根を寄せる。
「あれが全部、ナノマシンなのかー…」
 モニタを埋め尽くす鈍色の雲。その全てがナノマシンという話であったが、だとすれば果たしてどれだけの数が集まっているというのか。途方も無い話ではある。
『これだけの数です、小手先の攻撃手段では焼け石に水でしょうね』
 そこに聞こえてくるのは通信機越しの声。先の戦闘機群との戦いから引き続きパワードスーツを纏っているアイ・リスパー(電脳の天使・f07909)だ。彼女もまた、眼前の積雲を分析しながら対処を検討しているようだった。
「うん、ちまちまやっていても埒が開かないと思う…っ!」
 そこで理緒は気付いた。雨に打たれる装甲車――リオ・セレステの装甲が溶けかけていることに。雨に酸性があるわけではない、これは即ち。
『雨に乗せてナノマシンを送り込んでいる…!放っていたら全部溶かされてしまいます!』
 アイもまた、パワードスーツが同様の状態にあることに気付いた。ハッキングでナノマシンに干渉し機能を停止させるが、剥がすそばから新たなナノマシンが雨に紛れ襲ってくる。
「これ、持久戦になったらジリ貧に追い込まれちゃうね…!一気に決めないと!」
『ええ。ついては理緒さん、ひとつお願いが!』
 ナノマシンの侵食が防ぎがたい以上は、短期決戦あるのみ。理緒とアイの見解はここに一致した。そしてアイからの依頼。
『私の一番の大技を撃つために、援護をお願いしたいのです!』
 アイの一番の大技。彼女との付き合いも長い理緒は、それだけで意図を理解した。
「アレだね!おっけー、任せておいて!」
 リオ・セレステの演算能力を全開として、計算を開始。更にアイも動く。
『ネットワーク接続成功――皆さん、突然の配信失礼します!』
 この世界に残るネットワークへと接続すれば、パワードスーツに搭載したカメラを介しての生放送を開始。周辺拠点でネットに接続していた視聴者達に呼びかける。
『皆さんにお願いがあります!皆さんのコンピュータを、私の計算の補助に使わせて頂きたいんです!』
 上空のオブリビオンを倒すための武装を起動するには、己の演算能力だけでは不足。ゆえに一台でも多くのコンピュータを並列接続、演算能力の底上げを図りたいのだと、協力を求めたのである。
 そんなアイの懇願に、此度道路で繋がれようとしていた両拠点の住人をはじめとする多くの視聴者から、続々と同意の声が上がる。ネットワークとユーベルコードを介し、それら全てのコンピュータがパワードスーツと繋がり、演算能力を飛躍的に向上させてゆく。
『ありがとうございます…!目標座標計算、ロック完了!レクテナベース展開開始…!』
 リオ・セレステのそれも含め数多のコンピュータの力を借り、必要な計算を着々と進行してゆくアイ。だが、大きな問題が一つ、残っていた。
「この雲を何とかしなきゃ…!」
 頭上に厚く垂れ込める、オブリビオンが形成する雨雲を睨み上げる理緒。降りしきる雨によって浴びせられるナノマシンが装甲を分解し続けている。悠長に思考する時間は無い。ではどうするか。
「…そうだ!見えないなら見えるようにすればいい!」
 ひとつの結論に至った理緒。早速とばかりにコマンドを入力すれば、リオ・セレステの空色の装甲が展開、変形を開始する。車輪のそれぞれが地を踏みしめる脚となり、本体上部の主砲を力強く支える。ものの数秒をもって、装甲車は主砲を撃つために最適化された姿――一基の大型砲台へと形を変えたのであった。
「暦運行データ検索、入力…自転・公転速度計算…!…あっちだね!」
 この世界の天体運行情報から弾き出した『それ』の位置に当たりをつけ、主砲を旋回。
「アイさん!」
『ええ、此方も準備は万端です!理緒さん、お願いします!』
 呼びかけられればアイも応え、その肩から長砲身の大口径砲を展開。理緒のそれよりも更に大きな、必殺武器がその姿を明らかとするに至り、協力する視聴者達からも驚きと興奮のコメントが弾幕となって飛んでくる。
「おっけー!射角、仰角よし!エネルギー充填!」
 主砲発射シークエンスの進行に従い、その砲口より青白い光が漏れ出し、降り注ぐ雨を砲身へ触れるより先に蒸発させてゆく。
「――射線クリア!…いっちゃえー!!」
 そして理緒が叫ぶと同時、エンターキーを叩けば。砲口に収束した青白い光が、高密度のエネルギーの奔流となって上空へと撃ち出され。そこに在った雲を貫き蒸発せしめ――開いた穴の向こう、夜の帳に先んじた白い半月が垣間見えた。そして。
『月が……見えましたっ!!』
 その瞬間をこそ、アイは待っていた。パワードスーツの背中に四枚の翼じみたアンテナを展開。受け止めるは、月から送り込まれてきたマイクロウェーブと、そこに乗せられたエネルギー。
『マイクロウェーブ受信、荷電粒子砲にエネルギー充填!』
 受け止めたエネルギーは肩の砲塔へと集束、砲身全体が青白い電光を帯びて輝く。その砲口を向ける先は、積乱雲の中核付近。
「エネルギー充填120%……発射ーーーっっ!!」
 アイの叫びと共に、集束したエネルギーが荷電粒子となって一気に撃ち出され。雲に擬した数万のナノマシンを無慈悲に灼き払って、雲の渦を一撃で半ばまで消し飛ばしてみせた。
「やった!?」
「やりましたか!?」
 その戦果に、二人して上げた声は何処かフラグめいていて。そして早速回収せんとばかりに、二人の身へ異変が生じる。
「ふぇ!?ちょ、服破れてってるー!?いつの間に中に!?」
『きゃあああっ!す、スーツが溶けちゃいますー!?』
 群がるナノマシン群は尚も健在、故に溶かされ続ける二人の機体。とうとう、二人それぞれの身を守る機能を喪失してしまったのだ。
 リオ・セレステの天井や壁に、侵食の結果たる無数の穴が開き。その中の理緒の身にもナノマシンが襲い掛かり、その着衣を分解しにかかってくる。
 アイの身を鎧っていたパワードスーツももはや形を保てず、彼女の身より脱落。露になったその身体もナノマシンに襲われ、着衣が一気に分解されてゆく。
 その結果は言うまでもなく、全身の肌の露出。おまけに、先程アイが協力者を募るために行った生放送は、あろうことが未だ継続状態。故に。二人のあられもない姿はアポカリプスヘル全土へと生で届けられてしまったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
非常に厄介な相手では有りますが、何とか頑張ってみましょうかぁ。

