●
空に届く場所。
夜と闇に覆われた世界で、その場所は比較的に明るい。
空にある星の瞬きが近い、高所に存在する場所だからだ。
長い時間をかけて肌が削られ出来た、高い裸の山。
辺りは丘陵が囲み、見張らしもいい。
その頂点に、少ないながらも人は住み着いていた。
ヴァンパイアの支配を逃れ、神々の目からも離れ、生きていた。
ちょっとした魔獣であれば、高所から低所を迎える地の利を活かして迎撃も出来る。
故に、それなりの時間、人々は平和だった。
しかし、故に人々は思い知る。
軽快な笛の音に誘われて、楽しい愉しい化粧を施す行進を聞きながら。
「ああ、林檎が沢山、美味しそう」
足掻いても逃れられない、喰われる側の立場を思い出す。
「食べきれるかしら、私、一口は小さいの、ねぇ。こんなにたくさん、実ったね」
●
グリモアベースに、ミサキはいる。
いつもの様に背もたれを無くした椅子にちょこんと腰掛け、猟兵が揃うのを待っていた。
そうして、しばらく。集まってきたのを確認した少女は椅子から降りて、微笑みを浮かべ、言葉を作る。
「こんにちは、みんな。ここに来たってことは、手伝ってくれるんだよね。うんうん、わかってるわかってる」
ぱん、と手を合わせて、返事も聞かない内から続ける。
「ダークセイヴァーで事件が起きるよ。ヴァンパイアの支配から逃れた地──人類砦が、辺境伯に壊滅させられる」
ここ最近現れた強力なオブリビオン。辺境伯の紋章と名前を付けられた、寄生虫型オブリビオンを体に宿した謎の敵、それを総じて辺境伯とカテゴライズしている。
それが、ある村を襲うというのだ。
「幸いな事に、発生までは時間があるよ。現地で準備する猶予がある。迎撃するとか、相手の様子を探るとか、村の人を逃がすとか、うん、色々ね」
その結果で、未来は変わるだろう。
だから。
「だから、みんなの思うように動いていい。きっと悪いことにはならないさ、ああ。きっとね」
そう言って、ミサキはグリモアを取り出して、猟兵たちを送り出した。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
ダークセイヴァーの辺境伯シナリオになります。
冒険→集団戦→ボス戦となります。
冒険で行った事が主に集団戦で活きてくる感じだと思っててください。狙って変なことしない限りは全部プラスに働くと思います。
詳しい立地はOPに乗ってますが、取り敢えず見晴らしのいい高台みたいな場所だと思っていて下さい。
それでは、よろしくお願い致します。
第1章 冒険
『辺境伯迎撃準備』
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POW : 襲撃を行うポイントに移動し、攻撃の為の準備を整える
SPD : 進軍する辺境伯の偵察を行い、事前に可能な限り情報を得る
WIZ : 進路上の村の村びとなど、戦場に巻き込まれそうな一般人の避難を行う
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
遠く、どこまでも見えそうな場所に立つ。
けれどそこから見えるのは、一面の闇だけだ。
もうすぐここに、悲鳴が加わってしまうだろう。
アリステル・ブルー
「人類砦の壊滅なんで絶対許せないね、僕に是非手伝わせて!」
人が人らしく生きていける場所を奪われるわけにはいかない。何より敵にそんな権利はないのだから。
そうだね、現地についたらUC【影身】でもう1人の僕と使い魔のユールを呼ぶね。
辺境伯の敵の規模を地上2人上空1羽で偵察追跡してみるよ。闇に紛れたりできるかなぁ。
敵の規模や編成、進路がわかれば…対策できないかな?
あと、偵察中余裕があれば戦うのに有利そうな場所、住民が避難出来そうな場所を探してみたいな。無理なら今僕が出来る事に集中しよう!
もし他の猟兵さんが手伝い必要そうなら積極的に手伝いに行くね。
得た情報ももちろん共有するよ!
