Imagination/Creation(作者 ゆうそう
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 未踏宙域を探る人知の光。
 闇を照らし、未知を既知へと変え、そこに希望を見つけ出さんとする試みは今日まで数知れず。
 しかし、未だもって、その光は未踏宙域の全てを照らし出すには足らず。
 だが、それでも得たものがなかった訳ではない。
 『マインドミナBVA』。
 猟兵達の協力の下に打倒されたクエーサービーストが一つ。
 それより得られた情報は、銀河の民を新たなる階へと導くのである。

「ということでぇ、またまた皆さんの出番ですよぅ」
 ぴょんと揺れ跳ね兎耳。その下に目を向ければ、ハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)が姿。
 揺れる兎耳の下で、にこりと彼女の顔が笑んでいた。
「今回の依頼はですねぇ、なんとなんと! 惑星規模のロボット建設です!」
 強調するような効果音でも聞こえてきそう。
 だが、待って欲しい。簡単に惑星規模のロボット建設というが、それは一朝一夕で出来るものなのであろうか。
 勿論、数多ある猟兵の中には、そういったものを呼びだすユーベルコードなり、技能なりを持っている者もあるかもしれない。だけれど、誰も彼もという訳ではないことは確実。
 そんなざわつきを察したかのように、ハーバニーは続けるのだ。
「ええ、ええ。本来であればぁ、そんな大きな物が今日明日で出来るものではありませんねぇ」
 下手をしなくとも、どれ程の年月が必要なことだろう。
 だが、今回はそれを可能とする抜け道がある。
 それこそが――。
「中には交戦及び回収作業を経験された方もいらっしゃるかもしれませんがぁ、クエーサービースト……その中の一体、マインドミナBVAの外殻に秘密があるのですよぅ」
 マインドミナBVAと言えば、未踏宙域に潜むクエーサービーストの一種であり、その装甲はかの意思に従い、無限に変化するものであった。
 ハーバニーの言う通り、猟兵の中にはそれを打倒し、外殻の破片を回収した記憶のある者もいることだろう。
「その外殻と言うのがですねぇ、実は銀河皇帝が背負っていた金ぴかのと一緒でしてぇ」
 マインドミナBVAの外殻を利用して作られた兵器こそが、かつて銀河皇帝の所持していた金色の機械。名を、思念兵器『マインド』よ呼ばれるものだ。
 そして、それがそうであると判明する程度に、マインドミナの外殻に関しての、銀河帝国が遺した文献に関しての研究も進んでいたという証拠。
「ならぁ、私達もそれをちょちょいと利用させてもらおうっていうのがぁ、今回の惑星規模なロボット建設ですねぇ」
 思念に反応して形を変えるというのであれば、小難しい設計だなんだは省略することも出来るだろう。
 それに、幸いにも獅子奮迅と活躍してくれた猟兵達のお蔭で、材料となるマインドミナBVAの外殻はそれこそ大量にあるのだ。材料不足と嘆くこともない。
「今迄は惑星規模のクエーサービーストと戦うにも大変でしたけれどぉ、ここでロボットの建設なりが出来ればぁ、戦いやすさも段違いになる筈ですよぅ」
 サイズ差を押してなお勝利を収めてきた猟兵達の活躍も見事ではあるが、そのサイズ差を埋めるに至れたなら、それを覆すための負担も軽減することだろう。
 だからこそ、今回、『惑星ロボ建設計画』が発案されたのだ。
「ということでぇ、設計だなんだの小難しいことは置いておいてぇ、皆さんの巨大ロボットに対する拘りや想いをばーん! と叩きつけてぇ、巨大ロボットを生み出してしてくださぁ~い」
 受け取った思念が強ければ強い程、生み出されたロボットはより頑丈になる。
 まさしく、想いを力に変えることが出来るのだ。
「そしてぇ、巨大ロボットが出来上がればぁ、それを皆さんの手で実践投入して頂きますぅ」
 試作機となるのだから、稼働・実践データも取らねばなるまい。ついでに、新しい材料も取れれば一石二鳥というもの。
「……まだまだ謎多き宙域ではありますが、こうして皆さんの活躍で一歩一歩と着実に前進をしています。皆さんの力があれば、此度もそれはきっと叶う事でしょう」
 さて、まずはどんなロボットが誕生することでしょうか。なんて、楽し気にくすりとハーバニーは笑いつつ、銀の鍵を宙へと翳して、カチリと捻る。
 それに呼応して扉は開き、世界と世界が繋がっていく。
 世界を跨ぐための一歩は、猟兵達自身で。


ゆうそう
 オープニングへ目を通して頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 今回の依頼はスペースシップワールドのものとなります。
 少しずつ少しずつ、でも確かに解明されている未踏宙域とクエーサービーストの存在。
 それを更に進めるべく、皆さんには巨大ロボットを建設して頂きたく思います。

 以下、簡単な概要です。

 第1章。
 ロボット建設です。
 参加された皆さんのロボットに対する拘りや想いをぶつけて下さい。
 それへ反応し、皆さんの想いが交じり合った1体のロボットが最終的に生み出されます。
 試作品であり、かつ、全員の想いが交じり合う分、実現度はまちまちとなる可能性もあります。

 第2章。
 生み出されたロボットに搭乗し、マインドミナBVAとの戦闘となります。
 それを打倒し、戦闘データと新しい材料の回収をすることが目的です。
 なお、ユーベルコードはロボットを通じて小惑星レベルのサイズにして放つことも可能です。
 ただし、ユーベルコードを一発撃つと疲労でダウンしますので、皆さんはパイロット役を交代しながら、1体の惑星ロボットを全員で共有しつつ戦うこととなります。

 第3章。
 詳細情報は不明。
 ただ、未踏宙域はまだ謎が多いので、警戒は怠らない方が良いかもしれません。

 それでは、皆さんの活躍・プレイングを心よりお待ちしております。
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第1章 冒険 『試作型惑星ロボ開発計画』

POW完成したパーツを組み立てて、小惑星サイズの巨大ロボを完成させる
SPD試作型惑星ロボの完成に必要な装置を作成したり、分割したパーツごとに完成させていく
WIZ試作型惑星ロボの設計を行なったり、必要な資材をもつスペースシップに出向いて交渉する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「興味深いですね」

【SPD】

●開発
「砲ですね、遠距離武器が必須です。それも飛び切りのヤツが」
SSW出身の技術者(【メカニック】)なので、この依頼は興味深いです。
先ず、惑星サイズの相手である以上、ピンポイントで弱点を破壊し得る砲身が欲しい所。

「試作機ともなれば、量産化計画も視野に入れた設計も必要……」
思念で作れるとしても模型があった方が捗るもの。

「CODE:HEPHAISTOS」
ユーベルコードを用いて、模型を作成しイメージを固めます。作るのは『専用アームドフォート』(【砲撃&武器改造】)。

UCをロボットから放つ以上、それを当てるための砲を
「相手を打倒し得る装備は用意せねば……」


フィーア・ストリッツ
ロボ、ロボですか
フィーアも半分ぐらいメカですが、流石に乗り込めるロボは初体験ですね
「というか惑星サイズのロボって頭悪くないですか?いえ、仮想敵がそのサイズだからこちらもそれに合わせてサイズを決めるのは分かるのですが」

ところでこのロボ、人型じゃないとダメとかそういう縛りは?
無いなら宙間戦闘に最適化された形状にしましょう
具体的に言うと潜水艦の親戚みたいな形です
似た様な環境での戦いに適合して発達してきた兵器です
宇宙での戦いでもアレが一番合理的な形状でしょう
後は射撃武装として空間を削り取るミサイルとか積めばマインドミナの装甲にも対抗可能かと

人型縛りがあるなら、上記形態への変形機構として実装しましょう


オリヴィア・ローゼンタール
ふむふむ、なるほど……
ロボットとは機械によるゴーレムのようなもの、ということですか(資料を読み読み)

意思を読み取って自分で形成してくれるなら、私でも役立てそうです
凡そ人型が多いようですね、ならば……私は武器の作成に注力しましょう
想いが強いほど頑丈に、強力になる、と
では、この聖槍をイメージ元にして、サイズを見合うように修正して……(祈り・気合い)
槍から大剣への変形機構も搭載して、穂先に魔力放出機構を……
あとは私の持つ有りっ丈の魔力で、さらなる強化を施しましょう(トリニティ・エンハンス)
こんなものですかね
さて、他の皆さんはどんな具合でしょう?


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

ふむ…惑星級ロボの建造か
確かに、それが出来上がればこの星の海における戦いは有利になるだろうな

自律兵器によるオールレンジからの攻撃を想定して私のオーヴァル・レイを大型化させた武装を作るか
念動力でこいつの動作を補助できればその分ジェネレーターのエネルギーを武装に回せるだろう
私のオーヴァル・ミストラルにも使えれば火力はさらに跳ね上がるはずだ
その場でUCを発動し、攻撃はせずに念動力で動かして見せればより強く明確なイメージを掴みやすくなるだろう
これだけ巨大な武器を動かすのは骨だが…マインドミナの外殻を念動力の増幅器に変化させて使ってみるか
成功すればオーラ防御にも流用できるかもしれんな


レムリア・ザラタン
未踏宙域の調査に惑星規模のメカの開発…なるほど、なかなか興味深い事をしている
この手の事柄には目がなくてな
資材の搬送に協力するついでに、私も一枚噛ませてもらおうか

しかしメカへの拘りか…
コイツは未知の宙域での運用が想定されているのだろう?
ならば想定外の事態に見舞われても対応できるよう、質実剛健な設計にすべきだと私は思う
とにかく頑丈に作り、一部の破損が他の箇所へ伝播しないようダメージコントロールも出来るようにしておかねばな
…とはいえ、折角の試作機だ
強度に問題が無いなら、野心的な機構を搭載する事に異は唱えんよ

…そうだな、パイロットを最期まで裏切らない機体
強いて言うならば、それが私の拘りだ


トリテレイア・ゼロナイン
居住可能惑星発見は私達SSW出身の悲願
その足掛かりとなるデータを持ち帰り役立てたいものです

騎士に相応しい高い近接戦能力を実現する機動性と運動性
堅実な要素を極限まで突き詰めてみたいですが…

複数の思念で多様な装備が生まれるのは確実
多種の装備持つ私も抱える問題ですが『場面によって使わない装備』が出ます
出力で補うのも良いのですが…

電脳魔術を応用した電脳空間に装備格納
現実空間に転送し装着
未使用装備の余剰リソースを他に回し瞬時に機体バランスを調整する内部機構を設計
「砲撃後に砲格納、推力に回し急速接近、近接武装で攻撃」等の動きを高いバランスで実現出来る筈

電脳魔術の素養無くともこの素材なら実現出来る筈です


ドゥアン・ドゥマン
新参の身だが、SSWの経緯、猟兵方がこなした任務の資料は少しばかり、拝読した
成る程、思念での変形。巨大ガジェット…いや、ロボットと
…実に、素晴らしき。浪漫である

戦いやすい形は、各々様々だと思う故
猟兵方と協力し。その浪漫、思念を後押しするよう、
ガジェッティアとしての知識と技術(メカニック)を織り交ぜたい
皆方の想像を遮るものではなく、
あくまでその想像力を補強する、一つとしてだ
…稼働の際。機構が、こう。ダイナミックに変形する様というのは、…格好が良いと思うのだ
概念的な頑丈さも、増すのではと。うむ

この世界に来たのは、初めてだが。親しみ、馴染みを感じる
…不思議な感覚だ
皆方の仕事からも知識と技術を学びたい


ドロレス・コスタクルタ
大きくてゴツくて装甲がブ厚くてパワーがありそうで、武器を構えてポーズを取ったりしなくても圧倒的な強さを持つとわかる存在。それがわたくしの理想のロボットです。

なので、まずは頑丈さの基礎となる堅牢な骨格と圧倒的なパワーを生み出す強力無比な動力炉が必須です。マインドミナBVAを素材を用いてまずはこれらを造ります。UCを使い巨大な外殻も軽々と扱います。

しかし前述の装備だけでは通常兵器と同じ。悪を許さぬ正義の心と戦う力を持たぬ人々を守る優しさ。どんな強敵にも立ち向かう勇気と気合とド根性。これらを備えてこそ!です。

マインドミナBVAが思念に反応するなら、この思いのありったけを注ぎ込むのです! 


星野・祐一
惑星クラスの巨大なロボット!
いいねえ…ワクワクしてきたぜ!

◆SPD
これでも機械いじりが得意でね
組み立ては任せとけ!
まずは腕や足は頑丈に作っておくぜ
いざって時に殴り合いできるようにな!

パーツはそうだなぁ…
とりあえず重力制御装置と空間圧縮装置でも作っとくか
2つとも宇宙空間での移動や防御フィールドとか
工夫次第で色々使えるからな
それと機体各所に推進器を付けて機動性と運動性も上げておくぜ

武装は両肩部に取り付けたレーザー発射装置
こいつには流星の湾曲して敵を追尾する機能と
雷鳴のチャージ機能が盛り込んであるぞ

後は他人の案と擦り合せながら組み込むとして
名前どうしようかね…ま、作りながら考えますか!

アドリブ等歓迎


伊高・鷹介
・へぇ、惑星サイズの戦闘ロボットの組み立てか。プラモデル作るみたいで面白そうだし、スペースシップワールドそのものも初めてだから楽しんでみようかな。

・パーツ自体は色々あるな……設計図は、と、ふむふむ、あれをああしてこうなって、か。大体は掴めたからちょっと「遊び心」を入れてみようか。

・組み立ての手伝いそのものは「念動力」や【超パワー】を用いて行えばいいから、俺の希望としては……やっぱり「音声入力」だな。必殺技や必殺兵器の名前を叫びながら攻撃ってカッコイイじゃん。それに、複雑な操作が省ける分汎用性も生まれるしな。ま、暴発防止に音声認識も入れておきたいけどよ。

・惑星ロボでひと暴れ…楽しそうだな、オイ!


リュカ・エンキアンサス
ロボット……
やっぱり大きいのがいい
本当は、軽快に動けるほうがいいんだけれども、俺はがっしりとした重い感じのが好きなんだ
動かすときに、上手く言えないけど、手足のように簡単に動くんじゃなくて操縦してる、って感じなのがいい
撃ち込むのが好きだから、やっぱり武器は銃で
長距離ミサイルも捨てがたくて、
でもあんまりごちゃごちゃしたのも……
……
…………(つまりは巨大ロボットとか年相応にとても好き
……はっ
兎に角、頑丈であればいいとおもいます
いや、いろいろ兼ね合いもあるだろうし
強くて大きいのなら、うん、それで
……どんなロボットになるのか
あんまり顔には出さないけれども、とても楽しみにしている
ロボットって、浪漫だよね


 輝く色は黄金。
 触ればひやりとした冷たさを返し、その硬きはこれが本当に粘土細工もかくやと変化するのかと思わせる。
「興味深いですね」
「これが惑星クラスの巨大なロボットになるってんだよな? いいねえ……ワクワクしてきたぜ!」
「巨大ガジェット……いや、ロボットか。実に……実に、素晴らしき。浪漫である」
「機械弄りで磨いた腕が鳴るってもんだ」
「頼もしき、ことだな。我輩も、ガジェッティアとしての知識と、技術がある。微力ながら、力を貸そう」
「おや、皆さんも御同輩でしたか」
「ふむ……そう言うということは、貴殿もか?」
「ええ。私も技術者として、末席にこの名を刻ませてもらっています」
「そいつはいい。ここには3人も腕っこきが居るって訳だ!」
 ここはとある白亜の船の格納庫。
 そこに山と鎮座するマインドミナの外殻。いつかの回収作業の折、大小様々と生じた欠片がその大きさ別に分類されている。
 それを前にして、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄の機構師・f02209)とドゥアン・ドゥマン(煙る猟葬・f27051)、星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)は、素材の検分を行っていた。
 変化前の材質は。硬度は。強度は。
 他にもと、ためつすがめつ、興味深げに。
「これが、思念一つで形を変えるとは、面白いものだ」
「しかも、形自由で思いのままってんだろ? そういうの、気分があがるな!」
「その高揚は分かる気がします」
「お、本当か?」
「ええ。このような素材を前にすれば、技術者としての血も騒ぐというものですからね」
 何が出来るか。何を作れるか。
 それを考えるだけでも、心躍るというもの。
 だが、ここにあるのは彼らだけではない。他の――彼らから少し離れた位置で各々の案を出し合う――猟兵達も居るのだ。
 ならば、3人もまたその輪に加わらねばなるまい。
 このマインドミナの外殻を変化させ、惑星規模のロボットを生み出すには、全員の意思の統合もまた必要なことなのだから。
 そして、聞こえ来る様々な意見に耳傾けながら、彼らもまたその輪の中へ。自分達が胸に抱える案を出すために。

