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こすぷれしましょ? するんだよぉ!

#キマイラフューチャー #挿絵

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#キマイラフューチャー
#挿絵


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●○めんじょし? いいえ、かぶりめんじょしです
 キマイラフューチャーはいつでもゴキゲンおおはしゃぎ、今日もどこかで事件が起きる!

「今キてる被りもの系アイドルの動画、もう観た?」
「観た観た! あんなでっかいお面被りながらむっちゃ踊るの、すごない!?」
「そうそう、踊りもキレッキレですごいよね~」

 街行くキマイラたちが携帯端末で、あるいは街頭ビジョンで、様々なところで夢中になっているのは、今キマイラフューチャーで一斉を風靡しつつある謎のアイドルグループ『the Big Heads』。
 うら若き乙女キマイラたちによる集団ユニットであるが、その素顔はなぜか不自然なまでに大きい被り面に覆われ誰にも知られていない。被り面を含めた衣装は我々の知る単語で表現するならば、中華風。チャイニーズアイドルであった。
 彼女たちの活躍はいまや街中を熱狂の渦に包み込み、彼女たちの被り面を真似て店で売られている被り面をかぶって自分たちもとはしゃぐキマイラたちも数知れず。

 そのアイドルブームの陰で、ひとりほくそ笑む謎の怪人の姿にも気付かず……!

●もうちょっとやりようがあったよね
 そう言いたそうな顔で眉間にしわを寄せながら、ニコ・ベルクシュタイン(虹の未来視・f00324)は片手で虹色の星型のグリモアを浮かべつつ、集まった猟兵たちに向けて説明を始める。
「――毎度ながら時間通りの集合に感謝を、今回はキマイラフューチャーで巻き起こりつつある一つのブームの、此れ以上の拡散を阻止してきて貰いたい」
 またろくでもないブームか? 猟兵たちが身構えた所にニコから続きが語られる。
「アイドルブームだ、大ブレイク中でな」
 ならいいじゃない、と踵を返そうとする者。アイドル!? とガタる者。それらをまあまあどうどうといなして、ニコはどうにか説明を続ける。グリモア猟兵も大変だ。
「賢明なる諸君ならば既にお察しの事とは思うが、此のブームの陰には怪人、オブリビオンが存在する。そのようなブームを捨て置く事は出来まい。頼む、力を貸して欲しい」

 『the Big Heads』と名乗る被り面少女アイドルグループは『プロデューサーさん』と呼ばれる一体のオブリビオンに言われるがまま活動をしているらしい。お面の中身の容姿は問わず、与えられる被り面さえ被れば、あとは歌って踊れれば比較的容易にメンバー入り出来るらしい。
 しかも不思議なことに、アイドルなど有名人がブレイクすれば必ず発売される関連グッズの代表格でもある「the Big Headsなりきり被り面」を一般のキマイラが被れば、たちまち(気分だけ)『the Big Heads』の一員になりきれるというのだから恐ろしい。このままでは街がひとつぶんまるまる被り面に支配されてしまう。

「『目には目を、歯には歯を』とも言う、皆には先ずアイドル勝負で彼女達『the Big Heads』に挑んで貰いたく。何、アイドルも一強世代は長くは続かない……と聞いている。彼女達とはまた違った毛色の芸風で攻めても良いし、敢えてのキャラ被りを狙っても良い。とにかく、キマイラ達から注目を此方に奪って欲しいのだ」
 衣装が必要ならばある程度は貸し出しの準備もあるが、皆ならば既に自前のものを用意していそうだなという顔でニコはそっと傍らに用意していた箱を後ろに押しのける。

「ある程度キマイラ達の耳目を此方に集める事が出来れば『the Big Heads』のメンバー総勢25名が黙ってはいないだろう。だが、彼女達も元々は普通のキマイラ女子。元凶である被り面さえ破壊すれば正気に戻るだろうので、然程手荒な事はせずとも良いかと」
 しかし、と言いよどむニコ。
「彼女らが『プロデューサーさん』と呼び慕う存在は恐らく……色々な意味で厄介だ。くれぐれも最後まで油断せず、何が起きても強い心で頑張って来て欲しい」

 毎度面倒事を頼んでしまって申し訳無い、そう言いながらニコは転送の準備を始める。
 果たして『the Big Heads』とは、そして『プロデューサーさん』とは何者なのか? 若干の割とどうでもよい謎を孕んだまま、新たなる冒険の幕は開く――!


かやぬま
 お世話になっております、かやぬまです。
 全ワールド一度はお邪魔してみてから、と思っておりましたが、どうしてもかっ飛んだギャグシナリオが出したくなって帰ってきてしまいました、キマイラフューチャー。ただいま!

 概要はOPでニコがどうにかこうにか説明をした通りとなります。
 思いっきりはっちゃけたプレイングをお待ちしておりますね、私も頑張ります!
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第1章 冒険 『アイドル合戦!』

POW   :    力強い動きや熱唱などで、格好よさをアピール

SPD   :    素早い動きや洗練された歌などで、華麗さをアピール

WIZ   :    舞台や衣装、演出などに、工夫を凝らしてみる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●げりららいぶっていうんですっけ
 いつでも晴天キマイラフューチャー、今日は(も?)絶好の野外ライブ日和。
 この街の中でもひときわ面積の広い公園の噴水広場で、噂のアイツラこと『the Big Heads』が今日ゲリラライブを行うと主にSNSを情報源としてキマイラたちの間ではもっぱらの噂であった。事前に知れ渡っていてはゲリラライブとは言わないよねと思いつつ、そこはネットの噂に過ぎないのでセーフセーフ。

 そうして噂は人だかりを集め、そして真実となる――!

「キャーッ! ミカちゃーん!!」
「エリーっ! 俺だーっ! 結婚してくれー!!」
「かーーわーーいーーいーー!!!」

 公園脇に乗り付けたバンから次々と降りてくる、全員見た目が同じの被り面にチャイナ服の――アイドル達。しかし集まったファンたちは彼女たちを確実に識別し、各々の推しに黄色い声を全力で送る。すごない?

 そんな摩訶不思議な空間に転送されてきた猟兵は納得する。
『自分たちはこのゲリラライブの乱入者となれ』
 ということなのだと……!

 相手は既に大量のファンを得ている大手アイドルグループ、猟兵たちはどう挑むのか!?
ローズウェル・フィリンシア
ダニエルさん(f00007)と一緒です!

【WIZ】
私、ぷろでゅーさーというものがしてみたく!
ダニエルさんなら、あんなフリフリ、こんなフリフリ、何でも似合うと思うのです!任せて下さい!

私、日曜の朝見ました!女の子がピカーンって光って可愛い格好になって戦うのです。
あれやってみたいです!ほら、ダニエルさんもピカーンって!
(不思議な魔法で変身という名の早着替えをさせる)
ほら、フリフリキラキラのスカートがお似合いです!これでお客の目も奪えるというものです!

…あれ、何で私にも声援が?
私の格好も日曜の朝見たっですって?
わ、私はあいどるじゃなくてぷろでゅーさーですよー!


知念・ダニエル
ローズウェル(f09072)と一緒に。

待って欲しいっすローズ。
俺は180cm超えの成人男性っす。フリフリの格好をするのは女子がやるものっす。
だから今回はローズがアイドル役をやるべきだと…。
(観客の前、ローズの魔法でキラキラ光ってフリフリの格好になる)
…いや駄目っす。俺は男の娘じゃないっす、所詮女装男子っす…(顔を覆う)

こうなったらヤケっす。【SPD】で歌でも披露するっす。
外見は女性かもしれないっすけど、声とパフォーマンスは男っす。
衣装は可愛く、パフォーマンスはクール&スタイリッシュに。
逆にそういう異色なものがウケるかもしれないっすからね…そう思いたいっす。



●にちようびのあさはちじはん
「わぁ! ゲリラライブのはずだったのに、こんなに人がいっぱーい☆ うれしーい、ありがとー!!」
 急遽組まれたステージに上がると、『the Big Heads』の現センター・アユミがメンバーを代表して人だかりに向けて感謝の言葉を投げかける。それだけで場はいっせいに盛り上がる。

 そんな人だかりをよいしょよいしょとかき分け、ステージに向けて進むはローズウェル・フィリンシア(太陽と月の神子・f09072)と知念・ダニエル(黄昏冥土・f00007)の二人だった。正確にはローズウェルがダニエルの手を引きグイグイと突き進んでいるのであるが。
「待って、待って欲しいっすローズ。俺は180cm超えの成人男性っす。フリフリの格好をするのは女子がやるものっs」
「私『ぷろでゅーさー』というものがしてみたく!」
 己の手を驚くほどの力で勢い良く引いていく妹分を必死に制止しようと試みるダニエルの言を途中でさえぎり、全力の自己主張をするローズウェル。
「ダニエルさんなら、あんなフリフリ、こんなフリフリ、何でも似合うと思うのです!」
 任せて下さい! そう最高にイイ笑顔で振り返り、空いた方の手でサムズアップしてみせるローズウェルに、ダニエルはやはり空いた方の手で顔を覆った。

 そうこうしながら遂に最前列まで到達した二人は、早速最初の一曲目を披露しようとスタンバイした『the Big Heads』の前に躍り出る!
 警備スタッフがただちに二人を取り押さえようとするが、ステージ上のメンバーの一人で、その気の強さで一部の熱狂的なファンを持つレイがそれを制止する。
『あらぁ、何? アンタたち。アタシたちのコト、そんなにがっつり前で見たいワケ?』
 レイはどうやらローズウェルとダニエルをただのファンだと認識しているようだ。やむを得まい、まさか猟兵たちが乱入してこようとは、ゲリラライブ開催以上に誰が想像できようか。

「……だ、だから今回はやっぱりローズがアイドル役をやるべきだと……」
「私、日曜の朝見ました! 女の子がピカーンって光って可愛い格好になって戦うのです」
 変身バンクからの決め台詞ですね、わかります。なるほどローズウェルさんはアレをやってみたいんですね。ダニエルさんで(重要)。
「ほら、ダニエルさんもピカーンって!」
「ひゃわっ!?」
 もはやここまで来ると問答無用の域であった。ローズウェルが手にした豪奢な杖をダニエルに向けて一振りするや、声をかけてきたレイを始めとした『the Big Heads』のメンバーはもちろん、集まった観客のキマイラたちの目の前で、ダニエルがピカーンと光って一瞬ボディラインを露わにすると(でも最近の作品だと最初から衣装込みでピカーンするんですよね)次の瞬間にはフリフリキラキラのスカートがバッチリお似合いの見事な変身(という名の早着替え)をしたではないか!

『な、何よコイツ!? どうやって……!?』
「……いや駄目っす、俺は男の娘じゃないっす、所詮女装男子っす……」
 泣き崩れなかったダニエルくん偉い。今度は両手で顔を覆った。
『お、おおっ……! 今の何かすごくね!?』
『ああ……しかも、男だって分かってても……かわいい……!』
「やりました、これでお客の目も奪えるというものです!」
『あっちの、変身させた方の女の子もかわいいー!!』
『わたししってる、にちようびのあさにテレビでみたおねーちゃんとおんなじ!』
「……あれ、何で私にも声援が?」
 自分はアイドルではなくあくまでプロデューサーとしてダニエルを……と目論んでいたローズウェルは、確かに自身もどこに出しても恥ずかしくないキラッキラの魔法少女スタイルをしていた。しょうがないね!

(こうなったらヤケっす……歌でも披露するっす)
 意を決したダニエルがスッと右腕を伸ばし、息を大きく吸う。
 そして発せられた歌声は――紛れもない、男声。
 衣装は可愛く、歌とパフォーマンスは男性のそれでクール&スタイリッシュに。逆にそういう異色なものが観客にはウケるかも知れない。そう思っての決断だった。
 フリフリキラキラの衣装を翻し、しかし響くはいわゆるイケボ。そう、イケボだった。
『やだ……これが、ギャップ萌え……!?』
『踊りがキレッキレじゃないか……見えそうで見えないのがまた……』
『おね……おにーさん、名前教えてー!!』
 確かな手応えにうっかり悦に入りそうになり、いかんいかんと人知れず首を振るダニエル。これは成り行き上仕方なくこうなったのだ。演技なのだ。

『な……何が、起こってるの……?』
 ステージ上のアイドルたちも思わず息を呑み、その様子を見つめていた。
 これから次々と、自分たちに刺客が送り込まれてくるとも知らずに……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

四軒屋・綴
《アドリブ改変絡み歓迎》

まさか……あのビッヘ(the Big Heads)のPさんがオブリビオンだったとは……ッ!(そういう感じのうちわを持ちながら崩れ落ちる)

仕事に専念ッ!戦闘挿入歌っぽいBGMを背に天高く舞い上がってからユーベルコードを発動ッ!防御力重視の蒸気機関車系ヒーローに変身して着地ッ!

曲にあわせて特撮の戦闘を思わせるダンスを披露するぞッ!フック→ターン→裏拳(ここで止める)→逆回転で足払い→回し蹴り→上段飛び回し蹴りッ!そして最後にポーズッ!俯きがちに帽子に左手を添えつつ右手で指差し確認のポーズだッ!

『今ココロ燃やし走り出すのっさァーッ!』(見たいなBGM)


ユーイ・コスモナッツ
【強いていうならPOW】

アイドル、ですか
衣装まで用意してくれたニコさんには申し訳ないですが、
歌も踊りも得意ではないんですよ

なので、
このあとの戦闘に備えて、
隅っこのほうで柔軟体操でもしています

……だめですか?

わかりました
騎士たるもの、
いかなる挑戦も受けて立たなくては!

とは言ったものの、
なにをすれば良いんだろう……

え-ーい、バク宙! 三点倒立!
手品をしますっ、はーい親指が取れましたぁ!

み、皆の視線が痛い
笑ってごまかして……無理かなあ?



●しいていうならにちようあさくじからくじはん
「まさか……あのビッヘ(『the Big Heads』の愛称のひとつ)のPさんがオブリビオンだったとは……ッ!」
「ま、まあ四軒家さん、そう気を落とさないで……って、ファンだったんですか!?」
 『アユミLOVE』『こっち見て』と書かれたデコデコの応援うちわを両手にその場に崩れ落ちる四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)と、それを見かねてなぐさめの言葉をかけるユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)は、観客の人だかりから少々離れたところで世の中の厳しさを分からさせられていた。

 地に伏し打ち震える綴をどうしたものかと思いつつ、ユーイ自身も『自分がどうしたものか』という問題に直面していた。グリモアベースでは衣装まで用意してもらったが、そもそもユーイは歌も踊りも得意ではない。
「し、四軒家さん! 私、このあとの戦闘に備えて、隅っこのほうで柔軟体操していますので……」
 おーっとユーイ選手、まさかのシケンヤに全振りの構えだーッ! こそこそとその場を離れようとするユーイの手をそうはさせじとグワシと掴み、綴はよろよろと、しかし鬼気迫る様子で立ち上がる。
「……仕事に専念ッ! このMP3プレーヤーで戦闘挿入歌っぽいBGMを流しながらシケンヤ乱入するから、コスモナッツさんも是非ッ!」
「え、ええっ!?」
「よしッ、ちょうど先の二人の出番が終わったようだなッ! GO!!」
「きゃーっ!?」
 かくしてローズウェルとダニエルのパフォーマンスに一区切りついた所で、ビッヘこと『the Big Heads』のゲリラライブへの第二の刺客となるべく、綴とユーイの二人は舞台の前に躍り出たのであった。

『こ、今度は何!?』
「ミュージック・スタートッ!!」
「あわわわわわわわわわ」
 魔法少女オンステージがようやく終わり、やれやれ人気者にもなるとこういったトラブルにも見舞われて大変よねムーブで気を取り直そうとした『the Big Heads』のメンバーたちは、間髪入れず登場した特撮ヒーローめいた男と、それに手を取られてぐるぐる目で登場した騎士然とした少女の登場に驚愕する。そして問答無用で始まるカッコいいBGM。

「――来たれマイボディッ! 【蒸騎構築(ジョークアップ)】!!」
 イントロからAメロに入るタイミングで綴が天高く舞い上がり、カッコいいユーベルコードで変ッ身ッ! 今回は防御力重視の蒸気機関車系ヒーローとなり着地ッ!! それを見たユーイも遂に覚悟を決める。BGMがカッコいいので気分が高揚してきたのもあるかも知れない。
「……わかりました。騎士たるもの、いかなる挑戦も受けて立たなくては!」
 ちなみに今回挑戦を仕掛けたのはこちらの方なのだが、こまかいこたぁいいんだよの精神で行こう!
「とは言ったものの……なにをすれば良いんだろう……あっ!」
 ユーイが目にしたのは、曲に合わせて特撮の戦闘を思わせるダンスを披露する綴の姿。フックからのターン、裏拳を繰り出し一旦止め。そして逆回転で足払い。華麗なダンス……バトルアクションとも言ってよい綴の動きを見てひらめいたユーイは、思い切って綴の足払いをかわすような合わせ方で、見た目の重装備からは想像もできない程の身軽さでバク宙を繰り出してみせた!