『FBS』で飛行しつつ『FRS』『FSS』の弾頭を『FCS』で「爆弾」に変更、爆風の[範囲攻撃]で多くのナノマシンを巻き込めるよう調整しますねぇ。
そして【翳華】を使用、全身をブラックホールに変換して『雲』の方へ向かいましょうかぁ。
途中『悪影響』の大きそうな『天候』の影響は吸収し、地上への被害が最小限になるようにしますねぇ。
発生するベースがあくまで『地上の天候』であれば、ブラックホールの吸収による無効化が可能ですぅ。

『雲』の近くまで到達したら、後は[爆撃]と『吸収』で出来るだけ多くのナノマシンを排除しましょう。


アルトリウス・セレスタイト
的がでかいならそれなりにやれば良いな

受ける攻撃は『絶理』『刻真』で自身を異なる時間へ置き影響を回避
此方の行動は目標が存在する時間へ向け実行
必要魔力は『超克』で“世界の外”から汲み上げる

破界で掃討
対象はオブリビオン及びそのユーベルコード
それ以外は「障害」故に無視され影響皆無

敢えて内部に入り込み行動開始
高速詠唱を『刻真』で無限加速
多重詠唱を『再帰』で無限循環
「瞬く間もなく」天を覆う数の魔弾を生成、全てに『解放』を通じ全力で魔力を注ぎ干渉力を最大化
自身の周囲全方向へ無差別に射出し行使するユーベルコード諸共に内から消し飛ばす
射出の瞬間は『再帰』で無限循環させ目標が消え失せるまで継続

