9
燦然のスターライト

#アックス&ウィザーズ #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ
🔒
#戦後


0




●星石『スターライト』
「霊峰と呼ばれた山の頂きに、『星石(スターライト)』と呼ばれる鉱石が存在するらしい」
 集った猟兵たちに、アイン・セラフィナイト(精霊の愛し子・f15171)がそう告げた。
「……っと、悪い。まずは依頼の内容だったな。場所はアックス&ウィザーズ、皆には、まず山に蔓延るオブリビオンを退治してもらいたいんだ」
 アインが言うには、冒険者ギルドの依頼掲示板に貼られている依頼で、誰も手を出さない依頼が残っているという。
 それが、『星石(スターライト)』鉱石の回収、という依頼だった。
「『星石』は希少な鉱石で、『触れた人の想いやあり方に影響されて、別の宝石に変化する』鉱石なんだ。すごい石だろう?」
 数多の富豪が欲する神秘の鉱石。しかし、そこで一人の猟兵が口を開いた。なぜ、その依頼を受けようとする冒険者がいないんだ、と。
 アインはふぅ、と息を吐くと、事の次第を説明する。
「最初は、依頼書を見て現場に向かった冒険者もいるんだが……その山は『高濃度の魔力に汚染されている』。長居すれば魔力酔い、下手をすれば生死にかかわる。そしてもう一つが……」
 アインの魔法によって、ホログラムのように1体のオブリビオンが投影される。ピンク色のもふもふした体毛に包まれた可愛らしいオブリビオンに、幾人かの猟兵がじっとその映像を見つめている。
「『ピンク・モフ』と呼ばれるモンスター……実際にはオブリビオンなんだが、鉱石の採取を邪魔してくるらしい。なんでも、かなり食い気味に自分の体を押し付けてくるみたいなんだよな」
 もふもふの体を擦りつけて、『鬼ごっこしよう!』なんて言ってくるらしい。もちろんそんなことをしている暇はないので鉱脈を掘ろうとする。しかし、遊んでくれないことを察したピンク・モフたちが、もふもふアタックをカマしてくるとのこと。悪質。極めて悪質。
「……まあそんなこんなで、腕利きの冒険者、つまり猟兵たちに白羽の矢が立ったってことだ」
 猟兵たちに課せられた使命は2つ。
 まず1つ目が、霊峰と呼ばれた山に存在する『星石』の鉱脈を見つけること。
 そしてもう1つが、オブリビオン『ピンク・モフ』の撃退である。
 そしてその弊害は、『山が高濃度の魔力に満たされている』こと。
「ピンク・モフたちを倒して『星石』の採取に成功したら、近くの街にある金細工職人の工房に届けてくれ。余分に持ち帰った『星石』を、皆が身につける『イヤリング』にしてくれるらしい。まあ、報酬の肩代わりみたいなものだな」
 イヤリングは、耳に穴をあけるものから、開けずにそのまま取り付けるものまで選べるようだ。耳飾りにはめられる『星石』がどのように変化するか、わくわくしながら作るのも良いかもしれない。
 アインが杖を掲げると、周囲に集った猟兵たちの転移を開始する。
 転移先は霊峰と呼ばれる山の山頂付近。まずは、『星石』の鉱脈を探すところから始まる。
「よし、みんな、頼んだぞ!」


夕陽
 人の想い、人のあり方で別の宝石に変化する希少鉱石『星石(スターライト)』。
 皆さんが手にした『星石』は、どの宝石に変貌するでしょうか。
 OPをご覧頂きありがとうございます。初めましての方は初めまして、すでにお会いしている方はこんにちはこんばんは、夕陽です。
 戦争の終わったアックス&ウィザーズのシナリオとなります。
 以下、補足です。

 第1章では、『星石』の鉱脈が存在するという霊峰の頂で、鉱脈探しをして頂きます。
 ただし、霊峰は『高濃度の魔力』に満ちています。何かしらの対策を講じているプレイングの場合、ボーナスが発生致します。

 第2章では、オブリビオン『ピンク・モフ』との戦いです。鉱脈を掘りながら相手をするのも良し、ピンク・モフの討伐に集中するのも良しです。

 第3章では、採取した『星石』を金細工職人の工房に持ち帰り、自分のイヤリングを作ります。プレイングには、『どういう想いを星石に込めるか』や『自分の内に秘めた覚悟、願い』を重視したプレイングをお書き下さい。変化後の宝石につきましては、『指定する』か、もしくは『MS側におまかせする』かお選びください。
 ちなみに、作成したイヤリング、及び星石はアイテム化しませんので、ご了承お願い致します。

 断章更新の後に、プレイング募集を開始致します。
 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
117




第1章 冒険 『遥かなる霊峰』

POW   :    高濃度の魔力に耐えながら、じっくりと探索する。

SPD   :    鉱脈が存在しそうな場所を絞り込み、素早く探索する。

WIZ   :    比較的魔力が薄い場所を確認しながら鉱脈を捜索する。

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鉱脈捜索開始
 霊峰と呼ばれた山の頂き、そこには、竜の牙のように屹立した巨大な岩が無数に並んでいる。
 転移した猟兵の一人が周囲を見渡そうとした瞬間、鳩尾に妙な違和感を感じた。どうやら、高濃度の魔力に満ちているというのは間違いないようだ。
 この場所に居続けるだけで、生命力を消耗していくだろう。強大な魔力は、時に毒となる。早めに星石の鉱脈を発見した方がよさそうだ。
 意を決して、凸凹した足場を突き進む。鉱脈は、何処にあるのだろうか。
ジェルダ・ヒーメィ
富豪が欲する神秘の鉱石!?商品価値高そうね!余ったらうちの商品にしてもいいかしら!!
……コホン、冗談よ。ひとまず『霊峰の鉱脈』と『魔力の濃い地帯』を冒険者達に【情報収集】してから向かうわ。
分からないようだったら、UCで金貨を払ってでも搾り取るように聞き出す!!【取引】の鉄則よ!
…というわけでそこの冒険者さん?『コレ(金貨)』、欲しいでしょう?私も情報が欲しいのよ(取引モード)

情報を入手出来たら、そうね…鉱脈があって、かつ魔力が濃い所は避けましょう!良いスポットを確保できたらそこでさっさと掘るわ。
大丈夫、占領とかしないから!いくら何でもそれは商人としての恥よ!

アドリブ歓迎よ。待ってなさい星石!!



●捜索!……前に
「富豪が欲する神秘の鉱石!?商品価値高そうね!余ったらうちの商品にしてもいいかしら!!」
 冒険者ギルドにて受付カウンターにいる女性にきらきらとした表情を食い気味に寄せるのは赤髪のエルフ、ジェルダ・ヒーメィ(銭の亡者・f27900)である。
 苦笑した受付嬢は、鉱脈が限られているので、定期的に補充するのは難しい、という説明をジェルダへ話す。コホン、と咳払いした。
「冗談よ。希少過ぎる鉱石を扱ったら、逆に良くない客にマークされそうだしね。……そこのあなた!」
 ビシィ!と真後ろで騒ぎを聞いていた冒険者の1人に人差し指が突きつけられる。
「霊峰の鉱脈と魔力が濃い地帯、知ってる?というか知ってる人いないかしら!?」
 ごそごそ、と自分のバッグから、じゃらりと金貨を取り出す。
 金ならある。凄まじい意思表示であった。【ゴーイング・マイウェイ】様様。
「コレ、欲しいでしょう?私も情報が欲しいのよ。さあ詳しく!」
 根負けした冒険者の一団が、以前霊峰に向かって帰ってきた冒険者をつれてきたようだ。詳しく訊いてみると、竜の牙のように屹立した巨大な岩の周囲が特に魔力が濃いらしい。更に星石の特徴は、『ガラスのように透明度が高い無色の鉱石』だという。
「なるほど、魔力異常とかで地形が変質してるのかもね」
 星石の価値がどれほどなのか、全く聞いていないジェルダである。
 ……消費した金貨<星石だったら良いのだが。

 霊峰の山頂付近に転移したジェルダがつるはしを構えて、比較的魔力が濃い場所を掘りまくる。
「ふふふ……希少鉱石、金のなる木……じゃなくて鉱石、そんなもの見逃すはずないじゃない。ふふふ……ふふふふふ……」
 魔力の濃度は比較的薄いようだが、体が蝕まれているのは事実だ。しかし、つるはしを手放す気配はない。
「大丈夫、占領とかしないから!いくら何でもそれは商人としての恥だし、商人ってのは信頼関係がミソだからね……!」
 誰に言ったわけでもない独り言。とはいえ、目の中に「G」が浮かんでいるところを見ると、明らかに儲け目的であった。

「待ってなさい星石!!絶対手に入れてやるんだから……!!」

 岩の砕ける音が、連続で響いていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
魔力とか言われてもこういまいちピンとこないんだよなぁ。魔力とか霊力とか理解できないというか…殺気とかとは違うんだろ?神降ろしの状態ともまた違うんだろうか?
戦闘ならUCで寿命削りながらでも抵抗するんだけど、さすがに探索には向かんよなぁ。

あらかじめどういう鉱石・鉱脈か特徴は聞いておく。
竜である伽羅と精霊である陸奥に魔力が弱い所を探してもらいながら、俺自身は環境耐性で耐えつつ失せ物探し、情報収集で鉱脈探しをする。
精霊なら魔力とか取り込め…仔虎だからまだ無理かなぁ。
魔力の濃さと鉱脈は関係なさそうだから、魔力少ないとこでも探せるとは思うんだよな。
こういう時、この手に知識も感覚も疎いのが本当に困る。


四天王寺・乙女
成程成程、状況は理解した。
この乙女、見事初依頼をこなしてみせようではないか!

