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Nox inquisitionis

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●辺境の日常
「今ここに、神判を下す!」
 重苦しい声が、静まり返った広場に響き渡った。声の主は緋色のローブに身を包んだ男。異端審問官を名乗るこの男は、非道なる領主の忠実なる従僕だ。
「この者どもは、悪魔と情を交わした魔女である」
 彼の後ろには、幾つもの十字架が並ぶ。そのうちの数台に、女が一人ずつ磔にされていた。審問官が、黒革の書物を、大仰な仕草でめくった。その書物の表紙には、金文字で『正義法典』と箔押しされていた。
「罪状は異端。畏(かしこ)くも領主閣下の定められた法に従えば――死罪。魔女には死後の安寧すら許されぬ。火刑をもって遇するものである」
 審問官が、高らかに判決を宣告した。初めから分かり切った茶番である。見守る村人の一人が、思わず小さく吐き捨てた。
『どの口が、異端だとほざきやがる』
 村人たちの間にざわめきが走った。審問官の目の前でそのような言葉を漏らしては、どういう扱いを受けるかは火を見るより明らかだった。
「ほう、魔女がもう一人隠れていたようだな。引っ立てよ。この者も死罪である。よもや、異議はあるまいな」
 手下の大男が、呟いた村人を広場に連行して磔にした。その傍らでは審問官が、その窪んだ瞳で村人たちを舐めるように見回していた。もはや、言葉を発そうとする村人はいなかった。
「では、執行する。神の慈悲があらんことを」
 形式的な祈りの言葉とともに、積みあげられた薪に火が付けられた。黒い煙と悲鳴がもうもうと上がり、「魔女」たちの命は炎の中に消えていった。
 陰鬱で、悲惨な出来事である。しかし、オブリビオンに支配されたダークセイヴァーでは、これが日常でもあった。

●異端審問を粉砕せよ
「異端の神の眷属が、異端審問官を名乗って無実の村人を手にかける。このような非道がまかり通るとは」
 怒りと悲しみが混ざり合ったような声音で、レイア・プラウテスが呟いた。その表情は暗い。
「……申し訳ありません。たった今、ダークセイヴァーでそのような事件が発生すると予知したのです」
 レイアは猟兵たちに顔を向けると、軽く頭を下げて謝罪した。再び顔を上げた時、その表情は普段通りのものに戻っていた。
「敵が行おうとしているのは、魔女認定した者を火にかけて処刑する、いわゆる魔女狩りというものです。もちろん、処刑されようとしている女性は一般人にすぎません。異端の魔女なんていうのは敵のでたらめです」
 被害にあったのは、多くの資産を持つ独り身の老婆や夫に先立たれた寡婦などだ。あえて社会的な弱者を狙うことで、村人たちの反発を和らげている。確実に事を進めるための狡猾な手口だ。
「まずは処刑場になっている村の広場に突入し、磔にされている女性たちを救出してください。審問官は狡猾です。自分たちが不利と見れば、躊躇なく磔にされた人たちを手にかけようとするでしょう。気を付けてください」
 とはいえ、体力に自信がある(POW)なら正面から突入することも不可能ではない。配下こそ多いものの、権力を持っただけの一般人にすぎない。猟兵ならば蹴散らして進むことは造作もない。俊足を活かせば(SPD)、審問官とその配下に捕まる前に村人を救出することもできるかもしれない。頭の回転が速かったり、弁舌が得意だったりする(WIZ)なら、村人たちを説得して味方につけてしまおう。繰り返すが審問官は人間である。一人二人ならともかく、多くの村人が処刑に抵抗すれば、心理的な圧迫を与えることができるだろう。

「村の近くには領主である『異端の騎士』一行がいます。処刑が完了し、村人たちが助かったと安堵した時点で彼らを皆殺しにするのが目的のようです」
 いたずらに希望を持たせてから殺すなど、なんと悪辣な手段だろうか。
「敵軍は、村に異変があると気づいた時点で突入してきます。『異端の騎士』は、配下である多数の『朱殷の隷属戦士』に守られているために手が出せません。まずは、『朱殷の隷属戦士』たちを排除してください」
 『朱殷の隷属戦士』はフレイル、盾、マスケットで武装している。フレイルは命中すれば高威力の追撃が待っている。盾には棘が生えており、複数で盾壁を形成して突撃してくるだろう。マスケットによる射撃を受けると、ユーベルコードを封印されることになる。

「『朱殷の隷属戦士』を壊滅させると『異端の騎士』と対決することになります。騎士を名乗るだけあって、非常に高い実力を備えているようです」
 『異端の騎士』の封印された剣は他者の流血により解放される。封印から解かれれば、その切れ味は何倍にも増幅されるだろう。また、自らの乗騎として漆黒の軍馬を召喚する。騎乗中は戦闘能力が増幅されるが、騎士と軍馬は生命力を共有しているため、どちらへの攻撃も有効になる。さらに、武器を薔薇の花弁に変え、無差別攻撃を行う能力も持っている。

「悪法も法とは言いますが、いたずらに民衆を苦しめるためだけの法など許されるわけがない。皆さん、どうかよろしくお願いします」


二条河原
 こんにちは。二条河原です。
 陰惨な魔女狩りの話を出そうとフラグメントを提出したら、このオープニングを提出する前に魔女狩り(女装)のシナリオが登場し慌てました。

 異端審問官の見た目は、「まさかの時の」な人たちをイメージして頂けると分かりやすいと思います。「スペイン宗教裁判」で検索すれば一発です。とはいえ、本シナリオはコメディではなくシリアスです。審問官が拷問台と棚を間違えたり、数を数え間違ったりはいたしません。真面目にいきます。
 なお、審問官一行はオブリビオンではなく支配者に忠実な人間です。大して強くはありません。しかし、極めて残忍かつ狡猾です。磔にされた「魔女」たちを平然と盾にし、また人質に取ります。村人に被害が出ると判断したプレイングに対しては、マイナス補正を与えた上で判定を行います。ご注意ください。

 村の近くには正真正銘のオブリビオン、『異端の騎士』に率いられた『朱殷の隷属戦士』たちが控えております。異端審問官が救援を求めるか、仕事に失敗したと判断した段階で、村を焼き滅ぼすために出撃してくるでしょう(二章以降の内容です。一章の時点では、絶対に登場いたしません)。『異端の騎士』は審問官を排除した猟兵たちを脅威に捉えています。猟兵が全滅するまでは、積極的に村人や村に手を出すことはありません。

 指揮官である『異端の騎士』は本陣に控えており、二章で『朱殷の隷属戦士』と戦っている段階では交戦できません。隷属戦士が全て倒されると三章に移行し、その段階でようやく登場します。

 惨劇を食い止めるため、皆さんのご助力をお待ちしております。
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第1章 冒険 『魔女狩りを阻止せよ』

POW   :    異端審問官を力尽くで排除し、村人を救出する

SPD   :    刑場に突入し、異端審問官に捉えられる前に村人の拘束を解く

WIZ   :    周囲の村人を説得。味方につけ、処刑の中止を求める

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シノギ・リンダリンダリンダ
広場のど真ん中で仰々しく魔法陣なんかを浮かべながら、ユーベルコードで死霊騎士を召喚します。
もちろん召喚した騎士は動かしませんが、威圧感を与えるためにも構えておきましょう。

おや、どうしたのでしょうか? 魔女ですよ、魔女がここにいますよ?
こんな凶悪な悪霊を従えた魔女ですよ?
私も同様に捕まえましょう? そうしましょう。

もちろん、連行されそうになったら抵抗します。
相手を傷つけない程度に。

早く、ほら捕まえましょう? 死罪なのでしょう魔女は?
よもや、異議はありませんよね?

配下を蹴散らしながら、磔になっている人たちの方に向かいます。
【礼儀作法】はしっかりとしつつ、【恐怖を与え】その言葉には【呪詛】がのります



●かの者こそ真の魔女なり
「今ここに、神判を下す!」
 重苦しい声が、静まり返った広場に響き渡った。声の主は緋色のローブに身を包んだ男。異端審問官を名乗るこの男は、非道なる領主の忠実なる従僕だ。
「この者どもは、悪魔と情を交わした魔女である」
 彼の後ろには、二十基もの十字架が並ぶ。それらのうち十九基に、女が一人ずつ磔にされていた。審問官が、黒革の書物を、大仰な仕草でめくった。その書物の表紙には、金文字で『正義法典』と箔押しされていた。

「罪状は異端。畏(かしこ)くも領主閣下の定められた法に従えば――死罪。魔女には死後の安寧すら許されぬ。火刑をもって……何っ!?」
 審問官が高らかに判決を宣告しようとした、その時のこと。広場の中央に、巨大な魔法陣が展開された。いつ転送して来たのだろうか。その中心には、桃色の髪をした娘――シノギ・リンダリンダリンダ(ロイヤルドレッドノート船長・f03214)の姿があった。
 魔法陣がひときわ強い輝きを放った。現れたのは、錆付いた甲冑に全身を包み込んだ騎士。首から上にあるべき兜の姿はなく、代わりに左腕がそれを抱え込んでいた。面頬の隙間から垣間見えるのは赤い双眸。異形の姿は、死霊騎士のものであった。
 余りに唐突の出来事に、誰一人として反応できない。そこにシノギの言葉が響く。
「おや、どうしたのでしょうか? 魔女ですよ、魔女がここにいますよ?」
「貴様……!」
 シノギが言葉を紡いだ。歌うように、謳うように。
「こんな凶悪な悪霊を従えた魔女ですよ? 私も同様に捕まえましょう? そうしましょう」
「魔女だ! 本物の魔女が出たぞ!! あの女を捕まえろ!」
 審問官が、みずからの任務を思い出したように叫んだ。石化の魔法から解けたかのように、配下の男たちが動き出す。繰り出される彼らの腕を潜り抜けながら、シノギが挑発するように声をあげる。
「早く、ほら捕まえましょう? 死罪なのでしょう魔女は? よもや、異議はありませんよね?」
「囀るなよ、魔女ごときが」
 憎々しげな審問官の言葉も、力を伴わなければ滑稽なだけ。ましてや、大剣を手にした異形の騎士に、気圧されながらの言葉など。シノギは一切の脅威を感じることはできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サフィリア・ラズワルド
POWを選択

魔法で角と翼と尻尾を消して人間に【変装】して町に入り広場で『その人達は魔女じゃない、貴方は嘘つきよ』と言います。証拠はと聞かれたら『私にはわかる、だって契約の印がないもの』と消していたドラゴニアンの特徴を露にし【存在感】を出します。今までの発言から悪魔だと勘違いしてくれないかな?もし悪魔だと言われても否定も肯定もしません、だってドラゴンは悪魔の象徴だっていう所もあるしその逆の所もあるし…
最後に『契約の印があるのはお前達だ』と審問官に告げペンダントを竜騎士の槍に変えて突撃します。

慣れない役をしてみたけど仲間達が磔にされた人を救出する時間稼ぎにはなったかな?

アドリブ歓迎です


ギルレイン・メルキラレバ
欲するところを為せ。
欲に忠実なのは結構。
しかしながら、理知に欠けると言わざるを得ませんね。
私も自らの欲するところに従うとしましょうか。


欲するところを為せ。
そうしたいと願うのならば、たとえ彼女等を見捨てたとしても神は許したまいましょう。
そうでないならば、私が力になりましょう。
神の名の元、人は自由であるべきです。
さあ、おたちなさい。我らの隣人を救うは今ですよ。


貴方が審問官ですか?
質問です。本当に彼女等は悪魔と通じたのですか?
偽りを申さば、神罰がくだりましょう。

いざ、神罰がくだりました。
暴虐に怯える日々はもう嫌でしょう。
自由に過ごせる明日のために。
理性と叡智を以て進みなさい。
【アドリブ歓迎】



「貴方が審問官ですか?」
 涼やかな声が、混乱しつつある刑場に響き渡った。群衆の中から一人、前に進み出ていたギルレイン・メルキラレバ(己の神に仕えよ・f13190)の声だ。言葉の裏に怜悧な刃を含ませて、自由神の司祭が審問官に問いかけた。
「質問です。本当に彼女等は悪魔と通じたのですか? 偽りを申さば、神罰がくだりましょう」
「神罰だと? 貴様、何様のつもりだ。神を騙るとは、さては貴様も魔女だろう」
「質問しているのは私です。さあ、お答えなさい」
 淡々と。審問官の瞳が、ギルレインのそれと交錯する。睨み合いは一瞬。眼力勝負に敗れた審問官が、目をそらしつつ渋々口を開いた。
「然り。この法典にかけ、我が言は全て真実である」
 何も起きないではないか。所詮はこけおどしだったのだろう。そう思いながら、審問官が黒革の法典を高々と掲げた。
「そうですか。残念です。欲に忠実なのは結構。しかしながら、理知に欠けると言わざるを得ませんね」
 ギルレインの声音は心底残念そうなもの。審問官が地面に落とす黒い影が、どくんと脈動した。いつの間にか、ギルレインの足元から審問官まで長い影が伸びていたのだ。それは、偽証を許さぬ『賢者の影』。彼女の影が、審問官をぎりぎりと締め上げた。
「貴様……その呪術を解くんだ! しからば、罪一等を減じ刎刑で済ませてやろう」
「己の立場を理解していないようですね……」
 審問官が苦しげな声を発した。苦し紛れの言葉(審問官に言わせれば『寛大な処置』なのだろう)に、呆れ果てた様子で呟いた。

「そう、貴方は嘘つきよ。その人達は魔女じゃない」
 ギルレインの言葉を肯定しながら、横に並んだのはサフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)である。その身体には、普段は出しているドラゴニアンとしての種族特徴が認められない。村人たちの中に紛れるため、一切の種族特徴を隠していたようだ。
「どこに私が嘘を吐いたという証拠がある」
 苦痛を堪えつつ、審問官が問うた。この期に及んで自らの誤りを露と認めないその姿には、いっそ清々しさすら感じられた。
「だって、契約の印がないもの」
 言うが早いか、角、翼、尻尾が現れた。いや、この場合はあるべき場所に戻ったと言うべきか。竜の翼は蝙蝠にも通じる。その姿は、異邦の魔神と称されても不思議ではなかった。
「彼女たちに、印があるのかしら? 私の目には、どこにも見えないのだけれど」
 当たり前だ。冤罪で仕立て上げた「魔女」たちに、そのような印があるわけもない。
「魔女――いや、悪魔か! 人心を惑わす邪妖め!」
 受けたダメージも忘れ、審問官が叫んだ。悪魔と呼ばれたサフィリアは、それを肯定も否定もしない。うまい具合に誘導に引っかかってくれたようだ。審問官の叫び声を聞いたサフィリアは、
(それにしても、人心を惑わす悪魔はどっちなんだか)
 そんなことを思いつつ、そっとペンダントを竜騎士の槍へと変形させた。
「契約の印があるのは……お前達だ!」
 槍を審問官に突き付けて宣言する。それから地を蹴って突撃した。突然のことに、審問官は対応しきれない。辛くも串刺しは防いだが、緋色のローブはずたずたに引き裂かれていた。
「慣れない役をしてみたけど……時間稼ぎにはなったかな」
 十分すぎるほど、時間は稼げたようだ。あたりを見回せば何名もの猟兵が刑場に突入し、十字架に括り付けられた被害者たちを救出していた。

 サフィリアが審問官と問答している間、ギルレインは村人たちに語り掛けていた。
「いざ、神罰がくだりました。暴虐に怯える日々はもう嫌でしょう。自由に過ごせる明日のために、理性と叡智を以て進みなさい」
 神の名のもと、人は自由であるべきだ。奉ずる神の教えに従って、ギルレインは村人たちに語りかける。怯えた心に、少しばかりの勇気が芽生えたようだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グウェンドリン・グレンジャー
シャルロット(f02543)とタッグ
アドリブ歓迎

裁判……こんなの、私刑……
よくない。私の、それなりの、正義感……が、ゆるさない。

私は、POWしか、取り柄、ない。力づく、かな……
ブラッド・ガイストで、体内の武装を全展開……この場の人々、に、見えるように
恐怖を与える技能も、使う

魔女とされた人々を、救わないといけない
私は、シャルロットほど賢くはない……さて、どうしよう

空中戦技能、で、舞い上がって、暗殺技能で審問官の、後ろを取る
不意をついて、魔女とされた人を、助ける
審問官がこっちに攻撃するなら、翼を広げて盾になる

シャルロットの演説で、人々の心が動いたなら。大丈夫。助けた人も、託せる


シャルロット・ルイゾン
WIZ
グウェンドリン様(f00712)と同行
アドリブ歓迎

嗚呼、いけませんわ。
魔女裁判に火刑なんて
あまりにも旧時代的すぎます。

コミュ力、言いくるめ、誘惑を駆使しUCで演説を
視力と学習力と第六感で言葉の響いている対象を見極め
目を合わせ
より響く言葉を選びます

シトワイヤン、わたくしは告発された彼女達に正当な裁判を要求致します。
正当な裁判なくしてどうして罪が証明できましょう。
罪の有無も定かでない人間を刑に処して
それが正義と呼べましょうか。
シトワイヤン、わたくし達があなた方のためにおります。
この処刑に違和を覚えるのなら今こそ声を上げるべきですわ。
恐れることはございません。
あなた方の声は今、力を持つのです。



●ビュシェ・ル・ギヨティン
 それを好機と見たのがシャルロット・ルイゾン(断頭台の白き薔薇・f02543)だった。先の語りかけにより、いくばくかの勇気を得た村人たちに対して彼女は声をあげていた。
「シトワイヤン、わたくしは告発された彼女達に正当な裁判を要求致します」
「裁判……こんなの、私刑……よくない」
 傍らにいたもう一人の娘、グウェンドリン・グレンジャー(NEVERMORE・f00712)もうなずいた。
「私の、それなりの、正義感……が、ゆるさない」
 グウェンドリンの言うとおりだった。理性と合理主義が生んだ断頭台を携える娘には、魔女裁判に火刑などという異端審問官たちの行動は、あまりにも前時代的に映っていた。罪状は一方的に押し付けられ、検察と裁判官は同じ人間が勤めている。被告人には弁護の機会すら与えられぬ。こんなものが、正当な裁判だと、正義だといえるのだろうか。答えは否だ。
「シトワイヤン、わたくし達があなた方のためにおります。この処刑に違和を覚えるのなら、今こそ声を上げるべきですわ」
 これは、ただの弁論ではなかった。口だけでなく、全身をあますことなく使ったパフォーマンス。金の瞳は村人たちの反応を見逃さない。彼らに少しでも響いた言葉を見つけると、すぐにその方向へと軌道修正していく。より聞き惚れるように、より響くように。
「そうだ……俺たちは、こんなことを許しておけはしない!」
 誰かが叫んだ。小さな叫び声だったが、その声は不思議なほど大きく響き渡った。それが端緒だった。何人もの村人が、くちぐちに同意の声をあげた。
「シトワイヤン、その通りです。恐れることはございません。あなた方の声は今、力を持つのです」
 扇動者たる娘が先頭に立ち、村人を従えて行進をはじめる。それは、どこか革命の行軍を髣髴とさせるものでもあった。

