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仁医の条件

#アポカリプスヘル #仁医の条件

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 オブリビオン・ストームによって人類の大半が死滅した、近未来の地球――アポカリプスヘル。この崩壊した世界と猟兵の縁が繋がって、半年が過ぎた。
「極限のサバイバルが日常の世界やけど……皆のお陰で、少しずつ道路や農場も出来ていっとるみたいやね」
 だが、過酷な状況に耐えかね、今しも崩壊寸前にある拠点(ベース)があるのも又、事実――各務・瞳子(七彩の聴き手・f02599)は眉根を寄せた面持ちで、集まった猟兵達を見回した。
「今回、皆に行って貰いたい拠点は……病気が流行ってしもて、かなりマズイ状態なんや」
 岩山にしがみつくように築かれたその拠点は、さして広くない。そんな閉鎖的な環境で、まず体力の劣る老人と子供が病気に罹り、その看病をしていた女性達にも感染した。
「薬は勿論、衛生管理もままならんさかいな……まだ、動ける人達は、拠点を病人ごと放棄する方向で、準備を進めとる」
 残酷ではあるが、生きる事自体に必死の世界なのだ。彼らの判断とて、一方的に責められまい。
「けどな……『彼』が立ち上がれば、拠点も病人も、皆助かるんや」
 『彼』は、その拠点ではジョン・ドゥと呼ばれている。いつの間にか、拠点の外れに住み着いた――デッドマンだ。
「本名は誰も知らへん。ずっと、拠点の外れに自分で建てた掘っ立て小屋に引き籠って、誰とも交流しようとせんさかいな」
 失われた禁断の技術により死から蘇生した人間らしく、青黒い肌はツギハギで、髪はザンバラの伸ばしっぱなし。藪にらみの凶悪な容貌である為、触らぬ神に祟りなしと、人々もジョン・ドゥの住まいには近付こうとしない。
「実はな、彼……闇医者なんや」
 『救命』の衝動を魂に刻んだ彼は、日夜、大事に所蔵する数冊の医術書を読み漁り、闇医術の研鑽に勤しんでいるという。
「で……問題は、『彼』が極度のコミュ障で、現状やと医療行為が全く出来へんのよね」
 正に宝の持ち腐れ。だが、彼が死蔵している素質が上手く開花すれば、病を収められるだろうし、拠点を移動する必要も無くなるだろう。
「それでな、皆にはまず、彼を連れてこのポイントに向かって欲しいんよ」
 瞳子が示した地図のポイントは病院の廃墟で、医療物資が豊富に残っているという。
「ブリンガーとしての役割が半分、もう半分は……彼の教育やね。『医療物資』の話をすれば、流石に彼も同行の要請は拒まんさかい」
 貴重な医薬品が眠る廃墟には、薬物中毒のレイダーや変異したクリーチャー、暴走したロボット等、様々な危険が潜んでいると予想される。
「そっちを対処しながら、彼が成長出来るように……拠点の人らの中に入っていけるように、働き掛けたって欲しいんよ」
 ちなみに、医療物資が眠る地下の倉庫に通じる最奥の大部屋跡には、「改造屍人『ナブラヘッド』」なるゾンビを素体としたサイボーグがひしめいている。
「ついでに、彼と一緒に戦って、共闘の経験を積ませたってな」
 後は、帰還の際にでも、様々な助言をしてあげれば良いだろう。
「サムライエンパイアとかやとな、医術の事を『仁術』ってゆうんよ」
 仁術、即ち病人を治療する仁恵の術――仁愛無くして、人は癒せない。
「死して尚、医者を志した……彼の力が、あの拠点には絶対に必要なんや。皆で、彼を導いてあげてな」


柊透胡
 こんにちは、柊透胡です。
 今回は、アポカリプスヘルにて、新たなリーダーの育成をお願いします。

●リーダー候補生「ジョン・ドゥ」
 デッドマンの闇医者。年齢は20代後半から30代前半の男性。既に「ギタギタ血まみれ外科手術」相当の技術を習得しています。人との会話に慣れておらず、ぼそぼそと途切れがちに喋ります。
 とある拠点の外れにいつの間にか住み着いていましたが、その外見と一切交流しようとしない姿勢から、拠点の人々からも敬遠されていました。彼の本名も、医者である事も知られていません。
 拠点に蔓延する病については承知していますが、医療物資の不足と、所謂コミュ障である為、行動を起こせずにいます。

 第1章は冒険「狂気の廃病院」に、彼を連れて向かって下さい。病院の廃墟の探索を通して、彼が成長できるように配慮しつつ、地下の医療倉庫を目指しましょう。
 第2章は「改造屍人『ナブラヘッド』」との集団戦です。彼と一緒に戦い、共闘の経験を積ませながら、勝利して下さい。
 第3章は日常「物資運搬~準備~」です。医療物資運搬の準備をしながら、彼により一層自信をつけさせたり、今後の成長に繋がるよう教え諭したり。帰還後、スムーズに医療活動に入れるよう、色々アドバイスをお願いします。

 戦闘もありますが、どちらかと言えば心情・交流系のシナリオになるかと思います。
 それでは、皆さんの熱いプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『狂気の廃病院』

POW   :    腕力で障害を排除

SPD   :    技術で障害を排除

WIZ   :    知力で障害を排除

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「…………よろ……しく……」
 医療ノコギリを担いだ2m近い巨漢の男は、ぼそぼそと、くぐもった小声で挨拶した。
 背後には、今や病巣と化した拠点の外れに建てられた、吹けば飛ぶような掘立小屋。だが、扉の隙間から見える中は、狭いながらもきちんと整頓されている。
 そして、羽織っているサバイバルマントも古びた様相ではあったが、丁寧に継ぎが当てられ、細やかに縫われていた。
 ザンバラの前髪から覗く深緑の双眸が猟兵に向けられる事はけして無かったが、荒んだ色は無く、寧ろ温厚でさえあろう。
 ジョン・ドゥ――現状、拠点の人々と没交渉を貫くデッドマンの心を開く事が出来れば、この病に冒された拠点を救うリーダーとなれる筈。
 第一印象でその事を確信し、猟兵達は、彼を連れて廃病院へと出立する。

 道中、ジョン・ドゥは見事なまでに口をきかなかった。時折、猟兵達をチラチラと窺っていたから、けして殻に籠っている訳ではないのだろう。人とどう接していいか判らず途方に暮れている、そんな感じ。
 だが、廃病院に到着したら、そのままそっとしておく訳にはいかない。
 ――――。
 遠目からも、打ち捨てられた禍々しさが窺える廃墟の病院。恐らく、いる――薬物中毒の野盗(レイダー)か、或いは変異したクリーチャーか。トラップや警戒システムが後付けでもされていたら厄介だ。
 グリモア猟兵の予知により、オブビリオンとの集団戦は避けられない。だから、そこに至るまで、余力を残しておくに越した事は無いし……何より、今回は同行者がいる。
「…………」
 ジョン・ドゥが握る医療ノコギリの方が、余程雄弁にカタカタと震えている。拠点に何としても必要な医療物資を得る条件として、猟兵に同行した彼だが、奪還者(ブリンガー)の行為など初めてだろう。
 拠点の「これから」の為にも。猟兵達は、彼が「リーダー」として起てるよう、導かなければならない。
セプリオギナ・ユーラス
…本音を言えば。
医師がリーダーなんぞになるのは反対だ。医師がすべきことと、集団のリーダーがせねばならないことは大きく異なる。
だが、そこに医師と患者がいて、治療できる環境もあって、なのに…治療の出来ない状況があるというのなら、唾棄すべき事態だ。

本来ならコミュニケーションを取る初歩から仕込まねばならんだろう。相手に不快を与えない外見、振る舞い、言葉選び…。信頼なくして医療行為は行えない。
とは言え、この世界でリーダーに求められるのは大きくは奪還者としての力量だろう。まずは戦いに慣れることだ。