『お、おおっ! 今度はアクションか、すげえな!』
『あの子あんな鎧着てバク宙したよ!?』
『てかこの曲どっかで聴いたなあ、誰のだっけ? 気になる!』
『も、もう! アタシたちのゲリラライブなのに!!』

 一部『the Big Heads』の皆様のごもっともな嘆きも混ざりつつ、観客のキマイラたちの目線はすっかり綴とユーイに釘付けである。
(コスモナッツさん、良い感じだッ!)
 ならばと綴が回し蹴りを敢えてユーイ目がけて放てば、さらにバク宙で避けるユーイ。着地は三点倒立でピタリと止まればその横で綴が上段飛び回し蹴りを決め、シュタッと着地するやビシッとポーズを決める。うつむきがちに帽子に左手を添えつつ、右手で指差し確認。まさに車掌さんムーブである! BGMもピッタリ終わりを迎えた。

『いいぞおおおおお!!!』
『カッケーーーー!!!』

 沸き立つ観衆の声は主に男性の声が多いようだ。おとこのこはいくつになってもこういうのすきだからね、しょうがないね。
『アンタたちねえ、さっきっから……!』
 ステージ上からもう堪忍ならんといった体でレイが綴とユーイを指差しながら物申そうとする。それをすかさず遮ったのは……。
「は、はーい、親指が取れましたぁ!」
 三点倒立から前転でステージ前まで一気に距離を詰めたユーイの、いわゆる『親指が取れたように見える手品』だった。
『……』
「……コスモナッツさんッ、後はお任せしようッ!」
「あ、あはは、失礼しましたーっ!!」

 登場した時と同じように、綴がユーイの手を取って風のように退場していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

明智・珠稀
■心境
ふ、ふふ。アイドルですか…!
憧れますよね、あのキラキラ…!愛らしさ…!
注目を浴びてプロデューサーさんにスカウトされればよいのですねわかりました、
たまちゃん、ミラクルチェ――ンジ!
【早着替え】【変装】
ふ、ふふ、花魁アイドルたまちゃんです。
さぁ、穴の開く程愛してください…!ふふ!
(花魁×アイドル風コスチュームにて。ムダ毛処理済みな女装姿)

■行動
これだけならば普通のアイドルですね、そうですね。

せっかくです、目立つために…!いでよ、たまちゃん2号…!
(【明智・ザ・ジャイアント】発動)

さぁ、華麗な舞いとアイドルソングを2倍お楽しみください…!
(あざと可愛くスマイル☆)

※アドリブ、絡み、ネタ大歓迎!


古高・花鳥
楽しそうな雰囲気ではありますが、人々の平穏の為の大切な依頼です

衣装は自前のセーラー服、わたしの高校のものは可愛らしいデザインですので!
それに、そういった需要もあると心得ています

ライブ中、隙を見計らって【居合咲】で桜を舞わせます
そして観客の方々の前へ
居合系黒髪ぱっつん新人アイドル、古高花鳥!
はじめましての挨拶と、持ってきた音源のCDをかけて、正統派に、清純に、一曲歌いきりますよ!

CDの音源は自前のアコースティックギターのものです
歌詞は、家族への感謝をめいっぱいポエムにして詰め込んだものです

アイドル、女の子ですから、やっぱり一度は憧れるものです
……今ぐらい少しはしゃいじゃっても、良いですよね?



●おいらんがすき? せいじゅんはがすき?
『み……みんな! ゲリラライブにはこういうこともつきものよね! でもお待たせ、いよいよ私たちの……』
 流石は人気アイドルというべきか、多少(どころではない気もするが)のトラブルにも動じない姿勢を見せつけながら、センター・アユミがいまだプンスコしているレイをなだめつつマイクパフォーマンスを再開する。
 同じ被り面が被り面をどうどうと制している様子は実にシュールだが、これが今キマイラフューチャーではブレイクしているのだというのだから世の中は本当に分からない。
 だが彼女たちは相変わらず気付いていなかった、送り込まれた刺客はまだまだたんまりと存在するのだということに……!

「ふ、ふふ。アイドルですか……! 憧れますよね、あのキラキラ……! 愛らしさ……!」
 先陣を切った猟兵たちの様子や、ステージ上のアイドルたちの姿をまとめて視野に入れられる距離から眺めていた明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)が恍惚とした様子で呟く。そのすぐ横には古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)が佇み、凛とした表情で珠稀と同じ方を見ていた。
(楽しそうな雰囲気ではありますが、人々の平穏の為の大切な依頼です)
 そんな花鳥がステージに挑む衣装として選んだのは、これまた大切な自前のセーラー服。チャイナでも魔法少女でもないが、こちら方面の需要もあると心得てのことだった。

「わたしの高校のものは可愛らしいデザインですので! 珠稀さんは……そういう衣装の舞台が確かありましたね、それで行かれるのですか?」
 去年の紅白にも出場しましたよねおめでとうございます、と言う花鳥を静かに片手で制し、珠稀は不敵に笑う。
「……注目を浴びてプロデューサーさんにスカウトされればよいのですねわかりました」
「えっ、あの、そこまでは」
「たまちゃん、ミラクルチェーーンジ!」
「きゃあっ!?」
 何と、まばゆい光が珠稀を包んだと思ったら、次の瞬間そこには――花魁の姿をした珠稀が爆誕しているではないか! 何たる早着替え! そして変装!
「ふ、ふふ、花魁アイドルたまちゃんです。さぁ、穴の開く程愛してもらいますよ……! ふふ!!」
「す……すごい、完璧な女装です……!」
(ムダ毛処理まで……完璧だった……)
 ウッキウキでステージ前に乱入していく珠稀を追って、清楚なセーラー服のスカートを翻しながら花鳥もすぐ後に続いた。ムダ毛の件は己の胸のうちに秘めて。

(これだけならば普通のアイドルですね、そうですね。せっかくですので、目立つために……ゴニョゴニョ)
(なるほどですね、分かりました! では、そのようにいたしますね)
 刹那の間に言葉を交わした珠稀と花鳥。先に動いたのは珠稀だった。
「いでよ、たまちゃん2号……!」
 説明しよう! たまちゃん2号とは、珠稀のユーベルコード【明智・ザ・ジャイアント(アケチ・ザ・ジャイアント)】で召喚される『自身の身長の2倍の【明智珠稀】』のことである! このユベコを承認したのは誰だァ!!
 ともあれ召喚されてしまったものは仕方がなく、巨大なたまちゃん2号は本家たまちゃんと動きを見事にシンクロさせて、かつ背後のステージをすっかり隠し、猟兵オンステージ状態に仕立ててみせた。

 観客がどよめく中、一瞬刀の輝きが閃いたかのように思えた。そしてはっきりと聞こえたのは、鍔鳴りの音。そして頭上から舞い散るのは――桜吹雪。花鳥の必殺技【居合咲(イアイザキ)】であった。花鳥は桜の花びらに彩られてその清楚さをさらに増し、観客の視線を一身に集める。
「――はじめまして、居合系黒髪ぱっつん新人アイドル、古高・花鳥!」
 あいさつも高らかに、先程綴がそうしたように花鳥も自前の音源をスイッチオン。正統派に、清純に、一曲歌い切る決意でキマイラたちに向き直る!

(ふ、ふふ、自前とおぼしきアコースティックギターの音に乗せて歌われる、家族への感謝の気持ち……イイ……!)
 自身も花魁姿にふさわしい華麗な舞いをたまちゃん2号と共に披露しながら、花鳥へのリスペクトも忘れない。キマイラたちに向けてのあざと可愛いスマイル☆も忘れない。

『たまちゃーん!』
『たまちゃんデカすぎてビッヘ見えないけど楽しいからいっかー!』
『花鳥ちゃん、可愛いーっ!!』

 (……アイドル、女の子ですから、やっぱり一度は憧れるものです)
 朗々と、家族への感謝の思いを目一杯ポエムにして詰め込んだ自作の一曲を披露しながら花鳥は思う。そんな彼女を包み込み彩る桜吹雪。沸き立つキマイラたち。
 (……今ぐらい少しはしゃいじゃっても、良いですよね?)

 どうぞどうぞ!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

栗花落・澪
音楽なら負けないもんね!
響く【歌唱】と踊りで注意を引く
常に笑顔は忘れずに

白と桜色でルクリアの精をイメージしたアレンジ和装(短パン風)
袖を靡かせ舞いながら歌い
サビ前に上空へ
★Staff of Mariaを上向きに構える

氷の【全力魔法】により
内側が空洞になっている大きな氷の花の模型を作り
その中に入れ込むようにUC発動
透き通る水色がルクリアの花弁で桜色に染められ
サビと同時に内側から粉々に粉砕されれば
無数の花弁とダイヤモンドダストが降り注ぐ【パフォーマンス】
陽射しの下ならきっと殊更輝くね

ルクリアの優しい香りで
花言葉『においたつ魅力』を体現
目や耳だけでなく嗅覚でも楽しめる
それが僕のスタイルだよ♪



●てんじょうのうたごえ
 ありがとう、ありがとうと手を振りながらステージの前を去っていく花魁アイドルとセーラー服アイドルの二人。残された『the Big Heads』のメンバー総勢25人はいまだあっけに取られている。
 その機を逃さず、入れ替わるように登場したのは栗花落・澪(泡沫の花・f03165)。ルクリア――アッサムニオイザクラという花の精をイメージした、白と桜色の短パン風アレンジ和装の出で立ちで、袖をなびかせステップを踏みながらステージ上に立つ。

「音楽なら負けないもんね!」
 清々しいまでの宣戦布告であった。そこで遂に『the Big Heads』のメンバーたちは、今までの闖入者たちが偶発的なトラブルによるものではなく、意図的に自分たちのライブを妨害しに来たのだと気付くに至る。
『私たちのゲリラライブの情報をどこで手に入れたかは知らないけど……そんな邪魔になんて、絶対に負けないんだから!』
『うん! 行くよ、みんなっ!!』
 呆けて見ている訳には行かないと、あくまで歌と踊りで対抗すべく音響さんに合図を送り『the Big Heads』側もミュージック・スタート、どこか我々の認識で言うところの中華テイストを盛り込んだポップな音楽が流れてくる。

 しかし澪も宣言通り『負けてはいない』、小柄な身体のどこからこんなと思わせる声量の歌声は『the Big Heads』全員の合唱パートにも負けじと響き渡り、観客のキマイラたちがどちらの歌を選り分けて聞こうとしているかは、身体が自然と取るリズムから澪の側の歌であるとひと目で見て取れた。
 「いっくよー!!」
 サビの直前、澪は背中の翼を大きく広げて舞い上がると、愛用のエレメンタルロッド「Staff of Maria」を上向きに構える。そしてそこから放たれたのは、内側が空洞になっている大きな氷の花。

『すげえ! 飛んだ!』
『氷の花……きれい……』
『綺麗な歌声……もっと良く聴きたい……』

 空を見上げて澪を注目するキマイラたちは、さらに驚愕することとなる。
 天上から至高の音楽を紡ぐ澪が、曲が最高潮に盛り上がるいわゆるサビの部分に入ると同時に、先程放った氷の花の空洞部分目がけて必殺の【Orage de fleurs(オラージュ・ドゥ・フレア)】を撃ち込んだのだ。
 放たれた無数のルクリアの花弁はうっすら水色をしていた氷の花を桜色に染め上げ、そして内側から粉々に粉砕する。熱唱する澪の周りを無数の花弁とダイヤモンドダストが彩っていき、観客の心を完全に魅了した。

『……こんなに綺麗な演出、初めて見た』
『陽射しが反射してキラキラしてる……』
『それに、なんだかいい匂いがする……?』

 漂うのは、ルクリアの花の優しい香りだった。ルクリアの花言葉は「においたつ魅力」、それを澪は見事体現してみせたのだ。
(目や耳だけでなく、嗅覚でも楽しめる。それが僕のスタイルだよ♪)

 僕? 今『僕』って言った?
 言いました。観客の注目を奪われてすっかり意気消沈な『the Big Heads』のメンバーも、観客のキマイラたちも、もしかしたら同行の猟兵たちさえも気付いていないかも知れませんが――栗花落・澪は、正真正銘の、男子です。

成功 🔵​🔵​🔴​

アヤカ・ホワイトケープ
わたし達がゲリラライブに乱入、かあ
それにしても、胡散臭い被り物と言うのがなんとも言葉にしづらいわね…

【WIZ】
ここはやっぱりストレートに歌唱力でぶつかっていくわ!
これでも楽器演奏と歌は割と出来る方だと思ってるから、ね
ガールズバント的な演出って感じかしら?

まずは【コミュ力】で軽く挨拶。掴みは大事よね
エスペランサをギターモードにして、そこから【パフォーマンス、楽器演奏】でミュージックスタート!
【歌唱】でみんなのハートを掴んで【鼓舞】で煽るような感じでアゲていくよ!
いい感じにノってきたら、シンフォニック・キュアでハートを癒して〆るわ

さて、わたし達の歌はどこまで通用するかしら…?
(他者との絡み歓迎!)


竜石堂・はつら
アイドルさん達が夢と希望となんだかを歌っているのにそれを利用するだなんてはつらさんは酷いと思います!
なので、はつらさんは歌って踊ります!
衣装はいつものセーラー服ですが、大丈夫です、はつらさんはとても元気ですから!

はつらさんが歌うのは人生的な応援歌です!
聞いてください、ばいとおんざばれっと!


一体どれだけ歩き続けよう
どこに何があるんだろう
なんにもわからないけど
ここで止まるわけにはいかないから

ばいとおんざばれっと 歯を食いしばって
ばいとおんざばれっと 道のその先へ
後悔なんて噛み砕いて
艱難辛苦吹き飛ばして
自分だけの足跡続く未来へ


ぴょんぴょんぺたぺた跳ね回って皆さんと楽しんでいきましょー!



●わたしたちのうたをきけー!
 普段通り、いやそれ以上の全力で歌ったつもりだった、踊ったつもりだった。音響もバッチリ、サビの紙吹雪も完璧なタイミングで舞い散ったはずだった。なのに、相手はもっとド派手な演出と、何より人並み外れた歌唱力でもって自分たちを、トップアイドルであるはずの自分たち『the Big Heads』を圧倒した。
『信じられない……』
『ず、ずるいよ、あんなの……』
 ステージ上で、メンバーたちが一人、また一人と膝を折っていく。

 そこへ。
「アイドルさん達が夢と希望となんだかを歌っているのに、それを利用するだなんてはつらさんは酷いと思います!」
『り、利用!? 何言って……』
「なので、はつらさんは歌って踊ります!!」
『人の話聞いて!?』
 ステージ上の『the Big Heads』メンバーたちにがっつり向き直って宣言したのは、竜石堂・はつら(どこかのはつらさん・f01374)だった。『the Big Heads』のメンバーたちはプロデューサーにしてオブリビオンでもある黒幕の思惑については一切知らされていない、言ってしまえば駒に過ぎない存在である。なればこそ、彼女たちを一刻も早く解放せねばならないのだ。

(わたし達がゲリラライブに乱入、かあ……)
 人の話を聞かないことにていひょうのあるはつらさんを見やりながら、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)もまた愛用のサウンドウェポン「エスペランサ」を一撫でしつつ思いを馳せる。
「それにしても、胡散臭い被り物と言うのがなんとも言葉にしづらいわね……」
 そうなのだ。何故今まで誰もいぶかしがらなかったのか。だってみんな同じ顔で同じ格好だよ!? 何で誰推しとか区別つけられるの!? えっ、キマイラフューチャーではいつものこと? そ、そうですか……。

 ともあれ、そんなアヤカもまたはつらと同じく、ストレートに歌唱力でぶつかっていくつもりであった。そして楽器の演奏と歌については割と出来る方だと自己評価をするアヤカは、はつらを即興のパートナーとしてガールズバンド的な演出を閃いたのだった。

「こーんにちはー! そういうわけで、次はわたし達の番! よろしくね!」
 挨拶大事、掴みも大事。アヤカがはつらのすぐ横に並んでにっこり笑顔で『the Big Heads』と観客のキマイラたち双方に声をかけると、「エスペランサ」をイカしたギターモードに変形させギュイーンとひと鳴らし。はつらに準備は良いかを問う。
「衣装はいつものセーラー服ですが、大丈夫です! はつらさんはとても元気ですから!」
「そ、そうね、セーラー服、とても似合ってるわ……! ミュージック・スタート!」
 一抹の不安を覚えつつもアヤカがギターをかき鳴らし始める。即興だ。はつらはどこまで付いて来られるか――!?

「――はつらさんが歌うのは人生的な応援歌です! 聞いてください、『ばいとおんざばれっと』!!」

 わああああぁぁぁぁぁぁ!!!!!

 最初からかっ飛ばすアップテンポのギターに、元気印のセーラー服少女が大きく跳ねる姿に、観客はのっけから大盛り上がりだ!

