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サ道再び。

#アックス&ウィザーズ #戦後 #群竜大陸

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●サウナを求道せし者たちの轍
 帝竜戦役は終結し、帝竜の全ては倒された。
 だが、『群竜大陸』は未だ極めて危険な土地であり、オブリビオンの残党が多く蠢いているのである。
 しかし、それはまだ群竜大陸に様々な財宝が眠る『無尽蔵の開拓地』でもあることを示していた。
 そんな群竜大陸の一角、冷静と情熱の珊瑚礁もまた、無尽蔵の開拓地である。そこは高熱を放つ『サウナ珊瑚』の生える温泉地帯である。この湧き上がる温泉に浸かった者は、温泉それぞれが持つ特定の感情を爆発的に増加させられるのだ。
 様々な温泉の湧き出る泉が多数存在しており、未だ全容を解明されていないと言って良いだろう。勿論、この地にある財宝、『サウナ珊瑚』は水を温泉化させることでも知られている。
 親指大の一欠片であっても金貨100枚(100万円)で取引されているのだ。

 そして、今回、グリモア猟兵によって予知された場所……そのサウナ珊瑚によって温泉と化した泉は、帝竜戦役の折にオブリビオンに占拠されいたのだ。

「そうなのです。この温泉に秘められている効能……爆発的に増加させられる感情は……『整った』、という感情なのです」
 ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)は、少し困ったような笑顔を浮かべながら、グリモアベースに集まってきた猟兵達にそう告げたのだ。
 帝竜戦役が終結して間もない頃ではあるが、未だ群竜大陸にはオブリビオン残党が蠢いている。
 猟兵たちが領主として土地を治めていたとしても、その手が回らないこともあるのだ。

「はい、ですので今回皆さんに私が予知したオブリビオンを退治していただきたいのです」
 いや、待って。待って。
 一人の猟兵が、ようやくといった体で手を挙げる。なんだか、さらっと話を進められているようなので、ナイアルテを制止するのだ。

「どうされましたか……?」
 当人であるナイアルテは、何か質問だろうかとキョトンとしている。
 爆発的に増加させられる感情『整った』、それだけでは一体何のことかわからない者もいるだろうと、指摘を受けてナイアルテは微笑む。
 そう、説明しよう!

 『整う』とは!
 正しくサウナを利用する者にのみ与えられた極上の癒やし。多幸感と恍惚感のないまぜとなった素晴らしい感覚。
 それは体験したものにしかわからない感覚であり、本来であれば、サウナ、水風呂、休憩を繰り返した後に訪れる忘我の境地なのだ。

 しかし、この冷静と情熱の珊瑚礁……その一角にある温泉においては、それすら不要である。そこら中に温泉が懇々と湧き出ており、望むと望まざると足湯ほどには足を温泉に付けなければならない。
 たったそれだけで、その者には『整った』という多幸感と恍惚感が襲いかかってくるのだという。

 ……え?

「はい、つまり、皆さんは転移した後、残党オブリビオンを探しながら、この『整った』とい感情を抑え込まなければなりません。気を緩めてしまえば、即座に『整った』という感情に支配され、骨抜きにされてしまいます。実際、残党オブリビオンの多くは骨抜きにされています」
 え、えぇ……。
 猟兵たちの困惑も当然であろう。不快な感情や悪感情でもなんでもなく、ただただ己を襲う多幸感と恍惚感を抑え込まなければならないのかと。それはある意味地獄ではないかと。

「……そうなのです。私も経験がありますがら……酷なことを申し上げている自覚はあります」
 ナイアルテもあの経験を思い出して、顔を赤らめる。
 あの心地よい感覚。風が肌をなで、外気浴の気持ちよさと言ったら……。
「―――ハッ!? し、失礼しました……え、と、その、転移後皆さんは、残党オブリビオンである山賊オブリビオンを探索してください。彼等は温泉の効能によって『整った』感情に支配されていますので、撃破は難しくないでしょう」
 だが、この温泉地帯の一角において、『整った』感情を完璧にコントロールし、戦闘力を強化しているオブリビオンが存在しているのだ。

「氷雪の鷲獅子と呼ばれるオブリビオンです。氷に対して絶対の態勢を持つ上に、『整った』という感情を完璧に抑え込んだが故の強力な戦闘力の増加が見られます。これを撃破しなければ、いつまでたってもゆっくりと温泉に浸かることもままなりません」
 そこまでナイアルテは説明し、ふとまた『整った』感覚を思い出して頬が緩む。
 真面目なナイアルテをして、ここまで緩ませる『整った』という感情。その深淵が今、猟兵たちを見つめているのかも知れなかった―――。

「―――はぁ……サウナ、行きたいです」
 ナイアルテさーん、お仕事おねがいしまーす。
 本当に大丈夫なのか?と猟兵たちは心配になりながら、アックス&ウィザーズ、群竜大陸へと転移していくのだった―――!