厄介なのは高濃度の魔力とやらだ。
だがしかし、私に秘策あり!そう、「ハイカラさんは止まらない」を使う。
外部からの影響を受けなくなれば鉱脈探しも捗るというもの。
おまけに後光の反射で煌めく星石とやらも見つけやすくなるだろう。
こう見えて物探しは得意なのだ。

まず鉱脈の見分け方をしっかり確認。
後光を激しく輝かせながら頂きを闊歩し、鉱脈を探す。
鉱脈を見つけたら他の猟兵にも連絡せねばなるまい。
一人で採掘できる量など、たかが知れているからな。
それに、この後邪魔が入ると聞いている……だが、乙女は止まらぬぞ!



●道を征く
「魔力とか言われてもこういまいちピンとこないんだよなぁ」
 霊峰に降り立った猟兵が独りごちる。長い銀髪が吹く風に揺れた。黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)が周囲を見渡すと、ふぅ、と息を吐いた。
 確かに、何か鳩尾あたりに違和のようなものを感じる。これが、高濃度の魔力による汚染、というものだろうか。
(魔力とか霊力とか理解できないというか…殺気とかとは違うみたいだな)
 神降ろしの状態とも少し違う、妙な感覚。ユーベルコードにおける寿命削りとも違う感覚に、顔をしかめる。
 と、そこで転移の輝きが集う。どうやら、別の猟兵が転移してきたようだ。
凛とした佇まい、ポニーテールが揺れる。琥珀色の瞳には、決意の炎が満ちている。
「成程成程、状況は理解した。この乙女、見事初依頼をこなしてみせようではないか!」
 ざっ、と七星剣の柄に手を置いて前を見据えるのは、四天王寺・乙女(少女傑物・f27661)だ。年齢に似合わず、カリスマを滲ませる少女。と、傍らに立っていた瑞樹に気付き、丁寧に会釈する。
「これは失敬。共に調査を行う者だな。私の名は乙女、君は?」
「ああ、俺は瑞樹。よろしく頼むぜ」
「こちらこそだ。さて、鉱脈調査だが……厄介なのは高濃度の魔力とやらだな」
 飄々とした態度、その佇まいに乱れはないが、乙女もまた高濃度の魔力による違和感を覚えているようだ。
「だがしかし、私に秘策あり!私は止まらない、なぜなら私は乙女だからだ!」
 ぶわり、と乙女の背後から瞬く後光が激しく瞬く。【ハイカラさんは止まらない】、あらゆる攻撃を弾き、生命維持さえも不要になる、絶対無敵のユーベルコードだ。
「外部からの影響を受けなくなれば鉱脈探しも捗るというもの。おまけに後光の反射で煌めく星石とやらも見つけやすくなるだろう」
 なるほど、と瑞樹が頷く。高濃度の魔力については、瑞樹にとってはどれほど危険のあるものなのかピンときていない。しかし、長居すれば命に関わると言ったグリモア猟兵の言葉を信じていない訳ではなかった。
「それなら俺は……出てこい、伽羅、陸奥」
 瑞樹の周囲に光の奔流が立ち昇ると、現れたのは白い虎と黒い鱗と額に水晶が嵌め込まれた小さな竜だった。
『出番か、瑞樹』
「星石鉱脈の探索を頼む。冒険者から特徴は訊いてるからな、比較的魔力が弱い所を探してくれ」
了解した、と頷いた伽羅が、中空を翔けていく。それに続いて、精霊である陸奥が鉱脈を探すべく走り出した。
「使い魔か。なるほど、信頼できる者たちがいるのだな」
「まあ、陸奥は仔虎だから魔力を取り込むのは難しそうだけどな。乙女の後光で、目的の鉱脈を探していこうぜ」
 む、と乙女が驚いたように僅かに目を見開いた。その言葉はすなわち、自分を信じてくれるということなのだから。
「ああ、そうだな!私に任せて……いや、共に鉱脈を探そうじゃないか!瑞樹君、使い魔たち、そして私がいれば、希少鉱石の鉱脈など見つかったも同然だ!」
 ははは、と笑って眼前の凸凹の道を突き進み始めた乙女に、瑞樹が薄く微笑んだ。
(こういう時、この手に知識も感覚も疎いのが本当に困る、って思ってたんだけどな)
 目の前の少女がいるなら、なんとでもなりそうだ、と。傑物の気配を感じる少女に導かれ、燦然と煌めく後光、岩肌に閃く微かな輝きを見渡しながら、2人の猟兵は鉱脈を探すために道なき道を突き進む。

 精霊が鳴いている。どうやら、何かを見つけたようだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

雛瑠璃・優歌
【煌求】
ついた途端視界がぐらついた
気持ち悪い
乗り物酔いにも似る気はするけれど、あれよりもっと性質が悪い気がする
それでも同じく転移させられてきた中、私の傍らでよろついた人影に思わず腕が伸びた
「大丈夫かい、お嬢さん」
…おや
「初めましてではないよ。これに見覚えはないかい」
腰に帯びたサファイアのレイピアを抜いて見せる
「…小鳥遊・優詩だ。お名前は?」
なるべく安心させる様に微笑むけれど正直余裕はあまり無い
ただ完全な無策というわけでもない
「この蝶の髪飾りに、魔力を吸わせて溜めているんだ」
やり方を教えてあげて、ついでに一緒に行動することにする
多分こういう時は単独行動しない方がいい
お互いに支え合って星石を探そう


ロリーナ・シャティ
【煌求】
転移した後急に視界がふらついた
「…?」
倒れ込む…ことはなくて
「あ、ありがとう、…えと、初めまして」
え?サファイアの中にお花…あ、確か…
「鈴蘭、水仙?」
そっか、あの時の(シナリオID:17169)
ど、どうしよう、初めてじゃなかった
「えと、イーナは、ロリーナ」
怒られない…
前も思ったけど本当に優しそうな人
迷惑かけたくはない、でも正直眩暈がひどい
「平気、なの…?」
魔力を、吸わせる…そうしたら少しは楽になる?
イーナ、不器用だから上手くできるか分からないけど…でもこのペンダントの中身はちょっと不思議な石だからもしかしたら向いてる、かも
教わった通りにしながら一緒に行くことにした
何か役に立てるといいな



