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カッパと坊主の陸流し(作者 G.Y.
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「はぁ、水が足りないぜ」
 そいつは泥をぺたぺたと踏みしめるのが嫌いだった。
「水さえありゃーいいのによぉ」
 そいつは肌が乾いてしまうのが嫌だった。
「……だったら海だけありゃいいじゃんか!」
 だからそいつは、大地をすべて消し飛ばしたのだった。

●陸の無い世界
 新たに発見された世界、カクリヨファンタズム。
 UDCアースに隣接する不思議な世界は、現代の時代に忘れられてしまった妖怪達の逃げ場所となっていた。
 しかし、この世界には大きな特徴が存在する。この世界ではオブリビオンの企みによって、世界の終わり……カタストロフのような現象が度々発生しているのだ。
 普段からカタストロフが起こっているこの世界は、いつだって破滅の危機に瀕している、というわけだ。
「そんな不安定な世界なのだから、事件が起こるのは当然ですわよね?」
 エリル・メアリアル(孤城の女王・f03064)はそう、集まった猟兵達に告げた。
「というわけで、幽世の世界に、陸が消えましたわ!」
 猟兵達にそう言うと、エリルは状況の説明を始めるのであった。
「まず、首謀者は『カッパ海坊主』というオブリビオンですわ。カッパの少女を海坊主の骸魂が飲み込んだ姿ですわね」
 この世界では幽世に辿り着けなかった妖怪達が死ぬと、骸魂と呼ばれる存在へと変貌する。骸魂は生前に縁のあった妖怪を飲み込み、オブリビオンとして幽世に出現するのだという。
「海坊主は陸のある世界が嫌だったようですわ。今ではすべての陸は海に沈んでいて、まさに世界の終わり……という風景に感じられますわね」
 足場が一切ないので、オブリビオンと戦うには舟を出したり空を飛んだり――勿論泳いでも構わないのだが――ひと工夫が必要だろう。
 幸い難を逃れた妖怪達から舟を借りることは出来る為、必要とあらば現地調達をしておけば良い。
 続けて、エリルは説明を続ける。
「カッパ海坊主と戦うためには、まず配下のオブリビオンを倒す必要がありますわ」
 エリルがオブリビオンの説明を続ける。
「配下は迦陵頻伽(かりょうびんが)という鳥のオブリビオンですわ。空を飛んでいるから、陸を失った不利は無いまま戦いを挑んできますわよ」
 とはいえ、飲み込んだ妖怪が弱いせいか、あまり強くはない。猟兵なら簡単に蹴散らすことが出来るはずだ。
「迦陵頻伽を倒せば、カッパ海坊主との対決ですわ。無事倒すことが出来れば、世界に陸が戻ってきますわ。さらに、飲み込まれた妖怪も救出できるようですわね」
 これも「妖怪の身体を乗っ取ってオブリビオンに変身する」というカクリヨファンタズムの特徴のようだ。
「それと、その後少し時間があるのだから、皆さんで幽世の世界を楽しんでみてはいかがかしら?」
 今回の戦いが終われば、妖怪たちは大喜びで猟兵達を迎え入れてくれるだろう。
「この世界で人気なのは決闘ごっこ、という遊びらしいですわ。簡単なルールを決めて、色んな方法で勝負をする、というものらしいですわ」
 決闘の方法は指定すれば合わせてくれるらしいが、基本的には土俵の外に出るか、手を地面についたら負け、というような相撲のルールに準拠するようである。
「チャンバラ、水鉄砲……そういう武器を使っての勝負も引き受けてくれるようですわよ」
 助けたカッパとの相撲対決もよし、猟兵同士の対決もよし。妖怪同士の対決を観戦するもよし。これを機に妖怪達と親交を深めるのも良いだろう。
「さぁ、そんなわけでカクリヨファンタズム初の冒険になりますわよ! 皆様、いってらっしゃいませ!!」
 そう言うと、エリルのグリモアが輝き始めた。





第3章 日常 『決闘ごっこ』

POW力こそパワー! 圧倒的な力技でド派手に勝ちに行く
SPD居合い切りや早撃ちで、一瞬のスリルと勝負を楽しむ
WIZ相手のカッコよさを引き立て、上手に負けを演じて盛り上げる
👑5 🔵🔵🔵🔵🔴🔴

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 陸を取り戻した妖怪達は、早速、宴の準備を始めていた。
 酒に、料理に、歌に。そして一番のお楽しみと言えば、相撲だ。
 縄をまるく囲って簡単な土俵を作り上げると、我こそは、と思う腕自慢が一番乗りで土俵入りする。
 対する相手も土俵入りすれば、周りの妖怪がやんややんやとはやし立て、試合がわっと盛り上がる。

 妖怪達は猟兵達に手招きをして催促を始めた。
 世界を救ったのだから、これくらいは楽しんでもバチは当たらないだろう。
 そうして、猟兵達は輪の中に紛れてゆくのであった。
春霞・遙
さて、どこかの創世神話では原初世界は水に覆われていた、のでしたっけ。天が、大地が、大気が生まれ、生き物が喜び祝う。
海の恵みも良いですが大地の実りを頂けるのは地面があってこそですね。