海鶴
 マスターの海鶴です。
 帝竜戦役後のアックス&ウィザーズでの冒険のシナリオになります。
 舞台となる群竜大陸の一角、『冷静と情熱の珊瑚礁』の詳細は、https://tw6.jp/html/world/event/012war/012_dragonlord.htm にてご確認ください。具体的には番号⑱の土地となります。

●第一章
 冒険になります。
 群竜大陸の一角、冷静と情熱の珊瑚礁に潜伏するオブリビオンの残党を探し出しましょう。
 探索となりますが、常時皆さんを襲うのは『整った』という多幸感と恍惚感の混ざりあった至高の感情になります。
 気を抜くと一瞬で骨抜きにされて、もう戦うのとか良いじゃないという程に、ぐんにゃりした状態になってしまいますので、お気をつけ下さい。
 温泉地帯であり、常に足湯程度はお湯に浸かっている状態になってしまいます。

 ただし、この『整った』という感情を抑え、我慢すれば我慢するほどに戦闘力が増します。
 全章通して、この我慢が凄まじければ凄まじいほどに皆さんの戦闘力は跳ね上がっていくのです。

●第二章
 集団戦です。
 オブリビオンである残党、山賊との戦いとなります。
 ですが、山賊たちは皆、一様に『整った』という感情に支配され、温泉地帯でぐんにゃりしています。
 あまり戦う気のない、でも猟兵来たから……程度のゆるい状態となっていますので、蹴散らしましょう。

●第三章
 ボス戦です。
 氷雪の鷲獅子と呼ばれるオブリビオンとの対決です。
 このオブリビオンは、この土地の温泉の効能、『整った』という感情を完璧にコントロールしており、その強化された戦闘力は尋常ではないものとなっています。
 この完璧にコントロールした感情を揺り動かしたり、対抗する手段があれば、戦いに有利になることでしょう。

 群竜大陸における残党オブリビオンの打倒を目指すシナリオです。
 果たして、猟兵たちはサ道の極み、すなわちサウナ道の頂きたる『整った』感情を抑え込みつつ、見事オブリビオンを撃破できるのでしょうか。
 皆さんのキャラクターの壮絶なる戦いが、物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『群竜大陸の探索』

POW   :    地道に歩き回って情報を集めたり、あえて危険な場所に踏み込んで捜索する

SPD   :    潜伏するオブリビオンの痕跡を見つけ出し、隠れ場所を突き止める

WIZ   :    オブリビオンの行動を予測して網をはったり、偽情報で誘き出したりする

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 冷静と情熱の珊瑚礁。
 そこはサウナ珊瑚が群生しており、泉が懇々と湧き出る温泉地帯である。
 群竜大陸に奇妙な土地は数あれど、ここほど人の心を引きつけて止まない土地も多くはないだろう。

 温泉の湯気が当たり一面に広がる。
 ざぷ、とあちらこちらは浅いところでも、足のくるぶしほどまで温泉のお湯が満たされている。
 この温泉はそれだけでも、ある特定の感情を爆発的に増加させるのだ。
 そう、その感情とは―――『整った』という感情。

 サウナーであれば、誰もが憧れ、その感情を味わうために足繁くサウナへと通う至高の感覚。
 恍惚感と多幸感がないまぜとなって感情は、オブリビオンさえいなければ、この地をサウナーの聖地、いや、極楽浄土へと変えたことだろう。

 だが、未だ群竜大陸にはオブリビオンの残党がうごめいている。
 彼等は不当にこの地を占拠し、『整う』という感情の赴くままに怠惰なる惰眠を貪っているのである!
 このようなことを許しておける訳がない。

 猟兵よ、『整う』という感情に抗いつつ、オブリビオンを疾く骸の海へと還すのだ―――!
セフィリカ・ランブレイ
この、足先から広がる脱力感と開放感が重なる幸福感!
世界がとろけていく…
これが整うって…
『整ってんじゃないわよセリカ』
そうだった、シェル姉…相棒の魔剣が言う通り、我慢我慢

でもこれ、気を抜くと完全にダメになる…
そっか、気を抜かなきゃ良いんだ!

【だってお姫様だもん】を使用
かつて国元で外交の際、最大限にかぶった猫の力を、いまここで!
清楚清廉可憐な姫君はサウナで整っちゃったりなんか絶対にしない!
『清楚のつもりでもゴーレムの作成技能やら、会場で暗殺者に襲われても平然と笑ってたりしたせいでついたあだ名はランブレイの鋼姫だけどね』
我ながら可愛くない2つ名すぎる…

とにかく人前だと思って最大限に我慢して進むよ!



