蜘蛛の邪神は楽しい夢の中で喰らう
●今日は楽しいお祭りだ
祭り囃子が聞こえる。
高いやぐらの上からは太鼓の音が小気味良く響き、様々な妖怪たちがその回りで盆踊りを踊っている。
出店は立ち並び、焼きイカやりんご飴、だんごなどが売られている。射的やくじ引きに興じている者もいる。
子供のような姿をした妖怪が、金魚を手にして走っていく。
誰もが笑顔で、祭りを楽しんでいる――そんな、夢を見ていた。
現実の世界では、やぐらの場所には1体のオブリビオンがいる。
椅子に座る女性の背後には、ちょうどやぐらと同じくらい大きな黒い影がある。
蜘蛛の形をした影だ。
禍々しいほどに赤い……血のように赤い蜘蛛の糸が伸びて、妖怪たちに絡みついている。
祭りの夢を見て眠る者たちは、目を閉じたままひたすらオブリビオンの周りを踊りながら回っていた。
踊り続けることで、自ら糸に絡まれていくのだ。
薄笑いを浮かべたオブリビオン――第四の蜘蛛は罠にかかった妖怪たちを見て、静かに舌なめずりをした。
●グリモアベースの依頼
集まっていた猟兵たちに、白金・伶奈(プラチナの先導者・f05249)が声をかけた。
「新しく見つかった世界で骸魂にとりつかれた妖怪の活動を予知しました」
妖怪たちの世界『カクリヨファンタズム』において、オブリビオン化した妖怪は活発に悲劇を引き起こしているようだ。
「出現したのは邪神『第四の蜘蛛』です」
少女の姿をした妖怪にとりついた骸魂だ。
戦闘になれば、背後に見える巨大な禍々しい邪神の肉体と合体して強力な力を発揮するという。
また、邪神には他にもいくつかの姿があり、女郎蜘蛛の姿となって戦闘力を増したり、幽世蝶の群れとなって飛翔したり、足の無いブリキのロボットになって驚かしたりする。
蜘蛛の姿をした邪神は、針や糸による動きを封じる攻撃能力もあるようだ。
蜘蛛の周囲では奇妙な祭りが行われている。糸に絡まれながら、妖怪たちがひたすら名状しがたい盆踊りを踊っているのだ。
「第四の蜘蛛は祭り囃子で妖怪たちを引き寄せて自分の回りをひたすら踊らせ、そして最後には食べてしまうつもりのようです」
さらに厄介なことに、蜘蛛に近づくとただ踊らされるだけでなく、夢を見せられてしまうらしい。
「とても楽しくて、永遠にそこにいたいと感じてしまう素敵なお祭りの夢です。まずは、その夢から逃れなくてはなりません」
やり方は様々だろう。
自分を殴って意識を覚醒させたり、冷静に状況のあり得なさを見破ったり……。
「祭りの夢は皆様自身の願望を反映したものになります。強い意志で望みと決別するのもいいでしょう」
なんにしても、夢から逃れなくてはオブリビオンと対決できない。
「夢から逃れたあとは、まず踊っている妖怪たちの中ですでにオブリビオン化してしまっている者たちと戦わなければなりません」
敵は瑞獣でありながら『大いなる災い』をもたらすとされる麒麟の姿となっている。
オーラを纏って攻撃回数を増やしたり、ユーベルコードをコピーしてくるようだ。また、角から落雷を呼ぶこともできる。
「とはいえ、飲み込んだ妖怪が強くないので、麒麟の戦闘能力も相応となります。なお、名状しがたい盆踊りに加わりながらながら戦えば、敵を惑わして有利に戦うことができるでしょう」
とはいえ、本番はやはり、祭りの中心にいる第四の蜘蛛だ。
「永遠に幸せな夢を見続けるのも、決して悪くはありませんが、オブリビオンの企てとなれば放っておくわけにはいきません」
どうか祭りを止めて欲しいと、伶奈は猟兵たちに告げた。
青葉桂都
おはようございます、青葉桂都(あおば・けいと)です。
今回はカクリヨファンタズムで、幸せな夢を見せて妖怪をおびき寄せる蜘蛛を倒していただきます。
●祭りの会場
カクリヨファンタズムの一角にある広場です。
やぐらの代わりにオブリビオンを囲み、どこからともなく聞こえる祭り囃子に合わせて妖怪たちの名状しがたい盆踊りが行われています。
●幸せな夢
盆踊りに加わった者は、オブリビオンによって永遠に見ていたくなるような、この上なく楽しいお祭りの夢を見せられます。
第1章の冒険では、まずこの夢から覚めなくてはなりません。
どんな祭りの夢が見たいかの希望がある方は、プレイングにお書きいただけるとありがたいです。
書いていない場合は、夏に行われる一般的な盆踊りに加わっていただくことになります。
●麒麟
第2章の集団戦で戦う敵です。
祭りに加わっていた妖怪のうち一部が、すでに骸魂にとりつかれてオブリビオンとなってしまっています。
この戦闘では、盆踊りに加わりながら戦うとプレイングボーナスを得ることができます。
●邪神『第四の蜘蛛』
第3章のボス戦で戦うオブリビオンです。
盆踊りをの真ん中にやぐら代わりに座ったまま、祭り囃子を響かせて妖怪たちを呼び寄せています。
●その他
第2章と第3章では、冒頭に状況説明のための短いリプレイを追加する予定です。
ただ、フラグメントは公開されていますので、それを待たずにプレイングをかけてくださっても問題ありません。
それでは、ご参加いただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
第1章 冒険
『やさしくてひどいゆめ』
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POW : 自分で自分をぶん殴り、正気に戻る
SPD : 状況のありえなさを見破り、幻覚を打ち破る
WIZ : 自身の望みと向き合い、受け入れた上で幻覚と決別する
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
木霊・ウタ
心情
骸魂も可哀想な存在みたいだけど
他者に憑りついてオブリビオン化させるってんなら
見逃せないよな
皆を救う為
蜘蛛を倒すぜ
手段
一般的な夏祭り・盆踊りの夢
笛や太鼓の音色に交じって聴こえて来る様々な声や音
家族や友達同士の笑い声やお喋り
出店の食べ物を買い食い
射的や金魚すくいに熱中
綿あめをねだる子供の声
そんな喧騒が俺は好きだぜ
幸せってカンジがするよな
俺達猟兵が守るべきものはこれなんだって
いい夢だぜ
けど
裡から溢れる獄炎が拡がり
世界を燃やし尽くして覚醒
蜘蛛の糸も燃えてるかもな
過去は此処に
心の中にしっかりと在る
俺達は未来へと進む
時を、世界を、未来へと進めるのが猟兵だ
待ってろよ蜘蛛野郎
もうすぐ届くぜ
リネリット・エルス
とっても楽しくて、ずっとそこにいたい夢かァ……。
やっぱりみんなで楽しくお酒のんでー、そりゃァいい感じに口説かれたり逆にゆーわくしてみたりっ。ちらっと服の裾間から肌を見せてみたりして……んーふふ、やーらしい視線が向けられるのキュンキュンしちゃうっ。
えへへー、私飲みすぎちゃったみたぁーい♪ ねーぇ…ちょっとあっちで休もうよ?