「私は、シャルロットほど賢くはない……さて、どうしよう」
 シャルロットが村人たちの扇動を始めたのを見て、グウェンドリンも動き出していた。「魔女」とされた人を助けなければいけないのは分かっているが、その方法が難しい。正面から真面目に挑めば人質を取られかねないのだ。なら、と靴のブースターが点火した。ふわりとその身が宙を舞う。空の散歩は少しだけ。着地目標は審問官の後ろ側だ。
「空を……飛んだぁ!?」
 審問官にとっては意表を突かれた格好だ。背中から斬られることを覚悟して身を竦めるが、衝撃はいつまでたってもやってこない。恐る恐る振り返ると、そこには想定外の光景が広がっていた。
 審問官が勝手に竦んでいたのをチャンスだと、囚われている人を解放していたのだ。審問官の頭に血がのぼった。
「よくも、貴様ぁ!」
 審問官が、銀の長剣を腰から引き抜いて斬りかかった。血しぶきが彼の顔にかかる。私のことをコケにしてくれた、あの娘は死んだのか。だが、何かがおかしかった。肉を断つ感覚が、全く手に伝わってはいなかったのだ。改めてグウェンドリンに視線を向けた彼は、悲鳴をあげることになった。
「あ、悪魔……!」
 そこにあったのは、夜の色をした烏の双翼。それがグウェンドリンの背から生えており、まるで盾かのごとく剣を受け止めていたのだ。審問官の顔にかかった血しぶきは、『ブラッド・ガイスト』を起動するためのもの。けして、彼女自身が傷を負ったわけではなかった。
 敵の攻撃を意に介すことなく、グウェンドリンは淡々と解放を続けた。
 やがて、シャルロットを先頭にした一団が刑場に突入してきた。グウェンドリンを倒そうと、無駄な努力を続けていた審問官も劣勢を悟って後退する。解放された者と見守っていた者が再開し、涙を流す。グウェンドリンはその光景を見て、「もう大丈夫」と呟いた。
 「魔女」は残り十四名。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

レイ・アイオライト
魔女狩り、ね。どっちか『魔女』なのか分かったものじゃないわね。
弱者を笑い者にする奴らは絶対に許さない。腐った心ごと地獄に落としてやる。

……いえ、ここは落ち着いて行動しないとね。
誰にも気づかれずに忍び込むのは盗賊の専売特許、『目立たない』ように物陰に隠れながら刑場に突入するわ。
村人の拘束を解いたら『紫電奔る雷霆の孤狼』で喚んだ私の相棒(狼)の背中に村人たちを乗せる。重いですって?あたしの相棒はそんなヤワじゃないから大丈夫よ。
同時に、相棒に刑場の中心に雷撃一発お願いしようかしら。閃光で目くらましにもなるだろうし。
その後はあたしの仕事。『だまし討ち』で異端審問官共を一掃していくわ。



●闇夜を斬り裂く稲光
 薄暗い闇に紛れながら、レイ・アイオライト(人間のシーフ・f12771)が進んでいた。
「魔女狩り、ね。どっちか『魔女』なのか分かったものじゃないわね」
 視線の先では、異端審問官が朗々と罪状を読み上げている。その姿には吐き気さえ覚えた。弱者を笑い者にする奴らは絶対に許さない。
「腐った心ごと、地獄に落としてやるわ」
 決意とともに小さく呟いた。はやる気持ちは抑え込み、ことが起きるのを待つ。何も、自分から不利な戦いを挑む必要はないのだ。刑場に混乱が生じた瞬間、彼女は駆け出した。物陰から物陰に移動し、見つからないように目標に近づくのは盗賊の専売特許だ。
 最後の物陰から飛び出して、十字架の一つにたどり着く。妨害は、全く受けることはなかった。レイが短剣で手早く荒縄を切り裂いて、磔にされていた女性を解放した。
「来なさい、鳴雷の大狼! アンタの出番よ!」
 相棒を呼ばう。まもなく雷鳴と共に、巨大な狼が出現した。その背に解放した女性を乗せる。レイ自身は、地上に立ったままだ。
「ガルン、雷撃をお願い!」
 大狼が、その身に纏う雷を束ねて刑場の中心に撃ち込んだ。激しい閃光が辺りを蒼白に照らす。その光をまともに見てしまった敵の一団は、目が眩みまともに動けない。それでも、魔女を逃すまいと数人の男たちが行く手を阻んだ。
「魔女どもめ、お前たちを逃がしたりはしない!」
 ガルンが彼らを排除しようと、口を大きく開く。手にした得物を構えた男たちだったが、彼らは糸が切れたかのように崩れ落ちた。素早く背後に回り込んでいたレイが素早く打ち倒したのだ。
「今のうちに、逃げ出すわよ」
 レイが、黒い刀を鞘に納めつつ言った。それから狼の背に飛び乗った。まだ、別行動するには危険が大きいようだった。後の事は他の猟兵に託し、レイたちは広場から離脱していった。
 「魔女」は残り十三名。

成功 🔵​🔵​🔴​

種子島・友国
異端?異端だって?
それをお題目に弱い者いじめをするのは甚だ好みじゃないな
全く僕の好みじゃあない

【SPD行動】を選択
面倒事が本当に面倒になる前に村人の拘束を解き、避難を促す
更に【選択したUC】で弾幕を張り、避難する村人を追わせないよう異端審問官達を攻撃、足止めする

「君らに言っても仕方ないがね、もっと人には優しくした方が良いと僕は思うよ?」
自分の本体を手にし、また手放してきた、顔も思い出せない持主達を想いながら吐き捨てる



●たとえ古き火筒でも
「異端? 異端だって?」
 種子島・友国(ヤドリガミのアーチャー・f08418)の耳にもまた、罪状を朗読する審問官の声が聞こえていた。磔にされている女性たちは、とうてい魔女のようには見えない。
「それをお題目に弱い者いじめをするのは甚だ好みじゃないな。全く僕の好みじゃあない」
 重い溜息を吐く。このまま放置していれば、この面倒な状況が更に面倒になるのは火を見るより明らかだ。
 乱入者により混乱しつつある刑場へと突入した。手近な十字架に駆け寄ると、かけられた縄をほどいていく。そこに声を掛けてきたのは審問官の配下たちだ。
「どこへ行こうとしている。魔女を助けるものもまた異端だぞ」
「そんな脅しに怯むとでも思ったら、大間違いだ」
 解放した女性に、「あっちに走れ」と指示を出す。自身は敵を追わせまいと、その前に立ちはだかった。友国が、抱えた火縄銃から手を離せば、それは宙へと浮かび上がった。いや、それだけではない。実に10本もの銃が、横並びに男たちに狙いを定めたのだ。
「あんなものまやかしに過ぎん! 撃て、撃てっ!」
 男たちがフリントロックの拳銃を構えた。自らのものよりも一世代新しいそれを見て、友国の表情に苛立ちの色が混じる。技術の進歩と同時に打ち捨てられた、火縄銃のことを想ったのだろうか。
 発砲音はほぼ同時だった。並んだ男たちがばたばたと倒れていくのに対し、友国には傷一つなかった。いくらフリントロックが火縄銃に比べて新しい技術を使っているといっても、銃としての性能にはさしたる差はない。その上、友国はヤドリガミ。一応の武器として腰に提げていただけの男たちでは、得物に対する理解があまりにも差があったのだ。友国が、倒れた男たちに向かって吐き捨てた。
「君らに言っても仕方ないがね、もっと人には優しくした方が良いと僕は思うよ?」
 脳裏に浮かんだのは、顔も思い出せない人たちの姿。それは友国がヤドリガミになる以前、彼を手にしまた手放してきた人たちの姿だった。
 「魔女」は残り十二名。

成功 🔵​🔵​🔴​

モリオン・ヴァレー
じわじわと少しずつ
そして確実な恐怖の植え付け
逆らったら自分も磔刑行き
そしてその後に待つのは……随分と手が込んでるわね

だから隙が生じるのよ

【アクセラレイタ】発動
<目立たない><忍び足><情報収集>
周囲の状況を確認しつつ広場の裏から足音を立てない様迅速に接近

あたしが狙うは審問官達
<投擲><誘導弾>後ろから毒針を投げて無力化を狙うわ
<毒使い><気絶攻撃><マヒ攻撃><医術>
もっとも、戦闘で使う様な本格的な毒じゃなく
一時的に体の自由を奪う程度の弱い毒だけれど
体が動かないんじゃ、人質を盾にしたくても出来ないわよね?

どうかしら?恐怖を植え付けられる側に回った気分は?
……じっとしてるなら命までは取らないわ



●裏側より手を下す
「随分と手が込んでるわね」
 モリオン・ヴァレー(死に縛られし毒針・f05537)は、事前のブリーフィングを思い出していた。事件の予知には、魔女裁判が終わった後の話も含まれていたのだ。
「じわじわと少しずつ、そして確実な恐怖の植え付け。逆らったら自分も磔刑行き。そしてその後に待つのは……」
 避けられぬ死だった。間違いなく、この仕掛けを考えたオブリビオンは悪趣味だ。さもなければ、人間の絶望を眺めては愉悦する類の外道である。
 左手の指輪に霊力を送ると、それは金色の柄を持つ杖――重鎚メテオライトとなった。更に霊力を送り続ける。隕鉄が霊力を重力のオーラに変換し、それが全身を覆った。
「潜入開始……」
 オーラは摩擦力を下げる効果を持っている。音を立てずに潜入するような任務には、もってこいであった。
 モリオンが音もなく広場の裏側に回り込んだ。並んだ十字架の向こう側で、猟兵の襲撃に右往左往する姿が見て取れた。その姿を見て、改めて思う。
「手は込んでるけれど……」
 だから、隙が生じるのよ。
 右手の指の間に針を三本構え、男たちに向かって投げつけた。鬱陶しそうに針を払う男たちだったが、ふいにその動きが止まった。いや、それだけではない。地面に倒れ込み、動けないようだ。
 モリオンの投げた鋼針ギベオンはただの針ではない。内部に毒を仕込んだ毒針である。仕込んでいたのはマヒ毒だった。暗殺者が使うような強力かつ即効性のある毒ではない。一時的に身体の自由を奪う程度の毒だ。それでも、こんな状況で受けては致命的だった。倒れ込んだ男たちを見て、モリオンが呟いた。
「体が動かないんじゃ、人質を盾にしたくても出来ないわよね?」
 まったくもって、その通り。それどころか、動けなくなったところを猟兵に拘束されている者もいる。恐怖の色を浮かべている男の瞳をのぞき込んで言った。
「どうかしら?恐怖を植え付けられる側に回った気分は? ……じっとしてるなら命までは取らないわ」
 針も敵もまだまだいる。モリオンは、再びギベオンを構えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

テリブル・カトラリー
POW

宗教に興味はないが、無実の人間が火刑に処されるのは看過できない。

いきなり力付くでは村人達に被害が出るか、
しかし私の図体で近づくにのは…
そうだな。適当な襤褸布を纏い、
変声マスクの調整をいじり老人の声に変換。
腰を折り膝を曲げ、老人に変装する。

老人のフリをして目立たないよう行動し、
他の仲間達が行動を開始するのに合わせて村人たちの間を抜けて
磔にされた魔女達へ近づく、

おお…なんと、惨い事を……とか適当に呟きながらな。

これならきっと審問官に盾にされやすく、また村人にも敵にも近付ける。
情報収集で敵の位置を確認し、機を見て変装をときクイックドロウ二回攻撃UCで異端審問官達を排除、村人を救出する。



●変装の効能
 村人たちに紛れて様子を伺うテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)の前で、問答が行われていた。その片方は異端審問官、もう片方は何とかの神とやらに仕えるらしい猟兵だった。
(宗教に興味はないが、無実の人間が火刑に処されるのは看過できない)
 古の銀河帝国に生まれたウォーマシンには、か弱い人間たちが神にすがる様はあまり理解できなかった。ただ、冤罪で殺されようとする人々を助ける。それが目的だった。
 彼らを助けるためには傍に寄る必要がある。身長2mを遥かに超える長身では、秘密裏に進むことは困難だった。そこで襤褸布で体型を隠し、膝を折って歩くことで老人の変装とした。体格が良すぎるのは隠せないが、それでも何もしないよりはよほどマシというものだ。ついでに、それらしく聞こえるよう変声マスクを調整して老人の声を出力した。
「おお……なんと、惨い事を……」
 猟兵たちが、めいめいに刑場へと突入を始めたあたりで、テリブルもまた歩き始めた。怪しまれぬよう、それらしいことを呟きながら進む。審問官たちは、先行して救出を開始していた猟兵への対象で手一杯。老人に変装したテリブルに気を留める余裕は残されていなかった。そうしている間に、敵味方の位置を頭に叩き込んでいく。
「今だ」
 予め演算していた、敵だけを巻き込める最適な攻撃タイミング。老人の偽装を解き、全ての武装を準備状態に。ついで、それら全てを起動する。砲弾の嵐が生じた。敵の包囲網に大穴が生まれる。その中心を悠々と歩いて十字架のもとまで進むと、確かな手つきで村人たちを解放していった。
 「魔女」は残り九名。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アララギ・イチイ
火あぶりなんて火傷で死ぬより、煙を吸って意識を失う方が早いのにぃ
もっと残酷で痛々しい凌遅刑とかで処刑なさいよぉ

と、こんな感想を呟きながら刑場に堂々と侵入よぉ
香名・千古不易の香りを漂わせてね、ちなみに遠くまで香りが届く様に(毒使い)の効果で香り濃くして、自分には解毒剤を服用するわぁ
効果で無敵石像になった一般人(処刑対象も含み)は人質にしても無意味、審問官が石像になれば身動き出来ない状況になるわねぇ(安全確保後に一般人の石化は解除、審問官は永遠の石象?

ただ上記の行動だけで全員の安全確保は難しいでしょうから、周囲警戒、不審な行動をする奴には(早業)でシールドビットを(投擲)して(吹き飛ばし)するわぁ



●火か石か死か
「火あぶりなんて火傷で死ぬより、煙を吸って意識を失う方が早いのにぃ。もっと残酷で痛々しい凌遅刑とかで処刑なさいよぉ」
 不穏な感想と共に刑場に乗り込んできたのはアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)だ。その言葉を聞いた村人がぎょっとした顔を向けるが、彼女は気にしない。言葉こそ不穏なものだったが、別に異端審問官たちに加担しにきたわけではない。村人を助けに来たのはアララギもまた同じだった。
 アララギが、その手に持つ煙管から煙があがる。形容しがたい香りを持つその煙を吸い込んだ人間は、審問官の手先であるか村人であるかを問わず、次々と石になっていく。調合した毒、『香名・千古不易』の効果だ。
「うふふふ、生きたまま身体を石に変えられていくなんて貴重な体験よねぇ」
 石化していく人を見ながらアララギが笑う。本来は自分すら石化する無差別の毒なのだが、そこは毒使いのこと。事前に服用した解毒剤の効能で、ほぼ完全にその影響を抑え込んでいた。
 石像が林立する刑場の一角を、アララギは悠然と歩いていく。『あの煙に巻かれれば石化は免れない』、そういう思いは敵味方で一致したのだろう。彼女にあえて近付こうとする者は、誰一人としていなかった。
「あいつも魔女、こいつも魔女! どいつもこいつもみんな魔女だ、火あぶりにしてしまえ!」
 残念ながら、審問官は毒の範囲にいなかったらしい。ヒステリックな叫び声が、耳にはいってくるだけだ。それを聞き流しながら、石像を十字架から取り外していく。自由を取り戻した村人から、毒の効果は解除していった。向けられた視線に怯えが混ざっていたのは……まあ、仕方のないことだろう。
 群衆の方に逃げていく村人たちの一人に、審問官の配下が攻撃を仕掛けようとする。
「だめよぉ、そんなことしちゃ」
 アララギが、小さなボールをフルスイングする。そのボールは空中で光の盾を展開すると、そのまま配下を吹き飛ばした。ただの球ではなく、小型のシールドビットだったのだ。吹き飛んだ男はそのまま石に変じていた。
 石像が林立する中を、アララギが歩いて去っていく。石化させられた審問官の配下たちは、二度と生身を取り戻すことはなかった。
 「魔女」は残り七名。

成功 🔵​🔵​🔴​

雨乃宮・いづな
失言一つで処刑される世界は嫌だなあ…ま、ここは一つ頑張って救出するとしますか。

「目立たない」ように村人に紛れ「忍び足」で審問官に気が付かれない程度に処刑場へ近づくよ。
誰かが救出に動けば騒ぎになるだろうしそれに乗じてこっちも行動を開始するね。

処刑場へ移動しつつユーベルコード『五百重波』を発動。複製した小太刀を操り「鎧無視攻撃」で拘束具を切り裂いて救出援護を行うよ。
救出に成功した後は勝手に逃げて貰うとして、審問官の足止めも必要かな。審問官と救出された人との間に割って入り『五百重波』で複製した大太刀を槍衾の如く並べ牽制に入るよ。

君を斬るのに躊躇は無いし、痛いのが嫌なら引くのが吉だよ?



●膠着
「失言一つで処刑される世界は嫌だなあ……」
 村人たちの間に潜みつつ、雨乃宮・いづな(水縛鎖・f00339)が嘆息した。この場では、人間の命など路傍の石と同じくらい軽いものなのだ。もっとも、それを裁いている異端審問官とて人間にすぎないのだが。
「……ま、ここは一つ頑張って救出するとしますか」
 自分に言い聞かせるようにうなずいた。何人かの猟兵が既に突入し、刑場はもう大騒ぎになっている。これなら、自分が乱入したところで、大して注目はされないだろう。すらりと小太刀を抜き放った。
 いづながまっすぐに正面を見据える。一本、二本、三本……。手にした小太刀と同じものが、どんどんと空中に作り出されていく。あわせて十七本の刃が彼女の前に出現していた。
「さて、村人たちを助けなきゃね」
 目の前の二基の十字架は、いまだ誰も手をつけていないようだった。まずは彼らを助けるか、と小太刀が十字架に向かって飛んでいく。
「さすがに、少し難しいけれど……」
 拘束を断ち切ること、そのものはさして難しくはない。問題は、刃が女性を傷付けないかどうかだった。多少苦心したものの、いづなは無事に拘束を断ち切っていた。
「そういう事をしてもらっては困るな」
 後は逃げてもらうだけ。そう思った時に、彼らは現れた。審問官の忠実な手下たちである。小娘と侮って、威圧をかけてきたようだ。そっと溜息を吐く。まだ解除していなかった小太刀を全て消し去って、今度は大太刀を同じように複製する。
 微動だにせず、横並びに広がる十七本の大太刀。それは、まるで槍衾のようにも見えた。回り込もうにも、都度そのうちの何本かが方向を変え追尾してくる。大太刀の数よりも多い人数で押し切れば勝てるのだろうが、今ここにいる男たちでは到底人手が足りなかった。
「君を斬るのに躊躇は無いし、痛いのが嫌なら引くのが吉だよ?」
 脅すかのように、大太刀の穂先がゆらりと揺れる。睨み合いはしばらく続いたが、勝ち目がないと判断したのか彼らは撤退していった。もちろん、その間に助けた女性は完全に逃げおおせている。
 「魔女」は残り五名。

成功 🔵​🔵​🔴​

フェルト・ユメノアール
たとえ神様が許しても、みんなの笑顔を奪う行いはボクが許さないよ!

とにかく捕らえられている人たちの安全を確保しないとね!
その為には……他の人達が刑場に乱入して、審問官たちの注意がそっちに向いた一瞬を突く!