 サ道とは、整うことと見つけたり。
 ―――否!サ道……サウナ道を邁進する者にこそ伝えなければならないことがある。確かに『整った』という多幸感と恍惚感に包まれた体は、生活のあらゆる苦しみから解放される幸福そのものであろう。
 だが、幸せを追い求めるのが人間であるというのならばこそ、人は幸福を追いかけてはならないのだ。

 幸せを一度知れば、幸せでない時が生まれる。故に、幸福でない時は、苦しみに塗れた時となる。だからこそ、人は『整い』過ぎてはならないのだ―――!

 ―――それはさておき、アックス&ウィザーズ世界の群竜大陸の一角、冷静と情熱の珊瑚礁へと転移してきた猟兵たちを次々と襲う爆発的に増加する『整った』という感情。
 これを抑え込みながら、この地に残留するオブリビオンの探索を急がねばならない。
 どれだけサウナ珊瑚によって『整った』という感情を増加させられたとて、歴戦の猟兵である。見くびってもらっては困るのだ。
「この、足先から広がる脱力感と開放感が重なる幸福感!世界がとろけていく……これが整うって……」
『整ってんじゃないわよセリカ』
 セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)の整いかけた表情が一瞬で元に戻る。彼女の携えた魔剣シェルファからのツッコミがなければ、危うくセフィリカは『整って』しまうところであった。

 ちょっとよだれが垂れかけている所が可愛らしいところであるが、実際経験してみるとこの感覚は尋常ではないとセフィリカは思ったことだろう。
「でもこれ、気を抜くと完全にダメになる……シェル姉の言う通り、我慢我慢……」
 うう、それでも襲い来る多幸感と恍惚感。
 これを我慢しながら、オブリビオンを探し出して倒さなければならないというのは、下手な事件より辛いのではないかと思うほどだった。
 我慢すればするほどにセフィリカもまた戦闘力が強化されるのだが、それでも耐え難くなるのだ。

「……そっか、気を抜かなきゃいいんだ!」
 ぴこん!とセフィリカの頭上で電球が灯りを灯す。
 彼女のユーベルコード、だってお姫様だもん(ランブレイ・スチールプリンセス)が発動する。
 その謂れは、かつて国元で外交の歳、最大限に被った猫の力!彼女ほどの身分のお姫様であれば、いついかなる時でもおしとやかに!優美に振る舞わなければならないのだ。
 彼女自身の本質がどれだけお転婆姫であったとしてもだ。

「こ、これで……!清楚清廉可憐な姫君はサウナで整っちゃったりなんか絶対にしない!」
 フラグみたいなことを乱立しているので、魔剣シェルファはため息を吐く。
 けれど、魔剣シェルファは知っているのだ。
 彼女がかつて猫をかぶってパーティ会場でどんなことをしたのか。

『清楚のつもりでもゴーレムの作成技能やら、会場で暗殺者に襲われても平然と笑ってたりしたせいで、付いたあだ名はランブレイの鋼姫だけどね』
 もうそれは凄まじい、その、言葉にするのもあれな豪胆すぎる姫君であったのかもしれない。
 かわいいより、かっこいい……!

「我ながら可愛くない二つ名すぎる……とにかく人前だと思って最大限に我慢すればいいんでしょう!」
 セフィリカの叫びが冷静と情熱の珊瑚礁に響き渡る。
 果たしてランブレイの鋼姫は、このあまりにも酷すぎる『整う』という感情に抗い、無事にオブリビオンをぶっ飛ばせるのか。
 彼女の戦いは今、始まったばかりなのである―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

オーガスト・メルト
竜帝を倒せば即座に平和に…とはいかないもんだな。
『うきゅ~ん』『うにゃ~ごろごろ』
こらこら、デイズ、ナイツ、勝手に整ってるんじゃない。
俺だって我慢してるんだぞ?

【SPD】連携・アドリブ歓迎
しかし、この感覚はキツイな。
【八色鋼糸の蜘蛛竜】の属性鋼糸で自分自身に【鎧無視攻撃】を軽く与えながら進むとしよう。
UC【トライリンクモード】で五感を強化して索敵を…ぐっ、整った感覚も3倍以上になるのかっ?!
鋼糸の攻撃をもっと強くして…いや、デイズたちも攻撃するか。
『うきゅー?!』『うにゃー?!』
ええい、文句を言うな。
ここの領主と知り合いな以上、この件を放置する訳にもいかないんだ。
先へ進むぞ!



