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辺境伯の襲撃

#ダークセイヴァー #辺境伯の紋章

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#辺境伯の紋章


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 ダークセイヴァーの辺境領域――深き樹海は、今日も変わらず広がっていた。昨日も今日も明日も、雄大な自然は変わらない。誰もが、そう思っていた――そのはずだった。

 しかし、今日は違った。悠久の今日と違い、樹海を変える『脅威』がその姿を現したのだ。

『オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オ……』

 それは樹の虚を吹き抜ける風の音にも似た唸り声だった。それと同時、樹海の一部が地面から吹き飛んだ。

 高所から樹海を見るものがいれば、それが巨大な腕によるものだと見て取れただろう。そう、遠くからでも見えるほどの巨大な腕が生えたのだ。
 バキバキバキ――! と木々を砕きながら、這い出てきたのは緑色の巨人だ。高き森の怪物――全てを打ち砕く猛り狂う猛獣が、樹海に姿を現したのだ。

 膨大な数の鳥が、高き森の怪物の周囲で飛び回る。その体から溢れ出すのは蟲型オブリビオン死肉喰らいの群れだった。

 ゆっくりと、しかし確実に高き森の怪物が動き出す。その方向は、ヴァンパイアの支配が及ばない人類の活動圏――通称「人類砦」が存在する方角だった。


「辺境伯、その怪物はそう呼ばれる存在らしい」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)の表情は厳しい。それだけの脅威が出現した、という事だ。

「ダークセイヴァー世界の人類砦に向かって、辺境伯とその配下の侵攻が始まっておる。動きが遅い分、まだ余裕があるが……たどり着けば最後、ひとたまりもあるまい。そうなる前に、対処してほしいのじゃ」

 まず、辺境伯を迎撃するための準備を整える必要がある。人類砦の近く、開拓途中の平地がある。そこで迎え撃つのが一番だろう。

「戦場に巻き込まれそうな一般人の避難や事前の情報収集、迎撃のための用意……ここでどれだけ用意が整えられるかは実際の戦いに与える影響が大きいじゃろう」

 高き森の怪物には、宝石の体と不気味な触手を持つブローチ大の寄生虫オブリビオン辺境伯の紋章が寄生し、力を与えている。かなりの強敵となるのは間違いない。

「辺境伯を倒し紋章を数多く収集すれば、わかる事もあるじゃろうが……まずは、人々を守る方が重要じゃ。よろしく頼むぞ」


波多野志郎
数と質、双方をご用意しました! どうも、波多野志郎です。
今回はダークセイヴァー世界で、辺境伯高き森の怪物とその軍勢を倒していただきます。

第一章はいかに準備を整えるか、のアイデア勝負となります。以後の二章三章の戦いにも影響がございますので、是非ふるってご参加ください。

それでは、強敵との戦いを存分とお楽しみくださいませ。
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第1章 冒険 『辺境伯迎撃準備』

POW   :    襲撃を行うポイントに移動し、攻撃の為の準備を整える

SPD   :    進軍する辺境伯の偵察を行い、事前に可能な限り情報を得る

WIZ   :    進路上の村の村びとなど、戦場に巻き込まれそうな一般人の避難を行う

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

鍋島・小百合子
WIZ重視

戦が起これば必ず犠牲が生まれてしまう
されどこの地で開拓を行う者らを放ってはおけぬぞ

UC「侍女招集陣」にて78名の幼侍女を召喚
うち34名は拠点となる場所にて「近くの集落の有無と数」「人が多く集まる場所」について情報収集と人々の受け入れの要請、
残り44名は11名ずつで班を作り得られた情報を元に集落の人々の避難勧告と救助活動へ向かわせる
わらわもうち一班を率いて救助活動に従事
恐慌状態に陥った者がおれば言葉の限り鼓舞す
「これより戦が始まる。命惜しければ避難されよ!案内いたす」
「わらわ達が守る。その為に来たのでな」

他の猟兵との連携を重視
わらわと幼侍女らでも人手が足りぬ場合は協力を呼び掛ける


アリステル・ブルー
「戦うにはまず戦力把握ってね」

◆行動SPD
状況次第でだけどUC影身を利用して二手に分かれて偵察・追跡を行うね。
勢力の構成情報や進路の収集を最優先に余裕があれば、避難の時間稼ぎになりそうなトラップとか避難に有利そうな場所さがしてみたいけど…無理ならできることをできる範囲で!
得た情報は他の猟兵と共有するね。協力必要にしてる猟兵さんはもちろん手伝います!

◆心情
この世界は僕の故郷。そして猟兵の僕だからこそ出来る事はあるはず。
敵にもうこれ以上好き勝手させたくない。せっかくできた人のための人類砦を失ってたまるものか。
(連携アドリブ大歓迎) 


御剣・刀也
POW行動

辺境伯か。この世界には錬金術でもあるのか?
まぁ、そんなこと考えるのは俺の仕事じゃない
俺は何時だって、目の前の敵を斬り捨てる。それだけよ

蟲型のオブリビオンということなので、知恵はそんなに回らないと思われるので、平地に穴を掘って落とし穴を作り、その中に油を入れて、相手が通りかかろうとするタイミングで火を放って進路を塞ぎ、自分が立っている一か所だけ通れるようにして、そこに群がってきた蟲を斬り捨てる
「本能で動いてるなら、本能的に火は恐れるものだ。オブリビオンがどうだかわからないが、やってみる価値はある。俺の後ろには蟻の子一匹通さねぇ」