さあ、行くよ!
ボクは手札からスペシャルゲストをご招待!
カモン!【SPタンブルタイガー】!
タンブルタイガーに騎乗、『フェイント』と『地形の利用』を使用して村の人たちと配下の間をすり抜け
魔女として捕らえられている人たちを救出する
妨害してきたり人質を取ろうとした相手には『トリックスターを投擲』
人質の元まで到達したらタンブルタイガーに審問官たちを牽制してもらっている間にボクは人質の拘束を解いていく



●白虎は駆けゆき
「とにかく、捕らえられている人たちの安全を確保しないとね」
 フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)は、敵の隙をじっとうかがっていた。十字架のもとまで一息に辿りつくためには、誰にも邪魔されないタイミングを見計らわなければならない。
 しばらく見守っているうちに、ちょうどいい隙間を発見した。だが、フェルトはまだ動かない。かわりに、ポシェットから一枚のカードを取り出した。そのカードには、一匹の白虎が描かれていた。
「ボクは手札からスペシャルゲストをご招待! カモン! スマイルパペット・タンブルタイガー!」
 フェルトがカードをキャストした。宙に投げられたカードは輝きと共に溶け、より大きく膨れ上がっていく。そこに現れたのは白虎――タンブルタイガーだ。タンブルタイガーはフェルトを乗せると、赤いマフラーを靡かせて駆けだした。素晴らしいスピードだ。フェルトの采配も見事なもので、人の間を上手にすり抜けて進んでいく。妨害しようと手を伸ばしてきた敵もいたが、その手には派手な短剣が突き立てられた。
「たとえ神様が許しても、みんなの笑顔を奪う行いはボクが許さないよ!」
 タンブルタイガーが、あっという間に十字架の一台に到達する。フェルトが地面に飛び降りた。短剣『トリックスター』を片手に、軽々と拘束を切り裂いていく。
「あの道化師を止めろ!」
 審問官の声に応じて、近場の敵が一斉に向かってきた。だが、その前にいるのはタンブルタイガーだ。白虎の緑色をした双眸が敵を睨みつける。「グルルル……」と低く唸れば、気圧されたように後ずさり、最後には逃げ出していった。猛獣相手に戦いたくはないものだ。
 拘束を解いた村人を、タンブルタイガーの背に放り上げる。相棒も分かったもので、それを上手に受け止めた。村人を乗せ、フェルトとタンブルタイガーは風のように刑場から離れていった。
 「魔女」は残り四名。

成功 🔵​🔵​🔴​

栗花落・澪
宗田と連携

紫崎君が気を引いてくれてる隙にUCで隠れ
女性達の【救助活動】を優先

素手での救助に時間がかかる場合
【全力魔法】で花弁の刃を飛ばしロープ等を切断
体を傷付けないよう【見切り】ながら極力急ぎで

磔台同士の移動時は足音防止に飛行
万一気づかれた場合には仕方ないので姿を現し
一旦空中に逃げてから、【催眠】の力を込めた【歌唱】で
審問官達の判断を鈍らせるまたは眠気で時間を稼ぐ

万一女性を人質にされそうになったら庇う
僕自身が人質にされたら怯えたフリ
ご、ごめんなさい…

なんて、ね
油断させて★Staff of Mariaの一番硬いとこで殴る
非力だからダメージは期待してないけど
距離さえ取れれば充分でしょ


紫崎・宗田
澪と連携
澪→チビ

適当な罪状並べたてるのはいいが
証拠も無けりゃ根拠も無ェ
権力にかまけてやりたい放題
領主とやらの程度も知れるな

手出しはせず挑発
武器は子龍の姿に変えた槍のみ
手ぶらに見せる為潜ませる

近づく審問官は格闘術でいなす

が…万一澪や一般人に害が及ぶ場合
地面に槍を突き立て思い切り振り上げることで
間を隔てるように【怪力、衝撃波、UC】で大地を隆起させ妨害
その隙に守りやすい位置へ

槍の石突側を向けるように構え
安心しな
気絶で済ませてやる

槍を棒術風に使用

※澪が人質になる場合一度武器を捨て

クオンの性質忘れんなよ

澪が逃げた瞬間接近
自ら手元に来た子龍を槍に再変化させ
石突を突きつけ【殺気】で脅す

次は容赦しねぇぜ?



●紅桜
 異端審問官の姿を見つけた紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)は、真正面から喧嘩を売りに行っていた。武具は一切帯びていない。すぐ傍を、黒い鱗の龍が飛んでいた。
「適当な罪状並べたてるのはいいが、証拠も無けりゃ根拠も無ェ。権力にかまけてやりたい放題。領主とやらの程度も知れるな」
「言わせておけば……クソガキが。だが我々は寛大だ。本来ならば領主閣下への侮辱は死に値するが、その度胸に免じて今ここで頭を下げれば許してやろう」
 震える声で、審問官が言った。既に、審問官側の劣勢は明らかだ。この場で新しい敵を作る訳にはいかない。審問官の言葉は、彼としては最大限に譲歩したものだった。
「馬鹿言ってんじゃねェよ。ボケてんのか?」
 だが、宗田の目的は別に審問官と交渉することではない。むしろその逆、彼らを挑発し引き付けることにあるのだ。露骨な言葉で挑発する。審問官の忍耐はすぐに限界を迎え、暴発する。
「誰ぞ、あの男を斬り捨てろ!」
 宗田が無手なのを見らからだろうか。数人の男たちが、息を合わせて槍を突き出した。はっ、と気合の息とともに、それら全てを素手でいなす。
「なんだ、その程度かよ」
 宗田は不敵な笑みを浮かべていた。

「柴崎君が気を引いてくれているうちに、やらないとね」
 宗田が審問官たちの注意を引き付けている裏で、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)も行動を開始していた。自身に守護の祝福を与え、透明になる。姿が透明でも、足音で気づかれたらいけないと、純白の翼を広げ空にあがった。
 十字架に取りつくと、拘束している縄を解きにかかる。しかし非力さゆえか、なかなか縄目がほどけない。
「なら、魔法で……!」
 花弁の刃が飛び出して、縄を綺麗に切断した。姿は隠したまま、拘束から逃れた相手にささやく。
「早く、ここから逃げて」
 そうやって救出作業を続けていたのだが、鋭い敵はいるものだ。
「そこだあっ! 誰かが魔女を逃がしている! やらせるものか!」
 敵の一人が声をあげ、手にした槍を投げてきた。『共暝の祈り』は消耗する。使用したままでの戦闘は難しいと、姿を現して回避した。
「やはり隠れていたか、悪魔の手先め。覚悟しろ」
 といっても、直接殴りかかってきたわけではない。卑劣にも、敵はいまだ解放されていない女性に剣を向けたのだ。
「大人しくしろ。さもなくば、この女がどうなるか――分かっているだろうな」
「僕が人質になりますから……その人は助けてあげてください」
 こう脅されては万事休すだ。仕方なく、代わりの人質となる。誰に対して? 宗田に対する人質だ。

 宗田の側でも、女性を人質に取ろうとした敵はいた。だが、こちらではそれは成功しなかった。黒龍クオンを槍へと戻し、地面に叩きつけることで妨害していたのだ。叩きつけた地面の周囲は小さなクレーターになっており、その時に巻き上がった土煙の凄まじさを語っていた。優勢に戦いを進めていた宗田だが、一度その手は止まることになる。原因は、捕らわれた澪の姿にあった。審問官が、形勢逆転とばかりに嫌な笑みを浮かべた。
「大事な相棒がどうなってもいいのかな? 武器を捨てろ」
「チビ、何やってんだ!」
「ごめんなさい……」
 槍を地面に放り投げた。再び無手に戻り、澪のもとへと向かう。宗田と澪の目が合った。お互いに小さく頷き、
「なんて、ね」
 澪が、小さく掌中に忍ばせていたStaff of Mariaで、自らを捉えていた男の頭を殴りつけた。突然のことに男が混乱している隙に、その手の内から逃れ出る。再び翼が風を切った。
 混乱から回復した男の胸に、槍の石突きが突き付けられた。槍は再び黒龍へと返事、宗田の手に戻っていたのだ。
「次は容赦しねぇぜ」
 言葉に強い殺気がこもる。男はぺたん、と腰を抜かした。こいつはもう戦えないだろう。
 その後は、何の危険もなかった。
「安心しな。気絶で済ませてやる」
「クソッ! 覚えていろよ、貴様ら!」
 宗田の石突きを胸に受け、最後の配下が気を失う。次は自分の番だ。これ以上は耐えられないと、審問官は敗走していった。
「ありがとう、柴崎君。助かったよ」
「うるせェ、チビ。勝手に捕まってんな」
 礼を言う澪に、宗田はあらぬ方向を向いて悪態をつく。だが、彼が澪のことを心配していたのは丸わかりだった。
 「魔女」は残り〇名。猟兵たちは全ての被害者の救出に成功した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

イサナ・ノーマンズランド
POW

刑場に突入する猟兵たちの【援護射撃】を行う【スナイパー】として【目立たない】ように【地形の利用】と【迷彩】で擬装しつつ、【視力】を活かし、狙撃銃による異端審問官の【暗殺】を試みる。こまめに【忍び足】で狙撃ポイントを変えつつ、救助成功までの【時間稼ぎ】をする。

『ハッ、異端審問官だと? 笑わせてくれるぜ狂信者どもが』
『逆にオレがてめぇらを審判してやる―― 罪状、癇に障るから 判決、極刑に処すってなァ!』
「いつになくやる気に満ちてるね……。まあ、気がすむまでわたしの身体は貸しておくよ」

諸々、アドリブ大歓迎です。



●異端審問官の最期
「異端め、魔女め、悪魔め! なぜ、どいつもこいつも私の計画を狂わせる!」
 追跡の手から逃げ回りながら、その男は絶叫した。彼、異端審問官アンリ・グイドーニスにとって、今日は人生最悪の日であった。
 ルーティーンに従ったただの殺戮行は、どこからともなく出現した強力無比な戦士たちによって、完全に破綻していた。
 権威の象徴たる『正義法典』もいつしかその手より失われ、法服たる赤いローブはもはや襤褸と化している。配下の士気も崩壊しており、逃げ出す者も後を絶たない。このまま領主の所へ生還した所で、彼に待っているのは賜死の未来でしかなかった。
「なぜだ、なぜだ。どこで私は間違ったというのだ!」
『どこで間違ったのかって? 教えてやるよ。――最初から、間違っていたのさ』
 たん、という軽い音。視界が傾き、右に地面が見える。天地が狂っている。これも、魔女の邪法なのか。ああ、何も考えられない――。
 それが、この男の最期だった。

 イサナ・ノーマンズランド(海亡き世界の小さな鯨・f01589)は藁ぶき屋根の上で腹ばいになり、敵の手下を撃っていた。
『ハッ、異端審問官だと? 笑わせてくれるぜ狂信者どもが』
 イサナのもう一人の人格、レイゲンが罵りの声をあげる。大勢の人が、無実の罪で殺されそうだという状況が、レイゲンに怒りを与えていた。
『逆にオレがてめぇらを審判してやる――罪状、癇に障るから。判決、極刑に処すってなァ!』
 適当な判決と共に放った銃弾は、狙いたがわず敵の胸に吸い込まれていく。困ったような、イサナの声がした。
「いつになくやる気に満ちてるね……。まあ、気がすむまでわたしの身体は貸しておくよ」
 心は熱くてもスナイパーとしての基本は忘れない。偽装には極力気を配り、数発撃った段階で次々とポイントを変えていった。勘のいい敵が射点に向かってきたこともあるが、それらは全て移動した後だ。もちろん、残らず撃ち殺しておいた。

 目の前の道を、ボロボロになった赤いローブの男がたった一人で走っている。ここにいる敵のボス、異端審問官に間違いない。何度か狙撃する機会はあったが、今までは部下に遮られてきた。たいした強運の持ち主だが、その運も尽きているようだ。
 スコープの中央に審問官の頭を捉えた時、彼の喚き声が聞こえてきた。
「なぜだ、なぜだ。どこで私は間違ったというのだ!」
『どこで間違ったのかって? 教えてやるよ。――最初から、間違っていたのさ』
 当たり前の話だ。このダークセイヴァーはオブリビオンに支配された悲惨な世界だ。支配者にすがり、わずかでも役得を受けようという人間がいるのは不思議ではない。だが、彼は圧政の手先になり果てていた。今日、猟兵と出会っていなかったとしても、いつか、どこかで。耐えかねた民衆の手により八つ裂きにされていただろう。
 引き金を引いた。弾が撃ち出され、審問官の頭を貫いた。横向きに倒れた敵は、二度と動くことはなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『朱殷の隷属戦士』

POW   :    慟哭のフレイル
【闇の力と血が染付いたフレイル】が命中した対象に対し、高威力高命中の【血から滲み出る、心に直接響く犠牲者の慟哭】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    血濡れの盾刃
【表面に棘を備えた盾を前面に構えての突進】による素早い一撃を放つ。また、【盾以外の武器を捨てる】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    裏切りの弾丸
【マスケット銃より放った魔を封じる銀の弾丸】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●出陣
 村から少し離れた丘の上に、天幕が張られていた。四方にあがった旗の紋章は、この地を統べる領主のものである。
「ほう、グイドーニスが戻らぬか」
「異端者たちのなかに、相当の腕利きが混ざっていたようです」
 彼らは、異端審問官の帰還を待って、村を焼き討ちすべき控えていた本隊であった。最も上座に位置する男が声をあげる。
「『朱殷の隷属戦士』よ、まずはお前たちが出撃するのだ。雑魚は無視して構わん。腕利きの異端者とやらを狙ってこい。お前たちで仕留められるならばよし、無理なら――」
 その時は、俺が楽しむ番だ。

 それから間もなく、重装備の戦士たちによって村は包囲された。
 さすがに訓練を受けた戦士と言うべきだろうか。敵はばらばらに突撃するようなことはなく、整然とした隊列を崩さぬまま包囲網を狭めていった。最前列の戦士たちは、その手に盾を持っている。身体全体を覆うほどの大きさはないが、急所を守るには十分な大きさの凧状盾である。そして、その表面には剣呑な輝きを放つ金属の杭が何本も生えていた。敵は、盾を押し並べて互いの急所を守りつつ、右手にフレイルを構えて猟兵たちの攻撃に備えている。
 その後方に並ぶ戦士たちが構えていたのはマスケット銃だった。異端審問官たちが持っていたものと同じ、燧石式の拳銃である。彼らと違うのは、その構えにいささかの乱れも見られなかったことだ。射程に入った敵兵を撃ち倒すべく、油断なく周囲を見渡していた。
 緊張はいよいよ高まっていく。敵兵の一人が、威嚇するように銃を空に向かって発砲した。それを合図として、各所で戦闘が始まった。
栗花落・澪
宗田と連携

まずは被害者達が避難出来ているかを視認
逃げ遅れがいれば避難優先

で…紫崎君、今回の作戦は?
特に案なんて無いと知りつつ問いかけ
オッケー、それじゃ…援護するね!
鎧って滑り止めあるのかわからないけど
敵の侵入経路を塞ぐように
氷の【全力魔法】で大地を凍らせる

滑って転倒、または動きが鈍れば充分
鎧の隙間を【見切り】、魔法で追撃するか
…見たところ、目元は空いてるみたいだよね?
という事で【破魔】を宿したUCによる広範囲攻撃で
周囲の敵の一掃狙い

SPDの攻撃は…空に逃げちゃえば関係ないよね
遠距離攻撃で翼を狙撃されたり動きを封じられる事を注意しながら
今度は空中から追撃狙い
大振りな紫崎君の隙を埋める事を最優先


紫崎・宗田
澪と連携
呼び方→チビ

作戦?んなもん決まってんだろ
片っ端からぶっ飛ばす、以上

武器に炎を纏わせ
自分の周囲の氷だけ溶かしながら突っ込む
体勢を崩した敵には直接攻撃による【鎧砕き】
平然としている敵には【属性攻撃】と合わせた【薙ぎ払い】で
炎の衝撃波(斬撃)を飛ばす

敵の攻撃は武器で弾くか
場合により★盾を取り出し防衛後に追撃
ただ、フレイルは鎖部分での捕縛にも使えるから厄介だ
振りかぶる必要がある分察知はしやすい
敵の手の動きを常に監視し動作を【見切り】
POW技は極力回避したうえで
むしろその後の隙を狙う方針で行くぜ

万一チビが空中で被弾した場合には
墜落を防ぐために【庇う】
以降は背後に庇いながらも援護に徹してもらい協力



●N-NNE
 並ぶ敵兵を前にして、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)に向かって問いかける。
「で……紫崎君、今回の作戦は?」
「作戦? んなもん決まってんだろ。片っ端からぶっ飛ばす、以上」
 澪にとって、それは予想通りの答えだった。知っていてあえて聞いたのは、戦闘前に軽く気持ちを和らげるためだったのだろうか。
「オッケー、それじゃ…援護するね!」 そっと微笑むと、翼を羽ばたかせて空にあがった。
 敵より前に、村へと視線を巡らせる。万が一、逃げ遅れている人がいるなら助けに行こうと思ったのだが、どうやら避難は完了しているようだ。確認が済んだところで、聖杖を敵に向けて詠唱をはじめる。
「雪の娘の囁きよ――」
 周囲が純白に染まった。氷と雪の嵐が、敵を包み込んでいたのだ。敵兵はより密集し、盾を上部に掲げることでそれに対処する。視界が晴れ、再び姿を現した敵は、ほとんど被害を受けてはいなかった。しかし、それも澪が想定していたとおり。
「この程度の攻撃……何っ!?」
 再び進軍を開始した敵から悲鳴があがった。先頭を進んでいた兵士たちが、何かに足をとられて転倒したのだ。一体何が起きたのか。転倒した敵兵が地面を見つめる。理由はすぐに分かった。先ほど澪が放った呪文の影響で、周囲の地面までもが凍結していたのだ。
「そこ、から空きだぜ!」
 敵が見せた大きな隙を見逃す宗田ではない。漆黒の斧に地獄の炎をまとわせて、敵に向かって突っ込んでいく。足元の氷は問題にならない。全て、手元の炎が溶かしていた。最初に目につけたのは、氷に足を取られて転倒している兵士たち。破殲を構え、力任せに振り下ろす。鎧を紙のように引き裂いて、黒斧が敵を切り裂いた。
「いかん。迎撃、迎撃!」
 転倒に巻き込まれていなかった兵士たちが、慌てて陣形を立て直した。隊列を組むと、血まみれのフレイルを振り回しながら宗田に向かって距離を詰めていった。
「数が多いっての」
 大ぶりの攻撃を外し、がら空きの胴を見せている敵兵を斧で叩きのめしながら宗田がぼやいた。単体で見れば、敵兵の実力はそれほど高くない。フレイルによる打撃も余裕をもってかわすことができる。しかし、一対多となると中々そうもいかない。間を置かずに繰り出される攻撃には、さすがに防御せざるを得ないのだ。見切りきれない攻撃に、盾を取り出して受け止めた。左手に重い衝撃が走ると同時に、盾がまるで鉛になったかのように重くなった。鉄球から伸びた鎖が盾に絡みついたのだ。さらに、その脇から新たな敵が現れた。
「貰ったぁ!」
 敵兵が叫んでフレイルを振りかぶった。盾を手放したとて回避できないタイミング。宗田が来るだろう衝撃に備えた、その瞬間。まばゆい光が目の前で爆ぜた。光を受けた兵士たちは、得物も捨てて目を抑えてうずくまっている。
「柴崎君、平気?」
「当たり前だろ」
 光の正体は澪の『Fiat lux』である。破魔の力を宿した光が、空から敵を射抜いたのだ。宗田は破殲を水平に構え、横なぎに繰り出した。足元でうずくまっている敵は後だ。それよりも、接近しつつある新手への対処が必要だった。炎を伴った衝撃波が斧から噴きだして、敵兵が火炎に包まれる。それを消化しようとしているうちに、拳銃の火薬に引火したようだ。爆発が巻き起こった。密集陣形があだになり、無傷の兵士も爆風に巻き込まれていた。
 改めて、足元の敵を処理しようと足元を見る。彼らは既に倒されていた。顔を空にあげると、そこでは澪が手を振っていた。宗田が敵をなぎはらっているうちに、倒してくれていたようだ。
「このままで……終われるか!」
 後衛におり、いまだ無傷の兵士たちが破れかぶれの銃撃を放った。魔封じの銀弾ではなく、ただの鉛玉。封印の力はない。だが、傷を与えることはできる。目標は、宗田よりも弱そうに見えた澪の方。
「大丈夫か、チビ」
「平気。かすっただけだもの」
 翼を狙った狙撃だが、それには十分注意していた。翼をたたんでの急降下。銃弾は、澪の頭上を空しく通過していった。
「――全ての者に光あれ」
 お返しとばかりに、澪が破魔の光を再び放つ。光が収まった時、二人の前に立っている敵は一人としていなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アララギ・イチイ
さて、悪い子(審問官)への御仕置は完了だからぁ
次は戦闘の高揚感を楽しみましょうかぁ