 アックス&ウィザーズ、群竜大陸にて勃発した帝竜戦役。
 それはオブリビオンとして蘇った帝竜ヴァルギリオスと猟兵達との戦いである。戦いは猟兵の勝利で終わり、この群竜大陸は分割され、その土地々々に猟兵が領主として治めることいなったのだ。
 今回猟兵たちが転移した土地、冷静と情熱の珊瑚礁もまた、そうした土地である。サウナ珊瑚と呼ばれる水を温泉に変える珊瑚によって、此処は今類を見ないほどの温泉地帯なのだ。

 しかも……。
『うきゅ~ん』
『うにゃ~ごろごろ』
 白と黒の大福じみた容貌の小さな竜が、温泉にぷかぷか浮いている。オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)が共とするドラゴンランスと宇宙バイクが変じた姿の小さな竜たちである。
「帝竜を倒せば即座に平和に……とはいかないもんだな。こらこら、デイズ、ナイツ、勝手に整ってるんじゃない。俺だって我慢してるんだぞ?」
 そんな彼等を見下ろして、温泉から引き上げるオーガスト。しかし、と思う。
 グリモア猟兵から得た上方にあった通りではあるのだが、想像を絶する感覚である。彼をしてキツイ、と思わせるほどの多幸感と恍惚感。
 ネガティヴな感情であるのならば、耐えられるものは多いであろう。

 だが、この温泉に湧き出る感情を爆発的に増加させる効能は、『整った』という多幸感と恍惚感がないまぜとなったポジティブな感情を増加させる。
 だからこそ、抗いがたいのだ。
「なんていうか、手の甲を指でつねりながらオブリビオンを探している気分だな……」
 オーガストは己を自傷しつつ、冷静と情熱の珊瑚礁に潜んでいるオブリビオンの残党を探す。
 八色鋼糸の蜘蛛竜と呼ばれる蜘蛛ロボから放たれる鋼糸でもって、軽く自身に痛みを与えつつ、抗いがたい感情に拮抗しているのだ。

「デイズ…ナイツ…お前たちの目と耳を借りるぞ」
 これは長引けば長引くほどにオーガストにとっては、抗いがたいものとなっていくのが目に見えている。
 ユーベルコード、三竜一体の極意(トライリンクモード)によって、デイズとナイツが感覚を同調させる。
 こうすれば、デイズとナイツが見たもの、感じたものをオーガストもまた感じ取れるのだ。

 一気に索敵の幅が広がり、この地に残留するオブリビオンを見つけるのも容易い。そう思っていたのだが―――。
「……ぐっ、整った感覚も3倍以上になるのかっ?!」
 デイズとナイツとの同調を果たした瞬間、オーガストを襲うのはデイズとナイツが感じた『整う』という感情。
 それは荒れ狂う濁流の如くオーガストを揺さぶる。
 この荒波に押し流されてしまいたく成る感情を必死に抑え込む。しかし、それは抗えない。
「鋼糸の攻撃をもっと強くして……いや、デイズたちも攻撃するか」
 その言葉にデイズとナイツが避難の声を上げるような鳴き声を上げる。そんな!とか、ええー!? とかそんな雰囲気だ。

 主人からまさか攻撃されるとは思っていなかったのだろう。
 逃げようとする二匹を鋼糸が絡みつく。パッと見、リードに繋がれたような姿になってしまうが、これもオブリビオンを滅するためである。
「ええい、文句言うな。ここの領主と知り合いな以上、この件を放置する訳にもいかないんだ」
 そう、彼の知り合いが、この土地の領主である以上、手を貸さずにはいられない。
 そのためには多少の痛みはつきものである。
 絶え間なく続く『整った』という感情の波状攻撃。しかし、オーガストは負けない。

「先へ進むぞ!」
 その先に、この地に潜むオブリビオンの影を見つけオーガストは進む。
 さっさとオブリビオンを蹴散らして、『整って』しまいたい。そう思いながら、湯煙の向こうにいるであろう、オブリビオンを睨めつけるのだった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

大町・詩乃
WIZ

アドリブ・連携歓迎です。

温泉の多幸感と恍惚感に耐えねばならない…。
何という厳しい試練でしょうか(←温泉大好き)。
しかし、この試練を乗り越えてオブリビオンを倒しましょう!
決して、ゆっくり温泉に浸かりたいから頑張る訳では無いですよっ。
(と、聞かれてもいないのに空に向かって言い訳する人)

オブリビオンが潜んでいるそうですし、珊瑚礁は身を隠す障害物が多いですから、気を付けて進まないと。
注意しながら進むうちに、どんどん温泉による多幸感と恍惚感に侵食され、これ以上は危険と悟れば、【催眠術】で『自分は今、泥濘の中を歩いている。耐えて進めば温泉が待っている。』と自己暗示を掛けて、感情を抑えて前に進みます。