※アドリブ歓迎


イヴェッタ・レチアーノ
全く、天災を再現しようとするなんて……
私達の世界は過去に何をしようとしたのかしら
オブリビオンなら尚更ぶちのめさないとね

灰に擬態したナノマシンを付与される前に
片手の人格は闇医術に詳しい別人格に任せて
『人造神の手』でナノマシンに対抗できる様体を一時的に改造強化するわ
もう片手で銃火器を扱って私の人格で攻撃しつつ、
体内サーバーを介して奉仕人格がナノマシンに関する
過去の人身事故や医療を調べて貰って
闇医術者人格へのフォローを回って貰うわ
『難しいのは医者イヴェッタにお任せにゃ、この資料もよろしくにゃ』
『コンナに人格ヲ動員スルとは大事ダな、ダガ遣り甲斐ハある』
「ええ、私達で過去に打ち勝つわよ!」



 海岸から荒野にかけて、渦を巻きながら嵐を齎す巨雲。驟雨と共に大地へ圧し掛かるそれの下、イヴェッタ・レチアーノ(囚人番号壱零零壱・f24458)は驚きとも呆れともつかぬ声を漏らす。
「全く、天災を再現しようとするなんて…過去に何をしようとしてたのかしらね、私達の世界は」
「気象兵器か…それとも、旱魃や砂漠化への対策…あたりでしょうかぁ」
 愚痴にも似た疑問に推測を答える夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)。基本は雨という自然現象、規模を抑制すれば平和的利用も可能と見えたが。
「いずれにせよ、今は害ある存在に他ならん」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)の言葉に両者も頷く。起源が何であれ、今のかの存在は世界に滅び齎さんとするオブリビオン。そこは紛れもない事実だ。
「ええ、オブリビオンなら尚更ぶちのめさないとね」
「非常に厄介な相手では有りますが、何とか頑張ってみましょうかぁ」
 改めて、迫り来る積乱雲を見上げる三者。その向けられた意志に反応したか、降りしきる雨がより一層勢いを増す。そればかりではない。
「つっ!?これ、身体を溶かして…いえ、分解していってる…!?」
「雨に乗せてナノマシンを放ってきましたかぁ…しかも自己増殖機能込み、みたいですねぇ」
 雨を受けたイヴェッタとるこるの肌に、焼けるような痛み。雨を受けた部分の細胞が、腐食するでもなく崩壊を始めている。これがあのオブリビオンのユーベルコード…有機物分解機能と自己増殖機能を有したナノマシンの散布能力か。
「ならば、あの雨を消し飛ばす必要があるな」
 両者の様子に、アルトリウスが頷く。彼自身は異なる時間に身を置いているが故、ナノマシンの干渉も受けないが、自分一人が無事ならば良いというわけにはいかない。このまま雨を受け続ければ、分解は加速度的に進んでいってしまうだろう。
 雲を見上げ、創世の原理を励起。循環の原理が詠唱を重ね、時の原理を以てその途方もなき行程を、瞬きの間すら無く完了させる。
「――行き止まりだ」
 そして射出。無数の時の魔弾が降りしきる雨を消し飛ばし、そのまま雲まで突きぬけ、軌跡に沿って穴を穿ってゆく。
「ひとまずは凌いだわね。後はこいつを…!」
 アルトリウスの攻勢により、雨を受けることはなくなったが、既に受けたナノマシンへの対処は必要だ。イヴェッタが左手を翳すと、その五指が奇妙にくねりながら妖しい光を帯びる。
『なのましんノ排除措置カ。任セテオケ』
 イヴェッタの口から漏れる、それまでと全く異なる声色。彼女の中に宿る闇医者の人格、左腕の支配権を一時的に譲り受けた彼の意識が表出したものだ。
「ええ、こっちの彼女もお願いね」
『必要な資料はこっちのイヴェッタにお任せにゃ』
 妖しく輝く左手がイヴェッタの傷口を撫でれば、その身を喰らうナノマシン群が破壊されると共に、崩壊した体組織が瞬く間に再生。
 その手はるこるの方へも向き、彼女にも同様の処置を施してゆく。途中で表出したのは拠点奉仕用の副人格。体内のSNサーバを用いて、ナノマシンによる症例・治療例等を検索し、以て闇医者人格の補助を行う構えである。
『対なのましん防護措置モ行ッタ。一時的ナものダガ、アル程度ハ保ツダロウ』
「ありがとうございますぅ。それでは、反撃開始ですねぇ」
 再び表出した闇医者人格のイヴェッタに礼を述べ、るこるは四肢の戦輪を旋回させ浮揚。浮遊砲台群を従えて、上空の雲を目指し飛翔してゆく。
「…よし、これで私も大丈夫。あなたも気にせず攻撃しちゃって!」
 左手をそのまま闇医者人格に任せ、ナノマシンによって肉体が分解される側から修復する構えを取ったイヴェッタ。右腕に荷電粒子砲を抱え持ちつつ、アルトリウスに告げる。
「わかった。――だが無理はするな」
 応え、頷いたアルトリウス。魔弾の射出を一時停止、その場より姿を消す。時の原理にて己の行動速度を無限加速し駆け出したのだ。