 ♪一体どれだけ歩き続けよう
 ♪どこに何があるんだろう
 ♪なんにもわからないけど
 ♪ここで止まるわけにはいかないから

 完璧だった。
 はつらの歌にアヤカのギターが合わせているのか、それとも逆なのか。もはや分からぬほどに、まるで事前に打ち合わせでもしたかのごとく、歌と踊りはとどまるところを知らずに流れるように続いていく。
 時折合いの手を入れるようにアヤカが声を上げて観客を煽り、アゲていくことも忘れない。

 ♪ばいとおんざばれっと 歯を食いしばって
 ♪ばいとおんざばれっと 道のその先へ
 ♪後悔なんて噛み砕いて 艱難辛苦吹き飛ばして
 ♪自分だけの足跡続く未来へ

 サビが繰り返された時は、観客のキマイラたちも、ギターのアヤカも一緒になっての大合唱となった。そして会場のテンションが最高潮に達した時、アヤカの【シンフォニック・キュア】が文字通りキマイラたちのハートを癒し、はつらはぴょんぴょんぺたぺた跳ね回って全身で楽しさを表現する。
 ――そうして、はつらと二人の即興デュオのステージは〆となった。

『いいぞー!! はつらさーん!!』
『ギターのおねーさーん! 素敵だったー!!』
『(嗚咽)』

 自分たちの歌はどこまで通用するものかと思っていたアヤカは、そういえばと自分の名前を名乗るのを忘れていたことに気付く。

「……ボーカル、はつら! ギター、アヤカ! ありがとーう!!」
『アヤカーっ!!』
『はつらーっ!!』

 二人を讃える歓声は、しばらく止むことがなかったという。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルティ・アルディリア
あたし的アイドル論!考えるな、感じろ!って事で、インパクトと勢いでみんなの目を引きつけちゃうよっ☆

他のみんなのゲリラ乱入で目を奪われてる隙をついて、『the Big Heads』のコスプレお面を被ってメンバーに紛れ込むよ♪そして頃合いを見て
「まだまだ終わらないよ!ゲリラ乱入は外からだけとは限らないっ☆」
とシャウトしながら飛び出してお面をバッ!と外して空へ向けて投げ、そのポーズのまま
「ヴァリアブル☆シンフォニッカー!キミ達のハートをジャックしにやって来たよっ☆」
「みんなー!!今日も思いっきりハイテンションで楽しんでるー?」
って観客に呼びかけてあたしの存在をアピールしちゃうよっ


劉・涼鈴
POW
みんな踊ってるー!
私も混ぜてー!
いぇー!

最新のセオリーはよく分かんないけど、とりあえず勘でリズムに合わせて踊るー!
かくとうタイプだから拳法の動きを取り入れて、ビシッとキレのいい感じで踊るよ!
身長がちっちゃいから、ぴょんぴょん跳ねて目立とう!



●てきはないぶにあり
 猟兵たちへの歓声止まぬ噴水広場。元々キマイラたちは新しもの好きなのだろう、『the Big Heads』も登場時こそ物珍しかったと推測されるが、今こうして次から次へと超新星たちが入れ替わり立ち替わり登場してくる状況に、彼らの興味はすっかり『さらに新しいもの』へと移ってしまったのだった。

『これじゃ……私たち、何しに来たのかわかんないよぉ』
 被り面の下はきっと涙目なのだろう、元々気弱なロゼというメンバーがステージ上にぺたんと乙女座りでうなだれる。
『ロゼ、しっかり! さすがにもうあんな連中……』
 それを隣にいたサクラが腕を取り助け起こそうとした、その時だった。

 自分たちと同じ被り面にチャイナ服、しかしステージ上のメンバーが誰一人として知らない『26人目』が、意気消沈しつつあった『the Big Heads』たちの間を華麗なフットワークで通り抜け、ステージの最前列まで来るとカッコいいポーズで立ち止まった。
「――まだまだ終わらないよ! ゲリラ乱入は外からだけとは……」
 謎の26人目は被り面に両手をかけると、一旦切った言葉を被り面を豪快に空へ向かって放り投げながら続けた。
「……限らないっ☆」
 そして被り面の下から現れた美少女の正体こそ――直前のはつらとアヤカのステージの盛り上がりに乗じて『the Big Heads』の格好をしてこっそり紛れ込んでいたフォルティ・アルディリア(ヴァリアブル☆シンフォニッカー・f05860)であった!

 ピースサインを横に構えて目元に添えたあざと可愛いポーズをキメつつ、フォルティは猟兵としては初めてステージの上から観客のキマイラたちに向けて叫ぶ。
「ヴァリアブル☆シンフォニッカー! キミ達のハートをジャックしにやって来たよっ☆」
(あたし的アイドル論! 考えるな、感じろ! って事で、インパクトと勢いでみんなの目を引きつけちゃうよっ☆)

『えっ!? ビッヘのメンバー!? 違うよね!?』
『いつの間にか一人増えてた! 気付かなかったとは……』
『青髪に赤チャイナとか超かわいい!』
『うおー! いいぞーっ!!』

 ノリと勢いとテンションは実際大事だ。その点フォルティのパフォーマンスは観客たちのハートを見事ガッチリキャッチしてみせ、その注目を引き続き猟兵側に釘付けにすることに成功していた。
 よし、と手応えひとつ。もはや音響までも味方につけたフォルティは、流れてきたテクノミュージック風の楽曲に合わせてターン、ステップ、ジャンプと軽やかなダンスを披露する!

「みんな踊ってるー! 私も混ぜてー!」
 そこへフォルティと同じく『the Big Heads』のメンバーと揃いのチャイナ……と思いきや、これは自前! 自前です! 深いスリットが入った紅色に金の龍も鮮やかな自前のチャイナ服を身にまとった劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)選手の乱入です!!
「いぇーーーーーー!!」
「いいテンションだね♪ よし、二人で踊っちゃおう☆」
 最新のセオリーはよく分からない。だが、勘でリズムに合わせて踊るのならば任せて欲しい!
 かくとうタイプ(ぼくよくわからないんですがフェアリーによわいんでしたっけ)だからと拳法の動きを取り入れて、元々キレッキレなテクノサウンドとも相まってビシッとキレの良いダンスを次々と繰り出していく涼鈴。フォルティとの相性はばつぐんだ!

「みんなー!! 今日も思いっきりハイテンションで楽しんでるー?」
『イエエェェェェェェイ!!!』
 拳を突き上げ応えるキマイラ達と、背の低さをぴょんぴょん跳ねる動きで補おうと頑張る涼鈴。そして上々な反応にご機嫌で最高の笑顔を見せるフォルティ。

『……そんな……音響さんまで……』
『みんな、あいつらのことばっかり……』
 フォルティと涼鈴の背後では、いつも笑顔(の被り面)が信条の『the Big Heads』のメンバーたちが、徐々にどす黒い感情に包まれつつあったのだが、テンションマックスな二人は最後までそのことに気付くことはなかった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アメリア・イアハッター
アイドル!?(ガタる)
私も帽子被り系アイドルとして黙っていられないね!

・テーマ
帽子被り系アイドル~イケメンスーツ風~
カッコイイを目指す

・衣装
目深に被った赤いテンガロンハット
緩めに着こなした男物スーツ

・行動
宇宙バイクに跨りエンジン音を大きくふかして注目を集めた後、ライブに乱入

バイクをカッコよく止めて飛び降りた後、脚の動きをメインにしたダンスパフォーマンス
踊る曲は味方の曲でも敵の曲でも無音だってOK
瞳が帽子の隙間からたまに見える程度に計算し踊る

こっちに注目してくれた観客がいれば錬成カミヤドリで複製した帽子をカッコよく投げて被せる
敵と同じ発想だけど、同じグッズを身に着ける一体感っていうのは大事だよね


テティス・ウルカヌス
「アイドルと言われたら、この美少女アイドル(自称)のテティスちゃんの出番です!」

今回はライブのお仕事ですね!(猟兵の任務をアイドルの仕事と勘違い中)

ニコプロデューサーさんから言われた通り、the Big Headsとやらのゲリラライブを、この私のライブで乗っ取ってあげましょう!

早速、自前のアイドル衣装で公園の噴水広場に登場し、アイドルグループのゲリラライブに乱入です!

「ふっふっふ、この天才的美少女アイドルの歌唱力、見てくださいっ!」

【天使の歌】を歌って、キマイラの皆さんのハートを鷲掴みですっ♪

「あれ?
皆さん、そんな気絶するほど喜ばなくてもいいのに。
もう、オーバーなリアクションなんですからっ♪」



●ぱふぉーまんすとりさいたる
 テクノサウンドの終わりと共にステージ上をさも当然のように去っていくフォルティと涼鈴の二人と入れ替わるように、さらに二人の猟兵が己のアイドル力(ちから)を存分に見せつけるべく登場した!

「(宇宙)バイクで来たわよ! 帽子被り系アイドル~イケメンスーツ風~、アメリア・イアハッターとは私のことよ!」
 あっ台詞の中で先に名乗られちゃった。目深に被った赤いテンガロンハットと緩めに着こなした男物のスーツ姿で、愛車である宇宙バイクにまたがりエンジンをひと際大きくふかし、観客たちの注目を集めたのはアメリア・イアハッター(想空流・f01896)。

 ギャギャギャッとバイクをステージ前にカッコよく横付けると飛び降りる。そんなアメリアの反対側から猛ダッシュで登場したのはテティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・f12406)、『自称』天才美少女アイドルである。自前のアイドル衣装で実際見た目はカワイイヤッター!
「徒歩で来ました! アイドルと言われたら、この美少女アイドル(自称)のテティスちゃんの出番です!」
 テティスはアメリアの方を向くと屈託のない笑顔で言う。
「今回はライブのお仕事ですね! 頑張りましょう!」
「え? ……ええそうね、頑張りましょう!」
 この娘もしかして猟兵の任務をガチのアイドルの仕事と勘違いしてやしないかという疑惑がアメリアの脳裏をよぎるが、まあ何とかなるでしょう! と脳内で結論づける。
 かくしてアメリアはダンスで、テティスは歌唱でそれぞれパフォーマンスを魅せることと相成った。

(ニコプロデューサーさんから言われた通り、『the Big Heads』とやらのゲリラライブを、この私のライブで乗っ取ってあげましょう!)
 依頼内容としては何一つ間違えたことを言っていないあたりが強い。彼女ならあるいは、言うなれば心が折れかけている状態の『the Big Heads』に、トドメを刺せるのではないだろうか――!?

「ふっふっふ、この天才的美少女アイドルの歌唱力! 見てくださいっ!!」
 そう観客たちに呼びかけると、テティスは大きく息を吸い――歌った。【天使の歌(デビルズ・ソング)】と名付けられた、禁忌のユーベルコードを、解き放った。
 ――「聴くに耐えない殺人的に下手な歌声」を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する――
 このユベコを承認したのは誰だァ!!(本日二度目)もちろんこの必殺技は噴水広場に集ったすべてのものに等しく襲いかかり、テティスが聴かせたかった対象である観客のキマイラたちはもちろん、ステージ上の『the Big Heads』もバタバタと倒れこむ、文字通りの死屍累々の有様を生み出したのだった。
「……あれ? 皆さん、そんな気絶するほど喜ばなくてもいいのに」
 間一髪、危機を察知して耳をふさいだアメリアが恐る恐るテティスを見やる。
「もう、オーバーリアクションなんですからっ♪」
 きゃるん☆ テティスは物言わぬ観客たちに向けて、決めポーズをひとつ手向けた。

(テティスちゃん、恐ろしい子……!)
 観客たちが頭を振りながら徐々に立ち上がりはじめ、パフォーマンスが再開できそうだと判断したアメリアは、次は自分だとばかりにスッとその美脚をオーバー気味に動かしては観客の注目を集め始める。音響さんも現在伏して動かないのでBGMこそない状態だが、そこは自然と発生した観客たちからのクラップが後押ししてくれた。
(……よし、今ね!)
 観客たちの中でも特に自分に釘付けになっていると思われるキマイラたちを選んで、アメリアは自身の本体である帽子を――そう、アメリアは元々赤い帽子のヤドリガミなのである――合計21個複製し、シュバッとカッコ良いポーズを決めながら放り投げ、スポンスポンと被せて回る。
「敵と同じ発想だけど、『同じグッズを身に着ける一体感』っていうのは大事だよね」

『うおお、この帽子かっちょええ!』
『ビッヘもだけど、やっぱりお揃いってイイよね!』
『いいなー、うらやましいなー』

 アメリアのダンスを求める手拍子はいまだ止まず、アメリアもまたそれに応えて力の限りステップを踏み続けるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セリオス・アリス
ようは目立って歌えばいいってことだろ?

高所から登場
声を『鳥籠の反響』で響かせて

The party is over. Now the real work begins.

言って飛び降りながら風の魔力を靴に
ふわっと髪を靡かせ着地
顔を上げると同時に囁くように

Are you ready?

バックステップで立ち上がりながら歌い出し
『歌唱』しながら舞いでもするように仮想敵に向けて剣や拳、蹴りを繰り出す
ギリギリまで客に近よりウィンクしたりサービスしながら
最前の観客から『誘惑』していこう

最後はどでかいのを打ち上げてやるよ
上に向けて水の『属性攻撃』
そこに【蒼牙の刃】を打ち込み水を弾けさせ
キラキラと反射する光の中礼



●きらきらのあいどるはだあれ?
 心身ともにすっかりへばってしまっているステージ上の『the Big Heads』を、セリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)は果たしてどのような思いで見下ろしていたのだろう。
 彼は驚くべきことに公園の街灯の上に立ち、一部始終を見届けていたのだ。そしてこの場に集った猟兵たちのトリとして今その姿と歌を披露せんとしていた。

「The party is over. Now the real work begins.」

 ヘッドセット型の拡声器「鳥籠の反響」で自身の声を広場中に響き渡らせ注目を集めると、流暢な異国の言葉と共に街灯の上から飛び降りる。わっと声を上げるキマイラたち。しかしセリオスはその黒い長髪をふわりとなびかせながら、魔法のブーツ「エールスーリエ」に風の魔力を取り込み難なく着地してみせると、顔を上げてささやいた。

「Are you ready?」

『Yeaaaaaaaaaaaaaaaah!!!』
『キャーーーーーッ! イケメンよーーーーー!!』
『(嗚咽)』

 そう、今回の刺客たちは大半が女子、ないしは女装で攻めてきたのだ。そしてここに来ての正統派男性アイドルの登場は、会場を大いに沸かせてみせた。
 バックステップで立ち上がりながら歌い出し、そのままあたかも仮想敵が存在するかのごとく剣戟や拳、蹴りを繰り出して魅せるセリオス。こういうの知ってます、2.5次元ミュージカルって言うんですよね! え? 違う?

『ギャーッ近いーっ!!』
『今こっち見た! ウインクしたよ!!』

 主に女子キマイラたちが気絶寸前の大騒ぎである。何故ならセリオスがギリギリまで最前列の観客たちに近寄ってウィンクをしたり指で顎を軽く持ち上げるなどの大サービスをしながら、端的に言うと「誘惑」していったのである。大丈夫? 死人出てない?

(最後は、どでかいのを打ち上げてやるよ)
 スッと観客たちから一歩引いたと思うや、セリオスは上空に向けて大きな水の塊を撃ち出す。そしてその水塊に向けて【蒼牙の刃(アズール・ファング)】の衝撃波を撃ち込み水を弾けさせ――まるで降り注ぐ雨のように落ちてくる水の粒は、太陽の光を受けてキラキラと輝く。

 キラキラの光と水の中、〆の一礼をするセリオス。
 目をキラキラさせて、大歓声を送る観客たち。
 そして――水にぬれそぼりながらステージ上でグッと拳を握る『the Big Heads』。

 観客のキマイラたちの心はもはや猟兵たちのもの。ステージ上に取り残された『the Big Heads』たちは、今まで味わったことのない屈辱に打ち震えるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『大頭頭ズ』

POW   :    x形拳
【様々な生物や機械、自然現象等を模した拳法】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    i極拳
【健康体操のようにも見える連続した攻撃動作】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    n卦掌
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【大地の中を走る気の流れの噴出点(龍穴)】から排出する。失敗すると被害は2倍。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ぼうりょくはいけません!
 自分たちの出番が一通り終わった猟兵たちは、『the Big Heads』の動向に注目する。事前情報によれば『彼女たちの被り面を破壊すれば解決する』とのことだが……?

『……許さない、私たちのライブをメチャクチャにして……絶対に許さない……!』

 被り面の表情は変わらない。だが、センターを務めるアユミの声音はアイドルのそれとはもはや程遠い、どす黒い憎しみに満ちたものであった。普通に考えれば彼女たちの怒りはごもっともなのだが、今回は申し訳無いが裏でオブリビオンが手を引いている以上、捨て置くことはできないのだ。
 ――そもそも、元々普通の女子キマイラであるはずの彼女たちから、猟兵たちとも互角に渡り合えそうな勢いの力を感じるのか? それが何よりの答えであった。

 猟兵たちは危険を察知し、ある者は観客たちをステージから遠ざける。
 またある者は率先してステージに上がり牽制する。
 さあ、悪に操られた哀れな少女たちを解き放つ時が来た。忌まわしい被り面を割るだけで良い、いわゆる峰打ちとも言って良いだろう。猟兵たちの任務は、まだまだ続く!
明智・珠稀
■姿
相変わらずの花魁アイドルのまま真の姿となり
白い羽根が生えている
「属性盛りすぎですか、そうですね、ふふ!」
ステージに華麗に降り立ち

■戦闘
ふ、ふふ。
たまちゃん理解しました。
脱がして仮面を割り恥ずかしそうな表情を堪能する。
(UC【行け!たまちゃん人形!】を発動)
さぁ、お行きなさい105体のたまちゃん人形…!
推しを見つけて脱がして晒して割るのです、ふふ…!