 サウナ道は、誰しもに平等に開かれている。
 そこに貴賤はなく、上下もない。あるのはサウナとサウナストーン、アロマオイル……時にタオルで持って熱波を送るも良いだろう。
 誰しもが平等で、誰しもが『整う』という多幸感と恍惚感のないまぜになった感覚を味わうことができる権利を持っている。

 だからこそ、アックス&ウィザーズ、群竜大陸の一角、冷静と情熱の珊瑚礁にある一区画の温泉地帯……『整う』という感情を爆発的に増加させる泉は滾々と湧き出ており、そこを訪れる者たちをオブリビオンであろうと猟兵であろうと、容赦なく『整わせる』のである。
「温泉の多幸感と恍惚感に耐えねばならない……何という厳しい試練でしょうか」
 大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)は、転移するなりグリモア猟兵から伝えられた情報に戦慄した。
 神たる身である彼女にとっても、恐るべき試練であるのだろう。
 ネガティブな感情であれば、抑え込むことが容易であるかもしれない。得てして己に立ちはだかる強大なる壁や試練というものはネガティブな感情をはねのける物が多い。
 猟兵であっても、そのような訓練を積んだ者が多いだろう。

 だが、ここ……冷静と情熱の珊瑚礁に湧き上がる温泉においては、『整った』というポジティブな感情に立ち向かわねばならないのだ。
「しかし、このシレンを乗り越えてオブリビオンを倒しましょう! 決して、ゆっくり温泉に使いたいから頑張る訳ではないですよっ」
 詩乃は誰に言うでもなく、口に出して言い訳してしまう。
 神たる身であれば、威厳とか信仰とか色々と対面が大変なのである。大の温泉好きである彼女にとって、この試練は絶大なる壁となって立ちふさがることだろう。

「オブリビオンが潜んでいるそうですし、珊瑚礁は身を隠す障害物が多いですから、気をつけて進みませんと……」
 確かに彼女の言う通り、潜んでいるオブリビオンがいつ彼女を襲わぬとも限らない。障害物の多い珊瑚礁は不意打ちするには絶好の場所であるからだ。
 徐々に進む。
 足湯程度にくるぶしまでどうしても浸かってしまう。そうすると、足先から頭のてっぺんまで駆け抜けてくる『整った』という感情。

 それはまさに爆発的なまでの多幸感。
 気をゆるめば、恍惚感からか、頬が緩む。眦も心做しか下がってしまいそうになる。意識していなければ、このまま『整った』という感情のままに一気に駆け落ちてしまいそうになるのだ。
「は―――っ!? い、いけません……! 思った以上に多幸感と恍惚感がぁ……すごいです……!」
 想像を絶する感情の波。詩乃は慌てて危険を察知し、己に催眠術を仕掛ける。
 それは強烈な自己暗示であり、『自分は今、泥濘の中を歩いている。耐えて進めば温泉が待っている』という状況と目的を心理に刷り込ませるものだった。

 どんなに心地よくても、この足でかき分けるお湯は泥である。どろんこ状態で気持ち悪いのである。耐えて、耐えて、進めば、自分の大好きな温泉にたどり着ける。
「だいじょうぶ、だいじょうぶです……この程度の泥濘に足を取られるわけにはいかないのです……私はだいじょうぶ。私はできる子です……!」
 自己暗示と温泉の効能の拮抗!
 何故ここまで我慢しなければならないのか、そう涙目になりそうになるほどにこの温泉は心地が良すぎる。

 詩乃はこれまで経験したことのないほどに過酷な試練に自身が身を投じているのだと、歯を食いしばりながらオブリビオンを探すのだった―――!

「あぁ―――早く温泉に浸かってのんびりしたいです……!」
 最後に言い訳すらもできぬ言葉が口から漏れてしまったのは、愛嬌である!

成功 🔵​🔵​🔴​

月守・咲凛
アドリブ他諸々OK。
整った、なのです?
おそうじをするのは好きなのです!
完全に掃除我慢大会だと勘違いしているので水着を装備して普通に温泉に浸かりに来ています。
ほへ〜です……。はっ!?
と、のんびりと温泉でだらーんとなっては正気に戻るのを繰り返していますが、だんだんだらーんとなる時間が長くなって普通に温泉でゆるく休んでいる状態になってボーっとしてます。
戦闘状態でなければ基本的にポワポワしているので、持ってきたお風呂セットのアヒルさんで遊んでみたりと普通に温泉を楽しむモードになっていますが、サウナのような熱い湯は苦手なのでなるべく普通の温度の場所を探してそこにとどまります。



 アックス&ウィザーズ。
 そこは剣と魔法の世界である。その世界において群竜大陸は、さらに不可思議な土地で構成された大陸である。
 今回猟兵たちが転移した冷静と情熱の珊瑚礁もまた驚異なる大地であった。
 滾々と湧き出る泉は、サウナ珊瑚によって温泉と化す。それだけであるのならば、まだそういうものであると納得が出来たであろう。
 だが、今回向かったそこは、『整った』という恍惚感と多幸感が襲い来る極楽とも地獄ともいえない壮絶なる温泉地であったのだ!