(アドリブ連携可)
●
見渡す世界は広い。
夜の世界にしては珍しい視界の開け方をしているだろう。
一際高い土地としてあるそこに、アリステルは降り立った。
「広いなぁ」
ぐるりと回れば、そこそこな規模の拠点だと解る。
支配から抗おうとする人々の結晶がこの地、人類砦なのだろうと、そう思う。
「この場所が壊滅させられるなんて絶対に許せないね、手伝わなくちゃ!」
拳を握った決意は固い。
人が、人として生きていく。誰にも脅かされず、巨大な不安も無く、ただ日々を過ごすための場所だ。
それを奪われるなんてあってはならないし、何よりも敵にそれを踏みにじる権利などあるはずもないのだから。
「……じゃあ、まずは確認から」
まず始めに、彼は青い鳥を喚び出す。それは普通とは違い、アリステルの視覚と聴覚を共有させた魔法生物だ。
空へ羽ばたかせ、俯瞰した景色として辺りを探る。
同時に、ユーベルコードを用いた分身も産み出しておく。
「ユールには敵の位置や規模を見てもらって、僕らは避難出来そうな場所か……隠れられそうな部分を探すとしよう!」
高台の拠点から外側へ。
円を描くように分身と別れて歩くことで、アリステルは周辺地域の把握に努めた。
大成功
🔵🔵🔵
ライラ・ガーランド
みすみす虐殺を見過ごす趣味なんて私には無いよ。村の人を全力で守ろう。
私は射撃系の武装を使うから、一般人に流れ弾が・・・なんて事が起きないように避難の誘導をするかな。実戦に集中できるように、戦うべき敵以外の要素は少ない方がいいしね。
それと、避難誘導中に余裕があれば戦闘に役立ちそうな地形の把握もしたいけど・・・無理そうならやるべき事に集中しよう。
(アドリブ・連携可)
フィーネ・ルーファリア
見晴らしのいい高台ってのは上から狙うにはいいけど、隠れる場所がないってことでもあるのよね
特に私みたいな遠距離特化の【スナイパー】気質のある弓使いとっては、ちょっとキツイかな
ってなわけで、敵から姿を隠せてかつこちらから狙いやすいポイントを探してみよう
人類砦の守衛にも射手はいるだろうから、彼らにも話を聞いてみましょう
狙うなら何処からがいいかしら?
もしないようだったら即席でもいいからバリケードを作ってそこから射手が打てるようにしたいわね(【サバイバル】)
森だと常に隠れることが出来るから、こんな事しなくていいんだけどねぇ
森以外の戦闘にもちゃんと慣れないといけないから、今は出来ることをやるしかないよね
春霞・遙
見晴らしの良い裸の山ということは、見つけやすく見つかりやすいのでしょう。
周囲に人が逃げ込めるような森や何かがあれば良いのですが……。
【影の追跡者の召喚】を用いて辺境伯が来る大体の方向と、村びとを逃がすのに適した場所を探します。
「世界知識」「変装」で別の地から逃れてきた風を装って、ただの人では束になっても敵わない強大な敵がこの村へ向かっていることを大げさに「パフォーマンス」します。
信じてもらえたら、予め見つけておいた場所へ村の方々を誘導します。
●
広いが狭い土地だと、ライラは現地を見てそう感じた。
歪な円を思わせる地形上には、必要な物資と簡易な建物が多い。
それだけ遮蔽が多く、敷地外を見下ろす視界はあっても、この中は見落としが多く出るかもしれない、と。
「避難の誘導が必要になるだろうね」
来るべき戦闘の時、自分の戦闘スタイルでは村人を巻き込む恐れがある。特にこの場で戦うことになるのなら、その可能性は格段に跳ね上がる筈だ。
とはいえ、手加減をしていては、みすみす虐殺を見過ごす事に繋がりかねない。
「後は、敵がどこから来るのか、だけど」
一番最悪なのは、包囲して上ってくることだろう。
迂闊に敷地から出してしまうと、目の届かない場所で襲われてしまう可能性がある。
「だとすると……どう動くのが一番だろう」
考える。
考えるが、どちらにしても敵の情報を待つしかない。
今、ライラが出来るのは、いざ避難を始めたときに素早く行動出来る様、準備を促す事だ。
「……うん、やれることから始めよう」
●
「この櫓、四方にあるのね」