──◆正六面体
「見ているだけでも構いませんよ」
「痛みを伴うのは、当然のことですから」
それを恐れることも、また。



(「……本音を言えば」)
 自らを覆う霧の中、正六面体の内で、セプリオギナ・ユーラス(賽は投げられた・f25430)は黙考する。
(「医師がリーダーなんぞになるのは、反対だ」)
 医師がすべき事と、集団のリーダーがせねばならない事は大きく異なるからだ。
 だが、ジョン・ドゥが住まう拠点は、病の蔓延で壊滅寸前。そんな状況で、グリモア猟兵が、彼に『素質』を見出したという事は。
(「確かに、そこに医師と患者がいて、治療できる環境もあって、なのに……治療の出来ない状況があるというのなら、唾棄すべき事態だ」)
 治療の妨げとなる原因は、明白。ジョン・ドゥのコミュニケーション能力の欠如だろう。信頼なくして、医療行為は行えない。
(「初歩から仕込まねばならん」)
 元より、デッドマンである彼の容貌は、寧ろ凶悪の部類だ。しかし、好印象の要因はもっと別にある。例えば――相手に不快を与えない外見、振る舞い、言葉選び。今の彼には、どれも具わっていない。
(「だが……まずは戦いに慣れる事だな」)
 この世界で、リーダーに求められるのは、奪還者としての力量が大きいだろう。今回のように、医療物資の補給ともなれば、彼が直截赴く方が効率良い。
 故に、セプリオギナはコミュニケーション関連の教示は後回しにして、廃病院の探索の障害排除に動く。
「…………」
「見ているだけでも構いませんよ」
 戸惑う視線を感じ、ブラックタール製の正六面体は、せっせと小型の戦闘用端末(本来は医療検査用の正六面体)を量産しながら応じる。
「痛みを伴うのは、当然のことですから」
 それを恐れる事も、また――だから、彼の『恐れ』も当然なのだと、第一に認識して欲しかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

菫宮・理緒
アポヘルでは、お医者さんはけっこう貴重だし、重要な存在な感じだよね。
リーダーがお医者さんとか、すっごく頼りになりそうだよ。

でもリーダーってことになると、
医療技術以外にもいろいろ必要なものがありそうだし、
まずはみんなとお話しできるようになることから、かな?

ここまでいっしょに来てくれたってことは、
みんなを助けたい気持ちはあるんだと思うから
きっかけが掴めればきっとなんとかなるよね!

拠点のこと、医術のこと、自分のこと、
いろいろ話しかけながらのんびり答えを待とうかな。
答えは急かさないよ。帰るまでに聞けると嬉しい、くらいの感じ!

ん? やっぱり怖い、よね。
うん、わたしも怖いよ。でも笑顔のためにがんばるんだ♪



(「アポヘルだとお医者さんはけっこう貴重だし、重要な存在って感じだよね」)
 やはり、廃病院の探索用にOctagonal Pyramid(正八角形の小型戦闘用ユニット)の一群を制御しながら、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)はジョン・ドゥを一瞥する。
(「リーダーがお医者さんとか、すっごく頼りになりそうだよ」)
 17歳の少女らしく、理緒の考え方は明朗だ。
 とは言え、彼女とてよく判っている。リーダーともなれば、医療技術以外にも色々と必要な素養があるだろう。傾聴は勿論、様々な意見の調整など、特にコミュニケーション能力は重要だ。
 猟兵達の後をだんまりでついて来る彼には、まだまだ荷が重い。
「やっぱり怖い、よね」
「……」
 理緒の言葉は聞こえているだろうに、返事は無い。だが、恥じ入るように俯く巨漢を見上げ、少女は励ますように微笑む。
「うん、わたしも怖いよ。でも、笑顔のためにがんばるんだ♪」
「……えが、お……」
 それでも。ここまで一緒に来てくれたのだ。明らかに危険と知れる廃病院を目にして、逃げる素振りも無いという事は。
 彼にも皆を助けたい気持ちはあるのだと、理緒は信じている。
(「まずは……みんなとお話しできるようになることから、かな?」)
 だから、理緒は道中、色々と彼に話し掛けてきた。
 拠点の事、医術の事、自分の事――ほとんどが無しの礫であったが、返答を急くつもりも無い。帰るまでに聞ければ嬉しいな、という構えで。
(「きっかけが掴めれば、きっとなんとかなるよね!」)

成功 🔵​🔵​🔴​

御園・桜花
「それでは先生、倉庫に着きましたら必要な物の判別をお願いしますね」

UC「ノームの召喚」使用
どこに医療倉庫があるか途中に敵が居ないか探って貰う
帰りの医療用品運搬もノームに手伝って貰う予定

自分は暗視があるので移動時は医師の先に立つ

「どれが必要かどれだけあれば足りるのか、そういうことは先生の知見が必要ですもの。運搬には自信がありますけれど、そこは先生に判断していただかないと。持って帰って使えないものでしたら、私達も拠点の皆さんも哀しくなりますもの」
目が合わずとも必ず医師の顔を見て、感謝が届くよう穏やかに微笑みながら話す

「ありがとうございます、先生。貴方しか出来ないことを、するために行動して下さって」



 ――おいでおいで、土小人。私の手助けをしておくれ。
 廃病院に踏み込むのに先立ち、陽気なノーム達を召喚する御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)。
 ――代わりに石をあげましょう。ざらざら渡す石ビーズ、その分手助けをしておくれ。
 戦闘力こそないがトンネル掘りの得意な彼らに、倉庫や敵の所在を探って貰う。
「役立つ物があれば良いのですけど……先生、よろしくお願いしますね」
 パーラーメイドである桜花にとって、医療は専門外。頼りにしていると、ジョン・ドゥに声を掛ける。
「どれが必要で、どれだけあれば足りるのか……そういう事は、先生の知見が必要ですもの」
 目は合わずとも、彼の顔を見上げる桜花。
「物資の運搬は、ノーム達にも手伝って貰いますけれど……持ち帰る優先順位は、先生に判断していただかないと」
 苦労して持ち帰ったとして、それが不要の代物であったなら――ブリンガーにとっても拠点の人々にとっても、不幸でしかない。
「皆、哀しくなりますもの……だから、ありがとうございます、先生」
「…………?」
 真っ直ぐな感謝に戸惑う素振りのジョン・ドゥに、桜花は穏やかに微笑む。
「貴方しか出来ないことを、するために行動して下さって」
 頼りにして、感謝して――桜花は『ジョン・ドゥという闇医者』を肯定する。
「……頑張る」
 桜花自身、ピグマリオン効果を明確に意識していた訳ではないだろうが。ジョン・ドゥの呟きは、確かに期待に応えようとする表れだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

佐藤・和鏡子
医術の習得には相当な時間と努力が必要です。
ましてや、何もかも失われ荒廃しきったこの世界では。
彼もきっとこの荒れ果てた世界で人を救いたい、という意思を持っていたからこそ、医療の道を志したはず。
何とか、彼に最初の一歩を踏み出すきっかけを与えられればと思っています。
廃病院の探索の際、多分私の後をついてくるだけでしょうが、最初はそれで充分。
少しずつでも私と話せるようになり、次に医薬品の仕分けや戦闘の手伝いなど、少しずつステップアップすれば良いですから。
彼に必要なのはきっかけと自信ですから。
(積極的に褒めて育てるスタイルでいきます)
今回の依頼でそれを彼に示せればと思っています。



 警戒は怠らず廃病院に接近しながら、肩越しに振り返る佐藤・和鏡子(リトルナース・f12005)。
 相変わらずジョン・ドゥは殿で、まだ猟兵の後について来ているだけだが、最初はそれで充分と和鏡子は考えている。
 ふと目に付いたのは、彼が持つ医療ノコギリ。よくよく使い込まれている一方、ガジェッティアの目から見ても丁寧な拵えと知れた。
(「相当、研鑽を積んできたのでしょう」)
 何もかも失われたアポカリプスヘルでは尚の事、医術の習得には相当な時間と努力が必要だ。この荒れ果てた世界の人々を救いたいという強い意志あればこそ、ジョン・ドゥは医療の道を歩み続けて来たのだろう。
(「今の彼に必要なのは、きっかけと自信です」)
 自己肯定感が低い者は、コミュニケーションにも消極的という。自己肯定感は、自信とも言い換えられる。
「……頑張る」
 今しも、ジョン・ドゥが桜の精の猟兵に頷いた言葉が聞こえた。少しずつでも誰かと話せるようになり、次に医薬品の仕分けや戦闘の手伝いと、徐々にステップアップすれば良い。
(「私も、彼が最初の一歩を踏み出すきっかけになれれば」)
「その医療ノコギリ、手作りですか? 大事になさっているんですね」
 まずは、積極的に褒めて、彼の自信に繋げていこう。

成功 🔵​🔵​🔴​

フローラ・ソイレント
※アドリブ歓迎

POW判定

・行動
デッドマンの特性を生かした遺跡漁りの心得を教えながら
まずはジョン・ドゥ氏とコミュニケーションを取り信頼関係を構築する
(怪力、環境耐性、優しさ、コミュ力)

・セリフ
私達デッドマンは大抵の怪我はすぐ治り、生命活動もほぼ停止しているため
致命的な環境にも耐性があるので遺跡の調査には向いています
(ひょいひょいと大きな瓦礫をどかしながら)
先頭を進んで道を切り開いたり
危険な場所を調査するときにはうってつけです

