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弾幕参道煉獄行き

#カクリヨファンタズム #弾幕 #神社

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#カクリヨファンタズム
#弾幕
#神社


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●春は桜秋なら紅葉
 紅、桃、橙。
 色とりどりの光が夜空を埋める。
 幽世全域に、輝く弾が飛び交い始めたのだ。
 高熱を帯びた弾は群れを成して妖怪達を追い散らし、人里や野山を火で覆う。

 焦熱地獄が、現出しつつあった。

●越すに越されぬ
 参道では激しい弾幕が展開されていた。
「姉ちゃん、大丈夫かな……」
 弾幕を前に立ち往生する竜神の少年。彼の視線の遥か向こうには、見慣れた古い神社ではなく、煌々と闇夜を紅く照らす、奇怪な要塞があった。
 あれが異変の中心とは誰の目にも見て取れたが、いざ近寄るとなると容易ではない。
 その時、参道の奥で何か見えた。近づいて来る。
 転がって、来る。
 声を上げる間もなく、少年は一瞬で何かに飲み込まれた。

●弾幕を越えて
「カクリヨファンタズム、早くも存亡の危機でござる」
 開口一番、グリモアベースでそう告げたのは、四宮・かごめ(たけのこ忍者・f12455)だ。
「炎の妖力を帯びた弾幕が、迷宮化した神社から放たれ始めた次第」
 弾幕は幽世のあちこちで火災を引き起こしている。
「『炎』に覆われた幽世は、燃え盛る『煉獄の世界』となるのでござる」
 急いで要塞に突入し、黒幕の骸魂を打ち倒さなければならない。

 唯一の進入路は正門へと続く石畳の参道。迷宮化の影響でその幅を大きく広げている。シンプルな一本道だ。
 その道を侵入者が辿ろうとすると、正門から大量の弾幕が次々襲いかかる。
 弾速はさほどでもない。軌道も単純。ひとつふたつなら余裕で回避可能だ。だが、弾幕の密度は高い。
「触れた時点で弾は消滅。一撃でダウンはしないものの、そこそこ熱いでござる」
 出来れば当たりたくは無い代物だ。何とかして越えなければ、要塞への侵入は叶わないだろう。

「そうそう。この世界のオブリビオンは全て『骸魂という魂に妖怪が飲み込まれてしまったもの』でござる」
 妖怪達は骸魂の餌として生きたまま囚われている。つまりオブリビオンを倒すと、中の妖怪達を救出できるのだ。
 配下の骸魂が神社から出撃を繰り返していた。どうやら騒ぎに乗じて妖怪達を飲み込んでいたようだ。要塞に侵入した後は、まず彼等と交戦する事になる。
「飲み込んだ妖怪が弱いので、配下も見た目程強くはないとか」
 それでも敵の本拠地。油断は禁物だ。

 黒幕については不明だが、現在、神社を一人で管理している竜神の巫女の安否がわかっていない。もしかしたら、彼女も骸魂に利用されているのかも知れない。

 幽世では世界の終わり――カタストロフに匹敵する事象が、非常に起きやすい。もう暫くは、個々の事件に対処して行くしかないのだろう。
「まずは目の前にお気をつけて」
 そう言ってかごめは印を結ぶのだった。


白妙
 白妙と言います。
 今回の舞台はカクリヨファンタズム。『炎』に覆われた世界を救うため、まずは襲い掛かる弾幕を突破することになります。

 一章のプレイング受付開始は公開直後。二章以降は断章投下後となります。よろしくおねがいします。

●第1章【冒険】
 距離50メートル、幅7〜8mの道を進みます。
 要塞を目指す対象に向けて、激しい弾幕が襲いかかります。
 弾の大きさは握り拳くらい。炎の妖力を帯びています。軌道はほぼ一直線。ホーミング機能もありません。
 道の両脇は極めて見通しが悪く、歩行も困難な森です。

●第2章【集団戦】
 要塞内で『???』と戦います。
 要塞の構造を有利に活用すればプレイングボーナスとなります。

●第3章【ボス戦】
 『??????????』との戦いです。
 ボーナス条件は2章と同じです。

●補足
 この世界のオブリビオンは全て『骸魂が妖怪を飲み込んだもの』です。
 オブリビオンを倒せば、飲み込まれた妖怪を救うことが出来ます。
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第1章 冒険 『侵入者を一歩も進ませない程度の弾幕』

POW   :    体力で弾幕を耐え凌ぎ、まっすぐ進む

SPD   :    身軽な動きで弾幕の間隙を縫って進む

WIZ   :    弾幕のパターンを覚え、弾道を外れるルートを取って進む。

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ナァト・イガル
【WIZ/連携アドリブ歓迎】

噂に聞いてはいたけれど、毎日のようにカタストロフだなんて
すさまじい世界もあるものねぇ……。
今は一つずつ、手遅れとなる前になんとかしていくしかないのかしら。

UC『火喰い鳥の狩猟歌』に【歌唱・多重詠唱・カウンター・弾幕】をのせて発動。
【第六感・情報収集】を駆使して飛んでくる炎の弾道を【見切り】つつ
UCの鳥をぶつけて、炎を吸収させていくわ。
弾幕には弾幕で、といったところかしら。
適当なところで消火しながら、どんどん進みましょう。
ここの巫女さん、それに他の妖怪の方々の安否も気になるし、急がないとね。



「毎日のようにカタストロフが起こるって、噂には聞いていたけれど……」
 カクリヨファンタズム。この世界では力あるオブリビオンが周囲を「迷宮化」することが、割とよくある。
 結果として、世界を滅ぼしかねないような事象が頻発するのだと、そうナァト・イガル(さまよえる小夜啼鳥・f26029)も、聞いてはいたが。
「すさまじい世界もあるものねぇ……」
 実際に目の当たりしてみれば、それはやはり強い実感を伴わずにはいられないものだった。
 ナァトの視線の先には巨大な要塞。その不夜城が如き威容からは、元の神社の面影は窺えない。
 そして目の前には、寂れた様子とは明らかに不釣り合いな、広い幅を備えた参道。今は静まり返っているこの場所も、一歩足を踏み入れれば、放たれる弾幕で埋め尽くされるのだろう。
「今は一つずつ、手遅れとなる前になんとかしていくしかないのかしら」
 暗中模索と言った感はある。だが同時に、目の前の事件を一つずつ解決していくことが肝要だと、ナァトは朧げながら感じ取ってもいた。
 参道を歩む前準備として、ナァトはひとつ息を吸う。
 その口から紡がれたのは、狩猟歌。
 夜の闇に響く歌声。誘われたかのように、羽音が返る。
 ややあって闇の中から、鮮やかな色をした鳥達が姿を現した。
 彼等を体の前面に配し、道を辿り始めるナァト。
 呼応するように、遠くにある門の前で光が収束する。
 光は大量の真球の形を取り――次の瞬間、散弾の如く撒き散らされた。
 一直線に迫る光弾。それらがナァトの体を焼く――直前。
『――』
 弾を、鳥達が受け止めた。
 だが彼等が地に墜ちる事はない。
 それどころか、スゥ、と弾を体内に吸収してしまった。
 あらゆる炎を喰らい消し止める、火喰い鳥。妖力すらも例外ではない。
 なおも迫る弾幕に対し、正面から鳥達をぶつけながらナァトは歩みを進める。
「弾幕には弾幕で、といったところかしら」
 弾幕は激しい。ひとたび撃ち出されれば、その全てに反応し切るのは難しい筈だ。
 だが鳥達は確実に弾幕を防ぎ止め、後方のナァトへの被弾を許さない。
 ナァトはその鋭い洞察力と観察力を駆使し、弾の軌道を予測し続けていた。
 傍から見れば、鳥達の射線に向けて弾が飛んでいくようにすら見える。
 弾幕に見合う数を揃え、その一つ一つが有効な性質を備えている。彼等を的確にコントロールしている以上、残らず捌き切る結果を生むのは、自明であった。
 ナァトには時折、辺りに飛び散った火を消す余裕すらある。
 遂にナァトが正門の目前まで到達した時、光の収束がぴたりと止んだ。どうやら突破に成功したらしい。
 残された僅かな距離を軽く駆け、門を潜ったところで一息吐く。
 後ろを振り返れば火の気は一つとして無く、此処を訪れた時と同じ、静かな光景が広がっていた。
「ここの巫女さんもそうだけど、他の妖怪の方々も気になるわね」
 自身も危険な状況を越えて来たばかりだが、それでもナァトには妖怪達の安否の方が気にかかるのだった。
「急がないとね」
 囚われた彼等を救うべく、ナァトは要塞の内部へと進む。

大成功 🔵​🔵​🔵​

楊・宵雪
同行
神崎・柊一(f27721)

「これ弾幕シューティングっていうのでしょう?