●宝石の絆
 転移の輝きが霊峰に煌めくと、現れた2人の猟兵が大地を踏みしめる。蒼の外套が吹き抜ける風によってぶわり、と舞い上がった。雛瑠璃・優歌(スタァの原石・f24149)が周囲を見渡すが、途端に襲い来るのは得も言われぬ不快感。視界がぐらり、と歪んだ気がした。
(気持ち悪い……乗り物酔いにも似る気はするけれど、あれよりもっと性質が悪い気がする)
 酩酊のような、それも少し違う、嫌な感覚だった。とそこで、同時に現れた傍らの猟兵が、自分と同様によろついているのに気がつく。
 その腕が伸ばされたのは、優歌の―――優詩の本質によるところが多いだろう。倒れそうになった猟兵の腕を、優詩の手が掴む。
「大丈夫かい、お嬢さん」
「…?あ、ありがとう、…えと、初めまして」
 おや、と優詩が微かに微笑む。隣りにいた猟兵は、決して初対面ではなかったからだ。
「初めましてではないよ。これに見覚えはないかい」
 腰に差したサファイアで出来たレイピアを抜いてみせると、その猟兵は、目を僅かに見開いた。
「サファイアの中にお花…あ、確か…」
「…小鳥遊・優詩だ。お名前は?」
「えと、イーナは、ロリーナ……」
 おずおず、と小さい声で応える。そのレイピアを、ロリーナは見たことがあった。『宝石花』シリーズと呼ばれる武具を作成する凄腕の職人が集う工房、そこで、2人は出会っていたのだから。
(ど、どうしよう、初めてじゃなかった……)
 怒られる、と思っていたロリーナだったが、優詩は怒るわけでもなく、ロリーナの手を優しく包んで微笑んでいる。
 あの時もそうだった。自分のことを“識って”もらった。そして、ロリーナもまた、彼のことを“識った”のだ。
「改めてよろしく。……この場所は、あまり安全ではないようだね。ただ、完全な無策というわけでもない」
 しぱしぱ、と何度も瞬きするロリーナの手を引く。高濃度の魔力は命を害する。あまり余裕はないだろう。
「この蝶の髪飾りに、魔力を吸わせて溜めているんだ」
 そう言って優詩が指差したのは、『麗朗たる夢見鳥』と呼ばれる髪飾りだった。
「魔力を、吸わせる…そうしたら少しは楽になる?平気、なの…?」
 コクリ、と優詩が頷いた。
「やり方を教えるよ。一緒に行こう。こういう時は単独行動しない方がいい」
「あの…イーナ、不器用だから上手くできるか分からないけど…でもこのペンダントの中身はちょっと不思議な意志だからもしかしたら向いてる、かも…」
 『蒲公英珠のプティクロンヌ』。魔力を吸わせるとなれば、未知を内包する道具で行うのが最適だろう。
 優詩が霊峰の道を先導しながら、ロリーナに、魔力を吸わせる方法を伝授する。不器用、と言っていた割には物覚えがよく、すぐにものにしてみせた。
(よ、良かった…)
 心の中で安堵するロリーナ。ふと前を向くと、手を引く優詩が山頂の先にある光景に目を配らせている。覗き見るように、その先の光景に目をやると。
「…わぁ…!」
 巨大な窪地だ。まるで、隕石が落ちたかのように、山頂は開けた広場になっている。よく見てみると、先行した猟兵たちがすでに星石の鉱脈探しを行っているようだ。
 にこり、と優詩が再びロリーナに微笑んだ。
「先を越された分だけ、私たちも頑張ろうか」
「…うん。イーナも頑張る、ね」
 上り坂から下り坂に転じた地面を踏みしめながら、窪地へと降り立つ2人の猟兵。
 手を引く優詩の背中を見ながら、ロリーナは、何か役に立てればいいな、と心の中で小さく呟いたのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

雨音・玲
なるほどなぁ
この険しさ、この環境、霊峰の名は伊達じゃないってか

ジャージのポケットに両手を突っ込みながら
選択UCと「空中戦」の応用で空中を蹴りながら
凸凹した足場を無視して駆け上がって行きます

高濃度の魔力に満ちている場所は初見て訳でもない
前回は超重力のおまけつきだったけど、アレに比べれば拍子抜けだ
(思い出す『岩石回廊』の日々)

「環境耐性」で身体を慣らしつつ周囲の魔力を取り込み
「魔力溜め」の応用で自身の魔力と混ぜて循環

一応、敵も出るらしいし備えるに越したことはないだろ…

現地の環境に適応した動物たちに「動物と話す」で声を掛け
在りそうな場所について「情報収集」しつつ
「野生の勘」で手際よく探して行きます


神奈木・璃玖
(連携・アドリブ歓迎)

高濃度の魔力に満たされている山にある希少な鉱石、ですか
それは高く売れそ…げふん、危険な場所にあるのですし、普通の冒険者には荷が重い依頼内容ですね
報酬もその希少鉱石を使ったイヤリングというのは悪くないですし、ここは私も参加してみましょう

まずは希少鉱石の『星石』の鉱脈を探すところからですが、しらみつぶしというわけにはいきませんね
選択UCを使って手持ちの金貨で、『星石』の鉱脈のありかに詳しい方を探しましょうか
なに、金貨ならいくらでも用意できますからね
私も商人の端くれ、良い情報が金で買えるというならば惜しむことはしません
それに『星石』を手に入れたら情報以上の価値が出るでしょうから



●『カラス』
鴉羽に似た―――漆黒のジャージに身を包んだ猟兵がポケットに手を突っ込みながら、霊峰の頂上に広がる巨大な窪地を見て、ふぅと息を吐く。
「なるほどなぁ。この険しさ、この環境、霊峰の名は伊達じゃないってか」
 雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)が、窪地に広がっている巨大な竜の牙に似た巨岩を睥睨していた。【スカイテッパー】によって足場を無視して駆け上がった玲は、真下で作業を行っている人の粒をじっと見つめていた。先行した猟兵たちが、『星石』を探し出すために奮闘しているようだ。
「おや、乗り遅れましたか」
 と、そこで後ろから声がかかる。眼鏡を掛けた背の高い男が、にこりと微笑んだ。
「あんたも『星石』探しか?」
「ええ、高濃度の魔力に満たされている山にある希少な鉱石。それは高く売れそ…げふん、普通の冒険者には荷が重いのは明らかですから」
神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)の言葉に、玲がじとっ、とした視線を送っている。高く売れそう、と言いかけたことに気付かれてしまったようだ。
「報酬の、希少鉱石を使ったイヤリングというのは悪くないですし、ここは私も参加をと思いまして」
「……まあそういうことにしておくか」
 やれやれ、と肩を竦めた玲が、瞼を閉じて瞑想を始める。周囲に滞留する高濃度の魔力を取り込み、自身の魔力と混ぜて循環。体を廻る魔力が、玲の力となって変質していく。
(前回は超重力のおまけつきだったけど、アレに比べれば拍子抜けだ)
 群竜大陸に存在していた『岩石回廊』、地形特性のみならず、連続で岩が降り注ぐあの場所よりは、幾分か楽だった。
「さてと、まずは希少鉱石の『星石』の鉱脈を探すところからですが、しらみつぶしというわけにはいきませんね」
「ああ、それなら問題ない―――おいそこの、ちょっと良いか?」
 山頂付近だというのに、黒い鳥が一羽飛んでいる。間違いない、カラスだ。玲が声をかけると、その肩に器用に着地した。
「『星石』っていう鉱石の鉱脈を探してるんだが、何か知らないか?」
 カァー、と鳴いたカラス。そこで、玲が眉を顰めた。
「何と?」
「なんかくれたら話してやる、だとさ」
「なるほど、物々交換ですね」
 ふっふっふっ、と璃玖が妖しく笑う。懐から取り出したのは、1枚の金貨だった。
「カラスというのは光り物に目がないと聞きます。これでどうでしょう?」
 再び、カァー、と鳴いたカラスが、金貨を嘴の先に咥えて羽撃く。その後じっと玲を見つめると、空へと飛び去っていった。
「……何と?」
「あー……窪地にあるひときわ大きい尖った岩の近くだとさ。今、鉱石探ししてる猟兵たちの近くらしい」
 それと、と玲が区切った。
(たくさん引き連れて、仲間かと思った、じゃねぇよ……!?)
 まあ確かに、数多くの烏の群れを引き連れているのだが。なんというか、予想外の一言を貰ってしまった。
 頭を抱えた玲に、はて、と首を傾げる璃玖。ともあれ、『星石』の鉱脈に向けて出発である。
「……じゃ、お先に」
「あ、ちょっと待ってください!徒歩大変なんですよ!?」
 スカイテッパーで中空を蹴りながら窪地へと降り立つ玲を追いかけるように、璃玖がその後に続く。
 金貨1つなど問題ない。『星石』を手に入れたら、情報以上の物が手に入るのだから。思わず漏れる笑みをなんとか堪えながら、急斜面を下っていく商人の姿がそこにあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 集団戦 『ピンク・モフ』

POW   :    はい、次は君が鬼ね
【体を擦り付けることで】、自身や対象の摩擦抵抗を極限まで減らす。
SPD   :    僕が逃げる番だね
非戦闘行為に没頭している間、自身の【体毛】が【激しく光り】、外部からの攻撃を遮断し、生命維持も不要になる。
WIZ   :    僕が見えるかな?
自身と自身の装備、【咥えて持っている】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●鬼ごっこしようよ
 竜の牙のような、巨大な岩が屹立するその陰に、『星石』の鉱脈は存在した。
 硝子に似た、とても透明度の高い鉱石だ。こんこんと叩いてみると、相当な硬度を持っていることが分かる。
 とそこで。

「きゅるっ!」

 声を聞いて後ろを振り向いた猟兵たちが、そのピンク色のもふもふたちを確認した。
 こちらへと近づいてきたもふもふの群れ、『ピンク・モフ』たちは、猟兵たちに体を擦り付けると、そのまま立ち去るように駆け出した。
 くいっ、と顔だけ振り向いて。
「きゅ~!」
 次はそっちが鬼!とばかりにせわしなく動いている。どうやら、この癒やし系オブリビオンを倒さない限り、『星石』の採取は難しそうだ。
ジェルダ・ヒーメィ
WIZ 連携・アドリブ◎

ちょっとなにこのもふもふ、邪魔しないで!『商機』なんだから!
…もとい。これを『勝機』にしてやるわ!

