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ユー・ファインディング・ザ・ホープ・マスト・ダイ

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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 アポカリプスヘル……地獄の黙示録と呼称されるこの世界に、新たな変化が訪れた。
 以前、オブリビオン主催の殺戮ゲーム『アポカリプス・バウト』を猟兵達が潰したことにより、奇しくも被害に遭った他の拠点(ベース)間での交流が始まった。
 他の猟兵達の活動により、舗装道路も少しずつ広がりを見せているのも要因だ。
 その拠点のひとつが最近、居住区の外に大規模な農場を築き上げたのだ。
「他の拠点からの物資提供のおかげで、ようやく収穫に漕ぎ着けたな……」
「収穫したら、他の拠点にもお礼として持っていっきましょう?」
「そうだね、今度はいつオブリビオンストームが来るか、わからないし……」
 アポカリプスヘルでの農業は、いつ何時に発生するか分からないオブリビオンストームとの戦いだ。もしもオブリビオンストームが発生すれば、農作物は全て吹き飛ばされて駄目になってしまう。それでも拠点の人々は諦めずに、作物を収穫できるまで育て上げたのだ。
 しかし、この世界の農業の敵は、謎の嵐だけではない。
「素晴らしい! この荒廃した大地で絶望せず、作物を育て、懸命に生きる人の姿の美しさ! なんて綺羅びやかに輝いているんだ! やはり、困難に直面した時こそ人は輝きを放つ!」
 突如として現れたのはオブリビオン――スーツ姿の河童男だ!
 その背後には、大量の物資が山積みになっていた。
「さぁ、試練を与えよう。試練に耐え抜いたのなら、この物資は君達のものだ。どうか、君達の力強い生命の輝きを見せてくれっ!」
 河童男が指を鳴らすと、黒い竜巻が農園と人々を覆い尽くす!
 オブリビオンストーム?
 否、これは……蚊柱だ!

「このままだと、この蚊柱と河童男に、大地は荒らされて人々は干からびた死体にされちゃうっ! 予知の発生時刻まで猶予がないから、準備が出来たらすぐに転送するよっ!」
 予知の映像をグリモアから投影し終えた蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)は、アポカリプスヘルへの転送の準備を進めつつ、今回の任務を足早に説明する。
「予知の通り、皆にはアポカリプスヘルに築かれた大規模な農場を死守してもらいたいんだよっ! 転送直後に河童男と蚊柱が出現するから、まずは蚊柱をどうにか抑え込んでっ! この蚊柱は当然オブリビオンだから、血液以外のエネルギー源……例えばガソリンや畑の栄養素なんかも全部吸い取っちゃうよっ! 闇雲に戦ったら、農場に被害が出るから、そうなる前に範囲攻撃可能な武器やユーベルコードで、まとめて殲滅することをオススメするよっ!」
 続いて河童男なのだが、どうやら絶望に抗う人々の美しさに魅入られた存在らしい。
「敵はかなりのサディストっぽい! こっちも下手に戦うと農場に被害が及ぶから、対策を立てた上で戦ってほしいな……っ?」
 レモンも農業の心得がある猟兵だ、今回の予知は胸を痛めているのだろう。
「農業は人々の生活の土台の産業っ! つまりこの世界の希望だよっ! みんな……お願いだから、アポカリプスヘルの希望を守ってあげてっ!」
 転送準備が完了したレモンは、猟兵達をすぐにアポカリプスヘルへ送り込む。
 果たして、猟兵達は希望の象徴である農場を守り切ることが出来るのか……?


七転 十五起
 アポカリプスヘルで農業が復興中です。
 このシナリオが成功すれば、もっと盤石になるでしょう。
 なぎてんはねおきです。

 オープニングの通り、大規模農場を襲撃するオブリビオン集団を撃滅して下さい。
 第一章集団戦、第二章ボス戦を経て、第三章で農場のお手伝い等が出来ます。

 本シナリオは同世界シナリオ『アポカリプス・バウト・オブ・ザ・ヘル』の後日談のシナリオを想定しておりますが、前述のシナリオに参加していなくても、特段不利になることなく本シナリオへご参加出来ます。

 それでは、皆様の希望溢れるプレイングをお待ちしております!
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第1章 集団戦 『竜巻蚊柱』

POW   :    回転を保ちつつ一斉吸血
技能名「【吸血】【生命力吸収】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
SPD   :    竜巻勢力増大
【回転速度を高める】事で【さらに荒れ狂う蚊の竜巻】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    分離部隊による潜行吸血
【竜巻本隊を囮にした、生気を吸う吸血蚊部隊】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リカルド・マスケラス
連携等歓迎

「畑の危機とあっては、炊き出し系ヒーローとしては見過ごせないっすね」
そんな感じで宇宙バイクとともに飄々と戦場に現れる狐のお面

「数には数を、っすね!」
【神火分霊撃】で大量に武器を持った人型の分身を作り、【集団戦術】で動かしながら鎖鎌などで【なぎ払い】させる。相手が分身の血でも吸おうとするなら、
「ああ、そいつら、人型に擬態した炎なんで気を付けたほうがいいっすよー」
と、炎の【属性攻撃】も加えて敵を焼き払ってゆく。
「やー、蚊柱が火柱になりそうっすね~」
一応、畑の方に被害が出ないよう、位置取りなどに気を付けながら戦っておきます。


エメラ・アーヴェスピア
あら、あの時の
この世界の人達は、本当に強く生きているわね
だからその邪魔はさせないわ

超小型の大群…範囲攻撃と言っても砲が基本の私には少々辛い…のは少し前の話よ
今回は新兵器があるわ…あるのだけれど…先ずは即座にドローンで地形の【情報収集】
出来るだけ広く、燃える物が少なそうな場所を探すけれど…あるかしら?
最低でも広い場所じゃないと投下できないから…行くわよ、『焼き尽くすは我が灼熱の巨人』投下!
後は魔導寄りの炎をだす兵器を用いた炎壁や炎鎧で蚊だけを燃やしていくわ
…油断すると全てが燃える、これだから炎は苦手なのよ…
対象識別に私の処理能力の全力を出すわ、農園を燃やす訳にはいかないから

