逢魔(作者
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#カクリヨファンタズム 


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#カクリヨファンタズム


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●逢魔
 地に一刀、刃が注ぐ。それが異変だと気付く前に、吹き出した霧が全ての仲間を眠らせる。満ち足りた表情に満足気な笑みを浮かべ、更に刃を呼び寄せる。一つ一つが意思を持つかのように荒れ狂い、吹き荒ぶ。白銀一色の世界に、骸魂が幸福な夢を見る妖怪を飲み込んでいく。
 世界に有るは黄昏白刃、逢魔ヶ刻に、骸の魂が歪に笑う。

●グリモアベース
「もう行った人も居ると思うけど……新しゅう見つかった世界が滅び掛けとるみてえでな……どうか、手を貸して欲しい」
 海神・鎮(ヤドリガミ・f01026)は真摯に頭を下げ、猟兵達に協力を願い出る。
「と、資料を渡さんとな。新しゅう見つかった世界の名前は、カクリヨ・ファンタズム。過去の遺物で組み上げられた、妖怪が暮らしとる世界じゃな。人は居らん。俗に言う幽世じゃな」
 理由として、この世界はUDCアースに隣接していると言うのが理由らしい。また、骸の海の狭間に有る事を資料を捲りながら説明する。
「昔は共存しとったらしいけど、文明発達に伴って人には見えん様になって行ったみてえじゃな。食糧が感情じゃけー、飢餓で絶滅しかけとったらしい」
 その上で、この世界に辿り着けず死んだ妖怪は骸魂となり、生前に縁のあった妖怪を飲み込んでオブリビオンとなる事を説明する。
「この骸弾を倒しゃあ、元の妖怪は救出出来るけー、安心してな。後、世界地図とか無え上に、古代から現代までの文明様式が混在しとって、半ば迷宮化しとる。オブリビオンが出現すりゃあ、更に周辺を迷宮化するけー、誰も全容とか把握しとらん」
 長くなってきたと、一度湯呑みを傾け、一息入れた。
「そう、周辺を迷宮化する。まるで、世界が滅びとるみてえに飲み込むんよ。本題じゃ。刀が嵐の様に渦巻いて、世界が終わりかけとる。救って欲しい。宜しく頼む」
 発生したオブリビオンは配下を連れ、幾つかの拠点を築いている様だ。まずはそれを見つけ出す所からとなる。
「結界みてえなもんとは言え、範囲が広えけー、この拠点を探す所からになる。ただ、展開されとる霧が厄介でな」
 立ちこめているこの霧は、猟兵に有り得ない程に満たされた、蕩けるように幸福な夢を見せる。
「気を強う持って望んで欲しい。信頼しとるよ。お願いするな」
 鎮はそう言って微笑むと、もう一度深く頭を下げ、猟兵達を送る準備をし始める。



●挨拶
 紫と申します。
 今回はカクリヨファンタズムです。

●シナリオについて
・シナリオ構成:冒険→集団戦→ボス戦です。
・シナリオ目的;首魁の討伐です。

●1章ギミック
・送られた先の世界は首魁によって塗り替えられ、黄昏時の風景に、見えるのは刀の嵐が吹き荒び、地にも同じく刀が突き立っている無情の地です。

・魔法の霧が猟兵を強制的に眠らそうとし【ありえないほどに満たされた、蕩けるように幸福な夢】を見せようとします。プレイングで対策を講じて見て下さい。

・骸魂に飲み込まれた妖怪達は拠点を作っています。余裕が出来そうな猟兵は、拠点の場所を探す様ななプレイングを考えてみるのも一興でしょう。

●その他
・1章毎にopを制作します。
・psw気にせず、好きに動いてみて下さい

●最後に
 なるべく一所懸命にシナリオ運営したいと思っております。
 宜しくお願い致します。
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第1章 冒険 『やさしくてひどいゆめ』

POW自分で自分をぶん殴り、正気に戻る
SPD状況のありえなさを見破り、幻覚を打ち破る
WIZ自身の望みと向き合い、受け入れた上で幻覚と決別する
👑7 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


黒百合・美薔薇
お任せプレイング。お好きなように。
ありえないほどに満たされた、蕩けるように幸福な夢か。ふん、馬鹿馬鹿しい、ボクはそれを与える側の存在だよ。そもそも、夢の産物に心はない、読心術が反応しないから見破るのは簡単だ。
化術でアウラウネ化した黒薔薇が神罰のごとく夢を捕食し蹂躙する。
しかし、いちいち霧に干渉されるのも面倒だ結界術で防ぐとしよう。
さてさて、骸魂に憑かれた連中はどこだろうか?読心術でざわめきの強い方に向かってみようか?


村崎・ゆかり
迷宮探索ならお手の物よ。黒鴉召喚でカラス型の式を放って、四方を「偵察」しながら進むわ。
構造物のようなものを見つけられればよし。
まずそこを目指す。

……霧。甘い夢。
好きな女の子達がみんなであたしを甘やかしてくれる夢かしらね。
普段はツーンとしてるあの子とか、凜とした姿勢を崩さないあのお姉さんとか、こっちの考えを見透かした上ではぐらかすあの子とか。
うん、このまま睦み合いたい。

――って、痛! アヤメ、何でいきなりハリセン振るうのよ!?
たまにいい思いするくらいいいでしょ!
分かったわよ。帰ったらあなたをうんと愛してあげるから。
まずは依頼の完遂が先。あなたも分かってるでしょ?

あー、もっと夢の中にいたかったな。


シーザー・ゴールドマン
「特に午睡を楽しみたいという気分ではないのでね」
魔法の霧は活性化したオド(オーラ防御)で阻み、寄せ付けません。
※幾重にも張り巡らされたオドの表層は『破壊の魔力』に覆われ、防ぐというよりは触れた「霧」を破壊している状態です。

無情の大地を物見遊山気分で闊歩しながら、『創造の魔力』で生み出した偵察用の鳥(の様なナニか)を四方に飛ばして拠点を探します。




●夢の住人(デモン・プリンセス)
「ありえないほどに満たされた、蕩けるように幸福な夢か」
 紫色の髪を刃の嵐が荒々しく撫で上げる。閉じられた瞳に映るるのは、虚像の群れ。彼女、黒百合・美薔薇(決して滅びることのない愛・f28082)の願望以上に幸福な在り方
を見せつけられながら 馬鹿馬鹿しいと、目前の光景を一笑に付す。
 そもそも、心の声が聞こえない虚像に付き合う程、お人好しでも無く、分かりきった表情変化を起こすだけのそれ等、使い魔の蝙蝠にも劣る様な、有象無象から、何の感慨が得られよう。
「馬鹿馬鹿しい。ボクは、それを与える側だ」
 あえて言葉に出すと、幾分か不快感が薄れた。本当に、随分と粗末だ。硝子細工にも心は宿ると言うのに、これあまりにも空虚だ。
 夢に沈むと言う感覚を覚える暇も、この剣風が掠める感覚を忘れさせる程度の、耽溺し喘ぐような声を漏らし、息が絶え絶えになるような、濃密な時間を見せられないとは。
「冒涜に値するね」
 くすりと、妖艶な笑みを浮かべ、姿を変える。美しい薔薇の夢魔の優しく、何処までも冷酷な囁き。黒薔薇を咲かせたアルラウネ。麗しい容姿はそのままに、下半身から足の代わりに、無数の茨を持つ蔦が蠢き、植物色の先端が、化物の様に口を開く。果実のように、内蔵のように赤い内部構造が、涎のように夢を溶かす粘液を滴らせ、周囲の空間を旺盛に咀嚼する。虚像の様な人形も、空も、雲も、建造物も、一切の区別無く、世界に終末を齎す女神の様に、美しき薔薇が笑う。
 冒涜に対する冒涜をもって、罰としよう。恐怖に怯える虚像の腹に茨が食いつき、赤い水分を啜りながら、硬化した内部繊維が肉を食い破る。夢を征服し、大樹の様な、一輪の黒薔薇が艶やかに咲き誇る。
 経過時間は、瞬きする一瞬程、終わらせた後、紫色の瞳が目を開く。薄らとした黄昏が濃霧に煙り、白刃の嵐が煌めいた。
 鬱陶しげに眉を顰めながら、軽く身を浮かせて捌く。これ以上の介入も面倒だと、回避運動を続けながら、指で生命の樹を逆順に描く。10の悪魔の名を囁き、サタンの名を口にすれば、闇の帳が彼女を覆う。絶え間無く飛来する白刃嵐が意図的にズラされた空間に入り込んだ美薔薇を見失う。
「これで良しっと。さてさて、骸魂に憑かれた連中は何処だろうか?」
 住民が全て眠っていると仮定すれば、ざわめきの多い方に足を向ければ出会えるだろうと、軽い足取りで声を辿る。