状況的に包囲されている様だから、まずは一カ所を叩き割ってあげましょうかぁ

羅刹紋の効果で上空を飛んで地上攻撃を加えるわぁ
地上からの視認性の低下を狙ってシールドビットで(迷彩)の効果付与、攻撃を受けた場合は(盾受け)に転用よぉ

上空からの攻撃はUCの射術・全力射撃(攻撃回数重視)を使用するわぁ
全浮遊砲台(速射砲、擲弾銃、機関砲、突撃銃)を引っ張り出して多数の敵を射程に捕えて(一斉発射)よぉ
速射砲・擲弾銃には爆風による(範囲攻撃・吹き飛ばし)効果のある榴弾を装填しておくわぁ
全砲門弾切れまで撃ち尽くすわよぉ



●NE
「悪い子への御仕置は完了だからぁ、次は……」
 林立する石像を背に、アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)がつぶやいた。その身に刻んだ紋章が力を帯びる。赤い髪をなびかせて、少女は空へとかけあがった。上空から村を見て取れば、包囲している敵の状況が、手に取るように把握できる。幾重にも構築された狡猾な……しかし隙も大きい陣形と、その奥に鎮座する豪奢な天幕までも。
「あれが敵の拠点ねぇ」
 今ここから天幕ごと敵の首領を吹き飛ばせたならば、どんなに気持ちいいだろう。だが、それには射程がいささか不足していた。天幕から意識を払い、眼下の敵を眺めまわす。
 シールドビットが展開され、アララギに対して光学迷彩をほどこした。昏い空に半ば同化した彼女の姿は、地上から発見するには難しいだろう。
「それじゃあ、戦闘の高揚感を楽しみましょうかぁ」
 アララギの周囲に波紋が生まれた。波紋は次第に大きくなり、その中から三基の浮遊砲台が顔をのぞかせていた。その正体は別空間への出入り口だ。収納してあった重火器の数々を、今ここに展開したのだった。彼女自身は、服の中に忍ばせていた突撃銃を両手に一丁ずつ構えていた。
「いくわよぉ」
 言うが早いか、空に爆音が響き渡った。空薬莢を盛大に飛ばしながら、無数の弾丸を吐き出しているのは機関砲だ。音こそ軽いが、突撃銃も勢いは負けていない。機関砲の両脇に並んだのは擲弾銃と速射砲だ。機関砲ほどの速度はないものの、装填された榴弾が着弾するたびに地面が爆ぜる。
「対空、撃てっ!」
 将校らしき男はさすがに優秀だったようだ。混乱する敵兵をまとめ上げ、アララギがいるあたりに目星をつけて射撃命令を下していた。黒い煙とともに、弾丸がアララギを貫かんと放たれていたが――そのほとんどは、見当違いの所へと去っていった。ほとんど姿の見えない相手に照準をつけようなど、どだい無理な話なのである。数発か、アララギに直撃する弾道を描いていた弾丸も、その全てをシールドビットが受け止めていた。次弾を装填している兵たちを、機関砲が殲滅する。敵の被害は拡大する一方であった。だが、それも長くは続かなかった。盛大に弾を吐き出し続けていた砲台が沈黙する。
「弾切れかしらぁ? しょうがないわねぇ」
 どうやら、弾丸を使い果たしたようだ。自分の仕事はこれでおしまい。あとは他の猟兵たちに任せたと、アララギは広場に戻っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

バレーナ・クレールドリュンヌ
【心情】
本性を現したようね、享楽を邪魔されて、さぞ不愉快そうな様子が目に浮かぶわ。
彼らはやり口が無粋なのよ、生きるものは生き様を愉しむもの、死に様を愉しむのは下の下。

【戦闘】
中々面倒くさいものを持ってるじゃない?でも、魚を殺すには大袈裟ね。
リザレクトオブリビオンで召喚した2体にマヒと誘導弾の効果を乗せて、動きを封じながら、数で対処して行きましょう。
「私を殺せば終わり、みんなそう思うわ、だからこの2体を選んでいるの」
(死霊騎士が防衛を受け持ち、死霊蛇竜が攻撃を主に展開)

無事に勝利したら、
「そろそろこのお芝居の監督が飛び出してきそうね?『ゲストのアドリブが多すぎる』と怒りながらね」

●アドリブOK



●ENE
 『異端の騎士』は苛立っていた。異端審問官が敗れたのはまだいい。しかし、子飼いの『朱殷の隷属戦士』たちが苦戦しているのはどういう訳か。よもや、手を抜いている訳ではあるまいな――。
 手にしたグラスに力が入り、甲高い音と共に砕け散る。赤いワインが、まるで血のように騎士の手を汚していた。

(本性を現したようね、享楽を邪魔されて、さぞ不愉快そうな様子が目に浮かぶわ)
 敵の様子を一瞥したバレーナ・クレールドリュンヌ(甘い揺蕩い・f06626)が思い描いた光景は、敵の様子を正確に言い当てていた。
「やり口が無粋なのよ、生きるものは生き様を愉しむもの、死に様を愉しむのは下の下」
 彼女が整然と進軍を続ける敵に向かって言った。小さな声は、語りかけるためのものではない。その声音に乗っていたのは憐憫か、あるいは悲哀だったのだろうか。
 兵士たちの黒目が見えるようになった頃、進み続けていた敵が足を止めた。敵兵はめいめいに拳銃を取り出して、人魚の娘に対して向けた。
「中々面倒くさいものを持ってるじゃない? でも、魚を殺すには大袈裟ね」
 バレーナが軽い溜息を吐く。小さな泡が弾け、その中から二体の異形が姿を現した。一体は、がらんどうの鎧に紅い目を光らせた騎士。もう一体は、骨格だけになった蛇竜だった。
「落ち着け、あの娘さえ倒せば終わりだ」
 マスケットから弾丸が放たれた。術を封じる銀の弾丸は、当たれば死霊召喚ができなくなる。傷を受ければ召喚は解除されるので、敵の言っていることは間違いではない。だが――
「私を殺せば終わり、みんなそう思うわ。だからこの2体を選んでいるの」
 それこそが狙いだった。死霊騎士が、バレーナの前に立ちはだかっていた。手にした大剣で銃弾を弾き、弾き切れない弾丸はその鎧で受け止める。彼女のもとには、一発たりとて銃弾は通さない。銃撃を放った隙を狙って、蛇竜が敵に肉薄する。麻痺毒を帯びた尾が兵士たちを打ち据えて、次々と行動不能にしていった。
「終わり……かしら」
 バレーナが周囲を見回した。もはや、立っている敵は一人もいないようだった。
「そろそろこのお芝居の監督が飛び出してきそうね? 『ゲストのアドリブが多すぎる』と怒りながらね」
 『異端の騎士』は、まもなく姿を現すだろう――。

成功 🔵​🔵​🔴​

モリオン・ヴァレー
予知の段取り通りだと
既に村は兵士に囲まれている筈
となったら次は……

<地形の利用><目立たない>
村入り口付近での待ち伏せを
簡単に入れると思わない事ね

<情報収集><暗視>
右目眼帯を取り索敵
暗闇でもこっちの目なら大体判るわ

あの外見にこの感じ……そう、あなた達なのね
ならば『あなた達の銃』で相手をするわ

<誘導弾><投擲>
遠くの地面や木等に針を投げわざと音を立て気を逸らし
【ニュートラライズ・バレット】発動
<スナイパー><鎧砕き><破魔><見切り>
首に闇を穿つ銀の弾丸を
<忍び足><2回攻撃>
勿論一カ所に留まる事は無く
射撃点を変えつつ迎撃を続けるわ

銀の弾丸か……
敵なら厄介だけど
味方ならとても頼もしいわね



●E
 モリオン・ヴァレー(死に縛られし毒針・f05537)は、村の入口に身を潜めていた。草むらに身を伏せて、敵の接近を静かに待つ。
(予知の段取り通りだと、既に村は兵士に囲まれている。となったら次は、攻撃のために村に攻め込んでくるはず)
 もちろん、入口はここだけではない。道以外の所から入ってくる敵もいるだろう。だが、多くの敵を相手に足止めをするには、この場所は好都合だった。右目に付けた眼帯を外せば黒い瞳、失った生来のものを補う機械の瞳があらわになる。この義眼なら、暗闇の中での索敵も支障はなかった。しばらくの後、視界に敵の姿が目に入った。その気配には、覚えがあった。
「あの外見にこの感じ……そう、あなた達なのね」
 音を立てないよう、静かに立ち上がった。まだ、敵は自分の姿に気づいていない。ギベオンを構えると、歩く敵兵のすぐそばに生えた木に向かって投げつけた。狙いたがわず針が木に突き刺さり、葉がざわざわと音を立てた。
「敵襲、敵襲だ!!」
 音を受け、兵士たちの意識がそちらに向かった。モリオンから見れば、敵が無防備な側面を晒している形になっていた。
「『あなた達の銃』で相手をするわ」
 そう言った彼女の手にあったのは、燧石式の小さな拳銃。それは、『朱殷の隷属戦士』たちが持つものと寸分たがわぬものであった。たおやかな指が引き金にかかり、銀の弾丸を発射する。銀弾は闇を切り裂いて飛んでいき、敵兵の首に命中した。その身を構成していた魔力が崩壊し、敵は雲散霧消した。
「銀の弾丸か……。敵なら厄介だけど、味方ならとても頼もしいわね」
 感慨深そうに呟いた。闇は、モリオンにとって有利な環境である。勘づかれぬように慎重に移動し、また敵を撃つ。先ほどと同様に、敵は消滅していった。

「く、来るな! うわああああ!?」
「馬鹿、やめろ! 味方を撃つぞ!」
 暗闇に食い殺されるかのように、味方が減っていく状況に耐えられなくなったのだろうか。敵の一人が闇雲に銃弾を放った。その弾丸は、味方の兵士に命中したようだ。時をおかずして、闇の中で同士討ちがはじまった。
「はは……敵を滅ぼしたぞ……」
 同士討ちを生存した最後の敵兵の頭を、モリオンの銃が冷酷に貫く。こうして、彼女の前に現れた『朱殷の隷属戦士』たちは、一人残らず消滅したのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

種子島・友国
【心情】
ガチャガチャと鎧に武器の音を響かせて
今度は口先だけで脅す連中とは少し違うみたいだね
僕も頑張ろうかな

【行動】
選択したUCを使い戦闘に加わるとしよう
援護射撃の2回攻撃を併せて使い、自身の射撃を効果的なものにしていきたい

ははぁ、団体さんのお着きだね
僕だけだとノルマきつそうだからなぁとボヤいた後
ユーベルコードの詠唱し発動

レベル分の距離を取り、片方が射撃で注意を引き、もう片方がその側面から叩くと言うような嫌がらせ戦法でいくとしよう


他の参加者との共闘やアドリブはお任せ致します



●ESE
 上空で、間断なく機関砲の音が響き渡っていた。機関砲が一秒間に吐き出す銃弾の量は百発にも達する。まさに、人類が生んだ叡智の塊と言ってもいい。しかし――いや、だからこそ。種子島・友国(ヤドリガミのアーチャー・f08418)にとっては、その音が不快だった。なぜ、火縄銃が過去の遺産となり果てたのか。その理由を雄弁に物語っているからだ。
「連射出来ないのは不便じゃないかって? 余計なお世話だ」 吐いた悪態は、誰に向かってのものでもない。ただ、昔そう言ってきた者がいたのを思い出していただけだ。
「それに、単発の威力なら僕の方が上だからね」
 機関銃の音から遠ざかるように、友国が走った。がちゃがちゃと、胴丸と銃がぶつかる音が響く。ある角を曲がった時、通りの向こうを進む敵の一団を発見した。
「ははぁ、団体さんのお着きだね」
 敵が得物を構えるよりも早く、友国が火縄銃を撃った。銃口から飛び出した弾丸は二発。杉谷某が織田信長を撃った時に使った射法である。二人、否、三人の兵が倒れ伏す。一発が、うまい具合に貫通して二人目まで撃ち抜いたようだった。ここにきて、ようやく友国を敵と認識した兵士たちが盾を構えた。銃使いとみて、白兵戦で押し込もうという魂胆らしい。
「今度は口先だけで脅す連中とは少し違うみたいだね。僕も頑張ろうかな。でも、僕だけだとノルマきつそうだからなぁ」
 懐から早合を取り出しつつぼやいた。敵の様子を見る限り、装填速度はこちらが勝っているようだ。しかし、相対している数が違う。ならば手数を増やすのみだろう。
 友国の隣に、一人の男が現れた。貌は影になって定かではないが、それは友国とともに戦場を駆けたかつての持ち主だ。
「あれ、受けると痛いよねぇ」
 敵が、盾を押し立てて走り出した。鋭い杭の生えたそれは、まともに受けたくはないだろう。無貌の男に、側面から撃ちこめと命じた。銃声が響き、側面を襲われた敵の動きが停止する。そこに、今度は友国が発砲した。
 射撃しては足止めし、後退しては装填時間を稼ぐ。粘り強い逃げ撃ちの前に、玉ねぎの皮を剥いでいくかのように、敵は一人、また一人と数を減らしていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

テリブル・カトラリー
例の騎士の配下か。
結局は皆殺しにするのに、態々悪辣な事を考えるものだ。
まぁ、そういった奴らの方が此方も殺しやすいというものだが。

クイックドロウ、二回攻撃、スナイパー、鎧無視攻撃を使用して
目の部分を狙って敵を撃ち殺していく。

鎧で全身を覆っても、目を覆う訳にはいくまい。

また片腕を換装、敵に対して電撃を放つ属性攻撃。
フレイルや盾刃はこれで迎撃、また動きを鈍らせた所を撃つか、
ブーストダッシュ、ジャンプで勢いを付け
怪力に任せてスクラップフィストで殴りつけ吹き飛ばす。

弾丸は銃口の向きを見切り、
弾道予測、スクラップフィストの武器受けで弾丸を弾く。



●SE
「例の騎士の配下か」
 現れた『朱殷の隷属戦士』を前に、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は目を細めて呟いた。非道極まりない仕掛けを仕込んだ騎士の、忠実な手下たち。
「結局は皆殺しにするのに、態々悪辣な事を考えるものだ。まぁ、そういった奴らの方が此方も殺しやすいというものだが」
 オブリビオン相手とはいえ、やはり『分かりやすい』方が倒しやすい。テリブルが大型の拳銃を構え、敵の頭部に狙いをつけた。常人にとっては重すぎる銃だが、その照準は微動だにしない。戦闘機械にとっては、この程度の重量は朝飯前のものだった。
「鎧で全身を覆っても、目を覆う訳にはいくまい」
 全身を鎧で覆った敵兵の最大の弱点、むき出しになったままの目を狙ったのだ。躊躇なく引き金を引くと、敵の頭が弾け飛んだ。
 味方が一撃で打ち倒された様子に動揺を隠せない兵士たちだが、すぐに平静を取り戻しテリブルに距離を詰めていく。ラストデザートで容易には撃ち殺せないよう、目を守るように盾を掲げていた。後衛の兵士が、テリブルの注意を逸らそうと拳銃で応戦する。
「狙いは悪くないが……」
 そう、狙いそのものは悪くない。命中すれば、テリブルに少なからぬダメージを与えたに違いない弾丸は、彼女が掲げた籠手によって止められていた。宇宙船の装甲版を利用した籠手である。拳銃の一発や二発を受けたところで、傷ひとつ付くことはなかった。テリブルが、お返しとばかりにダブルタップで銃兵を撃ち倒す。
 だが、その間に敵の前衛が彼女のもとまで到達していた。血濡れのフレイルが、杭を生やした盾が、彼女に向かって襲い掛かった。
 ――テリブルの腕の中で、機械音がした。
 籠手に覆われた左腕が、唐突に電撃を放った。全身を金属で覆った敵に対して電気はよく効いた。襲い掛かってきた敵兵が、脱力して地に膝をつく。感電により身体に力が入らないのだ。それを、彼女は容赦なくスクラップフィストで殴りつけた。
「クソっ、こんな奴がいるなんて聞いてないぞ!」
 最後の敵が、ほうほうの体で逃げ出そうとしているのが目に入った。容赦なくラストデザートを発砲する。大口径の銃弾が、有無を言わさずに兵士の命を刈り取った。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイ・アイオライト
【SPD判定】
次から次へと趣味の悪い連中が出てくるわね。ホント虫唾が走るわ。
突進してきたら見切って(『見切り』)、手持ちの煙幕弾を使って目くらまし(『目潰し』)。盾を全面に構えてるからあたしを辛うじて視認してるでしょうけど、煙まで張ったら前なんて何も見えないでしょ。
煙幕で何も見えなくなっている後方から『だまし討ち』、毒の塗った(『毒使い』)ダガーで鎧の隙間から覗く肉体を斬りつけるわ。
毒が回って動きが遅くなってきたら、魔刀の『鎧無視攻撃』で終わりよ。そのチンケな鎧であたしの刀、防げるかしら?