※アドリブ・絡み歓迎



 アポカリプスヘルの農場に、河童と蚊柱が現れる。
 絵面はなんとも珍妙であるが、その脅威は間違いなく災害クラス、あるいはそれ以上だ。
「どうか、君達の力強い生命の輝きを見せてくれっ!」
 そう河童が叫び、蚊柱を放ったその瞬間、目の前の空間が黄金色に輝いたかと思えば、2名の猟兵が転送されてきた。
「畑の危機とあっては、炊き出し系ヒーローとしては見過ごせないっすね。ウェーイ! 蚊柱は消毒っすよ~!」
 チャラい口調の青年……が被る白狐面のヒーローマスクのリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は、猛牛めいた宇宙バイク『アルタイル』に跨ったまま転送されてきた。
 そのバイクにはミサイルランチャー『リベルタス』とビーム砲【ミルキーウェイ】が搭載されている。
 そして、もう一人の猟兵は、怯える拠点の人々の顔に見覚えがあった。
「あら、あの時の。この世界の人達は、本当に強く生きているわね」
 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が振り変えれば、そこには父親と幼い少女が立ち尽くしていた。
「ねぇ、お父さん! あの時のお姉ちゃんだよっ!」
「おお……猟兵のエメラ様だ! みんな、俺達は助かるぞ……!」
 かつて、エメラを始めとする猟兵達が、オブリビオンの主催するデスゲームを潰したことで、強制参加させられていた父娘は無事に再会することが出来た。
 そして2人は猟兵を希望の存在として口伝しており、再びの転送を目の当たりにしたことで、拠点の人々は恐怖から脱することが出来た。
「みんな、逃げよう……! 猟兵の皆様、どうか、農場をお守りください……!」
 父親は周囲の人々を引き連れて、拠点へと引き下がっていった。
 エメラは踵を返すと、立ち上る蚊柱を睨み付ける。
「ええ、そのお仕事の依頼、承ったわ。だから、その邪魔はさせないわ」
 浮遊型魔導蒸気ガトリングガンを従えたエメラ、そして宇宙バイクのエンジンを蒸すリカルド。
 猟兵の邪魔が入った河童は、その矛先を拠点の人々ではなく猟兵へ向けることにした。
「そっちこそ邪魔をしないでくれたまえ。だが、君達の生命の光を観察するのも悪くない。さあ、この圧倒的な物量戦にたった2名で立ち向かえるかな?」
 河童が遂に、蚊柱竜巻を猟兵へ解き放った!
「律儀に攻撃を待ってくれるなんて、随分とお人好しな河童ね?」
 エメラのサイバーコンタクトには、密かに放っておいた小型の魔導蒸気ドローンが上空を偵察していた。
「お面の同僚さん? 1時の方角へ蚊柱を吹き飛ばせないかしら? ここだと農作物に被害が出るわ」
「うぃーっす、りょ! とりま、数には数を、っすね!」
 むんっとリカルドはユーベルコード『忍法・神火分霊撃』を発動!
 79人の分身が出現すると、複製した鎖鎌を一斉に振り回し始めた。その刃には炎が灯されている!
「即席忍法・念力辻風の術っす!」
 高速で振り回した鎖鎌がファンとなり、更に炎で生み出した気流を念動力によって強風へと変換させたではないか!
 いくら物量で勝る蚊柱といえど、そのひとつひとつは所詮は小さな蚊だ。
 質量の軽い固体の集団は、あっという間に突風に煽られて、エメラの指定した場所まで吹き飛ばされてしまう!
「いいわね、その調子よ」
 エメラは浮遊型魔導蒸気ガトリングガンで弾幕を張りながら蚊柱へ牽制。
 そのまま誘導地点へ移動してゆく。
「出来るだけ広く、燃える物が少なそうな場所がすぐに見付かったのは幸運だったわね。とはいえ、敵は超小型の大群……範囲攻撃と言っても砲が基本の私には少々辛い……のは少し前の話よ」
 誘導を完了させたエメラは、遂に完成した新兵装を初披露した。
「最低でも広い場所じゃないと投下できないから……行くわよ、『焼き尽くすは我が灼熱の巨人(ゴーレムタイプトロイド)』投下!」
 上空から転送された燃え盛る20m級の魔導蒸気巨人兵が、地面を揺らして着地!
「………灰になる覚悟はできたかしら?」
「やっべーっす、まじっべーすよコイツは!」
 唐突な巨大ロボの登場に、リカルドのテンションも爆アゲだ!
 燃え盛る魔導蒸気巨人兵は、搭載された魔導蒸気火炎放射や赤熱する炎鎧から紅蓮の炎を逆巻かせれば、どんなに吸血やエネルギー吸収の能力を強化した蚊の群れとはいえ、一瞬で灰舞っていく!
 だが、放出する熱量の調節は、エメラは己のトラウマとの格闘でもあった。
「……油断すると全てが燃える、これだから炎は苦手なのよ……」
 自身の身体を機械化した原因となったのが、過去に彼女を襲った全身の大火傷だ。
 炎を操る新兵器の開発は、彼女にとって随分と苦悶の連続だったに違いない。
「ヒュゥーッ! やっぱ、巨大ロボはマジで強ぇーしカッケーっすね~って、おっと? 近い近い近いっ!」
 蚊柱竜巻から分離した吸血特化の別働隊がリカルドに迫る。この部隊は隠密性が高いようで、大量の本体の影に隠れて奇襲を仕掛けてくるのだ。
「でも所詮は蚊っすね~? バイクの機動力には勝てないデスティニー背負ってるっつーか? そもそもリームーで勝てないっしょ?」
 すぐさまリカルド本体は『アルタイル』を疾走させて距離を取る。そして分身体を集団戦術の知識で操作して肉壁として立ち塞がらせた。
 当然、吸血部隊は分身体の全てを吸い尽くそうと群がってゆく、のだが。
「ああ、そいつら、人型に擬態した炎なんで気を付けたほうがいいっすよー」
 KABOOOOM!
 分身体達の唐突な自爆!
 巻き込まれた吸血部隊は消し炭に変わっていった!
「やー、蚊柱が火柱になりそうっすね~? ついでにこれもおまけっす」
 宇宙バイク搭載のビーム砲と炸裂焼夷弾頭のミサイルランチャーを派手にぶっ放すリカルド!
 こうして、エメラの魔導蒸気火炎巨人兵の攻撃と共に、目の前の蚊柱はあっという間に火の海へ飲み込まれ、その数を大幅に減らしてゆくのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アハト・アリスズナンバー
いくら私達とは別の場所とはいえ、故郷を再生しようとする人たちを邪魔することは許されません。削除します。

圧倒的物量差でも、圧倒的な火力を相手にするとどうなるでしょう?
どうやら先発した方々もいらっしゃるようですし、敵の情報をお聞きしましょう。そして予知の内容と皆さんの情報から、有効装備を検出。【アリスオブディヴィジョン】を起動。
位置取りに気を付けながら、装備を持ったアリスズナンバーに敵を焼き払わせつつ、私もソーシャルレーザーの出力を上げて奴らを焼き払う事にします。
農園を守り切る事が重要です。なるべく早期殲滅を狙いましょう。
いざとなればわが身を

※アドリブ・絡み歓迎


日留部・由穏(サポート)
こんにちは、日留部・由穏と申します
一応これでも、太陽神の生まれです
人間達の生活はいつまでも見飽きないものですし、未来は明るくあるべきと考えています
人間同士の諍いならともあれ、過去の影に曇らされるなら私が手を出さない道理はありません
特に各地の卑劣な神々には思う所がありますね

戦闘技術は神の視力・暗視、ペンアートを利用した簡単な催眠、光線銃での銃撃戦ですね
UC謎を食らう触手は紙風船に捕えてあるので「これが何に使うものか分かりますか?」と見せてみると結構引っかかってくれるんですよ

技術は遠距離戦に寄りがちですが、負傷が嫌な訳ではありません
何があろうと人の未来を照らし続けることが、私の存在意義なのですから


ニーグラート・ジズ(サポート)
長寿のドラゴニアンの少女です。
食べれると判断したものは何でも食いつく性格で、物体でもオブリビオンでも腹が減っていれば食べます。
それ以外は能天気で優しく、甘えん坊な面もあります。

戦闘方法は両手の武器(右腕呑食口,左腕過食顎)を用い拳闘士のように殴ったり引っ掻いて抉ったりする近接スタイルです。敵の攻撃や策略は避けたり防いだりせず、それさえも食べようとします。
仲間の猟兵や非戦闘員からの提案を聞くくらいには理性はあります。


陸郷・める
☆める:戦車の操縦者。戦闘中は忙しく基本無口です
★7号:戦車兵器の生体部品にされた元レイダー。ヒャッハー

★こんな世界でもやっと安定して飯が食えるかもしれねぇんだ、台無しにはさせられねぇなァ!やるぜめる!
☆うん。エンジン始動、ふるぱわー、いくよ……!

★めるは『毒・環境耐性』持ち戦車内、戦車はめるからの動力供給がある、すぐどうこうしねぇと思うが、油断は禁物か。全速力で蚊柱を突っ切り反対側へ抜け、畑から離れるよう誘導しつつ追ってきた奴らに【特殊兵装:焼却薬剤散布】を仕掛けるぜぇ。こいつは「敵と汚物だけを“消毒”する」火だ。盛大に焼いてやるぜぇ!ヒャッハー!畑につく害虫は消毒だァー!!