高所から見下ろす、物見の櫓に、フィーネは立っていた。
傍らには、警戒中の武装した村人がいる。
「……なるほど、ね」
不思議そうに──と言うより怪しんでいる様な村人の視線を気にせず、敷地の外側へと飛び降りる。
随分と見通しのいい場所だと、そう思う。
敵の発見は容易だろうし、高低差から考えれば迎撃に向いているとも言える。
だが、もし仮に、相手が物量に任せて攻めてきた場合はどうだろうか。
「……ゾッとするわね」
迎え撃つなら必然的に、境界線からの攻撃になるだろう。
射手である彼女としては、身を隠す手段の乏しいこういう拠点は難しい戦場だ。
「森なら隠れる場所も多いから、こんなことに悩まないのだけど……」
櫓を見上げてフィーネは思う。
上からの狙撃か、簡易敵な遮蔽物を作るか。
「……今は、少しでも手段を増やすことを考えた方が、無難かしらね」
●
「困りましたね」
人類砦の前、鬱蒼と草が繁った辺りで、遥は思案していた。
……思っていたより、隠れられる所がないですね。
周辺の地形は起伏が多い丘陵の大地だ。砦を構えるのは裸の山、その登頂部である以上、敵の来ない方向へ逃がすしか手はない。
だが、ここ一体は身を潜められそうな洞窟も無く、木々の影に隠れられる程の緑もない。
加えて、あまり砦から離れ過ぎても、別のオブリビオンと出会す可能性だって、零ではなかった。
それになにより、辺境伯の引き連れる手駒がどう動くのかも、現段階では判明もしていないのだ。
「ボスの来る方向はわかっているのですけれどね」
遠く、丘の向こうへ視線を流す。
距離が離れすぎていて、精確な位置までは判明していないが、その先に辺境伯がいると、遥は確信していた。
だがそれだけだ。
言い換えてしまえば、ここに向かってきている事しか解っていない。
「今は未だ、です」
だったら、出来ることで備えるしかない。
適当な外套に袖を通し、身なりを崩した彼女は、片足を引きずりながら拠点の門を叩いた。
「ね、ねぇ、聞いて、向こうから化け物が来ているの!」
鬼気迫る表情で、忍び寄ってくる危険を訴え、村人達の危険意識を高めていった。
大成功
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第2章 集団戦
『疫病パレード』
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POW : 安楽のレクイエム
【演奏される曲から毒属性の疫病】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 喝采のファンファーレ
戦闘力のない【人々を死に至らしめる呪い属性の疫病】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【感染者は倒れ、演奏をする亡者となること】によって武器や防具がパワーアップする。
WIZ : 終わらないパレード
自身が戦闘で瀕死になると【一瞬で他の亡者へと憑依する先導者の霊】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
愉快な楽団が歌を歌う。
共に逝こうと誘いを謳う。
彼らは道化で、君達は観客という関係だ。
けれど、その舞台にあげようと、そう仕向けてくる。
登ってしまったら最期、もう降りられない。
それらが通った後に観客は残らなず、ただ死を呼ぶ道化師が増えていく。
それは楽園へ続くパレードの様に。
─────戦果─────
・敵の軍団は、村を取り囲む様にやってくる様です。
・村の周囲は木々も無く、草の濃い場所がある程度で、隠れるスペースは無さそうです。
・村内に緊張が強まっています。敵の軍団を見れば、村人達は猟兵の邪魔はしないでしょう。
・村と外の境界線に、簡易な柵が出来ています。
─────以上─────
磐座・加籠
この世界で平和な場所があるなんて、信じられません。ここに住んでる人たちがボクみたいに怖い思いをしないで欲しいと思います。
