頭文字T~最速の徘徊老人
●UDCアース:日本のとある都市
「あーあ、小遣いなくなっちまった。熱くなりすぎたな」
夜の街をバイクで走りながら、少年がぼやいた。彼は先ほどまでゲームセンターで全国の強豪達とレースゲームで対戦していたのだが、負けがこんでついつい有り金を全部使ってしまったのだ。
「ショートカットも練習しねーとなー」
ぼんやり考えごとをしながら、幅広い道をゆったり走行していた少年の横を、突然小さな影が猛スピードで通り過ぎた。
「ば、婆さん!?」
時速140キロを超えるであろう速度で少年を抜き去ったのは、ツインターボを背負った小さな老婆だった。
「伝説の......TABOばあちゃん......。まさか実在していたなんて......」
少年はゴクリと喉を鳴らす。
「TABO(ターボ)ばあちゃん」。それはあのゲームセンターに出入りする若者達の間でまことしやかに囁かれている、「ジェットババア」や「100キロばばあ」などとも呼ばれるスピード狂のおばあさんの都市伝説だ。
力強い走りを見せ付け、ぐんぐん遠ざかっていく老婆の背中を見つめる少年の中で、速さへの渇望が目覚めていく。
「ついて来れるかい?」
少年の目に焼き付いた老婆の背中は、言葉よりも雄弁に少年を高速の世界へと誘っていた。
「上等だ! ばあさんなんかに負けるかよ!」
少年はアクセルレバーを思いっきりひねり、老婆を追いかけ始めた。
ーー数分後。『デパートの二階』に激しいブレーキの音と衝突音、そして人々の悲鳴が響いた。
●グリモアベース
「UDCの群れが出現する予知を見た。すぐに現場に向かってほしい。場所はUDCアースの日本だ」
青白い顔の少女、守田緋姫子は集まった猟兵たちにそう呼びかけた。
UDCアースは『アンディファインド・クリーチャー』と呼ばれる太古から蘇った邪神とその眷属達(オブリビオン)が出現する、現代地球によく似た世界だ。
そして、現地にはUDC退治に取り組む『UDC組織』が存在し、UDC達はその危険度に応じて幾つかの分類に分けられているのである。
「今回出現したのは『呪詛型UDC』......邪神クラスほどの力は持たないが、周囲に狂気と呪いを撒き散らす厄介な連中だ。同時に出現する数も多い。戦いの際は周りを巻き込まないように十分に配慮してくれ」
守田はそう言いながら、グリモアベースの壁にピコピコとせわしなく電子音や光が明滅する屋内施設の映像を投影した。
「見ての通り、現場は『ゲームセンター』だ。これはUDCアースの娯楽施設で、お金を払うと様々なゲームができるようになっている。
UDCをおびき寄せる為、みんなにはここでゲームを満喫してもらう。別にレースゲームである必要はないらしいので気に入ったものを遊べばいいぞ。
なお、プレイ料金は現地のUDC組織が負担してくれるので気にしなくていい。その代わり、周辺への被害や目撃者は最小限に抑えて欲しいそうだ」
その言葉を聞いた途端、話を聞いていた猟兵の一部の目に強い光が宿った。
それはつまり、クレーンゲームの景品を根こそぎにするまで挑戦するとか、難易度の高いゲームを無限コンテニューするなどの禁断の大富豪プレイも許されるということである!
「ゲームに熱中していれば、そのうちUDCが起こした怪奇現象が発生すると思う。事が起こり次第、周りに被害が出ないように対処をしてくれ」
緋姫子が見た予知では、UDCの呪詛で正気を失った者が常識ではありえないような暴走をしたらしい。哀れな犠牲者達を殺人者にしない為にも、猟兵達の手で暴走車両を止めねばならない。
「怪奇現象を止めれば痺れを切らした『ターボばあちゃん』の群れが姿を現すはずだ。一匹残らず始末してくれ」
緋姫子は真剣な顔で言った。今回の戦場は街中だ。文明が発達しているUDCアースの都市は人口密度も高い。一体でも逃がせば多くの犠牲者が出るだろう。
「呪詛型UDCの暴走を未然に止められるのは猟兵だけだ。頼んだぞ」
少女は最後にそう言ってぺこりと頭を下げると、ゲームセンターの駐車場へと猟兵達を転移させた。
大熊猫
こんにちは。大熊猫です。今回の依頼はオブリビオンも高速ですがMSも高速化しております。
本シナリオは完結までのスピードを重視した【高速シナリオ】となります為、普段とは異なり「ほぼ全採用」の方針ではありませんのでご注意下さいませ。
●章構成
一章 ゲームセンターで思いっきり遊びましょう。クレーンゲームや等、フラグメントの選択肢以外のジャンルのゲームでも構いません。なお、日常フラグメントなのでプレイングボーナスはフィーバータイムです。
※実在するゲームタイトルが書かれたプレイングは採用できません。
二章 UDCに操られた暴走車両(乗用車、バイク、トラック、ロードローラーなど)が突っ込んできます。人々を守りましょう。ドライバーもUDCに操られた一般人なので注意してください。
三章 夜の街を超高速で移動しながら呪詛を撒き散らす「ターボばあちゃん」の群れを撃破しましょう。戦場は市街地なので周辺の被害にも気を配る必要があります。
※一章、二章のプレイング内容次第ではUDCの習性について情報を得られるかもしれません。
●文字数省略用記号
アドリブ歓迎→☆、連携歓迎→★、何でも歓迎→◎(☆★と同じ)、ソロ描写希望→▲。
※今回は野良連携の発生確率は低めです。
●プレイング受付について
オープニング公開直後からプレイング受付を開始いたします。
本シナリオは受付期間は設けず、特に問題のないものならばプレイング頂いた分から順次リプレイをお返ししていきます。スムーズに進行できれば【一週間】ほどで三章まで完結できるかと思いますので、よろしければご協力をお願いします。
今回はリプレイお返しスピード重視の為、各章あたりの採用人数は【4~7名】程度になるかと思います。
※二章以降に継続でご参加の方は優先的に採用いたします。
以上です。皆様の熱いプレイングをお待ちしております。
第1章 日常
『ゲームセンター』
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POW : パンチングマシンや格闘ゲームで遊ぶ
SPD : シューティングゲームやレースゲーム、音ゲーで遊ぶ
WIZ : パズルゲームやクイズゲーム
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
数宮・多喜
◎
へぇ、高速バトルねぇ…
ライダーとしちゃ、黙ってられないねぇ!
しかしその前にゲーセンで遊べだぁ?
面白れぇ、やってやろうじゃねぇか!
連コ上等なら存分に楽しめるね!
レースゲーはあんまり人気ないかもだけど、
そりゃ魅せプレイできる奴が少ないだけだろ?
アタシの『操縦』テクを舐めるなよー!
どうせなら設置されてる筐体のそこかしこで、
ファステストラップの更新に勤しんでみようじゃないの。
こうして盛り上がってれば、
ギャラリーも少しは集まって来るんじゃねぇかな?
……って。このゲーム、カブを選べるのかよ。
それじゃあいつもの杵柄で……え?
げっ、このゲームじゃ普通のカブなの忘れてたー!?
●レコード・ブレイカー
「へぇ、高速バトルねぇ……。
ライダーとしちゃ、黙ってられないねぇ!」
宇宙バイクを駆るスターライダー、数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は張り切っていた。今回出現したオブリビオンは「速さ」がウリのスピード狂だと聞く。ならば無視できるはずなどない。ライダーとして、高速バトルで完膚無きまでに叩きのめしてやるつもりだ。
「しかしその前にゲーセンで遊べだぁ?
面白れぇ、やってやろうじゃねぇか!」
今回のUDCはゲームセンターで遊んでいる者の前に姿を現すという。UDCをおびき寄せる為、猟兵達もゲームを遊ぶ必要があるのだ。とはいえ、特に問題はない。UDCアース出身の多喜はゲームセンターに来るのも別に初めてではない。料金もUDC組織持ちだというなら喜んで遊びまくってやるつもりだ。
多喜は百円玉を大量に用意して現場で待機していたUDCエージェントからコインを受け取り、早速目当てのゲーム機に座った。彼女が選んだジャンルはもちろんレースゲームだ。順番待ちをしている人も特にいないようなので、連コインしても問題はないだろう。
「連コ上等なら存分に楽しめるね!
レースゲーはあんまり人気ないかもだけど、
そりゃ魅せプレイできる奴が少ないだけだろ?
