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だいぴんち かくりよ せかいが 16bit

#カクリヨファンタズム

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#カクリヨファンタズム


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「はーい、みんな集まったね。それじゃ新しい世界の予知って奴を始めようか」
 彼らの前に立つシーネ・クガハラ(ただいまB級テンペストプレイヤー・f01094)は、自身が召喚した黒竜のクロウロードに猟兵達へお茶や茶菓子を配る様に命じると予知の詳細を説明し始める。
「新しく見つかった世界はカクリヨファンタズム。UDCアースに隣接する世界で、現代では忘れられた神様や妖怪達が過ごしている世界みたい。そしてまあ、なんというか……もう割と世界が滅びそうなんだなこれが」

 いったい何を言っているのだ、と言わんばかりの顔をする猟兵達。その顔を見てその気持ちはよくわかると前置きしながらもシーネは話を続ける。
「んーなんて言うか脆い世界というかなんというか。この世界しょっちゅうカタストロフが起こるみたいで今現在進行形でカタストロフってるのだよ。ちなみに私が予知したカタストロフは、簡単に言えばこのままだとカクリヨファンタズムは数十年前に発売したゲーム機の様なドット絵世界になる」
 なんだか頭の痛い話だが事実なのだからしょうがない。ドット絵世界に覆われたカクリヨファンタズムはなんやかんやで魔王もといオブリビオンの手によって暗黒の世界となってしまうだろうとかなんとかという話だ。
 だからこそ、そんなドット絵世界を猟兵達はそれこそRPGの勇者パーティの如く攻略しなければならないのだという。
「言いたい事はわかるけど私はツッコミを放棄したので先に進むぞー。黒幕のオブリビオンはドット絵になった世界にあるお城の一番最上階にいるからそこまで進んでラスボス戦をしてくれい。たどり着くには迷宮化したお城の中を進まなきゃならないのだけど、お約束通り扉が閉まっていたり道がなかったりして先に進めない様になってると思う。だから先に進む道が分かっても、とりあえず分かれ道は全部進んで隅々までマッピングしてね。行き止まりにある宝箱の中に先に進む為のキーアイテムがあるはずだし他には迷い込んだ、まだオブリビオン化してない妖怪さんが宝箱の中にいる!……かもしれないしね?」
 無論宝箱には鍵がかかっている、或いは罠が仕掛けられていたり宝箱の中にトラップ用のオブリビオンが潜んでいるかもしれないので注意して開ける様にとの事だ。
「後はまあそうね。オブリビオンがいる最上階以外はほとんど明りがないから何かしらの明りを持っていってね。手元が暗いとまともに鍵開けもできないし。……んー、こんな所かな。じゃあ皆頑張ってねー。ちょっとした勇者パーティを楽しんで……世界を救ってね?」


風狼フー太
 8 bitはそこまでわからないけど16bitならちょっとだけわかるような、そんな気がする風狼フー太でございます。

 さて新世界第一本目は、要はドラゴン何某やらいつまでも最後の幻想だったりするようなアレのドット絵の頃のような世界が広がりかけていると思いください。猟兵達から見ると……そうですなー。四角のブロックを積み上げた様な世界に映るのではないでしょうか。
 そんなブロックなお城の最上階にいるラスボスオブリビオンを倒す為に、まずは城の中に在る宝箱を片っ端から開けてキーアイテムを入手したり、巻き込まれた悪くない妖怪さんを助けたりしてください。なお暗いので、一章では基本明りが無いとプレイングに大幅なペナルティが出る物と考えてください。
 見事に道を拓けば残すはラスボス前の前座の集団戦と、ラスボスであるボスオブリビオンとの勝負となります。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 冒険 『開けてびっくり』

POW   :    びっくりトラップを恐れず、総当たりで開けまくる

SPD   :    外側から念入りに箱やつづらを調べ、びっくりトラップの有無を確認する

WIZ   :    びっくりトラップを無力化する策を編み出す

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達がテレポートしてまず目に飛び込んできた物は、そこかしこに散らばる小さな四角状の物。触ってみればそれは土の様な感触であったり、石の様な感触であったりと様々であった。
 しっかりと見れば確かに土や岩の様に見えるそれらは、おそらくオブリビオンの力によって変化してしまったこの周辺の地形なのだろう。そしてそんな世界に立つのは、おおよそ岩の様なブロックが積みあがって出来ている立派な城だ。

 さあ ゆうしゃ たちよ。まおうを たおし せかいを すくうのだ。
ベルカ・スノードロップ
◆暗闇対策
装備アイテムの、ガジェット〔バトルフィールド〕で、周辺を照らします。
足りない分は【暗視】で補います。
周辺の【情報収集】も合わせてします。

【見切り】【暗視】【封印を解く】【盗み】を駆使してトラップ解除や解錠して、調べていきますね。
明らかにトラップだったり、ミミック的なモンスターなら無視しますが。

宝箱の中に妖精さんが閉じ込められていたので救出しておきました。
鍵のような物を貰いましたが、キーアイテムなのでしょうかね?

ユーベルコードは最初に発動して、グレートモーラットのみやびさんにも、周辺警戒は、手伝ってモラっています。

※アドリブとか歓迎。



「もきゅー」
 小さな四角状の石の様な物を積み上げた城の通路。その曲がり角から現れた白いふさふさした毛を持つ生き物は、小さく鳴くと闇を臆することなく前へ前へと進んでゆく。
「そんなに前に進むと危ないですよみやびさん」
 そんな小さなもふもふ――グレートモーラットをみやびさんと呼び諫めるのは主であるベルカ・スノードロップ(Wandering Dream Chaser・f10622)であった。
 明りの無い通路をガジェットに搭載された機能で明かりを灯して進み、今までの歩みをデータとして保存する。装いからすれば神官の成りではあるがその所業は魔術師の物に近いともいえる。
「敵という敵には会いませんでしたが、この迷路は私を歓迎してくれてはいないみたいですね」
 今まで歩いた通路を記録していなければ、永遠に迷いかねないような入り乱れた通路は侵入者を拒む為に他ならない。
 慎重に歩を進めようとするベルカであったが、モーラットの方は目の前に現れた別れ道をどんどん左へと進んでゆく。慌てて追いかけるベルカとモーラットの前に現れたのは。
「おや?」
 その先は行き止まり。だがそれ以上に興味深いのは、周りの壁と同じように木や鉄の様な四角が積み重なり出来た箱の様な物。
「宝箱、でしょうかね」
 武器で箱を調べ、何かの擬態ではない事を確かめると膝をつきガジェットの明りを頼りに魔力による鍵開けを試みる。果たしてこの箱に今までの経験が通用するのかどうかという思いも、カチリという小気味のいい音と共に杞憂へと消える。
 警戒しつつ箱を開けると。
「た、助かった!たすかったいたぁいー!!」
 宝箱の中から飛び出した何かは、咄嗟に顔の前に出したベルカの手へとぶつかり悲鳴を上げて地面へふらふらと墜落する。光をそちらの方に向けてみれば、羽の生えた妖精の様な妖怪がぐったりとした様子で地面に倒れこんでいた。
「もしかして、この城に取り込まれた妖怪さんですか?」
「そう、そうなの!いきなりお城が出来て、慌てて箱の中に隠れていたら鍵がしまっちゃって!鍵と言えばこの箱の中に鍵がね!!」
「そうですね。ええ、此処は危険なのでその鍵だけ私に預けてまずは安全場所に行きましょう?」
 少々……いや、大層かしましく喋り立てる妖怪を何とか宥めて鍵を預かったベルカは、保護した妖怪を入り口まで送り届けると再び探索へと戻る。
 おそらくこの鍵はそう遠くないうちに役立つはずだ。確信と共に未知なる領域へと、光を頼りにベルカは再び歩みを進めてゆくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィロメーラ・アステール
「いまこそ光が求められているー!」
しかし、こりゃヘンテコな所だな!
……何かクラフトしたくなるのは気のせい?