「コイツは未知の宙域での運用が想定されているのだろう?」
「ええ、そのように聞いています」
 惑星規模のロボットを建造する目的を確認するように問うたは、レムリア・ザラタン(Stargazer・f28070)。
 波打つ髪の合間から見渡す金色が、星の瞬きのように猟兵達を見る。
 そこに宿る彩は関心。
 さて、それはマインドミナの外殻を用いたロボット建造に対してか。それとも、それを為そうとする猟兵に対してか。
 そして、それに答えたは、フィーア・ストリッツ(サキエルの眼差し・f05578)。レムリアの彩を意にも介さず、ただ淡々とその疑問に答えるのみ。
 否――。
「――聞いていますが、改めて確認しても惑星サイズのロボって、実際、頭悪くないですか?」
 淡々とした語調は変わらないけれど、そこから続いた言葉は案外にぴりりと辛口。
「そういう考えもあるか」
「いえ、仮想敵がそのサイズだから、こちらもそれに合わせてサイズを決めるのは分かるのですが」
「なに、まだ試作品の段階だ。これも試行錯誤の内だろう」
 ふむ。と、頷くフィーアの無表情。それはまる表情筋がそのように固まっているかのように動かないが、その所作や発言を見れば、機械的な無機質さとは遠い在り様が見て取れる。
 その在り方もまた興味深いものだと、レムリアもまた心の裡にて頷きを。
「だが、まあ、未知の領域を行くのであれば、想定外を考慮して質実剛健な設計にすべきだと私は思う」
 とにかく、頑丈に。とにかく、最後まで動き続ける。
 そういった機体こそが良いのだ、とレムリアは語るのだ。
 それはもしかすれば、数多の遺品や世に語られなかった研究データをも集め続ける彼女だからこその考えなのかもしれない。
 亡骸や残骸はレムリアに語る。何故、彼らがそうなってしまったのかを。それを聴くからこその。

「ロボットは……やっぱり、がっしりと重い感じのがいいと思う。上手く言えないけど、その方がきっと」
「であれば、堅牢な骨格と圧倒的なパワーを生み出す動力炉も必須ですわね?」

 装甲は厚く、身に宿せしは如何なる難敵をも退ける力。
 そして、大きいとはつまり重い。その大質量が意図をもって動けるのなら、それは間違いなく確かな力である。
 それこそが、カツリと足音高らかに話の環へと加わったドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)の理想。
 また、リュカ・エンキアンサス(蒼炎の・f02586)の理想――というより、こちらは浪漫の追求と言えるものなのかもしれないが。
 だが、恐らく、2人その単純明確な指標はレムリアの目指すところと、そうズレてはいまい。
 大きく重ければ、その頑丈さでもって生存への道を切り開ける。
 確かに、リュカの語り口は浪漫の追求のや僅かと垣間見える巨大なモノへの憧れの表出でもあったけれど、案外に第六感が生存への道を囁いた結果でもあったのかもしれない。
 しかし、如何に装甲厚くとも、それを支える基礎がなければ意味がない。如何に難敵を退ける力を持たせようとも、それを扱える出力がなければ意味がない。
 故に、それを支えるためのものが必要なのだ、と。
 リュカの憧れを、レムリアの理想をフォローするように、ドロレアは語っていたのだ。
「ああ、君の――」
「ドロレス・コスタクルタですわ」
「――ドロレスの言う通り、それもまた重要だろう」
 勿論、それを活かすための頑丈さもレムリアにとって異論なく。
「ふむ。今の意見を集約すれば、このようなイメージですか」
「あら、クネウスさんもいらしたのですね」
「知り合いなのか?」
「ええ、そうですわ」
 三次元データを出力し、ひとまずと現在までの意見が集約された模型。
 それを片手間にと作り出し、クネウスが全員の前にお披露目をする。
 シンプルに頑丈さを追求したそれは、現状のままであれば、多少の破損を受けたところで動き続けることを可能にする生存性の高さを感じさせた。
 同時、シンプルであるからこその量産性。そして、伸び白――発展性が残されてもいる。
 まさしく、雛形として申し分ない。試作機というに相応しいものがそこにあった。
 さり気なく、狙撃の為の砲――全世界サイボーグ連盟。その名を縁として、既にクネウスを知るドロレスからすれば見たことのあるアームドフォートに酷似したそれ――が、装備されないまでも、オプションパーツのように用意されていたのはご愛嬌。無論、それがお遊びの一環として用意されたものではないのも確かではあるが。
「これは?」
「惑星サイズの相手である以上、ピンポイントで弱点を破壊し得る砲身も必要かと」
「なるほど。道理だな」
 互いのサイズ差が埋められたなら近寄って殴り合うことも可能だろう。だが、そればかりでは被害も増そうと言うものだ。
 それ故に決め手、ないしは牽制として遠距離からの攻撃を可能とする武装の準備は必要であった。
「これ、いいね。すごくいい。銃とはちょっと違うかもだけれど、こういうのも捨てがたい」
「おや、分かって下さいますか」
 そして、その砲に意外なところで食い付いたのはリュカ。
 クネウスとしては操縦の段においてや遠距離戦闘などを考慮した上での用意であったのかもしれないが、ロボットと言えばと想像を膨らませていたリュカにはある種のツボでもあったようだ。
 淡々とした表情はそのままに、しかし、目はきらりきらりと瞬いてロボットの武装を見る。
 得物として銃を扱うからこそというのもあるが、やはり、ロボットと言えば宙間戦闘の銃火の瞬きでもあろう。
「――うん。あとは長距離ミサイルも捨てがたくて、でも、あんまりごちゃごちゃしたのも……はっ」
 物怖じせず、どこか浮世離れしたリュカであっても、やはり15歳。目は口ほどに物を言うとはあるが、少しばかり瞳に滲んだは年相応。
「兎に角、頑丈であればいいとおもいます。いや、いろいろ兼ね合いもあるだろうし。強くて大きいのなら、うん、それで」
 コホンと咳払いする姿に、思わずと空気が緩んでいた。
「……ところで」
 今迄、話の推移を見守っていたフィーアの口が開く。
 全員の視線が動けば、そこには彼女が置かれた模型の関節を遊ぶように、試すように動かす姿。

「――このロボ、人型じゃないとダメとかあるのでしょうか?」

 天啓であった。
 全員ではないかもしれない。だが、ロボットと言えば、まして、ヒトが搭乗するならと考えた時、知らず人型と思い浮べた猟兵が居たとしても、無理はない。
 だからこそ、フィーアの発想は新たなる展望を齎すもの。
 知らず、誰かの呼気がハッと漏れた。
「無いなら、宙間戦闘に最適化された形状にしましょう」
「それは……どういう形状ですの?」
「そうですね。具体的言うと、潜水艦の親戚みたいな形です」
 水中と宇宙。
 どちらも似た様な環境であり、であるならば、その技術もまたある程度共通して使えるのではないか、と。
「――宇宙での戦いでも、アレが一番合理的な形状でしょう」
 それに、潜水艦型であればミサイルの搭載――チラリと視線だけが一瞬、リュカを向き――やそれこそ砲の搭載も可能だ。
 近接戦闘は難しいかもしれないが、そこは武装や戦い方に工夫を凝らせばいいのではないか。
 被弾した際のダメージコントロールとて、既存の技術を流用できることだろう。
 ある種、理路整然とした提案に、議論の場がざわめきを発する。
 確かに、その発想は決して頭から否定するような悪いものではない、と。
 ざわり、ざわり。
 妙案に意思決定の天秤が左右に揺れる。
 そのまま決するかと思われたそれ。だが――。

「あの、出来れば……私は槍型の武器を作成しようと思っていたのですが」

 戦場での苛烈さこそ今はなく、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が、おずおずと修道服の衣擦れしゃらり手をあげた。
 猟兵として世界を跨いで随分と経つが、それでも元々が機械とは無縁の世界出身の彼女。それ故に、機構だなんだということには敢えてと口出しはせず、ロボットに持たせる武器にこそ思案を巡らせていた。
 その答えの一つこそが、今、オリヴィアが申告した武装――即ち、槍であったのだ。
 マインドミナの外殻は思念により形を変える。
 ならば、そのモチーフとして己が愛槍を用いれば、その強度の如何なるか。少なくとも、容易く折れるようなイメージの軟さでないことは確か。
 だが、それがもしも潜水艦型ともなってしまえば、如何に名槍、聖槍の出来が良くとも、振る腕がなければ意味もない。
 だからこそ、おずおずとではあるがオリヴィアは手を挙げたのだ。
 勿論、それに対して誰も否定などしない。
 様々な猟兵が集まるのだ。ならば、そこで出る意見もまた様々であることは最初から分かっていたからこそ。
「ふむ……では、どうしましょうか」
「すいません。何分、他の武装……火器の類ともなると、多少、イメージが」
「いえ、問題ありません。人型の縛りがあるのなら、変形機構の導入というのも一つの手です」
「変形機構か、また挑戦的な試みだな。強度に影響が出ないのであれば、導入に異は唱えんよ」
「操縦一つで形が変わるのも、いいよね。取れる手段が広がるのも」
「ですが、その複雑さ故の脆さや弱点というのも、物語で触れられることもあるものですわね」
 侃々諤々。
 拘りや想いこそがロボットの完成強度を引き上げるもの。
 だからこそ、互いが互いに想いをぶつけ合うことへ否のあろう筈もない。
 どうすればいい。こうすればいいのではないか。では、そこから出る問題は。議論は尽きぬ。

「戦いやすい形は、機体への想いは、各々様々であろう」
 
 ならばこそ、それを否定せず、取りまとめるからこそのガジェッティア。
 まさしく影のように、するりと猟兵達の議論の輪へと滑り込むはドゥアン。
 その発言は決して大きくなく、されど、誰しもに宿る想いの代弁であったからこそ、全員の視線が彼へと集まった。
 コホン。と一つの咳払い。
「稼働の際。機構が、こう。ダイナミックに変形する様というのは、……格好がいいと思うのだ」
 それは変形機構の肯定か。浪漫の肯定か。
 だが、格好いい。というのも一つの拘りであり、外殻の変化をより強固なものにするための確かな一助。
 何名かが同意するように頷いていたり、いなかったり。
「ですが、懸念としても挙がったように、頑丈さを損なう可能性はどうですの?」
「思念が強まれば、概念的な頑丈さも、増すのではと。うむ」
 だが、それだけではない。勿論、代案とてあるのだ。変な――というと語弊はあるが、様々な形のガジェットを駆使するはガジェッティアの本骨頂。そこにメカニックとしての知識が加われば――。

「変形による機構の複雑さが、不安であれば、合体……鎧のような、追加装甲はどうであろう」
「合体……!」

 合体。
 それはまさしく、変形と対を為す巨大ロボットと言えばなワードの響き。
 リュカの眼が、その浪漫の響きにより輝きを増していた。
 それへ、ドゥアンもまた応えるように鷹揚な頷き。
 多くは語らぬ。しかし、確かな意思の疎通がそこにはあった――のかもしれない。
 ただ、変形合体の嫌いな男子はいない。少なくとも、それだけは言えた。
 そして、変形合体の機構に反応していたのは、彼らだけではない。
 その浪漫に対しての理解はさておき、耳をぴくりと反応させて、もしかすれば自身の考えもより具体的に出来るのでは、と、オリヴィアがするり意思疎通の中に。
「機械のことは詳しくはないので相談したいのですが……武装の変形機構なども、可能なのでしょうか」
「……ん、なんであろうか」
「私がイメージしようとしていた槍なのですが、槍から大剣への変形機構や穂先への魔力放出機構をと思っているのですが……」
「機体だけでなく、武器もダイナミックな変形をする……それもまた、良き発想だな」
 ならば、その想像を遮るでなく、補強をするはドゥアンの手腕。オリヴィアの望むべき槍の機構を手伝わんと心に決める。そのぐらいならば、お手の物だ、と。
「いろいろな兼ね合いもあるけれど、どんなロボットになるんだろうね?」
「さて、な?」

 ――閑話休題。

「合体という言葉はさておき、鎧――追加装甲、機構としての形を取るのは悪くないかもしれませんね」
「オプションパーツという類のものですね。出来なくも……ありませんか。変形機構よりは量産性への影響も、多少は」
「いざ破損したなら分離すれば、戦闘への影響も少ない、か」
 ざわりざわり。再びと議会は揺れる。
「ですが、もしも分離したとして、再装備は可能なものなのですか?」
 表情は変わらず、されど、こてんと首だけ傾げてフィーアの純なる疑問。
 確かに、そういった装備は破損なくとも意図をもって分離なりした場合、戦闘中に再びと回収して装備とはいかないのが常ではある。あるのだが――。

「――心配はありません。そこは私が対応を致しましょう」

 こんなこともあろうかと。
 そんな言葉が思わず口を衝いて出てしまいそうな登場。白銀のボディも頼もしく、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)が輪の中へと歩を進める。
「多数の装備が生まれれば、『場面によって使わない装備』が出ることは必至と思っていました」
「慧眼で、あるな」
「恐れ入ります」
 それは、トリテレイア自身もまた数多の装備を抱える経験から来る予測。
 彼としてはロボット建造において騎士らしい――トリテレイアらしいとも言える――機体の具現を考えてもいた。優れた機動性と柔軟な運動性。堅実な要素の極致を。
 だが、ここには数多とヒトが、猟兵が集まっているのだ。
 その思念の交じり合いの中において、それはもしかしたら他を妨げる要素となり得るかもしれない。
 だから、彼はそれを表立って押しだすのではなく、他の案に対するフォローとして動くを選んだ結果が、この場面での登場であったのだ。
「勿論、それは破棄や出力での強引な解決に持っていってもいいのですが――」
 それでは無駄が過ぎるというもの。
 故にこそ、他の世界であればSFと言われるものをすら現実とするこの世界――スペースシップワールド。そこであるからこその、科学の真髄を、今。

「――電脳魔術を応用した、電脳空間への装備格納をしては如何でしょう」

 電脳魔術師が用いるという、プログラムの具現化。ならば、その逆もまた然り。現実の物質を電子化し、必要に応じて装着すればよいのではないか、と。
 そうれあれば、装備を使用していない間はそのリソースを他に回すことも出来るであろうし、デッドウェイトや再装備の手間に悩まされることもない。
 それに、だ。
 ――リソースが多ければ、砲撃後に砲格納、推力に回し急速接近、近接武装で攻撃等の動きも高いバランスで実現できる筈ですしね。
 フォローに回りはしたけれど、それでもやっぱり拘りは拘り。捨てきれないものだ。
「であれば、そこは私の出番かな?」
「私自身に電脳魔術の素養はありませんので真似事をと思っていましたが、本職に任せられるのなら、是非とも」
 揺り籠と揺れる魔法陣。サルベージしたものを、とっておきを格納する電脳空間を所有するはレムリア。
 電脳魔術師としての素養に恵まれる彼女の協力あれば、更なる効率的な運用、実装を可能とするは間違いないであろう。
 惑星サイズのロボット。それを思念を持って生み出すという、ある種、途方もないことへの光明が、見え始めていた。

「――で、あんた達はあっちに参加してなくて良かったのか?」
「ああ。惑星級のロボ……というか、その建造など門外漢だからな。そういうのは任せるさ」
「俺も、まあ、どっちかってとロボットの組み立ての方にな」
 ロボットの概要は任せる。それよりも、とキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)が重視したのは、武装の作成だ。
 その点で言えば、武装としての槍を生み出さんとしていた、オリヴィアと似通っているとも言えた。
 激論飛び交う輪の外で、同じくと武装――というよりは、外付けのパーツをと思考していた祐一へと、キリカはそう返す。
 同時、伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)もまた、議論の中でその経験――軍需系財閥令嬢としての辣腕を振るうドロテアを見守りながら、そう零すのだ。勿論、ただ見守るでなく、彼女が思う設計を自身の中にも汲み上げながら。
「それで、そっちは何を考えてるんだ?」
 必要なら、手を貸す。その意図を含んだ祐一の言葉。
 だが、それにキリカはゆるりと笑みを返すのみ。
「大丈夫だ。『コレ』に関しては、私がよく知っているからな」
 指し示す『コレ』こそは、キリカの持つ青なる卵――オーヴァル・レイ。
 自律兵器でもあり、オールレンジに対応するそれと同種のモノを生み出すことが出来れば、如何な造形のロボットにあっても恩恵があることは間違いない。
 そして、オリヴィアも同様ではあったが、自身が常日頃より愛用しているものをイメージの核とするとなれば、そこに宿る想いや存在としての強固さは普通よりも更なるとなることは言うに及ばず、だ。
「へえ、面白いパーツを考えるんだな」
「惑星級のロボット用ともなればサイズも相応だろうから、扱いはなかなかに難しいかもしれんがな」
「ん? ジェネレーターからのエネルギーは使わないのか?」
「念動力を使えば、その分のエネルギーを他に回せるだろう」
「なら、そのままってしんどくねぇか?」
「ああ、流石に骨が折れるだろう」
「設計図……ってのも違うが、ちょいとソレ、見せてみな」
 キリカの示す青の卵。それは普通であれば自前の念動力でもって動かすものではあるが、それを惑星規模の戦いの中、しかも、かなりのサイズアップを図ったものを動かすとなれば並大抵ではあるまし。
 故に、改善点はないかと祐一も、鷹介も、共にとなって頭を突き合わせる。
 ああでもない。こうでもない。なら、こうすれば。
「――ああ、これなら……念動力の増幅器も一緒に組み込めばいいんじゃねぇか?」
「考えてはいたが、可能か?」
「可能は可能だろ。強く思えばな。これはそういうもんさ」
 3人寄ればなんとやら。
 機体を考える議論とはまた違う白熱の先、その答えは生み出される。
 足りないのであれば、足せばいい。増幅すればいい、と。
「すまないな。助力、感謝する」
「なに、気にすんなよ」
「ま、言うだけならタダだしな。実際にどうなるかは、期待すんなってな」
「そうか。なら、そちらの思考も力を入れなければな」
 素直な、そして、偽悪的にも取れる言葉に、キリカもまた、ふむ。と生真面目に。
 それがなんだか可笑しくて、3人はカラリと笑い合うのだ。
「ところで、お前達の方はどうなんだ?」
「俺か? 俺の方は簡単さ。いざって時に殴り合いが出来るような頑丈な手足……は、あっちでも話が出てるみたいだし、重力制御装置や空間圧縮装置でもな」
「何とも大層な名前だな」
「まぁな。だが、積み込んどけば移動や防御、工夫次第で色々使えるぜ」
「バリアフィールド展開! とか、叫んで使ったりもカッコいいな。ん……叫ぶ、か」
「それこそロボットの漫画か何かみたいだ」
「はは、そうだな。あとは、追尾レーザー発射装置だとか、雷鳴のチャージ機能だとか、そこまで機体の可動を妨げるもんでもないし、造りさえすれば、どこにでも組み込めると思うぜ」
 それぞれがそれぞれに考案する武装の数々。
 それは機体の特殊性とはまた別物で、如何様にも組み込むことが出来るもの。 
 それ故か、ああしよう、こうしようの議論はあれど、基本的には折衷案となることもなく、そのまま通りそうな気配があった。
 そして――。