アタシの『操縦』テクを舐めるなよー!」
本物そっくりのドライバーシートに腰かけ、コインを投入した多喜は、実戦で鍛えたドライビングテクニックと反射神経を駆使し、稲妻のようなジグザグドリフトを決めたり、壁走りをして先行車のブロックをすり抜けたりと、派手なプレイを次から次へと披露し、片っ端から筐体のファステストラップ(コースレコード)を更新していった。
「おい、見て見ろよ! あのねーちゃんスゲーぞ!」
「次々と記録を塗り替えていきやがる! 他県の凄腕プレイヤーか!?」
多喜の派手かつ卓越したプレイングの腕前に、いつの間にかゲームセンターにたむろしていた若者達が集まり、人だかりができていく。
「……って。このゲーム、カブを選べるのかよ」
すっかり上機嫌になった多喜は、車種選択画面の2ページ目に自身の相棒そっくりの小型バイクがあることに気が付いた。
「選べるのは車だけじゃなかったんだな。じゃあ次はこれだ!」
多喜は迷うことなくオートバイを選択した。小型ながらもパワフルなこのバイクならば、さらなる神技を魅せることも可能なはずだ!
多喜はゲーム開始と同時に、ガードレールを突き破って谷底へと身を投げた。
「なんだ!? わざとコースアウトしたぞっ!」
「まさか、向こう岸までショートカットする気か!?」
ざわめくギャラリー。
「それじゃあいつもの杵柄で……。
行くぜ相棒……天翔ける、翼となれ!」
多喜の意志に応え、彼女の操縦するバイクが限界の先へ――
加速しなかった。
「え?」
すっかり忘れていたがこれはゲーム。彼女の真の相棒「宇宙カブJD-1725」は外の駐車場だ!
「げっ、このゲームじゃ普通のカブなの忘れてたー!?」
多喜のバイクは真っ逆さまに墜落し、谷底へと叩きつけられて大爆発を起こした。ギャラリーがそれを見て爆笑したのは言うまでもない。
大成功
🔵🔵🔵
フォンミィ・ナカムラ
アドリブ歓迎
女の子向けのアイドルゲームで遊ぶよ!
コーデカードで可愛い衣装着せてステージで踊るやつね!
新作が出たばっかりのタイミングでタダで遊べるなんて、夢みたーい!
お気に入りのコーデいーっぱい持ってきたから、色々着せて遊んじゃおう!
ゲームで使うマイキャラは、キリッとクールなお姉さん系
こんなオトナになりたいなーってイメージで作ったんだよ
キラキラのプレミアムドレスを着せて、大好きな曲でめいっぱい遊ぶよ
そして新弾のお楽しみ、コーデガチャ!
いい機会だから、最高レアリティのコーデが揃うまでコンティニューしちゃうよ
出たカードは持ち帰っていいよね?いいよね……?
●アイドル☆スターライト
「新作が出たばっかりのタイミングでタダで遊べるなんて、夢みたーい!」
ゲームセンターにやってきた可憐な11才の女の子、フォンミィ・ナカムラ(スーパー小学生・f04428)はUDCエージェントからコインを受け取ると、脇目も振らずにあるゲームの筐体へと駆け出した。
彼女が選んだゲームは小学生女子の間で大流行しているデジタルカードゲーム。
トップス・ボトムス・シューズ・アクセサリーや、髪型やポーズ、フォトフレームなどを自由に組み合わせ、お気に入りのアイドルをステージで踊らせるという内容だ。このゲームはちょうど先週に新弾が出てバージョンアップしたばかり。それが無料で好きなだけ遊べるとあっては、フォンミィのハイテンションも無理なからぬことだ。
「お気に入りのコーデいーっぱい持ってきたから、色々着せて遊んじゃおう!」
フォンミィはデコレーションシールがいっぱい貼ってあるキラキラカードファイルをポーチから取り出した。彼女がカードをセットし、コインを投入すると、キラキラのプレミアムドレスを着た、キリッとクールなお姉さん系アイドルキャラクターが画面に登場した。金髪で紫の瞳をした綺麗なキャラクターは、どことなくフォンミィ本人に似ている。
「こんなオトナになりたいなーってイメージで作ったんだよ!」
近くでフォンミィの様子を見守るUDCエージェントのお姉さんは、フォンミィの元気いっぱいの様子に思わず微笑んでいた。
フォンミィはリズムゲームモードを選択。すると、筐体がピカピカと点灯しながら、彼女のお気に入りのミュージックを奏で始めた。
「ゲームスタート♪」
ゲームから流れる音楽と降り注ぐ☆のエフェクトに合わせ、フォンミィはリズミカルに左右のボタンを叩いた。このゲームはリズムゲーム。ちゃんとリズムに乗れるかどうかが高得点のカギだ。フォンミィは体を揺すってリズムを取りながら、マイキャラのダンスに合わせ、ダンダンと軽快にボタンを叩いた。さあ、気になる採点結果は……?
「すごーい! 8億点!」
ゲーム機が彼女の点数を弾き出し、点数を告げる。やった、ハイスコアだ!
「そして新弾のお楽しみ、コーデガチャ!」
彼女はゲーム機の下から出てきたカードを早速検分する。当たったのは夏用半袖パーカーのコーデカード。レアリティは「SR」。なかなかのレアカードだ。
このゲームはワンプレイするごとにランダムにコーデカードが吐き出される。理想のコーデを作り出す為には何度もゲームをプレイする必要があるのだ。彼女が今回持ち込んだ数々のコーデカードも、これまでの彼女の努力の結晶である。ちなみにスコアと排出カードのレアリティに因果関係はない。
「いい機会だから、最高レアリティのコーデが揃うまでコンティニューしちゃうよ!」
新弾の最高レアリティである「SSR」は全部で12種類。普通ならコンプリートには多額の資金が必要なのだが、今回のプレイ料金はUDC組織が支払ってくれるそうなので、ノープロブレムだ。
「出たカードは持ち帰っていいよね? いいよね……?」
フォンミィUDCエージェントをキラキラした目で見つめた。普段彼女は目上の人にはちゃんと敬語を使っているが、思わず素の口調が出てしまうほどの情熱である。
「ええ、もちろん」
フォンミィの真剣な様子に、エージェントのお姉さんは苦笑するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
春霞・遙
いいんですよね?フリープレイみたいなものですよね?
