「ぴえーっ!道がないよぉ!?」
「父さん!これは一体……!」
「ウーム……これは間違いなく骸魂の仕業じゃな!」
――カクリヨの世界に悲鳴が響き渡る。
そこは、あらゆる場所へ通ずる“道”を閉ざされていた。
「アーッハッハッハッ!愉快!痛快!爽快!実に素晴らしいネ!」
そして、その世界に君臨するのはオブリビオンに侵された妖怪の少女である。
「このままどんどん道を爆破してやるワニュード!!」
「すべての道はどこにも通じぬでニュード!!」
彼女が率いる妖怪軍団こそ、燃ゆる火車の群れである。輪入道の軍団は勝手気ままに走り回り、そして手ごろな道に差し掛かると自ら爆発することで、次々のカクリヨ世界に存在するあらゆる道を破壊していたのだ。
「ハハハハハ!これでこの世界はどこにも行けぬアル!さあ、さあ!今こそ滅びのときヨ!あまねく妖怪どもよ、恐怖に震えるヨロシ!」
そして、オブビリオンが嗤う。
――これこそが、週に7度は訪れるといわれるカクリヨファンタズム世界の崩壊の危機であった。
「はい、おしごとのじかんよ」
かくして、ロスタ・ジーリード(f24844)はグリモアベースにて集められた猟兵たちの姿を見渡して告げる。
「みんな、カクリヨファンタズム……ってゆーせかいはもうしってるかしら。ええ、ええ。このあいだつながったばかりの新世界よ」
ロスタはモニターに映し出した資料を指し示しながら、簡易的な紹介を済ませる。
新世界カクリヨファンタズム。
UDCアースに隣接する世界であり、忘れられし妖怪や神秘の存在が隠れ住むとされる秘境である。
「で、なんとこの世界、毎週のように世界崩壊の危機がおとずれるんですって。週刊世界の危機ね」
ロスタは割と無感情にそこまで言い終えると、説明を続けた。
「今回の案件は、カクリヨ世界の内部に発生した迷宮が戦場になるわ」
――迷宮化した異界。
カクリヨ世界においては、オブリビオンの発生に応じて周囲の空間が迷宮化するのである。当然のように、今回の案件で猟兵たちが向かう戦場も迷宮化している。
しかして、迷宮化とは言うもののその実今回の戦場となる場所は半壊した世界だ。浮島めいてそこら中に浮かんだ岩の足場が広がる空間となっており、浮かぶ足場を飛び移りながら戦う状況となっている。
「……今回の敵はねー、『道』をてってー的に壊そうとしてるんですって。カクリヨを誰もがどこにも行けず、明日にも未来にも向かうことのできない『迷子の世界』にすること……それが今回の敵の目的よ」
そのために、手駒とした輪入道を配下として、此度の首魁オブリビオンはカクリヨ世界に存在する道と言う道を徹底的に排除しようとしているのだ。
「というわけで、今回のみんなのおしごとは、現地に向かい、てきのパンジャンドラム……あ、ちがうわね。パンジャン入道をやっつけて、それから敵のおやだまのオブリビオンをやっつけることよ」
短くまとめてしまえば――行って、やっつけろ。
やること自体はシンプルである。
なお、この世界におけるオブリビオンは『骸魂』と呼ばれる邪悪な霊魂がカクリヨ世界に生きる妖怪を呑み込んで変身した存在であり、殴り倒せば呑み込まれた妖怪を救出できるのである。囚われた妖怪の子もちゃんとたすけてあげてね、とロスタは付け加えた。
「それから、一仕事おえたらカクリヨの妖怪ちゃんたちがみんなにむらがってくるとおもうわ。特に今回の案件でとらわれてるキョンシーちゃんなんかは組手や決闘ごっこがだいすきらしーから、つきあってあげるとよろこぶとおもうのよ」
――なので、余力があったらかるく遊ぶ程度に付き合ってあげてもいいんじゃないかしら。
最後にそう言い添えて、ロスタは一度礼をした。
「……というわけで、説明は以上よ。ほかに質問はないわね」
かくして、ロスタはグリモアを掲げ、そして輝かせる。
「それじゃ、いってらっしゃい」
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
新世界ですね。
こちらもより一層気持ちを込めて侵略活動をさせていただきたく存じます。
よろしくお願いいたします。
第1章 集団戦
『輪入道』
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POW : 燎原火炎陣
【激しく回転しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他の輪入道】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : 紅蓮疾走
自身に【燃え盛る炎】をまとい、高速移動と【回転する炎の輪】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ : ファイアホイールスピニング
【回転速度】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ヒャーッハッハッハ!」
「ブッ壊れニュード!!!」
ギュオオオオオーーーンッ!ギュロロロロッ!バルバルーーーッ!!
轟音!うなりをあげて回転する火車が宙を舞い、そして爆発する!
「素晴らしい爆発ワニュー!!」
「よォし!この俺様も負けてられんニュード!!」
続けて回転を増し、加速する輪入道の群れ!次々に爆発する輪入道がカクリヨ世界の道という道を爆破してゆく!
――かくして、カクリヨ世界は崩壊の危機を迎える。
道とは即ち繋がりであり、明日へと続く道しるべなのである。それらを破壊し尽くすということは、未来を閉ざすことと同義なのだ。
猟兵たちよ。君たちは速やかにこの悪しき骸魂たちの暴虐を止めなくては止めなくてはならない!
四季乃・瑠璃
緋瑪「爆発なら負けてられないね、瑠璃!」
瑠璃「ちょっと特殊な世界だけど…派手にやってるみたいだし、早速行こう、緋瑪」
【破壊の姫君】で分身。
二人で飛翔翼を展開し、足場を気にせず戦闘。
空中からK100による銃撃で牽制を掛けつつ、接触式ジェノサイドボム(以下ボム)や感知式ボムをばら撒いて吹き飛ばして爆砕したり動きを封じたり。
動きを封じた敵はそのまま頭部に銃撃を撃ち込んで始末していくよ。
緋瑪「爆破は道を破壊するだけじゃないよ!」
瑠璃「道を切り拓く事も出来る事を教えてあげる」
「「さぁ、私達の破壊を始めよう」」
緋瑪「一体も逃がさないよ!」
瑠璃「確実に殲滅してあげる」
レパル・リオン
待てぇーいっ!(スーパーヒーロー着地)
そこなパンドラ怪人!罪もない人々…いや、妖々?とにかく彼らから道を奪い、未来を塞ぐなんて絶対ぜーったい許さない!
変身!とおーっ!
(ここでOPが入る)
あたしはヒーロー!魔法猟兵☆イェーガー・レパルよ!(決めポーズ&背後で爆発)
浮島をジャンプで飛び移り、邪魔するパンドラ怪人を蹴って殴って大立ち回りよ!
パンドラ怪人が突進してきたら、あたしは激しくヨコ回転!勢いの乗った回し蹴りを叩き込み、横の顔面を蹴り飛ばしてノックアウトよ!
「ヒャーッハッハッハ!」
ギュルルルーッ!!崩壊した大地を飛翔するように火車が飛び、そしてその先でまた爆散する!閉ざされる道!
「さあさあ!どんどんブッ壊すヨ!道《タオ》を往くのはこの世界においてワタシひとりで十分ネ!」
邪悪なる妖怪キョンシー木綿が腕を腕を掲げて号令をかけるにしたがって、次々と飛び出す火車たちが歓声と共に炸裂する!
「待てぇーいっ!」
「グアーッ脱輪!!」
だが、そこへ颯爽と降り立つ姿!レパル・リオン(f15574)である!砂埃を撒き上げながら凛々しく着地したレパルは、その衝撃で進行中だった輪入道をフッ飛ばした!
「罪もない人々……いや、妖々?とにかく彼らから道を奪い、未来を塞ぐなんて!このイェーガー・レパルが絶対ぜーったい許さない!」
「ムウッ!こやつは何の妖怪でワニュード!?」
「犬……?いや虎……?」
突如現れた猟兵の姿に戸惑う輪入道の群れ!
「あたしは妖怪じゃなーいっ!」
レパルは抗議の声と共に再び蹴り足を放つ!
「何事アルか!?」
突然の闖入者に戸惑うキョンシー木綿!
「見ればわかるでしょ――正義の味方のご到着よ!」
そして更に巻き起こる爆発!爆炎を突き抜けてその姿を現したのは、四季乃・瑠璃(f09675)と彼女の別人格の緋瑪である。
「ムウウーッ!我々の侵攻を阻むとはいい度胸ワニュード!!」
「我々の爆発で焼き尽くしてやるワニュード!!」
敵の出現にいきり立つ輪入道の群れがその進行方向を変えた。瑠璃と緋瑪へとその矛先が向く。
「爆発なら負けてられないね、瑠璃!」
迎え撃つように緋瑪は立ち向かい、その手の中に銃把を握る。
「そうだね、緋瑪。ここはちょっと特殊な世界だけど……派手にやってるみたいだし、早速行こう」
瑠璃は緋瑪と頷きあい、その背に翼を展開する。2人は岩塊の足場を蹴って空中へと飛び出した。瑠璃はその手の中に魔力を集中させ、ジェノサイドボムを生成する。
「逃がさんワニュード!」
「逃げなんかしないよ!」
追い縋る輪入道の群れへと銃口を向け、緋瑪は引き金を引く。BLAM!銃声!弾頭が輪入道の額を掠めた。牽制された輪入道は後退し、その速度を緩める。
「そこよ!とおーっ!!」
――更に蹴り足!銃弾めいた加速と共に飛び込んだレパルが輪入道の顔面を貫いた!その姿は既に魔法少女としての戦闘衣装へと【変身/レパル・トランスフォーム】を終え、煌めく粒子とともに宙を舞う!
「こっちも忘れないでね!あたしはヒーロー!魔法猟兵☆イェーガー・レパルよ!」
「なにヨ……?イロモノ枠がワタシの邪魔しにきたアルか!?」
憤慨しながら叫ぶキョンシー木綿!
「いやいや、そっちも大概イロモノでしょ!」
BLAMBLAMBLAM!握ったK100の銃口が吼え猛る。緋瑪はキョンシー木綿に抗議しながら輪入道へ牽制射。動きを止めたところに瑠璃が追撃のジェノサイドボムを叩きつけて爆破してゆく。
「グアーッ爆死!!」
「うーん……私もそう思う」
更に瑠璃は魔力を収束させながらジェノサイドボムの数を増やし、周囲の空間へとばら撒きながら次々と爆破してゆく。巻き込まれた輪入道たちが悲鳴をあげながら爆散した。
「で、それはともかく……さあ、もっと派手にぶっ飛ばしちゃおう!いくよ瑠璃。爆破は道を破壊するだけじゃないってこと、あいつらに見せてやらなくちゃ!」
「うん。道を切り拓く事も出来るって事を教えてあげる」
「何を小生意気なことを言うアル!小癪な猟兵どもめ……ならばお前たちの道を閉ざしてやるヨ!さあおまえたち、やーっておしまい!」
「アイアイニュードー!」
ギュルルルルーッ!ケイデンスを増した輪入道たちが岩塊を飛び移りながら瑠璃・緋瑪へと押し寄せる!
「邪魔はさせないわよ、パンドラ怪人!」
「グアーッ横っ面!!」
しかし、そこへ飛び込んだレパルがオブリビオンの暴虐を許さない!鋭い回し蹴りが輪入道を蹴り倒しノックアウト!
「ここはあたしが抑えるわ!」
レパルは更に輪入道を蹴飛ばしながら押し寄せる輪入道軍団へと立ち向かい、そして押しとどめる。
「助かるー!それじゃあ瑠璃、派手にやっちゃおう!」
「うん。これで……やっつける!」
「「さぁ、私達の破壊を始めよう」」
爆破!爆轟!爆散!爆発!瑠璃と緋瑪は宙を舞いながらジェノサイドボムを輪入道たちへと叩きつけ派手に処理してゆく!炎の匂いを撒き散らし、火車の軍団は次々に真っ赤な花火と化した!
「一体も逃がさないよ!」
「確実に殲滅してあげる」
「お、おのれ猟兵どもめ……!ゆ、許せんアル!おまえたち、もっとがんばるヨロシ!」
「ア、アイアイニュードー!!」
だが、キョンシー木綿は怒りに拳を震わせながら更に輪入道たちに突撃命令!猟兵たちへと対抗してゆく!
戦いは更に激化の一途を辿る。週に7度は訪れると言われるカクリヨ世界崩壊の危機――猟兵たちは滅びへと抗うため、戦い続ける!
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
大神・零児
パンジャン入道って
英国面に侵されてるじゃねぇか!
パンジャンならパンジャン同士で競争しろよ
(某企画動画の影響)
UCで戦場をコースに!
コースは廃墟と化したショッピングモール内部!足場最悪!
走る暴徒型ゾンビ達や四足走行する巨大鮫!
疾走する下半身蟹足のデブ!
鮫とデブの悪魔合体(両腕がチェーンソー)とか何でもあり!
こいつらの妨害を潜り抜け出口にたどり着けるパンジャンは現れるか!?
俺は獣型モードのC-BAに騎乗し救助活動
吐き出された妖怪達を回収してまわる
回収した妖怪達はコンテナを改造したシートに乗せ運搬し救出
妨害はマルチグレネードで対応
出口まで地形の利用と足場習熟、地形耐性でショートカット
アドリブ共闘可
エメラ・アーヴェスピア
新しい世界はこちら側が不利…どころか滅亡の危機じゃないの!?
ゆっくりと調べる暇もないじゃない…仕方ないわね、猟兵の仕事を始めましょう
パンジャ…あんな兵器がまた関係するの!?(最近そんな依頼を達成済み)
…あ、いえ、違うわね…疲れているのかしら…
…こほんっ、この迷宮で戦うのならば私は遊撃に徹しましょうか
『蒼穹翔るは我が箒』、浮遊型魔導蒸気砲を変形させて【騎乗】、【空中戦】を展開するわ
ターゲットは地上で戦う同僚さん達が狙い辛い敵を優先
ガトリングと複合兵装…そして騎乗している砲で一撃離脱気味に戦わせてもらうわ
さぁ、この世界の脅威がどのようなものか、見せて頂戴
※アドリブ・絡み歓迎
ナイア・アルハズラット
東方ようか……いえ、パンジャンだから英国妖怪?なんと恐ろしき英国のダークサイドか。
……いけない、雰囲気にのまれている。
ともあれ、道を壊されるのは普通に迷惑ね?
キッチリお掃除しましょうか。
どうやら相手の攻撃のほとんどは突進攻撃で、恐ろしいのはそれが集団で突っ込んでくる事なわけだけど……。
じゃぁ、先頭のパンジャン入道を急停止させたらどうなるかしら?
ただでさえ自爆特攻みたいなユーベルコードだし、一瞬でも動きを止めたら大惨事になるんじゃないかしら?
「新しい世界はこちら側が不利……どころか滅亡の危機じゃないの!?」
エメラ・アーヴェスピア(f03904)はこの世界へと足を踏み入れたその瞬間に悲鳴をあげた。そこかしこに残る爆発の痕跡。破壊し尽くされた道という道。それどころか既に崩壊した世界。砕けた大地の痕跡である岩塊が浮かぶのみ、といった有様である。
「そして暴れまわっているのは東方ようか……いえ、パンジャンだから英国妖怪?なんと恐ろしき英国のダークサイドか」
「英国面に侵されてるじゃねぇか!?」
ナイア・アルハズラット(f04959)は変な笑いが出てしまった。一方、大神・零児(f01283)からは素っ頓狂な悲鳴が漏れる。
「いきなりスラップスティックね。ゆっくりと調べる暇もないじゃない……仕方ないわね、猟兵の仕事を始めましょう」
「アーッハッハッハッ!!どうやらワタシの妖怪軍団の恐ろしさに怯えているようアルね!そのまま死ぬヨロシ!」
若干げんなりした感のある猟兵たちの様子を見やりながら、勝ち誇るように妖怪軍団の首魁たるキョンシー木綿が哄笑する!
「……ねぇ、あれ。キョンシーよね?」
「……ああ」
「ええ、キョンシーね」
猟兵たちは顔を見合わせて怪訝な顔をした。
「あれって英国妖怪だったかしら……」
「いや、東洋だろ……?」
「……いえ、ひょっとしてパンジャンだっていう認識が違ってるんじゃないかしら」
「なにをゴチャゴチャと喋っているワニュード!!!」
「さては我々を爆破するための作戦を立てているワニュード!!そんなことはさせんニュードー!」
「ほら、ちゃんと『輪入道』って自己紹介しているわ」
――うん。東洋妖怪のキョンシー木綿が輪入道軍団を引き連れてきている。ちゃんと東洋妖怪の軍団ね。エメラは襲い来る輪入道たちへ視線をやりながら納得する。
「……そうね、雰囲気にのまれていたわ。落ち着きましょう。あれはパンジャンじゃなくて輪入道……。まあ、どれでも変わらないのだけど。とにかく、キッチリお掃除しましょうか」
「あ、ああ。やっちまうぞ。ここは俺に作戦がある。任せてくれ」
零児は気を取り直すとユーベルコードを励起する。いつか彼のみた悪夢が、その精神を通じて世界に現出する。砕けた岩塊が再構成を始め、そしてひとつの巨大な建造物を作り出した。――【悪夢召喚「ゴーストタウン・アミーゴ横須賀」/ハンティングチェイス・ザ・ショッピングモール】。
「なにィ!?」
「これはどういうことワニュード!?」
輪入道の群れは展開した廃墟のショッピングモールへと引きずり込まれ困惑する。
アミーゴ横須賀とは、かつてある世界に存在した商業施設である。かつては外国人客にも人気のあるショッピングセンターだったが、経営母体の倒産に伴って閉鎖されて以来、省みる者の無い廃墟と化した場所だ。そこではこうした噂があった――『アミーゴ横須賀の廃墟で、米軍がゾンビ兵器の実験をしている』。
「オオオ……」
「ヴゥゥゥ……!」
即ち、そこは怪物だらけのゴーストタウンなのだ。走るゾンビが、凶暴ゾンビガールが、強化暴走陸鮫が、超頭脳暴走超重ファットマンシャークが次々に現れ輪入道たちへと襲い掛かる!ここは怪物の檻だ。引きずり込んだ輪入道たちを逃すまいとゴーストたちが牙を剥いた!
「さあ、ここで好きなだけ走りやがれ!足場最悪!走る暴徒型ゾンビ達や四足走行する巨大鮫!疾走する下半身蟹足のデブ!こいつらの妨害を潜り抜け出口にたどり着けるパンジャンは現れるか!?」
「案外ムチャクチャやるわね彼」
「とはいえ、檻があれば無秩序に走り回られるよりやりやすいわ。私は遊撃に回るわね」
「ええ、こっちも動くわ」
ナイアとエメラは頷きあい、それぞれに飛び出した。2人の魔女は廃墟の中を駆けてゆく。
「ああ、2人とも頼んだ。――こっちは任せてくれ!いくぞ、C-BA!」
『ヴォン!』
その一方で零児は相棒を呼ぶ。C-BAは自動二輪形態にも変形可能なマシンビーストだ。ヴィークル状態に変わったC-BAに乗り込むと、零児はアミーゴ横須賀を走る!
そして、輪入道たちのデスレースは続く。
「ガオオオン!!」
「グアーッ気魄攻撃!!」
ガオンッ!!止まぬ襲撃!アミーゴ横須賀のゴーストたちは休むことなく牙を剥く!強化改造暴走超重陸鮫が輪入道に喰らいつきへし折り破壊!続けて自販機の隙間から現れた高等超頭脳折り畳み男が振り回した斧を叩きつけた!
「グオーッ!こ、これ以上やられるわけにはいかんワニュード!!」
だが、輪入道たちもただやられるだけではない。彼らもまた必死に回転数を上げて出口を目指した!加速する輪入道の群れはゴーストたちを引き離し、脱出路へと向かう!
「……いいえ、逃がさないわ」
しかし、そこへ襲い来る魔導蒸気砲の砲撃!【蒼穹翔るは我が箒/ブルームオブスカイスクレイパー】。機動力を活かし、先んじて敵の進路に待ち伏せていたエメラが襲撃したのである。横合いからの奇襲に対応できず爆散する輪入道!ガトリング砲に撃ち抜かればらばらになる輪入道!足止めされる輪入道!後ろから追いつくゴーストの襲撃!踏んだり蹴ったりの状況にまたも輪入道たちが爆発四散!
「お、おのれェ!」
「しかし出口はもうすぐそこニュード……!ここから抜け出さえすれば奴らに逆襲を……」
残存する僅かな輪入道たちは鬼気迫る形相で更に加速し、出口へと向かう!――ゴールまではあと僅かだ。多くの仲間を失ったが、あと少し。もう少しだけ進めばこの迷宮を脱出できる!希望の光へと向かう輪入道たち!
「残念だけど、そうはいかないのよねぇ」
――だが、無慈悲!
輪入道たちの進路を塞ぐように、そこに立つのはナイアである。ナイアは手にした魔導書を開き、そして術式を繰った。
「ウオオオーーッそこを退くワニュード!!」
「いいや、退かなくとも轢き潰してやるニュード!!」
「あら強引。そういうのも嫌いじゃないけど――アグゥア!」
拘束術式展開。ナイアの立つ出口へと向けて更に加速する輪入道たちの中でも、先頭の一体へと彼女は狙いを定める。続けて第二術式。第三術式!
「ツグゥア!イグゥア――さ、これでどうかしら!」
「ムウウウーッ!?」
【ング・アルグァの三重拘束魔術結界/トリニティ・バインド】。ナイアが素早く組み上げた術式は先頭を走っていた輪入道を束縛し、そしてその動きを急停止させた。
「どうして止まるニュード!!!」
「ブレーキ!!!全員ブレーキかけるワニュード!!!」
「火車は急に止まれないニュード!!!」
高速で前進する集団の、その先頭が突然急停止したのならばどうなるものか。――そう。加速したままの後続入道がぶつかってくるのである。
「グアーッ追突!!」
「グアーッ玉突き事故!!」
「グアーッ大惨事!!」
結果、大惨事であった。激突。激突。激突。激突に次ぐ激突!迷宮からの脱出を急いでいた輪入道たちはまとめてぶつかり合い、1体残らずばらばらに砕け散ってその機能を停止した。
「……あら、もう終わってたの?」
少し遅れて出口へと到着したエメラが、輪入道の残骸の中からくるくる目を回したちいさな妖怪を拾い上げる。――そう。忘れがちだがこの世界におけるオブリビオンは、やっつければ囚われていた現地の妖怪たちを救い出せるのだ。
「どうやらうまくいったらしいな」
続けて到着した零児はC-BAの後部に増設したシートに山のように小妖怪たちを積み上げていた。零児はそうして解放された妖怪たちを救出して回っていたのである。
「とはいえ、まだ終わったわけじゃないみたいだけどね?」
――耳をすませば、迷宮の外ではまだ輪入道たちの叫び声や爆発音が響いている。ナイアは肩を竦めてから、迷宮の出口へと向かった。
「ええ。行きましょうか。こんなのでも一応、世界の危機だものね……早く終わらせましょう」
「ああ。そうだな……さっさと片付けるぞ!」
続けてエメラと零児も迷宮を後にする。迷宮の外ではキョンシー木綿が号令をかけながら更なる妖怪軍団を暴れさせているのだ。戦いはまだ続くのである!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
白斑・物九郎
●POW
カクリヨファンタズム
『週刊世界の危機』たァこれまた
まあ退屈しなさゲな狩場もあったモンですわな?
東も西もしっちゃかめっちゃかな百鬼夜行
獲物として狙うにゃ不足ナシ
そんじゃま一ツ、この世界でもワイルドハントを始めるとしま……
(走ってく輪入道を見送る)
(爆発する輪入道を眺める)
おう新世界一発目のエントリーやぞコラ
俺めのシリアス返しなさいや
(輪入道のスポーク部分に魔鍵ガキッて突っ込んでストップ掛けてチンピラの如く絡む)
・【獣撃身・黒】発動
・化け猫っぽい見た目なのでこの世界のバトルにはよくハマる
・【野生の勘】で追っ掛け回し、ネコパンチでボコる
・遠目からだと「ねずみ花火を追っ掛ける猫」みたいな絵面
白鳥・深菜
「了解。殴り倒せばいいのね
――さあ、そこの餓鬼共。私の後ろが今できたばかりの道よ。かかってらっしゃい。」
そういうが早く【命狩りて喰らう白鳥】で自身を前のめりに加速。
輪入道の前に現れて、突っ込んできた相手の攻撃を
【魔術師の直感】で見切り、カウンターで顔を殴りつけていく。
殴った後は【白き空に舞う翼】で連続バックジャンプで退避。
相手の爆発はオーラ防御や火炎耐性を生かしつつ、
ヒットアンドアウェイを意識することで対策する。
(しかし不思議な感覚ね。
懐かしいというか、来たことがある気がするというか。
そういう郷愁の世界だ、って事は聞いているけど。
それだけじゃないような……?)
歌川・邦絵
※アドリブ歓迎
WIZ判定
・セリフ
火事と喧嘩は何とやらって言うけれど
アンタらはちょっとやりすぎだねぇ
カクリヨを危機に落とし入れるその行動、このアタシが許さないよ!
・UC演出
(腰につけた大きな巻物を広げると宙に浮かんでスクロールしていく)
むやみに争い、破壊をもたらすその所業。
アンタらにふさわしい地獄はこれだっ!
絵巻、地獄百景『等活地獄』!!
(一瞬辺りに地獄の風景が投影され、黒い線が相手に向かって飛んで行く)
この線が書かれたとおりに罪人は切り裂かれる
たとえ避けても地面に惹かれた線を踏めば同じく切断されるって寸法さ
「『週刊世界の危機』たァこれまたまあ、退屈しなさゲな狩場もあったモンですわな?」
白斑・物九郎(f04631)は、砕けた大地より崩壊しつつある世界の姿を見る。
――カクリヨファンタズムは些細な事でもすぐさま世界の崩壊に繋がる、言うなれば常に火のついた爆弾のような世界だ。
しかして、それは逆にスリルや戦いを求める類の猟兵からしてみればむしろ魅力的ですらある世界の姿であろう。
「東も西もしっちゃかめっちゃかな百鬼夜行。獲物として狙うにゃ不足ナシ。そんじゃま一ツ、この世界でもワイルドハントを始めるとしま……」
「ヒャーッハハハハハ!!」
「ブッ壊してやニュード!!」
ギュルルオーッ!!轟音!空を翔けるように物九郎の横を駆け抜けてゆく輪入道!その炎とやたらデカい声は物九郎の口上を完全に遮ってビュンビュン通過していった!
「……」
物九郎は胡乱げな目つきで疾走する輪入道を見送り、そしてその爆発するさまを眺めた。
「オラオラーッ!どんどん爆破してや」
「待てや」
ガッ!!――続けて物九郎の横を通りすがろうとした輪入道の動きが強制停止!物九郎はその手に繰る魔鍵を輪入道の車輪に突っ込んで引っかけ、強引にその回転を停止させたのである。
「おう新世界一発目のエントリーやぞコラ。俺めのシリアス返しなさいや」
“ビキィ”
“!?”
更に物九郎は苛立ちを露わにしながら至近距離で輪入道のツラに向けて威圧的にメンチを切る。
「ヒッ」
あまりの迫力に慄く輪入道!物九郎はそれに蹴りを入れてぶち転がすと、あらためて魔鍵を構えなおして崩壊しつつある世界を見渡した。
「ったく、なっちゃいねえ妖怪どもッスわ。――ここはひとつ、ヤキ入れてやるとしやしょうか。なあ?」
そして、物九郎は振り返る。
「了解。殴り倒せばいいのね」
その声に、白鳥・深菜(f04881)が頷いた。
「……それにしても」
深菜は目を細めながら崩壊しつつある世界の姿を見る。――今でこそ崩れつつある世界であるが、遠目に見えるまだ無事な場所など、そこに深菜はこの世界のあるべき原風景の姿を見た。
(しかし不思議な感覚ね。懐かしいというか、来たことがある気がするというか。――そういう郷愁の世界だ、って事は聞いているけど)
胸の奥に生まれるほんのわずかな違和感。――私は、この世界を知っている、ような気がする。
(それだけじゃないような……?)
「いやはやいやはや。火事と喧嘩は何とやらって言うけれど……アイツらはちょっとやりすぎだねぇ」
いやはやまったく。ここで下駄の足音が響いて、深菜の思索を打ち切らせた。ついでとばかりにその場に居合わせた歌川・邦絵(f12519)である。邦絵はぽっくりぽっくり下駄の足音をたてながら2人に並んで戦場を眺めた。
「おう。そんじゃ、いきやすよ――」
けほ、とわざとらしいくらいの咳ばらいをして、物九郎は声を整える。そして。
「あらためて、この世界でもワイルドハントを始めるとしやしょうか」
「OK猟団長。お任せあれよ」
「おうおう。わいるどはんとな。よくわからないけど、アタシも乗っからせてもらおうじゃーないか!」
いざ、いざ。かくして猟兵団ワイルドハントの2人と道連れ1人。あわせて3人が岩塊の大地を蹴立てて跳び出してゆく。
「じゃ、先に行くわね――さあ、そこの餓鬼共。私の後ろが今できたばかりの道よ。かかってらっしゃい」
一番手に飛び出した深菜が、翼を広げて加速する。【命狩りて喰らう白鳥/エクスティンクション・ライフ】。深菜は白く炎を纏いながら滑空。そして疾走する輪入道の側面からぶち当たる!
「グアーッ横転!」
悲鳴と共に横転する輪入道!すぐさま爆発四散する!深菜は油断なく視線を巡らせると、次なる獲物を探した。
「お、おのれェ!貴様……一体なにものワニュード!!」
「ワイルドハント、遊撃・兼・奇襲担当――白鳥・深菜よ!」
続けざまに翼が奔る。白焔が火車の炎を呑み込むように広がって、再び輪入道が爆発した。
「おーおー、それがわいるどはんとってやつかい。なかなか面白いねぇ――じゃ、こっちも負けちゃアいらんない!こっちも派手にいこうじゃーないか!」
その一方で、邦絵が巻物を開いた。――それは、一貫の絵巻である。そこに描かれていたものは。
「むやみに争い、破壊をもたらすその所業……アンタらにふさわしい地獄はこれだっ!」
そこに、地獄が顕現する。
歌川・邦絵は絵筆をその真体とするヤドリガミであり、そして獄卒である。その生業は、自らの筆で描いた地獄絵図や百鬼夜行図を用いて、骸魂を狩ることだ。即ちここに現れたのは、彼女の作り出した地獄だ。
【絵巻:地獄百景】。開かれた絵巻から黒い線が四方八方へと広がり伸びてゆく。
「絵巻、地獄百景……『等活地獄』!!」
「グアーッワイヤートラップ!!」
「グアーッ切断!!」
統括地獄とは、罪人が刃物や鉄棒でその身体を断たれ、その痛みを幾億回も繰り返される地獄なのだという。ここに現出せし地獄もまた、それと同じように骸魂を切り裂く刃となった。広がる黒線は次々に輪入道たちを捉え、そして引き裂いてゆく。
「地獄とはまあ、大きく出たじゃーニャーっすか」
そして、物九郎が飛び込んだ。
それと同時にその貌が変わる。双眸が、開いた口腔が、物九郎の姿を異形へと変貌させてゆく。【獣撃身・黒/フルトランス】。励起したユーベルコードの力が、物九郎の姿を巨大な化け猫へと変じた。
「そンなら、こっちも地獄に相応しくいきやしょうな――しゃァッ!」
化け猫が飛び出した。岩塊の足場を巧みに渡り、地獄の黒線を掻い潜りながら走り回る輪入道へと一気に間合いを詰める。まず一体。俊敏な肉食獣めいた素早い体捌きで爪を振るい、瞬く間に一体を仕留める。
「グアーッ化け猫!!」
「しかしこいつらいちいちうるせーッスな」
追撃のネコ・パンチが激しく輪入道を叩いた。衝撃に転倒する輪入道は即座に爆発!物九郎はすぐさま反転し、次の獲物を求めて跳ぶ。さながらねずみ花火を追う猫のように、化け猫は輪入道を追って更に駆けた!それに交差するように再び白焔と翼が駆けた。三者三様。縦横無尽に暴れまわる猟兵たちのユーベルコードが、次々に輪入道の群れを駆逐してゆく。
「ど、どうなってるアル!?ワタシの妖怪軍団が……もうこれしか残ってないアルか!?」
その一方で悲鳴をあげる妖怪軍団首魁・キョンシー木綿。
「これだけニュード!!」
「しかし我々は気合十分!まだぜんぜん負けてないワニュード!」
だが、まだ自信ありげに叫ぶ輪入道の群れ!
「それならいってくるヨロシ!!この世界を滅ぼすヨー!」
キョンシー木綿は更に懲りもせずその軍団へと再び突撃命令を下す!
「こんなに減ってるのに、まだ元気でいられるのね」
「ンじゃま、ぐうの音も出なくなるまで凹ましてやりやしょうか。このままブチのめすッスよ」
「OK、猟団長」
「おっしゃ!アタシも手ぇ貸すよぉ。このカクリヨを危機に落とし入れるあの悪行、許すわけにはいかないからねぇ!」
猟兵たちは態勢を整えながら、骸魂たちを駆逐すべく更なるユーベルコードを励起する。猟兵たちの活躍によって、残存する敵の数ももはや目に見えて少なくなってきたところだ。戦いが次の段階に進むには、これ以上はそう多くの時間を必要とはしないだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
神羅・アマミ
世界崩壊まであと5分!
なるほど、新天地はなかなかにホットスタートらしいのー。
いち猟兵として投石でも何でもやって阻止せねば仕方あるまい。
さあたたかいだ!
敵はパリピ並に大ハシャギしとるようじゃが持久戦なら果たしてどうか。
UC『箱馬』と【ダッシュ】の合わせ技にて浮いた岩と岩とを飛び移り、時には遮蔽物としても利用しつつ敵につかず離れずの全力回避行動。
要石にはかなうめーってな!ガハハ!
いざという時には【怪力】より放たれる和傘のスイングで炎の放射を【吹き飛ばし】緊急回避!
奴らがチアノーゼ気味にゼィゼィ息切れしたならそれこそ反撃のチャンス。
二度と上手く回れんよう出鱈目にブッ叩いて車輪を歪めたるわー!!
黒川・闇慈
「週刊世界の危機ですか……なんともはや忙しい世界のようで。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
なんでも輪入道という妖怪は「此所勝母の里」と書かれた札には近付けないのだとか。あらかじめこの札を用意しておいて効果のほどを見てみましょう。いい時間稼ぎになるかもしれません。
効果があればよし、ないならないでホワイトカーテンの防御魔術を展開し火炎耐性の技能で突撃を防ぎましょう。
攻撃をしのいで相手が眠った所で属性攻撃、高速詠唱、全力魔法の技能を活用し氷獄槍軍を使用します。ご自慢の車輪を氷付けにして差し上げましょう。
「これでも世界の危機は何度か経験していますのでね……クックック」
ウィーリィ・チゥシャン
道が塞がれたらみんな困るし、そもそも輪入道達だって道を壊したら走れなくなっちまうだろ?
ので、お楽しみのところ悪いけど止めさせてもらうぜ!
【地形の利用】と【ジャンプ】で足場を飛び移りながら盾代わりの鉄鍋による【盾受け】と【火炎耐性】で敵の炎をしのぎ、そして敵が突っ込んで来たところを【カウンター】の【幻炎鎮魂斬】で骸魂を切り裂き、輪入道達を正気に戻す。
後でカクリヨ世界の美味い料理、教えてくれよな!
「おー……これはこれは」
神羅・アマミ(f00889)は砕けた大地を踏みしめながら口の端に不敵な笑みを載せる。
「世界崩壊まであと5分!っちゅーところか。なるほど、新天地はなかなかにホットスタートらしいのー」
「いわゆる週刊世界の危機、ですか……なんともはや忙しい世界のようで。クックック」
黒川・闇慈(f00672)はその身の内で術式を励起しながら崩壊しつつある世界を見下ろした。バルバルバルッ!ギュオオオーン!闇慈が見下ろしたその先では、大きく数を減らしながらもいまだに走り続ける輪入道たちが回転し、そして爆発していた。
「余裕ぶってる暇はねえぞ!早くなんとかしねえと!」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)が包丁を抜く。
「わかっておるわかっておる。うむ、いち猟兵として投石でも何でもやって阻止せねば仕方あるまい」
アマミは鷹揚に頷いてから一呼吸置き、岩塊を蹴立てた。
「よーし、そんじゃいくぞ!全部爆破し尽くしてやろーじゃねーか!」
「クックック……ええ、そのように」
「ああ、いくぜ!」
そして猟兵たちが戦場へと飛び込んで行く。さあ、戦いだ!
「オラオラーッ!」
「ヒャーッハッハッハ!死ニュードー!!」
「おーおー。随分大ハシャギしとるようじゃが」
「クックック……では、少々黙らせましょうか」
疾走する輪入道たちのもとへと向かいながら、闇慈は札を引き抜いた。
「その札、何だ?」
「ええ。なんでも輪入道という妖怪は『此所勝母の里』と書かれた札には近付けないのだとか……」
博識!魔道に通じる闇慈は当然のように陰の存在であるところの妖怪たちについての知識も豊富だ。掲げられた札は実際効果を発揮する。
「こ、これは!」
「勝母の里!」
「なんと忌まわしいニュード!」
「いかんニュード!!これは近づいてはいかんワニュード!!」
急制動!果たして闇慈の示した札は伝承の通りに輪入道たちの動きを縛る!停車する輪入道の群れがおののいた。
「お、マジで止まりおったわ」
「クックック……こんなこともあろうかと何枚か用意してきていますよ」
「じゃ、せっかくだし貸してもらおうかな」
「よし、妾もこれ借りてくぞ!」
「どうぞどうぞ」
闇慈から札を借り受けて、アマミとウィーリィが前進する。
「おのれ小癪な猟兵ども!」
「逃がさんニュード!」
「笑止!お主らポンコツパンジャン風情が妾に追いつけると思うでないわ!要石にはかなうめー、ってな!ガハハ!」
「こ、このガキ……!」
アマミは空中を巧みに機動しながら輪入道たちを挑発し、引き寄せながら逃れて行く。【箱馬】で虚空を蹴って飛ぶアマミは浮かぶ大小の岩塊の中を飛び回り、時に札を叩きつけ、そして翻弄した。
「道が塞がれたらみんな困るし、そもそもあんた達だって道を壊したら走れなくなっちまうだろ?」
「うるさいニュードー!」
「我々がそんなことを気にして走っているとでも思ったかニュードー!」
その一方、ウィーリィは岩塊の足場を飛び移りながら輪入道たちの追撃を躱しつつ、迎撃の態勢を整えていた。激突する輪入道の突撃を鉄鍋で受け止め、弾く。シールドバッシュめいて鉄鍋をぶつけながら衝撃と炎を受け流し、ウィーリィは続けざまに包丁を振り抜いた!
「聞く耳ナシ……か!それなら、お楽しみのところ悪いけど止めさせてもらうぜ!」
ガァンッ!激突音!包丁の刃が輪入道の車輪とぶつかった。鍔迫り合うように力が押し合い拮抗する一瞬――
「おのれェ!我々がこの程度で止ま……」
「いいや、止める!そして、骸魂に囚われたその心……俺が、救うぜ!」
刃は炎を纏う。そして燃え上がり巨大な炎の剣と化したウィーリィの大包丁は、輪入道のその躯体を通り抜けた!
「グア……!こ、これは一体何ニュード……!か、身体が、熱い!」
「俺の炎は……その邪心だけを焼き切るぜっ!」
【幻炎鎮魂斬/セイヴァー・セイバー】!その刃に断たれた輪入道はそのまま横転し静かに回転を止める。宿った骸魂のみが灼き尽くされたのだ。
「クックック……。どうやらまもなく全滅のようですね?」
「黙るニュード!我々の計画は万全……」
「ワハハ!言う割にはもーお疲れの様子ではないか!」
アマミと闇慈は輪入道の群れを躱しつつ、持久戦に持ち込んでいた。妖怪オブリビオンとはいえそのパワーは無尽蔵ではなく、しかも一部のユーベルコードは代償として昏睡までもあるのだ。そして、その末に訪れる結末は――すなわち、スタミナ切れである!
「ハア、ハア……」
「よーし、見よ見よ。チアノーゼまで出してゼィゼィ言うておる」
「クックック……こちらの作戦通りというわけですね?」
闇慈はその手の中に収束した魔力にかたちと指向性を与える。そこに氷獄の風が吹いた。
「では、一網打尽といきましょう。全ての命に冷たき慈悲を。一切全てを貫き駆けよ」
風は瞬く間に大気中の水分を凍結させ、そこに氷槍を生じる。そして闇慈は、軍司令めいて指先を振った。
「【氷獄槍軍/コキュートス・ファランクス】」
その瞬間、輪入道の群れへとめがけて豪雨のように氷槍が殺到した。
「グアーッ凍死!!」
「グアーッしもやけ!!」
「グアーッ冷え性!!」
そして貫かれる輪入道の群れは悲鳴を上げながら次々と凍結し、そして砕け散る!
「オアーッ妾の見せ場が!!!」
シンプルにブン殴ろうと思って準備していたアマミは広域範囲型の術式攻撃に遅れを取ってしまった!アマミは悔しく拳を握る!
「これでも世界の危機は何度か経験していますのでね……クックック」
闇慈は若干得意げな顔である。不敵に笑いながら黒衣の裾を翻した。
「ええと、それはいいんだけど……」
「きゅうー……」
そんな最中、ウィーリィは爆発四散した輪入道たちの中から飛び出してきた小妖怪たちを拾い上げてきていた。そのほとんどが旧鼠と呼ばれるねずみの妖怪の類だ。彼らは輪入道の内部で回し車奴隷めいて輪入道の回転動力炉として囚われていたのである。
「なんじゃ、それがあの連中の正体っチューことか?」
アマミは怪訝な顔をした。それはそれとしてお構いなしにねずみ妖怪たちは頭を下げる。
「た、助けていただいてありがとうございまチュウ。こんどぜひお礼をさせてくださいでチュウ」
「オッ。礼とは殊勝な心がけじゃのー!」
「ああ、あとは俺たちに任せてくれ。……後でカクリヨ世界の美味い料理、教えてくれよな!」
そしてウィーリィがねずみ妖怪たちに避難を促した。
「ひとだまの天ぷらがおすすめでチュウ!それでは失礼!」
三々五々散って逃れてゆくねずみ妖怪たちを猟兵は見送り、そうしてからあらためてその視線を敵の首魁たる骸魂、キョンシー木綿へと向けた!
「よし、これでだいたい片付いた感じじゃな?あとはお主くらいのもんじゃぞ!」
ビッ!アマミは指先を突き付けてキョンシー木綿へと堂々の宣戦布告!
「ヌウウーッ!おのれおのれ猟兵どもめっ!よくもワタシの妖怪軍団を!こうなったらもーゆるさんヨロシ!」
対するキョンシー木綿は怒りにその身を震わせ、強く拳を握りしめながら戦闘態勢に入る!
「クックック……別にあなたに許しを乞うつもりはありませんがね?」
――かくして、首魁オブリビオンとの決戦の火蓋は間もなく落とされんとしていた!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
第2章 ボス戦
『キョンシー木綿』
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POW : キョンシーカンフー
【中国拳法の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 百反木綿槍
自身が装備する【一反木綿が変形した布槍】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : キョンシーパレード
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【キョンシー】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「アイヤー!もうオマエたち許さんアルよ!」
激昂!砕けた大地を踏みしめながら、キョンシー木綿が咆哮する!
「かくなる上はワタシ自らが相手をしてやるネ!」
ビュ、ッ!バッ!鋭い風切りの音!それは武の道《タオ》を極めた強力な大陸由来の拳法の演武だ!
「中華仕込みの妖怪拳法《アヤカシアーツ》、とくとご覧にいれるアル。さあ、刮目し恐怖に震えるヨロシ!」
「さすがはボス!なんたる技の冴えキョン!」
「素晴らしい技キョン!」
その一方で、破壊されたはずの輪入道たちの邪悪な骸魂が起き上がり始めたのである。キョンシー木綿から発散された強烈な氣と妖気を浴びたがために、キョンシー入道軍団として再起したのだ!
「この世界で道《タオ》をゆくことを許されるのはただ一人……このワタシに他ならぬアル!」
かくして、世界を滅ぼさんとするキョンシー木綿との戦いが始まるのである!
ナイア・アルハズラット
入道のキャラがブレ……てるようでブレてないわね、語尾だけねあれ。
ともあれ、ここからが本番ね。
大量の布槍か……なら刃物とスピートで相手をするわ。
コート等の装備を【いずれ根源に至る断章】に収納【ダ・グールの短剣】をだけを抜いて、クラウチングスタートの姿勢からの《盗賊の瞬撃》よ。
スピードで翻弄して、布槍を避け、切り払い、短刀を突き立て……ちゃうとマズイいんだっけ?骸魂だけを破壊……纏ってるんだし〈盗み攻撃〉で服を盗むような要領でいけないかしら?
エメラ・アーヴェスピア
…何というか気の抜ける相手ね
いえ、油断はしてはいけないわ、世界の危機と言うのは変わらないのだから
先程は足場が出来たけれどもう無いわよね?気を付けないと
…でも先程の廃墟…懐かしい気配がしたのは何ででしょうね…?
大人しく足を止めての砲撃戦…つまり私が一番得意とする攻撃が良いのかしら
…『我が砲火は未来の為に』、中型の大砲(命中力重視)を大量に呼び出すわ
それぞれが敵を狙い、隙を与えないように、接近をさせない様に立ち回らせてもらうわ
それと同僚さん達、その大砲を足場にしても構わないわよ?敵が使おうとしたら他の大砲の砲撃で叩き落とすけれど
この足場の悪い中、砲弾の雨をどう掻い潜るのかしら?
※アドリブ・絡み歓迎
黒川・闇慈
「キョンシー木綿だけならまだしもキョンシー入道軍団とは……頭の痛くなりそうな名前ばかりですねえ。クックック」
【行動】
wizで対抗です。
さて、キョンシー木綿のほかにキョンシー入道軍団とも戦わねばなりませんか。本当になんなんでしょうねえ、キョンシー入道軍団。
もはやお札は効きそうにありませんし、実力で対処するしかないでしょう。
高速詠唱、全力魔法、範囲攻撃の技能を活用しUCを使用します。
攻撃対象はキョンシー木綿及びキョンシー入道軍団です。一反木綿は布ですし、斬撃はよく効くでしょう。
「さて、世界の危機の大騒ぎにも幕引きが必要でしょう。クックック」
【アドリブ歓迎】
神羅・アマミ
語尾で雑にキャラ付けしてんじゃねーぞ!
アルとかヨロシとか化石か!?
躯の海に還れや!
勢いでキレてみたけど特別何か思い入れがあるわけではない。
真の姿・ゴリラニックパワーローダーへと覚醒し、放つUCは【番手】!
そして召喚するアタッチメントとは粉砕機じゃ!
モノによっては自動車すらも粉微塵に砕くこの機械仕掛けの怪物…やわな一反木綿なぞ一度端を噛んだなら、あっという間に吸い込み巻き込み散り散りのバラバラよ!
キョンシー本体が身に纏い自在に操るというのも好都合。
ほら…オフィスでたまにシュレッダーがネクタイを巻き込んじゃうとかいうアレ!
そして除雪車が鹿っぽい何かを巻き込んでも気づかないというアレにしてやるー!
ウィーリィ・チゥシャン
お、あんたも中華仕込みか。
こっちもUDCアースやヒーローズアースで中華料理は学んできたつもりだぜ!
そんな訳で奴の拳法に対しこっちは刀工で迎え撃つ!
奴の攻撃を【フェイント】で躱しながら攻撃を空振りさせると同時にわざと周囲の地形を破壊させ、こっちも反撃の【衝撃波】を放つフリをして周囲の足場にヒビを入れていく。
そして鉄鍋の【盾受け】で攻撃を凌ぐフリをして【物を隠す】で脆くなった足場を奴の視界から隠して【地形の利用】でそこへ誘い込み、奴がバランスを崩したところへ【料理の鉄刃】を【二回攻撃】で叩き込む!
明日が来なけりゃ朝ごはんも食べられない。
そんな真似はさせないぜ!
「さあお前たち、ブッこむヨロシ!連中をひとり残らず血祭りにあげるアルよ!」
「ヒャーッハハハ!ブッ殺してやるキョン!!」
「お前たちはもうおしまいキョン!!」
ゴゴゴゴッ!回転速度を上げるキョンシー輪入道軍団が虚空を駆ける!
「……キョンシーだから『キョン』なのかしら?」
ナイア・アルハズラット(f04959)は疑問を呈した。
「……何というか、気の抜ける相手ね」
エメラ・アーヴェスピア(f03904)ももうだいぶげんなりしている。
「キョンシー木綿だけならまだしもキョンシー入道軍団とは……頭の痛くなりそうな名前ばかりですねえ。クックック」
面白がっているのは黒川・闇慈(f00672)ばかりであった。
「入道のキャラがブレ……てるようでブレてないわね、語尾だけねあれ」
「いやいやいやいや!語尾で雑にキャラ付けしてんじゃねーぞ!」
ここでようやく神羅・アマミ(f00889)がツッコミを入れた。
「キョンシーだから『キョン』とか!中国人だから『アル』とか『ヨロシ』とか!化石か!?昭和のマンガかコラ!躯の海に還れや!」
「まあ、たしかに昔の連中だもんな、あいつら……」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)は頷いた。過去から来たオブリビオンなら、古いのはまあしょうがないんじゃないか。
――そう。よく考えてみてほしい。骸の海とはすなわち過去であり、そもそもこのカクリヨファンタズムという世界自体が忘れ去られし妖怪たちの世界なのである。ここの妖怪たちが昭和めいた空気から逸脱しきれていないことを責めることはできないだろう。
「ところでウィーリィよ。お主も中華系っぽいがアルとか言わぬのか?」
「いや、俺はそういうキャラ付けしてないから」
「ともあれ、ここからが本番ね」
こほん。ナイアが咳ばらいをひとつして、話を本題に戻す。
「ええ、そうね。油断はしてはいけないわ、世界の危機と言うのは変わらないのだから」
エメラはナイアと頷きあい、武装の展開を開始した。
「そうじゃな。なら、戦闘開始とゆこうではないか!ゆくぞ皆の者!」
「ああ、いくぜ!」
かくして猟兵たちは前進を開始する。砕けた岩塊の上を飛び移るようにしながら、キョンシー木綿の姿を追った!
「ブッ殺してやるキョン!」
だが、それを妨害するようにキョンシー入道軍団が走る!
「来たわね」
「本当なんなのかしらね、あれ……」
キョンシー輪入道軍団の元気な様子にうんざりしながら、エメラが応戦する。【我が砲火は未来の為に/オープンファイア】。エメラは浮かぶ岩塊の足場を簡易的な陣地としながら、励起した術式によって無数の魔導蒸気砲を展開した。
「さて、さっきは足場がある中だったけど……」
数分前の戦闘機動をエメラは思い返す。先の戦闘では他の猟兵が構築した空間内に入っていたため、足場を気にする必要がなく楽ができたが、今はそうはいかない。エメラは慎重に姿勢を制御する。
「……それにしても先程の廃墟…懐かしい気配がしたのは何ででしょうね……?」
不可思議なノスタルジーはこの世界そのものが過去に失われたものをルーツとするが故か。仄かな懐かしさを振り払いながら、エメラは展開した蒸気砲へと意識を同期させる。
「クックック……連中の抑えはこちらでも担当しましょう。協力しますよ」
エメラの展開した蒸気砲のひとつを足場がわりにして降り立ち、闇慈もまた術式の構築を開始した。素早い詠唱がユーベルコードを形成し、そしてその力を発露させてゆく。
「咲き誇れ致死の花。血風に踊れ銀の花。全てを刻む滅びの宴をここに」
詠唱に応じ、掲げた術式杖メイガスアンプリファイアに魔力が注ぎ込まれてゆく。
「【銀嶺に舞え斬翔の花弁/シルヴァリー・デシメーション】」
そして、花咲くように爆ぜた。
爆ぜ散ったメイガスアンプリファイアは液状の銀となって飛散する。その飛沫のひとつひとつが花びらめいて刃となり、展開したキョンシー入道軍団へと襲い掛かった。
「……いい仕事ね。助かるわ。……こっちも、砲弾の雨を降らせるとしましょうか」
続けてエメラが攻撃の意志を見せる。それに呼応するように、展開した魔導蒸気砲の軍団が一斉に砲撃を開始した。轟音とともに爆ぜる術式弾頭が更にキョンシー軍団を追い立てる!
「グアーッ水銀中毒!!」
「グアーッ爆死!!」
爆散!舞い散る銀の花嵐と砲弾の雨に飲み込まれ、キョンシー入道軍団が次々に爆発してゆく!
「おのれッ!よくもワタシの手駒たちを!」
岩塊の足場を蹴立てながら、キョンシー木綿が激昂の叫びを響かせた。その腕に巻きついた骸魂・妖怪一反木綿の布の身体を布槍と化して腕先を向け、そして猟兵たちへと放つ!
「なんじゃありゃ!布槍っちゅーやつか!」
「迎え撃つわよ!さあ、遊んでないで!」
「遊んどらんわ!」
ガオンッ!凄まじい勢いで放たれた木綿布槍が岩塊に命中し、そして砕けた!ナイアとアマミは咄嗟に跳び退りながら別の足場へと移り、そして敵の姿を追う。
「アーッハハハハ!どうしたアル?オマエたち猟兵とかゆーのはその程度アルか!」
追撃!続けざまに放たれた一反木綿布槍が更にナイアを狙った!その加速度と威力は折り紙付きだ。当たればただでは済むまい!
「この程度と思ってもらっちゃ困るわね――私、速さには自信があってよ?」
しかしナイアは鋭くその軌道を見切り、紙一重で躱す。頬を浅く裂かれるが、この程度は手傷の内にも入らない。ナイアは即座に岩塊の足場を蹴りながら、同時に手にした魔導書へと触れた。『いずれ根源に至る断章』のページへと、ナイアは身に着けた魔道具を圧縮し収納し始める。装備を外すことで軽量化を図ったのである。ナイアはその手に一振りの短刀だけを残しながら、素早く駆け出した。
「アイヤッ!?急にすばしっこくなったアルね!?」
「おっと、こっちも忘れてもらっちゃ困るぜ!」
「哎呀!?」
その側面からウィーリィが迫った!その手に構えた大包丁。接近しながらウィーリィは横薙ぎに振るう!
「そんな不意打ちでこのワタシを捉えられるとでもッ!」
だが、キョンシー木綿は腕を跳ね上げるようにしながら布槍を鞭めいて振るう!下から突き上げられるように軌道を反らされる大包丁。そこへキョンシー木綿は踏み込みながら鋭い蹴り足を放った!研ぎ澄まされた妖怪拳法《アヤカシアーツ》がウィーリィを襲う!
「ッ……!あんたも中華仕込みか!」
「オマエもアルか!」
「ああ!こっちもUDCアースやヒーローズアースで中華料理は学んできたつもりだぜ!」
「料理!?今料理と言ったアルか!?拳でなく!」
続けざまに放つ必殺の拳打!猛攻!連撃!更に拳がウィーリィへと襲い掛かった。しかしウィーリィは巧みな体捌きと構えた鉄鍋でこれを受け、いなし、躱す。キョンシー木綿の技の冴えは見事なものであったが、ウィーリィとて場数を踏んだ猟兵である。その経験の中で磨かれた戦いのセンスがその技を止め、致命傷を避ける。いずれの技も強烈だ。鉄鍋を構える腕が衝撃に痺れそうになったが、ウィーリィは持ちこたえた。そして、反撃の機会を伺う。
「よーしよし!よく耐えた!」
「ああ!選手交代だ。頼むぜアマミ!」
「ムウッ!?」
――その瞬間である!ウィーリィがここで後方へと退避。そこへ入れ替わるように鋼鉄の拳が降りた!
「どうじゃ、妾の絡繰は!」
【番手】!それはアマミの搭乗した重機ゴリラニックパワーローダーである!ウィーリィがキョンシー木綿の注意を引いている間に、彼女は準備を整えていたのだ。
「ハ!図体ばかりデカいものを持ち出したところで、ワタシの妖怪拳法《アヤカシアーツ》にはかなわぬアルよ!」
だが、キョンシー木綿は臆することなく構えを取り、そして一反木綿布槍を放つ!
「ぶぁーか!そいつを待っておったんじゃよッ!」
「――哎呀!?」
しかしてアマミはその口の端に笑みすら浮かべて布槍を迎え撃った!巨体のサイズに気を取られ、キョンシー木綿は気づいていなかったのだ。ゴリラニックパワーローダーの機体に取り付けられていたアタッチメントパーツに!
「ワハハハハ!こいつはのー!モノによっては自動車すらも粉微塵に砕くこの機械仕掛けの怪物よ!」
粉砕機である!シュレッダーめいてかみ合わされる無数の金属突起が吸い込んだ物体を粉々に破砕しながら呑み込んでゆく危険な機会だ。アマミはキョンシー木綿の放った布槍をそこに噛ませたのである!
「な、なにアルかこれは!?」
「ワハハ!やわな一反木綿なぞ、一度端を噛んだならあっという間に吸い込み巻き込み散り散りのバラバラよ!こいつが貴様をこの世から跡形もなく殲滅せしめることと知れ!死ねーッッ!!」
ギュオオオオンッ!ガガガガガッ!キョンシー木綿が放った一反木綿布槍を強力なパワーで巻き取り呑み込みながらアマミが高笑いする。実際にUDCアースのオフィスなどでもみられる、シュレッダーがネクタイを巻き込んじゃうとかいう危険極まりない事故に酷似した状況だ。キョンシー木綿は強力な粉砕機のパワーに引きずられながら歯を食いしばる。
「さあ!このまま除雪車が鹿っぽい何かを巻き込んでも気づかないというアレになるがよい!」
「そうは……いかぬアルよ!」
だが、ここでキョンシー木綿は咄嗟に鋭い手刀を放った!指先が粉砕機に飲み込まれつつあった一反木綿布槍を切り落とし、キョンシー木綿が窮地を脱する!
「ぬおっ!?」
ガオンッ!パワーローダーが揺らぐ!アマミは操縦桿を操って機体の姿勢を制御。態勢を立て直す。
「いいザマアルね!このままとどめを……」
その隙に反撃の構えを見せるキョンシー木綿!握った拳に収束する妖気!
「――いいえ、とどめをさされるのはあなたの方よ!」
「ああ!こいつをくらいなッ!」
「……なに!?」
しかし、その両側面から素早く2つの影が迫った!ナイアとウィーリィである!
「ムウ!これはいかぬでキョン!」
「すぐにボスの加勢に――」
首魁たるキョンシー木綿の喉元に猟兵たちの刃が迫っている。キョンシー入道軍団は揃って方向を転換し、キョンシー木綿のもとへと向かおうとするが――
「クックック――行けると思いますか?」
「ええ、行かせないわよ」
銀の花弁と砲撃の雨が、それを押しとどめる。闇慈とエメラは容赦なく支援砲火を続けた。これではキョンシー輪入道軍団がキョンシー木綿を救援に行くことは不可能だ。
「おのれ、小癪な猟兵どもネ!」
「誉め言葉として受け取っておくわ!」
「これ以上好き勝手になんかさせるかよ!」
キョンシー木綿は岩塊の足場を蹴って後退しながら両腕を振って一反木綿布槍を放ち、猟兵たちを迎撃する――斬閃!しかして閃く刃が布槍を切り払った。片や大振りの料理包丁。片や魔道具たるダ・グールの短剣。ふた振りの刃が道を切り開き、ウィーリィとナイアは布槍の迎撃を掻い潜りキョンシー木綿の懐へと至る!
「明日が来なけりゃ朝ごはんも食べられない――そんな真似はさせないぜ!」
斬撃ッ!十字を刻むように、【料理の鉄刃/ブレイドワーク・オブ・アイアンシェフ】がキョンシー木綿へと叩き込まれる!
「哎呀……!」
「ええ、明日を守るのが私たちのお仕事ですから!」
「グアア……ッ!お、のれェ!」
そして、刃が閃いた!【盗賊の瞬撃/シーブズ・ギャンビット】!鋭く奔る切っ先が、キョンシー木綿の中の悪しき骸魂を成す部分である一反木綿の特性をもつ部位を剥ぎ取るように裂いてゆく!キョンシー木綿が悲鳴めいた声をあげながら後退した。
「オラーッ!」
そこへ更にアマミのパワーローダーが攻め込む!粉砕機を鈍器がわりに叩きつける一撃!キョンシー木綿は辛くもこれを躱し、そして更に後ろへと下がる!
「なんじゃお主、逃げよーったってそうはいかんぞ!」
「ちょっと呼吸をととのえるだけアル!逃げてるわけじゃないし、オマエたちはちゃんと殺してやるから安心するヨロシ!」
「……口は達者みたいね」
「とはいえ、いつまでも茶番に付き合ってはいられませんね。世界の危機の大騒ぎにも、早く幕引きが必要でしょう。クックック」」
「ええ、すぐに決着をつけてあげるわ!」
「ああ、世界が滅びちゃここの料理も勉強できねえからな!」
――そして、猟兵たちは後退するキョンシー木綿を追って岩塊の足場の上を駆けてゆく。
世界が完全に崩壊するまで、残された猶予は少ない。決着をつけるべく、猟兵たちの戦いは続く!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
四季乃・瑠璃
緋瑪「キョンシーのお札が一反木綿?」
瑠璃「妖怪の魔合体?随分器用なキョンシーだね」
【クリエイト】で分身
二人で周囲の無機物で焼夷弾装填のグレネードランチャーを大量生成。
一斉に全て操作し、敵キョンシー軍団に一斉斉射で攻撃。
更に瑠璃がジェノサイドボムを焼夷式【属性攻撃】にしてばら撒き、焼き払って広域攻撃と牽制を行い、緋瑪が大鎌の機巧を利用して炎を突っ切り、高速斬撃を仕掛け、追撃で爆砕するよ
瑠璃「キョンシーは死体だし一反木綿は布」
緋瑪「何に弱いかは明白だよね♪逆に死体だけに首落とすくらいじゃ死ななそうだけど」
瑠璃「殺し・広域殲滅は私達の専門。遅れを取るわけにはいかないんだよね」
レパル・リオン
いよいよ決戦ね、妖拳怪人・キョンシー木綿!
あたしだって全力全開で行くわよ!うおおーっ!
虹色ソウルが燃え上がり、真の姿に大変身!
レインボー・レパル!オンステージ!
真の姿たる最強フォームに変身!新しい衣装と虹色に燃える炎をまとい、妖怪拳法と真っ向勝負よ!
よけて、当てる!かわして、殴る!蹴って殴って長く立っていた方の勝ちよっ!
トドメの必殺技は【爆裂魂砲】で行くわ!あたしの気合いが、悪の力だけを焼き尽くす!
マージーカールーぅ、波ーッ!
大神・零児
真の姿第一段階
すまんな
UC使わなくとも野性の勘と第六感と戦闘知識と氣を用いた読心術で攻撃パターンを感知し軌道を見切り対処できるんだ
それから咄嗟の一撃による早業で構造物等の地形の利用から地形耐性も使い素早く回避
相手の意識の隙を衝き、相手の意識と攻撃の外や隙間を縫うようにして接近しながら魔力溜めした氣の塊を鮮血の氣による念動力で飛ばし相手の氣や意識にぶつけ、相手の念力の精度を鈍らせる
この行動にUC「無双の意識」を重ねて運用すれば、相手はたまったもんじゃねぇだろうな!
何せ自分の意識や認識、氣等のエネルギーを削ぎ落とされ、その感覚を喰らうんだからな。
回復まで相当の時間がかかるはずだ!
アドリブ共闘可
「おのれーッ!よくも我々の計画を邪魔してくれたキョン!」
「お前たちの血によって贖わせてやるキョン!」
ギュルルルーッ!唸るキョンシー輪入道軍団が、咆哮と共に足場を渡りながら猟兵たちへと攻め込んでくる!
「あれだけブッ壊してやったのに、まだ懲りないのか」
大神・零児(f01283)は迫り来る軍団の姿に辟易してため息をつく。
「フン……それはこっちのセリフヨ!お前たちの方こそとっとと諦めて帰るアル!」
「そういうわけにはいかないんだよねえ」
「うん。私たち、あなたを止めるために来たから」
四季乃・瑠璃(f09675)と緋瑪は視線の先にキョンシー木綿の姿を捉え、そして対峙した。
「そうよ!ぜったいに逃がさないわ!決戦の時よ、妖拳怪人・キョンシー木綿!」
レパル・リオン(f15574)もまたキョンシー木綿の姿を追って足場を飛び移ってゆく。
「うるさいケダモノアルね!入道ども、やーっておしまい!」
「アイアイキョン!」
ギュオンッ!回転数を増しながら走るキョンシー輪入道軍団がレパルへと向かって襲いかかった!
「こんなので!」
しかし迎撃!レパルの放った正拳がキョンシー入道を叩きのめし、強引に道を拓く!
「こいつッ!」
続けざまにそこへと飛来するキョンシー木綿!落下の勢いを乗せた強烈な蹴り足がレパルを襲った!レパルは咄嗟に身構えて受け止めるが、あまりの衝撃に数歩後退を余儀なくされる!だがレパルは真正面に敵の姿を捉えながら、声を張り上げて自身の心を奮い立たせた!
「あたしだって全力全開で行くわよ!うおおーっ!レインボー・レパル!オンステージ!」
レパルの纏う魔法少女としての衣装が虹色の輝きを帯びる。それは彼女の真なる力の発露だ。鮮やかな極彩の炎を纏いながら、レパルは構える!
「小癪なッ!」
キョンシー木綿が攻め立てる。放つ布槍が十重二十重に広がりそして撃ち放たれ、強烈にレパルを打ち据えた。だがレパルは嵐のような布槍の連打をいなし、掻い潜り、致命傷を避けながら進む。――届く至近の間合い!
「はあッ!」
「アイヤッ!」
拳と拳がぶつかり合う。凄まじい衝撃!互いに一歩退き、そして再び飛び込んでの交錯。激しい拳の打ち合い。真っ向勝負である。
「要は、長く立っていた方の勝ち……そうでしょっ!」
「なかなかやるアルネ――しかし!ワタシの妖怪拳法《アヤカシアーツ》の方が一枚上手ヨ!」
高速の拳打!巧みな拳法がレパルの拳と打ち合い、そしてぶつかり合う!叩きつける拳の衝撃にレパルが僅かに怯んだ!
「く、ッ……!」
「いいや、上を行くのは俺たちの方だッ!」
「……なに!」
だが、そこに割り込む衝撃!氣の塊が爆ぜる!
「オマエ……!畜生道の犬ごときがッ!」
「そういう言い草はちょいとよくないな!」
その氣を放ったのは零児である。練り上げた氣をキョンシー木綿へとぶつけ、そしてその氣の流れを削り取ったのだ。零児の纏う氣は妖刀に由来する陰の側のものであり、本質的にはキョンシー木綿の纏う氣と同質のものだ。であれば、ぶつかり合ったならばそこで起こるのはシンプルな衝突である。
「黙れ黙れッ!」
氣の衝突によって力を削がれたキョンシー木綿は双眸に怒りの火を灯し、岩塊の足場を蹴立てて跳躍!ターゲットを零児へと変えて襲い掛かる!
「すまんな――見えてるんだよ、お前の手は」
「ハ!その減らず口もいつまで叩けるアル!」
「お前が倒れるまでだ!」
「生意気ィッ!」
風切りの音!高速の拳打!重く鋭い打撃は鞭めいて奔る一反木綿布槍と共に零児を狙うが、しかして零児は静かに息を吐き出しながらキョンシー木綿の呼吸を読む。
――軌道も、狙いも。零児は一手先を読んでいた。拳の向かう先を躱し、すり抜け、そして対処してゆく。【無双の意識】が零児の五感を拡張し、そしてキョンシー木綿の意識を読み取っていたのである。
だが、苛烈さを増すキョンシー木綿の攻め手は激しく零児を追い立てる。――動きが読まれているというのならば、読んでいても躱せない程の高速で拳を叩き込めばいいのだ。
「ちッ――!」
「いつまでも躱しきれると思ったら大間違いネ!ワタシの技を侮るんじゃないアルよ!」
キョンシー木綿の妖怪拳法《アヤカシアーツ》の技の冴えはあまりにも鋭く強力だ。ユーベルコードによって拡張された零児の技量はそれに匹敵するものであったが、全てを躱しきるには至らない。いくつかの拳が彼の身体を掠めていた。――いつまでも躱し続けてはいられない。零児の背に冷たいものが走った。
「このまま押し切って――」
「――ところがそうはいかないんだよねぇ」
「うん。これ以上は、やらせないから」
「……なにッ!?」
ここで割り込むように爆ぜる炎!爆轟!キョンシー木綿の側面で、突如炎が爆ぜた!それは焼夷弾めいて燃え上がり、赤く炎を撒き散らす!
「それにしても、キョンシーのお札が一反木綿?」
「妖怪の魔合体?随分器用なキョンシーだね」
瑠璃と緋瑪が岩塊の足場を渡りながら、ユーベルコードを励起していたのである。【ジェノサイド・クリエイト】。瑠璃は自身の周囲の空間に、重火器――榴弾砲の群れを展開していたのだ。
「キョンシーは死体だし、一反木綿は布でできてる……」
「うんうん。何に弱いかは明白だよね♪」
緋瑪がその口の端に笑みを乗せ、指揮者のように指先を向けた。応じるように、展開した榴弾砲たちが一斉に弾頭を射出する。弾着。炸裂。爆轟!炎上!焼夷弾頭が周囲一帯の空間を赤く染め上げるように炎を放った。
「火は、なにもかも焼き尽くすものであると同時に……死を、浄めるもの」
「ついでに、周りの連中もね!」
「「「グアーッ火葬!!」」」
広がる炎に呑まれたキョンシー輪入道たちの骸魂が悲鳴をあげながら次々に爆発し消滅してゆく。更に燃え上がる炎は首魁であるキョンシー木綿の立つ空間までもを包み込み、その邪悪と穢れに満ちた身体を蝕んだのである。
「哎呀……!やってくれるアルね!」
ぎり、と歯を食いしばりながらキョンシー木綿が視線をさまよわせる。屍の身体に対して、浄化の炎は特効と言ってもいい攻め手だ。この状況、このままでは徐々に不利に追い込まれる。まずは一旦逃れなくてはならない――
「……ああ、その隙を待ってたぜ!」
「なに……!」
――しかし、退避を考えたその一瞬こそが致命的な隙となった!生まれた僅かな間隙をめがけて、零児はその手の中に収束した鮮血の氣を叩きつける!
「グア……!こ、こいつ……ワタシの氣を!」
妖刀の力に由来する氣が、キョンシー木綿の身体に内在する氣の流れを乱す!怯むキョンシー木綿へと、更に炎の榴弾が叩きつけられ、そして爆ぜた!
「お、ッ、のれ……えええッ!」
「さあ、これで終わりにしよう!」
その命を刈り取るように、炎を越えて緋瑪が素早くキョンシー木綿へと迫った!アダマスの大鎌が首を狙う!
「ワ、タシを……侮るんじゃないアルッ!!」
しかし、キョンシー木綿は尚も抵抗!跳ね上がる蹴り足!卓越した妖怪拳法の技が大鎌の刃と打ち合い、そして引き分けに持ち込んだ。衝撃に緋瑪が一歩後退する。
「侮ってなんかないわ!……だから、あたしの全力を見せてあげる!」
その瞬間である。そこに響いたのはレパルの声だ。視線を動かしキョンシー木綿がレパルの姿を探す――見つけた。僅かに離れた岩塊の岩場の上。レパルは全身にエネルギーを滾らせ、そして両腕で術式を構えている!
「あたしの気合いが、悪の力だけを焼き尽くす!」
「オマエ……それは!」
「マージーカールーぅ……」
【爆裂魂砲/カースブレイカー】。――その全身で練り上げた情熱を力と成して生まれた虹色の光弾が、レパルの手の中で光を放つ。
「波ーッ!」
そして、撃ち出された。
「哎呀……ッ!!」
爆轟。極彩色の光がキョンシー木綿を包み込み、そして爆ぜる。
「おおおおお、ッ!」
――しかし、キョンシー木綿は辛くも滅びを逃れた。絶叫めいた咆哮とともに、爆発的に広がる虹色の光の中から逃れ出たのだ。
決して無視できるダメージではない。もはや死に体と言っても過言ではない。猟兵たちとの交錯を経て、骸魂はもはや既に弱り始めていた。
「ハアー……ハアー……!く、クソ、おのれ、おのれ……!」
傷ついた身体を引きずるようにしながら後退したキョンシー木綿は、猟兵たちを鋭く睨めつけながら歯を噛み鳴らした。
「オマエたち……もうゆるさんアルからな!」
だが、それでもなおキョンシー木綿は戦意を失うことなく猟兵たちへと対峙し続ける。
――かくして、戦いは終局へと向かいつつあった!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
歌川・邦絵
※アドリブ歓迎
・心情
道なんてものは誰かが歩んだ後に自然と出来ていくもんさ
躍起になって人の道を閉ざすぐらいなら
自分だけの道を誰にも追いつけない速さで駆け抜けたらどうなんだい
そんなんじゃアンタの道《タオ》とやらもたかが知れてるね
まるごとアタシの夢(みち)の一部にしてやるよ!
(白紙の紙とヤドリガミ本体を複製した沢山の筆を取り出して
猛スピードで相手の絵を描き始める)
百鬼夜行画が一枚、キョンシー木綿完成!
これにて一件落着ってなもんさ
(戦闘後、描いた絵を相手に向けて骸魂を封印する)
・戦闘
『地獄絵巻物』で周囲に結界を張りながら
近づいてくる相手の魂を地獄の業火で焼き尽くす
敵本体を挑発して常に射程距離内で戦う
白斑・物九郎
●POW
キョンシーなんだか一反木綿なんだか、ハッキリしねえ手合いですわな?
何がアヤカシアーツですかよ
こちとらモノクロアーツですわ
ヘイ、掛かって来なさいや
一手、王が直々に指南してやりまさァ
・【喧嘩極意】発動
・『心を抉る鍵(小)』――殴る時には拳に鍵束を握り込む喧嘩殺法で立ち向かう
・敵の機先を【野生の勘】で気取り、攻撃回数重視の応酬で片端から捌く
~以下、なんでもアリの喧嘩殺法例~
・打って来た拳を殴る
・蹴り足を蹴り返す
・至近距離から相対時、キョンシーの足の甲を下駄歯で踏みに行く
・五本指の背で目元を【なぎ払い】【目潰し】
・嬉々としてダウン追撃
・格闘の雰囲気の渦中、いきなり拳銃ぶっぱなす(だまし討ち)
白鳥・深菜
「だから言ったでしょ?私の歩んだここまでが、道だって。
けど。言って見せても分からないようなら――身体に教えてあげましょうか!」
先の白焔の残り火を纏いつつ、自身が生み出した魔術の一つ――
【地走る恐鳥の蹴撃】を発動。
四肢の装備を重装化し、真っ向から格闘勝負!
序盤は防御や見切りを意識して、耐えながら相手の戦法の解析を進める。
無策で格闘戦をやれば不利なのはこちら。
だからこそ。よく相手を見て、周りを見て。
たった一瞬の隙に、計算の上での全力の蹴りを穿つ。それが私の勝算。
「私の道は、伊達ではない!鳥王の戦技――刮目せよ!」
「はああッ!」
キョンシー木綿が宙を舞う。崩壊した大地を駆け、裂帛の気合とともに猟兵たちへと迫った。
「この、世界を……壊す、ネ……!ワタシだけが……ワタシのほかの、だれにも……ッ!」
半ば狂乱した様相でもって疾駆するキョンシー木綿は双眸に異様な熱を宿しながら猟兵たちへと襲いかかる!
「“道《タオ》”をゆくことを許さぬアル!」
「ハ。笑わせてくれるじゃねえか」
しかしてその気迫の前に、歌川・邦絵(f12519)は一歩も退くことなく――嗤ってさえみせた。
「道なんてものは誰かが歩んだ後に自然と出来ていくもんさ」
「同感ね。……そう。私の歩んだここまでが、道。私の道はもうあるし、閉ざされたりもしない」
白鳥・深菜(f04881)が対峙する。視線の先に、向かい来るキョンシー木綿の姿を捉えた。
「ならば、ワタシが閉ざすッ!この妖怪拳法《アヤカシアーツ》でッ!」
キョンシー木綿は手の先を後方へと向けた!豪速で放つ一反木綿布槍が岩塊を叩く。反動と衝撃を加速力に転化し、勢いを増しながら猟兵たちへと迫った!
「んニャろ、ッ!」
「哎呀!」
――だが、それを横から蹴り足が遮る!キョンシー木綿は咄嗟に身を捻りながら一反木綿布槍を放ち、生じた慣性を利用して強引に軌道を捻じ曲げた。衝突コースを回避し、減速しながら岩塊の足場へと降りる。
「何がアヤカシアーツですかよ。こちとらモノクロアーツですわ」
その眼前に立ちはだかったのは、白斑・物九郎(f04631)である。
「オマエ……!」
「ヘイ、掛かって来なさいや」
口の端を歪めながら、物九郎が誘う。
「一手、王が直々に指南してやりまさァ」
「上等ヨ!なにが王アルか!オマエに身の程を教えてやるネ!」
激昂するキョンシー木綿は咆哮とともに足場を蹴立て飛び込んだ。布槍の突きが真正面から物九郎を襲う!かと思いきや、同時に放たれていた別の布槍が奇怪に軌道を変えながら物九郎の死角へと潜り込み、そしてその背を狙った!
「はあッ!」
「哎呀!?」
だが、その布槍が撃ち落とされる!そこに割って入ったのは深菜であった。鋭い蹴り足が布槍を払ったのである。
「風が枯れれば、地を駆るべし。獲物を狩れれば、最恐たるべし……」
残心の所作とともに吐き出す呼気。捉えた獲物を逃すまいと、深菜の双眸は鋭くキョンシー木綿の姿を追う。【地走る恐鳥の蹴撃/ディアトリマ・ランページ】。深菜は纏う武具を格闘戦に適したカタチへと変じ、近接戦闘に特化する形態へと移行したのである。
「っシャ!」
「ッづァ!」
一方、物九郎は正面から布槍を捌いていた。裏拳をぶつけ、払いのけるように軌道をずらして直撃を避けると同時に踏み込み。対応するキョンシー木綿は物九郎へと鋭く拳を放つが、物九郎はその拳を殴りつけた!
「ぎ……ッ!?」
「ははァん。こういう手合いは初めてっスか、オタク」
拳へと返る想定以上に強い手応えに困惑するキョンシー木綿。対する物九郎の拳からは、鍵束が見えていた。――凶器の使用だ!
「さてはオマエ……外道アルな!?」
「外れ道でも獣道でも、道は道ってことっスわ!」
続けて物九郎は更に踏み込んだ。一歩踏み出したその足が狙ったのは、キョンシー木綿の足の甲である。下駄歯での蹂躙だ!やりたい放題の【喧嘩極意/モノクロアーツ】は、しかしここから先こそが真骨頂である!
「……贱货!」
これ以上付き合ってはいられない!キョンシー木綿は慌てて後退しながら腕を掲げた。
「入道どもッ!」
「アイアイキョン!」
「ヒャハハハハ!ブッ潰してやるキョン!」
応じてまたしてもキョンシー輪入道軍団が走った!炎を噴き上げながら駆ける車輪が、猟兵たちを妨害すべく突撃に来る!
「我々が貴様らの道を閉ざしてやるキョン!」
「まさか!そうは問屋が卸しゃしないよ!」
しかし、その道を赤黒く燃ゆる炎が遮った。
【地獄絵図:阿鼻無限地獄】。邦絵が広げた地獄絵巻物に描かれた紅蓮の地獄がそこに現出したのである。
「躍起になって人の道を閉ざすぐらいなら……自分だけの道を誰にも追いつけない速さで駆け抜けたらどうなんだい!」
燃え上がる地獄が瞬く間に展開したキョンシー入道軍団を呑み込んだ。たちまち悲鳴をあげながらパンジャンドラムめいて次々に爆発四散してゆく!
「グアーッ延焼!!」
「グアーッ焼死!!」
邦絵は更にその意識をキョンシー木綿へと向けた。広がる獄炎はその勢いと禍々しさを増しながら骸魂へとその手を伸ばす。
「他人の足を引っ張って満足してるようじゃ、アンタの道《タオ》とやらもたかが知れてるね……まるごとアタシの夢《みち》の一部にしてやるよ!」
「くうううう、ッ!」
追い縋る炎の舌から逃れ続けるキョンシー木綿が歯噛みする。防戦一方に追い込まれた!これまでの戦いで低下したユーベルコード出力では振り切れない。どうにか反撃する手段は――
「背中が空いてっスよ!」
「哎呀!」
だが、その思索を打ち切る背後からの襲撃!先に死角を狙われた意趣返しか、喧嘩殺法の流儀か!物九郎の鋭い蹴り足がキョンシー木綿を叩く!衝撃に揺らぐキョンシー木綿は反転しながら一反木綿布槍を物九郎へと放った。だが、物九郎は身体を半歩ずらして掠める程度に抑えると、同時に腰へと手を当て――“抜いた”。
「オマエ、“喧嘩殺法”じゃ……!」
「知らねーってんニャら教えてやるっスけどな」
その手には95式サイドアーム――すなわち、一挺の拳銃が握られていた。銀のバレルが鈍く光る。物九郎は躊躇いなくそのトリガーを引いた。
「喧嘩なんつのは、勝ちゃいいんスわ」
「がフッ」
ばす、と音をたて、キョンシー木綿の胸郭に風穴が穿たれる。
「おう深菜!どうせ構えてンでやしょう!」
「あら、お見通しだったかしら?」
それと同時に物九郎は道を譲るように側面へと跳んだ。入れ替わるように、深菜が飛び込む!
「それじゃ、決着をつけましょう!」
「く、ッ……!閉ざしてやる……!閉ざしてやる、閉ざしてやる、閉ざしてやる、ッ!」
傷を抑えたキョンシー木綿が、狂乱しながら一反木綿布槍を振り回す。だが、その動きは精彩を欠いていた。深菜はそれを掻い潜り、そして至近距離へと至る!
「まだ分からないようなら――身体に教えてあげましょうか!」
そして、蹴り足。
最大の加速。最大のパワー。最適なタイミング。
蹴撃、ッ!深菜の重く鋭い一撃が、キョンシー木綿へと叩き込まれた!
「そう――私の道は、伊達ではない!鳥王の戦技――刮目せよ!」
「グア……、ッ!あ、あぐ、おッ……!」
キョンシー木綿が衝撃に軋む!積み重ねられたダメージに、彼女はもはや耐えることができないのである。朦朧としたキョンシー木綿は、そしてとうとう膝をついた。
「よォし――いい頃合いだ!こっちも出来上がったところさ!」
その瞬間である。快哉めいた声をあげ、邦絵が一枚の紙を掲げた。
『百鬼夜行画 殭屍木綿』。妖絵筆で描かれたその一枚は、骸魂を封ずるために妖力を込めて描き上げた渾身の絵図だ!
「哎呀……!?オマエ、そ、それは――!」
「アンタもいい加減観念しな!……そォら、封印!ってなァ!」
そして、掲げられた妖怪絵図は骸魂を引きずりこむ!キョンシー木綿の身体から強制的にひっぺがされた邪悪な一反木綿の骸魂が、断末魔めいたうめき声と共に絵の中へと呑み込まれてゆく!
「お、おおおおおおおおおおお――――ッ!!」
「――これにて一件落着、ってなもんさ」
そして、静寂。
猟兵たちの前に残るのは、骸魂の呪縛から解き放たれた東方妖怪であるキョンシーの少女と、修復を始めたカクリヨファンタズム世界の姿であった。
かくして戦いは終結し、ひとつの滅びが防がれたのである。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『決闘ごっこ』
|
POW : 力こそパワー! 圧倒的な力技でド派手に勝ちに行く
SPD : 居合い切りや早撃ちで、一瞬のスリルと勝負を楽しむ
WIZ : 相手のカッコよさを引き立て、上手に負けを演じて盛り上げる
👑5
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「……アイヤッ!?」
平穏を取り戻したカクリヨファンタズムの地で、キョンシーの少女が目を覚ました。
「父さん、意識が戻ったようです」
「おお、それはよかったわい」
周りを取り囲んでいた妖怪たちが、目を覚ましたキョンシーを介抱する。
「ワ、ワタシどうしたアル!?なにがどうなってるネ!?」
「おぬしは骸魂に心を支配されて、世界を滅ぼそうとしていたのじゃよ」
「アイヤー!?それホントアルか!?」
中略。
「いや、これはこれはご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳なかったネ……」
そうして意識を取り戻したキョンシーの少女は、猟兵たちへと頭を下げた。
しかし、である。
「……そのー。それは、それとして」
キョンシーの少女がちらと振り返る。――そこには、無数の妖怪たちが目を輝かせながら猟兵たちへと視線を送っていた。
「キョン子よ。お前だけずるいぞ」
猟兵たちへと熱く視線を送っていた妖怪たちの中から、一人が進み出る。
黒い翼を広げるその妖怪は烏天狗のクラマ師範である。多くの弟子を持つ強力な妖怪拳法《アヤカシアーツ》の使い手だ。
「然様でゴワス!ワシだって噂に名高い猟兵の連中と手合わせ願いたいでゴワス!!」
続けて進み出た巨漢は鬼族のゴウラだ。彼もまた凄まじい膂力をもち、それを用いた強力な妖怪拳法を繰る妖怪である。
「然り……。我々とて、猟兵の皆さまと手合わせしたく願うのは当然のこと」
更に顔を見せたのは巧みな分身術を使う忍者妖怪拳法を用いる忍者妖怪のミカゲ。それに続いて次々にカクリヨファンタズム世界における武の道を歩む妖怪拳法《アヤカシアーツ》の使い手たちが猟兵たちの前へと顔を出す。
「……あっははは。そ、そういうことアル」
そして、キョンシーの少女が肩を竦めた。
かくして。
カクリヨファンタズムにおいて武の“道”を歩む者たちが集い、そして猟兵たちに挑戦状を叩きつける。
ナイア・アルハズラット
うん?手合わせ?……いやよもう疲れたんだからこれ以上戦うなんて!
デートのお誘いならともかく私はバトルジャンキーじゃないのよ!
まぁ、どうしてもって言うなら軽くなら付き合ってあげるけど……。
というわけで、クリーンヒット一発で終了の条件で手合わせするわ。
ま、本気の《盗賊の瞬撃》一発で終わるでしょう(慢心)
ささっと終わらせて観光にでも行くのよ!!
(慢心からの結局長丁場になってグッタリする事になる展開希望です)
エメラ・アーヴェスピア
なるほど、乗っ取られていたの…だからあんなに気の抜ける相手だったのね
どの世界にも明るい人達はいると言う訳ね…人ではないけれど
手合わせ…?そうね、私の場合は人型の兵器を戦わせた方が良いかしら
速度に長けた白騎兵?パワー重視の黒騎兵?バランスの良い全機合体の機械兵でもいいわね
(『馳せ参じよ我が騎士よ』『死闘制すは我が白槍』『冥府誘うは我が黒斧』『出撃の時だ我が精兵達よ』)
少しくらい大きいだけなら操機兵でもいいわね(『我が元に響くは咆哮』)
まぁさすがに同時に発動するのは無理だから、一機呼び出して他は戻す形になるけれど
…私に挑むのはやめて頂戴、近接戦闘はほぼできないわ
※アドリブ・絡み歓迎
「「「よろしくお願いしまーす!!」」」
『妖拳道場』。
そこは、カクリヨファンタズムに生きる魑魅魍魎が集い、それぞれの特徴を活かした妖怪拳法《アヤカシアーツ》を磨き、互いに高め合いその拳を研鑽する修行場である。
カクリヨファンタズム世界に生きる妖怪たちの中には人を襲う伝承をもつ者がいるのみならず、かつてはかの幼少期の義経公を弟子にしたと豪語する烏天狗のクラマ師範や、伝統武術であるスモを得意とする河童スモトリのように武芸にすぐれた者たちが数多く存在しているのだ。カクリヨ世界に集った彼らが、このような大規模な修行場を作り上げることになったのは実に自然な流れであった。
「……それで。手合わせをしたい、と」
「うん?手合わせ?」
エメラ・アーヴェスピア(f03904)とナイア・アルハズラット(f04959)は、道場の前でやや困惑気味に顔を見合わせる。
「……いやよもう疲れたんだからこれ以上戦うなんて!」
ナイアはまず文句から入った。
ナイアはここに来る途中で妖怪横丁にあるというショップの情報を掴んでいたのだ。美にこだわりをもつ西洋妖怪マダム・バートリーの妖怪コスメブランド『アイアンメイデン』のセレクトショップや魔女妖怪と魔女妖怪見習い(彼女たちはおしゃまな魔女、略しておシャ魔女と呼ばれる)の営む魔術道具店『めいがす堂』といった、魔導の蒐集者として見逃せない店舗ばかりである。
「デートのお誘いならともかく私はバトルジャンキーじゃないのよ!」
「そこを!!!そこをなんとか!!!お頼み申す!!!」
「お二人とも、名の知れた西洋妖怪の方とお見受けしたでござる……」
「妖怪じゃないわよ!?」
「……人間じゃないのは、たしかだけど……」
「お願いするアルよー。ワレワレのよーな武の道《タオ》をゆく妖怪たちは、こーやってつよいヒトと手合わせするのが一番のたのしみなのネ」
畳み掛けるように迫るキョンシーのキョン子は、先程まで骸魂に取り込まれていたとは思えないほどに元気にまくし立てる。
「……そう」
エメラはその様子を見ながら、先程までのキョンシー木綿としての彼女の姿を思い出す。――妙なノリで気の抜ける相手だと思っていたが、それも骸魂に乗っ取られていたが故か。
「シャチョさん!シャチョさん!お願いするヨー!お願いするヨー!チョトダケ、チョトダケでいいアルから!ネ?」
あっ違うわね。この子素で気の抜けるタイプだわ。エメラは認識を改めた。
「誰が社長さんよ!?」
その一方でナイアが素っ頓狂な声をあげる。
「……まあまあ、落ち着いて」
ここでエメラが仲裁した。
「まぁ、どうしてもって言うなら軽くなら付き合ってあげるけど……」
適当なところで切り上げてやらないといつまでも長引かされてしまう。仕方ないわね、とナイアは肩を竦めて緩く首を振った。
「……私に挑むのはやめて頂戴、近接戦闘はほぼできないわ」
エメラは首を横に振る。妖怪たちがざわめいた。しかし、次の瞬間である。
ガオンッ。駆動音。鋼鉄と歯車が軋み唸る音が響いた。そこに現出せしは、白き機械騎士の姿である。【馳せ参じよ我が騎士よ/ナイトエンブレム】。エメラの使役する魔導蒸気兵だ。白騎士は槍めいた武具を掲げ、進み出る。
「……かわりに、彼らが相手を務めるわ」
「なるほど……『私と戦いたければまずこいつを倒せ』ということか」
錫杖がりんと鳴る。進み出たのは烏天狗のクラマ師範だ。翼を用いた空中機動と天狗うちわや幻術を用いた変幻自在の妖怪拳法《アヤカシアーツ》を扱う、道場でも指折りの実力者である。
「いえ違うんだけど」
「ゆくぞッ!とあああーッ!!」
話を聞かないクラマ師範は、素早く道場の床を蹴って跳躍しながら白騎士へと襲い掛かる!錫杖の打撃!騎士の槍と打ち合う音が響いた。
「それじゃ、私と手合わせしたいのは誰かしら?」
その一方でナイアが挑戦者を募る。
「はいはーい!ワタシ!ワタシ!」
真っ先にキョンシーの少女が挙手した。
「待て!キョン子はさっきやったばかりであろう!」
「乗っ取られてたからノーカンヨ!!」
「ずるい!あっしだって手合わせしたいでヤンス!」
喧々囂々!妖怪拳士たちが順番の取り合いで大騒ぎする!
「わかった、わかったわ。落ち着いて。……いいわ、それじゃあまとめて相手をしてあげる。全員でかかってきなさい!一発でも私に直撃させられたら、あなたたちの勝ちにしてあげるわ」
鶴の一声であった。ナイアの言葉に反応した妖怪たちが、目を輝かせる。
実際、ナイアは幾多の死線を潜った経験豊富な猟兵であり、その実力も折り紙つきだ。集団戦フラグメントの経験も少なくない。文字通り束でかかってこられても捌き切れるだけの自信が彼女にはあった。
「では……」
「いいわよ。……ま、本気を出せばすぐ終わっちゃうでしょうけどね?」
既に勝ち誇った風情でナイアが笑う。その表情に対抗心を燃やした妖怪たちが、双眸に炎を灯した!
「さ、かかってらっしゃい!ささっと終わらせて観光にでも行くのよ!!」
「「「おおッ!!」」」
かくして、戦いは始まったのである。
――なお、最終的に彼女たちの立合いが終わったのは数時間の後であった。内心慢心しきっていたナイアはうっかり本気を出しそびれて長丁場になってしまったし、エメラは順番待ちの行列ができてしまったのである。
「……観光は、またの機会ね」
「……そうね」
立合いを終えた2人は顔を見合わせて、ため息をついたのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
神羅・アマミ
ふむー。
今後また世界滅亡の危機に陥るとも限らんしのー。
というか絶対あるじゃろ。
妖怪たちの実力を底上げしておくことは悪いことではない。
よかろう!四股立ちにてつかまつれい!
鬼族のゴウラとやら、妾相手に自慢の膂力とやらを披露してみせよ!
ストロングスタイルから手四つで力比べを挑みたい。
【怪力】なら妾も得意とするところ、果たして通用するかな~?フフ~ン?
殆ど腕相撲マシンで遊ぶ気分。
腕力勝負ということでUCを封印。
本人は楽勝のつもりでいるが、万一単純に力押しで負けたりアヤカシアーツとかいうのであしらわれたりすると「は?手加減したんですけど?UC使ってたら殺し合いだからね?」といつまでもぶちぶち言い訳する。
ウィーリィ・チゥシャン
俺、料理人であって格闘家じゃないんだけどな。
けど他所の世界の人達と仲良くなりたいってのなら大歓迎だぜ!
愛用の包丁はしまい、徒手空拳で相手。
こいつの出番はこの後で、な。
さっきの戦いで妖怪拳法の恐ろしさは理解しているからまずは【フェイント】で相手の出方を伺う。
「なるほど、確かに強いや。こりゃ」
今度はこっちの番だな!
回し蹴りで牽制の【衝撃波】を放つと同時にそれを追いかける形で【ダッシュ】で一気に間合いを詰め、上着を脱ぎ捨て身軽になると同時に【物を隠す】で自分の姿を隠し、相手の攻撃を空振りさせたところへ【カウンター】で【シーブズ・ギャンビット】の早業で【二回攻撃】を繰り出す!
「やっぱ強いな、あんた!」
「ふむー……」
神羅・アマミ(f00889)は並んだ妖怪拳士たちを眺める。
「そうじゃな。今後また世界滅亡の危機に陥るとも限らんしのー……というか絶対あるじゃろ」
カクリヨファンタズム世界は週に7回は世界滅亡の危機が訪れるという危ういバランスの中で成り立っている世界だ。気を抜けば本当の終末を迎えてしまうことだってありうる。アマミの懸念は実際その通りなのである。
(しゅごるのじゃ……)
見上げたカクリヨの空に、アマミはいつか修練を積んだ環境利用護身術の師の顔を幻視する。
「よし、ここは妾たちが皆をきっちり鍛え上げてやるとしようではないか。のう?」
「俺、料理人であって格闘家じゃないんだけどな」
アマミが振り返った先で、ウィーリィ・チゥシャン(f04298)は少し困ったように首を傾げる。
「けど他所の世界の人達と仲良くなりたいってのなら大歓迎だぜ!」
しかし、ウィーリィは基本的に人々の笑顔を愛する猟兵だ。求められているならば、自分にできることを精一杯やる性分であった。
「うむ。それに妖怪たちの実力を底上げしておくことは悪いことではない」
そしてアマミが振り返った。
「よかろう!四股立ちにてつかまつれい!」
「「「おおっ!」」」
妖怪拳士たちが一斉に歓声をあげる。かくして、武道場において2人による稽古が始まった。
「鬼族のゴウラとやら、妾相手に自慢の膂力とやらを披露してみせよ!」
「押忍!!いくでゴワス!!」
ずしん。道場が揺れた。アマミに呼ばれた鬼族のゴウラは古い時代に鬼ヶ島を支配した鬼大将・温羅の系譜にあたる血筋の鬼なのだという。恵まれた壮健な体格は一般的に大柄な鬼族の中から見ても頭一つ抜きんでており、強大なパワーを秘めていた。
「お主もなかなかのものなんじゃろーが……怪力なら妾も得意とするところ、果たして通用するかな~?フフ~ン?」
「押忍!!挑ませていただくでゴワス!!」
どうせ勝てるじゃろ。――慢心しきったアマミはそれこそゲームセンターの腕相撲マシンで遊ぶ気分であった。一方で相対するゴウラは力強く意気込む!
「じゃ、こっちは……」
「どれ、ならわしの相手をしてもらおうか」
一方、ウィーリィの前に進み出たのは、鉄の瓶を手にした貧相な蓑姿の老人である。到底拳士とは思えぬ矮躯であったが、しかして相手は妖怪である。どのような技を使うか――。さっきの戦いで妖怪拳法の恐ろしさは理解している。ウィーリィは慎重に相手の出方を伺うことにした。
「では、はじめ!」
烏天狗のクラマ師範が号令をかけ、それぞれの立合いが始められる。
「ウオオオオオオオオオッ!!」
まず真っ先に飛び出したのはアマミに対峙するゴウラである!咆哮!全身の筋肉を最大限に隆起させ、初撃を挑む!一気呵成!
「ふン、ッ!!」
手四つ!アマミはそれを真正面から受け止めた!だァんッ!ぶつかり合う音が道場に響く!
「ゆくぞぉ!」
一方、ウィーリィに相対する老人は素早い身のこなしで前進――否!その姿が掻き消える!何らかの妖術か。ウィーリィは慎重に周囲へと視線を遣った。
「消えた……?一体どこに――」
「今でもいるぞ!!」
風切りの音はウィーリィの側面から!姿を現した老人妖怪――油すましが襲い掛かる!姿くらましの妖術を用いた変幻自在の妖怪拳法《アヤカシアーツ》だ!
「なるほど、確かに強いや。こりゃ!」
ウィーリィは素早くサイドステップで間合いを離しつつ身を捻り蹴り足を放つ!カァンッ!打擲武器として投げられていた油瓶をはじき返した。
「ほう。わしの妖怪拳法を見切るとは……さすがじゃな!」
「そっちもやるじゃねえか!けど、今度はこっちの番だな!」
ダ、ッ!ウィーリィは床面を蹴立てて踏み込んだ。接近と共に回し蹴り。油すましは体捌きでこれを躱す。ウィーリィはここで上着を脱ぎ捨てた。
「ぬう!」
「だあッ!」
油すましが気を取られた刹那、ウィーリィは回り込むように油すましの死角へと入り込む。そこから再び蹴り足を跳ね上げた!
「――ここじゃ!」
だが、ここで油すましは素早く反転!両腕を交差させながらウィーリィの蹴り足を受け止め、そして後退しながら態勢を立て直した。再び間合いを開きながら、2人が相対する。
「やっぱ強いな、あんた!」
「いやいや、お主も素晴らしい使い手じゃぞ……」
対峙する油すましとウィーリィが同時に呼吸を整える。見守るギャラリーの妖怪拳士たちも息を呑んだ。
「ヌウウウオオオオオオオオオーッ!」
「おおおおおおーっ!?」
一方、アマミとゴウラの力比べだ!手四つに組んだまま、互いの怪力をぶつけ合う2人の力は拮抗していた!
「さ、さすがは妖怪といったところじゃな……!」
「押忍!!光栄です!!」
ず、ッ。――ここで2人の間で動きが生じた。
アマミが押し込まれたのである。――いや、そもそもの話をすれば、身長140センチ程度のアマミに対しゴウラは2メートル以上の体躯をもち、見た目にも10倍近い質量差が存在しているのである。ここまで抑えてきたアマミの猟兵としての力に驚嘆すべきであろう。
「アッ これまずいな?」
「フウウウウウウウウンッ!!」
剛力!更にそこへ上乗せされる鬼の妖怪拳法!アマミの膂力も決して弱いものではない。しかし、パワー極振りの妖怪拳法がそれを上回ったのだ。裂帛の気合を込めた咆哮と共に、ゴウラのパワーが更に増し、とうとうアマミを押し切った!妖怪拳士の勝ちである!
「ウオオオオオーッ!!」
これは思っても見なかった大番狂わせ!妖怪拳士たちが熱狂する!
「押忍!!ありがとうございました!!すごいパワーでゴワした……。こんな小さな身体でここまでパワーが出せるとは、さすが猟兵でゴワス」
鬼族のゴウラはアマミへ深々と頭を下げる。
「う、うむ…………」
「しかも、敢えてワシの土俵である力比べで勝負してくださった上で加減して花を持たせてくれるとは、なんたる懐の深さ……感服いたしましたでゴワス!!」
「うむ……」
アマミは狂喜するゴウラと握手を交わした。いったん休憩を挟む、と言い訳して一度道場の外に向かう。
「……あれ、アマミ負けたの?」
「は?手加減したんですけど?ユーベルコード使ってたら殺し合いだからね?実質勝ちじゃし?」
かくして、アマミは往生際悪くウィーリィに言い訳しながらぷいっとそっぽを向いて風に当たりに行くのである。
(しゅごるのじゃ……)
夜空に浮かぶかつての師の顔が、アマミを生温く見守っていた。
次々に行われる猟兵たちとの手合わせに、妖拳道場の妖怪拳士たちは更にヒートアップしてゆく。
ここに集う妖怪たちは誰もが武の道を究めんとする者たちだ。拳士たちは更なる高みを目指し、立合いを続ける。
成功
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レパル・リオン
全員かかってこいやーっ!
ごめん、言いすぎた。まずはキョン子ちゃん、かかってこいやーっ!
1人ずつ力の限り相手していくわ!何人勝ち抜けるか挑戦!
【獣感覚】!限界まで高めた視力と感覚で、戦いながら相手の技を観察!アヤカシアーツなる見たこともない拳法を両手で受け流しながら、じっくり勉強させてもらうわ!
すっごいオリジナリティ溢れる技がいっぱいね!だったら、あたしのヒーロー道も見せなくちゃ!相手の技を見切って逆に掴みかかり、派手なプロレス技でフィニッシュ!
明日もっと強くなるために、今日は戦って戦って、どっちかがバテるまで戦うわよ!うおーっ!
四季乃・瑠璃
緋瑪「手合わせは良いけど、わたし達の戦い方って拳法からかけ離れてるけど良いのかな?」
瑠璃「基本、殺人術とかだしねー」
【チェイン】で分身
瑠璃と緋瑪でそれぞれ個別に手合わせ。
緋瑪が機巧大鎌の機巧による機動力を利用した高速機動斬撃のヒット&アウェイに時限式や接触式ボムを利用しての爆破も加えて派手に戦闘。
瑠璃はボムを牽制に使いつつ、間合いを保ち、遠距離からK100による銃撃で攻撃。
爆炎を目晦ましにしての急所狙いの銃撃や跳弾を利用した攻撃等、ボムと銃を使った多角的な攻撃を実施。
それぞれの獲物を使った殺人技術を披露するよ。
※銃弾は模擬弾にし、ボムは火力抑えめ、大鎌はセーフティーを掛ける等、一応、加減は配慮
大神・零児
武術家や武道家は戦闘狂な所があるな
一番剣の扱いが上手い奴を呼んで俺に憑依させるか
武器は鞘付きの木刀があれば貸して欲しい
UCで憑依するは歴代所有者のなかでも戦闘最強の剣豪の霊
ハハハ
武の道の者はそうでなくては
鮮血の氣を「借り受けた木刀と鞘」に纏わせ
その氣を体と木刀に念動力で循環させ魔力溜めし武器改造の要領で木刀と鞘の強度と衝撃に対する耐性を強化
戦闘知識と氣の循環で鋭くなった「野性の勘、第六感、聞き耳、読心術」で出方を見切り
咄嗟の一撃による早業で居合の切り込み
回避又は防御されそうなら
動作中に刃筋を変化
刃が相手を追跡するが如く防御をすり抜け鎧無視攻撃し
足も踏みつけ相手の体勢を崩し
寸止めの一撃
続けるか?
「全員かかってこいやーっ!」
「「「おおおーっ!!」」」
威勢よく吼えたレパル・リオン(f15574)の前に颯爽と集う妖怪拳士たち。その圧力に、レパルは――
「ごめん、言いすぎた」
――さすがに、束になってかかってこられたらだめだ。レパルは素直に頭を下げた。
けほん、と咳ばらいをひとつ。
「よーし、まずはキョン子ちゃん、かかってこいやーっ!」
「ハイヤッ!よーし直々のご指名アル!これなら文句なしネ!」
しゅばっ!飛び出したキョンシーのキョン子が武道場の真ん中で構えをとった。
「そちらの猟兵さんたちも」
その一方で、妖怪拳士たちが四季乃・瑠璃(f09675)と緋瑪に声をかけた。
「手合わせは良いけど、わたし達の戦い方って拳法からかけ離れてるけど良いのかな?」
「基本、殺人術とかだしねー」
首を傾ぐ2人。
「まあ、我々も殺人拳とかつかいますからね」
尻子玉抜きを得意とする河童暗殺拳の使い手が静かに頷いた。
「そっかー」
「じゃあ、ちょっと付き合ってあげようか……」
瑠璃と緋瑪は顔を見合わせてから頷きあい、武道場の外に設けられたフィールドへと向かった。爆発物やガジェットを用いた彼女たちの戦闘術は武道場の内部で披露するには派手に過ぎるのだ。
「まったく……。武術家や武道家に戦闘狂な所があるのは、どこの世界も同じか」
大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は妖怪拳士たちから妖木刀を受け取りながら道場の中で構えを取った。
「ゴボボボ……よろしくお願いします」
零児の前に立つのは海の西洋妖怪クラーケンである。剣士を志したクラーケンは八刀流の剣技を用いる妖怪拳法の使い手として大成した妖怪剣士だ。クラーケンは八振りの木刀を携えて零児に相対した。
「では――はじめ!」
道場の主である師範が号令をかけた。それに応じて、妖怪拳士たちが一斉に猟兵たちへと挑みかかる。
「それじゃー、みんなで胸をお借りするアル!」
「よーっし、いいわよ!」
キョンシーのキョン子が床を蹴立てて素早く奔った。一瞬で間合いを詰め、勢いを乗せた崩拳。レパルはそれを迎え撃って直撃を避ける。
「はあッ!」
「ゴボボボボボ!」
その一方、零児は鋭く木刀を振るった。クラーケン妖怪の八刀流の技を、鋭く躱してゆく。零児はその身体に剣豪の魂魄を降ろすことによって、その技を自らのものとして用いることを可能としていた。
「ゴボボーッ!」
「フ、ッ!」
正面と側面から同時に襲い掛かる妖怪剣術を躱しながら零児はクラーケン妖怪剣士の木刀を躱し、間合いを詰めてゆく。激しく抵抗するように身じろぎしながら、クラーケン妖怪の振るう木刀が零児を阻んだ。まるで剣戟の弾幕。激しく襲う八振りの木刀!