UCサモニングガイスト使用
霊を先行させて囮とする
自分たちと弾幕に対して左右方向を微妙にズラして進ませ照準をブレさせる

「重くないかしら…?ふふ、頼れる背中ね
神崎に背負ってもらい進む

進路は神崎に任せて、技能を使っての防御を担う

「こちらも弾幕張ってみましょうか
相殺狙い援護射撃、範囲攻撃を弾が来る方向に耐えず放っておく

抜けてきた弾に対して
かばうとオーラ防御または火炎耐性の効果の高い方で耐久
残像で回避率上げ
手の届く範囲なら咄嗟の一撃での相殺を狙う

ジャンプの必要な時は予め合図を決めておき空中浮遊で補助を行う


神崎・柊一
同行:楊・宵雪(f05725)
「あの弾幕ぬけていくの…?
いやー、これは…腹括るしかないか…!」

ゴールまでユベコは使いっぱなし
宵雪を背負いながら二人で最速で超えていく
ただし移動時は最高速ではなく7割程度で
囮にかまけて薄くなった弾幕を潜り抜け奥へ、奥へ

「重い?まっさか。ちゃんと食べてる?」

ただ正面に進むだけだと被弾するので斜め右に緩やかに寄せていき
道の脇、森との境目で反対側に切り返す時に最高速に
一瞬のスキを突き一気に切り返して再び中央付近に戻り左右にもう一度逃げれるスペースを作る
又、あと一息という所でも最高速で
どうしても被弾する場合は自分の身体で受けて宵雪を護る
どうにも成らない面の攻撃は宵雪に頼る



 夜空を蛍にも似た光の群れが行き過ぎて行った。
「これ、弾幕シューティングっていうのでしょう?」
 女仙、楊・宵雪(狐狸精(フーリーチン)・f05725)は、口角を上げた薄い唇で、思わずそう溢す。
 その幻想的な光景は、一抹の郷愁にも似た感情と共に、宵雪自身の知るゲームの一ジャンルを想起させるに十分なものだったのだ。
「あの弾幕抜けていくの……?」
 その隣でどこかおずおずとした様子を見せるのは、神崎・柊一(自分探し中・f27721)。彼の視線は夜空ではなく、眼前の参道と、その奥にある正門から吐き出される、分厚い弾幕へと注がれていた。
「いやーこれは……腹括るしかないか……!」
 あの中に突っ込むのだ。それも正面から、今すぐに。
 加えてこれからやることを思えば、泣き言の一つも溢したくはなる。
 その横で宵雪が何事か唱えれば、たちまち彼女の傍に立ち込める気配。徐々に人の形を取る。
 やがて姿を現したのは、槍を携えた古代戦士の霊だ。『サモニング・ガイスト』。霊的才能と精神的素養を共に備えた、宵雪の超能力の発露である。
 続いて宵雪が柊一の肩を叩けば、長身の柊一は大人しく身を屈める。
「よろしくね」
「はいはい……」
 柊一が宵雪を背負う形。この状態で突破を目指すのだ。
 宵雪がふさふさとした九尾を折り畳むような動きをすれば、それはふわふわと柊一の体を撫でた。
「重くないかしら……?」
「重い? まっさか」
 気遣うように問いかける宵雪に対して、柊一はそう応じる。社交辞令ではない。本当に、綿のように軽かったのだ。
 ともあれ、準備は万端。
 宵雪の呼び出した霊が参道に一歩足を踏み入れたのを合図に。
 柊一は指を鳴らした。

 弾幕の雨。
 その照準は主に先行する戦士の霊に向けられている。
 結果、彼の斜め後ろの位置を駆ける柊一と宵雪にとって、弾幕はやや薄いものとなっていた。
 柊一は飛来する流れ弾を紙一重で避けていく。
 猛スピードで後方に駆け去る光弾。耳元で響く風の轟音。
『クロックアップ・スピード』――己の限界を超えた反応速度を発揮する今の柊一にとって、弾幕など子供騙しに等しい。
 ――尤も、凄まじい消耗と引き換えではある。それを承知の上で柊一は自身の速度を七割程度に落としてもいるのだから。
「こちらも弾幕張ってみましょうか」
 手筈を共有した宵雪の援護が、なおさら頼もしいというものだ。
 弾幕相手には相応の防御方法がある。宵雪が透明な扇を弾の飛来する方向に向ければ、たちまち放射状に放たれる真白い弾幕。
 紅と白の弾雨が行き会えばたちまち衝突。あちらこちらで涼やかな音と共に相殺が起こり、弾けた弾の欠片が桃色の燐光と化して夜闇へと静かに掻き消えていった。
 間隙を縫う柊一。その進路はよく見れば、斜め右に緩やかに寄せて来ている。
 二人が道の一番脇に到達した時、横方向の動きを止めたのを狙ってか、正門から一際厚い弾幕が放たれた。
 柊一、道端の土を思い切り蹴り、一気にトップスピードへ。
 今までの減速は、隙を作るためのブラフ。
 雑草が盛大に焼け焦げる音を置き去りに、二人は道の中央へと復帰した。
 まともに正面から突っ込んでは直線弾幕の餌食。
 こうして緩急をつけながら斜めに迫ることで、却って効率良く目的地に到達できるのだ。
 再び速度を三割ほど落としたところで、柊一の意識には背中の宵雪を気遣う余裕が生まれていた。彼女の無事を確かめると同時に。
「……ちゃんと食べてる?」
 思わずそんな疑問を呟いてしまった。本当に軽いと、改めて思う。
「ふふ、頼れる背中ね」
 柊一の考えを見透かした上で、労うように宵雪。そんなやりとりも、互いを気遣う信頼の表れと言える。
 緩やかに左寄せ。最高速で切り返し、また中央に。
 背中からは絶えず放たれる防御弾幕。
 的確な役割分担により、二人は目的地である正門前に向けて、着実に距離を詰める。
 あと数メートル。柊一が見出した最短ルート。
 その進路上で、光の収束が始まった。
 形成途中の光弾がぐんぐん迫る。
 迷いなく突っ込む柊一。なぜならば。
「援護するわね」
 背中には頼もしい守りの術の使い手が居るからだ。
 展開される、一際厚い白い弾幕。
 宵雪の手が届くか否か――そんな至近距離で、激しい相殺が巻き起こる。
「間に合えっ……!」
 発射された紅弾の一部が宵雪のオーラで弾かれる感覚を覚えながらも、柊一は地面を一蹴り。
 既に戦士の霊が立っている安全地帯に向けて、再びその身を弾丸と化した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マリエラ・レイクベア
世界の存亡が軽く起こるなんて、凄い世界です。
なーんて言ってる場合でもない!
ダッシュで突っ込みます。

バックラーで目の前の炎の弾を受けて、『幻影武器』発動
幻像・ルーンソード(初期技能:属性攻撃)の幻影を装備。

疾風を剣から放ち、前方の炎の弾幕をなぎ払います
炎だから、風で扇いだら逸れるかなって。

ただちょっと払いながらは進み難い…そうだ!
ルーンソードの切っ先を進行方向に向けてダッシュ
なんだっけ、他世界の…そうドリル!あんな感じ…

刀身に風の竜巻を纏わせて突進。弾幕をはじいて要塞に直進です!