パレードが村に近づくのが少しでもゆっくりになって、他の猟兵の人たちが倒しやすいように【鳥の歌】で敵の気を引きます。
いざとなったら物理的に攻撃できるように筆談用プラカードは手に持って村から出てオブリビオンが向かってくる方に行きます。
ある程度村から離れたら空気を肺いっぱいに吸い込んで、見渡す限りに届くように歌います。怖くなっても、涙が出ても、痛くても、苦しくても、歌うのはやめません。
プラカードには『パレードはこれでおしまい』
クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可
迎撃準備には間に合いませんでしたが、まだ十分取り返しはつく筈……。遅れた分は戦いで返します
【戦場を駆ける異形の軍勢】で騎士の幽霊を召喚
適当に数を分けて、此方も村を取り囲むように展開
敵が村に近付きすぎると、村人が攻撃に巻き込まれかねない
軍勢には「敵が村に近づかない」事を最優先に立ち回らせる
こちらの配下は幽霊
敵の攻撃が呪詛でもある以上全く効果を受けない訳ではないだろうが、毒には幾らかの耐性がある
自分は呼び出した戦車を使って戦場を移動、防御の薄いところへ向かう立ち回りで
『オーラ防御』『呪詛体制』『毒耐性』で疫病を防ぎ、黒剣(大鎌状態)と鎖による『範囲攻撃』で周囲を纏めて攻撃
村の周囲、大きく外に外れた円周を、パレードが進んでくる。
速度としては遅い。
だが、隙間なく広がったその輪が、段々と狭まってくるのを中心で見ている心境は、穏やかではない。
追い詰めてきている。
その動き方に、作為的な部分を感じて、クロスは村の敷居を跨いでいく。
「迎撃準備には間に合いませんでしたか」
迎え撃つ用意は万全ではないだろう。
だが、致命的なミスだ、とまではいかない。
敷地を取り囲む様に異界騎士を喚び出し、こちらも隙間を無くすように並んでから、ゆっくりと前へ。
「……行くのですか」
と、その並びを割って、先へと進む姿がある。
加籠だ。
掛けられたクロスの問いに、チラリと視線を振り返した彼は、歩みを止めずに行く。
プラカードに一言、『大丈夫』と、そう書いて見せ、距離を縮めるピエロへと迫っていった。
●
ピエロはただ、笛を吹く。
奏でる音色はバラバラで、その不協和音が聴く相手の思考を破壊していく様だ。
そこに、重ねるようにして音を挟み、捩じ伏せる声を加籠は放っていく。
「──!」
「──!?」
歌う。奏でる。本来共生する筈のそれらを反発させる。
大量の音波を、ただ一人の声で抑え込む。
そんなこと、可能ではない。
それでも加籠は、肺の空気を出し尽くしても歌を止めなかった。
全ては、平和を勝ち取った村を守るためだ。この世界でそう在れる事がどれ程信じ難いことなのか、彼はよく知っている。
そんな人達に、自分の様な経験をしてほしくない。
想いは身体を支え、精神を支えてくれる。だが、故に加籠の身体は悲鳴を上げていた。
一心に音を受けているのだ。
口、目、鼻、耳。血と、汗と、涙が意志と関係なく暴れ出して溢れる。
「…………っ」
やがて、それはピエロの動きを鈍らせた。
元来、感情をも失った集団は、自分が持たない心を乗せて歌う姿に、不思議な想いを沸かせていたのだ。
だから、笛に添えた手が震えるのをそれらは自覚して。
「無茶をしますね」
駆け降りてきた大鎌の一閃で首を落とされた。
クロスのものだ。
不意を打った一撃に続き、腕に絡めた鎖を一度後方へと広げる。それから、一気に引き戻す様に前へと全力の薙ぎを放つ。
「きょ」
鈍っていたピエロ達は、その動きに対応出来ない。
ただ迫ってくる鈍色を目で追って、ただ肉を引きちぎる鉄の感触に意識を喪失させていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
春霞・遙
病や呪いの治療に力を入れます。領域内に死者が出ればそれが先導者になるかもしれないし、それ以前に人の病を癒すのが医師の使命です。
まずはオブリビオンを近づかせないために迎撃ですね。村の内と外を見渡しやすい場所があればそこで、肉眼とスナイパーライフルのスコープを用いて周囲を観測します。