●辺境の脅威

 ダークセイヴァーの辺境領域――深き樹海。その光景を一望して、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は呟いた。

「辺境伯か。この世界には錬金術でもあるのか?」

 ここまで届く地響き。高き森の怪物という存在が、自らの意志で辺境伯の紋章を手にするはずがない。間違いなく、与えた誰かがいるのだ。

「まぁ、そんなこと考えるのは俺の仕事じゃない。俺は何時だって、目の前の敵を斬り捨てる。それだけよ」
「うむ。戦が起これば必ず犠牲が生まれてしまう。されどこの地で開拓を行う者らを放ってはおけぬぞ」

 刀也の言葉に、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は背後に遠く見える人類砦を振り返る。猟兵達の小さな積み重ねによって、ダークセイヴァーにも吸血鬼の支配から逃れられる人々が増えてきた――その証が壊滅してしまえば、希望は完全に潰えてしまうだろう。

「我は呼ぶ忠を捧げ仕えし者達……出でよ!」

 小百合子の侍女招集陣(ハナノジュウシャタチ)が生み出したのは、78名の幼侍女達だ。小百合子は手早くその幼侍女達を班分けすると次々に司令を下していきう。

「まずは近くの集落の有無と数と人が多く集まる場所について情報収集と人々の受け入れの要請を。残りは班を作り得られた情報を元に集落の人々の避難勧告と救助活動へ向かうのじゃ!」

 小百合子の命令に、迷う事なく幼侍女達が動き出す。それを見て、刀也はシャベルを手に呟いた。

「よし、始めるか」

●樹海より来たる

「戦うにはまず戦力把握ってね」

 地響きがする方、樹海の奥を見やってアリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)が呟いた。

(「この世界は僕の故郷。そして猟兵の僕だからこそ出来る事はあるはず。敵にもうこれ以上好き勝手させたくない。せっかくできた人のための人類砦を失ってたまるものか」)

 この世界で生まれたからこそ、人類砦が人々に与えた希望の意味をアリステルは正確に把握していた。希望とは諸刃の刃だ。得られれば何よりも強いが、失えば希望を知ってしまったからこそ絶望が深くなる――もう、ダークセイヴァーの人々はそれに耐えられるとは限らないのだ。

「僕の影、少しだけ力を貸して!」

 アリステルの影身(オルタナティブ・ダブル)が生み出したもう一人の自分が、視線でうなずいて駆け出した。アリステルは別の方向、地響きがする方へ迷わず走り出す。

「……あれか」

 目標の高き森の怪物は、すぐに見つかった。あの巨体、あの威容はあまりにも目立つ。人々の心を砕くのに十分なインパクトだろう。

(「死肉喰らいも、ただまっすぐに人類砦の方に向かっているみたいだ……他の場所に移動する気配がないのは、避難がうまくいってるのか」)

 あの数だ、他の小さな集落も食い潰す『余裕』はあるはずだ。そうしない意味を察して、アリステルはオブリビオン達の進軍速度に合わせて移動を開始した。

(「他の人達と情報を共有しよう。この調子なら、戦場にたどり着くのは……夜だね」)

 アリステルの目算は正しい。だからこそ、その情報をしっかりと伝えるためにアリステルは駆け出した……。

●そして、戦場へ――

「これより戦が始まる。命惜しければ避難されよ! 案内いたす」

 近隣の小さな集落は、小百合子と幼侍女達の誘導で人類砦へと集められていた。あの砦以外、食い滅ぼすべき人間がいなければ辺境伯と軍勢の脅威が集中されるからだ。

「わらわ達が守る。その為に来たのでな」

 その強い決意が伝わったからだろう、避難はスムーズに行われていた。ふと、小百合子の元へ一人の幼侍女がやって来る。アリステルからの情報を伝えに来たのだ。

「ふむ、夜か。ならば、それまで人類砦の防御を固めるのじゃ!」

 必要なのは『安心』だ。あの高き森の怪物という姿形を持つ絶望、それに折れないだけの安堵を人々に与える必要がある事を小百合子は理解していた。

 ――夕日が西の空に消えていく頃、刀也も準備を終えていた。

 平地に穴を掘って落とし穴を作り、その中に油を入れたのだ。火種を落とせば、簡単に炎が死肉喰らいの群れを阻むだろう。

「本能で動いてるなら、本能的に火は恐れるものだ。オブリビオンがどうだかわからないが、やってみる価値はある。俺の後ろには蟻の子一匹通さねぇ」

 用意していた通り道に立ち、刀也は言い捨てる――その時だ。

『オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オ……』

 樹の虚を吹き抜ける風の音にも似た唸り声が、樹海に響き渡った。地響きも近い、辺境伯高き森の怪物とその軍勢が近づいて来た合図であった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『死肉喰らい』

POW   :    捕食行動
【集団での飛び掛り攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛み付き】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    多足歩行
【大口を開けての体当たり】による素早い一撃を放つ。また、【数本程度の足の欠損】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    死肉を喰らう
戦闘中に食べた【落ちた仲間の足や死肉】の量と質に応じて【傷を癒し】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●死肉を貪るために