(アドリブ歓迎です)



●SSE
 現れた集団を前に、レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)は顔をしかめていた。
「次から次へと趣味の悪い連中が出てくるわね。ホント虫唾が走るわ」
 彼女とて、どちらかと言えば悪に属する人間だ。少なくとも、秩序やら善やらという言葉に縁が深い存在ではない。しかし、それでも越えてはならない一線というものは確かに存在する。目の前の敵は、その一線を軽々と超えている存在だった。そして、レイはそういう類の悪を許してはおけなかった。
「盾を全面に構えてるからあたしを辛うじて視認してるでしょうけど……」
 敵は、盾を押し立ててじりじりと前に進んでいる。このまま放置していれば、物量の前に押しつぶされるだろう。だが、レイにはそうなる気はさらさらない。小さな球を取り出すと、それを敵に向かって投げつけた。爆弾の類かと防御態勢を整えた敵の前で、それは白い煙をあげはじめた。――煙幕弾である。
「これで、前なんて見えないでしょ」
 煙幕を突っ切って突撃しようと、兵士たちが走り出した。だが、それは既に遅かった。既にレイは、気配を殺して敵の後ろに回り込んでいたのだ。彼女は毒の塗られた短剣で、兵士を次々と斬っていく。この段階では、一撃で倒すことは求めていない。ただ、毒を与えることだけが目的である。浅い斬撃を繰り返すレイを相手に、敵は対応できずにいた。
 レイがおおかたの敵に毒を与えたころ、煙幕の白煙がようやく消えた。兵士たちは、ようやく露わになった彼女の姿に、盾を構えて突撃しはじめた。だが、その速度は本来のものよりもだいぶゆっくりとしたものだ。毒が効いており、鎧の重さに耐えきれなくなっているのだ。
「この程度で、あたしを捉えられると思わないことね」
 もちろん、そんな状態ではレイの身体をかすることすらできなかった。勢いあまって自分の横を通り過ぎていく敵を相手に、レイが刀を抜き放つ。
「そのチンケな鎧であたしの刀、防げるかしら?」
 がらあきの背中に、黒く濁った刃が突き立った。噴き上がる鮮血を浴び、魔刀・篠突ク雨の刀身はますます不吉な輝きを増す。その刃が一つ振るわれるたび、敵兵は一人倒れ伏していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サフィリア・ラズワルド
POWを選択

戦士が寄って集って、しかも15歳の子供に攻撃するってどうなの?一対一で戦いたいなぁ子供相手にズルいことするような戦士じゃなくて本物の戦士と戦いたかったなぁ、とぼやきつつ一対一が可能なら一人ずつ槍で【なぎ払い、捨て身の一撃、鎧砕き】で戦います。複数で襲ってきたら【空中戦】で飛びあがり空から攻撃します。

『一対一じゃないならちゃんと相手する必要ないよね?』

出来るだけ村に被害がでなさそうな所で敵の中心に【グラウンドクラッシャー】を叩き込みます。

『(村人さん達ごめんなさい!後で直します!)』

アドリブ歓迎です。



●S
「どうするんだ、これ……」
 銀髪の少女を取り囲んでいた鎧姿の戦士たちの間に、静かな困惑が広がっていた。事の発端は、村に攻め込んだ彼らに対し、少女――サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)が言い放った一言にある。
「戦士が寄って集って、しかも15歳の子供に攻撃するってどうなの?」
 この言葉が、彼らの中に、僅かばかり残っていたらしい戦士としての本能を呼び覚ました。確かに、否であると……。サフィリアはなおも要求する。
「一対一で戦いたいなぁ。子供相手にズルいことするような戦士じゃなくて本物の戦士と戦いたかったなぁ」
 これは効いた。集団で攻撃すれば、自らが本物の戦士でないということになってしまう。いかに敵対する者の戯言であろうと、それだけは避けたかった。敵兵は互いに顔を見合わせ、そして頷いた。
「いいだろう。その勝負、受けよう」
 フレイルで武装した、一人目の男が進み出た。その手のフレイルがサフィリアを捉えるよりも早く、彼の胴をドラゴンランスがないでいた。攻撃範囲が全くもって不足していた。
 盾で武装した、二人目の男が進み出た。先人の轍は踏むまいと、油断なく全身を守りながら近寄っていた。彼の背に、槍の穂先が生えた。ドラゴンランスの刺突は、盾ごと鎧を砕いて貫いていた。
 銃で武装した、三人目の男が進み出た。要は寄らなければいいと、距離を保ったままサフィリアに向かって銃撃した。走りだしていたサフィリアの肩口に、銃弾が命中する。灼熱の痛みを感じたが、それを抑え込んで彼女は突撃を続ける。次弾が装填されるより早く、ドラゴンランスが敵の身体に突き立った。だが、うまい具合に進んでいたのはここまでだった。
「一対一では勝負にならん! 数の理がある今のうちに、押し切るぞ!」
 誰かがそう言った。フレイルが、盾が、銃弾が、サフィリアに向かってそれぞれ幾つも襲い掛かってくる。しかし、その全てがむなしく空を切っていた。
「一対一じゃないならちゃんと相手する必要ないよね?」
 その声は、上から聞こえてきた。その背に生えた竜の翼を羽ばたかせ、サフィリアは飛んでいたのだ。
「卑怯だぞ! 降りてこい!」
「だって、先に卑怯な手を使ったのはあなたたちじゃない」
 悔し紛れに敵が叫んだが、彼女は平然としたものだ。そのまま、槍を構えて敵の中央に突撃を仕掛ける。穂先が地面に触れた瞬間、爆発音が響き渡った。小さなクレーターができるほどの、重い一撃を叩きつけたのだ。当然、周囲にいた敵はその全員が伸びていた。
(村人さん達ごめんなさい! 後で直します!)
 クレーターの真ん中で、サフィリアは小さく謝っていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フェルト・ユメノアール
敵が多数でくるならSPDで勝負!

キミたちの相手はこのボクだよ!
と手を広げ、大仰な動作で『存在感』を出して敵の注意をこちらに向け
さらに『トリックスターの投擲攻撃』も合わせて敵を複数、自分の方に引き付ける
あとはとにかく途中で敵に囲まれないように立ち位置に気を付けながら一定の距離を取って、十分に敵を引き付けられた所で足を止めて『カウンター』を決めるよ!
ボクは手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動!
攻撃に反応して爆発する機雷バルーントークンをバトルエリアに可能な限り召喚する!
猪突猛進って言葉があるけど、キミたちはちゃんと止まれるかな?
これで集まった敵を一気に撃破するよ!



●SSW
「さあ、キミたちの相手はこのボクだよ!」
 芝居がかった動作で、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)が声をあげた。大仰なそれは、なぜか人目を引き付けた。
「小娘が、一人前に挑発などしおって!」
 兵士たちが肩を怒らせ、フェルトを睨みつけた。
「おっと、キミたちもボクの相手だよ?」
 フェルトは彼らのことは無視し、他の猟兵に向かおうとしていた敵にトリックスターを投げつけた。短剣を腕に受けた兵士は、さすがに怒ったように彼女に対して向き直った。ここまでは予定通りだ。
「さあ、ボクを捕まえられるかな?」
 フェルトがそう言って駆け出した。敵兵もそれを追うように走り出す。だが悲しいかな。軽装の少女と鎧の兵士では、走る速度は全く違う。フェルトは敵が追跡を諦めないようにするために、あえて走る速度を下げていた。そのうちに、敵の速度がぐんと上がる。見れば、正面に構えた盾以外の武器を全て捨て去っていた。
「手札からスペルカード、【機雷バルーン】を発動! 攻撃に反応して爆発する機雷バルーントークンをバトルエリアに可能な限り召喚する!」
 フェルトは、そのタイミングを待っていた。左腕のカードデバイスから、風船の描かれたカードが消える。その代わり、それとそっくり同じものがフェルトの前にいくつも展開された。タンブルタイガーの時と同じ現象だった。
「猪突猛進って言葉があるけど、キミたちはちゃんと止まれるかな?」
 すばやく逃げ回る彼女を捉えるため、盾以外すべて投げ捨ててまで追っていたのだ。そんな全力疾走をしている兵士たちが、急に止まれるわけもない。敵が、次々と風船に突っ込んでいく。盾に生えた杭が、風船を叩き割った。同時にバルーンが爆発する。そう、機雷というからにはこれも爆弾なのだ。
 一つのバルーンが爆発したところから、連鎖的に隣のものも爆発する。
「さらに【機雷バルーン】を発動!」
 追い打ちの声が響き渡った。先ほど設置されたものとおなじ数、機雷バルーンが追加される。止まらない爆発の連鎖に、敵は呑み込まれていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ギルレイン・メルキラレバ
重装備の戦士。
おそらくは正規兵が相手。
分が悪いですね。レイアがいれば楽ができるのですが。
ですが私も物分りがいい訳もなく。ギャラリア神の加護ぞあらん。

盾役がいない以上攻撃は避ける方向でいきましょう。
できるだけ、身軽に。
それでいて慎重に。

足を止めたら負けです。
とにかく走りながら隙を狙いましょう。ある程度の距離をとって。
このユーベルコードならば、走りながらでも扱えますからね。

特にマスケットには注意を。
滑空銃なら射程はそれほど長くないはずですが、用心しませんと。ほかの攻撃を受けてもマスケットだけは回避したいものです。

生憎、悪あがきには縁があるものでしてね。



●SW
 重武装の敵を相手に、ギルレイン・メルキラレバ(己の神に仕えよ・f13190)の表情は浮かないものだった。
(重装備の戦士。おそらくは正規兵が相手。分が悪いですね)
 彼女の本業は、ダンジョン探索を主とする冒険者。閉所でモンスターと戦うことには慣れていても、こんな場所で人と戦うのには不慣れだった。
(レイアがいれば楽ができるのですが)
 その上、普段は盾役として敵の攻撃の一切を引き付けてくれる仲間もいない。一人で全てをこなさなくてはならなかった。
「ですが私も物分りがいい訳もなく。ギャラリア神の加護ぞあらん」
 自由神に祈りを捧げると、敵を引き付けるように走り始めた。足を止めたら負けだ。命をかけた鬼ごっこが始まった。

「ギャラリアよ、かの者に光の槍を」
 ギルレインが指先を、戦闘の敵兵に向けた。薄闇に覆われた空を裂いて、一条の光が降り注いだ。その光は受けた者の肉体を傷付ける光だ。光を受けた兵士は、苦悶の声をあげてそのまま動かなくなった。
「裁きの光など御免ですが、これなら走りながらでも扱えますからね」
 裁きといえば、司法神に属する権能だ。自由神の神官としては釈然としないものもあるが、背に腹はかえられなかった。
「二手に分かれるぞ! 一隊、あの女を追わずに銃を撃て!」
 敵の指揮官が叫び声をあげた。それは、ギルレインにとって最も避けたい状況だった。銃弾の直撃を受ければ、『ジャッジメント・クルセイド』で敵を倒すことができなくなる。そうなれば、手に残るのは戦棍と短剣のみ。貧弱なエルフの娘では、あの数の白兵戦を乗り切ることは難しいだろう。
「ほかの攻撃を受けてでも、あれだけは回避しなければ」
 銃口に意識を集中させる。発砲の音が聞こえた瞬間、走る足を止めた。弾丸は、彼女の目と鼻の先を抜けていった。肝が冷えたが、攻撃手段を封じられることは避けられたようだ。
「生憎、悪あがきには縁があるものでしてね」
 薄氷の上でダンスを踊るかのような追跡劇は、いましばらく続いた。何度もひやりとする場面はあったものの、何とか無傷で乗り切れたようだ。
「やはり、楽な戦いではありませんでしたね」
 全ての敵を倒した後。乱れた息を整えながら、ギルレインが呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

イサナ・ノーマンズランド
POW

ユーベルコードからの散弾銃の【クイックドロウ】による【武器落とし】でフレイルを弾き、返し様の【2回攻撃】で容赦なく敵の【鎧を砕き】【傷口をえぐる】。

「…………そうそう、わたしが相手だよ。 こっちこっち」
「余りまもることを意識しないでたたかえるのは、やっぱり楽だね」
「こういうの、しょうにあってるんだ」

アドリブその他もろもろ大いに歓迎です。



●WSW
 異端審問官を撃ち殺した後も、イサナ・ノーマンズランド(海亡き世界の小さな鯨・f01589)は民家の屋根の上から移動していなかった。
「どうしようかな……」
 接近しつつある敵を見ながら、イサナが呟く。身体はレイゲンからイサナのもとに返っていた。
『撃って撃って撃ち殺すしかねぇんじゃねぇの?』
 レイゲンの言葉は過激だが、事実その通りだ。人間ならば、対話という道も残されている者の、今回の敵はオブリビオン。存在するだけで、世界に害をなす存在である。
「そうだね、そうしよっか」
 イサナが屋根からぴょんと飛び降りる。それから、手近な敵を襲いにいった。
「敵襲、敵襲!」
『ドイツもコイツも、野郎ばっかってのは頂けねえな』
 無防備に行軍していた敵軍の側面を、12番の散弾が嵐のように襲いかかった。イサナの構えるM37はスラムファイアを可能としている。引き金を引いたまま、コッキングするだけで次弾を発射できるこの銃は、ただのショットガンに比べても攻撃速度が速かった。レイゲンのぼやきは、村に来てから出会った敵が、全て男性なことへの嘆きだろうか。
「やったのは、お前かぁ!」
「…………そうそう、わたしが相手だよ。こっちこっち」
 突如として襲われたことで、怒りの火を瞳に燃やす兵士たち。だが、そもそも罪のない村を滅ぼそうとしていたのはどっちたったのか。その怒りには、欠片ほども同情することはできなかった。
 敵兵が、盾を構えて突進してくる。盾に生えた杭で、イサナを串刺しにしてやろうというのだろう。
「お先にどうぞ。……でも、わたしも結構早いんだ」
 だが、それは届かない。空になった弾倉が瞬時に交換され、再び射撃可能になる。まずは、盾に向かって引き金を引いた。
「何だとっ!?」
 散弾の圧力に、敵は盾を持ちきれない。たまらず取り落としたところに、
「……さようなら」
 コッキングの音。再び放たれた散弾に、意識は頭ごと吹き飛ばされた。

 無慈悲なまでの散弾の嵐に、敵はみるみるうちに数を減らしていっていた。
「こういうの、しょうにあってるんだ。余りまもることを意識しないでたたかえるのは、やっぱり楽だね」
 何度目になるか分からない、弾倉交換をしながら呟いた。周りがみんな敵ということは、誤射を考えなくていいということだ。それにもまして、守る対象に意識を割かなくてすむというのは、気持ちが軽かった。
 銃弾の前になすすべもなく、『朱殷の隷属戦士』たちは全滅した。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・ルイゾン
グウェンドリン様(f00712)とタッグ。

グウェンドリン様と背中合わせに隙のないようあらゆる方位へ声を掛け合いながら備え
攻撃はよく見て学習いたします。
フェイントを駆使して相手を翻弄し
ミレナリオ・リフレクションでの相殺や見切りを試み
隙があればカウンターで消耗を控えながら攻撃に転じたいですわね。

こちらからの攻撃の際にはからくり人形の毒と串刺しとを用いて
鎧無視の早業2回攻撃でしながら倒れないよう生命力吸収を。

あなた方の行おうとしていることはただの虐殺ですもの。
見逃すわけには参りませんわ。
わたくしの齎らす死は果ての幸福、永遠の安寧。
罪科穢れを魂から絶つもの。
さぁ、グウェンドリン様、今ですわよ。


グウェンドリン・グレンジャー
シャルロット(f02543)とタッグ

なるべく背中合わせにして隙を無くす
私が空中にいて離れている時、彼女に危ない攻撃が当たりそうならEbony Featherを投げて牽制

攻撃は、激痛耐性で、我慢……
極力、空中戦で、回避……

MórríganとBlack Tailを展開
暗殺技能で死角を取りつつ、この二つを伸ばして2回攻撃を使用

任された……
集団戦の繰り返しで弱ってきた戦士たちを、可能な限り多数巻き込む形でFeather Rainを発動。属性攻撃で闇属性、それと生命力吸収を乗せる
目には、目を……闇には、もっと深い、闇を……

殺すなら、しっかり、食べる……あたり、まえ……のこと。習わな、かった、の?



●W-WNW
 敵に囲まれるなか、シャルロット・ルイゾン(断頭台の白き薔薇・f02543)とグウェンドリン・グレンジャー(NEVERMORE・f00712)は、背中合わせに得物を構えていた。
「よもや、この数相手に戦うことはできまい。降伏しろ。そうすれば、命ばかりは助けてやる」
 周りの兵士よりも少しばかり豪華な鎧をまとった男――おそらくは、この一隊の指揮官なのだろう――が、尊大な口調で言った。
「お断りしますわ。あなた方の行おうとしていることはただの虐殺ですもの」
 シャルロットが即座に拒否する。その瞳には、断固とした意志が示されていた。
「ならば、ここで死ね!」
 指揮官が、シャルロットを差して叫んだ。それを合図として、敵兵が二人に向かって殺到する。
「話に、ならない……」
 グウェンドリンが、深くため息を吐いた。声音に混ざる諦観の響きは、あまりにもどうしようもない、敵の態度に対するものだろう。兵士たちが近づいて来たのを確認し、黒い翼を広げてみせた。
「そんなもので、威嚇になると思ったら大間違いだ」
 せせら笑ったのは誰だったろうか。フレイルが、盾が、彼女に向かって殺到する。だが、そのことごとくは何の手ごたえも得ることはできなかった。
「大間違いなのは、あなたたちの方……」
 その翼は力強く羽ばたいて、彼女の身体を空中へと押し上げていたのだ。攻撃が当たらないのも道理であった。

 グウェンドリンとほぼ同時に、シャルロットにも敵は襲い掛かっていた。盾の表面に並んだ杭を見た彼女は、うんざりしたような声をあげた。
「本当に、気品の欠片もない杭ですわね」
 シャルロットの身体を無数の杭が貫こうとした瞬間、敵の持つそれと同じ形の盾が彼女を護るように、いくつも現れた。それは敵の盾とぶつかると、水晶が砕けるような音を立てて消滅する。いや、シャルロットの周りの盾だけではない。どういう原理によるものだろうか、敵兵が攻撃に使った盾までもが消滅していた。
「わたくしの齎らす死は果ての幸福、永遠の安寧。罪科穢れを魂から絶つもの。――お行きなさい」
 盾を失い無防備になった敵のもとに、シャルロットが持っている絡繰人形が迫った。人形は、身体の中央から観音開きに左右へ分かれると、中に秘めていた無数の杭をさらけ出す。それは、鋼鉄の処女とも呼ばれる拷問人形だった。哀れな犠牲者となった敵兵をその身の裡に取り込み、全身を串刺しにする。着込んだ鎧は意味がない。頑丈極まりないその杭は、鎧などないもののように、やすやすと貫くからである。美しい少女の顔をした人形が冷酷に命を奪うさまは、ある意味悪夢のような光景ですらあった。
「背後がお留守だぜ!!」
 その時のことである。グウェンドリンへの攻撃を失敗した兵士たちが、今度はシャルロットへ襲い掛かろうとしていた。怪しげなカウンターも今なら発動しないはず。そう思ってフレイルを振り上げた兵士たちだったが、一つ忘れていたことがあった。
「あなたたちは、頭上がお留守……」
 もちろん、空中へと退避していたグウェンドリンである。翼から長い羽根――Ebony Feather――が放たれて、シャルロットを攻撃しようとしていた敵に向かって襲いかかる。
「ええい、あの鴉女を撃ち落とせ!」
 敵の指揮官が命じた。兵士たちがマスケットを構え、グウェンドリンに向かって発砲した。ユーベルコードを封じる銀弾でこそないが、その威力にはいささかの衰えもない。
「痛っ……」
 シャルロットを援護するためにできた隙を狙った射撃は、何発かがグウェンドリンに命中したようだった。身体を灼く痛みをぐっとこらえる。それから、尾羽根と翼を長く伸ばした。鋭い刃を持つ羽根は敵を次々と斬り裂いていき、鞭のようにしなる尾羽根は無防備な目をしたたかに打ち据えた。そこに、シャルロットの人形が追撃を仕掛けた。拷問人形は、今度は敵を丸呑みにするようなことはしなかった。扉を開いたまま、毒塗りの杭をもって素早く攻撃を加えていく。
「さぁ、グウェンドリン様、今ですわよ」
「任された……目には、目を……闇には、もっと深い、闇を……」
 グウェンドリンがその翼を大きく広げた。敵兵が身構えるが、その動きは緩慢としたもの。シャルロットの与えた毒がその効果を現していたのだ。翼から、再びEbony Featherが放たれた。先と違うのは、その数と密度である。さながら黒い嵐のごとく、羽根は雨あられと降り注いだ。無数の羽根は、敵に突き刺さるや否や血を吸い上げていく。
「殺すなら、しっかり、食べる……あたり、まえ……のこと。習わな、かった、の?」
 すべてが終わった時、そこには干からびた敵の死体しか残されてはいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

緋翠・華乃音
……やっと戦士がお出ましか。黙って見てるのも良い加減飽きてきた所だ。
……さて、狙撃開始。適当にやろうか。

戦場を広く見渡せる位置(前線より2km以内で可能な限り遠距離且つ高所が望ましい)に目立たぬよう潜伏
戦端が開かれてからは敵の動向や行動を人並外れた視力、聴力、第六感にて見切り、把握して先読みを行う
戦況を広く俯瞰し、前線が突破されそうな箇所や苦戦しそうな箇所に優先的に援護射撃を行う
仮に射線が見切られたり盾で塞がれたりする場合にユーベルコードを使用
携える盾ごと、瑠璃の蝶を宿す流星で貫く
ただ、飽く迄も狙撃は援護に留める

ルカによる福音書5章32節
『私が来たのは罪人を悔い改めさせる為である』……なんて。


雨乃宮・いづな
お、盛り上がってきたねー。
あたしはこういう戦場の方が分かりやすくて好きだよ?もっとも死ぬのは君たちだけどね!