この時、気を付けなくてはいけないのは自分が平気でも
他の人が平気だとは限らないということです
とくに五感のいずれかが鈍っていることの多い私達では
ガスなどに気付けない事があるのです



 失われた禁断の技術により、死から蘇生した「デッドマン」は、その魂に激しい「衝動」が在る限り、喩え肉体がバラバラになっても、何れ復元を果たす。
「判り易く言えば……私達デッドマンの怪我は、大抵すぐ治ります」
 磁極流:電磁浮遊もフル活用。瓦礫と化した鉄筋コンクリートの塊をひょいひょいとどかしながら、「デッドマン流遺跡漁りの心得」を教示するフローラ・ソイレント(デッドマンズナース・f24473)。
「又、生命活動もほぼ停止している為、致命的な環境にも耐性がありますから……遺跡の調査に向いています」
 狙いは、ジョン・ドゥとの信頼関係の構築だ。初対面から、以心伝心はあり得ない。
「特に、先頭を進んで道を切り拓いたり、危険な場所を調査するのに打って付けです」
 フローラの見解に依る所が大きい内容もあったが、ジョン・ドゥは神妙な面持ちで聞き入っている。会話というより講義であるが、今は彼も聞いているだけの方が気楽だろう。
「……この時、気を付けなくてはいけないのは、自分が平気でも、他の人が平気だとは限らないということです」
「え……?」
「例えば、五感のいずれかが鈍っていることの多い私達では、ガスなどに気付けない事があるので――」
 相手を気遣うというのも、コミュニケーションに含まれる。果たして、彼に伝わっただろうか――。

成功 🔵​🔵​🔴​

シエラ・バディス
生きる事って、常に戦う事なんだと思うのですよ。
道中の障害物は、何であろうと手持ちの斧で壊して道を作ります。

人と交流するのが怖い、というのは分からなくないかなぁ…
その人が何を考えてるのか仲良くならないと分からないからね。
でも、それを乗り越えた先に『繋がり』が出来ると思うんだ。
好意にしても悪意にしてもね。

それに喋るのが苦手なら筆談という手もあるし、そもそもリーダーの責務を一人で背負わないという風にするのも良いかもね?
まずは生きている人たちみんなで形を作るの。


シエラが覚えてるおぼろげな最後の記憶は、好意も嫌悪も無い…繋がりが無くなった光景だけだから、ね…(ぼそりと呟き、無意識に右手を眺めている)



 先にユーベルコードによる多くの偵察が為された結果、目標の地下倉庫までの最短ルートは程なく判明した。
 オブリビオンによって廃病院は半ば要塞化しており、バリケードがあちこちに設置されている。更に、数だけは多いクリーチャー化した野犬が、番犬宜しくうろついているようだ。
「生きる事って、常に戦う事なんだと思うのですよ」
 バリケード目掛けて、古びた消火斧を振うシエラ・バディス(死して彷徨う人形・f15798)。
 両手で斧を振り抜き何度か叩き付ければ、鈍い音を立ててバリケードは崩れていく。
「……怖い?」
 シエラに続いてバリケードを突破するジョン・ドゥを、肩越しに見やる。端的な問い掛けは、剣呑な咆哮響き渡る廃病院に対して、では勿論ない。
「まあ、分からなくないかなぁ……その人が何を考えてるのか、仲良くならないと見えてこないからね」
 人との交流について、直截、彼に説くのは、シエラが初めてかもしれない。
「でも、怖さを乗り越えた先に『繋がり』が出来ると思うんだ……好意にしても悪意にしてもね」
「……」
「もし、喋るのが苦手なら、筆談という手もあるんだよ」
 意思疎通をきちんと図る事の方が重要であろうし、リーダーの責務を1人だけが背負わずともと良いと、シエラは考えている。
 バキャリ――。
「まずは、生きている人たちみんなで形を作るの……こんな風に」
 シエラの斧に続いて、ジョン・ドゥの医療ノコギリが、バリケードを破砕する。力を合わせれば、大抵の事が何とかなるものだ。
「それに……」
 少女の脳裏を過る、朧げな最後の記憶――。
「シエラが覚えているのは、好意も嫌悪も無い……繋がりが無くなった光景だけだから、ね……」
 ぼそりと呟き、視線を落とす。無意識に右手を眺め、斧を振り抜く。
 バキャリ――。
 物問いたげな視線を感じながら、シエラは壊した障害物を踏み越え、奥を目指した。

成功 🔵​🔵​🔴​

初志・貫鉄
即興共闘歓迎

移動開始と同時にUCを発動。分身を先行させ、敵を減らし多少後方に流します
ジョンの動きの確認や肩慣らしも兼ねて多少戦ってもらいますので
戦いの合間に少し会話を

大丈夫だ。言葉がなくても、おめぇさんが人を救おうって日々研鑚しているのが良く分かる。

彼のマントをポンと叩いて
この綺麗な縫い目は、縫合の練習も兼ねている結果だろう?きちんとした道具があれば、きっと傷痕が驚くほどに目立たなくなる

近づいてくる障害を拳で殴り飛ばし、ふぅっと息を細く吐き

おめぇさんは、救うべき命に手を差し伸べる医術のゴッドハンドに成れるぜ。きっとな!
だから、現場についたら再配してもらうぜ?大事な道具、素人には解らねぇからな



 ――――!!
 雄叫び上げて襲い来る野犬を、初志・貫鉄(拳食合一の功徳奉士・f26667)は片っ端から叩き伏せていく。
「1匹、頼んだ!」
 最後の1匹をサイドステップで躱し、ジョン・ドゥに声を張れば、医療ノコギリの一閃が前脚を斬り飛ばし、続くもう一閃が胴を両断する。
(「1対1なら、対応出来そうだな」)
 元より、覇気で実体化させた貫鉄自身の分身を先行させ、敵の数はある程度減らしている。ジョン・ドゥの戦闘力の確認と肩慣らしを兼ねて、幾らかの野犬の対処は任せたが、彼の身のこなしはけして悪くない。後は慣れの問題だろう。
 目的の部屋まで、後少し――1つ2つ手前の部屋の野犬の群れを掃討して、小休憩。
「お疲れさん、そろそろ身体は温まってきたか?」
 息を整える猟兵達から少し離れ、ぽつねんと立ち尽くすジョン・ドゥに、貫鉄は衒いなく話し掛ける。
「……あ……そ、その……」
「大丈夫。無理矢理喋ろうとしなくても良いんだぜ」
 言葉は無くとも、人を救おうと日々研鑚しているのは良く分かるからと。
「例えば……この綺麗な縫い目は、縫合の練習も兼ねた結果だろう?」
 ジョン・ドゥのマントのツギ当てをポンと叩き、豪快な笑みを浮かべる貫鉄。
「きちんとした道具があれば、きっと傷痕は、もっともっと目立たなくなるな」
 だから、ジョン・ドゥはきっとなれると断言する。
「救うべき命に手を差し伸べる、医術のゴッドハンドにな!」
 ドゴォッ!!
 最後のバリケードを拳で殴り飛ばし、貫鉄はふぅっと息を細く吐く。
「現場に着いたら、采配してもらうぜ? 大事な道具、素人には解らねぇからな」
 信頼関係を築くには、まず相手を信用する事から。自分から1歩踏み出す漢気を実践して見せて、貫鉄はリノリウム剥げた廊下を歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『改造屍人『ナブラヘッド』』

POW   :    マスターキー
【高温に熱せられた斧】が命中した対象を切断する。
SPD   :    ダブルタップ
【戦闘補助プログラム】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【銃による連続射撃】で攻撃する。
WIZ   :    ナブラレーザー
【視線】を向けた対象に、【頭部から放たれるレーザー光線】でダメージを与える。命中率が高い。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 果たして、この病院で何が為されていたのだろうか――。
 廃病院の最奥部、場違いに広々とした大部屋は、一部の壁が崩落して、幾つかの部屋が続き間となってしまった模様。
 或いは、意図的に壁をぶち抜いたのか――ひしめく「改造屍人『ナブラヘッド』」は、一応に銃を右手に、赤熱する斧を左手に構えている。
 異様なのは頭部で、まるで金属の三角錐を被ったかのよう。
 ガシャン――。
 敵性を感知したか、一斉に、猟兵達の方を向くオブリビオン。
 ――――!!
 首を巡らせるや、三角錐の頭部から放たれたレーザー光線が、次々と猟兵達が飛び退いた跡を焼き切っていく。
「瀉血……」
 身構える猟兵達の背後で、ジョン・ドゥも又、医療ノコギリを握り締める。
「……治療……頑張る……」
 訥々とした呟きと対照的に、続く動きは淀みなく、医療ノコギリにアルコールを掛けて消毒した。
初志・貫鉄
即興共闘歓迎
POWで勝負

