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うつせみアズール

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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 ああ、あああ。
 美姫と蜘蛛とが合わさった妖怪は嘆く。
 明るい空なんて、消えてしまえばいいのに。
 ――その思いが通じたのか、幽世は姿を変えた。


 毎日がカタストロフ、なんて触れ込みの新しい世界――カクリヨファンタズム。
 今日もまた一つ、新しい崩壊が起きたようだ。
「空が消えた幽世を助けて欲しいのです」
 プルミエール・ラヴィンス(はじまりは・f04513)の呼びかけに、猟兵達は耳を傾ける。

 暗所を好むオブリビオンの願いが通じて「空」が消えた幽世は、陸地同士が鏡写しになってしまった。天を仰ぐと、足元に広がる大地がそっくりそのまま広がっている。
 高さはそう、『手を伸ばすと届く距離』。
 人により違いはあるが、ひどい圧迫感だし、飛んだり跳ねたりしただけで木や地面にぶつかるので妖怪達は参っていた。
「皆さんには元凶のオブリビオンを倒してもらいます」
 その個体名は『水蜘蛛川姫』。美女の姿で人を誘惑して水に引きずり込む妖怪だ。
「彼女は森の中、湖に住処を構えています。その手前、森の入り口には『迦陵頻伽』の集団がいるので、そちらを倒して進む必要があります」
 迦陵頻伽の群れを倒し、水蜘蛛川姫を倒す。そうすれば崩壊は未然に防がれ、骸魂に囚われた妖怪は解放され、カクリヨファンタズムに平和が戻るのだ。

「空が戻ったら、妖怪達は精霊レースを開催するんです。皆さんも参加してみませんか?」
 プルミエールは猟兵を誘った。
 きゅうりで作る精霊馬や、なすで作る精霊牛。それらにちょいちょいと工夫すれば動き出すのだ。なんてったって幽世だもの。
 そんな精霊馬や精霊牛にまたがって、パドック一周2500mの勝負をしようではないか。
 きゅうりやなす以外にもオリジナルの精霊ナントカを作ったっていいし、自前で持ち込んでもいい。
 ゆるいルールでスポーツマンシップにのっとり、楽しもうではないか。

「よろしくお願いします」
 そう締めくくり、プルミエールは転送の準備に入った。


蓮雨
初めまして、蓮雨(れんう)と申します。
『空』という概念の失われた世界でのシナリオとなります。
ジャンプしたり飛んだりすると地面に刺さるので、上下方向への移動はくれぐれも気をつけてください。

第一章 集団戦『迦陵頻伽』
 森の入り口で低空飛行する敵の集団と遭遇したところから始まります。
 無数に現れるので、蹴散らしながら前進してください。

第二章 ボス戦『水蜘蛛川姫』
 迦陵頻伽を倒して森の奥、湖に到着すると半人半蜘蛛のオブリビオンに遭遇します。
 天地(地と地?)が近いので大きな巣を張って獲物を待ち構えています。

第三章 日常『精霊レース』
 天気は晴れ、芝の生え揃った2500mのコースを精霊馬その他に乗って駆け抜けます。

●プレイングについて
 断章を追加後〜物理的に締め切るまで受け付けています。締め切り前にMSページにて予告をしますのでご確認ください。
 ご一緒に行動する場合はお互いの名前とID、もしくはグループタグの記載をお願いします。無いと迷子になる可能性があります。
 アドリブが入ったり、他の猟兵と共闘することがあります。NGの場合はその旨明記ください。

それでは、よろしくお願いします。
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第1章 集団戦 『迦陵頻伽』

POW   :    極楽飛翔
【美しい翼を広げた姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【誘眠音波】を放ち続ける。
SPD   :    クレイジーマスカレイド
【美しく舞いながらの格闘攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    迦陵頻伽の調べ
【破滅をもたらす美声】を披露した指定の全対象に【迦陵頻伽に従いたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 空が無い。
 足元は雑草と木々の生えた地面。見上げれば同じものがすぐそこに浮かんでいる。
 猟兵は深呼吸をした。
 幽世は薄明るく活動に支障は無いが、息が詰まる。さっさと退治をしよう。ぐるり、辺りを見回した。
 森の奥から妙なる笛の音が響いてくる。徐々にこちらへ近づいて、限られた空間で反響する。
 うわんうわんと耳鳴りがするほどの演奏。美声の紡ぐ歌がそれに乗る。
 普段であれば聞き惚れるような調べは、耳に刺さるノイズとなって猟兵に不快感をもたらす。
 迦陵頻伽の群れが、姿を表した。
マーシャ・ドラクロフ(サポート)
★サポートプレ
アドリブ連携大歓迎

■キャラ情報
皆の笑顔を力に替えて戦う魔法使い

王道の力、と思われるがこの娘一味違う。

笑顔といっても己の芸で他者を笑わせなければ真の力を発揮できないため、ふざけているようで命懸けである。


どんなネタでもいけます!
年齢的に規制がかかるお色気系じゃない限り!

マーシャです!
がんばります!