 夜空を染め上げる要塞。
 飛び交う弾幕。
 そして、その光景を遠く臨む人影。
 マリエラ・レイクベア(駆けだしマリー・f26774)だ。
「世界の存亡が軽く起こるなんて、凄い世界です」
 世界の存亡。それはオブリビオンが齎すもの。
 だが猟兵達の介入で事無きを得るケースも多く、小さな滅びはあれど、それが世界規模に発展することは、そう多くない。
 だがこのカクリヨファンタリズムという世界。猟兵達が介入する暇も無く、頻繁に存亡の危機に立たされるらしい。
 考えようによっては、凄い世界と言える。
 珍しげな様子で辺りを眺め回していたマリエラだったが、やがて山の輪郭を橙色に染め上げ、黒煙を上げながらも少しずつ拡大していく紅い光を見つけた。
 火災だ。
「……なーんて言ってる場合でもない!」
 叫びながらも参道に向けて突っ込むマリエラ。
 やはり世界の滅びの光景なのだと。猟兵である彼女はそう感じ取ったのだ。
 正面から踏み込む。
 眼前に構えていたのは、バックラー。
「……!」
 次の瞬間、マリエラの腕に衝撃が走った。
 頑丈な鉄盾は殺到する光弾を跳ね返して傷一つ付かない。
 弾幕が途切れた瞬間にマリエラはバックラーを下ろし、駆けながらも抜き打ちにも似た体勢を作った。
 彼女のもう一方の手にあるのは、使い慣れた鉄製の武器、ではない。
 ユーベルコード『幻影』で生み出された、アルダワの魔法剣――ルーンソードだ。
 突撃の勢いもそのままに、マリエラは幻影の武器を横薙ぎ一閃。
 疾風が翔けた。
 たちまち風のシールドがマリエラの視界全体に展開され、飛来した弾を纏めて薙ぎ払う。
 強烈な風圧に叩き付けられた弾幕はあっけなくその形を失い、色鮮やかな火の粉と化して虚空へと吹き散らされていった。
 返す刀でもう一閃。マリエラは弾幕をぐいぐいと押し返していく。
 だが道も半ばに来て、ある事に思い至った。
「払いながらは進み難い……」
 効果的だが大きな動きだ。消耗も激しい。
 マリエラはこの運動が最後まで持続しない事を悟った。
 一旦出直すか。そうも思ったが。
「……! そうだ!」
 閃きが奔った。
 構えを変える。
 それまでの居合にも似た体勢から体を起こし、切先を真っ直ぐ正面に向けたものへと。
 より動きが小さくて楽で、それでいて効果的な。
 他世界の、そう……。

 ドリルみたいな。

 瞬間、刀身に彫られたルーンが輝きを増す。
 マリエラの手元で風が起こり、ルーンソードを取り巻いて渦を描いた。
 やがてその手に現れたのは、風のドリル。
 飛来した弾幕は、進行方向に構えられた竜巻に巻き込まれ、破砕され――その残滓はマリエラの後方へと逸らされた。
 首尾を確認し、マリエラは地面を蹴る。
 そのまま弾幕を一直線に割り、全速力で目的地へと迫るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

依神・零奈
鮮やかで綺麗な夜ね、これを肴にお茶でも飲めば良い夜を過ごせそう……とは思うものの煉獄地獄となると話は別……正直めんどうだけどやるしかないか。心地いい世界を台無しにされたらたまったものじゃないしね。

左右が深い森となるとあまり動いたら逃げ場が無くなりかねない、弾幕を様子を見つつ出来るだけ道の中央に留まった方がよさそう。前方の状況を【情報収集】しつつ弾の飛んでくる方向を予想しながら避けていこう。予想できなさそうなら最終的には勘、【第六感】に頼って避けよう。

「傾く夜に弾は弾ける」

UCを発動して弾幕自体に不運な事故を引き起こさせてみようかな
僅かに逸れた弾同士が接触して相殺……とかね



 ざぁ、と。
 幽世全域に飛び交う、鮮やかな光の弾。
「鮮やかで綺麗な夜ね」
 その幻想的で美しい光景は、依神・零奈(殯の掃持ち・f16925)にとって、ごく素直に受け取れるものであった。此処でお茶でも飲めればさぞや心地良いだろう。茫洋とそこまで思考を紡ぎ――ふと現実に返る。
 山から下りて来る、不自然に生温い風に気付いたのだ。
 ……どうやら弾幕の帯びる炎の妖力が、あちらこちらで山火事を引き起こし始めているらしい。その先にあるのは。
「煉獄地獄」
 零奈の口をそんな言葉が転がり出る。世界の滅びとは、おそらく文字通りの意味と取って良いのだろう。
 正直な所、面倒と思う気持ちは無いでもない。だが未だ守護神の一柱としての力を保つ身としては、捨ててはおけない。
「心地良い世界を台無しにされたらたまったものじゃないしね」
 素っ気ない様子で、しかし穏やかに独り言つ零奈だった。
 静まり返った目の前の参道を、零奈は慎重に観察する。
 道は幅広く、平坦。
 そして左右には暗く深い森。
「あまり動いたら逃げ場が無くなりかねないね……」
 昔日ならばいざ知らず、人の身を纏う零奈である。足を取られ、思わぬ災厄に見舞われるかも知れない。
 前方を見据えながら、道の中央へと踏み出す。
 じゃり、と砂擦れの音。
 それと同時に、正門で光が瞬く。
 刹那、弾幕。
 迫り来る光を前にして――零奈は冷静だった。
 その弾速がさほどでもない事を確かめ、最小限の動きで弾幕の隙間に体を滑り込まれば、次の瞬間、弾幕が通過。
 被弾は――無し。
 弾の射線を目視で予想し、時に勘を働かせながら。
 体を捻る事こそあれど、大きく左右に寄る事もない。
 驟雨の如く浴びせかけられる弾幕の中で、零奈は順調に歩みを進めていた。
 やがて参道を八割ほど進んだ所で――それは発生した。
 移り変わる弾の流れの中で、一際高い密度の弾幕が形成されたのだ。
 塊とでも形容すべき弾の群れが、道の真っ只中で動きを制限されている零奈に迫る。
 肩に被弾――その寸前で。
 幾つかの弾が、不自然に曲がった。
 逸れた弾は後続を巻き込んで連鎖的にぶつかり、零奈の周囲で涼やかな破砕音を立てて欠片と化す。
 相殺。
「傾く夜に弾は弾ける――なんてね」
 零奈の呪いが、弾の軌道に影響を及ぼしたのだ。
 彼女の進路上ではなおも弾同士の衝突が続く。
 目の前には、大きな空隙。
 歩みを悠々としたものに変える零奈。
 弾けた弾の欠片はパラパラと地に落ち、彼女の足跡の上で静かに掻き消えていくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『輪入道』

POW   :    燎原火炎陣
【激しく回転しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他の輪入道】の協力があれば威力が倍増する。
SPD   :    紅蓮疾走
自身に【燃え盛る炎】をまとい、高速移動と【回転する炎の輪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    ファイアホイールスピニング
【回転速度】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 骸魂の要塞に足を踏み入れた猟兵達。
 彼等を出迎えたのは、無限鳥居だった。
 視界の続く限り、朱塗りの大鳥居が石畳の通路を囲うように立ち並んでいる。
 その隙間を煌々と明かりを灯す石灯篭が埋める形で、壁面が構成されていた。
 よく見れば、全ての鳥居と石灯篭には護符が貼られている。対火と対衝撃を一枚ずつ。
 そして頭上。鳥居が覆い切れない部分には夜の暗闇が露出している。
 石灯篭の背は高く、その上からは迷宮の外の様子は窺いにくいが、代わりに猟兵の一人が鳥居と石灯篭の間の僅かな隙間から外を覗き見れば、足下は白砂となっているらしい。

 迷宮の奥へと向けて、猟兵達は歩を進める。
 十字路、T字路、直角の曲がり道。整った構造が続く。
 どこまでも続く朱と灰色の世界。
 それはまさに、堅牢さと直線的な構造を兼ね備えた「神社の迷宮」だった。

 猟兵の一人がふと立ち止まった。
 遠くから音がする。
 硬い石畳の上を、何かがゴロゴロと転がる音。
 徐々に近づいて来る。
 突然、目の前にある直角の曲がり角で、凄まじい衝撃音が響いた。
 音の主は石灯篭に弾かれながらも方向転換。そのまま猛スピードで猟兵達に迫る。

 それは、巨大な火車だった。
 回避体勢を取る猟兵達。
 ぼ、と、熱と風を残して至近距離を駆け過ぎる。
 炎と轢殺を司る生首のオブリビオン『輪入道』。
 車輪の攻撃範囲は、道幅の半分といったところだろうか。
 その火の中に、助けを求める妖怪の姿が朧げに浮かび上がっていたのを、猟兵達の中でも鋭い視力を備えた者が捉えた。
 音と共に遠ざかる輪入道。
 だが同時に、迷宮のあちらこちらで同じような音が響き始めた。
 この状況に対処すべく、猟兵達は急ぎ行動を開始した。
 