光の妖精として、周囲を明るく!
ただ一人で照らせる範囲には限度がある!

そこで【紲星満ちて集いし灯光】だ!
光精を召喚し、ぶわーっと【空中浮遊】させて等間隔に配置したら、ゲームにありがちな不思議ライトっぽい!
先行して偵察させることもできて一石二鳥!
光精と一緒に【聞き耳】や、赤外線【視力】で【情報収集】したら敵や妖怪の気配も探れるさ!

さらにあたしの【第六感】に搭載された【宝探し】センサーが宝箱の位置や安全度をキャッチ!
鍵開けは案内するか【念動力】で箱ごと持ってきて開けて貰う!
仲間いなけりゃ勘と運!


神代・凶津
おー、見事なまでにドット世界になってるぜ。
相棒の実家の押し入れにあった古いテレビゲームを思い出すぜ。
「・・・笑い事じゃありませんよ。」
分かってるって、相棒。
まあ、俺達でいっちょ世界を救いに行くとしようや。
ゲームスタートだぜッ!

にしても本当にこの城真っ暗だな。
こういう時は、式神【ヤタ】の出番だぜ。
こいつは霊力の光で灯り代わりになるからな。

こういうのはマッピングが大事だからな。隅々まで調べながら進むぜ。

宝箱は鍵がかかってるな。
こういう時は鍵開けだぜッ!
「・・・私達、鍵開けなんて出来ませんよ?」
・・・鍵開け(物理)だぜッ!
いけ、ヤタ!嘴で鍵を破壊だ!
「・・・強引。」

【技能・式神使い】
【アドリブ歓迎】


レナータ・バルダーヌ
ここがカクリヨファンタズム……なんだかカクカクしてますね。
カクリヨという単語は聞き慣れませんでしたけど、この風景を表した言葉でしたか。
……えっ、違います?

探索には明かりが必要ですか……。
では、【ブレイズフレイム】で体の傷痕から噴出した炎を光源にして宝箱を探し、開けていきます。
これならオブリビオンさんが出てきてもすぐに攻撃できます。
こんにちは、妖怪さんですか?オブリビオンさんですか?
いえ、わたしは妖怪ではないです。

ただし鍵を開ける技術はないので、もし必要なときは他の方にお任せするか、近くにいなければ箱ごと持って行きましょう。
重くて持ち上げられないときは【念動力】も合わせれば何とかなると思います。


徳川・家光
「まずは あかりを かくほしないと!」
 もえさかるうま ほむすびまるを しょうかんして
 さっそうと またがります

「こういう ゲームは やったことがあるぞ…」
 すくない レトロゲームけいけんを いかし
 いろのちがうゆか ひびわれかたのちがうかべ
 ふしぜんに いしが おかれたばしょなどを
 かたなで ひとつづつ ツンツンします
 そして ようせいさんを みつけたら

「ぜったいしってるから おもいだして!」
 と つぎのフロアとか レアアイテムの
 じょうほうとかを ききだそうとします

「じみちな たんさくは だいすき…!」
 あくまでしんちょうに じっくりさがすので
 ほかの りょうへいに おいてかれちゃうかも?


シャーリー・クラーク
わぁ。どこもかしこもカクカクしてるね!
しかも暗いよ~…
まずは宝箱を探さないとねっ!

[アンモライト]の魔石に魔力を込めて虹色に発光させよう。
UCで呼び出したサメさんにそれを咥えてもらってライト代わりに。
手が空いた私はメモ帳でマッピング。

鋭い感覚を持つサメさんにトラップの有無を確認してもらいながら進んで行こう。
宝箱の鍵は私の身体の一部を変化、変質させて解錠出来そうかな?

ん?何か見つけたの?

サメさんが何か感じた先にトラップに捕まっちゃってる妖怪さん発見!
慎重に罠を解いてあげよう。

もう大丈夫だよ。危ないから早く逃げてね!

助けたお礼に本当の宝箱の場所を教えてもらっちゃった。
これがキーアイテムかな?



「いまこそ ひかりが もとめ られて いる!」
 フィロ メーラ アステール (SSR ようせい : ながれぼし フィロ ・ f07828) は てんに こぶしを むけて さけんだ!
「あいぼうの じっかに あった ふるい ゲームきを おもい だすぜ」
 かみしろ ・ まがつ (なぞの かめんと たびする みこ ・ f11808) の ヒーロー マスク 『まがつ』 の ことばに やどぬし の さくらは わらいごと じゃないと くぎを さす。
「カクリヨ という たんごは きき なれません でしたけど この ふうけい を あらわした ことば でしたか」
「いや それは ちがうと おもうぞ!」
 レナータ ・ バルダーヌ (ごぼうてん ・ f13031) の すこし ずれた にんしき に フィロ メーラ は つっこみ を いれる。
「みなさん いっしょに がんばり ましょう!」
「うん! せんとうは にがて だけど たんさく なら やくに たてると おもう!」
 あつまった りょうへい たちを とくがわ ・ いえみつ (えど ばくふ しょうぐん ・ f04430) は はげまし シャーリー ・ クラーク (おおぞら を ゆうえい する さめ てんし ・ f26811) も その ことばに こたえる ように いきごみ を しめす。
「それじゃあ ゲーム スタート だぜ!」
 かくして あつまった ごにん は カクリヨ を すくう ために ドットえ の しろ へと すすむの で あった!

 しろの なかは くらく とても あかり なしでは すすめ そうに ない!
「まずは あかりを かくほ しないと!」
 いえみつ は こくう から あいば ほむすび まる を しょうかん した!ほのおを まとう はくば に またがる と ほむすび まる は ヒヒン! と いなないた。
「こうき の えにし を しるもの あつまれ!」
 フィロ メーラの よびごえ に こたえ あつまった こうせい たちが りょうへい たちの いちばん せんとう を すすみ あかりに なり ていさつ を している。
「こういう ときは こいつの でばん だぜ」
「さめさん! これを くわえて さきに すすんで!」
 まがつ の しきがみ ヤタ が れいりょく の ひかり で やみを てらし シャーリー の まりょく で にじいろ に かがやく アンモ ライト を くわえた そらとぶ さめ も こうせい の あとに つづき みちを てらす。
「あかり は じゅうぶん そう ですけど わたしも」
 みをまもる すべ でも あると レナータ は からだ から じごくの ほのお を うみだし ほのお の つばさ を みにまとい さめの あとに つづき りょうへい たちの ぜんえい を つとめる。
 じゅうぶん な あかり で つうろは てらされ しかくい あつまり の かべ が てらし だされた!
「しかし こりゃ ヘンテコ な ところ だな!」
 なにか クラフト したく なると フィロ メーラ が いうと くびを たてに ふる まがつ。
「みごと な までに ドット せかい に なってるぜ」
「この カクカク した ふうけい は ドットえ と いうの ですか?」
「レトロ な ゲーム は よく こういう ふうに びょうしゃ されて いたの ですよ」
 みなれぬ ふうけい に きょうみ しんしん と いった ようす の レナータ に すくない けいけん では あるもの の じぶんの しっている かぎり を おしえる いえみつ。
「どこも かしこ も カクカク してるね!」
 そんなに ここの しろを つくった オブリ ビオン は ドットえ が すき だったの かなと シャーリー も つうろの マッピング を しながら たのしそう に している。
 しんちょうに たんさく を しながら ちょっと した ざつだん に はな を さかせて いた りょうへい たちが たどり ついた のは それなり に おおきな べや だった。
 その ちゅうおう には たからばこ が あり だれかの てに よって ひらかれる こと を まって いる。
「ぼくが あの たからばこ を しらべて きますね」
「わたし も いきます。 この からだ なら たしょう の きけん なら もやせる はずです」
 ほむすび まる に のったまま の いえみつ と レナータ が まえに でる。
 いえみつは かたな で たからばこ を かるく つこうと した。
 なんと たからばこ は オブリ ビオン だった!