■特徴
一人称:私
呼び方:誰に対しても「ちゃん付け」
※おっちゃん呼びなども含む


■ユベコ
・我が祝詞は天を穿つ(ダ・ジャーレ・ウケルテ)

渾身のギャグで敵の急所を突く最強奥義。
ちなみに仲間も笑ってくれないとマーシャの寿命がばりばり減る。

・影が奉ずる賢者の知恵

己の影から使い魔や便利アイテムを召喚する。




 美しい羽を広げた迦陵頻伽の群れがマーシャ・ドラクロフ(金鴉の唄・f01216)に狙いを定める。
「影よ、この場を切り抜ける一手を頂戴」
 ダンピールの娘はそう唱え、己の影に手をさしのべた。黒い影溜まりはぬるりと姿を変え、敵を倒すにふさわしい得物の形となる。
 刀身煌めく業物『影刀-しゃどう丸-』を左右にひと振りずつ構え、マーシャは地を蹴った。
「迦陵頻伽退治、がんばります!」
 一瞬で間合いを詰め、極彩色の翼を袈裟掛けにする。
 ピイィ! 鳥は末期の声を上げ、地に落ちた。
 これで一息――とつく間もなく。オブリビオンは束になり、マーシャに襲いかかる。
「うわ、わ、ちょっ、数、すごっ」
 右に避け左に避け。後ろに跳んで宙返り。
 多少のかすり傷を負いながら、軽い身のこなしでかわしていく。
 攻撃の切れ目に刀を振るい、迦陵頻伽に確実に手傷を負わせた。

 退治した迦陵頻伽の躯が溶けるように消えると、そこには飲み込まれた妖怪が点々と現れる。
「サンキュー!」
「おねえさん、ありがと!」
「この先も気をつけてね」
 無事に救出された妖怪達はマーシャにお礼を述べて、奮闘する猟兵の背中を見送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

毒嶋・蠅児
空が消えるトハ、地を這う蟲には関係無いものデスガ……かといっテ、こうも大地が混んでいては面倒ですネェ
とりあえズ、喧しい鳥たちにはご退場願いまショウ

蠱毒の勝者たちを使用
呼び出すは蟲毒を勝ち抜いた異形の毒蜘蛛
蜘蛛糸で絡め捕り、毒牙で動きを止め捕食させる

サテ、私も働きまショウカ
残念ナガラ、全然貴方たちの声が心に響かないのデスヨネ
はっきり言ッテ、雑音デス

妖喰らいの槍を用い、呼び出した毒蜘蛛たちと共に戦う
心を震わされることは無いと思いつつも、念のため耳の穴には可愛い蟲たちを詰めておく
妖たちが恐怖の表情を浮かべたならばニヤリと笑い

鳥の頭デモ、恐怖は感じられマスカ?
キッズの美味しいご飯になりナサイ




 木々をざわめかせて抜ける風が、毒嶋・蠅児(蠅の王・f27958)の三つ編みを揺らした。
「空が消えたトテ、地を這う蟲には関係無いものデスガ……こうも大地が混んでいては面倒ですネェ」
 喧しい鳥にはたちにはご退場願いまショウ、と蠅児は蟲毒の勝者たちを喚んだ。大きさは二尺三寸――約七十センチ。選りすぐりの毒蜘蛛は素早い動きで草むらに紛れてしまう。
 猟兵を魅了すべく、声を張り上げるのに必死な迦陵頻伽はそれを無視した。食べるには大きすぎるし、不味そうだ。隠れた虫けらを探すのは後でも十分。
 そう慢心して蠅児に歌いかける。天上の美声に魅了されるどころか、群れが生み出す大音量に彼は表情すら変えることはなかった。
 何故なら――
「残念ナガラ、全然心に響かないのデスヨネ。はっきり言ッテ、雑音デス」
 さらには耳の穴に可愛い蟲たちを詰めて参戦していた。献身的なしもべの存在が『騒音』を和らげている。
 雑音呼ばわりされた迦陵頻伽はいきり立ち、蠅児に向かって襲いかかる――はずが、微動だに出来なかった。
 群れは蜘蛛の糸に捕らわれていた。
 かそけき銀糸が天と地の間、縦横に張り巡らされ、迦陵頻伽を磔にしている。
「サテ、私も働きまショウカ」
 時間稼ぎを終えた蠅児は妖喰らいの槍を構える。牛面の鬼蜘蛛の爪から削り出された槍は禍々しい気配を放っていた。
 本能からの恐怖に迦陵頻伽は震えた。狩られる獲物に転落したのを察した。
 悪あがきに暴れても、しなやかな蜘蛛の糸からは逃れられない。
 蠅児はニヤリと笑った。
「鳥の頭デモ、恐怖は感じられマスカ? キッズの美味しいご飯になりナサイ」
 繰り出される槍。そして蜘蛛たちのひと噛みで迦陵頻伽は次々と屠られていく。
 ――騒音の元が消えて、静まり返る。
 毒蜘蛛たちは巣にかかった妖の骸に群がった。我先にと貪り、噛み砕き、糧とする。
 ヤンチャで可愛いその姿を、蠅児は優しく見守った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シュテルン・ガーランド
空を失った世界だって?なんとも奇妙な世界だね!
手を伸ばしたらひっくり返ってしまいそうだ!逆立ちでもするかい?
なんて。シュテルン、気をつけて戦うとしよう!