●甘露
 夢に囚われる前に従者を足早に召喚し、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は黒の三つ編みを揺らし、健やかな眠りに就く。あまりの無防備さに、従者は意図的であることを察しながら、自身の身体を魔力で覆う。分身を作り、小柄な主人に襲来し、降り注ぐ白刃、その悉くを苦無で打ち払う。
「頬が緩むまで、ですからね」
 やや不満げに唇を尖らせる長耳の従者の声は、夢の世界の彼女に届く筈も無く。濃霧の黄昏に、黒装束の影が舞う。
 心地良い微睡みの向こう、馴染み深いUDCアースの放課後で、珍しく彼女の部屋に皆でお邪魔しようと言う話になり、ゆかりに断る理由は無く、快く応じた。晩御飯はどうしようかと口に出すと、照れ隠し気味に辛辣な態度の子が、嘘のように正直に気遣ったので、思わず目を丸くした。言葉で揶揄ってみると、今日はそういう気分になる、良い事があった日なのだとそっぽを向いて答え、それをやや年上の女性が、照れ隠しなど要らないでしょうと、凜とした態度で言葉の一刀で涼やかに、的確に急所を斬り伏せた。そうして、さり気なく、ゆかりを自身の方へ抱き寄せ、静かに独占欲を主張して見せる。
 揺らめいた三つ編みを捉えるように、心の動きを見透かして、今の心地を言い当てるもう一人の子は、好意が無い素振りを見せながら、手を取った。飽くまで友情の範疇である、と言いたい様だった。
 結局の所夕飯はどうするのかとなると、ゆかり以外の皆で作り、食べさせるという流れだったらしい。元々そうだったので、抜け駆けしようとした一人を咎める形だった様だ。食材の買い出しまで、この調子だった。家に着くと、料理は分担して手早く終わらせて、交互に彼女に食べさせようとし、食べ終われば、帰路の時と同じで、皆が皆、くっ付きたがって猫のようにじゃれてくるので、思わず、小さな声で願望を零した。
「そこまで、です!」
 誰かの聞き慣れた声と共に、頭頂部に鋭い痛みが奔る。夢の世界で目眩を覚え、あの子達が心配そうに覗き込む。
「って……痛ッ!?」
蕩ける様な夢に浸っていたゆかりの目が覚醒し、現実の方で二度目の遅れた痛み。従者が山折りにした紙束、ハリセンで眠っていた彼女の頭頂部を叩いた後だった。
「アヤメ、何でいきなり!? 偶に良い思いするくらいいいでしょ!」
「そう仰られるなら、せめて周囲に結界張って下さい!」
「それすると霧ごと遮断しちゃうじゃないの!」
「もう、夢見が良さそうだからって……私だって……」
 因みにハリセンにはきっちりと魔力が込められていて、周囲も分身が未だに白刃の嵐を打ち払っている最中で、何となく寂しそうに自身よりも長身である従者が何やら呟いているのは、それなりに奇異な光景である。
「分かったわよ。帰ったらうんと愛してあげるから! あー、良い所だったのに」
「……良い所だと思ったから、止めたんです」
「何か言ったかしら?」
「いいえ、何も?」
「……まあ良いか。今は依頼が先だしね。あなたも分かってるでしょ」
「心得てますよー。鴉はそのままだと串刺しにされてしまいますし、どう致します?」
「式に結界施すのも非効率的よね……他の猟兵と合流しましょうか」
 52の白一色のトランプを撒き、九字の詠唱と共に印を切る。空間を隔絶させ、刃の嵐から一先ず、身を隠した。

●佇む
「特に午睡を楽しみたいという気分ではないのでね」
 身体のオドを瞬時に活性化させ、突き立つ刀の柄上に降り立ち、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は風景を観覧する。積層に幾重にも編まれた赤のオドが、周囲の霧を破壊し、微睡みを遠ざける。襲来する刀剣の種別を見極めながら、所持している宝物と比べ、真新しくはあるが、取るに足らない屑鉄が殆どだった。どうやら、この舞台の企画者に、刀剣の目利きは出来ないようだ。力による強化は施されており、切れ味自体はそこそこ以上ではある。
 準備運動がてら、刃の嵐を数合、光剣で弾いて見るが、無作為に吹き荒れるだけだった。
「まあ、規模が規模だ。この辺りが限界だろうね」
 スーツの襟を正し、霧を食むオドを調整する。襲来する刀剣、霧すらも片端から魔力に分解し、霧散させていく。シーザーの通った後、霧が入り込まない道が出来ていく。
 大地の感触は土だ、靴が少しめり込む。山土の類、動植物の類の気配は一切無く、風が吹き荒れ、昆虫の威嚇にも似た、刃の擦れ合う甲高い金属音が絶え間無く注ぐ。
 濃霧に包まれた黄金色の大地に、無数の刀剣が乱立しているという光景は、残酷さと怜悧さという、寂寥の美が有った。地獄に通ずる荒涼に、鮮やかな夕陽の黄金色、それを霞ませる白色の濃霧、非現実的な現実の光景は、絵画のみに有る世界に足を踏み入れた気分で、悪くは無い。
「終末を題材にした絵画に足を踏み入れた感覚かな。地獄に近いと思う所為か、少し郷愁に耽ってしまいそうだね」
 実際は微塵にも思っていない戯言だ。切れ長の瞳を細め、近くの気配を辿る。

●合流と拠点
 目立つ赤色のスーツ、悠然と歩む偉丈夫は、遠目でも判別が付く。物見遊山を決め込んでいたその男に、ゆかりは声を掛けた。
「合流出来て良かったわ。少し手を貸して欲しいのだけど」
「構わないよ。この有様では、式は飛ばし辛いだろうしね」
「ありがとう。それじゃあ、お願いするわ。急急如律令」
 黒鴉を結界内で一先ず飛翔させると同時に、シーザーが一つ指を弾く。赤のオドが収束し、鳥に似た生物を作り出す。端々に、悪魔の印象が拭えない造形である。ゆかりの黒鴉と同数作られたそれが、二羽一対のユニットで敵の陣地を探る。それぞれが左右を見張り、視野を広く持つ。
「ん……? 剣以外が飛んでる?」
 心の声に耳を傾ければ、どうやら猟兵である事が分かる。この空を飛べるなら、合流した方が効率が良さそうだと、美薔薇は考えた。視界に捉えた力の流れと、敵意の無さに、二人の方も猟兵で有ると考え、難なく合流する。拠点捜索は物見に頼る方向になったが、美薔薇は、ざわめき、心の声がした方向を大雑把に示した。
 其方の偵察を厚めにし、他方向を薄めにし、それぞれ結界を保ったまま、進んでいく。美薔薇の言うざわめきを頼りに、周囲を絶えず物見で探りながら、ゆっくりと進む。所々空間が捻れている様な感覚はあったが、概ね、通常の方向感覚で進めると言うのは、ゆかりにとって安心できる要素だ。微かだったざわめきが次第に連なって聞こえる様になり、美薔薇が一度、傾国をする。
「これ以上は気付かれそうだ。一度止まった方が良いよ」
「構造自体は複雑じゃ無さそうだけど……この手のって、大体面倒よね」
「さて、どう動こうか」
 待ち構えていたのは朱色の門、山頂に向かって、蛇行、或いは蜷局を巻く無数の鳥居。足下には、ご丁寧に石階段が敷いてある。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第2章 集団戦 『迦陵頻伽』