 オブリ ビオン が あらわれた!
 オブリ ビオン の こうげき!
「あぶない!」
 レナータ は いえみつ を かばった!レナータ から ふきだす ほのお に もやされ オブリ ビオン は 75 の ダメージ を うけた!
 オブリ ビオン は ひるんだ!
「ほむすび まる!」
 いえみつ は ほむすび まる を てあし の ごとく あやつり うしろ あし で オブリ ビオン を けりとばし 79 の ダメージ を あたえた!
「さめさん! やっちゃって!」
「ヤタ! おまえも いけ!」
 まがつ と シャーリー の れんけい こうげき!さめの しっぽ で たたき つけられ くうちゅう へ うかんだ ところに ヤタ が たいあたり を して 124 の ダメージ を あたえた!
 オブリ ビオン を たおした!
「レナータ さん! おけがは!?」
「だいじょうぶ です。かみつく まえに もやし ました から」
 けいかい していた ため なんなく オブリ ビオン を たおした りょうへい で あった が ここは いきどまり の ようだ。
「ここには なにも ない みたい ですね」
 マップに いまの ばしょを しるす シャーリー は つぎの みちを さがす ために マップ を みる。
「ううん?なんだか ここ あやしい きが する」
 こううん の ようせい として の だい ろっかん が つげて いるのか すこし ここを たんさく しないか と ていあん する フィロ メーラ に いえみつ も うなずく。
「いろんな ものが あります し なにか しかけが ある かも!」
 なにか を みおとす と えいえん に すすむ ことが できない かも しれない。 てわけ して りょうへい たち は へやを しらべる ことに した。
 シャーリー は ツボのなか を しらべた。 しかし なにも なかった。
 まがつ は タルのなか を しらべた。 なにか を はめる ような くぼみ の ような ものが みえる。
 フィロ メーラ は かべを しらべた。
「……け て」
「うん?」
 かすかに こえが した ような きがした フィロ メーラ は もういちど かべを しらべた。
「だれか たす けて」
「かべの なかに だれか いる?」
「もしかして この スイッチ かな?」
 いえみつ は かべのあな を しらべた。おくに でっぱり が みえる。
 いえみつ は さやに いれた かたな で でっぱり を おした。
「ひゃん!?」
 なんと かべ の いちぶ が ひらき なにかが とびだして きた!
「やっと、出られた!ようかい さん が たすけて くれたの?」
「いえ わたしは ようかい では ないです」
 でてきた のは ようせい の ような ようかい だった!ほのおの からだ を もつ レナータ を おなじ ようかい だと おもって いる ようだ。
「こんにちは! ようかい さん どうして こんな ところに いたの?」
「とつぜん こんな おしろ が できて かくれて ようすを みようと かべの あなのなか に いたら とうぜん かべが しまったの!」
 やさしく シャーリー が ようかい から はなしを きくと どうやら この ようかい は しろが できた ときに まきこまれた ようだ。
「そいつは さいなん だったな。 ともかく あんぜん な ばしょ まで つれて いこうか」
「そうですね。でも そのまえに。 ようかい さん なにか このしろ の こと で しっている ことは ありますか?」 
 まがつ の ことばも もっとも だと しながら いえみつ は ようかい から しっている こと を ききだそう と する。
「しっている こと? ううん」
「ぜったい しってるから おもいだして!」
「どうして そんなに かくしん を もって いるのか わからない けど そういえば」
 ようかいは とじこめ られて いた あなの なかに もどると ちいさな こばこ を もって かえって きた。
「やっぱり! くらやみ で なにかに あたまを ぶつけたの!」
 ようせい の ようかい は りょうへい たちに はこを わたす。
 はこには かぎ が かかって いる ようだ。
「どうする?ちからづく で こわすか?」
 まがつの かぎあけ (ぶつり) の ていあん に あきれた ように ごういん だと さくら が さとす。
「わたしに まかせて!」
 はこを てに とった シャーリー は じぶんの みずで できた かみを へんか させて かぎを つくった!
 こばこの なかには あかい ほうせき が はいって いた!
「おっと ソイツは もしかすると」
 まがつ は さきほど みつけた タルの くぼみ に ほうせき を はめた。
 てんじょう が われて なんと かくし かいだん が でてきた!
「これで さきに すすめるな!」
 フィロ メーラ の ことば どおり これは さきに すすむ みち だろう。
 ようかいを しろの そとまで おくり とどけ ごにん は かいだんの さきへと すすむ。
 このさきに この ドット の しろの ぬしが いる はずだ。かならず たおし この せかい を もとに もどさな ければ ならない!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『麒麟』

POW   :    カラミティリベンジ
全身を【災厄のオーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【攻撃】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD   :    因果麒麟光
【身体を包むオーラ】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、身体を包むオーラから何度でも発動できる。
WIZ   :    キリンサンダー
【角を天にかざして招来した落雷】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を災いの雷で包み】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(一部のリプレイがオブリビオンの魔力に侵されていることを確認いたしました。大変申し訳ございませんでした)
 階段を上った先にある扉を、手に入れた鍵を使い開くとそこま闇が広がる大広間であった。彼らが部屋の中に入った瞬間、壁に掛かっていた燭台に青白い炎が灯り部屋全体を照らし出した。
「よくぞここまでやってきた勇者達よ」
 突然部屋中に響き渡る声。おそらくこの城の主の声であろう。
「ここまで来た褒美を渡さねばなるまい。我が忠実なる部下達による死をくれてやろう」
 その言葉と共に、猟兵達の目の前に幾つもの魔方陣が輝き、その中から炎を纏う二本の角を持つ馬の様なオブリビオンが現れた!
「さあ行け!勇者達を血祭りにあげるのだ!」
 号令と共に背後の扉が閉まり鍵のかかる音が聞こえてきた。どうやら閉じ込められたようだが、彼らには関係のない事だろう。
 元よりこの城の主を倒す為にここまで来たのだ。この世界の消滅を防ぐ為、または骸魂に取り込まれた妖怪を救う為、或いはその他の理由が為に。
 猟兵達は向かい来るオブリビオン達を迎撃すべく構えを取るのであった!
神代・凶津
ん?此処に来るまでの間、なんか妙な感じじゃなかったか相棒。
「・・・気のせいじゃない?」
・・そうだな、気のせいだなッ!

ともかくこいつがラスボスのようだな。
ぶっ倒してこの世界を救ってやるよ。
「風神霊装でいくぜ、相棒ッ!」
「・・・転身ッ!」
ノーコンティニューでクリアしてやるぜッ! 

先ずは一気に距離を詰めて薙刀で先制攻撃してやる。
破魔の霊力を込めたこの一撃は妖怪にはキツいだろッ!
霊装のお陰で落雷のダメージも軽減できるしな。
敵の攻撃は見切ってなんとか避けてやるぜ。

俺はゲームはRPGよりアクションの方が得意でね。
ターンを待たずに攻め続けてやるぜッ!