さぁて僕らはトリニティ・エンハンスを使って、風の魔法で攻撃をしていこう
この滞った空気を切り裂いてしまおう

低空飛行がお好みならば、僕らは地を駆けて足元をすくってやろう
君たちにとっては小さなナイフ、けれど僕らが使えば大きな牙さ!
切り刻んで美味しくいただきますだ
綺麗な色の妖には毒があるかも?なんてね!

周りが大地ならば好都合、ロープワークを使って敵の上に登ってしまおうか?
近くにいれば音の攻撃だって効きにくいはずさ!
小さな僕らに翻弄される気分はどうだい?



うつせみ(未送信分)


 わずか三十センチに満たない小さな姿、それに形はネズミとなれば、迦陵頻伽はキィキィと沸き立つ。
 熱烈な視線に込められた『ご飯』の文字に、凛々しい廿日鼠の少女シュテルン・ガーランド(歯車の冠・f17840) は眉をひそめた。
「シュテルン、気をつけて戦うとしよう!」
 彼女に声をかけたのは右目にかかる歯車形のモノクル、ラートだ。ヒーローマスクの彼と廿日鼠の彼女、二人で一人の猟兵である。
「さあ、滞った空気を切り裂いてしまおう」
 ラートの声に一つ頷き、シュテルンは風の魔力をまとう。
 猟兵めがけて滑空する鳥に、月の色をしたテーブルナイフを構えた。敵にとっては小さなカトラリーは、彼らが使えば大きな牙となる。
 二人の力で振り抜けば、スパっと迦陵頻伽の足が落ちる。
「キャアア……アアア!」
 苦悶の声に群れが殺気立つ。猛禽の足が次々とシュテルンを襲う。
 彼女は地を駆けながらナイフをふるった。
 一閃、二閃。流星のような軌跡、そして血飛沫、落ちる肉塊。
「切り刻んで美味しくいただきます、だ!」
 落下してきた迦陵頻伽を避け、脇へ飛ぶ。勢いを利用してRatte Armの小さな銀の爪を放つ。木の幹にひっかかった。
 銀の糸と慣性に導かれるまま宙を舞い、軽やかに上へ向かい――天地がひっくり返って反対の地面に届く。
 眼下では、目標を見失った迦陵頻伽が右往左往とまどっている。
 シュテルンは狙いを定め、逆立ちをするように足から落ちた。
 風を纏ったテーブルナイフをまっすぐ向ける着地点は、もちろん敵の背中。
「キィエアア!」
 吸い込まれるように一直線。敵を貫いて元の地面へと降り立った。
「小さな僕らに翻弄される気分はどうだい?」
 遅れてひらひらと落ちてきた赤い帽子をかぶり直し、彼らはニッと笑った。

成功 🔵​🔵​🔴​

セレシェイラ・フロレセール
「空」が消えた世界、ね
なんとも歪で、それでいて美しくない世界だ
幽世にいると普段当たり前のようにあるもののありがたさが良くわかるよ
嗚呼、空が恋しいね
これは「空」を取り戻すための物語か、ならばわたしも共に綴るとしよう

「空」のない世界に、彩の魔法を綴ろう
さあ桜色の弾幕の展開だ、存分に暴れてくるといい

相手の攻撃は風の魔法を自身に纏い回避しよう
【多重詠唱】で風の魔法を重ねていき、回避力の底上げを図ろうか




 なんとも歪で美しくない世界に、花が咲いた。
 ――そんな錯覚に陥る。
 淡い桜色に彩られ、綻ぶ桜をまとう猟兵が幽世に降り立ったのだ。
 セレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)の動きにあわせて、ほんのりと甘い香りが漂う。
「幽世に来ると、当たり前のようにあるもののありがたさが良くわかるよ」
 キミ達もそう思う? 話を振られた迦陵頻伽たちは、甘美な匂いにうっとりしていたが慌てて戦闘態勢に戻った。
「ピィエエエエ!」
 威嚇の雄叫びを上げ、敵はセレシェイラに向かう。
 無数の手が、蹴爪が少女に襲いかかった。
 ヤドリガミの少女は桜の花弁が舞うごとく、ふわり、ふわりと。幾重にもまとった風の魔法とたわむれるように、迦陵頻伽を避けて踊る。
「キィ……」
「チチッチチチッ」
 悔しげに敵が鳴く。かすり傷一つ負わぬ、無垢な姿のセレシェイラは微笑んだ。
「『空』を取り戻すための物語、わたしも綴るとしよう。……さあ桜色の弾幕の展開だ、存分に暴れてくるといい」
 セレシェイラは右腕を前に向けた。手のひらから桜吹雪がこぼれ落ちるように、次々と現れた魔法弾が迦陵頻伽へと飛んでゆく。
 まるで桜にまかれるように。逃げても逃げても、無尽蔵に繰り出される魔法弾がオブリビオンを射抜く。
 悪しき骸魂は地に伏し、弔いに似た桜の花弁に埋もれてゆく。
 甘い匂いの桜の花弁に満たされ、辺りがほんのり明るくなった。
 しかし依然、失われたものは戻らないままで。
「嗚呼、空が恋しいね」
 セレシェイラは天を仰いだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

空亡・劔
ええい!このカクリョファンタズムで大異変を起こすべきはこの大妖怪!空亡劔様であってあんたらじゃないのよ!