POW ●極楽飛翔
【美しい翼を広げた姿】に変身し、レベル×100km/hで飛翔しながら、戦場の敵全てに弱い【誘眠音波】を放ち続ける。
SPD ●クレイジーマスカレイド
【美しく舞いながらの格闘攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ ●迦陵頻伽の調べ
【破滅をもたらす美声】を披露した指定の全対象に【迦陵頻伽に従いたいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●無間華表
 山頂に向かって、蛇行、或いは蜷局を巻いた無数の鳥居、入り口から仕切られた結界を警戒すれば、空間が拗くれているのが容易に見て取れる。証拠に、荒れ狂う剣の嵐が突き立つ前に消えて行く。飲み込まんとするは骸の魂、対策無しに踏み入れば、あらぬ場所への跳躍が待ち構えているのは想像に難くない。
 また、その様に作為されているのだから、この朱色の洞窟を、そのまま進もうが首魁の居る場所に辿り着く事は出来そうもない。延々歩かされた挙げ句に、骸を晒し、あれ等の仲間入りになるのが目に見えている。
 不気味なほど静かな境界に、惑乱を催す美声が鳴り響く。

●状況進行
 敵は迦陵頻伽というオブリビオンだ。数は分からないが、飲み込む妖怪は弱小の物が多く、強くは無い。代わりに、多数集団で有る事が予想され、狙いは疲弊後、この環境を利用しての、誘引からの奇襲だろう。単純だが自身の弱さを熟知した効果的な戦法と言える。頭が回る事を考えれば、誘引先には、刃の嵐が混じる可能性も考慮した方が良いだろう。
 逆を言えば、タネ自体は初見でも探りやすい。要は罠の張られた特殊空間だ。一般人で有れば兎も角、猟兵ならば、手は考えられる。わざと乗っても良いし、破壊しても良い。術法を逆に利用する事も視野に入れる者もいるだろう。
 猟兵は鳥居の洞窟に挑む為に考えを纏め、行動を開始する。
黒百合・美薔薇
お任せプレイング。お好きなように。
ふむ、結界か。ならば、黒百合と黒薔薇よ、この結界を喰らい新たな結界で上書きせよ(式神使い/集団戦術/結界術/捕食)。そう、ボクのナイトメアラビリンスに塗り替えるのさ。
迦陵頻伽か、おお怖い怖い、怖いから骸魂キャンディに変えて食べてしまおうか(神罰/化術/料理/捕食)。流石に数が多くて食べきれないな、残りは暴風雷雨で吹き飛ばしてしまうとしよう(神罰/天候操作/多重詠唱/範囲攻撃)。
リソースなら先程変えた骸魂キャンディで確保してるからそうそうとぎれはしないさ(ドーピング/限界突破/リミッター解除)。
ん?クリーピングコインも剣を捕食したいのかい?いいよ、行っておいで。


村崎・ゆかり
そっちが結界で来るなら、上書きしてあげるわ。
「結界術」「破魔」「浄化」の浄玻璃紫微宮陣。これで広範囲を飲み込み、元の鳥居結界の出口に迷宮の出口を重ねて。

さ、行きましょう、皆。アヤメもついてきてるわね。

これなら迦陵頻伽も分断できるから、不動明王火界咒で出会った端から焼き払える。迦陵頻伽が格闘戦を挑んできたら、薙刀で応戦しましょ。これでも薙刀扱いは心得てるのよ。
アヤメは後詰めお願い。通ってない脇道に迦陵頻伽が残ってるかも。

一応黒鴉召喚で式を飛ばして、元の空間の歪みが影響してないかと、敵位置の確認をしておく。
ちゃんと上書き出来てると思うんだけどなー。

さて出口。ここを抜けたらどうなってるかお楽しみね。


桜雨・カイ
とても鮮やかな羽根と舞ですね。本当はもっと見ていたいのですが
見とれている訳にはいきません。速さには速さで対抗です。
【アルカナ・グロウ】発動。審判さん、力を貸して下さい!

速さと反応をあげた後
刃の嵐は【見切り】、【なぎ払い】で一気にはらいのけ
迦陵頻伽に対しては瞬時に方向転換ができないようなので、一旦攻撃を躱した後、【2回攻撃】で手数を増やして攻撃します。

倒した後は空間の拗れを確認しながら移動していきます。
ここで道に迷うわけにはいきませんからね。


シーザー・ゴールドマン
極楽浄土に棲むという迦陵頻伽の名を持つオブリビオンか。
此処はどちらかと言うと剣樹地獄に見えるがね。
まあ、良い。幽世散策の続きと行こうじゃないか。

オド(オーラ防御)を活性化して、足を踏み入れます。
空間の歪みを見切って『破壊』の魔力で潰して前進。
その内、出て来るであろう、迦陵頻伽と対峙。
刃の嵐はオドの守りで気にせずに、真空波(衝撃波×なぎ払い)を放って誘眠音波を砕き、そのまま迦陵頻伽を切り裂きます。
敵POWUC
高速飛行しているその動きを見切って、一拍先に真空波を放つことで命中させます。
誘眠音波に関しては不眠治療に役立つかもしれないね、と感想。


●摺り合わせ
「極楽浄土に棲むという迦陵頻伽の名を持つオブリビオンか。此処はどちらかと言うと剣樹地獄に見えるがね」
「邪淫にでも溺れたのかな?」
「……線引きって何処だったかしら?」
「身に覚えが有るのなら、是正すると良い。最も、気にする必要が有るのは君だけの様だね」
 シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は寧ろ、この場の女性二人に対して好奇の目を向けると、黒百合・美薔薇(決して滅びることのない愛・f28082)は、その意を得たりと、にやりと笑う。村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は見透かされた様な言動と、やけに真実味の有る言に、ややたじろいだ。
「いや、意図は理解しているつもりだがね」
「心を読んだ様な物言いは止めなさいよ! ああ、もう」
 図星を言い当てられたかのように声を荒げたゆかりに、食欲を刺激されたのか、美薔薇が思わず唇に舌を這わす。
「ええと、どう動きましょうか」
 少々会話に混じりにくい雰囲気であると、らしくないと思いつつ、曖昧な笑みを浮かべ、桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)は目前の鳥居に視線を遣った。
「そうだね。私は先行しよう。この程度なら、障害にはならないだろうしね」
「ええと……上書きするわ。先行するなら、出口を探りたいし、黒鴉を数羽、貴方に預けるわ。良いかしら?」
「ふむ、構わないだろう」
「ボクも上書きだね。ああそうそう、ボクは美しい薔薇と書いて美薔薇……あなたは?」
「ゆかりよ。こっちの属性は浄化。貴方は?」
「残念、真反対だ。ボクのは迷宮式、ついでに、中で迎撃が出来るね」
「なら、出口と見せ掛けて空間を私の方に繋ぎましょうか。誘導して、纏めて焼き払うわ」
「では、私は誘導をお手伝いしましょうか」
「ええ。お願い、アヤメもそっちで動いてくれる?」
 カイの進言を聞いて首肯してから、何となく美薔薇を警戒しているような気配のアヤメに声を掛ける。慌てて向き直り、了解の意を主に伝えた。因みに美薔薇はそんな視線を余裕で面白がっていた。オブリビオンよりも、彼女等と遊ぶ方が楽しそうだと、不謹慎な思考が過る。
「さて、幽世散歩の続きと洒落込もう」