「鬼ごっこならこの人たちとしてなさい!いってらっしゃい商人の皆ー!」

UC『隊商の復讐劇(キャラバンパレード)』を発動して、無念にもやられた商人達の幽霊(今は武装商人)を約200人ほど召喚!透明VS半透明で他の人たちの分も鬼ごっこしてるのよ!
もふもふが鬼ごっこに満足したら、その武器で倒しちゃってね!

…ついでに地面に置きっぱなしの星石は魔力の影響受けそうだから、彼らが召喚された時乗ってたキャラバンに一時的に置いておきましょう。直置きより多少はマシよね?


神奈木・璃玖
(真の姿となっていますが口調は通常です。)
これほどまでに希少な星石があるとは
来たかいがあるというものです
ピンクモフたちの邪魔が入らなければ、の話でしょうけど

いやいや、『そっちが鬼ね』というような顔を向けないでくださいよ
言っておきますが私は星石を掘るのに忙しいので、遊んでる暇なんてないんですよ?
出来れば他の猟兵の方にお相手をお願いできませんか?

選択UCの狐火では駄目でしょうかね
狐火を点けたり消したりしながら、ピンクモフたちの気を引きましょう
ああ、なんだか少し楽しくなって…なんかないですよ!?(実は楽しくなってきた)
これも星石を採取するため、そう、仕方なくなんですからね?



●花より星石
 きゅぅ、と頭をすりすりしてくるピンク・モフの群れ。そんなもふもふなオブリビオンに、心を奪われない猟兵2人。
「ちょっとなにこのもふもふ、邪魔しないで!『商機』なんだから!…もとい。これを『勝機』にしてやるわ!」
 ジェルダ・ヒーメィ(銭の亡者・f27900)が、うっとおしそうにピンク・モフのもふもふから逃れようと距離を取る。
 え?鬼なのに逃げるの?とばかりにピンク・モフたちがきょとんとした表情をしている。
 と、そんな中で、眼前にある星石の鉱脈を見つめるもう一人の商人が。
「これほどまでに希少な石があるとは。来たかいがあるというものです。……ピンク・モフたちの邪魔が入らなければ、の話でしょうけど」
 神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)の周囲にもまた、ピンク・モフの群れ。頭を擦り付けると璃玖から距離を取る。超凝視。
「いやいや、『そっちが鬼ね』というような顔を向けないでくださいよ。言っておきますが私は星石を掘るのに忙しいので、遊んでる暇なんてないんですよ?出来れば他の猟兵の方にお相手をお願いできませんか?」
 ねぇ?と横にいるジェルダに視線を送る。商機戦争勃発。
「ちょっとずるいわよ!星石独り占めなんて絶対許さないんだからね!」
「何を言ってるんですか。こんなに鉱脈があるのに、独り占めなんて出来る訳ないじゃないですか?」
「ならなんでニヤニヤ笑ってるのよ!……はっ!じ、情報ね!星石の鉱脈の情報も売り捌こうとしてるのね!くっ……商売敵……ッ!!」
「な、なんのことでしょうかね?言っている意味は分かりかねますが?」
 視線が泳いでいる。図星。
 ねーまだー?とピンク・モフの視線が突き刺さる。鬼ごっこしたいオブリビオンvs星石絶対先に手に入れる商人の戦い。
「ああもう!鬼ごっこならこの人たちとしてなさい!いってらっしゃい商人の皆ー!」
 ジェルダのユーベルコード、【隊商の復讐劇(キャラバンパレード)】によって、商人の幽霊が現れる。その数220人。ぎょっ、とピンク・モフたちが驚いたように目を見開いたが、鬼ごっこの相手が増えた、と瞬時にきらきらとした表情に変化した。
 現れた商人たちに、こっそりとジェルダが耳打ちする。
(もふもふが鬼ごっこに満足したら、その武器で倒しちゃってね)
 こくり、と頷いた商人たちが、ピンク・モフたちとの鬼ごっこを開始する。ハンター放出。
 そんな中、璃玖の側を離れない一匹のピンク・モフが存在する。やれやれ、と【フォックス・ファイア】を中空に発現すると、瞬時に消火。
 なにそれ!とばかりにピンク・モフが璃玖へと寄ってくる。
「鬼ごっこよりも楽しいですかね?はい、これでどうでしょうか」
 ぼっ、ぼっ、と現れては消える狐火に興味津々のピンク・モフがぴょんぴょんと飛び跳ねている。
「ああ、なんだか少し楽しくなって…なんかないですよ!?って、ちょっとジェルダさん!?星石の鉱石採取に取り掛かるの早くありませんか!?」
「ふふふ、機会を逃せば敗れるのみなのよ。商人としての心得、忘れてもらっちゃ困るわ!」
 とんかんとんかん鉱脈を掘り続けているジェルダに比べ、ピンク・モフがもっとやって!と食い気味に懇願してくる。だが、そこで璃玖が落ち込んでいることに気付いたようだ。
「きゅ?」
「満足したなら、そろそろ星石を掘らせてもらってもいいですか?……はぁ……」
ため息。と、そこでピンク・モフが璃玖の服を掴んでぐいぐい引っ張っている。何だと思って引かれるままにそちらへ向かうと。
「……え」
 星石の大鉱脈。隠されるように、小さな洞穴の中で星石が燦然と光り輝いている。
これ欲しい?と首を傾げるピンク・モフ。しぱしぱ、と両目を瞬かせながらも、璃玖もまた星石の採取に取り掛かるのだった。

……ちなみに、商人たちとピンク・モフの鬼ごっこは夕方まで続いたそうだ。(満足して骸の海に帰還)

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

四天王寺・乙女
あまり悪意がなさそうなオブリビオンだが、邪魔ではあるのだな。

「さあ来いオブリビオン、この乙女が遊んでやるぞ!」
ユーベルコード「スーパー・ジャスティス」で黄金のオーラを纏うことで
直接相手が体を擦り付けるのを妨害しつつ、増強された力で七星剣を振り回し打ち据える。
中々に素早いようだが、このコードで高速飛翔能力を得た私なら対応できるはずだ。
早く退場を願って、目的の星石採取をせねばな。

……これが過去の姿というのなら、現在にもこやつらの子孫がいるのだろうか。

アドリブ可
共闘可



●え、遊んでくれるの!?
 頭を擦りつけて距離を取るピンク・モフ。その様子を、凛と背筋を伸ばして顎に手を置きながら分析するのは、四天王寺・乙女(少女傑物・f27661)だ。
「あまり悪意がなさそうなオブリビオンだが、邪魔ではあるのだな」
 乙女が住む世界、サクラミラージュでは、影朧による騒動が後をたたない。今回邂逅したオブリビオンは、どちらかと言うと無害にも思えるオブリビオンだった。
 しかし、星石の採取を邪魔してくるのは明白だ。仕方なく、乙女はビシィ!と指先をピンク・モフへ突きつけた。
「さあ来いオブリビオン、この乙女が遊んでやるぞ!」
「きゅいっ!」
 え、遊んでくれるの!?とばかりにぴょんぴょん飛び跳ねるピンク・モフ。言葉の意味をそのまま受け取ってしまったらしい。
「いくぞ!!はぁ……ッ!!」
 乙女の全身が金色に輝き出す。【スーパー・ジャスティス】のユーベルコード解放によって、4400km/hに達する飛翔能力を得た乙女と、ピンク・モフの鬼ごっこが始まる!
 脱兎のごとく逃走を始めるピンク・モフへ超速の飛翔で近づく乙女だが、なんとその攻撃を軽やかにステップで躱す。流石のピンク・モフ。腐ってもオブリビオンである。
「……中々に素早いようだが、私の飛翔能力を甘く見てもらっては困るな!」
「きゅっ!?」
 ピンク・モフの群れが散開する。四方八方に散っていくピンク・モフたちをしかし、乙女の七星剣「揺光」が乙女の気分に合わせて光る!!さながらそれは、北斗七星の瞬きのように!!
 きゅい、と悲鳴。ピンク・モフが斬撃を浴びて骸の海に還っていく。連続の斬撃音、拘束飛翔能力によって、ピンク・モフとの鬼ごっこはすぐに終了した。
「ふむ、身のこなしは素晴らしいな。鬼ごっこに命を賭けることだけのことはある」
 光に包まれて消えていくオブリビオン、その様子を見ながら、乙女が小さく呟いた。
「……これが過去の姿というのなら、現在にもこやつらの子孫がいるのだろうか」
 いるとしたら、その種族も中々の鬼ごっこ狂いかもしれない。
 星石の鉱脈へ舞い戻った乙女が、採取を開始する。
 あの人と鬼ごっこすると負けちゃう、と判断したのか、残ったピンク・モフたちがその後姿を物陰からじっと見つめていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨音・玲
んっ?なんだ遊んで欲しいのか?
頭を擦り付けては離れる…
ピンクモフに動物と話すで意思疎通を図ります。
捕まえたら邪魔しない?
約束できるなら遊んであげるよ