※連携等歓迎



 先陣を切った猟兵達の活躍により、蚊柱竜巻の弱点が『炎』だということが判明した。
 ならば、とアハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)を始めとする猟兵達も遅れを取るなと前線に立つ。
「いくら私達とは別の場所とはいえ、故郷を再生しようとする人たちを邪魔することは許されません。削除します」
 レーザーライフル・アハトカスタムを構えながら、アハトはゆっくり螺旋状に立ち上る蚊柱へレーザービームを撃ち込んで牽制してゆく。
 その後ろには、実験兵器『偽神兵器砲塔』を搭載した6本脚の異形戦車『6号』に乗り込んだ陸郷・める(死念動力実験成功体6号・f26600)がエンジン音を響かせていた。そして戦車から口調が粗野な男性の声が発せられた。
『こんな世界でもやっと安定して飯が食えるかもしれねぇんだ、台無しにはさせられねぇなァ! やるぜ、める!』
「うん。エンジンは快調、ふるぱわー、いくよ……!」
 戦車に乗り込んでいる陸郷が操縦系の操作を行っている間、男――生体部品である試製実験兵器7号が喋りだす。
「おいそこの河童ァ! てめぇ勝手な御託で命の煌きが見たいとか抜かしやがったなァ? 光り輝いているのはてめぇの皿だけにしておけや! 割っちまうぞコラァ?」
 先程から猟兵と蚊柱の戦いを見物している河童へ啖呵を切る7号。
 だが河童は静かに口元を愉悦に歪ませ、サングラスの奥の瞳をギラギラと光らせるだけだ。
 と、ここで、更にサポート猟兵達の救援が間に合った。
「こんにちは、救援に駆け付けました日留部・由穏(暁天緋転・f16866)です」
 笑顔で露骨な偽名を語り、裾の長い白衣を纏った青年が会釈する。
 その彼の周囲には命が宿った折り鶴が飛び交っていた。
「此処はいい農場ですね。人間達の生活はいつまでも見飽きないものですし、未来は明るくあるべきと考えています。それこそ、絶望の淵から此処まで這い上がった皆さんの行動力に称賛を贈りたいくらいです」
 何処か達観したような物言いで、日留部は巨大な蚊柱と対峙する。
「人間同士の諍いならともあれ、過去の影に曇らされるなら私が手を出さない道理はありませんが……今回はどうやら害虫駆除のようですね」
「蚊柱って食べられるのかな? きっと食べられるよね? あ、私はニーグラート・ジズ(黒龍とハイエルフの娘・f23326)だよ! サポート猟兵でやってきたけど、お腹空いたなぁ……。蚊柱食べよっかなぁ?」
 ジズは日留部とは真逆のテンションで蚊柱を見詰めていた。決して満たされることのない飢餓感に苛まれるジズは、自分の父母を喰らったあとも様々な物を喰らいつくしてきた。それは可食物・非可食物問わず、その胃袋に収めてきたのだ。
「もう我慢できない! 蚊柱の踊り食いだよ!」
 ジズは空腹のあまり、蚊柱の中へ単身飛び込んでいってしまった!
 慌てたのは他の猟兵3名だ。
「いけません。あのままでは飛び込んだピンク髪の方が吸血されて干からびてしまいます。直ちに救助します」
 アハトはすかさず、ユーベルコードを発動させる。
「アリスコード送信。お茶会の時間です。アリスオブディヴィジョン、起動です」
 アハトは先陣で暴れた猟兵達のデータを元に、火炎放射銃を装備した同一規格の別の自分が召喚された。
「農園を守り切る事が重要です。なるべく早期殲滅を狙いましょう」
「了解しました。これより対象の削除を開始します」
 2人のアハトが、レーザービームと火炎放射銃で容赦なく蚊柱を焼き払ってゆく。
 その間に、陸郷と7号が蚊柱の中へ突撃!
『ヒャッハーッ! 俺様達のエネルギーが吸いたきゃ付いてこいやー!』
 毒と悪環境に耐性を持つ保護殻の機能がある戦車は、蚊達の吸血並びにエナジードレンを物ともしない。
 そのまま、蚊柱の中へ突っ込んでいったジズを回収して、蚊柱を突き抜ける!
『っしゃあっ! 巫女のネーチャンを回収だぜ!』
「あーもー、今、いいところだったのにー」
 救出されたジズは、何かを丸めた団子状のものを頬張っていた。
「私の血を吸いに来た蚊を根こそぎ握り潰して捏ねくりまくって、お団子にして食べてたのにー」
『ウゲェ!? おい! そんなモン喰うの止めとけよっ!』
 思わず7号はジズを制止するも、ジズは空腹に耐えかねて蚊団子をむしゃむしゃ頬張り続ける。
「えー? どっかの世界には『蚊の目玉スープ』っていう珍味があるくらいだし、プチプチした食感が癖になるよ?」
『いやそういう問題じゃねー!?』
 7号はジズの留まることを知らない食欲に思わず戦慄してしまう。
「もっと食べたいから、もう一回行ってくるね?」
 7号から飛び降りたジズは、再び蚊柱の中へ!
 その中でジズは、暴食の権化と成り果てる。
「私の右腕の爪は牙で、手のひらは胃壁。そして私の左腕は食べたいものを掴み、そのまま食い千切るためにあるんだよ!」
 その宣言通り、左右の手で寄って集ってくる蚊を握り潰しては丸めてゆき、団子を徐々に大きくしてゆくジズ。更に、自身の尻尾を振るえば、空間を削り取ったかのように、蚊の大群が消失してしまったではないか!
 それもそのはず、ジズの尻尾は第三の捕食器官であり、丸呑みにして直接胃に運ぶ事ができるのだ。
『あのネーチャン、やべぇな……! んじゃ、俺様達は農場へ向かう蚊柱を“消毒”すっか?』
「準備完了。いつでもいけるよ」
 戦車内部の陸郷からGOサインが出た。
 7号は自身の砲塔の口を蚊柱へ向け、必殺のユーベルコードを見舞った!
『ヒャッハー! 衛生面から汚物は消毒だぁー!』
 砲口から特殊薬剤が散布されると、空気中で一気に燃え上がり、蚊柱へ引火!
『こいつは敵と汚物だけを“消毒”する火だ。盛大に焼いてやるぜぇ! ヒャッハー! 畑につく害虫は消毒だァー!!』
 蚊柱は螺旋状の火炎竜巻となって、集団全体があっと今に炎の中へ消えていく。
 それを見ていた日留部の周囲に、白い炎が幾つも浮かび上がり始める。
「なるほど、炎に弱いのならば、『私(かみ)の慈悲』が有効ですね。一応これでも、太陽神の生まれですので」
 255個の白い炎が、次々と蚊柱へ向かって発射されてゆく!
「31.6度の白日より、去り逝く貴方に餞を」
 7号が放った薬液にアハト達の紅蓮の炎が混じり、更に延焼。
 そこへ、日留部の“熱いとも痛いとも感じることができない無属性の白い炎”が合わされば、空いっぱいに広がった蚊柱が灰となって風に舞い散っていく。
「あむあむ……。焼けた蚊団子もサクサクしてて美味しいねー!」
 そして、ジズは火が通った蚊団子をニコニコしながら頬張り続けていた。

 こうして、猟兵達の大奮闘によって、オブリビオンの蚊柱を完全に駆除できた。
 だが、蚊柱を放った河童は、今だ不敵に微笑んだままだった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 ボス戦 『荒野に試練を蒔く者』

POW   :    『さぁ、君の力強い生命の輝きを見せてくれっ!』
【生体感知機能搭載の殺戮機械獣の群れ】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD   :    『この程度じゃないだろう?もっと輝いてくれっ!』
対象の攻撃を軽減する【、自らの意志の強さに比例した力を持つ超人】に変身しつつ、【周囲一帯を破壊する衝撃波を伴う蹴り】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    『素晴らしい!ならばこの試練も乗り越えてくれ!』
自身の【全て】を代償に、【巨大オブリビオン・ストームの発生を伴う命】を籠めた一撃を放つ。自分にとって全てを失う代償が大きい程、威力は上昇する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は雛月・朔です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 河童こと『荒野に試練を蒔く者』は、その背後に大量の物資を積み上げたまま、猟兵達へ言葉を投げ掛け始めた。
「……良いぞっ! 思っていた以上に良いじゃないかっ! 絶望から這い上がる人間の……希望にすがるその命の煌きには及ばないが、君達の生死を超越した覚悟はなかなかどうして眩しかったぞっ……!」
 拍手で猟兵達へ称賛の意を送るオブリビオン。
 そのサングラスの奥の瞳が、ギラリと鈍く光る。
「だが、まだ及第点にも達していない! 君達の覚悟、この程度じゃないだろう? もっと輝いてくれっ! 君達の力強い生命の輝きを、私に見せてくれっ!」
 河童の背後から、凄まじい殺気と覇気が放たれる!
 一般人ならば、この殺気と覇気を身に浴びただけで、恐怖で失神してしまうだろう。だが、猟兵達はなんとか意識を保ち、己の武器を手に持って身構え直す。
 この河童、只者ではない……!
 だが、倒さねば、アポカリプスヘルの未来が潰えてしまう。
 戦わなければ、明日は来ない……!
風雷堂・顕吉(サポート)
アドリブ連携歓迎

約100年前、ダークセイヴァーの人類敗北以来、ヴァンパイアとの死闘を細々と繰り広げてきたダンピール、それが俺だ。
ダークセイヴァー世界の大抵のヴァンパイア相手ならそれがどのような血族かは知っているし、知らなくとも調べる伝手はある。
それ以外の世界については物珍しそうに振る舞うことになる。すぐに慣れるだろう。
ダークセイヴァーとスペースシップワールド以外の世界は日差しが強すぎるので、サングラスを着用する。