●遊覧
 結界の突破。単純だが、アトラクションとして見れば平均点だ。シーザーは裾を正してから、鳥居の内に足を踏み入れる。彼に言わせれば、隔てる門を潜る際に、衣服の乱れが有るのは失礼だろう、と言った所だろうか。呼応して、破壊のオドを活性させる。取り巻く圧縮された高圧縮された魔力の奔流が、周囲の空間に圧力を発生させる。少女から預かった黒鴉数羽が、思わず声を上げそうになったのを、ゆかりが嘴を閉じさせ、押し留めた。シーザーは悠然と鳥居の洞窟の中、歩を進めて行く。神社仏閣の遊覧と彼にとっては大差が無い。捻れ特有の空間の不自然さを見付ければ、一つ指を鳴らす。硝子が砕ける様な、小さな中高音が鳴り響き、見た目そのままに、空間歪曲が正される。正された空間には刃の嵐が否応なく注ぐが、全て、身体に届く前に分解する。
 10程の継ぎ目を壊した所で、偵察を命じられた4体がシーザーに気付き、散開、周囲警戒の後、急降下……しようとした所で不可視の刃が瞬時に閃いた。
 四方へ一瞬にして飛び交う真空の刃、光剣を作り出す瞬間すら目撃出来ず、違わずに両断され、地に落ちる。骸魂に飲み込まれていた妖怪4人が開放され、安全圏の確保が必要かと考える。
「ふむ……暫く付いて来たまえ。起こったことは覚えているかな?」
 まず人の姿をしている者が、自分達を認識している事に、妖怪達は嬉しそうにした。昔、死に別れた友人と会って来たと、4人共が語り、楽しく遊んでいたと供述した。主導権を握られていた間の記憶は無いようだ。或いは、霧の影響も有るかも知れない。
 位置は知られる事無く、4体が行方不明になった事から、侵入者が居ると相手には伝わっただろうが、ペースを崩す必要は無い。寧ろ、強者が居ると彼等の警戒は深まるだろう。弱者であれば、尚更、強者を仕留める為の機会を作ろうとする。
 妖怪達と幾つか世間話をしながら、歪みを正し、終端を探す。外の様子を知った妖怪達は、逃げ場が無い事に怯えるも、彼が言った、避難場所は有るという言葉を信用する。
「此処だね」
 黒鴉の視界でゆかりが終端を認識、遠間から式神を操作、札に戻し、八方を包囲するように地面に貼り付け、座標を違い無く固定する。
「好機が無いからといって、臆病が過ぎてはいけないよ」
 現れた迦陵頻伽の大群に、この数ならば楽しめるだろうかと、少しばかり笑みを深めた。

●二重
「終端の固定完了! 美薔薇、合わせて」
「お疲れ様、了解したよ。黒百合と黒薔薇よ、それに住まいし蟲達よ。彼の者を狂おしい程の恋の炎で燃やし、永遠の愛の中に閉じ込めよ」
「天に坐す北辰と傅く二十八の星宿を今この大地に降ろし、星界の彷徨のいや果てに、不浄を清め天の高みへと昇らしめん!」
 美薔薇が大輪の黒薔薇に口付けをすると同時に、ゆかりが白一色の符で陣を描き、印を結び終えた。黒百合と黒薔薇が鳥居の洞窟を塗り潰し、朱色の無間回廊を塗り潰し、宵闇色の悪夢が包み込む。元の回廊を上書きし、中身は植物の黒蔦で満たされた、うねり、ざわつく捕食迷宮へと姿を変える。無間の特性を逆利用し、返した出口の先には清浄白夜、全てを浄化する、ゆかりが作り出した空間に繋がっている。それぞれ自身を中心として展開しながら、空間を書換え、都合の良い場所へと居場所を変える。ついでに、捕捉していた4体の妖怪も、美薔薇によって出入り口の無い小部屋へと転移し、一度匿われた。
「迷宮内部はこんな感じだよ。作り替えるけど、味方の悪いようにはしないから、安心すると良い」
「有難う御座います」
 軽く頭を下げ、カイとアヤメは記された地図とルートを確認し、予め話し合った地点へ向かう。

●魔王の娘
 二種の黒花の式神によって編まれた悪夢の迷宮、構造は美薔薇が自在に操作する。それ自体が巨大化した式であると考えれば、先程、黒鴉でゆかりが実行した様に、五感を繋げる事が出来るのは当然と言っても良い。
 球根の茶褐色の茎から幾つもの眼球が開眼し、ざ迦陵頻伽のざわめきを繊維一つ一つの振動から、繋いだ聴覚で、全て事細かに聞き分ける。植物性の生体監視の檻中を、美薔薇は黒のドレスを翻し、悠々と歩む。迷宮を攻略せんと、仕切りの無い上空から響く惑乱の美声を、上質なクラシックでも聴くように合わせて鼻歌を歌う。
「おお、怖い怖い。お父さん、お父さん! 魔王がボクを掴んでくるよ! なんてね」
 わざとらしく戯けて見せ、宙空が安全だと考える愚者に蔦が注ぐ。網で捉えられた籠の鳥に、悪夢の女王が判決を告げる。
「素敵な歌声の持ち主よ。ボクの元においで。綺麗な歌声を、もっと聞かせておくれ」
 絡まった蔦が増殖し、敵の体全てを包み込む。藻掻き苦しむ甘美な輪唱を、ゆっくりと愉しみながら、その身体を菓子へと変異させる。あめとなって降り注ぐ甘味を、蔦のネットで収穫し、切り離す。迦陵頻伽を象ったそれを、二指で摘まみ、小さな舌を伸ばして、口内で絡め取る。薄味で幾つもいけそうと、一つ頷く。
「それでも、ちょっと食べきれないな」
 地も空も、結界を破らぬ限り同じ事だが、美薔薇は敢えて、地上に幾つかの安全ルートを作っている。そのセーフラインを地道に辿れるよう、呪文を紡ぐ。
「お父さん、お父さん、魔王のささやきが聞こえないの。息子の問い掛けに、父は落ち着かせようと、言葉を紡いだ。落ち着くんだ坊や」
 鼻歌を歌う様に、足下の黒蔦が、壁を構成する黒蔦が、3次元に陣を描く。
「ただ、”枯葉が風で揺れているだけ” だよ」
 父親には悍ましいほど甘い囁きも、そこに映る魔王も、その娘達も見えはしない。植物迷宮に濃密な花の香り。魔力で作り出された、幻想応用の暴風雷雨が鳴り響く。所持していた金貨の獸がかたかたとざわめきだした。
「ボクばかりずるいって? じゃあ、行っておいで。ついでにあの子達の護衛もね」
 骸魂キャンディを幾つか口中に放り込み、強欲に噛み砕きながら、彼等にも指示を出す。骸魂から解放された妖怪達を蔦で受け止め、軟着陸させると、クリーピングコインは無事で良かったと喜ぶように身体を摺り合わせ、更に上空の警戒に向かう。