 ――黄金は輝く、思念を受けて。

 猟兵達の数多の理想を、拘りを、その身に取り込みながら、マインドミナの外殻は形を蠢かせる。
 ぐにゃりぐにゃり。
 相手を打倒し得る、一撃を当てるための砲を。
 宙間戦闘に最適化された形状を。
 聖なるかな。聖なるかな。その道行妨げる障害を貫く矛を。
 全域をカバーする兵装を。その動力を。
 決して、パイロットを最後まで裏切らない信頼性を。
 騎士の如くと戦場を縦横無尽に駆ける力を。
 空間にすら干渉する兵装を。
 ロボットという名の浪漫の下、数多の想像を束ねる力を。
 ぐにゃりぐにゃり。
 形が次第に生まれゆく。想像から創造がなされゆく。
「言っといた方がいいこと、あるんじゃねえの?」
「……鷹介様」
 基本に忠実な理詰め。
 だからこそ、ドロレスがこのロボットに求めるものは堅実なものであり、機体を支える動力炉や骨格というものであった。
 だが、他にも想いがあったのではないか、と鷹介は大切な人へと語り掛けるのだ。
 それを言葉として出すことが、きっとこれを更なる高みに昇りつめさせるものであると判断して。
 その言葉に背中押され、ドロレスの口より言の葉が零れ出る。

「ただ強力な装備を持つだけでは、サイズの異なる通常の兵器と同じ」
 訥々と。
「――悪を許さぬ正義の心。戦う力を持たぬ人々を守る優しさ。どんな強敵にも立ち向かう、勇気と気合とド根性!」
 言葉は次第に力を持ち、熱を持ち、変化する黄金の輝きに力与えるように。
「――これらを備えてこその巨大ロボットです!」

 真面目さやプライドの高さ、その奥に宿る熱い意思。
 この建造せんとするロボットにその心が宿る訳ではないだろうけれど、それでも、それを扱う自身達がその心にならんとするように言葉を、想いを外殻へとぶつける。
 そして、それへと反応するかのように、炉にくべられた鉄のように、黄金の輝きはその強さを増していき――。

 ――数多の想いが、確かな形と結びついた姿を見せる。

 ズラリと並ぶ、部品の数々。その存在感は確かで、これを組み立てれば、猟兵達の望むものとなるのだ、と、そう確信させるだけのものがそこにはあった。
「ありがとうございますわ」
 決して自分の想いだけでそれが生まれたわけではない。だけれど、確かにドロレスの想いもそこには含まれているのだ。
 だから、伝える機会を逃さず生んでくれた鷹介へと、彼女は礼を伝える。想いを伝えることは、必要なことだから。
「いいさ。それに乗じた訳でもないが、俺も、ちょっとした遊び心を入れさせてもらったしな」
「遊び心?」
「そうさ。巨大ロボットってんなら、必殺技や必殺兵器が付き物で、それにはやっぱり『音声入力』だろ?」
 彼女だけに見せた悪戯な笑み。
 それは決して必要な機能ではなかっただろうけれど、だが、遊びがあるというのは大切なことなのだ。
 遊びがないでは、如何なる時でもゆとりがないでは、息苦しくて暴発もしてしまうだろう。
 そして、それが操縦面での安全性、機能の簡便性の向上にも一役買うことになっていたのは偶然か。はたまた、必然か。恐らくは、後者であろう。
「さて、次は惑星ロボでひと暴れ……楽しそうだな、なあオイ!」
「そうですわね」
 生み出された部品を組み立て、ロボットを、兵装を作り出さんと、全員が取り掛かり始める。
 作業用のドローン飛び交い、念動に繰られた工具飛び交い、資材を持った猟兵が飛び交い、白熱する議論の騒々しさとはまた異なる、ある種の活気を感じさせる音の波が、広がっていく。
 だが、一つだけ、全員が一様に忘れていたことがあった。

「そういや、こいつの名前はどうしようかね?」
 ――あ!

 組み立て作業が行われる中、ふと漏らされた祐一の言葉。
 それに一瞬だけ全ての音が停止して、行動が停止して。
 組み立てられつつある機体を前に、また新たなる議題が立ち塞がっていた。
 さて、それがどうなったかはまた別のお話。もしくは、それぞれの心の中に。
 ただ少なくとも、目的とするロボットは完成の目を見たのだから。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第2章 ボス戦 『クエーサービースト・マインドミナBVA』

POW ●BVAジェノビック
【無限に変化する外殻が超殺戮形態 】に変形し、自身の【防御力】を代償に、自身の【攻撃力と攻撃速度】を強化する。
SPD ●BVAエクスタリ
いま戦っている対象に有効な【無限に変化する外殻が変形した殺戮兵器 】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ ●BVAリモーフ
対象のユーベルコードを防御すると、それを【無限に変化する外殻によって再現し 】、1度だけ借用できる。戦闘終了後解除される。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 星の海を渡る宙船。
 しかし、そのサイズはスペースシップワールドにおいてもなお、確実に巨大と言えるもの。
 それもそうであろう。その宙船の大きさは、まさしく惑星級。普通の航行船と比較するまでもない巨大さであるのだから。
 その宙船が渡るは未踏宙域。
 何をしに?
 それは、今回に限って言えば調査などではない。
 いや、ある意味ではそうだとも言えるのだろうけれど、その宙船には明確な目的があった。
 それこそは――。

 ――コントロールルームに詰める猟兵達の耳へと響き渡る警報音。

 しかし、それは『相手』から発見されたものではない。
 こちらが『相手』――マインドミナBVAの存在を先んじて感知したからこそのもの。
 そう。それこそが目的。
 マインドミナBVAとの戦闘を通し、この宙船――装甲を纏い、今は宙船の形をとるロボットの戦闘データの回収。並びに、可能であればマインドミナの外殻を回収するという。
 轟。と尾を引き、アフターバーナーの焔が宇宙の黒に線を刻む。
 宇宙を航行するに相応しい形態であるからこその加速がロボットを包み、瞬く間にと猟兵達を戦場へと運ぶ。
 加速するロボットの存在に今更とマインドミナBVAが気付くが、先にこちらが相手を発見し、更には速度も上回っている。
 開戦のイニシアチブはこちらが握っていることは明白であった。
 だが、油断をしてはならない。かの敵が持つ外殻の変幻自在さは、このロボットの建造を行った猟兵達であるならば、語るまでもないモノであろう。
 ぐにゃりと歪み始めるマインドミナBVAの外殻。

 ――エンゲージ!

 誰が叫んだか。銅鑼の代わりと響き渡る声。
 さあ、初陣の時は今だ。


 機体データ参照...■
 核となる機体は騎士を思わせるシンプルなフォルム。そこに出撃時は潜水艦を思わせる流線型の追加装甲・兵装を纏っています。
 機体内部に配置された堅牢なるフレームは分厚い装甲をよく支え、各種関節に取り 付けられた推進器による柔軟な動きにも対応可能とする秘訣になっています。
 また、動力炉の出力は高く、後述の装備全てを稼働させても尚、まだ余裕を持ちます。
 そして、シンプルな造りであるが故にダメージコントロールへ優れており、この機体は四肢が落ちても、機能の幾つかが使用不能となる程のダメージを負ったとしても、パイロットが諦めない限りは最後までその意思に応えてくれることでしょう。

 なお、各種兵装は音声認識とも連動していますので、複雑な操作を挟まずとも起動可能となっています。
 勿論、それを使わずに操作することも出来ますが、魂の叫びと共に使うと、少しだけ効果が上がる――ような気もするかもしれません。
 お好みでご利用ください。

 近距離武器:槍(大剣への可変)、格闘戦等の殴り合いにも充分耐えられます
 遠距離武器:狙撃砲、オールレンジ自律兵器、追尾レーザー、ミサイル兵装
 特殊兵装:航行形態を可能とする追加装甲(後述の電子化物質化機能により、いつでも脱着可)、念動力増幅装置、空間圧縮装置、重力制御装置、雷鳴チャージ機能、装備の電子化及び物質化機能
オリヴィア・ローゼンタール
アダムカドモン……いえ、一号機とか試作機で充分では?

ユーベルコードを使えるのは一回だけ、とのことですね
では私の手番は早めでお願いします
消耗が大きい技で、終盤にこれで仕留められなかった場合、危険ですので

接近戦を挑みます!
槍を構え、加速、吶喊!(串刺し・貫通攻撃・ランスチャージ)

敵の増大した攻撃速度を、強化された【視力】で【見切り】、【念動力】増幅装置の力も借りて機体を制御して回避
【カウンター】で外殻を斬り裂く

頃合いですかね……ユーベルコードを使います!
皆さん、あとはお願いします!
我が聖槍、その写し身よ、破壊の魔力を解き放て!(属性攻撃・投擲・全力魔法)
【終焉を呼ぶ聖槍】!!

(全力出し切って昏倒)


フィーア・ストリッツ
音声入力装置、便利ですね
言えば盆踊りもしてくれるのでしょうか。いや盆踊りとかよく知りませんけど
「それよりも敵ですよね敵。せっかく新しいおもちゃも貰ったことですし、楽しく遊ぶとしましょう」

まぁ、皆様こだわりの武装を搭載されたようですし
フィーアは裏方に回って管制とか制御とかダメコンとかそういうのを引き受けましょう
【魔法のトランク】で防具を「ふしぎなリモコン」にチェンジ
操縦適正を大幅に向上させて、他の皆様のアシストに周ります
「照準とトリガーに集中してもらって結構ですよ。乱数回避はこちらでやりますので」
操縦?音声ではなくコンソール操作ですが?
音声はラグがひどすぎて機動戦には使えません


キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

現れたか…フン、向こうもやる気は十分だな
では、コイツの性能を存分に味わってもらおうか

潜水艦型の追加装甲を纏ったまま攻撃
敵の外殻を削るように追尾レーザーと狙撃砲を撃ち、さらに自律兵器を念動力で操作して更にダメージを与える
外殻が変形し、殺りく兵器を起動したら攻撃を止めて見切りを行い、瞬間的にブースターの出力を上げて回避する

逃げられると思うな…
そこだッ!オーヴァル・レイ!

UCを発動
巨大化・分裂させた自律兵器を増幅させた念動力で操作し、あらゆる角度から砲撃を行う
さらに敵の殺戮兵器へのカウンターで砲撃を行い追加でダメージを与える
巨大な念動力を使用した反動で潰れる前に、後続へと引き継ごう


レムリア・ザラタン
艦船というより、もはや戦闘機だな
普段とは少々勝手が違うか…

巡航形態から追尾レーザーで牽制をして距離を取り、
挙動の把握に自分が担当した装備の出し入れの試運転
多少なりコツを掴んでから本格的な戦闘へ移る

運用データの収集だ、武装は満遍なく使わねばな
巡航形態で長距離から自律兵器と狙撃砲による牽制
敵を射撃戦に付き合わせ、敵の外殻が長距離戦向きに変化するように誘う
外殻変動を確認次第ミサイルで目晦ましをしつつ、
速度と追加装甲を活かして攻撃を掻い潜り、外殻が再変化する前に一気に接近

可変と同時にユーベルコードで一時的に敵の機能を停止させ動きを止め、
装甲の薄くなった敵へ槍を叩き込み、内部で大剣に可変させ斬り伏せるぞ


 宙にて花咲く曼殊沙華。
 宇宙の黒に飛ぶ無数の光線――猟兵達の乗る機体より放たれたレーザー光の描く曲線は、まさしく花開くかのように。
 一発、二発、三発……同時数多と射撃されたそれは、まだ態勢の整いいないマインドミナへと曲がり、くねりながら迫る。

 ――花弁は黄金の上で幾つかの球をなす。

「直撃……とまではいかないにしても、出鼻を挫くには十分か」
「元より牽制が目的だ。十分だろう」
 黄金の上に生じた火球が煙を残して立ち消えて、その煙もゆるりと姿を薄れさせる。
 その向こうには黄金の外殻に幾分の焼け跡を残すマインドミナが姿。
 だが、迎撃のためと蠢いていた姿は、レーザーを回避するために一時の停止を余儀なくされていた。
 それはキリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)が、そして、レムリア・ザラタン(Stargazer・f28070)が言う通り、牽制として見れば十分といえるもの。
 しかし、敵は未だ健在。
 その外殻を再びと波打たせ、蠢かせ、改めてと猟兵達を討たんとし始める。
「フン、向こうもやる気は充分だな」
「こちらとしては、もう少しこの機体の癖なりを掴みたいところだが」
「おや、操作が不安ですか?」
 であれば、管制や制御はフィーア・ストリッツ(サキエルの眼差し・f05578)にお任せを。
 気遣うような言葉の内容ではあるけれど、その言葉自体は平坦。その表情にも、紅の瞳にも、汲み取れるほどの感情は見当たらない。
「動かすに問題はないだろう。だが、作業を分担してくれるのであれば、助かるものではあるな」
「私は……少し手伝って頂けるのでしたら、助かります。こういうのはなかなか慣れぬものでして」
 手伝いがあれば他にも意識が割けるとばかりに言い切るレムリアとは対照的に、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)は少しの困り顔。
 機体は音声で操作も出来るとはいえ、計器の類は山のよう。その身一つであれば無双を誇りはしても、元々からして機械の類に触れずに過ごした期間の方が長い身だ。補助があるに越したことはないのかもしれない。
 それに、だ。
「ユーベルコードを使えるのは一回だけ、とのことですね」
「そうらしいですね。実際にはまだ誰も試してはいませんが」
「その時が来たならば、私はそこに力をつぎ込むことに集中します。ですから……」
「ええ、問題有りません。そういったことも含めて、承りました」
「ありがとうございます」
 後顧の憂いがなくなれば、そこに全力も注ぎ込めようというもの。
 フィーアの動じぬ了承の声に、オリヴィアの顔も凛と晴れる。それを、レムリアは猟兵の強さの一端――補い合う力を興味深げに眺めるのだ。

