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徒花の下には常に死の影が踊る(作者 裏山薬草
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●徒花の姉桜
 ――逢魔が辻と化した、荒れ果てた庭園の中、一際に異彩を放つ艶やかな紅桜が朧な輝きに照らされていた。
 ぽぉん、ぽぉんと手鞠が弾み、吸い寄せられるように数多の影朧がざわめく中に、女は艶やかに笑う。

 いらっしゃい。
 あなたも、あなたも、そこのあなたもいらっしゃい。
 怖がることは、ありません。悲しむことも、ありません。
 共に遊んで、共に休んで、私が癒しを与えましょう。
 来世の幸せを祈りましょう、あなたの幸せを祈りましょう、安らかに、安らかに……。

 ――数多の影朧と戯れ柔らかな光を振り撒くも、それは浄化の光に非ず。
 もう戻ることはできない、在りし日の甘い幻を見せながらも、悍ましき化生を引き寄せる哀しき光……。

●実り無きモノ
「確率は限りなく低い、しかし零とそうでないものには大きな差がある。とはいうがね」
 グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、椅子に座ったまま脚を組み、額を抑えながら天を仰いだ。
「ただ、零と気付かぬまま踊るのは……悲しいとは、思うけども」
 物憂げに銀灰色の瞳を曇らせ、溜息を一つ吐きながら彼女は重く立ち上がり語り出した。

「さぁ語ろうか。舞台は幻の桜舞い散る花の都、サクラミラージュ。君達には逢魔が辻に住まう影朧を倒しに行って貰いたい」

 グリモアが映し出す逢魔が辻は、最早完全に取り壊された、帝都の外れにある屋敷と荒れ果てた、背の高い草が並ぶ庭――そこには逢魔が辻の影響か、朧に戦場を照らす石灯篭が立ち並ぶ光景だった。
「元はさる資産家の別荘だったらしいがね。使う者がいなくなって取り壊しになる……筈だったんだが、逢魔が辻と化してしまっていてね」
 取り壊しに行った業者や、幽霊屋敷の噂を聞きつけ興味本位でやってきた者達、果ては退治にやってきた帝都桜學府の者達にも既に犠牲が数多く出ており、この地を支配する影朧の影響か、次々と他の影朧が引き寄せられているのだという。

「だから君達には、その廃屋敷に赴いて影朧を退治して貰いたいんだ」
 そういってスフィーエは、今回退治することとなる影朧の姿をグリモアで映し出した。
 これまでの犠牲者に寄生し咲く花のような姿の影朧と、逢魔が辻を支配する影朧に引き寄せられた哀しい叫びを挙げる桜の精のような姿の影朧。
 逢魔が辻に入れば生命の気配を求めて前者が襲いかかり、それを退けても、後者は支配者を守らんと襲い掛かってくるのだという。
「気を付けて欲しいのは、第二波の影朧は第一波での戦闘を学習している。例えば、草に隠れて奇襲していれば第二波はそれを使ってくる可能性もある」
 だが逆をいえば、それを想定して対処することでより優位に戦えるということでもある、とスフィーエは語った。

「そして然る後、逢魔が辻を支配する影朧を倒して欲しい」
 彼女が映し出すは艶やかな赤い髪を靡かせた着物姿の女――桜の精と思わしき、とても穏やかな微笑みを浮かべた存在を映し出した。
「……元々はどこかの幻朧桜で、二本の姉妹桜だったらしい。詳細は分からないが、ある時、片割れと別れることとなってしまってね」
 二人仲良く影朧達に癒しを与え転生させてきたらしいが、妹桜と不幸な事件で分かれ、絶望の果てに影朧として蘇ってしまったらしい。
 今は妹桜との再会を夢見て、嘗てのように影朧を集め癒しを与えようとしているのだが――。
「悲しいかな。もう、癒しを行うことは叶わない」
 影朧となり果てた今となっては、それも叶わずにただ、沢山の影朧を集めてしまっているだけの害悪でしかない。
 それでも今も、妹桜との再会――決して叶わぬが――を夢見て、狂ったように影朧を周りに集めているのだという。

「何というかな、何をやっても報われない、そしてそれに気付いていない……のかは、分からないが」
 逢魔が辻を支配するどこか悲しい桜の精であった影朧の存在に、物憂げに溜息を吐きスフィーエはやりきれない、といった風に肩を竦めつつ。
 改めて羽根ペン型のグリモアが逢魔が辻へ往く道を作り出しながら、最後にこう締めた。
「だがこれ以上の不幸を齎すのも本意ではないはずだ。どうか、自分を見失ってしまった桜の木を止めて欲しい……頼んだよ」