さて、ここには有用なもんは残ってるかぁ?
壊されねぇように立ち回るけど、目ぼしいものがあったら教えてくれよ

声に出して、ジョンに簡単な支持を要求

覇気を限界突破させ、身体にオーラ防御を纏い、いざ戦闘!
集団戦に広範囲型のUCが使えないのが残念
UCを使い、敵の先頭を殴り飛ばし出鼻を挫きながら接近
流石にヒートホークを食らって無傷とは絶対に言えないので、回避主体
覇気による残像で敵を誘導し、敵を盾にして攻撃回避や防御、同士討ちまで誘いつつ、グラップルで接近戦継続

UCで生み出した不可視の手は、ジョンの指示による物品の保護やサポートに利用、攻撃よりも戦線を整えるサポートとして利用


シュネー・グラウエン
あなたも戦うんだね
なら僕は、できる限りの援護
僕が部隊にいた時は怪我は日常茶飯事
治療してくれるドクターがいるから怪我をしても平気だった
そんなドクターに君はなってくれるのかい?
「僕が敵を足止めしたり妨害をする、よろしく」

ジョンさんから少し離れた位置に待機して
味方を襲おうとしている敵にヘッドショットで攻撃
二射目以降はアサルトライフルでの牽制射撃で
相手の動きを制限させる

相手がよろめいたり、僕に注意が向いたら
「今だ、チェーンソーで攻撃するんだ!」
銃で応戦しながらジョンさんの事を気にかける

もしジョンさんが攻撃されそうになったら銃で牽制
一度死んだ身だけど、これから治療があるのに
怪我してる場合じゃないからね



「さて、ここには有用なもんは残ってるかぁ?」
 怪異なる大群にも怯んだ様子は欠片も見せず、初志・貫鉄は拳を打ち鳴らす。
「連中が壊さねぇように立ち回るけど……目ぼしいものがあったら教えてくれよ」
 肩越しに、ジョン・ドゥに声を掛ける。
「えっと、多分……大丈、夫……?」
 医療物資は地下倉庫に在る。倉庫への通路が鎖されないよう、気を付ける程度か。
「そうか。最初から全開で問題なさそうだな」
 到達した頂より仰ぎ見た貴き頂。明王尊への憧憬は、心身より溢れ質量を得るに至る――迸る覇気を全身に纏う貫鉄。
「我が意、我が覇気、未熟なれど遠方へ差し出す掌と成らん!」
 赤熱する斧振り被るナブラヘッドを、不可視の拳が殴り飛ばす。
(「纏めて片付けられないのが残念だがな」)
 ならば、各個撃破で数を減らせば良い。肉弾戦こそゴッドハンドの十八番ならば、貫鉄は俊敏に敵に組み付き叩き伏せる。
「――っ!」
 貫鉄の覇気がナブラヘッドの知覚を惑わせるのか、赤熱の斧は時に残像を斬り裂き、時に同士討ちして共倒れする。
「ぐ……」
 正に獅子奮迅の戦いぶり。だが、流石に多勢相手に全ての攻撃を見切るには、相当の技量を要する。不可視の拳を操作せんとした一瞬の隙を突き、一閃する斧――肉焼ける音と共に、貫鉄の肩に朱線が走る。
「あ……」
 思わず息を呑むジョン・ドゥ。一歩踏み出そうとした彼にも、敵の銃口が向けられる――。
 ――――!!
「あなたも、戦うんだね」
 今しも、ジョン・ドゥを撃たんとしたナブラヘッドを、ヘッドショットしたのは駆け付けたばかりの雪白の少女。アサルトウェポンからライフルに持ち替え、シュネー・グラウエン(フラスコチャイルドのサバイバルガンナー・f25954)は、冬の夜空を映した双眸を細める。
 かつて、強襲部隊に所属していたシュネーにとって、負傷は当然の日常で。心強かったのは、治療してくれるドクターの存在だった、
(「そんなドクターに、君はなってくれるのかい? ……なら僕は、できる限りの援護を」)
 喩え1度は死んだ身であろうと、これから治療が待っているなら、怪我している場合じゃないだろう。
「僕が敵を足止めしたり妨害をする、よろしく」
 ――――!!
 アサルトライフルの連射で敵群を牽制するシュネー。
「今だ!」
 ジョン・ドゥの眼前で敵がよろめき、少女が叫んだ瞬間。飛び出した闇医者の医療ノコギリが、大きく風を切る。
「……これは」
 一見して凶悪な刃は、的確に貫鉄の肩の焼け焦げた部分を削ぎ落していた。同時、掛けられた薬液が傷口を塞ぎ、より膂力が増した感触を覚える。
「助かったぜ」
 回復した肩をグルリと回し、貫鉄が笑みを浮かべれば、ジョン・ドゥはコクリと小さく頷き返す。
 その視線は、既に次の患者を探しているようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

伽宝・真冬
死して尚、医者になろうとした彼に興味があって来た……
というわりに遅れちゃったけどねっ。

実際は組織の命令で、廃墟からとあるデータを盗ってくるように言われたんだけど……個人的には彼の方に興味がある
その前にあれだ、あれをやっつけないといけない流れ??

笑顔で罠へと誘い攻撃を
そっちはハズレ、こっちだよ?

戦いながらジョン・ドゥに話しかける
キミは何故死んだ後まで医師を志してるの?

命を救うってどんな感覚かなぁ……
医者って誰よりも生と死に近い存在だと思うんだよね。
だから興味があるだけ……

(私は生への実感があまりないから――)

危ないよ。ほら、一緒に戦おう?



「危ないよ。ほら、一緒に戦おう?」
 恐らく、無我夢中で前線に飛び込んだのだろう。ジョン・ドゥの背中はがら空きだ。
 ちろりと舌舐めずりして、伽宝・真冬(404・f09320)はその大きな背中に声を掛ける。
(「例のデータも、地下にあるのかな」)
 この廃病院に眠るデータの回収と猟兵としての依頼がバッティングした形だが、その実、死して尚、医者になろうとする彼の方に興味がある。
(「というわりに、遅れちゃったけどねっ」)
 ともあれ、好奇心を充たす前に、ひしめくナブラヘッドをやっつけないといけない流れのようだ。
「そっちはハズレ、こっちだよ?」
 敵の気を引くように笑みを浮かべておいでおいで。誘う先に、蜘蛛の巣状の電子魔法陣と足止め用の電子糸の罠を巡らせて。極めつけ、立体映像化した複数の電子銃で一斉攻撃すれば、敵は銃を構える暇も無く崩れ落ちる。
「ねぇ、キミは何故、死んだ後まで医師を志してるの?」
 絶えず電脳魔術を編みながら、真冬はジョン・ドゥに話し掛ける。
「……なぜ?」
 再度、医療ノコギリを消毒する彼は、困惑の表情か。きっと、的確な言葉を探しあぐねている。
「あ、難しく考えなくていいよ。医者って誰よりも生と死に近い存在だと思うんだよね。だから、興味があるってだけで……」
 真冬自身、生への実感が乏しいのは自覚している。だが、当人の口が拙ければ、求める回答を得るにも時間が掛かりそうだ。
(「命を救うって、どんな感覚かなぁ……」)

成功 🔵​🔵​🔴​

御園・桜花
「戦場で先生に求められるのは、治療と助言です…今回はそれを学ばれますよう」
「仲間を助ける場合は突出しすぎず、仲間をきちんと遮蔽に引き摺り込んで治療を行う」
「助言は敵を見て、それがどのように動くか想像しどこをどう攻撃すれば停止するか考える。例えば、今回の敵はゾンビを素体としたサイボーグです。どこを攻撃すれば、動きが止まると思いますか」
医師の傍で庇いつつ会話
敵の攻撃は第六感や見切り使用し盾受け

医師の言葉待ち
UC「召喚・精霊乱舞」使用
風属性の魔力追尾弾で敵の背中の機械類、腕や腹に繋がるコード類を引きちぎる
「今回は、死体を動かす動力源の破壊でした。先生の見立てが早まるほど、仲間の生存率も上がります」


菫宮・理緒
ジョンさんも気合満点だね。
わたしも負けてるわけにはいかないかな。

【E.C.O.M.S】を使って【Octagonal Pyramid】を展開。
相手も飛び道具を持ってるみたいだから、
半数をジョンさんの護衛に回して、もう半数で攻撃をしかけていくことにしよう。

とはいえ、基本はジョンさんのサポートに入りたいと思ってるよ。

本業はお医者さんとはいえ、リーダーになるなら戦闘の経験も大事だもんね。
ユニットでサポートしつつ、とどめとかはジョンさんに決めてもらって、
しっかり自信をつけてもらえたら嬉しいな。

自信がつけばコミュニケーションもとりやすくなるだろうし、
戦闘が終わったときにお話できるようになってたら嬉しいな!