(自身も愛刀にて【パフォーマンス】で乱舞しまくりつつ)
割って割って割りまくりましょう…!
仮面などをつけなくても貴女の愛らしさは超ド級ですよ、ふふ…!
(嬉々として妖剣を振るう花魁アイドル)
ポロリもありますよ…!

※アドリブ、絡み、ネタ大歓迎です♡


セリオス・アリス
アドリブ歓迎

手加減が一番苦手なんだがな…
だがまあ、アイツら(オブリビオン)みたいに血を好む質でもねえ
適当にやるさ

敵の攻撃は見切り回避に重点をおき余り反撃しないよう努める
その上で、見てるヤツらが怖がるんじゃなく楽しめるような
派手な動きができれば上等だ

【望みを叶える呪い歌】を歌いスピードをあげ先制攻撃…といきたいとこだが直接は斬りつけねえ
雷のを剣に纏わせ目の前でスパークさせる
そぉら目潰しだ!
動きが止まったら
拳法を封じるようにぐっと腰を引き寄せ
かるーく
かるーーーく剣で被り物を撫で斬り
それか拳に衝撃波を集めて面だけ粉砕

ああ?なんだ、そんなもん被ってねえ方がかわいいじゃねえか



●かたなつかいってかっこいいですよね
 最初にステージ上に躍り出て、今や禍々しい気配すら放つ『the Big Heads』のメンバー達に挑んだのは明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)とセリオス・アリス(ダンピールのシンフォニア・f09573)の美丈夫二人。

 珠稀の方はライブバトルの際に着用した花魁アイドルの格好もそのままに、さらに真の姿を解放したものだから背中に純白の羽根が生えていた。
「属性盛りすぎですか、そうですね、ふふ!」
 アッ、ご自身でも自覚がありましたか! そんな珠稀がステージに華麗に降り立つ姿は遠巻きに見ていた避難中の観客たちの目線を一瞬釘付けにしたとか何とか。

 一方のセリオスはシンプルな出で立ちながら、生来の美貌と立ち居振る舞いだけで『the Big Heads』たちに強い対抗心を生じさせていた。
(手加減、か……それが一番苦手なんだがな……)
 やれやれといった体で『the Big Heads』たちを一瞥すると、観客たちの避難があらかた完了したことを確認し、いざ参るとばかりに向き直る。
「だがまあ、『アイツら』みたいに血を好む質でもねえ。適当にやるさ」
 セリオスの言う『アイツら』とはすなわちオブリビオンの事である、相手が連中であるならばなおのこと上手くやってみせよう、そう思って隣の珠稀を見ると――!?

「ふ、ふふ。たまちゃん理解しました」
「おい、何をだ」
「――脱がして仮面を割り恥ずかしそうな表情を堪能する……ッ!!」
「この変態が!?」
 セリオスが思わずその整った顔を崩してまでツッコミを入れるが、珠稀は変態上等とばかりに嬉々としてユーベルコードを発動させる。
「さぁ、私ともっともっともっと戯れましょう……! 【行け! たまちゃん人形!】」
 ――愛に包まれてください、ふふ……!
 そうして召喚されたたまちゃん人形、その数実に105体。それらが一斉に動き出し、自分の推しを見つけて、脱がして、晒して、割るべしとの主の無慈悲な命に忠実に従い、『the Big Heads』に襲いかかる!

『キャーーーーッ!! 誰か男の人呼んでぇーーーーッ!!』
『服引っ張っちゃダメだよぉ!?』
『あっ、こら、握手は順番にね!!』

「お、おいちょっと待て、危ねえ!」
 『the Big Heads』の面々は基本的にたまちゃん人形からキャーキャー逃げ回るのに必死で、セリオスに気付けばハッとなって慌てて攻撃してくるという混乱の極みの中にいた。元より敵の攻撃に対しては回避に重点を置き反撃は最低限に努めようとの指針を己の中に置いていたセリオスにとっては、積極的に攻撃されないのはある意味幸いではあった。
 もっと言えば、観客たちを極力怖がらせることなく、楽しんでもらえるような派手な動きができれば……と思っていたところにこの事態。別の意味で非常に愉快なことになったなと頭をひとかきするセリオスであった。

「ああもう、しょうがねえな――【望みを叶える呪い歌(アズ・アイ・ウィッシュ)】」
 セリオスの歌声は、根源の魔力を呼び起こして術者に様々な恩恵を与えてくれる。そのうちの一つである「高速移動」を駆使して、ステージ上を逃げ回る『the Big Heads』のひとりの前に瞬時に回り込むと、雷の魔力を愛剣「青星」に纏わせ、少女の目の前でスパークさせた!
「そぉら、目潰しだ!」
『きゃあっ!?』
 思わずその場に立ちすくむ少女の拳法を封じるように、セリオスはぐっと少女の細い腰を引き寄せる。その時観客から沸き上がった歓声やら悲鳴やらときたら、それはもう凄かったと当時を振り返る人は誰もが言ったとか何とか。美少女アイドル(被り面)と美青年の顔が近い案件ですからね、しょうがないね!
「かるーーく、かるーーく……クソ、難しいな……っと!」
 そうして間近に迫った狙いの被り面にそっと、本当にそっと剣を沿わせて撫で斬りにして――パカリと、被り面を両断してみせたのだった。

「……ああ? なんだ、そんなもん被ってねえ方がかわいいじゃねえか」
『……!!!』
 正気に戻ってみればいきなりイケメンの顔が近い、少女が絶句するのも無理もない。しかも「かわいい」などと……! 元々自分の容姿に自信がなくて、でも歌だけは人一倍得意だったから、なればこそと『the Big Heads』に入ったキマイラの少女――ユキは、初めて自分を認めてくれたひとの姿をしかと目に焼き付けたまま、たまらずその場に崩れ落ちた。

「そう、仮面などをつけなくても貴女の愛らしさは超ド級ですよ、ふふ……!」
 一方のたまちゃんこと珠稀は絶好調であった。「妖刀【閃天紫花】」を手に嬉々として舞いながら、パカーンパカーンと少女たちの被り面を割っては、その手を取って甘い言葉を囁いていく。
 被り面から解放された少女たちは、珠稀の美貌と属性てんこ盛りの出で立ちとのギャップに困惑しながらも、ただ圧倒されてコクコクと頷くばかりであった。

「さあ、次はどなたを推しにしましょうか……ふふ……!」
 そう言って立ち上がった珠稀の花魁衣装の肩口がはだけて、ああっ、明らかにメンズと分かってしまう胸元が露わに! だって本人が「ポロリもありますよ」って言うから! 早く! 早く隠して! アイドルはファンの夢を守るものだから――!!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

テティス・ウルカヌス
「なるほど、次はヒーローショーですね!
ヒーローショーのお仕事も、この天才美少女アイドルのテティスちゃんにお任せあれっ☆」

相手は、なんか戦闘員っぽく同じ格好をしたお面の人たちですね!
ふっふっふ、ダンスで鍛えた、テティスちゃんのキレッキレの動きをご披露しましょう!

「美少女アイドル戦隊、アイドル☆イェーガーのイェーガーレッド、参上ですっ!」

【スカイステッパー】で空中を華麗に飛び回りながら
戦闘員さんたちとバトルです!

このテティスちゃんの華麗なアクションで観客を魅了しちゃいますよっ!
(なお、アクションは下手)

「それにしても、25人も戦闘員役のアルバイトを雇うなんて
結構豪華なヒーローショーですねー」


劉・涼鈴
ふふーん、頭数と勢いだけで売ってるからそーなるんだよー
功夫が足んないよ、功夫が

ふーん、ざっと見た感じ、内家の流れを汲んでるかな?
オブリビオンのおかげでパワーは跳ね上がってるみたいだけど……
でもやっぱ基礎が雑だね、稽古つけてあげる!

どりゃあああああっ!!!って【気合い】と【存在感】を叩き付けて、
防御しようとしたところを逆手にとって関節極めて(【グラップル】)、
動けなくしてお面を叩き割るよ(【怪力】【鎧砕き】)
あとはもう触れる端からブチ砕いていく!
ステージ踏み砕く勢いで踏み込んで【灰燼拳】ッ!
そのお面と私のツノ、どっちが強いかしょーぶだ! 頭突きー!


アヤカ・ホワイトケープ
出たわね、被り物軍団!…あ、ちょっと違うかしら
とにかく、あの胡散臭い頭のアレをどうにかすればいいのね?
わたしのワイヤーストリングスで細切れ…にするのは中の子達が危ないか。

わたしの歌、まだまだ続けるよ!
エスペランサはギターモードのまま、さっきと同じパターン【歌唱、鼓舞、パフォーマンス、楽器演奏】で行くわ
ただし、勇気と力の歌を【範囲攻撃】であの子達にも聞かせてあげる!
あの被り物が頭から取れたら【早業】を用いて、ワイヤーストリングスで絡め取って、そのまま細切れにするわ

それにしても、黒幕は一体何を考えてるのかしら…?狙いは一体なんなの…?



●いーあるかんふーひーろーしょー・おんすてーじ!
「ふふーん、頭数と勢いだけで売ってるからそーなるんだよー」
 功夫が足んないよ、功夫がと言いながら人差し指をチッチッと左右に振ってみせるのは劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)だ。涼鈴は抜かりなく戦闘態勢にある『the Big Heads』たちを見やると、一人納得した表情で大きく頷く。
「……ふーん、ざっと見た感じ『内家』の流れを汲んでるかな? オブリビオンのおかげでパワーは跳ね上がってるみたいだけど……」
 ちなみに内家とは太極拳・形意拳・八卦掌など指す、中国武術の専門用語である。ヤバい、ガチ勢のひとが来ちゃった……!
「でもやっぱ基礎が雑だね、――稽古つけてあげる!」
 そう言って不敵な笑みを浮かべると、先程の大騒ぎからは一変して敵意をむき出しにして襲いかかってくる『the Big Heads』たちに向かって構えを取る。

「どりゃあああああっ!!!」
『ひっ……!?』
 突如上がった涼鈴の裂帛の気合いの叫びに、思わずひるんで足を止める『the Big Heads』たち。思わず己をかばう格好を取った少女たちのうち一人に目を付けた涼鈴は、すかさずそれを逆手に取って関節を極め、動きを封じる。
『痛っ、やめ……!』
「ダーメ、残念でしたー!」
 空いた方の手を手刀の形にして、涼鈴は恐るべき怪力をもって思い切り被り面を――叩き割った!

「出たわね、被り物軍団! ……あ、ちょっと違うかしら」
「なるほど、次はヒーローショーですね!」
「ちょ、ちょっと違う気もするけど、今の所はそれで間違ってもなさそうね……」
 一方その頃舞台袖では、アヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)とテティス・ウルカヌス(天然系自称アイドル・f12406)が、いつ自分たちも飛び出していこうかと様子をうかがっていた。
「とにかく、あの胡散臭い頭のアレをどうにかすればいいのね? わたしのワイヤーストリングスで細切れ……にするのは、中の子達が危ないか」
 自身の両手に内蔵されたワイヤーの使用を検討するも、少女たちに被害が及ぶおそれを懸念して断念するアヤカ。
「大丈夫です! ヒーローショーのお仕事も、この天才美少女アイドルのテティスちゃんにお任せあれっ☆」
 一方、先行して大立ち回りを演じている涼鈴の様子をキラキラした目で見つめながら、今にも飛び出しそうな勢いでウズウズするテティス。

「わかったわ、私は歌うのを続けるから、あなたは思いっきりヒーローショーをしてきて」
「任されましたっ!」
 確認ひとつ、二人は同時に舞台袖から飛び出すとそれぞれの得意な間合いを取る。アヤカは若干距離を置き、テティスは舞台の中央、思い切り目立つ所だ。
(相手は、なんか戦闘員っぽく同じ格好をしたお面の人たちですね!)
 言われてみれば『the Big Heads』の面々は悪の組織の戦闘員よろしく皆が皆お揃いの顔と格好をしている。テティスがヒーローショーと勘違いするのも仕方がない。
「ふっふっふ、ダンスで鍛えた、テティスちゃんのキレッキレの動きをご披露しましょう!」
 サウンドウェポン「エスペランサ」をギターモードにしたまま、いつでも曲を始められるように構えたアヤカに一度目配せをすると、テティスは高らかに宣言した。

「――美少女アイドル戦隊、アイドル☆イェーガーの『イェーガーレッド』参上ですっ!」

 『猟兵(イェーガー)』の単語に、観客たちが一瞬ざわめき、その次には大歓声を送る! キマイラフューチャーで猟兵と言えば無条件でアイドルにしてヒーロー、テティスの名乗りは結果的に観客たちのハートをガッチリキャッチしたのだった。

「えっ、レッド取られちゃった!? じゃ、じゃあ……『イェーガー☆パープル』参上……っ!」
 ええいままよと勢いに乗って、アヤカのギターは二曲目を奏で始める。そして曲に乗せて歌うのは【勇気と力の歌(ソング・オブ・ブレイブリーフォース)】、誰よりも『the Big Heads』のメンバーたちに届けと、声も枯れよと歌い、踊り、派手な動きでギターをかき鳴らす。

『う……ううっ……! やめて、耳障り……よ……!』
 そんなアヤカに抵抗すべく、近くにいたメンバーのひとりがだらんと脱力し、力を相殺せんと構えを取る。そこへ。
「はーい、テティスちゃんの華麗なアクションで観客を魅了しちゃいますよっ!」
 【スカイステッパー】を駆使して宙を蹴り、テティスがメンバーの眼前に天地逆さまの状態で登場した! アイドルの不思議な衣装パワーでぱんつはみえてません!
「えいっ☆」
『アッ!!』
 テティスはそのままいたずらっ子の顔でメンバーの被り面に両手をかけると、後方宙返りの要領で一気にスポーンと被り面を引っこ抜き、スチャッと着地。観客からの拍手喝采を浴びる。

「アヤカさん、これを!」
「よくやったわ、任せて!」
 テティスが放った被り面を、アヤカが目にも留まらぬ早業でワイヤーストリングスで絡め取り、細切れにしてみせた。この流れで手近なメンバーを四人ほど被り面から解放した二人は、なおも暴れ続ける涼鈴の方を見ながら一息つく。

「「それにしても……」」
 同時に口を開いた二人はしばしどうぞどうぞを繰り広げた後、結局アヤカから喋ることとなる。
「……黒幕は一体何を考えているのかしら……? 狙いは一体なんなの……?」
「えっ、ヒーローショーじゃないんですか?」
「えっ」
「25人も戦闘員役のアルバイトを雇うなんて、結構豪華なヒーローショーですよね!」

 ――一方その頃、やはり手近なメンバーから自分の間合いに入るなり被り面をブチ砕いていた涼鈴も一区切りをつけようとしていた。負けじと迫り来るメンバーを威嚇するかのごとくステージを踏み砕く勢いで力強く踏み込んで【灰燼拳】を繰り出す!
「そのお面と私のツノ、どっちが強いかしょーぶだ!」
 灰燼拳の強烈な一撃を真正面から喰らって被り面を粉砕されたキマイラ少女が仰向けに倒れるのを一瞥すると、涼鈴は次の相手には頭突きで挑みかかっていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

四軒屋・綴
《アドリブ改変絡み歓迎》

ちゃんミカ(愛称)……エリちー(愛称)……レイレイ(愛称)……ロゼっち(愛称)……サクラん(愛称)……アユミリーダー……ッ!(以上全て勝手な愛称)

ライブ前の緊張した顔(被り物)も、真剣に歌う表情(被り物)も、そして笑顔(被り物)もッ!なかったことにはさせないッ!(【防具改造】で頭、背中にファンうちわフル装備)

徒手空拳と【オーラ防御】で攻撃をいなしつつ接近しユーベルコード発動ッ!うちわを持ってファン特有のライブ応援ダンスで動きを止めて【グラップリング】で被り物を丁寧に外すッ!その後素顔を見せないように【怪力】【ダッシュ】で舞台裏へッ!勿論ファンなので顔は見ないッ!


栗花落・澪
可哀想な子達だよね…
もしも彼女達を補佐するのが普通のプロデューサーだったら
もっと普通にアイドル出来てたかもしれないのに

ねぇ、この活動は楽しめてる?
それとも…注目されたいだけ?