 蟲型オブリビオン死肉喰らいは、夜行性だ。樹海の木々の間を埋め尽くすように駆ける膨大な数の群れは、その本能を満たすためだけに行動していた。

『ギチギチ……!』

 ようは最初から死んでいるか、殺して死肉にするかの差だ。餌であれば、死肉喰らいはこだわらない。その歪んだ食欲を満たすそのために、人類砦という希望へ殺到しようとしていた……。
鍋島・小百合子
WIZ重視

あの蟲共が砦に攻め入れば数刻経たずとも落とされるのは想像難くないのう
ここから先へは踏ませぬぞ

「この地に漂う風の精よ。我が祈りに応えよ…」
巫女装束に早着替えし薙刀と祭祀扇を手にすれば、奥義発動までの時間を稼ぐようにわらわの舞をもって引き付けようぞ(ダンス、パフォーマンス、挑発併用)
敵の攻撃には残像を纏いつつ見切り回避を重視、流れる動きで反撃のなぎ払いを見舞う(咄嗟の一撃、カウンター併用)
頃合いを見計らってUC「神降双演舞」発動
引き続き舞いつつ戦場に吹く風をかまいたちの嵐に変えて蟲共を切り刻む
死骸や蟲の足を食べさせる余裕など与えぬよう突風も交える(属性攻撃、衝撃波、吹き飛ばし併用)


御剣・刀也
なんとも気味の悪い蟲だな
まぁいい。大将をやる前の露払いだ
お前らを一匹残らず斬り捨ててやる

死肉喰らいが近づいてきて、火の壁の罠に掛かりそうな所まで来たら火の付いたマッチを投げ入れて油に火をつけ、怯んだ所をダッシュで近づいて二回攻撃で斬り捨てる
覇気で相手の気を引き、捕食行動は第六感、見切り、残像で避けつつ、カウンターで斬り捨てる
火の壁が突然現れて、動揺していないようなら、少し考えを修正し、火の壁に沿って一直線にダッシュで駆けつつ、すれ違いざまに斬り捨てる
「火は本能的に恐れるかと思ったが、本能があっても食欲には勝てなかったか?まぁいい。全部まとめて斬り捨てるだけだ」


アリステル・ブルー
行動WIZ
他の猟兵さんが望むなら積極的に連携・サポートしていくね。指示にも従う!

罠も用意してくれてるようだし、その周辺で戦闘を目指します。 範囲から漏れてそうな敵はこっちに誘導するよ。 絶対にここは通さない!

僕は黒の細剣を抜いて、闇に紛れて攻撃!できたりしないかな。名称わかんないけど虫の関節?っていうの、あのあたり貫通できたらいいな。
使い魔のユールには上空から戦況把握してもらうね。何かあれば知らせて貰うし必要なら視覚共有もする。ユールに余裕があれば援護射撃して欲しいね、少しでも戦力がほしい。
それとUC【小鳥たちの舞】で有効射程内の敵全てを包囲攻撃するよ! 永遠に眠ってもらおうじゃないか。



●沈む太陽と共に

 西の空に太陽が沈んでいく――ダークセイヴァー世界では、その姿を目にする機会はほぼない。常に空が、分厚い曇天に覆われているからだ。
 それでも夜の訪れはわかる。より暗く、世界を闇が覆っていくからだ。

「あの蟲共が砦に攻め入れば数刻経たずとも落とされるのは想像難くないのう。ここから先へは踏ませぬぞ」

 樹海を埋め尽くし、迫る気配がある。その気配に、鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)が強い決意を込めて呟いた。

 感じるのは強い『飢え』と『乾き』だ。食欲、生命であれば多くが欲するモノ。それに後押しされた死肉喰らいの群れは、その姿も相まっておぞましくさえあった。

「なんとも気味の悪い蟲だな。まぁいい。大将をやる前の露払いだ、お前らを一匹残らず斬り捨ててやる」

 シュ、と御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が擦ったマッチが小さな小さな火種を生む。刀也がそのマッチの炎を指で弾くと、弧を描き地面へ落下――やがて、ボッ! と炎の壁を生み出した。

『ギチギチ!』

 突如として現れた炎の壁に、死肉喰らい達の動きが止まる。火を恐れる蟲の本能だ。

「来い」

 獅子吼を肩に担ぐように構え、身を沈めた刀也が静かに死肉喰らいの群れへと言い放った。

●襲い来る群れ

 青い鳥――使い魔のユールが、夜の樹海の上を滑るように飛んでいく。

「始まったようだね」

 ユールの視覚と同調して見えた夜の樹海を彩る炎の壁に、アリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)が呟く。先陣はもう死肉喰らいの第一陣に接触しているようだ、木々の間を駆けながらアリステルは黒の細剣を抜いた。

「この地に漂う風の精よ。我が祈りに応えよ……」

 先陣では巫女装束姿の小百合子が、薙刀と祭祀扇を手に神楽を舞っていた。炎に照らされながら舞うその姿は、背筋が凍る美しさがある――死肉喰らい達は、迷わず襲いかかっていく。

「邪魔じゃ」

 下段から振り上げた薙刀が、死肉喰らい達の細い脚とその身を切り飛ばした。触れれば断ち切られる、しかし、それに怯む死肉喰らいはいない。あるのは『飢え』と『乾き』を癒やそうとする食欲のみだ。仲間の死骸を踏み越え、なおも集っていく――。