「ジョンさんも気合満点だね。わたし達も負けるわけにはいかないかな」
「ですが、突出するのは戴けませんね」
 菫宮・理緒がいっそ微笑ましそうな面持ちの一方、御園・桜花は溜息1つ。
「戦場で先生に求められるのは、治療と助言です……今回はそれを学ばれますよう」
 仲間に治療を要する場合、戦闘の只中での行動は余りに目立ち過ぎる。格好の的となってしまうだろう。
「きちんと、遮蔽の陰に引き込んでから治療するよう心掛けましょう」
「……ごめん、なさい」
「まあまあ、本業はお医者さんでも、リーダーになるなら戦闘の経験も大事だもんね……じゃあ、こっちも作戦行動、開始」
 桜花に諭されてシュンとなったジョン・ドゥの背中を、励ますようにポンポンと叩く理緒。その周りを、正八角形の小型ユニットが数多飛び交う。半数のユニットはジョン・ドゥの護衛で、もう半数がナブラヘッドを攻撃していく。
(「私達でサポートして、ジョンさんにトドメを刺して貰えば……自信も付いて来るかな」)
 自信が付けば、他人とのコミュニケーションにも積極的になれるだろう。もっとお話出来るようになれば嬉しい――そう考える理緒だけれど。
「…………りぃ、だぁ?」
 ジョン・ドゥは面食らった表情で、ぽそりと呟く。猟兵の方で彼の『素質』を見出しこそすれ、当人はリーダーとして起つなど、考えもしていなかっただろうから。
「……まず、目の前の問題を片付けましょう」
 流石に、戦闘の最中で思考のフリーズは拙い。リーダーの自覚云々はさて置くとして、桜花はジョン・ドゥに敵の考察を促す。
「今回の敵は、ゾンビを素体としたサイボーグです。どこを攻撃すれば、動きが止まると思いますか」
 翳した桜色の手袋からビームシールドを発生させる桜花。ナブラヘッドの頭部から放たれるレーザー光線を受け流しながら、肩越しに問い掛ける。
「敵を見て、どのように動くか想像して、助言を下さい」
「…………」
 少しの沈黙。医療ノコギリがナブラヘッドの頭部を指す。
「……コード。背中の、機械に……繋がってる?」
「なるほど、死体を動かす動力源の破壊ですね」
 すかさず、桜花は風の精霊を召喚する。
 おいで精霊、数多の精霊、お前の力を貸しておくれ――精霊の放つ魔力弾が、ナブラヘッドの各所に伸びるコードを断つ。バチバチと火花が散り、痙攣した屍体は忽ち動きを止めた。
「先生の見立てが早まる程、仲間の生存率も上がります」
「ジョンさんがトドメを刺しちゃってもいいと思うけど……独りぼっちで戦うばかりじゃないものね」
 やはり、戦闘用ユニットにコードの切断を狙わせながら、理緒もうんうんと肯いている。
 桜花が示した戦い方は、観察と考察を要する分、難しくはあるだろうが。治療を優先する彼には、確かに向いているかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セプリオギナ・ユーラス
(……思い出したように、ぽつり)医者とリーダー、双方に共通して必要な能力はある。“選択”し、“決断”をする力。そしてその責を負うという“覚悟”だ。

誰かを救おうとすることが、別の誰かを殺す選択である可能性は常にある。誰を救うか選ぶ前にも自分が生き延びねば誰も救うことはできない。
早い話、いつでも誰かを見殺しにする覚悟がないのなら医者もリーダーもやめてしまえ。端から無理だったと諦めるんだな。
だが、そうでないのなら──

(押し黙る)(こういう問答は面倒だ)(ここはカウンセリングルームじゃない)
(ひとつ、息を深く吐く)

……まずは環境を整えること。
全ての障害を排除してからでなければ落ち着いて治療はできん。



(「医者とリーダー、為すべき内容は異なる、が」)
 正六面体から人型へ――白衣姿で立つセプリオギナ・ユーラスは、眼鏡越しに双眸を鋭く眇める。
「医者とリーダー、双方に共通して必要な能力はある」
「……?」
 思い出したような呟きが、ジョン・ドゥの耳に届いたようだ。或いは、先だって掛けられた「リーダー」という言葉が、彼なりに引っ掛かっていたのかもしれない。
「『選択』し、『決断』をする力。そしてその責を負うという『覚悟』だ」
 誰かを救おうとする事が、別の誰かを殺す選択である可能性は常にある。誰を救うか選ぶ前にも、自分が生き延びねば誰も救う事はできない。
「早い話、いつでも誰かを見殺しにする覚悟がないのなら、医者もリーダーもやめてしまえ。端から無理だったと諦めるんだな」
「…………」
 いっそ突き放すようなセプリオギナの言葉に、ジョン・ドゥの困惑がありありと伝わってくる。だが、一方で、応急処置に向かう彼の動きに躊躇いは無い。
(「こういう問答は、面倒だ」)
 厳つい背中を見送り、深く息を吐く。ここはカウンセリングルームではない。覚悟を問うのは、まだ早い。
(「まずは環境を整える事。全ての障害を排除してからでなければ、落ち着いて治療はできん」)
 意識して気持ちを切り替える。一刻も早く『治療』を開始すべく、セプリオギナは周囲を転がる正六面体の機械端末の操作に集中した。

成功 🔵​🔵​🔴​

シエラ・バディス
ジョンさんはシエラの後ろを任せても良いですか?
棺桶を背負っているので被弾は気にしてはないけど、無駄に受ける必要も無いからね。

斧を持ち直して、選択UCを使用、『怪力』と合わせて一撃威力を重視します。
ジョンさんが被弾しそうならば、積極的に『かばう』ように動きますね。

こちらの治療は戦闘が落ち着いてから、猟兵の人達は結構頑丈ですし、シエラも皆さんと近い存在なので文字通り全身壊されない限り動けますから…
でも、危ないと思ったらよろしくお願いしますね。

※アドリブ、連携等歓迎。


佐藤・和鏡子
ミレナリオ・リフレクションでレーザーを相殺しながら、こちらも救急箱レーザーモジュールのレーザー射撃で応戦します。
斧での近接攻撃は救急箱をシールド型に変形させて防ぎます。
ジョンさんに自信を付けさせるためにも彼の実力も見ながら彼が暇にならず、危なくならないような範囲で彼にも戦わせて、成果を上げたら積極的に誉めるようにします。
ジョンさんは見た感じノコギリなどでの近接戦タイプのようなので、彼をレーザーで援護する様な立ち回りをします。
もし、自分が負傷したら自信を付けさせるためにジョンさんに診てもらうようにし、彼が負傷したら私が対応します。(一応、医術スキル持ちなので)



「ありがとうございます」
 笑顔で礼を口にする佐藤・和鏡子。
 ナブラヘッドの頭部から放たれるレーザー光線は、命中精度が高い。流石に、初見からの相殺は叶わず、脇腹を掠めた負傷は駆け付けたジョン・ドゥが治療してくれた。
(「見た感じ、ジョンさんは近接戦タイプだと思っていましたけど」)
 確かに、野犬相手には医療ノコギリで応戦していたジョン・ドゥだが、ナブラヘッドとの戦いが始まってからは、治療に専念している。
 野犬と量産型であろうとオブリビオンではその強さも桁違い。猟兵の負傷の率も上がれば、闇医者の彼が優先する行動は明白だ。
(「でも、ジョンさんには、もっと自信を付けて貰わないと」)
 危険のない範囲が肝心であるが、どうやって彼にも戦って貰おうか――考え込む和鏡子と心配そうなジョン・ドゥの前に、1つの影。
「ジョンさん、シエラの後ろを任せても良いですか?」
 肩越しに声を掛け、斧を構え直すシエラ・バディス。棺桶を背負う身ではあるけれど、無駄に被弾する必要も無い。
「敵の数も減ってきましたし……畳掛けてしまいましょう」
 言外にジョン・ドゥの参戦を促したが、躊躇う空気に改めて口を開く。
「後の治療は、戦闘が落ち着いてから。猟兵は結構頑丈ですし、シエラも文字通り全身壊されない限り、動けますから」
「私も、もう大丈夫です!」
 救急箱を象るガジェットを手に、和鏡子も元気よく立ち上がれば、漸くジョン・ドゥも首肯する。
「でも、危ないと思ったらよろしくお願いしますね」
 穏やかに付け加えながら――敵と向き合ったシエラは、少女の見た目に違う剛腕を振う。
 和鏡子も1度見た攻撃ならもう大丈夫。ミレナリオ・リフレクションでしっかり相殺、救急箱レーザーモジュールのレーザー射撃で応戦する。
「今です」
「……っ!」
 シエラの斧によろめいたナブラヘッドを、和鏡子のレーザーが貫く。シエラの掛け声に合わせ、医療ノコギリが一閃すれば、屍体がどうと崩れ落ちる。
「やりましたね!」
「……う、うん!」
 和鏡子の笑顔に、ザンバラの前髪の奥の双眸を瞬いて。ジョン・ドゥは初めて息を弾ませ、子供のように笑み零れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フローラ・ソイレント
※アドリブ歓迎