●爪弾き
 植物迷宮はカイの行動の邪魔をしない。突然湧き出た黒霧が内部に嵐を作り出すが、彼には雨粒が身を打つ痛みも、稲光の眩しさも、それが告げる轟音も起こらず、ただ視覚に写るのみ、霧を媒介とした、実感覚に影響を及ぼす幻術の類なのだろうと、何となく理解し、それに苛まれる迦陵頻伽がカイの居る地点へと向かってくる。二つの人影を見るなり、邪魔だと言わんばかりに身体を捻り、翼を広げて襲い掛かる。しなやかな動作で繰り出される回転を利用した変幻自在の足技、その連撃に、カイは暫し感心したように見つめていると、隣に居た長身の黒装束、アヤメが分身で割って入り、首筋を打つ。
「大丈夫でしたか」
「有難う御座います。とても鮮やかな羽根と舞でして……」
「そうですねえ、良く出来た動きでしたが、私も負けたくは有りません」
「ええ、本当はもっと見ていたいのですが、見惚れている訳には行きません……審判さん、力を貸して下さい!」
 籠められた意思持つ呼び掛けに、アルカナの意思が薄らと目を開く。停滞のアルカナがカタリ、カタリと4度回り、正位置に止まる。覚醒の角笛、運命を切り開く祝福が響く。魂が覚醒する感覚に視界が晴れる。急速な反応速度と速度上昇、過剰集中が催す現象に近しいそれが、周囲の迦陵頻伽の高速化連撃を、ゆっくりと動く視界で捉え、念糸で絡め取りながら、人形を操作し背面を打つ。繰り返し、繰り返し、漏らしが無い様に縛り付け、対応出来る一杯の所で糸を結び、突貫を抜け、糸を唇に掛けて、引く。
「ごめんなさい」
 弦楽器を爪弾く様な音の後、掛けた糸が閉まり、操り糸が巻き取った肉を、輪切りにする。すかさずアヤメが追撃を掛け、分身と共にトドメを刺した。
 態勢を整えようと、方向を変え散り散りになった迦陵頻伽を更に追走、一定進路以外の彼等を、回り込んでは、糸と分身が絡め取っていく。
 解放された妖怪達は同じく、迷宮の主によって匿われていく。

●残党払い
「幾つかの抜けが居る様だ。此方も、もう少し数を減らしておこうか」
 迷宮構築までに多量を葬ったと思われるシーザーは汗一つ掻かず、大して面白くも無かったと、独自にセーフルートを発見しようとする迦陵頻伽、暴風雷雨に苛まれ逃げ回る彼等を容赦なく追撃する。刀身の無い斬撃、闇討ちの様な一撃に、痛みを感じる事無く、身体が二つに別れ、骸魂が祓われる。植物迷宮を走りながら、多量だった迦陵頻伽の残党を追撃する。
「この迷宮をどう評価するべきかな……良いギミックだとは思うのだが、少々悪趣味とも言える。悪夢を象徴した様なデザインと、植物生物と言う生々しさを掛け合わせた奇妙さの絶妙なバランスで、悩ましいものだ。先程よりは、楽しいと感じるがね。ああ、君達の鳴き声は、中々に心地良い。不眠治療に役立つかもしれないね」
 襲来する美声、従属の魔力ごと真空波で肉体を一刀の下で裂き、血の花が咲く。黒花に染みを作り、捕食した蔦が養分を吸い取り、一輪の黒薔薇を咲かす。
「さて、これで後はどの程度かな」

●五智如来・金剛倶利迦羅
 状況共有、ゆかりは符を敷き、不動明王の印を切る。
「ノウマク、サラバタタギャテイビャク、サラバボッケイビャク、サラバタタラタ、センダマカロシャダ、ケンギャキギャキ、サラバビギナン、ウンタラタ カンマン」
 火界呪を重ね掛ける度に火気を帯びた霊気が火の粉の様に荒れて舞う。敷いた符の上に火が灯り、陣を為して、五芒星を描く。
「オン、アボキャ、ベイロシャノウ。マカボダラ、マニ、ハンドマ。ジンバリ、ハラバリタヤ、ウン」
 五智如来の印を結び、赤炎が金炎に転身し、結界内を清浄なる星の白夜が満たす。祓う倶利迦羅の色は眩く金剛へ収束し、一切の不浄を許さぬ結界内で陣の中でぐるり、ぐるりと龍が遊泳する。
(これはこれで、睥睨されているみたいで辛いわね……)
 凶暴さは無いが、静かに身の不浄を暴き出そうと召喚主を見つめる浄化の倶利迦羅龍。強い二面性を持ち、一切不浄を許さぬ神性の後光は、ゆっくりと自分の不浄を暴き立てる様だ。隠蔽も虚偽も、浄瑠璃鏡が許さない。此処は死者の赴く裁判所、十王の仮宿だ。
 逃げるように終端に乗り込んで来た不浄塗れの極楽浄土の徒へ、十王の判決が言い渡される。
「急々如律令! 多分、この結界との複合式は……もうやらないわね」
 通して自身の不浄を垣間見られてしまう居心地の悪さは、予想以上だった。関連深く、閻魔殿と定義し、如来と通じさせて見たは良いが、咎められて竦んでしまう。
 金剛倶利迦羅が星の白夜を飛び逃げる不浄をゆっくりと追いかけ、眼力で動きを止めては焼き尽くす。近寄れば、自費を与える様に軽く振れ、金剛色の炎が骸魂の殻を剥ぐ。自棄になり、複数が団結すれば、全方位を浄化の灼光が容赦なく骸魂を黄泉国へと送り込む。そうして、全ての迦陵頻伽を焼き尽くすと、結界を破り、天上へと昇り、還って行く。終端をすぐさま美薔薇に譲り、植物迷宮へと塗り替えた。

●首魁の居場所
 鳥居を抜けた先に有るならば、塗り替えた終端の先、ゆかりが私、あえて美薔薇が閉じているその向こうが首魁の居場所、気配を探れば、元の此処と違い、鋭利な刃の気配が窺える。心なしか、揶揄うような笑い声が漏れてくる。
「アヤメ、ご苦労様。さて、出口ね。どんな感じかしら?」
「何となく、馬鹿の一つ覚えかな?」
「剣の世界だからね。武術で遊びたい類だろう」
「何にせよ、気を引き締めて行きましょうか」
 カイの言葉を締めくくりとして、終端の封印を解除する。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵


第3章 ボス戦 『キョンシー木綿』

POW ●キョンシーカンフー
【中国拳法の一撃】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD ●百反木綿槍
自身が装備する【一反木綿が変形した布槍】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ ●キョンシーパレード
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【キョンシー】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
👑11 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●白刃ノ杜
 きちりきちりと音が擦る。
 ちゃきりちゃきりと絶え間無く声が擦る。
 悲哀も怒号も無く、白刃の群れが社を形作る。12方位を守護するように、柄を晒して刀身が地面に埋もれ、黄昏色の空間に、刃が鈍く反射する。
 糸で手繰るように屋根上の少女は変わらず、歪に笑う。良く見れば、笑っているのは死体の少女を食らった骸魂だ。一反木綿が愉快に笑う。
 助けられなかったことを、紫肌の冷たい身体の少女は悔いた。出会った時は無事で良かったと彼を祝った。骸魂はにたりと嗤い、身体を貸して欲しいと、純真な少女を騙す。
 友人の頼みを受け入れた少女は、霧の見せている夢中で、彼と楽しい時間を過ごしている。彼の思惑を知らず、外がどうなっているかも知らず。甘い夢中で微睡んでいる。或いは、一反木綿に一欠片残った良心だったのかもしれない。