――なぁんて、夢魔がこの手の幻覚に引っかかってちゃァね。
指をぱちんと鳴らせば夢からパッチリお目覚め、楽しい夢はお祭りと同じでずっと続かないからいいんだよっ。
●祭りの時間を終わらせろ
遠くで祭り囃子が聞こえる。少し蒸し暑い夜が、その音で少しだけ快適に感じる。
木霊・ウタ(地獄が歌うは希望・f03893)は、気づくと喧騒のただ中に立っていた。
聞こえてくるのは笛や太鼓の音。
それに混ざって楽しげな家族連れの声が聞こえる。
「ねえ、お父さん、お母さん! 次はわたあめが食べたいな!」
ウタのそばを幼い少年が駆け抜けていき、向こうからはその両親らしき男女が歩いてくる。
金魚すくいで、簡単に網が破れてしまって、友人たちと騒いでいる若者がいる。
恋人に射的の景品をねだっている少女がいる。
永遠に見ていたくなるような、楽しげな風景がそこには広がっていた。
「楽しんでる?」
声をかけてきたのは、ウタよりもいくらか年上であろう赤毛の女性だった。
手にした大きな紙コップの中身からはアルコールの匂いがする。
「やっぱりみんなで楽しくお酒飲んじゃったりするのはいいよねー」
夢見るような口調で言うリネリット・エルス(夢魔・f16038)から、ウタは目をそらしていた。
なにしろ、リネリットはずいぶんと目のやり場に困る、胸元が大きく開いた服を着ていたからだ。
「ん? お姉さんの服が気になるの? それとも、気になるのは服の下かな?」
いたずらな目を向けながら、リネリットは服をずらして見せる。
白い肌はお祭りの明るい光に照らされて、艶やかな輝きを放つ……が、ウタは決してそちらを見ようとはしなかった。
「えへへー、私飲みすぎちゃったみたぁーい♪ ねーぇ……ちょっとあっちで休もうよ?」
年下の少年に、甘えた声を出して語りかける。
「からかわないでくれよ……。人に見られるぜ、そんな格好してたら」
文句をいいながらそらした視線の先で、たこ焼きを分けあって食べている親子がいた。
幼い子供は、それをはじめて食べたのだろうか。目を輝かせて大きな丸い食べ物を頬張っている。
火傷しないように、母親が次の1つをさましてやっているようだ。
「いい光景だねえ」
ウタの背中にリネリットの胸が当たる。
「幸せってカンジがするよな。俺達猟兵が守るべきものはこれなんだって」
少年は一歩近づいて柔らかな感触から逃れる。
「いい夢だぜ。けど――」
ウタはリネリットの誘惑から逃れようとしたわけではなかった。
真っ赤な獄炎が、少年の体から広がり、夢を燃やし尽くしていく。
「――もうおしまいってわけか。まァ、夢魔がこの手の幻覚に引っかかってちゃァね」
燃える世界の中、リネリットが指を鳴らす乾いた音が、祭り囃子に混ざって響いた。
……ウタはゆっくりと目を開けた。自分に絡みついていた蜘蛛の糸が地獄の炎で燃え落ちていくのがわかる。
「骸魂も可哀想な存在みたいだけど、他者に憑りついてオブリビオン化させるってんなら見逃せないよな」
糸に絡まれて踊り狂う妖怪たちの姿が見える。今、自分たちが救うべき者たちの姿だ。
「過去は此処に。心の中にしっかりと在る。俺達は未来へと進む。時を、世界を、未来へと進めるのが猟兵だ」
敵を見据えるウタの耳に、指を鳴らす音が聞こえてきた。
「未来かー。楽しい夢はお祭りと同じでずっと続かないからいいんだよねっ」
近くでやはり目を覚ましたリネリットが、指を組んで背をそらし、大きく伸びをする。
きっと、他の猟兵たちも、すぐに目を覚ましてくるはずだ。
「待ってろよ蜘蛛野郎。もうすぐ届くぜ」
踊る妖怪たちの向こうで悠然と座る『第四の蜘蛛』に向けて、ウタは静かに宣言した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
星群・ヒカル
戦艦(旅団)の仲間たちと夏祭りに来ている……
夢だってこと自体は星の目の『視力・第六感』が告げる違和感、そして【超宇宙望遠鏡・析光形態】を使えば、きっとすぐにわかるだろう
だが、覚めるのが惜しすぎる夢だ
みんなで楽しく射的をしたり、買い食いをしたり
向こうでは盆踊りに誘う姿も見える
あれもこれも全部幻覚だが、幻覚だとわかってしまうことが今は恨めしいくらいに
……ここにいたい、1分でも長く。
けど、その誘いには乗れない
おれは超宇宙番長だから、ここに閉じ込められるわけにはいかないんだよな
辛い気持ちを断ち切って、おれの手を引く誰かの手を振り払う
……シケた気持ちにさせやがって
痛い目に遭ってもらうぜ、蜘蛛野郎
●仲間たちとの夏祭り
遠くからは楽しげな音色が響き、周りには笑い声が広がる。
星群・ヒカル(超宇宙番長・f01648)を包んでいるのは、そんな光景だった。
ヒカルの回りを囲む仲間の1人が、屋台の店に誘ってくる。
「ああ、いいな。祭りの食べ物って、みんなおいしそうだもんな!」
共に戦艦に乗る仲間の誘いに、宇宙番長であるヒカルが応じないわけがない。
笑い合いながら買い食いに興じる、楽しい時間。
……析光形態となった超宇宙軍帽から、警告たが響いていることはわかっていた。
ヒカルが身につけた宇宙レベルの第六感も、その警告が正しいと告げている。
(「わかってるぜ。これは全部夢なんだろ」)
でも、この夢はとても楽しかった。
仲間たちと買い食いしたり、射的で競いあったり。
盆踊りに行こうと誘ってくる者の姿も見える。
そのすべてが幻なのだということは、ヒカルにももうはっきりとわかっている。
(「なのに……幻だとわかっちまうことが、こんなにも恨めしい」)
戦艦に乗る仲間が声をかけてくる。
『どうしたんだ、ヒカル。盆踊り、いかねえのか?』
いつも通りの笑顔で、彼はそうヒカルに誘いをかけてくる。
(「……ここにいたい、1分でも長く」)
ヒカルはよく知っている彼の顔をしっかりと見つめて――そして、首を横に振る。
「ごめん。行きたいけど、行けねえんだ」
断るヒカルの顔を、彼が不思議そうに見つめる。本物の彼も、きっとするであろう表情。
もしも本物の彼が誘ってきたならば、ヒカルは決して断ったりはしないだろう。
(「おれは超宇宙番長だから、ここに閉じ込められるわけにはいかないんだよな」)
差しのべられたその手を、ヒカルは穏やかに……けれどはっきりと、振り払う。
「悪い。俺、行かなきゃいけないところがあるんだ。またな」
また現実で。
そう決断したところで、周囲の景色が変わっていく。
糸に絡まれながら踊り狂う妖怪たちの姿が、ヒカルの目に映る。これが本物の光景だと、見ただけで彼の第六感が告げた。
「……シケた気持ちにさせやがって。痛い目に遭ってもらうぜ、蜘蛛野郎」
妖怪たちの向こうで、やぐらのように座っている『第四の蜘蛛』を見据えて、ヒカルは呟いた。
大成功
🔵🔵🔵
アハト・アリスズナンバー
夢。ですか。
確かに、私の夢はありましたよ。こうやって普通の人のように楽しめる夢。
私は誰かの物真似じゃなくて、どこかの普通の子で、友達と一緒にこうして夏休みの屋台をめぐり、盆踊りを楽しんで……ああ、楽しいなぁ。
でも、夢は終わりです。ユーベルコード発動。アリスコード送信。総員、裁判の時間です。
瞬時に別のアリスズナンバー達に接続。別の個体たちに状況を検証させ……この状況は幻だと看破しましょう。
いい夢を見させてもらいましたよ。でも、終わりなんです。過去や幻はいらず、猟兵はただ前に進むのみ。
蜘蛛を捕捉し、最後の蜘蛛の糸を断ち切ってあげましょう。
●どこにもない光景、あって欲しかった光景
友だちと一緒に、彼女は祭りの会場を歩いていた。
24歳の女性ではなく、もっと幼い姿で、いないはずの友だちと歩いていた。
友人たちは屋台で買い物をして、射的に興じて、そして、彼女を盆踊りに誘ってくれる。