依神・零奈
鳥居の迷宮……いいね、なんだか落ち着くよ。灯篭もいい味を出してるし、これでもう少し出入りが簡単ならいう事無しなんだけれど……っと、また騒がしそうなのがきたね。ま、これも務めだしやるしかないかな。

攻撃範囲は道幅半分、高速の突進……ならギリギリまで引き付けて直前で避けるべきかな。攻撃を避けると同時に敵が通り過ぎた方向で反転しUCを発動。【破魔】の力を込めた無銘刀による抜刀、その斬撃を浴びせさせるよ。とはいえ数が多いから常に周囲に注意しとかないとね、どこから突進を喰らうか分かったものじゃない。いざという時は十字路や曲がり道の角を利用して攻撃の回避を狙う。



 朱色と、灰色。
 直線的な無限鳥居が、迷宮を進む零奈の視界を絶えず埋め尽くしていた。
 時折分かれ道に出ることはあるが、その色彩と構造の単調さは一貫して変わらない。
 ともすれば不安を掻き立てかねない光景。だが。
「いいね、なんだか落ち着くよ」
 零奈にとってそれは、むしろ心休まるものであった。
「灯篭もいい味を出してるし」
 鳥居の間を埋めるように建つ石灯篭からは橙色の光が優しく漏れ、朱色を明るく映えさせながらも周囲に複雑な陰影を落としている。
 身の引き締まるような厳かさと不思議な安堵感を、零奈は共に感じていた。
 迷宮とはいえなかなかに去り難い場所だとすら思う。
 その時、石畳が震え始めた。
 音も徐々に近づいて来る。
 やがて直線通路の遥か前方に、一際赤い点が姿を現した。
 輪入道だ。
 どうやら炎と共に突進して来るつもりらしい。
「騒がしそうなのが来たね。ま、これも務めだしやるしかないかな」
 零奈は穏やかに言う。
 最初は豆粒程の大きさだった輪入道の姿はみるみるうちにその大きさを増し、道幅の半分程と判るまでになっていた。
 道幅の半分。
 輪入道の轢殺の攻撃範囲である。
 輪入道達もユーベルコードを備えてはいるが、そのいずれもが、本質的には巨体を活かした轢殺と変わらない。
 つまりあの巨体の幅と同じだけ、回避するための隙間が常に残されている事になる。
「……」
 零奈は道の端に立ち、無銘刀の鯉口をそっと切る。
 火の玉と化して迫る輪入道。
 未だ訪れない瞬間を前に、零奈は逸る気持ちを抑えつつ、柄に手を添えた。
 炎の壁が視界を埋め尽くす。
 まだ。まだ。もう少し。
 呼吸を整え、敵をギリギリまで引き付けるのだ。
 やがて輪入道が撒き散らす炎が零奈の衣服を撫でようとした瞬間――その横を抜けた。
 駆け過ぎる輪入道。零奈は素早く向き直る。
 次の瞬間、幾条もの光が走った。
 清浄な破魔の力を込めた斬撃は車輪を断ち、炎を断ち、その巨大な顔を断つ。
 輪入道の体はたちまち燃える瓦礫の山と化し、破片を後方へと盛大にぶちまけた。
 納刀する零奈。
 燃え燻る音だけが辺りに響く。
 やがてその瓦礫の山から、一体の唐傘小僧が、ぴょんっ、と跳ね出した。
「……大丈夫かい? 私が入り口近くまで先導するから、キミは付いて来て」
 そう言うと零奈は元来た道を辿り始めた。後ろからは唐傘小僧が跳ねて来る。
 分かれ道や曲がり角を見つければ、その地形を巧みに索敵に利用し、周囲の様子を慎重に窺う。
 程無く零奈の視界には迷宮の入口が姿を現した。
「もう少し出入りが簡単なら言うこと無しなんだけど」
 そう呟く彼女の目の前で、唐傘小僧はぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリエラ・レイクベア
戦車の車輪?あっぶないなぁ…
あ、こっち来た。逃げよ!

T字路のつき当たりに向かってダッシュ
『創造武器』発動。現像・コズミックリング(初期技能:念動力)

石灯籠目掛けて念動力で跳び、地形の利用。壁蹴りジャンプ。
敵車輪を跳びこし、ついでに念動力で灯籠の護符を2枚とも引っぺがして重量攻撃。
うまくいけば石灯籠の下敷きです!

剥がした2枚の護符をバックラーに貼り付ける。
灯籠を守ってたアイテム、まだ効くか試してみましょう。

轢きに来た車輪をバックラーで盾受け、怪力でシールドバッシュ
弾かれ真横を向いた車輪の顔に剣を叩きつけます!

よし!…あ、妖怪さん。……そういえばさっき潰した、マズイマズイ、生きてる!?大丈夫ー!!



 つい先程、目の前を通過して行った輪入道。
「戦車の車輪? あっぶないなぁ……」
 その後ろ姿を見送るマリエラの反応は、至極真っ当なものであった。
 身に着けた武器を動揺も見せずに背負い直す。その一連の所作もまた、日頃の修行の成果だろうか。
「……あ、こっち来た。逃げよ!」
 輪入道が戻って来た。
 踵を返し、マリエラは地面を蹴る。
「もー、しつこいなぁ」
 駆けつつもマリエラが後ろを振り返ると、先程の輪入道に加え、もう一体が追跡に加わっていた。
 再び前を向いたマリエラの視界にはT字路が姿を現す。真正面は突き当り。
 視界の中心に迫る石灯篭の一つに向けて――マリエラは地面を蹴った。
 寸前、その手に嵌められていた幻影のリングが輝きを増し、大宇宙の力が彼女の跳躍力を大きく引き上げる。
 理想の騎士の如くあらゆる武器を使いこなす。そんなマリエラ自身の願いを現実のものとするための、力の発露であった。
 石灯篭を飛び越さんばかりの高さまで上昇したマリエラは、そのまま石造りの笠をたんっ、と蹴り、後方に跳ぶ。
 マリエラの体が空中で綺麗な放物線を描いた。
 彼女の背中の下には――今まさに突進を仕掛けようとした輪入道の姿。
 直撃すればまず後退は免れないであろう必殺の一撃は、マリエラが頭上を飛び越したことで盛大に空振り。
 それでも頑丈な石灯篭は輪入道の巨体を受け止め、傷一つ付かない。
 ドゴォッ!! バキバキッ!!
 筈が。
 衝突と共に、呆気なく粉砕された。
『!!』
 重い石造りの灯篭がバランスを崩して傾く。
 刹那。
 ズズウゥゥゥゥン――……。
 音を立てて倒壊。T字路は白煙に包まれた。
 瓦礫の崩れる音。木が焼け焦げる臭い。
「よっと……」
 しゅた、と着地したマリエラの傍に――二枚の護符がひらりと舞い落ちる。
 マリエラが着弾前に念動力で引き剥がすことで、石灯篭はその強度を無くしていたのだ。
 キャッチした護符を急ぎバックラーに貼り付ける。
 確かめるように鉄の表面を爪で軽く弾けば、いつもの硬質な響きに微かに混じる、加護のような音の揺らぎ。
 マリエラはバックラーを目の前に構え、いつしか目前に迫っていた二体目の輪入道に向ける。
 ――刹那、凄まじい衝撃が襲った。
「くっ!」
 その圧倒的な質量差にも拘らず、大きく後退しつつもマリエラは何とか通路に踏み止まる。
 じんわりと熱を帯びたマリエラのバックラーには傷一つない。
「……このぉっ!!」
 反撃とばかりにマリエラは全身をバネと化し、渾身のシールドバッシュを輪入道にかます。
 派手な金属音。
 衝撃で真横を向いた輪入道の頭部へ向けて、マリエラの白刃が襲い掛かった。

「よし!」
 構えを解き、一旦武器を下ろすマリエラ。だがここで思い出す。
「……あ、妖怪さん……そういえばさっき潰した」
 オブリビオンに囚われた妖怪達のことだ。
「マズイマズイ、生きてる!? 大丈夫ー!!」
 急いで瓦礫を掻き分けようと身を屈めたマリエラの髪に、布のようなものが触れる。
 ば、と顔を上げれば、頭上には二体の一反木綿が漂っていた。
 一反木綿達は礼を言うかのようにマリエラの上空を暫く旋回していたが、やがて夜空に向けてその体を翻らせるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

楊・宵雪
同行
神崎・柊一(f27721)