攻撃は他の猟兵に任せサポートに回る
UCを操り彼女達を囲むように渦を発生させ視界妨害や
【歌唱】に【全力魔法】の力を乗せて
精神を直接揺さぶる攻撃技に変換し混乱、足止め狙い

音楽への想い、現状との差異
貴方達の目指すアイドル像ってなに?
そんな様々な苦悩や想いを強制的に引き出す
音楽に愛が無いのなら
超音波のように聞こえるかもね

足止めに成功したら
UCで被り面を直接狙い
混乱直後で脱力出来たら拍手ものだけどー
もしもの場合には飛行で距離を取る



●みりょうするものたち
 派手なヒビが入ったステージの上に次にやって来たのは、四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)と栗花落・澪(泡沫の花・f03165)の二人だった。メンバーも半数ほどにまで減った『the Big Heads』と対峙しながら、綴も澪も神妙な面持ちをしていた。

(可哀想な子達だよね……もしも彼女達を補佐するのが普通のプロデューサーだったら、もっと普通にアイドル出来てたかも知れないのに)
 澪は敵であるはずの『the Big Heads』に思いを馳せ、憐憫の情さえ向ける。故に問うた。
「ねぇ、この活動は楽しめてる? それとも……」

 ――注目されたいだけ? そう続けようとした台詞は、しかし途中でさえぎられた。

「ちゃんミカ……エリちー……レイレイ……ロゼっち……サクラん……そして、アユミリーダー……ッ!」

 綴だった。その目には涙を浮かべ(ているものと仮定して情景を想像して下さい)切々と訴える。
「ライブ前の緊張した顔(被り面)も、真剣に歌う表情(被り面)も、そして笑顔(被り面)もッ! なかったことにはさせないッ!」
 あらん限りの情熱を込めて叫ぶ綴の頭と背中には、例のデコデコファンうちわがフル装備されていた。シケンヤお前そこまでビッヘガチ勢だったのかよ!!
 観客たちも、元をただせば『the Big Heads』目当てのファンたちであり、綴の魂の叫びに心打たれたのか、皆が皆ステージを見つめて息を呑む。
 澪もまた、ふっと一瞬だけ柔らかく微笑むと、綴に向けて声をかける。
「……援護は任せて、彼女達を任せたよ」
「……応ッ!!」

『何よ……っ! じゃあ……邪魔、しないで……っ!!』
 涙声で迫り来る残ったメンバーの攻撃をカッコいい紋様の防御障壁で防ぐ綴の手に武器はない。徒手空拳という状態だ。そこへ澪のユーベルコード【Orage de fleurs(オラージュ・ドゥ・フレア)】が発動し、無数の花弁の嵐が『the Big Heads』メンバーたちを包み込む。

『な、何これ、前が見えな……』
『ううっ、どうして、どうして、せっかく上手く行ってたのに……!』
「本当に?」
 本当に上手く行っていたのか? 自分たちの理想とするアイドル像と現状とに、果たして差異はなかったか? そも、自分たちの音楽に対する想いは『本物』か?
 澪が巻き起こした花の嵐は、否応なしに『the Big Heads』の残ったメンバーたち一人ひとりに内省を促す。そうして彼女たちはその場に石像のように固まってしまった。

「今だッ……! 【踏那列車(トゥナイトレイン)】ッ!!」
 説明しよう! 四軒家・綴のユーベルコード【踏那列車】とは、「今夜もトゥナイトだから一世を風靡した気がしないでもないダンスを放ち、困惑により対象の動きを一時的に封じる」効果を持つのだッ! ユベコ大喜利満喫してますね!!

『えっ……』
『……えっ』
 こうかはばつぐんだ! ここぞとばかりに応援うちわを持ってファン特有のライブ応援ダンス(きっとオタ芸とは別のものなんだろうなあ)を繰り出されたビッヘの皆様はことごとく困惑し、完全にその場に固まってしまったのだ!
 そこを綴と、澪もあわてて参加して一人ひとりの被り面を丁寧に外す。被り面を外されたキマイラ少女たちは「ファンなので顔は見ないし見せない」の鋼の誓いを胸にした綴の怪力によりまとめて持ち上げられ、猛ダッシュで舞台裏へと運ばれていった。

「『なかったことにはさせない』か……」
 綴が去っていった方を見ながら、澪はやれやれといった顔で、しかし微笑んだ。
 ふと目線を落とせば、綴が落としていったと思しき一枚の応援うちわが目に入った。それをそっと拾い上げた澪は、ステージ上に倒れているキマイラ少女のひとりの顔の上にそっと置いてやった。

 残るメンバーはあとわずか、しかしまだまだ気を抜くことは許されない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

知念・ダニエル
ローズウェル(f09072)と一緒に

(着替えなど出来るはずもなく、フリフリの格好のまま戦いへ)
……この際、格好なんて気にしてたら負けっす。俺はやってやるっす

【オルタナティブ・ダブル】で女人格の自分を召喚するっす
二人で協力して……え、二人?
「操られた女の子の未来の為にも!このプリティーイェーガーが目を覚まさせてあげるわ!」
女人格の俺はノリノリっす。やべぇっす
……これで満足っすか?ローズ

ともかく二人で【だまし討ち】【2回攻撃】で頭だけを狙うっす
【いつものマイク】のスタンド部分でみねうちを狙って、倒れた所で被り面を破壊するっす
攻撃は【見切り】で避けるっす


ローズウェル・フィリンシア
ダニエルさん(f00007)と一緒です。

正体を現しましたね!
その操りから解放して差し上げなければ!

【太陽の恵み】で【2回攻撃】を狙ってみますね。
まずは自分の足元を狙い、その次に相手の頭を狙います。
太陽による私の攻撃、受けてみて下さい!

ダニエルさんが二人も……!?これが噂の、『二人はプリティー戦士』!
私の目に狂いはなかったという事ですね!ナイスチョイスです、私!(えっへん)
【太陽の恵み】で、後ろからピカーンと演出出来ないでしょうか?
い、いえ、遊んでる訳じゃないですから……!



●ふたりはいぇきゅあ
「正体を現しましたね! その操りから解放して差し上げなければ!」
「……この際、格好なんて気にしてたら負けっす。俺はやってやるっす」
 元々キラッキラでキュアッキュアな格好が愛らしいローズウェル・フィリンシア(太陽と月の神子・f09072)と、先のゲリラライブ乱入でのキラッキラ大変身の姿のまま男らしい開き直りを見せる知念・ダニエル(黄昏冥土・f00007)とが、澪と入れ替わるようにステージに上がる。
 そんな二人を即座に取り囲む『the Big Heads』の残りメンバーたち。互いの背中を合わせるようにそれに向かい合うローズウェルとダニエルは、互いにのみ聞こえる程度の小声で示し合わせる。

(……自分が先に行くっす、合わせてもらえるっすか)
(オッケーです! 任せてください!)

 言葉を交わし終えるか終えないかのタイミングで、ダニエルが動いた。
「――【オルタナティブ・ダブル】、来るっすよ!」
 「もうひとりの自分」を召喚して助力を得るユーベルコードに応えて現れたのは、姿形はもちろんのこと、衣装まで現在のダニエルのものを完全に模したキラッキラの魔法少女状態のダニエル。強いて違いを挙げるとするならば、眼鏡をかけていないことと……。

「操られた女の子の未来の為にも! このプリティーイェーガーが目を覚まさせてあげるわ!」

 ……ダニエルの中に『居る』女性人格の方の自分である、ということだった。このダニエル(女人格)がキメッキメのポーズでイケてる決め台詞を繰り出すと、背後でキラッキラな演出効果が発動した(気がした)。
(女人格の俺はノリノリっす。やべえっす)
 元々の男人格側のダニエルはそれを横目に見て、次にローズウェルの方を見る。
「……これで満足っすか? ローズ」
「ダニエルさんが二人も……!? これが噂の『ふたりはプリティー戦士』! 私の目に狂いはなかったという事ですね!!」
 満足も満足、大満足だと言わんばかりに興奮を隠さず言葉を返すローズウェル。それはなによりです的な表情で半ば諦観の域に足を突っ込みつつあるダニエル(主人格)と、それに並んでイエーイピースピースするダニエル(女人格)。心なしか「テレッテレッ♪ テレッテレッ♪ テーレテッテー♪(以下略)」というようなBGMが聞こえてくる気がする。……ごめん! 絶対気のせい!!

「ナイスチョイスです、私!(えっへん) ……では、行きましょう!」
 理想の展開にプロデューサー・ローズウェルが俄然張り切って自分も続かんとユーベルコードを発動させる。
「【太陽の恵み(ザ・サン)】! これが太陽の恵みです!」
 その声に『the Big Heads』たちが一瞬身構える。しかし光線は彼女たちに向けられることなく、ローズウェルの足元に着弾した。その瞬間、着弾地点に太陽の魔法陣が描かれる。
「よっ、と! 次が本命です! 太陽による私の攻撃、受けてみて下さい!」
 あざといポーズでぴょんっと飛び跳ねるとローズウェルは魔法陣の上に飛び乗る。途端、力が一気に増幅されるのを感じた。その力のままに第二波を放つと、光のホーミング弾は今度こそ『the Big Heads』のうち一人の頭の被り面を正確無比に打ち砕いた。

 それを見たダニエル(主人格)とダニエル(女人格)の二人もいよいよ行動を開始する。まるで芸歴の長いガチアイドルのごとく可憐にふるまうダニエル(女人格)が囮となって『the Big Heads』を引きつけると、背後からダニエル(主人格)が愛用の「いつものマイク」のスタンド部分で峰打ちを狙いドスッと一突き。哀れドサリと倒れ込んだメンバーの被り面をさらにスタンドで殴って破壊しようとしたその時――ダニエルたちをまばゆい光が照らした。まるで必殺技でトドメを刺す瞬間に入るキラキラしたエフェクトの如く。

「ダニエルさん……いえ、プリティー戦士! 見事すぎる連携です! 私も協力します!」
「……い、いや、そういうのいいっすから」
「い、いえそんな、遊んでる訳じゃないですから……!」
「プリティーイェーガー・ダイナミックマイククラーッシュ☆」
 すったもんだの末、マイクスタンドで殴られた被り面は粉微塵に砕け散ったのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アメリア・イアハッター
おっと、ダンスに夢中でビッヘの姿とかよく見てなかったわね
さて、私達のライバルアイドルの姿は……
???
これで……なるほど
凄腕のプロデューサーね……!

・方針
あれだけ大きな被り物をしてたら、上を見上げる、ましてや真上を見上げるなんて困難なはず
下手したら外れそうだし
と想定して、頭上からの攻撃を仕掛ける

・行動
【スカイステッパー】使用
空中や相手の被り物を踏んで周り、常に相手の頭上で飛び跳ねる
基本は頭上を飛ぶことによる陽動に専念し、相手の頭を踏んだときは壊すというより転ばせて、その隙に他の猟兵に面を壊してもらう
勿論、踏むだけで壊れるくらい脆かったら壊して回る

チャイナ服って、踊りやすそうでいいな
私も着ようかな


ユーイ・コスモナッツ
♪~
んん、良い歌だったなあ
ダンスもかわいかった~
こうして回って、ここで跳んで……

はっ、戦闘ですか!?
こほん。
さあ、ここからが本番ですっ!

反重力シールドに飛び乗って、
ユーベルコード「流星の運動方程式」!
The Big Headsの周りに円を描くように回って、
避難が完了するまで彼女達の動きを牽制します

徐々に加速しながら半球を描くような軌道に変化
かく乱してかく乱して、
かく乱しきったところに突撃!
シールドごとぶつけるように体当たりです

反撃されたら、シールドの上でバク宙回避
よっ! はっ! もう一回!
ふふ、決まったあ♪

……っと、いけない、いけない
騎士として、
戦いの場で軽薄な振る舞いは慎まなくては


竜石堂・はつら
あれ、もう歌って踊ったりしないんですか?
ちょっと残念ですが仕方がありません、ちょっと痛いですけど許して頂きましょう!


ぺたぺたと無造作っぽく近づいて、油断を誘えばきっと攻撃力重視の拳法が飛んできそうですので、それを残像で避けますね

そしてはつらさんアックスをでっかい頭のお姉さんたちに【グラウンドクラッシャー】でポカポカしようと思います!
被り面だけポカっとすればいいらしいので、はつらさん気を付けて頑張ります!
そんなに顔を隠さないで素顔を見せてくださいっ
きっと、そっちの方がかっこいいとはつらさんは思います!

もっとお歌聞いて、皆で歌ったり踊ったりしていたかったですね!



●ほっぷ、すてっぷ、じゃんぷ
「♪ふんふん、ふふ~ん……。んん、良い歌だったなあ。ダンスもかわいかった~。こうして回って、ここで跳んで……」
 おや、先程のゲリラライブ乱入時の猟兵たちの活躍ぶりの影響をいまだに受け続けている人がいますね? ユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)さんっていうんですけれど。
「ユッコ、楽しかった?」
「はっ!?」
 ユーイを『ユッコ』と呼ぶ人物は一人しかいない、アメリア・イアハッター(想空流・f01896)さんっていうんですけれど。
「そういえば、私もダンスに夢中でビッヘの姿とかはよく見てなかったわね」
 どれ、とステージに上がって自分たちのライバルアイドルの姿を改めて確認する。
「……???」
 アメリアの頭上に、文字通りクエスチョンマークが飛び交う。しばしその状態で状況をアメリアが自分なりに整理した後、ようやく納得したように言葉を発した。
「これで……なるほど、凄腕のプロデューサーね……!」

「あれ、もう歌って踊ったりしないんですか?」
 そこへぺたぺたとやってきたのは竜石堂・はつら(どこかのはつらさん・f01374)。
「あっ、はつらさん! そ、そうです、戦闘です! ここからが本番ですっ!」
 気合充分に返すのはユーイ、先程までのフンフフーン状態からはすっかり気持ちを切り替えている。
「そうですか、ちょっと残念ですが仕方がありません。ちょっと痛いですけど許して頂きましょう」
「よし、はつらさんも来たことだし行きますか!」
 アイドル風ヤドリガミ、宇宙騎士、セーラー服ヤドリガミの少女たち三人は、いよいよ両手で充分数えられるほどに人数が減った『the Big Heads』に対峙する。

 まず勢い良く動いたのはアメリアだった。
(あれだけ大きな被り物をしてたら、上を見上げる、ましてや真上を見上げるなんて困難なはず)
 下手したら外れそうだし、と冷静に分析しつつ思い切り何もない空間を踏み台のようにして宙を舞う。アメリアの十八番【スカイステッパー】だ。
(このまま頭上からの攻撃を、仕掛ける――!)
 アメリアの予想通り『the Big Heads』のメンバーの視野は上に対して非常に弱かった。突如消えたアメリアに一瞬動揺し、しかしすぐさま狙いを残る二人に変えようとしたメンバーたちの被り面に、突如衝撃が走った。
『きゃっ!!?』
「ふふっ、やっぱりね!」
 アメリアが思い切りメンバーの一人の被り面を踏み台にして跳ねたのだ。そして半ば蹴倒された形となったメンバーが必死に起き上がろうとしているところに、はつらがぺたぺたと無造作に近づいていく。
『危ないっ!』
 近くにいた別のメンバーが拳法ではつらを止めにかかる。しかし、それははつらの側で織り込み済みの行動だった。
「そんなに顔を隠さないで、素顔を見せてくださいっ」
『しまっ……!!』

 ぽかり。

 はつらの「はつらさんアックス(仮)」による史上稀に見る良い感じの力加減で放たれた【グラウンドクラッシャー】が、メンバーの被り面だけを粉砕してみせた。
「――ほら、きっとそっちの方がかっこいいとはつらさんは思います!」

「はつらさん、やったわね! こっちもどんどん行くわよ!」
 その一部始終を見ていたアメリアも、時に宙を蹴り時に被り面を蹴り、『the Big Heads』たちの頭上を縦横無尽に飛び回る。そしてユーイも遅れてなるものかと続く。
「はい! 行きます、【流星の運動方程式(フルアクセルシューティングスター)】!!」
 反重力シールドに飛び乗るとユーベルコードを発動させ、徐々に加速しながら半球を描くような軌道で、ただでさえアメリアに翻弄されている所の『the Big Heads』たちの周りを飛び回り、さらにかく乱させていく。かく乱して、かく乱して――かく乱しきったメンバー目がけて突撃を敢行するユーイ。反重力シールドごと被り面に体当たりをしかけ、見事に割り砕く!
「ユッコ!」
 そんなユーイにアメリアの鋭い警告の声が飛ぶ。辛うじて立ち直ったメンバーからの超高速連続攻撃の反撃だ。ユーイはシールドの上から降りることなくバク宙で回避、回避、また回避。最後まできれいに避けきったユーイはシールドの上にスチャッと着地すると、思わず破顔一笑で言葉を漏らす。
「ふふ、決まったあ♪」
 ユーイに攻撃を仕掛けたメンバーはアメリアがきっちり踏んで蹴倒す。一方で我に返ったユーイは思わず己を恥じる。
「……と、いけない、いけない。騎士として、戦いの場で軽薄な振る舞いは慎まなくては」

「でも今のユッコの回避、アイドルのダンスって言っても充分通じるかも知れなかったわよ?」
 いたずらっぽく言うアメリアに、ユーイは止めて下さいよおと真っ赤になって返すのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

古高・花鳥
ステージ、割って入る形になってしまったことは謝ります
でも必ず、助けますから……

ひとまずお着替えです
持ってきた居合道着と外套に急いで変えて、敵のもとへ
ほら、制服だと破れたりした嫌ですし……
居合系黒髪ぱっつん女子高生アイドル、戦闘モードって感じで!