「話は付いたか? なら、こちらも少し手伝ってくれるとありがたいな」

 話の間とて時は過ぎるもの。
 機体は星を後ろに流しながら、高速でもって宙を駆け続ける。
 そして、その中でキリカの意思に従い、レーザーを、狙撃の砲を、自律兵器を放ち続けていたのだ。
 それは雨となり、幕となり、マインドミナから放たれる敵意とぶつかり合い、時に受け止め、妨げていた。
 互いにまだ手の内の探り合い。
 猟兵達は機体の暖気として、マインドミナは猟兵達の機体の能力を見定めんと。
 故にこそ、マインドミナにも、猟兵達の機体にも、直撃弾と言える程の損害はまだない。
 だが、それももう――。
「こっちも随分と暖まった。あちらさんも……」
 ――終わりの頃合いだ。
 そら、来るぞ。と、キリカが呟けば、機体は傾き、急速旋回。
 遅れて、機体のあった場所を貫く光の帯。
 明らかに話の間、牽制の間よりも早い一撃。
 掠めた衝撃か、重力制御装置を積んでいる筈の機体にすら、軽い揺れが起きていた。
「おっと、これは失礼しました。では、これよりフィーアが皆様の補佐に入ります」
 揺れる機体内部においても、精神的動揺など微塵もないフィーアの言葉。それは、敢えてと口に出したもので――。
「――ふむ。音声入力装置、便利ですね」
 彼女の言葉、意思へと応えるかのように、フィーアの眼前にあるコンソールが淡い輝きを宿す。
 そこに映るのは火器管制から機体制御に至るまでのデータの波。
 だが、半人半機たる彼女であれば、その程度の情報を捌くなど造作もない。
「せっかく新しいおもちゃを貰ったことですし、楽しく遊ぶとしましょう」
 動かぬ表情。されど、その瞬間に零れた感情は、愉悦か。
 だが、準備運動のように指先を解す姿は頼もしく、任せるに足ると思わせる姿であったことは間違いない。
「では、運用データの収集といこう」
「そのためにも、コイツの性能を存分に味わってもらわなければな」
「アダムカドモン、出撃ですね」
「――え?」
「ん、こほん。いえ、なんでもありません」
「原初の人間という意味だっただろうか? 君はそういう発想の持ち主なのだな」
「そういえば、コイツには名前がないままだったな」
「良いではありませんか、取り消さなくとも。それぞれがそれぞれにこの機体を好きなように呼べば良いのです」
「皆さん、聞いていたのなら聞き返さないで下さい! それより、来てますよ!」
 頬を僅かと朱に彩ったオリヴィアに、ほうと興味深げにレムリア。隣ではキリカがなるほどと頷けば、フィーアが変わらぬ声音を披露する。
 女三人寄ればなんとやら。四人ともなればなおのこと。
 だが、敵がその間を呑気に待つ筈もなく、オリヴィアの言葉通りに、先程の再現とばかりに、伸び来るは光の帯。
 瞬く間にと彼我の距離を埋め――。

「――そうですね。それよりも敵ですよね敵」

 それも虚しく空を切る。今度ばかりは掠りもしない。させはしない。
 次弾、次々弾とて結果は同じ。
 その命を刈り取らんとする死神の手から、するりするりと機体が抜け泳ぐ。
「任せろと言うだけのことはあるな」
「こんな事もあろうかと、というやつですよ」
 気付けば、フィーアの手元にはコンソールと接続されたリモコンらしきもの。
 それをカチカチカチリと動かせば、機体も上下左右に自由自在。
 それこそがマインドミナの手を掻い潜り続けるフィーアのタネであり仕掛け。ユーベルコードの発現ではあったけれど、機体を通してではないが故に、疲労がその身を襲うことは無い。
「音声操作じゃないんですね」
「ええ、コンソール操作です。音声だと私にはラグがひどすぎて機動戦には適しません」
 なるほど、通りで指先を解していた訳だとオリヴィアは納得し、同時に、では、最初のそれっぽい言い回しはなんだったのか、と小首を傾げる。
 ただ、フィーアにとって音声入力は便利は便利でも、彼女の想定する実用に適していなかった。それだけであったのだろう。
「さて、皆様――」
 機体が大きく宇宙に線を描き出し、過ぎ去った軌跡にのみ交わる光の帯。
 銀糸の奥には揺れぬ赤。それが猟兵達を見据える。指先の動きは止まらない。
「私の華麗なハンドル捌きに見惚れるのも結構ですが、皆様は皆様で照準とトリガーに集中してもらって結構ですよ」
 乱数回避はこちらでやりますので。なんて、有言実行そのもの。
 であれば――。
「そうか。であれば、こちらも為すべきを為そう」
「ええ、是非とも」
 集中しろと言うのなら、言葉に甘えて。
「自律兵器の方は君の方が得手だろう」
「ああ、任せておけ。そっちに集中する分、他は頼む」
「了解だとも」
 今は奇しくも砲撃戦の様相を呈している。
 それはレムリアに、キリカにとっては望むところ。ただ、オリヴィアにとってはまだ自分の出番ではないと、ゆるり目を閉じ、その時を瞑想して待つ。
「さて……」
 レーザーや狙撃砲からの一撃は既に、牽制ではあるが幾度も。まだ未使用の装備と言えば、ミサイルか。
 ならば、とレムリアは機体外装にミサイル群を物質化すると共に照準。そして、発射の音はカチリと機体内部に小さく響いた音。
「まずはこいつを馳走してやろう」
 モニター上で煙の尾を引き、マインドミナへと向けて飛び交うミサイルのパレード。
 次から次へと、ともすれば同時に襲い来るそれには、普通であれば認識処理能力もパンクしよう。
 だが、相手はその外殻を無限に変容させるに足る処理能力を要するもの。
「対応してくるか。当然と言えば当然だが」
 先程まで放たれていた光の帯――そう見える程の出力の光線を放てる砲。それを形成していた外殻がぐにゃり。代わって形成されたのは、針鼠の如き機銃の群れ。
 ミサイルが、瞬く間に爆炎へと変わっていく。
「――僅かでもそれに意識を割くということは、他が疎かになるということだろう?」
 任せたとは既に言っている。今更、それを口に出すまでもない。
 レムリアの眼前――モニター上に光点と映る無数の『ソレ』は、『彼女』が既に動き出しているを示すもの。
「自ら視界を塞いでくれるとはな」
 『ソレ』は宙を舞う小さな妖精達。だが、侮るな。その一刺しは確実に外殻の装甲を穿つのだから。
 『彼女』――キリカに操作される自律兵器の数々は、念動力の導きに従い、ミサイルの爆炎を目晦ましと乗じてマインドミナの懐へと。
 ――少し、重いか?
 念動力増幅装置があってなお、数多の自律兵器を同時多数と動かすには負荷はやはり避けられぬ。
 これを一般人が操るとなると、まだまだ改良の余地はありそうだ。
 そんな思考が脳裏を過る。だが、逆を言えば、キリカにとっては、この戦闘中であってもそんな思考を過らせる程度の負荷ではあったのだ。

 ――マインドミナの黄金を隠す煙の中、一つ、二つ……と、次々に機銃が壊され、外殻が削がれていく。

 有効打は、実戦データは、確実に積み上げられていた。
 しかし、データを蓄積していたのはマインドミナも同じ。
「反応増大。でかいのが来るぞ!」
 自身が削られる中、それでもと外殻蠢き形が為される。
 長大な砲を形成するのでもなく、機銃のように無数と形成するのでもなく、まるで、自分自身が砲となったかのような。
 黄金の光がマインドミナの中央部――砲口とも言える場所に集まり、弾けた。
 それはまさしく光のシャワー。ただし、一発一発が光の帯と同様か、それ以上の出力を誇るだけの力を有する。
 縦横無尽と機体を繰るフィーアを捕え、同時、周囲の自律兵器群を相当するには面の火力が必要とマインドミナは判じたのだ。だからこその。
「あ、これは逃げ場がありませんね」
 ここに来て、機体が惑星サイズであることが災いした。
 猟兵の大きさであれば逃げ込める間隙であっても、機体の大きさが逃げ込めるだけの間隙は――ない。
 それでもと、少しでも損害を減らそうと回避行動は続けていたが、こればかりは如何に操縦の技能高くともどうしようもないことであったのだ。
 だから――。
「暫く倒れることになる。後は頼んだ」
 言葉は端的。行動は迅速。
 キリカはその身に宿す念動力の全てで持って、まだ残る自律兵器群を動かす。
 攻撃を加えることで妨害をしようというのか。
 否。マインドミナに一撃齎したとしても、それは止まるまい。

「来いッ! オーヴァル・レイ!」
 ――故に、彼女はそれを盾とするを選んだのだ。

 機体の面前へと集結し、形成するは青の盾。
 その身より一斉に、迫りくる光へと向けて拮抗するための光を放つ。
 一発一発はマインドミナのそれに劣るのかもしれない。だが、集まり、束ねたそれは確かに抗うへ足るもの。
 衝突の光は眩く。しかし、それも次第に弱まっていく。
 そして、光が全て途絶え、戦場に静けさが戻る。されど、残光の彼方に未だ機体は健在の姿。
 ただ、その眼前に漂う自律兵器群は沈黙を保ち、最早この戦いにおいて動くは叶わないだろう。
 それを繰っていたキリカもまた、機体を通しての力を行使した代償か。息荒く、言葉を漏らす事すら億劫になる程の倦怠感がその身を包んでいた。
 だが、確かに彼女は機体を守り通したのだ。その全力でもって。
 それになにより――。

「突貫します!」

 生み出された空白の時間は、相手の懐深くへと踏み込む絶好の機会へと繋がっていくもの。
 瞑想の時は終わり、今こそが躍動の時とオリヴィアの金色が見開かれる。
 如何な状況であろうと、必ずこの機会を仲間が作ることを彼女は強く信じていたのだ。
 だから、その一声は誰よりも早く、それに応える機体の稼働もまた同じ。
 轟と機体が加速し、マインドミナとの距離を埋めていく。
 遠距離戦も出来ぬではないが、砲火の扱いは不慣れ。なれど、接近戦の――槍の扱いであれば、誰よりも。
 だが、近付けさせじとマインドミナもまた再びと身体を戻し、針山の如くとその身を変え、迎撃へ。
 それは剣山。その身より伸び来る穂先が機体の身を貫かんと、群れとなって。
 光を放たぬは、流石に即座の発射が間に合わぬと判じたからだろう。
 近付けば近付く程に密度を増す迎撃は、如何な機体と言えども無傷では済まぬ。されど、その脅威度は先の光の雨に比べれば如何ほどか。
 装甲の頑丈さ。空間圧縮装置による防御機能。それらをフルに使って突き進むのみ。
「無茶をしますね。ですが、それを支えるも約束の内でしたか」
 高密度の迎撃の中、機体の動きが変わる。
 突き進む動きは変わらず。ある程度の被害が出るも変わらず。されど、その被害を最小限に抑える動きへと。
 オリヴィアに遅れること一拍。フィーアが機体操縦のフォローへと入ったことを示すものであった。

 ――更に彼我の距離が詰まる。
 
 それを嘲笑うかのようにマインドミナの黄金が輝きを充填し始める。
 剣山の姿は未だ保たれ、砲口の形状はまだなしていない。だが、そこに力が宿り始めていることは、誰の目にも明らか。
 マインドミナにとって迎撃はそれこそ僅かな時間を稼ぎ出せれば十分であったのだ。その身に宿る殺戮の意思が、己の処理速度を早めているから。
 あと少し。あともう少し。間に合わないのか。届かないのか。
 一秒間が引き延ばされる感覚。
 まるで粘つく空気に囚われたかのように、全てがゆっくりと動き――。

「――ECM、最大出力」

 レムリアの言葉だけが普段通りの速度でもって放たれる。
 効果は、あった。
 機体を通して最大化されたそれ――彼女より放たれたノイズは、マインドミナの内部をかき混ぜ、ごちゃ混ぜ、千々に乱す。
 整然と行われていた筈の回路の動きに、突如として放り込まれた子供の落書きの如き出鱈目なプログラム。
 それによって、輝きは数瞬の間だけであったが、確かにその充填を止めたのだ。
 しかし、その数瞬こそが値千金。この段階において、最も欲したもの。
 時間が加速する。

 ――彼我の距離は、最早、零に等しい。

「皆さんの後押し、無駄にはしません!」
 力の行使にぐったりとするレムリアを視界の端に捉えながら、オリヴィアもまた己が魂の炎を燃やす。
 まだ、剣山こそ残ってはいるが、もう問題ではない。
「外装、パージします」
「御願いします!」
 傷付いた外装が解け、内部より姿現すは騎士なる姿。その手に握るこそ、終焉の呼び水となる槍と知れ。
 外装は解けども、突貫の勢いは殺さず。
 立ち塞がる剣山を薙ぎ、斬り伏せ、砕き、その身は遂に深奥へ。

「吼えろ、聖槍! 万象を粉砕する嘆きの一撃を今ここに――!」

 迎撃機構と必殺にと力を込めていたマインドミナ。そこに障壁なし、防御へと回す力など残ってはいない。
 故に、それは必然。
 破壊の魔力が、オリヴィアの魂が込められた槍の一撃が、その身を深々と貫くは。
 だが、まだ。まだそれでは終わらない。
「もう一つ、ある、だろう?」
 荒い息の中、襲い掛かる倦怠感を押して、レムリアが更なるを促す。
 理解するように、オリヴィアもまたそれに応え、首肯を返した。
「後の事、お願いしますね」
「お気になさらず。どうぞ、御随意に」
 変わらぬフィーアの平坦な声。それが聞けたなら、十分だ。

「おおおおぉぉぉぉぉぉ!!」」

 槍よ、変われ。
 オリヴィアの咆哮に、突き刺した槍がマインドミナの内部を、傷を押し広げながら、その姿を大剣と変える。
 放出される破壊の魔力は、今や黄金を容易く切り裂く刃へと。
 襲い来る倦怠感を押し殺しながら、それを最後の力とばかりに振るえば、黄金の外殻に深々と刻まれるは、巨大なる亀裂。
 そして、それを見届け、ガクリと力抜けるはオリヴィアの膝。
 キリカに、レムリアに続くように、その力を出し切った証拠。
「一旦、距離を取ります」
 天秤を傾けるに十分な戦果ではあるが、まだ戦い自体の終わりではない。
 その証拠に、マインドミナはまだ黄金の彩を失ってはいないのだから。
 だが、パイロットを交代するにも、彼女らを休ませるにも、こんな至近でそれを為す訳にはいかない。
 それ故に、マインドミナの追撃を躱し、振り切りながら、フィーアはひとまずと距離取るべく機体を動かすのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴

トリテレイア・ゼロナイン
(種族的に慣れているので音声認識よりも●ハッキングでロボットと直結し機構を制御)

新天地を目指す為、良い結果を残さねばなりませんね
参ります!

先ずは航行形態を●操縦し機動戦を敢行
飛来する変異外殻をレーザーやミサイルで●武器落とし
狙撃砲を用いた一撃離脱を繰り返し
多少の被弾は追加装甲で防御

狙いは外殻を本体から引き剥がすこと
頃合いを●見切り航行形態と遠距離武装を解除
余剰出力全てを推進力に回し守りの薄い本体に肉薄

槍を物質化し防御の薄い箇所を貫き
この槍は発案者の方が魔力放出機構を備えていましたね…
UC転用の為その経路を流用

未使用装備の余剰出力を注ぎ込み充填時間短縮
剣に変形させて巨大光剣を形成しなぎ払い


ドゥアン・ドゥマン
控え時はパイロットをバックアップし、応援をば

出番の際は、
守備に綻びが生まれるなら、
遠距離武器総動員で範囲攻撃を見舞おう
音声認証があって助かる
相手の攻撃が緩めば逃さず、
大槍の穂先から、黒き鶴嘴の刃を成そう
部位破壊で外殻を大きく剥したい
回収兼ね機動力を削ぎ、
次のパイロットへ繋ぐべく

超攻撃に物量で挑む等、頑丈さがなければできぬ
存分、動かしてやろうぞ
ガジェッティアの血が湧く

■心情
人々を守る為か。…その艦が、名の無い騎士というのも。似合いやもしれん
ドロレス殿が謳った骨子には、…柄ではないが、眩しいものを感じた
名が伝わらずとも、戦ってきた者達が遍く世界にいると知っている
彼らに続く艦となるよう、魂を籠めよう


星野・祐一
よし実戦テストといこうか!
行くぜぇプラネッツ・イェーガー!