【技能・先制攻撃、破魔、見切り】
【アドリブ歓迎】



「んー?ここまでくる間、妙な感じじゃなかったか相棒」
 この階に登るまで、何か妙な感じではなかったかと依り代の身体に首を傾げて問うのは神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)のヒーローマスク、凶津。
 例えていうならなんだか動きが上下左右しかできなかっただとか、妙にカクカクしていたようなという様なそんな感覚。そんな疑念を依り代である少女の桜は傾げていた首を横に振る。
「……気のせいじゃない?」
「……そうだな、気のせいだな!」
 ともかく今は目の前にいる敵を倒す事が先決だろう、と。静かに両手で薙刀を構えた凶津の体を中心に荒れ狂う風が吹きすさぶ。
「風神霊装でいくぜ、相棒ッ!ノーコンティニューでクリアしてやるッ!」
「……転身ッ!」
 地面を蹴る足の一歩から噴き出した風で驚異的な加速度を生み出し、瞬時にオブリビオンへと詰め寄り破魔の霊力が籠った薙刀の一撃を馬の様な胴体へと突き刺す。
 妖怪を取り込みオブリビオンとする骸魂は死した妖怪達の霊魂。その彼らにとって、魔を破る凶津の一撃はまさに天敵と言っても他ならない。
 黒く濁った泥の様に溶け、取り込んだ妖怪を吐き出した麒麟の残骸を見て、一斉に嘶き天に向かい角を突き出して生み出した雷を使い凶津を追い払おうとする麒麟達だが、風を使い動き回る凶津を捉えるのがまず難しく、捕らえたとしても纏う風が雷の軌道を逸らしてしまう。
 ならばとばかりに地面に雷を走らせる事で足場を無くそうとした麒麟。
「ワリィな」
 その麒麟たちの上空から、声がする。
「俺はRPGよりアクションの方が得意でね、お前達のターンを待たずに攻め続けてやるぜッ!」
 飛び上がる事で電撃を避け、落下する勢いのままに麒麟の体を薙刀で突き刺し、その体を蹴って再び宙へと舞う凶津の連撃は、止まらない。
「楽にラスボスクリアになりそうだな相棒ッ!」
「……これ、ラスボス前の前座だと思う」
「えっ、マジで?」
 ちょっとした勘違いはあったようだが、麒麟達の戦力が大きく減ったのは疑いようのない事実であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

フィロメーラ・アステール
「そんな褒美はお断りだー!」
せめて世界の半分くらいは貰っていくぜ!
オブリビオンのいない世界ってやつをな!

現世/骸の海、でちょうど半分くらいじゃない?(適当)
という訳で一気に片付けてやるぞ!

【気合い】を込め激しくオーラ展開!
凄い必殺技を放とうとしている【存在感】を放つ!
ごごごごご……!

敵は攻撃を受け止めるオーラを集中させてくるんじゃないかな!?
しかし、あたしが発動したのは【超時空耀星】だ!
これは敵の注目を惹くオトリ技!

つまり派手な光や意味深な動きとかで「必殺技するぞ!」という【パフォーマンス】し、他猟兵からの攻撃に対して無防備にする!
仮にコピーされても、単に目立つだけなのであまり困らないと思う!


ベルカ・スノードロップ
アドリブ◎
連携◎

《選択UC》で召喚するのは、ガンランス(重機槍)

【誘導弾】【スナイパー】で狙いの精度を高めた《乱撃追尾》
【投擲】【槍投げ】【ランスチャージ】で、重機槍を嗾け
ここは《挿射》を用いて確実に【串刺し】です

「それじゃあ、蹂躙しましょうか♪」
龍は東方のイメージなので、四大元素より五の方がいいでしょうか
雷は木属性。有効なのは、反相生で火、相剋なら金
金属の重機槍の銃口で串刺しにした後、銃口から炎の魔弾を【零距離射撃】【全力魔法】【属性攻撃】
更に【クイックドロウ】で連射
内側に直接撃ちこみますね
言葉通り【蹂躙】させてもらいますよ



「もちろん、そんな褒美はお断りだー!」
 虚空から響く悪役のテンプレートなセリフを、麒麟達の前へと躍り出たフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は語気の勢いのままに切り捨てる。
「せめて世界の半分くらいは貰っていくぜ!当然オブリビオンのいない世界って奴をな!」
 つまるところ、骸の海と現世を半分に分けてその現世側の世界を貰っていくと彼女なりに言っているようだがまあ、それはともかくである。
 一気に気合を入れて、圧倒的な光と背景に擬音でも浮かびそうな存在感を放つフィロメーラ。そんな彼女を警戒してか、むやみに近寄らず体にオーラを纏う事でいかなる攻撃が来ようと受け止め跳ね返す構えを取る麒麟達。
 今か、今かと待つ麒麟達と存在感を放つフィロメーラの間で時が流れ、しかしながら一向にフィロメーラからの攻撃は来ない。
 不審に思った麒麟達がオーラを解き、攻撃に移ろうとしたその瞬間に。
「戦場でよそ見とはいけませんね」 
 横から多数の何かが襲い掛かり、麒麟達の体を串刺しにしてゆく。
 幾何学模様を描き複雑に飛翔するそれらは、ベルカ・スノードロップ(Wandering Dream Chaser・f10622)が召喚した銀色に光る無数のそれは、騎乗槍に銃撃する機構を備えたガンランス。八百を超えようかというガンランスがフィロメーラに気を取られ、防御を解いた麒麟達へと降り注いだのだ。
「ふふん、残念だったな!今回のあたしはただの囮だー!」
 そう。フィロメーラの放ったユーベルコードは、気合と共に存在感を放ち自分に注目を向けるという単なるパフォーマンス、言い換えるならばブラフやタゲ取りというただそれだけの技に他ならない。
 だが、命のやり取りにおける戦いの中で何でもない事に何かがあると警戒させる事は、それだけで武器になりうるのだ。
「それじゃあ、蹂躙しましょうか♪」
 麒麟に突き刺さるガンランスの一本を引き抜いたベルカは、その勢いのままに傍にいた別の麒麟へとガンランスを振り回し壁へと叩きつける。
 いわば奇襲を受けた麒麟達は、ベルカの言葉通り一頭、また一頭と躯の海へと還ってゆく。
 それでも反撃を試みる為、再び雷を地面に纏わせた麒麟達に。
「今回は五行で行ってみましょうか」
 すなわち雷は木の力。それを打ち消すのは金の力。金属で出来たガンランスの金の力を引き出し地面へと突き刺す事で災いをもたらす雷を霧散させ、麒麟へと一歩、踏み込む。
「そして木生火、という奴です」
 勢いのままにガンランスを突き刺した麒麟の体へ、炎を纏う弾丸を二発、三発と叩きこみその存在自体を塵へと還す。
「よーし!だいぶ数が減ったな!」
「今のうちに取り込まれていた妖怪さん達を、なるべく安全な場所に連れて行きますか」
 退路が立たれている今、城の入り口まで連れてゆくことは出来ないが、それでも猟兵達の後ろや部屋の隅であればまだ安全であろう。
 気絶している妖怪達を連れて二人が一旦後方へと下がる事が出来るほど、麒麟達の数も減りこの戦いも終わりが見え始めていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レナータ・バルダーヌ
いつのまにか ことば まで カクカク していた ような?
しかし、今は気にしている場合ではなさそうですね。
勇者と呼ばれるようなことをした覚えはありませんけど、世界を元に戻すためにここは通してもらいます!