「さてぇ、炸裂弾頭装填完了。こちらの攻める番ですよぉ」
 上空、るこるの周囲を守るように展開された十六基の浮揚砲台と、八基の光子盾つき砲台が一斉に火を噴く。重々しい砲撃音と共に撃ち出された砲弾が雲を擬したナノマシン群へと突き刺さり、次々と爆裂。着弾点を中心に巻き起こった爆風が、ナノマシン群を吹き飛ばしてゆく。
 だが敵も黙ってはいない。荒れ狂い吹き荒ぶ風が雷電を帯び、その身を守るかのように渦を巻き始める。その様は、雷属性の旋風というところであろうか。
「何のぉ!大いなる豊饒の女神、その象徴せし欠片の一つを我が身へ――!」
 対抗するように、るこるは祈りを捧げる。己の奉ずる女神へと届いたそれが、るこるの身に凄まじいまでの重力を帯びさせる。降りしきる雨が吸い込まれ、瞬く間にナノ未満の単位まで分解されてゆく。
 やがては周囲で荒れ狂う雷と風さえも、るこるのもとへ引きずりこまれるように消えてゆく。今や彼女の身は、地上に在って全てのものを引き込むブラックホールと化していた。それでいて指向性と範囲制御を可能とするが故、彼女の有するフローティングシステムには一切の影響が無い。
「――静かになったな」
 地上、アルトリウスが呟く。オブリビオンの起こす嵐の多くがるこるに引き込まれていくが故、地上に届く雨風は先程までより数が減っていた。
「ならば。このまま掻き消えていけ」
 そこは海岸、嵐の中心。己ならばそれらの影響を受けることなく戦える故に飛び込んだ最大の攻撃地点。的が大きいならば、それなりに――遠慮なくやれる。
 上空、雲が漂うより更に高き空を、無数の蒼き光が満たす。先程の魔弾は、本来このように撃ち出すものだ。
「――散れ」
 呟くが早く。それらは一斉に地を目指し降り落ち始める。間の雲を削り穿ち、ナノマシンを破壊していきながら。

 上空で渦巻くブラックホール、降り注ぐ魔弾の雨。尚も襲うナノマシンに闇医者の左手で対処しながら、イヴェッタはそれらを見上げる。
 豊饒の女神の力を振るう使徒と、原理の端末と果てた超越者。共に戦う二人の力はまさしく強大。
『マサに世界ノ理ヲ外レタ者達ダな』
『イヴェッタ達の出る幕ないかもにゃ』
 対して、己の力はあくまでも人間の範疇。別人格達が思わずそんな言葉を漏らすが。
「だからって、私達が戦わなくていいなんて思わないわね」
 彼らのような派手なものでなくとも、己には力がある。そして己の生まれ育った世界を蹂躙した敵が目の前にいる。
『まあにゃ、難しく考えなくてもその通りにゃ』
『ココマデの大事モ珍シイガな、ダガ遣り甲斐ハある』
「ええ、『私達』で過去に打ち勝つのよ!」
 荷電粒子砲を上空へと構える。唸りを上げてエネルギーを充填してゆくそこに、闇医者人格の制御する左手が添えられ支えとなる。サーバを介し、彼らを応援する人々がなけなしの電力を分け与える。
「『私達』も!この世界を守ってみせるんだから!!」
 そして砲撃。荷電粒子の光条が大気を切り裂き雨を灼き、雲を貫き消し飛ばしていった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

