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うつせみアズール(作者 蓮雨
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 ああ、あああ。
 美姫と蜘蛛とが合わさった妖怪は嘆く。
 明るい空なんて、消えてしまえばいいのに。
 ――その思いが通じたのか、幽世は姿を変えた。


 毎日がカタストロフ、なんて触れ込みの新しい世界――カクリヨファンタズム。
 今日もまた一つ、新しい崩壊が起きたようだ。
「空が消えた幽世を助けて欲しいのです」
 プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)の呼びかけに、猟兵達は耳を傾ける。

 暗所を好むオブリビオンの願いが通じて「空」が消えた幽世は、陸地同士が鏡写しになってしまった。天を仰ぐと、足元に広がる大地がそっくりそのまま広がっている。
 高さはそう、『手を伸ばすと届く距離』。
 人により違いはあるが、ひどい圧迫感だし、飛んだり跳ねたりしただけで木や地面にぶつかるので妖怪達は参っていた。
「皆さんには元凶のオブリビオンを倒してもらいます」
 その個体名は『水蜘蛛川姫』。美女の姿で人を誘惑して水に引きずり込む妖怪だ。
「彼女は森の中、湖に住処を構えています。その手前、森の入り口には『迦陵頻伽』の集団がいるので、そちらを倒して進む必要があります」
 迦陵頻伽の群れを倒し、水蜘蛛川姫を倒す。そうすれば崩壊は未然に防がれ、骸魂に囚われた妖怪は解放され、カクリヨファンタズムに平和が戻るのだ。

「空が戻ったら、妖怪達は精霊レースを開催するんです。皆さんも参加してみませんか?」
 プルミエールは猟兵を誘った。
 きゅうりで作る精霊馬や、なすで作る精霊牛。それらにちょいちょいと工夫すれば動き出すのだ。なんてったって幽世だもの。
 そんな精霊馬や精霊牛にまたがって、パドック一周2500mの勝負をしようではないか。
 きゅうりやなす以外にもオリジナルの精霊ナントカを作ったっていいし、自前で持ち込んでもいい。
 ゆるいルールでスポーツマンシップにのっとり、楽しもうではないか。

「よろしくお願いします」
 そう締めくくり、プルミエールは転送の準備に入った。





第2章 ボス戦 『水蜘蛛川姫』

POW ●巻き捕る
レベル×1tまでの対象の【体に妖力を込めた蜘蛛糸を巻き付け、その端】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD ●吸い取る
【鋭い牙での噛み付き】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【生命力を奪い自身の戦闘力を強化。敵は苦痛】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ ●絡め獲る
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【耐刃性の優れた糸で出来た、頑丈な蜘蛛の巣】で包囲攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十三星・ミナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 空が嫌いだった。
 晴れた日は底抜けに明るく澄み渡って、日陰にいてもからりとした風が吹き寄せてくる。
 空なんて無くなればいいのに。世界が全部、木陰と薄暗い湿地になったらどんなに素敵だろう。
 ――そんな願いを持ったオブリビオンがいた。名は水蜘蛛川姫。美しい乙女の妖怪を喰らった蜘蛛の骸魂である。
 青空も太陽の光も、乾いた大地も風が通る草原も。彼女にとっては暮らしにくい世界だった。
 だからそれらを消し去った今、幽世はとても居心地のいい場所だ。
 森の奥にある湖をねぐらに定め、巣を張って、恋人だったしゃれこうべと共に暮らしている。
 妖怪達の嘆きも世界の終わりも無視して、幸せに暮らしていた。
 水蜘蛛姫の歪な平穏は、猟兵の手によってもうすぐ終わりを告げる――。
セレシェイラ・フロレセール
キミが『空』の消失を願った理由
……いや、考えてもキミの望みとわたしの望みは相反するもの
たとえ骸魂が悲しき魂なのだとしても、わたしは己の力を生きる者のために使う
死した魂は在るべき場所へと還そう
それが、わたしがキミに出来る唯一のこと
『空』を取り戻すための物語、此度わたしが綴るのは幸福な結びだ

【多重詠唱】で防御用の魔法と攻撃用の魔法を同時に詠唱する
防御は風の魔法と炎の魔法を同時詠唱
風と炎の障壁を自身の回りに展開して此方に向けられた蜘蛛の巣を燃やそう

攻撃用の魔法は自分の回りの蜘蛛の巣を燃やし尽くした後に発動
キミに綴る魔法は雷の竜巻
荒ぶる力を静め災厄飲み込む慰めの力を乗せよう
雷の花よ、開花の時は今


空亡・劔
うううう!やっぱり飛べないって不便ね!

よくも訳の分からない異変を起こしてくれたわね!

さっさと元に戻してやるわ!

【天候操作】で周辺を冬の快晴にするわ!
日差しはあるけど空気は冷たくさっぱり風が吹くわよ

【属性攻撃】
氷属性を武器に付与!

そして
ユベコ発動(尚特に姿は変わらない

二刀で【二回攻撃】で攻撃!

考えてみたら別に世界をこんなにしなくたって湿地も水辺も暗いところだって狭いところだってあるんだからこんな事する必要ないでしょうがぁ!

【残像】を残しながら攻撃を避けつつ

低空飛行で斬りあうわよ

教えてやるわよ
あたしこそ最強の大妖怪!
空亡劔様よ!