パッと散るピンクモフに対して
片手間に指定UCを使用

瞬時に手の中の拾った小石と位置を入れ替えて捕まえます

はぃ、捕まえた♪君の負け♪
ぽんぽんと頭を撫でた後、終わったら遊んでやるから

と約束して作業に戻ります。
納得しないなら何度も入れ替えて疲れさそうかな?
まぁ環境のおかげで魔力は余るぐらいだしね



●もう1回だけ!
 すりすり、と体を擦り付けてくるピンク・モフ。その様子に、にこりと微笑んだのは雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)だった。
「んっ?なんだ遊んで欲しいのか?」
「きゅっ!」
 カラスの相棒、八咫との交流を図るために、ある程度動物と話すことは可能だった。うんうん、と頷くピンク・モフが玲から離れると、じっとそのまま見つめている。
「捕まえたら邪魔しない?約束できるなら遊んであげるよ」
「きゅるっ!」
うんうん、と再び大きく頷いたピンク・モフが、踵を返して逃走を図る。ぶわり、と光輝く体毛、超速の逃走、捕まえることは困難……かと思いきや。
「はぃ、捕まえた♪君の負け♪」
「きゅっ!?」
 周囲をきょろきょろと見渡すピンク・モフ。いつの間にか、玲の両腕に包まれている。なぜそうなったのか、オブリビオンは全く理解できていないようだ。
ユーベルコード【幻影遊戯(ミラージュダンス)】。指定した対象間の位置を交換するユーベルコードだ。対象は手に持った小石とピンク・モフ。どれだけ逃亡しようと、すでに玲に捕まっていることに等しい。
 もういっかいもういっかい!とぴょんぴょん跳ねるピンク・モフに、玲が再び苦笑した。
「終わったらまた遊んでやるから、ちょっと待っててな」
「きゅぅ……」
 あからさまにしょんぼりするピンク・モフ。しかし諦めない。頭を擦り付けると再び逃走。が、また玲のユーベルコードによって絡め取られる。いつの間にか捕まっている。繰り返すこと十数回。
「きゅううぅうぅ……」
 疲れた、というより完全に諦めている。頬を膨らませるピンク・モフの頭を再び撫でて、星石の採取を開始する。
(環境のおかげで魔力は十分。……とは言っても納得してないみたいだし、後でまた遊んでやろうか)
 じぃっ、と、星石の採取を行っている玲の背中に突き刺さるピンク・モフの視線。そんな緊張感溢れる(?)状況の中、玲は無事に目的の鉱石の採取を完了したのだった。

 ……その後、満足して骸の海に還るまで、ピンク・モフとの鬼ごっこが続いたのは言うまでもない。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒鵺・瑞樹
さてどうしたもんか。
前にも遭遇したが倒すのに抵抗がないとは言えば嘘になる。
伽羅と陸奥と遊んで貰ってるうちに、鉱石を採取ってできないかなぁ。

UC水月の影、伽羅、陸奥と共に追い込み漁的に追いかける。
この追いかけっこで満足して貰えて、かつ倒さずに済むんならこしたことないんだが。
自分自身は存在感を消し、極力目立たない様に動く。倒す必要があり、うまく追い込めたら念のためマヒ攻撃を乗せた暗殺で一撃必殺を狙う。
敵の攻撃があれば第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは黒鵺で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものは激痛耐性、オーラ防御で耐える。
地形耐性で足元注意。



●3対1
「さてどうしたもんか……」
 こちらに頭を擦りつけてくるピンク・モフが、黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)から離れてじっと見つめてくる。真後ろには星石の鉱脈、しかし鬼ごっこしたい!とばかりにきらきらと目を輝かせているピンク・モフがそれを許してくれるだろうか。
(前にも遭遇したが倒すのに抵抗がないと言えば嘘になる)
 それなら、あの時と同じ方法を試してみるのもやぶさかではない、と。
「伽羅、陸奥、遊んでやってくれ」
 周囲に集う使い魔に号令を出すと、やれやれとばかりに伽羅が小さなため息。しかし、陸奥に至ってはかなり乗り気だった。離れて今まさに逃走しようとしているピンク・モフに近づく。
 おい、俺たちが相手をしてやる、と伽羅がむすっとした表情でピンク・モフに語りかけ、陸奥はその周囲を回ってピンク・モフと同じように頭を擦りつけている。
 わーい、とばかりにぴょんぴょん跳ねるピンク・モフが、次の瞬間透明になった。しかし、いくら透明になったとしても伽羅と陸奥の嗅覚や直感力は使い魔たるもののそれである。
 どたばたとピンク・モフとの鬼ごっこを始めたのを確認して、瑞樹が星石の鉱脈へと振り返った。
「……一応、俺の影も鬼ごっこの役として放っておくか」
 念には念を入れて、というわけで。【水月(スイゲツ)】によって現れたのは、自分を写し身として顕現した真っ黒な影だった。遠ざかっていく伽羅と陸奥を追いかけるように駆け出した影、それを見送った後、鉱脈の採取を開始する。

 数分後。

「きゅぅ……!」
 他愛もない、とばかりに伽羅がふんす、と息を吐いた。そこには、鬼ごっこに負けたピンク・モフの姿。しょんぼりと視線を下に落としている。次いで、影が帰ってくると瑞樹の影に溶け込んで消えた。
「お疲れ様だ。どうだ、満足したか?」
「きゅるぅ……」
 ちらり、と伽羅と陸奥に視線を送ると、鬼ごっこというより追い込み漁だった模様。さながら、狼の狩りである。
「満足していないみたいだな、もう一回やるか?」
「きゅっ!」
 しゅたっ、と勢いよく立ち上がるピンク・モフに、瑞樹が僅かに口元を綻ばせた。
 瑞樹に頭を擦りつけて逃亡を開始したオブリビオンを追いかけながら、採取した星石を懐にしまい込んでその場を後にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雛瑠璃・優歌
【煌求】
「採掘か…しかし」
ふよふよと寄ってくる敵は明らかに邪魔する気だろうな
ここは私が敵を惹きつけ、ロリーナ嬢には採掘に集中してもらう方が…
「え、逆じゃなくて?」
一瞬素が出たのはさておき…確かに彼女の宝石武器は私では到底使えぬ程巨大なハンマーだった
力には自信があるんだろう
ならば
「構わないよ、相手をしないだけでいいならこちらにも考えがあるからね」
鉱石の採掘だと聞いていたから予め鏨と金鎚、一応ピッケルも持ってきている
腰に吊るした鍵型のチャームについた石からそれらを取り出して…(呼謳)
あまりやりたくはない技だ
けれど背に腹は代えられない
採り過ぎず、しかし2人分には十分な量を確保するとしよう(UC発動)


ロリーナ・シャティ
【煌求】
イーナが、役に立てること…
歩きながらずっと考えてた
鉱脈と敵を見て、分かったの
「あの、敵は、やっつけるので…採掘はお願いしますっ」
イーナは力加減とか細かいことすごく下手で…どっちの武器でも鉱脈の一部ごと壊す様なやり方しか出来ない
優しいこの人の方が、きっと上手く出来ると思うから
「不器用だからきっと何匹か通しちゃう、けど…」
普通不安しかない様な言葉に頷いてくれた人を信じて背を向ける
「ラパンス、やろう」
武器を握って
「鬼ごっこなんてしないもん…!」
近づいてきた敵だけ電撃のロープで絡めとって地面や岩に叩きつける
透明化なんてお構いなし
ロープワークを使ってヌンチャクみたいに宙で一杯振り回しちゃえば…!