戦場に到着したら「目立たない」ように「忍び足」で敵に接近するね。
ユーベルコード『極星・禍津雷槌』に「鎧無視攻撃」を乗せて奇襲の「先制攻撃」をするよ。
死にきらないならそのまま「2回攻撃」で畳み掛けて鎧ごと打ち砕いてあげる!

初撃以降は反撃も多いだろうから「見切り」で当たらないよう、余裕を持った回避行動を心掛けるよ。
相手の初動を見逃さないよう視線や扱う武器には気を払っておくね、中でもマスケット銃は要注意かも。

重たい鎧だろうとあたしの技なら破壊出来るはず。さ、行くよー?



●NW-NNW
「お、盛り上がってきたねー。あたしはこういう戦場の方が分かりやすくて好きだよ?」
 出現した敵を前にして、雨乃宮・いづな(水縛鎖・f00339)は楽しげだった。足音を忍ばせて、兵士たちに静かに近付いていく。
「もっとも……死ぬのは君たちだけどね!」
 雷を纏った黒刀が宙を裂いた。空気の焼ける音と、焦げ付くような臭いとともに、刀は大地を深く抉る。大量の土砂が巻き起こり、電撃に撃たれて痺れた敵を生き埋めにしていった。ただ一人、土砂を被りながらも生き長らえた兵士が立っている。ボロボロの身体で盾を構え、相討ち覚悟で突っ込んできた彼を、
「残念、もう遅いかな?」
 構えなおされていた刀の一閃が、彼を素早く冥府へと送った。鎧が地面に落ち、がしゃんという音を立てる。同時に、いづなの耳は接近する足音を聞き取っていた。
「さすがに、そう簡単にはいかないようだね」
 『極星・禍津雷槌』は一度に全員を巻き込めたわけではなかったようだ。無傷の敵が、彼女に向かって近付いていた。正面から敵とぶつかる状況で下手に大振りの攻撃をしては、反撃で痛い思いをする。一人ずつ倒すしか道はなさそうだ。戦闘を走る敵に向かって、黒刀を振り下ろした。手に伝わってきたのは重い金属の感触だ。少しは『出来る』奴もいたようで、いづなの刀は敵の盾にがっちりと受け止められていた。
「あたしの武器が、これ一本とは思わないことだね。重たい鎧だろうと、あたしの技なら破壊出来るはず」
 左手で小太刀を引き抜いた。逆手に持たれたそれが、盾の横から兵士の首を跳ね飛ばす。戦いは、おおむねいづなのペースで進んでいた。
 とはいえ、避けられないこともある。マスケットの銃口がこちらを向いているのを確認したいづなは、大きく横に飛びのいた。そこで目にしたのは、すぐ前で大きく振りかぶられたフレイル。
「しまった……!」
 回避は間に合いそうもない。身を竦めた彼女の前で、敵は鮮血を噴きだしながら崩れ落ちた。さらに、その後ろでマスケットを構えていた兵士たちも同様に倒れていった。

 所変わって、村の外。村の北北西に広がる丘の上に、緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)の姿はあった。彼は来たるべき『朱殷の隷属戦士』との戦いに備え、異端審問官との交戦は避けて有利なポジションを得ていたのだ。
「……やっと戦士がお出ましか。黙って見てるのも良い加減飽きてきた所だ」
 華乃音の瞳が、村へ侵入しつつある敵の姿を捉えた。この程度の距離で敵を観察するぶんには、彼にとっては苦でもなかった。
「……さて、狙撃開始。適当にやろうか」
 伏せたまま、狙うべき敵の姿を探す。手当たり次第に撃つというわけではない。戦線の穴になっている所を援護する。それが、彼が己に課した任務だった。まもなく、猟兵の少女が敵の攻撃に晒されているのを発見した。照準を兵士にあわせると、間髪入れずに引き金を引く。どうやら間に合ったらしい。フレイルが少女に振り下ろされるより先に、華乃音の弾丸が敵を貫いていた。ついで、少女に向かって拳銃を向けている数名を射界に収める。そちらも同様に、淡々と始末していった。

 遠方よりの援護射撃によって、いづなは窮地を脱していた。
「誰だか知らないけれど、ありがと」
 いづなの口から、思わず感謝の声が漏れた。きっとその言葉は遠すぎて届かないのだろうけれど。残る敵兵を始末すると、次の敵はどこかと視線を巡らせた。すこし先に、敵の一団が見える。狙撃を受け、混乱しているようだった。しかも、こちらに気づいている様子もない。
「見せてあげる、あたしの必殺技!」
 今一度、『極星・禍津雷槌』が放たれた。雷をまとった一撃が、敵を後方から直撃する。敵の多くがなすすべもなく意識を刈り取られていった。僅かに生き残った敵も、もはや完全に士気を喪失していた。そんな腑抜けた兵士など、いづなの敵ではなかった。

「さて、次の敵は……」
 少女への援護射撃を終えた華乃音は、再び索敵に戻っていた。殲滅は、現地の者に任せておけばいい。猟兵たちの防御網をかいくぐるようにして、村の中央へと進みつつある一団がいた。
「それ以上の侵入は禁止だ」
 銃弾は、先頭で指揮を取っていたらしき男の首を消し飛ばした。次の狙いは、射撃の位置を確認しようとしている者。万一にも、こちらの位置を悟られるわけにはいかない。必殺の意志とともに放った銃弾は、しかし敵を殺すには至らなかった。外してはいない。だが、厄介なことに盾を掲げて防御していた。厄介な相手だった。だが、こういう相手にも打つ手はある。弾倉を一度外し、別のものを装着する。
「――駆けろ、瑠璃の流星よ」
 放たれた弾丸は、今までとは異なっていた。銀色の尾を引いて、瑠璃色の蝶が夜空を駆ける流星のごとく飛翔する。そしてそれは、構えた盾ごと敵兵を貫いた。
「盾を構えていても無駄だ」
 その言葉が聞こえたかのように、敵が目に見えて浮足立ったのが分かった。そこに、先ほど援護した少女が接近し、強力な一撃で兵士たちを一掃する。
「ルカによる福音書5章32節。『私が来たのは罪人を悔い改めさせる為である』……なんて」
 周囲を見渡しても、動いている敵は一人もいなかった。殲滅は完了したようだ。薄く笑って、冗談めかして呟いた。冷たい風に乗って、その声は暗い空へと吸い込まれていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『異端の騎士』

POW   :    ブラッドサッカー
【自らが他者に流させた血液】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【殺戮喰血態】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    ブラックキャバリア
自身の身長の2倍の【漆黒の軍馬】を召喚し騎乗する。互いの戦闘力を強化し、生命力を共有する。
WIZ   :    フォーリングローゼス
自身の装備武器を無数の【血の色をした薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『異端の騎士』
「異端審問官だけでなく、『朱殷の隷属戦士』すらもが敗れたか……」
 戦闘の喧騒が消え去ってなお、己の配下が帰還しないことから『異端の騎士』は全てを悟っていた。
「敵の実力は本物というわけだな。宜しい。余が直接手を下してくれよう」
 苛立ちとも怒りとも取れぬ声音で吐かれた言葉だが、その中に怯えの成分は一切含まれていない。自らが手を下さねばならぬことに対する怒りはあっても、己が敗北する可能性を微塵たりとも考えてはいない様子だった。
「戦うとなれば、せいぜい愉しませてもらおうか。さて、いかほどの力の持ち主か――」
 馬をもて、と言いかけて口をつぐんだ。もはや、自らの世話をする配下は残らず打ち倒された後だった。憤りも新たに、村に足を向ける。

「反逆者どもよ、余は寛大である! 今すぐに膝を付いて慈悲を乞えば、苦しまずに冥府に送ってやろう!」
 尊大極まりない宣言。それが、村に姿を現した『異端の騎士』の最初の発言であった。
シャルロット・ルイゾン
グウェンドリン様(f00712)とタッグ。
アドリブ歓迎。

消耗は抑えられるよう
人形を操ってフェイントを駆使し
相手を翻弄しながら見切りを試みますわね。
隙を見つけてカウンターから反撃へ転じますわ。

早業でChambre à Gazの毒による鎧無視の属性攻撃。
傷口を抉り、さらに2回攻撃。
生命力吸収でわたくし自身の傷も塞ぎますわ。

ええ、お任せください、グウェンドリン様。

グウェンドリン様と目を合わせ一つ頷いてから
ギロチンを展開し
Jugements Criminelsを使用致します。

人々の自由と平等、そして友愛を脅かしたことがあなたの罪にございます。
懺悔の言葉があるのなら、聞いて差し上げてもよろしいですわよ。


グウェンドリン・グレンジャー
シャルロット(f02543)とタッグ。
アドリブ歓迎。

この、騎士を倒せば……
全力、で、殺らせて貰う……
(腰にも頭にも鳥と蝶を合わせたような羽根が生えてきて、瞳も真っ赤に)

フォーリングローゼスで攻撃されたら、お返しに生命力吸収を乗せた捨て身の一撃を喰らわす。
ダメージは激痛耐性で対処。

シャルロット、私……全力で、いく、から気を付けて、ね。

シャルロットとアイコンタクト。
……これが、私……の、全力全開……
空中戦技能と翼状ブレードで高度を取って、騎士の脳天目掛けてAngel's Hammerを叩きつける……!

無闇に、食べる分、以上……に、命を奪うのは、自然のルールに……反、する。
答えは……聞いてない!


イサナ・ノーマンズランド
SPD
「きまえいいね。 でもおことわる!」
『……だそうだ。 寧ろ許しを請うのは寧ろてめェだ。 だが、オレは寛大じゃねーんだ。さんざん苦しんで死ね』

ユーベルコードで呼び出された軍馬の首をユーベルコードで跳ね飛ばし、騎手を引きずり落して【恐怖をあたえる】。
その後は【2回攻撃】で執拗に【傷口をえぐる】【早業】で痛めつけ、無数に持っている拷問具をフル活用し【串刺し】にしてやる。

『さて、昔取った杵柄ってやつだ。本当の拷問と魔女狩りをたっぷり堪能させてやる』
『せいぜい蹂躙される処女のように啼け。その野太い声でなァ』
「……わたしの口でそういうこと言わないでほしいなあ」

アドリブ共闘 その他諸々大歓迎です。


栗花落・澪
紫崎宗田と行動

紫崎君、ここまで結構動いてたけど
回復挟まなくて平気?

答えを聞いたらふっと微笑み
おっけー、それじゃ…やっつけちゃって!

方針:大振りな紫崎君の隙埋め

★杖を使用し【全力魔法】で風を起こし
紫崎くんの炎の威力を強化する他
隙を見て風の刃で敵の鎧の隙間を狙い攻撃

敵のPOW技は
直接攻撃主体の紫崎君が危ないから
即座に武器や目元に向けてUCでの連続攻撃で
距離を取るための隙を作る

敵が紫崎君に集中してれば
その隙に【空中戦】で背後を取り
思いっ切り飛び蹴りして体勢崩させてから逃げます

逆にこちらを狙われたら
【オーラ防御】とUCで相殺防御

ま、僕は紫崎君の事も信じてるからね
敵のWIZ攻撃については、心配してないよ


紫崎・宗田
栗花落澪(チビ)と連携

はんっ
あんな奴等、準備運動にもならねぇよ

澪の問いに炎を纏わせた武器を構え
手ごたえの無ェ奴ばっかで退屈してたとこだ
楽しませてくれよな
黒幕さんよぉ

炎の【属性攻撃】での連続攻撃を主体とし
澪が隙を作った際には思い切り振りぬいての【鎧砕き】
敵の攻撃は極力武器で防ぎ
【2回攻撃】で弾いた後に吹き飛ばして距離を置く

傷を受けた場合UCで火力強化
敵のWIZ攻撃も同じくUCを使用し焼き尽くすことで相殺
万一澪に攻撃の矛先が向いた場合【庇う】行動を優先
だが基本的にはあいつも
自分の身は自分で護れる程度の力量はあるからな
背後に護りながらも傍に寄り添う事はせず
とにかく騎士への攻撃を最優先とするぜ


テリブル・カトラリー
………

異端の騎士がくる前に、
予め破壊工作で周囲へ送っていた爆弾を異端の騎士が喋っている間に騎士へ集結、爆破させる。

今さらそんな事を言われても、反応に困る。
最初から此方は殺すつもりなのだから。

換装していた戦争腕・三腕の電撃を放ち時間稼ぎ、
さらに爆弾達を集らせ爆破しつづけ、
爆弾が切れたのなら砲撃、そして腕をドリルアームに換装、突貫。

機械に、血は流れていない。
ダメージは激痛耐性で無視。
ドリルで鎧を、更に肉体を抉り抜いていく。


アララギ・イチイ
あら、正々堂々ってのは好感が持てるわぁ
探す、追いかける、とかの面倒な行動が省けるからねぇ

中口径収束火線砲(非実弾系)を取り出して使用よぉ
敵からの距離を確保、【スナイパー】の技能で味方を【援護射撃】だわぁ
ただ牽制程度、相手にそれほど脅威を与えなくていいわぁ

味方との交戦中に、上記の行動で脅威度の低い私から注意を逸らす場面があるだろうから、その場面が来たら行動よぉ
ブースター付きシールドの推進装置を点火、急加速【ダッシュ】、距離を詰め、【UC:特殊武装・鎮圧用~】の放水砲を取り出して、薬液を敵に思いっ切り浴びせるわぁ

浴びせた後は離脱して、相手の様子見ねぇ
摩擦力0の状況でカッコいい騎士様は見れるかしらぁ


緋翠・華乃音
全く……裁かれるべきは君の方じゃないのか。
……まあ、君には落ちる地獄すら無いだろうけどな。

基本的な戦術は朱殷の隷属戦士との戦いと同様。
"目"と"耳"と"直感"で敵の行動を見切り、予測を立て、先読み――そして遠距離から狙撃を行う。
射線を読まれる可能性があるので同じ位置からの狙撃は数度に留め、予め目星を付けておいた狙撃位置に移動、そして狙撃を何度も繰り返す。
『爪先』を撃てば歩みは止まる。
『胴体』を撃てば体勢が崩れる。
『武器』を撃てば攻撃が止まる。
『顔面』を撃てば隙が生まれる。
『両膝』を撃てば地に膝を着く。
状況により狙う部位を変え、その結果と行動を常に演算。

さて……瑠璃の蝶よ――その焔で灼け。


モリオン・ヴァレー
名乗りご苦労様
だけどあたし達はあなたと正々堂々戦わなくて別にいいのよ?

<暗視><目立たない><地形の利用><暗殺><忍び足>
暗闇に紛れての背後からの奇襲を

将を射んと……何だっけ?
まあつまり、厄介なのを召喚したなら倒せばいいだけよね

【サイレント・ホーネット】発動
<投擲><誘導弾><傷口をえぐる><鎧砕き>
メインは馬
時々騎士
霊力で硬化した針にそんな鎧は紙同然よ
<毒使い><マヒ攻撃><気絶攻撃><破魔><医術>
あたしの毒は針に送る霊力次第で強さが変わるわ
それこそ人の体の自由を奪う程度の弱毒から
化け物すら泡を吹く猛毒まで
勿論今回は……後者よ

あなたをこの銃で倒す気はない
悶え苦しみ
彼らの痛みを知りなさい


フェルト・ユメノアール
いよいよ親玉の登場だね!
キミが村の人にやった事、絶対に許さないんだから!

このカードは真の姿を解放した時にのみ、召喚する事ができる!
最上無二の魔術師よ!今こそその力を振るい、世界を歓声で包み込め!
カモン!【SPエンペラージェスター】!
相手が強いのなら、まずその足を止めるよ!
ボクはエンペラージェスターと連携、柵や段差の『地形の利用』をして軍馬の動きを制限
その上で同時に狙われない&どちらかが狙われた時、片方がフォローしやすいように左右に分かれて『トリックスターを投擲』して軍馬を攻撃していくよ
それでも敵が接近してきた場合は逆に敵の懐に潜り込んで『カウンター』
この距離ならキミの剣よりボクの方が早いよ!