WIZ判定

・行動
ジョン=ドゥ氏にデッドマン特有の衝動に関するレクチャーをする
その後で闇医者のUCの使い方の応用で
自己を治療強化しながら戦う術を見せ、敵を倒す

・戦闘
電磁鍼を首に突き刺してUC発動
強化した戦闘能力で敵の攻撃の起こりを「見切り」
回避した後に「限界突破」で接近し「鎧無視攻撃」の掌底を叩き込む

・セリフ
デッドマンは己の衝動からは逃げられません
私の場合は「反抗」です、生命が理不尽に踏みにじられるのを許せない
あなたの場合は怪我を癒す「仁術」と言ったところですか

衝動を燃やし、衝動に従いなさい
いつか燃え尽きるその時まで止まることなく歩み続ける
それだけが私たちに出来ることなのですから



 ――かつて、拠点の掘立小屋に引き籠っていたジョン・ドゥは、病に冒された人々の中に入る事は出来なかった。しかし、戦場の只中に在って、負傷を目の当たりにすれば、動かずにはいられない。
「デッドマンは、己の衝動からは逃げられません」
 フローラ・ソイレントの衝動は「反抗」だ。生命が理不尽に踏みにじられるのは、許せない。
「あなたの場合は、怪我を癒す『仁術』と言ったところですか」
「じ、ん……?」
 知らない言葉であったか、ジョン・ドゥは首を傾げる。それでも、『救命』に執着するが故に、死して尚、闇医者となったのであろうから。
「衝動を燃やし、衝動に従いなさい。いつか燃え尽きるその時まで、止まることなく歩み続ける……それだけが、私たちに出来ることなのですから」
 デッドマンの魂の在り方を説き、次にフローラは己の首に電磁鍼を突き刺す。
「あなたの手術の腕は悪くない……この技は、その応用です」
 全身のバネをたわめ、ナブラヘッドを強襲するフローラ。敵の頭部から迸るレーザー光線の軌道を紙一重で躱してのける。
 ――――!!
 フローラの全身に電光が奔ったように見えた次の瞬間、常人に在り得ぬ速度で接近、掌底を叩き込む。その一撃で、ナブラヘッドは内から爆ぜるように斃れた。
「この針は特殊な電磁パルスを発生します。肉体の活性化を促し……つまり、自らを治療・強化しながら戦える訳です」
「じぶん、を……?」
 闇医者は、あらゆる禁忌の薬物・医療・改造手術の知識を基に、どんな肉体も修繕する。その対象は、デッドマンである自身にも及ぶのだと――フローラの実践は、彼に相当のカルチャーショックを与えたようだった。

 ――大部屋にひしめいていた改造屍人は次々と斃され、床に崩れ落ちる端から霧散する。
 気が付けば、がらんどうの様相に、ジョン・ドゥが不思議そうに首を巡らせるのも束の間。
「あ……!」
 最後のナブラヘッドが失せた床に、鉄鋲打たれた大きな落とし戸。その下に在る物を予測したのか、デッドマンの闇医者は大柄に違う身軽さで駆け寄った。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 日常 『物資運搬~準備~』

POW   :    積み荷を廃墟から運び出す。

SPD   :    荷物を小分けにするなど運びやすい形にまとめる。

WIZ   :    荷物ごとの重量を均一にしたり、長持ちする方法で梱包する。

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 果たして、落とし戸の下は広々とした地下倉庫。正に、物資の保存に向いた冷暗所であり――棚という棚に、様々な医療物資が詰め込まれていた。1度では到底、持ち帰り切れまい。
 息を呑んで中を見回すジョン・ドゥ――その一角に釘付けとなる。
「すご、い……」
 闇医者にとって、本棚一杯の医術書は正しく値千金。今にもその場で読み始めてしまいそうなジョン・ドゥだが、拠点には病に冒された人々が待っている。
 物資を運び出す段取りを組み、作業する間ならば――彼と話す時間も取れるだろう。
 帰還後、スムーズに医療活動に入る為にも。彼が識るべき事、悟るべき事は、まだまだある筈だ。
初志・貫鉄
即興共闘歓迎

重量物なら任せとけ、外に持ち出しても車両(功徳丸)に乗せれば運搬も楽だぜ?

UCを使い、分身と共に戦場となった空間を荷造りしやすいようにガレキ等を端に寄せる

料理にしろ医療にしろ、何をするにも前準備は必要だ
出来るだけ綺麗な空間で、段取りを整えてから取り掛からなきゃな

その後、重量物を優先的に引き上げ
書物や薬品関係は、下で梱包してもらい取り扱いを慎重に
合間に、ジョンに自分の考えを伝えます


一人じゃ、限界が来る。残念だがその手から零れ落ちる命は多いだろう

だから人を頼れ。一人でも多く救いたいお前さんと共に命を救いたいと願う協力者を募るんだ

何時までも俺達は傍にいられねぇ。だからあの集団を頼んだぜ?



 ――具現せよ、水鏡に写りし己が黒蓮。
 初志・貫鉄の傍らに、覇気で象ったもう1人が顕れる。
「重量物なら任せとけ」
 貫鉄が乗り付けた『機動厨房 功徳丸』は、大型兵員輸送装甲車を改造している。これに乗せれば運搬も楽だろう。
「料理にしろ医療にしろ、何をするにも前準備は必要だ……出来るだけ綺麗な空間で、段取りを整えてから取り掛からなきゃな」
 手始めに、分身と共に、戦場となったばかりの大部屋を片付けていく。倉庫の真上の空間は相当な広さがある。確かに、物資を荷造りする場所として丁度良さそうだ。
 倉庫に眠っていた医療物資は、実に多岐に渡る。やはり、優先されるのは消耗品だろう。特に薬品類の取扱いは慎重に。
 医療用器具の取捨選択は、ジョン・ドゥの判断に委ねた。多大な電力を要する機械は実用性に乏しいし、大型の物品も既に彼の家に在るなら優先順位も低かろう。
「えっと……」
 まず、メスとその替刃、鋏、ピンセット、鉗子……彼が携える医療ノコギリもそうだが、ノミにツチ、ヤスリ、テコ、ワイヤカッターに至るまで、医療用の形状は、工具と似て非なる。
 それぞれは小さくとも、集めればそこそこの重量となる。分別された物資を、貫鉄は順に梱包していく。
「……物資運搬の準備でさえ、こうやって、人手が必要だ」
 ジョン・ドゥが梱包を手伝うタイミングを見計らい、静かに口を開く。
「1人じゃ、限界が来る。残念だが、その手から零れ落ちる命は多いだろう」
「……っ」
 サバイバルマントの下から覗くツギハギの手が、ビクリと竦んだ。唇を噛んで俯くジョン・ドゥへ、身を乗り出す貫鉄。
「だから、人を頼れ。1人でも多く救いたいお前さんと共に、命を救いたいと願う協力者を募るんだ」
「え……」
 そう、拠点には、確かにいた筈だ。病人を懸命に看病する人々が。喩え、小さな拠点であっても、医者1人で対応するのは無理がある。
 人々に協力を求めるのは、交流を避けてきたジョン・ドゥには荷が重かろう。だが、猟兵とていつまでも、フォローは出来ないのだ。
「そんな、不安そうな顔をするな……あの拠点の皆を、頼んだぜ?」
「……」
 1人でも多くを救いたいならば――デッドマンに刻まれた衝動に訴え掛け、貫鉄は諭す。
 喩え及び腰であろうと、彼が己の足で、人の輪に入っていけるように。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「先生、先に医薬品の確保を進めませんか?これだけの書物、全て先生の庵に納まるとは思えませんもの」