「おそうじするのは好きなのです!」
 そう言って張り切るのは、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)である。
 彼女は群竜大陸に蠢くオブリビオン残党を掃討することを、掃除我慢大会と勘違いしてやってきていたのだ。
 ふんわりしたグリモア猟兵の説明のせいだろうか?
 しかし、それでも彼女も猟兵の一人である。戦いと成れば、彼女の力は頼もしいものであるのだ。
 
 だが、彼女は勘違いしたままである。
 水着に着替えて普通に温泉に浸かっているのだ―――!
「ほへ~です……」
 そう、普通に!
 入っているのだ!
 特に我慢するまでもなく、咲凛を襲う『整った』という多幸感と恍惚感!
 それはあまりにも爆発的な感情の増加を促す、この温泉地帯においてノーガード戦法と言ってもよかった。
 時折、何かに気がついたようにハッとするのだが、正気に戻ったようで戻っていないのだ。

「はぁ~……なんたる極楽なのでしょう……整ったぁ~……」
 もうこれでは流石に擁護できない。
 咲凛は、完璧に『整って』しまっている!あー……とは、うー……とか、ぐんにゃりだらだらとした姿をさらけ出しながら温泉に浸かっている。
 ぷかぷかと温泉に浮かぶ黄色いアヒルさん。
 もしかしなくても、咲凛さんの私物ですね。可愛らしくひよこが温泉を泳いでいく。
 完璧に温泉を楽しむモードへと入ってしまった咲凛は、言ってしまえば温泉の効能である、爆発的に増加する感情を押さえ込めば抑え込むほどに戦闘力が増加するという効能を得られないのだ。

 このままオブリビオンに襲われてしまっては、彼女のみが危ない。
 だが、彼女が今気にしていることは―――。

「ここちょっと熱いのですね。もうちょっと普通の温度のところを探しましょう~」
 ふわふわ飛びながら咲凛は好みの温度の温泉を探す。
 オブリビオン!
 オブリビオンを探して下さい……! とグリモア猟兵の声が聞こえてきそうではあるが、『整って』しまった咲凛には届かない。

 彼女は適温の温泉を探して、ふわふわと湯気の向こうへと飛んでいくのであった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャロル・キャロライン
帝竜の討伐がなったとしても、この世界全てが平和になったわけではない――
そんな当たり前のことを忘れていました

分かりました!
皆様が平和に暮らせるよう、オブリビオンの残党を掃討いたしましょう!

温泉なるものに入った記憶はありませんが、この地のものには心と身体を侵食する力があるという話です
しかし、私はアリスナイト。決してそのようなものに飲み込まれることはありません
私の心の力、見せて差しあげます!

……………………はぁ♡

このような感覚は初めてです
これは皆様にも是非………………はっ!?

この私が屈してしまったというのですか!?
このような危険な場所をそのままにしておくことはできません!

全て蒸発なさい!(UC)



 帝竜戦役は終結し、帝竜ヴァルギリオスは討ち果たされた。
「帝竜の討伐が成ったとしても、この世界全てが平和になったわけではない―――そんな当たり前のことを忘れていました」
 キャロル・キャロライン(光の騎士・f27877)は金色の髪をなびかせ、青い瞳を輝かせながら群竜大陸の一角、冷静と情熱の珊瑚礁を眼下に見下ろしながらうなずく。
 彼女はオブリビオンに滅ぼされた小国の姫。
 だが、今はデッドマンとして蘇った猟兵である。彼女の胸には今、猟兵としての使命が燃えたぎっているのだ。

「わかりました! 皆様が平和に暮らせるよう、オブリビオンの残党を掃討いたしましょう!」
 その決意を胸に、キャロルは意気揚々と温泉地帯に足を踏み入れるのだ。
 デッドマンである彼女の記憶は蘇った際に殆どが喪われてしまっている。それにデッドマンの特性として彼女の体は心も成長が止まっている。
 だからこそ、彼女の瞳に映る光景はいつだって新鮮そのものなのだ。