「クイックドロウ」の対決ならともかく私は戦うの得意ではないので、冷やした野菜でも頂きながら勝負の応援や怪我の手当てをしていますよ。骸魂から解放された方々の様子も確認できるでしょうか。

かまって欲しい子供たちでもいればおすもうをとって負けてあげたり、いたずらっこをくすぐりつくして負かしたりというくらいなら参加しましょう。真面目に戦えというのなら早撃ちでも射撃対決でも相手になりますが、ね。


デュナ・ヴァーシャ
さて、相撲だな。我も当然参加するが……先程のオブリビオンより強い妖怪がいるとも思えんな。
さりとて、こちらが手を抜いて勝負と言うのも無粋だろう。ここはそうだな、稽古をつけるつもりで、一度に複数の妖怪の相手をしてやろう。
力自慢だろうが技自慢だろうが、自信のある者は自由に土俵に上がってくるが良い。

我が肉体を誇示しながら堂々と土俵を踏みしめて仁王立ちし、相手に先制攻撃を許して堂々と受け止める。その上で、相手が張り手なら張り手、投げなら投げを、こちらから手本を見せるように返そう。

我が名はデュナ・ヴァーシャ、肉体を司る異界の神である。その名を、この肉体を、よく覚えておくが良い。


 遥は賑わう宴会の様子を見て回りながら、目を細めた。
「どこかの創世神話では原初世界は水に覆われていた、のでしたっけ」
 空を見上げると、穏やかな風が流れ、踏みしめる大地は濡れてぬかるんでいるが、次第に渇いて新しい葉が芽吹くだろう。
「天が、大地が、大気が生まれ、生き物が喜び祝う……海の恵みも良いですが大地の実りを頂けるのは地面があってこそですね」
 そうして、頂いたきゅうりをぱりっと頬張った。

 どしゃっと地面に妖怪が打ち付けられた。
「どうした、力自慢だろうが技自慢だろうが、自信のある者は自由に土俵に上がってくるが良い」
 土俵の中心で、妖怪を投げ飛ばした張本人であるデュナが堂々と大きな声で告げた。
 肉体を司る神であり、猟兵であるデュナにとって、カッパ海坊主程の強さを持つ者はいない。それでも、手を抜いて勝負をするのは無粋だと考えた彼女は一切手を抜かず、妖怪達を焚きつける。
「おっしゃ、俺が!」
「次はおいらだ!」
 その勝負を買おうと妖怪達が次々と手を上げる。だが、デュナは仁王立ちをしたまま、高らかに言う。
「よい、2人同時にかかってくるが良い」
 デュナの余裕の表情に、妖怪達は顔を見合わせて、二人がデュナの脇に回る。
 舐められたものだという気持ちもこみ上げたが、積みあがった敗北妖怪の山を見れば、この神との力の差ははっきり理解できていた。
 それでも向かってくるのは、妖怪達も楽しみたい一心からであろう。
「はっけよーい! のこった!」
 妖怪達がデュナを挟み撃ちのような形で突進する。デュナは涼しい顔で、仁王立ちの姿勢を崩さない。
 どしんと妖怪が左右からぶち当たる。だが、デュナはピクリとも動かない。まるで地に深々と根を張った大木のようだ。
「うむ、体重の乗せ方は良いぞ」
「うひゃぁあ!!」
 デュナが片手一本で妖怪をむんずと掴み、投げ飛ばした。木の葉のように軽々と舞う妖怪達は、呆然と、何が起こったのかわからないという表情で地面にべしゃりと倒れ込むのであった。
「我が名はデュナ・ヴァーシャ。肉体を司る異界の神である」
 その肉体美を見せつけるよう、デュナはポージングをキメて叫ぶ。
「その名を、この肉体を、よく覚えておくが良い」

「さぁ、これで大丈夫」
「ありがとよっ!」
 遥は相撲で怪我をしてしまった妖怪を診ては、応急処置をして回っていた。
 デュナの相撲は大人気。容赦のない一発ながら、怪我には極力気を配るデュナであっても細かい傷まではどうにもならない。
 それに、土俵は一つではない。たくさんの妖怪達は笑いながら、喧嘩しながら、この時間を楽しんでいる。
「そういえば、骸魂に飲み込まれていた人達はどうしているでしょうか?」
 遥はふと、これまでに戦った妖怪達を思い出す。そこで、彼らの元へと向かうと、カッパをはじめとした、骸魂に囚われた妖怪達はひと固まりで手当てを受けているようだった。
「あっはっはっは!!」
 カッパは相撲の試合を見て元気に笑っていた。
 骸魂に捕らわれた疲れもあって土俵に上がることはしないようだが、先程までの凶悪な気配はさっぱりと消え、気の良い妖怪であったということが手に取るように分かった。
「もう大丈夫そうですね」
「ねぇ、ねーちゃん」
 と、背後から無邪気な声が投げかけられ、遥は振り向く。
 そこには小さな妖怪の子供たちが何人も遥を見上げていた。
「ねーちゃんもすもうとろーぜー!」
「とろーぜー!」
 ぐいぐいと白衣を引っ張る妖怪達に、遥はふっと笑う。
「いいよ。じゃあ一緒にあそぼうか!」
 小さな妖怪達に手を引かれ、遥は笑いながら、輪の中に入っていくのであった。
成功 🔵🔵🔵🔵🔴🔴