敵を見つけたら近い・速いものから順に狙撃を。急所を狙って行動不能にさせるか足を狙って進行を遅らせるのが望ましいです。
域内に感染者が出たらできる限り病の進行を遅らせることができるよう【生まれながらの光】も用いて治療を試みます。当然オブリビオンを殲滅しなければ焼け石に水でしょうから、患者の様子を見ながら戦闘にも加わります。
フィーネ・ルーファリア
連携・アドリブ歓迎
こういう場所での戦闘は初めてだけど、やるしかないわ
柵はもうちょっとしっかりしたものが作れればよかったんだけど、敵が差し迫ってる中ではこれが限界かしら
四方にある物見櫓から前線を援護するように迎撃した方が敵の様子も分かっていいかもしれないわね
選択UCを使用して、遠くからまずは一発お見舞いするわ(【スナイパー】【全力魔法】)
そのあとは『風』の魔法をのせた【属性攻撃】の【乱れ撃ち】で【援護射撃】に徹しましょう
村の人たちは他の猟兵がうまい具合に誘導してくれてるでしょうから、私は戦闘に集中ね
一方しか担当できないのは痛いけど、他の猟兵たちとも協力すれば対応できるわよね
●
狭まる敵の包囲に対して、並ぶように囲んで迎え撃つ騎士達の存在がある。
それらはそれぞれ、内から外へと広がって、侵略を食い止め敵を討伐するための動きを見せていた。
そうして、結果、生まれるのは別のモノ。
「やらしい敵ですね」
遙は、そういう流れを見て思う。
……厄介な特性を持った相手です。
騎士達は強い。敵の数に圧倒されつつも、確実一体ずつを減らしている。しかし、それが間に合わないのも事実で、且つ、倒れた敵の身体から吹き出る存在が楽観視を許してくれない。
「憑依して依り代としますか」
撃破された騎士、その崩れ掛ける身体に取りついて無理矢理に維持させ、操って攻撃をしている。
「ふー……っ」
柵の前で膝立ちになり、柵の上辺でライフルの銃身を乗せて支えにし、スコープを覗いた彼女はトリガーに指を掛け、引く。
乾いた破裂音と同時、ピエロの脳天が弾け飛んだ。
「……やっぱり」
見ていてわかったことは、まだある。
それは、一撃で絶命したピエロからは、憑依の霊が現れないことだ。
発動の条件は瀕死であることなら、それを通り越したダメージを与えることで防ぐことが出来る。
「あんな不健康なもの、ここに入り込ませるわけには行きませんね」
戦闘員である前に彼女は医者だ。
むざむざ病を蔓延させる種と成り得るものを、見過ごすわけにはいかない。
だからまた、スコープを覗き、騎士が引き倒して霊を出していない個体には止めを。
活発な個体は急所を撃ち抜いて。
抑制と殲滅を押し進めていった。
●
そして、遙の狙いをまた、フィーネも見ていた。
視点としてはさらに上、物見の櫓だ。
「そう、そういうこと」
理解して、ならばやることは一つだ。
三人の猟兵が方々で戦っている。そちらの方面は任せても大丈夫だ。
しかし、手が足りない、詰まる所防御が薄い箇所があるのも事実。
フィーネがそこを埋めれば、ピエロの殲滅は可能だ。
そう判断して、そちら側に向かって立ち、弓を軽く前へと構える。
「またぞろぞろと」
矢を弦に番え、軽く弓を起こしてから引き絞る。
背中を内側へ締める様に、それから両腕を離す様にして、弓のしなりと弦の張りを限界まで緊張させていく。
「──一つずつじゃ間に合わない、なら」
魔力を、矢尻に集中。
うっすらと、可視化するほど高めた風がそこにとぐろを巻く。
それから、一拍の間を空けて、フィーネは射った。
「!」
空気を切り裂いて飛んだ一矢は、一直線の起動でピエロへ迫り、しかし届くより早く弾けて散った。
風が、鋭い矢となって、分裂して乱れたのだ。
降り注ぐ雨のようになったそれは、余すこと無く集団を貫いた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『マーシャ』
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POW : 少し味見させて──ね?