じゃあ、これまでプレイしたことのないUFOキャッチャー、やってみたいです。
お金払って悔しい気持ちだけ残るのが怖くて手出せなかったけれど、かわいいぬいぐるみとか好きな癒しキャラクターのぬいぐるみとか気になってたんですよね。
手のひらサイズのキーホルダーでも取れればほくほくです。
一抱えもあるようなぬいぐるみもチャレンジするけど、多分難しいのでしょう。
何も取れなくても、自分の懐が痛まないで思い切り遊べるのなら諦めも付くでしょう。
●クレーン・ゲーム
「いいんですよね? フリープレイみたいなものですよね?」
春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は遠慮がちにひそひそとUDCエージェントに尋ねた。遥自身もUDCエージェントではあるが、この女性エージェントとは初対面だ。
「はい。犠牲者を最小限に抑えつつ奴らを倒す為の必要経費ですので。皆様のプレイ料金はこちらで負担いたしますのでどうぞお好きなだけ。『組織』に所属している方も全額給付するのでご心配なく」
エージェントは周りの一般人に聞かれないように小声で答えた。
呪詛型UDCは周囲に呪詛を撒き散らしながら戦うため、被害の規模が拡大しがちだ。しかも、今回出現が予知された場所は街のど真ん中。もし組織の力だけで戦えば、たとえ勝利できたとしても多大な犠牲が出るだろう。それを思えば数名分のゲーム代金など安いものだ。
「じゃあ、これまでプレイしたことのないUFOキャッチャー、やってみたいです」
遥はエージェントから百円玉を10枚ほど受け取り、様々なぬいぐるみが所狭しと敷き詰められたUFO型クレーンゲームの前に進んだ。
「お金払って悔しい気持ちだけ残るのが怖くて手出せなかったけれど、かわいいぬいぐるみとか、好きな癒しキャラクターのぬいぐるみとか気になってたんですよね」
呟きながら、UFOキャッチャーの筐体に張り付いた遥はこのキャッチャーの目玉と思われる、40cmほどもある巨大な黄色いねずみのぬいぐるみにチャレンジすることにした。アームを慎重に操作し、ぬいぐるみの上へ。ゆらゆらと揺れながら降下したアームは、ねずみの胴体を抱え込み、上昇を始めた。
(取れるかな……)
しかし、アームは遥の期待を裏切り、あっさりとぬいぐるみを手放して戻ってきてしまった。遥は何度かチャレンジしてみたが、何回やっても取れる気配が無かったので諦めた。大物はやはり難しいようなので、ここはアームが弱くても取れそうな小さいものを狙おう。
「あの猫が取りやすそうですね」
遥が次のターゲットに選んだのは、キーホルダーにちょうど良さそうなサイズの赤い化け猫のぬいぐるみストラップだ。
再びキャッチャーの前に張り付いた遥にUDCエージェントが後ろからそっと近づき、五百円玉を渡す。通常プレイ用のコインは百円玉で支給なのだが、クレーンゲームの場合は五百円で六回プレイできるから、という配慮である。
一回目。距離感が合わず、何も掴めなかった。
二回目。ボタンを押すタイミングがわずかに早すぎて手前でアームが降りてしまった。
三回目。今度はアームがターゲットを通り過ぎてしまった。
四回目。今度はちゃんと化け猫の所でアームが降りたが、少しタイミングがずれて脚を掴んでしまい、うまく持ちあがらなかった。だが、少しずつ狙いはシャープになってきている。
「今度こそ……」
遥は精神を集中し、アームをぬいぐるみの元へと誘導した。二足歩行の化け猫の脇をしっかりと掴んだアームは、見事に景品をゴールまで運び、ぬいぐるみが排出口からごろんと転がってきた。
「やりました!」
見事に化け猫ストラップをゲットした遥は、静かにガッツポーズをするのであった。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
◎
人の金でゲームできるなんで最高だな。
仕事前の前金としてたっぷり楽しませて貰うか。
さて、どうしようか、音ゲーも楽しみたいがやっぱりシューティングゲームだよなぁ。
ゾンビ系も良いけどタイムでクライス系も捨てがてなぁ。
でも終始サブマシンガンを撃ちまくるのもいいし、ショットガンでぶっ放すのも捨てがたい…。
サイコガンのキャラゲーもなー、あれもあれで楽しいからなぁ…。
どれもやるか、先ずは…
これも一種の覚えゲーだ。ブラスターを撃つときは範囲攻撃と誘導弾で誤魔化してたけど、今回は違うフルコンテニューでクリアしてやるッ!
あ、でも、ちゃんと連コインにならない様に時々後ろも気を付けつつな。
●不死身のガンマン
「人の金でゲームできるなんで最高だな。
仕事前の前金としてたっぷり楽しませて貰うか」
タダでアーケードゲームができると聞き、雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は上機嫌だった。その上UDCを倒せば正規の報酬も受け取れる。実に割のいい仕事だ。
兼光はUDCエージェントのおじさんから小銭を受け取り(眼光が鋭いので傍目にはカツアゲしているように見えなくもない)、早速店内の物色を始めた。
「さて、どうしようか、音ゲーも楽しみたいがやっぱりシューティングゲームだよなぁ」
実戦でもブラスターを主武装とする兼光が最も得意とするのはガンシューティングゲームだ。店内のシューティングゲームコーナーを見てみると、幾つか遊んだことのある種類のゲームが置いてあった。
「ゾンビ系も良いけどタイムでクライス系も捨てがてなぁ。
でも終始サブマシンガンを撃ちまくるのもいいし、ショットガンでぶっ放すのも捨てがたい…」
ガンシューティングゲームと言っても色々と細かい種類がある。ハンドガンタイプのコントローラーでひたすら敵を撃ち続けるものもあれば、ペダルを踏んでいる間だけ射撃モードに入り、ペダルを離すと物陰に隠れる、といった「回避」の要素を含んでいるものもある。銃の種類も、トリガーを引いている間は弾切れを気にせず撃ちまくれるものもあれば、リロードが必要なものもある。
銃についても、ずっと拳銃だけのものもあれば、アイテムを獲得すれば武器がショットガンにパワーアップしたり、使い捨ての手榴弾をもらえたりするものもあり、タイトルによって様々だ。
「宇宙海賊のキャラゲーもなー、あれもあれで楽しいからなぁ……。
……どれもやるか」
兼光は悩んだが、結局全部やることにした。どうせタダだ、目いっぱい楽しもう。
「先ずは……」
兼光が最初に選んだタイトルはゾンビものだった。ゾンビが大量発生した市街地を探索しながらひたすら進んでいくというオーソドックスなガンシューティングである。移動は全てコンピューターがやってくれるので、兼光は射撃だけに集中すればいい。
兼光は後ろに誰も並んでいないのを確認すると、コインを2枚投入した。普段ならもったいなくてやらない禁断の二丁拳銃プレイである。そして難易度は最高ランクの「インフェルノ」だ。
イージーモードとは比較にならない速度で飛んで来る敵の爪やら斧やらを迎撃し、兼光は順調に街を進んでいく。三面ぐらいまでなら楽勝だ。
「これも一種の覚えゲーだ。ブラスターを撃つときは範囲攻撃と誘導弾で誤魔化してたけど、今回は違う。フルコンテニューでクリアしてやるッ!」
このゲームに回避はない。敵の弾も全て撃ち落とす必要がある。よってクリアには正確な射撃技術と素早い敵の攻撃パターンの記憶が求められる。だが今日は違う。コンテニュー上等の兼光のライフは無限なのだ! 敵を観察する時間はいくらでもある。鬼畜仕様のボスキャラも何するものぞ!
「あ、でも、ちゃんと連コインにならない様に時々後ろも気を付けつつな」
はしゃぎつつも、マナーにはちゃんと気を遣う兼光。アーケードゲーマーの鑑である。
何度倒れてもゾンビの如く蘇る不死身のガンマンとなった兼光は、ゾンビの群れや異形のボス共を蹴散らし、ついに平和な世界を取り戻したのだった。
大成功
🔵🔵🔵
リコリス・ミトライユ
◎
POWで行動
こういうぴかぴかなとこのゲームなんて、あんまりできないから楽しみ……って
今はお仕事なのですよね。しっかりしないと。
あ、パンチングマシンは遊んだこと、あります。
こういう簡単なので遊べばいいのかな。
難しいのだと、ねっちゅーできないかもですし。
じゃあ、足元をしっかり確かめて……手加減して右でぱんちです。
……意外と、数字、大きくないですね。
女の子にしては良いほう、って言われましたけど。
ようし、ちょっとだけ本気出しちゃいます。
左の拳を思いっきり握って……ねじ込みますっ!