●状況進行
 猟兵達が向かった先には、刀のみで組み上げられた大きな杜と、その天辺の屋根上に陣取っているキョンシー木綿。それから、12方位を円形で囲み、突き立てられた刀が見える。変わらず空は黄昏色だ。
 キョンシー木綿の霊力で満たされたこの空間では、外部よりも非常に高い殺傷性能で刀の杜が攻撃を仕掛けてくる事が予想される。
 結界干渉は媒介が有る分、少々骨が折れるかもしれない。良く見れば、12方位の酉の位置の刀身が光っている、と思えば、きっちりとした間隔で、その光は時計回りに移行しているのが見える。利用する際は、参考に出来るかもしれない。全てを踏まえて、どう動くか、猟兵は考えてみると良いだろう。
 猟兵達は状況把握を終え、すぐさま行動を開始する。
クリスティアーネ・ツヴァイク(サポート)
愛称:クリス

常に「ママ」と呼ぶからくり人形「クリスティン」と共に行動します。
まだ幼くひらがなで喋ります。
普段は甘えたがりな子供ですが敵を殺すことに罪悪感は感じておらず、特に悪人は死んで当然と容赦はしません。
クリスティンをバカにしたり人形扱いする者を嫌います。
戦いでは大鎌を持ったクリスティンを操りつつ自身もナイフで戦い、味方のサポートよりは戦いの方が得意です。
日常ではクリスティンと楽しく過ごします。

NG:クリスティアーネが泣くこと、クリスティンの修復不可能なまでの破壊


樋島・奏弥(サポート)
一人称 俺
二人称 貴方、名前+さん
(敵にはあんた呼び)

基本的に言葉尻は「〜だ」「〜だな」「〜(言い切り)」

基本的にはサポートに徹し、補助、情報収集、戦闘時の索敵や手助けを行います。
ユーベルコードもその為に使用。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
《寡黙だが人見知りではなく、人の役に立ちたい系》
「…敵なら、倒すのみ
「そこだっ!
「…いい加減観念したらどうだ
「あんたが何を感じたのかは知る必要は無い

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


オークティス・ルーヴェルト(サポート)
【Support】
『M.O.F.M.O.F is Power』
『私はイッヌ。ワルイオオカミ、ジャナイヨ』
28歳♂:人狼のアリスナイト × 破戒僧
口調:カタコトダヨ。語尾や外来語が英語になりマース。

★舶来のオークティスデース。鎖型のUCや鼓舞で戦ウ元バーバリアンNE。チョット英語訛りの言葉ツカウヨ。デモ日本語全部ワカルヨ!★動揺すると平仮名も混じるね★女ノ子ニ良イトコ見セタイ!★人狼の持つ変化(獣耳型、獣人型、獣型)の他にモフモフな形状を変化させて戦況に適応シタリも出来ルYO!★コミカルなシーンでは思い切りハシャグから宜シクNE

*アドリブや台詞回しは適度に変更可
*多少キャラがブレてもOKです。


●戦線補助
「クリスは、ママといっしょにいくわ」
「可憐なレディ、その毛並みは将来、美人になりマース! お供するヨー!」
「この中で冗談を言えるとは頼もしい限りだ……手筈通りに動く」
クリスティアーネ・ツヴァイク(復讐を誓う殺人鬼・f19327)は、プラチナ・ブロンドの長髪白衣に抱かれたまま、ママと読んだ人形を操作し、襲来する刀剣の群れを無骨な大鎌で薙ぎ払う。暗夜を思わせる黒塗りが黄昏に一筋の闇を抱かせる。振り払った刀剣の一刀すら折れる事無く、吹き飛ばされた端から追加が人形に突き立てられそうになる。
「カァット・イィィン!」
 オークティス・ルーヴェルト(仮)もふみの求道者??・f06321)が掛け声と共に、数珠に格納された光鎖を出現させ、クリスティンに向かった方を残らず絡め取る。
「YYYYY-AAAA-hoooooooooooooo!!」
 人狼特有の怪力で、逃げだそうと暴れ回るそれらを無理矢理抑え込み、仲間を巻き込まないように振り回し、周囲に暴風を起こしながら、更に刀剣を巻き込み、叩き付ける。
「……洒落にならない強度デース! デモ、路ハ出来タ筈ダヨ」
「ありがとう、いってくるわ」
 歯を見せて親指を上げ、サムズアップするテンションの高い人狼に、銀毛のケットシーは、酷く冷静に返しながら、軽々と屋根を飛び越え、刃で出来た屋根上へ飛び移る。自在に動き回る刀剣の杜は、オブリビオンによって常に操作され、足場緩め、絡め取り、そのまま足首を切断しようと迫る。
(……クリスだって、そうするわ)
 解っていれば巧緻にクリスティンを操るだけで事足りる。足首、股、ふくらはぎ、果てはそれを囮に腕を切断しようと迫るそれらを、集中して躱しながら、オブリビオンと対峙する。何も語らず、何も喋らず、歪に唇だけが釣り上げられて、愉快愉快と、はしゃぎたて、きちりきちりと刃が守護するようにオブリビオンを取り囲む。合間に伸ばされた布槍を、猫の金瞳は見逃さず、緩む足場に気を留めて、死角からの一撃を、奏弥が宙空に飛び上がり、鞘から抜き様、円月を描く一閃、一撃の下に纏めて払う。
「固いな……死角はどうにでもしよう、後は自分で何とかしろ」
「わかってるわ」
 目的は時間稼ぎ、敵の目が此方に逸れれば、それで良い。案の定、敵は挑発に乗ってくれたようだ。自由にならない足下は厄介だ。加えて敵は降りる気が無い。引き摺り下ろそうにも、常に相手の優位な地形に変わり、機動力を削ぎに来ると考えると、これは至難と言って良い。
 藍色の髪を揺らし、自由に力を入れることの出来ない足場を綱渡り、布槍と、やけに固い刀、死角から襲い来るそれ悉くを、クリスが戦いやすいように打ち払う。
 クリスは布槍に鎌を絡め取られないよう、隙無く振り回しながら、僅かな硬直を見切り、ナイフを僅かな隙間に投擲する。同時に片足を軸に身体を回転させながら、遠心力を加え、正面から大鎌で薙ぎ払う。甲高い金属音、隙間から見えた拳、その奧の手首を、奏弥の剣が斬り落とそうと振り下ろされ、彼女は寸前で飛び退いた。
「骨が折れる」
「がまんよ」
 下の援護はオークティス一人に任せている以上、役目を終わらせなければならない。再度二人は得物を構え、仕切り直しとなった敵と間合いをはかる。
成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴

黒百合・美薔薇
お任せプレイング。お好きなように。
ふむ、キョンシーか。なるほどなるほど先程打ち倒した迦陵頻伽をキョンシーとして操っているのか。ならばこちらも数で対抗しよう。永久不変の愛の炎で召喚した分身(式神使い/集団戦術/多重詠唱)。
武術で遊びたいのであれば此方も限界突破した神武不殺の鞭術で遊んであげよう。頼んだよ黒薔薇。さぁ、どう料理してくれようか?この情熱の炎を燃え上がらせる程に楽しませてくれよ?キョンシー木綿の本体と共に結界術の決闘空間に。
読心術で動きを読み後の先をとる先制攻撃で薔薇の鞭を振るう。隙あらば足を捕縛して体勢を崩す。そこに踏み込み重心移動と踏み込みの反作用による重量攻撃の蹴りを放とうか。


村崎・ゆかり
まずは黒鴉の式で上空から布陣を観察。

十二方位の刀剣。十二支かしら? 西から時計回りにってことは紛うこと無き金行。これを金神とみるのは飛躍? 遊行するという意味では太歳星君も同類と見なせるか。
いけないわね、呪術絡みのものに触れると考え込んじゃって。

敵は殭屍。即ち土生金。それなら火克金で相克。
火行の「属性攻撃」を乗せた「全力魔法」の「結界術」を展開して、飛鉢法でアヤメと一緒に突っ込むわ。
襲い来る刀剣は残らず焼き払う。