【意識】を向けた対象に、【その生命力を投影した林檎を齧る事】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD : 七人のこびと
【危機が迫った時に現れる7人の犠牲者】の霊を召喚する。これは【好意を持つ人のキスでしか目覚められない毒】や【毒針】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 林檎滔々仇時雨
【優雅に踊りながら毒林檎】を降らせる事で、戦場全体が【お気に入りの果樹園】と同じ環境に変化する。[お気に入りの果樹園]に適応した者の行動成功率が上昇する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「奇鳥・カイト」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
残骸の道を、少女は踏み荒らす。
しゃく、しゃく、と音を立てて。
果実の成る木の方へ少女は歩く。
しゃく、しゃく、と林檎を噛り。
「美味しそうに実ったね。あまい、すっぱい、どちらでも。
ああ、こんなに掠れた味よりも。
出来ればお汁のたっぷり詰まった甘い果実がいいかしら」
捨てたピエロの林檎を踏んで、少女は瞳を輝かせた。
フィーネ・ルーファリア
場所は引き続き物見櫓から
あれが元凶のオブリビオンね
余裕ぶった感じで林檎を食べてるみたいだけど、それもいつまで続くのかしら?
どこから来ようと、私の弓からは逃れられないわよ
敵を見つけたら選択UCでもって攻撃(【スナイパー】【全力魔法】)、その後は風の魔法を込めた矢(【属性攻撃】)で【乱れ撃ち】をしながらの【援護射撃】ね
基本的なスタンスはさっき(第2章)と変わらずに
敵の位置によっては物見櫓から降りる必要があるかもしれないけど、そこは臨機応変に行くわ
私のやれることはこの弓でみんなを援護すること
私一人の力でどれだけのことが出来るか分からないけど、誰かを守るために力を尽くすのは当然のことよ
春霞・遙
可愛らしいお嬢さん、ここは貴女の餌場ではありません。申し訳ありませんがお帰りください。
なんて、オブリビオンに言っても詮無いことでしたね。
力ずくでお帰りいただきましょう。
【悪霊祓いのまじない】と拳銃で攻撃します。
「クイックドロウ」「2回攻撃」「弾幕」等駆使して攻撃します。
毒林檎の雨を降らせるようならハシバミの炎でりんごを焼き、下草を焼き、果樹園を焼きます。
果樹園には適応できないかもしれませんが、この地形における戦闘力を高めることで対抗します。
一般の方が攻撃の対象になりそうなら防御かなぐり捨てて「かばう」ことに専念します。
アドリブ連携お任せします。
磐座・加籠
『りんごはおいしいけど、ここにりんごはない?』
『ここで生きてる人はりんごじゃない』
祈りの歌声にのせてプラカードを花びらに変えて攻撃します。
吸血鬼はとっても怖いですが、勇気をふりしぼります。
歌の邪魔をされないように翼にオーラ防御をかけて攻撃を防ごうと思います。
ほかの人のお手伝いも出来たら頑張りたいです。
クロス・シュバルツ
アドリブ、連携可
外見は少女とはいえ、オブリビオンであり辺境伯である以上は油断ならない相手
ならば、最初から全力で挑む事にしましょう