●誰かの為に
 星石の鉱脈前で、周囲を見渡している2人の猟兵の姿があった。
「採掘か…しかし」
「きゅっ!」
 中空から、無数のピンクのもふもふが飛来する。雛瑠璃・優歌(スタァの原石・f24149)―――もとい優詩が、頭を擦りつけてくるピンク・モフたちに険しい表情を向けた。
 離れたピンク・モフたちが、鬼ごっこーとばかりにこちらをじっと見つめている。鉱石の採取を始めれば、明らかに邪魔してくるだろう。
「ロリーナ嬢、ここは私が敵を惹きつけ、採掘に集中―――」
「あの、敵は、やっつけるので…採掘はお願いしますっ」
「うん、それじゃあ私はピンク・モフを……え、逆じゃなくて?」
 ロリーナ・シャティ(偽りのエルシー・f21339)の言葉に、優詩が目をぱちくりさせた。素が出ている。あれ?とロリーナがその違和感に気付いて優詩を覗き込んできたので、すぐに咳払い。
「あ、あのね…イーナが、役に立てること…歩きながらずっと考えてた」
「う、うん……」
「鉱脈と敵を見て、分かったの。イーナ、力加減とか細かいことすごく下手で…どっちの武器でも鉱脈の一部ごと壊すようなやり方しか、できない」
「……なるほど」
 ふむ、と優詩が唸る。ロリーナが持つ宝石武器、『Scheinen Wiese』は、およそ通常の人間が振り回せる代物ではない。それは、優詩もまた同様だ。
(力には自信があるんだろう)
 わざわざ、その人の得意分野を潰してしまうのは愚策だ、と。優詩が微笑んで、ロリーナの片手へ包み込むように触れる。
「構わないよ、相手をしないだけでいいならこちらにも考えがあるからね」
「あ……う、うん……イーナ、頑張る、ね」
 そうして、ロリーナが、逃亡を図ろうとしているピンク・モフの前へ進む。わーい、鬼ごっこ!とぴょんぴょん飛び跳ねているが……。
「不器用だからきっと何匹か通しちゃう、けど……」
 自分の手を握ってくれた、不安しかない様な言葉に頷いてくれた人……その人を信じる。
「ラパンス、やろう」
 ぐっ、と熊手型長柄武器、ラパンスを握り込む。途端、その先端から湧いて出たのは、無数の雷撃。それが鞭のようにしなりながら、中空を飛び交う。
【煌束(グリッター・リストレィント)】。自らの武器の先端から高圧電流のロープを放つユーベルコード。びくり、と体を跳ね上がらせたピンク・モフたちが逃走しようと駆け出すが、雷撃のロープは周辺を絶えず打ち付ける。
「鬼ごっこなんてしないもん…!」
 一匹のピンク・モフが雷撃のロープに絡まられて目をバッテン印にしながら沈黙、そのまま周囲に透明になって隠れ潜んでいたピンク・モフたちもまた感電して骸の海へと還っていく。
 その様子を後ろで見た後、優詩が星石の鉱脈へ振り向いた。
ユーベルコード【呼歌】。異空間から、鏨と金鎚、ピッケルを取り出した。ピッケルを構えると、優詩がすっ、と目を瞑る。
(あまりやりたくはない技だ。けれど背に腹は代えられない)
 ロリーナは完全にピンク・モフに夢中になっている。今なら、“本来の自分”を見られることはないだろう。
 気配とハイカラさん特有の後光が消失する。ただ無心に、ひたすらに眼前の鉱石を採るために、“優歌”は行動を開始した。


十数分後。ピンク・モフたちの気配が消え、ロリーナが小さく息を吐く。振り返って優歌の様子を見ると―――
「その……イーナ、役に立てた、かな」
 そこには、星石の鉱石が積まれている。ふう、と同様に息を吐いているのは、微かなを後光を放っている優詩の姿だった。
「ああ。ロリーナ嬢のおかげで、星石の採取に集中できたよ。ありがとう」
「……!う、うん……良かった……役に立てた……」
 小さく呟いた言葉は、おそらく優詩には聴こえていなかったかもしれない。笑い合う2人の猟兵は、星石の鉱脈を抱えると、その場を後にしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェリクス・フォルクエイン
「相手が妨害したりしてくるだけなら、やり様はいくらでもありますよね」
「という訳でエミリア、鬼ごっこの方は宜しくお願いしますね?」
愛馬のエミリアにオブリビオン相手の鬼ごっこを任せることでフリーになった僕自身が採掘をします。
「乗騎と一緒に行動してるからこそとれる手ですよね」
あとでご褒美に遊んであげたりしないといけない気はしますが、邪魔されず採掘できるなら安いもの。
「これは流石に使いたくなかったんですが」
エミリアの手に余る場合、UCの魅了を用いて仲間内で鬼ごっこしてもらうよう声をかけます。
「さてと、これで色々問題なしですね?」
ごく普通の聖騎士っぽい問題解決法でないような気がするのは、きっと気のせい。



●聖騎士(はまべのすがた)
「相手が妨害したりしてくるだけなら、やり様はいくらでもありますよね」
 ピンク・モフの群れは壊滅状態(倒されたり、鬼ごっこ完遂だったりで)。緑髪をなびかせながら、フェリクス・フォルクエイン(人間の天馬聖騎士・f00171)は、横にいる相棒へ手を置いた。
「という訳でエミリア、鬼ごっこの方は宜しくお願いしますね?」
 こくこく、と頷くのは、フェリクスの相棒、騎乗の天馬にして、主そっくりのサキュバスに変身する力を持つ馬、エミリアである。現在、サキュバスの姿に変身しているエミリアが、わくわくといった表情でピンク・モフにきらーん、と狙いを定めていた。
「きゅるるっ!?」
 全力逃亡。色々な意味で危機を感じたのか、ピンク・モフ、全力疾走である。とはいえ、中空に逃げてもエミリアからは逃れられない。天馬ですから。
「乗騎と一緒に行動してるからこそとれる手ですよね」
 まあ、それはそれで、後で遊んだりしないと後が怖いのであるが。こほん、と咳払い。
 と、どうやらエミリアから狙いが外れているピンク・モフがいるようだ。フェリクスへ頭を擦り付けると、遠く距離を取る。
「……これは流石に使いたくなかったんですが」
 ごく普通の聖騎士っぽい解決法が模索したいが、そんな時間はない。
 姿が変容する。その姿、なんと水着姿!女性用!バラの花弁が舞い踊る!魅了されたピンク・モフたちが、同士討ち……ならぬ同士鬼ごっこを始めだした!効果てきめん!
 遠く離れていくピンク・モフたちを眺めながら、フェリクスはそのまま呆けた様に立ち尽くした。
「……さてと、これで色々問題なしですね?」
 そうだろうか。
 星石の採取を始めようとピッケルを持ったその刹那であった。遠くから、誰かが駆けてくる音が聴こえる。
「ん、エミリアが戻ってきたようですね―――」
 ご主人さま、鬼ごっこ終わったー!とばかりにダイビング。下敷き。

 その後、フェリクスの悲鳴が霊峰に響き渡った。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『一人前の証に、耳飾りを』

POW   :    自分でピアス穴をあける

SPD   :    人のピアス穴をあける

WIZ   :    人にピアス穴をあけてもらう

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●金細工工房にて
 霊峰から下山した猟兵たちが、麓に存在する街を訪れる。金細工工房は、一軒家を改築したような、小さな店舗だった。
「いらっしゃい。もしかして、星石を持ってきてくれた冒険者さんたちかな?」
「遠路遥々、ありがとうございます。いますぐお茶を用意するので、待っててくださいね」
 奥から、細身で長身の優男とほんわりとした雰囲気の女性が現れる。にこり、と微笑んだ男は、猟兵たちを工房内に案内した。猟兵たちが持ってきた星石の量に目を見開くと、ありがとう、とその両手を握ってくる。
「依頼を受けてくれる冒険者がいなくて困ってたんだ。お礼に、皆さんのイヤリングを作ろう。星石を使ったイヤリングだ、どんな宝石に変わるか、試してみるといい」
 細工用の小道具を持って、イヤリングの製作にとりかかっている。要望があれば、イヤリングの『形』も指定できるようだ。
 お茶を持ってきた女性にお辞儀をして、猟兵たちが宝石をはめ込むためのイヤリング製作をじっと見つめる。

 と、女性が差し出してきたのは、『星石』の塊だ。イヤリングにはめ込むぐらいの小さな塊だが、その中に神秘の魔力が渦巻いているのが分かる。
「星石に願いや想いを込めてみてくださいね」
 そう言って、にこりと微笑んだ。

【MSより】
 フラグメントの選択肢に寄らず、『星石に込める願い、想い』をプレイングにお書き下さい。
 要望があれば、イヤリングの形も指定できます。
 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
黒鵺・瑞樹
耳飾りか。若干抵抗はある。いやほら、エンパイアってあんまり男が身を飾る感じじゃないだろ?(簪はともかく)
根付とかそういのだと馴染みはあるけど…これを機に試してみるのも手かなぁ。

デザインはシンプルで耳に穴を絶対開けないものを。
目立つようなのは個人的に避けたい気がするけど、似合う似合わないは当の本人にはわからないかもなぁ。
…戦いでなら耳が斬り飛ばされようと、傷つくことは平気だけど。装飾のために穴開けるのは、なんかこう、怖いし。