よし、これなら……ってあんまり目立っちゃいけないんでした。
えっと、えっと……。とりあえず、いったんダッシュで逃げるのです。
●黄金の左
「こういうぴかぴかなとこのゲームなんて、あんまりできないから楽しみ……って、今はお仕事なのですよね。しっかりしないと」
リコリス・ミトライユ(曙光に舞う薔薇・f02296)はウキウキした様子で呟いた。
UDCアースのゲームセンターに行く機会など滅多にない。今日は仕事がてらしっかり楽しんでいくつもりだ。
リコリスが来店すると、ゲームセンター内にどよめきが走った。美しいながらもまだ幼さが残るあどけない顔立ちと、薄着から覗く14才とは思えない見事なプロポーションのアンバランスさに、男性客の視線が集中している。
「あ、パンチングマシンは遊んだこと、あります。
こういう簡単なので遊べばいいのかな。
難しいのだと、ねっちゅーできないかもですし」
そんなことは露知らず、リコリスは見覚えのあるパンチングマシーンを発見し近づいて行く。ダンスも得意としている彼女だが、今回は分かりやすいパンチングマシーンで遊ぶことにしたようだ。リコリスがパンチングマシーンの正面に立つと、あっという間に人だかりができた。
エージェントからコインを受け取ったリコリスは、タンタンとステップを踏んでリズムを取り、右手で軽くパンチを繰り出した。
「じゃあ、足元をしっかり確かめて……えい!」
バコンと音を立ててグローブが倒れていき、機械が測定した点数を告げる。
「50kg! 女の子ならなかなかですね!」
「……意外と、数字、大きくないですね」
機械が出した点数に、リコリスは唇を尖らせた。魔力無しでもいけるかなと思ったが、ちょっと手加減し過ぎただろうか……。
「ようし、ちょっとだけ本気出しちゃいます」
ふん、と鼻を鳴らしたリコリスは今度は左手にグローブを装着し、タンタンと再びステップを踏む。リコリスは左手に魔力を集中させ、抉り込むような左ストレートをグローブへと叩き込んだ。
「……ねじ込みますっ! 『ペネトレイトブロウ』!」
ドゴッ! リコリスのパンチを受け、パンチングマシン本体が一瞬宙に浮いた。
「よし、これなら……ってあんまり目立っちゃいけないんでした」
手ごたえにガッツポーズしたリコリスだったが、あまり目立ってしまうとUDCエージェントの皆さんの仕事が増えてしまうことに気付き、ハッとなった。いつの間にか注目の的になってるし……。
ザザザー! ブツン……。
しかし、間の悪いことにリコリスのユーベルコードパンチを喰らったパンチングマシンはそのままお亡くなりになってしまった。リコリスは慌ててスタートボタンを連打してみるが、マシンは沈黙し、うんともすんとも言わない。その様子を見て、ギャラリーがどよめき、UDCエージェント達の表情が凍り付く。
「えっと、えっと……。とりあえず、いったんダッシュで逃げるのです」
リコリスは逃亡を図り、店の外へと飛び出したのであった……。
成功
🔵🔵🔴
第2章 冒険
『激突!』
|
POW : 正面から力づくで車を止める。
SPD : 運転席に乗り込んで車を止める。
WIZ : 車の進路上にいる人を避難させる。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
|
種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●狂気に陥ったドライバー達
ゾクリ、と違和感を感じ取り、猟兵達はゲームセンターの外へと飛び出した。遅れてUDCエージェント達も店の外に出てくる。
「ヒャッハー! 誰も俺は止められねえ! アイアムフリーダム!」
「誰も前は走らせねえ! 俺こそがナンバーワンだ!」
月が照らす夜の街で、乗用車やバイク、ロードローラーなどの様々な車輛が競い合うように暴走していた。どれもゲームセンターの駐車場に止まっていた車だ。どうやらUDCはこのゲームセンターの客だった者達を操り、暴走させているらしい。その様子を見て、コインを猟兵達に渡していたUDCエージェント達が叫ぶ。
「皆さん! 暴走車両の対処をお願いします! ドライバーも被害者ですから殺さないようにしてください!」
ゲームの時間は終わった。ここからが本番だ。
数宮・多喜
◎
あ゛あ゛!?
誰が公道最速だって!?
何アタシを差し置いてそんな事くっちゃべるかねぇ!?
……っていけねぇ、大っぴらに加速しちゃいけないんだった。
相棒のいつもの姿でブッ飛ばしてたらケーサツ呼ばれちまう。
それっぽいロードレーサー風に変形(『変装』)させて……と。
待てやおらァぁぁぁぁ!
さっきアタシの走りを見ていたギャラリーの連中もいるだろうね。
だったら実際に体験してみなよ!
相棒を巧みに『操縦』して暴走車と併走し、
運転手を強引に【縁手繰る掌】で引き寄せ、
アタシの後部座席に座らせる!
事故が派手になっても困るし、メットも被って欲しいし。
狙うのはやっぱ、同じバイカーだね!
……バイク代は弁償できるよな?
●新たなる伝説
「公道最速はこの俺だー! 誰も俺を止められねえ!」
ハーレーに乗ったスキンヘッド頭の若者が大声で叫びながら、ゲームセンターから遠ざかっていく。ノーヘル、スピード違反、信号無視のトリプルコンボ。おそらく五分もしない間に他人を巻き込んで重大な事故を起こしてしまうだろう。すぐに止めなければならない。しかし、その様子を目撃した多喜の胸に沸き起こった感情は、人命救助への使命感でも、危険な暴走運転への義憤でもなかった。
「あ゛あ゛!?
誰が公道最速だって!?」
何アタシを差し置いてそんな事くっちゃべるかねぇ!?」
多喜はドスの聞いた声で叫んだ。相棒「宇宙カブJD-1725」に飛び乗るように跨り、すぐに暴走しているバイカーを追いかける。宇宙カブは一瞬で100キロオーバーまで加速し、瞬く間に暴走バイクと距離を詰めていく。
「……っていけねぇ、大っぴらに加速しちゃいけないんだった。
相棒のいつもの姿でブッ飛ばしてたらケーサツ呼ばれちまう」
猟兵でもスピード違反をしていれば普通に通報される。勾留中にUDC組織の力で無罪放免にすることはできるかもしれないが、今は呑気に警察でカツ丼をご馳走になっている時間はない。多喜は市民に通報されるのを防ぐ為、相棒を変形させることにした。
「それっぽいロードレーサー風に変形させて……と」
マスターである多喜の指令を受け、宇宙カブは赤い『ロードバイク』に変形した。バイクはバイクでもこれなら「自転車」なので、通報されることはまずないだろう。時速200キロでチャリンコを漕ぐ新妖怪「ターボねえちゃん」が都市伝説化するかもしれないが……。そうこうしているうちに、多喜はバイカーを射程内に捉えた。
「待てやおらァぁぁぁぁ!」
河原に掛けられた高架橋の上で暴走バイクに追いついた多喜は、併走しながら鬼気迫る形相でドライバーのスキンヘッドを呼び止めた。
「なんだっ!? ロ、ロードバイクだとお!?」
隣を自転車で併走する多喜に気付き、ぎょっとするスキンヘッド。
「あ、てめえさっきゲーセンにいた奴じゃねえか!
ちょっとこっちに来い!」
多喜はサイキックを発動し、スキンヘッドを引き寄せてロードバイクの後部座席に強引に座らせた。さらに予備のヘルメットを無理矢理被せる。ドライバーを失い、制御不能になったバイクの方はガードレールを突き破って高架橋から河原へと墜落していった。
「さっきアタシの墜落事故を笑ってやがったろ!
だったら実際に体験してみなよ!」
多喜はロードバイクの周囲に念動力のシールドを展開すると、高架橋のガードレールを自ら飛び越え、バイクごと河原へとダイブした!
「助けてー! おかあさーん!!」
多喜の腰にしがみつき、みっともない悲鳴を上げるスキンヘッド。多喜は華麗にドリフトを決め、できるだけ優しく河原に着地した。スキンヘッドには怪我はなかったが、乗っていたハーレーが炎上しているのが目に入り、多喜は汗をかく。
「……バイク代は弁償できるよな?」
成功
🔵🔵🔴
臥待・夏報(サポート)
第六猟兵の普通の人担当、夏報さん冒険バージョンだよ。
元々が潜入担当のUDC職員だから、調査任務は得意だよ。
さも一般人ですという顔をして紛れ込み、ニコニコ話を聞き、UCで過去視や念写、緊急離脱を行うのが常套手段だ。
調査向きのUCも多いから、好きなのを選んでね。ああ、【放課後~】は余程の事情がないと使わない。
身体能力は普通の人間なみだから、飛んだり跳ねたり、地形の踏破のような状況は苦手かな。
でも、死なない程度の負傷にはちょっと無頓着。
夏報さんは凡庸だ。
でもそれは、常識に囚われるって意味じゃない。
この界隈じゃ、自分の感性は『少数派』――それを理解していることが、きっと最大の強みになる、んだと思うよ。
●守護神(ガーディアン)
臥待・夏報(終われない夏休み・f15753)は公道でいきなりトラックに轢かれそうになっていた。彼女も猟兵であり、ついでにUDCエージェントでもあるが、身体能力は普通の人間なみだ。よって、時速100kmオーバーで走る10tトラックに轢かれれば恐らく死ぬ。夏報さんは急いでゲームセンターの駐車場へとダッシュし、突っ込んでくる暴走トラックの回避を試みた。
「うはははは! 逃がさねーぞぉ! 女子供は1ポイントォ!」
しかし、暴走ドライバーは進路を変えて夏報に狙いを定め、ゲーム感覚で轢き殺そうとしてきた。死なない程度の怪我には無頓着の夏報さんも、これにはさすがに身の危険を感じ、一瞬で脳細胞が目まぐるしく活動する。
(僕が逃げるだけならなんとかなりそうだが、それでは仕事をしたことにならない。
車輪にバナナの皮を挟むか……? いや、あそこまでスピードが乗った四輪のトラックはその程度では止まらない。それに、止まったとしても変な止め方をすればドライバーや周りの一般人が危ない。あと1秒で突っ込んでくる10tトラックから自分の身も、ドライバーも守れる一手。……よし、これだ)
「切って貼って瞬いて(プレパラート・メモリア)」
夏報はすう、と息を吸い込むと、トラックに向かって手をかざし、ゆるキャラっぽいデザインのカニのクッションを山ほど召喚した。バフッ! とコミカルな音を立て、ゆるいカニの大群はトラックを優しく包み込んで止めた。
このカニの正体は、夏報さんが愛用している枕「かにかまくん」のレプリカである。十年以上ほぼ毎日使っている物であるがゆえに、イメージはしやすかった。
「よし、仕上げだ」
夏報はトラックに駆け寄ると、回転式拳銃でトラックの窓を破壊し、ひび割れたガラスに腕を突っ込んでドアロックを外した。素早く助手席に滑り込み、目を丸くしているドライバーに拳銃を突き付ける。
「ゲームオーバーだよ」
成功
🔵🔵🔴
リリ・アヌーン
◎SPD
UC「スーパーリリタイム」発動よ!