マイエ・ヴァナディース
【恋華荘】
文字通りの難題と思いましたが…容赦しませんわよ

高ぶる姿は…でも、貴方なら…(ぽそっ)
いちごさん、より強く掴まって下さいっ!
『不詳アム、お二人の期待に応えます』
※【精鎧形態】に変形+巨神姿のアムと再合体

さぁ雲を掴みなさい、アム!
『はい。ふっ、せいやっ!』
※【アム・フェアリーソードダンサー】始動
※バーニア噴射+格闘連発で【空中戦】

んくっ!?
ああ、いちごさんの掌が一心不乱に胸を…でもっ
文字通りの浮遊感に包まれ、剣ごと飛び込み…
爆砕っ!
※命中時、アムが分離変形した重力剣の力場を解放

『お嬢様、只今戻りました…お嬢様?』
お疲れ様です、アム…いちごさん、後少し
落ち着くまで、離れないでくださいまし…


彩波・いちご
【恋華荘】
引き続きマイエさんのマシンにタンデム状態
えと…さっきはすみません
でも、あまり激しく動かれるとまたっ!?
※アムの変形合体に振り回され、再びマイエにギューッとしがみつく
※手はやはり胸に?

うぅ、手の感触はこの際置いておきます…すみません
とにかく私も援護しないと
…とはいえ、さすがに雲そのものだとどうしたものか…ここはマイエさんとアムさんに任せて、私は雲の攻撃から守る結界の維持に専念しましょう
【異界の守り】で私の張った防御結界が、あらゆる攻撃を受け止め、はじき返しますっ!