「あそこに囚われてる子がいるの?助けなきゃ…と、簡単にはいかなさそうね

常時火炎耐性オーラ防御と破魔使用
片側通行し避ける時は道の反対側に
昏睡の隙も狙っていく

神崎策協力

敵複数時
T字路十字路利用し敵をやり過ごしながら車輪の内側を横から殴る
狙い難しい場合誘導弾使用
転ばせ動き止める

または催眠術でT字路を直角の曲がり角に見せかけつつ
一体を引きずり込み集中砲火し数を減らす

走り回ってうまく敵集団をまとめて好機来たら連鎖事故誘発
お札を剥がした鳥居や灯籠を敵が通る時に破壊
剥がせなければ炎以外の属性攻撃で
成功時UC発動
部位破壊乗せ車輪狙い走行能力奪う

外が安全なら保護した妖怪を脱出させる


神崎・柊一
同行:楊・宵雪(f05725)
信頼している相棒

「見るからに暑苦しいのが…この音、複数か」

移動しつつ周回できそうな場所を探す
一本道、一方向から複数に追われている構図を作り、先頭の敵を転倒させ後続を巻き込む
この時、反対側からの挟み撃ちは片側を先に倒して玉突き事故を起こす。
そこを飛行で飛び越え反対側からの敵も巻き込む
隙ができたらアームドの各種技能を乗せてユベコ発動、塊を一掃する

逃走する際は上空も有効であれば飛行し逃げることも選択肢に
護符がはがせるようであれば各1枚ずつ其々に貼る

「この奥には親玉がいるって見て、良さそうだね
さーて、そんじゃいっちょ…ひっぱたきに行きますか」



 輪入道の炎の中で助けを求める妖怪達。
「あの子たち、囚われてるのね」
 助けなくては、そう思う宵雪であったが。
 戦場を激しく動き回るオブリビオン達を相手にしている以上、それが決して容易でないこともまた、同時に悟っていた。
「見るからに暑苦しいのが……この音、複数か」
 あるいは近くで。あるいは遠くで。
 迷宮中で走り回る輪入道達の音を。熱を。気配を。柊一は鋭敏に感じ取っていた。
「例の地点で合流しましょう」
「よっしゃ!」
 全て手筈通りに。
 迷宮の奥へと駆け去る柊一の背中を、宵雪は祈るような気持ちで見守っていた。

 地面を蹴り、道の反対側へと。
 次の瞬間、駆け過ぎる熱と豪風。
 回転速度を著しく上げた輪入道の体当たりは、宵雪の余裕を持った回避行動の前に、幾度も宙を切る。
 先程接敵して以来、宵雪は一体の輪入道からの容赦のない攻勢を受けていた。
 だが、輪入道の動きが突然止まる。
 反動である昏睡が訪れたのだ。
 好機を逃さず宵雪はその巨大な顔に向けて炎符を放る。
 次の瞬間、輪入道の体は轟音と共に爆ぜた。
 その体はたちまち煙と共に掻き消える。
 煙が収まった時、その場には気絶したままの妖怪の姿が姿を現した。
 宵雪は妖怪に駆け寄り、無事を確かめて胸を撫で下ろす。
「柊一、無事だと良いのだけど」
 別行動を取る柊一の身を案じながらも、宵雪は手近な鳥居に目を向け、そちらへと歩み寄る。
 朱色の柱の丁度目の高さに、真新しい護符が貼り付けてあった。
 宵雪は護符に手を掛け……破らないように、そっと剥がす。

 その頃柊一は複数の輪入道から追跡を受けていた。
 朱色の鳥居が構成する一本道を、柊一は腕を大きく振って駆けていく。
「これヤバいな。本当にやるのか!」
 宵雪とは別方向に進んだ柊一だったが、その後次々と敵に遭遇してしまい、今や三体に追われる形となっていたのだった。
 実は柊一は同じ場所をぐるぐると周回しているのだが、輪入道達は知る由もない。
 やがてT字路に差し掛かったところで、前方からも二体が迫る。
 絶体絶命かと思われた時、先頭の一体が、ぐるりと脇道に逸れた。
 宵雪の仕掛けた催眠術が、T字路を曲がり角と誤認させたのだ。
 脇道に入った先頭の輪入道の視界には、宵雪。
 彼女の纏う白いオーラは燃え盛る炎を逸らし、間合いへと踏み込む事を可能とする。
 猛スピードで行き過ぎる後方の一体を無視し、宵雪は炎符を鋭く放った。
 爆発。
 残り一体。
 一体ならばなんとか相手取れる。柊一は駆けながらも、携行した砲塔群を前方に向けて早撃ちさせた。
『――!!』
 バランスを失いよろめいた輪入道は、柊一を追っていた三体の輪入道を巻き込んで転倒する。
 盛大な玉突き事故。
 そこへ、爆発音が重なる。
 あらかじめ宵雪に符を剥がされた鳥居と石灯篭が次々爆破され――動きを止めた輪入道達を包み込むように、ゆっくりと倒壊した。
 彼等はこの地点におびき寄せられていた。
 迷宮を揺るがす地響きが発生する中、何とか輪入道の横を抜けた柊一は体勢を立て直しつつも振り返り、信頼する相棒である宵雪の支援を信じて一斉射撃の態勢に入る。
「あら、嬉しい」
 そんな柊一の行動に応えるように、宵雪の放った無数の狐火が輪入道達の車輪を焼き焦がし、その足を奪う。
 その場に釘付けにされた輪入道とは対照的に、柊一は準備を完了させていた。
「ぶっぱも当たれば……先読みってね!」
 閃光が迸り、轟音が響く。
 至近距離から放たれた全武装の一斉射撃が、敵の塊を一掃した。

「きゃっきゃっ」
「ありがとー」
 数分後、柊一と宵雪は雑多な妖怪達に取り囲まれていた。
 このままでは身動きが取れないということで、二人はひとまず妖怪達を外へと護衛することにしたのだった。
「この辺りの輪入道は概ね倒したと思うけど……どうかしら」
 周囲に気を配りながら歩む宵雪。
「道はだいたいわかるけど、一応ね」
 隣では柊一が辺りの護符を剥がし、自分と妖怪達に貼り着けていた。
 やがてある十字路に差し掛かった時、二人の視線は分かれ道の一つに同時に注がれた。
 伝わって来る、凄まじい存在感。
「この奥には親玉がいるって見て、良さそうだね」
 油断の無い柊一の声色に、白く細い顎を引いて同意する宵雪。
 迷宮の最奥部へと至る道筋を付け、二人は元来た道を辿る。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

蛇塚・レモン(サポート)
いつも元気で優しく快活な性格
その身に蛇神と妹の魂を宿す19歳の娘
霊能力と保有する技能及びアイテムを駆使して事件解決を試みます

普段の口調は語尾に『っ』を多用します

時々「蛇神オロチヒメ(裏人格)」ですが老人口調NG
UCで召喚されると巨大な白蛇として顕在化

戦闘スタイル
召喚術士だけど前衛役も出来るパワーファイター
武器は蛇腹剣と指鉄砲から放つオーラガン
基本的に脳筋だけど、左目の蛇神の眼力の催眠術で敵に幻覚を見せたりUCで行動不能に陥らせたり絡め手も得意

多少の怪我は厭わず積極的に行動
また、例え依頼の成功のためでも、他の猟兵に迷惑をかけたり、公序良俗に反する行動はしません
あとはお任せ
よろしくおねがいします!