しかも空が無かったら弾幕ごっこもやり辛いじゃない!(ぷんすか

【属性攻撃】
氷結地獄とソラナキに氷属性付与!

【残像】を残しながら距離を詰めて

剣刃一閃で切り裂く!

【二回攻撃】で更に威力増強よ!

…というかあんたらめっちゃ飛びづらそうじゃない!

何考えてこんなことしてくれてるのよー!!!

【天候操作】で一応強風注意報発生ね
風がめちゃくちゃになると凄い飛びづらくなるのよね
しかもこんな低空飛行なら…

おっこちたのに飛び掛かって再度切り裂くわっ!

解放された妖怪達にはちゃんと帰るように伝え

よし次ーー(再び突撃ー!


相沢・友子
「頭の上に何処までも続く大地が、地平線の果てまで広ってるとか、圧迫感が半端無くて息苦しいよーっ」

普段は、尾鰭で、ぴょんぴょん跳ねてる友子だったが、今はUC守護近衛兵で出した、硝子の寝ず見を地を這う絨毯のように敷き詰めてその上に座って、鼠の神輿よろしく運ばれている。手元には、ポップコーンとホットドッグとオレンジジュースといった、映画館でよく見かける飲食セットも鼠の絨毯に乗って運ばれていた。

「空を消すにしても大地で覆うとか極端すぎ!」

【戦闘】UC守護近衛隊の硝子の寝ず見が、下と上から飛びかかって敵に襲いかかります。

「下の大地も上の大地も、グラスラットでいっぱい。地上と地上の間に安地なんて無いよ?」




「頭の上に何処までも続く大地が、地平線の果てまで広ってるとか、圧迫感が半端無くて息苦しいよーっ」
 相沢・友子(水使いの淡水人魚・f27454)は幽世の状況を嘆いて、絨毯の上でしんなりと膝を抱えた。
 普段は尾びれでぴょんぴょん跳ねる彼女だが、この狭さに滅入って守護近衛隊に移動を任せている。
 頼もしい硝子の寝ず見達が支える絨毯はふかふか、ポップコーンとホットドッグとオレンジジュースといった映画鑑賞のお供にぴったりなセットも添えて、至れり尽くせりである。
「キィ……」
 迦陵頻伽は生唾を飲んだ。魚(きっと)と鼠(たぶん)とトウモロコシ(原材料)の欲張りセットが現れたように見えるので。
 どこから食べようか、とそわそわした空気になる。
「このカクリヨファンタズムで大異変を起こすべきはこの大妖怪、空亡劔様よ! あんたらオブリビオンの役目じゃないの!」
 そんな雰囲気を切り裂くように、元気に啖呵を切ったのは空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)。
 爛々と輝く赤い瞳以外を白一色で染め上げた彼女の姿は、薄暗い世界で目を奪う。
 彼女はずびしと迦陵頻伽を指した。
「しかも空が無いと弾幕ごっこがやり辛いじゃない!」
 一切合切退治してやるんだからね、と劔は得物を構えた。
 魔剣「ソラナキ」と「二世氷結地獄」の刀身に冷気を纏わせる。
「いくよっ」
 残像を残して敵の群れに突進する劔。
「グラスラットのみんな、よろしくね」
 友子のお願いに涼やかなガラスの音で返事をして。勇ましい小さな近衛兵も総員で出撃した。草むらにまぎれて敵に近寄り、散開して身を潜める。
 劔は間合いを詰めて剣刃一閃。剣筋すら見せぬ速さで敵を袈裟掛けにする。
「まだまだ!」
 返す刀で逆袈裟に一羽。
 冷たい風に撫でられて不思議な顔をした鳥は、地面に落ちてようやく斬られたことに気がついた。そして二度と動かなくなる。
 さらに二羽、三羽と切り伏せて、駄目押しに天候を操作してみた。
「ついでに強風注意報発生よ。あんたら、こんな狭い場所で頑張って飛んでるのが仇になったわね!」
 北から南から。でたらめに向きを変える突風が迦陵頻伽の群れを煽る。
 低空飛行をしながら猟兵を襲っていた彼らはひとたまりもない。姿勢を崩して木にぶつかり、上の大地に転がり、下の大地に落ちる。
 総崩れになった鳥へ、硝子の寝ず見が一斉攻撃を開始した。四方八方から飛びかかり、隙だらけの敵に噛み付く。硝子の門歯で急所を齧り、羽根を引っこ抜き、確実に敵を倒してゆく。
 どこもかしこもグラスラットでいっぱいだった。地上と地上の間にオブリビオンの安息など無い。
「頑張って……!」
 友子はお父さんに似て働き者の鼠と、ばったばったと敵を切り裂く劔へ応援歌を贈った。
 大声を出すのはあまり得意ではない。しかしシンフォニアの習性ゆえか、朗々と紡がれた歌声は戦場を満たし、迦陵頻伽の動きを止める。
「あなたたちも、骸魂と別れて、元の姿に戻ろうね……?」
 心からの祈りの歌は敵にも届いただろう。
「これで最後!」
 斬、と劔が息の根を止め、迦陵頻伽の群れは片付いた。


