3
子供たちへの鎮魂舞(作者 そらばる
5


●祈り破れて
 たくさんの子供が犠牲になった。
 子供達の骸魂を悼み浄化するために、儀式を執り行う巫女に選ばれたのもまた、子供だった。
「……タンタン、みんナ、ごめんネ。ワタシ、ちゃんと、送るカラ」
 屍に等しく死に近しい少女は、死者の鎮魂に最も適した人選に間違いなかった。
 ……だというのに。
 鈴を鳴らし、祝詞を唱え、順調に進む儀式の佳境。
 少女は、ふいに瞠目して舞を中断し、儀式の依り代としていた大樹を見上げた。
「──! どうシテ……!」
 遠巻きに見守っていた妖怪達にざわめきが走る。
 呆然と少女が見上げる大樹の梢に、蛍のような小さな光が数多に灯り、明滅している。
 その光が、一挙に黒色へと反転した。
「だ、ダメ……みんナ、いけナイ……」
 制止の言葉を振り切って、黒い光は一斉に四方へ散った。
 悲鳴が上がった。大量の黒い光が妖怪達を追い立てているのだ。混乱が街中に広がっていく。
 少女は目にいっぱい涙をためてかぶりを振りながら、だめ、ダメ、と繰り返す。
「みんナ……ダメーーーー!」
 黒い光の群れに手を伸ばし駆け出した少女の額を、一回り大きな黒い光が背後から撃ち抜いた。

●グリモアベース:ゲネ
「新たな世界のことは諸君も聞き及んでいると思う。その名もカクリヨファンタズム! UDCアースの傍らに寄り添う、幽世の世界だ」
 ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)はホロモニターにカクリヨファンタズムの情景を映し出した。様々な文化の様々な時代の景色がランダムに連なる、郷愁に満ちた不思議な世界。
「棲んでいるのはUDCアースの人々に忘れ去られた多種多様な妖怪達。ところがこの地球から幽世への移動も、決して楽な行程じゃないらしい。実際かなりの数の妖怪が移住に失敗して、死んで骸魂と化している」
 骸魂は妖怪をオブリビオン化する危険な存在。
 しかし妖怪達にとってはもともとは仲間だ。彼等は骸魂を心から悼んでおり、時折大規模移動に失敗した妖怪達のために「鎮魂の儀」を執り行うこともある。儀式が成功すれば、骸魂達は花や樹木の糧となって浄化されるそうだ。
「……が、成功があれば失敗もある。今回予知されたのは、まさしく儀式の失敗だ」
 ゲネはモニターを反転させ、こんもりとした山型の、古めかしい中華風の街並みを映し出して見せた。長々と続く坂や階段の周囲にごちゃごちゃと店舗がひしめき合い、蒼い夜空を大量の赤提灯が明るく照らし出している。
「この街には数度に分けて妖怪が移り住んだらしいが、最後のグループは移民に失敗して全滅した。子供型の妖怪の中でも、本当に年若い子供達がたくさん犠牲になったようだ」
 妖怪達は大いに悲しみ、犠牲になった子供らより少し年かさの、若いが有能な巫女を主祭司に立てて鎮魂の儀を執り行おうとしている。
 が、何かの要因で失敗に終わってしまうらしい。骸魂は暴走し、草花に取り憑いてオブリビオンとなったり、なんらかの障りをもたらすだろう。
「残念ながら儀式の失敗は防げない。しかしオブリビオンを撃破していくことで骸魂に呑まれた妖怪達を救うことは可能だ。オブリビオン化していない妖怪も障りによって暴れ出しているみたいだから、そちらも対処してほしい」
 ゲネはモニターを転送術式の光で満たして、勇ましく呼びかける。
「急ぎ現地に向かい、事態の収拾を頼む! いざ、古き良きノスタルジーの妖怪世界、カクリヨファンタズムへ!」





第2章 冒険 『妖怪横丁大騒ぎ』

POW力づくで止める
SPD鮮やかな手際で止める
WIZ口先やふしぎなちからで止める
👑7

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●空騒ぎの坂を駆け抜けろ!
 街への潜入を阻んでいた童子らは、白い光となって還るべき場所へ還っていった。
 猟兵は太鼓橋の連なる道を進み、ようやく件の街へと足を踏み入れる。
 赤提灯に彩られ、青い夜に明るく浮かび上がる小山の如き街は、喧噪とさえ言えない騒擾のさなかにあった。
 飛び交う茶碗、横行する食い逃げ、取り上げられる妖怪キッズのおやつ。被害者も加害者もない、脈絡なく各々の感情が爆発するカオスである。
 骸魂の障りを受けて、妖怪達はすっかりおかしくなってしまったようだ。子供っぽい争いやらイタズラやらが街中を跋扈している。
 障りをもたらしているのは、骸魂に取り憑かれた街中のあらゆる植物だ。
 が、街中の植物を探し出して対処している暇はないし、そもそも大元である儀式場の大樹をどうにかしなければ解決にはならない。

 猟兵が為すべきは、「とにかく坂の上の儀式場に急ぐこと」。
 大暴れしている妖怪達の騒ぎをかいくぐり、降りかかる火の粉を払う程度に適度に無力化しつつ、坂道を駆け上がるのだ。
 坂の上の大樹の下で、骸魂に飲み込まれた主祭司が、猟兵達の助けを待っている。