 大鳥居に囲われた通路を、騒々しい音が駆け過ぎる。
 燃える車輪のオブリビオン『輪入道』の一体が、石畳の上を疾駆する音であった。
 凄まじい形相で目を剥き、何かを追っている。果たしてその前方には。
「こっちだよっ!」
 溌溂と駆ける一人の少女。蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)だ。
 耐えず輪入道をその身に引き付けつつも、轢かれる寸前で黄金色の念動力を展開し、一気に宙を駆けては距離を取る。
 その度に猛スピードで視界の後ろに流れ去るのは、無限鳥居。
 異界への入り口とでも形容出来るこの「神社の迷宮」はしかし、霊的存在に馴染むレモンにとっては、不思議に落ち着ける空間であった。
「こっちこっち!」
 普段通りの屈託の無さを前面に出し、金の髪を揺らしてレモンは駆ける。
 やがてそれは姿を現した。
 直覚の曲がり角。
「今だっ……!」
 レモンは思い切り壁を蹴り、横っ飛びに角を曲がる。
『!』
 ドゴォッ!!
 後方の曲がり角で響く、凄まじい衝撃。
 輪入道が方向転換のために、壁へと体を叩き付けたのだ。
「はっ!!」
 その一瞬の隙を突いて、レモンは蛇腹剣を一閃させる。
 ぎゅるり。
 空中で分断される刃。
 剣先が輪入道に向けて自在に飛ぶ。まるで蛇のように。
 ぎゅるりぎゅるり。
 車輪を何度も何度も巻き込み、包囲する。
 ぎゅるりぎゅるりぎゅるり。
 その刃が巨体の至る所に存在する急所に添えられた、瞬間。
「ふッ!!」
 レモン、気合一閃。
 全ての刃が輪入道の体に一斉に食い入り、たちまち分断した。
 破片と化し、バラバラと四散する輪入道の体。
 立ち上る白煙と共にそれらが掻き消えた時。
「ううっ……」
 そこには通路に座り込む座敷童の姿があった。
 レモンは座敷童を優しく助け起こす。
「大丈夫?」
「わ、私が見えるの?」
 驚いた様子を見せる座敷童にレモンは返す。
「勿論っ!出口はあっち。此処は危険だから、あたい“たち”に任せてっ!」
「は、はいっ」
 快活で頼もしいレモンの態度に勇気づけられたのか、座敷童は指し示す方向へと走り始めた。
「気を付けて行ってね!」
 ぶんぶんと手を振るレモン。
 その時、彼女の背後から新たに輪入道の転がって来る音が聞こえた。
「さぁ、掃討戦だよっ!」
 座敷童を逃がすべく、その場に踏み止まる事を決めたレモン。
 振り返ると同時に迫る輪入道へと蛇腹剣を向け、高らかにそう宣言するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナァト・イガル
【WIZ/連携アドリブ歓迎】
あらあら、まぁ。(まるでUDCアースのTVげぇむのようね!)
鳥居と灯籠は壊せないと見るなら……素直にこの迷宮を進むしかないかしら。
こんな直線的な道は、あのオブリビオンにとっての有利よね。ふむ……

職業柄、耳には多少自信があるのよ。
【聞き耳・偵察・情報収集・見切り】で、敵がやってくる方向を音から判断してみるわ。
敵が近づいてきたら、こちらに気づかれる前にUC『魔女から貰った銀の靴』で
敵の死角へ短距離テレポートしてからの【破魔】攻撃を。
やっぱり、狙うなら生首の部分かしら?

【救助活動・鼓舞・慰め】も活用して
巻き込まれた妖怪の方々を、上手く助けられれば良いのだけれど。



 熱は引き、風も止んだ。
 けたたましい車輪の音も掻き消え、赤く色付いた景観だけが残る。
「あらあら、まぁ」
 静けさを取り戻した「神社の迷宮」の内部を、ナァトのどこか朗らかな呟きが反響した。
(「まるでUDCアースのTVげぇむのようね!」)
 目の前の事象をありのまま受け止めれば、先程の出来事は臨場感に溢れたゲームのワンシーンのようにも思える。神韻とした雰囲気の迷宮は和風ダンジョン。恐ろしい輪入道達はこのステージに誂えた敵に見えなくもない。
 そう思ってしまえば俄然道を辿り易くなる。ナァトの想像は人に知られる事こそ無いが、それでも彼女自身が迷宮を歩む一助となる。
 だがナァトには懸念があった。迷宮の構造である。
「こんな直線的な道は、あのオブリビオンにとって有利よね」
 轢殺を事とする彼等にとっては、好都合な戦場だ。
「ふむ……」
 軽く顎に手を当てて考える。
 強固な壁は破壊を許さず、安全地帯を作り出すことも難しい。
 他に有効な迷宮の利用法も思い浮かばないのならば。
「素直に先に進むしかないかしら」
 敵である輪入道は決して強くはない。
 それに無理に迷宮の特性を利用せずとも、ナァトには策があった。
(「職業柄、耳には多少自信があるのよ」)
 道端で立ち止まり瞼を閉じれば、布に隠された視界をもう一度闇が覆う。
 ナァト・イガルは吟遊詩人。歌うのは勿論、聴き分けるのもまた生業。
 他の感覚器官を遮断し、自身の耳に意識を集中させる。
 鍛え上げた聴力を、限界まで研ぎ澄ます。
「……」
 やがて意識の片隅で――細波が広がった。
(「あっちね……」)
 ナァトは意識を浮上させ、音の方向から大まかな進行ルートを割り出す。
 近くのT字路に身を隠し、待ち伏せの態勢を整える。
 果たして、聞き覚えのある音が近付き始めた――輪入道だ。おそらくはまだ此方には気付いていない。
 ゴロゴロと徐々に大きくなる音は彼我の距離を伝えてくれる。
 未だ訪れない瞬間を前に、ナァトは一度足元に視線を落とした。
 両の脚が履いているのは、翼の衣装をあしらった銀の靴。
 爪先を軽く動かし、その方向に気を配る。
 輪入道がT字路を高速で駆け過ぎた瞬間、ナァトはそこに居なかった。
 巨体の死角へ向けて――音も無く瞬間移動したのだ。
『!』
 一瞬の隙。
 輪入道が向きを変えるよりも早く。
 清浄さを纏った光の鳥が、眉間を至近距離から貫いた。

 通路に横たわる竜神の少年。
 その隣には、彼に手当を施すナァトの姿があった。
 体のあちこちに軽く火傷を負っている。火傷の形から、原因は例の弾幕である事が知れた。ただし命に別状は無い。
 ナァトが耳元で優しく静かな調べの歌を謳えば、少年はすぐに意識を取り戻した。
「うう……」
「気付いたみたいね……良かった」
 ナァトは再び周囲の物音に気を配る。何も聞こえない。
 全滅か、それに近い状態。
 そこまでは確約出来るが、いずれであるかまではわからない。である以上、この場に留まらない方が安全であると、ナァトには思えた。
「立てるかしら……?」
 少年に肩を貸し、ナァトは外を目指す。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『フェニックスドラゴン』

POW   :    不死鳥再臨
自身が戦闘で瀕死になると【羽が燃え上がり、炎の中から無傷の自分】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    フェニックス・レイ
レベル分の1秒で【灼熱の光線】を発射できる。
WIZ   :    不死鳥の尾
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎の羽】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 輪入道は残らず殲滅され、妖怪達は安全な場所へ避難した。
 とある猟兵の案内で十字路に向かえば、分かれ道のうち一つから微かな熱気が漂って来た。
 猟兵達は、なおも続く無限鳥居を潜る。
 
 その時、通路の向こう側から巫女服姿の少女が歩いて来た。
『来たか。猟兵ども』
 歩みを止める。
『人間どもは我を畏れ敬う事を止めた』
 年恰好に似合わぬ威厳に満ちた響きで、なおも語る少女。
『だが本来この身は不死。死など、断じて認めぬ』
 少女が怒りで震える拳を握り込む。
 ――その途端、少女の背中に巨大な火の翼が噴き上がった。
 周囲の温度が一気に上昇する。
『竜神共の力を借りるのは癪だが、この膨大な神力は実に馴染む』
 ……これは骸魂『フェニックス』だ。
 本来は不死である彼等も、感情不足による飢餓は免れなかったらしい。
 行方知れずの神社の巫女は、やはりオブリビオンに利用されていたのだ。

『良い余興だ。貴様らごと幽世を炎で包み、我の不死を証明してくれる』
 カクリヨファンタズムを守るための、最後の戦いが始まる。
マリエラ・レイクベア
護符を貼ったバックラーで盾受け、炎の中を切り込み剣でなぎ払い斬り

ん~、結構良い感じだと思ったんですが!?流石不死。
さて…護符はいつまで効くか、そして不死を殺す方法はあるか…

あ、そういえばこの護符、貴女が貼りました?
や、気のせいならいいのですが、世界を燃やす方がこんなの貼ります?

