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蜘蛛の邪神は楽しい夢の中で喰らう(作者 青葉桂都
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●今日は楽しいお祭りだ
 祭り囃子が聞こえる。
 高いやぐらの上からは太鼓の音が小気味良く響き、様々な妖怪たちがその回りで盆踊りを踊っている。
 出店は立ち並び、焼きイカやりんご飴、だんごなどが売られている。射的やくじ引きに興じている者もいる。
 子供のような姿をした妖怪が、金魚を手にして走っていく。
 誰もが笑顔で、祭りを楽しんでいる――そんな、夢を見ていた。

 現実の世界では、やぐらの場所には1体のオブリビオンがいる。
 椅子に座る女性の背後には、ちょうどやぐらと同じくらい大きな黒い影がある。
 蜘蛛の形をした影だ。
 禍々しいほどに赤い……血のように赤い蜘蛛の糸が伸びて、妖怪たちに絡みついている。
 祭りの夢を見て眠る者たちは、目を閉じたままひたすらオブリビオンの周りを踊りながら回っていた。
 踊り続けることで、自ら糸に絡まれていくのだ。
 薄笑いを浮かべたオブリビオン――第四の蜘蛛は罠にかかった妖怪たちを見て、静かに舌なめずりをした。

●グリモアベースの依頼
 集まっていた猟兵たちに、白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)が声をかけた。
「新しく見つかった世界で骸魂にとりつかれた妖怪の活動を予知しました」
 妖怪たちの世界『カクリヨファンタズム』において、オブリビオン化した妖怪は活発に悲劇を引き起こしているようだ。
「出現したのは邪神『第四の蜘蛛』です」
 少女の姿をした妖怪にとりついた骸魂だ。
 戦闘になれば、背後に見える巨大な禍々しい邪神の肉体と合体して強力な力を発揮するという。
 また、邪神には他にもいくつかの姿があり、女郎蜘蛛の姿となって戦闘力を増したり、幽世蝶の群れとなって飛翔したり、足の無いブリキのロボットになって驚かしたりする。
 蜘蛛の姿をした邪神は、針や糸による動きを封じる攻撃能力もあるようだ。
 蜘蛛の周囲では奇妙な祭りが行われている。糸に絡まれながら、妖怪たちがひたすら名状しがたい盆踊りを踊っているのだ。
「第四の蜘蛛は祭り囃子で妖怪たちを引き寄せて自分の回りをひたすら踊らせ、そして最後には食べてしまうつもりのようです」
 さらに厄介なことに、蜘蛛に近づくとただ踊らされるだけでなく、夢を見せられてしまうらしい。
「とても楽しくて、永遠にそこにいたいと感じてしまう素敵なお祭りの夢です。まずは、その夢から逃れなくてはなりません」
 やり方は様々だろう。
 自分を殴って意識を覚醒させたり、冷静に状況のあり得なさを見破ったり……。
「祭りの夢は皆様自身の願望を反映したものになります。強い意志で望みと決別するのもいいでしょう」
 なんにしても、夢から逃れなくてはオブリビオンと対決できない。
「夢から逃れたあとは、まず踊っている妖怪たちの中ですでにオブリビオン化してしまっている者たちと戦わなければなりません」
 敵は瑞獣でありながら『大いなる災い』をもたらすとされる麒麟の姿となっている。
 オーラを纏って攻撃回数を増やしたり、ユーベルコードをコピーしてくるようだ。また、角から落雷を呼ぶこともできる。
「とはいえ、飲み込んだ妖怪が強くないので、麒麟の戦闘能力も相応となります。なお、名状しがたい盆踊りに加わりながらながら戦えば、敵を惑わして有利に戦うことができるでしょう」
 とはいえ、本番はやはり、祭りの中心にいる第四の蜘蛛だ。
「永遠に幸せな夢を見続けるのも、決して悪くはありませんが、オブリビオンの企てとなれば放っておくわけにはいきません」
 どうか祭りを止めて欲しいと、伶奈は猟兵たちに告げた。





第3章 ボス戦 『邪神『第四の蜘蛛』』

POW ●アトラク=ナクア
骸魂【となった邪神『第四の蜘蛛』の肉体】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【存在を繋ぎ止める糸】を消費し、無くなると眠る。
SPD ●イノセントコラージュ
戦闘力が増加する【巨大な女郎蜘蛛の邪神】、飛翔力が増加する【幽世蝶の群れ】、驚かせ力が増加する【足の無いブリキのロボット】のいずれかに変身する。
WIZ ●チョウの標本
攻撃が命中した対象に【命を止める針、避けた対象に動きを封じる糸】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【その息の根を止めるまで針や糸】による追加攻撃を与え続ける。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠虻須・志郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●第四の蜘蛛は動き出す
 祭囃子はまだ響き続けていた。
 骸魂に囚われていた妖怪たちはすべて動きを止めていたが、まだそこまで至っていない妖怪は糸に絡まれたままよたよたと盆踊りを続けている。
 もっとも、もう踊りに加わって敵の目をくらますことはできそうにないが。
「どうした? もう踊らぬのか?」
 やぐらのように、踊りの中央で椅子に座っていた女性が口を開いた。
 その背後には、世にもおぞましい、どこか蜘蛛に似た姿の巨大な骸魂が蠢いている。
 あの骸魂こそが、邪神の本体なのだ。
 その本体が、女性にとりつこうとしていた。おそらくはそれが真の力を現す手段なのだろう。
 蠢く骸魂は蜘蛛だけでなく蝶や人形のごとき形を見せることもあった。あるいは、変身能力も有しているのかもしれない。
 とはいえ、直接的に驚異なのはその大きさと、そして体から伸びる鋭い針と糸だろう。
 針は闇夜のごとく煌めいて、猟兵たちに狙いを定めている。
「踊らぬならば、我が直接食らってやろうぞ。さあ、覚悟するがいい、猟兵ども」
 邪神の笑い声が響く。
 天上の鈴のごとく涼やかに。
 なのに、地の底深くから聞こえるかのごとく重々しく。
 ――そして、邪神『第四の蜘蛛』は、猟兵たちへと襲いかかってきた。