(「夢。ですか」)
アハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)はその手を取りながら、心の中で呟いた。
(「確かに、私の夢はありましたよ。こうやって普通の人のように楽しめる夢」)
フラスコチャイルドであり、工場で生まれて育てられた彼女の過去には存在しなかった光景。
存在しなかったけれど、存在してほしかった光景だ。
(「私は誰かの物真似じゃなくて、どこかの普通の子で、友達と一緒にこうして夏休みの屋台をめぐり、盆踊りを楽しんで……ああ、楽しいなぁ」)
猟兵となったおかげで知り合った仲間たちは、きっとお祭りに行きたいと言えば連れていってくれるだろう。
酒を酌み交わしながら仲間と歩く機会は作ろうと思えば作れるのだろう。
けれど、お祭りを無邪気に楽しむ子どもには、もう永遠になれない。
「でも、夢は終わりです」
そして取り戻せない光景をいつまでも見ていることも、できなかった。
「アリスコード送信。総員、裁判の時間です」
他のアリスズナンバーたちへと通信を送り、形成されたネットワークに接続する。
検証はたやすく行われた。
あっけなく、今見ているものはただの幻にすぎないのだと証明された。
「いい夢を見させてもらいましたよ。でも、終わりなんです。過去や幻はいらず、猟兵はただ前に進むのみ」
目覚めたアハトの体には蜘蛛の糸が絡みついていた。
視線の先には踊り狂う妖怪たちと、薄笑いを浮かべる邪神がいる。
「蜘蛛を捕捉し、最後の蜘蛛の糸を断ち切ってあげましょう」
武器を構えながら、アハトは静かに告げた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『麒麟』
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POW : カラミティリベンジ
全身を【災厄のオーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【攻撃】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD : 因果麒麟光
【身体を包むオーラ】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、身体を包むオーラから何度でも発動できる。
WIZ : キリンサンダー
【角を天にかざして招来した落雷】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を災いの雷で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●霊獣出現
今や夢の世界から猟兵たちは解き放たれていた。
視線の先にいるのは椅子に座る一人の女性。
――いや、その背後に存在する巨大な蜘蛛だ。
邪神『第四の蜘蛛』はまるでやぐらのように踊りの中心に坐したまま、猟兵たちへとなにを考えているかわからない視線を送ってきた。
「眠ったまま踊り続けていれば、苦しまずにすんだものを」
蜘蛛の声は低く威厳があるようにも聞こえたし、逆に甲高く揶揄しているようにも聞こえる。いずれにしろ、邪悪な意志を感じさせる声だ。
すぐにも戦いを挑みたいと考えたいた者も、猟兵たちの中にはいたかもしれない。
けれど、周囲で踊り続ける妖怪たちの一部が、猟兵たちに向かってきた。
もうすでに骸魂に取り込まれてしまった妖怪たちは、麒麟――伝説に語られる霊獣の姿をしている。
麒麟たちの体にはオーラがまとわりついていた。
下手に触れたら厄介なことになるであろうと、想像がつく。反撃を受けるか、あるいは何らかの形で自らを強化してくるか……。
そして、オーラと同様に厄介そうなのが麒麟たちの角だ。放電する角からは強力な電撃攻撃が放たれるだろうと、容易に想像がつく。
だが、邪神に戦いを挑むには、彼らを排除しなければならない。
妖怪たちを骸魂から救うためにも、戦いは避けられそうになかった。
リネリット・エルス
お祭りも楽しい夢も好きだけどこーゆうのはノーサンキュー、夢の代価が命っていうんじゃね……って私が云う台詞でもないか。
[UC夢魔の枷][呪詛][催眠術][生命力吸収]――麒麟には私の見せる夢の中でおとなしくしていてもらうね。呪縛、幻覚、生命力吸収の全部を受け止めたらコピーしてもUCは使えないよ。動けないところをその精気いただきますっ。
楽しい夢の中にいる相手の精気を啜るなんて、そーいうのは私の十八番なんだから。さぁーて、蜘蛛さんはどんな夢がご希望かな?
●夢魔が見せる夢
凶事を告げる瑞獣……麒麟は、まるで祭囃子に乗って踊るような動きで猟兵たちに向かって近づいてきていた。
その姿を、リネリットは静かに見つめた。
麒麟は決して自らの意志で踊っているわけではない。
蜘蛛の糸にからめとられて、醜悪な踊りを踊らされているのだ。
「お祭りも楽しい夢も好きだけどこーゆうのはノーサンキュー、夢の代価が命っていうんじゃね……って私が云う台詞でもないか」
吸血鬼と魔女の間に生まれて、夢魔として現世に身を保ち続けている彼女の存在は、果たして夢を見せ続けているあのオブリビオンよりもマシなのかどうか。
だが、なんにしても、目の前の敵を見過ごすわけにはいかない。
無理やり踊らされている妖怪たちも、麒麟も、リネリットが好む賑やかさとはまるで違う様子を見せているのだ。
オーラに身を包み、麒麟たちがリネリットへと近づいてくる。
下手に攻撃を行えば、そのオーラによって手痛い反撃を受けるであろうことは、彼女にもわかっていた。
「おいたしちゃダメだよ?」
オーラをまとったまま突撃してくる敵に対して、彼女は魔力を放つ。
魔力は糸に代わってオブリビオンたちを絡めとり、幻覚によって包み込む。そして、麒麟をたち呪縛する。
もっとも数の多い敵をすべて呪縛しきることは難しい。
角を突き出した突進によって、大きく露出したリネリットの肌が裂けた……。
けれど、リネリットの魔力は敵を縛るだけではなく、麒麟たちから生命力を奪い取る。
オーラの力が因果を操り、応報しようとする――けれど、そのオーラが、リネリットの魔力に触れたあと、消え去っていた。
まるで麒麟の得ていた力が夢であったかのように。
「楽しい夢の中にいる相手の精気を啜るなんて、そーいうのは私の十八番なんだから」
麒麟が干からびて、元の妖怪の姿へと戻っていく……。
もっとも敵はそう簡単にすべていなくなったりはしない。まだまだ、麒麟たちはたくさん残っている。
「さぁーて、蜘蛛さんはどんな夢がご希望かな?」
麒麟の向こうに見える『第四の女神』に向かって、リネリットは静かに語りかける。
オブリビオンからは今も太鼓の音が聞こえてくる……それを聞きながら、リネリットは次々に敵へと魔力を放って、幻覚で包み込んでいった。
成功
🔵🔵🔴
木霊・ウタ
心情
骸魂も可哀そうって思うぜ
必死でこの世界を目指して辿り着けなかったんだもんな
さぞ無念だろうぜ
骸魂を海へ還し
取り込まれた妖怪たちを解放するぜ
戦闘
盆踊りに加わりながら戦う
踊りや太鼓の拍子に合わせて
ギターの弦を爪弾きステップ踏む
メロディと共に獄炎を放ち麒麟を薙ぎ払う
風に煽られた炎は燃え盛るんだぜ?
敵攻撃の拍子を読んで回避
または火壁を展開して武器受け
仲間も庇う
災厄のオーラは獄炎が侵食し燃やし尽くす
例え攻撃回数が増えても
その度に
返り血や火壁の獄炎をくれてやるぜ
事後
盆踊りの曲に鎮魂曲を合奏
海で安らかにな
取り込まれた妖怪たち>
夢から覚めた?