「おっと、させないよ」

 闇に紛れ、アリステルが木々を足場に跳んだ。そのまま小百合子へ襲いかかろうとした死肉喰らい達をズザン! と、アリステルは黒の細剣で切り裂いていく。その身を切り裂くよりも細い多脚の関節に細剣の刃が滑り込み、切り飛ばしていった。

「そのさえずりは深き眠りを誘い、蒼穹を舞う翼は僕の敵を翻弄する……お願い! 今ひとときだけ君たちの力を貸して!」

 黒の細剣を振り払い、アリステルは小鳥たちの舞(バードダンス)を発動させる。鳥を模した膨大な数の剣が死肉喰らいを追い込んでいった。

「永遠に眠ってもらおうじゃないか」

 バタバタと崩れ落ちていく死肉喰らい達。眠りから逃れた死肉喰らいも上空からのユールの視界を得たアリステルは、まとめていき――。

「今です」

 上空から見ていたからこそ、アリステルは察していた――小百合子の意志に。小百合子は舞いながら小さくうなずき、鳥の剣に追い込まれる死肉喰らい達へ視線を向けた。

「我が舞うは自然の暴利……荒れ狂え!」

 神降双演舞(カミニササゲシミカグラニトモニカナデルシノウタゲ)、小百合子の演舞が巻き起こすカマイタチの嵐がズザザザザザザザザザザザザザンッ! と死肉喰らい達を切り裂いていった。

『ギ――』

 骸さえ、残すつもりはない。小百合子が生み出す風の暴威は、瞬く間に死肉喰らいを塵へと変えていく。死肉喰らい達が散開しようとしても、アリステルの小鳥たちの舞が許さなかった。

(「向こうは――」)

 もう一つの先陣へ、アリステルはユールの視線を送る。そして見た、炎の先で戦う修羅の姿を……。

●修羅がごとく

 牙を剥いて、死肉喰らい達が迫る。生きていようと死んでいようと、問題はない。殺してしまえば、全てが死肉だ――死肉喰らいの名に、間違いはない。

「――ォ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」

 裂帛の気合いと共に、刀也は獅子吼を振り下ろす。大上段による斬撃は、一体の死肉喰らいをたやすく左右に両断。そのまま、振り下ろした刃を返し足に噛みつこうとした死肉喰らいを切り上げた。

 左右が炎の壁となっているからこそ、死肉喰らいは前からしか来ない。ならば、もはや作業だ。一手間違えば即死の作業だが、刀也の心に揺らぎはなかった。

「次だ」

 刀也が、横へ駆ける。炎の壁を眼前に急制動を駆けた死肉喰らい達を横一閃に切り刻んだ。

「火は本能的に恐れるかと思ったが、本能があっても食欲には勝てなかったか? まぁいい。全部まとめて斬り捨てるだけだ」

 ただただ、切り捨てるのみ――刀也は獅子吼を握る柄に力を込めて死肉喰らいの群れと対峙する。

 次から次へと、まだまだ止む気配はなかった。高き森の怪物の気配も、近づいている。先触れがごとき黒い津波のように、死肉喰らいの群れはなおも迫った。

 修羅が笑う。死地から死中へ――ほんの一瞬の躊躇いをもなく踏み込み、死肉喰らいを切り飛ばしていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルタ・ユーザック(サポート)
ダンピールの16歳女性です。
ユーベルコードを使える場面では、指定したユーベルコードを使用し、直接攻撃系か精神攻撃系で敵を攻撃します。
一人称は「わたし」(ひらがな)です。口調は「~だわ」や「~だな」の様なものではなく、「○○…。」の様に…で終わり語尾に何もつけない口数少な目のクールタイプの話し方です。
服装・体型・容姿・持ち物などは、ステータスシートの参照お願いします。

上記内容以外は全てNGなど無しでアドリブ・連携などもOKです。
よろしくお願いします。


ミラリア・レリクストゥラ(サポート)
やや戦いの不得手なクリスタリアンの旅人です。唄を得意とし、必要であれば口だけではなく全身を震動させ発声します。また、ユーベルコードとして唄う場合は様々なサポートをします。
性格としておっとりしている所はあるものの、尊厳を卑劣に踏みにじる行為を見ると許せないと憤怒します。
ビーストマスター適性はかなり限定的で、『地母の恵み』で活性化した大地の恩恵を求め集まったものと一時的な協力関係が築かれます。
食事も呼吸も不要で、大地の放射エネルギーを糧とします。このためスペースシップワールドには適性がありながら苦手意識が強く、近寄りたがりません。

『お祝いですね!一曲唄わせてください!』
『あら?お困りでしょうか…』



●森から溢れる群れ

 森の奥が騒がしい。その気配に、ミラリア・レリクストゥラ(目覚めの唄の尖晶石・f21929)は全身を震わせて訴えた。

「来ますわ」

 死肉喰らいの群れが迫るのを感じて、ミラリアは意識を向ける。自身の背後には、人々の生活がある。未来がある。希望があるのだ――その事が普段はおっとりとしているミラリアに凛とした空気をまとわせていた。

「ええ……」

 その想いはアルタ・ユーザック(クール系隠密魔刀士・f26092)も同じだ。今は道を限定してくれる仲間達が、死肉喰らいを蹴散らしてくれている――その労苦を減らす事が自分達ならできるはずだ。