【赫の激憤】で戦闘力を強化。辺境伯の紋章は、何処に持っているか不明なので一先ず拘らずに戦う
攻撃の起点になる林檎が厄介なので、鎖で『フェイント』をかけて牽制しつつ足を『串刺し』にして、『体制を崩す』事で隙を作る
そこで林檎を狙って黒剣で攻撃、『部位破壊』を狙う
但し破壊が無理そうなら深追いはせず、本体狙いに切り替える
敵の攻撃は一種の呪詛だろう。『オーラ防御』と『呪詛耐性』で軽減して『気合い』で耐える。
受けたダメージは攻撃時に『生命力吸収』で削られた分を回復
●
フィーネは、上からそれを観ている。
少女だ。
見た目に不釣り合いのプレッシャーは、あれこそが辺境伯だと自然に理解させてくる。
「……やることは、変わらないわ」
ふ、と一息。呼吸をして、ピエロを殲滅した時と同様に、弓の弦へ矢を掛ける。
そして打ち上げ、
「ッ」
狙いを澄ませる視線が、少女の平坦な瞳とぶつかった。
意識されている……?
いや、あの瞳は確実に、自分に向けられたものだ。
ゾクリとした予感に一瞬の硬直、その間に少女は林檎をフィーネへ向けて両手で掲げていた。
みちり。
と、音を幻聴させる様に、細い指先が林檎へ食い込む。同時に、フィーネが立っていた櫓が根本から砕けて前倒しに行った。
「無茶苦茶な……!」
方法はわからない。だが、あの林檎に連動して櫓は壊されたのだろう。
攻撃された。
そんな推察と確信を得ながら、地面へと激突していく櫓と共に、フィーネは落ちた。
●
「──!」
黒から紅へ。
変わっていく感覚に身を任せて、クロスは腕に伝わせた鎖を真横へと振り切る。
この少女は油断ならない、危険だ、初手から全力で取り組まなければならない。
そう思い、そして行ったのだ。
「遊びたい、の」
鎖の鞭打ちだ。
狙いは相手の顔面、頬っ面を吹き飛ばすつもりで出す。
だが、それを、少女は人差し指を弾く事で上へと逸らした。
キン、という、軽い音で天へ踊った鎖の先。
「まだ」
そこへ、操る闇を乗せ、クロスは無理矢理に操作する。
「まだ!」
真下へ、少女の足へ向けて、だ。
足の甲から地面へと貫いたそれは、少女をその場に釘付けする為の一撃。そうして、傷んだ側へ傾いた重心を戻す、その動作中を狙ってクロスは前へ。
「もらうぞ……っ」
標的は、少女が片手で持った林檎だ。
櫓を破壊する様を彼は見ている。強力である分、力の行使に必要な物だと、そう理解した。
だから打つ。
はたき落とし、砕く様に林檎を打って。
「あまい、あまい、熟した果実」
クロスは、両の膝を地面に着けた。
抜き去られるような脱力感を覚えたからだ。
歪む視界を見上げれば、逆の手で新しい林檎を持つ少女の見下ろしと交錯する。
それは、首を可愛らしく傾けて言う。
「貴方は美味しいね」
しゃく、と、果実を食んで。
●
「ああ、感じる、甘い匂いだ」
踞る人を横に避け、爪先で土を跳ねながら上り行く。
くるり、くるりと身体を回して、頂上に生った果実の収穫へ向かうのだ。
その為の林檎を並べよう。
その為に、少女はたくさんの林檎を空へ放り投げ、
「ありませんよ」
乾いた破裂音が、浮いた林檎を破壊した。
それでも大地に落ちて、瞬く間に樹へと育った果実は並木となっている。
「ここに、貴女の餌はありません。可愛らしいお嬢さん、素直にお帰りください」
と、言っても、オブリビオン相手に詮無い事。