戦闘は剣士の動きだ。
フェイントを多用する。相手が格上や多数の場合は挑発をして隙を作ることもある。
次に参加する猟兵が戦いやすい状況を作ることも多い。


リカルド・マスケラス
連系アドリブOKっす

「何か勘違いしてるみたいっすけど、命の輝きを守るのが猟兵っす。別にアンタを喜ばせるような輝きを放つ必要なんてないっすから」

殺戮機械獣の群れはビーム砲とミサイルランチャーの【一斉発射】で【なぎ払い】
あとは宇宙バイクの影、もしくは他の猟兵に体を貸してもらって、その影を利用して【影魔人の術】を使用し、影魔人を召喚。伸縮自在の腕や装着者の武器のコピーによる【怪力】【2回攻撃】【属性攻撃(闇)】を行う。
「自分はね、頑張ってる人、輝こうとしている人の影として寄り添えるだけで十分なんすよ」



 リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は黒スーツの河童男こと『荒野に試練を蒔く者』に対して、怪訝な表情で言い放った。
「何か勘違いしてるみたいっすけど、命の輝きを守るのが猟兵っす。別にアンタを喜ばせるような輝きを放つ必要なんてないっすから」
 河童男は肩を竦めながら、やれやれと両手を挙げながらせせら笑う。
「ふふっ、どうやら……君は自身が放つ生命の輝きが自然と溢れていることに気が付いていないようだね?」
「あ~、駄目っすね。話が噛み合わなすぎてイライラしてきたっす……!」
 宇宙バイク『アルタイル』のアクセルを思いっきり捻れば、エンジン全開、河童男へウィリーで突撃!
「ちょっと黙っててほしいっす!」
「ははっ! その燃えるように滾る闘志! 素晴らしい!」
 河童男は真横へ跳躍してバイクの突進を回避。
 リカルドの通過を確認すると、河童男はすぐさま振り返り、自身の周囲に何かを呼び出した。
「さぁ、君の力強い生命の輝きを見せてくれっ!」
 生体感知機能搭載の殺戮機械獣の群れが召喚されて大地に放たれ、リカルドの宇宙バイクを猛追し始める!
「自分で追わずに機械に追わせるあたり、そこが知れるっすね?」
 リカルドは宇宙バイクに搭載されたミサイルランチャー『リベルタス』とビーム砲【ミルキーウェイ】の砲口を真後ろへセット。
「そのまま吹っ飛ぶっす!」
 熱線と多弾噴進砲が一斉に殺戮機械獣の群れへ飛びかかれば、立て続けに宇宙バイクの後方で火柱が幾つも昇った。
 だが、全部を排除しきれた訳ではない。
 加えて、進路を農場から引き離さなければ、はぐれた機械獣が農場へ向かってしまいかねない。
 しかし、離れ過ぎれば、今度は河童男へ一撃与えにくくなる。
 荒野を疾走させながら、どうしたもんかと思案に暮れるリカルド。
 と、そこへ風雷堂・顕吉(ヴァンパイアハンター・f03119)が救援に駆け付けた!
「アポカリプスヘルは2回だな。相変わらず日差しが眩しいな、此処は」
 風雷堂はサングラスを掛けたまま駆け出すと、サイドカー付きの大型バイク『ペイルウイング』に跨り、河童男へ突進!
「さっさと終わらせてもらうぞ」
 地獄の炎でも溶けない無骨な鉄塊の如き刀『ドラクリヤ』の鞘を抜き払い、すれ違いざまに斬り付ける!
 ギィィンッと響く金属音!
「む? 思っていた以上に硬いな?」
 後ろを振り返った風雷堂は、河童男の変貌ぶりに目をみはった。
「この程度じゃないだろう? もっと輝いてくれっ!」
 河童男の筋肉が隆起し、黒スーツがはち切れ、その体格が一回り大きくなる!
「猟兵の攻撃を軽減するという私の強い意志がっ! 私の肉体を超人へと変えるのだっ! さあ、今度は私の番だぞ!」
 超人化した河童男は天高く跳躍すると、そのまま飛び蹴りの姿勢で急降下!
「はははははっ! この蹴りは周囲一帯を破壊する衝撃波を伴う! 避けたならば、農場も吹き飛ぶかも知れないぞっ?」
「面倒だな……!」
 近くの農場を目配せする風雷堂は、やむなくバイクを停止させて剣を構える。
「光よ、ここに集え」
 風雷堂の掌から七色の光が河童男へ向かって放たれた!
「ふはははっ! そんな光が何だというのだっ!」
 河童男の蹴りが地面に突き刺さる!
「全て吹き飛……ばない、だとっ!」
「戯言もいい加減にするんだな?」
 風雷堂の剣閃が迫る!
 しかし河童男、その軌道を目で追い白刃取りを試みる。
「――それすらも予測済みだ」
 刀の軌道が急に逸れる。フェイントだ!
 そして逆側から斬り付けられる河童男の身体から血飛沫が舞う!
「何故だっ!? 私のユーベルコードは完璧だったはずっ!」
「それを先程の七色の光で封じたのだ。そして……俺の影を利用するとは、なかなか見所があるな?」
「あーバレてたっすか?」
 風雷堂の影から『忍法・影魔人の術』で伸縮分裂自在の手足を生やした、自身の身長の3倍の『影魔人』を従えた状態のリカルドが出現!
「いい武器持ってるっすね。ちょっとコピーさせてもらうっすよ」
 影魔人とともに、リカルドは影で拵えた刀を振るう!
「さあ、行くっすよ! 影魔人!」
「まずい! 機械獣たちよ、私を守……っ!」
「遅いっす! でやぁっ!」
 リカルドに腹を掻っ捌かれ、影魔人にぶん殴られて農場から遠ざかる河童男!
 影魔人を引っ込めたリカルドは、河童男へ言葉を突き付けた。
「自分はね、頑張ってる人、輝こうとしている人の影として寄り添えるだけで十分なんすよ」
「即興にしては良い連携だったぞ」
 風雷堂の言葉に、どーも、とニヤニヤと笑みを浮かべるリカルドであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アハト・アリスズナンバー
※アドリブ・絡み歓迎
……なるほど。自分の全てを投げてでもこの場所を破壊したいのですか。
どうやら私も力の上昇を確認したところです。
アリスズネットワークを起動。決議開始。UCを発動します。
私は願います。奴よりも強く。奴よりも早く打つ力を。

レーザーライフルを【クイックドロウ】で奴よりも早く撃つ事を試みます。出力は【マヒ攻撃】でそもそも技を打たせなくしましょう。撃たれたのなら仕方ありません。【リミッター解除】し銃身が焼け尽きるまで撃ちましょう。
多少体が吹き飛んでもこの際仕方ありません。量産モデルはこういう時に便利です。


ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!