「行く、任せていい……?」
「はいですわ!」

 アルタが地面を蹴る。頷きと共に、ミラリアは歌声を夜の森に響かせた。

「♪ いのーちぃの 叫び 伝えられたなら! あしーたはっ きっと 輝くからぁ!」

 彼方へと繋がる希望(ミライヘトツヅクミチ)――そのミラリアの想いが歌声となってアルタに届く。その想いに背を押され、強化されたアルタが疾走した。

「……っ」

 茂みの中から飛び出した多足の蟲、死肉喰らいの群れにアルタは怯む事なく踏み込んだ。弧を描く冷気、刀身にルーン文字が刻まれた氷の精霊属性を宿す魔法刀である氷桜丸が、死肉喰らい達を切り裂いていく!

『ギチ――!?』
「行かせない……」

 断ち切られながらも歯を剥く死肉喰らいを、アルタは逆手に抜いた闇崩を引き抜いて断った。漆黒の短刀は夜の暗闇と相まって、死肉喰らい達は反応もできない。しかし、その数に任せ死肉喰らいは殺到し――。

「♪ Ahーーーーー…………」

 地母の恵み(ソロ・ヴォカリーズ)、ミラリアの歌声に答えた狼の群れが死肉喰らい達へ襲いかかった。

「力を貸したください!」
「行こう……」

 この森に生きるモノとして、目の前の存在を許せない――ミラリアの歌声に集まった動物達と共に、アルタは次から次へと襲い来る死肉喰らい達へと立ち向かっていった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

秋津洲・瑞穂
手が足りないかしらね。なら割り込みましょうか。

虫相手に名乗りでもないでしょう。真っ向から斬り込むよ。
数は脅威ではあるから、ダッシュを続けて早駆けと行きましょう。
相手より速く走れば後ろ半分は追い付けずに無力化する。
そして前半分は鎧無視攻撃/なぎ払いの2回攻撃で一網打尽。

駆け引きも何もない虫さんではねぇ……。
特段、技能と言わずとも、普通に足さばきで往なせるわ。
伊達に剣豪の称を持っているわけではないわよ。
しかもわたしの流派は摺り足ではなく歩み足の実戦流派。
駆け抜けてこそ真価を発揮する。知恵がなければ止められない。

せめて飛び道具を用意すべきだったわね。
それならそれで、こちらも打ち手を変えるだけだけど。



●群れを終わらせるために――

「手が足りないかしらね。なら割り込みましょうか」

 無数の戦いの音が、夜の森を震わせる。その場へ降り立ち、秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)は死肉喰らい達と向き合った。

「虫相手に名乗りでもないでしょう」

 瑞穂が地を蹴り、神獣刀を抜き放った。マフラーをなびかせての全力疾走、まるで津波のように迫る蟲の群れへ瑞穂は横一閃の剣刃一閃を繰り出した。

『――ギチ!?』

 先頭の死肉喰らい達が横一文字に断ち切られ、瑞穂はそのまま駆け抜ける。まさに岩に当たって流れの変わった波だ。瑞穂を見失い、死肉喰らいたちは急激に立ち止まっていく。

「駆け引きも何もない虫さんではねぇ……」

 瑞穂は振り返りざまの横薙ぎ。急旋回しようとしていた死肉喰らいが断ち切られ、脱落していった。瑞穂の速度に、死肉喰らいの速度が追いつかないのだ。時に前後に、時に左右に、立ち止まる事の一切ない動きで瑞穂は死肉喰らい達を翻弄していった。

「伊達に剣豪の称を持っているわけではないわよ。しかもわたしの流派は摺り足ではなく歩み足の実戦流派――駆け抜けてこそ真価を発揮する。知恵がなければ止められない」

 例え多足であろうと、動きが直線では瑞穂は捕まえられない。厄介なのは数だが、対処できないほどではない――本陣とサポート、双方が上手く分散させ数を減らしているからだ。

「せめて飛び道具を用意すべきだったわね。それならそれで、こちらも打ち手を変えるだけだけど」

 死肉喰らい達の牙が、空を喰む。瑞穂が滑るように縦横無尽に動き、神獣刀を閃かせる度にその数が加速度的に減っていった。

 ――死肉喰らい達が、恐ろしい速度で数を減らしていく。森のあちこちでした戦闘音が無くなるのに、そう時間はかからなかった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『高き森の怪物』

POW   :    圧倒的な膂力
単純で重い【剛腕】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    原始の魔眼
【視線】が命中した対象に対し、高威力高命中の【石化の呪い】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    聖域の守護者
【燃え盛る青き瞳】に覚醒して【かつての力を取り戻した聖獣】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アウル・トールフォレストです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●高き森の辺境伯

『オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オ……』

 低く吹き抜ける風の音に似た雄叫びが、人類砦の外壁を震わせた。その声が届くまでになれば、もはや見失う事もない。高き森の怪物はゆっくりと、しかし確実に迫っていた。

 絶対的破壊者の威容は、見る者の心を折るのに充分だったろう。しかし、人類砦の多くの人々が希望をまだ見失ってはいなかった。

 猟兵が、戦っているのだ。戦ってくれているのだ。彼等には、猟兵の勝利を信じるだけの確証がある。絶望的な状況かもしれない、しかし、希望は確かに残っているのだ。

 信じる事。人類砦の無力な人々にできる事はそれだけだ。しかし、それこそが彼等の未来に希望をもたらす、唯一の手段でもあった……。
羽生・乃々(サポート)
●設定
UDCアース出身の極普通の女子高生
バイト感覚で仕事を安請け合いしては散々な目に遭い
涙目で切り抜けています