出来れば取り込まれた妖怪さんを傷つけずに倒したいですけど、どう攻撃したら安全か見た目からではわかりませんね……。
ここは敵の放つ落雷をサイキック【オーラで防御】して耐え、【A.C.ネメシスブレイズ】での【カウンター】に賭けてみます。(元々は暴走時用のUCですが現在は制御できます)
攻撃の意思を持っているのは取り込まれている妖怪さんではなく骸魂だと思うので、骸魂だけを燃やすことができるかもしれません。


涼場・応為
※アドリブ歓迎、特に共闘!

後ろでガシャンと扉が閉まる音がした。あぶなかったー。
先発隊さんたちスムーズに来れました、ありがとうです。

しかしこういう城ってなんで無駄に入り組んでるんだろう。
絶対生活しにくそうなのに。

閑話休題。

目の前には複数の妖怪達。周りには猟兵。

「レトロRPGって結構バッドステータス強いですよね」

そう呟きながら複数の妖怪相手に両手首から仕込み型鋼線射出機で攻撃。
そのまま締め上げて拘束する【時間稼ぎ】【マヒ攻撃】

「いわゆる今のうちにやれーですよー」

大量の鋼線を握りしめながら他の猟兵たちが動きやすいように
踏ん張ろう。頑張れ私。

【SPD判定】


シャーリー・クラーク
お城の探検すごく楽しかったね、サメさん!

せっかく褒めてもらえたのに、ご褒美がそれじゃ受け取れないよぉ…
みんなにそんな酷い事するんだったら止めなきゃねっ!

なんだろ、サメさんがすごく警戒している。
…あの角からビリビリを感じるの?だったらこれだね!

ちょっと手間がかかっちゃうけど…魔力を込めて
精製した超純水でUC発動!相手の雷と相殺を狙っていくよ。
そしてサメさんにサムズアップで合図!

これならビリビリも怖くないよ!サメさんGO~!

*アドリブ絡み歓迎



「お城の探検、すごく楽しかったね、サメさん!」
 下層の迷路の冒険は確かに苦労も多かったが、皆で共に行動し謎を解いたという達成感はそれはそれで楽しい物だったと宙に浮かぶ鮫に話しかけるシャーリー・クラーク(大空を遊泳する鮫天使・f26811)。
 その言葉に同意する様に、シャーリーの使役する鮫も彼女の思うが儘にその体を撫でさせていた。
「ううん いつのまにか ことば まで カクカク していた ような?」
 そんなシャーリーに対し、どこか妙に口調がたどたどしく聞こえるレナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)は首を傾げていた。
 下の階で何かがあったようなそんな気がしてならないのだがその正体を掴む事が出来ず、どうにも心に引っかかる感覚を覚えていた。
「ガシャンって後ろでいきなり扉が閉まってびっくりしたです。あぶなかったー」
 そう何処か気だるげな声を上げるのは、先に進んでいた猟兵達に追いついた涼場・応為(驚天推理の脳筋探偵・f27148)だ。先程閉まった扉に締め出されそうになり、あわやの所でこの部屋に入り込んだ応為は冷や汗を拭うかのように額に腕を当てる。
「しかしこういう城ってなんで無駄に入り組んでるんだろう……絶対生活しにくそうなのに」
「せっかく上ってきた事を褒めてもらえたのに、ご褒美がそれじゃ受け取れないよぉ……」
「それに私、勇者と呼ばれるようなことをした覚えはありませんけど……って、今はそんな話をしている場合じゃないですね」
 つまるところ昔のお約束という奴も、現実として姿を現せば不自然な事が多い物だとつい話し込みそうになる3人。しかしながら今はそん場合ではないとレナータが話を打ち切り、それを皮切りに3人は目の前のオブリビオン達へと視線を向ける。
 万が一ここで猟兵達が敗北すれば、それはカクリヨファンタズムの崩壊に繋がりかねないのだ。
「そういうわけで、世界を元に戻すためにここは通してもらいます!」
 レナータの号令と共に、麒麟と猟兵達の最後の戦いが幕を開けたのであった。

「目の前には複数の妖怪達。周りには猟兵」
 戦場を観察し、今の状況を呟く応為は敵と味方、そして自分の情報を整理する事で自分の最善手は何かを導き出そうとしていた。
「……レトロRPGって結構バッドステータス強いですよね」
 そして結論は出たとばかりに両腕を麒麟へと向ける応為。その両手首に仕込んでいる鋼線射出機から無数の銅線を発射し、彼らの体に幾重にも巻き付かせ動きを封じる。
「いわゆる今のうちにやれーですよー」
「よーし!鮫さん……?なんだろ、サメさんがすごく警戒している」
 使役する鮫をオブリビオンへとけしかけようとして、何かいつもの鮫と違う様子を感じ取ったシャーリーは暫し攻撃の手を止める。何かしらを警戒している鮫の視線の先に在るのは角ではないだろうか。
「あの角を嫌がってる?そういえば、ビリビリしてるね」
 鮫とは微弱な電流を感知する事で獲物を探していると言われている。その鮫としての感覚があの角を警戒しているのだろう。
 そして、シャーリーと鮫の警戒を肯定するかのように角が呼び寄せたであろう雷が、シャーリーと鮫の頭上から降り注いでゆく。水生生物と雷、なんだか当たると相性が悪そうな攻撃を躱してゆく一人と一匹であったが。
「いだだだだだだだ!?」
 麒麟達の外した雷は、周りの地面へと留まる性質がある。その地面の雷が、麒麟の体を、そして銅線を通して応為の体へと伝わっていたのだ。
「た、大変!」
 慌ててシャーリーが作り出したのはユーベルコードで作りだした超純水。本来はこれで鮫を形作るのではあるが、今はその時間が惜しい。
 混じりけの無い水は電気を通しにくい性質がある。その性質を使うことで地面にとどまった電気と相殺を試みたのだ。
「応為さん大丈夫!?」
「……も、ものすごく痛かった、です。助かったです」
 相殺は成功し、とりあえず応為に流れていた電流は止まった。しかしながら、今の状況では雷を躱すと応為にダメージが入ってしまう。
 かといって今、麒麟達に絡まっている銅線は確実に彼らの動きを鈍らせている。この状況を捨てるというのもどうかと、考えていた時であった。
「では、耐えればいいのですね」
 再び降り注いだ雷の下に躍り出たのはレナータであった。
 体の周りに力場を作り、すべての雷を自らの体で受け止める事で地面を伝わり麒麟達へと電流が流れる事を防いだのだ。
「どこまで、耐えられるかはわかりませんので……」
「任せて、特別なシャークショーの始まりだよ!」
 雷を防ぐことに集中しているレナータが視線だけを二人に向ける。それに答えるようにシャーリーが今度こそ超純水で鮫の姿を創り出し、無数の水で出来た鮫達が宙へと並ぶ。
「これならビリビリも怖くないよ!サメさんGO~!」
 先に突撃していった水の鮫達が麒麟達へと肉薄し、ユーベルコードの効果が切れてただの超純水となった鮫達が麒麟の体を濡らした所に、更に本物の鮫たちが襲い掛かるというまさにシャークパニック。
 最早攻撃処ではないのだろう。ピタリと止んだ雷を目にして、応為の手にも力がこもる。
「よくもやってくれたです。絶対に離さないですよ」
「後は骸魂だけ燃やせばいいのですよね?」
 レナータの体から噴き出す紫炎は、自身に害意を向けた物を燃やす報復の炎。そして妖怪を取り込んだ骸魂だけがレナータに対して敵意を抱いていたはずだ。
 まるで炎の波のように麒麟達へと襲い掛かる紫炎。シャーリーの鮫を、応為の銅線を、床に敷き詰められたやはり四角状の集まりの絨毯を無視して燃やし尽くすのは麒麟の体だけだ。そして。
「……うまくいったみたいです」
 燃え尽き、灰の山と化した麒麟達。その中にいたのは取り込まれていた妖怪達。目を回して気絶している彼らを、急いで他の妖怪達を休ませている所へと運ぶ3人。
 これで麒麟達に取り込まれていた妖怪達は全て救助した。
 そして。それはこの場に猟兵達を阻む者が存在していない事を意味していたのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『フェニックスドラゴン』