いま戦っている対象に有効な【可愛い武器やアイテム、セクシーな衣装等】を
召喚するわ。
今回はドライバーの人命を守りながら暴走車両の対処をしないとだから……
クッションみたいな巨大なトリモチが良いわね!
シチュ的に婦警さんコスとか良いかも♪
ぼよよ~ん!と魔法のトリモチを召喚して投擲して範囲攻撃でブロック
早業で運転席のドアやガラスを怪力でぶっ壊して乗り込み救助するわ
ホラー映画みたいな登場の仕方だから恐怖を与えるかもしれないわね
「こら、そんな運転したらあなたも周りも危ないでしょ。
車は玩具じゃないのよ。遊ぶならゲームの中にしておきなさい」
と優しく説教しておきましょう
●検挙しちゃうぞ
「ヒャッホー! 俺は風だあー!」
ハイテンションで奇声を上げながら、チンピラを乗せた高級車が爆走する。赤信号なんざクソ喰らえ。俺はこの街で誰よりも自由だ!
しかし、彼の自由は五分も経たない間に終わりを迎えることになる。
「『スーパーリリタイム』発動よ!」
後ろから色っぽい女の声がしたかと思うと、彼の車を飛び越えて白いぶよぶよした大きな塊が降ってきた。
「なんじゃこりゃあああああああッ!?」
ぼよよ~ん! と車を受け止めた謎の白いスライムのような物体は、強力な吸着力でアクセル全開で走っていた彼の車を地面にびたりと止めた。
「よし、トリモチ作戦成功ね♪」
リリ・アヌーン(ナイトメア・リリー・f27568)はトリモチを放り投げた姿勢のままパチンとウインクした。ドライバーを傷つけずに車を停止させる作戦は無事成功だ。夜の店の客引きにいそうなセクシーなミニスカポリス姿のリリは、急いでトリモチに包まれて立ち往生している車へと駆け寄る。
「やべえ! おまわりだ!」
チンピラは慌て、アクセルを全力で踏んだ。しかし、リリの魔法のトリモチに捕えられた車は全く進まない。あっという間にリリは運転席の前までやってきた。その時、さらなる恐怖がチンピラを襲うことになる。
バキィ! バキィ! メキメキメキ!
運転席のドアに手をかけたリリは、華奢な体格からは想像できないほどの怪力を発揮し、なんと素手で車のドアを引っぺがそうとした。リリはかなり整った顔立ちだが、口元に浮かんだ微笑みが今は逆に恐ろしい。
「きゃああああああああアアアアッ!?」
ホラー映画の怪物さながらのリリの凶行に、チンピラは裏返った悲鳴を上げた。
(この婦警さんは俺を殺る気だ!)
命の危険を感じたチンピラは、さらにアクセルを踏み、トリモチからの脱出を図った。
しかし、抵抗も空しく、リリの細腕はすぐにドアを車からひっぺがして捨て、チンピラへと手を伸ばしてきた。
「いやあああああー! 殺されるぅうううううううううー!」
絶叫するチンピラ。
リリはそんなチンピラの顔の前にすっと人指し指を立てた。
「こら、そんな運転したらあなたも周りも危ないでしょ。
車は玩具じゃないのよ。遊ぶならゲームの中にしておきなさい」
優しく諭す声に、我に返ったチンピラは大人しくなる。
「は、はい。婦警さん、どうもすんませんでした……。手錠お願いします」
リリに与えられた恐怖と慈しみですっかり狂気から解放されたチンピラは、ペコリと頭を下げ、素直にお縄についたのだった。
成功
🔵🔵🔴
春霞・遙
あー、ゲームにのめり込んだ後って現実でも出来たらいいなって思ったり、出来るような気がしたり、しますよね。
そういう気持ちを増幅させてるのでしょうか?
【心を喰らう触手の群れ】を使用して血肉とUFOキャッチャーにはまりそうな感情を代償に、触手の群れで車に攻撃を。
車の装甲とブレーキ以外の走行機構も、運転手の万能感や最速を求める感情も、巻き込まれた全ての人の今夜の狂乱の記憶も、食べてしまいなさいと。
触手を操って車を狙うのが、少しだけクレーンゲームに似てるかな、なんて思いました。
●心を喰らう触手の群れ(エンプティ・パロニリア)
「あー、ゲームにのめり込んだ後って現実でも出来たらいいなって思ったり、出来るような気がしたり、しますよね。
そういう気持ちを増幅させてるのでしょうか?」
遙は暴走する車両に注意を払いつつ、ドライバー達の精神状態について冷静に分析していた。UDCに狙われるのはこのゲームセンターの客ばかりだという。呪詛型UDCが狂気をもたらすのに何か条件があるのなら、そういった高揚感をトリガーにしている可能性は高い。実際、遥自身もストラップを獲得できたこともあってそういった昂りを感じているのだ。
「なら、UDCが増幅している大本の感情を断ってしまえばいい」
遥は自身の中へと埋没し、己の内に宿るUDC――太古から蘇った邪神の眷属と交信を開始する。すると、ビシリ、と近くの空間に一筋の亀裂が走った。
遥の血肉とUFOキャッチャーにはまりそうな強い感情を餌にされ、不気味に脈動する触手の束が現世に姿を現す。
「車の装甲とブレーキ以外の走行機構も、運転手の万能感や最速を求める感情も、巻き込まれた全ての人の今夜の狂乱の記憶も、食べてしまいなさい」
制御から解き放たれた触手達は与えられた命令に従い、夜の闇に散っていく。遥は、高速で離れていく車を狙って触手で攻撃する作業は少しだけクレーンゲームの感覚に似ているかな、と思った。
ぞぶっ!
車の装甲を貫いたこの世ならざる触手はずるずると車内を這い回り、外のボディも、内部のメカも、狂気に侵された運転手の感情も、全てまとめて貪欲に貪っていく。瞬く間に車は溶解され、後には走行不可能になった車と、放心状態のドライバーだけが残された。一仕事終えた触手は、次なる獲物を求めて夜の闇へと消えていく。遥が触手を操りながら運転手を歩道に移動させていると、記憶消去銃を持った後方支援担当の職員が敬礼しながら話しかけてきた。
「お疲れ様です。手際の良い仕事をありがとうございます」
「どうも。目撃者の記憶もついでに消しておきますね」
敬礼を返しながら、遥が答える。
「助かります。ご存じの通り、隠蔽工作も重要ですので」
UDCの情報を一般人から秘匿することは発生したUDCの退治に次いで重要なUDC組織の仕事だ。こんなものの存在が公になれば社会が大混乱に陥ってしまう。
だから、春霞・遙は我が身を削って奴らと戦うのだ。組織と弱者のために。
気絶したドライバーを組織の職員に引き渡した遥は決意を新たにし、触手で狩りを続けるのであった。
大成功
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メンカル・プルモーサ
…ふむ……暴走車、ね……
強引に止める方法は幾つもあれど、車の中の人や周囲に被害がいくし穏便に止めないと…
…まずは改造装甲車【エンバール】に搭乗…多少(?)ごついからVBA装甲で四輪駆動車風に変形させておこう…
…そして加速、暴走乗用車に追いついて…【我が手に傅く万物の理】で道路を変形…
…地面に凹凸を作って速度を強引に落とした後、ひときわ大きく車をはねさせて道路で作った壁とエンバールで乗用車を挟んで停止させるよ…
…確保したら道路は元に戻して後始末…ばっちり…
…あ、警察だ。免許証…?
ちゃんと(UDCに用意して貰った偽造)免許証があるー…幼く見える…?