●口調補足
「きゃあ!」「いやぁ!」等の悲鳴の類が
何故か「こゃ!」「こゃぁ!」になってしまいます

●戦闘
「こゃ!あんなの当たったら、死んじゃいます…!」
「わぁん、た、助けてぇ!」
「管狐さん、お、おおお、お願いしますっ」

・涙目でどたばた逃げ隠れ
・他の猟兵等に助けを求める
・追い詰められたり助けに入って貰えた時は震えつつも頑張って交戦

使役UDC「管狐」の祟りで敵を不幸にします
あらゆる行動を上手く行かなくして
その隙に逃げたり、上記効果で仲間を援護します

他は全てお任せです
交流や連携等も歓迎です!


グレイ・アイビー(サポート)
これが敵の親玉ってやつですか…分かっちゃいましたが、こいつも不味そうですね
刻印には後で上手いもんたっぷり吸わせてやらねぇと機嫌を損ねてしまいそうです

味方がいれば共闘し前衛で行動
共闘相手にもよりますが、その時は盾役も兼ねて援護しましょう
彼等への攻撃は出来るだけ庇うつもりです
ぼくの事は気にしねぇで、とっととやっちまって下さい

単独で敵の相手をしなけりゃいけねぇ時は、奴の動きに注意しつつ隙を見て懐に潜り込み、グラップル
発動可能、成功率が高いと判断すればUCを叩き込みます
あとは敵が使用した技の相殺が可能と判断すれば使用
臨機応変に行動し考えましょう

ぼくに出来ることを、精一杯やりましょう



●強大なるモノ

「これが敵の親玉ってやつですか……分かっちゃいましたが、こいつも不味そうですね」
 人類砦を奥に、高き森の怪物の背を見てグレイ・アイビー(寂しがりやの怪物・f24892)が呟く。

「刻印には後で上手いもんたっぷり吸わせてやらねぇと機嫌を損ねてしまいそうです――っと」

 その瞬間、高き森の怪物が振り返った。ボォ! と鈍い風音と共に壁が迫る――その壁が高き森の怪物の回し蹴りだと気付き、グレイは隣を走っていた羽生・乃々(管使い・f23961)と後方へ跳んだ。

「こゃ! あんなの当たったら、死んじゃいます……!」

 まともに喰らえば、比喩でも何者でもなくそうなるだろう。涙目の乃々に。グレイが敢えて前に出た。

「ぼくの事は気にしねぇで、とっととやっちまって下さい」

 単純で重い高き森の怪物の豪腕が、振り下ろされる。空が落ちてきたかと見間違う迫力のそれを、グレイは真っ向から受け止めた。

「ぐ……!」

 踏ん張り、グレイは受け止める事に成功する。だが、保たなかったのはグレイではなく足場だ。ゴォ! と踏ん張った地面が砕け、グレイはその勢いで宙に投げ出された。

「管狐さん、お、おおお、お願いしますっ」

 乃々の呼びかけに応え、狐の霊を召喚される。しかし、高き森の怪物のサイズと比べてしまえばあまりにも小さかった。管狐達は空中でグレイを受け止めるように回り込む。

『オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオ、オ……』

 返す拳で、高き森の怪物が拳を振り下ろす。空中のグレイと管狐達への一撃が容赦なく当たる、そう思った瞬間だ。

『―――-!?』

 踏み込んだ足場が崩れ、拳の一撃が大きくそれた。轟音を立てて樹海の一部が吹き飛ぶのを、乃々は木の幹にぎゅうとしがみついて悲鳴を上げた。

「わぁん、た、助けてぇ!」
「よっと」

 その乃々の前に滑り込み、舞う瓦礫をグレイが殺戮捕食態の刻印で食いちぎっていく。紙一重だった……いや、違うのだろう。

 乃々の管狐の召喚(ヘルプミー)――相手を物凄く不幸にする呪詛によって、高き森の怪物の足場が崩れたのだ。

「ぼくに出来ることを、精一杯やりましょう」

 今、自分達にできる事は少しでも時間を稼ぎ、本隊に体勢を整える余地を与えること。グレイは判断を間違わない。

「もうちょっと、力を貸してください」
「こゃ!」

 グレイの言葉に反応するより早く、乃々が悲鳴を上げる。怒りに燃えた高き森の怪物が、襲いかかってきたからだ。

 ――再び鳴り響く轟音。樹海を舞台に、己の役目を全うしうという彼等の戦いは続いた……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御剣・刀也
おーおー、でけぇなぁ
それに見合うだけの迫力もある。が、でかいだけで勝てれば苦労はしない
来いよ。でか物。どっちが獲物か教えてやる

圧倒的な膂力で腕を殴りつけようとしてきたら、大きい分面積も広いのでダッシュで一気にそこから避難して、腕が地面にめり込んだらダッシュで腕の上を駆け抜けて高き森の怪物の顔まで駆け上ったら捨て身の一撃で顔面を斬り捨てる
間に合わないなら、勇気を振り絞り、ダッシュで懐に飛び込んで足首、膝を攻撃して倒れたところを頭に捨て身の一撃で斬り捨てる
「どんなもんかと楽しみにしてたが、でかいだけじゃ俺には勝てない。出直してきな」


アリステル・ブルー
連携アドリブ歓迎
他の猟兵さんが望むなら積極的に協力します!