ここは危ないから下がっててくれ
待たせたな
蜘蛛野郎
覚悟はいいか?
●消えない炎は骸魂を送る
多くの猟兵たちは踊るオブリビオンと妖怪たちに紛れ、敵を惑わしながら戦っていた。
ウタも周囲の妖怪たちが踊る盆踊りに、さりげなく加わっている。
響く太鼓の拍子に合わせ、吹き抜ける風のごとく激しく、ワイルドウィンドを爪弾く。
(「骸魂も可哀そうって思うぜ」)
踊りながら猟兵たちを探す麒麟を見ながら、彼は考えていた。
(「必死でこの世界を目指して辿り着けなかったんだもんな。さぞ無念だろうぜ」)
美しく、しかし禍々しく響く太鼓の音に合わせてステップを踏みながら、ウタは惑っているオブリビオンへと近づいていく。
「だから、骸魂を海へ還し、取り込まれた妖怪たちを解放するぜ」
言葉とともに放つのは獄炎。地獄と化している半身から、ウタは炎を放つ。
麒麟たちが炎に巻かれ、燃え上がる。
「風に煽られた炎は燃え盛るんだぜ?」
彼自身が奏でる調べと妖怪たちの踊りが、地獄の炎をさらに燃やす。
もっとも、麒麟たちは災厄のオーラで身を包んでウタへと、そして他の猟兵たちへと襲いかかってきた。
禍々しいオーラをまとった角を回避するが、オーラによって加速した動きで蹄による蹴りがさらに少年を襲う。
だが、引き裂かれた傷口から地獄の炎が噴き出した。
「何回でも攻撃して来いよ。そのたびに燃やしてやるぜ!」
傷だらけになりながら、それでもウタはギターを弾くのをやめず、踊る動きも止めようとしなかった。
加速度的に激しくなる炎の中で、幾体もの麒麟たちが燃え尽きていく。
骸魂から解放された妖怪たちの一部が起き上がる。彼らに、ウタは声をかけた。
「夢から覚めた? ここは危ないから下がっててくれ」
状況がわからないままで……それでも妖怪はうなづき、それから慌てて下がっていく。
まだ少なからず残っている麒麟が迫ってくるまでの間に、彼は空を見上げた。
(「後で盆踊りに鎮魂曲を合わせてやるから、少し待っててくれよ。海で安らかにな」)
消え去った骸魂に向けて、ウタは心の中で語りかける。
そして、襲ってくる麒麟へ目を向けて、ワイルドウィンドの弦を再び鳴らした。
敵の向こうに『第四の蜘蛛』がいるのが見える。
「待ってな、蜘蛛野郎。すぐにそっちへ行くから覚悟してろよ?」
小さく告げて、ウタは再び麒麟たちとの戦いを始めた。
成功
🔵🔵🔴
クー・フロスト
【ワンダレイ】
●説明
【口調 《死神》古風の甦生氷姫】 【台詞は『』付き】
基本的に、丁寧語(~です、~ます)もOK
昔の人なので古風に喋るのが素のようです。おばあちゃんって言ったら怒るらしい
●心情
『仲間が気になって来てみれば……愉快な事をしているのであるな』
『私も混ぜて欲しいな。祭りは皆で楽しむものであろう?』
『よきよき……では共に参ろうとするかの』
●戦闘
落雷対策:盆踊りに混じって、【オーラ防御】で自身を纏って【空中浮遊】しながら回避します。
反撃は、UC《飛来氷槍》を使用して無数の氷の槍で麒麟を貫く役目をこなします
地形『災いの雷』に変わる対策として【空中浮遊】で地上に降りないようにします
アハト・アリスズナンバー
【ワンダレイ】
あらヒカルさん。お手伝いありがとうございます。 この量は面倒ですが……皆さんがいれば何も問題ないでしょう。
盆踊りしながら戦うのは正直苦手ですが、やるだけやってみましょう。 相手は反撃系統に特化したようですね。ならば、こちらは踊りながら誘導弾で制圧射撃しつつUCを起動し、角の【部位破壊】を狙います。破壊したらグラップルで騎乗しつつ、他の奴らも砲撃してやりましょう。離れるついでに零距離射撃もおまけにどうぞ。
しかし、地形効果は厄介ですね。レーザーライフルの【リミッター解除】をして、【地形破壊】してやりましょう。
さて、残りは元凶だけですね。 さっさと片付けて祭りもお開きにしましょうか。
地籠・凌牙
【ワンダレイ】
っと、間に合ったな!番長、アハト、無事だな?
うちに手ェ出したこと後悔させてやろうぜ!
盆踊りのリズムに合わせる……ねえ。
上手くできる気しねえが見様見真似でそれっぽくするぜ。
雷ドカドカ鬱陶しいし 【指定UC】でみんなを【鼓舞】すると同時にみんなが攻撃を喰らうという"不運"を喰らう。 それから【挑発】【おびき寄せ】で俺に攻撃が向くように仕向けるぜ。
みんなの邪魔させるワケにゃあいかねえからな。
弱点解析が終わったら俺も攻撃に回る。
「艦長!投げんなら俺使え!カチコミ行くぜ!!!」
番長の合図に合わせて艦長に俺をぶん投げてもらって【怪力】に加えて【重量攻撃】も上乗せしてぶっ叩くぜ!
アルフレッド・モトロ
【ワンダレイ】の皆と参戦!
ヒカル(f01648)!アハト(f28285)!
助太刀に来た!
さあ、幻覚なんか"目"じゃねえ
俺たち飛空戦艦ワンダレイの力……魅せてやろうぜ!
【ヘルカイト】に【騎乗】&【サーフィン】しUC発動!
ヒカルの指示とクー(f08503)の氷槍を頼りつつ攻撃を避け
コピー対策で【ワンダレイアンカー】での物理攻撃を仕掛ける
今回の俺のUCは能力向上系だし
「受け止めた」の条件は満たさんと思うが念のためな!
攻撃の合間に凌牙(f26317)を拾って
UCで底上げした速度も載せて敵に【怪力】で【投擲】!
よっしゃあ凌牙!
ブチかましてやれ!
…えっ
なんで浴衣着てんのかって?
いやぁ祭って聞いたもんでよ!
星群・ヒカル
【ワンダレイ】で参加だ
アハト、おめーもいたのか!
しかしあの蜘蛛に辿り着くには前座が多すぎるようだなッ、行けるか?
……おっと、頼もしい援軍が現れたようだぜ!
夢なんかじゃない、本物の力を見せてやるとするか!
敵のオーラの存在が厄介なようだな
盆踊りの動きに『パフォーマンス』で合わせつつ接敵
敵の攻撃は一般妖怪に当たらないよう注意しながら『逃げ足・早業』で回避
仲間が気を引いてくれているうちに【超宇宙望遠鏡・析光形態】を用いて敵の弱点を分析するぞ
オーラが弱まるタイミングや箇所を見つけたら皆に共有し、一撃を加えるタイミングで合図をするぞ
奴らは取り込まれただけの存在にすぎない、お手柔らかになッ!