返答にそうですかと答え突っ込みます

激痛耐性、途中で武装を手放し、怪力で掴んで頭に頭突き!
『創造武器』聖痕(初期技能:祈り)
偽物ですが、だからこそ、これは貴方を呪う

頭突きの接触時に幻影の聖痕を呪詛として相手に譲渡
聖痕はこの世の痛みを引き受ける。世界の痛み、貴方が受けてください

そして願わくば、この光が「貴女」に届きますように



 襲い来る炎。
 盾で受け止め、幾度目かの踏み込み。
 間合いを詰めると同時に、マリエラ・レイクベアは白刃を一閃させた。
 鮮血が迸り、目の前の少女の体がどさりと倒れる。
『無駄だ』
 声と共に少女の背中から炎の翼が燃え上がり、みるみるうちに全身を炎が包み込んむ。
 やがて炎の中から、元通りの少女が姿を現した。
「ん~、結構良い感じだと思ったんですが!?」
 マリエラの手には確かな手応え。だがフェニックスドラゴンの圧倒的な力は、それすらも無に帰した。
 流石不死。口調に若干の歯痒さを滲ませながらも、マリエラは再び戦闘態勢を取る。
(「さてところで……護符はいつまで効くか」)
 ふと鉄盾の裏へと目を落とせば、そこにはマリエラが前もって貼っておいた、二枚の護符。
 それらは確実に効力を発揮していたが、度重なるダメージを引き受けた結果、酷く傷付いてもいた。状態から見てそろそろ限界が近いようにも思える。
「あ、そういえばこの護符『貴女』が貼りました? や、気のせいならいいのですが」
 フェニックスドラゴンは口角を歪め、凶悪な笑みを作った。
『さてな。尤も――幽世全体が炎に包まれた暁には、此処も容易く焼け落ちるだろうがな』
「そうですか」
 何の感慨も無い答えと共に――思いがけない行動が返る。
 得物から手を離すマリエラ。そのまま両腕を伸ばし、凄まじい剛力で頭を捕まえたのだ。
 虚を突かれたフェニックスドラゴン。
 その固定された額に――マリエラは自身の額を正面から激突させた。
 頭突きだ。
『――』
「……っ!」
 視界を飛び散る星によろめき倒れ込む二人。
 それでもマリエラは少しだけ早く痛みから復帰し、額を押さえながらも立ち上がる。
「偽物ですが、だからこそ、それは貴方を呪う」
 そしてフェニックスドラゴンの額には――光り輝く傷痕が焼き付いていた。
 呪詛移しだ。
「聖痕はこの世の痛みを引き受ける――世界の痛み、貴方が受けてください」
 マリエラがそう言い終わらないうちに、たちまちフェニックスドラゴンの体を呪詛が蝕み始める。
 弾幕から逃げ惑う恐怖。
 耐え難い炎の熱さ。
 そして、大切なものを失う悲しみ。
 幽世を襲った数々の痛みが、聖痕を通してフェニックスドラゴンの中に流れ込み始めたのだ。
「願わくば、この光が『貴女』に届きますように」
 マリエラの言葉に呼応するかのように、フェニックスドラゴンの瞳に――一瞬だけ優しい光が灯る。
 すぐさま額を押さえて元の相を取り戻すも、疲労の色は隠せない。
 痛みを引き受け、世界を照らす聖痕。
 体に刻まれたそれは、悪しき憑依者を内と外より責め苛むものに他ならない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神崎・柊一
同行
楊・宵雪(f05725)

羽を使って蘇るというのなら
その羽吹っ飛ばしたら蘇れなくなるっていう意味でいいんだよね…?

翼を切断し再臨を不可能な状況に追い込みたい
その為に自身は攻撃、翼を全兵装をもって破壊する事を目的とする

防御は宵雪に頼りつつこちらも可能な限り羽の包囲はフォートの弾幕で迎撃

「問題ない。宵雪なら捌ききれる
だから…今は命中率を稼ぐんだ。チャンスはきっとくる…!」

此方は攻撃に注力
宵雪の助言通りに少しずつでもマヒ攻撃を差し込み動きを鈍くする

隙ができたところで全兵装、全特技を乗せてユベコ発動
片翼に1回、もう片方に1回の2回攻撃で押し込む

「不死鳥すら喰らってやるよ、消し飛べ…!」


楊・宵雪
同行
神崎・柊一(f27721)

神崎策協力
翼の切断のための致命的な隙を作ることを主な狙いとする

「あなたは切り札なのだから、少しの間だけ守らせて頂戴ね
序盤からの主な行動は前に出て
オーラ防御、火炎耐性、残像での防御と
衝撃波と範囲攻撃での敵攻撃相殺

好機見て弾幕を仕掛けわざと弾のほとんどを外し
その外した弾に技能誘導弾とだまし討ち付与
敵に慮外の攻撃を当てる

翼の切断に成功し不死鳥再臨を封じたらUCで一気に倒し切る

再臨封じられなかった場合
瀕死の本体を叩く

「可哀想な鳥さん。その巫女さんは返していただきたいの。そのかわりわたくしが折りに触れてあなたを祀るわ



 美しい幾何学模様を描きつつ、無数の赤い羽がひらりひらりと漂う。
 高熱を備えた羽は容赦なく熱を振り撒き、次第に周囲の空気は肌をひりつかせる程に。
 陽炎すらも舞い始めた「神社の迷宮」。
 その中にあって――羽が逸れていく一角があった。
 涼やかな空気が流れる領域の中央で、楊・宵雪が守りの術を駆使していた。
 その後衛には、神崎・柊一の姿もある。
 彼には腹案があった。
(「羽を使って蘇るというのなら、その羽吹っ飛ばしたら蘇れなくなるっていう意味でいいんだよね……?」)
 不死鳥の代名詞、再誕。
 二人は協力してその無力化を試みようとしていた。
 とはいえ包囲網を前にしては接近もままならないのも事実。
「少しの間だけ守らせて頂戴ね」
 柊一を振り返り、あなたは切り札なのだから、と、気遣うように微笑む宵雪。
「……」
 一人なら難しくとも、二人ならば。
 防御を宵雪に委ね、柊一はフェニックスドラゴンの方へと目を移す。
『……』
 フェニックスドラゴンが軽く顎を引けば、赤い羽根の射線が、くい、と曲がった。
 包囲の構え。
「! させるかっ!」
 柊一は急ぎ弾幕を展開。
 弾幕が交錯し、包囲に穴が開く。
 残る羽を宵雪は片手を翳し、衝撃波で容易く吹き散らした。
(「問題無い。宵雪なら捌き切れる」)
 なおも襲い来る羽に対し、宵雪は弾幕を展開する。
 ぶつかり合った羽は弾幕と相殺され、りんと音を響かせ火の粉と化し、そのまま虚空に掻き消えて行った。
(「だから……今は耐えるんだ。チャンスはきっとくる……!」)
 宵雪は防御しつつも羽のパターンを見切り、時折柊一に指示を出す。
 指示に応じて柊一はフェニックスドラゴンに向けて牽制の銃撃を送り込み、すぐさま装填。残弾に絶えず気を配る。
 未だ訪れないその瞬間を前に、二人はそれぞれの役割を着実に果たしていた。

 柊一と宵雪の思惑通り、フェニックスドラゴンとの戦いは持久戦へと縺れ込んでいた。
 違和感を感じたのは、宵雪だった。
 鳥の羽が描く、紅い幾何学模様。
 既に見慣れたそのパターンの中に、僅かな綻び。
 宵雪は素早く後ろに目配せ。交錯する視線。既に気付いていた柊一もまた頷きを返す。
 ――好機。
 パターンの乱れを縫うように、宵雪は白い弾幕を展開した。
 弾道は羽には掠りもせず――後方のフェニックスドラゴンへと向かう。
 唇を真一文字に引き絞るフェニックスドラゴンの表情は、思わぬ抵抗を示す二人を前に焦れているようにも見えた。
『!』
 目を見開くフェニックスドラゴン。
 回避しようとその身を軽く身を捻る――その先を読むように、一際早い別の白弾が飛来した。
『む……』
 被弾。
 フェニックスドラゴンが肩を押さえる。
 思わぬ反撃に羽の包囲が一気に後退する。
「……今だ!」
 待ちに待った瞬間。僅かによろめくフェニックスドラゴンに向けて柊一は全武装を向ける。
 凄まじい弾幕を展開するフェニックスドラゴンに対しては、こうして本体の隙を辛抱強く待つしかなかったのだ。
 最低限の反撃しか出来ず、大切な相棒を危険に晒され続けて蓄積された鬱憤。それをこの瞬間に爆発させる。
 柊一は砲塔と化した。
「不死鳥すら喰らってやるよ、消し飛べ……!!」
 柊一の展開できる最大火力の砲撃が、一点に向けて降り注ぐ。
 刹那、左翼の根元で大爆発が上がった。
 千切れた左翼は空中で錐もみし、砲煙の中へと掻き消えて行く。
 片翼を失ったフェニックスドラゴンの体は大きく傾ぎ、一気に壁際に追い詰められた。
「もう一発……!」
『……!』
 再び咆哮する柊一の砲塔。だが今度は右翼の根元ではなく、中程に被弾。
 それは不死鳥の矜持であったのかも知れない。身を捻って辛うじて右翼の付け根を残し、しかしその先を残らず吹き飛ばされた。
 変わり果てたフェニックスドラゴンの姿。
「可哀想な鳥さん。その巫女さんは返していただきたいの」
 苦悶の表情を浮かべ、焼け焦げた左肩を押さえるフェニックスドラゴンの間合いに滑り込んだのは――宵雪。
「――わたくしが折りに触れてあなたを祀るわ」
 白鞘の護身刀による一閃が、フェニックスドラゴンを斬り裂いた。
 飢餓の末、幽世に辿り着けずに死ぬ。悲惨な最期である。
 何時の日か不死の業から解き放たれた暁には、彼にも宵雪の慈悲が向けられることだろう。
 石畳の上で僅かに燃え燻る左翼が、戦いの終わりが近いことを告げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナァト・イガル
【連携アドリブ歓迎】