【居合域】を放ち「先制攻撃」を仕掛けます
隙さえあれば【月下抜刀流・花鳥一閃】を「捨て身の一撃」の要領で、相手の被り物だけを狙います
他の猟兵の方に対しての攻撃は「見切って」、【居合域】と共に「かばう」ようにして防ぎます

big headの皆さん、利用されるんじゃなく、今度は、本当にアイドルとして輝いてください
みんなの前で輝く楽しさ、わたし知ってしまったので!


フォルティ・アルディリア
彼女たち『the Big Heads』はきっとすごいアイドルたちだよ。
だから、ただ倒すんじゃなくて、再びアイドルとして立ち上がる力も取り戻してもらわないとねっ☆

★ゲリラライブバトル、第2ラウンド開始だよっ☆
【シンフォニック・キュア】を歌声にのせてみんなを癒しつつ
「被り物頼りだったのかな『the Big Heads』っ♪あなた達のアイドル力、見せてみろっ!見せないのなら、このままアイドル廃業へまっさかさまに落としちゃうぞ★」
って本当にアイドルとして立ち上がれるように彼女たちを炊きつけちゃうよっ!
彼女達が立ち上がれたら
「最高のパフォーマンスだったよ☆グッジョブっ」
って返すね☆

アドリブ・共闘OK



●かのじょたちのゆめみたもの
 ステージの上に残った『the Big Heads』のメンバーは残り一人。ミカも、エリも、レイも、ロゼも、サクラも、センターを務めるアユミも、既に被り面を割られて舞台から退場している。
 たった一人残ったメンバー――ソラは、ほぼ戦意を喪失した状態で、ステージに立っていた。いや、取り残されたと言っても過言ではないだろう。
 これから自分たちはどうなるのか、こんな目に遭う自分たちは何か間違ったことをしてしまったのか、すべて『あの人』の言う通りにしていれば上手くいくと思っていたのに――!

 そこへ、幕引きをすべく遂に二人の猟兵がやってきた。一人は今までの猟兵たちの戦闘で出来た時間を使ってセーラー服から居合道着と外套姿に着替えた古高・花鳥(月下の夢見草・f01330)。もう一人は電脳世界から飛び出してきたかのような出で立ちもそのままのフォルティ・アルディリア(ヴァリアブル☆シンフォニッカー・f05860)。二人はそれぞれ『the Big Heads』にかける言葉を携えて、ソラの前に進み出た。

「ステージ、割って入る形になってしまったことは謝ります。でも必ず、助けますから……」
 居合系黒髪ぱっつん女子高生アイドル、戦闘モードといった所か。花鳥曰く『制服だと破れたりしたら嫌ですし……』とのことで、至極ごもっともである。
『う……ううっ……身体が、勝手に……』
 花鳥を前にしたソラは、拳法の構えを取る。取ってしまう。そんなソラの様子を見たフォルティは思う。
(彼女たち『the Big Heads』はきっとすごいアイドルたちだよ)
 シンフォニックデバイスの位置を調整しながら、決意を新たにするフォルティ。
(だから、ただ倒すんじゃなくて、再びアイドルとして立ち上がる力も取り戻してもらわないとねっ☆)
「――ゲリラライブバトル、第二ラウンド開始だよっ☆」
 フォルティのその言葉を合図として、最後の戦いが始まった。

『くっ……!』
 先手を取ったのは、目にも留まらぬ速さで繰り出された花鳥の居合斬りだった。間一髪かわしたソラは自分自身に突如与えられた身体能力に驚きつつ、後方に飛びすさり間合いを取る。そんなソラと、攻撃をかわされてより一層気を引き締める花鳥の耳に飛び込んできたのは、フォルティが高らかに歌い上げる【シンフォニック・キュア】だった。
「被り面頼りだったのかな『the Big Heads』っ♪ あなた達のアイドル力、見せてみろっ!」
 くるくる回りながら歌い、踊り、まるでソラを、そして『the Big Heads』を焚きつけるかのように呼びかけるフォルティ。
「見せないのなら――このままアイドル廃業へ、まっさかさまに落としちゃうぞ★」
 それを聞いた花鳥も、再び刀に手をかけたまま、ソラへ向けて訴えかける。
「……『the Big Heads』の皆さん、利用されるんじゃなく、今度は、本当にアイドルとして輝いてください」
『利用される……んじゃなく……』
 ソラの身体が固まる。それを見逃さず、花鳥は必殺の【月下抜刀流・花鳥一閃(ゲッカバットウリュウ・カチョウイッセン)】でソラの被り面を狙い、反撃覚悟の捨て身の一撃とばかりに全力を込めて繰り出した。

「――みんなの前で輝く楽しさ、わたし、知ってしまったので!」
『……っ!!』

 ――そしてソラは、花鳥の渾身の逆手の居合抜きにより、その素顔を覆っていた大きな被り面を一刀両断されたのだった。まるで見えない何かから解放されたかのように、ソラはへなへなとその場にへたり込む。

『被り物頼り、って、言ったよね……。そう、何の取り柄もないわたしでも、この被り面さえあれば、みんながもてはやしてくれて……』
 素顔が露わになったソラは、名前の通り空色の髪と瞳が印象的な、愛らしいキマイラの少女だった。そんなソラを、花鳥とフォルティは静かに見守っていた。
『でも……でも、本当は……! 本当のわたしを……見て、欲しくて……!』
 よろよろと立ち上がるソラに、フォルティが明るく声をかける。

「最高のパフォーマンスだったよ☆ グッジョブっ」
『えっ……』
「被り面なんてなくっても、今のあなた、すっごくステキ!」

 花鳥も無言で、しかし強く頷いてみせる。
 ソラは、大きな空色の瞳から、ぽろぽろと涙をこぼす。

 『the Big Heads』最後の一人が解放され、事実上の解散となった瞬間であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『コスプレ撮影怪人アングラーロー』

POW   :    ここがコスプレ会場だーーーーーーー!!
【コスプレ化光線とポーズ指定催眠音波 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    お前は最高のコスプレイヤーだ!(フラッシュ)
【強制コスプレ光線 】【ポーズ指定催眠音波】【撮影されると気持ちよくなる催眠】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    良い! 実に良いアングルだ!
【カメラのレンズ 】から【強制コスプレ光線】を放ち、【ポーズを取らせる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠プリマステラ・リコールドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ごあんない
 第三章の導入を近日中に公開致します、それまでプレイングの送信はしばらくお待ち頂けますようお願い出来ますと幸いです。
 公開の際は、改めてよろしくお願い致します!
●れいやーっていうよりおまえかめこのほうだよね
『な……な……何てこった……! ボクが手塩にかけて育て上げた『the Big Heads』が……!』
 急いで走って駆けつけたのだろうか、ぜえはあと息を切らしながら「それ」は登場した。赤いネルシャツにジーパンを身にまとった小太りの体躯に、頭部は一昔前のいかにもといった風のカメラの形をしている怪人だ。背中からいくつも突き出した棒の先には、バニーナースチャイナセーラースク水と、これでもかと並んだいわゆる「コスプレ衣装」。さらに両手にはチアとメイド服を完備している念の入れようである。

「お前が『プロデューサーさん』とやらか、遅いお出ましじゃないか!」
『今回のライブはアユミちゃんに任せてボクは打ち合わせに行ってたんだよお! いつかはお前たち猟兵に目をつけられるんじゃないかって思ってたけどさあ、いくらなんでもやりすぎじゃないィ!?』
 猟兵のひとりが暗に『プロデューサーさん』の不在を責めるかのごとく言い放つと、『プロデューサーさん』は反駁する。無責任に放置していた訳ではないと言いたいらしい。

『……ま、まあ、被り面にチャイナ統一でウケたからその路線で行ってはいたけどね。できることならボクだってねぇ、こう、せっかくの可愛い女の子なんだから、いろんな服をとっかえひっかえしてナンボって、キミたちもそう思わない……!?』
 『プロデューサーさん』――正式名称「コスプレ撮影怪人アングラーロー」は、実に自身の欲望に忠実にそう同意を求めてきた。
『いいやこの際男の子でもいいかなって最近は思っててね……フフ……、こうなったらキミたちには『the Big Heads』を台無しにしてくれた落とし前をつけてもらおうか!』
 そうとんでもないことをサラッと言い放つと、コスプレ撮影怪人アングローラーは両手の衣装をずずいと猟兵たちに向けて構え、眼光ならぬカメラレンズをギラリと光らせた。

『次は! キミたちを! 立派なコスプレイヤーにするッッ!!!』

 ダメだこいつ早く何とかしないと。その場の誰もがそう思ったという。
 という訳で、猟兵たちは今回の事件の元凶・アングローラーを退治すべく、最後の戦いに挑む……!
フォルティ・アルディリア
●アイドル魂かコスプレ魂か、その情熱、比べ合おうかっ☆
あたしがアイドルにかける想いを乗せた歌が上か、怪人のコスプレ魂が上か、真っ向勝負でぶつかり合おう☆
ステージに立ってビシッ!と怪人を指さして「アイドルとして頑張りたい子の情熱、その身でしっかり感じてもらうよっ!いくよー!【Variable harmonize shock】!」
と【Variable harmonize shock】を歌って夢中にさせてユーベルコードを封じちゃうよ☆
「♪終わりなき残酷な過去へ 形なき抵抗は続く♪君に届け passion harmonize♪」
(決まったー☆うん、すごく気持ちいいー☆)

アドリブ・共闘・ネタ化OKです


栗花落・澪
へ…へ、へんたいだぁー!!

あの子達は真剣に頑張ってたのに
その想いを弄ぶような事して
許さないよ!
そのレンズ壊してやるんだから(ぷんすこ)

氷の【全力魔法】で足場を凍らせ滑らせる

【誘惑】効果を乗せた【歌唱】と
衣服の甘い花の香りで注意を引き
飛行で敵の真上を素早く通過、周囲を回る(時々逆回転)等
レンズの方向を定まらなくさせ
味方に攻撃の隙を作る動き

レンズに魔法やUCをぶつけ
凍らせる、花弁の膜を張らせる事でも妨害できるかな

たまには自然にも目を向けてみなよ

※万一攻撃受けた場合
ひゃっ!?ちょ、ちょっとやめ…
わーん僕は着せ替え人形じゃないよこの変態ぃーっ!(恥)

衣装、ポーズ等お任せ
他の猟兵の方針に合わせ行動変更可



●たいへんなへんたい
「へ……へ、へんたいだぁー!!」
 突如猟兵たちに向けられたねっとりした目線にたまらず絹を裂くような悲鳴を上げたのは、栗花落・澪(泡沫の花・f03165)だった。澪は思わず自分で自分を抱くような格好を取り、無意識にアングローラーへの嫌悪感を示す。

 一方で凛々しくアングローラーの前に立ちはだかったのはフォルティ・アルディリア(ヴァリアブル☆シンフォニッカー・f05860)である。元より生半可なコスプレなぞ不要と言わんばかりの、言うなれば近未来的アイドルチックなコスチュームに身を包んだフォルティは高らかに言い放つ。
「アイドル魂かコスプレ魂か……その情熱、比べ合おうかっ☆」
 自身のアイドルにかける想いを乗せた歌が上か、アングローラーのコスプレ魂が上か。真っ向勝負でぶつかり合おうというのだ。フォルティはスラリと伸びる長い脚が映える仁王立ちでビシッ! とアングローラーを指差して告げる。
「アイドルとして頑張りたい子の情熱、その身でしっかり感じてもらうよっ!」

『ぼ、ボクは、可愛い子がいろんなコスプレをすることこそが至高だと感じるんだ……! アイドルがどうとか、そういうの、悪いけどオマケみたいなものでさぁ……!』
 いつの間にかしれっとステージ上でいつ猟兵たちに自前の衣装を着せてやろうかと、まずは澪とフォルティににじり寄っていた怪人・アングローラーは言い返す。その割には直前まで打ち合わせに行っていたという言を信じるならば随分とプロデューサー業にも入れ込んでいたように思えるが……。
「……あの子達は真剣に頑張ってたのに、その想いを弄ぶような事して、許さないよ!」
 しかしそれを聞いた澪が黙ってはいなかった、今もやや(気味悪さに)震える身体を叱咤激励しつつ、素直な怒りを叩きつける。
「そのレンズ、壊してやるんだから!」
 文字通りぷんすこしながら澪が先手を取った。先程フォルティがそうしたようにアングローラーを指差すと、突如その足元がバキバキと音を立てて凍りつく!
『何ッ!? うおっツルツルするっ!!』
 コスプレ衣装で両手が塞がっているアングローラーは必死にバランスを取ろうとするが、そこへ容赦なくフォルティの攻撃――全力の歌が襲いかかる!

「いっくよー! 【Variable harmonize shock(ヴァリアブルハーモナイズショック)】!!」
 もはやすっかりノリノリで猟兵たちの味方となった現場の照明さんが、バババンとフォルティにスポットライトを当てる。まばゆい光を浴びながら、フォルティは歌う。

 ♪終わりなき残酷な過去へ 形なき抵抗は続く
 ♪君に届け passion harmonize

 ――オブリビオンという、どうあっても相容れることのない存在に対する強い抵抗の意思を示す歌を、しかしポップでキュートなチューンで包み込み、誰にとっても耳障りの良い響きにしてみせる手腕はさすがアイドルといった所か。

 澪もそれに合わせるようにアングローラーの頭上を共に歌いながら飛び回り、歌うフォルティの邪魔をさせまいとアングローラーの気を引きつける。
『ぐぬぬ、ボクの前に既にコスプレして出てくるなんていい度胸だ……そう、キミは最強の――』
「やらせないよ! ――香り高く舞い遊べ!」
 どさくさに紛れて必殺技を発動しようとしたアングローラーを見咎めると、澪はアングローラーのレンズ目がけて【Orage de fleurs(オラージュ・ドゥ・フレア)】の花弁を放ち、それを阻止する。
『ぐわあぁーーーっ!! 前が、前が見えないぃ!!』
「ふふ、たまには自然にも目を向けてみなよ」
 人間で言えば目に相当するであろうカメラのレンズを無数の花弁に覆われ視界を失ったアングローラーと、不敵に微笑む澪。しかし敵もさるもの、ガッと器用に衣装を手にしたままレンズの花弁を拭った怪人は、お返しとばかりに澪目がけて恐るべき「強制コスプレ光線」を放つ!

『【良い! 実に良いアングルだ!】』
「しまっ……!」
「澪くん!?」
 ――なんということでしょう。元々可愛らしい衣装を身にまとっていた澪が、恐怖の強制コスプレ光線を受けて、いかにもなあざといミニスカメイド姿になってしまったではないか! 繰り返しますが澪くんは男の子なのに! 怪人コイツ本当に男女問わずだったんだなって!
「ひゃっ!? ちょ、ちょっとやめ……ってスカート短っ!?」
 気にするとこそこ!? と思った者も多かろう、思わず内股になりスカートの裾を両手で引っ張る澪は、顔を真っ赤にしながらアングローラーに向かって叫ぶ。
「わーん、僕は着せ替え人形じゃないよこの変態ぃーっ!!」
『おお……! キミ、イイねえ!! すごーーく、似合ってるよーー!!』
 カシャカシャと容赦なく切られるカメラ。画像の保存先はアングローラーの脳内メモリといった所だろうか。やめろよーと片手で相変わらずスカートを押さえたまま怪人をポカポカと物理で殴りに行く澪と、巧みにそれをかわしながらシャッターを切り続ける怪人。そして一曲歌い切り自身への攻撃は見事封殺してみせたフォルティは――。

(決まったー☆ うん、すごく気持ちいいー☆)

 成し遂げたぜという顔でビシッとポーズを決め、遠巻きに事を見守っていたキマイラ達から万雷の喝采を浴びていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セリオス・アリス
…何をいってるんだコイツは?
ジト目で眉寄せ
さっきの変態(明智・珠稀)とどっちがどっちがマシだろうな

【望みを叶える呪い歌】を歌い
先制攻撃だ
靴に魔力を送り助走をつけ
高く跳んで斬りかかる

はぁ!?んだこれ!?
コスプレ化されたら驚きで剣が鈍く
ポーズを取らされたら低く唸る

クソが…
生憎、ただ鑑賞されるのは好きじゃねえんだ
魔力を体に巡らせグッと力を溜め
あとは気力と筋力だ
ポーズを無理矢理ぶち破る

攻撃力が下がるなら手数で勝負だ
剣で2回斬りつけ
流れるような動作でレンズ目掛けて蹴りをブチ込んでやる!


…まあ、キャーキャー言われんのは悪く無かったけどな

※アドリブ歓迎
コスプレお任せ
女装…させたい
無駄毛は端から生えてません!