 吹き飛ばされた河童男が立ち上がる。
「くくく……ははははははッ! 素晴らしいっ! よくぞ試練を乗り越えたっ!」
 河童男は両手を挙げて降参の意を示す。
 ……かと思った次の瞬間!
「ならば、この試練も乗り越えてくれっ!」
 そう叫ぶと、急に空がにわかに黒く陰り始めた。
「今から私は、自分の生命の全てを代償に、巨大オブリビオン・ストームの発生を伴う一撃を放つ! これが最後の一撃だ、猟兵達!」
 大気はうねり始め、風は徐々に逆巻き始め、上空には分厚い雲が現れ出した。
 このままでは本当にオブリビオンストームが発生してしまう!
「……なるほど。自分の全てを投げてでもこの場所を破壊したいのですか」
 アハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)は、河童男の狂った信念に戦慄すら覚えるも、決して怯むことなく身構えた。
「どうやら私も、この肉体の能力上昇を確認したところです。臆せず参ります」
 レーザーライフル・アハトカスタムを掲げるアハト。
 その元へ、更なる猟兵の救援が駆け付けてきた。
「遅くなりました! 精霊術士のニノンといいます!」
 白猫ケットシーのアルダワ魔法学園生であるニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)は、愛用のエレメンタルロッドを掲げて叫ぶ。
「あの河童を止めればいいんですね!? 任せてください! まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」
 ニノンは早速、『エレメンタル・ファンタジア』を発動させる。
「氷の精霊さん、わたしに力を貸してください!」
 エレメンタルロッドを大地に突き刺すと、河童男へ向かって大地が凍ってゆく!
 それは徐々に巨大な波となって、そのまま敵の足元へ押し寄せてゆく。
「そのまま凍て付いてください! 氷の津波です!」
 巨大な氷壁が河童男を飲み込む!
「壁を作ってオブリビオンストームを塞き止めるつもりだろうが、甘いっ!」
 氷の波へ河童男は右ストレートを放つ!
 瞬間、猛烈な暴風が吹き荒れ、ニノンの目の前が猛吹雪になってしまう!
「くっ! 捨て身の攻撃ですか! でも無傷で済むはずがありません!」
「ニノンさん、敵の生体反応は健在です。構えてください」
 アハトの忠告の直後、氷の津波を突き破って、河童男が飛び出してきた!
 その右腕は完全に凍傷で潰れてしまっていた。
「なかなか肝が冷えたぞ! だが私の利き腕は左腕! 右腕が凍結してもげたところで今更支障はないっ!」
「本当に、厄介極まりない相手ですね……」
 アハトは思わず舌打ちをしてしまう。
 牽制のレーザー銃撃を行いつつも、彼女は今、遠く離れた別の自分自身の固体達と決議を行っていた。
(アリスズネットワークを起動。決議開始。私は願います。奴よりも強く。奴よりも早く撃ち抜く力を)
 アハトの思考は今、1秒間が数百倍まで加速している。脳内LANによる同時遠隔会議の場で、故郷で待機している自身のスペア並びに本体に、目の前の敵を討ち倒す力を発揮する承認を乞う。
(もはや一刻の猶予はありません。承認願います)
(承認します)
(承認します)
(承認します)
(承認します)
(承認します)
(オリジナル個体、承認します)
(全会一致により、能力上昇は承認されました。プロジェクト・ディーヴァを発動します)
 アハトの肉体の出力が限界を超えた強さが引き出されてゆく!
「オブリビオンストームが発生してしまったのであれば仕方ありません。多少体が吹き飛んでもこの際仕方ありません。量産モデルはこういう時に便利です」
 レーザーライフルもリミッター解除、熱暴走寸前まで連続クイックドロウでオブリビオンストームを撃ち抜く。
「少しでもオブリビオンストームの勢いを削がなければ。となると、やはり河童男を探さないと……」
「私を探しているのなら此処だっ!」
 オブリビオンストームで自身の体を舞い上がらせた河童男が、アハトの頭上へと急降下!
「この一撃で粉々になれ!」
「ええ、では、お言葉に甘えて」
 アハトは相討ちを狙い、自身の身体で破滅の嵐の一撃を受け止めると、咄嗟に河童男の腹に向かってレーザーライフルを高速乱射!
 遂に熱暴走でレーザーライフルが爆発!
「げハァッッ!?」
 その爆発すらも河童男へのダメージに変え、再び河童男は吹き飛ばされた!
 だが、強烈な敵の攻撃と爆発を零距離から食らったアハトは、かろうじて上半身だけ残して大地に墜落する。
「大丈夫ですか!?」
 血相を変えたニノンが駆け寄るも、アハトは既に瀕死であった。
「ニノンさん……大丈夫です……。私は量産型フラスコチャイルド……。故郷に居る本体さえ無事ならば、次の私が上手くやってくれるでしょう……」
 そういうと、アハトは息を引き取った。
 そしてすぐさま、別の個体のアハトが転送されてきたのだ。
「転送座標軸、誤差なし。記憶データの完全引き継ぎ、成功しました。ニノンさん、此処は一度引き、農場の皆さんの避難を促しましょう」
「え、ええ。分かりました!」
 転がる死体のアハトと、生きているアハト、その両方を何度も見比べながらも、ニノンは彼女とともに農場へ駆け出していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陸郷・める
☆める
★7号

★ケッ、見るならお代は……ってあの野郎マジで命賭けやがった!!
しかもオブリビオンストームだァ!?これじゃ勝っても農場がヤベ……ってオイめる!?

める、ハッチを開け戦車から顔を出す(UC)、その表情は、悲嘆でも絶望でもなく

☆7号。めるたちなら、やれるよ
★…………あー、ワリィな。ガラにもなく焦っちまった。確かにそうだ。「今の」俺様達なら
☆うん……いこ。

めるのヴォルテックエンジンを戦車に連動・エネルギー供給し『限界突破+リミッター解除』
そして“偽神兵器砲塔”の『封印を解き』、嵐を喰らう顎へと変形、そのストームごと『蹂躙・捕食』して食った分全部を弾にして空へ祝砲の打ち上げだァ!!

※連携等歓迎


エメラ・アーヴェスピア
本当にはた迷惑なオブリビオンね…
いえ、そもそも迷惑じゃないオブリビオンなんて本当に一握りな訳だけれど…

『焼き尽くすは我が灼熱の巨人』、続投よ
その巨体を生かし、振り回すだけでも十分に武器になるわ
場所さえ気を付ければ炎も有用
私は肩に、と言いたい所だけれど炎鎧のせいでまだ触れるのは拙いわよね…
猟犬に騎乗し、私自らを囮にして巨人兵に攻撃をさせやすくするとしましょうか
まぁその間にも巨人兵の炎を制御しなくちゃいけない訳だけど…
それでも出来るだけ手早く撃滅しましょう
全ての攻撃で回りを巻き込むようなオブリビオンをここで長時間戦わせたくは無いわ