…ただ、これ維持するために、どんどん理性削れているので…
しがみついている手の動きとか、余計な事してたりしたらごめんなさい…



 徐々に小さくなってはきたものの、未だ一帯に降りしきる雨は激しく、断続的に雷鳴が轟き雷光が迸り。嵐が荒れ狂い続ける。
 その只中へ疾走し飛び込んでゆく、一台の魔術的意匠のバイク。マイエ・ヴァナディース(メテオールフロイライン・f24821)駆る『シルフェリオン二世』だ。
「えと…さっきはすみません」
 そしてマイエの後ろには先程までと同様、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)がタンデムで乗っていた。彼が詫びるのは、先程の戦闘機群との戦いで意図せずとはいえ彼女に行ってしまった行為。
「…い、いえ、致し方なきことかと。…それに、貴方なら…」
「…え…?」
 彼の言葉に先程のあれこれを思い出し、思わず赤面するマイエ。後半の一言は、バイクのエンジン音にかき消され、いちごには届かず。
「…な、何でもありませんわっ!と、ともあれかの難題!容赦なく参りますわよ!」
 誤魔化すように叫ぶとハンドルを引く。バイクのタイヤが格納され、前後のフレームが斜め四方へ展開。後方カウルが二人を守るように包み込み、瞬く間に魔導バイクは双腕四脚の歩行戦車――『精鎧形態』へと姿を変えた。
「アム!再び共に!」
 更に呼びかければ、傍らに飛び来るは胴を持たぬ四肢と頭部のみの魔導巨人。
『心得ました。不肖アム、お二人の期待に応えます』
 応えた魔導巨人――『アム』の四肢が分離し、シルフェリオン二世の双腕と四肢に装着。合体を果たす。
「さあ、翔びますわよ、いちごさん!より強く掴まって下さいまし!」
「は、はいっ!?」
 マイエの呼びかけに、半ば反射的にその腰へと強くしがみつくいちご。直後、魔導歩行戦車の背から青白いバーニアが火を噴き、その機体を上空高く舞い上げる。
 勿論、かの巨雲のオブリビオンが、それを黙って見ているはずもなく。突風や落雷を以て、シルフェリオン二世へ攻撃を加えんとしてくる。右へ左へ、バーニアの断続的噴射で鋭い進路変更を交え回避してゆくマイエだが。
「わ、わわっ!?あ、あんまり激しく動かれると、また…っ!」
 その機動に振り回され、マイエの身にしがみつくことでどうにか姿勢を維持するいちご。だが。
「んくっ!?ああ、い、いちごさんっ…」
 悩ましげなマイエの声。よく見れば、いちごの手が、またしても彼女の胸をがっちりと鷲掴みにしていた。
「す、すみませんー!?で、でも外す余裕が…!」
 詫びるいちごだが、これだけの激しい機動の最中。一瞬でも手を離せば振り落とされてしまいそうだ。やむなくその手はそのままとする。
 そうこうしているうちに、再び頭上で雷鳴。今雷撃がくれば、回避しきれそうにない。万事窮したか。否。
「…無限無窮の最奥にて見る夢の力、我らが守りに!」
 いちごの詠唱と同時に、シルフェリオン二世の周囲に結界が展開。落雷を受け止める。
「…よし。マイエさん、守りは私に任せて、攻撃を…!」
 この守りは自然災害の前にも通用する。確信を以てマイエへ呼びかけるいちご。
「んぁ…っふぁ、は、はぃ…!アム、雲を掴みますわよ…!」
『はい。不肖アム、推して参ります』
 悩ましげな声混じりながら応えたマイエ。アムに命じ、その四肢を以て格闘戦を展開。雲を文字通り千切っては投げ、千切っては投げと攻め立ててゆく。
 雷電が走りシルフェリオン二世を貫かんとするが、それはいちごの展開する防御結界が阻む。
「ぅ…っく、ま、マイエさんっ…すみません…!」
 だが、その間にもいちごの手が蠢き、マイエの胸を揉みしだく。結界術はいちごの心身を邪神の側に引き込み、正気を奪う危険な代物。どうにか即座にマイエへ襲い掛かることは堪えられているが、半ば無意識にその両手は蠢き、一心不乱に彼女の身を弄んでしまう。
「ぁふ、ぅうんっ…。い、いえ…しかし、そろそろ決めに参りましょうか…」
 見れば、二人の周囲の雲はかなり薄れてきていた。ここで一気に削りにいきたい処だ。
『畏まりました、お嬢様…フェアリーソード、アクティブ』
 半ば呟きじみていたマイエの声だが、アムはその意を確りと受け取り。その身をひとたび分離させ、再度の変形。シルフェリオン二世の足元で再結合、その身は長大かつ重厚な大剣と化す。刀身は重力の力を宿し、歩行戦車の重量をも支えてみせる。
「はぁ、ふぁぁ…っ、い、行きますわよ…!オーバーブーストっ!」
 甘い声混じりに叫べば、鍔から噴射するブースタの炎が超加速を生む。二重の意味で浮遊感に包まれながらもマイエが見据えるのは、薄れつつある雲の中でもひときわ濃さを保つ中心付近の一帯。
 狙い違わず突撃する機械大剣、その切先が雲の只中まで突っ込んだ瞬間に叫ぶ。
「…爆砕っ!!」
 直後、大剣が宿していた重力力場を解放。全周囲へと放たれた重力波が、雲に擬したナノマシンを吹き飛ばした。

 その後、シルフェリオン二世は雲群から離れた荒野へ着地。動かなくなる。
『お嬢様、只今戻りました…お嬢様?』
 遅れて戻ってきたアムが声をかければ、返答には暫しの間。その間、機内から響くは甘い睦声。
「お、お疲れ様です、アム…。…いちごさん、後少し落ち着くまで…離れないでくださいまし…」
「…ま、マイエさん…その、ごめんなさい…」
 その機内で何が起きていたのかは、ただ二人だけが知るところである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テリブル・カトラリー
空中戦状態を解き、『ハイ・オーバーコート』発動。
海の上で超巨大兵器と化し、オブリビオンへと飛翔。