内心で息を吐き、遙は、ユーベルコードで具現化させたハシバミの枝に火を付けて放る。
本来なら、大地に流れる力の理解を助ける火だ。だが、林檎園と化したそこでは、従来の効果を万全には発揮出来ない。
とはいえ。
「全焼、とまではいかなくとも、でしょうか」
遙と、少女と、その境に焦げの境界線が生まれた。
その間を、生い茂る樹木が侵攻していく。
……これが紋章の効果ですか。
単純な力負けを感じて思う。
ごり押しされる感覚は、恐らくは辺境伯に因るモノの筈だ。
「ご馳走してあげる、酸っぱく饐えた、黒林檎なの」
と、不意に投じられた林檎が宙に舞う。
艶のある赤い林檎ではない。日の光を吸い込むような黒い、シワの寄った悪臭を吹き出す林檎だ。
それが、遙の眼前まで届きそうで、しかし。
「……あら」
阻む動きが生じ、押し返された林檎が少女の足元に転がる。
それは、花びらだ。白い、包みの様な、鈴蘭の花。その大群が重なり群がって、受取拒否の意を示す。
『りんごはおいしい、けど』
と、手元に集めた花はプラカードに戻り、そこに文字を写して加籠は伝える。
『生きてる人は、りんごじゃない』
●
白の花弁が舞う様に、毒の林檎は降り注ぐ。
「──!」
息を飲む加籠は、凌ぐ事で精一杯になりながらも、懸命に応戦を続けていた。
だがそれも長くは続かない。
増強されたオブリビオンからの攻撃は圧を増し、やがては埋め尽くすような毒林檎の雨が押し寄せて来る。
加籠では防ぎきれない。
それを察して、胸に沸き上がる敵への恐怖と、感じるであろう苦しみの予感に、彼は目をギュッと閉じた。
「…………?」
だが来ない。
恐る恐る目を開けると、そこには砕けて落ちる林檎の欠片が雨になっていた。
「やっと捉えたわ」
それは、出現した瞬間から射抜く一矢。
倒壊する櫓から脱したフィーネの、風撃を纏った攻撃だ。
「狙ったからには、どこにあっても逃がさない!」
「痛ぅ……」
矢継ぎ早に放った矢が、少女の腹を抉り削る。
たまらず膝をついたその姿は、しかし弱りを感じさせず、ただカクンと首を持ち上げて言う。
「たすけて たすけて」
乞う言葉。敵に向けて発したのでは無い。それは自分自身──いや、自分が危険を感じた時だけ発動する力への要請。
「さあ わたしを たすけて」
現れた七人の霊は、ゆらりと浮かび上がって、一目散にフィーネを目指し、
「却下だ」
空間に生まれた闇が、それらを飲み込んだ。
クロスだ。
剣を下に持って構えたクロスが、霊をついでで消しながら、少女へ肉薄していく。
「また壊すの?」
「ああ、壊すさ」
林檎の事だ。少女はさせまいと、先んじてクロスを映した果実へ歯を立てる。
敵の事だった。クロスは訪れる虚脱に備えて足を踏み込み、腰の捻りと手首の振りで付与した慣性のままに刃を振った。
「──あ」
そうして起こるのは、裁断だ。少女の腋下から、関節にするりと抜けた剣は、身体と腕を分断する。
失った部分を押さえ、意外そうに空白の部分を少女は見た。それが致命的な隙になってしまったと気付くより速く、彼女は押し寄せた鈴蘭の花びらに埋もれ押し出され、空へと連れ出される。
そして。
「終わりです」
一発の銃弾が、胸に隠された紋章と急所を撃ち抜いた。
大成功
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