殭屍は土行。それなら木克土。菖蒲であり森の民であるアヤメを送るのが一番。
薙刀で「衝撃波」を撃ち込んで援護するから、あのひらひら討滅してきなさい。
上手くいったら、後で可愛がってあげる。


シーザー・ゴールドマン
なかなか趣がある社だ。
……しかし、君は刀が余程好きなのだね。
ああ、良いとも。君に残された時間は少ない。思うが侭に振舞いたまえ。

オドを活性化して戦闘態勢へ。
12包囲の結界はその性質を見切っておく(戦闘知識×見切り)
ジャンプ&空中浮遊で翔け上がって『破壊の魔力』を秘めた拳打、蹴り等無手による近接戦を。

どうやら体術も得意の様だね。今日はそちらで付き合おう。

社による白刃の援護、キョンシー木綿の動きを計算し、制御しつつ戦闘。
機を見て態勢を崩させて一反木綿部分に『カーリーの鏖殺』の一撃を。




桜雨・カイ
攻撃が当たってしまうと衝撃が強そうですね。
攻撃をかわしつつ、結界干渉をどうにかしないと…

まずは敵の攻撃を【見切り】で当たらぬようにかわしつつ
移行する光のタイミングを見計らい、刀の破壊へ動きます

同時に【想撚糸】を社を構成している刀の間に撚糸を張り巡らせて【浄化】の力を付与した結界で一気に社を浄化
そのまま糸を引いて社を破壊します。
たとえ相手が刀であろうとも、この糸は切らせません

結界干渉がなくなれば、あとはキョンシー木綿が相手です
再度想撚糸を網状にして捕まえます


●剣嵐業火
「なかなか趣がある社だ。ああ、良いとも。君に残された時間は少ない。思うが侭に振舞いたまえ」
 白刃で作られた杜を見上げ、シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)は珍しい光景に、切れ長の目を細め、オブリビオンの横暴を慇懃に許す。襲来する刀剣を一つ指で撮み、抑え込みながら、先程の物と比較する。先程と比べ、全てが妖刀と言われる程度の切れ味と耐久力を持っており、且つ、動作の精密性と致死性が高い。幾人もの兵法者の霊が、そのまま刀に宿った様に、間隔が一定でなく、不規則に、示し合わせたように、或いは出鱈目に切っ先が標的の命を刈り取ろうとする。
「此方が本命のようだね。刀が好きなのは、何か理由があるのかな」
 気になる所だと、さして気にしていない風体で、それらを悉く、オドを活性化し、拳のみで打ちのめす。敢えて破壊せずにいると、シーザーのみに注意が向けられていき、他が段々と疎かになっていく。
「美薔薇、少し協力をお願いして良いかしら」
「うん? 良いとも。後で高く付いても良いなら、喜んで」
「……まあ良いわ。貴方、可愛いし、そう悪い事にもならないでしょ」
「ふうん……やっぱりそうなんだ?」
 余っていた骸魂キャンディを幾つか頬張り、黒百合・美薔薇(決して滅びることのない愛・f28082)は、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)が放った黒鴉の式に、黒霧を纏わせる。同様の幻を幾つも作り、黄昏色に大量の鴉が群れとなって放たれる。自在に操作される刀剣も、この量では敵わない。
「ありがとう。お陰で場所は確認出来たわ。12方位」
 思い浮かぶのは干支に十干、酉から時計回りであれば金行と場の雰囲気としては理屈が付く、推測が出来る。
「金神の利用なら繋がりが何処までか、よね。飛躍ではないと思うけれど」
「星読みかい? 此処はUDCアースの隣さ。その法則は捻れていない筈だよ」
 大多数はシーザーが引き受けてはいるが、それでも此方を囲う刀身がある。
「……おいで、永久不変の愛で包んであげる」
 助言の後に紫の瞳が目を細め、黒薔薇の花弁が紫炎となって、彼女の分身を作り出す。茨の鞭が刀身を絡め取り、動作を抑制し、シーザーの方へと返す。
「お転婆だね」
「そういうあなたは、破天荒だよ」
「そうかな?」
 人体急所を虚実交えて的確に狙う剣の挙動を、微笑みを称えながら、その身一つで躱していく様は驚異的と言って良かった。他愛ない会話を交える余裕すら感じさせる。
「ええと、今年は庚だったわね。なら、巳の方角かしら?」
「刀剣の破壊目標、でしょうか? 結界干渉をどうにかするのなら、お手伝い致します。解除の後、此方で下地を作ってみましょう」
 桜雨・カイ(人形を操る人形・f05712)はゆかりが目を遣った巳の方角を確認し、地に刺された刀を見遣る。
「お願いするわ。単に金行を循環させているだけなら、それで綻びが出来る筈よ」
「なるほどなるほど、じゃあ、ボクも一枚噛んでみよう」
「少々、終わらせるのは勿体ない気もするがね」
 今も敵と立ち回る彼等を見上げ、正面からあれの相手をすれば、中々に楽しそうだと、シーザーは一つ頷いた。
「ふむ、方針は固まったようだし、私も少々、あそこに混ざろうか」

●愉快な暇
 剣術の竜巻を引き連れながら、オークティスの邪魔をしない様、シーザーは屋根上へと飛び移る。不規則な規則にも慣れ、段々と刀一本一本の動作の癖、特徴が見えて来る。従者のそれよりは複雑だが、楽しみとしては丁度良く、然し身を燃やすには今ひとつ刺激が足りず、敵の操作する足場と言うのは、それを満たすのに丁度良い。
「足止め有難う。後は此方で引き受けよう」
 刀剣の竜巻を引き連れ、顔が見えない男の声に、屋根上の二人は一瞬戸惑うも、平気でその状況を凌いでいる事を鑑みれば、引くのが得策か、二人は屋根上から飛び降り、人狼の援護に移行する。
 流石のオブリビオンもその状況で平然としている目前の男には、面を食らったのか、間が抜けたように口を空ける。
「おや、ぼんやりとしている暇は無いだろう? 無手で来ているのだから、愉しみたまえ」
 強引に手近な刀を掴み取り、剣嵐の僅かな隙間から、挑発するように投げ付ける。一瞬で足下の峰が裏返り、シーザーの足裏を裂こうとするが、オドの防壁を突破することは出来そうもない。試しに、片足を取ろうと穴を開けてみたが、これはいとも容易く見切られる。相当数の刀剣が彼に付き纏っている筈だが、一向に見切る気配が衰える気はしない。
 寧ろ攻撃が届かないだけであると、前面に有る刀を常に後方と上方に集中するよう指示を出し、視界が開けたと同時、懐へと潜り込み、掌底を突き立てる。いなされた感触に、すぐさま、布槍とした一反木綿で視界を覆う。上か屈み込むと予測して更に踏み込み。後ろ足を軸として全体重を先に乗せ、肘を突き入れる。
「視界を覆ってからの鉄山靠、私の後方に逃げ場はない、か。攻めとしては悪くないね」
 鏡ながら平然と一瞬で体を入れ替え、肘先から側面に逃げ込まれ、身体を開き、顎を狙う垂直の突き上げ、焦燥から剣の操作を忘れているようで、難なくシーザーは数歩交代し、突き上げを躱す。
「焦ってしまってはつまらないよ。少し頭を冷やすと良い」
 その一言は、オブリビオンの頭に血を上らせるに十分な挑発だった。