●飛空戦艦からの援軍
残っている麒麟はまだ多い。
猟兵たちは、盆踊りをしながら迫る敵をなおも迎え撃つ。
その中で、知った顔と出会う者たちがいた。
「アハト、おめーもいたのか! しかしあの蜘蛛に辿り着くには前座が多すぎるようだなッ、行けるか?」
ヒカルが盆踊りの動きに合わせつつ、フラスコチャイルドの小柄な女性に声をかける。
「あらヒカルさん。お手伝いありがとうございます」
アハトも少しぎこちないながらも盆踊りを踊りながら、超宇宙学生服に身を包んだ番長へと応じた。
2人は同じ旅団、同じ飛空戦艦に集った仲間なのだ。
そんな2人を麒麟たちは容赦なく囲んで、襲ってくる。
無数の角から電撃が放たれようとした、その瞬間――聞き覚えのある声が、2人の耳へと届いた。
「ヒカル! アハト! 助太刀に来た!」
叫んだのはエイのような形をした帽子……に見える頭部をもつキマイラ。
飛空戦艦ワンダレイの艦長を務めるアルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は、風に乗って空中を滑る『ヘルカイト』に乗って戦場に割り込んできた。
浴衣の裾をひるがえし、電撃を反重力サーファーが受け止める。
角を掲げて突進してきた別の麒麟を、ドラゴニアンの青年が殴り飛ばした。
「っと、間に合ったな! 番長、アハト、無事だな? うちに手ェ出したこと後悔させてやろうぜ!」
地籠・凌牙(黒き竜の報讐者・f26317)の力強い拳が、麒麟を粉砕する。
さらに、祭囃子に乗って、冷たい風が戦場を吹き抜けた。
『仲間が気になって来てみれば……愉快な事をしているのであるな』
大鎌を手に、藍色の髪をなびかせて現れたのはクー・フロスト(《甦生氷姫》コスプレ氷姫ちゃん・f08503)だった。
『私も混ぜて欲しいな。祭りは皆で楽しむものであろう?』
涼やかな声を発してクーが告げる。
いずれも、飛空戦艦ワンダレイに集う仲間たちだ。
「……おっと、頼もしい援軍が現れたようだぜ! 夢なんかじゃない、本物の力を見せてやるとするか!」
「この量は面倒ですが……皆さんがいれば何も問題ないでしょう」
仲間たちと並び立ち、ヒカルとアハトが言う。
猟兵を囲むオブリビオンたちに、5人はひるむことなく立ち向かった。
盆踊りに加わって敵を惑わしながら、猟兵たちは動き出す。
幾体かの麒麟が、猟兵たちへと攻撃するために角に雷をまとわせた。
『よきよき……では共に参ろうとするかの』
踊りながら宙を滑るクーが、雷をオーラで防ぐ。とはいえ、何体もの敵が放つ雷は、たやすくすべては防げない。
他の仲間たちも雷を浴びてしまっていた。地面が雷に覆われて動きも取りにくくなる……が、空を浮いているクーにはあまり関係ない。
『貫け――。シュナーベル』
産み出した氷の槍が、彼女の声に応えて麒麟たちへと一気に襲いかかった。
また、アハトもぎこちなく踊りを続けながら、攻撃をしかけた。
誘導弾で牽制しつつ、アリスコードを送信する。
「アリスコード送信。対象をジャバヴォックと認識。ヴォーパルソード射出用意」
対怪物に特化した魔法剣が、アハトの周囲に無数に出現する。
乱舞する氷の槍に、魔法剣もが加わって、麒麟たちの間を飛び交う。
槍が敵の胴体を貫き、剣が厄介な角を切り裂く。
アハトはさらに、角を失った1体に飛び乗って、砲撃による追撃を加えた。
麒麟は氷の槍と魔法剣によって数を減らしたが、それでも地面は災いの雷によって覆われていた。
「ちっ、ドカドカうっとうしい雷だぜ!」
凌牙が叫んだ。
「不幸も、呪いも! 何もかも全部俺が喰らってやる!」
力強い彼の言葉が仲間たちを鼓舞して、吉兆の刻印を刻み込む。
目立つ動きを見せた凌牙へと、麒麟たちが集まってくる。
オーラをまとった激しい連続攻撃が、凌牙に向かってしかけられる。
「そうそう、こっちに来い。みんなの邪魔させるワケにゃあいかねえからな」
いくらかの攻撃を食らい、それでもまだ生き延びて、凌牙はヒカルへと視線を送る。
ヒカルはじっと敵を見据えた。
「この超宇宙番長の目を、欺けると思うなッ!」
自分の体に寄生した超宇宙望遠鏡『ガントバス』を起動して、自分の目を『星の目』へと変化させる。
オーラをまとって襲ってくる敵を素早く回避しながら、彼は敵の姿を観察した。
「みんな、オーラは常に発動してるわけじゃない。俺が合図するから弱まるタイミングを待って攻撃するんだ」
「了解いたしましたよ、ヒカルさん。オブリビオンを制圧撃破してしまいましょう」
アハトが少年の言葉に応じた。
「頼むぜ! ただ、奴らは取り込まれただけの存在にすぎない、お手柔らかになッ!」
敵の存在を見つめ続けながらヒカルは言葉を返した。
「おうよ! 任せておきな! よろしく頼むぜ、ヒカル!」
力強い言葉でアルフレッドがヒカルに応じた。
「おらァ! 退いた退いたァ! ……行くぜ、相棒! フルスロットル!!」
ヘルカイトを変形させて、彼の動きがさらに加速する。
ユーベルコードを真似るという災厄のオーラをまとった敵だが、自らを強化する技まではコピーできまい。
「今だ!」
「よーし、行くぜみんな!」
飛空戦艦ワンダレイに備え付けられていた錨を飛ばして、アルフレッドは攻撃する。
錨が容赦なく、軌道上にいる麒麟たちを粉砕していく。
クーの氷槍やアハトのレーザーライフルも同時に飛んでいた。
「地形効果も厄介です。一緒に破壊してしまいましょう」
『そうだな。地上に降りなければ影響はないが、確かに不便であろう』
冷気をまとって浮遊しながら、クーがゆっくりと頷く。
アハトのライフルは、敵と一緒に『災いの雷』に覆われた地面をも破壊していた。
麒麟たちの数は、もはや少なかった。
ヒカルが観察している間に敵の攻撃を引き付けていた凌牙も攻撃に回る。
「艦長! 投げんなら俺使え! カチコミ行くぜ!!!」
飛び退いた凌牙と、高速で移動するアルフレッドの軌道が重なる。
「ああ、使われてもらうぜ、凌牙! ヒカル、もういっぺん頼むぜ!」
ドラゴニアンの青年を引っつかんでさらに加速しながら、アルフレッドはヒカルへと告げる。
「わかった! 残ったやつらも解放してやろうぜ!」
応じたヒカルが再びガントバスで敵を観察する。
残った麒麟たちは禍々しいオーラをまとい、加速しながら襲ってくる。
「攻撃の前に隙ができる! ……今だ、艦長!」
「よっしゃあ凌牙! ブチかましてやれ!」
ヒカルの合図に、間髪入れずにアルフレッドが怪力で仲間を投げつける。
加速に己の体重をのせて、凌牙は強く拳を握った。
言葉にならない裂帛の気合いが、祭囃子を塗りつぶす。
拳は敵の1体を粉砕し、さらに衝撃で周囲の敵をも吹き飛ばす。
動きの止まった麒麟たちを、アルフレッドのアンカーが、ヒカルのフックワイヤーが、アハトのライフルが、クーの氷槍が撃破する。
他の猟兵たちも加わって、傷ついた敵を完全に一掃していた。
骸魂から解放され、倒れている妖怪たちの向こうにいるのは、『第四の蜘蛛』のみだった。
なおま流れる祭囃子に、誰かの奏でる鎮魂の調べが混ざる中、猟兵たちは首魁へと視線を向ける。
「さて、残りは元凶だけですね。 さっさと片付けて祭りもお開きにしましょうか」
アハトがオブリビオンへライフルを向ける。
「うむ。仲間と楽しむのは悪くないが、あの余裕の表情をいつまでも見ていたいとは思わんの」
クーも浮遊したまま油断なく身構える。
「そういや艦長、来てくれたのはありがたいけど、なんで浴衣なんか着てるんだ?」
ヒカルに問われて、アルフレッドが面食らった顔をした。
「……えっ。なんで浴衣着てんのかって?」
それから、ほがらかに笑って彼は答える。
「いやぁ祭って聞いたもんでよ!」
艦長の笑い声を聞き、仲間たちの表情にも笑みが浮かんだ。
「そんじゃ、蜘蛛退治といくか。俺たちの力を見てもまだ笑っていられるか、試してやろうぜ!」
凌牙はオブリビオンの姿を見た。