「温泉なるものに入った記憶はありませんが、この地のものには心と体を侵食する力があるという話です」
 グリモア猟兵から伝えられた情報。
 それはこの一角に滾々と湧き出る温泉、その効能の恐るべき力を伝えるものがった。『整う』という感情。それは多幸感と恍惚感がないまぜになった極楽の如き感覚。
 それが爆発的に増加し、浸かった者たちの心へと染み込んでくるのだ。
「しかし、私はアリスナイト。決して、そのようなものに飲み込まれることはありません。私の心の力、見せて差し上げます!」

 そう、彼女の心は常に世界を護るという意志に満ち溢れている。
 デッドマンとして蘇った後も、それは変わることのない決意として、彼女の胸の内に燦然と輝いているのだ。
 ぴちょん、と足湯程度にも足を踏み入れるしかない一体へとキャロルが入り込んだ瞬間―――。

「……………………はぁ♡」
 なんとも艶めかしい声が響く。
 足先から伝わってくる感覚。なんともいえない多幸感。体を包む恍惚感。そのどれもが抗いがたい。記憶になければ、尚更、この経験は鮮烈に刻まれてしまうかもしれない。
 どれもが初めての経験。
 言葉にして聞いたよりも、ずっと、ずっと……!

「このような感覚は初めてです。これは皆様にもぜひ……はっ!?」
 あまりにも素晴らしい経験。
 嘗てないほどに『整い』かけていたキャロルの意識が既のところで覚醒する。あまりにもあんまりな感覚。これが『整う』……!
 キャロルの背筋を走る冷たい感覚。まさか、まさか! という思いが彼女の胸の内を支配していく。

「この私が屈してしまったというのですか!? このような危険な場所をそのままにしておくことはできません!」
 どちらかというと、私怨の方が多い気がするが、それでも彼女はこの地を危険と判断した。
 あまりにも強すぎる感情に支配される経験がない彼女にとって、この大地の『整う』という感情は未知であり、鮮烈だったのだ。

「全て蒸発なさい!」
 彼女のユーベルコード、デッドマンズ・スパークが炸裂する。膨大な電流は、片腕を代償にすることによって尋常鳴らざる熱量を放ち、温泉を蒸発させる。
 だが、滾々と湧き出る泉である。
 全てを蒸発させることはできない。再び、足元に這い寄るように湧き出る泉。

 あれをまた我慢しなければならない。
 それを思うだけでキャロルは、この戦いがどれだけ厳しいものであるのか、悟ったのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『山賊』

POW   :    山賊斬り
【装備している刃物】が命中した対象を切断する。
SPD   :    つぶて投げ
レベル分の1秒で【石つぶて】を発射できる。
WIZ   :    下賤の雄叫び
【下卑た叫び】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。

イラスト:カツハシ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
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 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵たちが冷静と情熱の珊瑚礁へと足を踏み入れてからしばらくして、オブリビオンたる山賊たちの姿が発見される。
 やはり、ここはオブリビオン残党が身を潜めるには格好の場所なのだろう。
 あちらこちらに山賊たちが散在している。

 だが、彼等は温泉に浸かりっぱなしである。
 そう、オブリビオンと言えど、この地に湧き出る『整う』という感情を溢れさせる効能の前では、ただのぐんにゃりオブリビオンでしかないのだ!

「あ~……戦うとか馬鹿らしいが~」
「でも~……猟兵が着てるし~……」
「戦うしかない、のか~……」

 とまあ、こんな具合にぐんにゃりやる気の欠片も見いだせない。
 だが、それでも山賊たちはのろのろと温泉の中で立ち上がる。あ、上がるという選択肢はないんですね。
 彼等は一様にぐんにゃりしており、普段オブリビオンと対峙している緊張感は皆無である。

 だが、彼等はれっきとしたオブリビオン!
 ここで彼等を打倒せねば、いつまでたっても群竜大陸には平和はやってこない!
 彼等を蹴散らし、この後に控えるオブリビオンを打倒せよ、猟兵―――!
月守・咲凛
私の……邪魔をするのですね?
浸かっていた温泉からフワリと浮かび上がり、ジャキンジャキンと武装ユニットを戦闘モードで起動して戦闘準備完了です。
邪魔者には死を!です!
空中からのチェーンソーとガトリングで容赦なく倒していきます。
これでまたゆっくり温泉に……。
戻ろうとしたら温泉は血の池地獄になっていて入れない状態に。
赤いのです……。入れないのです……。
加速度的に溜まっていくフラストレーションと闘いながらおそうじと入浴を我慢しますが、そこらじゅう飛び回っては敵に八つ当たりアタックを敢行します。



 冷静と情熱の間、そう呼ばれる群竜大陸の一角において、オブリビオンである山賊たちは、温泉に浸かり思う存分に『整う』という感情に支配されていた。
 彼等全てがすでに『整って』おり、山賊らしい己の欲望のままに簒奪するという蛮行を行う者は誰ひとりとしていなかった。
 このサウナ珊瑚の存在する泉は須らく温泉へと早変わりしている。この地へと残党である彼等がやってきた時点で、もはや事件は起こり得なかったかも知れない。

