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バリアブル理不尽(作者 相良飛蔓
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●どうやって入ったの
 そこは、かつて隆盛を誇った巨大なホテルの廃墟である。廃墟といっても建造物そのものは運営当時と大差なく、崩落や損壊らしき形跡もない。気になる点としては汚れと築年数くらいだろう。
 そんな頑強な建物は今、オブリビオンの集団によって包囲されていた。鋼鉄の犬の顔から鋼鉄の砲が伸びたような恰好をした、一応戦車のような姿のそれらは、時折その先端部より弾を放ち、攻撃を行っている。
 しかし過酷な環境を耐え抜き、中の人々を暖かく守り続けてきた建物は、老体を以てそれを受け止め、引き続きその任務を果たし続けている。砲煙のおさまった後には、小さな焦げ跡程度しか損傷は見られない。
 この分であれば、内からの攻撃次第では撃退も難しいことではないように見える。事実この元ホテルという拠点に所属するサバイバルガンナーたちの攻撃は、充分に敵へ被害を与え、戦意と戦力を削ぐことに成功していた。

「な、なんだ!? 何してる、やめろ!」

 しかしその希望は、内部からの行動によって打ち砕かれようとしていた。1階ロビーより外へと繋がる大きな扉に厳重に掛けられた鍵をはずし、オブリビオンたちを引き入れようとする者が現れたのだ。他の人間の制止に耳を貸さず、力尽くで引き剥がそうとすればその巨体によって弾き飛ばす。
 ただ不器用にがちゃがちゃと錠の掛かった鎖を外そうとする様子を見ているしかない住人たちの表情は、恐怖と絶望に染まっていた。何もできないままに、ただただ――。

 その無数の砲身の先でがちゃがちゃと鎖を鳴らし、苛立たしげに悪戦苦闘する戦車の姿を見つめていた。

●休むに似たり
「いやロビーに戦車あッたら誰か何か思えよ」
 グリモア猟兵、我妻・惇は溜め息交じりにぼやいた。ここまでの説明によると、堅牢な拠点の内部に潜入したオブリビオンの暴走戦車が、内部より仲間を手引きして人々を窮地に陥れようということらしい。
 何故、気付かれなかったのか。拠点に所属する戦車乗りというのもいるのだし、誰かの乗機であると思い気に留めなかったということも確かにあるかもしれないが…ともあれ大きな不安要素もなく安全だったはずの場所に突然敵が現れたという事実に、住人たちは大いに慌てて対応が遅れ、このままでは合流したオブリビオンの集団によって拠点が制圧されてしまうらしい。
「まァ、なんだ、見たら分かるし…分からなくても分かるだろォし、まずは攻撃してやりゃ反撃してくるし、そのまま潰してやりゃ鍵を開けられる心配もねェ」
 扉を至近距離で撃てば壊せそうなものだが、そうせずにもたもたと鎖を外そうとしていたオブリビオンである。本当に放っておいたら危険だったかどうかは甚だ謎ではあるが、まあ言われるからにはそうなのだろう。検証する必要もなし、倒してしまうのが良い。

「ンで、次はこッちのタイミングで打ッて出てやりゃ良いな。周りも戦車に囲まれてるし、乗り込んでる中にボスもいるらしい」
 男は首を傾げながら言う。いるらしいのだが、どうも疑わしくもあるらしい。というのが。
「いやな、オブリビオン連中が丸ッこくてちッこい犬みてェな戦車に乗ッてるらしくてな?倒せば中身ごとイケるらしいんだけどな?ボスだけはそうじゃなさそうなンだが…あれ、どォやって入ッたンだ…?」
 見えた物があまりに信じられない光景だったようで、話しながらも頻りに首を傾げていた。
 小さな『いぬせんしゃ』に入るには無理があるらしいボスに関する情報を不確定のものとして明言を避けながら、グリモア猟兵は猟兵たちを送り出す準備を始めるのだった。





第3章 ボス戦 『ドヤガオン・カイザー』

POW ●超必殺!カイゼル・ドヤ・クラァアーッシュ!!
【超質量超強度の近接攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【とどめ(対象の生死は無考慮)のドヤポーズ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD ●疾風!カイゼル・ドヤ・ブレイド熱血一文字斬り!!
【カイゼル・ドヤ・ブレイド】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
WIZ ●熱血ドヤカウンター!
【攻撃後、熱血ドヤカウンター・ポーズ】に変形し、自身の【移動速度】を代償に、自身の【熱血電磁塗布装甲で攻撃をいなし、反撃能力】を強化する。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠タケミ・トードーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 累々と転がるいぬせんしゃたちの残骸の中で、何者かの高笑いが響き渡った。タメが長くてよく通る、めちゃめちゃ“聞かせてくる”高笑い。
「はーっはっはっ(略)はっはぁ! よくぞここまでこの俺を追い詰めたな、褒めてやるっ!」
 よく通る声だが、なんだか篭っているし、窮屈そうである。どこから聞こえてくるのかと猟兵たちが見回せば、倒れた敵の一機が僅かにかたかたと動き出した。しばらく見ていると、その背の扉が開き、中から何者かが
「はーっは、ちょっと待て、はーっ…これ、引っかかっ…はっは、ここが抜ければ…」
 さらにしばらくもたもたぐだぐだとする様子を眺めていると、突然にその機体から、金色で、硬質のものが『むりゅっ』と言った感じで出て来たのだ。それはやはり窮屈そうに少しずつ、少しずつその姿を機外へと晒し、徐々に形を成し――最終的には、四肢を持ち、翼を持ち、剣を持つ、全身が金色の大型のロボットの姿で拠点の前へと立ち上がったのだ。その表情は、どうしようもないほど、それ以外の表現が思い浮かばない程に、100%間違いなく、ドヤ顔をしていた。
「はっはっはぁ! どうだ驚いたか、この程度の攻撃で傷をつけられるほど、俺の装甲はヤワではない!」
 ヤワではないらしい金属塊らしい装甲のロボが、どうして、どうやって、自らの全高の半分もないいぬせんしゃのコックピットにその身を押し込んでいたのか、甚だ謎である。残念ながら彼の乗機も失われ、それを確かめるすべもない。
「さあ、どこからでもかかってこい!」
 そのオブリビオンが、やたらとパースの利いた立ち姿で剣を構え、やたらとうざったいドヤ顔でもって猟兵たちの攻撃を促してくる。疑問や違和感はどうあれ、とにかく気にせず戦うしかないようだ。