祭りの中心で、敵はなお気味の悪い薄笑いを、浮かべていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『邪神『第四の蜘蛛』』
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POW : アトラク=ナクア
骸魂【となった邪神『第四の蜘蛛』の肉体】と合体し、一時的にオブリビオン化する。強力だが毎秒自身の【存在を繋ぎ止める糸】を消費し、無くなると眠る。
SPD : イノセントコラージュ
戦闘力が増加する【巨大な女郎蜘蛛の邪神】、飛翔力が増加する【幽世蝶の群れ】、驚かせ力が増加する【足の無いブリキのロボット】のいずれかに変身する。
WIZ : チョウの標本
攻撃が命中した対象に【命を止める針、避けた対象に動きを封じる糸】を付与し、レベルm半径内に対象がいる間、【その息の根を止めるまで針や糸】による追加攻撃を与え続ける。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠虻須・志郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●第四の蜘蛛は動き出す
祭囃子はまだ響き続けていた。
骸魂に囚われていた妖怪たちはすべて動きを止めていたが、まだそこまで至っていない妖怪は糸に絡まれたままよたよたと盆踊りを続けている。
もっとも、もう踊りに加わって敵の目をくらますことはできそうにないが。
「どうした? もう踊らぬのか?」
やぐらのように、踊りの中央で椅子に座っていた女性が口を開いた。
その背後には、世にもおぞましい、どこか蜘蛛に似た姿の巨大な骸魂が蠢いている。
あの骸魂こそが、邪神の本体なのだ。
その本体が、女性にとりつこうとしていた。おそらくはそれが真の力を現す手段なのだろう。
蠢く骸魂は蜘蛛だけでなく蝶や人形のごとき形を見せることもあった。あるいは、変身能力も有しているのかもしれない。
とはいえ、直接的に驚異なのはその大きさと、そして体から伸びる鋭い針と糸だろう。
針は闇夜のごとく煌めいて、猟兵たちに狙いを定めている。
「踊らぬならば、我が直接食らってやろうぞ。さあ、覚悟するがいい、猟兵ども」
邪神の笑い声が響く。
天上の鈴のごとく涼やかに。
なのに、地の底深くから聞こえるかのごとく重々しく。
――そして、邪神『第四の蜘蛛』は、猟兵たちへと襲いかかってきた。
木霊・ウタ
心情
蜘蛛を海へ還し
少女を解放するぜ
戦闘
待たせたな
蜘蛛野郎
覚悟はいいか?
獄炎纏う焔摩天を無尽に振るい
鈎爪や針を砕き炙り
糸を断ち燃やす
炎壁&武器受けで防御
仲間も庇う
受傷時は返り血の獄炎を喰らわせ
鈎爪や針、糸を同上
存在を繋ぎ止める糸ってのも
普通のと一緒に纏めて薙ぎ払い燃やす
蜘蛛
わざわざ踊らせて夢を見させたのは
あんたの心残りか
骸魂になっちまったんだもんな
未練は当然だぜ
そして
嘗ての妖怪仲間の命を啜るなんて
元のアンタなら決して望まない筈だ
もう十分だ
紅蓮に抱かれて休め
少女の妖怪へ聴こえるか判んないけど声掛け
すぐに助ける
もう大丈夫だ
事後
骸魂へ鎮魂曲
海で安らかに
んじゃ今度こそ
本物の夏祭りで盛り上がろうぜ(ぐっ
カルロス・エルウラカン(サポート)
確かに使命の為に躍起になる私達は『化け物』かもしれません…あなた達から見れば理不尽かもしれませんが大きな厄災が起こる前に改めて骸の海へ戻って頂きます。
行動
探索の際は痕跡から手掛かりを得る様に努めます。
囮の際は率先して受け持ちます。
戦闘
正念場ですから、少々力押しになりますが私も全力を持って応えねばなりませんね。
隙を見せるので大ダメージを受けるリスクは大きいですが『ジャスティス・ペイン』で身体能力を底上げして【大連珠】を武器として拳に巻き近接戦闘に移らせて頂きます。
その他
もしも、勝利できたのなら勝ったことを喜ぶ前に倒した相手に弔いの祈りをしておきたいですね…。
アドリブ共闘OKです
●蜘蛛へと送る鎮魂の想い
薄笑いを浮かべて猟兵たちを見やる第四の蜘蛛。
猟兵たちは、そんな邪神に対してまっすぐに近づいていく。
(「蜘蛛を海へ還し、少女を解放するぜ」)
ウタはその想いを胸に前進した。
「待たせたな、蜘蛛野郎。覚悟はいいか?」
少年の言葉に、邪神は気味の悪い笑みを浮かべてみせる。
視線の先で邪神が変貌するのが見えた。
巨大な蜘蛛の影が女性の姿に融合し、オブリビオンが実体と化す。
焔摩天に獄炎をまとわせ、ウタは接近してくる敵を迎え撃つ。
巨大な刀身に刻まれた梵字の形に、炎が燃えている。
振り下ろされた巨大な鉤爪を、ウタは炎とともに切り飛ばした。
けれど、敵の爪は1つではない。別の爪が、ウタの体を貫こうとする。
「危ない!」
そこに割って入ったのは四角い仮面をつけた男だった。
「すまない、助かったぜ」
「いえいえ気にしないでください。ただ、困っている人を見捨てられないだけですよ」
言いながら、カルロス・エルウラカン(復讐の仮面・f06567)は大連珠をしっかりと拳に巻きつけていた。
「正念場ですから、少々力押しになりますが私も全力を持って応えねばなりませんね」
巨大なその敵に対して、ヒーローマスクをかぶった男は人間と大きく変わるサイズではない。不利は否めなかったが、カルロスは真正面から敵へと近づいた。
ウタも炎をまとった剣を手に、同じくさらに前進する。
「すぐに助ける。もう大丈夫だからな」
巨大な剣を振り下ろしながらウタは蜘蛛と融合している女性へ告げた。
果たして彼女に声が届いるのかどうか。邪神の薄笑いだけがその面に浮かんでいる。
カルロスの拳が、ウタの剣が、第四の蜘蛛を傷つけていく。
蜘蛛が放つ針のついた糸がカルロスを襲った。
それを、今度はウタがかばう。
針によって少年の体が貫かれ……その傷口から、炎が噴き出した。
より猛烈な勢いを伴った炎が焔摩天をまとう。針を炙って砕き、そこからつながる糸を燃やして断ち切る。
炎をまとったまま、巨大な蜘蛛へとウタはひるむことなく接近していった。
「わざわざ踊らせて夢を見させたのは、あんたの心残りか」
振り下ろした剣が鉤爪に受け止められた。
「骸魂になっちまったんだもんな。未練は当然だぜ。そして、嘗ての妖怪仲間の命を啜るなんて元のアンタなら決して望まない筈だ」
炎をまとった剣と、巨大な鉤爪がせめぎあい、押し合う。
全身の力を込め、ウタは焔摩天を押し込む。
「もう十分だ。紅蓮に抱かれて休め」
そして、炎は深々と第四の蜘蛛を切り裂いていた。
「……あなた達から見れば理不尽かもしれませんが大きな厄災が起こる前に改めて骸の海へ戻って頂きます」
カルロスの大連珠を巻き付けた拳も、ユーベルコードの力を得て強力な一撃となって第四の蜘蛛に痛烈な打撃を加えている。
「……終わったら、あんたのために鎮魂歌を歌ってやる。だから、海で安らかに眠ってくれよな」
「よい心がけですね。私も、勝利できた時は喜ぶ前に弔いの祈りを捧げることにしています。今回は鎮魂の歌に乗せて祈りましょう」
2人の猟兵たちは言葉を交わし、うなづきあう。
だが、まずは第四の蜘蛛を倒さねばならない。ウタやカルロスの攻撃は痛烈なダメージを与えていたが、まだまだオブリビオンを倒すほどではない。
「こいつを倒して弔ったら、今度こそ本物の夏祭りで盛り上がろうぜ」
再び攻撃を受け、傷口から血を噴き出しながら、ウタはひるむことなく言う。
けれども、戦いはまだまだ終わりそうになかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
クー・フロスト
【ワンダレイ】
●
【口調 《死神》古風の甦生氷姫】
『今宵は愉快な祭りに招待して頂き……
はて?私は御呼びでない?そう寂しい事を言うでない』
『同じ邪神が何故そちら側に…?