●七殺
 巳の方角に突き立った刀に灯火映る瞬間を狙いながら、カイは刀剣の嵐を見切り、撃ち落としながら、赤の着物を揺らし、疾駆する。肌を掠める風切り音は幾重にも及び、集中力を欠けば、四肢を貫くのが容易に想像出来る。纏めた黒髪が靡き、毛先数本が刃に僅かに触れて、はらりと落ちる。疾駆と言えど、こうも数が多ければ暴風の最中を歩いているのと変わりが無い。思考ばかりが加速して、足は思う程速度を増さず、焦れそうになる頭を抑え付けながら、着実に巳の方角へと足を伸ばす。
 不意を突く規則性の無い刃が指を削ごうと向かえば念糸をひゅるりと柄に引っかけ、掛かる力に逆らわず、柔らかに軌道を逸らす。次には晒された目を抉ろうと突き入れる刀身を、人形を操り、柄を握らせる。一瞬の抵抗の後、首を振り、離すと法則に従い、耳朶を剣風が掠め、中、上と上に目線が触れたのを感じ取り、足を裂こうと数本が下段を払いに掛かり、思わずぐっと歯を噛みながら、軽く跳躍して潜る。絶え間のない連携、偶にそうでもなく、不意に調子をずらされ、感覚が揺れる。これでも、他の仲間が引き付けてくれていると言うのだから、この白刃は厄介であると言って良かった。
 それでも悉くをどうにか見切り、カイは灯火の映る瞬間に、突き立てられた刀へと辿り着いた。一息吐く暇も無く、糸に意思を込める。
「この糸は、想いが紡ぐ糸。――痛みも記憶も、過去を全て抱えて、その先へ進みます!」
 強い意志に糸を五芒として刀剣の周囲に編む。光を閉じ込め、曰く、金行の循環を断つ。過る記憶は様々、誰かとの会話、誰かの哀切、怒号、無念、善悪好悪に構わず、自身を形作る物と、思念を糸として、撚り上げる。
「基本の基本は、九字切り、でしたね」
 一字一字を確りと発音し、手刀で空を切る代わりに、撚糸を網目状に大きく張り巡らせ、それを九字の法陣とし、綻んだ結界を上書きし、基礎を敷く。桜の雨がさらさらと、黄昏色を塗り替える。

●火生木、桜火園
「合ってた様ね。彼自身は金剋木みたいだし、火行で補助しましょう」
 下地に敷かれた網目状の念糸、漂う穏やかな桜の気配に52の符を操作し、なぞらえて配置する。
「……オン クロダノウ ウンジャク」
 7度の反復、火神の気配が桜花の気配に宿る。木生火となった清浄の炎が黄昏の杜、逢魔の気配を攫い、鮮やかに塗り替える。刀剣に宿った一切不浄が浄化され、白刃の杜が焼失し、桜園が現れる。
「これで下地は終わり、美薔薇、干渉は好きにすると良いわ。アヤメ、護衛を頼むわね。後詰めの為に、私達も前に出ましょう」
「……ご命令とあれば」
「何で急にそっちの口調なのよ!」
「ご自分の胸に聞いてみては如何でしょう?」
「ボクに焼きもちかな。光栄だね。アヤメさんも囲いたくなるね?」
「それは駄目よ」
「じゃあ、ゆかりさんだけにしようかな、なんてね。貸し借りはこれで無し、心配しなくても良いよ」
「……それは助かるわ。じゃあ、改めて行きましょうか、アヤメ。終わったら、のんびり過ごしましょう。季節は外れるけど、此処で寛ぎたくなるわね」
「そうです、ねえ」
 先行した美薔薇の後を二人が追う。

●黒の茨
「残念だが、時間切れだね、中々楽しめたが、此処までのようだ」
 オブリビオンが桜花の清浄に、僅かに息を上げる。未練無く立ち去っていく偉丈夫の男に、悔しげに手を伸ばす。別の小さな手が、大輪の黒薔薇をオブリビオンの手に添えた。
「次はボクと遊んで貰うよ。是非とも、二人きりでね」
 桜に交じって黒薔薇の花弁が、地面に法陣を描く。
「さあ、この情熱の炎を燃え上がらせる程に、楽しませておくれ」 
 桜の園の一箇所に、噎せ返るような花弁の檻。踏み出せばさくりと薔薇が舞う。手に持つ大輪が黒茨の鞭へと姿を変える。次には風切り二つ。手首狙いの横薙ぎ一閃、茨の鞭を、一反木綿の布槍が絡め取る。狙いを読んで持ち手を替え、軌道を捻り、足を打ちに掛かる、布槍は引き戻さず、突き殺す軌道で美薔薇の心臓を狙う、体を入れ替えて難なく躱した所で、妙だと布槍を防御の手に回そうとすれば、黒の茨が一反木綿で出来たそれを絡め取りに掛かる。先読みと言うには余りにも乱暴な技術、舌打ちしながら距離を詰め込むと、心を読まれたかのように、地を蹴る足を取られ、体勢を崩される。一瞬、引き込まれた所に軸足に体重を乗せた回し蹴り。咄嗟に腕で受けるも、骨が軋みを上げる。畳みかける様に、網目状に編まれた想撚糸が、オブリビオンを絡め取る。
「不満足かもしれないが、この辺りで幕引きと行こう」
「良い所だったのに。継ぎ目見付けるの、ちょっと早くない?」
「付き合って欲しいなら、彼女に改めて、付き合って貰えば良い。体術は彼女の能力だろうしね」
 網に捉えられ、藻掻く一反木綿の骸偶に、シーザーは軽く手を当てる。
「一時の逢瀬には満足したね。覚悟は良いかな?」
 一瞬で練り上げられたオドが、触れた部分から骸魂を崩壊させ、灰に還す。静かに断末魔を上げて、一反木綿が消滅し、残ったのは安らかな寝息を立てる、キョンシーのみだ。

●終幕
 目覚めたキョンシーの少女は、起こったことを何も覚えていない様だった。美薔薇が彼女の趣味を聞くと、刀剣収集と武術の鍛錬であると言い、軽く動作を見せて貰えば、先程よりも速度は落ちるが、ほぼそのまま、再現されていることが解る。不完全燃焼だった彼女はそのまま、キョンシーの少女に、怪我をさせない前提で組手を申し込んだS。布槍術も使用出来る様で、一反木綿が居なくとも、衣服の帯を自在に扱い、心置きなく戦えた事で、今度こそ美薔薇は満足したようだ。
 異変が解決されたカクリヨファンタズムの結界は解け、今有る桜園も、一時の物だ。それでも助けられた妖怪達は猟兵に感謝をしたいと、宴を開き始めた。
 ゆかりは、やはり解くのが勿体ないと、美薔薇とキョンシーの少女の組手を眺めた後、やや不機嫌そうだったアヤメと、のんびり桜園で過ごす。彼女に抱えて貰うと自身は心地が良く、アヤメの機嫌も少し良くなったようだった。
 シーザーは季節外れの桜園から、一片を気紛れにオドで保存し。従者の手土産を作る。妖怪達の宴に興味をそそられ、暫し彼等の動向を眺め、満足すると、一人、いつの間にやら姿を消す。
 カイが、精神力の浪費に少々ぐったりしていると奥義の精霊が、何時もの調子で、心配そうに、やや無邪気に声を掛けた。審判のアルカナが微笑んだような気配がして、ゆっくりと色々な事を受け入れていこうと、覚悟を決める。
 協力に来たクリスティアーネはママと景色を愉しみながら、のんびりと過ごし、オークティスはそんなクリスにどう声を掛けたものかと悩む。奏弥はそんな二人を見て、何か助けになれないか考えてみたが、自身も人付き合いは苦手で、良い助言は出来そうも無いと、目を閉じて桜の木に身を預けた。
 猟兵達のサクラミラージュでの一幕は、こうして、ゆっくりと幕を閉じ、何時もの日常が戻って来る。
大成功 🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵

最終結果:成功

完成日2020年07月08日
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