星石に込める願いは、「誰かの為に」という信念を忘れないように。そしてその為に自分の事を疎かにしないように。
体が弱れば心も弱る。逆もそう。誰かの事も自分の事も大事にしたいんだ。



●その信念に
「耳飾りか。若干抵抗はあるな……」
「装飾品はお嫌いですか?」
 店主の妻であろう女性にそう問われた黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は、いや、と付け加えた。
「俺が住んでる場所は、男が身を飾ることがないんだ。……まあ簪ぐらいならあるかもしれないが」
「そうなんですか。ここは霊峰から近いので、魔除け代わりにも冒険者の方々が装飾品をご購入されるんですよ」
 なるほど、と頷く。高濃度の魔力に汚染されている山となれば、その危険も相当なものだろう。今回はピンク・モフという可愛らしいモンスター……オブリビオンであったが、他にどのようなモンスターが沸いているか分からない。
「根付とかそういのだと馴染みはあるけど…これを機に試してみるのも手かなぁ」
 にっこり、と女性が微笑んだ。
「是非そうして下さい。ご要望はありますか?」
「それなら、デザインはシンプルで耳に穴を開けないものを頼む」
 かしこまりました、と頷いた女性が、細工中の男性に駆け寄ってそれを伝えている。ふぅ、と息を吐いて、目の前に置かれた星石に手をかざす。
(…戦いでなら耳が斬り飛ばされようと、傷つくことは平気だけど。装飾のために穴開けるのは、なんかこう、怖いし)
 本音は、心の中で呟いておくとして。
 すっ、と目を閉じた瑞樹が、星石に願いを伝える。

 すなわち、『誰かの為』にという信念を。
 そして、自分の事を疎かにしないように。

 主亡き後、再び顕現したのは出羽国月山神社分社にて。暗殺者のナイフであった彼の信念は、誰かを殺すために在るのではなく、誰かのために、悪を誅する覚悟だった。

 掌から伝わる熱を感じて、瑞樹が僅かに目を開けると、星石から魔力の奔流が溢れ出る。七色の輝きは星石内を駆け巡り、そして変容する。
「これは……」
 透明度の高い星石から、深い紫色の鉱石へと変化する。唖然とその様子を見守っていた瑞樹に、声がかけられた。
「なるほど、アメジストか。それもかなり純度の高いものに変化したようだね」
 後ろから声が。振り向くと、正三角形に整えられたイヤリングの金具を持ったこの店の主人、優男風の男性が覗き込んでいる。
 変貌した星石―――アメジストへと変貌した鉱石を慣れた手付きで磨くと、そのイヤリングへはめ込んだ。
「アメジスト……どうして」
「うん、そうだね。一番の意味としては君の誠実さに反応したんじゃないかな」
「せ、誠実……?」
 突然むず痒いことを言われて動揺する瑞樹に、主人は微笑んだ。
「誠実っていうのはね、誰かにとって自分は完璧でなければならない、みたいなことも含まれると思うんだ。それはおそらく、自分さえも戒める強い覚悟みたいなものだよ。星石はそんな君のあり方を投影したんじゃないかな。……はい、どうぞ」
 差し出されたアメジストのイヤリングを見て、瑞樹の瞳に火が灯る。
 星石は、その人の心のあり方を見抜く鉱石だ。誰かの事も、自分の事も大事にしたい。その信念に、星石は反応したのだろう。
 出来上がったイヤリングを耳につけて、瑞樹は小さく口元を綻ばせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

四天王寺・乙女
「白馬の王子様」で既に工房に移動している味方の元に馳せ参じる。
納品分の星石も運ぶぞ。
しかし、この白馬はどこの白馬なのだろうか……
(元の世界では白馬を飼っていたりはしない乙女)

ピアス穴を開けるのは遠慮しよう。
この乙女、体の傷は名誉の負傷以外は認めぬというモットーなのでな。
挟むタイプのイヤリングを作っては貰えまいか?
形状は十字手裏剣型を所望する。シュリケンとはこういう形のだな……(かきかき)
石に込める想いは、そうだな。
何があろうとも私は私の意志を貫き通すという堅固なる覚悟を、こうグっと、拳に籠めて握り締め……ああいかん、折角の星石を砕く所だった!

(イヤリングを付け)
うむ、満足だ!



●若き先導者
「待たせてしまったようだな!」
 すでに工房内にいる猟兵たち、その後ろから空間の歪みと同時に現れたのは、白馬に乗った四天王寺・乙女(少女傑物・f27661)である。束ねられた革の袋の中にぱんぱんに詰められているのは星石の鉱石だ。
「あらあら、可愛らしい白馬に乗っていらっしゃいませ!」
 苦笑している店主に比べて、妻の女性はおっとりとした笑顔で口元を押さえている。すごい状況に驚いているのは他の猟兵たちのみであった。
「私自慢の白馬でな。しかし、この白馬はどこの白馬なのだろうか……」
 元の世界、サクラミラージュでは白馬はおろか、ペットを飼っていた覚えはない。一体どこから来た馬なのか。ユーベルコードの超常で発生する存在に対して疑問を呈すること自体無駄な話なのかもしれない。
 消え失せた白馬から降りた乙女が、追加納品分の星石を渡すと、女性がにっこりと微笑んだ。
「ありがとうございます。これでしばらくは他の方々のご要望にお応えできそうです。是非イヤリングを作ってみて下さいね」
「ああ、そうだな。私もイヤリングを……だがピアス穴を開けるのは遠慮しよう。この乙女、体の傷は名誉の負傷以外は認めぬというモットーなのでな」
「勇気ある冒険者さんなのね。それなら、穴を開けないものにしましょうか」
「ああ、挟むタイプのイヤリングを作っては貰えまいか?形状は十字形手裏剣を所望する。シュリケンとはこういう形のだな……」
 手持ちのメモ帳に形を描き写した乙女がそれを見せると、女性がにこりと笑って頷いた。店主へ話し始めた女性の背中を見つめた後、乙女は、机に置かれた星石へ手をのばす。
「石に込める想いは、そうだな……」
 ぐっ、と握り込む。
「何があろうとも私は私の意志を貫き通すという堅固なる覚悟を!グッと、拳に籠めて……ああいかん、折角の星石を砕く所だった!」
 危ない、と手を離して机の上に星石を置くと、今まで鉱石の中に存在していた魔力が指向性を持ったかのように渦巻き、中心へと収束していく。
 ほう、と小さく感心した声を出した乙女は、変質していく鉱石に釘付けだった。

 どんな逆境にも負けず、自分のあり方は揺らがせない。堅牢たる意志は、星石に込められて具現する。

 数分後。
 変化したのは漆黒の鉱石。よく見てみると、漆黒の中に結晶を内包している。
「ふむ……?これは……?」
「へえ、珍しい宝石に変化したんだね」
 声かけられてそちらへ顔を向けると、手裏剣型に整えられたイヤリングの金具を持ってきた店主が珍しそうに覗き込んでいる。
「その宝石は、ハイパースシーンと言ってね。見た目は真っ黒な宝石なんだけど、光を当てると綺麗に輝くんだよ」
「ハイパースシーン……これが、私が望んだ結果というわけか」
「どうだろうね。望んだ、というより、君の心そのものを星石が投影したんじゃないかな」
 ハイパースシーンへ変質した星石を店主が掴むと、器用に研磨していく。漆黒のままだというのに、磨けば磨くほどにその輝きは増していった。
「ハイパースシーンは、リーダーシップの増長を意味する宝石だ。それに、信頼という意味も内包する。誰かを率いるために正しい一歩を踏み出していく、そんな君のあり方に、星石は反応したんだろうね」
 イヤリングへ嵌め込まれたハイパースシーンは、紫と銀の輝きを内包してきらりと瞬く。
 それを受け取った乙女が、イヤリングを身につけた。自らのあり方は、誰かの先導する者としてのあり方だ。
 にっ、と乙女が口元を綻ばせた。
「うむ、満足だ!」
「それは良かった」
 ぐっと拳を再び握り込む。このあり方は、絶対に揺らがない。揺らがせないと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神奈木・璃玖
星石に込める想い:これからも『良い取引』が出来ることに対する期待

いやはや、まさかあのピンク・モフがあそこまでいい鉱脈をご存知とは
終わった後また遊びをせがまれてしまいましたけど、それを差し引いても余りあるくらいにはいい取引(?)でした
全ての取引がこう上手く行けばいいのですが、なかなかそうも行かないのですよね
契約相手が逃げ出したり、などということもよくありますし
まあその場合は地の底まで追ってでも探し出して、『対価』を頂くのですけれどね?ふふふ……