色々と事情があるのよ、うふふ……』
●行動妨害
巨大な女郎蜘蛛の邪神が進む侵攻方向を【氷柱】で妨害し
幽世蝶の群れを【氷隕石】で押し潰し
足の無いブリキのロボットは【氷魔法陣】を空中で捕らえ凍結させる
様々な妨害する氷の術はまるで氷城のようで
二人の邪神が支配領域を塗り替える遊びをしているようにも見える
●味方支援
『皆を支えるのって楽しいわね。頑張ってね……うふふっ』
UCが完成したら、ワンダレイの皆の足元に【氷魔法陣】引いて【治癒魔法】を掛けます
アハト・アリスズナンバー
【ワンダレイ】 ようやくこのふざけた祭囃子も終わりですね。
邪神が相手というのなら、尚更ヴォーパルソードが効くことでしょう。
今回の役目は相手を引き付けておくこと。敵の「存在をつなぎ留める糸」を【破魔】たるヴォーパルソードとソードドローンにて叩き切りましょう。さあ、あなたの糸が切れるか私の命が切れるか競いましょうか。……まあ、肉体に頼った貴方の負けですけどね。
瀕死になったら【激痛耐性】と【継戦能力】を生かして肉薄し、相手に食われつつUCを起動。敵を巻き込んで自爆します。再セットアップが完了したら皆さんの援護をしつつ、レーザーライフルを【焼却】弾にして奴を燃やしましょう。さて、最後は任せましたよ艦長
アルフレッド・モトロ
引き続き【ワンダレイ】の皆で共闘
ウチのヒカルとアハトが世話になったようだな!
幻覚に俺達を選ぶたぁ良いセンスしてんじゃねえか
ナメた真似しやがった落とし前、ツケてもらうぜ蜘蛛野郎!
凌牙(f26317)と一緒に敵の攻撃を捌きながら
番長(f01648)が纏めてくれる糸を【焼却】
アハト(f28285)の自爆後すぐ敵に【ダッシュ】
クー(f08503)の治癒もあるし
多少の被弾は【気合い】で耐えつつ
UCで【カウンター】&【捨て身の一撃】だ!
その糸で己自身を繋ぎとめているというのなら…
溟獄の蒼炎がお前を燃やし尽くすまで!
地獄へようこそ!第四の蜘蛛!
戦闘後余裕あれば
無茶したアハトはじめ共闘した皆を
労れるだろうか?
星群・ヒカル
【ワンダレイ】
てめーが今からやられるなんて夢にも思わねぇ……
そんなスカしたツラしやがって、後悔しても遅いからな?
おれたちの力を見せてやるッてんだ!
引き続きおれは『星の目』で手に入れる『第六感・視力』を生かして
敵がどの形態に変化するかの前兆がないか見抜いていくぞ
攻撃は『逃げ足・早業』で回避だ
アハトが気を引いている今のうちがチャンス……!
敵の「存在をつなぎ留める糸」を【超宇宙望遠鏡・析光形態】使用して目視『早業』で後ろから接敵し手で鷲掴みだ
櫓くらいでかいんなら、死角ができる隙もでかいってことだからな!
ふふふ、てめーの弱点ってのは、こいつのことだろ?
みんな、一斉攻撃だ!
※アドリブOKです
地籠・凌牙
【ワンダレイ】
てめえに付き合う義理はねえ。
踊りたけりゃてめえ一人で不運と踊ってやがれ!
アハトの策を知られないようにしねえとな。
【おびき寄せ】や【挑発】を使って適度に攻撃を俺に向けてUC起動を待つ。
「――てんめえ……ッ、よくも俺の仲間をッ!!」
その後は怒り狂った振りして【指定UC】で炎を纏った状態で突貫、番長が見つけてくれた糸を焼き尽くす!
それから【怪力】【鎧砕き】でさらに防御面を崩した上で【グラップル】でアハトが復活するまで動きを封じるぜ。
【火炎耐性】の応用で焼却弾もある程度耐えられるからな。
焼却弾が命中したら固めるのをやめて距離を取るぜ。
「艦長!最後に一発でかいのブチかましちまえ!」
●蜘蛛を撃ち抜け!