良く言われる…これでも20だから…(しれっと)
●疾走する魔女
「……ふむ……暴走車、ね……。
強引に止める方法は幾つもあれど、車の中の人や周囲に被害がいくし穏便に止めないと………」
メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は卓越した技量を持つウィザードだ。その叡智を以てすればたとえ高速走行する車であろうと、止める手段は幾つでもある。
だが、今回は運転手も被害者であることと、周りに一般車両や歩行者もいることを考慮すると、全てを焼き尽くす大火とか、魔法陣から放たれる魔弾の嵐とか、あまりに壊滅的な威力を持つ魔法は使わない方がいいだろう。
「……よし……」
作戦を決めたメンカルは袖口から、海外映画に出てくるヒーローのビーグルのような厳つい装甲車を召喚した。眠たげな眼差しとは裏腹に、すばやい身のこなしでするりと運転席へと乗り込む。
エンジンを起動すると同時に変形機能を起動。メンカルの改造装甲車【エンバール】はそのままだとゴツすぎるからだ。UDCアースではちょっと手に入りそうにない貴重な装甲板を装備しているエンバールは瞬時に変形し、四輪駆動車風のシャープなフォルムへと姿を変えた。
アクセルを踏み込んだメンカルは周りの一般車両と衝突しないように慎重に加速し、約140キロで暴走しているターゲットへと近づいて行く。
「なんだァ? 嬢ちゃん、俺に挑戦しようってのかぁ?」
メンカルに気付いた暴走ヤンキーが煽るようにバックライトを点滅させながら、ジグザグ走行した。見ている方もヒヤヒヤする危険な走りだ。
しかし、幾多の修羅場をくぐってきた強心臓メンカルは全く動じることなく、ヤンキーの車の真後ろにぴったり張り付くと、冷静に呪文を詠唱した。
「数多の元素よ、記せ、綴れ、汝は見識、汝は目録。魔女が望むは森羅万物全て操る百科の書。『我が手に傅く万物の理(マテリアル・コントロール)』」
詠唱と共に、コックピット内部に周囲の無機物がリスト化された項目一覧が載ったウィンドウのようなものが表示された。メンカルはコンクリートを選択し、チンピラの前の道路を座標指定して魔術を発動する。
その瞬間、完璧に舗装されていた道路が凸凹に変形し、ヤンキーの車(とメンカルの車)がびょんびょん跳ね上がった。ヤンキーが急速に速度を落としていくのを確認したメンカルは、仕上げに道路を変形させて壁を作り、ヤンキーの車を壁とエンバールで挟み込んで完全に停止させた。用が済んだので変形した道路はサッと元に戻しておく。後始末もばっちりである。
「……あ、警察だ」
「この立派な車、お嬢ちゃんの? ちょっと免許証を確認させてもらえるかな?」
メンカルが確保したヤンキーをUDC組織に引き渡していると、検問をしていたパトカーがメンカルに免許証の提示を求めてきた。メンカルは慌てず、冷静に免許証を取り出して提示した。
「ちゃんと免許証があるー……幼く見える……?」
おまわりさんは免許証とメンカルの顔を何度も見比べる。
「20才……。し、失礼しました!」
「……幼く見える……?
良く言われる……これでも20だから……」
メンカルはUDC組織に用意してもらった偽造国際免許証を提示し、しれっと言ったのだった。
大成功
🔵🔵🔵
雪・兼光
◎
さぁ、お仕事の時間だ前報酬分はしっかり働かねーとなァ。
おいおい乗用車やバイクならまだ解るが。
トラックとロードローラーとか有りかよ…。
運転手をヤれば楽なんだが、クライントのご希望は殺さずか…。
ユーベルコードを使って、スナイパー、2回攻撃、部位破壊、範囲攻撃でタイヤを狙ってみるか。タイヤを破壊して動きを止めた後、ドアをブラスターで破壊してこじ開けて運転手を運転席から引っ張り出す。
必要なら運転手の顔を気絶させる目的で一発殴る。
悪く思うなよ!お話で綺麗に会話できる状況じゃねーんだよっ。
アンタら以外にも車は沢山あるからなぁ!
●ワイルド・レスキュー
「さぁ、お仕事の時間だ。前報酬分はしっかり働かねーとなァ」
ゲームセンターから飛び出してきた兼光は肩をゴキゴキ鳴らしながら言った。前報酬――ゲーセン遊び放題の分は、しっかり働かねば。兼光が張り切っていると、目の前の道路を問題の「暴走車両」が通過した。
「おいおい乗用車やバイクならまだ解るが、
トラックとロードローラーとか有りかよ……」
経緯は不明だが、ゲームセンター前の公道ではトラックとロードローラーが熾烈なカーチェイスを繰り広げていた。放置すれば周りを巻き込んで大事故を起こしかねない異常事態だ。
「運転手をヤれば楽なんだが、クライントのご希望は殺さずか……。」
兼光は殺し屋のような物騒な台詞を呟きながら、ブラスターを構えた。運転手もオブリビオンなら話は早いのだが、今回は運転手達もUDCに操られているだけの人間だ。まさか撃ち殺してしまうわけにはいかない。兼光は舌打ちし、精神を集中させた。
「自分使えるが範囲までで良い…。限定解除スタート」
ユーベルコードでブラスターのリミッターを強引に解除した兼光は、猛スピードで走るトラックのタイヤに狙いを定めてブラスターの引き金を引いた。通常時を遥かに超える出力で放たれた熱線はトラックの大型タイヤを呑み込み、反対側のタイヤまで貫通してまとめて蒸発させた。
突然前輪を失ったトラックはガコンと音と立てて前のめりになりながら滑って止まり、エアバックが作動してトラックの運転手は身動きがとれなくなった。
「よし、死んでないな。次だ」
トラックの運転手がもぞもぞ動いているのを確認した兼光は、今度はロードローラーに向かって目にも止まらぬ速さでブラスターを連射し、タイヤを撃ち抜いた。いきなりタイヤを破壊されたロードローラーはふらふらと左右に揺れながら急停車した。兼光は急いで運転席へと駆け寄り、ドアに向かってブラスターをぶっぱなす。溶解したドアをこじ開け、運転席へと乗りこむ。
「な、なんだてめえ! 俺の邪魔を――ごげぶっ!」
運転手は兼光に抗議しようとしたが、台詞の途中で兼光の鉄拳が顔面に炸裂し、意識を失った。
「悪く思うなよ!お話で綺麗に会話できる状況じゃねーんだよっ。
アンタら以外にも車は沢山あるからなぁ!」
兼光はブラスターと拳を駆使し、暴走した車をワイルドに止めて回るのであった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 集団戦
『『都市伝説』ターボばあちゃん』
|
POW : 真夜中のシルバーウォーキング
【Lvmを超高速移動する事で、周囲に衝撃波】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD : 空飛ぶ老婆の都市伝説
【背面装備のロケットブースターの内部燃料】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【飛行可能な推力を発揮する大出力ブースター】に変化させ、殺傷力を増す。
WIZ : ハイウェイフレンズ
【首なしライダーと人面犬 】の霊を召喚する。これは【大型バイクによる轢き逃げ攻撃】や【野犬の様に噛み付き、鋭い爪】で攻撃する能力を持つ。
イラスト:AKKBeryl
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●徘徊老人たちの最速伝説
「けぇええ――――い!」
猟兵達が全ての暴走車両を止めたその時だった。ジェット機のような轟音と怪鳥のような奇声と共に、四方八方から背中にターボブースターを背負った老婆たちが現れた。
――儂らのスピードについてこれるかい? 若造共!