UC「ノームの召喚」使用
医薬品等を拠点へ運搬
「本は治療の後、拠点の皆様と取りに来られたら如何でしょう?きっと皆さま手伝って下さいますよ」

「命は繋ぐより、絶ってしまう方が簡単です。それでも、死してなお医療を志した貴方の中には、仁の心が宿っています。それをどうぞ花開かせて下さい。貴方が咲かせたそれは、きっと他の方の中にも芽吹く花となるでしょう」

皆で歩いて微妙に獣道のような跡が残った場所を示し
「今日貴方がこの痕を作り、何往復もするうちに、これは道となるでしょう。貴方の行いは、何時か必ず実を結ぶのです」



「先生、先に医薬品の確保を進めませんか?」
「う……」
「これだけの書物、全て先生の庵に納まるとは思えませんもの」
「うぅぅ……」
 片付けの最中、つい本を開いてしまったが最後……あるあるの光景ながら、にこやかに窘められればぐうの音も出ない。ジョン・ドゥの情けない表情に、御園・桜花は思わずくすり。
「本は治療の後、拠点の皆様と取りに来られたら如何でしょう? きっと皆さま手伝って下さいますよ」
「……そう、かな」
 だが、医術書に目を落とす彼の表情は芳しくない。デッドマンである彼は、その容貌も親しみ易いとは言い難い。拠点の人々も、触らぬ神に祟りなしと彼に近付こうとしなかったという。
 それでも、こちらから歩み寄らねば、拠点に巣食う病と闘う事もままならない。彼らは、ジョン・ドゥが医者である事すら知らないのだから。
「命は繋ぐより、絶ってしまう方が簡単です。それなのに、死して尚、貴方は医療を志した……貴方の中には、仁の心が宿っています」
 花と咲かせて欲しいと、桜花は言う。
「貴方が咲かせたそれは、きっと他の方の中にも芽吹く花となるでしょう」
「……」
 陽気な足取りで物資を運ぶノーム達を連れ立ち、自らも薬品の箱を持つ桜花。ジョン・ドゥも両脇に段ボール箱を抱えて桜花に続く。
 かつての病院の車寄せには、猟兵達が乗り合わせて来た車両が何台か。その向こうには、荒涼たる野が広がっている。
「見て下さい」
 桜花が指差した先――よくよく見れば、下草が倒れていてうっすらと筋が出来ている。
「今日、貴方と私達猟兵がこの跡を作りました。今度は貴方と拠点の皆さまで何往復もする内に、これは道となるでしょう」
 今すぐとは言わない。だが、為した行動は必ず実を結ぶ。
「貴方の行いだって、何時か必ず」
「……」
 ジョン・ドゥの視線が、うっすらと続く筋を辿る。ここからでは、山にある拠点は影も形も見えないけれど。
「……」
 何か決意を固めたのか、ツギハギの青黒い拳が固く握り締められた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

菫宮・理緒
や、こんなところにこんなに物資や資料があるなんて!
時間があれば、わたしもしっかり読んでみたくなっちゃうな。

とはいえ、いまは表のみんなのこともあるしね。

【多重詠唱】を使って、【虚実置換】と【偽装錬金】を同時使用。
倉庫と表を繋ぐ出入り口や通路を整備して、物資を持ち出しやすくしておきたいな。

それと、資料とかは【電脳潜行】を使って、
できる限りデータベース化して、ジョンさんが使うときに解りやすく整理しておきたいかな。

みんなの笑顔のためにここまでこられたジョンさんなら、
これからだって、ぜったいだいじょぶ!
自信を持って、みんなとお離ししていいと思うよ。

ちょっとずつでもお話ししていけば、みんなのこと解るしね!



「時間があれば、わたしも読んでみたかったな」
 ジョン・ドゥの立ち読みを窘める声に、思わず首を竦める菫宮・理緒。
 それにしても、こんな所に医療物資や資料が山積みなんて、ブリンガー冥利に尽きるというもの。今はユーベルコードも駆使して、廃病院の出入り口や通路を整備。物資の移動の効率化を図っている。
(「資料も出来る限りデータベース化して、ジョンさんが使う時に解り易いようにしておきたいかな」)
 そう考える理緒は電脳魔術士だが、電脳空間の目録だけでは、アポカリプスヘルでは実用性に乏しいか。
「やっぱり、プリントアウトした方が良いのかな?」
「……?」
 理緒の呟きに、通りすがりのジョン・ドゥは怪訝そう。
「あ、ジョンさん。お疲れさま!」
「うん……おつかれ、さま……」
 彼が抱える小箱には、未使用の注射針や穿刺針が束になって入っている。ものがモノだけに、慎重に運んでいるようだ。
「……拠点の病気……注射で、薬を直截入れたら……きっと、よくなる」
「だったら、頑張った甲斐があったね!」
 思わず理緒が喜色を浮かべれば、ジョン・ドゥも唇を歪める。或いは、微笑んだのかもしれない。
「みんなの笑顔の為にここまで来られたジョンさんなら、これからだって、ぜったいだいじょぶ!」
 だから、理緒はもう一押し。彼の背中を押してみる。
「自信を持って、みんなとお話していいと思うよ」
「お話……」
「うん。ちょっとずつでもお話ししていけば、みんなのことも解るしね!」
 逆を言えば、ちょっとずつでもお話ししなければ、拠点の人々の事も理解出来ないのだ。
(「頑張って」)
 忽ち不安そうに眉根を寄せながら、それでもジョン・ドゥはこっくりと頷く。そんな彼の背中をポンと叩き、理緒は力付けるように笑み零れた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローラ・ソイレント
※アドリブ歓迎

WIZ判定

・行動
運び出し作業の手伝い
収蔵された品を分類ごとに仕分け書籍や薬品が傷まない様に梱包する
(スキル「医術、救助活動、コミュ力」など)

・会話
どうやらあなたは研究者気質のようです
しかしどのような技術を修めていても
それを振るうことが出来なければ無意味になってしまいますよ

この人に「自分の生命を任せても良い」という信頼が無ければ
私たちは結局何もできないのです

人との交流が苦手だというのなら看護士を置き
その方に患者のケアを任せてしまうのも手ですね
なにも「全て一人でやらなければならない」という訳では無いのです

その為にも仲間を作ることが大切ですよ
まずは一人一人信頼関係を構築していきましょう



 恐らく、彼は研究者気質だ――物資の梱包を手伝うジョン・ドゥの几帳面さを横目に、フローラ・ソイレントは確信する。
「……しかし、どのような技術を修めていても、それを振るうことが出来なければ無意味になってしまいます」
「……っ」
 フローラの呟きに、丁度、手術用の針と糸を纏めていたジョン・ドゥの手が止まる。
「『自分の生命を任せても良い』という信頼が無ければ、私たちは結局何もできないのです」
 故に、フローラは仲間を作る大切さを説く。
「人との交流が苦手なら看護士を置き、その方に患者のケアを任せてしまうのも手ですね。何も『全て1人でやらなければならない』という訳では無いのです」
 まずは1人1人と信頼関係の構築を――フローラの言葉を噛み締めていたのか、暫時の沈黙の後、ジョン・ドゥはぽつりと零す。
「同じ事、言われた……」
 きっと、他の猟兵に。
「頑張る」
 複数の猟兵達に重ねて説かれた理由は、彼なりに理解しているようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セプリオギナ・ユーラス
──◆正六面体

「わたくしは、貴殿が選ぼうとする道が、他ならぬ貴殿の為になることをこそ願います」
ころん、ころん。スタッフの手も借りて物資を運び、医学書を読みたいのを我慢しながらそれ◆は(そうとは悟らせず)ゆっくり語りかける。
「誰かを救おうとすることが、本当に貴殿の望みであるのなら止めはいたしません」
救えるという自信も無論必要。だが救えないことがあることを知っておくこともまた必要なのだ。