◆SPD
重力制御装置を起動、推進器を噴かして
急加速からの急停止やバレルロールに高速旋回等
運動性テストも兼ねて思考通りに動くか確認
…いいね!惑星規模の巨体とは思えない軽快さじゃないか
流石はスーパーなロボットだぜ

さぁそろそろ行こうか!
まずは追尾レーザーで牽制(乱れ撃ち、誘導弾
重力フィールドと圧縮空間の二重防壁を展開して
全速で相手に突撃するぜ(オーラ防御、念動力、盾受け

勢いのまま体当たりをかましたら(シールドバッシュ
手足に防壁を集中させパンチパンチキック!
最後にUCを乗せたチャージショットを喰らえ!(力溜め、2回攻撃、零距離射撃

アドリブ等歓迎


 黒に浮かんだ黄金の彩は傷んだそれ。
 だが、まだその身に宿す猟兵達への敵意――殺意とも言えるものは、衰えてはいない。
 その証拠と示すように、その身に穿たれた亀裂を呑み込むように外殻が蠢き揺れた。
「新天地を目指す為にも、やはり障害として立ち塞がることは間違いありませんね」
 だからこそ、猟兵ならずともそれに抵抗し、叶うなら打倒し得る機体は今後を思えば必要なもの。そのデータは必ず持ち帰らねばならないものであった。
 それを改めてと認識し、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は宙を見る視界から、もう一つの視界――自身の本体がある船内をも見る。
「よう、お帰り。あいつの様子、直接と見てどうだった?」
「まだまだ機能停止には遠いですね。今は互いに再びと距離があるからか、様子見をしているかのようですが」
「先の痛打が余程であったようであるな」
「はは、いいねぇ。なら、俺達もそれに続かないとだ!」
「応とも。折角と、我輩達全員で、生み出した機体だ。存分、動かしてやろうぞ」
 機体へのハッキング――この場合は、直接的に機体と繋がるための――により、トリテレイアは外と内、その二つを同時に見れる。
 勿論、モニター上にもマインドミナの様子は映ってはいるが、直接見るとではまた感じるものが異なる場合もあるもの。
 だからこそ、星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)とドゥアン・ドゥマン(煙る猟葬・f27051)は、念のためとその感想を彼へ求めたのだ。
 とは言え、結果はさしてモニター上のものと変わらずのもの。
 それには先んじて動いた猟兵達の活躍に自身達も続けと、自身達もまたこの機体を存分と動かさんとすることへと、血の猛りを覚えるのも無理からぬこと。
 機体内部の士気は旺盛であった。
「それでは、よりよき未来を目指す為に」
「言葉を、借りるが……人々を守る為に」
「行くぜぇ、プラネッツ・イェーガー!」
 それぞれの気焔を受け取ったかのように、機体が再びと駆動の光を灯す。

 宙駆ける騎士の躯体に再びの外装。
 先の戦闘が故か、物質化されたその表面には幾つもの傷が残る。
「情報更新。過信は禁物ですが、まだまだ役割は果たせそうですね」
「こちらでも、確認した。推進剤を含め、火器の類も、まだ弾数は十分であるな」
 機体チェックを走らせ、データを確認するトリテレイアとドゥアンには、まだその役割が損なわれてはいないことが示されていた。

 ――その間にも、黄金との彼我の距離は次第に埋まりゆく。

 しかし、蠢く黄金はまるで自身の傷を埋めることを優先するかのよう。
 だからこそ――。
「それじゃ一発、ご挨拶といこうぜ!」
「目標、捕捉。追尾レーザー、発射であるな」
 先制を取るは当然。
 加速する機体。それよりも速くと、その体躯より放たれるは光の線。
 宙に数多と軌道を描き、その先にある黄金へと喰らい付かんと駆け抜けるのだ。
 だが。
「! 逸らすかよ!」
 上下から、左右から、黄金に喰らい付くと思われたレーザーの軌跡。
 しかし、それはその目的を果たさず、標的を目前としながらも曲がりくねり、反れて往く。
「これは……そういう絡繰りですか」
 マインドミナとて、ただ修復に時を費やしていた訳ではない。
 猟兵達が機体の各部をチェックしていたように、マインドミナもまた、その周辺に散布していたのだ。その黄金の一部を。
 マインドミナの外殻が無限に変化することは、それを利用した猟兵達に今更と言うまでもないことだろう。
 だからこそ、マインドミナもまた当たり前のようにその能力を行使したのだ。防御の手段として、レーザーを反射する装甲として。
「――反応増大。反撃が、来るぞ」
「最大戦速! 皆様、舌を噛まぬように!」
 そして、反撃の手段としても。
 マインドミナの周囲が――黄金が一層と輝き、放たれるは光の線。曲がり、くねり、獲物を追う追尾レーザーという名の猟犬。
 ――BVAエクスタリ。
 猟兵達の機体のそれこそが猟兵達自身にも有効であると判断し、外殻をそう変化させたのだ。
 そして、それに喰いつかれぬようにと、トリテレイアもまた機体の速度をあげる。距離を詰めるためではない。回避のために。
 機体の野太い焔の尾。か細くも幾本とあるレーザーの輝き。
 宇宙の黒へと描かれる光の軌跡はその美しさと裏腹、追いつかれればただでは済まない。
「このままでは、追いつかれるも時間の問題ですか」
 機体と直接繋がり、己が体躯の如くと動かすからこそトリテレイアには分かる。
 こちらは慣性にも縛られ、機体の稼働範囲にも限界があるというのに、レーザーにはそれがない。だからこそ、いつか追い付かれる時が来ることを。
 描き出される軌道が角度をつける度、彼我の距離はじわりじわり。

「そんなら、こいつの出番だな!」
 ――重力制御装置、起動!

 声紋を正しく認証し、それは起動を果たす。
 ぐんと加速する機体。急停止からの急加速。内部が潰れるのではないかと思う程のバレルロール。明らかに慣性を無視した動きすら、時として可能とする。
 ただ追いかけられていた時とは異なり、まるで弄ぶかのようにレーザーを回避していく。
「いいね! 惑星規模の巨体とは思えない軽快さじゃないか」
「この機動性があれば、懸念の一つは解決ですね」
「流石はスーパーロボット。俺達のプラネッツ・イェーガーだ」
 重力制御装置。船内の安定だけでなく、周囲を守る防壁としてでなく、一次元上の機動を可能とするために祐一は用いたのだ。
 それはその機能を提案し、生み出した本人であるからこその発想。
 だが、障害の一つは突破の兆しを見せたが、肝心の周辺外殻をどうするか。
 こちらのレーザーは無効化され、近付けば近付くほどに密度を増す迎撃に無策で挑むは無謀であることは明白。
「いいや、このままで、問題はない」
「ドゥアン様?」
「このまま、突き進むで、問題はないのだ」
「……了解致しました」
 それへの解決策はドゥアンの中に。ならば、トリテレイアも、祐一も、それを信じるのみ。
「狙撃砲、起動。ミサイル装填……ふむ。完了したな」
 音声認証があって助かる。なんて、嘯きながら野性の瞳が大敵を視る。
 そうだ。この機体に搭載されている武器は、何もレーザーだけではない。
「――遠距離武器の、総動員である」
 放て。
 ドゥアンの言葉に従い、催されるは砲火の行進。
 数多のミサイルが、狙撃の砲が、我先にと宙に直線描いて駆け抜けていく。
 だが、マインドミナとてそれを放置はすまい。
 黄金の外殻より再びとレーザーを放ち、危うきとなるものを的確に落としていく。
 その外殻に傷をつけられぬは、先程と同じなのではないか。
 ――否。
 撃墜されたミサイルの爆炎。その内を裂いて飛び出すは騎士。
 絨毯爆撃への対抗。マインドミナがその処理を行う隙を突き、彼らは飛び出していたのだ。
 重力制御装置による加速を用い、航行形態からの加速を引き継ぎ、多少の被害はなきものとして最短距離を駆け抜けて。
 されど、マインドミナの核へと辿り着くには、前に立ち塞がる黄金の外殻という物理的な壁。

 人々を守る為、とドゥアンは語った。
 それはこの機体を生み出す際に語られた、とある女史の言葉に影響を受けてのもの。
 正直を言えば、柄ではない。元より、彼は辺境の地の墓守。人々の未来を語るでなく、終わりの後を見守る者。
 だけれど、眩しかったのだ。その言葉が、在り様が。
 そして、知っているのだ。その言葉を、在り様を、人々の生きる世界に名が伝わらずとも、戦ってきた者達のことを。
 だから、ドゥアンもまた、それに続くのだ。その魂を掛けて。

「――縁より降れ、淵へと至れ」

 機体を通して流れ出る力に、ぐらりと視界が揺れる。
 だが、その足を踏ん張り、意識を繋ぎ、ドゥアンは『ソレ』を為す。
 ――『ソレ』は、機体の持つ大槍の穂先が変じた、黒い、黒い鶴嘴の刃。壁を打ち貫くための刃。
「繋いだぞ」
「おう、バトンは確かに受け取った」
「ええ。どうか、今は身体を休ませてください」
 ガツンと叩きつけられた鶴嘴の刃は、立ち塞がる黄金に大穴――墓穴を穿ち、先へと続く道を為す。
 力の消耗に崩れるドゥアンを気遣う間もなく、祐一とトリテレイアは突き進む。

 ――マインドミナの核は、もう目前に。

 踏みこまれた恐怖か。それとも、衰えぬ殺戮の意思にか。マインドミナの表面が蠢き揺れた。
 そして、繰り出されるは棘槍の洗礼。
 空間を穿ち、貫き、伸び来る其れは、まともに受ければただでは済むまい。
 そう、まともに受ければ、だ。
「重力フィールド、空間圧縮、全力稼働だ!」
 バチリと弾ける雷光。機体の眼前で、展開された防御壁にその脅威は止まる。
 いや、正確には、まだじりじりと展開された壁を削りながら近づいてはいるが、それはもう亀の歩みが如く。

「――刀身解放!」

 ならば、その程度は最早脅威とは呼ばず、鎧袖一触と突き崩すは容易い。
 機体の携える槍。それには大剣へと変じるだけでなく、もう一つの機能があったことを覚えているだろうか。
 ――そう、魔力放出機構だ。
 余剰出力を大剣へと変じた刃へと注ぎ込み、トリテレイアは力なす言葉と共に、巨大なる輝きの剣を顕現させたのだ。
 その輝きこそ、この世界を生きる者達の希望。新天地への道を指し示す、灯台の灯り。
 ならば、それを振るえば希望を潰えさせんとする者が、新天地への道に立ち塞がる者がどうなるか。それは想像するまでもない。

 ――宙に散らばるは黄金の欠片。棘槍の成れの果て。

 そして、外殻に守られていた深奥に刻まれるは、大なる剣の軌跡。
 深々と刻まれたそれに、マインドミナの身体が今度こそ苦悶と分かる形で蠢き揺れる。
 だが、ドリテレイアがもう一閃と振るうより早く、迎え来るは機体を通した力の行使による負荷。
 刃の輝きは消え去り、マインドミナにとっての好機が――。
「させる訳、ないだろうが!」
 動きを止めたと思われた機体の再起動。
 トリテレイアに代わるは、祐一が意思。
 物言わぬ槍を電子化し、己が想定――殴り合うに相応しい頑丈さ。それを宿した機体の拳による、乱打、乱打、乱打!
 身体ごとぶつかるかのような突撃の勢いに、黄金が更に砕けて宙舞う数を増やす。
 マインドミナにとっての好機など、この段においてあり得る筈がなかったのだ。

「――瞬いてる暇なんてねえぞ!」

 プラネッツ・イェーガー。その機体に搭載されたこの機能こそ、彼専用とも言えるもの。
 最後の一押しとマインドミナを殴り飛ばし、衝撃に吹き飛ぶそれへと向けられるは――雷の光。
 バチリと放つ輝きは、チャージを待つまでもなく、既にその身に充填が完了したを示す。
 そして、吹き荒ぶは春の雷。
 吹き飛び、猟兵の機体から離れた先でマインドミナの身体に雷鳴が突き刺さり、その身体がびくりと跳ねる。
 力の行使にぐらりと揺れる視界の中、祐一にはそれがマイドミナの断末魔のように見えたのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

伊高・鷹介
【全世界サイボーグ連盟】で参加

●方針:POW

●さて、皆の熱い思いがこもった惑星ロボの初陣か。正直負ける気はしねぇなぁ? ロボ、俺達の想いに応えろ!

●クネウスの強化、ドロレスの飽和攻撃を十全に活かすにはこれしかねぇ。処理能力が落ちたマインドミナを惑星級に増幅した俺の【超パワー】で完全捕縛、そのまま強化したロボでの一撃を叩き込む!

●音声入力、「サイキックブラスター!」(超パワー発動) (槍を大剣に変形させ)「断ち切れ、プラネットスラッシュ!」 とまあ、こんな感じでかっこよく決めさせてもらうぜ。

●それはそうと、このロボはいずれ量産化されるのかな……その時はまたSSWに新しい展開が訪れそうだな。


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
※アドリブ&絡み歓迎
「CODE:THE CREATOR」

【WIZ】

●WIZ対抗
ユーベルコードで攻撃はしません。

●戦闘
 闘いは味方に任せ、星レベルのユーベルコードによってロボットに更なる強化を施します(【メカニック&武器改造】)。
「自らの技術を形にし、魂を吹き込む。技術者とは元来そういうものです」

 自身も作成に関わったロボ(創造物)に生命を与え『知性』を人間以上に、超高度AIを発露させます。 どのような生命が生まれようと己が生まれた意味とその身体の使い方はよく知っているはず。
「此処にはアナタの父と母が集ってますから、出来ればカッコいい所が見たいですね」


ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加

POW対抗

「かっこいい……!」ロボットの雄姿に感動した後、「このロボットなら負ける気がいたしません! ゴーです!」
「ミサイル一斉発射! 敵機に行動の自由を与えず磨り潰します! 『ミサイルはいくらあってもいい』」

UC【Missile Disturbance】とロボットのミサイル兵装を連動させ攻撃開始。高性能炸薬弾頭→弾頭を積まずミサイル自体を鉄杭として純粋に運動エネルギーのみで攻撃→チャフによる味方援護→コンピュータウイルス搭載ミサイル。

ダメージを与えるだけでなく、性質の異なる攻撃を畳み掛ける飽和攻撃で処理能力を忙殺させることで味方の攻撃に対応する余力を削る。


 吹き飛び、距離が生まれたはどちらのとっての幸運か。
 だが、どうにせよ、どちらもがその態勢を整えることへその瞬間を用いたのは間違いない。
 マインドミナは刻み込まれた傷痕と自身の状態を把握するために。
 猟兵達は――。
「かっこいい……!」
「皆の熱い思いが籠ってんだ。それでこそってもんだろ」
「では、我々もその活躍を引き継がねば」
 先んじて魂を燃やした猟兵達と、その操縦の場を変わるために。
 そして、改めてと操縦の席に座るは、鋼を身体に宿せし者達。伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄の機構士・f02209)、ドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)。その3名であった。
「ええ、勿論ですわ。このロボットなら、私達なら、負ける気は致しません!」
「応。あいつには悪いが、正直、負ける気はしねぇな」
「頼もしい言葉です。先の活躍に対する萎縮など、心配無用ですね」
 ドロレスが己の心素直に気焔をあげれば、鷹介がニヒルに唇歪めて笑み浮かべ、クネウスがゴーグルの奥に和やいだ光を浮かべる。
 だが、心宿すは誰もが同じ。
 星の海へと浮かぶ金色の打倒。そして、勝利をこの手に。
 三人の心へと応えるかのように、ロボットのカメラアイに光が灯る。強く、強く。
 ――レディー……ゴー!
 開戦の声が機体の内部に木霊する。
 それは機体を轟と動かす焔の猛りと成り代わり、その身を三度と戦場へと送り出すのだ。

 星の灯りは後方に流れ、まるで流星の中を行くかのよう。
 目指すは黄金――マインドミナが首級をあげる。それ一つ。
 機体に航行の形態は敢えてと取らせず、その姿は騎士然としたもののまま。
 吶喊。
 踏み込み、振るい、叩き潰すが人型としての真骨頂とばかりに、その身をマイドミナの懐目掛けて躍らせる。
 だが、それを歓迎するマインドミナの行動は苛烈そのもの。
 既に懐まで踏み込まれ、無視できぬ損傷を受けること二度。ならば、三度とそれを許す訳にはいくまいというもの。
「どこまで意思があるのか定かじゃないが、死んでたまるかってとこか」
「手負いの獣と同様ですか。油断はなりませんね」
「とは言え、わたしく達とて容易く退けるものではありませんわ!」
 攻撃こそが最大の防御とでも言わんとするかのように、出鱈目とも思える程の密度でもって放たれる光の雨霰。
 ――お前達が居なければ。
 しかし、そこに込められるは近付けさせぬだけではなく、明確なる殺戮の意思もまた。
 機体の身を捻り、躱した光の弾丸。それが後ろで浮かぶデブリの一つを呑み込み、消し飛ばしていた。
 迎撃の密度に機体の速度を緩めざるを得ないは必然。
 反撃をするにも、まだ遠い。
 己の自身をすら燃やし尽くすかのような光の雨は、機体に搭載された武装の射程を越えていたのだ。
 だが、猟兵達はそれに諦めなどしない。
 既に幾度かの交戦を経て、その装甲に焼き付き、刻まれた傷痕は少なくない。
 されど、それは誉の傷痕。数多の障害を越え、妨害を越え、傷つきながらも前へ前へと歩み続けた証。
 じわり。じわり。じわり。
 装甲を撫で、掠めていく光の雨の残滓。
 じわり。じわり。じわり。
 ゆっくりと。しかし、諦めぬ意思に応えた機体は、確かに距離を縮め行く。
 そして――。

「ミサイル一斉発射!」

 遂にと踏み込んだ、弾幕で殴り合える距離。
 ドロレスの凛と響く声にアイマムと返答はなし。されど、ミサイルの嵐でもって言葉に答えを返す。
 光の雨がミサイルを呑み込み、ミサイルの爆炎が光の雨を呑み込んでいく。
「ひとまず拮抗ってとこか!?」
「いいえ! こちらには残弾の縛りがある以上、いずれはまた……!」
 ミサイルの爆炎が広げた傘により、光の雨が機体へと届くはなくなった。
 しかし、クネウスの言葉の通り、機体に搭載されたミサイルの数は無限ではなく有限。既に二回の交戦で弾数が消費されていることを思えば、先に撃ち尽くすはこちらであろう。そうなれば、再びと光の雨が降り注ぐことは間違いない。