眼でそう語りつつ、老婆達はスポーツカーをも凌駕する程の速度で夜の街を駆け抜け、猟兵達へと突っ込んでくる。
近くにいたUDC組織の職員たちが記憶消去銃を構え、猟兵達へと叫んだ。
「あの老婆達が「ターボばあちゃん」です! 我々もできる限り目撃者や負傷者への対処はしますが、なるべく呪詛型UDC達を人目に付かない所に誘導しながら戦って下さい! お願いします!」
メンカル・プルモーサ
☆
…シュールな光景だなぁ……
ひとまず箒に乗って飛びながらターボ婆さん達に並走…
…人目の付かない場所、ね……いや、これ作り出した方が速いか…
…ハッキングを駆使して交通システムをコントロール、一般車両の進入を制限…
さらにUDCと連携して道路の一部を封鎖して貰い誘導…走りやすい方向へと移動すると一定の経路をグルグルと周回する様にして貰おう…
…戦いやすくしてからが本番…と言っても相手は走行を主体としているのだから……【支え能わぬ絆の手】で転倒をさせれば自滅するかな…
…飛ぼうとする婆さんはロケットブースターを術式銃【アヌエヌエ】で撃ち抜いて出鼻をくじくとしよう……
●ハイウェイ・バトル
「シュールな光景だなあ……」
メンカルは箒に横乗りして夜の街を高速飛行しながら、感慨深げに呟く。彼女の視線の先にはターボを背負い、メンカルと併走するおばあちゃんの集団がいた。今まで色んな世界を渡り歩き、様々なオブリビオンと戦ってきたメンカルだったが、ロケットブースターを背負ったおばあさんの群れに襲われるというのはさすがに初体験だ。やはり世界は広い。
「儂らから逃げられると思うのかい? 魔女のお嬢さん!」
爆走しながらも笑い声を上げるターボばあちゃん達は、使いこなすには強靭な下半身が必要とされるストライド走法を見事に使いこなしていた。両手をダイナミックに振り、張り付いたようにメンカルの隣を併走してくる。
「HOOO―――――!」
「きぇええええい!」
突然婆さん達が、雄叫びと共にメンカルの左右から裏拳とドロップキックを繰り出してきた。見かけによらず野蛮な婆さん達である。
「……危ないな……」
婆さん達のラフファイトを巧みな高度調整で回避しながら、メンカルはUDC達を気兼ねなく戦える場所に誘導する方法について思案する。いつまでもターボばあちゃん達と併走を続けるわけにはいかない。
「……人目の付かない場所、ね……いや、これ作り出した方が速いか……」
メンカルは呟きながら、辺りの地図をコンピューターで確認した。もう少し南に行けば高速道路がある。そこを戦場に整えるとしよう。
数分後、メンカル達は勢いよく高速道路のETC専用の入口へと飛び込んだ。ピーッと電子音が鳴り、メンカルと婆さんは入場を許可される。無論、メンカルの箒や婆さん達にETCが搭載されているわけではない。メンカルが腕に取り付けた小型コンピューターでゲートにクラッキングを仕掛けてセンサーを欺瞞したのだ。
さらに、ゲートのコンピューターを通じて交通管理システムへの侵入を果たしたメンカルは、システムをコントロールして一般車両の進入を制限した。
仕上げに、UDC(アンダーグラウンド・ディフェンス・コープ)にチャットを飛ばし、道路の一部を封鎖してもらうように要請。これでこの高速道路一帯はしばらくすればほぼ無人になるだろう。ここにうまくUDC達を誘導すれば、他の猟兵も人目を気にせずに戦えるはずだ。メンカルはその後も婆さんの攻撃を捌きながらしばらく高速道路上をぐるぐると巡回し、人払いが終わるのを待った。
「どうしたんだいお嬢さん! さてはアンタ見習いだね?
箒で飛ぶ以外の芸を見せてみな!」
「アンタと私達は年季が違うんだよ!」
メンカルが一向に攻撃してこないことに調子づいた婆さん達が口々にメンカルを挑発する。だがその直後、ターボばあちゃん達はメンカルを少女と侮ったツケを支払うこととなった。
「……そろそろか……」
メンカルは付近一帯に殆ど一般車両が通っていないのを確認した後、呪文を詠唱した。
「繋ぎ止める絆よ、弱れ、停まれ。汝は摺動、汝は潤滑。魔女が望むは寄る辺剥ぎ取る悪魔の手。『支え能わぬ絆の手』(フリクション・ゼロ)」
「おや、ようやく何か――あひゃああああああ!?」
メンカルの詠唱が終わったのと同時に、ターボばあちゃんは猛烈なスピードで道路を滑走し、ガードレールに叩きつけられて自滅した。メンカルが婆さん達に魔術をかけ、大地との摩擦を限りなく0にしたのだ。
「滑る! 滑る! うわああああああ!!」
ターボばあちゃん達は次々とコントロールを失い、カーブを曲がり損ねて壁に激突し、爆散していく。
「くっ! 侮ったね! 地面がダメなら、空を……!」
絡繰りに気付いたターボばあちゃんの一体はロケットブースターを点火し、空へと逃れようとした。しかしメンカルはそれを見逃さず、婆さんが飛び上がった瞬間を狙い、回転式拳銃【アヌエヌエ】でロケットブースターを撃ち抜いた。
「ぎぃえええええええ!」
断末魔の声を上げ、ターボばあちゃんは打ち上げ花火の如く大爆発を起こした。周辺に敵影無し。ひとまずは排除完了だ。
「……よし……。他の応援に回ろう……」
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
◎
出やがったな、
都市伝説UDC!
こんな街のど真ん中で怪鳥音でバリバリに存在感出しやがって……
いいさ、それならいっそアタシが都市伝説の上書きをしてやるよ!
怪鳥音の使い手(?)がアンタらだけだと思うなよ!
こんな衆人環視のド真ん中さ、「アレ」を使うにゃ好条件だ!
テレパスを、第六感を、超えろ……!
そう、あのババア共の超スピードすらたやすく捉える、
第七の感覚へ至れ!
グォカカカ…ケォォォォ!!!
そう、アタシは今や鳥!
漆黒の闇夜を舞うように切り裂いて飛ぶ翼!
ブースターがなんだ、【レイブン】に目覚めたアタシから、
逃げ切れると思うなよ!
見えたを幸い瞬でボコって、
アタシに耳目を『おびき寄せ』る!
ケぉォぉォぉ……!
●黒い覚醒
「けぇえええー―――!!」
「出やがったな、都市伝説UDC!」
奇声を上げ、真正面から突っ込んでくるターボばあちゃん達を見据え、多喜は身構えた。婆さんの突進に合わせ、パンチを繰り出す。しかし、拳が命中する寸前に婆さんは姿勢を低くし、スライディングで多喜の腕の下を通り抜けた。
「そんなスローなパンチじゃ儂らには当たらないねえ! くけけけけけぇ!」
ずざざー、と地面を滑りながら態勢を立て直したターボばあちゃんは奇怪な笑い声を上げる。
「こんな街のど真ん中で怪鳥音でバリバリに存在感出しやがって……。
いいさ、それならいっそアタシが都市伝説の上書きをしてやるよ!」
多喜はジャンプしたまま空中で静止し、婆さん達をびしりと指差した。多喜の空中パフォーマンスに、行き交う人々の視線が集まる。
「おかあさん、あそこみて! おねえさんが浮いてるー」
「なんだありゃ、マジックショーか?」
「宇宙人だ!」
「ちょっとおおおおおおおお!?」
最後のはUDC組織の人の悲鳴である。
「怪鳥音の使い手(?)がアンタらだけだと思うなよ!」
多喜は精神を集中し、己の奥底で脈動する力を呼び覚ました。
(テレパスを、第六感を、超えろ……!
そう、あのババア共の超スピードすらたやすく捉える、第七の感覚へ至れ!)
多喜は魂が命ずるまま、荒ぶる鷹の如く両手を広げてポーズを取った。
全身から黒いエナジーが迸り、多喜は禍々しい姿へと変わっていく!
「グォカカカ……ケォォォォ!!!」
漆黒の鳥人【レイヴン】となった多喜はけたたましい怪鳥音を上げながら、彼方を目指して飛び去った。
「逃がしゃしないよ! きぇええええええ!!」
ターボ婆さん達は次々と背中のロケットブースターを点火し、多喜を追って上空へと飛んで行った。
●妖怪大戦争!!
「HOOOO!」
「せいや――――!」
「かぁー――――!」
街の遥か上空で、ターボばあちゃんのロケットのような勢いの頭突きが、音速に迫る速度で放たれたフライングクロスチョップが、爆撃のようなジャンプ踵落としが、同時に多喜に襲いかかった。
「見える――! いや、感じる!」
衆人環視の的となることで高次の意識と繋がり、「第七感」に目覚めた多喜には今や、ターボばあちゃん達の超スピードが老人会のラジオ体操のようなスローな動きに感じられる。
多喜はターボばあちゃん達の波状攻撃を見切り、カウンターを叩き込んだ。多喜の紫電を纏った痛烈なボディブローが、怪鳥の爪の如き回し蹴りが、光る手刀が流れるようにターボばあちゃん達に炸裂し、婆さん達は次々と空に散っていく。
「な、何者だい!?」
思わずターボばあちゃんの一体が尋ねる。
「アタシは今や鳥!