POW   :    不死鳥再臨
自身が戦闘で瀕死になると【羽が燃え上がり、炎の中から無傷の自分】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
SPD   :    フェニックス・レイ
レベル分の1秒で【灼熱の光線】を発射できる。
WIZ   :    不死鳥の尾
レベルm半径内の敵全てを、幾何学模様を描き複雑に飛翔する、レベル×10本の【炎の羽】で包囲攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「我が手勢が全滅とは……我が出るしかあるまいか」
 再び響いた声と共に現れた魔方陣。その中から出てきた者を一言で評するなら炎というよりほかになかった。巫女服を纏う竜神の少女の体から、溢れんばかりに炎がまとわりつき噴き出しているのだ。
「不死鳥(フェニックス)たる我が死ぬなどこの世界は余りに不出来、余りに愚かとはこのことよ」
 不死鳥。それは、文字通り不死の代名詞に他ならない。そんな不死の象徴が命を落とす、という事は彼にとって受け入れがたい事実であったようだ。
「故に、この世界を創り替え我はこの世界の不死の魔王として君臨しなければならない。この懐かしき世界であれば永遠の不死が叶うはずだ!」
 確かに昔のゲームにおいてフェニックスと冠為したアイテムや存在は蘇生の代名詞と言って他ならない。
 それに似せた世界であれば永遠に死から蘇ることができるのかと言えば……それはわからない事だ。
 だが、目の前の不死鳥は確実にそれを信じて疑わない。
 炎を更に燃え上がらせる竜神の少女に取り付いたフェニックスは、迷いなく猟兵達を焼き尽くしこの世界を塵に還す気でいるという事だ。
「我が世界が為、屍を塵と化せ!勇者達よ!!」
神代・凶津
漸く本物のラスボスがご登場って訳か。
よくも俺を騙してくれたぜッ!
「・・・さっきのは凶津が勝手に勘違いしただけでしょう?」
・・・と、とにかくだ相棒ッ!
一層気を引き締めなければ駄目だぜッ!うんッ!

敵は不死鳥、つまりひこうタイプだな。
ならでんきタイプが弱点に決まっているぜッ!
雷神霊装でいくぜ、相棒ッ!
「それって凶津がやっているゲームの話じゃない?あのモンスターをボールで捕まえる・・・。」

高速で戦場を駆け巡って敵の攻撃を見切って避けながら破魔の雷撃を纏った斬撃の放射を叩き込み続けてやる。
ヒット&アウェイって奴だッ!

てめえを倒してゲームクリアといかしてもらうぜッ!

【技能・破魔、見切り】
【アドリブ歓迎】



「漸く本物のラスボスがご登場って訳か。よくも俺を騙してくれたぜッ!」
「……?何を言っている貴様」
 目の前にいるオブリビオンに対し刀を向ける神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)のヒーローマスク『凶津』と、その言葉に対し何を言っているのかわからないとばかりの態度を取るフェニックスドラゴン。
「……さっきのは凶津が勝手に勘違いしただけでしょう?」
 そんな相棒『凶津』の言葉を小声でツッコミを入れるのは『凶津』に身体を貸している少女、桜の声。
 つまるところ。先程の麒麟をラスボスだと勘違いした『凶津』は、やるせない思いをオブリビオンに対してぶつけているのである。
「……と、とにかくだ相棒ッ!一層気を引き締めなければ駄目だぜッ!うんッ!」
「……まあ、それには同意するけど」
「なんだかわからんが来るがいい勇者よ。貴様らを倒し、世界は懐かしき世界へと変貌するのだ!」
 何はともあれ、だ。強敵を目の前にして一層の気合を入れる凶津に対し、炎を凝縮し翼から無数に広がる灼熱の光線を繰り出すオブリビオン。後ろに跳びながら妖刀を振るい、光線の軌道を逸らす事で避けた凶津は自身の体に電撃を纏う。
「雷神霊装でいくぜ、相棒ッ!」
「……転身ッ!!」
 ぶわりを吹き出す雷の力で桜の黒髪の長髪がふわりと浮く。と、同時に消えるように高速移動を始めた凶津は多数の電撃がこもった斬撃をオブリビオンへと浴びせてゆく。
「小癪な!」
 それらを。そして凶津を撃ち落とさんとオブリビオンの炎の翼から再び無数の光線が宙を奔る。斬撃と光線がぶつかる度に雷と炎が空中で炸裂する。
 その中で、確かに凶津の言葉が響く。
「不死鳥ッ!そして俺の使う技は電気ッ!」
 つまりはッ!と、電撃の籠った凶津の刀の軌道が空中へと跳び――。
「上か!」
「もう通り越してるぜッ!」
 オブリビオンの背後から、雷刀の一閃が煌めきその背中を切り裂いた。
「ひこうタイプはでんきタイプが弱点に決まっているぜッ!」
「それって凶津がやっているゲームの話じゃない?あのモンスターをボールで捕まえる……」
 慌てて口止めしようとマスクを使い口を塞ぐ凶津と口をふさがれもごもごと何かを喋ろうとしている桜。
 オブリビオンの傷は決して浅い物ではないが、動きに支障をきたす物でもない様だ。
 ともあれ、世界を救う戦いの火ぶたが今、切って落とされたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベルカ・スノードロップ
「いにしえの作品では、不死鳥が食中毒で死ぬこともありました」
それに
「不死の敵に、フェブックス由来の蘇生アイテムを使うと倒せるのですよね」
常に、不死鳥再臨状態になりませんか?