ナノマシンの雲か…オブリビオンと化す前は
どう使われていたのだろうな。

環境耐性、敵雲が造った現象を、機体でせき止める。
どうあれ、壊させはしない。

黒剣を武器改造、機体各部に液体と化した黒剣を纏い、生命力吸収を発動
現象を引き起こしている力を吸収。
飛翔速度を上げ、両腕を振って現象を吹き飛ばし、掻き消す。

…捕食しろ、イーター。
得たエネルギーで黒剣の量を増大、全身の装甲を黒剣で可能な限り覆い
飛翔速度をあげて雲の中へと体を突っ込み、ナノマシンを黒剣で喰らう。



「ナノマシンの雲、か」
 海岸、堤防の上。先程までとは別物が如く唸りを上げて荒れ狂う海を眼下に、豪雨と共にそれを齎す積乱雲を頭上に。テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は思う。
「オブリビオンと化す前は、どう使われていたのだろうな」
 オブリビオンがこの世界の過去である以上、これも元は人が作ったものなのだろう。軍事用であれ民生用であれ、利用法は幾つか思い浮かぶが。
「――どうあれ。壊させはしない」
 明確であるのは、『今』に仇為す存在であるということ。なれば、為すべきは一つ。
 跳躍。2m半ば近いウォーマシンの巨躯が、波濤逆巻く海の上に踊ったかと思えば、その姿が掻き消える。直後、波を砕いて海面下より身を起こし、巨大なる姿が現れる。二本の脚で屹立する、二本の腕を有した存在。人の形を模してはいるが、その大きさは正しく圧倒的。
『人の営みを損なうもの。排除させて貰う』
 内側から響くはテリブルの声。それこそは彼女の切り札、無敵と称される超巨大機械兵器。
 その背部と下半身が各部のバーニアが火を噴く。巨体相応の大質量をも浮揚せしめる大出力が背後に熱嵐を巻き起こし、鋼鉄の巨兵が、嵐の空へと飛翔してゆく。
 迎え撃つはうねり吹き荒ぶ暴風、その中で迸る雷電。瀑布が如き豪雨と共に機械巨兵を打ち据えんとする。
『イーター、展開』
 声に応えるように、鋼鉄の巨体の各部から漆黒の粘液が溢れ出す。重要部位を保護するように、或いは攻撃に用いる部位を強化するように。
 腕を振るうごとに雷が散り、風が砕け、雨が退く。それは単に障害たる自然現象を払うだけではない。一振りごとに粘液の量は増え、より広くより厚く、巨人の駆体を覆っては守りとなり、攻めとなる。自然現象を引き起こす力を、喰らっているのだ。
 やがて雷が、風が退き、一時、戦場が凪ぐ。今ぞ好機。テリブルを乗せた機械巨人が、より飛翔の速度を高めて。積乱雲の只中へと、突っ込んでゆく。
『…捕食しろ、イーター』
 大量のエネルギーを吸収し、もはや全身を包む程になった粘液が広がる。雲を形作るナノマシンを捕らえ、喰らい、より粘液を大きく広げ。
 離脱からの再突入を繰り返すたび、雲はその形を徐々に失っていく。散ってゆく。
 幾度目かの突入を追えたところで、テリブルは気付く。完全に雲が失われ、一面に荒野と海と空が広がるのみとなった視界に。殲滅は完了した。

 機械兵器が荒野へ着陸した直後、その足元に再びテリブルの姿が現れる。
 大地を見渡す。これまでに降り続いた猛烈な雨で、ちょっとした池や小川が形成されるに至った荒野だが、猟兵達の築いた道路は壊れていない。多少の砕石の流失はあるが、この程度ならば修復に手間はかかるまい。
 空を見上げる。青かった空に茜が差し、白い半月が東の空から昇ってきていた。
 海へ目を向ける。真っ赤な太陽が、水平線の向こうへ沈んでいこうとしていた。一日の終わり。荒廃した世界にも変わらず訪れる移ろい。
「………」
 踵を返し、道路へ戻る。工事完了まではもう少し。
 この世界に、かつての人の営みが完全に取り戻されるまで。道は遠くとも。人々の、猟兵の戦いは続く。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月16日


挿絵イラスト