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心頭滅却すれば、我慢比べなど何するものぞ(作者 Oh-No
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 ――それにしても、暑い。
 豆腐小僧は朦朧とする意識に苛まれながら、周囲を見渡した。
 結構な数の妖怪がいる、広い屋内である。立ち込める靄のせいもあるのだが、なにしろ端が見渡せない。こんな建物が村にあっただろうか。あったなら忘れるはずもないのだが。
 ――そもそもオラは、どうやってここに来た?
 茫洋とする頭で記憶を辿っていると、人が集まっているあたりから、わぁーっ、と歓声が上がった。何かの勝負がついたのだろう。
 開催されている種目は、どうやら『我慢比べ』であるらしい。『我慢比べ』であるならば、このあまりに高い室温も理解できる……ような気がした。
「おやおや、豆腐小僧さん。暑そうだね、どうだいひとつ?」
「こりゃすまないね、いただくよ」
 親しげに話しかけてきた砂かけ婆(知らない顔だ)から、ふかふかの毛布を受け取って、豆腐小僧は体に巻き付けた。
 ――それにしても、暑い。こんなんじゃ、豆腐も茹だってしまうよ。


「我慢比べ大会、などという集いが開かれているようです。それもオブリビオンの手によって」
 集った猟兵たちの前で、枦山・涼香(烈華なる黒狐・f01881)が穏やかに語りだす。
「我慢比べとは、暑い最中にどれだけ暑さに耐えられるかを競うレトロな競技だそうです。苦行に身を投じて、悟りでも開こうというのでしょうか。わたしは参加を遠慮しておきたいですが」
 それだけであれば、特色ある大会というだけで終わっていたかもしれない。
「けれど、オブリビオンが関わって何も起きないはずがありません。大会に参加しているものはもちろん、観客さえもが無意識のうちに、より暖を取る行動をとってしまいます。アツアツの汁粉があれば喜んで口にし、炬燵があれば深々と潜り込んで蜜柑を剥き、暖炉があれば薪をくべて安楽椅子で猫を撫でる、といった具合です」
 涼香は妙に具体的な例を引きつつ、オブリビオンが齎す災難について説明していく。
「人間なら熱中症で倒れてしまうところですが、妖怪の方々であれば大丈夫なのかもしれません。しかし、彼らが望んでそのような行動を取っているわけでないことは明らかです。妖怪たちを助けてあげてください」

 大会会場は、ちょっとあり得ないほどに広い屋内であり、ひたすら蒸し暑い。猟兵たちはその一角に転送され、大量の汗をかくことになるだろう。
 最初の試練は、会場にずらっと並んでいる石像だ。この石像、なんと前を通る者の心の動揺を感知して、火を噴きつけてくるのだ。もちろん熱いし、暑い。
 石像の合間には驚かせようと迫る弱い骸魂達がひしめき、喉が渇いた参加者のために、腹の底から温まる生姜湯などが用意されている。その意外な美味しさに心揺らしたら、火を浴びせられることは必定だ。
 休憩スペースには炬燵型のベンチなどもあり、そこには炬燵の魔力に囚われているものたちなど、より暖を取ろうとしてしまう妖怪たちがいるから、ぜひ助けてあげてほしい。

 どうにか石像の並びを抜けて会場の中心に踏み込むと、骸魂に飲み込まれてオブリビオン化した妖怪と、山のように積まれた暖を取るためのアイテムが待ち受けている。また妖気も一層強まり、暖を取らせようとする圧力は猟兵たちの行動を阻害してしまうほど。ここはいっそのこと、『暖を取る』ことに逆らわず、どてらを羽織ったりして戦ったほうが有利に戦えるだろう。

 そして最奥には『我慢比べ大会』の主催者たるオブリビオンがいる。周囲を濃厚に満たす妖気に対しては先ほどと同様、逆らわない手段が有効だろう。しかしあえて妖気に逆らい、圧力と『我慢比べ』して猟兵の矜持を見せつけることもまた一つの在り方には違いない。
「そもそも何故このような大会を開こうと考えたのか、そこはわかりません。しかし、心から楽しんで参加している妖怪はいないでしょう。おそらくは主催者のオブリビオンさえも。みなさま、妖怪の方々をなんとしても救い出してあげてください。お願いいたしますね」





第3章 ボス戦 『フェニックスドラゴン』

POW ●不死鳥再臨
自身が戦闘で瀕死になると【羽が燃え上がり、炎の中から無傷の自分】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD ●フェニックス・レイ
レベル分の1秒で【灼熱の光線】を発射できる。
WIZ ●不死鳥の尾
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル✕10本の【炎の羽】で包囲攻撃する。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「まったく、輪入道たちったら。ホントだらしないよね」
 輪入道たちがすべて沈黙した直後、燃え盛る炎の羽を周囲に浮かべた少女が奥から姿を表した。彼女が主催者に違いない。あどけない少女の姿をして入るものの、少女から感じる圧力は輪入道とは比べ物にならなかった。
 この少女の姿をしたオブリビオン「フェニックスドラゴン」は竜神の少女が核を成しており、「フェニックス」の骸魂が少女を飲み込んで生まれたものだ。
 不死のはずの不死鳥が死に至り、骸魂となった。納得できぬ不死鳥が、竜神の神力を利用して再び不死であることを証明しようとしている存在、それがこのオブリビオンだ。
「つーかさ、復活するのって熱いわけ。だから、熱いのが嫌で復活できなかったのかなって。でもやっぱり、復活したいじゃん? 復活できない不死鳥とか、笑われちゃうじゃん? そこで私考えたの。じゃあ、みんなと一緒に熱さを我慢したら、復活できるんじゃないかなって。でさ、みんなも復活する時の練習ができて、一石二鳥じゃん? みんな幸せになれるじゃん! ほら、みんなでいっしょに熱くなろうぜ!」