こんな世界じゃこの大妖怪には狭すぎるって事よ!!!(えっへん


マルコ・ガブリエル(サポート)
『初めまして、わたくしはマルコと申します』
『皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!』
『まあ、なんて美味しそう……! 宜しければ、一緒にいかがですか?』
笑顔が魅力的で朗らかな女の子です。実は故郷を滅ぼされて天涯孤独の身ですが、そうした悲壮感を仲間に感じさせることはなく、いつも明るく振る舞っています。
誰に対しても優しく、敵にさえ「できれば戦わず、穏便に事件を解決したい」と考えるような優しい性格ですが、無辜の人々を苦しめる悪い奴には心を鬼にして全力で攻撃をお見舞いします。
美味しいもの、特に焼肉をみんなで食べるのが大好きで、無事に事件解決した後はよく他の猟兵をご飯に誘おうとします。



 一針一針丁寧に編まれたレースのよう。湖の周囲に築かれた水蜘蛛川姫の巣は、美しい幾何学模様を描いているのよ。
「私達には、明るい空なんていらないのよ」
「お気持ちはわかりましたわ。……けれど、あなたがたが暗がりを愛するように、青空が好きな人もいるのです」
 マルコ・ガブリエル(焼肉天使・f09505)は反論する。
 嫌いなものがなくなってしまえばいいのに、なんて誰もが思うものだ。けれど自分が大嫌いでもそれが好きな人が居たりするし、無くなると問題が発生することもある。
「空がないと思いっきり飛べなくて不便ね! さっきの迦陵頻伽だってぶつかりまくりだったし」
 だからさっさと元に戻しなさい、と空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)は鯉口を切る。
 じめじめと不快指数の高い空気も天候操作で、冬の快晴へ。
 湿度ゼロパーセントの、山火事すら起こすからっ風が冷たく吹きすさぶ。
「嫌よ、嫌……こんな空気、干からびてしまうわ」
 いやいやと首を振り、水蜘蛛川姫は蜘蛛の糸を放つ。触れた獲物を絡め獲る鋼糸。
 猟兵に迫るそれは、どこからともなく舞い落ちる桜の花びらを無数に絡めて威力を無くした。
 桜の硝子ペンのヤドリガミ、セレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)はかたくなな敵に眉尻を下げる。
「キミが『空』の消失を願った理由はわかった。……が、その望みは叶えてはいけないんだ。だからせめて、死した魂は在るべき場所へと還そう。それが、わたしがキミに出来る唯一のこと」
 好きでオブリビオンになったのではないだろう。それでも幽世の崩壊を望むのなら、猟兵として対処するのみ。
「『空』を取り戻すための物語、此度わたしが綴るのは幸福な結びだ」
 セレシェイラは桜の硝子ペンで花の魔法を綴る。乾いた冬の風に炎の竜巻を乗せて、次々と襲い来る蜘蛛の糸を燃やした。
 火の粉が飛んで、巣にもまだら模様の穴が開く。
「おのれ……おのれおのれ!」
 水蜘蛛川姫は柳眉を逆立てる。
「もともと湿地も水辺も暗いところだって狭いところだってあるんだから、別に世界をこんなにする必要ないでしょうがぁ!」
 劔は背中に展開した氷の翼を広げて、地を蹴った。地面すれすれの低空を弾丸のように一直線に、敵へ迫る。
 冷気を纏ったソラナキと氷結地獄を繰り出す。水蜘蛛川姫の脚に深々と刺さり、血がこぼれた。
「このっ……!」
 攻撃を当てて油断した劔を、蜘蛛の糸が絡め獲る――と見えたのは残像だった。本人は当てた直後に距離を開けており、糸の中身は空。
「空なんかいらないのよ、お前たちもついでにいなくなってしまえばいい!」
 川姫は叫んだ。
 距離を開けて猟兵と、オブリビオンはにらみ合う。
 乾いた冷たい冬の風が吹く。ちらほらと混ざる白いものは雪ではなく桜の花、そして鈴蘭の花だ。
「おや……?」
 水蜘蛛川姫は首を傾げ、鈴の形をした小さな花をつまんだ。
 それはマルコの放った鈴蘭の嵐だった。瞬間、可憐な花びらは敵を襲い無数の傷をつける。
「幽世を故郷とする妖怪さんのためにも……世界を滅ぼしてはいけませんわ。皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!」
 手で払えば手が切れて、身をよじれば蜘蛛の身を傷つける。糸を放って多くの桜と共に鈴蘭をいくつか封じるのがせいぜいだった。
「キミに綴る魔法は雷の竜巻」
 セレシェイラは荒ぶる力を静め災厄飲み込む慰めの力を乗せて、魔法を放った。
 天も雲も無いのに雷の花が落ちて、咲く。
「オ……オオ……!」
 顔を覆い嘆く敵に休む間も与えず劔が迫る。
「あたしは最強の大妖怪、空亡劔様よ! こんな世界じゃこの大妖怪には狭すぎるって事よ!!!」
 あたしは広々した世界を望むんだから、と気合と共に愛剣を振るう。

 激しい戦いの脇で、湖にひらりひらりと花びらが降り積もってゆく。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