 骸魂から解放された妖怪が、一人また一人と元の姿に戻ってゆく。
「助かったぁ」
「もう無理かと思った」
「ありがとな、猟兵のおねーさんたち!」
 河童と狸と猫又が劔と友子に駆け寄り、口々にお礼を言う。
「気をつけて帰るのよ!」
「もう骸魂に捕まらないようにね」
 はーい、と良い子の返事をする妖怪に手を振って。
「よし次ー!」
「次ー」
 さらなる敵を求めて突撃する劔と、鼠神輿の友子は森の奥へと向かった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『水蜘蛛川姫』

POW   :    巻き捕る
レベル×1tまでの対象の【体に妖力を込めた蜘蛛糸を巻き付け、その端】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
SPD   :    吸い取る
【鋭い牙での噛み付き】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【生命力を奪い自身の戦闘力を強化。敵は苦痛】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    絡め獲る
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【耐刃性の優れた糸で出来た、頑丈な蜘蛛の巣】で包囲攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は十三星・ミナです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 空が嫌いだった。
 晴れた日は底抜けに明るく澄み渡って、日陰にいてもからりとした風が吹き寄せてくる。
 空なんて無くなればいいのに。世界が全部、木陰と薄暗い湿地になったらどんなに素敵だろう。
 ――そんな願いを持ったオブリビオンがいた。名は水蜘蛛川姫。美しい乙女の妖怪を喰らった蜘蛛の骸魂である。
 青空も太陽の光も、乾いた大地も風が通る草原も。彼女にとっては暮らしにくい世界だった。
 だからそれらを消し去った今、幽世はとても居心地のいい場所だ。
 森の奥にある湖をねぐらに定め、巣を張って、恋人だったしゃれこうべと共に暮らしている。
 妖怪達の嘆きも世界の終わりも無視して、幸せに暮らしていた。
 水蜘蛛姫の歪な平穏は、猟兵の手によってもうすぐ終わりを告げる――。
セレシェイラ・フロレセール
キミが『空』の消失を願った理由
……いや、考えてもキミの望みとわたしの望みは相反するもの
たとえ骸魂が悲しき魂なのだとしても、わたしは己の力を生きる者のために使う
死した魂は在るべき場所へと還そう
それが、わたしがキミに出来る唯一のこと
『空』を取り戻すための物語、此度わたしが綴るのは幸福な結びだ

【多重詠唱】で防御用の魔法と攻撃用の魔法を同時に詠唱する
防御は風の魔法と炎の魔法を同時詠唱
風と炎の障壁を自身の回りに展開して此方に向けられた蜘蛛の巣を燃やそう

攻撃用の魔法は自分の回りの蜘蛛の巣を燃やし尽くした後に発動
キミに綴る魔法は雷の竜巻
荒ぶる力を静め災厄飲み込む慰めの力を乗せよう
雷の花よ、開花の時は今


空亡・劔
うううう!やっぱり飛べないって不便ね!

よくも訳の分からない異変を起こしてくれたわね!

さっさと元に戻してやるわ!

【天候操作】で周辺を冬の快晴にするわ!
日差しはあるけど空気は冷たくさっぱり風が吹くわよ

【属性攻撃】
氷属性を武器に付与!

そして
ユベコ発動(尚特に姿は変わらない

二刀で【二回攻撃】で攻撃!

考えてみたら別に世界をこんなにしなくたって湿地も水辺も暗いところだって狭いところだってあるんだからこんな事する必要ないでしょうがぁ!

【残像】を残しながら攻撃を避けつつ

低空飛行で斬りあうわよ

教えてやるわよ
あたしこそ最強の大妖怪!
空亡劔様よ!

こんな世界じゃこの大妖怪には狭すぎるって事よ!!!(えっへん


マルコ・ガブリエル(サポート)
『初めまして、わたくしはマルコと申します』
『皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!』
『まあ、なんて美味しそう……! 宜しければ、一緒にいかがですか?』
笑顔が魅力的で朗らかな女の子です。実は故郷を滅ぼされて天涯孤独の身ですが、そうした悲壮感を仲間に感じさせることはなく、いつも明るく振る舞っています。
誰に対しても優しく、敵にさえ「できれば戦わず、穏便に事件を解決したい」と考えるような優しい性格ですが、無辜の人々を苦しめる悪い奴には心を鬼にして全力で攻撃をお見舞いします。
美味しいもの、特に焼肉をみんなで食べるのが大好きで、無事に事件解決した後はよく他の猟兵をご飯に誘おうとします。