●行動POW
黒の細剣を抜いて接敵。紋章狙いだよ!
【アンリーシュ】を使用。燃やすのは敵だけ!
反撃のために味方巻き添えしない位置を取るよ、【激痛耐性】でなんとかならないかな。回避する努力だけでも…。
ユールには引き続き戦況観察と余裕があれば援護を。敵の気をひいてくれたら、仲間の援護にならないかな。
やれる事をやろう!

しかし辺境伯、近くで見るとおっきいねぇ…。
人類砦の皆が僕らのことを信じてくれてるんだから、その期待に応えなきゃね。
いつか絶対に黒幕に辿り着いてみせる、そのためにはまずこいつを倒しちゃおう!


鍋島・小百合子
WIZ重視

聖なる獣であろうがなんであろうが襲い来る災いが今を生きる者に害を為すものなれば容赦はせぬぞ

「我が弓にて放つは魔を焼き尽くす破魔の矢!受けてみよ!」
片手に長弓を持ちては隠密重視で行動(目立たない、忍び足、闇に紛れる併用)
敵の視線に触れ得ぬよう暗視で視界を確保して動き回りつつ、隙を見て矢劇薬を塗布した矢を敵の目に向けて射放つ(視力、スナイパー、目潰し、部位破壊、マヒ攻撃、毒使い、継続ダメージ併用)
敵が怯んだのを見計らってUC「心火焔硝矢」発動
勇気の発現にて生み出された火矢を敵の急所に向け乱れ撃ち(焼却、破魔、鎧無視攻撃、属性攻撃、併用)

他の猟兵との連携を取る場合は援護射撃中心にて立ち回り


秋津洲・瑞穂
わたしを相手に、大きさは武器にならないわよ。

“武器”が大きくて避けきれない。力が強くて防げない。
間合いが遠い、皮が厚い、耐久力も高い。
大きさの利点はそんな所でしょう?

秋津洲の太刀術は妖狐の術よ。人間の大きさに縛られてはいない。
攻めも守りも遠間に飛び抜け、切っ先さえ届けば間尺に合う。
手解きの関係で、新当流を名乗ってはいるけどね――。

野生の勘10/見切り20に導かれた連続ダッシュ。
必要なら残像40も撒き散らして走る。
地形が破壊されようが地面でさえあれば、環境耐性10で走れるわ。
そして鎧無視攻撃40/2回攻撃40の剣刃一閃で斬り飛ばす。

――では、始めましょうか。
「新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」



●最後の砦

 後続の仲間が稼いでくれた時間、それは本隊にとって値千金の価値のあるものだった。

「おーおー、でけぇなぁ。それに見合うだけの迫力もある」

 獅子吼を担ぐように構え、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)が歯を剥いて笑う。地響きと共に人類砦へと進んでくる高き森の怪物は、既に青き瞳を燃え上がらせていた。
 その威容、その威風。それだけで人の心を折るだけの迫力と説得力がある……しかし、刀也の笑みは崩れない。

「が、でかいだけで勝てれば苦労はしない」
「辺境伯、近くで見るとおっきいねぇ……人類砦の皆が僕らのことを信じてくれてるんだから、その期待に応えなきゃね」

 アリステル・ブルー(人狼のクレリック・f27826)は振り返らない。だが、その背後にある人類砦から人々の気配が確かに感じられた。
 吸血鬼に支配され、ようやく一縷の望みを持って人類砦にたどり着けた。だからこそ、他に行き場がないから?

 ――否、否だ。それなら彼等は再び吸血鬼の支配の元へ逃げ戻っていただろう。命が惜しいから従い、ただ生きて来た者達なのだ。元に戻るだけ、多くの人間がそう考えてもおかしくはない。

 ならば、何故逃げないのか。理由は簡単だ――自分達が、猟兵が勝つと信じているからだ。

「聖なる獣であろうがなんであろうが、襲い来る災いが今を生きる者に害を為すものなれば容赦はせぬぞ」

 鍋島・小百合子(朱舞の女丈夫・f04799)は言い放ち、駆け出した。仲間達もまた、各々で走り出す。

「いつか絶対に黒幕に辿り着いてみせる、そのためにはまずこいつを倒しちゃおう!」

 アリステルの言葉が、正解だ。すべてを飛び越え、答えには至れない。まずは目の前の脅威を排除する、それが重要だった。

●樹海と共に

 樹海、そう呼ぶしか無い深い森をかき分けるように高き森の怪物は進んでいく。それこそ、ある世界の住人なら怪獣映画の1シーンのようだと評したかもしれない。

「わたしを相手に、大きさは武器にならないわよ」

 木々の間を縫うように駆け、秋津洲・瑞穂(狐の巫女・f06230)がマフラーをたなびかせる。夜の樹海、その隙間からこぼれる月光を頼りに。

「“武器”が大きくて避けきれない。力が強くて防げない。間合いが遠い、皮が厚い、耐久力も高い。大きさの利点はそんな所でしょう?」

 地面を、木の枝を幹を足場に瑞穂は加速していく。地響きが体全体に届くようになった時には、無数の残像を引き連れていた。

「秋津洲の太刀術は妖狐の術よ。人間の大きさに縛られてはいない。攻めも守りも遠間に飛び抜け、切っ先さえ届けば間尺に合う。手解きの関係で、新当流を名乗ってはいるけどね――」
『オ、オオオオオオオオオオオオオオ、オオオオオオオオオオオオオオオ!!』