己が既に死んでいる自覚がありながら
世に甦るというのは、どういう気持ちなのかしら……
その最期がままならぬものだったなら、それを思い出したくない、認めたくないという思いは当然かもしれない。

けれど。
……そこに、今生きている者を無理やりに巻き込むのは、やはり許されないことよ。

弾むようなリズムは低く短く、追い詰めるように。さあ鳥よ、狩り立てよ。
【歌唱】に【多重詠唱・カウンター・弾幕】も重ねてUC『火喰い鳥の狩猟歌』を発動。
飛翔する炎の羽を【見切って】迎撃、無効化し
同時に聖痕の光の矢でフェニックスを攻撃するわ。

貴方はもう”終わった”者よ
ごらんなさい。もう、何一つ燃やすこともできないわ


依神・零奈
なんだ……キミも人に期待し過ぎたのか、人なんて都合がいい時は信じて都合が悪いと忘れるそんなどうしようもない生き物だよ。……ま、そう決めつけるのもまだ早いのかも知れないけどね。キミもいつかやり直せる時がきたら衆生の中で過ごしてみたらいいよ、さぁ。死を乗り越えてみろ不死鳥。

炎で身動きができなくなる前に手を打つべきかな、UCを発動して舌禍による【呪詛】で相手の動きを阻害するよ。

「運命は確定した、死を見失う今虚無となる」

引き寄せられた災いで相手は運悪く体勢を崩すかもしれない、その隙を見計らって【破魔】の力を込めた霊符を投げ【フェイント】で反対方向から【破魔】の力を込めた無銘刀で【だまし討ち】を狙う



 満身創痍のフェニックスドラゴン。だがその攻勢は止む事が無い。
 彼の周囲には無数の赤い羽が幾何学模様を描いて飛翔していた。
 その複雑な流れを一直線に切り裂きながら極彩色の鳥達が囀り飛ぶ。
 炎を喰らう彼等を統率することで、ナァト・イガルは敵の包囲攻撃に対応していた。
 あるいは高く、あるいは低く。羽の動きに対応して歌の調子を変える。
(「己が既に死んでいる自覚がありながら、世に甦るというのは、どういう気持ちなのかしら……」)
 再誕。
 歪んだ形ではあるが、兎も角もフェニックスドラゴンはそれを現実のものとした。
 その際の心境は、もとより定命であるナァトには察し難いものであった。
「なんだ……キミも人に期待し過ぎたのか」
 一方で後方に位置する依神・零奈の反応は、ごく平静なものだった。
「人なんて都合がいい時は信じて、都合が悪いと忘れる。そんなどうしようもない生き物だよ」
 それでなくとも人の世は遷り変わる。長い時を経て彼等への畏れや信仰が忘却の彼方へと没し去るのは、必然であったかも知れない。
 神と人の間に存在する埋めがたい溝を身を以って知り、それでもなお人と歩み続ける零奈であるからこそ、フェニックスドラゴンの人々に対する期待は過ぎるものと、説得力と共に断ずることが出来る。
『――なればこそ、全て灰塵と化してくれる』
 ぶわ、と、羽の射線が熱を帯びて動く。
 それは前方のナァトを後退させ、徐々に後方の零奈にも迫りつつあった。
「……ま、そう決めつけるのもまだ早いのかも知れないけどね」
 それもまた、零奈の嘘偽りのない実感であった。
「その最期がままならぬものだったなら、それを思い出したくない、認めたくないという思いは当然かも知れない」
 幽世全体を巻き込む程の不死への執着。それを支えている最大の物は、おそらくはやり場のない無念、慙愧であろう。言葉で言い尽くすには余りに激しいその情動に、ナァトは思いを致す。
「けれど」
 前を見据える。
「……そこに、今生きている者を無理矢理に巻き込むのは、やはり許されないことよ」
 火喰い鳥の狩猟歌――ナァトの紡ぐリズムが弾むようなものへと変わった。
「さあ鳥よ、狩り立てよ」
 低く短く。あたかも得物を追い詰めるかのように。
 展開される羽の射線を見切ったナァトは、徐々に包囲攻撃を押し返し始める。
 鳥達は羽の流れの隙間を縫い、時にフェニックスドラゴン本体へと肉薄した。
 フェニックスドラゴンはなおも新たな羽を展開し、それに拮抗しようとする。
 刹那、後頭部に衝撃が走った。
『――!』
 カラン、と音を立てて石畳の上に落ちたのは――頭上の鳥居から焼け落ちたであろう、神額。
「――運命は確定した、死を見失う今虚無となる」
 零奈の仕掛けた目に見えぬ言霊は、既にフェニックスドラゴンの行動を大きく縛っていた。
 頭を押さえ、その体勢を大きく崩すフェニックスドラゴン。展開される幾何学模様にも大穴が開く。
 穴を拡げるように、ナァトの操る鳥達が羽の包囲を散々に喰い破り、散らした。
 勝敗分岐点。
 朦朧とする意識の中で、ようやく方向感覚を取り戻したフェニックスドラゴンの目前に、ひらりと舞い落ちた一枚の符。
 気を取られた彼の背後に――柄に手を掛けた零奈が滑り込んだ。
「キミもいつかやり直せる時が来たら、衆生の中で過ごしてみたらいいよ」
 もし彼が本当の意味で死を乗り越える時が来るのなら――今はひとたびの休息を。
 想いを乗せた無銘刀の一閃が、フェニックスドラゴンの背を斬り裂いた。
 俯せに倒れ込んだ彼の目の前には――ナァト。
「貴方はもう”終わった”者よ」
 御覧なさい。そう示した先では、鳥達が羽を駆逐し終えようとしていた。
「……安らかに」
 閃光と共にナァトが腕を振り抜く。
 フェニックスドラゴンの視界を、眩い光が覆った。


 頬に冷たい風を感じ、周囲を見渡す。
 気付けば猟兵達は、古ぼけた神社の境内に居た。
 あの巨大な要塞は跡形も無く掻き消え、山火事は全て収まっている。
 せわしなく夜空を飛び交う弾幕もまた静かな星と入れ替わっていた。
 辺りに響くフクロウと夏虫の声に混じって――呻き声。
 向き直れば、そこには茶髪の巫女が横たわっていた。
 急ぎ猟兵の一人が助け起こせば、竜神の少女はその目をうっすらと開ける。
 どうやら命に別状は無いらしい。
 同時に彼女から骸魂の影響が去ったことを、猟兵達はその穏やかな様子から、改めて察する。

 少女がすっかり落ち着きを取り戻した頃、既に東の空は白み始めていた。
 遠くからは雑多な足音が聞こえ始める。
 猟兵達が助け出した妖怪達が、今はその幅を大きく狭めた参道を駆けて来たのだった。
 その先頭には竜神の少年。
「姉ちゃん!」
「……」
 駆け寄る少年が伸ばした手を、少女は微笑みを浮かべて握る。
 幽世の山並みに、妖怪達の歓声が響いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月12日


挿絵イラスト