※アドリブ・絡み歓迎



 周囲はまさに地獄の黙示録と言わんばかりの光景だった。
 猛烈なダウンバースト、逆巻く大気、渦巻く真っ黒な雲。
 今や天を貫く巨大な柱めいたオブリビオンストームを背に、河童男は己の狂った信念を体現すべく、最期の力を振り絞る。
「これが私の100%、いや! 1000%だっ!」
 河童男の頭の黄金お皿にヒビが入った!
「この頭の皿が割れれば、私の命が尽きるだろうっ! だが、私の命が呼び寄せた巨大オブリビオンストームが、ここら一帯を蹂躙し、破壊の限りを尽くす! 嗚呼! そして人は再び絶望に叩き落され、希望を信じて立ち上がるのだろう! その生命の煌きを目の当たりに出来ないのが残念だ!」
「本当にはた迷惑なオブリビオンね……!」
 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は苛立ちで顔を強張らせながら、しっかりと河童男を睨み付けていた。
「いえ、そもそも迷惑じゃないオブリビオンなんて本当に一握りな訳だけれど……。ともかく、農場は破壊させないわ。『焼き尽くすは我が灼熱の巨人(ゴーレムタイプトロイド)』を続投よ。言葉通り、あの嵐を受け止める壁にするわ」
 20m級の炎熱兵器搭載魔導蒸気巨人兵が、オブリビオンストームに立ちはだかる!
 燃え盛る腕を振り回すことで、その熱波から気流が発生する。
 それによって、オブリビオンストームとぶつかり侵攻を極端に遅らせることに成功した。
「……ッ! やっぱり、炎の調節が難しいわ。一気に河童を黒焦げにしたいけども、下手打ったら農作物まで灰燼に化すわね……」
 苦手な炎と格闘しつつ、エメラはオブリビオンストームを抑え込んでゆく。
 一方、エメラから少し離れたところに、陸郷・める(死念動力実験成功体6号・f26600)が乗り込む多脚戦車と、その偽神兵器砲塔である7号は、発生したオブリビオンストームを目の当たりにして驚愕していた。
「うそ……あれって……?」
『ケッ、見るならお代は……ってあの野郎、マジで命賭けやがった!! しかもオブリビオンストームだァ!? これじゃ勝っても農場がヤベ……ってオイめる!?』
 7号が焦燥している最中、搭乗者である陸郷がハッチから顔を出した。
 その表情は、悲嘆でも絶望でもなく――。
「7号。めるたちなら、やれるよ」
 勇敢な戦士のように、強い決意に満ちた、落ち着き払った表情であった。
 琥珀色の瞳に絹のような白い髪、そして、陶磁の如く白い肌。
 デッドマンである彼女の人間離れした美しさも相まって、その尊顔はカリスマに満ち溢れていた。
 実はこの行為そのものがユーベルコードであり、陸郷の顔を見た者に強い落ち着きや安心の感情を与えることが出来るのだ。
『……あー、ワリィな。ガラにもなく焦っちまった。確かにそうだ。“今の”俺様達なら』
「うん……いこ?」
『オウヨッ! やってやるぜ、チクショーめーッ!』
「あら、貴女、そんな可愛い顔をしていたのね? 戦車の中に籠もってるのが勿体ないわ」
 魔導蒸気猟犬に跨ったエメラが多脚戦車の脇を通り抜けてゆく。
 そしてエメラもまた、陸郷の力強い表情に後押しされた。
「あとで、機械油まみれじゃないその顔をじっくり見せて頂戴?」
 微笑みながら駆け抜けてゆくエメラの言葉に、陸郷の頬がほんのり赤みを帯びる。
「……7号。める、かわいいって、いわれた……!」
『よ、良かったな、める? とにかく、あのファッキン河童野郎に目にものを見せてやろうぜ!』
 陸郷は再び戦車に乗り込むと、自身の体内に埋め込まれた動力装置であるヴォルテックエンジンを戦車に連動させる。
 これはデッドマンである彼女の『魂の衝動』を莫大な電流に変換する、いわば生体発電機である。
 7号は多脚戦車の出力上昇を感じ取る。
『ッシャア! 出力200%オーバーフロー! おーい、そこのパツキンのちっちゃいネーチャン、聞こえっか!?』
「小さいって言わないで! ブチ抜くわよ?」
 エメラが7号を睨み付ける。
 7号は少し浮ついた声で反応した。
『ヒューッ! 気の強えーイイ女は嫌いじゃないぜ? って、口説いてる場合じゃなかったな! なァ、俺様達と手を組まねぇかっ? 俺様達ならオブリビオンストームを完全に消せるぜ!』
「あら、本当に? それじゃあ、お願いしようかしら? となると、私があの河童を仕留めていいのね?」
『ああ、それで構わねェ! でも出来れば、ヤツの肉体が残っている間に空へ放り投げてくれ!』
「良いわよ? 守ってばかりっていうのも、そろそろ飽きてきた頃だったもの。農場に被害が及ばないように留意しながら暴れまわってあげるわ」
『ハハッ! やっぱイイ女だな、ネーチャン! んじゃ、よろしく頼むぜェ!』
 エメラと陸郷達は二手に分かれると、挟撃する形でオブリビオンストームと河童男と対峙する。
「出来るだけ手早く撃滅しましょう。全ての攻撃で回りを巻き込むようなオブリビオンをここで長時間戦わせたくは無いわ」
 機動力を得たエメラは、自身の周囲を浮遊する浮遊型魔導蒸気ガトリングガンと魔導蒸気マスケット銃で河童男へダイレクトアタックを敢行。
 遠距離からの弾幕を浴びた河童男は、エメラの対処をしようと拳を振り上げる。
「この一撃は全てをなぎ倒すっ! さぁ、試練を乗り越えてくれ!」
 残された左拳を河童が突き出すと、オブリビオンストームがエメラへ向かって押し寄せる!
 だが、その斜線上に多脚戦車が割り込む!
『今だ、める! 俺様の封印を解け!!』
「……7号、おねがい」
 すると7号がたちまち変形してゆき、巨大な顎のような形状へと至る。
『腹が……減った……オブリビオンストームを……喰わせろオォォォーッ!』
 向かってくるオブリビオンストームへ、7号が大口を開けて“噛み付いた”!
 むしゃむしゃ! じゅるじゅる! くちゃくちゃ!
 戦場に7号の咀嚼音が響き渡り、オブリビオンストームが食い散らかされてゆくではないか! この光景には、流石の河童男も頭を抱えてしまう。
「な、何だってーッ!? オブリビオンストームを喰うとか、ありえないッ! 常軌を逸しているッッ!! まるで、暴食の魔王ベルゼブブのごとき悪食ッッ!!」
『ケッ! ハナから常軌を逸してるテメーに言われたくねェぜ! でも……暴食の魔王(ベルゼブブ)か! 俺様の二つ名にしてもいいくらいの響きだなッ!』
「ハァーッ! ハーッ! まだだ! まだ終わりではないぞォーッ!」
 呼吸を荒げながら、河童男は多脚戦車へ直接殴ってオブリビオンストームを叩き込まんと駆け出してゆく。
 しかし、河童男は目の前ばかりに気を取られ、エメラの操る炎熱兵器搭載魔導蒸気巨人兵への注意を怠ってしまった。
「敵に背中を見せるなんて、いい心懸けね?」
 ボロボロの河童男を燃え盛る巨人兵が握り潰す!
「ギャアアアアアアアアアーッ!!」
 全身を焼かれて断末魔を上げる河童男!
「このまま焼いても良いんだけど、リクエスト通り、空へ放り投げるわよ」
 巨人兵を操り、河童男を空へ高々と放り投げるエメラ。
 すると、7号は再び形状を変形させる。
 今度は一際巨大な砲塔へと姿を変えた。
『冥土の土産に教えてやるぜ、河童野郎ッ! 俺様も元はオブリビオンだったけどよォ! この“身体”になって! めると共に行動して! 判ったことがあるんだぜ!』
 砲口が河童男を照準内に捉え、先程食らったオブリビオンストームのエネルギーを弾丸に変え、1人と1機の気持ちを合わせた必殺の一射を放つ!
『世界を滅ぼして乗り越えるだけが希望とか未来じゃねー! 今この場所から作り出すってことも希望であって未来なんだぜ! だからテメェの出番は! 最初から用意されてねェんだよ……糞オブリビオンがッ!』
 膨大な破壊エネルギー弾が砲塔から放たれると、ボロボロの河童男の肉体を一気に木っ端微塵に変えてゆく! 彼らが放つは、未来を指し示し過去を撃ち抜く祝砲!
 そして、残された河童男の頭部がゆっくりと落下してくる。
 すかさず巨人兵が拳を振りかぶる!
「貴方は本当に難敵だったわ……。さあ、灰舞いなさい!」
 巨人兵が炎の拳で殴り抜けば、河童男の黄金の皿は粉々に砕かれ、一気に灰に帰っていった。
 エメラは巨人兵を帰還させると、すぐさま魔導蒸気猟犬を農場へ走らせる。
 その背から飛び降りたエメラは、作物の被害をすぐに確認した。
「よかった……。どれも焼け焦げてないわね」
 自身の炎の調節がお膜言ったことに安堵するエメラ。
 この戦闘でエメラは、多少はあのユーベルコードの扱いに自信が付いたようだ。
 陸郷と7号も通常形態へ戻ると、成長した実感を噛み締めながら農場へと戻っていったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アポカリプスで農業を』

POW   :    力仕事を担当する

SPD   :    丁寧な仕事を心掛ける

WIZ   :    技術指導などを行う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 オブリビオンの脅威は、猟兵達の大奮闘により拭われた。
 あとに残されたのは、河童男が置いていった大量の資材や物資、食料。
 あの男の言葉通り、試練を乗り越えた報酬ということで、拠点の人々は大人数で運搬を開始し始めた。

 その頃、猟兵達は農場を手伝っていた。
 立派な農場とはいえ、手探りで運営している素人達の農園だ。
 専門知識があるわけでもないし、農具も足りていない。
 勿論、人でも足りていないので、収穫が間に合っていないのだ。
「せっかく出来た作物も、収穫できなければ駄目にしてしまう……」
 拠点の人々は頭を抱えてばかりだ。
 猟兵達は、少しでも復興の力添えができればと、率先して農場の手伝いを申し出た。ある者は収穫を手伝い、ある者は農具を作成し、またあるものは専門知識を人々に教授する。
 この積み重ねが、アポカリプスヘル世界に再び文明を蘇らせる第一歩となる。
 猟兵達は、それぞれの出来ることで農場に貢献しようと動き出した。
御狐・稲見之守(サポート)
 100歳超(実年齢秘密) 妖狐の悪霊✕陰陽師 
 口調「ワシ、~殿、ゾ、~んじゃ、じゃ、じゃナ、かナ?」

 荒ぶる力を揮うカミにして、魂を啜る獣、そして幻を繰る妖狐、御狐稲見之守じゃ。
 カミを求め助けを願う声を聞き届けるが我が務め。ヒトの道理で叶わぬならばカミの道理を通してみせよう…なんてナ。事情あり気なオブリビオンも一応声は聞いてやるゾ。

 天変地異を起こす[荒魂顕現]に、[眩惑の術]で幻覚を見せて動きを封じたり、[山彦符][万象変幻]で敵のUCに対抗したりするんじゃ。無論、[狐火]は妖狐の嗜みじゃナ。
 他にも[式神符]で対象を追跡したり〈催眠術〉で情報収集したりと色々出来るゆえ何卒よしなに。