 無数の残像ごと打ち砕かんと、高き森の怪物による豪腕が振るわれた。フック気味の薙ぎ払い、その拳を大きく飛び越え瑞穂は背負った神獣刀の柄へ手を伸ばす――。

「――――では、始めましょうか。新当流太刀術、秋津洲瑞穂。参ります」

 ヒュオン! と鋭い切れ味を誇る、細身の刀が高き森の怪物の二の腕を切り裂いた。地面を切り裂くような手応えだが、抵抗はない。正しい角度で振られ、斬線がしっかりと通っている証だ。

『オオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!』
「我が弓にて放つは魔を焼き尽くす破魔の矢! 受けてみよ!」

 怪物がお返しとばかりに蹴りを放とうとした刹那、小百合子の鹿島弓の一射が高き森の怪物の燃え盛る青い瞳の間へ突き刺さった。高き森の怪物は、構わず強引に前に出る。しかし、その一瞬の強引さが間隙を生んだ。

「解放せよ。怒りを、憎悪を、醜い心の闇よ。そして敵を焼き尽くせ!」

 アリステルがアンリーシュによって闇の炎に包まれた黒の細剣を怪物の左足に突き刺した。燃え上がっていく漆黒の炎、しかし、その燃える足で高き森の怪物は爪先蹴りを繰り出してきた。

「おっと」

 吹き飛ばされながら、空中で身を捻ってアリステルは着地する。直後、蹴り飛ばされた瓦礫――岩と呼ぶのにふさわしいサイズの土塊を、後方へステップする事でアリステルは回避する。

「あそこじゃないか、だとすると――」

 呟きながら、アリステルは高き森の怪物から視線を離さない。駆け出そうとした高き森の怪物の目の前へ、刀也が立ち塞がった。

「来いよ。でか物。どっちが獲物か教えてやる」

 その言葉が通じたのかどうか、定かではない。しかし、敵と認識した高き森の怪物は刀也へと踏み込み、刀也もまた獅子吼を手に真っ向からその豪腕を迎え撃った。

●辺境伯たるモノ

 破壊音。そう呼ぶのに、これ以上ふさわしい音もなかっただろう。大地が砕け、木々が裂け、大気が荒れ狂う。まさに大地の化身、怪物の形をした災害がそこにあった。

「だが、温いな」

 刀也がそう吐き捨てる。どんな一撃も当たらなければ意味がない。本来ならば死と隣り合わせの間合いにあってなお、刀也は生きている。闘争に生きる修羅にとって、その結果こそが全てだった。

「どんなもんかと楽しみにしてたが、でかいだけじゃ俺には勝てない。出直してきな」
『オオオオオォォォォォ!!』

 二つの青い軌跡を描き、高き森の怪物が加速する。圧倒的膂力で繰り出される渾身の一撃が、深く地面を抉った。

 高く舞い上がる土柱。その中を、怪物の腕を駆け上がった刀也が駆け抜いてた。

「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」

 全身全霊、勇気をもって繰り出した雲耀の太刀による振り下ろしが高き森の怪物の眉間を切り裂いた。大きくのけぞる怪物、しかし、その勢いで振り上げた右足で空中の刀也を蹴り飛ばそうとする!

「させないわ」

 土柱で巻き上げられた土塊を足場に、瑞穂が跳躍。下段に構えた神獣刀を振り上げ、瑞穂は膝から先の怪物の右足を切り捨てた。

「そこか……!」

 アリステルが、気付く。ずっと探していたのだ、辺境伯の紋章を。刀也の一撃を受けた眉間、そこに寄生し再生しようとしているのをアリステルは見逃さなかった。

 アリステルが、怪物の頭の位置まで駆け上がる。闇の炎をまとう黒の細剣を繰り出そうと、振りかぶった。

『キチキチ――』

 しかし、高き森の怪物――否、辺境伯の紋章は奥の手を残していた。原始の魔眼、その視線が当たった相手を石化させる呪いの魔眼。それでアリステルを呪おうと――。

「我は燃やす己が胸の内にある勇炎の心……貫け!」

 その交差の直前、小百合子が射放った心の中にある勇気を振り絞る一矢、心火焔硝矢(ココロニトモシビユラメクホムラノヤ)の乱れ打ちが死角から高き森の怪物の両目を射抜いた。

『オ、オオオ、オ、オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ――!!』

 青い炎に、勇気の発現にて生みだした火が交じる。苦痛に唸る怪物に構わず、アリステルの黒の細剣の刺突が辺境伯の紋章を捉えた。

 ――遠く、人類砦から喝采が響く。高き森の怪物の巨体が崩れ落ち、立ち上がる事がなかったからだ。それは猟兵が生み、この世界の人々が育んだ確かな希望の叫びだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月11日


挿絵イラスト