 一針一針丁寧に編まれたレースのよう。湖の周囲に築かれた水蜘蛛川姫の巣は、美しい幾何学模様を描いているのよ。
「私達には、明るい空なんていらないのよ」
「お気持ちはわかりましたわ。……けれど、あなたがたが暗がりを愛するように、青空が好きな人もいるのです」
 マルコ・ガブリエル(焼肉天使・f09505)は反論する。
 嫌いなものがなくなってしまえばいいのに、なんて誰もが思うものだ。けれど自分が大嫌いでもそれが好きな人が居たりするし、無くなると問題が発生することもある。
「空がないと思いっきり飛べなくて不便ね! さっきの迦陵頻伽だってぶつかりまくりだったし」
 だからさっさと元に戻しなさい、と空亡・劔(本当は若い大妖怪・f28419)は鯉口を切る。
 じめじめと不快指数の高い空気も天候操作で、冬の快晴へ。
 湿度ゼロパーセントの、山火事すら起こすからっ風が冷たく吹きすさぶ。
「嫌よ、嫌……こんな空気、干からびてしまうわ」
 いやいやと首を振り、水蜘蛛川姫は蜘蛛の糸を放つ。触れた獲物を絡め獲る鋼糸。
 猟兵に迫るそれは、どこからともなく舞い落ちる桜の花びらを無数に絡めて威力を無くした。
 桜の硝子ペンのヤドリガミ、セレシェイラ・フロレセール(桜綴・f25838)はかたくなな敵に眉尻を下げる。
「キミが『空』の消失を願った理由はわかった。……が、その望みは叶えてはいけないんだ。だからせめて、死した魂は在るべき場所へと還そう。それが、わたしがキミに出来る唯一のこと」
 好きでオブリビオンになったのではないだろう。それでも幽世の崩壊を望むのなら、猟兵として対処するのみ。
「『空』を取り戻すための物語、此度わたしが綴るのは幸福な結びだ」
 セレシェイラは桜の硝子ペンで花の魔法を綴る。乾いた冬の風に炎の竜巻を乗せて、次々と襲い来る蜘蛛の糸を燃やした。
 火の粉が飛んで、巣にもまだら模様の穴が開く。
「おのれ……おのれおのれ!」
 水蜘蛛川姫は柳眉を逆立てる。
「もともと湿地も水辺も暗いところだって狭いところだってあるんだから、別に世界をこんなにする必要ないでしょうがぁ!」
 劔は背中に展開した氷の翼を広げて、地を蹴った。地面すれすれの低空を弾丸のように一直線に、敵へ迫る。
 冷気を纏ったソラナキと氷結地獄を繰り出す。水蜘蛛川姫の脚に深々と刺さり、血がこぼれた。
「このっ……!」
 攻撃を当てて油断した劔を、蜘蛛の糸が絡め獲る――と見えたのは残像だった。本人は当てた直後に距離を開けており、糸の中身は空。
「空なんかいらないのよ、お前たちもついでにいなくなってしまえばいい!」
 川姫は叫んだ。
 距離を開けて猟兵と、オブリビオンはにらみ合う。
 乾いた冷たい冬の風が吹く。ちらほらと混ざる白いものは雪ではなく桜の花、そして鈴蘭の花だ。
「おや……?」
 水蜘蛛川姫は首を傾げ、鈴の形をした小さな花をつまんだ。
 それはマルコの放った鈴蘭の嵐だった。瞬間、可憐な花びらは敵を襲い無数の傷をつける。
「幽世を故郷とする妖怪さんのためにも……世界を滅ぼしてはいけませんわ。皆様を苦しめるのであれば、わたくしも情けは捨てましょう!」
 手で払えば手が切れて、身をよじれば蜘蛛の身を傷つける。糸を放って多くの桜と共に鈴蘭をいくつか封じるのがせいぜいだった。
「キミに綴る魔法は雷の竜巻」
 セレシェイラは荒ぶる力を静め災厄飲み込む慰めの力を乗せて、魔法を放った。
 天も雲も無いのに雷の花が落ちて、咲く。
「オ……オオ……!」
 顔を覆い嘆く敵に休む間も与えず劔が迫る。
「あたしは最強の大妖怪、空亡劔様よ! こんな世界じゃこの大妖怪には狭すぎるって事よ!!!」
 あたしは広々した世界を望むんだから、と気合と共に愛剣を振るう。

 激しい戦いの脇で、湖にひらりひらりと花びらが降り積もってゆく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

毒嶋・蠅児
空が嫌いデスカ……自分で手が届かない範囲を嫌うトハ、狭量デスネ
その迷惑行為ヲ、終わらせてあげまショウ

貪り喰らう子供たちを使用
頑丈な蜘蛛の巣を張り巡らせるのであれば、その全てが粘着力を無くすように蟲をけしかける
そうして隙間からすり抜けた蟲たちに集らせ、戦闘不能へと陥らせる