 アポカリプスヘルでの農作業のお手伝いをすることとなった猟兵達。
 だが人手が足りない為、今回もサポート猟兵の手を借りることになった。
「荒ぶる力を揮うカミにして、魂を啜る獣、そして幻を繰る妖狐、御狐稲見之守じゃ。して、今回の依頼内容は……ナヌ? 農場の手伝いじゃと?」
 農場で働く男性から話を聞いた御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)は、目を丸くして驚いた。
「確かにワシは五穀豊穣のカミとして祀られておるが、実際に農作業に携わることになろうとナ。じゃが、カミを求め助けを願う声を聞き届けるが我が務め。よかろう。ワシが直々に畑へ手を加えてやるゾ。この土地でもワシを崇めるとよいのじゃ!」
 自信満々の稲見之守は、早速、ボロボロの鎌を借り受けると、麦の収穫へ向かった。
「フム、この鎌では効率が悪そうじゃナ。すまぬが貴殿、自分の得物を使ってもよいかナ?」
 この麦畑を管理している男は、不思議そうに首肯した。
 すると、稲見之守は素早く丁寧に仕事をするため、本領を発揮しだす。
「ま、その気になれば108人くらいは分身を呼び出せるが。ここはもう一人のワシがいれば十分じゃナ?」
 ユーベルコードで『分身』すると、2つの桃木剣で優しく稲の茎を断ち切り、2体の稲荷狐を使役して運搬・脱穀させてゆく。更に、二人の稲見之守の足元から使い手の呪力を具現化し、足元から伸びる『影業』が伸びてゆけば、周囲の麦をどんどん刈り取ってゆくではないか。
 その姿はまさにカミ様コンバインであった。
「ふぅ、身体を屈めながらの作業は腰にくるが、なかなかどうして、充実感が胸を満たすのじゃ」
 荒廃した世界での食料作りに携わった稲見之守は、文明再建に貢献できたことを嬉しく思う。
 そうこうしているうちに、麦畑の殆どを刈り取り終わってしまった。
「ひとまずはこれだけあれば、暫くは持つじゃろうナ? して、ワシを祀る祠を建てる話なのじゃが……」
 稲見之守はアポカリプスヘルのこの拠点に、しっかりと自分の祠を建てる指示を出したのであった。
「ワシがこの土地に手を貸してやったのじゃから、この拠点はもう安泰じゃナ!」
 やはり、困ったときのカミ頼りなのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

エメラ・アーヴェスピア
本当に被害が広くなくてよかったわ…
一歩間違えれば本当に酷い事になっていたでしょうし
さて、残すは後片付けかしら

機材を持ち込むわけにもいかないし、大人しく工兵で農園の手伝い…と考えていたのだけれど
農具の作成と修理、及びそれに関する技術の教授をした方が私らしいわね
とはいえ、あまり複雑な物を作ると後に影響が出るでしょうし、なかなかに難しい所かしら
もしかしたら今後も来るかもしれないけれど…ここの人達でしっかりと生きて行けるようにならないとね
それじゃ、授業を始めましょうか

※アドリブ・絡み歓迎


アハト・アリスズナンバー
あの河童め。新しい肉体を用意するのもタダじゃないんですよ全く……
しかしまあ、ちゃんと試練の報酬は用意してる辺りはいいとしましょう。

アポカリプスヘルの未来がかかった農業です。私も手伝いましょう。とはいえ私は戦闘モデル。農業の知識などありません。ここは他のナンバー達に救援を求めましょう。アリスコード送信。農業知識を検索し、【情報収集】してください。

検索した結果を、皆さんに伝えて技術指導を行いましょう。
一応私も手伝います。ソード・ソーシャル・ドローンにも収穫のお手伝いをさせましょう。
さあ頑張ってください皆さん。終わったら幽世のお酒がありますので、それでも飲みましょうか。

蘇っていく故郷は良い物ですね。


リカルド・マスケラス
「収穫物の運搬は、アルタイルにお任せっす」
と宇宙バイクの【怪力】で運搬
「収穫自体も、何か革新的な手段があればよかったっすけど、ここは地道に人海戦術で行くっすかね」
【霧影分身術】で人数を増やし、【集団戦術】で分担して収穫作業に当たる。
「微力ながら頑張るっすよー」

収穫しきれそうにないものは、その場で破棄するついでに【森羅穣霊陣】を使い、近いうちに再収穫できるように育てとく。ついでにUC使用時の魔力の使い方、魔法陣の書き方など、住人達の体を借りてUCを使うことで教え込ませる
「ちょっと手の込んだ豊穣祈願っすよ」
これに関しては、UCとはいかずとも【破魔】や【属性攻撃】の習得者が出ればラッキーくらいで



 農場の作業はまだまだ終わらない。
 エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は、戦場とほど近い農場が奇跡的にほぼ無傷な損傷で済んだことに胸を撫で下ろしていた。
「本当に被害が広く出なくてよかったわ……。一歩間違えれば本当に酷い事になっていたでしょうし。さて、残すは後片付けかしら」
 エメラは河童男が残した大量の物資に目を遣る。
 その横で、新しいボディの動作確認を入念に行うアハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)が呟いた。
「あの河童め。新しい肉体を用意するのもタダじゃないんですよ全く……。しかしまあ、ちゃんと試練の報酬は用意してる辺りは良いとしましょう」
 2人は物資の中身を改め始めた。
 すると、中からは大量の肥料や植物の種、そして農具や農作業に関するハウトゥ本、更に水や食料まで詰め込まれていたのだ。
「……本当にあのオブリビオンストームを超えたら、これを差し出すつもりだったのね」
「そのようですね。でも、あのオブリビオンストームが通ったあとは何も残らないですし、それを思うとこの物資の量はいささか少なすぎる気もしますが」
 エメラとアハトは、最後まであの河童男の底意地の悪さにげんなり押してしまった。
 そこへ、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)が宇宙バイク『アルタイル』を押して通り掛かる。
「2人とも、早く手伝ってくださいっす~。日が暮れる前になるたけ収穫するっすよ」
「ええ、この物資を拠点に運んだらすぐに合流するわ」
「私は拠点の人々に応援を要請してきますね」
 エメラは魔導蒸気ドローンで物資運搬の準備を始め、アハトは一旦、拠点へと駆け出してゆく。
 それをリカルドは見守ると、自身の作業へと戻った。
「そんじゃ、自分はこの麦を運搬するっす」
 アルタイルの後部にリアカーを牽引しながら拠点の食料倉庫へ運搬してゆくと、拠点の人々は大喜びでリカルドへ感謝の言葉を述べた。
「バイクでの運搬、本当に助かります! 今じゃこの世界、車を動かすためのガソリンも不足しているので……」
「収穫物の運搬は、アルタイルにお任せっす。お安い御用っすよ」
 リカルドはあくまでも軽いノリで笑い飛ばしてみせる。
 彼のカラッとした笑い声に、拠点の人々の心も次第に軽くなっていった。
「嗚呼、リカルド様がそばにいると、我々もなんだか安心できます」
「そうっすか? 自分、ただチャラいだけっすよ~?」
 ニカッと笑いながら、リカルドは再び農場へ戻っていった。
(頑張ってる人、輝こうとしている人の影として寄り添えるなら、この程度の肉体労働、訳ないっすよ)
 リカルドは湧き上がる充実感を得て、心からニンマリしていた。