サフィリア・ラズワルド
POWを選択

『ごめんなさい許してください、仕方なかったんです。(地面を凹ませたのは私です…)ごめんなさい…』

申し訳なさそうに(村人に)謝り、斬られそうになったら【白銀竜の解放】でドラゴンになり【捨て身の一撃】で至近距離で青い炎を放ちます。ブラッドサッカーを使われないようなるべく攻撃を避けようと思います。回避が間に合いそうにないなら【なぎ払い】で防ぐか【オーラ防御】で耐えます。

『なんで私達が思い通りにならないかわからない?わからないならわからないままでいいけど、他者を大切にしない奴の言うことなんて聞かないよ』

アドリブ歓迎です。


レイ・アイオライト
【SPDを選択】
「まさに一騎打ちって訳?正々堂々なんて、今までアンタがやってきた所業を思えば馬鹿らしく思えるわ。」
殺し合いに正々堂々なんてあってたまるもんですか。文字通り、あたしの全身全霊を持ってアンタを暗殺してあげる。
UC『変幻ナル闇ノ曙光』で、闇の中に潜むわよ。ダークセイヴァーの世界は闇が溢れてて活動しやすいわね。
馬に乗ったから的が大きくなって有り難いわ。闇から闇に潜み続けて、相手を影の刃で翻弄してあげる。馬の脚を狙って素早さを阻害、脚を切断できたら、転倒したところに影の刃の追撃を与える。『だまし討ち』で背後から『鎧無視攻撃』よ。
「あたしはね、アンタみたいな利己主義者が大っ嫌いなのよ」


ギルレイン・メルキラレバ
騎士相手に正面から挑むほど自惚れてはいませんし無策でもありません。

我が身は女の身一つ。
なれどこの紋ある限り、私は一人にあらじ。

いざいでよ!自由神の名の元。
我らの欲するところを為すために。

基本戦術は対騎兵を想定。
テルシオを組み上げ
パイクで距離をおき炎で燃やして差し上げましょう。
相手が騎乗してきたら馬を狙いなさい。そちらが装甲も薄い分、攻撃も通りやすいはずですから。

苦しまずに冥府に送る。
実に結構なことです。そして申し訳ありません。
格上を苦しませずに殺せるほど、私は強くないのですよ。
せめて安からに。死もまた1つの自由なのですから。
【アドリブ歓迎】



●『異端の騎士』
「異端審問官だけでなく、『朱殷の隷属戦士』すらもが敗れたか……」
 戦闘の喧騒が消え去ってなお、己の配下が帰還しないことから『異端の騎士』は全てを悟っていた。
「敵の実力は本物というわけだな。宜しい。余が直接手を下してくれよう」
 苛立ちとも怒りとも取れぬ声音で吐かれた言葉だが、その中に怯えの成分は一切含まれていない。自らが手を下さねばならぬことに対する怒りはあっても、己が敗北する可能性を微塵たりとも考えてはいない様子だった。
「戦うとなれば、せいぜい愉しませてもらおうか。さて、いかほどの力の持ち主か――」
 馬をもて、と言いかけて口をつぐんだ。もはや、自らの世話をする配下は残らず打ち倒された後だった。憤りも新たに、村に足を向ける。

「反逆者どもよ、余は寛大である! 今すぐに膝を付いて慈悲を乞えば、苦しまずに冥府に送ってやろう!」
 尊大極まりない宣言。それが、村に姿を現した『異端の騎士』の最初の発言であった。


●問答
「さて、どうだ?」
 『異端の騎士』が、紅の瞳を光らせて威圧した。そうすれば、敵はすぐさま白旗を上げて命乞いをするものだと信じて疑ってはいなかったし、実際それは間違いとも言い切れなかった。オブリビオンとして再びの生を受けてから今この瞬間までは、この騎士はそうやって成功し続けてきたのである。ゆえに、言葉を受けて動揺するどころか、ますます戦意盛んに彼と相対している猟兵たちの存在は、この騎士にとって不可解であった。
「きまえいいね。でもおことわる!」
『……だそうだ。 寧ろ許しを請うのは寧ろてめェだ。だが、オレは寛大じゃねーんだ。さんざん苦しんで死ね』
 真っ先に口を開いたのはイサナ・ノーマンズランド(海亡き世界の小さな鯨・f01589)だった。敵の巨躯にも臆することなく小さな身体を張り、二人分の声音が敵対を示した。
「そうだな。今さらそんな事を言われても、反応に困る。最初から此方は殺すつもりなのだから」
 イサナの言葉に頷いたのは、彼女とは対照的な大きな姿。テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)である。堂々とした立ち姿は、『異端の騎士』と正面から退治しても全く見劣りすることはなかった。
「我が膝に屈する栄誉を拒むのみならず、余を殺すと申すか。大それた発言をするものだな。その無礼、地獄で後悔しても知らぬぞ」
 寛大さを装っていても、その本質は暴君のそれらしい。騎士の声音に苛立ちの色が混ざった。
「全く……裁かれるべきは君の方じゃないのか。……まあ、君には落ちる地獄すら無いだろうけどな」
 冷たく言い放った声は緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)のもの。この騎士のなした所業を思えば、その感想は当然のものだろう。だが、相手はそうは思わなかったようだ。
「己の領地に何をしようが領主の勝手ではないか。民草どもとそこな雑草、何の違いがあるというのだ」
 誰かがその言葉に対して反論しようとした。だが、それは叶わなかった。
 次の瞬間、目も眩むような閃光と共に、大爆発が起きたからである。爆心地は『異端の騎士』。


●爆弾
 時は、しばし遡る。『朱殷の隷属戦士』が壊滅してから『異端の騎士』が現れるまでの間、猟兵たちが次なる戦いに向け休息や準備をしている時のことであった。
「時間はあまりないが、この程度の準備ならできるだろう」
 テリブルが用意していたのは急造の爆弾。銃弾から火薬を抜き取り、それを機械刀で加工した重金属のケースに収める。設置地点から敵に向かって移動できるよう、最低限の浮遊装置も装備していた。そんなものを、幾つか作成する。
「面白そうねぇ、手伝ってあげるわぁ」
 横から顔を出したのはアララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)。彼女のシールドビットが浮遊爆弾に光学迷彩を施した。
「助かった。後は、敵の到着を待つだけだな」
 爆弾の設置を完了したテリブルが呟いた。


●憤怒
 『異端の騎士』を襲ったのは、その爆弾であった。
爆発の煙がおさまっていく。その中から姿を現した敵は目立つ傷を受けているようには見えない。だが、纏う空気は一変していた。仮初の鷹揚さはもはや消え失せ、総身で怒りをあらわにしていた。
「貴様ら……剣を抜く前に攻撃を仕掛けるなど、騎士の風上にもおけん。卑怯という言葉はないか。恥を知れ!」
 騎士の怒気はすさまじいものであった。もしも彼が素顔を晒していたならば、その顔は真っ赤を通り越しどす黒い色にまで変色していたのが分かっただろう。だが、それに対する猟兵の反応は全くもって冷ややか極まりないものであった。
「卑怯ですって? 一騎打ちでもご所望だったのかしら。正々堂々なんて、今までアンタがやってきた所業を思えば馬鹿らしく思えるわ」
 レイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)の糾弾が全てだった。
自らの悦楽のために、非道な手で村を滅ぼそうとした。反乱を起こしたわけでもない、ただ目についただけの村を。それも、その手で直接滅ぼそうとしたわけではない。異端審問官や配下の戦士たちを利用して行おうとしたのだ。そんな者が卑怯を語るなど、笑止もいいところだった。
「そもそも、あたし達はあなたと正々堂々戦わなくて別にいいのよ?」
 続くモリオン・ヴァレー(死に縛られし毒針・f05537)の言葉もまた、もっともなものだった。たとえ今回のような外道でなかったとしても、敵の流儀に付き合う必要など、猟兵たちにはこれっぽっちも存在しないのだ。
「あら、正々堂々ってのは好感が持てるわよぉ」
 アララギの感想は、少し違ったようだ。騎士の瞳が彼女に向いた。そこには、敵に賛同者がいたのか、という期待の色が見え隠れしていた。
「探す、追いかける、とかの面倒な行動が省けるからねぇ」
 当然ながら、そんな訳はない。アララギは単純に、戦闘するまでにかかる手間が減ったことを評価していただけのことだ。
「好き勝手に囀りおって……!」
 息つく暇もなく猟兵たちから浴びせられた言葉の刃は、『異端の騎士』を怯ませるには十分なものだった。
「キミが村の人にやった事、絶対に許さないんだから!」
 白い手袋に覆われた人差し指を突き付けて、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)が騎士に向かって宣言する。それは、この場にある猟兵たちの総意でもあった。この敵は、絶対にここで倒すと。
「貴様らの言い分はよく分かった……その罪、万死に値する! 我が黒剣の前にことごとく死ぬが良い!」
 もはや語るべき言葉はない。剣を抜き放った『異端の騎士』の言葉が、開戦の合図となった。


●開戦
「紫崎君、ここまで結構動いてたけど回復挟まなくて平気?」
 騎士に向かって駆け出そうとしていた紫崎・宗田(孤高の獣・f03527)に向かって、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)が気づかわしげに声をかけた。澪の援護があったとはいえ、宗田はここまでずっと最前線で戦っていたのだ。疲労や傷があってもおかしくはなかった。
「はんっ。あんな奴等、準備運動にもならねぇよ」
「おっけー、それじゃ……やっつけちゃって!」
 宗田の答えはあっさりしたものだった。強がっているわけでもない、自然体の返事。澪がそっと笑顔を浮かべる。
「手ごたえの無ェ奴ばっかで退屈してたとこだ。楽しませてくれよな、黒幕さんよぉ」
 宗田の戦意に反応するかのごとく、破殲の刃に炎が灯った。燃え上がる黒斧を素早く振るう。当たることは期待していない。注意をこちらに引き付けるための牽制だ。
 だが、敵は宗田の振るった斧の隙を見極め反撃してみせた。長大な大剣が風切り音とともに振るわれる。それを斧の柄で受け止めた。ギン、という激しい音とともに剣と斧が交錯する。
「さすがに、少しは強ェみたいだな」
 そのまま斧で弾こうとしたが、騎士の剣は微動だにしない。想像以上の膂力に宗田の表情が楽しげな表情を浮かべる。いったん仕切り直そうと、後ろに向かって飛び退いた。
 そこに、騎士の刺突が繰り出された。どういう理屈だろうか、それは破殲を構えなおすより早かった。このままでは、胴体を深く抉られる。
「危ないっ……!」
 一撃を覚悟したところで、前触れなく騎士の剣が右にぶれた。澪の風魔法が横向きの突風を作り出し、剣の軌道を変えたのだ。刺突は宗田の脇腹を浅くかすめるにとどまっていた。痛みはあるが、耐えられないほどではない。
「チッ……」
「こいつはお返しだぜ!」
 宗田を仕留め損なった騎士が舌打ちをした。刺突は当たれば大きいが、隙の大きい技でもある。その隙を見逃すほど宗田は甘くない。上から下に、黒殲を全力で振り抜いた。黒い鎧と斧がぶつかり、激しい火花を散らす。
「もっとだ!」「風よ、炎を強めて!」
 脇腹から滴る鮮血が、ぼうと燃え上がった。それは斧の炎と合体すると、ますます強く燃え盛る。そこへさらに、澪の魔法も加わった。
 果たして、力負けしたのは鎧のほうだった。甲高い金属音を響かせて、炎斧は騎士の鎧を切り裂いた。纏う炎が傷口を焼いて傷を深める。
「おのれ、下郎が!」
「それはさっき見たんだよ!」
 再び刺突が放たれるが、斧を構えてれば弾くのは用意だった。破殲の柄で受け、上に向かって跳ね上げた。
「ならば、これでどうだ。『ブラッドサッカー』!」
 騎士の剣に付着した宗田の血が、煙をあげて蒸発していく。それは黒いもやとなって剣にまとわりついた。
「させないよ」
 騎士が、禍々しさを増した剣を宗田に向かって振り上げようとした瞬間、その巨躯が前につんのめった。宗田に集中している隙に、騎士の背後に回り込んでいた澪が後ろから空中蹴りを放ったのだ。
「これは、おまけ!」
 さらに、至近距離から風魔法を放つ。鎧の隙間や破損部を狙って放たれた魔法が騎士の集中を乱し、剣がまとったもやは消え去った。
「小癪な……。後悔するなよ、小僧ども!」
 剣を地面に突き立てると、それは無数の薔薇の花びらへと変化した。血の色をした、極小の剣の嵐。それが、二人に向かって襲いかかったのだ。
「チビ、いけるか!」
 襲い来る花びらを、炎で焼きながら宗田が叫んだ。彼自身防御しきれてはいないが、傷口が増えるたびにそこからも炎が漏れ出して、しだいに押し返していた。
「大丈夫だよ……!」
 宗田が見たのは、薔薇の嵐を相殺する赤い花弁。澪もまた花嵐を作り出して受けていたのだ。騎士のものと同系の色をした花ながら、それは清浄な輝きを纏っているようにも見えた。
「今のですら仕留められぬか……」
 薔薇の嵐は次第に弱まり、そして消え去った。苦々しげに騎士が呟く。ここまで戦って、宗田の身体に軽傷を与えたのみ。逆に自分のほうが深い傷を負っている。どちらが優勢かは明らかだった。
「俺もだが、あいつだって自分の身を自分で守れるだけの力量はあるからな」
「ま、僕は紫崎君の事も信じてるからね。心配してなかったよ」
 地面に突き立つ剣を騎士が拾う前にと、宗田が追撃を仕掛けた。思わず下がろうとした騎士だったが、澪の風魔法に煽られて身動きが取れない。先の攻撃とあわせ、X字の傷が騎士の鎧に刻まれた。


●白銀
「ごめんなさい許してください、仕方なかったんです。ごめんなさい……」
サフィリア・ラズワルド(ドラゴン擬き・f08950)がひたすらに頭を下げていた。彼女の前には、陥没した地面と唖然とした村人たちがいた。
「いや、村を救ってくれたんだからこの程度どうってことはないさ。このくらいの穴なら埋めればいいしな」
 村人たちを代表して、一人の若者が言った。彼は騎士の方を指差し、サフィリアに向かって問いかける。
「それより、領主様……いや、あの外道野郎が来ているけどここで頭下げてて大丈夫か?」
「そうでした。ごめんなさいすぐ行きます……」
 ごめんなさいをもう一つ残し、サフィリアは戦場へと急いだ。すでに、二人の猟兵が騎士と刃を交えていた。騎士は宗田を弾き飛ばし、距離を取るとサフィリアに近寄って尋ねる。
「新手か。なぜ貴様らは余に従わぬ」
「なんで私達が思い通りにならないかわからない?」サフィリアが答えた。「わからないならわからないままでいいけど、他者を大切にしない奴の言うことなんて聞かないよ」
「ならば、力づくにでも聞かせてやるまでだ」
 黒の大剣が緩い弧を描いてサフィリアを襲うが、彼女はそれを避けようともしない。
「大言を吐いて、自殺しに来たか!」
「違うよ。私の竜よ、私の人間を喰らって完全な者となるがいい」
 せせら笑った騎士の言葉は即座に否定された。振るった剣も同様に、白銀の鱗によって拒絶される。
「何……?」
 思わず騎士が呟いた。赤い瞳も、驚きを示すように明滅している。直前まであった少女の姿はそこにはなく、代わりにあったのは白き竜のもの。それは、かつて行われていた実験の残滓。サフィリアが己の中に眠る力を目覚めさせ、一時的に竜へと変じたのだ。
「竜の炎をその身に受けよ」
 サフィリアの口から青い炎が吐き出され、騎士の全身を舐めていった。想定外の攻撃に、反応することができなかったのだ。
「ぬうううう……」
 炎の中から現れた騎士の姿は、一見すると変化はなさそうだった。赤い炎よりもはるかに高い温度を誇るとはいえ、その鎧を溶解させるほどの温度はなかったようだ。だが、鎧が耐えられたとしても中身はどうだろうか。その見た目とは裏腹に、少なくない火傷を負っているようだった。
「その血を啜って我が命にしてくれる」
それでも、騎士の動きにはかげりは見られない。サフィリアの血を得て回復しようとしたのだろう。白竜を両断せんと、その大剣を振りかぶる。
「そう来ると思っていた」
両手――この場合は前肢と呼ぶべきだろうか――で握っていたドラゴンキラーの柄が、それをがっちりと受け止めていた。


●滑転
 サフィリアと騎士の鍔迫り合いを見て、アララギは突撃することを決めた。
(今なら、完全に注意が外れてるわぁ。チャンスねぇ)
 これまで、アララギは後退しつつ中型の収束火線砲で射撃していた。スペースシップワールドで最大限の威力を発揮するこの砲は、空気のある地上では拡散して威力が低下する。だが、この砲を用いたアララギの目的は牽制ゆえにそれで十分だった。事実、騎士はビームに気を取られて決定的な機会を何度か逃していた。
 だが、注意が完全に外れたなら話は変わる。そうして注意を逸らすための低火力支援だったのだから、目的が達成された以上予定していた行動に移るのみだ。
 シールドビットのブースターに火を入れる。これは今まで大活躍していた光学迷彩を付与するものではなく、動力炉つきの円形ビットだ。それを出力全開にして、騎士の元まで飛んでいく。一気に懐まで潜り込むと、放水砲を浴びせかけた。
 水は圧力と速度を与えるとダイアモンドすら切る威力を持つし、放水砲というと暴徒を鎮圧するのにも使われる武器だ。ではアララギが撃ったのもその類のものかと問われれば、それとは明らかに違うことがわかった。まず、それから出ていたのは水ではなかった。しいて言うなら……油か石鹸水に近い液体とでも言うべきだろうか。
「この距離まで近寄って、やる事が水遊びとはな! 死ね!」
 アララギを両断しようと、騎士が剣を振り上げ――られなかった。剣はすっぽりとその手を抜け、地面に落ちたのだ。
「これは……まさか!?」
「そうよぉ。摩擦力0の状況でカッコいい騎士様は見れるかしらぁ」
アララギは、すでに上空に逃れていた。歩き出そうとすれば、足が滑って転がってしまう。立ち上がろうにもそれすらできない。まさに俎上の鯉みたいな状況だが、猟兵もうかつに近寄れなかった。下手に近寄って液体が付着すれば、自分も同じ運命になるのは明らかだからだ。そうしてじたばたする騎士の姿を、アララギは上空の一等席から楽しんでいた。


●爆破
 そこに、爆発が起こった。
「爆発に巻き込まれるぞ、下がっていろ」
 やったのは、浮遊爆弾を再集結させたテリブルである。あの状態の騎士に近寄る猟兵はいないとは思うが、隠れて近寄っている猟兵を巻き込まないために言ったのだ。
「その程度の玩具が一つ二つ当たった所で何ともならんぞ」
「誰が一つだと言った」
 大地が震えた。衝撃波が空気を吹き飛ばし、きのこ状の雲が上空にあがる。残る爆弾が全て起爆したのだ。もうもうとあがる土煙の中に、テリブルはAMRアームドフォートの弾倉を全弾撃ち込んだ。それから、その中に向かって突貫する。彼女の腕は、いつの間にかドリルのものへと変化していた。
 テリブルが、爆心地に向かってドリルを叩きつける。がりがりという音は金属のもの。予想通り、『異端の騎士』は動けずにいた。この敵、想定外の事態にはとんと弱いようだった。
「目が見えずとも……そこか!」
 滅茶苦茶に振るわれた剣が、テリブルの身体を捉えた。この距離で、それもドリルで鎧を穿っている状態では回避することはできなかった。左足を抉る痛みにも表情は変えない。痛くないわけではないが、この程度なら耐えることができた。
「ブラッドサッカー――何? 今の一撃でなぜ起動できぬ」
「知らんのか。機械に、血は流れていない」
 テリブルの血を使って剣の攻撃力を上げようとする騎士の試みは失敗していた。全てのウォーマシンがそうかはあずかり知るところではないが、少なくともテリブルの身体はそうだった。
 テリブルが、ドリルの回転数を上げて押し込んでいく。ばきばきという音とともに腹の装甲が破壊され、そこに大きな傷を穿った。


●騎乗
「貴様ら……余をここまで追い込むとはな。良かろう、お遊びは終わりだ。ここからは全力で討ってくれよう」
 怒りに肩を震わせながら、騎士が言った。その鎧には多くの傷が走り、豪奢さはどこかへ吹き飛んでいた。
「我が愛馬よ、今ここに!」
 叫び声に応じて現れたのは黒の悍馬。巨大なそれに、騎士がひらりとまたがった。左手で手綱を握り、右手の大剣をまるで槍のように構える。
「いざ!」
そう言って駆け出した騎士の前に立ちはだかったのは――。