採ってきた星石から少しだけ拝借して私用にイヤリングを作ってもらいましょう
元々そういう依頼でしたからね
形はお任せしますので、素敵なものに仕上げてくださいね



●商人として
「いやはや、まさかあのピンク・モフがあそこまでいい鉱脈をご存知とは」
 目の前に置かれた星石の塊にニヤリ、と口元を綻ばせて、神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)は人知れず小さく笑っていた。
「終わった後また遊びをせがまれてしまいましたけど、それを差し引いても余りあるくらいにはいい取引でした」
 まあ、何事も取引には対価が必要になる。タダ程怖いものはない。今回のピンク・モフの一件は、完全に運によるところも大きいだろう。だからこそ、璃玖はその機会を逃さない。
「あら、商人さんですか?何を取り扱いになってるんですか?」
「ええ、まあ色々と。宜しければ、星石の取引にも少し関わりたいんですがね」
 ふふ、と女性が微笑む。
「そうですね。星石の希少価値を落とさないように、仲介役をして頂ければこちらでも有り難い限りなんですが」
 そう答えた店主の妻に、璃玖はおや、と目を細めた。
(希少価値を落とさないように、ですか。全く、金細工工房の運営を手伝うだけのことはありますね)
 遠回しな警告だろう、と。もし星石の流通が安定すれば、その価値は必然的に低下する。今現在、星石が高値と取引されているのは、猟兵たちが見つけ出したような巨大な鉱脈を発見できていないからである。
(この女性、やり手ですね)
 きらり、と眼鏡を光らせて。……とまあ、そんな商人の慧眼が光るが、実際に女性が言ったのは、裏表のない正直な言葉だったのだが。
「そうですねぇ、星石の取引のみならず、全ての取引がこう上手く行けばいいのですが、なかなかそうも行かないのですよね」
 契約相手が逃げ出したり、などということもよくある。そう続けた璃玖に、女性はまたにこりと微笑んだ。
「その願いもまた星石に込めてみて下さい。きっと、貴方を助けるような宝石に変わるかもしれませんよ」
「ええ、そうさせて頂きます。イヤリングの形はお任せしますので、素敵なものに仕上げてくださいね」
「あらあら、主人の腕は確かですからね。少々お待ち下さい」
 とたとた、と奥にいる主人の元に歩いていった女性の背を見送った跡、星石へ願いを込める。
 商人としての本懐。良い取引が出来るように。……契約相手が逃げても地の底まで追ってでも探し出す。そんな心意気で。
 星石内部に封じられた魔力が渦巻き、鉱石の組成を変えていく。転換していく工程を見ながら、数分経ち。
 透明度の高い星石は転じて、青を内包した鉱石へと変化した。しかし、サファイアほどの強い青ではない。
「ふむ、これは―――」
「へえ、フローライトか。面白い鉱石に変化したようだね」
 工房の主人の男が、涙型に成型したイヤリングを持ってくる。机に置かれた星石の変化、それを見て、にこやかに微笑んだ。
「フローライト。蛍石と呼ばれる鉱石ですね」
「流石は商人、鉱石についても詳しいね。通常は星石と同じように透明度の高い鉱石なんだけど、このフローライトは青色が強い。さながら、静穏の海の中に潜む激情って言った感じかな?」
 ふふ、とフローライト鉱石を手早く研磨すると、イヤリングに嵌め込んだ。渡されたイヤリングを見ると、研磨されて更に輝きが増している。青い線が綺麗に入っていて、それだけでも工芸品に使えそうな一品だ。
「フローライトは物事の成功を司る鉱石だ。気品にも影響するという。商人にとって、そういうものは大事だろう?星石は君の願いに応えたみたいだね」
 ただ、と主人の男が唸る。
「……あまり裏で色々と考えると、とばっちりを受けるかもしれないから気をつけて」
「はは、肝に銘じておきますよ」
 透明度の高いフローライトに青の色……すなわち別の鉱石の成分が混じったということは、つまりそういうことだろう。
 耳にイヤリングを装着した璃玖が、再び微笑んだ。
(ええ、無茶なことはやめておきますよ。無茶なことは、ね)
 ニヤリ、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​

雨音・玲
【アドリブ大歓迎】

ふぅ、何とかなったー
しかし中々満足しなかったなぁ
(思いだして苦笑を浮かべます)

元々今回の依頼は、俺と妻エイルとの間に生まれた子供レオへのプレゼント
少しぐらい親父らしいことをしたくてさ

六角の結晶型のペンダントに加工して貰って
「守石」としてプレゼントするよ

込める願いは「無事に育ってほしい」という「守護」の願い
大事にしてくれると良いんだけどな
職人の女性にお礼を述べ
依頼があればまた受ける事を約束して
家族の待つ家へ帰路につきます



●掌の内に
「ふぅ、何とかなったー」
 額の汗を拭って、雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)が遅れて工房内に姿を現す。革の袋に入れた星石をどさり、と置くと、女性が駆け寄ってきた。
「あらあら、お疲れさまです。1人でこんなにたくさん、大変だったでしょう?」
「あー、まあね。……中々満足しなかったなぁ」
「満足?」
「ああいや、こっちの話」
 はは、と苦笑する玲に首を傾げながらも、女性が星石を受け取ると工房の裏へと消えていった。
「ちょっと休憩っとね。にしても、魔力に満ちた山の近くにこんな街があるなんてな」
「ああ、この街は鍛冶屋が多いんだよ。色々な鉱石が掘れるからね」
 声をかけられて振り向くと、工房の主人である男がニコリと微笑んでいる。手には星石の塊を持っており、それを玲の目の前、机の上に置いた。
「君もイヤリングを作ってみると良いよ。何か要望はあるかい?」
「あ、それなんだけど、六角の結晶型のペンダントに加工って出来るかな?」
「ん?可能だけど、誰かにプレゼントかい?」
「ああ、俺と妻エイルの間に生まれた子供レオへのプレゼントにね」
「まあ」
 のほほんとした雰囲気の女性がぱちぱちと拍手する。それに続いて、おめでとうと工房の主人がにこやかに祝辞をくれた。照れくさそうに頭を掻いた玲は、言葉を続けた。
「少しぐらい親父らしいことをしたくてさ。『守石』としてプレゼントしたいんだ」
「なるほどね。じゃあ、君の要望通りに。完成するまで、星石にその想いを込めてみると良い」
 そう言って工房内に姿を消した。遠くで、私たちも、という女性の言葉が微かに聴こえた気がして、玲がふっ、と苦笑した。
「さてと……星石に込めるのは、と」
 星石を包み込むように、両手を掲げる。父が望むものはただ一つ。ただ「無事に育ってほしい」という「守護」の願い。
 猟兵という職業を成している以上、アクシデントはつきものだ。せめて、自分の子供は、安息の中を往けるようにと。
 ぶわり、と星石から光が溢れ出す。鳴動する魔力は渦となり、星石の性質を変えていく。
 眩い光を放つ星石、その輝きの収束が収まったのは、十数分後だった。
 透明度の高い鉱石は、光に当たると変幻に瞬いている。白い霞のように入った淀みはしかし、神秘的な魔力を内包していた。
「これはまた……君の想いはとてつもなく強いみたいだ」
 工房の奥から工房の主人が近寄ってきた。ペンダントの型を手に持って、変化した星石を覗き込んでくる。
「この宝石、一体何なんだ?」
「これはね、ムーンストーンだよ。月の石とも称される、光を当てると複雑な色を放つ鉱石だ」
「なるほど、ムーンストーン……」
 玲もUDCアースで活動している身だ。その石の名には聞き覚えがあった。
「ムーンストーンは健康や長寿の意味を内包する宝石だ。誰かの人生の安寧を祈る、それは自分ではなく、他者へ注がれる愛情だ。君の願いは、正しく星石に受け入れられたようだね」
 手慣れたようにムーンストーンを研磨すると、主人がペンダントに嵌め込んだ。石を傾ける方向が違うだけで、その色彩は複雑に変化する。
 そして、主人の言うことももちろんだが……ムーンストーンは『6月の誕生石』だった。
 それは、星石の通告にも等しいのかもしれない。つまり。

 誰かのために願う。それでも、貴方が健康でなければ、我が子もまた元気に成長しないのだ、と。

「―――つまり、そういうことだと思いますよ?」
 にこり、とそう説いた女性に、玲は手に持ったペンダントを握りしめた。
「……うん、そうだな。俺も……元気でいなきゃな!」
「健やかに成長することを祈ってるよ」
「ああ、ありがとう!また依頼があれば受けるから、その時もよろしく頼むなっ!」
 こくり、と頷いた工房の主人とその妻にもう一度お辞儀をして、表へ出る。ペンダントを掲げると、不思議と力が沸いてきた。
「エイルと、レオのために……俺も頑張って、健康でいないとな!」
 誰をも等しく受け入れる、月の輝きのように。ムーンストーンは、静かに光り輝いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月01日


挿絵イラスト