明智・珠稀
ふふ…!貴方がプロデューサーさんですね…!
やっとお会いできましたね…!
さぁ、私を貴方好みにプロデュースしてください…!!
(むしろコスプレを受け入れる体制)

■戦闘
【妖剣解放】でスピードを上げ、敵の背後に回り込み
「さぁ、どれから試しましょうか御主人様…!」
とコスプレ衣服をはぎとり【早着替え】し
(コスプレ内容お任せ♡)
「さぁ、いかがですかご主人様…!」
アイドルポーズやセクシィポージングにてぐいぐい前へ
「さぁ、さぁ、さぁ…!私だけを見てください…!」
また、武器の【黒革の長鞭】にて衝撃波込みで攻撃。
【ロープワーク】で縛りつけ【吸血】を

※積極的にコスプレさせられたいド変態
 アドリブ、絡み、ネタ大歓迎です♡



●へんたいちょうじょうけっせん
「……何を言ってるんだコイツは?」
 端正な顔立ちを思わずジト目にして眉根を寄せると、セリオス・アリス(黒歌鳥・f09573)は次いで隣に立つ明智・珠稀(和吸血鬼、妖刀添え・f00992)へと目線を向けつつ思う。
(さっきの変態(=珠稀)とどっちがマシだろうな)

 そんなセリオスのモヤモヤを知ってか知らずか、珠稀はアングローラーを前に両手を組むと右頬に当て、きゃるんと擬音がしそうなポーズを取りながら感極まった声を上げる。
「ふふ……! 貴方がプロデューサーさんですね……! やっと、やっとお会いできましたね……!!」
『な、何だキミは!? ……いや待て、キミも、隣のメンズも、どちゃくそ素材がイイじゃないか……!!』
「はぁ!?」
「お褒めに預かり光栄です……! さぁ、私を貴方好みにプロデュースしてください……!!」
「おいちょっと待て、自分から攻撃されに行ってどうす……あっ!?」

 あっという間だった。セリオスが困惑するのも無理はないだろう。珠稀が突如ユーベルコード【妖剣解放】を発動させ、目にも留まらぬ高速移動でアングローラーの背後に回り込むと、その背中に吊るされた様々なコスプレ衣装を物色し始めたのだ!
「さぁ、どれから試しましょうか御主人様……!」
『あっ、こら、勝手にボクのコレクションに触るのは止めたまえっ!?』
「……ち、先制攻撃は持ってかれちまったか。しょうがねえ、行くか……!」
 一瞬呆気に取られていたセリオスも我に返り行動を開始する。秘蔵の必殺技【望みを叶える呪い歌(アズ・アイ・ウィッシュ)】の歌声も高らかに、愛用のブーツ「エールスーリエ」に魔力を送り込み助走をつけると、高々と跳躍して真正面からアングローラーに斬りつけた――はずだった。

『【お前は最高のコスプレイヤーだ!(フラッシュ)】!!』
「はぁ!? んだこれ!!?」

 怪人が自らコスプレを望み背中をまさぐる珠稀を害なきものとみなし放置して、明らかに敵意を向けてきたセリオスに先に対応したのは至極もっともなことだった。カメラのレンズから放たれた「強制コスプレ光線」を正面から浴びてしまったセリオスは――清純の化身とも言うべき、可憐なセーラー服姿に劇的ビフォーアフターを遂げていた。すごいぞ! メンズなのにムダ毛が元々生えてない! 違うそこじゃない! セリオスの剣は驚きで手元が狂ったのか、アングローラーのすぐそばの地面に叩きつけられる。

『フッフッフ……キミにはこのセーラー服が似合うと思ってねえ……。案の定だよ、放課後のいけない課外授業とかしたくなるねえ……! 追撃だよ、「ポーズ指定催眠音波」!!』
「ぐ……っ!!」
 セリオスは剣を杖代わりにして震えながら立ち上がる……というポーズを取らされた! 知らず発せられた低い唸り声も相まって妙な色気が立ちのぼる!
『イイよ~、キミ、すっごくイイ……! じゃあそろそろお写真撮りましょうね~~』
 ねっとりとしたアングローラーの声は「撮影されると気持ちよくなる光線」の前触れ。しかしセリオス(セーラー服のすがた)も黙ってはいない。

「クソが……生憎、ただ鑑賞されるのは好きじゃねえんだ」
 取らされたポーズを逆に活かして魔力を体中に巡らせグッと力を溜め――あとは気合と筋力に任せて――。
「ふんッッ!!」
 乙女らしからぬ声と共に(そもそも乙女じゃないというツッコミはさて置き)ステージに突き刺さった剣を全力で引き抜き、取らされていたポーズを無理やりぶち破る! 遠くからでも良く分かるカッコいい立ち回りに、避難しながら見守るキマイラたちも大盛り上がりだ!

『だ、ダメじゃないかあキミ! ……いや待てよ、清楚な見た目に粗暴な言動というギャップも……アリだな!』
「そうかよ、じゃあたんまり喰らいな!!」
 カメラのレンズをキラーンと光らせたアングローラーに、流麗な動作で容赦ない剣戟を叩き込むと、怪人の動きに合わせながら頑張って衣装を選んでいる珠稀に向かって叫ぶ。
「おい、急いで衣装決めて離れろ!」
「ふふ……抜かりありません、たまちゃん『これ』に決めましたよ……!」
 そう行って珠稀が衣装のうちひとつを引き抜いたのを確認するや、セリオスはアングローラーのレンズ目がけて流れるような回し蹴りをぶち込んだ!

『ぎゃああああ! 目が、目があぁ!!』
 派手に吹っ飛びズシャアと地面に倒れ込む怪人がお約束の台詞を放ちながら身悶えている隙に、たまちゃんお得意の早着替えで準備は万端。珠稀はアングローラーが起き上がるのを至近距離で待ち構えていた。そして首を振って起き上がるアングローラーが目にしたものは――。
「さぁ、いかがですか御主人様……!」
『ぎゃああああ!? へ、変態だああああ!!?』
 ――どこに出しても恥ずかしい、旧式女子スクール水着姿の珠稀だった。
『キ、キミ、御主人様呼びをするなら普通メイド服でしょうがぁ!!』
「ふ、ふふ……メイド服は先程既に使われてしまいましたからね……」
 そう言いながらただでさえ近い距離を、アイドルポーズやセクシィポージングを駆使してさらにグイグイと詰めていく珠稀と、あわあわと後ずさる怪人。

「さぁ、さぁ、さぁ……! 私だけを見てください……!!」
 そう言いながら珠稀が取り出したのは「黒革の長鞭」。それを見てさらにヒッと声を上げるアングローラー。でも君がスク水なんて用意してるから悪いんだよなぁ……。
 珠稀は巧みなロープワークを駆使して怪人を縛り上げると、アングローラーの白いうなじに妖艶な仕草で牙を突き立てて、吸血。これ同人誌出すとしたら怪人受ですかね?

「ふぅ……次はどの衣装を……おや、気を失っていらっしゃる。残念ですねぇ……」
「ある意味気絶できて良かったのかも知れねぇな……」
 最初から最後まで頭の痛い戦いだった、そう思いながらセリオスはふと遠くにいるキマイラたちの歓声に気づく。
(……まぁ、キャーキャー言われんのは悪く無かったけどな)
 何だかんだでいまだセーラー服姿のセリオスは、キマイラたちに向かって軽く手を挙げるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

劉・涼鈴
POW
服いっぱい持ってるー!
んー、ばにー? うさぎ?
私は牛だからちょっと違うなー
やっつけたら戦利品として何着か持って帰れないかなー?

私のこれはコスプレじゃなくて普段着だよ!
ポーズ取らされる前に、敢えて自分からカンフーポーズを取る!
(【パフォーマンス】【存在感】【誘惑】【挑発】)
ふふーん、しろーとの考えるポーズ指定よりもカッコよくして敗北感ってヤツを与える!
隙ができたら、だー!っと駆け寄って【怪力】で体当たり!
どりゃー!
動き封じられても、突進の勢いで弾丸みたいに飛んでけないかな!
至近距離に近づけたら馬乗りになって【灰燼拳】でぼっこぼこにタコ殴りだ!
おらおらおらおらー!


ユーイ・コスモナッツ
何を言っているのか良く解りませんが、
嫌な予感しかしませんね
私の第六感技能がそう告げています

しかし、こうまで正面切って挑まれて、
逃げたとあっては騎士の名折れです
受けて立ちましょう!

反重力シールドで空中から接近して、
必殺の一撃を狙います

問題は、あの怪光線ですね

空中でポーズなんて取らされたら、
墜落してしまいます
そんなことにならないよう、
回避運動はいつも以上に気合をいれて!

どれでも被弾してしまったら?
着ぐるみ的なものでしたら、
墜落のダメージも軽くてすむかなあ
でも、あとの戦闘に支障をきたしそうだし……

うん。
やっぱり、当たらないのが一番ですね!


アヤカ・ホワイトケープ
うわあ…黒幕が現れたと思ったら、なんて言うか、なんか…(ドン引き)
とりあえず一つ言わせてもらうけど、可愛いのなら被り物の必要はあったの?
顔隠して服だけ変えるってどうなの?もっとやりようはあったんじゃないの?

…よし、なんだかもう色々面倒になってきたし倒しましょう!
今度はみんなに燃えるような歌を聞かせてあげる!
【歌唱、鼓舞、パフォーマンス、楽器演奏】のコンボで激しいのをやっちゃうよ!
燃え盛りし炎の歌、あの怪人に火力最大集中で行くわ!
…あ、でも火事になる前に火は消すよ?
え、もう十分?まだまだ、【2回攻撃】で二番も続けるよ!

…とりあえずもうちょっとまともにやれば普通にウケてたんじゃないかしら、これ…


竜石堂・はつら
アイドルさん達の歌って踊る真心を利用しようだなんてはつらさんは酷いと思いますっ
なので成敗させて頂きますっ

はつらさんわかりました!
そのユーベルコードには弱点があります!

なぜなら

ここは

コスプレ会場ではありませんっっ!!

ここはアイドルたちのステージです!
『the Big Heads』の皆さんが、そしてはつらさんたちが歌って踊ったこのステージをコスプレ会場と呼ぶのはとても乱暴で、悲しいとおもいます!
このアイドルの歌を聞いてください、そして戦慄してください、これがアイドルです!

八大竜王をうにょろうにょろと呼び出してプロデューサーさんを絡めて
はつらさんアックスでぽっかぽかぐちゃにしちゃいたいと思いますっ



●おあそびはおわりだ
 しばし意識を失っていた怪人・アングローラーがハッと目を覚ました時には、総勢四名のバリエーション豊かな女性陣に囲まれていた。天国かな?
 ……と思ったのもほんのわずかの間のこと。これから怪人はめくるめく地獄を堪能することとなるのだった。

「……何を言っているのか良く解りませんが、嫌な予感しかしませんね。私の「第六感」技能がそう告げています」
 油断なく構えるユーイ・コスモナッツ(宇宙騎士・f06690)が注意を促すと、他の三人も仰向けに倒れたままのアングローラーに向かって思いの丈をぶつけていく。

(うわあ……黒幕が現れたと思ったら、なんて言うか、なんか……)
 隠しもせずドン引きするアヤカ・ホワイトケープ(ロストイノセント・f00740)は、それでもどうにか押しとどまって口を開く。
「とりあえず一つ言わせてもらうけど、可愛いのなら被り物の必要はあったの?」
『……』
「顔隠して服だけ変えるってどうなの? もっとやりようはあったんじゃないの?」
『…………』
 アングローラーは黙して語らず、そしてそこでアヤカはハッとなる。
「……みんな! こいつ、何とかしてわたし達のし、下着を、見ようとして……!」

 キャーッ! 変態! バカ! 死ね! 考えられうるあらゆる罵声が飛び交う! 当たり前だ!
「さ、流石は『アングローラー』を名乗るだけはあります……伸びたフリをして盗撮を狙うとは……」
「逃さないようにと包囲陣形を取ったのが逆に仇となるなんて……本当にとんでもない敵だわ」
「しかし、こうまで正面切って挑まれて、逃げたとあっては騎士の名折れです。受けて立ちましょう!」
(そういうものかしら)
 果敢に決意を固めるユーイを見ながらいぶかしむアヤカだったが、どのみちこの怪人を倒すことには変わりはない。
「……よし、なんだかもう色々面倒になってきたし倒しましょう!」
 爽やかにぶちころがす宣言をすると、アヤカは残り二人の方を振り返る。

「服いっぱい持ってるー! んー、ばにー? うさぎ? 私は牛だからちょっと違うなー」
 そう言いつつも、アングローラーを倒した暁にはその所持品であるコスプレ衣装を何着か持って帰れないかと密かに目論む劉・涼鈴(豪拳猛蹴・f08865)は、ローアングルでチャイナ服を狙われたことにはさほどダメージを受けていないように見える。

「アイドルさん達の歌って踊る真心を利用しようだなんて、はつらさんは酷いと思いますっ」
 一方こちらもセーラー服のスカートの下が黒タイツだからか、それともはつらさんだからか、ローアングルチャレンジに関してはあまり意に介していない模様の竜石堂・はつら(どこかのはつらさん・f01374)は、まっすぐな怒りをあらわにしていた。
「なので、成敗させて頂きますっ」

 ローアングルチャレンジがあえなく失敗に終わったアングローラーは内心舌打ちをしつつも起き上がる。そのコスプレ魂はいまだ健在だ。
『可愛いおにゃのこがよりどりみどりつかみどり……! ようこそいらっしゃいました、我が厳選コスプレコレクションでお相手致す!!』
 ずずいと衣装を突き出す怪人。対するは涼鈴だ。

「私のこれはコスプレじゃなくて普段着だよ!」
 襲いかかる「ポーズ指定催眠音波」が自身に命中するよりも早く、ポーズを取らされるよりも前に敢えて自分からカンフーポーズを取る涼鈴。実に様になっている。
『そ、その衣装にポージング……! 『the Big Heads』が健在だったなら、演技指導をお願いしたかった……っ!』
「ふふーん、しろーとの考えるポーズ指定よりもカッコいいでしょー!」
『オウフッ……! は、敗北感……っ!!』
「今だ、隙ありー!」
 カメラ頭を大げさな身振りで抱えたアングローラーに、涼鈴はダダダッと駆け寄りものすごい怪力での体当たりを敢行する!

『のわーーーーーっ!?』
 突進の勢いでアングローラーは舞台袖近くまでふっ飛ばされる。涼鈴も一緒だ。
「こんだけ近ければ……行ける!」
 目をキラーンを光らせるとおもむろに怪人に馬乗りになる涼鈴。ご褒美かな?
『お、おう、チャイナガール、ナイスアングル……』
 それに対して涼鈴はにぱっと良い笑顔だけを返すと、思い切り拳を振り上げた。
「【灰・燼・拳】! おらおらおらおらー!」
 ボッコボコであった。タコ殴りであった。ガチ功夫つよい。
 もしかして私たち出番ない? そう思いかけた三人に向かって怪人をポーイと放り投げて寄越す涼鈴。その手にははぎ取ったバニー服が一着。気が済んだのだろうか、あとは好きにしちゃっていいよと言わんばかりに手を振っている。

「涼鈴さん……私たちの分を残しておいてくれてありがとうございます! いざ!」
 ユーイがひらりと愛用の反重力シールドに飛び乗ると、どさりと落ちたアングローラーに今度こそローアングルを狙われないように細心の注意を払いながら接近。充分な距離と高度を取ると、必殺の【彗星の重力加速度(コメットストライク)】をぶちかますために一気に加速する――!