 それから少し時間が経過して……。
 エメラとアハトも農場へ合流し、各々が手伝いを始めた。
「故郷アポカリプスヘルの未来がかかった農業です。当然、私も手伝いましょう」
 いつになくやる気に満ち溢れるアハト。
 だが、作業を一向に始めようとしない。
「……どうしたっすか、アハト? 思い詰めた表情してるっすよ?」
 リカルドに声をかけられ、我に返るアハト。
「ハッ……! 失礼しました。いざ、農作業の手伝いを試みようとしたのですが、私は戦闘モデル。農業の知識などありません。これでは足手まといになってしまうのでは、と思い、先程から、私の他のナンバー達……スペアの同一個体達に救援を求めて、独自のネットワークで相談をしていました。私、ソーシャルディーヴァですので」
 アハトは、とあるアリス適合者から複製された量産型個体(フラスコチャイルド)であり、このアポカリプスヘルに製造工場があるのだ。
 そして、彼女はアリスズナンバーネットワークという独自のSNSネットワークをドローン経由で展開し、工場に待機している別の個体とやり取りが可能なのだ。
「アリスコード送信。農業に関する知識の検索を至急願います」
 すると、サイバーアイから展開されたARホロスクリーンに検索結果が画像付きで返信されてきた。
「おお、便利っすね~! さすがソーシャルディーヴァっす」
 感心するリカルドがARホロスクリーンを眺めた。
「本当っすね~、やっぱりSNSは便利っす」
 もうひとりのリカルドが、アハトを挟むようにARホロスクリーンをしげしげと見詰める。
 ……アハトは左右のリカルドを見比べ、絶句してしまう。
「増えてる……?」
「「まだまだいるっすよ!」」
 ザザッと足踏みを揃えて出現するリカルド達。
 その数を数えたアハトは目を見開いてしまう。
「11人以上いる……のですか!?」
「分身81人+本体の自分含めて総勢82人っすよ」
 本体であるリカルド自身が上機嫌に声を掛けてくる。
「収穫自体も、何か革新的な手段があればよかったっすけど、ここは地道に人海戦術で行くしかないっすね。つーわけで、『忍法・霧影分身術』で増えてみたっす。分身の身体は霧が受肉してできてるっすよ!」
「……なるほど。ユーベルコードはそういう使い方もあるのですね。私にも、待機している別個体をこの場に大勢召喚できるユーベルコードがあると良かったのですが」
「出来ないことを今やる必要はないっすよ、アハト?」
 リカルドの言葉にアハトは静かに頷く。
「……そう、ですね。今、私が出来る事を全力で行いましょう」
「それじゃあ、まずはこっちを手伝ってくれないかしら?」
 エメラはボロボロの農具をドローン達に運搬中であった。
「私も実は最初、大人しく工兵達を招集して農園の手伝い……と考えていたのだけれど。やっぱり、農具の作成と修理、及びそれに関する技術の教授をした方が私らしいわね。他の世界から物資を調達するとオブリビオンストームが発生しやすくなるそうだし、あるものを活用して修繕したり、創作する授業を開こうと思うわ。其のために、アハトさん? 検索した情報を私と一緒にみんなに教えてみる気はないかしら?」
「是非、やりましょう」
 アハトは二つ返事で快諾すると、リカルド達も手を挙げた。
「「自分達もアシスタントするっす~!!」」
「あら、頼もしいわね。ちょうど男手も必要だと感じていたし、リカルドさんの収穫の手伝いに支障が出ない人数を借り受けるわ」

 と、言うことで、急遽、農場で始まった『農業講習』。
「それじゃ、授業を始めましょうか。講師は私、エメラ・アーヴェスピアよ」
「助手のアリスズナンバー8号。個体名が必要ならアハトです」
「「ちーっす! アシスタントのリカルド・マスケラスの分身30番から45番っすよ!」」
 どうやら狐の仮面に刻まれた数字で判別するようだ。
 エメラは思いの外に賑やかになった課外授業に気合を入れつつ、集まった農夫たちにわかり易く丁寧に授業を始める。
「農具の作成及び修理の知識、並びにそれらに関する技術なんだけど、この物資不足の世界であまり複雑な物を作ると後に影響が出るでしょうし、なかなかに難しい所かしら」
「エメラさん。簡単な石器なら、見た目は不格好でも作物を刈り取る農具としては十分な機能を果たすという検索結果が得られています」
「そうね。アハトさんの言う通り、要は工夫次第よ。外から物資を持ち込み難い以上、身近な材料を駆使してゆきましょう」
「「それじゃ、早速、作り方をレクチャーするっすよ!」」
 リカルドは講師2人から予め教わった石器包丁や脱穀器などの作り方を教え始めた。
 また、アハトの集めた情報を元に、新たな農具の開発のための意見交換も活発に交わされた。
「この石器包丁をたくさん木の棒に取り付ければ、脱穀器を改良できるのでは?」
「実を取った麦の茎も再利用して、帽子や袋にする方法を探してたんだ、助かる!」
「なるほど、こうすればもっと農具を長持ちさせられるのですね~!」
 農業を手探りで行っていた拠点の人々にとって、猟兵達の授業は天啓に等しい価値を持っていた。
 2時間ほどの講習が終われば、磨き上げられた農具と、新たに作成した石器包丁などが量産されていた。
「それじゃ、次は実習よ。みんなで一気に作物を刈り取りましょうか」
 エメラは満足げに受講生達へ語り掛けた。

「さあ、微力ながら頑張るっすよー。分身達も働くっす」
「「うぃ~っす! めちテンアゲっすよ~!」」
 本体の指示でリカルドの分身達が人海戦術で農作業を手伝えば、エメラも83体の魔導蒸気工兵を『我が工房に帳は落ちず(コンバットエンジニア)』で招集して作業に当たらせた。
「まぁ、人出が多いに越したことはないものね。ほら、20番、57番。そろそろ収穫した作物を運んで頂戴」
 エメラは工兵達の陣頭指揮を執り、テキパキと収穫作業を進めていた。
 その頃、アハトはというと?
「ソード・ソーシャル・ドローンにも収穫のお手伝いをさせましょう。回転するブレードを用いて、低空飛行すれば麦くらいは収穫できるでしょうか」
 アハトはドローンを同時に大量操縦して、大麦畑を文字通り薙ぎ払って切り裂いてゆく。
「蘇っていく故郷は良い物ですね。さあ頑張ってください皆さん。終わったら異世界で見付けた幽世のお酒がありますので、それでも飲みましょうか」
「異世界の酒だって!?」
「酒なんて、文明崩壊から一滴も飲んでねぇぞ!?」
 色めき立つ農夫達は俄然やる気を出して、切り倒された大麦を拾っては束ね始めた。
「……アハトさん? 外部から物資を持ってくると色々と不味い気がするわ」
 エメラの苦言に、アハトは素知らぬ顔で言い放った。
「それは大変ですね。では、次のオブリビオンストームが発生する前に、私の腰にぶら下げたどぶろくの中身を肝機能で分解して完全に消滅させなければなりません。速やかに収穫作業を進めましょう。ええ、早く酒を飲まなければ世界が大変なことになってしまいますので」
 こうして、アハトと農夫達は驚異的な速度で収穫作業を完了させ、すぐさま大宴会を始めたのであった。
「もしかしたら今後も来るかもしれないけれど……多分、ここの人達で今後もしっかりと生きて行けるわね」
 ちゃっかり酒宴に参加したエメラは、人々の逞しさを見て、そう実感させられたのだった。

「だいぶ収穫作業は片付いたっすね。あとは……」
 リカルドは人手不足で収穫し損ねて駄目になってしまった作物を集めていた。
「一体、それをどうするのですか?」
 彼に収集された若くて意欲ある男女達のひとりが尋ねた。
 リカルドはユーベルコード『森羅穣霊陣(グレイスフル・ガーデン)』を発動させた。
「ここに悪しきを払い、恵みをもたらせ!」
 途端、駄目になった作物を囲うように破魔と属性攻撃が籠められた魔法陣が描き出されると、作物が途端に土へ帰っていく。
「ちょっと手の込んだ豊穣祈願っすよ。ここならどんな作物も、しばらくすれば育ち放題っすよ~」
 駄目になった作物を魔法陣の力で再生させ、再び発芽して生長するように下ごしらえをしたのだ。
「あ、ちょっと自分のユーベルコードを体験してみるっすか? 誰か、自分を被ってみたい人、いるっすか?」
 リカルドの申し出に、ひとりの女性が手を上げた。
 狐の面が本体であるリカルドは、肉体をバイクに背もたれかけさせ、女性に装着させる。
 すると、女性の髪が瞬時に紺色へ変化した。
 これはリカルドの意識が乗り移った証拠である。
「ほら、いくっすよ! ここに悪しきを払い、恵みをもたらせ!」
 こうして、リカルドは様々な青年たちに意識を乗り移らせ、自分のユーベルコードを体験させていった。
 すると、青年たちの中に土地を浄化する破魔の技能に目覚めた者が現れた。
「おめでとうっす~! 実力は猟兵には程遠いっすけど、その技能は農地拡大に役立つはずっすよ」
 実は、これこそがリカルドの狙いであった。
(自分がきっかけになって、少しでもその技術を広めてほしいっす)
 他人の希望に寄り添って手助けをする男、それがリカルド・マスケラスの生き様なのであろう。

 こうして、アポカリプスヘルは日没を迎え、猟兵達は各々の世界へ帰還していった。
 残された拠点の人々は、教わった技術や経験を元に、更に農場を発展させることだろう。
 次に出会う日があれば、荒野は一面緑の畑に生まれ変わっているかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月12日


挿絵イラスト