まぁ、何よりも死があるから生が輝くのです
早々と、屍となる気もありません

この《桃色ポーション》
一度も使ったことが無かったのですよ
使った所で、どうなるかも全く分からないのですけれど

満面の笑顔を向けて《選択UC》
「どんな風になるのか、試してみたいのですよね♪」
そんなお願い

女の子の扱いは、慣れているつもりです
《恋罠》で能力はあげつつも
フェニックスが少女から離れた後のフォローもばっちり考えておきますよ



「くっ、忌々しい」
 鈍く痛む背中の傷に思わず顔をしかめるオブリビオン。
 命にかかわるものではないとはいえ痛みがないわけではない。むしろ生命にかかわらないが故に気にしてはいけないという思考が、更に傷を意識させてしまうという負のループに陥っているともいえるだろう。
「我が不死は生きている間の傷に関わるものではない……一度身を焦がすべきか?」
「貴方の羽が出てくるゲームって、不死の敵に貴方の羽を使うと倒せるのですよね」
 ゾクリ、と。後ろから響いてきた声に背筋を添うように冷や汗を流したオブリビオンは、その悪寒を振り払うように頭を切り替えようとする。
 自身は不死であり魔王なのだ。この程度の事で何を。
「二度も同じ手を――」
 そう言って振り向いたオブリビオンのちょうど口元の位置には、ピンク色の何かのガラス瓶が。
「ンガっ!?」
 振り向く勢いのままにそれを口にくわえてしまい、中の液体を全て喉の奥へ。突然の事に喉を抑えてむせ返るオブリビオンは目の前にいるベルカ・スノードロップ(Wandering Dream Chaser・f10622)に目をやる。
「この私に毒を飲ませたな勇者!」
「うーん、否定も肯定もできませんね」
 何を。と言った所で突然オブリビオンの胸が、心臓が激しく動悸を打ち始める。身体が火照り、汗が吹き出し、感覚という感覚がとても敏感に成り始めていた。
「き、貴様何を飲ませた!?」
「ああ、そういう効果があったのですか。一度も使ってなかったので試してみたかったのですよ」
「わ、私を実験台にしたな!?」
 怒りに身を任せて殴りつけようとしたのだろうが、動悸や敏感になった体は思うようにいかずあっさりとベルカに躱されてしまう。
 再び拳を上げようと顔を上げて。
「いにしえの作品では、不死鳥が食中毒で死ぬ事もあったそうですよ」
 そしてそれを見た。
「安心してください、女の子の扱いは、慣れているつもりです」
 裏表のない笑顔。そしてそれに心を惹かれている自分がいる。本能が、アレに囚われたら二度と帰ってこれないというような警告を発している。
「く、くるな!」
 すっと体に触れようとしたベルカの手を見て、咄嗟に羽搏かせた炎の羽からこぼれ落ちた燃える羽を、複雑な軌道を描かせて周囲に漂わせるオブリビオン。
 横から襲い掛かった羽を避ける為に後ろに跳んで避けたベルカは、それでもさらに近づこうと前へと足を踏み出す。
「大丈夫ですよ、さあ」
「だ、黙れ!私を惑わさせるな!」
 二人のやり取りは薬の効果が切れるまで続く。何とかベルカから逃げきったオブリビオンであったが、精神的な疲労は計り知れない物であったとか、何とか。

成功 🔵​🔵​🔴​

涼場・応為
アドリブ、共闘、今回は非採用も大歓迎!

思う。カクリヨファンタズムは常にカタストロフに脅かされている。
ではなぜここでは16BIT世界なのか。敢えて16BITなのか。

カクカクになった自分の手を見ながら考える。

この世界は、崩壊のために作られた環境ではない。
この世界は、望まれて作った世界。
でなければわざわざドット化なんていう回りくどいことはしない。

「あなたも16BITにワクワクを感じたと思うのです。私たちと同じように」

打刀を抜く。

「オブリビオンである以上、ともに歩むことはできません。が、桜の精として命のサイクルに戻すことはできます」

構える。

「いずれゲームの話で盛り上がりましょう」

打刀を振り抜く。


シャーリー・クラーク
妖怪さん達も大分開放出来たね。
後はあの一番偉そうな感じの子だけ!

死にたくない…綺麗になりたい…一番になりたい…
色んな夢や希望はみんな持ってるもの。
あなたが誰かに迷惑を掛けない願いなら私も応援出来たかもしれない…
だけど、自分の都合で世界ごと巻き込んじゃうなんて許せないよ!

私聞いた事あるよ。こういうゲームでは魔王は絶対勇者に倒されるんだって。
私にとっての勇者はこの子達…このステージで魔王を倒してみせるよ!

UCを発動。水の刃を生やした自在に飛び回るサメさん達で魔王の炎を削って行こう。
仲間にも降りかかるようなら何体かはサポートに。
なるべく少女は傷つけたくないけど、隙があれば本体も狙って行くよ!


フィロメーラ・アステール
「不死鳥って死んでから復活するんだっけ?」
蘇生ってのも死が前提じゃないかな?
死なない不死とは何か違う気がする!

そこが致命的なミス!
ゲームで魔王がやられるのはお約束!
また復活するとしても、それは一般オブリビオンと同じ性質!
実質ちょっとタフな火の鳥?

【謳い謳われし満天星】の出番!
【第六感】を開放し世界とリンクすることで、ゲームっぽくなった世界の機能を拝借……【盗み】? いやいや。
そこに【全力魔法】を注ぎ、魔王との決戦に相応しいBGMやエフェクトを用意するぞ!
もう戦闘が【パフォーマンス】と化す勢いで演出!

これで仲間の【勇気】を【鼓舞】する!
敵もノリノリになると強くなるけど、お約束にも乗りやすくなる!


レナータ・バルダーヌ
言っていることの理屈はよくわかりませんけど、このオブリビオンさんが元凶なのは間違いなさそうですね。
残念ながらこうなってしまった以上、骸の海に行っていただくしかありません。
あなたを倒して、この世界は元に戻させてもらいます!

敵の本体が炎となると、わたしが採れる攻撃手段は限られそうです。
攻撃は他の皆さんにお任せして、こちらは援護に回りましょう。
敵の攻撃はできる限り【B.G.ブロッサム】で相殺し、防ぎきれなければ体で【かばい】ます。
攻撃の機会を見つけたら【念動力】で敵の動きを封じるか、或いは少女の体のみをサイキック【オーラ】で保護してもいいかもしれません。
皆さんの作戦に合わせて対応したいですね。



「妖怪さん達も大分開放出来たね。後はあの一番偉そうな感じの子だけだよ!」
「言っている事の理屈はよくわかりませんけど、このオブリビオンさんが元凶なのは間違いなさそうですね」
 数多くの戦いを経て大勢の妖怪を救いだせた事を喜び、後は目の前のオブリビオンを倒すだけだと自らに従う鮫さん達を激励する様に言葉を強めたシャーリー・クラーク(大空を遊泳する鮫天使・f26811)。
 その横では目の前にいる存在が語る不死なる存在の死からのここまでの過程。どれをとっても理解に及ばないと切り捨てたレナータ・バルダーヌ(護望天・f13031)が再び紫色の炎を体から立ち上らせる。
「不死鳥って死んでから復活するんだっけ?死んでから蘇生って言うと死なない不死とは何か違う気がする!」
 そこに致命的なミスがあると語るのはフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)だ。
 死したオブリビオンは躯の海に還る。そうなると、死して蘇る不死鳥のオブリビオンとはちょっとタフな火の鳥なのでは?と、考えるフィロメーラ。
「カクリヨファンタズムは常にカタストロフに脅かされている……世界の滅び……ドット化」
 そして。顎に手を当てて考えていた涼場・応為(驚天推理の脳筋探偵・f27148)の手は、まるでこの世界と同じ様に小さな四角状の物で形成されていた。一度手を動かし、物を掴み、今も顎に手を当てているという感覚があると、影響がない事を確認はしている。故に探偵として、この世界の仕組みを彼女なりに考えているようだ。
 そんな様々な思いを巡らせる彼らの前に、魔王としてオブリビオンは立つ。
「ふん、最後の話は済んだか」
「あ、所でさっきのお薬は大丈夫?」
「聞くな!」
 よほど先程の事がトラウマであったのだろう。蒸し返すなとばかりにフィロメーラに炎の羽を向けるオブリビオン。その羽を横に避け、後ろに跳んでと距離を取りつつ躱したフィロメーラ何かに願うように両手を組む。
「謳い謳われし満天星。ここに始まるは、夢を伝える物語」
 その願いに合わせるように、どこからともなく響くのは電子音で出来たラッパのファンファーレ。
 ゲームの世界となったこの世界の力をフィロメーラ曰く拝借する事で、音楽に、そして演出に従う者達の力を増幅させるフィロメーラのユーベルコード。
「さあ、行くぞー最終決戦!」
 フィロメーラの檄と共に奏でる音楽は禍々しく、そして激しく音を鳴らす。
 その音楽が示す様に、最後の戦いが今幕を開けたのだ。