とはいえ、貴方も蟲の妖怪……仕方ありませんネ
同じ蟲妖怪の誼で、助けてあげまショウ

戦闘不能に陥らせたのならば、骸蠅を使用して骸魂を喰らわせる
運が良ければ、妖怪自体は助けられるはず

貴方も妖怪デショウ?……丈夫なのダカラ、死にはしませんヨ
死んだらしんだでそれまでデスガネ




 水辺の蜘蛛と、蝿の王が相対した。
「同じ蟲妖怪の誼で、終わらせてあげまショウ」
 毒嶋・蠅児(蠅の王・f27958)は片手を差し出す。水蜘蛛川姫は大事な頭蓋骨をぎゅっと抱きしめて、後ずさった。
 狭量な妖怪だ、と思う。自分で手が届かない範囲を嫌って、消してしまうとは。
 しかしこうして出会ったのも何かの縁。
「さあ、出番ですよ。可愛いワタシのベイビーたち」
 召喚された無数の蟲が、蠅児の手からこぼれて敵へ向かった。矢継ぎ早に繰り出される蜘蛛の巣へと飛びかかる。猟兵の身代わりに絡め獲られる献身的な蟲達。
 圧倒的な数の差を活かしてほとんどを無効化する。それどころか巣に絡まず済んだ者は水蜘蛛川姫へと襲いかかり、牙を突き立てる。
「っや、ああっ……!」
 ふとしたむず痒さが生まれた、途端に燃えるような痛みがその身を苛む。
 水蜘蛛川姫は腕を回して蟲を掴むと、湖に投げ、握りつぶし、叩きつけて踏んだ。
 蠅児の眉が不快にぴくりと動く。
「戦闘不能になったラ、その骸魂を喰らってあげマスヨ」
 無数に増える可愛い蟲の働きで、空を消したオブリビオンは致命傷に近いダメージを受けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

相沢・友子
「私も、海が嫌いだけど、海を全ての人から奪おうとは思わない。海を渡りきろうとしなかったら、お父さんに会えなかったし。たとえ意味不明で理不尽な出来事も、今を創る残酷なピースなんだよ」

静かに気付かれない様に、体を溶かし込む様に湖に沈めていく。
「大地に覆われた空を見上げるよりも、水中のほうが息がしやすいのは不思議」

水蜘蛛川姫が、水面を覗き込んだら、そこに写るのは間近に迫った私。
私達って、鏡写しみたいに似てるよね?でも、私が居る方の世界が本物だよ?

【行動】UC最後の子守唄を使って、水蜘蛛川姫を、足元から粉砕していきます。

「空の無い、あなたの世界は、骸の海で作って」




 満身創痍。
 そんな言葉の似合う水蜘蛛川姫は、まだまだ戦意はみなぎっている。
 脚を数本失っても、猟兵の攻撃を弾き返し、絡め獲ったりと攻撃の威力は落ちないままだ。
 相沢・友子(水使いの淡水人魚・f27454)は静かに湖に身を沈めた。
「大地に覆われた空を見上げるよりも、水中のほうが息がしやすいのは不思議」
 淡水人魚は白い尾びれをくゆらせる。静かな森の静かだった湖は清い水に満たされて、地上の騒ぎなど別世界といった穏やかさが残っていた。
 以前はきっと、小魚や水妖が平和に暮らしていたのだろう。
 ――音もなくひそやかに、人魚は泳ぐ。

 ぴちゃん。
 何かに呼ばれたような気がして、水蜘蛛川姫は足を止めた。
 水面に映るのは己の姿……ではなく、友子だ。口元まで水上に出した彼女は、最後の子守唄を紡いだ。
 人には聞こえない歌声が湖を渡り、一帯へと響き渡る。
「私も、海が嫌いだけど、海を全ての人から奪おうとは思わない。海を渡りきろうとしなかったら、お父さんに会えなかったし。たとえ意味不明で理不尽な出来事も、今を創る残酷なピースなんだよ」
「ああ……」
 傷だらけの蜘蛛の脚に細かいひびが入る。まるで硝子が割れるように粉々に、ばらばらに、壊れてゆく。
 真心からの子守唄は、身体のみならず凝り固まっていた心にも細かなひびを入れた。
 願いが叶ってみて、猟兵達から説得されて、わかっていたのだ。
「あなた達にとって、空は、そんなにも大事なのね……」
「そうよ。空の無い、あなたの世界は、骸の海で作ってね」
 友子は笑った。
 下から徐々に崩れた水蜘蛛川姫は、笑い返して、顔まで砕けた。


 水蜘蛛と別れ、元に戻った妖怪の川姫は暗がりから空を見上げた。
 はるか高い夏の青空が、憎らしいほど眩しく輝いている。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『精霊レース』

POW   :    オリジナルの精霊○○で勝負!

SPD   :    精霊馬に乗って駆け抜ける

WIZ   :    精霊牛に乗って確実に進む

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 晴れ渡る青空。集まる妖怪達。
 やんややんやと囃し立て、レースの開始を待っている。

 きゅうりの精霊馬にまたがった河童に、なすの精霊牛にまたがったお歯黒べったり。
 ペガサスは飛行禁止を条件にエントリーしている。
 化け狸は愛用の茶釜にちょいちょいと術をかけて精霊茶釜に。そんな物でも地面を走るならオッケーだ。
 十人十色の妖怪と相棒が、優勝を目指してスタートに立つ。

 あなたも、ゆるいルールでスポーツマンシップにのっとり、楽しもうではないか。
相沢・友子
「空が高く、レース日和り。世は事も無きだよ~」

憂いを晴らす、疾走感を求めて、私は今スタートラインを切る。

地を駆けるは、デュラハンさんから借りてきた、首なし馬8頭引きの死神戦車。(スタートするやいなや地響きを轟かせ爆走する)