『騎士のコスプレも……イイ……!』
「こっ、これはコスプレじゃありません!?」
 そこで放たれた反撃の「コスプレ化光線とポーズ指定催眠音波」が自分目がけて飛んでくるのを超スローモーションで見るという不思議な感覚にとらわれたユーイは、しばし思考する時間を得る。
(問題は、あの怪光線ですね)
 何だろう、この、時間がものすごくゆっくりと流れているかのような感覚は……?
(空中でポーズなんて取らされたら、墜落してしまいます。そんなことにならないよう、回避運動はいつも以上に気合をいれて!)
 徐々に迫る怪光線が、不思議と怖くない。一体どうしたことだろうか。
(……どれでも被弾してしまったら? 着ぐるみ的なものでしたら、墜落のダメージも軽くてすむかなあ。でも、あとの戦闘に支障をきたしそうだし……)
 そこまで考えた所で、突如時間の流れが戻った、気がした。急激に迫り来る怪光線。
「――うん。やっぱり、当たらないのが一番ですね!」
 年相応の元気な笑顔と声で、反重力シールドごとひらり一回転。華麗に怪光線をかわしてみせるユーイ。回転でさらに加速したユーイは、全力で怪人めがけ急降下突撃!
『ぐええぇぇぇぇぇ!!!』
 アングローラーのネルシャツが破れそうな勢いでめり込む反重力シールド。
「はわわ、早く離れないとまたスカートの中を狙われてしまいます!」
 そう言って反重力シールドに乗って退避していく。

 そこに身体が半分埋まっているのではと思うほどに派手なヒビが入ったステージの中心で、アングローラーはピクピクと痙攣していた。
 そんな怪人の前につかつかと歩み寄っていくのははつらだ。カツンと靴音ひとつ、凛々しく仁王立ちをするとズビシとアングローラーを指差して宣言する。
「はつらさんわかりました! そのユーベルコードには弱点があります!」
『何っ……!? ボクの【ここがコスプレ会場だーーーーーーー!!】に、弱点などありえない!』
「いいえ!」
 堂々と胸を張り言い放つはつら。これがユーベルコード発動の瞬間だと、誰が気付いたであろうか――!?
「なぜなら」
 己の胸に右の掌を当てる。
「ここは」
 その手を大きく振って、会場全体を示す。
「コスプレ会場ではありませんっっ!!」
 【はつらさんの極めて主観的な客観的視点(ハツラ・オブジェクティブ)】。対象のユーベルコードの弱点を指摘し、実際に実証してみせると、【八大竜王】が出現してそれを180秒封じる驚異の技だ。

 はつらは続ける。怪人の主張を否定する。
「ここはアイドルたちのステージです! 『the Big Heads』の皆さんが、そしてはつらさんたちが歌って踊ったこのステージをコスプレ会場と呼ぶのは、とても乱暴で、悲しいとおもいます!」
 その言葉と共にはつらの背後に現れたのは「八大竜王」と呼ばれる存在。それが現れたということは、即ち怪人の主張の否定に成功したということだ――!
「このアイドルの歌を聞いてください、そして戦慄してください、これが――アイドルです!」
「戦慄!?」
 やや後ろから様子をうかがっていたアヤカがサラッと飛び出した物騒なワードに仰天するも、この展開ならばとシンフォニックデバイス「ボイスオブセイレーン」の調子を確認すると自らも前線へ飛び出していき、はつらと共に歌い踊るべく並び立つ。

「今度はみんなに燃えるような歌を聞かせてあげる!」
 遠くにいるキマイラたちにも届けとばかりに声を張り上げ、返ってくる大声援に手応えを感じると、アヤカは【燃え盛りし炎の歌(ソング・オブ・バーニングブレイズ)】を火力最大集中で解き放つ!
「これがわたしの想い……聴きなさい、熱き心と魂の歌!」
『ちょっ、キミ、火の演出は危な……あっ熱い、熱い!!』
「大丈夫、火事になる前に火は消すから!」
『そういうコトじゃなくて、アッアッ、もうお腹いっぱいですぅ!!』
「何言っちゃってるの、まだ一番しか終わってないわよ! 二番、レッツゴー!」
『アァーーーーッ』

 ごうごうと的確に怪人だけを燃やして、かつ観客の心を震わせるアヤカの歌が続くなか、うにょろうにょろ(という擬音で動き回るらしい)八大竜王がアングローラーに絡みつく。
『ひ、ヒイッ!? 触手プレイはする方がイイんですけどぉ!?』
 そういうのいいからという体ではつらがぺたぺたと怪人に近づくと、おもむろに振り上げた「はつらさんアックス」でポカポカと叩き倒した。時折ぐちゃ、とかいう音が聞こえた気がしたがきっと気のせいだろう。

 そんな中【燃え盛りし炎の歌】をラストまで歌い切ったアヤカはふう、と額の汗を拭いながら呟く。
「……とりあえずもうちょっとまともにやれば、普通にウケてたんじゃないかしら、これ……」
 至極ごもっともな意見であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

知念・ダニエル
ローズウェル(f09072)と一緒に

コスプレ?残念ながら効かないっす
俺、既にコスプレ済みっすから!

ローズ、プリティー戦士はクライマックスに近付くに連れてどうなるか知ってるっすか?
そうっす、更に進化するっす
俺も真の姿を見せる時が来たようっすね…
(こうなったら真の姿人格も道連れに。
結んでいる髪をほどき、長い髪を靡かせると、鋭い目付きに変わり)

は?僕にもプリティー戦士を演じろって?
嫌だね、暗殺者に演技なんて出来るかよ
攻撃を【見切り】ながら近付いて【暗殺】【傷口をえぐる】で【暗殺ノ極意-隼-】を当てるよ
死体のコスプレならきっとお似合いさ
無理にコスプレさせるなって?はは、アンタ人の事言えないだろ?


ローズウェル・フィリンシア
ダニエルさん(f00007)と一緒です

無理矢理コスプレをさせるのはいけません!
撮影する側される側は、お互いが楽しんでこその関係です!
…と、誰かから聞きました!

寒い格好は嫌です、風邪引いちゃいます!
そのスク水とやらは特に嫌です!なんとなく!
メイド服はプリティー戦士が元の姿に戻っちゃいますから、阻止せねばっ!

プリティー戦士が敵に近付けるよう援護しますね
私は【月の恵み】で相手の攻撃を相殺します
なるべく【2回攻撃】で手を緩めないよう努めますね
カメラのレンズには気を付けましょう。そこを狙ってみるのもアリですね

ひゃっ、プリティー戦士らしくない言動!?子供に見せられないのです!
ええと…正義は必ず勝つのです!



●れいやーばーさすかめこ
 今回の事件の黒幕・怪人アングローラーはもはや立っているのもやっとな程に消耗していた。あともう一息で決着をつけることができるだろう。
「コスプレ? 残念ながら効かないっす。俺、既にコスプレ済みっすから!」
 どーん! そんな効果音が聞こえてきそうな勢いで言い放つのは事件冒頭からキラッキラ大変身で奮戦してきた知念・ダニエル(黄昏冥土・f00007)だ。今の彼はダニエルではない、己の中の別人格をも道連れにしたプリティー戦士なのだ!

「無理矢理コスプレをさせるのはいけません! 撮影する側される側は、お互いが楽しんでこその関係です!」
 ……と、誰かから聞きましたとダニエルに並んで怪人に向かってメッするのはローズウェル・フィリンシア(太陽と月の神子・f09072)。ローズウェルはローズウェルでナチュラルボーン魔法少女な格好をしているものだから、新たなコスプレ素材を見出したに等しい怪人は水を得た魚のように立ち直ると、二人に舐めるような目線を向ける。

『ドゥフフ、既にコスプレ済みならば、次の衣装を用意するまでのこと! ニチアサに出てきそうなそこのキミたちをお着替えさせて、今まで受けた傷を癒やすぞ……!』
「さ、寒い格好は嫌です、風邪引いちゃいます! そのスク水とやらは特に嫌です! なんとなく!!」
 色々な意味で背筋に悪寒が走る思いだった。ローズウェルは必死に抵抗の意思を示す。そうだね、スク水はさっき大惨事が起きたからね……。
「それに、メイド服はプリティー戦士が元の姿に戻っちゃいますから! 阻止せねば!」
 ね! という無言の意思を込めてローズウェルがダニエルの方を見る。見られた側のダニエルは神妙な口ぶりで返す。
「……ローズ、プリティー戦士はクライマックスに近付くにつれてどうなるか知ってるっすか?」
「(ごくり)ま、まさか……モードチェンジ、ですか……!?」
「そうっす、更に進化するっす。……俺も真の姿を見せる時が来たようっすね……」

 そこまで言うとダニエルは結んでいた髪をほどき、獅子の毛並みを思わせる美しく長い金髪をなびかせる。気だるげな表情は一変して鋭い目つきに変わり、まるで人が変わったかのように――いや、『本当に変わった』のだ。こうなったらお前も道連れだと、ダニエルの真の姿を形成する人格が、プリティー戦士の格好のまま表に出されたのだ。
「は? 僕にもプリティー戦士を演じろって?」
 心底呆れたといった声音で真の姿の人格となったダニエルが言う。
「……嫌だね、暗殺者に演技なんて出来るかよ」
 ダニエルは「三日月」を構えると、急転直下の出来事に頭が追いついていない怪人を一瞥し、狙いを定める。

「プリティー戦士、援護しますね!」
「だから演らないって言ってるだろ!」
 めげないローズウェルがダニエルに声を掛けながら、アングローラーの攻撃を相殺すべく【月の恵み(ザ・ムーン)】で三日月型の魔法弾を弾幕のように撃ち出す。
『くっ……ボクの「強制コスプレ光線」が……!』
「そちらもやりますね……! カメラのレンズを狙いたいんですが、思うように行きませんっ!」

 アングローラーとローズウェルの攻防が続く中、その隙を狙ってダニエルが地を蹴ってアングローラーに肉薄した。ワンテンポ置いてプリティー戦士の衣装が宙にキラキラの尾を引く。
「【暗殺ノ極意-隼-(ハヤブサ)】――残念でした」
 真の姿となり殺傷能力を増した「三日月」による渾身の一撃が、アングローラーの胴体に深々と突き刺さる。
『ぐはっ……!?』
「あんたもコスプレするといい、死体のコスプレならきっとお似合いさ」
「ひゃっ、プリティー戦士らしくない言動!? 子供に見せられないのです!」
 思わず顔を覆いながらも指と指の間隔を広く取り、ちゃっかり隙間から見ているローズウェルがあわあわと言うが、そんなローズウェルにダニエルは涼しい顔で言い返す。
「無理にコスプレさせるなって? はは、アンタ人の事言えないだろ?」
「はうっ……!」
 愉しげに、ぐりぐりと「三日月」でアングローラーの傷口を抉るダニエル(プリティー戦士のすがた)。

(ぷ、プリティー戦士の進化とは、危険と隣り合わせなのですね……!)
 妙な納得をしながら、遠巻きに見ているキマイラたちがリアクションに困っているのを見るや、あわててフォローを入れた。

「ええと……正義は必ず勝つのです!」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四軒屋・綴
【アメリアと共闘】

待った団長ッ!前は閉めてくれッ!?

ともあれPさんを止めるッ!団長と揃って『待てぇいッ!』と登場ッ!

1「荒野を目指せ、希望を創れ。」
3「叫べッ!友・情・連・結ッ!」
から本体であるゴーグルを中心にセルフ分離ッ!籠手、ブーツ、ゴーグルはそのまま団長に合体ッ!それ以外は上着状に変形し羽織るような形で団長の背中に合体ッ!
4『ジョウクィーンッ!!』
とキメて戦闘開始ッ!

二人分のパワーとスピードで戦闘ッ!

空中からUCを放ち『炎の竜巻』で敵を拘束ッ!
そのまま即席必殺技の「対星緋偉列車」で止めッ!

必殺技掛け合い
2「ヒートッ!」
3『レインッ!』
4「ver:IaHeart……ッ!」

団長台詞で〆ッ!


アメリア・イアハッター
【綴と共闘】

衣装は大事
皆の戦闘中に物陰でスーツからいつものダンサー衣装(スカート有)にお着替え
つづるんそこのヘアピンとってー

着替え終れば二人して颯爽登場
『待てぇいッ!』

そこから合体シーン
以下数字は台詞順
2「空を翔けろ、明日を守れ」
(綴を装着)
4『ジョウクィーン!』
5「フィルム、足りないかもよ?」
決めポーズ

颯爽と宇宙バイクに乗りいざ突撃
敵の攻撃は機動力で避け、ある程度接近したらバイクからジャンプ
覗きたいなら覗かせてあげるわ!

そのまま綴のUCの効果を受け、竜巻の力をもって敵へ突撃
そしてUC【空蹴】使用
合体必殺技を叩き込む

1「ツイスター!」
3『レインッ!』
5「Shut out!」

着地して決めポーズ



●ふぃなーれはひろいっくにきめて
 深々と抉られたナイフの傷も痛々しいアングラーローは、いよいよ身の危険を感じて隙あらば逃走を図ろうと、傷口を押さえながら様子をうかがっていた。
 一見するに新手の猟兵の姿は見えないとアングラーローが密かに安堵のため息を漏らす。しかし、一方その頃舞台裏では……!?

「つづるん、そこのヘアピンとってー」
 先刻ステージで身にまとっていたスーツ姿からいそいそとスカート姿もまぶしいダンサー衣装へとお着替えをしている真っ最中のアメリア・イアハッター(想空流・f01896)と、それを目のやり場に困りながらもお手伝いする四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)の姿があった。
 髪は結いかけ、衣装も着ている途中。上着の前のボタンも閉められていないけしからん姿のアメリアに指示された通りヘアピンを渡しながらそれを目撃してしまい綴は焦る。
「この形のヘアピンで良いのだろうかッ! いや待った団長ッ! お洋服の前はちゃんと閉めてくれッ!?」
 でないと青少年のなんかが危ない。第六猟兵は全年齢対象のPBWだからね!
「あはは、ごめんねー。もうちょっとで終わるから待っててー」
 悪びれもなく笑うアメリアは着々と準備を進め、遂にステージに立つ用意が整った。
「お待たせつづるん、さあ行きましょうか!」
「応ッ! 打ち合わせもバッチリ、いよいよ本番だなッ!!」
 アメリアと綴は、舞台袖からステージ上へと飛び出していく――。

「「待てぇいッ!!」」
『ひいっ!?』
 アメリアと綴が息もピッタリにステージ上からそろりそろりと退散しようとしていたアングラーローの背中に向けて言い放つ。恐る恐る怪人が振り返れば、そこには赤を基調としたアイドル衣装を身にまとったアメリアと、小豆色が渋カッコいい綴とが並び立ってポーズを決めていた。
『りょ……猟兵がまだいたなんて……! も、もう勘弁してよお、『the Big Heads』の件は謝るからさあ、これからはただのカメコとして心を入れ替えて生きていくからさあ……!』
「オブリビオン倒すべし、慈悲はないッ!」
「悪いけど、そんな上辺だけの言葉にだまされるほど甘くはないのよね、私たち」
 アングラーローの命乞いを、しかし無慈悲に一刀両断する綴とアメリア。二人は顔を見合わせ頷き合うと、戦闘態勢に入る。

「荒野を目指せ、希望を創れ」
 綴が口上を述べると、アメリアがそれに続く。
「空を翔けろ、明日を守れ」
「叫べッ! 友・情・連・結ッ!」
 その声と同時に、ヒーローマスクである綴が本体であるゴーグルを中心に突如分離する! 籠手とブーツ、ゴーグルはアメリアの身体に装着され、それ以外のパーツは上着上に変形してアメリアが羽織るような形で背中に『合体』を果たす。
「「ジョウクィーン!!」」
 ぴかぴかきらーん!! ○リガー風演出が見えた気がした。おお、見よ! これがヒーローマスクとヤドリガミの合体である!
「フィルム、足りないかもよ?」
 ウインクひとつ、綴を身にまとったアメリアが決めポーズを取る。

『と、特撮には興味ないんだな! 衣装ならまだまだいっぱいある! こうなったらキミたちをやっつけて、何としても生き延びる……!』
「ふふ、そう上手く行くかしら?」
「シケンヤと団長、二人分のパワーとスピードで勝負だッ!」
 アメリアがどこからともなく呼び寄せた愛用の宇宙バイク「エアハート」にまたがる姿はまさに特撮ヒーロー……いやヒロインか。ツバメの如き黒い流線形が美しい「エアハート」を駆り、アメリア(と綴)はアングラーローに突撃を仕掛ける。
『誰が! 何と! 言おうと! ボクがいる限り、ここがコスプレ会場なんだあぁーーーーーッ!!』
 怪人の絶叫と共に、戦慄の強制コスプレ化光線が二人目がけて放たれる。しかし闇雲に発動したそれはアメリアの巧みなハンドルさばきによりことごとく回避されてしまう。
「つづるん、跳ぶわよ!」
 そう言うやいなや、アメリアはバイクのシート部分に一旦飛び乗ると、シートを思い切り蹴って宙を舞った。アメリア(と綴)はアングラーローのほぼ上空に位置取る。
『おおっふぉ!? み、見え、見え』
「覗きたいなら覗かせてあげるわ! つづるん、やっちゃって!」
 なんということでしょう、アメリアさんの羞恥心が息をしてないの! でもご本人がいいって言うならいいのか! やったね!!

「出でよ、燃える心の炎の竜巻ッ! 【混然列車(イマジネイトレイン)】ッ!!」
 天高く舞い上がったアメリアに装着されている綴が、何だか通勤ラッシュを思わせるネーミングのユーベルコードを発動させた。しかし効果は実に真面目なもので、ゴウッと現れた炎の竜巻はアメリアのスカートの中身に夢中になっていた怪人を捕らえて動きを止めることに成功する。
『し、しまったーっ! 熱い、熱い! 今日はよく燃やされるなあ!?』
「でかしたつづるん! それじゃ、いっくわよーっ!!」
 そう言うと竜巻の勢いに乗る形でアメリアが怪人目がけて急接近、間合いに入ると同時に【空蹴(クウシュウ)】を放ちながら叫ぶ。そう、これは――アメリアと綴の合体必殺技、その名も【対星緋偉列車】なのである!

「ツイスター!」
「ヒートッ!!」
「「レインッ!」」
「ver:IaHeart……ッ!」
「Shut out!」

 1カメ! 1カメ! 1カメ! いろんなアングルからバン! バン! バン! と映し出される、超高速かつ大威力の渾身の蹴りがアングラーローの顔面に決まり、遂にそのレンズが木っ端微塵に砕かれる瞬間。アメリア(と綴)が華麗に三点着地を決めた背後で、ちゅどーんと爆発が起きアングラーローの消滅を告げた。

 かくして、ゲリラライブから始まり様々なショーを代わる代わる繰り広げた公園広場のステージは、ヒーローショーで〆となった。観客のキマイラたちは全員無事、『the Big Heads』の元メンバーたちも正気を取り戻し、今後の身の振り方を真剣に考えることを猟兵たちに誓い、去っていった。今度こそ、まっとうなアイドルになってくれることを祈りながら、猟兵たちはその後ろ姿を見送ったのだった――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月05日


挿絵イラスト