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酒は百毒の長(作者 平岡祐樹
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 木造問屋やコンクリート製の店舗が年代バラバラごちゃ混ぜになって並んでいるどこかノスタルジーなのに歪な街。そこで騒ぎは起きていた。
「おい、何だよこれは!」
 激昂する獣耳を生やした男を前に、太った男は口から炎をチラチラと吹き出していた。
「そんなわけがあるか! 俺はここまでちゃんと封も切らずに運んできたぞ!」
「じゃあ、このタプタプに入ってる水は一体何なんだよ!」
 獣耳の男が指差した先には、水が目一杯に入った桐製の酒樽が並べられていた。
「お前、さては俺たちの金を使って酒も造らずに遊んでやがったな!」
「ああ? んなわけねーだろ! うちの酒屋にケチつけるって言うのかよ、ああ!?」
「争っておる場合か!」
 今にも取っ組み合いを超えた大喧嘩を始めそうな様子の2人を、この商店街の長である老人が一喝する。
「しかし、これでは龍神様へのお供え物が……!」
「我が街の神は話せば分かってくださる方じゃ。……それよりも」
 老人は自らの背に生えた黒い翼から羽を一つ毟り取る。
 そしておもむろに柄杓を樽の中から抜くと、そこに入っていた水に羽をつけた。
「どちらでも良い。飲め」
「長、それは……」
 その意味を察した獣耳の男が息を飲む中、太った男は鎮痛な面持ちになって柄杓を受け取り、一息に飲み干した。
 その行為に野次馬から悲鳴があがるが、太った男は怪訝な顔をしてから首を捻る。
「……長……ひょっとして、手品の類でもお使いになられましたか……?」
 いつまで経っても変化が訪れない事態に太った男だけでなく野次馬の間に別の動揺が走る中、獣耳の男は何かに気づき、青ざめた。
「これは……まさか、鴆様……!?」
「『酒は百毒の長』と言う者もおるだろう?」
 人だけでなく妖をも殺す猛毒の羽を持つ妖怪「鴆」は深く頷くと、この事態が起きてしまった原因の予想を告げた。
「この世界から、『毒』が失われておる。だから仕込まれていた酒がただの水になってしまわれたのじゃ」

「……これが、『毒』が失われたことが確認されて最初の事例となったそうです」
 ルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)はそう言って本を閉じた。
「調べた結果、現在のカクリヨファンタズムには毒や薬といった存在があらかた全て無い状態となっております」
 この異変を引き起こしたオブリビオンは、楽しみにしていた酒をお預けにされて弱った龍神を飲み込んだことを皮切りに、その商店街に住む多くの妖が無数の骸魂に取り込ませて別のオブリビオンに変貌させてあちこちに散らばらせることで、だんだんと被害範囲を広げているという。
「毒を無くす現象をより早く広げるためか、今回の主犯は高速で動きやすい輪っかのオブリビオン『輪入道』を尖兵として用いています。……そして最初の被害者であり依代としている龍神の住む神社を根城としているようです」
 回転する炎車を携えた「炎と轢殺」を司る生首も、正体不明な主犯も妖を飲み込んで自らの糧にしている。このまま放置しておけば、妖が消化されて消滅してしまうかもしれない。
「今回は神社までの道を塞ぐ輪入道を一掃し、主犯との一騎討ちに持ち込む形が望ましいと考えられます。カクリヨファンタズムに住む方々の生活を取り戻すために、皆様のお力をお貸しください」





第3章 日常 『おいでませ、妖怪商店街!』

POWなんだか美味しそうな物が売ってる…買い食いしよう!
SPDなんや珍しい物が売ってんなぁ…それなんぼするん?
WIZ何やら妖怪の子供達が遊んでるぞ…混ぜて混ぜて!
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 諸悪の根源だった大砲が消滅したことにより、世界に毒は戻り、輪入道の骸魂も逃げ出した。
 龍神に捧げる酒樽も元通りとなり、大砲ごとボコボコにされながらも治療された龍神が自分の情けない様を猟兵に謝り倒す一方で商店街では新しい問題が起きていた。
「うわ、これはもう捨てるしかないな……」
 輪入道に飲まれてから放置されていた生鮮食品「だった」物や輪入道がぶち壊した壁や器材が商店街中に散乱していたのである。
「こりゃしばらく粗食だな……」
 猟兵達はボロボロになった商店街の片付けに加わるも良し、その間の子供達の世話を引き受けるも良し、はたまたのんびり散策しつつ掘り出し物を買い取って資金援助をするも良いだろう。
 迎えが来るまでどのように過ごすか、全ては猟兵達の気分次第である。