●堅陣
 一人の女だった。金の髪を揺らし、ギルレイン・メルキラレバ(己の神に仕えよ・f13190)が祈る。
「いざいでよ! 自由神の名の元。我らの欲するところを為すために」
「死ね、女ぁ!」
「陣形、長槍方陣(テルシオ)」
 ギルレインを剣で串刺しにしようとした騎士だったが、それは叶わない。それどころか、彼女に近づくことすらできなかった。ギルレインの前に並んだのは長槍を構えた戦士たち。彼女が呼び出したのは、死してなお自由神ギャラリアに仕え続ける神官戦士たちであった。
 騎兵にとって、槍兵、とりわけ長槍兵との相性は最悪に近い。騎兵というものは、ほとんどの歩兵に対して圧倒的な機動力と長いリーチによって優位に立つが、長槍は馬上槍よりもさらに長いのだ。かといって、機動力を活かして側面に回り込むのも無駄だ。正方形に展開された陣形は、一切の死角を排除する。
「このような手を隠し持っていたとは……!」
「騎士相手に正面から挑むほど自惚れてはいませんし無策でもありません」
「だが、穴熊のようにこもっているだけでは攻撃もできまい」
「槍兵の武器が槍だけだと、いつ言いましたか?」
 ギルレインがそう言うと、方陣のそこかしこから炎弾が騎士に向かって放たれた。この方陣を構成しているのはただの槍兵ではなく、そのことごとくが自由神の神官戦士である。この程度の魔法で攻撃することなど、朝飯前の芸当だった。
「馬を狙いなさい。騎士よりは装甲が薄い分、攻撃が通りやすいはずです」
 第一波が騎士の鎧によってほとんど防がれたのを見て、ギルレインが新たに指示を出す。ついで放たれた炎は、執拗に騎馬に向かって放たれた。黒い毛並みにいくつもの炎が着弾し、立派な鬣を焦がす。驚いた馬が後ろ足で立ち上がったのを、騎士はかろうじて押さえ込んでいた。
「あなたからは私は攻撃できず、私は一方的にあなたを攻撃できる。さあ、どうしますか」
「ならば、こうしてくれよう」
 騎士が、ギルレインに向けて剣を投げつける。届くような距離ではない、と不審に思った彼女の前で、剣が弾けて血色の薔薇が舞い散った。花弁の一枚一枚は鋼鉄をも切り裂く鋭利な刃。それが、方陣に向けて襲いかかったのだ。鈍重な槍兵は退避もできず、一方的に削られていく。
「ほら、どうした。先ほどまでの威勢はどこに行った?」
「もう勝ったつもりですか」
 劣勢にもかかわらず、ギルレインの表情は崩れない。その涼やかな顔を苦痛の色に染めてやろうと騎士が駆けだした瞬間、銃弾が騎士の身体に衝撃を与えた
「生憎、悪あがきには縁があるものでしてね」
 騎士が立ち止まった僅かな間で、彼女は方陣を立て直していた。


●銃火
「ファランクスか、それともテルシオか。古い陣形だが、騎士相手なら効果的だな」
 射点に移動していた華乃音の視線の先には、方陣を組んだ兵団があった。炎弾で中距離攻撃を行っている所を見ると、その性質はテルシオに近いものなのだろう。ただの騎士が相手なら、万一にも負けることはあるまい。
「だが、相手はオブリビオンだ。あれではフォリーングローセスの的になる」
 華乃音の直感は的中した。薔薇の刃が方陣に大穴を開けていく。その穴に向かって、騎士が突撃を開始していた。
「そうなることは理解っていた」
 この時点で既に、彼は狙撃の準備を整えていた。左に向かって突撃する騎士に命中するように僅かに照準を偏差させ、to be alone.から弾丸を放つ。三キロ先まで射程に収めるこの銃と華乃音にとっては、数百メートルの距離は目の前と変わらなかった。銃弾を受けた騎士が突撃を停止する。分厚い鎧を貫通することはできなかったが、衝撃は与えられたようだった。その間に、エルフの娘は方陣を再構築していた。
「ならば、次はフォリーングローセスだろう」
 剣に向かって弾を撃つ。今まさに薔薇の花弁に変じようとしていた剣がぶれ、花びらはあらぬ方向へと撃ち出される。
「そっちか……!」
 さすがに首領だけはあるらしい。先に戦った兵とは違い、騎士は二発で狙撃に対応してみせた。射線を遮るように、家屋を盾としたのである。
「ここは潮時か。だが、まだ終わったわけではない」
 狙撃地点は別に一カ所ではない。兵士の時のように離れた丘の上から撃つのではなく、ここまで近づいたのはどこからでも敵を撃つためでもあった。
 武器を一旦収納し、別の場所へと急ぐ。再び視界に収めた時、騎士は槍兵とにらみ合っていた。どうやら槍兵の前衛が散兵化したことで、フォーリングローセスによる攻撃も有効打でなくなったらしい。
「膠着しているな。なら、崩すまでだ」
 強装弾で兜を撃ち、、騎士の兜を吹き飛ばす。その下から出てきた素顔は、灰の長髪を乱れさせた痩せぎすの男の顔だった。
「さて……瑠璃の蝶よ――その焔で灼け」
 男が仰け反っている隙に、華乃音の手から瑠璃色の蝶が飛び立った。一見幻想的にも見えるそれは、当たれば燃えるその実危険な存在だ。鱗粉ならぬ燐粉を散らしつつ、それらは騎士の顔に殺到する。顔を灼かれた騎士が、痛みの声をあげて逃げていった。


●暗殺
「水……水はどこだ」
 そうして逃げ出した先も、別に安全地帯という訳ではない。ダークセイヴァーの深い闇は、すでに騎士の味方ではなくなっていたからだ。
(馬に乗ったから的が大きくなって有り難いわ)
 レイは『変幻ナル闇ノ曙光』の力によって、闇の中に完全に同化していた。完全に暗殺者の所業だが、罪悪感は微塵もない。あんな外道は暗殺で十分だ。
 地響きがしだいに大きくなってきた。騎士が近付いてきたようだ。闇の中から飛び出して、馬の脚を影の刃で斬りつけた。どす黒い血が噴き上がる。
「今ので切り倒すつもりだったけれど、意外にタフよね」
 再び闇の中に沈みつつ零した。この戦い、思ったよりも長丁場になるかもしれない。
「クソ、誰だ!? 出てこい! 姿を見せろ! 正々堂々と戦え!」
 再び斬りつけると、騎士が悲鳴のような声で怒鳴った。レイはそれを鼻で笑う。
「殺し合いに正々堂々なんてあってたまるもんですか。文字通り、あたしの全身全霊を持ってアンタを暗殺してあげる」
「おのれぇ!」
 闇に潜んだまま、声だけはあえて騎士に聞こえるように言った。そうして、恐怖を煽ろうというのだ。思った通り、敵は動揺の色を隠せてはいなかった。そこかしこの闇を、手当たり次第に攻撃する。もちろん、レイから見れば見当はずれの場所だった。
「あたしはね、アンタみたいな利己主義者が大っ嫌いなのよ」
「だから何だと――」「だから殺すの」
 騎士の言葉を食い気味に言い切った。もう一度脚を斬れば、切断できるだろうか。レイがそう思って飛び出そうとした矢先、自分のものではない武器が騎士の背中に突き立った。その針は武器と呼ぶにはいささか繊細すぎるものではあったが、騎士に苦しげな声を上げさせている様子は武器そのものであった。
「なんとか全部当たったわね……」
 こんな物騒な針を投げる猟兵は、この場には一人しかいない。もちろん、これはモリオンの奇襲であった。彼女もまた、この深い闇に溶け込んで騎士を追跡していたのだ。といっても、闇に溶け続けるレイとは違い、モリオンは気配を殺して寄っていただけだ。針が突き立った時点で、姿を現していた。
「貴様。毒使い、か……」
 隠れ続ける必要がなくなったとも言える。身体の自由を奪う麻痺の毒に加え、邪悪な存在を浄化する破魔の毒も加えてある。この騎士のような存在には覿面に効果を発揮していた。
「そうよ。あたしの毒は針に送る霊力次第で強さが変わるわ。それこそ人の体の自由を奪う程度の弱毒から、化け物すら泡を吹く猛毒まで。勿論今回は……後者よ」
 さすがに、これ単体では騎士や馬が倒れることはない。しかし、確実に敵の身体を蝕んでいる。そのことも確かだった。馬の行き脚が完全に止まったその時。
「貰ったわよ!」
 レイが、みたび闇より飛び出してきた。三度目の正直と、右後脚の傷を正確に斬りつける。果たして、今度こそうまくいったらしい。噴水のように血を噴き出しながら、馬の脚が引きちぎれる。同時に、三本の脚で騎士を支えきれなくなった馬が横向きに転倒した。地面に投げ出された騎士を、レイの影刃が追撃する。
「これで、アンタの大事なお馬さんは倒したわよ。どうするかしら?」
「どうするもこうするも……ならば、こうするしかなかろう」
 転倒した馬が消滅し、再び五体満足の馬が出現する。正確には生き物ではなく、ユーベルコードの産物ゆえに取れた手段だ。ただ、今までに随分と生命力を消耗していたらしい。新しく生まれた馬は、これまでのものに比べれば随分と小さく弱々しく見えた。
 二人を大剣で威嚇しながら、騎士はよろよろと撤退していく。モリオンはそれを追おうとはしなかった。
「あれ、トドメいかないの?」
「彼をこの銃で倒すつもりはないのよ。悶え苦しみ、彼らの痛みを知ればいい」
「あなた、意外にエグいわね」
 モリオンの言葉に苦笑したレイであった。


●追跡
 二人のもとから撤退した騎士は、みずからの行き先を決めあぐねていた。どこかで休息を取って回復しなければジリ貧たが、村の中は騎士にとってはもはや敵地である。虐げていた村人たちが自分を助けてくれるとはとうてい思えないし、どう考えても猟兵がやってきて休憩どころではなくなる。といっても素直に撤退するのも有り得なかった。自尊心が許さないというのもあるが、最も大きいのはこの実態が上位の吸血鬼に知られれば命すら危ういという事実にある。そういう意味では、彼が生殺与奪を握っていた異端審問官と彼自身の立場には、あまり違いがあるわけでもなかった。
「あの反逆者たちを始末する方法は……」
「そんなもの、あるわけないじゃないか」
 独り言のつもりが、答えがあった。騎士が伏せていた目を上げると、そこには
道化師姿の少女が一人。逃げている最中に、フェルトと出くわしたのである。
「出会ったからにはここが百年目!」
 そう言うと、少女は芝居がかった動作でカードディスクにセットした一枚のカードを指さした。
「このカードは真の姿を解放した時にのみ、召喚する事ができる!」
 だから、何だというのだ。騎士はそう言おうとしたのだが声が出ない。あろうことか、空気に呑まれつつあった。
「最上無二の魔術師よ!今こそその力を振るい、世界を歓声で包み込め!
カモン! 【スマイルパペット・エンペラージェスター】」
 眩しい光とともに、一人の人間が姿を現した。宝石で飾られた煌びやかな王冠とマントを纏う姿は王侯のようであり、派手な化粧とまだらの服は道化師のよう。まさに、エンペラージュスターと言うだけの姿をしていた。
「ヘイ、その軍馬思ったより弱そうだね! 主人のキミも見かけ倒しなのかな?」
 道化師ふたりが騎士を挑発しつつ、左右に分かれて逃げ回る。騎士はフェルトに狙いを絞ったらしい。黒一色の姿が迫ってくる。そうはさせまいと、二人で馬に向かってトリックスターを投げつけた。悲鳴をあげた馬の速度が少し落ちた。それでも人と馬の速度差は埋まらない。柵や段差を器用に駆け回って逃げてきたフェルトだったが、ついに騎士に捉えられる。その瞬間、逃げ続けていたフェルトが反転した。
「なにっ!?」
「この距離ならキミの剣よりボクの方が早いよ!」
 剣が振り下ろされるよりも早く、トリックスターが投げつけられた。短剣が馬の目に突き刺さり、痛みに暴れ回る。騎士はフェルトを攻撃するどころではなかった。


●落馬
 馬の苦しみは、そう長くは続かなかった。突然横合いから馬の首に鎖が巻き付き、直後に斧がその首を飛ばしにかかったからだ。「飛ばした」ではないのは、一撃で飛ばなかったがゆえ。不出来な処刑人の名を冠した首斬斧は、その持ち主がモンマス公を処刑した時のごとく、一撃で首を刈ることができなかったのだ。続けて振るわれた二撃目によって、ようやく馬の首は落ちた。……苦しみは短くなったが、大きくなったかもしれなかった。
「い、いったい今のは」
『ツベコベうるさいっての』
 呆然とする騎士を、イサナがぐいと引っ張って引きずりおろした。馬の首を飛ばしたのも彼女の手によるものだ。この乱暴な口調から察するに、今面に出ているのはレイゲンの方なのだろう。
『さて、昔取った杵柄ってやつだ。本当の拷問と魔女狩りをたっぷり堪能させてやる』
 レイゲンがそう言ったのと同時に虚空から棺桶が現れた。それは地面に落ちながら蓋を開き、ありとあらゆる拷問具を周囲に撒き散らす。そのうちの一つを手にとって、レイゲンは残酷に宣告した。
「や、やめろ。やめてくれ」
『せいぜい蹂躙される処女のように啼け。その野太い声でなァ』
「……わたしの口でそういうこと言わないでほしいなあ」
『「梨」はどこにやったかな』
 騎士の懇願も、イサナの抗議もどこ吹く風だ。楽しげに拷問具を見繕っていた。もっとも、騎士の言葉は聞き入れる必要もないだろうが。
 それからしばらくの間、村には絶叫が響き続けた。
『意外に体力あるな、この野郎。拷問じゃ殺し切れねえ』
 レイゲンの施ししたフルコースの拷問は、普通の人間なら発狂すること間違いな凄惨なものだった。しかし、『異端の騎士』とてオブリビオン。純粋な痛みで狂うことはげきなかった。それが彼にとって幸福だったかどうかはまた別として。
『鋼鉄の処女でも殺せねえか。詰まんねえ終わりだが、撃ち殺すか』
「わたしの身体でここまでやるの、やめてほしかったんだけどなあ」
『仕方ねえだろ、あいつが死なないのが悪い』
 イサナの不満ももっともなものだ。彼女の身体は返り血で真っ赤に染まっていた。どこのものかも分からない肉片すら付着している。だが、二人の口喧嘩を好機と見た者がいた。他ならぬ騎士である。隙を見つけ、よろよろとこの場から逃げていくその姿を、
『ま、あの調子ならすぐに死ぬだろ』
 既に興味を失ったのか、レイゲンが追うことはなかった。


●撃破
「ここまで来れば、追っ手はないか……」
 全てを失った騎士が、よろめきながら村の外れに立つ木をその背を預ける。徒歩なのは愛馬を再召喚することもできないくらい、生命力は枯渇していたからだ。もはや、誇りなどどうでもいい。この場から無事に逃れることだけを、騎士は考え続けていた。
「城に戻ったら、全兵力で押しつぶしてやる。叛徒どもめ、覚えていろ」
「残念ですが、その未来はありえませんわ。だって、あなたはここで死にますもの」
 シャルロット・ルイゾン(断頭台の白き薔薇・f02543)の声が、逃走路の先にある森の中から聞こえてきた。姿を見せたのは、二人の白い少女たち。
「この、騎士を倒せば……。全力、で、殺らせて貰う……」
 グウェンドリン・グレンジャー(NEVERMORE・f00712)の頭や腰から羽根が生えてきた。黒のそれは、揚羽蝶にも烏にも見える。金の瞳も今は真っ赤に染まっていた。
「……戦うしかないようだな」
「それ以外の道がありまして?」
 騎士が、足下に転がっていたフレイル――討たれた配下の兵士が持っていたものだ――を拾い上げる。シャルロットが相対するように、一歩前に出た。傍らの少女人形がその扉を開け、血に塗れた針を騎士に向けた。
 鎧を失い身軽になったからだろうか。騎士が、意外にも素早い動きでシャルロットに向かってフレイルを繰り出した。硬いものが衝突する鈍い音が響く。騎士が攻撃したのはシャルロットではない。少女の顔をした処刑人形の方だったのだ。人形が、身体の中に秘めている茨のごとき棘が騎士の傷口を抉っていく。
「この程度で、倒れるとでも……!」
「思ってはいませんわ。ですので、毒を使わせていただきましたの」
 それは、犠牲者を死まで蝕み続ける毒だった。騎士がたまらずに片膝をつく。
「だが……」騎士が呟くその声は、怒りと怨みに満ちていた。「こんな所で、終わってたまるものかぁ!」
 騎士の全身から薔薇の嵐が生まれた。それは、後のことなど考えない捨て身に近い攻撃だった。
「グウェンドリン様!?」
「平気、痛くない……」
 グウェンドリンは、果敢にもその嵐に向かって突っ込んでいった。あの様子なら、騎士は動くこともできないはず。全身に傷が刻まれて血が流れるが、致命傷には程遠い。痛みだって、移植手術と時と比べたら何でもなかった。Mórríganを敵に突き立てると、痛みで集中が切れたのだろう。フォーリングローセスも収まった。騎士を貫く翼が血の色に染まり、グウェンドリンの傷を癒やしていく。
「シャルロット、私……全力で、いく、から気を付けて、ね」
「ええ、お任せください、グウェンドリン様」
 もはや、防御すら覚束なくなっている騎士を見て、グウェンドリンが言った。シャルロットが彼女と目を合わせ、こくりと頷く。
「人々の自由と平等、そして友愛を脅かしたことがあなたの罪にございます」
 ギロチンを取り出したシャルロットが、騎士に向かって罪を宣告する。その姿は、村人たちを無実の罪で殺そうとした異端審問官などよりも、ずっと裁判官らしく見えた。断頭の刃が飛び出して、騎士の首を絶たんとする。騎士はそれを、かろうじて右手で押しとどめていた。
「ま、待て……!」
「懺悔の言葉があるのなら、聞いて差し上げてもよろしいですわよ」
 命乞いをしようとした騎士に対するシャルロットの返答は、処刑を前にした教誨師の如くであった。もちろん、ギロチンの刃が緩むことはない。
「無闇に、食べる分、以上……に、命を奪うのは、自然のルールに……反、する。
答えは……聞いてない!」
 その声は、騎士の真上から聞こえた。彼が見上げると、グウェンドリンが黒き空を背に飛んでいた。Mórríganの先端が、騎士にぴたりと向けられた。
「……これが、私……の、全力全開……!」
「やめ、やめろ!」
 烏の娘が猛禽のごとく急降下する。落下の勢いを一点に籠めたAngel's Hammerが、騎士の脳天めがけて振り下ろされる。激しい衝撃を感じ、意識を朦朧とさせた騎士の全身から力が抜け。
「終わりですわ!」
 その直後、遮るもののなくなったギロチンの刃が騎士の首を跳ね飛ばした。


●始まり
 こうして、村を恐怖に叩き込んだ領主とその一党は殲滅された。しかし、これは村が歩む苦難の道のりの最初の一歩なのかもしれない。
 騎士こそ死んだとはいえ、彼の城には大量の兵が残されているのだし、じきに新しい領主が派遣されてくるだろう。領主殺しとなった村が粛清を逃れるためには、これからも抵抗者として立ち続ける他はない。ダークセイヴァーにおいて、それがどんなに困難かは、これまでの歴史が証明している。
 それでも、村人たちの顔に暗さはなかった。もう、どんな理不尽にも屈したりはしない。生まれて初めて自由を得た村人たちは、そう誓っていた。
【END】

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト