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花隠シ

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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 寒桜の花びらが、ひらりひらりと舞い落ちる。
 抜けるような青い空。白い鳥が一羽飛んでいく。
 さらさらと流れる川のせせらぎ。身の引き締まるようなしんと冷えた空気。そして……、上流から流れる紅い血。
 本来ならば丁度釣りにいいその川辺は、水面に落ちる花の影を隠すかのように。見る間に真っ赤に染まっていくのであった……。

「……侍って何。傭兵とはどう違うの」
 リュカ・エンキアンサス(人間の探索者・f02586)はそんなことをたずねた。特に答えは期待していない風だった。
「まあ、いいや。とにかく、今回はサムライエンパイアの話」
 そう言いながらも、リュカは手帳にさらさらと何かを書き付ける。一枚破って、それを渡した。
「そいつがいっぱい出てて」
 鈴の上に何か愛らしいものが載っているイラストを指差して、
「そいつがボス」
 裏面に描いた、禍々しい刀を持ったイラストを今度は指差した。
「場所は、川辺の村。のどかで、いいところだよ。その親玉のほうの名前は、『幸せを喰らうモノ』……」
 言いながら、リュカはかすかに眉根を寄せた。若干不快感を覚えたような顔つきで、言葉を続ける。
「幸せなモノを食らうバケモノらしい。……こんな風に、のどかで、小さくて、仲がいい人たちが集まる村なんて、格好の餌食になるだろうね」
 ただ、今駆けつければ被害無く敵を倒すことは出来ると、リュカは言う。
「だから……頼んだよ。それから、もうひとつ」
 そのバケモノの前に、排除しないといけない敵がいる。と、リュカは言葉を付け足す。鈴のほうのバケモノの絵を、示して、
「こっちも、一筋縄では行かないから……気をつけて」
 気をつけてね。と、簡単に。もう一度念を押すようにリュカは言って。
「無事に終わったら、釣りでも楽しむといいよ。天気はいいし、寒桜って言うの? 早咲きの桜が咲いてるから。それ見ながら釣り糸でもたらすといい」
 きっと穏やかな時間を過ごせるはずだという。それから少し悩むような間の後で、
「みんな、魚を見たらおいしそうだというけれど」
 ぽつ、と言った。
「魚なんて、どれも同じ味じゃないか?」
 あまりにも食に無頓着かつ横着な発言であった。そんな周囲の表情を察したのか、
「……そうか。違うのか。……とにかく、大物を釣ってみたり、料理してみたり、好きに過ごせばいいよ。とにかく」
 気をつけて行ってきてね。と、リュカは若干憮然とした表情で話を締めくくった。


ふじもりみきや
 いつもお世話になり、ありがとうございます。
 ふじもりみきやです。
 状況は大体リュカが言ったとおりです。
 第一話の敵ですが、リュカは仔細を語りたがりませんでしたが、
 後悔の念を強制的に呼び起こす念を放ち、自身が一番後悔している過去の幻を見せる事により対象の動きを一時的に封じる。
 という技を所持しております。
 流石にこれを捏造するわけにはいきませんので、これを語りたい方は遠慮なくプレイングにぶち込んでください。熱い魂の叫びをお待ちしております。
 ものすごいギャンブラーな方はお任せしてくださってもいいですが、何きても泣かないように。必ずお任せとわかるようにかいてください。
 なお、ギャグな方向には振れません。ステシとプレイングは見ます。NGがある場合は明記してください。
 皆さんのプレイングで触れられない限りは、ここはさらっと流す予定です。
 熱い魂の叫びをお待ちしております(二度目)。
 二話目は普通のボス戦です。割と禍々しくも強めの敵になっております。
 三話目で釣りができます。
 第三話目のみの参加とかも大歓迎ですので、楽しく遊びに来てください。
 第三話目のみ、リュカも声をかけていただけたら、喜んで参加させていただきます。
(本人は、ぶっちょ面しているかもしれませんが、私はとても嬉しいです。そしてリュカは味音痴です)
 以上になります。
 どうぞ、よろしくお願いしますね。
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第1章 集団戦 『黄泉の本坪鈴』

POW   :    黄泉の門
【黄泉の門が開き飛び出してくる炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【地獄の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    人魂の炎
レベル×1個の【人魂 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    後悔の念
【本坪鈴本体 】から【後悔の念を強制的に呼び起こす念】を放ち、【自身が一番後悔している過去の幻を見せる事】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エンジ・カラカ
アァ……いっぱいいるなァ……。
先制攻撃で人狼咆哮を仕掛ける。
ちまちまとしたヤツなのに、結構やると。

見えた幻に薬指の傷が疼いた気がした。
いつかの、誰かの面影が揺れる。
アァ……最高に絶望的だ。
でも、後悔はしていないなァ……。後悔はしていない。
薬指の傷を噛み、瞳を細めて幻を打ち消す。いつだって幻は曖昧だ。

他に幻に怯んでいるヤツがいたら目を覚まさせようか。
起きろ起きろ、くたばる前に目を覚ませ。
ハロゥハロゥ

狼の咆哮は目を覚まさせるには少し物足りないカ?
誰にも負けないとびっきり大きな咆哮は誰かの耳に届いているといいなァ……。



「アァ……いっぱいいるなァ……」
 つきん、と左手の薬指が痛んで。
 エンジ・カラカ(六月・f06959)はそう呟いた。何がとは言わなかった。
 本来ならば、それは彼や、他の猟兵たちを囲むようにして展開する鈴を抱いたバケモノ、『黄泉の本坪鈴』に向けて放たれた言葉であろう。
 けれど……。
「アァ……最高に絶望的だ」
 エンジの見えているものは、他の者には見えない。皆一様に強制的に呼び出されている、自分の後悔と戦っているはずだ。
 だからこの左手の薬指の痛みは、彼だけのもので。
「でも、後悔はしていないなァ……。後悔はしていない」
 視界の向こう側、蜃気楼のように立つ面影もまた、彼のためだけのもので。
 だからそれが、ただの強がりか、それとも真の言葉なのかを判別するものはどこにも無くて。
「――」
 エンジは目を細めて薬指に噛み付いた。
 口の中に血の味が広がる。瞳を細めて眇めるように見極めるように前を見る。
 いつかの誰かの姿は揺らぐ。消えていく。
「……あァ」
 この程度の幻では酔えもしないと。
「起きろ起きろハロゥハロゥ。くたばる前に目を覚ませ……!」
 エンジはただ、力いっぱいに叫んだ。激しい方向に吹き飛ばされる『黄泉の本坪鈴』たち。
 曖昧な幻を吹き飛ばすのは、いつだって強い意志の声だ。誰にも負けないとびっきり大きな咆哮は、
「狼の咆哮は目を覚まさせるには少し物足りないカ? でも……」
 ひとまずは目の前にいた敵を吹き飛ばした。他の仲間たちがどうなったかはわからないけれど……、
「誰かの耳に届いているといいなァ」
 きっとみんな、辛い思いをしているだろう。
 そんなときの優しい助け方なんて誰も教えてくれなかった。必要なかった。だからこそ彼は方向に乗せて、それをただ願った……。

成功 🔵​🔵​🔴​

鏡島・嵐
判定:【WIZ】
技能:〈援護射撃〉

苦い記憶。猟兵としての初陣の時。
戦いが始まった瞬間、突然“怖い”って感情が濁流みてぇに頭ん中に溢れて。
ガキの時に誰かと喧嘩した時でもそんなことになったこと無ぇのに。何が何だかわかんなかった。
我に返った時には、仲間の一人が棒立ちだったおれを庇って大怪我をしていた。
悔しくて、自分が腹立たしくて、しばらく涙が止まんなかった。
一命を取り留めたそいつは全部解決した後「気にするな」って笑ってくれたけれど、あの時のことは未だに忘れられねぇ。

……ッ、莫迦かおれは……! 今はそんなモンに囚われてる場合じゃねえだろ……!
《二十五番目の錫の兵隊》、迎撃頼む! あと皆の援護も!



 咆哮が聞えた。
 戦っている人の、声だった。
 ああ、なんて力強い声なんだろう……。
 だというのに、鏡島・嵐(星読みの渡り鳥・f03812)の視界は暗かった。

 自分を庇うように立つ仲間の姿がある。
 瞬きをして、また目を開くと、
 大怪我をして倒れた仲間の姿があった。
 手を伸ばそうとして。助け起こそうとして。
 その足が動かないことに気づく。
 声を上げる。喉が張り付いて言葉が一言も出ない。
 ただ、胸を締めるのは怖いという、その心のみだった。
 怖い。怖い。コワイ。
 仲間が庇ってくれて倒れたというのに。自分はその感情が真っ先に頭を占めて。
 それが、自分の後悔……、

 遠くで誰かの声が聞えた。それは、後悔を振り切って前に進もうとしている仲間の声であった。
「……ッ、莫迦かおれは……! 今はそんなモンに囚われてる場合じゃねえだろ……!」
 その声に引き戻されるように、嵐は目を見開く。あの時、仲間は大怪我をして。一命を取り留めたけれども悔しくて。腹立たしくて。涙が止まらなかった。
「《二十五番目の錫の兵隊》、迎撃頼む! あと皆の援護も!」
 だから声を張り上げる。
 気にするなといわれた。
 余計に気にするに決まっている。
「胸に燃ゆるは熱き想い、腕に宿るは猛き力。その想いを盾に、その力を刃に。……頼んだ!」
 だからもっと、強くなりたい。嵐は片脚が義足の武装した兵士の霊を召喚する。まっすぐに『黄泉の本坪鈴』へと走る霊を見送る。
 だからもっと……強くならないと。
 嵐は顔を上げる。消えていく、自分をかばってくれた仲間の幻。決意をこめてその背中を見送った。

成功 🔵​🔵​🔴​

飾磨・霜琳
荒事向きに出来てねぇ簪の身でも、きれいな寒桜が見られるとありゃァ話は別よ。
血生臭い野暮天にはご退場願おうじゃねぇか。

できれば周囲の猟兵と協力。あどりぶや絡みも歓迎だ
【援護射撃】と併用して【留刺簪】
あちらさんの動きを止めて仲間の攻撃が通りやすくなりゃ儲けだな
鈴といったら一等身近な魔除けだろうに、こんな禍々しい鈴の音があるもんかね

■後悔
実体を持たなかったがために8代目の女主人を守ることも救うこともできず目の前でUDCに殺され、幾世代も大事にされた恩ある家が潰えるのを見ていることしかできなかったこと。

今の俺には両の手が、駆ける足が、人に届く声がある
あの時とは違う、できることがある、……動ける!


御剣・刀也
のどかでいい所だな
全部片付いたらのんびり釣りでもしてぇぜ
ま、その為に一働きしますか

黄泉の門と人魂の炎は遠距離攻撃が可能なので距離を離されないよう自分の間合いを保つ
距離を取って攻撃しようとしてきたらその隙を逃さず踏み込んで攻撃する
後悔の念は自分の意思で選んできた道なので基本的に後悔してることがないので対して気にしない
「雑魚ばっかりか。さっさと大将首にお目にかかりたいね。幸せを食らう前に俺たち猟犬がてめぇの命を狩ってやるよ」



 鈴の音が聞こえてくる。
 目の前に浮かぶ幻がある。
「ああ……。そうさねぇ」
 飾磨・霜琳(飾磨屋・f03493)はそう声を上げた。それは見たことがある光景だった。
「鈴といったら一等身近な魔除けだろうに、こんな禍々しい鈴の音があるもんかね」
 自嘲する。目の前で女が一人死んでいた。手も足もなかった。出る手足すら霜琳にはなかった。そんな時代の話だった。
 実体を持たなかったがために8代目の女主人を殺されて。それで大事にされていた家が途絶えた。あっけないものだった。本当にあっけなく……霜琳の大切なものはそこから零れ落ちてしまった。
 九代目を名乗ってはいるけれど……。
 霜琳は何か言いかける。言いかけて口を閉ざす。その時、
「おう、どうやら無事のようだな!」
 御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)の獅子の如き太刀が走った。手近にいた化け物を一刀で両断し隙ナク次の敵、すなわち霜琳の近くにいた敵へと肉薄する。
「ああ。なかなかに愉快なものじゃあないが。そっちは……どうやら無事そうか」
 刀也の堂々とした言葉を受けて霜琳は苦笑する。ああ。と刀也も笑った。
「俺はほら、後悔なんてものはねえからな! 準備運動がてら、手助けをして回ってたんだ」
 自分の意思で選んできたものだからな。細かいことは寝たら忘れるし。なんて冗談めかして刀也は言う。
「はは。そりゃ、頼りになるね」
「おう。頼りにしてくれ」
 刀也の言葉に霜琳は吹きだした。
「だったら……そら! さァさ、ちょいとおとなしくしてもらおうかィ」
 言って。霜琳は指を指示した。中空現れた鉄簪が化け物の体を貫く。貫かれた化け物は地面にそのまま縫いとめられるようにして動けない。
「荒事向きに出来てねぇ簪の身でも、きれいな寒桜が見られるとありゃァ話は別よ。血生臭い野暮天にはご退場願おうじゃねぇか。……あんたはねえ。邪魔なのさ」
「そういうことだ。雑魚ばっかりか。さっさと大将首にお目にかかりたいね。幸せも絶望も食らう前に俺たち猟犬がてめぇの命を狩ってやるよ」
 そしてその縫い留められた体を、刀也の獅子吼が真っ二つに叩ききった。
 鈴が割れるような音がする。それと同時に、霜琳が見える幻もうっすらと歪んで消えていく。
「……」
 守ってやりたかった。彼女も。自分を大切にしてくれた恩のある家も。
 それが……、霜琳の後悔だった。
「っし、次行くか! 全部片付いたらのんびり釣りでもしてぇぜ」
 人働きだと駆けだす刀也。
「ああ……。今の俺には両の手が、駆ける足が、人に届く声がある。あの時とは違う、できることがある、……動ける!」
 行こうじゃないかと霜琳は笑った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イア・エエングラ
あらま、随分、可愛らしくて
それでも容赦、してあげられないの

青褪めた底で揺らぐのは、きみと逝けなかった日の、
立ち上る銀の泡に白い手
水に溶ける花の色
冷たい炎は抱かれて沈む、ばっかりの
緩く目細めて、息吐いて、……ああ、きれいね。
いつものよに笑ってしまえるほど、摩りきれた夢だ
震える指が、届かないことも知っている
今でも僕は、そこにいるよ

だからそっと、僕は下がってお呼びだてしましょうな
招くのはリザレクト・オブリビオン
この子らは夢を見ないもの
動けない子を守ってあげてね
僕の代わりに振るってね
ひとつずつ消して差し上げてね
ある幸いを、届く手を、のべなけらばならないもの
今はそこを退けて、くださるかしら



「あらま、随分、可愛らしくて」
 『黄泉の本坪鈴』の姿を見て。
 イア・エエングラ(フラクチュア・f01543)ははそう微笑んだ。
「……それでも容赦、してあげられないの」
 鈴の音が聞こえていて、イアは目を細める。
 視界に移ったのは、白い……白い、手だった。

 水の底が見える。
 それは、美しい花だった。
 あの日僕は、君と共に逝けなかった……。
 立ち上る銀の泡に白い手。水に溶ける花の色。冷たい炎は抱かれて沈む……、

「……ああ、きれいね」
 その光景を、まるで覗き込むようにして。
 緩く目細めて、息吐いて。
 笑ってしまう。いつものように。
 なんて摩りきれた、夢でしょう。
 イアは手を伸ばす。その指が震えている。
 掴もうとして。そしてつかめずにいるであろうことを、既にイアは知っている。
「それでも……それでも」
 そっと、声をかけた。
「今でも僕は、そこにいるよ」
 それで、おしまい。
 イアは一歩下がる。そして死霊騎士と死霊蛇竜を召喚する。この子達はきっと、ユメを見ないだろうから。
「動けない子を守ってあげてね。僕の代わりに振るってね。ひとつずつ……消して差し上げてね」
 イアは死霊たちに命令を下す。優しく丁寧に声をかける。
 動き出す彼らに目を細め、イアは小さく頷いた。
「ある幸いを、届く手を、のべなけらばならないもの。……今はそこを退けて、くださるかしら」

成功 🔵​🔵​🔴​

垂没童子・此白
幸せを守るため…頑張りましょうね、サトーさん

私は、皆さんの支援を
柄杓の水を使って…鈴さんの飛ばす炎を消せたらな、と
外して出来た水溜の上に立ち…少しでも優位に動けるよう心がけます

幻に捉われてしまったら…
振り切る為に、サトーさんの桐箱を強く、強く抱きます

…ずっと永い間オブリビオンによって昏い座敷に閉じ込められていました
ワラシ様、神の子と持て囃され囚われの身
生まれてきた事を悔んだのは一度や二度ではありません
海の底に置き去りにされたような…そんな孤独が蘇るかも…

…でも、それは過ぎ去った事
大切なのは此れから歩みゆく道行の方
今を生きる私は、とっても幸せなのですから…!

サトーさん、どうか力を貸して下さい…!



 人魂が放たれる。人魂の炎が散っていく。
 『黄泉の本坪鈴』の数は多く。ちらほら火の粉が降り注ぐ。
「幸せを守るため……頑張りましょうね、サトーさん」
 敵に花や樹木や川魚を守る理由はない。それらの上にも降り注ぐ火の粉に、垂没童子・此白(サヒモチワラシ・f09860)は銀色のペイントブキでもある柄杓をぎゅっと握った。
 念じると、合の中から星粒のような煌きを伴った清水が湧き出す。明らかに何らかのご利益がありそうなそれだが、
「……えいっ!」
 と、惜しむことなく此白はそれを火に投げかけた。じゅわ、と音を立てて消える火を増やそうと、水溜りを利用しながら此白は歩き回る。
「サトーさん、このまま、全部火を消して……」
 言いかけた此白の目の前に、『黄泉の本坪鈴』が舞い降りた。順調に火を消していく此白を、邪魔だと思ったのかもしれなかった。
「……!」
 サトーさんの桐箱をぎゅっと握り締めるがもう遅い。此白は耳の奥に囁くような、鈴の音を既に聞いていた。

 ……暗い。
 …………くらい。
 ………………クライ。
 暗いくらい世界。
 ワラシ様、と誰かが呼んでいた。
 誰かが此白を褒め称えていた。
 そればかりの。それしかない。視界に広がるのは、たったそれだけの世界。
 ワラシ様、神の子と持て囃されて。
 だというのにとらわれて。自由すら与えられず。
 なぜ生まれてきたのかと。何のために生まれてきたのかと。
 ただ寒い場所に独り……!

 はっ、と。此白は我に返った。
 ふわふわとしたユメの中、桐箱がかすかに動いたような気がしたからだ。
「……」
 此白は瞬きをする。
「……でも、それは過ぎ去った事。大切なのは此れから歩みゆく道行の方。今を生きる私は、とっても幸せなのですから……!」
 そうして此白は再び柄杓を握り締めた。
「サトーさん、どうか力を貸して下さい……!」
 走ろう。ここからは駆けよう。
 一度抜けるような青空を見て。此白はしっかりと明るい大地を蹴った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
いい村と聞いて遊学に来た
空気が澄んでいるね
後悔は特にない
例えばあれとかそれとかはたぶん
人としては後悔すべきって認識だけはあるけど



鈴の音と赤子の泣き声がきこえる
赤子を抱いた女とそれをあやす男
両親の幻だ、二人ともまだ若い
それなりに立派な一軒家
綺麗に片付いたリビング
何一つ特別なことはない家庭
幸せとはこういうことなんだろう


赤子から同意が返る筈もなく
泣いてる僕、面白いな
こんな時は親に感謝しないといけない
人の物真似は難しい

ああ、僕が本気で後悔しているのは
『生まれた事そのもの』か
なるほど

UC【裏・三千世界】
幻ごと全て食い破る
父さん母さん僕、ごめん
やっぱり何も思わない、ごめんね
僕はまだ人間じゃないみたいだ



 ……ああ。後悔すべきなのだろうなあ。
 鵜飼・章(シュレディンガーの鵺・f03255)は、その幻を見ながら漠然と、そんなことを考えた。

 幻はやけに丁寧だ。
 赤子の鳴き声。それを抱いた若い女と泣いている赤子をあやす若い男。
 それなりに立派な一軒家。リビングはきれいに片付いて、窓からは柔らかな日差しが差し込んでいた。
 女は幸せそうであった。
 男も幸せそうであった。
 それ以外はなんということもない。
 ただ当たり前の幸福がそこにあった。

「……幸せとはこういうことなんだろうね」
 そんな、後悔とは無縁の映像を眺めながら章は小さく呟く。
 勿論赤子からの返答はない。ただありきたりな赤ん坊として、泣いているだけだ。
「泣いてる僕、面白いな」
 本当に、その辺の他人の子供をかわいいね、というくらいの無関心さで章はいった。
「ああ。どちらかというとこんな画像を見た時は親に感謝しないといけないのかな。……人の物真似は難しい」
 それにしても後悔などとは無縁の景色だと章は自問自答する。なぜそんなものが見られるのかと分析して、
「ああ、僕が本気で後悔しているのは……『生まれた事そのもの』か」
 なるほど、と。
 ほんの少しだけ、納得が言ったような顔で章は頷いた。
「父さん母さん僕、ごめん。やっぱり何も思わない、ごめんね。僕はまだ人間じゃないみたいだ」
 それで気が済んだとばかりに、章は人食い鴉の群れを呼び出す。
「人類は滅んだ。美しい朝が来る。≪裏・三千世界≫」
 鴉は幻覚の自分と両親。そしてそれを操る敵の。全てに平等に襲い掛かり、食いつき、食い荒らし、そして無に帰していく。
「ああ……空気が澄んでいるね」
 それをただ眺めながら、章はそっと息をついた。いい村だと聞いて遊学に来たんだと。ふらっと訪れた旅人のような言葉で……。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴォルフガング・ディーツェ
【SPD】

ああ、またお前達か
地獄を思い起こさせる禍しき狐
…良いさ、何度だってあの日を見てやるさ

後悔は尽きない、君が殺されたあの日から
君を生け贄にした仲間を、裏切り者達を生かしておいた事…長く、長くさ迷う内に「君」を取り零した事

百年余りは、余りに長すぎた

今もあいつらに貪られる君の腸は、湯気立つ血潮の赤は鮮明なのに…泣き叫ぶ声も、顔もぼやけているんだ

俺もまた君を殺してしまった
記憶の中の君ですらも
たった1人の、大切な妹だったのに

だから、せめて

【範囲攻撃】【属性攻撃】【二回攻撃】…持てる技能の全てを使い、狐、君達を殺してあげる
惨たらしく、凄惨に、醜悪に
沸き上がる憎悪は【人狼咆哮】に変えて、吼え上げよう



 長く長くさまよった末に。
 ヴォルフガング・ディーツェ(咎狼・f09192)の求めていたものが、もはや顔すらわからぬものになっていたとしても……。

 ヴォルフガングには覚えがあった。ああ、またお前達かと。そう呟いた。
 地獄を思い起こさせる禍しき狐が、また群れになってヴォルフガングを見ている。
「……良いさ、何度だってあの日を見てやるさ」
 その顔と視線を合わせる。一瞬にして視界が別のどこかにすり替わった。
 目の前の彼女はやはり今日も、あいつらに腸を貪られていた。
「後悔は尽きない。それが当たり前だよ」
 声をかける。君が殺されたあの日から。そう、ヴォルフガングはその光景を直視する。
 其のときの景色も、君を食らったものの姿も、湯気立つ血潮の赤もその世界は鮮明なのに。
「ああ……でも、やはり今日も見えないんだね」
 泣き叫ぶ声も、顔もぼやけてわからなかった。
 君を生け贄にした仲間を、裏切り者達を生かしておいた事……。悔いることはただ、多くある。
 けれどもヴォルフガングは彷徨った。彷徨い続ければいつか輪が巡って生まれ変わった妹に会えると信じていた。
「よりにもよって……」
 信じていった。大切だった。再び出会うまではどうあってでも生き続けようと誓った。なのに、
「わすれてしまう、なんて……」
 彷徨った百年は、余りに長すぎた。
 もはや化け物が見せる幻の中ですら、彼女の姿を知ることは出来ない。
 自分もまた君を殺してしまった。
「記憶の中の君ですらも、たった1人の、大切な妹だったのに……」
 それは彼の、後悔であり罪でありそして罰だった。
 だってわからない。
 彼女がもし輪廻しても、見つけ出せるかどうかすらもわからない。そして……、
 だからこそ。と、ヴォルフガングは顔を上げる。
「だから……せめて」
 ヴォルフガングは声をあげた。だからせめて殺そう。
 惨たらしく、凄惨に、醜悪に。殺して殺して殺しつくそう。
 ヴォルフガングは咆哮する。その声は、
 凄まじい憎悪を放っていた……。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーゼ・レイトフレーズ
後悔の念、か
ここまでの人生に後悔なんてものは無いが
出生を知らない私は、どこかで後悔したのか興味があるね

SHOOTING STARで敵の動きを牽制するよう先制攻撃の援護射撃
敵の放つ炎を見切り的確に処理していく
もしもこれは防げないな、と思ったなら第六感に従って避けよう

後悔の念を見せられたとしても変わらない
いつも通り感情が揺らぐこと無く
淡々と目の前の事象を処理するだけだ
それがなんであれ、ね

後悔の念(リーゼの知らない情報)
かつて愛する人を救えずに絶望した
目の前で愛する人の首を切り落とされ、世界が赤く染まる
黒髪緑目に白いマフラーが特徴的な青年
冷たいようでお人好しな、よく笑う優しい兄
全ての始まりの記憶



 周囲の猟兵たちの様子に、リーゼは悟った。
 あの鈴の値を聞けば、何かよくないものが見えるのであろう。
 悟った後の行動は早かった。SHOOTING STARで視界の端に映る敵を片っ端から撃ち落とす。
 仲間たちの援護をするように撃ちつづける。
 自動装填する魔術が刻まれているそれは、休むことなく攻撃を続けることが出来た。
「……後悔の念、か」
 何の感情もなさそうな声音でリーゼは呟く。
 ここまでの人生に後悔なんてものは無い。
 そして、出生を知らない自分はどこかで後悔したのか興味があるね。なんて他人事のように口の中で呟くのだった。
 興味というのが厄介だな、とリーゼは内心で苦笑する。
 だってそれが本当に私の後悔ならこんな風に興味なんて持ったりしないから。
「……ああ」
 鈴の魔物を的確に処理していく。時々放たれた鬼火も第六感を駆使しながら的確に処理をしていく。
 そしてそれでも捌ききれない。よけきれないとリーゼが思った其のとき。
 鈴の音が耳の奥で響いた。

 首がひとつ、転がっている。
 黒髪も白いマフラーも。おびただしい血を吸っていた。
 世界が赤く染まっている。
 それは。その顔は……。 

「……堕ちることのない輝きとなれ―――Cassiopeia」
 ためらい無く。
 リーゼはその姿すら撃ち殺した。
 幻影の影に隠れていた魔物がちに落ちて、その幻は霧散する。
「……処理するだけだ。それがなんであれ、ね」
 消えていく幻を見る目は、やっぱりどこか他人事を見るような目で。
 其のこと自体が、悲しいことなのかなんでもないことなのかは、自分自身でもよくわからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

オズ・ケストナー
シュネー、がんばろうね

幻:3年前、丘の上のお屋敷

いつまでたっても
なんにちたってもおとうさんがこない
ねえ、まちくたびれちゃった

毎日人形たちを慈しんでいた「おとうさん」
日に日に訪れる時間が短くなって
ある日を境に来なくなった
たくさんの友達の中で動けるのはわたしだけ
一人で歩くのは初めて
おとうさん、どこ?

重い扉を押し開けたら何かがひっかかった
扉の裏をのぞき込むと
目を開けたままおとうさんが寝ている

シュネー、おとうさんはまだねてたよ
おきないね
おとうさん

わたしがもっと人間のことをよく知ってたら
もっと早く探しに行けば

斧を握り
ううん、ううん
今わたしができることをしなきゃ
反撃開始

助けられるひとはまだいるから、いくよ



「おとうさん、どうしたのかなあ」
「きょうはさむいから、ゆっくりねてるのかもしれないね」
「おとうさん、きょうはおきゃくさんなのかなあ」
「ねえ、まちくたびれちゃった」
 首を傾げるも返事はなく。
 どれだけ待ってもおとうさんはこなかった。
「おともだちのなかでうごけるのはわたしだけだから、いってくるよ」
 ある日、オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は立ち上がった。
 おとうさんを探しに行くために。

 今から思えば気付けたはずだ。
 あんなにも自分を愛してくれていた「おとうさん」が。
 だんだん、だんだん。訪れることが少なくなって。
 ある日ふっつりと、来なくなった。
 いつまでたっても。なんにちまっても。
 ……今から考えれば、きっと気づけたはずなのだ。
 今も見える幻は、あの日の「おとうさん」のすがた。
 一人ではじめて歩いた廊下。お父さんを探してさまよったおうち。
 目の前にある重い扉を、ぎゅーっと押しあけてみた光景。
「うんしょ、うんしょ……」
 重い扉は引っかかってきちんと開かなかった。
 扉の裏を覗き込んだら。目を開けたままおとうさんが寝ていた。
「シュネー、おとうさんはまだねてたよ。おきないね、おとうさん」
 おとうさん、ねぼすけさんだねえ。と幻の中の自分は無邪気に笑っていた。
 ……そんな。
 三年前の、丘の上のお屋敷での光景……。

「わたしがもっと人間のことをよく知ってたら。……もっと早く探しに行けば」
 暢気に笑う自分を見ながら、オズは唇を噛む。そして斧を握り締める。
「ううん、……ううん。今わたしができることをしなきゃ」
 頑張るよ、シュネー、と。オズは雪のような白い髪と桜色の瞳を持つシュネーに声をかけて、
「助けられるひとはまだいるから、いくよ。今度は……もっと早くなんて、思わない」
 その斧を、まっすぐに幻吐き出す敵へと振り下ろした。

成功 🔵​🔵​🔴​

アール・ダファディル
――…どうして≪彼女≫はヤドリガミに為れなかった?
ヤドリガミと生じた己の喪失感
常に隣にいた存在が物言わぬまま転がっていたあの日
――…どうして≪俺≫はヤドリガミに為ってしまった?
人らに好かれていたのは彼女だった
連れ歩かされた彼女の冒険譚を聞いてはふたり玩具箱で人を夢見た
なのに何故、愛らしい彼女が喋らない
なのに何故、俺だけが人の姿をしている
≪彼女≫に何が足りず、≪俺≫に何が満ちたのか
どうして道は別たれた
俺たちは寸分違わぬ双子だった筈なのに!!

――ああ、悪い夢を視た気分だ。酷く不愉快だ
だが御蔭で目的を思い出した
俺は≪彼女≫をヤドリガミにする術を探さなければ
「さあ、Echo。今日も楽しく遊んでおいで」



 後悔。後悔。……後悔。
「――…どうして≪彼女≫はヤドリガミに為れなかった?」
 アール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)は口の中で呟いた。
 違う。それは後悔ではなかった。
 人らに好かれていたのは彼女だった
 連れ歩かされた彼女の冒険譚を聞いてはふたり玩具箱で人を夢見た。
 なのに何故、愛らしい彼女が喋らない。
 なのに何故、俺だけが人の姿をしている。
「――…どうして≪俺≫はヤドリガミに為ってしまった?」
 ……ああ。そう。これだ。それはつまり……。

「≪彼女≫に何が足りず、≪俺≫に何が満ちたのか! どうして道は別たれた! 俺たちは寸分違わぬ双子だった筈なのに!!」

 視界の向こう側で、アール・ダファディル(ヤドリガミの人形遣い・f00052)が絶叫していた。
 あのときの喪失感を忘れない。
 あのときの絶望を忘れない。
 あの日ほど己の運命を呪ったことはない。
 常に隣にいた存在が物言わぬまま転がっていたあの日。あの時。あの瞬間……。
 あの瞬間から、アールの生き方は決定した。
 だから……。
 こうして独り生まれてきてしまったことが、アールにとっては一番の後悔だった。

 ずるりと引きずるように身を起こす。
 忘れていた何かを思い出したかのように。
 悪い夢を見た気分だ。酷く不愉快だ。
 それが現実であることなんか、はなから忘れてしまいたい。
「さあ、Echo。今日も楽しく遊んでおいで」
 けれども彼には目的があるから。
 ≪彼女≫をヤドリガミにしなければいけないから。
 アールは糸を張り巡らせる。回避のための予備動作だ。だけど……。
「操るはモノだけで無いと知れ」
 ああいっそ。自分の心も操ってしまえたらなと。
 漠然とアールは考えて、前を向いた。
 ……ああいっそ。ヤドリガミである自分がなくなってしまえたら。
 ただの心無い人形に戻ってしまえたら……。
「……いや。いや。探しているんだ。≪彼女≫がヤドリガミに為れる方法を。……探すんだ」
 アールは静かに首を振った。今はただ、目の前の敵を倒すだけだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

クロエ・アルページュ
悪夢はいつも同じ夢からはじまります
自分と同じ姿をした「父の娘(クロエ)」が火炙りにあう夢

だからわたくしの後悔は
「人形(わたくし)」が生まれたこと
父の幸せそうな笑顔も、その笑顔を奪う街の人々の恐怖に引き攣る姿も
神に祝福された「クロエ」はいない
自由は鎖で奪われた、わたくしの咎の証明

父も故郷も全てを飲み込む炎が目の前に広がる光景を
忘れられません


――その幻を見せて、悔やむのはきっと、貴方

貴方も同じ炎で焼きつくしてあげたい
「Garklein」この拷問具はわたくしの呪い
喜びになって、同じ熱を再現しております
味わって下さいまし、わたくしのひかり

あぁ、わたくし、このあと、笑えるかしら

※諸々自由に解釈OK



 夢はいつも同じところから始まる。
 それは、自分と同じ姿をした「父の娘(クロエ)」が火炙りにあう夢だった。

 炎がクロエの視界に移っている。
 ああ。なんて鮮やかな色なのだろうと、クロエは思った。
 あの時と同じ。あの人同じ。
 忘れもしない。父も故郷も全てを飲み込む炎が目の前に広がる光景だ。

 少女は魔女だったのだという。
 それが本物の魔女だったかはわからないし本当のことなんて興味はない。
 大切なことはそうじゃなくて。少女はその燭台の焔によって焼き尽くされたということだ。
 そしてそれゆえに……「人形(彼女)」が生まれたということだ。
 作られた私。魔女であったという彼女の代わり。
 だというのに生まれた彼女は願いが叶うと祝福され、人を愛し、人を赦すことを教えられた。
 長い間、そのためだけに在っていた。
 何のために。何のためだろう。
 どうして彼女だったのだろう。
 その答えは永遠にわからない。
 すべてが炎に沈んでしまったから。

「だからわたくしの後悔は、『人形(わたくし)』が生まれたことなのです」
 炎を見ながら燭台を傾け。クロエはそう呟いた。
 永遠に続くであろうと思っていた日々は炎をもって終わりを告げた。
 父の幸せそうな笑顔も、その笑顔を奪う街の人々の恐怖に引き攣る姿も。全部全部なくなって……、そしてクロエは自由になった。
 遠くを歩けぬその足で、炎を目にうつし一歩踏み出したとき。
 顔を上げて舞い散る日のこのその向こう。満天の星空を見上げたとき。
 彼女は……確かに喜びを感じた。感じてしまったのだ。
 ああだから……そんな心を抱いてしまったこの身も、やはり魔女であったのだろうか。
 神に祝福された「クロエ」はもういない。
「自由は鎖で奪われた、わたくしの咎の証明……」
 なぞるように。クロエは燭台に指を這わせた。
「――悔やむのはきっと、貴方。ええ。ええ。やきつくしてあげましょう。同じ炎で。祝福をあげましょう。お喜びになって?」
 同じ熱を再現しております、と、クロエは陰鬱に微笑んだ。
「味わって下さいまし、わたくしのひかり。……あぁ」
 目の前には炎がある。その向こう側にいる化け物が、果たしてもう彼女の目に入っているのだろうか。
「わたくし、このあと、笑えるかしら」
 そう。口の端をあげながら。クロエは燭台を翳した。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレム・クラウベル
……耳障りな音だ
可愛らしいのは見た目ばかり、か。中々悪趣味で
耳をつく鈴の音に顔を顰め
掻き消す様に祈祷文を読み上げる
祈りの火よ、燃やせ

【後悔】
猟兵仕事の中で掬いきれず取りこぼした人のこと
つい最近の仕事でまだ動ける一般人の避難を優先し
動けない男を已む無く見殺した(シナリオ猟と贄1章)
平然とした振りをするが内心忘れられない
戒めとして今までに取りこぼした全員の顔を覚えている

ああ、煩い。……煩い、煩い!
救えるものなら全て拾いあげたかった!
それが出来るなら一つとて、取り零しなどしなかった
……心配するな、忘れなどしない
忘れずに覚えている。その顔も、最期も
許しは乞わない
……それしか、俺には出来なかったから



「……耳障りな音だ」
 かわいらしいのが逆に癪に障るとクレム・クラウベル(paidir・f03413)は呟いた。
 鈴の音が耳につき。クレムは何かを探すように視線をさまよわせる。
「祈りよ灯れ」
 祈祷文を紡ぐ。祈りの火よ燃やせと念じながらもクレムはどこかで何かを探している。
「祈りよ照らせ」
 後悔と聞いて思い浮かぶもの。何が見えるかなんてとうにわかっていたことだ。……つい最近、見たばかりのことだ。 
「灯火よ消えるなかれ」
 果たして真に。灯火はともるのであろうか。
 クレムが見捨てた人間にも、その光は届くのであろうか。
 ……己のようなものの祈りでも、ちゃんと聞き届けてくれるだろうか。
「……あぁ」
 ほう、とため息のようなものが漏れる。吐かれた息は白く、白く。
 そしてクレムはその姿を目をそらさず直視した。
 祈りが止まる。声が途切れる。それはほんの一瞬の出来事であった。

 仕事の中で救えきれずに取りこぼした命があった。
 大勢の、動ける人を助けるために、動けない人を見殺しにした。
 平然としたふりをした。当たり前のような顔をして見捨てた。
 けれども、本当は……。

 幻が叫ぶ。声は鈴の音となってどこかへ消えていく。
 ああ、煩い。……煩い、煩い!
 心の中で叫ぶ。
 救えるものなら全て拾いあげたかった! 出来るならひとつとて、取り零しなどしたくなかった。
 本当なら叫んで、悔やんで、何かを呪って。叩いて。壊して。そうして。そうして奏してそうしてそうして……!
「陽の射さぬ朝も」
 けれどもそれは出来なかった。
 口から零れ出るのはクレムにとって、情けないくらい正常で。冷静で。……ああ。なんてつまらない祈りの言葉。
「月無き夜も迷わぬように」
 読み上げた祈祷文から炎が生じる。白い浄化の炎が魔物の身を包む。それと同時に幻の姿も揺らいでいった。
「……心配するな、忘れなどしない。忘れずに覚えている。その顔も、最期も。……そして。許しは乞わない」
 変わらず淡々とクレムはいった。
 いつもと同じ表情で。道端の花でも踏みにじるかのように。そんな後悔などまるでないとでも言うような顔で。
「……それしか、俺には出来なかったから」
 ただ……ふと。
 きっとそうやって、覚えねばならない人の顔は、
 これからもずっと増えていくのだろうと。クレムは漠然と、思った。

成功 🔵​🔵​🔴​

陰白・幽
とっても気持ちいい場所だね、ここを守るために頑張るぞ~。

あれが敵だね、変な鈴?さくっと倒し……て
トラウマ
服は鋭利な刃物で切られたかのようにズタズタで、左の腕には大きな傷が有り、袖は肩から先がちぎられ裸足で足を引きずりながら森を逃げる……自分の姿が見える……それを追いかけているのは人型の怪物だ(逃げて……捕まっちゃだめだ)
願い虚しく怪物は自分の首を絞めるように捕まえ……数発の銃声が響いた……気がつくとボクの左腕は返り血で染まり目の前には
「……おじい、ちゃん」

意識が戻ったら敵にUCによる鎖でずたずたにし、
左の袖をまくり腕を見ながら
「ボクには……約束が……あるから、でも今は……寝たい気分、だよ」



「とっても気持ちいい場所だね、ここを守るために頑張るぞ~」
 ……そんな、ことを。
 陰白・幽(無限の可能性を持つ永眠龍・f00662)は、考えていた。
 それで視界に入ったおかしな鈴を、
 さくっと倒してしまおうと……して。

 左の腕に痛みが走った。
 傷など、受けていないはずなのに。
 裸足の足がずきずきと痛んだ。
 ああ。靴はちゃんとはいてきたはずなのに。

 それからそれから。
 幽は走っていく自分の幻を、遠くに見ていた。
 ご丁寧に周囲に、森の木々すら見えていた。
 ああ。見間違うはずもなかった。
 服は鋭利な刃物で切られたかのようにズタズタで、
 左の腕には大きな傷が有り、
 袖は肩から先がちぎられ裸足で足を引きずりながら森を逃げる……自分の姿が見える。
「だめ……見たくない」
 ぎゅっと唇を噛んで幽は呟く。それでも目を閉じることが出来なかった。
 追いかけられているのだ。幽はかつての自分の表情から目をそらすことが出来ない。
 追いかけているのは誰だろう。
 それを見てはいけない。……それを知っては、
「逃げて……捕まっちゃだめだ」
 絞り出すような声で呟く。勿論幻の幽には聞えない。
 やがて彼は掴まった。捕まえたのは怪物だった。怪物の腕が幻の幽の首に伸びる。そして……、
 数発の銃声が響いて、怪物は倒れた。
 ……何が、怒ったのか。返り血に染まった幽の左腕と、
「……おじい、ちゃん」

 自分で声上げた声に、幽は我に返った。
 震えるからだで左の袖をまくり腕を陽の元に曝す。
 それとどオリに複数の鎖が亜空間から表れて、鈴のバケモノを一瞬で貫いた。
 音もなく消滅するそれには目もくれず、
「ボクには……約束が……あるから、でも今は……寝たい気分、だよ」
 泣きそうな表情で幽はそっと目を閉じた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カノ・エクセクオール
ふぅん…過去をみせてくれるの?
面白いわ。わたくしの過去とやらもみせてくださいな
ちょっとど忘れしてるみたいなの
忘れちゃった昔、の手掛かりになるかしら?

◆戦闘
同属性だと親近感は湧くけれど、埒が明かないわね
鋼糸とナイフで2回攻撃や早業も駆使して、素早さ重視で動くわ

糸で縛ったり引寄せたり。止めはナイフで
沢山居るなら盾替わりも出来そうね

後悔に呑まれ困っている仲間がいるなら、紫炎の戯れで少しお手伝いを

◆過去
ソレは一番古い記憶
借りている容貌の女の、憎しみに歪むヒドい顔

コレが後悔?わたくしの?
ふぅん…そう
もう良いわ。コレはもう知っているから

そうね…魅せて頂いたお礼に還るべき場所へ送ってあげる
闇におかえりなさい



 仲間たちの様子で、それがどういうものであるかは知ることが出来た。
 けれどもカノ・エクセクオール(灰かぶり・f03309)はあくまで冷静であった。
「ふぅん……過去をみせてくれるの? 面白いわ。わたくしの過去とやらもみせてくださいな」
 そしてどこかおどけたような口調でブラッディリリーと名づけられた、血を吸うたびに美しく色づくナイフを振るう。
「ちょっとど忘れしてるみたいなの。忘れちゃった昔、の手掛かりになるかしら?」
 嘯いてみて。素早く近づいて。デルピュネのツメを操って。手繰り寄せてはトドメをさす。
 時折立ち尽くす仲間たちを見ては獲物を放って妨害をする。
 立ち上がるのは、きっと当人たちの力が必要で。
 だからカノができるのは、ほんの少しのお手伝いだけだった。
「それにしても、埒が明かないわね……」
 数が多い。ぽつんとカノが嘯く。
 鈴のねと共に視界の端に映るのは、ソレは一番古い記憶。
 借りている容貌の女の、憎しみに歪むヒドい顔。
 先ほどからちらちらと目にはいるその姿を、酷く覚めた目でカノは見ていた。
「コレが後悔? わたくしの? ふぅん……そう。もう良いわ。コレはもう知っているから」
 感想はそれだけだ。カノの刃が鈍ることはなかった。
「そうね……魅せて頂いたお礼に還るべき場所へ送ってあげる。闇におかえりなさい」
 くすりと、笑って。
「――ねぇ。わたくしも、構ってくださいな?」
 カノは開放した。蠱惑的なまなざしを。視界を惑わす淡紫蝶の火舞を。デルピュネのツメと名づけられたその鋼糸を。
 どれもが的確にバケモノたちの動きを阻害し、惑わし、そして封じ込めていく。
「うーん。やっぱりまだまだど忘れしてるみたいかしら」
 マイペースに切り裂いて消えていく化け物たちを見ながら、カノは肩をすくめた。
「そうね。ままならないのが世の常よ。ままならないセカイに、ひとつまみのスパイスを」
 そう、彼女は口上を述べて歩き出す。もはや見慣れた幻に興味はなく。ただ、敵を殲滅するために。

成功 🔵​🔵​🔴​

壥・灰色
(アドリブ歓迎)
侍は面子を重視する。プライドが崩れるよりも死を選ぶ程に
傭兵はそうじゃない。多くの場合、彼らは金のために戦う
武士は食わねど高楊枝、って言葉とは対照的だろう?


グリモアベースでそんな説法を一つぶってから、気を付けて、という言葉を胸に留めて現地へ飛ぶ

後悔している過去の幻――
かつて、虜囚の身から助けてくれた人の喉を裂いた事がある
無我夢中に振るった腕で

おれは、今でもそれを強く悔いている
自分の力で、その人の声を殺した事を

ただ、

それをまたおれに見せた事を、
許すつもりはない

殺す
一体として残すまい
常から苛烈と言われるが、ああ、一体も残すまいとも
――衝撃を司る魔術回路「壊鍵」の破壊力
その目で御覧じろ



 鈴の音と同時に、視界があるはずもない赤に染まっていた。
「あ……」
 壥・灰色(ゴーストノート・f00067)が足を止めた。
 丁度少し前、グリモアベースで話をしていたとき、
 その話の締めくくりが、気をつけてだったことを、灰色は思い出した。
「気をつけるも、何も」
 呟いて。灰色は目を細める。
 それは過去の。忘れられない出来事の幻だった。

 灰色が無我夢中で腕を振り回す。
 それを何とか宥めようとしている人の姿が見えた。
 自分は其のとき、虜囚の身で、
 その人が自分を、助け出してくれたのだ。
 だと、いうのに……。

 助かるということが理解できず。
 かけられた優しい言葉を信じることが出来ず。
 得体の知れない恐怖感に苛まれて、
 灰色はその人の喉を一瞬で掻き切った。
 責められればまだよかった。
 けれどもその人は……笑ったのだ。助けられて、よかったと。

「……そうだ。おれは、今でもそれを強く悔いている。自分の力で、その人の声を殺した事を」
 あのときの手の感触を今もまだ覚えている。
 そのときの血の色なんてわざわざ見せてもらう必要もない。
「……この光景をまたおれに見せた事を、許すつもりはない」
 ぽんと灰色は呟いて。
「殺す。一体として残すまい」
 と一言、宣言した。
 灰色はかけた。まるで弾丸のように一瞬で距離を詰め、鈴の乗るバケモノに拳を叩きつける。
「砕け、壊鍵!」
 衝撃がその体に走る。バケモノの体は鈴ごとくだけ散る。
 周囲を見回す。バケモノはいったいだけではなかった。重なる鈴の寝に灰色は、常から苛烈と言われるが、さらにそれを上回る速さでもって……、
「――衝撃を司る魔術回路「壊鍵」の破壊力。その目で御覧じろ」
 そうして、駆けた。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇神・咲優
【勇気】と【第六感】を頼りに鈴の上に乗った子を探す

『さゆは今幸せじゃないので、きっとダイジョウブ!のはず!きっと!たぶん!』

『篤光もそう思うよねっ?!』

『うん、そうだよっ!咲優ちゃん今絶賛迷子だもん!幸せって感じじゃないから、きっと幸せなモノなんて食べられないよっ!』

『そうだよねっ』

短刀に語り掛け向かうも技に掛る

『ちがッこれは!ちがうの……ねえ、きいて…ママっ、―――さゆをヒトリにしないでっ!!!』

寒く暗い洞窟に独りぼっちだった頃の過ち
独りぼっちの世界で醜く汚いバケモノの子竜は知らなかった
長く尖った爪でヒトに触れたら傷つける事を―――
あの頃、言葉に出来なかった想いを嘆く

※アドリブ・台詞改変歓迎



 蛇神・咲優(迷子奇譚・f05029)は今日も迷子であった。
「え? あれ? みんなどこー?」
 仲間の猟兵たちと一緒に来たはずなのに、気がつけばあちこち遠回り。勇気を持って第六感を頼りに駆け回り、そういえば鈴の上に乗った子を倒すんだったっけか。と見かけたのはつい先ほどのことだった。
「さゆは今幸せじゃないので、きっとダイジョウブ! のはず! きっと! たぶん! 篤光もそう思うよねっ?!」
 相手は幸せを食べる何かだったはずだ。ふんすふんすとご機嫌に、咲優は白蛇を象った懐刀に語りかける。と、いうのも、
「うん、そうだよっ! 咲優ちゃん今絶賛迷子だもん! 幸せって感じじゃないから、きっと幸せなモノなんて食べられないよっ!」
 何かものすごい自信満々元気いっぱいに咲優は断言するのであった。篤光がどう答えたのかはわからないが、
「そうだよねっ」
 と。全力でなにやら肯定した……ところで、

「ちがッこれは! ちがうの……ねえ、きいて……ママっ、―――さゆをヒトリにしないでっ!!!」

 魂を震わせるような絶叫を、どこかで聞いた。鈴の音がどこかで聞えたような気がした。
「ママ。ママ、ちがうの……ちがうのちがうのちがうの!」
「!」
 幻はわめき続ける。わめきながら泣き続ける。真っ暗な洞窟の中一人。醜く汚いバケモノの古竜がいる。
「知らなかったの。知らなかった……!」
「やめて!!」
 幻は泣き続ける。思わず咲優は声を上げた。
「やめて……やめてやめて!」
 幻と咲優。二人の声が重なる。
 バケモノは知らなかった。
 長く尖った爪でヒトに触れたら傷つける事を―――。
「う、うう。ああ……」
 泣きそうな声で咲優は懐刀を抱きしめる。
 あの頃。あの頃の咲優はただ泣いているだけで。
 ただ知らなかったと叫ぶだけで。
 自分は悪くないと嘆くだけで……。
「ごめ……なさい。ごめんなさい……!」
 そう、謝ることすらできなかった。
 それが彼女の、強い後悔……。
「――!」
 不意に、手のひらに痛みが走って咲優は顔を上げた。
 いつの間にか、強く強く懐刀を握りこんでいた。
「咲優ちゃんは……咲優ちゃんは!」
 顔を上げる。泣きそうになりながら。それでも……前に進まないと。
「絶対、ダイジョウブ! おにいちゃ……あいにいくから!」
 だから! 泣きながら彼女は膝に力を入れて立ち向かう。
 どうかどうか、前に進めますようにと自分を奮わせながら……。

成功 🔵​🔵​🔴​

レイブル・クライツァ
鈴の音は好きな方なのだけれども
沢山だと騒がし過ぎて苦手だわ。
釣りの仕方はそこまで詳しい訳では無いけれども、魚は調理の仕方でかなり味の差を感じるものよ?
……片付いてからも、色々とするべく頑張らないと、ね?

未だに、感情豊かと言い切れないけれど
あの時程、笑って励ましてあげられたら良かったのにと、想う事は無いわ。
創ってくれたあの人は、沢山を失って磨り減って、それでも私を大切にしてくれたのに
あの時の涙に対して、何をすれば良いのか判らなかったのよ。
戻れたらどんなに良いのにと、無知は無力なのだと知っているからこそ
今こうして刃を振るえる訳なのもまた、選んだ結果だわ。
此処で立ち止まってる訳にはいかないの。退いて



 レイブル・クライツァ(白と黒の螺旋・f04529)はただ淡々と鈴を持つ魔物を視界に入れた。
「鈴の音は好きな方なのだけれども、沢山だと騒がし過ぎて苦手だわ」
 感情豊かとは言い切れない。どこか歌うように抑揚なく彼女は言う。ちなみに、
『釣りの仕方はそこまで詳しい訳では無いけれども、魚は調理の仕方でかなり味の差を感じるものよ?』
 と先ほど言った時もやっぱりあんまり表情筋は働いていなかった。言った相手もほとんど変わらぬ顔で、『信じられない。魚なんて焼き加減で差がつくくらいだろう?』といっていたのだが。
 其のときも、もうちょっと自分がにこやかに笑って言っていたらもうちょっとおいしそうに感じたのかもしれないとレイブルは思ったのだ。

 それを……今。鈴の音を聞いて。あのときのことを思い出して、レイブルはついでのように思い出した。
 彼女が見る幻には、彼女を作ってくれた人がいた。
「そうね……。あんなに大切にしてくれたのに」
 創ってくれたあの人は、沢山を失って磨り減って、それでも私を大切にしてくれたのに。私に笑いかけてくれたのに。
 だというのに、レイブルは何にも返せなかった。
 今でも、あの時程、笑って励ましてあげられたら良かったのにと、想う事は無い。
「……ばかよね。あの時の涙に対して、何をすれば良いのか判らなかったのよ。本当に、人間ならば簡単に出来ることだったのに」
 戻れたらどんなに良いのにと、無知は無力なのだとレイブルはもう知っている。……知ることが出来た。
 今では、表情豊かとまではいかないけれど、笑みの形を作ることぐらいは彼女にも出来る。
 レイブルは自分の腕をそっと抱く。
 ああ。それが本当に、彼女にとっての後悔だ。
 そして……それを後悔だと思える心があることが、彼女にとっては少し、うれしい。
「今こうして刃を振るえる訳なのもまた、選んだ結果だわ。此処で立ち止まってる訳にはいかないの。退いて」
 衝撃波を放つなぎなたを振るい、レイブルは化け物たちを切り裂く。
 戦うことを選んで。その先へと踏み出すために……。

成功 🔵​🔵​🔴​

叶・景雪
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用。カタカナはNG。
「wizで判定」

ようへいと侍はぜんぜんちがうものだよ!?……って、こほん。その話をすると長くなりそうだから、いったんおいておくよ。
あいらしい姿だけど、数がいるとやっかいかな。とはいえ、たくさんいてもいなくても、どちらにせよ 、のうのうと野放しにはできないし、とめるよ!

こうかい……?そんなもの、一つしかないよ。今でもおぼえてる。流れつづける彼の姫の血を止めることができなかった。あの血のなまあたたかさを。なげきを。ぼくはぜったいに忘れない。忘れられるはずがないよ……だから、今流れる血は、ぼくがぜったいにいやしてみせるよ!



 叶・景雪(氷刃の・f03754)はパタパタと走っていた。
 一見すると可愛らしい少年が、
「あいらしい姿だけど、数がいるとやっかいかな。とはいえ、たくさんいてもいなくても、どちらにせよ 、のうのうと野放しにはできないし、とめるよ!」
 なんて、たどたどしく言いながら走り回っている。なお、「ようへいと侍はぜんぜんちがうものだよ!?」って主張は、首をかしげて、そうなんだ? って返された。その話をすると長くなりそうだから、いったんおいておくよ、とは景雪の弁である。
 鈴の音が聞える。あちこちで苦しんでいる仲間の声がする。
 そこまで傷は深くない。どちらかと言うと心の傷が深いのだろう。景雪はぎゅっと胸の前で己の手を握り締める。
 そんな景雪の前にも鈴がなって顔を上げる。見えるのは……、
「こうかい……? そんなもの、一つしかないよ」
 それは、予想通りの光景だった。
 今でもおぼえてる。流れつづける彼の姫の血を止めることができなかった。
 景雪は短刀のヤドリガミで、刀は傷つけることはできても、癒すことはできなかった。
「あの血のなまあたたかさを。なげきを。ぼくはぜったいに忘れない。忘れられるはずがないよ……」
 景雪は声を上げる。あのときの悲しみを忘れない。苦しみを忘れない。傷つけることしか出来なかった、自分の無力さを忘れない。
「だから、今流れる血は、ぼくがぜったいにいやしてみせるよ!」
 だからこそ。……だからこそ!
 景雪は必死で走り続ける。歌を歌い仲間たちを補助する。
 きっとそうすればどこかで誰かを救うことが出来ると信じて。
 あの人は助けられなかったとしても……、
 どこかで苦しんでいる人を助けられると、信じて。
「まけない……まけないよ! ぜったいに……!」
 叫ぶ。
 鈴を持つ魔物が仲間たちの手によって次々と倒されていく。
 そんな彼らの傷を癒しながら、景雪は気づいていた。決戦が……近いと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ベール・ヌイ
「いやだ、みせるな・・・ボクは、縫じゃない…ベール・ヌイだ」
ボスの名前をきいて心当たりがあるためかなりやる気がでてます
ヌイの後悔の内容は「鬼に助けられたこと」
首のないおじいさん 穴の空いたおばあさん
嗤う鬼 死んだ目のヌイ
いとも簡単にヌイが閉じ込められていた檻(家)を壊した鬼
「さぁお前は自由だ」なんて言われても何もできなかった
あの時、立ち向かっていれば、なにか変わっていたのだろうか

後悔のはてに幻ごと燃やそうと終焉ノ炎を使います
こんな過去(後悔)はいらない、ボクはベールだ
復讐のために鬼を殺す桃姫だ



「いやだ、みせるな……ボクは、縫じゃない……ベール・ヌイだ」
 音がする。……音がする。
 耳の奥をがりがりと引っかくような音がする。
 不快な不快な鈴の音がする。
 金切り声のようなさびた鉄のような音がする。
 ああ……。違うんだこの音は。鈴の音じゃ決して無くて。
 おばあさんのからだに大きな穴が開く音で。
 おじいさんの首がなくなった音で。
 そしてあの鬼が……鬼が笑う……!
「違う!!」
 目の前で幻の鬼が笑っている。こっちに向かって手を差し伸べている。
 ベールはその手を取ることは出来ない。
『さぁお前は自由だ』
「あ。ああああああ……!」
 自由って何だ。
 自由って何だ!
 あの時は死んだ目でそれを見つめることしか出来なかった。
 立ち向かうことすら出来なかった。
 戦えてたら変わっていたのだろうか。
 立ち向かっていれば、何か変わっただろうか……。
 いや……。
 ベールの周囲に炎が取り巻く。ベールが鬼の幻を見る目に憎しみの色が乗る。
「こんな過去(後悔)はいらない、ボクはベールだ。復讐のために鬼を殺す桃姫だ。……だから」
 燃やしてやろう。幻も。後悔も。全て。
「……定義完了、今よりここは箱庭世界。黙示録の業火をここに。世界の終焉は今訪れる」
 終焉ノ炎は全てを燃やし尽くす地獄の炎だ。これよりここは地獄になる。
 目の前の敵を燃やし尽くすまで、きっと炎は止まらないだろう。
「……待っていろ」
 ぽつ、とベールは呟いた。
 後悔は、立ち上がれなかったことじゃない。
 戦えなかったことじゃない。
 ただ……助けられたことなのだと。
 炎の中で、そっとベールは目を閉じた。

 ……声が、聞えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『幸せを喰らうモノ』

POW   :    破断掌
【掌底】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    鬼神一閃
【斬馬刀】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    魂食呪体
対象の攻撃を軽減する【喰らってきたモノの怨念を身に纏った状態】に変身しつつ、【呪詛が込められた斬馬刀】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はベール・ヌイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 鈴が音を立てて砕けていく。割れていく。
 そうしてその音がやんだとき……しん、と、一瞬。周囲は静けさに包まれた。
 そして……。それが姿を現した。
「やれ、騒がしいと思ったら」
 どこから来たのか。それとも最初からそこにいたのか。
 巨大な刀を手にした鬼が。『幸せを喰らうモノ』が姿を現した。
「ずいぶんと良い顔してる奴らばっかりだ」
 禍々しいその姿は、全身が既に呪いで包まれている。
 刀には嘆きが染み付いたように、怨念がもはや目に見える形でたゆたっていた。
「どいつもこいつも幸せそうで食いでがある。しけた面もなくはないか。良いだろう。不幸なやつは見逃してやる」
 それはいつものように可笑しげに笑って武器を構える。
 ……幸せを喰らうモノ。幸福な人を殺すものといわれている。
 時には幸福でない人は見逃し、幸福になってから殺しに来るとも伝えられていた。
「さあ来い。食事の時間だ。お前らの幸福……俺によこすがいい!」
 その言葉はどこか愉しげに。言い伝えが真であったことを誰もが知る。
 巨大な呪いを纏うた刀を、鬼は高々と掲げた。
カノ・エクセクオール
あら、しけた顔だなんて失礼ね
否定はしないけれど…ふふ
見ての通りわたくしは美味しくないでしょうけど
わたくしは、アナタに会いに来たの…もう少し構って頂けません?

◆戦闘
隙の無い構え…不用意に懐に入るのは危険
眼差しで、紫炎で、鋼糸で、標的を探り陽動する
全て中らなくても良い。隙を作れたらそれで
他にもやる気ある方は沢山いるでしょうし?協力していきましょう

あらあら。趣味のイイ風貌…リリーが喜んでるわ
食べたいの?…良いけれど、お腹壊してもしらないから

紫炎で作った残像で目眩まし、見切りで回避しつつ
味方と連携が取れれば、追撃駆けてナイフで傷口を攻める

此処には差し上げられる物は何もないわ
さあ、アナタもおかえりなさい


イア・エエングラ
やあ、随分と、醜悪なほど肥えたこと
食べ過ぎてはお腹を壊すよ
いつか喰われて、しまうよう

揺れる水際に息継いで
まだ寝ないでねと、リザレクト・オブリビオンでお呼びたて
騎士様も剣はお持ちだものな
地を這う呪いの、子もあるものな
僕は少し下がっておくよ
喰われてしまっても困るもの、なんて

そんなおそろしい話は、迷信にしておきましょう
お前のくった呪いでその足は重いのな
冷たい炎が焼くだろな
僕の吐くのはそんな呪詛、
しあわせでない方が良いなんて、そんなこともないものな



「あら、しけた顔だなんて失礼ね。否定はしないけれど……ふふ」
 カノはあくまで優雅に。まるでとのがたをお茶会に誘うような眼差しで、
「見ての通りわたくしは美味しくないでしょうけど、わたくしは、アナタに会いに来たの……もう少し構って頂けません?」
 鋼糸を操った。懐に入ると危険と言うのは、見ているだけですぐにわかった。
 焦らすように視界を惑わす淡紫蝶が火舞する。小細工を、と肉薄しようとする鬼に、
「やあ、随分と、醜悪なほど肥えたこと。食べ過ぎてはお腹を壊すよ。……いつか喰われて、しまうよう」
 イアが死霊騎士を召喚して立ち塞がった。
「そんなおそろしい話は、迷信にしておきましょう。……まだ寝ないでね。よろしくね。騎士様も剣はお持ちだものな。地を這う呪いの、子もあるものな」
 歌うように言って、イアは後退する。カノは微笑んで、
「あらあら。そうね。食われてしまう。……そうね趣味のイイ風貌……リリーが喜んでるわ」
 言ったのは、与えられた血を糧に美しく色づく、ブラッディリリーという名のナイフのことであった。カノはナイフに視線を落として、
「食べたいの? ……良いけれど、お腹壊してもしらないから」
「鬼が女の人を食べるのかしら。それはそれで素敵でいい物語になるものな。喰われてしまっても困るもの、下がらせていただくよ」
「まあ、お上手。女の人と申しましても、ずいぶんゆらゆらしているわたくしですが」
 そういいながらも再びカノは前に出て、ナイフを繰り出す。死霊騎士と死霊蛇竜たちの攻撃にあわせて、傷口をさらに追撃をかけていく。
 鬼の刀が振られる。死霊騎士もカノのことも、まとめて切り払おうとする。
「……あら、お上手」
 それをギリギリカノは紙一重でよけた。紫炎で作った残像が霧散する。
 死霊騎士たちにも当たるが、まだ戦えそうなその気配にイアは構わず追撃をかける。すぐさまカノも取って返して、その傷口を広げるように刃を何度もつきたてた。
「お前のくった呪いでその足は重いのな。冷たい炎が焼くだろな」
 イアが吐くのはそんな呪詛。それにカノも頷いた。
「しあわせでない方が良いなんて、そんなこともないものな」
「此処には差し上げられる物は何もないわ。さあ、アナタもおかえりなさい」
 攻撃はやむことなく。鬼の体を傷つけ続けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

飾磨・霜琳
趣味の悪ィ鬼だなァ。
大体、騒がしくしてたのはてめぇの手下の鈴どもだろうがよ。

あどりぶ、絡みも歓迎だ
【援護射撃】と併用で【留刺簪】
他の猟兵の攻撃が通りやすくなるようにしつこく仕掛けて動きを止めるぜ。
職人気質の根気と粘り、甘く見てもらっちゃ困る。
こっちに攻撃が来るようなら【武器受け】や【逃げ足】で躱していこう

……人の身を得て、人に恵まれて、あァ俺は幸せだとも。
だがなァ、癪に障るったらねぇ。まだ痛ぇ傷ほじくり返されて、今俺はすこぶる腹が煮えてんだ。
大体、手前様に食わしていい幸福なんぞひとっかけらも持ち合わせちゃいねぇぞ!


壥・灰色
見逃してやる?
バカ言え。
おれが、おまえを、見逃さないんだ。

壊鍵、起動
その顔面を、少しはマシに見えるように整形してやる

刀と掌底に注意しつつ、軽くステップを踏み
アウトボクサーめいて素早く距離を詰める
「衝撃」を両腕に集約
完全に、攻撃力を重視した姿勢

お前が身を怨念で固めるなら、おれはそれを凌駕する拳の瀑布で打倒する
お前が喰らってきたいのちの重さがどれほどか、おれは知らないが
今、おれは大層腹が立ってるんだ
覚悟しろ

肘で「衝撃」を炸裂
反作用で加速する拳で鬼をぶん殴り、そこでまた「衝撃」を炸裂
右腕済めば左腕で同じ事を。左腕済む頃には右腕の準備が済む
拳は一発二発ではない
――それはまさに、死ぬまで止まぬ拳打の嵐



刃が閃いた。右から構え、まっすぐ真横に繰り出された斬撃を、灰色は紙一重、ステップを踏むように軽く避ける。
「……っ」
 その風圧だけで髪の先が焦げるのがわかる。呪詛の名残がその髪を捕まえるように手を伸ばしているような気がした。
「見逃してやる? バカ言え。おれが、おまえを、見逃さないんだ」
 そう、灰色は嘯いてそのまま流れるように体を動かし相手の懐へと突っ込む。
「壊鍵、起動。その顔面を、少しはマシに見えるように整形してやる」
 そして拳を叩き込んだ。止まることなき連打に、
「……ぬう!」
 鬼は声を上げる。聞いたかと確認する手間すら惜しんで灰色は走らせる拳を緩めずにいたが……、
「……!」
 鬼も即座に刃を旋回させる。体を引いてそのまままっすぐ灰色の首を刎ねようとした。
「……あァ」
 しかしそれは叶わない。霜琳の放った鉄の簪が、鬼の重々しい刀に当たる。本来ならば縫いとめる技であるが、カキン、と音を立ててはじかれた。
「それでもさァ。足止めくらいにはなるだろうよ」
「ああ。助かった」
 はじく一瞬の隙で刀の軌道が殺がれる。その隙に灰色は一歩踏み込む。撤退することははなから頭にない様子に、霜琳もまた再び鉄簪を用意した。
「それにしても趣味の悪ィ鬼だなァ。大体、騒がしくしてたのはてめぇの手下の鈴どもだろうがよ」
 状況を見極めて。特に危なさそうなときには簪を投げて霜琳は支援に徹する。変わる灰色は全力で前へ前へと拳を叩きつける。
 しかし鬼もさすがに手ごわい相手であった。灰色の拳を受けてもなお平然と。そして返すように灰色へと思い一撃を腹に叩きつける。
「大丈夫かい」
「……ああ!」
 それでも灰色は止まらない。
「お前が喰らってきたいのちの重さがどれほどか、おれは知らないが、今、おれは大層腹が立ってるんだ。……覚悟しろ!」
 絶対に手は止めないと。叩きつける拳は決意がこめられていて。霜琳は目を細める。
「……人の身を得て、人に恵まれて、あァ俺は幸せだとも」
 その、熱さに感化されたのか。霜琳もくるりと空中で鉄簪を旋回させ、
「だがなァ、癪に障るったらねぇ。まだ痛ぇ傷ほじくり返されて、今俺はすこぶる腹が煮えてんだ。大体、手前様に食わしていい幸福なんぞひとっかけらも持ち合わせちゃいねぇぞ!」
 投げる。灰色へと一撃を叩きつけようとするその隙を。そのこぶしを防御しようとする手の動きを。あわせて攻撃を続ける。
「さァさ、みんな頭にきてるんだ。ちょいとおとなしくしてもらおうかィ!」
「そういうことだ! お前が身を怨念で固めるなら、おれはそれを凌駕する拳の瀑布で打倒する。何度阻もうと、どちらかが死ぬまで殴り続ける!」
 打撃を与えながら灰色は吼える。お前だけは絶対に。絶対に許さないと!
 幾重にも呪いの守りを持つ鬼も、それにはたまらず一歩後退する。けれども負けてはいない。鬼は的確にその攻撃を捌きながらも、
「は……。ならばやってみろ! 鈴の音如きに惑わされる弱き人どもが、どれだけやれるか見せるがいい!」
 即座に重い拳での一撃を、灰色の腹に叩き込んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓櫻宵(f02768)と
アドリブ等歓迎

おっきい鬼だよ櫻宵!
だーめ!ボクの幸せだってあげない
キミには別の、死合わせをあげようか
櫻宵、キミの美しい剣舞をみせてほしいな
暴虐ごと呪いを吹き飛ばす、さ
鼓舞を飛ばしてボクは後衛へ

マヒ攻撃を乗せた聖属性の全力魔法で攻撃
櫻宵が戦いやすいよう支援するよ!
バンバン攻撃しちゃうんだからー!
敵の攻撃は勘で察知して空中戦や見切りで躱しオーラで防御する
「黄金色の昼下がり」で敵の動きをとめちゃうよ!
櫻宵、いまだ!

ボクは櫻宵と一緒だと沢山幸せ
優しいしいい香りするし
ショコラは美味しいし

だから
絶望を希望に塗り替えて
幸せを描き出そう

さぁ
キミの暴虐(クビ)を塗り替え(はね)たげる!


誘名・櫻宵
🌸フレズローゼ(f01174)と
アドリブ等歓迎

これは斬りがいのある鬼だ事
呪に塗れて醜いったらないわ
フレズ
危ないから下がっててね?
勿論、あなたの力も頼りにしてるわ
フレズの鼓舞に微笑んで
彼女を庇うよう前へ

鬼さんこちら
手の鳴る方へ

さ、踊りましょ?
破魔を刀に宿らせて広範囲攻撃に衝撃波をのせて斬り裂いて
勘と残像で回避、隙をつき2回攻撃
何度だって傷を抉り踊るようにフェイント

敵の間合いに気をつけて
フレズが動きをとめてくれたなら
懐に踏み込んだならば『絶華』で斬り捨てる
ねぇほらシアワセでしょ
美しくお散りなさい

あたしの幸せはあなたのものじゃない
あたしのものよ
フレズや、皆がくれた宝物
あなたにあげるわけないじゃない



「わー、わー、おっきい鬼だよ櫻宵!」
 手を目の上辺りで翳してフレズローゼ・クォレクロニカ(夜明けの国のクォレジーナ・f01174)は鬼の姿を仰ぎ見る。
「ええ。これは斬りがいのある鬼だ事。呪に塗れて醜いったらないわ」
 どちらかというと呆れた声で、誘名・櫻宵(誘七屠桜・f02768)はそう嘯いた。うんうん、とフレズローゼは頷く。
「幸せがほしいんだね! でも、だーめ! ボクの幸せだってあげない。キミには別の、死合わせをあげようか!」
 言うと、フレズローゼは虹薔薇の絵筆を手にした。
「暴虐ごと呪いを吹き飛ばす、さ、絶望なんてを希望に塗り替えて、幸せを描き出しちゃうよー!」
「ええ。ええ。フレズ。危ないから下がっててね? ……勿論、あなたの力も頼りにしてるわ」
 ふふ、って笑いながら。フレズローゼの鼓舞に櫻宵が庇うように前に出ると、
「うん。櫻宵、キミの美しい剣舞をみせてほしいな」
 フレズローゼも笑って頷く。それで、
「さあ、バンバン攻撃しちゃうんだからー!」
「何だ? こっちにもいるのか!」
 麻痺を乗せて、フレズローゼ浜は魔法を飛ばす。それに気づいて鬼も振り返った。
「小癪な……」
「あら。それはごめんなさいね? 鬼さんこちら手の鳴る方へ。……さ、踊りましょ?」
 櫻宵も鬼の刀をかいくぐるようにして紅い紅い血桜の刀身を操る。しなる枝のような美しい動きでその刃を避けながら、衝撃波を載せて、隙を突いて、時にフェイントを織り交ぜて攻撃を叩き込んでいく。
「何度だってやっちゃうわよ……覚悟なさい!」
「さて。そのような細い刃で、わが身を切れるか否か!」
 刃には刃で答える。一撃でも当たると危うい鬼の攻撃を、櫻宵は紙一重で避け続ける。それに、
「黄金色の午后のこと。時間はどこかへ行っちゃった! 女王陛下の気まぐれで 終わらないお茶会をはじめよう……逃がしはしないよ! 櫻宵、いまだ!」
 フレズローゼが声を上げた。永遠のお茶会を描いたキャンバスから、きらきら光る蝙蝠と紅茶と砂糖の乱舞の嵐を開放する。それは対象の時間を奪い去る魔法であった。
 一瞬、鬼はその動きを止める。……そこに、
「ありがとう、フレズ! さぁ、桜のように潔く……散りなさい!」
 櫻宵が踏み込んだ。空間ごと断ち斬る不可視の剣戟は大威力でもって鬼のその腹を抉ろうとする。。
「なるほど……。なかなかにいい技を出すではないか!」
「っ」
 確かに攻撃が入った。そう思った瞬間鬼はおかしくてたまらないというような表情を浮かべて、
「ならば!」
 と、巨大な刀を一閃させた。それは櫻宵ではない。フレズローゼのほうで、
「危ない!」
 櫻宵も走る。刃はぎりぎり間に合って櫻宵の腹を抉った。
「仲のよいことだ。順番に切り裂いて、その幸せが絶望に変わるところを見てやろう!」
 血まみれの櫻宵に鬼が笑う。庇われ、抱きしめられた体勢のまま、フレズローゼは小さく囁いた。
「……ボクは櫻宵と一緒だと沢山幸せ。優しいしいい香りするし。ショコラは美味しいし。絶対にあげられない」
「ええ……そうね。あたしの幸せはあなたのものじゃない。あたしのものよ。フレズや、皆がくれた宝物。あなたにあげるわけないじゃない」
「じゃあ……」
「ええ。そうね……」
「さぁ。キミの暴虐(クビ)を塗り替え(はね)たげる!」
「ええ。せめて散るときは美しくお散りなさい……!」
 諦めたりなんてしない。
 傷を負いながらも二人は再び敵に向き直った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

叶・景雪
アドリブ歓迎。難しい漢字は平仮名使用、カタカナNG。
「SPDで判定」

人にかなしみを与える化生の次は、幸せをくらうものとは。本当に、悪食にもほどがある。その上、けがれた気配をまとった刀を振るうとは。きみは、まがまがしい化生に振るわれ続け、けがれてしまったの…?

錬成カミヤドリを使用し、ぼく本体のふくせいを生じさせると、幸せをくらうものの太刀をもつ手元を狙いこうげきするよ!それが外れたりむずかしそうなら、てきが動きそうな方向をよそくして、足をふくすうの刀でねらいこうげきし、足をとめさせられないか試すよ!まがまがしい刀にいっしゅんしせんを向けると
「ぼくはぼくのやり方で、きみをとめてみせるよっ!」



「人にかなしみを与える化生の次は、幸せをくらうものとは。本当に、悪食にもほどがある。その上、けがれた気配をまとった刀を振るうとは。きみは、まがまがしい化生に振るわれ続け、けがれてしまったの……?」
 景雪は切なげに鬼の姿を見上げた。そして己の本体の複製を召喚する。
 景雪は懐刀である。故にその刀を握り締めて、
「その刀だってほんとうは、そんなふうに生きたかったわけではないだろうに」
 投げた。目指したのはそのたちを持つ手であった。
「……おう」
 つ、と、鬼が視線を向ける。景雪はぐっと刀を持つ手に力をこめる。
「……それ、でも!」
 景雪はめげなかった。たちが振るわれる。それをギリギリのところでよけようとする。衝撃が流れて足が刃をかする。痛みに歯を食いしばりながらも、景雪は懐刀を今度は敵の足元に投げつけた。
「小さいものが……何をする!」
「! ち、ちいさく、ても!」
 鬼の声がする。太刀の風圧だけでも転びそうになる。それでも景雪は負けじとその刀を投げつけた。
「ぼくはぼくのやり方で、きみをとめてみせるよっ!」
 視線を向けるのはその怨念に血に染まった太刀だ。それに向けて景雪は叫んだ。少しでも動きを鈍らせるように。
 その苦しみが終わりますようにと願いをこめた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレム・クラウベル
そちらこそ、とクロエ(f02406)を見遣り
……随分しおらしい事で。調子が狂うな
振り回されなくて済むのは助かるが

幸せ、ね
さあな。此方が訊きたいくらいだ
……確かな事があるなら
それは生きねば幸せも何もないという事だ
生きていなければ、幸も不幸も分かりやしないのだから

故に、それを害すものを放っておく理由など無い
不幸でよければいくらでも喰わせてやろう
腹が弾けるまで食せば良い

援護貰えるなら背は任せる
中々の力自慢と見るが、それも当たらなければ驚異にならない
斬馬刀の軌道を確と見極め踏み込み、急所への銃撃を狙う
その胃に大穴でも空けてやろうか
散々喰らった分、満たされぬ飢えに苦しめば良い


クロエ・アルページュ
ふらり、影を見上げれば見慣れたクレム(f03413)の姿

あぁ、貴方も来てましたのね
少しだけ憔悴した顔色にその後悔をしらぬわたくしは
言葉もなくただ微笑みを向け、凭れ掛かる

休ませてもくれませんのね、ほんとう野暮な方
幸せ、とは何でしょう
そう、生きて……生きているだけでそれだけで祝福されしことなのに
不思議ね、不幸せを感じなきゃきっと幸せであることにも気づかない
だから、アレは幸せを求めますのかしら
…鬼に幸せを判断されるのは些か不愉快ですわね

いつも通り、参りましょう
援護を、何度でも貴方を癒やし、護ってみせますわ
クレムが急所を狙う攻撃に連携し、傷口をえぐりましょう

ねぇわたくしに貴方の幸せを教えてくださいませ



 クロエは何も言わなかった。
 クレムも何も言わなかった。
 いつもならば、背は任せるとクレムが言って、
 いつもならば、それにクロエがまだ嬉しそうにおかしなことを言い返したのであろうけれど。
 そうしてまっすぐに敵の懐に突っ込んでいったのだけれど。
 今はただ、戦場より少しはなれた場所で二人は思わず立ち止まっていた。
 そうしてどれくらいの時間がたっただろうか。
「……随分しおらしい事で。調子が狂うな。振り回されなくて済むのは助かるが」
 ぽつ。と、沈黙を割ったのはクレムのほうだった。
 いつもなら、あぁ、貴方も来てましたのね。そんなにわたくしのことがお好きかしら。なんて生意気な返答が来ると思ったら来なくて、クロエはクレムにもたれかかった。
 クロエは微笑む。その微笑に、クレムは軽く拳を固めてこつん、とクロエの額を叩いた。
「あら、ひどいわ」
「は。なにいってんだか」
 そしてまた、沈黙。しばらくしてから、
「……休ませてもくれませんのね、ほんとう野暮な方」
「まだ俺に、そんなものを期待してたのか?」
「ええ。そういわれてしまうといささか…………」
「……」
「幸せ、とは何でしょう」
「幸せ、ね。さあな。此方が訊きたいくらいだ」
 クロエの問いかけにクレムはそっけなかった。ただ、と彼は続けた。
「……確かな事があるなら、それは生きねば幸せも何もないという事だ。生きていなければ、幸も不幸も分かりやしないのだから」
 クレムはそう結論付けた。あなたらしい、とクロエは笑った。
「そう、生きて……生きているだけでそれだけで祝福されしことなのに……。不思議ね、不幸せを感じなきゃきっと幸せであることにも気づかない……」
 ほう、と息を吐く。一度目を閉じてまぶたの裏の感触を整える。……そして、
「だから、アレは幸せを求めますのかしら……鬼に幸せを判断されるのは些か不愉快ですわね」
「ああ。故に、それを害すものを放っておく理由など無い。不幸でよければいくらでも喰わせてやろう。腹が弾けるまで食せば良い」
 いこうか。と二人は顔をあげる。遠くでは戦闘の音がしている。
「……ここにいる皆さんも、様々な後悔を見て、それでも立っていらっしゃるのでしょうね」
「そうだな。全員が全員というわけではないだろうが……」
「ほんと。この世界ってそんなのばかりね」
「……嫌気がさしたか」
「さあ、あなたはどうですか?」
「俺のことは知らん。だが嫌気がさしたお前など見たくない」
「まあ」
 それで、二人の会話はいつもどおりに。クロエが笑って、クレムは相変わらず表情筋固く頷いた。
「援護を致しましょう、何度でも貴方を癒やし、護ってみせますわ」
「ああ。援護貰えるなら背は任せる」
 そうして二人は歩き出した。
 クレムが精霊銃を叩き込み、クロエはその傷を癒していく。
 様々な猟兵たちと戦い続けてなお、鬼が返す刃の勢いは鋭く衰えを見せない。
「ねぇわたくしに貴方の幸せを教えてくださいませ」
「散々喰らった分、満たされぬ飢えに苦しめば良い」
 クロエは歌うように呟き、クレムはその医に穴をあけようかと銃撃を叩き込む。
 クレムはクロエに鬼の目が行かぬよう気遣いながら立ち回り攻撃を続け、クロエはそんなクレムの背中を援護し続けていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイブル・クライツァ
作る事が出来ないから、壊す事を軽く考える典型的な例よね。
何を偉そうに……暴食はそこまでよ?喰らうのは私達側だわ。

私の見た目的に、幸福そうに見えないだろうから
眼中にないのを利用して、攻撃手のサポートに相殺を引き受けようかしら。
獲物が違っていても、似たような芸当は得意なのよ?
第六感と見切り、聞き耳で癖等の傾向を把握。
大体を覚えてかつ、猟兵側の攻撃が途切れるタイミングで鬼との距離を詰め、ミレナリオ・リフレクションで淡々と相殺処理を。
反応すると調子に乗るなら、わざとらしい位に大袈裟な反応でもしましょうか。
普段なら激痛耐性も有るから、あまり自分の身がボロってなってもスルーしているのだけれども必要なら、ね


蛇神・咲優
悔しく情けない気持ちになるが、見逃されたのなら、それを利用するまで
確かにまだ強くないけれど甘く見られてるだけじゃないよ
【忍び足】で気づかれないように死角となる懐近辺まで近づこう
隙を突くように愛刀を握り、そのままUC【蛇断氷華】

『もう泣いてるだけのさゆじゃないっ!―――行くよ、篤光っ!!!』

『ねえ、不幸でも立ち止まってるわけじゃないんだよ。歩ける足があるかぎり、幸せになるために…くじけても何度だって立ち上がって幸せに向かうの。だから、だから…さゆは―――アナタに幸せをあげないっ!』

出来るならそのまま【2回攻撃】の体制に入る
危険なようなら後方へと戻るね

※アドリブ・台詞改変・連携歓迎



 咲優は戦場を走る。鬼の巨体の影に隠れるように、後ろ側に回り込む。
 ちらりと鬼は咲優のほうに視線をやるも、別の猟兵たちとの戦いに集中しているようであった。
 それに気がついて、咲優は軽く唇を噛む。
(悔しく情けないけれど……だったらそれを、利用するんだ……!)
 咲優の見た目では仕方がないことかもしれない。しかし、
(さゆだって……!)
 自分のことはわかっている。故にあえてそれを利用したのだ。忍び足で気づかれないように死角付近までもぐりこむ。そして、
「もう泣いてるだけのさゆじゃないっ!―――行くよ、篤光っ!!!」
 愛刀を握り締め、まっすぐそのわき腹に刃をつきたてた。
「!?」
 鬼がふりかえる。無骨で重々しい刀がこちらを向く。
「後でゆっくり甚振ろうと見逃していれば、調子に乗って……!」
 ぬう、と刀が一戦される。咲優は思わず防御の姿勢をとった。
「……作る事が出来ないから、壊す事を軽く考える典型的な例よね。何を偉そうに……暴食はそこまでよ?」
 そこに。
「喰らうのは私達側だわ」
 レイブルが一気に距離をつめた。先ほどからタイミングを計っていた。漆黒のヴェールがゆれる。先端に白刃のついた、黒を中心とした薙刀が翻る。鬼が刀を動かすと同時に放たれたレイブルの一撃は、まったく鬼と同じ動きをしていた。うっすらと描かれた文様にも染み込むように呪詛が乗る。
 即効で叩きつけられたレイブルの刃に鬼の手が鈍る。
「あ、ありが……、……!」
「――!」
 咲優が言いかけて。思わず身をすくませた。確かに技は返した。しかし即座にとって返して、鬼の刃はレイブルの体を引き裂いた。
「……」
「……」
 互いに間合いを計る。参ったわね。隙がない。と、レイブルはまったく参ってもない表情で冷静に考えた。事実激痛体勢もあるから気には留めていないのだけれど、
「もう少し調子に乗ってくれても構わないのよ。……それともそんなに私は幸福そうに見えないのでしょうか」
 最後の言葉は鬼には聞えないように言って肩をすくめた。鬼は既に次の攻撃準備に入っている。レイブルもよくそれを見る。
「あ、あの……!」
「大丈夫よ。サポートするわ。……言いたいことがあるなら言ってやったら」
 傷は深い。左の肩を深く抉った攻撃で、レイブルの姿は見るにも無残になっていた。だというのに言う彼女に、咲優は……、
「う、うん。わかったよ。あ、ありがとう……!」
 めげない! 負けない! 泣いちゃダメ! 今、求められているのはそういうことだ!
 震える声を飲み込んで、咲優は駆けた。
「何を……」
「そこよ!」
 振り返りかけた鬼を容赦なくレイブルが釘付けにする。咲優は大きく息を吸い込んで、
「ねえ、不幸でも立ち止まってるわけじゃないんだよ。歩ける足があるかぎり、幸せになるために……くじけても何度だって立ち上がって幸せに向かうの」
 蛇切篤光をつきたてた。
「だから、だから……さゆは―――アナタに幸せをあげないっ!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

御剣・刀也
幸福を寄こせ?
生憎俺の幸福はまだ探してる最中でな。とはいえ、てめぇなんぞにくれてやるものはねぇ
てめぇに死っていう幸福をくれてやるよ

破断掌をくらわないように、敵の拳の間合いには入らない
万が一入ってしまって攻撃されたら、刀の柄で防御する
斬馬刀での一閃は、此方より威力はあるかもしれないが、一度振り回すと中々斬り返せないないのでその時飛び込んで攻撃する
魂食呪体を使われて、斬馬刀に呪いを憑依されても、恐れることなく飛び込んで斬り結ぶ。
「戦場では俺は死人だ。死人は死を恐れねぇ。さぁ、勝負と行こうぜ。最後に立ってるのが俺達か、お前かのな!」


鵜飼・章
不幸なつもりはないけど
幸せそうと言われた事もないな
僕はどちらの分類?
食べてもいいけどお腹をこわさないでね
きっと毒だから

鬼が村へ行かないよう道を塞ぎ
UC【現在完了】で仲間の支援を中心に動く
まず刀を封じよう
拷問具の針を【2回攻撃/投擲/早業】で素早く投げると同時に
密かに蜂を放ち【スナイパー】で刺す
毒が足りないなら何匹でもいこう
蠍と蜘蛛はその後ゆっくりと

針は目くらまし
外れてもいいけど目や喉等の急所を狙っておく

幸も不幸も決めるのはヒトの心ひとつ
目に映る世界はいつも無色透明で平坦だ
それこそ不幸だと言う人もいるけど
意外とそうでもないんだよ
僕は幸せなヒトを眺めているのが好きなんだ
だからきみとは此処でさよなら


垂没童子・此白
幸せって…人から奪って、自分のものにできるようなものではないと…私は、そう思うんです
こんな事は、止めてください…!

引き続き…皆さんの支援を
懐から紐小刀を取り出して…傷を負った方々に、光をお配りして回ります

…大丈夫です。すぐに、良くなりますからね…!
声かけは、努めて穏やかに
…私よりも、皆さんの方がずっと大変な筈です
疲れても、心休めて頂くための笑顔は絶やさないよう…

愈々、体が辛くなってきたら…最後に。
危ない状況を見かけたら、勇気を振り絞り…身を挺して盾になります
此の身は、その為にある
そうですよね?サトーさん…

鬼さん…貴方も、苦しんでいるのではないですか?
お願いです…こんな事は、もうやめてください…



「幸福を寄こせ? 生憎俺の幸福はまだ探してる最中でな。とはいえ、てめぇなんぞにくれてやるものはねぇ」
 刀也は言うなり地を蹴った。破断掌の一撃を食らわないように間合いを計り、鬼が斬馬刀を掲げた瞬間その懐に飛び込んだ。
「てめぇに死っていう幸福をくれてやるよ」
 斬馬刀が唸る。刀也の胴体を真っ二つにしようとした一撃は、ギリギリ腹を裂いただけにとどまった。
「――っ!」
 いや、ギリギリなんてものではない。鮮血に顔をしかめるがしかし刀也は気にも留めなかった。
「ああ……戦場を真紅に染めてやろう!」
 刀也もまた不屈の獅子の様に煌く日本刀を振り上げて、鬼の足あたりを切り裂いた。
「は……わざわざ死にに来たか!」
 血を流しながら鬼が笑う。いかにも可笑しげに。……そこに、
「馬鹿なのかな? 死にになんて、来るわけないよ」
 章の針が放たれた。狙い済ましたかのような素早い一撃は目を狙ってのものであった。鬼は空いた手でそれを払う。その隙に刀也は鬼の二撃目に備えて脱出した。
「不幸なつもりはないけど、幸せそうと言われた事もないな。僕はどちらの分類?」
 章は鬼が村のほうへと向かわないように気にかけながら、しかしそれを表情にはまったく出さずに嘯いて。それから肩をすくめた。もとより答えなんか期待していない口調で、
「食べてもいいけどお腹をこわさないでね。きっと毒だから」
 ふっと服の袖を振る。針を投げる動きにまぎれるように神経を麻痺させる蜂を放った。すぐには効果が薄いかもしれないが、徐々に、確実に神経を麻痺させていこうという考えである。
「……っ、大丈夫ですか!?」
 そこに此白も駆けつけた。駆けつけると同時に聖なる光を放ち、即座に傷を癒していく。
「ああ。大丈夫だ。だが助かる!」
 此白の言葉に再び距離を保ちながら刀也は答える。鬼が動いた。一気に肉薄し、その拳を刀也へと向ける。
「……っ、と!」
 それを事前に察知して、刀也が避けようと後退する。それを許すまいと鬼は踏み込む。だが、
「行かせないよ」
 その前に章の針が飛んだ。
「幸も不幸も決めるのはヒトの心ひとつ……。僕は幸せなヒトを眺めているのが好きなんだ」
 章は考える。章にとって目に映る世界はいつも無色透明で平坦だ。それこそ不幸だと言う人もいるけど、
 自分は、自分自身は、こんな人生も、案外悪くはないと思うから。
「だからきみとは此処でさよなら」
 降り注ぐ針の雨あられ。こんなに大きいいなら標本にもできないね、なんていいながらも章は続ける。此白は懐から懐から紐小刀を取り出して、ぎゅっと握り締めながら治療を続けた。
「……大丈夫です。すぐに、良くなりますからね……!」
 ことは急を要した。冷静に声をかけて此白は傷を癒していきながら顔を上げる。
「鬼さん、幸せって……人から奪って、自分のものにできるようなものではないと……私は、そう思うんです! こんな事は、止めてください……!」
 苦しげに声を上げる。戦場を回って癒し続けていた此白の疲労は限界に近かった。崩れ落ちそうなのを堪えながら声を上げると、
「おう、おう。結構なことだ。光を信じている。幸せそうな顔をしているな……!」
「お願いです…こんな事は、もうやめてください……!」
 疲労が限界に近く此白は二人を庇うように前に出る。此白はそっとサトーさんの名を呼んだ。鬼が刀を振り上げる。それが此白の首を刎ねようとする……その瞬間、
「議論は既に終わっている。≪現在完了≫」
 鬼の動きが鈍った。章の蜂がその麻痺毒を発揮してきたのだ。即座に章は此白を抱えあげて後退する。刀也が代わりのその刀の振り上げられた隙を狙って、鬼の懐に再び飛び込んだ。
「戦場では俺は死人だ。死人は死を恐れねぇ。さぁ、勝負と行こうぜ。最後に立ってるのが俺達か、お前かのな!」
 まだまだ。倒れはしないと刀也は声を上げ……、再び戦いが始まった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ヴォルフガング・ディーツェ
【SPD・POW】
式夜(f01415)と共闘

呪われて、大切な人の何もかもを喪った俺は、歯牙にも掛けられないって?…舐めるな、小童
その傲慢、この命を賭して後悔させてや…っつう!

…来ていたのか、式夜。しっかしまぁ容赦なく殴ってきたね、キミ。じじいは大事にしてよ(口の中に滲む血を吐き出しながら苦笑)

お陰で冷えた頭を活用し、二人で連携し攻撃の時機をずらし回避し辛い様に立ち回ろう

こちらは鉤爪に【属性攻撃】を上乗せした【二回攻撃】で【傷口を抉る】
隙を見出だしたらすかさず【屠龍連撃爪】で仕留めに掛かる

頼もしいが式夜は随分と無茶をする…!
彼女に飛ぶ攻撃には【武器受け】で引き受け
腕の怪我は所持する霊薬で応急処置


両角・式夜
ヴォルフ殿(f09192)と一緒に戦闘だ

なんだなんだなんだ?
駆け付けてみたらヴォルフ殿は随分とご機嫌であるな?
しかし、これでは話も出来ないな。どぉれ…
【力溜め】て一発、その頬にきっついのをくれてやろう!
で、思い切り顔を拳で殴ります!

はっはっはっ。私より元気で何がじじいですか
こちとら鬼と斬り合えると聞いて、もう楽しみで楽しみで
さぁ、足出纏いにならないように尽力しますか

まぁ、基本的には【戦闘知識】で相手を観察しながらの【怪力】でひたすら力押しですね
攻撃速度もヴォルフ殿のが断然上だろう
なれば、【吹き飛ばし】でも【捨て身の一撃】でも、隙を無理矢理作るのが今回の役目と見たり!
腕の一本位餞別に持っていけ!



 どこかヴォルフガングの様子がおかしいことには式夜も気がついていた。
「呪われて、大切な人の何もかもを喪った俺は、歯牙にも掛けられないって? ……舐めるな、小童……!」
 声を荒らげ、突っ込んでいこうとする。式夜はそれを飄々と眺めて、
「なんだなんだなんだ? 駆け付けてみたらヴォルフ殿は随分とご機嫌であるな? しかし、これでは話も出来ないな。どぉれ…」
「その傲慢、この命を賭して後悔させてや……っつう!」
「一発、その頬にきっついのをくれてやろう!」
 力を溜めて、式夜は全力でヴォルフガングの顔面をぶん殴った。
 ものすごい嫌な音がして、ヴォルフガングは数歩行対する。それでようやく、彼は我に返った。
「あ。……来ていたのか、式夜」
「うむ。来たぞ! さあ歓迎するといい」
「いやいやしっかしまぁ容赦なく殴ってきたね、キミ。じじいは大事にしてよ」
 まったく悪びれずに胸を張る式夜に、ヴォルフガングは口の中に滲む血を吐き出しながら苦笑した。まあ頭は冷えたけど、と付け足す。
「はっはっはっ。私より元気で何がじじいですか! こちとら鬼と斬り合えると聞いて、もう楽しみで楽しみで。さぁ、足出纏いにならないように尽力しますか!」
 そのまま準備体操しそうな勢いである。思わずヴォルフガングは毒気が抜かれたように息をついた。
「どこから突っ込めばいいのか……。まあ、いいか。それじゃ……」
「うむ! さあ参ろう! やあやあ我こそは銀錫赤竜・両角・式夜なり!」
 言うなり、式夜は突っ込んだ。ヴォルフガングの言葉を聞いているのかいないの構った桑からない様子で走った。
「は……。なんだ活きのイイのがきたな!」
「おまかせください! ぴっちぴちです!」
 またなんかわけのわからないことを言っている。ヴォルフガングも頭を抱えながら走った。
「来ましたね!」
「いや、来るに決まってるよ!」
「ふむ。ではあの手で行きましょう!」
「!? あの手ってどの手だよ……!」
 紅い刀身の刀を繰り出しながら、式夜はけらけら笑う。ヴォルフガングもまた鉤爪を翻す。式夜の攻撃の合間を縫うようにして、属性攻撃を上乗せした二回攻撃で傷口を抉っていった。
 式夜も最初は戦闘しながら怪力で押していく。向こうの攻撃もすさまじく、それを受け止めて心底嬉しそうに笑う。
「ああ実にいい! 実に力強い!」
 そして戦いながらも、ある種冷静にちらりとヴォルフガングのほうに視線をやった。式夜と攻撃を繋げるように腕を振るっているが、本来ならばヴォルフガングのほうが攻撃速度は上だと式夜は思う。
「であれば! 隙を無理矢理作るのが今回の役目と見たり! ということですよ!」
 言うなり、式夜は走った。相手に体当たりを仕掛ける。
「!? 其の程度の攻撃で……!」
「腕の一本位餞別に持っていけ!」
 懐に入り込まれ、鬼が腕を翻す。拳を叩きつけようとする。式夜も腕一本犠牲にしてそれを止めようと右の腕を伸ばす。そこに、
「高きモノ、大いなるモノ、地に堕ちよ!」
 熟練の闘爪術による一撃が放たれた。鬼の胴へたたきつけ、体制を崩そうとする。残像を伴う神速の連撃を放ちながら、相手の体制を崩させた。
「頼もしいが式夜は随分と無茶をする……!」
 そしてそれによって式夜への攻撃をぎりぎり防ぐ。心臓に悪い、と息をつくヴォルフガングに、にやりと式夜は笑った。
「いやあ、何とかしてくれると信じておりましたので! 何とかならなければそのときはそのときだな!」
 惜しくもない!と笑いながら白光するほど強い雷を纏った刀を傾ける。ヴォルフガング魔爪に変じた武器を構えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

陰白・幽
……幸せを喰らうモノ……か~、さっきの手下はいやなことを思い出して、今の幸せをかみしめろって事かな~……大きなお世話だよ、ね。
過去は……過去だよ、だから君(敵)もボクの……生きるための、糧になってもらうよ。

前哨戦での出来事のせいで少し落ち着いていない
戦闘法はUCを使用して能力を高めて戦闘を行うよ。
高速移動しながら手や尻尾を使って真空刃を発生させて攻撃をしていく。
敵に隙が出来たら敵能力を懐に潜り込むようにして間合いを詰めてそこからハイキックであごを蹴り上げる。

「ふわぁー、疲れた……こんな感じかな……でも、約束か~……ボクは、守れてる……かな。……はふ~、やっぱり疲れたから、また考えよっと」


緋翠・華乃音
さて……戦力は十分そうだが、戦場では何が起こるか分からない。
……あと一押し、狙撃手として押させて貰おうか。

……悪いな、渡す分の幸運なんて生憎と用意出来ていないんだ。

戦場を見渡せる位置(可能な限り遠距離且つ高所が望ましい)に狙撃銃を携えて戦況を眺める。
優れた視力、聴力、第六感を生かし、敵の行動を見切りつつ狙撃開始。
ユーベルコードを併用し、得られた情報等から敵の行動の先読みを行う。
リロードを早業で行い、隙を最小限に抑える。
射線が見切られ始めたら素早く狙撃位置を変更。
近接戦闘を余儀無くされた場合には拳銃やナイフ等で応戦。

――貴方の葬送に花は無い。この銃弾は貴方の墓標を穿つであろう。


オズ・ケストナー
しあわせはそのひとのものだよ

しあわせだって、まだしあわせじゃなくたって
鬼にあげるものなんてひとつもない

斧を振りかぶって応戦
蒸気で加速させ叩きつける
攻撃は【武器受け】で防ぎながら斬り込む
きみが食らうのはこっちだよ

その怨念も、元はしあわせなひとだったんだよね
そう思うとかなしい気持ちになる
これ以上は増やさない

シュネー、力をかして
【フェイント】からの攻撃

どんなに相手が強くてもまけない
わたしにはシュネーが、みんながいるんだから
(お屋敷にいたたくさんの人形を思い出し
みんな大好きな友達)

みんなのしあわせも、わたしのしあわせも
食べられるために育てるんじゃない
わけあってもっとしあわせになるために育てているんだよ


リーゼ・レイトフレーズ
幸福か不幸かと言われれば、私は幸福だろうね
出生の分からない私を家族として受け入れ、ここまで育ててくれたのだから
それじゃ“食事の時間だ”君の幸福はここで潰える

相手が何であれ、やることに変わりはない
敵から離れた位置で実弾を装填したSTARRY SKYを伏せて構える
第一に味方を援護射撃する
破断掌の為に近づく素振りを見せれば
その足を撃ち抜き
相手の攻撃の出鼻を挫くよう鬼神一閃の瞬間に
武器を持つ腕を撃ち抜いたり
魂食呪体で怨念を纏ったなら薄い部分を見切り
鎧無視攻撃の2回攻撃でその怨念を撃ち砕く

アドリブ、連携歓迎です



 刀が落ちる。切れ味は鋭く、それ以上にもっと重い。
 オズは己の斧を握り締めて……、
「……やあ!」
 声を上げる。そして全力で斧を打ち上げた。
 武器と武器が合わさる甲高い音が聞える。一撃目は辛うじて吹き飛ばした。
「……っ」
 しかしそんなことは瑣末なことだとばかりに鬼は再び構えを取る。
「……しあわせはそのひとのものだよ。しあわせだって、まだしあわせじゃなくたって、鬼にあげるものなんてひとつもない」
 目の前の敵は巨大で、そして其の武器はまさにオズへと振り下ろされそうであった。
 多分、ものすごく痛いだろうな。なんてオズは暢気に考えて。若干崩れた体制を立て直し斧を引き戻した。一撃貰うことは覚悟する。そこに、
「……幸せを喰らうモノ……か~、さっきの手下はいやなことを思い出して、今の幸せをかみしめろって事かな~……大きなお世話だよ、ね」
 幽が駆けた。眠たそうなことを言いながらも、しかし視線はどこか落ち着きなく周囲を見ている。そこから隙を割り出して、幽は懐に入り込み、衝撃波と共に鬼の顎を蹴り飛ばした。
「過去は……過去だよ、だから君(敵)もボクの……生きるための、糧になってもらうよ」
 言いながらも、即座に体勢を整える。尻尾や腕より衝撃波を乗せて攻撃を叩きつけていく。
「あ、ありがとう~」
「え~。なんのこと~?」
 目を輝かせてお礼を言うオズに、相変わらず眠そうな幽の返答は本気なのか冗談なのか照れ隠しなのかまったく判別がつかない。だが眠そうである。
 遅ればせながら鬼が振り上げていた刀を振り下ろした。
「……っ、その怨念も、元はしあわせなひとだったんだよね……」
 刃には怨念が宿っていた。そう思うだけで胸が締め付けられるような思いになる。
「だったら、どうした?」
「……これ以上は、増やさない!」
 鬼があざ笑うかのように言う。オズは全力でその刃を弾き飛ばした。
 幽もまたオズとの攻撃の隙間を縫って攻撃をつなげていく。……そこに、
 銃が放たれた。

 戦場より少しはなれた場所。若干小高くなった丘の上。適度に狙撃するにはよさそうな場所に二人の狙撃手伏せていた。
「さて……戦力は十分そうだが、戦場では何が起こるか分からない。……あと一押し、狙撃手として押させて貰おうか」
「まさか、おんなじ様なこと考えてる奴がいるなんてね」
 華乃音の言葉にリーゼが肩をすくめた。二人とも遠距離からの射撃場所を探していて、どうやら同じ場所をベストポジションだと決めたようだ。
 相手がなんであれ、隣に誰がいたとしても、リーゼのやるべきことは変わらない。NTW-20モデルの2m近くある対物ライフルを構えて敵の様子を確認する。
「それじゃ“食事の時間だ”君の幸福はここで潰える」
 丁度幽とオズが鬼と戦闘をしているところであった。リーゼは狙いをつけて撃った。
「……ちょっと」
「何だ?」
 銃声は二つ。まったく同じ位置に向かって放たれていた。リーゼの言葉に華乃音は顔を上げる。
 華乃音もまた先読みを行い、最も効果的なタイミングに最も効果的な場所へと撃った。それが丁度同じ場所だったというのは、
「……ちょっと。なんだか変な感じだね」
 リーゼの口ぶりはいつもと変わらない。淡々と狙いを定めて淡々と撃つ。破断掌の為に近づく素振りを見せればその足を撃ち抜き、斬馬刀が動くのを感じればその瞬間に武器を持つ腕を撃った。だから華乃音もまた流星を模した狙撃銃を再び構える。
「そうか。俺は、まあ、そうなるだろうな、とは思ったな」
 お互い最適解を弾き出したらそうなるのはさして不思議ではないと華乃音も言いながら攻撃を続ける。
「……まあ、私のやることには変わりないし」
 その言い方にリーゼも頷いた。一撃の一つ一つは致命傷には至らないが、その隙にオズと幽が反撃をして、その隙にまた 一つ一つは致命傷には至らないが、リーゼと華乃音が弾丸を叩き込む。鬼と直接相対するオズたちにも、どこから飛んでくるかはわからないかもしれないが、援護するものがいるとわかって動きを変えたのが見て取れた。
「……」
「……」
 お互いに、無言。
 職人作業のような狙撃を二人は続ける。不意に華乃音が立ち上がった。
「移動するか。あの二人が抑えてるとはいえ、位置が気取られると面倒だ」
 命中にさわりが出るという華乃音に、リーゼも頷いて立ち上がった。
 そして相変わらず狙撃ポイントが被り、仕方がないのでどちらかが譲ったりしながらも、援護は的確に続けられた。



「ふわぁー、疲れた……こんな感じかな……」
「ええ!? まだまだがんばろうよ」
 銃弾が雨あられと降ってくる。ので、暢気に幽がそんなことを行ってオズはあわてた。
「ううん。でももう大丈夫だと思うんだよう。ボクも全力でいくから、これで終わりにしようよ~」
 言うなり、幽は自身の内に存在する龍皇の力を纏う。そうして口を開くと、そこから一気にドラゴンブレスを吐き爪と尻尾の動きで真空刃を放ち始めた。
「でも、約束か~……ボクは、守れてる……かな。……はふ~、やっぱり疲れたから、また考えよっと」
 眠いね~って言いながらも暴れまわる幽にあわせて、オズも負けじと斧を振るう。少し一緒に戦っただけだけれど、呼吸をあわせてつなぎ目にフェイントをかけながら攻撃を仕掛けた。
「ふふ」
 思わずオズは笑みをこぼす。おねぼうさんなんだね。って、言いかけて。一瞬だけ笑みを凍りつかせた。……でも、
「シュネー、シュネー、力をかして」
 囁くように、歌うようにオズもまた口の中で呟く。お屋敷にいたたくさんの、大好きな友達の姿を思い出す。
「みんなのしあわせも、わたしのしあわせも。食べられるために育てるんじゃない。わけあってもっとしあわせになるために育てているんだよ。……だから、これは、わたしたちのしあわせのための戦い」
 頑張るから、見ていてねと。
 オズは心の中で呟いて斧を振るった。

 ぽり、とリーゼは軽く頭を掻いて鬼を見やる。
 幸福を食らうという鬼は酷く禍々しい姿をしていて、ただひたすら見るからに、人の幸せを奪う鬼そのものの顔をしていた。
「……幸福か不幸かと言われれば、私は幸福だろうね。出生の分からない私を家族として受け入れ、ここまで育ててくれたのだから」
 呟きは誰にも聞かれず地に落ちた。リーゼはそれをかみ締めるように一呼吸、おいて、
「堕ちることのない輝きとなれ―――Cassiopeia」
 STARRY SKYで鬼の体を打ち続けた。

「……悪いな、渡す分の幸運なんて生憎と用意出来ていないんだ」
 華乃音は銃を構えながら目を細める。先ほどまでの会話でもう一人の狙撃手とは大体呼吸があった。
「――目を瞑って、耳を塞いで。……それが叶うのなら、どれだけ幸せな事だろうか」
 ふ。と華乃音は銃を構えたまま息をつく。特異体質である異常な視覚・聴覚の活性化。それらの感覚を統括する脳の演算機能向上。その異能による未来予知に等しい推理・行動……。全ての力をかき集める。
 息をついたその瞬間、世界は何倍も広がっていった。それが幸せかどうかは華乃音にはわからない、けれど。
「――貴方の葬送に花は無い。この銃弾は貴方の墓標を穿つであろう……」
 今ここで。穿つものがあると。
 華乃音は再び攻撃を開始した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
判定:【WIZ】
あの時以来、おれは戦うのが怖いんだと自覚した。
勝手にがたがた震えて思い通りにならねぇ体に、情けなくて泣きそうになる。
それでも、逃げたくねぇ。

《大海の姫の恋歌》と〈援護射撃〉で味方の治癒と支援を中心に行う。ハーモニカ(荒野を渡るブルースハープ)を一緒に演奏すれば治癒効果が高まるかもしれねぇな。〈楽器演奏〉もあるし。
呪詛が込められた斬撃か……〈呪詛耐性〉って役に立つか?
他の皆が受けるよりおれが受ける方が被害が小さそうなら味方を庇うことで被害を抑えるようにするぞ。
普通なら寿命を削るなんて無茶はそうそう長くは続けられねぇだろうけど、相手はオブリビオンだしその辺は油断しねぇでおく。


エンジ・カラカ
幸福?アァ……なら関係ないなァ。
幸せでも不幸せでもないンだから。不幸せも喜んで受け入れてしまう。

なァ……辰砂?相棒の拷問器具は答えないケド、きっと辰砂もそう思っているサ。
さて、それじゃあーそーぼ。

先制攻撃で賢い君を敵サンへ。賢い君、賢い君。好きなようにやってくれよなァ……。
得意分野は支援、あのシアワセを欲しがってるヤツを止めはする
でも、仕上げは任せた。
コッチのが性にあってるンだよなァ……。

敵サンの攻撃は見切りで回避。二回攻撃、属性攻撃も賢い君と合わせて使おうカ。
なァ……シアワセを食らうってどーんなきーもち?


ベール・ヌイ
「迷わない、立ち止まらない…今はキミを殺すことだけを、考える」

内心は復讐心、刺し違えようとも鬼を殺すことに集中します
再演・鬼殺で真の姿になり、姫武者のような姿になります
【属性攻撃】を使い炎をまとわせた鬼殺で【殺意】をこめた【捨て身の一撃】で斬りかかります。狙いは首
相手の攻撃に関しては【激痛耐性】と再演・鬼殺の防御アップで無理やり耐えます


榎木・葵桜
ごめんね、一足も二足も遅れちゃったけど
お手伝いさせてもらえると嬉しいよ

(本坪鈴を相手した仲間の様子を気遣いながら前へ出て)

私、十分幸せだけど、あなたに食べさせてあげる分はないよ
その禍々しい呪いごと、払ってあげるから覚悟しなねっ



【サモニング・ガイスト】使用
敵さんの攻撃、どれも結構重そうだから、
できるだけ田中さん(霊)に防御してもらうよ

攻撃放った直後は隙が出る感じ…かな?
威力の高い一撃って、反動で脇あたりの防御が甘くなりそうな気もするんだよね
同時に立ち回り方を見て【情報収集】【第六感】で敵さんの弱点のあたりを付けて
【衝撃波】で攻撃してみるよ

うまく行きそうなら、仲間にも声掛けて連携お願いしてみるね



 歌が聞える。
「大丈夫か!」
 声をかけられ、ベールははっ、と顔を上げた。
「……ああ、よかった」
 起き上がるベールに、嵐は表情を崩す。手にはハーモニカを持って、そして召喚した人魚の歌声と共に彼女の傷を癒そうとしていたのだ。
「あ、ああ……」
「大丈夫か? 立てるか?」
 それでベールは思い出した。戦闘中鬼に強烈な一撃を与えられて、遠くまで吹き飛ばされて気絶したのだ。
「行かないと……。迷わない、立ち止まらない……今はキミを殺すことだけを、考える」
 ふらふらとベールは立ち上がる。待てよ、と声をかける嵐の声は心配そうだった。
「そんなにボロボロになって……。少し休んだほうがいい」
「いや、行かないと。……倒すんだ。絶対、倒さなきゃいけない。ヌイが。ボクが……」
 嵐はベールを見る。彼女の姿が徐々に変質していくのを知った。事情があるらしいとわかった。それで、
「わかった。一緒にいこうか」
 そういって、自分も立ち上がった。

 エンジは鬼に近づく二人の人影を認めていた。
「幸福? アァ……なら関係ないなァ」
 幸せでも不幸せでもないンだから。不幸せも喜んで受け入れてしまう。
「なァ……辰砂?」
 賢い君。辰砂に声をかける。勿論返答はないけれど、
きっと辰砂もそう思っているサ。なんてけらりと笑った。笑って再び地を蹴った。

「さて、それじゃあーそーぼ」
 エンジはベールと嵐が着く少し前。鬼の前に立ち塞がる。
「あ、危ないよ!」
 丁度葵桜が鬼と相対しているところであった。葵桜の田中さんが鬼の一撃を受け止めている。
「だいじょーぶだいじょうぶ。なァ……シアワセを食らうってどーんなきーもち?」
 ふら、と、はじめからそこにいたかのように演じは葵桜の隣に入り込む。鬼は笑った。
「何だ、貴様は知らぬのか! 人の幸福はこれ以上にない美味。幸福が絶望に変わるに、嬲り殺すのが何よりもの楽しみだ!」
「そ、そんなことはさせないんだから!」
 返答にあわせて葵桜が衝撃波とともに薙刀を振るう。鬼の刀が旋回し、それをはじくと同時に叩き伏せようとする。
「……っ」
 間一髪、腕を裂いてよける葵桜に、
「賢い君、賢い君。好きなようにやってくれよなァ。できるよなァ……」
 言いながらもエンジは鱗片や毒性の宝石。赤い糸を次々に鬼へと向かって放つ。
「ありがとう、助かるよ!」
「ああ。そりゃよかった。俺はコッチのが性にあってるンだよなァ……」
 動きを鈍らせるエンジのやり方に葵桜が声を上げる。けど、とエンジは続けた。
「でも…………なァ、いいだろう?」
 エンジは後方に視線を向ける。囁かれた言葉に葵桜も視線をそちらのほうに流して、
「ん、わかったよ!」
 と、頷いた。
「だったらその間はお相手するよ。私、十分幸せだけど、あなたに食べさせてあげる分はないよ。その禍々しい呪いごと、払ってあげるから覚悟しなねっ」
「!? 貴様ら何を企んで……!?」
「田中さん、お願いね!」
 攻撃の際に出来る隙を見極めながら、葵桜は薙刀を振るう。重そうな一撃は田中さんに受け止めてもらっていた。
「そこ! 田中さん!」
 急所を見て取って、田中さんが槍を叩きつける。空いた腕でガードしようとするのを、エンジの賢い君が阻害する。そして、
「仕上げは任せたいんだァ。トドメなんて柄じゃない」
「ん、ガラとかはよくわからないけれど……、頑張って!」
 一歩。真横に後退した。葵桜もそれにならった。二人の傍らを、
 姫武者が駆け抜けた。

 嵐は駆けるベールの後を追っていた。
 まぶたの裏には先ほど見た幻がちらついていた。
(……あの時以来、おれは戦うのが怖いんだと自覚した)
 あの日、あの光景のとき。
 自覚したときがついたとき、もはや勝手に震えて思い通りにならなかった。情けなくて泣きそうだった。
 ……それでも。
「その調べは哀しく、その詞は切なく、その末期は儚く、痛みを遙かに運び去る」
 嵐は声を上げる。召喚した人魚が仲間たちの傷を癒してくれる。みんな一見するとためらうことなく戦っているように見えて。嵐は首を横にふる。
 少しは癒えたとはいえ、いまだ万全の姿になってはいないベールの背中を見つめて、嵐はさらに土を蹴る。
 ……それでも、どんなに傷ついても、立ち上がって、戦おうとする人間は、それだけで眩しいものらしい。と、嵐は思った。
「……それでも、逃げたくねぇ」
 知らず、口の中で呟く。
 怖い。けれど……、
 エンジと葵桜がベールに道を明けてくれる。それは多分優しさで、
 美しいものがこの世にある。
 自分もそう、なれるだろうか?
 血まみれの鬼が忌々しげに刀をあげる。呪いに塗れた刀をまっすぐにベールに振り下ろそうとして、
「――!」
 不思議と怖くはなかった。嵐は彼女を庇うように飛び込む。
「……っ」
 痛みと共に、大量の血が落ちた。

 ベールは走った。
 もう迷わなかった。
 その心には復讐の気持ちだけが巣食っていた。
 それでも、視界の端にきちんと捉えていた。
 自分を助けてくれていた彼が自分を庇って倒れたことも。
 なにやら事情があるらしいと、道をあけてくれた仲間のことも。
 けれどもベールはそれらを思いやる余裕もない。
 頭の中にあるのは復讐、復讐、復讐だけだった。
「……ボクのことが、わかるか」
 そうしてようやくベールは鬼の下にたどり着いた。
 あの日あの時。おじいさんとおばあさんを殺されたときから、もうずいぶんたったようで、それほど長い時間は流れていないようなきもしていた。
 鬼はベールを一瞥する。
 わずかに口元を歪めたようであった。
「ボクは鬼を殺す者、すなわち桃から産まれぬ狐姫。桃太郎になれぬ桃姫也」
 名乗りを上げる。その姿は真の姿。姫武者のような姿になっていて。
「例え刺し違えようとも……倒す!!」
「おう……やってみるがいい!」
 炎纏わせた鬼殺しの刀。そこに全力の殺意をこめて、
 ベールは鬼の腹に渾身の一撃を叩き込んだ。
 そして同時に、鬼の禍々しい刀が振り下ろされた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『本日は釣り日和』

POW   :    大物釣りに挑む

SPD   :    調理して振る舞う

WIZ   :    瞑想する

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 鬼が咆哮をあげた。
 それは、ひときわ大きいものだった。
 数々の猟兵たちの攻撃を受け。
 そしてひときわ強い刀の一撃を受け。
 『幸せを喰らうモノ』は今、最期の声を上げたのであった。
「く……。ハハ。ハハハハハハハ!」
 鬼は笑った。おかしくてたまらないとでも言うような声だった。
「……見事だ。ああ、こんなあくの強いやつらを食えぬのは無念だな……」
 ……それで。
 最初から御伽噺の幻ででもあったかのように、鬼は消滅した。

 後にはただ、美しい景色が残された。
 寒桜の花びらが、ひらりひらりと舞い落ちる。
 抜けるような青い空。白い鳥が一羽飛んでいく。
 さらさらと流れる川のせせらぎ。身の引き締まるようなしんと冷えた空気。そして……、
 絶好の、釣り日和。
 さあ。ほんのひとときの間だけ。
 緩やかなときを過ごすのも悪くない。
ヴォルフガング・ディーツェ
【SPD】

式夜(f01415)とリュカをお誘い

…色々あったけどとにかくお疲れ様
鮮魚で疲れを癒したいな、折角だから二人とも付き合ってよ。ね?
釣れるか分からないけど、それとしてもこんな素敵な風景は楽しまなきゃ損だ

…ところで式夜、魚は釣るものなんだ。衝撃波で一気に獲ろうとかしな…大量に必要なら爆破するの…!?

寒桜か、儚いけれど…だからこそ綺麗だね。水面に浮かぶ花びらもまた赴き深いや
…お客さん、終点だよ(式夜を揺さぶり)

釣れた魚は塩や醤油で焼き魚にしてみたり、たたきや刺身にしてみようか
川魚だから柑橘類を絞ったり香草や生姜も使って… 魚の味以外にバリエーションがあったら、リュカも食べやすいかなあって


両角・式夜
【POW】と見せ掛けて【WIZ】
ヴォルフ殿(f09192)と一緒
リュカ殿にも声を掛けて一緒に釣りをするのだ!

いえいえ、こちらこそ大変楽しませて頂きまして
ほくほくです。
あぁ、リュカ殿も来てましたか
一緒に今日のご飯を確保してくださいな
料理は全部ヴォルフ殿がやるので味は問題無いぞ!

そんな、大勢に振る舞うとかでなければ爆破漁法などしませんよ!
今は川の流れる音と桜の侘しさ
山と言う地の恵みを全身に感じながら釣糸を垂らしてゆっくりと……むにゃむにゃ……
……はっ、大物が掛かったと思ったが、夢か!

川魚は塩焼きか燻製ぐらいかと思ったが、そんな調理法もあったか!
リュカ殿、序でに食べていこう。これは美味しいやつだ!



 風はない。少し寒かったけれど、それも日差しにあたればなんともぽかぽかしてくるような、そんな日和であった。
 川のせせらぎは近く。うつらうつらと目を細めながら、ヴォルフガングはふう、と息をついた。
「寒桜か、儚いけれど……だからこそ綺麗だね。水面に浮かぶ花びらもまた赴き深いや。……お客さん、終点だよ」
 隣でゆっくり、釣竿を握ったまま船をこぐ式夜を軽く揺さぶる。まったく、こんな素敵な風景を楽しまないなんて。ってちょっと、笑っていた。
「……はっ、大物が掛かったと思ったが、夢か!」
 おう! と式夜は顔を上げる。と単に引いていた魚があっけなく逃げていった。
「……」
「……」
「そんな目で見ないでください。大勢に振る舞うとかでなければ爆破漁法などしませんよ! そっちのほうが早そうだとは、ちょっと思いましたが!」
「式夜、さっきも言ったけど魚は釣るものなんだ。大量に必要でも、急いでいても、衝撃波で一気に獲ろうとなんてしちゃ、いけない……!」
「ええ。そう。今日はそういう日ではありません。川の流れる音と桜の侘しさ。山と言う地の恵みを全身に感じながら釣糸を垂らしてゆっくりと……むにゃむにゃ……」
「って、また寝てる!?」
 呆れながらも式夜を見るヴォルフガングの目は優しい。
「まあ……色々あったけどとにかくお疲れ様」
「いえいえ、こちらこそ大変楽しませて頂きましてほくほくです。後は今日のご飯を確保するのみー……」
 寝言交じりの返事が来て。ヴォルフガングは笑って落ちそうになっていた式夜の釣竿を握らせなおす。 
「釣れるか分からないけど、それとしてもこんな素敵な一日は楽しまなきゃ損だ」
 のんびりと。流れる川面に目をやって。
「釣れた魚は塩や醤油で焼き魚にしてみたり、たたきや刺身にしてみようか。川魚だから柑橘類を絞ったり香草や生姜も使って……魚の味以外にバリエーションがあったら、リュカも食べやすいか……」
「……俺が何」
「あぁ、リュカ殿も来てましたか。一緒に今日のご飯を確保してくださいな。そして序でに食べていこう。ヴォルフ殿の料理は美味しいやつだ!」
「……!? 聞いてたんだ……!」
「……? 魚なんて、焼いて塩振ればそれでいいだろ」
 賑やかな二人に若干押されるように、リュカは首をかしげる。
「ああ。それも一番美味ですねえ」
「炭一歩手前ぐらいが一番楽だし、後は全部乾かして磨り潰して粉まぜて練って非常食にしたら長く食べられるし」
 味は、とヴォルフガングが聞くと、消える。とさも当然のようにリュカが言うので、
「ああ。それは良くはないな。実に良くはないな!」
 式夜は拳を握り締めた。ヴォルフガングは天を仰ぐ。
「せっかくです。釣って釣って釣りまくり、旨い宴を催すぞ!」
 張り切る式夜。これは賑やかな一日になりそうだ……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エンジ・カラカ
魚釣りネェ……。
アァ……魚なんて滅多に見ない上に狼のトキに食らいつく
ってコトしかしないンだよなァ……。

ひょいっと釣糸を垂らして糸の先を見つめると欠伸がもれてくる。
アァ……釣れない……。
幾度目かのため息
リュカ、釣りってどーやんの?
ぜーんぜん、釣れないンだ。
ひょいっと釣り糸を持ち上げ、何も引っ掛からない糸の先を見せた。

赤い糸にしたら釣れるとかないのカ?



 川釣り岩の上。ゴロンとエンジは寝返りを打った。
「アァ……釣れない……。っていうか魚見えねェ……」
 釣り糸もおざなりに。恨めしげにエンジは川面に目をやった。
 そもそも魚なんてめったに見ない身の上である。そして捕まえたときは狼のときに食らいつくことしかしていなかった。
 無論。釣りなんてものは無縁に生きてきた。道具は借りてこられたが、見よう見まねではやはり、まずいらしくて。
 ついついくぁっ。と欠伸も漏れてしまう。それでため息をついて背中を向けたまま、
「リュカ、釣りってどーやんの? ぜーんぜん、釣れないンだ」
 通りがかったリュカを、足音だけでわかったのだろうか、そう声をかけた。
「赤い糸にしたら釣れるとかないのカ?」
 ひょいと釣り糸を示す。リュカは押し黙った。
「……エンジお兄さん、餌は?」
「あん? 食い物なんてやるのかァ? 贅沢な」
 素で言っていた。のでリュカはさらに考え込んだ。
「……お兄さんおきて、教えるから」
「あぁん? 面倒だなァ。やってくれりゃいいんだよォ?」
「だめだよ。それだと後々困るだろう?」
「あー……困るってたとえばどんなときだよォ」
「お兄さんがお腹がすいたときだよ。ほら起きて」
「まあ確かに、狼で食らいつくより釣りしてるほうが人間っぽいけどよォ」
 面倒くさそうに身を起こすエンジにリュカは手早く手順を教えていく。そんなので本当につれるのかと、やっぱり若干エンジは信用していないような顔だったけれど、
「お」
「おー」
 順番どおりにすれば、割と早めに糸が引いて、
「いいじゃんいいじゃん、俺もう天才。気が済んだァ」
「いや、気が済む前に引き上げて引き上げて」
 おかしそうに、釣り糸が水面にゆれていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鵜飼・章
いい物見つけた?
鴉たちを遊ばせつつ流れゆく淡紅の花を眺め
時折思い出したように釣糸を揺らしてみる

太公望を気取ってるわけじゃない
下手なんだ
単純に釣りが下手
こういう事をして成功した試しがないよ
はあ…鵜飼だけに鵜飼いがしたい

奇跡的に釣れた魚を焚火で串焼きに
リュカさんは寒くないかな
よければ当たっていきなよ
魚も焼けてる

人間一年生の僕は最近気づいたんだけど…
焼いた魚に塩をふるととてもおいしい
白いご飯があると更に最高だ
焼きたてが一番美味しいよ

世界を巡るなら知らない事は多い程いいよね
その分だけたくさん驚きが待ってる
きみの旅路にもそんな小さな幸せがあふれるといいな

さて、久々に実家に帰ろう
…小魚しか手土産がないけど



「いい物見つけた?」
 鴉たちが水面ではしゃいでいるのを見て、章は声をかけた。
 勿論、人語での返答はない。けれどもその様子を見ていれば返事もわかるというものである。
 川を流れていく淡紅の花びらが鴉たちの立てた水しぶきに飲まれていく。
 微笑んで、それから章は思い出したように釣り糸を揺らした。
「やあ」
「こんにちは」
 そこに通りがかったリュカが章のバケツを覗き込んで瞬きをする。
「……太公望を気取ってるわけじゃない。下手なんだ。単純に釣りが下手」
 ずいぶん長い間座っていたはずなのに、バケツの中身は若干寂しかった。ゆえに言われる前に章はそう白状した。
「こういう事をして成功した試しがないよ」
「……あの、それなら」
「ん?」
「まず、ああいう子たちが近くにいるとだめだと思うんだけど」
 視線の先には派手に水面を揺らす鴉たちがいた。章は肩を落とした。
「はあ……鵜飼だけに鵜飼いがしたい」
 とはいえ久々の鴉たちの憩いの場を奪うつもりも毛頭なく、
「……じゃ、奇跡的に釣れた魚を串焼きにしようと思うんだけど」
 どうかな。と、章は川から視線を外して笑った。
「リュカさんは寒くないかな。よければ当たっていきなよ」
 それから、
「魚も焼けるし。一口どう」
「……ああ。もらえるなら是非」
 ただで食べて行く気である。そんなリュカに章は笑った。

「人間一年生の僕は最近気づいたんだけど……」
「うん?」
「焼いた魚に塩をふるととてもおいしい。焼きたてが一番美味しいよ」
「そう? じゃあこれは、おいしいんだ」
「そう、そうだよ。ちょっと違わない? いつもと味が」
「そういえば少し違うかも。……焼きたてでもそうでなくても魚は魚だと」
「そんなことないよ。そこに白いご飯があると更に最高だ」
「ご飯? 魚に何か関係があるの?」
 くしを通して焼いた魚に軽く塩を振る。齧るとじゅわっと味がしみこむようで、章は熱い熱い、って笑う。
「関係あるよ。今度試してみるといい」
「わかった。俺にも理解できるといいんだけど……」
 人間十四年生だけどわからないかもしれない。なんて真面目な顔で言うリュカに、
「じゃあそのときは、僕がこれが美味しいってことだよって教えようか」
「ああ。助かる」
 なんて食事をしながら会話をしたり、
「世界を巡るなら知らない事は多い程いいよね。その分だけたくさん驚きが待ってる」
「……章お兄さんは、なんだかロマンチストだね」
「ええ。そうなのかな。……きみの旅路にもそんな小さな幸せがあふれるといいな」
 そっちもね。といわれて章は笑った。
 ささやかな食事が終わり片づけをして別れると、章は立ち上がる。
「さて、久々に実家に帰ろう」
 鴉たちを呼び戻して、青い空を見上げて章は目を細めた。
「……小魚しか手土産がないけど」

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇神・咲優
【POW】


袖を掴んでリュカくんと一緒に釣りを出来ないかお誘い

『さゆ、お魚ツリってしたコトないの。だから、おしえてください!』
リュカくんもはじめてならはじめてドウシがんばろーっ!
一緒に行けたらサクラをながめては、どんなお魚いるのかワクワクだねっ

『お魚自分でつって食べるってコトもはじめてだからたのしみっ!きっとおいしいんだろうな……たき火でお魚やいたり出来るのかな?あっお魚ツル時はおしゃべりダメなんだっけ?』
戦ってお腹すいたのか、いつも以上にお喋りに
竿を持つ手とは逆の手で口元を抑え、周りを確認してたら、竿に反応があり急いで両手で握り視線でどうしたらよいのかリュカくんに訴えている

※アドリブ・台詞改変



「あ、リュカくんリュカくん」
 リュカの服の袖を咲優がちょいちょい、と引いた。リュカは丁度、いい感じにつれる穴場がないだろうかと探している最中であった。
「さゆ、お魚ツリってしたコトないの。だから、おしえてください!」
「……え……。俺はそんなに教えるの上手くないよ、それでもいい?」
「いいよー。一緒にがんばろーっ! どんなお魚いるのかワクワクだねっ」
「毒を持ってなければ種類なんて関係ないだろ?」
「え。そんなことないよー。 お魚自分でつって食べるってコトもはじめてだからたのしみっ! きっとおいしいんだろうな……」
 川辺の、水面に綺麗な桜が映るところを選ぶことにして。
 日差しの中、のんびり二人は釣り糸をたらした。
「たき火でお魚やいたり出来るのかな?」
「いいんじゃない? 川辺だったら火の始末も難しくないだろうし」
「あ、よかったー。ツレたら一緒に食べよう! だねー」
「いいよ。つれたらね」
「むー。もしかしてツレないと思ってるのかな?」
「釣れる時は釣れる。釣れないときは釣れない。そんなものだよ」
「そっか。じゃあ今日がツレるときだったらいいなあ。あっお魚ツル時はおしゃべりダメなんだっけ?」
「なに、それ。いまさら」
「ええ、い、いまさらかなあ。今からおくちチャックでまにあうかなあ。あ、笑っちゃいけないんだよ」
 いつもよりもお喋りになるのはお腹がすいているからだろうか。竿を持たない手で口元を押さえる咲優の言葉にリュカがおかしげに言い返そうとした。……そのとき、
「あ……!」
 竿に反応があった。思わずぱ、と両手で釣竿を握り締めて。
「……」
「引っ張って」
 どうしたら、って咲優の目線に、リュカが自分の竿を流されないようにおきながらそういう。ぶんぶん頷いて咲優は釣竿を引っ張る。
「ほら。ひっくり返らないように気をつけて」
 少ししたらリュカもそこに後ろから手を添えて、そうして一気に魚を引き上げた。
「わあ……!」
 日の光を受けて、鈍色の魚がきらきら空に輝いて。
 咲優は歓声を上げる。と同時にお腹の音が大きくなった。
「……」
「わ、笑っちゃいけないんだよ……!」
 魚を見ながら、咲優は思わず声を上げるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クロエ・アルページュ
ねぇクレム(f02406)釣りとはどうやるのでしょう
お魚とはお店に売っているものではいけませんの?
まぁ!水に入り手掴むものだと思っておりました

リュカ、今日は釣りというものをやりましょう?
むむ、これでお魚が生け捕りにできるなど驚きですわ
そういえばリュカはアクアリウムでは鮎?を描いていましたわね
ここでは何が釣れるのでしょう
釣れたらぜひ食べてみたいですわ

桜も綺麗ですが、わたくし美味しいものがいまは食べたい気分ですの
えぇえぇ!空腹を満たしてくれるのは
美味しい食べ物とそれを共有してくれる方々の存在
なるほど、釣りというものは
なかなかゆるやかな時間を過ごさせてくれるのですね
ふふ、クレムにつられて欠伸をひとつ


クレム・クラウベル
釣りと言われても俺も知らない
と、見上げてくるクロエ(f02406)に素っ気なく投げ返す
生憎育ちの環境は海にも川にも遠い
……が、釣りと言う場合
素手で掴んで獲るのは違うとは分かるぞ、流石に
そういう捕り方もなくはないが、釣りならまず釣具をだな……

リュカ、丁度良いところに
クロエに釣りのしかたを教えてやってくれ
さり気なく肩を掴んで引き込みつつ助けを乞う
あぁ、そういえばこの前描いていたのは鮎だったな
川魚、好きなのか?

……花より団子
まあ、否定はしないがな
肩を竦めつつ、見よう見まねで釣り竿を垂らして
釣れても釣れなくとも
たまにはこういう時間の過ごし方も悪くはない、か
のんびりした空気に欠伸を一つこぼして



「ねぇクレム釣りとはどうやるのでしょう」
「釣りと言われても俺も知らない」
「お魚とはお店に売っているものではいけませんの?」
「そりゃお店で売ってくる魚をどうやって手に入れるかって話だろ」
 釣り道具を眺めながらクロエとクレムの間に沈黙が落ちた。
 穏やかな川を前に。クレムはそのまま座り込んで。クロエはひっくり返したバケツの上にちょこんと腰を下ろしている。
「それにしても、この道具で釣りをするのですね。わたくしはてっきり、水に入り手掴むものだと思っておりました」
「素手で掴んで獲るのは違うとは分かるぞ、流石に。そういう捕り方もなくはないが、釣りならまず釣具をだな……」
 とはいえクレムも経験はない。なんとなくこんな感じ、というのは常識では知っているけれど……、
 二人で考え込んでいるところに、丁度釣り道具を持ったリュカが通りがかった。河岸を変えるつもりだったらしいが、
「……」
 二人を見て、二人のもつ釣竿を見て、
「……」
 あ、これ絶対長くなりそうだから逃げよう。って顔をした。
「リュカ、今日は釣りというものをやりましょう?」
「いや、俺はあんまり誰かと一緒ってのはなれてなくて……」
「丁度良いところに。クロエに釣りのしかたを教えてやってくれ」
 しかし、逃げ切る前にクレムが言う。リュカの肩を掴んで仲間に引き入れるクレムの顔はどこか真剣であった。
「そういえばリュカはアクアリウムでは鮎? を描いていましたわね。ここでは何が釣れるのでしょう?」
「あぁ、そういえばこの前描いていたのは鮎だったな。川魚、好きなのか? よし、たくさんつれたら山分けにするか」
「……種類は知らない。よく見る魚を描いただけで好きとか嫌いとか考えたことなかった。食べ物なんて栄養が豊富ならそれでいい。ところでクレムお兄さん、釣りの経験は……」
「いや、まったく縁がなかったから、丁度困ってたところだ」
 ひとまず答えながらも、とりあえずわかったってリュカは膝をついてクレムの手元を見る。
「餌は何使う? 生きた虫とか使うのは平気?」
「あら。わたくしはまったく構いませんわよ」
「お前はもうちょっと、気にしろ」
「これでお魚が生け捕りにできるなど驚きですわ」
「……クロエお姉さんは針に触らないで」
「あら? ですがここに餌を……」
「怪我、するから」
「ああ。それはちょっと過保護なんじゃないか?」
「クレムお兄さんにだけは言われたくない」

 そんなやり取りをした数分後……。
「釣れたらぜひ食べてみたいですわ」
 釣竿を水面に落としながらクロエはご機嫌であった。
「……花より団子」
 ぽつ、とクレムがからかうように言う。
「桜も綺麗ですが、わたくし美味しいものがいまは食べたい気分ですの」
 が、クロエのほうもまったく気にした風ではなかった。
「まあ、否定はしないがな」
「いいんじゃないの、二人らしくて」
 時々釣竿を揺らしてクロエは笑う。どちらかと言うとクレムは真剣に釣りするつもりではあるのだけれど、隣がそんな感じなのでかかる気配はない。
 時間はゆっくり過ぎていく。ポツリポツリ世間話なんてして。時々小魚を釣って。クロエがつれればはしゃいで。でもちょっと小さすぎるとクレムがまた川に戻すと、今度は大物を釣る。だな

んて力説するクロエがいて。その横でせめて二人分の夕食ぐらいは面倒を見るとリュカが心に誓っていて。
「たまにはこういう時間の過ごし方も悪くはない、か」
「えぇえぇ! 空腹を満たしてくれるのは、美味しい食べ物とそれを共有してくれる方々の存在……」
「うん。美味しい食べ物はあんまりつれる気配がないけどね」
「なるほど、釣りというものは、なかなかゆるやかな時間を過ごさせてくれるのですね」
「……うん? 釣りってそんなものだっけ」
「……まあ、そんなもんだな」
 クレムがふわ、っとあくびをして。それにつられたようにクロエも軽くあくびをして笑った。まあ続けていれば、其のうち夕半分ぐらいはつれるだろう。
 のんびりとした川辺に三人の声が響く。小魚が一匹、軽く跳ねて水面を叩いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
釣り竿を掲げつつ、

リュカさんもご一緒に如何です?
釣ったところで
私は調理が出来ないのですけど
…いっそ生?

悪戯な提案だが
冗談でも無さげな口調で悠々
小春日和に暖まった下生えに腰を下ろす

釣糸を垂らし
リュカさんに持ち係をお任せ
自身は懐から和綴じ本を取り出し読書

没頭しかけて傍らを見
律儀な少年の仏頂面へと小さく笑い
書を差し出して見せる

旧き星詠みの書です
星々の動きから陰陽を読み解くもので、面白いですよ

川面に時折星の如く光る魚影
煌き舞う花弁
天の川が夜のものなら
地の川は陽のものかもしれない

穏やかな心地で横になる
きっと今見る夢は
花筏か雲に乗って天地の川を航る冒険譚

そして物語は
めでたしめでたし、で幕を下ろすのでしょう



 綾は日当たりのいい場所を探し。
 釣竿を準備し。
 餌をかけて水面にたらし。
「リュカさんもご一緒に如何です?」
「ん?」
「釣ったところで、私は調理が出来ないのですけど」
 ……いっそ生? って悪戯っぽく笑うと、
「生は食べたことがないな。捌ける?」
「やってみましょう」
 リュカの返答に綾は笑顔の無駄遣いをしながら答えた。なお、できるとはいってない。
「そう? 楽しみにしておく」
「じゃあ、はい」
「ん?」
「私は、ほら。慣れていないから」
 綾はリュカに釣竿を持たせて、自分はさっさと暖かくなったその場に腰を下ろして懐から和綴じ本を取り出した。
「……」
 なんだか釈然としない顔をしながらも、リュカはそれを受け取り持っていることにした。
 文句の一言も結局でなくて、綾は小さく吹き出す。ちょっと悪戯したつもりだったのに、きいているのかいないのかわからなくて、
「うん?」
「ほら」
 視線に気付いた彼に、綾はそっと本を差し出した。
「旧き星詠みの書です。星々の動きから陰陽を読み解くもので、面白いですよ」
「……」
 釣竿を持ったままリュカはしゃがみこんだ。表情の起伏が少ないその目が輝いている。
「どうぞ」
「……捲って」
 差し出そうとしたらそう強請られた。釣竿は持っておくから一緒に読もう。と言葉が付け足されるので綾は笑顔のままで了解、とそっとページを捲くった。
 遠くで魚が跳ねていて、ゆっくりと花弁が流れていく。
「天の川が夜のものなら。地の川は陽のものかもしれない」
 嘯きながらページを捲る。気づけば釣竿が引いていたのだけれど、持っているリュカのほうが本に夢中で気づいていないようであった、
 綾はそれを指摘しようか少しだけ迷って……そしてやめた。

 本はそう長くはない。読み終わったら穏やかな心地で横になろう。
 きっとそのとき見る夢は、花筏か雲に乗って天地の川を航る冒険譚になるだろう。
「そして物語は……めでたしめでたし、で幕を下ろすのでしょう」
 きっとそれで、お仕舞いと。そんな少し先の世界に思いをはせて。綾は小さく呟いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アール・ダファディル
「水に落ちないように気を付けて」
≪彼女≫は水面に釣糸を垂らしては数分おきに引き上げる
魚がいないのが心底不思議そうな面持ちで再度糸を投げ入れる
≪彼女≫は繰り返す。いつだってそうだ、そう――だった
繰りながら、その艶ある毛並が風揺れる様を横目に無想する

――…そうだ、後悔だ
燻った胸内に唇噛む。感情に名が見つかった事が収穫だ
俺はこれから永きに渡り向き合わねばならないのだから

「――…すまない。少し、考え事をしていた」
不自然に止まっていた姿に気付き、慌てて≪彼女≫の様子を見る
矢張り首傾げ釣針を眺める姿に苦笑し、腕捲る
「仕方ないな、Echoは。ボクが釣りの手本を見せてあげよう」

この兄に任せなさい。なにもかも



「水に落ちないように気を付けて」
 アールはそっと、≪彼女≫に声をかけた。
 ≪彼女≫は返事はしないけれども、かわりに水面に釣り糸をたらす。
 数分すると、それを引き上げて。
 ≪彼女≫は不思議そうに首をかしげる。魚がいないのがわからない、というような仕草であった。
 そうして再びそれをまた水の中に投げ入れる。
 ……何度も、それを繰り返した。
 ≪彼女≫は、それを繰り返した。
 いつだってそうだ、そう――だった
 艶のある毛並みが揺れている。
 そうだ。ずっとそうだった。
「――……そうだ、後悔だ」
 だから。
 アールは小さく呟いた。
 ひとつ。
 本当にささやかな。何かをかみ締めるように唇を噛んだ。
 見えなかった何かが見えた。
 名前が見つからなかった感情に名前がついた。
 それは本当にほんとうに。
 ささやかで。しかし大切な収穫だった。
「ああ……俺はこれから永きに渡り向き合わねばならないのだから……」
 かみ締めた声は、遠かった。

「――……すまない。少し、考え事をしていた」
 そして。
 アールは水がはねる音で我に返った。
 手は不自然に止まっていた。
 ≪彼女≫の様子を見た。
 ≪彼女≫早張り首をかしげて釣竿を眺めていた。
「仕方ないな、Echoは。ボクが釣りの手本を見せてあげよう」
 そう呟いて、アールは腕まくりをする。
「この兄に任せなさい。なにもかも」
 そう……何もかも。
 何もかも。そういったアールを≪彼女≫は静かに見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

叶・景雪
アドリブ歓迎
難しい漢字は平仮名使用、カタカナNG

彼の方はおいしいっていってこのんでいたけど、魚っておいしいの?(首かしげ)
つりもやったことないけど、糸をたらせばつれるものなのかな?みようみまねで、つりざおをたらしてみるよ。
ぼーっとしながら寒桜を見上げつつ、つりざおの反応をまつけど。これ、刀なげた方がかくじつな気がするよ……。
りゅかさんをみかけたら、きいてみようかな?
「ぼく本体の方が、ゆうしゅうだと思うんだ……」
もし、りゅかさんがつりが得意だったらこつをたずねるよ。
それにしても、悲しいことだけど、それでも、姫のことを思い出せたのはよかった。きっと姫も、ほめてくれるよね?魚はつれなかったけど



 景雪は……、
「彼の方はおいしいっていってこのんでいたけど、魚っておいしいの?」
 若干。ほんの少し。いや割と。真剣に。疑っていた。
 なにせ、釣りなんて縁が遠かった身だ。
 当然、やり方もわからなかった。
 だから、景雪は首をかしげて、誰かに聞いたら教えてくれたかもしれないけれど、ひとまずは自分で何でもやってみよう。と釣竿を借りることにした。
「糸をたらせばつれるものなのかな……?」
 おっかなびっくりであった。見よう見まねであった。
 あっているのかどうかもわからない釣竿を、とりあえずえい、と川へと投げ入れる。
 少し期待はしたけれども、あんまり期待はしていなかった。
 というのもこの釣竿。そしてこの釣り糸。あまりにも頼りなさそうである。
 じ。と景雪が水面を見つめると、あちこちに魚が泳いでいた。
 けれどもなかなか、魚はこちらの釣り糸のところまではきそうにない。
 どうしたものかとぼんやりと。景雪は空を見上げた。視界いっぱいに寒桜が広がっている。
「……」
 景雪は待った。
 周囲には魚が泳いでいたが、釣り糸にはかからない。
 周りを見回すと、景雪が特別下手だというわけではなく(勿論初心者だからうまくもないのだが)、そういうものであるらしい。
「……これ、刀なげた方がかくじつな気がするよ……」
 たいそうまだるっこしい。と、景雪はポツリと呟いた。
「刀?」
 それで、不意に声が聞えて景雪は振り返った。通りがかったリュカがその言葉を聞き返していたのだ。
「りゅかさん」
「うん?」
「ぼく本体の方が、ゆうしゅうだと思うんだ……」
「ほんたい?」
「そう。本体。刀の本体。さかななんてまたなくても、ぶすっとしていちころだね」
「へえ……。じゃあ、本体で魚捕りする?」
 それはちょっと見てみたいな。とリュカが言った。景雪は考え込んだ。
「……今日は、やめにしておくよ。もっと大切なときのために、とっておくから」
 そう。考え込んだ末に景雪は言うと、
「……なるほど」
 と、リュカは言葉も、表情も少なめに、頷いた。その顔からは感情はうかがえなかったが、声は柔らかかった。
「りゅかさんは、つりが得意なのかな? よければこつをおしえてほしいよ」
「ん、わかった」
 任せろとリュカは頷く。景雪もわらった。そして、
「……悲しいことだけど、それでも、姫のことを思い出せたのはよかった。きっと姫も、ほめてくれるよね?」
 青い空を見上げて、ポツリと小さく呟いた。
「……魚はつれなかったけど」

大成功 🔵​🔵​🔵​

垂没童子・此白
…無理をした事、サトーさんに叱られちゃいました
木蔭で一休みしてから…助けて下さった方にお礼を

見上げれば、青い空に寒桜の花が映えて…
あぁ…此れが、お花見なんですね
とっても、綺麗ですねぇ…サトーさん…

リュカさんをお見掛けしたら…ぜひお話を
そのマフラーと、私の着物…柄が、お揃いですね
お星様…お好きなんですか?

…座敷から出て、満天の星空を眺め
美しさに涙を流した事を、思い出します…

お星様も、桜の花も…此の世は綺麗なもので一杯で…
其処に暮らす人達もまた、素敵な方ばかり
光溢れる世界を守る為、此の力を役立てる事ができる
だから私は…とっても幸せです
リュカさんは、いかがですか…?

ゆったり…穏やかな時間を過ごします



 此白が助けてもらったお礼を言うと、その人はなんでもないことのように助け合うのが当たり前だと笑った。
 だから此白は、そっか。と、木陰で腰を下ろして穏やかに天を見上げた。
 これが当たり前のことだったなら、なんてこの世界は優しくて幸せなのだろう、と。
「……ん?」
「あ」
「どうしたの。疲れた? 大丈夫?」
「ああ、いえ」
 そこにつりの途中だったのか、通りがかったリュカが声をかけるので、此白は首を横に振って、
「……無理をした事、サトーさんに叱られちゃいました」
 と、笑った。リュカが隣に座ると、此白がその「無理をしたこと」を説明して、
「なるほど。大事にされてるんだね」
「大事に……そうですね」
 ぎゅっと桐箱を握り締めて、此白は頷いた。それから少し話をした後で、
「そのマフラーと、私の着物……柄が、お揃いですね。お星様……お好きなんですか?」
「ああ……。そうだね。多分好き。空見てると落ち着くし」
「私も……星空を見ていると、座敷から出て、満天の星空を眺めて、美しさに涙を流した事を、思い出します……」
 そうです。そうなんです。と、此白は言葉を続ける。語りかけるように。かみ締めるように。
「お星様も、桜の花も……此の世は綺麗なもので一杯で……其処に暮らす人達もまた、素敵な方ばかり。私は……私は、そんな光溢れる世界を守る為、此の力を役立てる事ができる。だから私は

……とっても幸せです」
 幸せです、と強く此白入った。先ほど見た鈴の音が呼ぶ幻を思い出していたのであろうか。天を見上げると本当に、幸せそうに微笑んだ。
「リュカさんは、いかがですか……?」
 その言葉に、リュカは少し首をかしげて、
「……さあ。俺は難しいことはわからないけれども、今日は魚がたくさん手に入ったから幸せだよ」
 そう、微笑んだ。そのたくさん手に入った魚をすり潰して色々台無しな保存食に仕上げてしまうのはさておくにしても、本人的には満足だといった。
「……それは……とても、よいことですね」
「ああ。そうだな。それに今日は日も温かいし天気がいい」
 言われて此白は天を見上げる。青い空に寒桜の色が痛いほどよく映えた。
「あぁ……此れが、お花見なんですね。とっても、綺麗ですねぇ……サトーさん……」
 これもまた幸せなんですね。と、此白はいった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

飾磨・霜琳
俺はキンと冷えた冬の空気が一等好きだが、見るなら花鳥の鮮やかなのがいい。
ひと仕事した後にこの景色はたまらねぇ褒美だな。

鳥の声やせせらぎの音を楽しみつつ
懐から矢立の細筆と画帳を取り出して、釣り人に紛れて景色を絵に描く
近寄ってもよさそうなところに寒桜があれば、花をよく見て詳細に描き込もう
せっかくきれいな花を見たんだ、次の簪を作るのに、しっかり描き残して覚えておかねぇとな

もうしばしで春か。
つい先頃年を越したと思ったら、季節の巡るのは早いもんだなァ。



 鳥の声がせせらぎに混じって聞える。
 喧騒を遠くに。霜琳は静かに川の景色を眺めた。
 川べりを鴨が泳いでいる。
 猫でも上っているんどあろうか。桜の木の枝が揺れて花びらを散らしていた。
 静かに冷えた空気は徐々に日が昇っていくのに沿うように、花が開くように緩みかけていく。
 そんな、奇跡の隙間のような一瞬に身を置けることを、
「ひと仕事した後にこの景色はたまらねぇ褒美だな」
 俺はキンと冷えた冬の空気が一等好きだが、見るなら花鳥の鮮やかなのがいい。と。
 そういって霜琳は画帳を取り出した。
 はしゃぐ声が聞えてくる。釣りをする猟兵たちが遊んでいるのであろう。
 それもほほえましい風景のひとつであり。
 その声に逃げるるように鴨が水面を渡って地っていく。
 そこにもまた風情があった。
 そして霜琳は特に念入りに、手近にあった寒桜を、よくよく見つめて書き込んでいく。
「せっかくきれいな花を見たんだ、次の簪を作るのに、しっかり描き残して覚えておかねぇとな」
 どうやら好みはすっかり九代目らしい。と自分の言いように霜琳は自分で内心微笑んだ。
「継いでいく。なんて傲慢かねぇ。……だが」
 ふと手を止めて、霜琳は天の桜を仰いだ。
「……もうしばしで春か。つい先頃年を越したと思ったら、季節の巡るのは早いもんだなァ」
 この季節をいつまでも、簪にとじこめて繋いでいきたいと。
 霜琳は再び画帳に目を落とした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

カノ・エクセクオール
川辺で寒桜を眺めながら、ゆるやかなひとときを
せせらぎと澄んだ空気が心地良い

折角だからと、見様見真似で糸を垂らしてみたけれど…うんともすんとも
釣りの知識なんて皆無なの
棒に糸を足せば何とかなるかと思ったのだけれど、ふふふ

――あら。ねえ、そこのグリモア猟兵さん?
リュカさんへ声を掛けられたなら
お疲れさまと一緒に、尋ねてみるわ

釣りって、如何すれば良いのかしら?
…ええ、まぁ。場の勢いだから、釣れなくても構わないのだけど

わたくし、食べ物にはあまり欲が湧かないの
こんな体だからかしらって、笑って
貴方は?と聞いてみる
伸び盛りなのだから、しっかり食べなくてはね?

…見つかると良いわね。貴方だけの、とっておきのスパイス



 緩やかで。穏やかで。
 心地よいひとときであった。
 そう。ともすれば先ほどの、激闘すら忘れてしまいそうなこの空気。
 カノは流れる桜に目を落として。そしてたらした釣り糸を軽く揺らしてみる。
「折角だからと、見様見真似で糸を垂らしてみたけれど……うんともすんとも。釣りの知識なんて皆無なの」
 それからそう。柔和な表情で貴婦人のようにいった。
「棒に糸を足せば何とかなるかと思ったのだけれど、ふふふ」
 それから、
「――あら。ねえ、そこのグリモア猟兵さん? 釣りって、如何すれば良いのかしら?」
 お疲れさま、とリュカに声をかけると共に、そんなことを口にした。
「……ああ」
 先ほどの。「せっかくだから」のあたりから、聞くとはなしに聞いてしまっていて、
 どう声をかけるべきか悩んでいたリュカも、それに促されるように隣に座った。
「かして。その棒」
「あら。ありがとう」
「ここをね。こうして……」
「ええ。ええ」
「生餌平気?」
「あら。わたくしがそのような、か弱い乙女に見えるかしら?」
「見えるから聞いてる」
「まあ。それは嬉しいことね。ふふふ」
「……ちゃんとしないと釣れないよ」
「……ええ、まぁ。場の勢いだから、釣れなくても構わないのだけど」
「……」
「ごめんなさいね。わたくし、食べ物にはあまり欲が湧かないの。こんな体だからかしら」
「こんな体?」
 二人して腰を下ろして、リュカが首をかしげる。カノは微笑んだ。そっか。とそれだけで、わかっているのかいないのか。リュカも頷いた。
「じゃあ、なんで釣りなんかしてるの」
「そうね……天気がいいからかしら。お花も綺麗だし」
「……なるほど」
「貴方は? 伸び盛りなのだから、しっかり食べなくてはね?」
 しっかりいただいてるよ。なんて何の面白みもない返事があった。そういえば。カノは一番最初の会話を思い出す。
「……見つかると良いわね。貴方だけの、とっておきのスパイス」
「……」
「意味がわからない?」
「うん」
「そのうちわかるわよ」
「そのうちねえ……」
 リュカはあんまり信用していない風だったので、カノは笑った。
「そうよ、そのうち」
「お姉さんは見つけてる?」
 リュカの言葉にカノは首を少し傾げてから……そして答えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イア・エエングラ
水の底に、沈んでも。
瞼の裏に、消えずとも。
……美しい景色は美しいもので、微睡む昼下がりの光景は、
しあわせと象るにふさわしいものだから
僕のいるのが、どこだったのか
わからなくなってしまうねえ

長閑に寒桜の花弁が流れるたもとで釣り糸垂らそ
まあ僕は釣る気もないんだけど
待っているのは、楽しいものな
揺れる水面に糸が光を返すのを眺める一時に息吐いて
流れる花弁を目で追いながら過ぎる時間はとても穏やかで
小唄口遊んで、水音が跳ねるのを待っているの

やあ随分しあわせな、夢の見られそうな心地だこと
そうしてそっと、目を閉じるよ



 そして。
 イアの思いはまた水の底に沈むことになる。
 救った景色に沈む人はいない。
 ただ、きらきら光る水面と、
 時折遠くに聞える猟兵たちの遊ぶ声。
 跳ねる魚に、美しい鳥。
「……美しい景色は美しいもので、微睡む昼下がりの光景は、しあわせと象るにふさわしいものだから。僕のいるのが、どこだったのか。わからなくなってしまうねえ」
 歌うように言って、イアは目を閉じた。
 やっぱりまぶたの裏にはあの姿。
 しょうがないので目を開けて、のんびり花弁が流れるたもとで釣り糸をたらす。
 釣る気もない糸がゆらゆらと揺れていた。
「待っているのは、楽しいものな」
 穏やかな日差しの中で、イアはそう呟いてみる。
 応えるように水面に糸が光を返し、ふ、とイアは息を吐いた。
 代わり映えもない穏やかな空気。花弁が流れる美しい水面。
 イアが小唄を口にすると、魚が鈍い色をして。イアの釣り糸の真横で元気に跳ねた。
「やあ随分しあわせな、夢の見られそうな心地だこと……」
 呟いて。イアはそっと目を閉じた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フレズローゼ・クォレクロニカ
🍓【🌸🍓+🐟】
アドリブや絡み歓迎

寒桜も綺麗な釣り日和!
血色のキミも綺麗だけど
櫻宵……痛い?釣り大丈夫?なんて涙目

突然リルおにいちゃが現れてビックリ
魚の前にリルおにいちゃが釣れた!

櫻宵
守ってくれてありがと
リルくんにも撫でられて笑顔
傷も治って一安心
2人が仲良く釣りをしているのを見て仲良しだなぁと微笑むもヤキモチも焼く
魚が焼けたらリルくんの前で豪快に魚を食いちぎると心に決める

そんな櫻宵とリルくんを横目に宇宙で出会った友人を探す

リュカくん久しぶり!
釣れてる?と気さくに声をかけ
これ、チョコ!ボクのおやつ、お裾分け!
一緒に食べたかったの!とチョコをあげる!

麗らかな日に笑顔
魚が釣れたら皆で食べるの!


リル・ルリ
【🌸🍓+🐟】に合流
*アドリブ等歓迎

「……」
釣りをと誘われたものの
血濡れの櫻宵と泣きそうなフレズを見つけたならば
ざばっと川から上がり

「バカ櫻宵!またこんな怪我して!」
鰭ビンタ
どれだけ心配させれば、なんて声をつまらせ――流す泪、『泪の歌』でその傷を癒す
「……このままでは釣りどころではないだろ。フレズも心配してるし無茶はしないで」
大方、フレズを守ろうとしたんだろうけど
フレズを撫で大丈夫と安心させ

櫻宵の笑顔にため息1つ
釣竿を受け取る
「釣り教えて。僕は魚を捕まえるのが下手でね。困ってたんだ」
ゆっくり釣糸を垂らし
見つめる先は糸ではなく君

フレズはお友達とお話かな?
こういう穏やかな日が
幸せって言うんだね


誘名・櫻宵
🌸【🌸🍓+🐟】
アドリブ歓迎

うん!いい天気に寒桜ね
さ、フレズ!魚釣りしましょ!沢山釣って焼いて食べるの
楽しみでしょ?リルも呼んだのよ
血濡れ姿もそのままに釣竿を片手にはしゃぐ
フレズ、このくらい大丈夫よ!

……?!
リル!そんな所にって、痛いわ!
突然の鰭ビンタと泪に、うっと息を詰まらせる

ご、ごめんなさい
怪我しないですむようにあたし、もっと強くなるわ?
怪我が治ればリルに笑顔で礼をそれからリルに釣竿を渡して釣りよ!

あたし、釣りって好きなのよ
初めての彼に釣り方を教えて
糸を垂らす
釣れるといいわね!

とことこ歩くフレズにはあんまり遠くに行かないのよと声をかけ

そうね
あたしは幸せよ
釣れたらお魚皆で食べましょうね



「櫻宵……痛い? 釣り大丈夫?」
 川辺の桜の下で、フレズローゼは涙目になりながら櫻宵を見つめた。
「このくらい大丈夫よ! いい天気に寒桜だし、さ、フレズ! 魚釣りしましょ! 沢山釣って焼いて食べるの! 楽しみでしょ? リルも呼んだのよ」
 対照的に櫻宵はハイテンションだ。先の戦闘から血まみれになっていたが、まったく自分は気にしていない風。釣竿を持って飛び跳ねるような勢いの櫻宵に、
「うん。血色のキミも綺麗だけど……」
 普段なら寒桜も綺麗な釣り日和! とフレズローゼも喜んでいたところだけれど、さすがにそのときはしゅんとしていた。……そこに、
「バカ櫻宵! またこんな怪我して!」
「……?!」
 ざばっ。と水から姿を現したものがいた。釣りにと二人に誘われたリルであった。リルは血まみれの櫻宵の姿と泣きじゃくるフレズローゼの顔を見て、そして問答無用で櫻宵の顔を鰭ビンタで

ひっぱたいた。
「フレズを! こんなに泣かせて!」
「リル!そんな所にって、痛いわ!」
 ばしばし、びしびし、
 攻撃に櫻宵はたじろぐ。
「どれだけ、心配させれば……っ」
「ご、ごめんなさい。怪我しないですむようにあたし、もっと強くなるわ?」
「そういう問題じゃない!」
「うぅ、ご、ごめんなさい……」
 さすがに心底反省したような櫻宵のこえ。そしてリルは癒しの歌と共に涙を流す。
「……このままでは釣りどころではないだろ。フレズも心配してるし無茶はしないで……」
「え、ええ……わかったわ。もうこんな無理はしないわ。……ちょっとしか」
「!」
 櫻宵が両手を挙げると、リルはフレズローゼの髪をなでながら軽くその顔を睨んだが……結局、小さくため息をついた。
「櫻宵は、そういう人だよね……」
「うん。……櫻宵。守ってくれてありがと」
 肩を落とすリルに、フレズローゼも少し微笑んで。そしてもう一度、心から頭を下げた。
「どういたしまして。……さ、これで話は終わり! 釣りよ!」
「……ふふ、魚の前にリルおにいちゃが釣れた!」
 櫻宵が気持ちを切り替えるように言うと、フレズローゼも笑って拳を固めた。それでリルもため息をついて、
「釣り教えて。僕は魚を捕まえるのが下手でね。困ってたんだ」
 と、釣竿を受け取った。
「そうなの? あたし、釣りって好きなのよ。ここをこうして……」
 リルの言葉にとたんに櫻宵は嬉しそうに笑う。そして再びはしゃぎながら彼の釣竿を手に取った。
「こうしてね、こうして……」
「うん」
「こうよ!」
「うん?」
「ねえ、聞いてる?」
「え……っとちゃんと見ていたよ」
 不意に聴かれてリルは瞬きをひとつした。見ていた、とは、釣りではなく真剣に語る櫻宵だったのだが、それは言わない。
「そう? まあいいわ。釣れるといいわね!」
 それを知ってかしらずか、櫻宵も可笑しそうに笑った。その顔に、
「……こういう穏やかな日が、幸せって言うんだね」
 思わず、リルが呟くと、
「そうね、あたしは幸せよ。釣れたらお魚皆で食べましょうね」
 櫻宵も、とても嬉しそうに笑った。
「……」
 むぅ。と、そんな二人を見ていてフレズローゼは微笑んだ。微笑んだのだがなんだか変な感じの顔になった。
 二人とも大好きで仲良しで嬉しいけど、なんだかちょっと二人の仲良しさ加減にやきもちを焼いてしまったりもしたりして。
「あ、リュカくん! 久しぶり!」
 フレズローゼは周囲を見回すと、友人の姿が目に入って走り出した。
「お友達とお話かな?」
「あんまり遠くに行かないのよー」
 フレズローゼの内心を、多分知らないのだろう。リルと櫻宵の暢気な声にフレズローゼの足は速まるのであった。
「釣れてる?」
「大漁。しばらくは食事に困らない」
 表情少なめに、少し弾んだ声音でリュカが言った。おお、とフレズローゼは歓声を上げて、
「じゃあねじゃあね。休憩!これ、チョコ! ボクのおやつ、お裾分け! 一緒に食べたかったの!」
 持っていたチョコレートを差し出した。
「いいの?」
「うん! あっちにいこうー」
「友達は?」
 リュカが言うと、フレズローゼはふわりとその場で一回転し、
「休憩したら戻るんだ。それでね、魚が釣れたら皆で食べるの! いい感じに焼けたらリルくんの前で豪快に魚を食いちぎってやるんだよー!」
 ものすごく豪快に魚を食べる真似をして決意表明をするのであった。詳しく、とリュカが言うと、フレズローゼもじゃあ、食べながらねー。なんて笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

榎木・葵桜
POW
リュカちゃん(f02586)と、他の方お誘いして
釣りできたらいいなって思うよ
マグロ釣れるといいよね…え、無理?
んじゃね、とにかくおっきいの!釣りたいよね!

私は今回が初めてなんだけど、
田中さん(サモニング・ガイストで召喚する霊)に
釣りに詳しいみたいだからちょこっと教わったんだよ
うちの田中さん、秘密の田中さんなんだよー

(喜々として話し釣り糸を垂れ)

リュカちゃん、人生って難しいよねぇ?
後悔することも多いしさ

(その動きを追いながら、ぽつりと、けれどしみじみと)

でも、私、思うんだ
後悔そのものが悪い事じゃないって
その時があったから、今があると思うから
だから、ずっと、ちゃんと覚えておこうって思うんだ



「マグロ釣れるといいよね……え、無理?」
「むしろどうして釣れると思ったの」
「んじゃね、とにかくおっきいの! 釣りたいよね!」
 葵桜が張り切って言うと、リュカは一度その手元に目を落として、
「……」
「あ、今案外、ちゃんと出来てるなって思ったでしょー。田中さんが釣りに詳しいみたいだからちょこっと教わったんだよ」
 うちの田中さん、秘密の田中さんなんだよー。と、胸をはって葵桜は釣り糸を揺らした。
「ふうん。釣れるといいね。マグロ」
「もー。わかってていってるよね?」
「まあ、わりと」
 わざと頬を膨らませる葵桜。リュカは肩をすくめて桜の木の幹に体を預けた。
「やらないの?」
「休憩。お手並み拝見」
 ええ。なんていいながら葵桜は水面に視線を落とす。
「リュカちゃん、人生って難しいよねぇ? 後悔することも多いしさ」
 少しの間、そうしていて。
 葵桜はふと、そんなことを言った。
「でも、私、思うんだ」
「何て?」
「後悔そのものが悪い事じゃないって。その時があったから、今があると思うから……だから、ずっと、ちゃんと覚えておこうって思うんだ」
「……ふうん」
「淡白な返答ー」
「いや、人それぞれだなって思ってさ」
「リュカちゃんは、後悔ってある?」
「さあ」
「えー」
「葵桜お姉さんは?」
「秘密ー」
「えー」
 気の抜けた会話が続く。なんとはない話を、なんとはなく二人で続けていく。そんな穏やかな時間であった。
 ゆっくりと光を弾く水面に、桜の花弁が流れていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

陰白・幽
無事に事件が解決してよかったよ~。さて、ボクはのんびりとしてーお魚さんをつっていこうかな~。目指せ~大物だよ~。

つり道具は戦闘でも使ってた鋼糸の先に針とえさを付けて大物を狙っていくよ~。
魚を釣るためには心を……気持ちを無にすることが大切だから~無にして魚を釣っていくよ~
無になれ~、無になれ~…………すぴー、すぴー……はっ!集中しなくては……し、しゅ~……すぴー、すぴー。

……ふわぁ~……ん~……ひいて……引いてる!
落ち着いて引けば、大丈夫……かな~?

魚が釣れたらものすごく喜びます。
もしも魚が釣れたときは、料理をする人たちに提供するのも良いかもだね、釣れてないときはつまみ食いをしにいこっと。



 幽には作戦があった。
「無事に事件が解決してよかったよ~。さて、ボクはのんびりとしてーお魚さんをつっていこうかな~。目指せ~大物だよ~」
 うららかな日差し。おっとりした口調。
 まるで午後の微笑ましい景色に相違ない、という感じであったのだが……、
「これこれ。これで大物を狙っていくよ~」
 徐に幽が取り出したのは、戦闘にも使用していた鋼糸だった。
 そう。普段からしてあんなものやこんなものを捕まえたり絞め切ったり人によってはそのままくいっと絞め殺したりちょん切ったりする、あれである。
「ふふ~。これはこれは。いっとうしょうまちがいなしかな~?」
 その鬼やら妖怪やらをあれやこれやする糸の先端に、器用に幽は餌を取り付けると水辺にぽぽい~っ。と投げる。
「魚を釣るためには心を……気持ちを無にすることが大切だから~無にして魚を釣っていくよ~」
 しかし今それに突っ込む人もいない。そして垂らしてしまえば案外いい案かもしれない。と、幽は自分で自分に大変満足していた。糸の端を握りながら、幽は少し大きめの岩に腰を下ろして、
「無になれ~、無になれ~」
 無とはなんだろう。と、聞かれると答えられたかはわからないのだが、
 幽はそっと目を閉じて呪文のように呟くのであった。
 そして……、
「…………すぴー、すぴー……はっ!集中しなくては……し、しゅ~……すぴー、すぴー」
 うつら、うつらと幽の頭が揺れた。
 もしかしたらある種予定通りなのかもしれなかった。
「……ふわぁ~……ん~……もうちょっと……もうちょっと……。おふとん引っ張らないで~……ひいて……引いてる!」
 はっ。
 幽は顔を上げた。引いてるどころの騒ぎではない。幽の持つ糸が結構な強さで揺れている。
「落ち着いて引けば、大丈夫……かな~?」
 これは大物かもしれない。と、思わず目を輝かせる幽。えいえい。えいえい。と、引っ張り込んで、
「ふぁ~。ちょっと、おもたいな~」
 ぐぁっ!
 と。
 口調とは裏腹に、幽は思いっきり糸を引っ張った。
 やっぱり普段からしてあれやこれやそれやをしている糸なので、丈夫でとっても扱いやすかった。
 抵抗と共に一気に幽の手から魚が引き上げられる。反動で幽はころりと背中から転ぶ。しかし魚もまた一緒日常に投げ出される。水滴を纏ったかなり大き目の一匹が、きらきらと空を泳いだ。
「うわぁ……!」
 ぱぁぁぁぁっ。と目が輝いて幽は手を伸ばしてキャッチする。抱えるほどの大きさの魚をもって、
「すごいすごい。やったー……!」
 さて。どこにもって行って料理してもらおうか。と思いをめぐらせるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイブル・クライツァ
もし都合が良かったら、リュカさん(f02586)を誘ってみようかしら?
引っ張りだこ状態だったら、黙々と1人で過ごすわ。

釣りは忍耐の修行になるって良く聞いていたわ。
小さい物だと味噌汁か、天ぷらが甘味が引き立つし、ふわふわ柔らかくて美味しいのよ。
大きい物は鮎で、塩焼きかポン酢かで争いになったりするみたいだけれども、そんな経験は無いかしら?
誰かと話したりして食べるのも、また新たな味に出会えると思うのよ。
私は…白身魚のお刺身を野菜と一緒にして、ドレッシングをかけて食べるカルパッチョが好きよ?
新鮮だから味わえるって事で、張り切って釣らないとね?
食べ物の話ばかりしていたら、何だかお腹が空いてきちゃうわね。



「あら。お忙しそうね。大量だわ」
「そうかな。保存食にするからまだ足りないんだ」
「あら。じゃあ少しここに座っていきましょうよ。折角だから」
「うん」
 レイブルがそういってリュカは隣に腰を下ろした。
「釣りは忍耐の修行になるって良く聞いていたわ」
「待たなきゃいけないから?」
「ええ。そうよ」
 そんな風に答えて、レイブルはそっと目を伏せる。
 穏やかな日だった。冬だからそれなりに寒かったけれど、黒いヴェールを浚う風はどこか心地よさを感じさせた。
「此処は……此処なら、穏やかに過ごせるかしら」
 水面を見ながら、レイブルはぽつんと呟いた。リュカは横目で彼女のことを見る。
「そうだね。脅威も去ったし、この近くの村なら、きっと穏やかに過ごせるだろうね」
「そう……きっとね」
 二人とも。
 住むつもりなんて多分まったくないのだけれど。穏やかな声でそれはいいことだといいあった。
「ところで……保存食って言ってたわよね」
 ぽつぽつとした会話のついでにレイブルが聞いた。リュカが答える。
 その製法と、その味を聞くと、レイブルは押し黙った。なんと言うべきか言葉を探している風であった。
「……小さい物だと味噌汁か、天ぷらが甘味が引き立つし、ふわふわ柔らかくて美味しいのよ」
 結局彼女は、そういうところから話を始めた。
「大きい物は鮎で、塩焼きかポン酢かで争いになったりするみたいだけれども、そんな経験は無いかしら?」
 ない。と彼は答えた。
 食事とはバイクに燃料を補給するようなものであり、大事なのはそのバイクでどこに行くかであって食事自体を楽しむ必要はないと。
「……誰かと話したりして食べるのも、また新たな味に出会えると思うのよ」
 ならば。レイブルは考える。考えた末に言う。
「味に出会う?」
「そうよ。私は……白身魚のお刺身を野菜と一緒にして、ドレッシングをかけて食べるカルパッチョが好きよ?」
「んー」
 ぴんと来ないらしい。それで彼女は、
「やってみる?」
 と言った。
「……やってみる」
 リュカは答えた。それでレイブルは大いに頷いて、
「新鮮だから味わえるって事で、張り切って釣らないとね? 食べ物の話ばかりしていたら、何だかお腹が空いてきちゃうわね」
「つりはそれなりにできるから。お姉さんには料理を任せるよ」
「あら。ふふ、わかったわ。頑張ってみるわね」
 任せて、と彼女は言った。きっと腕の振るい甲斐があるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
リュカに声をかけるね
つりってどうやってするかしってる?

すでに釣糸を垂らした状態で聞く
餌も何もつけていない

リュカも座らない?
さくら、きれいだねえ
ともだちの目の色に似ているし、桜はだいすき
ひらひらゆらゆら
風が桜を揺らすのを見てたら、なんだか…
うつらうつら

んん、なんかつんつんされて…(むにゃ
はっ)つりっ
思い出してあわあわと魚を引こうと
あれ、重い
りゅ、リュカ~!(ヘルプ求める声)

※釣れたかはお任せ

あ、いいにおいするっ
リュカ、おすそわけしてもらいにいこ
お手伝いお手伝い

おいしいねえ
にこにこ味わいながらリュカの様子を見て
おんなじ味に思えても、おいしければいいんだよ

おいしいとしあわせってなんだか似てるもの
ふふ



「あのね、あのねリュカ」
 オズが声をかけたこのとき、リュカはもしかしたら、ひょっとしたら、多分、きっと、
「つりってどうやってするかしってる?」
 そうじゃないかなって、思ってたのだ。

「……餌は?」
 なのでリュカは真っ先に聞いた。
「えさ? ご飯のことだよね。ううんまだー」
「いやだから……まあいいや。釣り糸かして」
「? はーい。どうぞ」
「ちょっとあっち向いてて」
「???」
 オズが横を向いている間に、手早くリュカはミミズを生きたままぶっさしてそれがオズの目に入る前にさっさと水面に投げ込んだ。
 ……自分でも、若干過保護感を感じながら。
「ほら、これもって。これで釣れると思う」
「わ~。ありがと~。ね、ね、リュカも座らない?」
「わかった。わかったから。はしゃいだら落ちるよ」
 リュカは隣に腰を下ろす。ついでに自分の釣竿を川に投げ込んだ。
 後はただのどかに待つだけである。水の流れる音を聞きながらのんびりとオズは口を開く。 
「さくら、きれいだねえ」
「ああ。こうして眺めているだけで、少し落ち着く気がするから不思議だ。……桜は好きなの」
「ふふ。ともだちの目の色に似ているし、桜はだいすき」
 ひらひらと散る花びらを目で追って。ゆらゆらとゆれる釣り糸の感触を指先で感じながら。
「ん……。それでね、それでね……」
「ああ……それで?」
 穏やかな会話。ふ、と。その風に揺れる桜を見ていたら、オズの頭がだんだん揺れてきた。
「んん、なんかつんつんされて……。もう、食べられないー……」
 なんだかよくわからないことを言っていたら、
 ぐいっ。と、糸が引かれた。
「………………………………………………………つりっ!!!」
 はっ。と勢いよくオズは顔を上げた。よだれなんてたらしてない。隣でリュカがびっくりして、思わず武器に手をかけるところだったが、
「あれ、重い。りゅ、リュカ~!」
 すぐにオズが竿を引っ張るのを見て、待ってろ、とリュカも手を伸ばした。

「……うう、お腹すいたー」
「え……っと」
 オズがしょんぼりして呟いた。リュカがどう声をかけるべきか悩む。だが次の瞬間には、
「あ、いいにおいするっ。リュカ、おすそわけしてもらいにいこ! お手伝いお手伝い~」
 もう明るくなっていた。お手伝いした後でおすそ分けを貰おうという魂胆であったという。

「おいしいねえ」
「……そうか」
 貰った焼き魚を齧りながらオズは笑った。
「よくわからない」
「おんなじ味に思えても、おいしければいいんだよ」
 そういわれて、真面目に考え込むような間があった。
「おいしいとしあわせってなんだか似てるもの」
「……じゃあ、楽しいは?」
「たのしい?」
「美味しいはよくわからないけれども、楽しいはわかる。今がそうだよ」
「……ふふ。たのしいもしあわせとなんだか似てるとおもうよ」
 そうか。って二人は顔を見合わせて。小さく頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鏡島・嵐
戦いが終わって。
これで綺麗な風景が楽しんだり、釣りで緩やかな時間を過ごせるはずなのに。
釣り糸を垂らそうとして。
でも、風景を見上げて涙ぐんでいるおれがいる。

戦いの最中に昔の悔いを思い出したからだろうか。
最後に仲間を庇った時の危険や恐怖を、今になって反省したからだろうか。
それとも寒桜の風景が、おれのそんな憂いを優しく癒してくれるからだろうか。

今のおれにはわかんねぇけど。
ただ一つ、心に決めたことがある。

戦うのが怖いままでもいい。
おれ、少しだけ、強くなろう。ほんの少し、ちょっとずつでいいから。
――自分よりきっとずっと強いはずの、リュカや他の皆の姿を眩しそうに見て、そんな風に考える。



 そうしてた戦いは終わった。
 世界は、平和になった。
 嵐は、空を見上げた。
 びっくりするくらい澄んだ青い色が視界いっぱいに広がっていた。
 星空とは違う。
 どこまでも雲ひとつない。ただただ穏やかなその色に。
 嵐は思わずほんの少し、涙ぐんでいた。

 使おうと思っていた釣竿は未だ手の中に会って。
 嵐はそれをぎゅっと握り締める。
 それは戦うための道具ではなく、
 穏やかな日を過ごすための道具であった。
 ここに戦いはない。苦しみはない。
 なのになぜこんなにも、青い色が目にしみるのか。
 戦いの最中に昔の悔いを思い出したからだろうか。
 最後に仲間を庇った時の危険や恐怖を、今になって反省したからだろうか。
 それとも、
 青空にかかる寒桜の風景が、おれのそんな憂いを優しく癒してくれるからだろうか。
「ああ……」
 答えはない。どこにも。
 だからこそ、この世界はこんなにもきれいなんだ。

「……今のおれにはわかんねぇけど。ただ一つ、心に決めたことがある」
 ぽつ、と口に出して呟く。
 その声が、かすかに震えていた。
 その理由も、やっぱり嵐にはわからない。
「戦うのが怖いままでもいい。おれ、少しだけ、強くなろう。ほんの少し、ちょっとずつでいいから」
 遠くで猟兵たちがはしゃぐ声が聞えている。
 戦うべきを戦い、そして楽しむべきを楽しんでいる。そんな――自分よりきっとずっと強いはずの、ひとたち。
 その姿を遠い視界に納めながら、
 嵐は小さく頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御剣・刀也
POW行動

さて、折角の川だ
大物中の大物、主釣りに挑ませてもらおうかね


主を釣るため釣り糸を垂らす
主を釣るまであきらめず糸を垂らす
釣った魚は大物、小物に関わらずリリース
もし主を釣ったとしてもリリース
主以外だったら
「ほら、戻れ。二度も釣られるなよ」
主だったら
「良い勝負だった。またいつか勝負をしよう」
と川に戻す



 刀也は静かな場所にどっかりと腰を下ろした。
 そして目を閉じて呼吸を整える。
「さて、折角の川だ。大物中の大物、主釣りに挑ませてもらおうかね」
 静かに。静かに刀也はそういって。
 そして新たなる戦場へと意識を沈めた。

 途中。小物を捕っては川に戻し。
 途中。そこそこの大物を捕っては川に戻した。
「ほら、戻れ。二度も釣られるなよ」
 どちらもかける言葉は同じであった。魚たちがどう思ったかはわからないが、刀也は未練に思う様子もなく釣り糸をたらし続けた。
 狙うは一匹。ただひとつ。
 猟兵たちの声も。おいしそうな魚を料理するにおいも。
 全ては届いているが、どこか遠い世界のようであった。
 そして……、
「……!」
 そのときがきた。水面の影はかつてないほどに大きく揺らいでいる。竿の重さもこれまでとは比べ物にならない。ぐいぐいと引っ張るその力は、気を抜くと水の中に引きずり込まれそうであっ

た。
「せい!」
 声を上げる。
 もしかしたら猟兵としての力を使えば、一瞬で勝利することが出来たかもしれない。
 けれども、刀也はそれをしなかった。
 純粋な力比べはしばしの間続いた。そして……、
「この一本に一擲をなして乾坤を賭せん!!」
 刀也が吼えた。そして釣竿を全力で引いた。水面から魚が姿を現した。それは、明らかに常軌を逸した。つまりはものすごく大きくて立派な一匹の魚。川のヌシであった。
 刀也はそれを見上げ、思わず口の端をゆがめて笑い手を伸ばし。そして……、
「……良い勝負だった。またいつか勝負をしよう」
 丁寧に釣り糸を外して川に返した。
 勝負が出来ればそれで満足であった。
 やっぱり、魚たちがどう思ったかはわからない。
 ただ、巨大な魚は一度水面を叩いて跳ね。
 そして再び、水の底へと消えていった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月03日
宿敵 『幸せを喰らうモノ』 を撃破!


挿絵イラスト