「――その問題は有りませんわ!」

 その言葉を証明するように、ミサイルの爆炎が光の雨を押していく。
 明らかに、機体の想定を超えた速度によってなされるミサイルの装填。明らかに、積まれていた数以上に放たれるミサイルの数。
 何が。などとは問わない。
「ドロレス、お前……」
「鷹介様。わたくし、宣言しましたのよ?」
 浮かぶ玉の汗がなによりも雄弁に語っている。彼女が、ドロレスが、その力を行使している、と。
 ――悪を許さぬ正義の心と戦う力を持たぬ人々を守る優しさ。どんな強敵にも立ち向かう勇気と気合とド根性。これらを備えてこそ!です。
 この機体を生み出す際、そう語ったのは彼女自身であったか。
「であるならば、それをわたくしが見せずしてどうしますの!」
 更に、更に、更に。
 炸裂弾頭。質量兵器。チャフ。コンピューターウィルスもおまけに。
 考え得る限り、生み出し得る限り、ありとあらゆるミサイルを生成し、放っていく。

「敵機に行動の自由を与えず、このまま磨り潰します! 『ミサイルはいくらあってもいい』のです!」

 それはマインドミナからしても想定外であったことだろう。まさか、猟兵達には弾切れがないだなんて。
 光の雨の中に、道が拓かれていく。

「――ここから先は、お願いしますわね?」

「言われるまでもねえ!」
「最大戦速! 突っ込みますよ!」
 ふらつきながら、それでも自分を振り絞り、光の雨を遮り続けるドロレス。
 ならば、それに応えぬは二人も名が廃るというものだ。
 不退転を背負い、拓かれた道を機体が駆ける。

「行くぜぇ! サイキックブラスター!」

 クールさの中で静かに燃ゆる炎。それを、今この時は、と燃え上がらせるように。
 増幅され、拡大された鷹介の念動力が、空間すらも捩じりながらマインドミナの核を捉える。
 ギリギリと悲鳴をあげるは、念動の力に抗わんとするマインドミナか。それとも、流れ出る力に食いしばる鷹介か。
 潰されまいとする力と潰さんとする力。
 その拮抗が雷電となり、黄金とはまた違う彩で宇宙の黒を染め上げるのだ。
 だが、不意に、潰されまいとするマインドミナのその抵抗が緩む。
「――なんだと?」
「反応増大! 攻撃、来ます!」
「このタイミングで……捨て身かよ!」
 ミサイルへの対応に処理能力を削られ、更には鷹介への抵抗でもまた。
 普通であるならば、そこから攻撃に転じるだけのことは出来なかっただろう。
 だが、今のマインドミナには殺戮の意思がある。
 ――死なば諸共。
 ミサイルへの、鷹介への抵抗を捨ててでも、目の前の猟兵に一矢報いんとする意思が。
 猟兵達の眼前で、ミサイルに身を穿たれながら、念動の力に潰されながら、それでも黄金の核より光が生まれ――。

「――CODE:THE CREATOR」

 光の白が過ぎ去り、機体の内部にアラートが響く。
 光へ一時的に灼かれたモニターが戻れば、左腕の欠損。及び、装甲に限らず、機体各部――関節にもダメージが溜まっている様子が映されていた。
 だが、直撃ではない。直撃はしていなかったのだ。
 そう。直撃をすると思われた、その瞬間、まるで自分の意思があるかのように機体が自然と動き、それを避けたのだ。
「よく、回避してくれましたね」
 労わるようにクネウスが言葉を掛けた。
 いったい、誰に。
 鷹介の視線がクネウスへと向く。
「自らの技術を形にし、魂を吹き込む。技術者とは元来そういうものですよ」
 労いの対象は、この機体そのもの。そして、クネウスのその力――自身の創造したモノへと命を与える術が行使されたのも。
 ゆるりとコンソールをその手が撫で、応えるようにモニターが明滅を繰り返す。
 彼からすれば――ともすれば、技術者と呼ばれる人種からすれば――己が手によって生み出されたモノ達は、血肉を分けた子も同然。
 今迄の、先刻の活躍の時を労わない筈がなかった。

 ――画面の向こう。マインドミナが随分と体積を減らした姿で、しかし、まだ確かに蠢く姿で、機体にとどめを刺さんとしているのが見える。

 だけれど、まだ少し、もう少しだけ。
「――アナタのカッコイイ所、見せてくれますね?」
 機体からすれば父の、母の見ている前だ。応えぬ訳がなかった。
 それになにより、この機体にはとある願いも込められている。
 最期まで、パイロットを裏切らない。そんな機体であって欲しい、と。
 ならば、機体の各部にエネルギーが廻るは必然。
 動かしてくれ、と。解き放ってくれ、と言うように。
「さあ、ここにあるのは私達の想いだけではありません。このロボットの想いも、また」
 ――託されてくれますね?
 そうクネウスが語るのは、最後の一押しを持つ鷹介へと。
 ここに至るまで危険な局面は幾つもあった。しかし、仲間達と共に、機体と共に乗り越えてきた。
 ならば――。

「最初に言った通りだ。こっから負ける気はしねぇ」

 途中で途切れたとはいえ、力の行使は既に一度。
 再びの発動に、身体に襲い掛かる疲労感は先の比ではない。
 だが、それがどうした。
「ロボ、俺達の想いに応えろ!」
 身体に喝入れ、ドロレスの、クネウスの、ロボットの、他の猟兵達の繋いできたバトンを受け取り、『ソレ』を為すのみ。
 応えて、機体が残された片腕だけで大剣を持ち上げ、掲げる。
 対抗するに様にマインドミナの蠢きが強まり、己が身体を槍となす。

「断ち切れ、プラネットスラッシュ!」

 熱き魂は言の葉に乗り、言の葉はそれを現実へと変える。
 振り下ろされた大上段からの一閃が静かに、しかし、確かに黄金の槍――マインドミナを迎え撃ち、正面から叩き割ったのだ。
 大小様々な破片となって散らばる黄金。それは断末魔を叫ぶが如くと蠢いていたが、暫くもすれば見覚えのある破片へと。
 それが、この戦いに幕の下ろされたことを示す合図となるのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴


第3章 ボス戦 『クエーサービースト・ヴァキアスEAT』

POW ●EATグラトニウム
【周囲に蠢く存在を喰らいたいという暴食】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD ●EATマテリライズ
【外殻を物質を破壊する超振動モード】に変形し、自身の【喰らった栄養分の消化】を代償に、自身の【外殻の防御力・スピード・反射速度】を強化する。
WIZ ●EATベルゼバブル
【あらゆる生物・物質を消化する分解液の霧】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠メイスン・ドットハックです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 黄金の欠片が無数と浮かぶ宙域。
 先の激戦を示すかのように、猟兵達の機体に刻まれた傷は数多。
 左腕は欠損し、装甲に、関節にと負荷が蓄積しつつある。また、武装の幾つか――搭載していたミサイルや自律兵器はその数を大きく減らし、航行形態用の追加装甲も随分と消耗している。
 だが、彼らは確かにマインドミナから勝利を手にしたのだ。そして、勝利者の権利として、その外殻――思念を受けて形変える素材――を得ることも。

 宙域に散らばるそれをゆるりゆるりとかき集める。
 右腕を器用に用いて集め、外殻の特性を用いて集め、電子化の機能を用いて出来る限りを回収せんと。
 そして、その回収が進み、猟兵達の疲労も抜けた頃、それは未踏宙域の奥から這い出てきたのだ。
 ――黒い蛇のような化け物。
 口は裂け、そこより零れ浮かぶ雫は万物を融解する液。
 友好を深めるために出てきたのであれば、それは随分と人選を間違えたものだと言えるだろう。
 だが、それがそうでないことは火を見るよりも明らか。
 乱杭歯の口から伸びる舌のぬめりは、猟兵達を獲物と見定めるもの。
 まだ外殻の回収も全てが済んでいる訳ではない。宙に漂うそれが、少なくない数、モニターに映り込む。
 しかし、その回収を行うよりも、アレ――クエーサービースト・ヴァキアスEAT、悪食の遊泳者とも呼ばれる存在を迎撃せねばなるまい。
 そうしなければ、外殻の回収作業は元より、この機体のデータを持ち帰ることすら儘ならない。
 満身創痍とも言える状態に訪れた新たなる脅威。
 如何にしてそれを乗り越えるか。
 今、それが猟兵達には求められていた。
キリカ・リクサール
アドリブ連携歓迎

フン…あちらは随分と腹を空かせているようだな
我々を食ったら腹を壊すぞ…と言って聞く相手ではないか

UCを発動
数少ない自律兵器を操作しつつ、残った武装で攻撃
敵がUCを発動したら攻撃をせずに回避の一手だ
奴が空腹に耐えかねるほどにな

もう耐えきれんと言ったところか…
爆ぜろ!オーヴァル・レイ!

敵が空腹に耐えかねこちらを喰らおうとしたら、奴の口腔に自律兵器を突撃させフルパワーの念動力を発動
融解される前に兵器内部の念動力増幅器を暴走させて、爆発を起こす
ダメージを与えた後は敵の攻撃に注意しながら、大きく裂けたであろう傷口を砲撃で狙ってダメージを与える

だから言っただろう?
我々を食うと腹を壊すぞ、と


フィーア・ストリッツ
ボロボロの機体で戦うのはゾッとしませんが……
敵が来ている以上は是非もないですね
「どれだけ無理が効くかの試験も兼ねている、と考えましょうか。ダメだったら全滅するのだけが問題ですが」

別空間に格納していた武装がほとんど消耗……
なら、こちらで外付けオプションを手配しましょう
幸い、さっきの戦いでUCを機体に使わせなかったので体力に余裕がありますし!

【オプション接続・ガトリング形態】を発動
本来ガトリング砲を両手に装着する技ですが、これを機体に通せば惑星サイズのガトリング一丁あがりです
「さあ、穴開きチーズみたいにしてあげますよ。腹が減っているなら自分を食べたら如何です?」


 ヴァキアスの口より、だらりだらりと零れる雫。
 触れて溶け消えるは漂うデブリ。じゅわりと音が聞こえてくるかのように、その身が溶ける。
「フン……あちらは随分と腹を空かせているようだな」
「さしずめ、私達は目の前に転がり込んできた御飯のようなものですか」
「丁度いい具合に調理もされているしな」
「あとは齧り付くだけ、と」
 機体の稼働自体に問題はないが、それでも先の一戦による被害はすぐすぐと拭えるものではない。
 ゆるりと慎重に、ヴァキアスとの距離を測るべくと機体を動かしてみれば、ぎしりと身体の軋みの音。そして、搭載された武装の消耗は確認するまでもないこと。
 満身創痍だな。なんて、キリカ・リクサール(人間の戦場傭兵・f03333)がぼやいてみれば、ゾッとしない話です。だなんて、フィーア・ストリッツ(サキエルの眼差し・f05578)は平坦な声で返す。
 言葉だけを捉えれば、それはまるで諦観のようでもある。
「ですが、まあ、敵が来ている以上は是非もないですね」
「我々を食ったら腹を壊すぞ……などと言って、聞く手合いでもないだろう」
「それもそうですか……ふむ。では、どれだけ無理が効くかの試験も兼ねている、と考えましょう」
 ダメだったら――その言葉の次が紡がれるより早く、モニターに広がる大きな口。
 ――ガチン!
 乱杭歯が合わさる音が確かに聞こえた気がした。
 だけれど、そこに噛砕かれ、溶かされるものはない。ただ、その行動は虚空を噛みしめただけ。
 唸るように、口惜し気に、己の牙より逃れた獲物へとヴァキアスはその頭を再びと向ける。
 その先には、推進器の焔を引いて距離取る猟兵が機体の姿。
 急制動の代償にまたぎしりとその身体を鳴かせて、しかし、その代価として命を繋いで。
「――ダメだったら、全滅するだけが問題ですが」
 その一瞬の攻防など、なかったかのように平然と言い直すフィーア。
「それは大問題だな」
「そうでしょう?」
「だが、こうとも言える。負けなければ、問題はない」
「勿論です。私は……フィーアは、負けませんよ」
「当然だな」
 負ければ命を、全てを失う。
 それは今回に限ってのことではない。いつだってそうだった。そして、今迄にいったいどれだけのそれを潜り抜けてきたことだろう。ならば、今回もまた同様に潜り抜けるだけのこと。
 二人の瞳に諦観の意思などあろう筈もなく、見据える先はただ一つ。
「さて、あちらさんもお待ちかねだ」
「もう既につまみ食いをしようとしましたけれどね」
「全くもって行儀のなっていないことだな」
「飼い主が居るかは知りませんが、躾の一つもして差し上げましょう」
 ――勝利のみだ。
 機体の各部に宿る焔が、再びと強く煌きが宿り始める。
 そして、モニターの中で暴食が動くと同時、煌きは焔となって迸った。

 複雑にくねり迫る、蛇の如き身体。
 それへと巻かれぬよう、囲まれぬようとフィーアは機体を動かし、キリカがその残機を少なくとした自律兵器で迎え撃つ。
 だが、キリカのそれから放たれるは、確かにヴァキアスへと着弾し、その証と光の花を表面に咲かせている。
 だと言うのに、だ。
「こちらを食えれば、損害など気にもしないという感じだな」
「とんだ食い意地です」
 如何なる仕組みか。逆立つ鱗の身体には、傷痕の一つも無い。
「こちらでも一つ、試してみましょう」
 他の武装――狙撃砲でも試してみようというのだろうか。
「――外付けモジュール、接続完了」
 答えは、否。
 モザイクのように空間が揺らめいたなら、機体のその手にはある筈の無きもの。
 ガチャリと武骨な音を立て、円形に並べられた無数の砲身が鈍色の輝きを放つ。
 ――そう、それこそはガトリングと呼ばれる物。
 本来であれば、フィーア・ストリッツがその両の腕に宿すを代えるものであったが、今はそれを機体を通して発現したのだ。
 そして、砲身はその役目を、幾つもの咆哮を轟かせ無数の弾丸を吐き出していく。
「大盤振る舞いだな」
「幸い、さっきの戦いではあまり体力を消耗しなかったものですから」
 嵐の如くと吹き荒んだ弾丸は、その射線上にある全てを蹂躙しながらヴァキアスに突き刺さっていく。
 だが――。
「やはり、あの外殻が問題ですか」
 弾丸の雨の中においても、その身に刻まれた傷痕は僅か。
 そして、雨など意にも介さずと、溶解液をその口から迸らせながら暴食が一直線に過ぎ去っていく。
 まだ喰いつかれることこそないが、モニターに示される機体の色が、また少し赤へと近づいていた。
 それは自身の回避運動によるものでもあり、置き土産と残される暴食の名残でもあり。
 攻撃すれども通用せず。避け続けてもいずれ限界は来るだろう。

「気付いているか?」
「ええ、それはもう」

 だが、その中にあっても二人の目には活路が視えていた。
「随分と、単調な動きになったものじゃないか」
 始まりは緩急付けて、それこそ不意を打つように迫ることもあれば、こちらを囲い、締めるように動いていたこともあった。
 だというのに、だ。
 ――また、暴食の口が単純な一直線を描いて過ぎ去っていく。
 溶解液の名残を避けるために大きく距離は取ったものの、それでも機体をスライドさせるだけでそれは避けるに十分。
「お腹が空きすぎたのかもしれません」
 最早、それは直線的な動きでしか、この機体を狙っていないように見える。まるで、思考を一つのことで染め上げられているかのように。
 かの暴食の鎧こそ撃ち抜くは出来なかったが、それでも彼女らの攻撃は確かにヴァキアスの中にあるものを削り取っていたのだ。
 そして、如何に堅牢なる鎧に身を守られていようとも、単調なだけの敵に後れを取る程、彼女らは甘くなどない。

「もう耐えきれんと言ったところか……」
「なら、御馳走を用意して差し上げないとですね?」
 大口開けて、涎を垂らして。そんなに欲しいならくれてやろうではないか。

 スイと指揮者のようにキリカがその指を示せば、自律兵器達も応えて動く。ヴァキアスのその眼前に。
 再びと光の線を描くのか。いいや、違う。
 それが目指すは、ヴァキアスの口の中。堅牢な鱗がない口の中。まるで、自らが贄となるかのように。
「とびきりの御馳走だ。刺激的な味に咽び哭くといい」
 相手が単純な機動しか描かないのであれば、その動きを予測するなど容易いもの。まして、自分から喰らい付いてくるのだから、それは簡単な作業。
 複雑な動きをさせないのだから、その分も含めて念動の力――堪能してもらうための味付けはより濃ゆく。
 そして――。

「――爆ぜろ! オーヴァル・レイ!」

 口の中に飛び込んだ自律兵器が、溶解されるより早く、自らを融解させたのだ。
 爆炎の花が暴食の黒を塗りつぶし、その頭部にと代わって咲き誇る。
 花が散れば、後に残るは痛みにのたうつ暴食の蛇。その口は無残に引き裂かれ、焼き爛れ、痛ましきを晒すのみ。
「喜んでくれているようだな。だが、まだおかわりはある」
「折角と用意したのですから、たんと食べてください」
 どうぞ、遠慮せずに。
 爆炎の気配残る中、それを引き裂き、飛来するは再びの弾丸の雨。
 のたうつ蛇の口を目掛けて、傷を目掛けて、それは次々と飛び込んでいくのだ。

「さあ、穴開きチーズみたいにしてあげますよ。お腹が減っているなら自分でも食べては如何です?」
 ――あ、食べるための口はボロボロでしたね。これは失敬。

 言葉と裏腹、さして悪びれもせずにフィーアの、機体の指先は無慈悲にトリガーを引き続ける。
 弾丸が全て吐き出され、爆炎の気配も凪いだ頃、そこにはそれでもまだ息を残すヴァキアスの姿。しかし、頭部がズタズタに引き裂かれた、無残な姿。
「だから言っただろう? 我々を食うと腹を壊すぞ、と」
 その姿に同情もなく、憐憫もなく、事実だけを伝えるキリカの声が、ただ無情に手向けとして。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

伊高・鷹介
【全世界サイボーグ連盟】

・方針:POW

・へ、一難去ってまた一難。俺達って人気者だな? ま、このくらいのピンチを乗り切れなきゃ猟兵やってる甲斐がねぇけどよ!

