5
海へ還る日(作者 弥句
13




 まだ陽が昇って間もない砂浜に、痩せた若者が裸足で現れた。年のころは17か、8か。粗末な衣服とざんばらの髪に風を受け、砂に足跡を刻みながら波打ち際へと進んでいく。
「あー、やっぱすげえ時化だな、こりゃあ……」
 嵐から一夜明けた朝の海は、猛烈な時化だった。だからこそ、頭領は試練を行うと決めたのだ。今日は、若者が手にしたその刀――メガリスを所有する資格があるか否かで、彼の運命が決まる日だ。
 若者の膝に、冷たい白波が勢いよく打ち寄せる。もっとだ、もっと前へ。腰まで水に浸かると、肝を冷やすような冷たい感触が、不思議と心地よかった。
 彼は海を愛している。そして、海と同じくらい、好きでたまらない人がいた。
「見ていてください、かしら」
 しろがねの刃を鞘から抜き払いつつ、丘の上に立つ人影に視線を移す。白い着流し姿が、豆粒ほどに見える距離からでもはっきりと区別できた。
「俺は――」
 帰ったら、二人で話をしようと約束した。そして伝えるのだ。胸に抱いていた想いを。
「あんたの、剣になりたい」
 若者の眼前に、飛沫を上げて真っ白な壁が迫る。歯を食いしばり、刀の柄を強く握りしめると、全身にこれまで感じたことの無い、底知れない力が漲ってきた。その力に突き動かされるように、刀を振りかざして波を待ち構える。
「――――ア」
 そして肚から声を絞り出し、獣のように吼えた。

「お疲れ様。……さて、今回の作戦について説明を始めようか。今回みんなに向かってもらうのは、グリードオーシャンにある島のひとつ、『津島』だ。そこで、ある事件が発生する」
 ある日のグリモアベース。作戦開始の告知を受けて集まってきた猟兵を出迎えたのは、ダンピールのガーネット・グレイローズ。彼女は光り輝くキューブ状のグリモアを手元で操作しながら、猟兵たちに語り始めた。
「事の発端は、ある海賊が行ったメガリスの試練だ」
 広大な海洋世界グリードオーシャンの各地には、所有者に絶大な力をもたらす呪いの秘宝『メガリス』が存在する。このメガリスを巡り、海賊とコンキスタドールは熾烈な争奪戦を日夜繰り広げているのだ。
「津島の海賊団が保有するメガリスは、『妖刀サザナミ』。水を操り、海を切り裂く力を持つという伝説の太刀だ。ある日、その所有者を決める儀式にツルギという若い団員が挑んだ。だが結果として儀式は失敗し……ツルギは死んで『うみなりさま』というコンキスタドールに生まれ変わったというわけだ。悲しいが、よくある話だ」
 メガリスの力は強大だが、同時に制御するための大きなリスクを伴う。メガリスを所有するためには、メガリスの試練に挑んで持ち主たる資格があることを証明しなければならない。それに失敗すれば、挑戦者は死亡しコンキスタドールへ転生してしまう。そして海賊達には、コンキスタドールになった仲間を自分達で討伐しなければならないという『鉄の掟』があるのだ。
「問題はそこからだ。海賊は自分達でケリをつけるつもりだったが、ここのところグリードオーシャンではコンキスタドールの力が勢いを増していてね。うみなりさまを王と崇める組織『里見水軍』に返り討ちにあった海賊は、女頭領の『カグラ』をはじめ皆生け捕りにされてしまった。このままでは、全員が処刑されてしまうだろう……そこで」
「我々が出向いて、敵を叩きのめせばいいんですね」
 猟兵の言葉に、ガーネットは小さく頷いて返答する。
「そういうことだ。カグラ一行は、里見水軍の本拠地である無人島に囚われている。まずは鉄甲船で現場に赴き、敵を蹴散らして海賊達を助け出してくれ」
 ツルギの行方は、団長のカグラが知っているだろう。救出に成功したら、海賊船を奪還した彼等と共にそのまま討伐に向かうことになる。
「無事にうみなりさまを撃破できれば、海賊はアジトに戻り、ツルギの魂を弔う儀式を行うだろう。そのときに彼らと交流を図って、宴に参加しても構わないよ」
 海賊は酒宴が大好きだ。仲間を喪っても、しみったれた空気で見送るのは好きではないのだろう。
「今回の作戦で津島の海賊と協力関係を結ぶ事ができたなら、いざというときに何かの役に立つことがあるかもしれない。恩を売る……という訳ではないが、お互いにとって悪いことではないはずだ。それに、うまい料理や酒が嫌いな人なんていないだろう? 楽しんでくるといい。では、早速準備を始めてくれ。支度が整ったら、出発だ!」





第3章 日常 『南国BBQフェスティバル!』

POW肉を焼く
SPD魚介類を焼く
WIZ何かこう、珍味的なものを焼く
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。




 猟兵の活躍によって、津島のメガリス『妖刀サザナミ』の奪還は成功した。船旅を終えた海賊船が島へ戻ると、島の住民たちは温かく猟兵を歓迎した。先に島へ戻った海賊によって、頭領カグラをはじめとする仲間の無事が伝えられていたのだ。
「本当に、色々と世話になったな」
 海賊の砦は、断崖に沿って築かれた防壁の中に建てられていた。砦に戻ったカグラは猟兵を海賊たちに紹介し、手厚くもてなすことを約束してくれた。
「今宵は、ツルギを弔う宴を開きたい。酒は飲めるか? うまい料理もあるぞ。楽しんでいってくれ」
 メガリスの奪還祝いと、ツルギの供養。その両方を兼ねた酒宴の準備で、砦の中は大忙しだ。漁から戻った船乗りたちが、魚や貝をどっさり積んで戻ってきた。海産物だけでなく、保存していた上質の肉もある。そして新鮮な野菜も。
 海賊たちは、宴をこよなく愛している。今宵のメインは炭火焼きバーベキューだ。きっと主賓の猟兵たちは沢山の酒や料理を勧められ、代わりに様々な話題を求められることだろう。自身がこれまでに体験してきた出来事を、彼らに語って聞かせるのもいいかもしれない。
 丸太で組まれた大櫓に火が灯されると、楽しい宴の始まりだ。皆で笑って、ツルギの魂を天へと送るために。