「もう一度、お訊きしますが」「誰かの死を、決して取り戻せないそれら全ての事柄を、確かにその身で引き受ける覚悟はおありですか?」

あるのなら、良いのだ。
それなら彼はきっと、人々に受け入れられる医師になれるだろう──。



(「なるほど。本は後回し、と」)
 ころん、ころん。器用に物資を運ぶ正六面体。結局手付かずの書棚を見上げる様子は、何だか残念そう。セプリオギナ・ユーラスも闇医者ならば、医術書には大いに関心がある。
(「まあ、それはさておき」)
 内心の葛藤など、おくびにも出さず、セプリオギナはジョン・ドゥの方に向き直る。
「わたくしは、貴殿が選ぼうとする道が、他ならぬ貴殿の為になる事をこそ願います」
 それは、先だって『覚悟』を問うた時の続き。あの時は、厳しい口調となってしまったけれど。
「誰かを救おうとすることが、本当に貴殿の望みであるのなら止めはいたしません」
 『救命』こそが、ジョン・ドゥの魂に刻まれた衝動ならば。技術に裏打ちされた自信は、無論必要。だが、救えないケースがある事も知っておくべきなのだ。
「もう1度、お訊きしますが」
 正六面体は微動だにしない。人の姿であれば、じっとジョン・ドゥを凝視していただろう。
「誰かの死を、決して取り戻せないそれら全ての事柄を、確かにその身で引き受ける覚悟はおありですか?」
「…………」
 長い沈黙の末――ジョン・ドウが小さく肯いたのを、セプリオギナは確認する。
「判りました」
 覚悟の上ならば、それで良い。
(「決断出来た彼はきっと、人々に受け入れられる医師になれるだろう──」)

大成功 🔵​🔵​🔵​

シエラ・バディス
…丁寧に運ばなければいけない物は他の方々に任せて、シエラは多少乱暴に扱っても良い物を棺桶に詰め込めるだけ詰め込んで運ぶね。(運搬+怪力)
あとは…ジョンさんの覚悟だけだね。

人は1人では生きてはいけない…だったかな?
シエラのはちょっと違う気がするけどね?

辺りを見て他の猟兵が居ないのを確認してローブを肌着ごとまくり上げます。

シエラの『部分』はここから、下は右足の膝上まで…あとはここから上かな?
斜めに走る胴体の傷をなぞった後、首をトントンと叩く。

正しい意味とは違うかもしれないけど、シエラも『みんな』に生かされてここに居るんだと思うから。
ジョンさんも、いつか誰かを生かせるように頑張って欲しいのです。



 常に背負う棺桶を床に下ろすシエラ・バディス。
 壊れ物注意は他に任せ、多少乱暴に扱っても問題なさそうな物資を、棺桶に詰め込む事にする。
 包帯やガーゼ、脱脂綿にマスク、絆創膏、サージカルテープ等々、所謂衛生材料は基本使い捨てなので、幾らあっても困らない。元々のサイズが小さい分、相当の量でぎゅうぎゅうにしても軽かった。
(「後は……ジョンさんに、覚悟を」)
 独りで車両に物資を積み込んでいる所を見計らい、ジョン・ドゥに声を掛けるシエラ。
「人は独りでは生きていけない……だったかな?」
 彼女の言葉に、彼は怪訝そうに首を傾げる。
「シエラのは、ちょっと違う気がするけどね?」
 周囲に人影が無いのを確認して、徐にローブを肌着ごと捲り上げた。
「え……あ、あの……」
「シエラの『部分』はここから、下は右足の膝上まで……あとはここから上かな?」
 15歳の少女の突然の行動に、流石にジョン・ドゥも慌てるが、当人は平然と斜めに走る胴の傷をなぞる。次いで、首をトントンと叩いた。
「まさか……君、も……?」
「デッドマンとは、ちょっと違うけどね」
 正確には、生体サイボーグであるシエラだが、恐らく、誰かの手によって再生されたのは彼と同じ。
「シエラも、『みんな』に生かされてここに居るんだと思う」
 そんな彼女だからこそ、言える言葉がある。
「ジョンさんも、いつか誰かを生かせるように頑張って欲しいのです」
 現在も、彼が研鑽を続けている医術は、正に命を救う為の技術なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

伽宝・真冬
みんなと協力しながら荷物を運び出すよ
電脳プログラムを具現化しながら、組織から依頼された書物を探しつつね

手は動かしながらジョン・ドゥと会話を

ねぇ、キミは一度死んでるんでしょ?
死ぬときって何が見えるの?
どんな感じがしたか覚えている?

キミはこれから救う命と同じくらい消えて行く命を見ることになる
医者ってそういう仕事でしょ?
……そんなとき、きっとキミの経験は役立つよ

一度死を迎えたキミしか伝えられない言葉があるはず

とは言え…キミは話すのが苦手なのかな?
医学以外もお勉強しなきゃ
コミュ力を鍛えるには、まずは話し相手が必要でしょ

店の名刺を渡し、いつでも連絡してねと伝えて

目当ての書物を発見
ハイ、お仕事完了~



「ねぇ、キミは1度死んでるんでしょ?」
 ぎっしりと、書棚に詰め込まれた医術書の背表紙を眺めていた伽宝・真冬は、ジョン・ドゥを一瞥する。
「死ぬ時って、何が見えるの? どんな感じがしたか……覚えている?」
 マイペースにして、遠慮のない問い掛けだった。
「……」
 直截的であるが故に響いたか、ジョン・ドゥは暫時、黙り込む。
「…………泣き声が、聞こえたんだ」
 ――レイダー共の小競り合いで、瓦解した拠点。廃墟の陰で泣いていた子供は、怪我をしていた。
「……でも、俺は、どうしていいか、判らなくて……」
 出来たのは、傍にいてあげた事だけ。
「……手当も、そこから、連れ出す事も、出来なくて……」
 爆発音が轟き、視界がホワイトアウトしたのが――最期の瞬間。
「即死、だったんだと、思う……何も見えなかったし……何か感じる前に、意識が、途切れた」
 参考にならなさそうだと、ジョン・ドゥは申し訳なさそうに眉根を寄せる。
「そっか……」
 ジョン・ドゥの『衝動』は、きっとその時に焼き付いたのだろう。もう、何も出来ないまま終わらぬように――再度の生を得た僥倖を費やし続けている。
「だけど……キミはこれから、救う命と同じくらい消えて行く命を見ることになる」
 無情にも聞こえる真冬の言葉に、息を呑む音が重なる。
「医者ってそういう仕事でしょ? ……そんなとき、きっとキミの経験は役立つよ」
 1度死を迎えたジョン・ドゥにしか伝えられない言葉がある筈だと――だが、そこでウーンと考え込む真冬。
「とは言え……キミは、話すのが苦手なのかな?」
「…………」
 コミュニケーションの大切さは、他の猟兵にもよくよく諭されているのだろう。困った表情で俯く彼を見上げ、真冬は小さく舌舐めずり。
「医学以外もお勉強しなきゃね。コミュ力を鍛えるなら、まずは話し相手が必要でしょ」
 ヒョイと差し出したのは、「電脳Bar❆holo」の名刺。真冬が営むバーというか、組織の溜り場というか。
「いつでも連絡してね」
「……ありが、とう?」
 その実、店の所在がUDCアースなのは、まあさて置くとして。
「……ハイ、お仕事完了~」
 漸く書棚から『依頼』のデータを隠した書物を回収して、真冬は何食わぬ顔で、地下倉庫を後にした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

佐藤・和鏡子
医学書や医薬品の運び出しを手伝います。
ジョンさんに聞いて優先度の高い物から順に救急車に積み込んで拠点まで運びます。
車を使えば大量の荷物も簡単に運べますから。
(怪力と運搬の技能を併用してさらに効率を上げます)
拠点に着いたら、医術でジョンさんの手伝いはしますが、あくまでも彼が主役。
あまりでしゃばらないように気をつけます。
『これからが本番ですよ。頑張ってくださいね』



 年代物の救急車に、医療物資を積み込んでいく佐藤・和鏡子。
 その実、1度では到底運びきれぬ物量が地下倉庫に眠っていた訳で、ジョン・ドゥに優先度を確認しながらの作業だった。
 車両を利用すれば、大量の物資運搬も易い。複数の猟兵の車両で、廃病院に乗り付けたのは幸いであった。
 ブリンガーとしての仕事は、拠点に医療物資を運べば完了する。だが、和鏡子はもう暫く、留まる事にする。
「これからが本番ですよ。頑張ってくださいね」
 ザンバラの髪を束ね、サバイバルマントに替わって白衣に袖を通したジョン・ドゥは、緊張の面持ちで和鏡子の激励に頷き返す。
 その様相は、確かに救急箱を抱えるナースを伴う医者そのもの。拠点の人々は、彼が闇医術を修めている事も、魂に「救命」の衝動を刻んでいる事も知らない。故に、『形』から入る事は、きっと正しい。
(「あまり出しゃばらないように……あくまでも、彼が主役です」)
 彼が、これから拠点の人々を医療で救っていけるように。和鏡子は最初の取っ掛かりの手助けをする心算だ。
「……頑張る」
 ジョン・ドゥの、たった一言に覗く決意は――正しく、1つの旅を共にした猟兵達への応えだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月21日


挿絵イラスト