・ロボはガタガタ、俺らも先のマインドミナとの戦いの疲労が抜けきってねぇ。が、多少の無理はいくらでも効くようにロボは作ってあるし、俺らも場数を踏んでる。俺がやるべきことは1つだ。惑星ロボに叱咤激励するように【超パワー】を発動。増幅装置を介して俺の念動力をロボ全体に行き渡らせ、ガタが来ている部分を繋ぎ止める!
・こうすればロボを動かすドロレスやクネウスの負荷を俺も肩代わりできっからな。2人とも、俺が支えきるから思いっきりぶちかませ!


クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
※アドリブ&絡み歓迎
「GEAR:OD BUSTER CANON。チャージ開始…………」

【POW】

●戦闘
(第一章)さり気なく、狙撃砲――自分のアームドフォートに似せたものを付けたのも、(第二章)先程は戦闘用UCを使わなかったのもこの一撃のため(【スナイパー】)。 動きは押さえるそうですし、穴も開けてくれるはず。

「鷹介さん、倒れたドロレスさんは任せました」
次いでにドロレスさんに繋がっていたケーブルを自分の『鎧装』に付け替えエネルギー供給します(【メカニック&武器改造】)。

動きは自分が手本を、溜められるギリギリまで溜めてバスターキャノン【砲撃】。
「充填完了、シュート!」


ドロレス・コスタクルタ
【全世界サイボーグ連盟】で参加

POW対抗

左腕が欠損し剥き出しになったエネルギーバイパスに自分を直結。己を武器デバイスにする。ロボを労り優しく撫でつつ、
「お見事な奮戦でした。今度はわたくしたちの番ですね」

網膜内に表示される警告や戦術支援AIの静止を振り切り、全身から火花を散らし小爆発を起こしつつオーバーロードに必死に耐えながらUCを制御。ロボの重力制御も借用して超パワーを放つ砲身を固定。腹部装甲を展開し発射孔から極太のビームを放つ。
「この一撃と一瞬に全てを懸けて……全て撃ち砕け!」

発射後は暴走状態の身体を強制冷却しながら
「今の一撃で限界です……。あとは、お任せします」
と後を託す。


 満たされず、満たされず、満たされず。
 如何に喰らい、埋めようとも、それは一時しのぎにしかならぬ感情。
 すぐ様にその身を苛み、再びとヴァキアスを突き動かす衝動。
 ――暴食こそがその存在意義であると、定義されているかのように。

「へ、一難去ってまた一難。俺達って人気者だな?」
「惑星級の、それ以上の大きさの感情をぶつけられるだなんて、アイドルでもそうないことですわ」
「その根源が食欲でなければ、もっと良かったのですけれどね」
 先んじて動いた猟兵の一撃。それはヴァキアスの頭部に刻み込まれ、今なお血を零す傷としてある。
 それは確かにヴァキアスを怯ませた。その動きを止めさせた。
 だと言うのに、刻まれた苦しみを、痛みを、全て忘れたかのようにヴァキアスは再びと動き出すのだ。
 その身を支配する、たった一つの感情――暴食の名の下に。
 だからこそ、その叩きつけるかのように向けられた感情へ、伊高・鷹介(ディフェクティブ・f23926)は苦笑も一つと浮かべて揶揄うように。
 その姿は柳に風。
 ヴァキアスから向けられる、ともすれば物理的な圧すらも覚える程の感情になど、囚われてなどやりはしない。
 そして、それはクネウス・ウィギンシティ(鋼鉄の機構士・f02209)やドロレス・コスタクルタ(ルビーレッド・f12180)も同じ。
 戦場のただ中、敵意の渦中だと言うのに、ここがまるで慣れ親しんだUDCアースのとある研究所――全世界サイボーグ連盟を標榜する場所のように、その振る舞いは変わらない。
 マインドミナとの戦いを経て、悲鳴を上げる各自の身体と機体。だけれど、誰の目にも諦観などありはしなかった。

 ――互いの感情が高ぶり、その気配を増していく。

「行くぜぇ!」
『――!』
 感情は咆哮となり、此処に火蓋は切って落とされたのだ。

 感情は、即ち力。
 それは良くも悪くもであり、時として限界以上に自身を引き上げることもあれば、破滅へと導くものともなる。
 さて、この場合の『ソレ』はどちらであったのだろう。
「はっ、まだでかくなるってか!」
 モニターが映し出すヴァキアスの身体。それは明らかに先程までのそれとは異なり、一回り二回りとそのサイズを大にして。
 その変化に合わせ、頭部に刻み込まれていた傷が盛り上がる黒の肉に埋没し、塞がれていく。
「ただでさえエネルギー効率が悪そうであったというのに、更に身体を大きくしては追い付かないでしょうに」
「そこを俺らを喰って、補おうってんじゃねえのか?」
「空腹を満たすために更なる空腹へ支配されるだなんて、ナンセンスもいいところですわ!」
 その理に適っていない生態に、ドロレスも思わずと抗議の声。
 だが、目の前にあるのは確かな現実で、確かな脅威。
 ――打ち払わねばなるまい。その胃袋の中に、身を納めてやる訳にはいかないのだから。
 そして、脅威が先んじて動いた。身をしならせ、くねらせ、宇宙の海を泳ぐように機体へ目掛けて猛速度で。
 巨体であるが故に、その動きは僅かであっても容易く彼我の距離を埋める。互いに一戦を既に交わした距離であれば、なおのこと。
 傷痕の名残と乱杭歯の欠けた口が、機体のモニターを埋め尽くす。

 ――だが、侮るな。感情を力と変えるは、なにもヴァキアスだけではないのだから。
 
 機体は軋みを響かせず、その身体を滑らかに。
 傍を過る脅威。されど、その口の中に獲物はなし。
 そもそもとして操縦者に最後まで応えんと造られた機体。かなりの無理も利きはする。回避も、出来なくはなかっただろう。
 だが、今回のそれはそうではない。まるで、機能の減衰など感じさせぬ、十全なる機能を発揮したかのように、その機体は滑らかにヴァキアスの攻撃を回避したのだ。

「ま、このくらいのピンチを乗り切れなきゃ猟兵やってる甲斐がねぇけどよ!」

 何故か。それは猟兵が、鷹介が、その超越なる力をもって機体を支え、動かしたのだから。
 装甲を、関節を、内部機関を、その全てを覆うように、彼の意思が機体を包む。
「ガタが来ている部分は俺が繋ぎ留める! 2人とも、俺が支えるから思いっきりぶちかませ!」
 感情は気迫となり、気迫は念動の迸りとなっていく。
 さて、そんな彼に支えられる状況へ、不安を覚えることなどあるだろうか。いや、ありはしない。

「鷹介様……分かりましたわ。私も、その気迫に応なければなりませんわね!」
「GEAR:OD BUSTER CANON。チャージ開始……」

 だからこそ、それに応えんとドロレスは気迫を燃やし、クネウスは行動を持って示すのだ。
「私があの黒に孔を穿ちます! クネウスさんは、そこを!」
「ええ、信じていますよ。初動が遅れる分、仕事はしっかりとこなしますので」
 話す間にも、ヴァキアスの巨体が通り過ぎる置き土産。
 尾のしなりが機体を襲い、機体に残された右腕がそれを鷹介の念動と共に受け止め、弾く。

 ――その瞬間、確かに距離が生まれた。

 彼方と此方。触れ合うに遠く、距離を詰めるに数瞬の時を要す距離が。
「お見事な奮戦でした。今度はわたくしたちの番ですね」
 ドロレスの柔らかな手――その実、既に生身の残さぬ手が、優しくコンソールを撫でる。
 そこに込められていたのは労いであり、覚悟。
 ――経路確保。バイパス、接続可能。
 網膜の中でバチリと弾ける警告の光。脳内では彼女を支援するAIが中止すべきとがなり立てる。
 だが、全てを無視して彼女は選ぶのだ。
「――接続!」
 瞬間、彼女は機体そのものとなった。
 機体のあちらこちらから吐き出される警告、エラー、痛みの声。
 それが機体そのものと繋がったドロレスの脳内を蹂躙し、思考を白に染め上げんとする。
「仮想砲身、構築、固定……ぐっ、あぁ……反応炉、出力、全開っ!」
 唇を噛みしめ、意識を保つ。
 機体に、その欠けた左腕の代わりにと生み出した仮想砲身へ、己の全てを流し込んでいく。
 その出力は、本来の彼女であれば到底足りぬ。だから、足りぬのであれば、足りぬようにするまでのこと。
 限界を超えた稼働に、全身から火花が散った。それは正しく命の迸り。
 脳内を蹂躙する情報の波に、身体を灼く命の焔に、意識が遠のき――。
「――ドロレス!」
 声が、聞こえた。
 同時、彼女を包み込むはどこかそっけなくも、仄かな温もり。
 バイパスを通して流れ込んでくるそれに、機体全体を包んでいたそれに、意識が引き戻される。
「そう、でしたわね。一緒に、戦って、いるの……ですものね!」
 もう、意識は失わない。その温もりを拠り所として、ドロレスは『ソレ』を為す。
 射撃の反動のことなど、考える必要もなかった。きっと、鷹介が受け止めてくれる筈だから。

「この一撃と一瞬に全てを懸けて……全て撃ち砕け!」
 ――コード入力「光よ、闇を斬り裂け」。

 宇宙の黒を照らし出す、極光の白。
 それは彼我の距離を瞬く間もなく埋め、染め、ヴァキアスの身体を穿つ!
 超高熱が黒を溶かし、融かし、熔かしていく。
「今の一撃で限界です……。あとは、お任せします」
 シャットダウン。強制冷却。
 限界を超えたドロレスの身体が、糸の切れた人形のようにとさりと床に倒れ込む。
 だが、それより早く、ふわりと形なき力場がそれを支え、横たえていた。
 モニターを見れば、そこに映るヴァキアスの身体には、その黒の鱗よりもなおと黒い大穴。
 彼女は為した。ならば――。
「次は、私の番ですね」
 クネウスがバトンを引き継ぐ番である。
 昂る心とは裏腹、その視線はどこまでも静か。
 何故なら、彼は生粋の技術者であると同時、狙撃手でもあるのだ。
 身に秘めし熱は、一切の無駄ともせず、放つべき時の為にこそ。
 そして、クネウスの身体――その身に纏うアームドフォートには、既に機体と己を繋ぐケーブルの姿。
 その砲身を動かすのに合わせて、機体に装備された狙撃砲も動いた。
「接続、良好。おや……?」
 エラーの報告はない。ないが――。
「鷹介さん、あなたは倒れたドロレスさんの方を」
「馬鹿言え。あいつも支えるし、お前も支える。2人とも支えるって言っただろ?」
 流れ込んでくる力は、きっと彼のもの。
 自分より倒れた彼女を、と気遣いをしたつもりであったが、必要もなさそうだ。
「なら、お言葉に甘えましょう」
 であれば、クネウスはクネウスの、自分の仕事に集中するのみ。
 ゴーグルを降ろし、視界を変える。
 視るべきは一つ。穿つべきも一つ。それを為すための武器も、既に。

 何のために狙撃砲――アームドフォートに似せた装備を用意したのか。
 何のためにマインドミナ戦で、体力を温存したのか。
「備えなど、本当は役に立たないに越したことはなかったのですけれどね」
 そう。全てはこの時のために。

 機体を通してもなお、慣れ親しんだ捜査感。
 大丈夫。これならば、問題なくやれるだろう。いや、やれる。
「充填、完了」
 ケーブルを通じて狙撃砲へと充填していたエネルギー。その臨界が示される。

 ――目標、補足。

 それを言葉には出さず、代わりに指をトリガーへと添えるのみ。
「――シュート!」
 そして、駆け抜ける二射目の極光は、過たず黒の傷痕を、暴食の感情を穿ち抜く。
 真空の宇宙であるのに、確かにヴァキアスの悲鳴が木霊したを聞いたのは、きっと幻聴ではない筈だ。
 機体を支えた鷹介。外殻に穴を穿ったドロレス。そして、その穴を越えたその向こうを撃ち抜いたクネウス。三位一体の為した成果が、そこにはあった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

星野・祐一
なぁに実戦テストにトラブルは付き物さ
もう少しだけ頑張ってくれよプラネッツ・イェーガー!

◆SPD
機体の損耗が激しい以上、接近戦は避けたい
重力制御装置を起動して追尾レーザーの引き撃ち
狙いは柔らかそうな腹部と口部!(ダッシュ、乱れ撃ち、誘導弾
腹空かせてんならご馳走してやるぜ…レーザーを食らいな!

勝負は相手がなりふり構わず突撃した時
重力フィールドと圧縮空間の二重障壁を展開、体当たりをかましたらぁ!
(オーラ防御、念動力、盾受け、怪力、シールドバッシュ、カウンター

激突で【体勢を崩す】れば此方の物
腹に回ってUCを併用したチャージレーザー!(零距離射撃、2回攻撃
俺のありったけ…受け取りやがれッ!

アドリブ等歓迎


 機体の損耗は激しい。それは確か。
 だが、戦の妙と言うべきか。機体コンセプトの妙と言うべきか。まだ、猟兵達の――星野・祐一(スペースノイドのブラスターガンナー・f17856)にして、プラネッツ・イェーガーと呼ぶ機体は稼働を続けていた。
「なぁに、実践テストにトラブルは付き物さ」
 軽口のように呟いて、その口元には自信失われぬ力強き笑み。
 本来であれば、マインドミナとの交戦でこの依頼も終わりの筈であったのだ。
 だが、そうはいかなかった。祐一がトラブルと言ったように、新たなる闖入者――クエーサービースト・ヴァキアスEATが、その目前に立ちはだかったが故からこそ。
「もう少しだけ頑張ってくれよ、プラネッツ・イェーガー!」
 笑みは変わらず。しかし、その瞳は鋭く、強くと先んじて戦った猟兵達の手により傷付いたヴァキアスを見る。
 大きく穿たれた傷痕。消耗は確か。
 だが、そこに安心を覚えてはいけない。
 こちらもまた機体の消耗を抱えている。
 ――いや、それだけではない。
「手負いの獣が一番厄介ってな」
 死力を振り絞った敵が如何に厄介かは、この機体の現状が物語っている。
 欠けた左腕。傷付いた装甲。負荷に悲鳴をあげる駆動部。
 大小様々な傷痕がその名残を示すのだ。
 だから。
「――悪いが、接近戦に付き合ってはやれないぜ」
 ぐるりとうねり、祐一を捉えくる視線。
 そこに込められた彩は、明らかな敵意。そして、空腹。
 ヴァキアスの身体が躍動の兆しを見せ――それより速くと軌跡描いたは、レーザーの輝き。
 先の戦いからの距離あるを活かさない手はないとばかりに、接近戦を拒む有言実行。祐一が視線への返礼とばかりに打ち放っていたのだ。
 光が黒の海を駆け抜け、駆け抜け、駆け抜け、次々にヴァキアスへと突き刺さっていく。
「腹空かせてたんだろ? たんと御馳走してやるぜ!」
 遠慮はいらない。容赦もいらない。
 口を、腹を、他の猟兵達によって刻まれた傷口を目掛けて。
 宇宙の闇を照らす光が、ヴァキアスの身体を染め上げる。
 そして――。
「そうだよな。あれで片が付くほどに軟じゃねえよな!」
 光を裂き、喰らうように、残光の内より滲みだすは黒。
 口や腹、傷口に直撃したレーザーは、確かにその効果を焼け焦げた跡として示す。
 だが、ヴァキアスとて、ただ動かぬ案山子ではない。その身を捩り、動かし、堅牢なる外殻でもって、レーザーを多くを受け止めていたのだ。
 ヴァキアスの中で蠢き続ける飢餓感。それを超え、かの足を止めさせる程の痛みは、レーザーには少しばかり足りなかった。
 故に、それが距離を詰めて来るは必然。
 飢餓が故のなりふり構わぬ直線的な突撃。最短を駆け抜けたが故に、それは迅く、機能を落とした今の機体では無理矢理と回避する方がリスクを生みかねない。

「まあ、結局はこうなっちまうんだ。持ちこたえてくれよ、プラネッツ・イェーガー!」
 
 生じるは形なき盾。空間と重力。その二重層による障壁。
 止まるか。いや、止めねばならぬ。
 そして、眼前には開いた大口。欠けた乱杭歯の奥でチロチロと紅の舌が躍る。だが、それは寸でのところで機体に食い込むことはなく、ばちりばちりと拮抗の稲妻を迸らせながら止まっていた。
 障壁へと掛かる圧力に、それを保持する機体への負荷に、機体の内部でけたたましく警告の音が響く。
「目の前でお預けされた気分ってのは、どうなんだろうな?」
 理解するつもりもないし、お預けを解いてやるつもりもない。
 たが、折角と目の前にこうして大口を開けてくれているのだ。何か一つでも放り込んでやるのが礼儀というものであろう。

「俺のありったけ……受け取りやがれッ!」

 けたたましくなり続ける警告音。それを塗りつぶすかのような、祐一の咆哮。
 ――そして、雷鳴は鳴り響く。
 機体の内に溜め込んでいたエネルギー。ヴァキアスと障壁とがぶつかり合う余剰のエネルギーすらをも喰らい、『ソレ』は此処に顕現を果たすのだ。
 轟く雷鳴を嘶きとして、黒の海を渡るは光の刃。宙の果て、遥か彼方を目指して駆けていく輝き。
 モニターを圧する程の光が遠のき、映像が戻れば、そこに先程までの光景はない。あるのは、光の刃に口内を蹂躙され、吹き飛ばされたヴァキアスが姿のみ。
 だが、吹き飛ばした機体にもまた負荷の名残は色濃く、機体各部を示すモニターの色は赤へまた一段と近付いていた。
 双方ともに積み重なっていく損害。閉幕の時は近い。
成功 🔵🔵🔴

トリテレイア・ゼロナイン
以前、模倣能力からマインドミナを異なる文明圏の産物では無いかと推論したことがありましたが…

クエーサービースト
種によって異なる生態持つ謎多き存在の総称…改めて実感しますね

宇宙の深淵とその謎はSSWが挑み続ける宿命
その闇を晴らす為、騎士として尽力するのみです!