漆黒の闇夜を舞うように切り裂いて飛ぶ翼!」
「ひえええええ―――!!」
生き残りのターボばあちゃん達は踵を返し、ロケットブースターの出力を全開にして逃げていく。
「ブースターがなんだ、【レイブン】に目覚めたアタシから、逃げ切れると思うなよ!」
呪詛型UDCは周囲に呪いを振り撒く。一体とて逃がすわけにはいかない。多喜は黒い翼からサイキックエナジーを一気に放出し、ターボばあちゃん達を追った。
「捕まえた!」
ターボばあちゃん達の背中を視界に捉えた多喜は、婆さん達のロケットブースターを念動力でひっつかんでこちらに引き寄せながら、婆さん達に向かって怪鳥音を発した。
「ケぉォぉォぉ……!」
「「ぎゃあああああ!」」
多喜の放った超音波攻撃の直撃を受け、ターボばあちゃん達の肉体は内側から粉々に砕け散った。
成功
🔵🔵🔴
春霞・遙
最速を競いたいUDC相手に人目につかない場所で戦うとなると、峠か沿岸かな。
誘導は機動力に優れた方にお任せして私は罠を張りたいです。
首なしライダーの譚の一つにワイヤートラップで首を落とすというのがありましたよね。アレそのままでは他の人がかかってしまうと困るので、「目立たない」で「闇に紛れる」色の紙飛行機2機を鋼糸で繋いで【仕掛け折り紙】で動かすという方法で再現してみようかと思います。
UC【紙片鋭刃】と併せて使えるならワイヤー無しで飛ばした紙飛行機のみで味方を避けられるトラップになるのですけれど。
足止め程度でもできたら撃ちもらされている敵さんに「零距離射撃」や「暗視」「スナイパー」で適宜トドメを。
雪・兼光
◎
さて、ようやく本命のお出ましか!
まってたぜ、レジェンド!よかったらワンレース如何かな?
俺の様な若者に歴戦の走りを見せて教えてくれよ!
ユーベルコードでブラスターを変形させてウィリーしたり、変形したブラスターで体当たりだ。もちろん運転を利用して距離が空いたらロングボウで攻撃、誘導弾と2回攻撃とスナイパーは忘れずに。
間合いが開いた場合は相手の背中のロケットブースターをロングボウで部位破壊できるか試す。
無理なら追いかけながらロングボウを居るか、ブラスターで体当たりか、ユーベルコードをいったんきってトリガー引いて乱れ撃ち
相手の攻撃は見切りと第六感で可能な限り避ける
●伝説への挑戦者
「ヘイヘイホォォーーーー!」
けたたましい奇声を上げながら、夜の街を爆走するターボばあちゃんズ。噂に呼ばれ、高速の世界に生きる彼女達こそがこの街最速のライダーだ。
――今夜までは。
「さて、ようやく本命のお出ましか!
まってたぜ、レジェンド! よかったらワンレース如何かな?
俺の様な若者に歴戦の走りを見せて教えてくれよ!」
雪・兼光(ブラスターガンナー・f14765)は愛用のブラスターを変形させた宇宙バイクに跨り、ターボばあちゃん達に挑戦状を叩きつけた。
「くけけけけ! よかろう! 若造に本当の走りってモンを教えてやるよ!」
ターボばあちゃんは歓喜し、兼光の挑戦を受諾する。
「ありがとよ! なら勝負はハイウェイでどうだ?」
兼光はターボばあちゃん達と併走しながら、ハイウェイのインターチェンジを指し示した。この中はすでに猟兵やUDC組織の手で人払いがされているし、罠も用意してあると聞く。呪詛型UDC達と決着を付けるにはうってつけだ。
●伝説の再現者
春霞・遙(子供のお医者さん・f09880)は高速道路のガードレールの外側に位置する林に潜み、ターボばあちゃん達を待ち構えていた。その両手には狙撃ライフルが握られている。望遠鏡代わりにライフルスコープを覗き、敵が来ていないか確認しながら遙は考える。
(首なしライダーの譚の一つにワイヤートラップで首を落とすというのがありましたよね)
「首無しライダー」の都市伝説は現代においてターボばあちゃんと同じかそれ以上に有名だ。話の流れ自体には地域や時代によって細かい差異があるが、最後に「目撃者の頭部が欠損する」という結末はおおむね共通している。遥の知るパターンの
の中の一つに、「首無しライダーが道路上にワイヤーか何かで罠を張っていて、目撃したライダーの首を刎ねてあの世への道連れにする」というものがあった。
「それをUDCで再現してやりましょう」
●伝説の幕引き
「そりゃあああああ!」
「おっと!」
ターボばあちゃんのドロップキックを、兼光はウィリーで躱した。兼光はすかさず態勢を崩したターボばあちゃんの背中目掛け、狩猟用の大型弓を引く。
「ぬわーー!」
兼光が放った矢はロケットブースターを貫通し、大爆発を起こした。これで一体撃破だ。
「よくも儂らのフレンズを! きええええええ!」
仲間をやられ、激昂したターボばあちゃんの一人がロケットブースターを起動して急加速し、兼光へと突撃を敢行する。背後から迫る婆さんの位置を横目で確認した兼光は冷静にロングボウを発射し、ターボばあちゃんを牽制した。一呼吸で二連射された矢が老婆の体を抉るが、両腕を盾にして致命傷を防いだターボばあちゃんはそのまま兼光へと突っ込んできた。
「根性ある婆さんだな……!」
兼光は車体の向きを変え、こちらからターボ婆さんに体当たりした。交通事故のような凄まじい騒音が周囲に響き渡る。正面からのパワー比べに敗れたのはターボばあちゃんの方だ。吹き飛ばされたばあちゃんは背中から壁に叩きつけられ、爆散して果てた。
近くのターボばあちゃんを排除した兼光は遠くにいるばあさん目掛け、さらに弓矢を連射する。ばあさんは発射された弓矢をサイドステップで華麗に回避したが、弧を描いて戻ってきた矢が婆さんの後頭部に突き刺さり、また一体が撃破された。兼光は特殊な軌道で飛ぶ誘導式の矢も放てるのだ。
「あそこか」
戦いながらハイウェイを爆走していた兼光は、進行方向の木の上にチカチカと光る懐中電灯を確認した。数百メートル先に仲間の遙がいる。ターボばあちゃん達にまとめて引導を渡すチャンスだ。
兼光は攻撃を一旦中止し、道路のセンターに陣取った。
「攻撃が止んだ! 矢が切れたのかい!?」
「チャンスだよフレンズ! 一斉に仕掛けるんじゃ!」
ターボばあちゃん達は無防備な兼光の背中に向け、一斉にロケットダッシュで突っ込んだ。
「命を持たない紙の鳥、散らず褪せない紙の花、くるりくるり、舞い踊れ」
しかしその時、道路の脇で密かに滞空していた黒い紙飛行機達が路上に仕掛けられていた鋼糸を持ち上げた。遙の『仕掛け折り紙』によるブービートラップだ。
「ゲェッ!?」
全速力で走っていたターボばあちゃん達は突然首の高さに出現したワイヤートラップを回避しきれず、次々と首を刈り取られた。
ドンドンドンッ!
夜の闇を切り裂いて飛ぶライフル弾がUDC達を追撃する。僅かに生き残った個体も遙の狙撃で次々と頭を吹き飛ばされ、すぐに仲間の後を追った。
「お疲れさん。終わったな」
兼光はバイクから降り、木の上にいた遙に向かって手を上げた。
「お疲れ様です。私はUDCエージェントなのでたぶん残業要請がありそうですけど……」
木から飛び降りた遙は兼光にぺこりと一礼し、苦笑した。今回はUDC達の出現場所が街中だっただけに、目撃者0とはいかなかった。おそらくUDC組織は今猫の手も借りたい状況だろう。
「マジか。そりゃ大変だな……」
こうして、呪詛型UDC「都市伝説ターボばあちゃん」との戦いは終わった。猟兵達とUDC組織の暗闘により、また一つUDCが闇へと葬られたのである。
だが、この街に出現したターボばあちゃん達が滅びても、都市伝説そのものが消えたわけではない。UDC達はいつも、暗闇の中で復活の時をじっと待っているのだ。
次は、あなたの街にターボばあちゃんの群れがやってくるかもしれない……。
大成功
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