「あなたが誰かに迷惑を掛けない願いなら私も応援出来たかもしれない……」
「ほざくな!貴様に私の何が分かる!」
 オブリビオンの周りに漂う炎の羽を、召喚した水の鮫達に突撃させる事で破らんとするシャーリーと、破らせないと羽根を羽搏かせるオブリビオン。
 いつも以上に派手に燃え盛る羽と見えない何処かを意識する様にアピールをする鮫達が二人の間で相殺されてゆく中で、二人は言葉を交わしていた。
「死にたくない……綺麗になりたい……一番になりたい……色んな夢や希望は皆持ってるもの。だけど、自分の都合で世界ごと巻き込んじゃうなんて許せないよ!」
「お前達と私は違う!」
 激昂と共に吹き荒れる炎の羽が鮫たちを飲み込み、シャーリーすら飲み込まんとする。
 その間に割り込んだのはレナータであった。
「ここから先には通しませんよ!」
 自らの体から噴き出す炎を花びらと変えて、仲間を襲う炎の羽その全てを撃ち落としてゆく。
「あなたが言っている事は理解できませんでした。ですが、残念ながらこうなってしまった以上、骸の海に行っていただくしかありません」
 炎と炎では相性が悪いだろうと考えたレナータは、仲間を守る為体から噴き出る炎を更に、高らかに勢いを増してゆく。
「あなたを倒して、この世界は元に戻させてもらいます!」
「ならば来るがいい!力なき者の言葉など塵芥と同じよ!!」
 再び舞う炎の羽。それに対する水の鮫と炎の花びら。フィロメーラの力はオブリビオンにも及んでいるようで、炎が一つ、水の鮫が一つ消えてゆくだけで炎は爆発し水ははじけ飛ぶ様に派手に消えてゆく。
 その3人の間の隙をつくように走る、影が一つ。
「……」
 何かを考えるように無言のまま、二人を助けんと打刀を抜きオブリビオンの体を袈裟切りにする応為。その一撃を受けたオブリビオンの体が燃え上がってゆく。
「やった!」
 炎は完全にオブリビオンを包み込み、その姿が見えなくなる。勝利を喜ばんと歓声を上げたシャーリーの耳に。
「まだだ!まだ終わってはいない!!」
 炎が翼を象り応為を襲い、打刀で受けて応為は後方へと跳ぶ。そこにいたのは、先ほどまでの受けたはずの傷がなくなり復活を果たしたオブリビオンの姿。
「……あれ、ちょっとまずいんじゃないかこれ」
 冷や汗を流すフィロメーラと共に、後ろで響くBGMが絶望的な音楽を奏でようとした。
 その時であった。
「なぜここでは16BIT世界なのか。敢えて16BITなのか。考えてみたのです」
 桜の精、応為はカクカクしている自分の手をオブリビオンへと晒し語り始める。
「カクリヨファンタズムは常にカタストロフに脅かされている。ではなぜここでは16BITな世界なのか。敢えて16BITなのか」
「……何を言っている勇者」
 怪訝な顔をして炎の翼を打ち付けてゆくオブリビオン。それを打刀で防ぎながら、構うことなく応為は語る。
「この世界は、あなたに望まれて作った世界です」
「当然だ!私はこの世界で永遠の不死を」
「では、このゲームの世界をどうやってあなたは知りました?」
 その言葉に、オブリビオンの手が止まる。
「そういえば電子ゲームって新しい遊びだよなー」
 そういえばとばかりに後方で自身のユーベルコードの維持に努めていたフィロメーラも応為の言葉に思う所があるとばかりに言葉を投げかける。
 そう。彼女がどこで電子ゲームの存在を知ったかはわからないが、これらは全て新しい遊戯でありその頃には妖怪の姿が見える者等、ほとんどいなかったはずである。
 にもかかわらず、目の前のオブリビオンはこの世界の事を知っている。つまりそれは――。
「貴方がカクリヨへときたのはかなり最後の方だったのでは?」
「……だったら、なんだというのだ」
「いえ、ただ聞きたいことが一つ」
 ドットと化した手で、人差し指を上げた応為は自らが辿り着いた結論を確認する為、口を開く。
「あなたも16BITにワクワクを感じたと思うのです。私たちと同じように」
「ッ!?」
 今までにないほど吹き荒れる炎の翼が応為へと襲い掛からんとする。上から叩きつけようとする炎の翼を、紫炎を纏ったレナータが両腕を交差させて受け止める。
「なるほど。食料となる感情もないまま貴方が最後の方に此処に来ようとしたのであれば、カクリヨまでの道に耐えられなかったのも頷けますね」
 合点がいったと語るレナータ。その言葉に感情が揺さぶられたように、炎の翼を何度もレナータへと、何かをぶつけるようにオブリビオンは振るう。
「……だったら何だというのだ!」
 吠えるように、やり場のない何かをぶつける様に、叫び狂う声。
「とても輝いて見えたこの世界に、夢を見て何が悪い!この世界なら私の夢が叶うかもしれない!叶うべきだ!」
「……オブリビオンである以上、ともに歩むことはできません」
「――ッ!!」
 応為の言葉に我を忘れたようにがむしゃらにオブリビオンは攻撃を続ける。
 だ、威力はあれど雑に繰り出されてゆく攻撃は見切りやすく、レナータによって大半は捌かれ、その隙間を縫うようにシャーリーの鮫がオブリビオンの体へと喰らいついてゆく。
「私聞いた事あるよ。こういうゲームでは魔王は絶対勇者に倒されるんだって!」
 喰らいついた鮫達が、そしてレナータの力がオブリビオンの動きを封じる。
 いつの間にか、奏でる曲もどこか哀愁が漂う物になっている。
 その中で、応為は再び刀を構える。
「ともに歩むことはできません。……が、桜の精として命のサイクルに戻すことはできます」
 それは、彼女の心を断つ一刀。それを構える。
「いずれ命が廻ったら――」
 ゲームの話で盛り上がりましょう。と、その言葉と共に応為は刀を抜いたのであった。

「私にとっての勇者さんはこの鮫さん達なのだけど、あの子にとっての勇者は私達……だったのかな?」 
「まあ、今となってはわからない話って奴だな!」
 崩れ往く城を崖の上から見下ろす猟兵達。しんみりとした雰囲気で語るシャーリーに、答えは永遠に謎の中とばかりにフィロメーラは答える。
「とりあえずカクリヨファンタズムは救われたっというのは間違いないかと」
 それに対し、ともかく世界は救われたのだと語るのはオブリビオンに取り込まれていた竜神の少女を背中に抱えたレナータだ。
 あのオブリビオンが、どういった経緯でこの世界を創ったかなど、結局はわからない事である。
 だが、しかしだ。
「なんとなく。この世界はカクリヨファンタズムの崩壊の為に作られた訳じゃない……っといいですね」
 桜の精として一つの命を輪廻へと戻した応為。
 オブリビオンに対しての推測の真偽は結局の所わからない。
 だが、そうであったらいいと思うのはきっと自由であるし、何処かでこの世界をあのオブリビオンと化した不死鳥が知っていたのは間違いないだろう。
 
 ともあれここに、一つの冒険が終わった。
 だが、まだ戦いは続くのだ。本当に世界が救われる、その時まで。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年07月08日


挿絵イラスト