馬の手綱を握ってるのは、グラスラット達、カーブや未舗装地帯で車体が跳ねる度に、何匹か宙を舞ったり足元の床面を転がったりしてる。

車外に飛び出しそうな子を空中キャッチしつつ。車体にしがみ付きながら重心を傾けて、全身でバランスを取る。

「横転するほどじゃないけど、スリル過多だよ~~~~っ」

目を回しそうに成る友子を乗せた、死神戦車はゴールを目指す。

この世の物とは思えない疾走感だったよ。




 戦い終わって空が戻って。
「空が高く、レース日和り。世は事も無きだよ~」
 相沢・友子(水使いの淡水人魚・f27454)はスタートラインで準備運動などしつつ、レースの開始を待っていた。
 相棒は、デュラハンから借りてきた首なし馬の死神戦車だ。しかも八頭立て。手綱を握って御者を務めるのは、戦闘でも大活躍したグラスラット達。
 可憐な見た目を裏切るごっつい乗り物に、観戦客の妖怪が三度見した。
 ――ぱぁん!
 スタートを告げるピストルの音。同時に馬は地面を蹴った。
 筋骨隆々の巨体が走る。地響きと土煙を巻き起こして爆走する。
「ひゃっ、結構、揺れ……」
 思ったより荒々しい乗り心地に感想を呟こうとして、友子は舌を噛んだ。うっすら涙を浮かべて車体にしがみつく。
 ぐんぐん後方へ流れる景色。圧力すら感じる風。
 グラスラットは鯉のぼり状態ではためいている。手綱にしがみついて頑張っているが、車輪がはねた勢いで何匹かが宙を舞ったり床面を転がってキラキラ飛ばされまくっていた。
 車外に飛びそうな子をキャッチして、自分も落ちないようにバランスを保つ友子。
(レースってこういうものじゃないよね……!?)
 そんな疑問が浮かんだが、気持ちよく全力疾走している首なし馬と、転がって遊んでいるグラスラットを見ると、これでもいいかな? と思えてくる。
 スピードそのまま第四コーナーに突入すると、戦車のバランスが崩れて片輪走行になる。
 片手にグラスラット、片手に車体を掴んで友子は耐えた。
(ちょっとスリル過多だよ~~~~っ)
 目が回りそうになる。そんな乗り手の状況を知ってか知らずか、首なし馬は最後の直線を駆け抜ける。
 さらにスピードを上げて、一条の風となって行く。
 この世のものとは思えない疾走感。
 いつ、ゴールを過ぎたのか。気づいたら速度がゆるんで、車体が水平に戻り、首なし馬はクールダウンにパドックを周回していた。
 友子たちのぶっちぎりの勢いに、観客から盛大な拍手が巻き起こった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

毒嶋・蠅児
精霊レースですカ……おもしろそうですガ、精霊たちに怖がられてしまっているようですネェ
仕方がありませんネ、ベイビーたち宜しくお願いしますヨ

騒めく絨毯を使用
浮く程度が許されるならば低空飛行
浮くこと自体がNGであれば、蟲たちに地面を走らせる
パッと見は絨毯が地面を滑っているような見栄え

ハッハッハ、頑張って下サーイ!

まったりと絨毯に寝転がるようにしてレースを見守る
頑張らせるも、スピード勝負には蟲たちでは不利な様子

お疲れ様デシタ
勝てずとも奮闘したのならば、最後は労ってあげましょう




「精霊レースですカ……」
 面白そうですネ、と毒嶋・蠅児(蠅の王・f27958)は騎馬の待機所へ向かったが。
 騎手を待つ精霊馬も精霊牛も、さりげなく目をそらして離れてゆく。怖がっているようだ。
「仕方がありませんネ、ベイビーたち宜しくお願いしますヨ」
 蠅児は肩をすくめて蟲達を呼んだ。雲霞のごとく現れた可愛い下僕は、命令に従って絨毯の形を作る。腰を落ち着けると絨毯が動いた。地上わずか数センチを滑るにスタート地点へと向かう。
 馬やら牛やらの横に絨毯を並べて、蠅児は審判に確認を取る。
「浮く程度は構わないでしょうカ?」
「うーん、精霊レースだけど……虫は飛ぶもんだしな!」
 あっさりとオッケーが出た。
 出走馬が綺麗に並び、スタート係がぱぁん! とピストルを鳴らす。
 各者が一斉に飛び出した。蹄の音が轟き、土煙が上がる。
 ――そんな先頭争いの後ろで、蠅児の乗る絨毯はマイペースに奮闘していた。小さい生き物の群れでは、スピード勝負はやや不利なようだ。
「ハッハッハ、頑張って下サーイ!」
 まったりと寝転がり、応援の意を込めて絨毯を撫でる。
 蟲達は主のねぎらいにざわめき、いっそう力強く羽ばたいた。
 乗り心地も振動も抜群になめらかな最高級の空飛ぶ絨毯は、主を乗せて滑空する。
「がんばれー!」
「がんばれーむしのおじちゃんー!」
 変わった見た目と、小さなものの頑張りに客席から応援が飛ぶ。
 安全安心全速力の『騒めく絨毯』は、声援を追い風にぐんぐんと速度を上げていく。
 そして三着でゴールした。
「お疲れ様デシタ」
 優勝を逃してなんだかしょんぼりしている蟲を、蠅児は口元をほころばせて労る。
 勝てずとも、最後まで奮闘する姿は誇らしいものだった。

 ――こうしてイェーガーも飛び入り参加した精霊レースは大いに盛り上がり、大成功に終わったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月16日
宿敵 『水蜘蛛川姫』 を撃破!


挿絵イラスト