「ゴボボボボ!」
「ハハハ、よくやる!だが、武の道のものはそうでなくては!」
「ゴボッ!」
しかし零児はそれをすり抜けるように越えてゆく――接敵!木刀による迎撃を乗り越え、クラーケン妖怪の眼前にまでたどり着いた零児はその顔面めがけて木刀を振るい――
「――ゴボッ!!」
「……これで一本、ってところか」
叩く寸前で、止めた。
「続けるか?」
「ゴボボ……参った」
クラーケン妖怪が白旗を挙げる。決着の瞬間であった。しかし、続く別の妖怪が手合わせを求めて零児のもとへと飛び込んだ。
「ハイーッ!」
「すっごいオリジナリティ溢れる技がいっぱいね!」
一方でレパルとキョン子の手合わせも同時に進行していた。キョン子は跳ねまわるようにステップを多用したアクロバティックな体術を用いてレパルを攻め立てる。対してレパルはしっかりと床面を踏みしめながら向かい来る拳や蹴り足に対応した。受けに重点を置いたレスリングスタイルでの迎撃である。
「イヤッ!」
「とおっ!」
レパルはキョン子の蹴り足を受け止めると、それをそのまま掴んだ。掴んだ足を起点にレパルはキョン子を引き寄せ、そのまま床を踏み切って回転!ドラゴンスクリュー!キョン子は足を捻られながら天地を逆転され、武道場の床に沈む!
「一本!」
審判を務めるクラマ師範が旗を掲げた。
「アイヤー……さ、さすがに強いアル……」
「まだまだよ、キョン子ちゃん!さあ、立って!明日もっと強くなるために、今日はどっちかがバテるまで戦うわよ!うおーっ!」
気合の叫びと共にレパルがキョン子を立ち上がらせた。やる気に満ちた目で再び構えをとる。
「よ、よろしくお願いしますアル!」
そしてキョン子は態勢を立て直しながらレパルに再び相対した。それが第二ラウンドの開始を告げる合図となる。
「やあっ!」
「くッ……!」
その頃、武道場の外では宙を舞う死神の眷属が鎌を振りかざし、緋瑪の振るう機巧鎌と打ち合っていた。――打ち払うように振り抜かれた緋瑪の鎌が、死神妖怪の鎌を弾いて更に攻め入る。続けざまに大鎌での追撃――と思いきや、ここで緋瑪は魔力収束によって生成したボムを炸裂させる。躱し切れず悲鳴をあげる死神妖怪が吹き飛ばされて地面へと落下した。
「おおおっ!」
「それは当たってあげられないかなー」
地上では落ち武者の骸骨が火縄を撃つ。だが、爆轟。爆ぜるボムの爆風が火縄銃の狙いを逸らした。更に、ボムの爆破によって生じた隙へ攻め込むように瑠璃は手にした銃の引き金を引く。ぱぁんッ!爆ぜる音とともに打ち出された弾丸が落ち武者骸骨の兜を弾き飛ばした。
「これで――おしまい」
「お、おお……!」
更に瑠璃は間合いを詰めた。――喉元。落ち武者骸骨の至近距離まで迫った瑠璃は、生成したボムを見せつけるように落ち武者骸骨の目の前へとかざす。投降するように火縄銃を放り、両手を挙げる落ち武者骸骨。
「ま、参った」
ここでもまたひとつの決着がついたのである。
「さあ次!どんどんかかってこーい!」
「ああ。こっちもまだまだいけるぜ。……さあ、どっからでも来な」
「うんうん。たまにはこうやって身体動かすのもたのしいね」
「私たちもけっこういい運動になるねー」
かくして、妖拳道場における猟兵たちと妖怪拳士たちの立合いは続いてゆく。
さらに熱を帯びてゆく空気に妖怪拳士たちのテンションも天井知らずに上がり、道場内はオマツリめいた雰囲気に盛り上がっていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
白斑・物九郎
●POW
・拳に握り込める凶器の鍵束をポイ
・拳銃もポイ
・下駄も脱いじゃう
・狩りも済んだし、だまし討ちとかマジでやんない徒手空拳にシフト
折角来たんですしな
この世界の武術、ちょいとカジって帰らせて貰いますでよ
(「かかってこいや」の片手クイクイするジェスチャー)
・尋常に拳足でお相手仕る
・攻防の応酬全般に【野生の勘】を利かせ、相手の攻撃を予めかわすような位置取り/足運び、相手が動く先に予め拳や蹴りを「置いておく」ような打ち込みとを御覧じろ
おたくら
ユーベルコードに――猟兵に目覚めでもしたら、動物だらけの星で百鬼夜行(ワイルドハント)を探しに来なさいや
ワイルドハント、白斑物九郎
猟団長様が面倒見てやりまさァ
白鳥・深菜
「手合わせ?まあ、構わないけど――」
オブリビオンでも猟兵でもない相手に、
死力を尽くすのは……趣味ではないのよね。
けど、全力で勝ちには行くわよ。
まずは手元に【慈しみより放たれし生命の種】を生み出しキープ。
この生命の種を文字通り種とし、続けて本命のコードを起動する――
「希うは<草>の<寄生>、望むは憑りつきて縛る蔓の種!」
【災厄と希望の開放器】で種より相手に巻き付く植物を生み出し、
相手に投擲して捕縛して、相手の動きを制して勝ちに行くわ。
「羽ばたけばあらゆる植物の種を撒く、鳥の王。
あの世界では神話の存在のそれも、もしかしたらこの世界ならば――?」
「手合わせ?まあ、構わないけど――」
白鳥・深菜(f04881)は目を輝かせる妖怪拳士たちにそう答え、頷いて武道場に立った。
「折角来たんですしな。……この世界の武術、ちょいとカジって帰らせて貰いますでよ」
白斑・物九郎(f04631)もまた進み出る。
――その身に纏う空気は、武芸者、というよりかは喧嘩屋といった風情であったが、数多の修羅場を潜り抜けてきた者特有の緊張感を伴ったプレッシャーを醸し出していた。
先の戦いにおいては何でもアリの喧嘩殺法を披露した物九郎であったが、今回は正攻法でいく。鍵束と銃をぽいと放り、下駄も脱ぎ捨て完全に正々堂々とした徒手空拳で挑む構えだ。
「オブリビオンでも猟兵でもない相手に、死力を尽くすのは……趣味ではないのだけど」
「ケド?」
「負けるのは嫌だし、全力で勝ちには行くわよ」
「おう。まァ、こっちも適当にやっていくっすわ」
2人は頷きあって、それぞれに構えをとった。
「へェ。こいつァタダモノじゃニャーですなァ」
物九郎の前に進み出た妖怪拳士は、猫又妖怪のマオ。“猫鉄拳”の異名を持つ、道場でも屈指の妖怪拳士である。
「相手にとって不足なし……我が武技にてお相手仕る」
一方、深菜に相対したのは身の丈十尺を越える大入道、土出開法師(どでかいほうし)である。
「おう。さっさとはじめやしょうや」
誘うように物九郎が指先で妖怪拳士たちを招いた。――それが、開始の合図のかわりとなる。
「んニャあ、よろしくお頼みもーす――にゃッ!」
先手を打って仕掛けたのは“猫鉄拳”である!足音のひとつも立てず、しかして軽やかでかつ素早い身のこなし。瞬きひとつにも満たぬ刹那で物九郎の側面へと回り込むように入り込む!
「ッら!」
「――にェッ!?」
だが、拳が迎え撃つ!猫又妖怪の顔面を物九郎の裏拳が掠めた。マオは咄嗟に身を捻って軌道を変え、カウンターの直撃を避ける。
「そう簡単に俺の死角ニャ入れさせやせんわ」
相手の初動の動作から、死角に入り込む流れは読んでいた。故に、“来る”と見たその場所へ拳打を打ったのだ。
「おお、こわいこわい……。おんニャじネコでもそちらさんの方が一枚上手ってーことニャアな?」
「と思うなら下剋上のつもりでかかって来やせェ」
「そのつもりでッ!」
加速!――“猫鉄拳”は獣めいた身のこなしで再び物九郎との間合いを詰める!文字通り猫めいた変幻自在の挙動から打ち出されるその技こそが彼の妖怪拳法《アヤカシアーツ》である。
「フウンッ!」
一方、深菜と対峙する土出開法師は見上げんばかりのその巨躯に漲る膂力を余すことなく拳に乗せ、深菜へと振り下ろした。
「見上げ入道見越した――なんて言っても通じないかしらね!」
「儂はそちらの入道とは異なるが故」
「あら、別の妖怪だった?」
ガオンッ!轟音と共に大入道の拳が床を叩いた。躱した深菜は反撃の態勢を整える。――その手の中にはユーベルコードに由来する一粒の種!
「フン、ッ!」
更なる追撃!しかし深菜は再び後退し、土出開法師の技を逃れる。そして、同時に手にした種を放った!
「真正面からの打ち合いなら、そっちの方に分がある……なら、搦め手でいかせてもらうわ!希うは<草>の<寄生>……望むは憑りつきて縛る蔓の種!」
「なに……ッ!」
投げ放たれた種は、大入道の身体に当たるとそこから急激に発芽し、そして蔦を伸ばした。爆発的な勢いで成長を遂げた蔦は一瞬にして土出開法師の身体に巻きつき、縛鎖めいてその動きを封じ込める!
「あら、思ってたよりよく育つわね」
「む、無念……」
――行動不能!大入道の巨大な体躯を覆いつくさんばかりに育った蔦は土出開法師の膂力をもってしても自力で脱することは不可能だ。こちらの立合いはここに決着する。
「ニャアッ!」
「ハ!甘いっすわ!」
その一方で、物九郎と猫又妖怪の立合いは続いていた。しかし、“猫鉄拳”の動きは精彩を欠き、疲労の色が見え始めている。ここに至るまでほとんどの攻め手を迎撃され続け、有効打を打ち込めていなかったのである。――そして、そこに生じた疲労は付け入る隙だ。物九郎はそれを見逃すことなく、間合いを詰めて拳を徹す!
「にゃギ……ッ!」
跳ね飛ばされた猫又の体躯が、受け身も取れず板張りの床に転がった。ダウン!これにて一本!ここでまたひとつ勝負が決着したのである。
「はー……はー……」
「まァ、コードなしにしちゃよく頑張った方すわ」
物九郎は倒れた猫又妖怪に歩み寄ると、その手を掴んで立ち上がらせる。
「おたくら。ユーベルコードに――猟兵に目覚めでもしたら、動物だらけの星で百鬼夜行《ワイルドハント》を探しに来なさいや」
「……ワイルド、ハント」
半ば朦朧とした表情で、猫又妖怪が復唱する。
「ええ、来るならきっと損はしないわ。面白いところなのは、わたしも保証するわよ?」
土出開法師の蔦を解きながら、深菜が口を挟んだ。
「おう。そん時ゃ、ワイルドハント、白斑物九郎――猟団長様が面倒見てやりまさァ」
気付けがわりに物九郎が猫又妖怪の頬をぴしゃと張る。
わかってるんだかわかってないんだかわからないツラで、猫又の拳士が「ンニャア」と鳴いた。
「……それにしても」
ばりっ。深菜が蔦を剥ぐ。――ここに繁茂した蔦の成長速度と強度は彼女の想像していた以上だ。ここに芽吹いた植物は、他の世界で用いた際よりも活性化しているように思える。
「羽ばたけばあらゆる植物の種を撒く、鳥の王……あの世界では神話の存在のそれも、もしかしたらこの世界ならば――?」
「なんのハナシっすか」
「いえ、なんでもないわ。ただのひとりごと」
深菜は緩く首を横に振って、蔦に刃を入れた。
――余談であるが、蔦に覆われた土出開法師が救出されるまでにはおおよそ1時間を要したという。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
歌川・邦絵
SPD判定
・行動
改めてキョンシー少女(キョン子)に一枚、
絵を描かせてもらえるように頼む
・セリフ
よお、アンタも大概災難だったねぇ
だがまあ、こうして無事に済んで良かったじゃないか
それで物は頼みなんだがアンタが戦っているところを
アタシに描かせちゃあくれないかい?
あんな操られた状態じゃない
アンタの道(アヤカシアーツ)ってやつを見せておくれよ
アタシは妖怪絵師の歌川・邦絵
オリジナルの百鬼夜行絵巻を作り上げるのが夢なのさ
妖拳道場での鍛錬は続く。
「フーッ……」
しかして猟兵たちとの手合わせを幾度も繰り返せばさすがに疲労を感じる。キョンシーの少女はとうとう休憩に入った。道場の外。壁際に背を預けて息を吐き出す。
「よお、アンタも大概災難だったねぇ」
そこへ声をかけたのは、歌川・邦絵(f12519)であった。
「アイヤッ!?……お、おお、アナタはさっきの?」
「アタシは妖怪絵師の歌川・邦絵。今日は色々あったみてェじゃあねえか。アンタだって随分疲れただろう」
邦絵は笑いながらキョン子の隣に陣取った。
「あっはー……やー、ワタシもショージンが足りないヨ。ホント、情けないトコ見せちゃったアルね」
キョン子はカクリヨの暗い空を見上げて、短くため息をついた。
「だがまあ、こうして無事に済んで良かったじゃないか」
邦絵が励ますようにキョン子の肩を叩く。
「それでさ、アタシはアンタに頼みがあって来たんだよ」
「頼み?ワタシにアルか?」
「そうとも」
きょとりと首を傾ぐキョン子。邦絵はずいと顔を近づける。
「物は頼みなんだが、アンタが戦っているところをアタシに描かせちゃあくれないかい?」
「……おお、絵のモデル、ってことネ?」
やや困惑気味に、キョン子は目を瞬かせる。
「そうさ。さっきのアンタは、骸魂に乗っ取られてただろう。……アタシが描きたいのは、あんな操られた状態じゃなく、ちゃーんと自分の意志で戦ってるアンタの姿なのさ」
「……たしかに、そうネ。さっきのワタシは、ワタシだったけど、ワタシじゃなかったヨ」
「だからさ」
邦絵はゆっくりとキョン子の正面にまわり、そしてまっすぐにその瞳を見据えた。
「本当のアンタの道《アヤカシアーツ》ってやつを見せておくれよ」
「……あっはは」
キョン子ははにかむように笑ってから、ゆっくりと歩き出した。その足は、再び道場の方へと向かう。
「しょうがないアルなあ。そこまで言われちゃ仕方ないヨ。……じゃ、その妖怪美人画のモデル、引き受けたげるから感謝するネ」
「美人画つった覚えはないんだけどねぇ。アタシが描きたいのは百鬼夜行絵巻なんだが……まァいいさ、張り切って美人に描いてやるとも」
2人はうなずき合ってから、道場内へと進んだのであった。
かくして、猟兵たちの活躍によりカクリヨ世界に道は取り戻されたのである。
そして取り戻された平穏の中、“道《タオ》”をゆく彼らもまたこれからそれぞれの武の道を歩んでいくことだろう。
妖の技を用い、妖の力を振るう拳法、妖怪拳法《アヤカシアーツ》。
武の道を志す妖怪の拳士たちは、日々、高みを目指して、学び、変わり続ける。これからも、この先も。
大成功
🔵🔵🔵