機体を●ハッキングし欠損の重心変化や被害状況●情報収集
●操縦する際の挙動への影響を最小限に

先の戦闘、『脚』はあまり使用していませんね

UCで攻撃●見切り、空間圧縮、重力制御装置を併用し宇宙空間を●踏みつけて移動し回避
そのまま重力制御で威力増強
頭部へ踵落とし

反動で距離を取り槍を●投擲串刺し
念動力増幅装置で引き抜き回収
装備を狙撃砲に交換し傷口に砲撃


レムリア・ザラタン
想定外の事象も考慮すべきとは言ったが、連戦とはな
この満身創痍の機体のままでは少々分が悪いか

機体の機能にアクセスして破損個所の情報収集
電子化して回収した外殻の一部を用いて応急修理を行う
完全に喪失した箇所の復旧は望めんが、何もしないよりはマシだろう

燃料はまだありそうだが、火器の残弾は殆ど消耗
となれば決め手は白兵戦か
…ならば、私はそのサポートに回ろう
超振動で破壊されたデブリに、クレイドルの魔法陣を経由してサルベージチェーンでアクセスだ
本体の処理リソースも使って解析
装甲だけでなく手持ちの武器にも適用できるように武器改造をして敵のユーベルコードをエミュレート
超振動を相殺し、接近戦に持ち込めるようにする


オリヴィア・ローゼンタール
…………っ、気を失っていましたか
あれはマインドミナの変形……?
いえ、根本から存在感が違いますね、新手ですか

先の戦闘で思いましたが、私は細かい機動の操作は不得手のようです
ならば他事に囚われず、武器としての本分に集中します

大剣を聖なる力(属性攻撃・破魔)でコーティング(オーラ防御)
十層、二十層、まだまだ、時間の許す限り幾重にも纏わせる
【限界を突破】してなお【全力魔法】で光を飽和させる

大剣を突き出すことですべての魔力が解放される
黄金の灼熱で霧を【蹂躙】【焼却】し、敵を穿つ(貫通攻撃・串刺し)
さながら、宇宙に関する資料で見た、ガンマ線バーストの如く

暴食の名を冠する者よ!
我が聖煌剣の前に消え去れ――!


 チカリチカリと灯るは意識の光。
 紅のフレームの下で、オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の金色が開かれる。
「……っ、気を、失っていましたか」
 ふるりと振るう頭に、銀の輝きを後を追って靡く。
 そして、金色の光が眼にしたのは――。
「あれは、マインドミナの変形?」
 蠢く黒。傷付いた黒。その内より体液を零す黒。
 だが、あれは目にしたことのある、交戦したことのある金色とはあまりにも異なる気配。
「いいえ、違いますよ。あれはまた別個体のクエーサービーストです」
「そして、気付いて早々に悪いが、まだそれとの戦いの真っ最中でね」
 オリヴィアに浮かぶ疑問符。それへと応えたは二つの声。
 だが、その声の主達はオリヴィアへと視線を向けることなく、それぞれが持つ情報媒体へ溢れる情報を捌くに注がれていた。
 その背中こそ、トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)とレムリア・ザラタン(Stargazer・f28070)のものであると、オリヴィアは気付く。
「しかし、想定外の事象も考慮すべきとは言ったが、連戦とはな」
「致し方ありません。何が潜んでいるか分からない宙域ですから」
「なにを、なさっているんですか?」
 オリヴィアの足取りは既に確か。だが、彼彼女が何をしているのかまでは。
「機体にアクセスして、破損個所の確認をな」
「先の戦いだけでも、随分と振り回してしまいましたからね。ですが、まだ稼働は可能なようです」
「最期まで操縦者を裏切らない。コンセプト通りだ」
「ですが、その特性のお蔭で騎士として、最期まで騎士として尽力することも出来ますよ」
「満身創痍ではあるがな」
 流れる数値、情報の濁流。モニターに高速で流れるそれは、把握し、理解するだけでも本来であれば一苦労するだけのもの。
 だが、二人であれば況や。咀嚼し、飲み込み、理解するに不可能はない。
「現状の最適化はこちらで行います。レムリア様は……」
「ああ。状況の打開が可能か、シュミレートやサポートはこちらで行っておこう」
「助かります」
「……私は、どうやら細かい機動の操作は不得手のようです。皆さん程に、機械の取り扱いに習熟も」
「適材適所だ。私達にはこれが出来るからしているのであって、オリヴィアにはオリヴィアにしか出来ないことがあるだろう」
「ええ、だからこそ、そちらはお任せします。私は、武器としての本分に集中させてもらいましょう」
 槍もて、拳もて、目の前にある障害の全てを砕く刃とならん。
 行うべきを一つと定めたオリヴィアに、迷いなどない。
「矢弾尽きつつある今、白兵戦が主になってくることでしょう。だからこそ、オリヴィア様の経験は頼もしいものになることは間違いありません」
「この状況下だ。その分野でのスペシャリストが増えることに、異論があろう筈もない」
 こちらこそ、是非お願いしたく。
 顔こそ向けることが出来ぬが、レムリアの、トリテレイアの首がオリヴィアを肯定するように示して動く。
 そして――。
「さて、こちらの準備が整ったように、相手も準備が整ったようです」
 それぞれの確認を待つかのように、傷ついた暴食の黒も再起動を果たすのだ。
 モニターに示される黒は威容にして異様。
 頭を、口内を、身体の内を幾度と穿たれてなお、止まらぬ食欲。
 ヴァキアスが止まることのあるとすれば、それはまさしくその存在の終わりであろう。
 ならば、自身達こそがその終わりとならねばなるまい。
 それこそが現状を打破し、このスペースシップワールドに新たなる希望の灯火を齎す、唯一の方策なのだから。
「来るぞ!」
 どちらが喰らい、喰らわれるのか。その結末を記す最期の幕があがる。

 肥大する食欲。
 欠けた身体を埋めるため、満ちぬ乾きを癒すため、その感情は際限なく。
 めきりと音を立てて、その外殻はより硬く、その身体はまた一回り大きくなっていく。
 さあ、喰らい付くべき獲物は――目の前だ。

 ――轟。
 それは果たして、ヴァキアスの咆哮であったのか。それとも、その身体が動くことで生じた余波であったのか。
 だが、なんにせよ、ヴァキアスがその身を動かした。ただそれだけで、機体を揺さぶるだけの衝撃が宙域を奔ったのだ。
「かつて、マインドミナのその特性から、異なる文明圏の産物ではないかと推論したことがありましたが……」
「ヴァキアスのあれは……機能というよりは生態と言うべきものですね」
「その通りです。クエーサービースト……種によって異なる生態を持つ謎多き存在の総称。それを改めて実感しますね」
「実感をしているところ悪いが、今度は明確に狙ってきているぞ」
 モニターの先に映る黒。その頭部――眼はない筈なのに、それが確かにこちらを見ていると、誰しもが感じ取る。
 ――喰らう。
 明らかなる意志の発露。
 先程の動きだけでも機体を揺さぶるだけの衝撃があったのだ。ならば、その動きが機体を狙い、直撃でもしようものなら、どうなるかは推して知るべし。
 そして、黒はその身を砲弾――惑星級の質量をそのままに、機体へと向けて身体を迸らせるのだ。
 回避は――不可能ではない。
 しかし、残る燃料の量を考えれば、機体への負荷を考えれば、大きく躱し続けるは長期的に見て不利。

 ――機体が、跳ねた。

 宇宙という無重力空間であるというのに、突き進む暴食の機動から明らかに『跳躍』して、それを避けたのだ。
 だが、暴食に驚愕はない。驚愕を覚えるだけの余地はない。
 渇きを癒すため、一度で届かぬのであれば届くまで幾度も幾度も喰らい付くのみなのだから。
 しかし、それを嘲笑うかのように、機体が再び、三度……と跳ねては躱す。まるで踊るように、遊ぶように。
「脚の摩耗は、まだそんなにしていませんからね」
「空間圧縮と重力を用いて、か。考えるものだな」
 そう。それは圧縮した空間を足場とし、重力を用いたからこその。
 本来であれば叶わぬ筈の空間で、跳んで、跳ねてと機体は己の脚のみで暴虐の突撃を躱し続ける。
 左腕を失うことで崩れたバランスは、トリテレイアが自身でもって調整すれば問題もない。
 そして、周囲に余波を齎す程のヴァキアスと最小の動きでもって回避し続ける機体。どちらが先に隙を晒すかなど、想像するに容易きこと。

「徒に速度に恃まず。足癖の悪さは、どうかご容赦を」

 天地なき世界に重力でもって天地を創り、無重力の世界で機体は降下する。その脚を鉄槌と代えて。
 暴食の余波を引き裂き、彗星の如き踵落としがヴァキアスの脳天へと墜ちた。
 ――メキリ。
 堅牢なる黒を砕く、確かな手応えの感触。
 ――メキリ。
 堅牢なる黒が宿す、触れたもの砕く振動に脚が犠牲となった感触。
 だが、右足を代価としただけの意味はあった。脳天を叩かれ、ぐらりと揺れる暴食の身体。
 人間であれば意識も朦朧といったところだろう。頭部にまざまざとその痕跡を刻み込み、力なく宙を漂う。
 追撃を。
 ヴァキアスがその意識を手放し、触れたものを砕く鎧の加護も今はない。
 故に、そう考えるのは必然。
「いけません! 離脱を!」
「……! 推進剤が勿体ないなどと言っている場合ではないな」
「追撃叶わぬは惜しいですが、そうも言っていられませんね!」
 機体が感知するよりも先に、オリヴィアへと囁いた第六感。遅れて、機体の、トリテレイアとレムリアが感知するは装甲溶かす霧。
 それが黒の周囲を機体ごと包み込むより早く、猟兵達は離脱するを為す。
 意識なきヴァキアスの口より撒き散らされたのは、暴食の欲求が名残。
 欠けた乱杭歯の隙間から、裂かれた口の合間から、零れ、散り、漂う分解液。
 ヴァキアスにとっては幸運にも、猟兵達にとっては不幸にも、それが両者を隔てるように生じていたのだ。
「これでは、再びと距離を詰めるも難しいですね」
「砲撃も、霧を貫く前に腐食されるだろう」
 折角と追い詰めたと言うのに、ここで手詰まりなのか。ヴァキアスが再びと目覚めるまで、それを前に指をくわえていなければならないのか。
「いいえ、手はあります」
 ――否。そんな筈もあるまい。
 溶解の霧が立ち塞がるというのであれば、勝利への道筋を塞ぐというのであれば、全て燃やし尽くすのみ。
 オリヴィアの金の瞳が、力強くそれを語っていた。

「――大剣展開」
 残された右腕で掲げるは聖なる刃。
 元は槍の穂先。今は大剣へと変じたそれを核として、幾重にも幾重にも自身の命の赦す限り、魔力の刃を重ねていく。
 一層、二層、三層……十層を越えてもなお、まだ厚く。
 魔力刃の輝きは重ねられ、厚みを増し、その光は極光の如くへと。
 それは溶解の霧を超えるための輝き。未知の先を照らすための輝き。
「機体を通し、増幅させているとはいえ、凄まじいものですね」
「……これが猟兵の、彼女の輝きか。眩しいものだな」
 その威光は、これならばと思わせるに十二分。
 武器としての本分に集中する、と彼女は言った。ならば、この刃はその役割を十全に果たしている証拠。

「無窮の光よ! 絢爛たる勝利の煌きで天地を照らし、怒りの刃で遍く邪悪を斬り伏せよ!」

 そして、刃指し示すは宇宙漂う暴食の。それへと目掛けて輝きが解き放たれ、溶解の霧を蹂躙し、燃やし、黒を穿たんと突き進む。
 ぶつかり、火花を散らし、蹴散らし、黒へと至らんとする刃。
 誰もが、勝利を確信した時であった。
「……! くっ、ブレる……!」
 一つと纏まっていた輝きが、身を震わせるように幾重にも姿を滲ませる。
 それはただ一つの誤算。
 確かに、オリヴィアの編んだ出力は溶解の霧を越えるに相応しきもの。
 されど、それを左腕の一本。片足の一本で支えるには、あまりにも強すぎたのだ。
 だからこそ、それは彼女の制御を離れんと暴れ馬の如く。
 制御せんと抑え込む負荷に、機体が軋み、悲鳴を上げた。
 また、あと一歩なのか。

「――シュミレート完了。実行に移す」

 ならば、その一歩を支えよう。
 暴れる刃を抑え込むように、機体の『左腕』が添えられる。『右足』が、左足と共に機体を支える。
 ――いったい、何が。
 オリヴィアの手の中で安定していく力。されど、その答えは目の前にあった。自身と同じ、金色の。
「応急修理程度でなく、復旧まで至るとは予想外であったが。悪くない想定外だ」
「……これは?」
「なに、回収した『マインドミナの外殻』の一部を使わせてもらっただけさ」
 蓄積したデータも、回収した外殻も、全てを失うよりいいだろう。なんて、しれっとレムリアは言うのだ。
 マインドミナの外殻。それは意思に呼応し、無限に形を変える素材。そして、この機体を生み出すための。
 ならば、回収したそれを利用し、修理に当てることが出来ぬ筈もない。
 レムリアのその想像は、見事に正鵠を射ていたのだ。
「そのためにシュミレートを……!」
「その通りだ」
「再構成したものを電子化からの要領で無理矢理接続しましたから、エラーも沢山ですが、それはこちらで調整します!」
 だから、皆様は遠慮なく。
 トリテレイアが再接続された機器の吐き出すエラーを整え、機体は十全なるを取り戻す。
 さあ、決着を暴食へと送ろう。

「これもオマケだ。持っていくと良い」

 砕けた黒の外殻。そこより汲みだすは超振動の機能。
 データをサルベージし、解析し、分析するはレムリアが十八番。
 ――補整。再構築。付与開始。
 オリヴィアの刃に宿るは、超振動の原理。
 十全として振ればそれだけで霧を蹂躙するに十分な力が、更なる位階へと高められていく。
 刃を支える二つの腕。身体を支える二つの脚。そして、機体の心臓部に流れ込むはオリヴィアの魂。
 最早、いかなる誤算も、いかなる障害も、その前には無用と知れ。

「暴食の名を冠する者よ! 我らが聖煌剣の前に消え去れ――!」

 輝きは再び一つと纏まり、その射線上にある全てを光の中に呑み込んでいく。
 眩きそれが消えた時には、最早その道行に塵一つとて残してはいない。勿論、暴食の姿もまた。
 倒すを叶えるための想像が、それを支えるための想像が、この勝利を創造したのであった。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年07月07日
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