傷つきながらも余裕の表情を崩さない第四の蜘蛛に対して、飛空戦艦ワンダレイの面々はそれぞれの得物を手に接近する。
「てめーが今からやられるなんて夢にも思わねぇ……そんなスカしたツラしやがって、後悔しても遅いからな?」
超宇宙学生帽をかぶり直し、宇宙番長は邪神をにらみつける。
「おれたちの力を見せてやるッてんだ! この超宇宙番長の目を、欺けると思うなッ!」
見据えるヒカルの瞳には、今も魔眼が宿っている。
観察していることを気取られないように、仲間たちはヒカルを背に敵へ向かう。
「ウチのヒカルとアハトが世話になったようだな! 幻覚に俺達を選ぶたぁ良いセンスしてんじゃねえか。ナメた真似しやがった落とし前、ツケてもらうぜ蜘蛛野郎!」
まるで巨大な帽子のようなエイを頭にかぶったアルフレッドは、錨を手に前進する。
「我が力をそんな金属の塊で防げると思うのか。面白い……実に面白いぞ。もっともっと踊らせてやろう、猟兵ども」
「女郎蜘蛛に変身するぜ! 気をつけろ!」
ヒカルが発した警告の言葉と同時に、敵は姿を変化させていた。
巨大な脚のうち2本が、アルフレッドに向かってくる。
警告のおかげで一方はかわしたものの、もう一方が彼の体を吹き飛ばした。
そんな女郎蜘蛛に向かって凌牙も突撃していく。
「てめえに付き合う義理はねえ。踊りたけりゃてめえ一人で不運と踊ってやがれ!」
脚を殴り飛ばして、彼はさらに移動する。敵の攻撃が狙いやすいよう――敵を観察するヒカルや、他の仲間たちの目論見が敵にばれないように。
凌牙へ向かう第四の蜘蛛の前に、巨大な氷柱が出現した。
「――なに?」
蜘蛛の邪神が視線を向けるのはそれを生み出した、和装に身を包む女性。
「今宵は愉快な祭りに招待して頂き……はて? 私は御呼びでない? そう寂しい事を言うでない」
とりついた女性の表情から邪神の感情を読んで、クーは肩をすくめた。
「今度は蝶だ!」
星の目へと変化させたガントバスで観察を続けるヒカルは、その並外れて高い第六感の助けも相まって、第四の蜘蛛の動きを的確に読み取る。
「助かるぞ、ヒカル殿」
大魔術を身に宿したクーは氷隕石を降らせて敵の動きを阻害する。
先ほど突き立った柱の間に積みあがった隕石は、まるで氷の城のようだった。
あたかも、死神を宿したクーが邪神の領域を自らの領域へ塗り替えていくかのように。
妨害された幽世蝶が1ヶ所に固まり、まるで第四の蜘蛛が怒りの表情を浮かべているかのごとき顔を形作る。
「同じ邪神が何故そちら側にいるか問いたいのかの……? 色々と事情があるのよ、うふふ……」
そううそぶいて、クーはさらに敵の妨害を続ける。
クーの妨害や、アルフレッドや凌牙が注意を引いているのは、他の仲間の動きを隠すためでもあった。
「今です!」
言葉を発したのはアハトだった。
魔法剣ヴォーパルソードを構えて、鋭利な刃を備えたドローンたちを射出。
「ようやくこのふざけた祭囃子も終わりですね。邪神が相手というのなら、尚更ヴォーパルソードが効くことでしょう」
骸魂と妖怪の肉体とつなぎとめる糸を、破魔の力を用いて断つ。
オブリビオンの肉体を維持するために毎秒消費しているという糸を断ち切る作戦だ。
「さあ、あなたの糸が切れるか私の命が切れるか競いましょうか。……まあ、肉体に頼った貴方の負けですけどね」
「ならば試してみるか」
アリスズナンバーたちのネットワーク画面を立ち上げて、アハトは糸を断っていく。
もっとも、第四の蜘蛛も黙って自らの力が失われているのを見てはいない。
巨大な鉤爪と尻尾による攻撃が彼女へと集中する。
その攻撃もまた、アハトの意図のとおりだった。
ワンダレイの仲間たちは彼女の策を知っていた――だから、傷つけられる彼女を助けようとはしない。
鉤爪がフラスコチャイルドの小柄な体を貫く。
アハトが血を吐いて、そして傷ついたままで第四の蜘蛛へと一気に近づいた。
女郎蜘蛛が巨大な口を開けてアハトへ食らいつこうとする……その瞬間、彼女の体が大爆発を起こした。
さしもの邪神もこの自爆攻撃を受けて無傷ではすまない。
「自己犠牲か? 興の覚めることをことをするものよ」
「――てんめえ……ッ、よくも俺の仲間をッ!!」
怒り狂った――振りをした、凌牙が突撃していく。
ドラゴニアンの鱗をはがして噴出する炎をまとって、彼は第四の蜘蛛へ近づく。
邪神が彼を迎え撃とうとしたところで、オブリビオンはアハトの自爆でできた隙に接近してきていたもう1人の猟兵に気づいた。
「俺がいるのに気づかなかっただろ? 櫓くらいでかいんなら、死角ができる隙もでかいってことだからな!」
蒼く目を輝かせたヒカルが妖怪と骸魂を結ぶ糸を鷲掴みにしていた。
「ふふふ、てめーの弱点ってのは、こいつのことだろ? みんな、一斉攻撃だ!」
「おお、やってやるぜ!」
突撃してきていた凌牙は紅蓮の炎で糸の束を殴りつけ、焼く。
「アハトが捨て身で作ってくれた隙、無駄にはできねえからな! そうだろ?」
アルフレッドがダッシュしながら仲間へと視線を送った。
「そうですね。死ぬほど痛かったんですから。死にましたけど」
レーザーライフルを構えてアハトが艦長に応じた。
自爆した直後に、アリスズナンバーの別個体を召喚したのだ。もっとも別個体とはいっても記憶はすべて引き継がれており、見分けることはできなかったが。
不敵な表情を浮かべてアルフレッドがアンカーを糸へと叩きつけようとする。
「これ以上はさせんぞ――!」
第四の蜘蛛の鉤爪が彼の体を貫いて、その歩みを止めた。
けれど、脚に気合を込めて、アルフレッドはさらに一歩を踏み出した。
もっとも前進させたのは気合だけではない。
「皆を支えるのって楽しいわね。頑張ってね……うふふっ」
クーの大魔術はいつの間にか仲間たち全員の足元に氷魔法陣を展開して、治癒魔法で支援を続けていたのだ。
第四の蜘蛛はアルフレッドやアハトの攻撃を止めようとしたが、ヒカルが握ったままの『存在をつなぎとめる糸』を引っ張り、凌牙が敵の巨体を抑え込んで逆に動きを止める。
ワンダレイ以外の猟兵たちが放つ炎も邪神を焼いていた。
アハトのライフルから飛び出した焼却弾が巨体に命中して、第四の蜘蛛を燃やす炎をさらに強めている。
「さて、最後は任せましたよ艦長」
「艦長! 最後に一発でかいのブチかましちまえ!」
アハトと凌牙の声を受けて、アルフレッドは第四の蜘蛛に触れそうなほど接近した。
「頼むぜ、艦長!」
「存分にやるがよい」
ヒカルとクーの声も聞こえた。
「させる――ものか!」
鉤爪がアルフレッドを貫く――が、その貫いた鉤爪を、体内から噴き出すものが押し戻そうとしていた。
「その糸で己自身を繋ぎとめているというのなら……溟獄の蒼炎がお前を燃やし尽くすまで!」
不敵に笑うキマイラの傷口からは、蒼炎が爆発的に噴き出していた。
「地獄へようこそ! 第四の蜘蛛!」
噴火にも等しい勢いで飛び出す炎から、凌牙が素早くヒカルの腕を引いて逃れる。
第四の蜘蛛は逃げられなかった。
祭りの終わりを告げる花火のごとく、炎が糸を焼き尽くし、巨大な骸魂を炎のやぐらへと変える――そして、炎が消えていくのとともに、オブリビオンもまた消えていた。
「どうやら無事に片付いたか。消火は必要なさそうじゃな」
クーが言葉を発すると、仲間たちは一斉に息を吐いた。
「無事に片付いたみたいでよかったぜ。みんなお疲れさん。特にアハト、ずいぶん無茶しやがったけど大丈夫か?」
艦長であるアルフレッドが仲間たちへねぎらいの言葉をかける。
「無茶したのは艦長も同じに見えましたがね。ともかく、私はなんともありませんよ」
アハトが応じる。
「みんなが来てくれて、本当に助かったぜ。ありがとな!」
ヒカルが明るく仲間たちに礼の言葉を述べる。
「気にするな。俺たち猟兵には、こんな祭りが似合いってことさ」
凌牙が応える。
祭囃子はもはや聞こえなくなって、代わりに誰かが奏でる鎮魂歌が響いていた。
邪悪な祭りはもはや終わり、目を覚ました妖怪たちは素早く――あるいは、一部の者は猟兵へと礼を言って――姿を消していく。
「けど、みんなと出かける夢は楽しかったなあ。できたら、夢じゃなくて本当に楽しい祭りに行きたいもんだぜ」
「そうですね。ヒカルさんが見た夢も、ずいぶん楽しそうです」
後には、見せられた理想の夢の欠片が、わずかに残っているだけだった。
大成功
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最終結果:成功
完成日:2020年07月15日
宿敵
『邪神『第四の蜘蛛』』
を撃破!
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