第2章 集団戦 『夢散り・夢見草の娘』

POW ●私達ハ幸せモ夢モ破れサッタ…!
【レベル×1の失意や無念の中、死した娘】の霊を召喚する。これは【己の運命を嘆き悲しむ叫び声】や【生前の覚えた呪詛属性の踊りや歌や特技等】で攻撃する能力を持つ。
SPD ●私ハ憐れナンカジャナイ…!
【自身への哀れみ】を向けた対象に、【変色し散り尽くした呪詛を纏った桜の花びら】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ ●ミテ…私ノ踊りヲ…ミテ…!
【黒く尖った呪詛の足で繰り出す踊り】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
👑11 🔵🔵🔵

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●嘆きの桜花
 逢魔が辻に挑んだ哀れな犠牲者を取り込み、寄生してきた地獄花を退けた猟兵達。
 されど逢魔が辻を制さねば、また新たな犠牲者が出てしまう――その元凶たる徒花を目掛けて歩を進めた猟兵達だったが。
「邪魔をしないで……」
「あの方の邪魔をしないで」
「お願い、私達は癒されたいの……!」
 立ちはだかるは、かつて桜の精であったであろう哀しき影朧達――理由様々なれど嘆きの表情を浮かべる姿。
 逢魔が辻の哀しき主が齎す仮初の癒しを求めてやってきたのだろうが、それが仮初であることすらも分からぬ程に、理性を喪失している。
 このまま徒花の癒しを受けたとしても何も救われはしないだろう――唯一にして辛うじての手段は、この場にて彼女達を倒す他にない。
 逢魔が辻の主へ辿り着く為に、嘆きの精達を退ける為の戦いが始まった……。
四季乃・瑠璃
緋瑪「確か、第二波は前の戦闘を学習してるんだっけ?」
瑠璃「なら、草むらを利用して罠とか仕掛けてきそうだね」

【破壊の姫君】で分身

飛翔翼で飛行し、空中から全体を俯瞰。
逆に敵や罠が潜んでそうな深い茂みを特定し、【属性攻撃、範囲攻撃、爆撃、蹂躙】焼夷式ボム(ナパーム)と通常の広域接触ボムで敵も罠も全て爆破・延焼して焼き払い、吹き飛ばしていくよ。
空中まで飛び出して来た敵は【属性攻撃】魔術で焔を纏わせた大鎌で斬り裂き、迎撃。
追撃のボムや銃弾に魔術付与したK100による銃撃で爆砕・追撃して仕留めるよ

緋瑪「貴女達に安息をあげるよ。永遠のね」
瑠璃「だから、ゆっくりおやすみ…」


●一思い
 騒めく草草の中に、悲痛なかつて桜の精であった者の嘆きが響く。
 瑠璃と緋瑪は魔導の翼で空を飛びながら、逢魔が辻を俯瞰していた。
「確か、第二波は前の戦闘を学習してるんだっけ?」
「なら、草むらを利用して罠とか仕掛けてきそうだね」
 暗き草に紛れるように駆ける姿に、相対する影朧達が油断なき存在であることを知りながら。
 それでも瑠璃と緋瑪の光らせる眼は、猟兵を逆に捕らえんとする影朧の強かを決して逃すことはない。
 赤と青の異な瞳が捉えるは、草陰の色濃きその場所。
「――丁度、この辺りとか」
「ビンゴ」
 落とされた爆弾が一つ爆ぜれば、解き放たれた衝撃と熱は枯れかけた草草と息を潜めていた影朧の存在を焼き払い、仕掛けられた企み諸共吹き飛ばしていく。
 それを皮切りに、空爆さながらに落とされていく爆弾は、影朧を追い立てていくように熱と衝撃の中に、容易くその存在を消し去っていきつつ。
 爆ぜる業火の照り返しは、冷徹なまでに殺しを遂げんとする殺人姫達の姿を煌々と映す。
「ウ、ァアァア……ミテ……ワタシ、ワタ、シ」
 その姿を見上げ、生き残った影朧達が文字通り踊りながら跳ぶと、杭の如く尖った足を空に待ち受ける瑠璃と緋瑪目掛けて突き出せば。
 瑠璃と緋瑪はそれぞれ大鎌を取り出すと、背中合わせになりながら彼女たちへ向かう影朧へ大鎌の刃を閃かせた。
 そこに纏う業火が逢魔が辻の夜空に赤き残影を浮かばせ、迸る熱と刃の軌跡が飛来した影朧を迎撃する。
「とても苦しそうに見えるけれど」
「ごめんね、私達も倒されてあげるわけにはいかないから」
 ――苦しみを癒すことは出来ないが、止めることは出来る。
 ばら撒く爆弾が齎す熱と衝撃の風が、大型拳銃から放たれる魔力を乗せた鉛玉が。
 熱傷と貫通の衝撃は一瞬、これ以上の嘆きも呻きも与えることもなく、熱風は影朧を灰と為し、銃弾は胸を貫く。
「貴女達に安息をあげるよ。永遠のね」
「だから、ゆっくりおやすみ……」
 ――その声へは銃弾に胸を貫かれ伏した影朧の、とても安らかな顔が彼女達の手に掛けた影朧を代弁していたようだった。
大成功 🔵🔵🔵