 だが、それでもオブリビオンである以上、彼等を取り除かなければならないのだ。
 ふわりと浸かっていた温泉から浮かび上がるのは、月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)である。
 彼女の浮かび上がった体に武装ユニットが装着されていく。
 彼女は温泉の効能によって爆発的に高められた感情を抑え込むことはしなかった。むしろ、他の猟兵たちが見ていれば、羨ましくてたまらないほどに、たっぷりと温泉を堪能し、『整って』いた。

「私の……邪魔をするのですね?」
 今の彼女にとって、山賊オブリビオンは『整った』という多幸感と恍惚感を邪魔する異物でしかない。
 そんなものに容赦できるほど、彼女の心は寛大ではなかったようだ。戦闘準備の完了した咲凛の姿はいつもの猟兵そのものである。

 山賊たちは、その姿を見上げて、あ~とか、う~とか、そんなだらしない姿を晒すばかりである。
「邪魔者には死を! です!」
 コード・アクセラレーター、彼女のユーベルコードが輝き、武装ユニットにプログラムされている連続攻撃が発動する。
 空中から放たれるチェーンソーとガトリングの雨。
 それらが容赦なく温泉に浸かりっぱなしの山賊たちをうち貫いていく。一度攻撃を開始してしまえば、超高速連続攻撃はプログラムが終了するまで止められない。

 圧倒的な咲凛の火力の前に山賊オブリビオンと言えど、抗うことなどできようはずもななかったのだ。
 その全てが咲凛によって骸の海へと還されると、ようやく彼女は一息ついて、邪魔者のいなくなった温泉へと浸かろうとして……。
「赤いのです……入れないのです……」
 盛大に攻撃した結果であろう。彼女が打倒した山賊たちの……血によって温泉は真赤に染まりきってしまっている。
 さすがにこの温泉に浸かろうとは思えなく成ってしまい、加速度的に咲凛はフラストレーションを溜め込んでいく。

 だが、ここを綺麗に掃除しないことには、領主の猟兵からの苦情が来ても致し方ないことである。
 温泉に浸かりたい、けれど、掃除をしなければならない。
 その相反する感情と葛藤しながら、咲凛は温泉の掃除に勤しむのだ。
 お湯を汲み出し、モップでこすり。ありとあらゆる掃除的行為を行い、彼女は温泉を浄化していく。
 こういう時に都合の良いユーベルコードがあればいいのだが、現実はそうはいかない。
「う~……! こうなったら八つ当たりなのです!」

 掃除を終えた彼女は、フライトユニットで一気に飛び上がる。
 この『整う』という感情とともに抑え込んだフラストレーションは、彼女の戦闘力を望まざると超絶強化させていた。
 このぶつけどころのない感情、その不満を彼女はぶつけるオブリビオンを探して、冷静と情熱の珊瑚礁を飛ぶのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

オーガスト・メルト
別に無理して戦わなくてもいいぞー。その方が俺たちも楽だ。
『…うきゅー』『…うにゃー』(訳:鋼糸外して)
はいはい、文句は帰ってから聞くから。

【POW】連携・アドリブ歓迎
敵が温泉から出ようとしないのなら、こちらはお湯に入らないように少し高い所に陣取ろう。
【八色鋼糸の蜘蛛竜】に炎と雷、毒の属性の鋼糸を生成させて温泉に漬ける。
電撃で身動きを封じ、炎でお湯を熱湯に変え、ついでに毒でダメージも与える。
これだけやっても「整って」しまうのか。凄いな、この温泉。
しかし、俺も拷問趣味はないからなー。
お湯に入れた鋼糸を利用してUC【糸砦】を発動。とっとと山賊たちを倒してしまおう。

ほれ、デイズ、ナイツ、次に行くぞ。



 冷静と情熱の珊瑚礁において、サウナ珊瑚によって泉から温泉へと変えられたお湯は場所によっては様々な感情を爆発的に増加させる。
 今回猟兵たちが向かったのは『整う』という多幸感と恍惚感がないまぜになった感情を増加させる温泉地帯だ。

 そこでは猟兵もオブリビオンも皆平等に、その体に沸き起こる『整う』という感情の前に抑え込むか、それとも流されるままに整ってしまうかの二択であった。
 過去の化身であり、欲望のままに振る舞う山賊オブリビオンたちにとって、この温泉地帯は隠れる以上に、離れがたくなっていたのだ。
 そう、望めば望むだけ、その体に溢れるのは『整った』という多幸感と恍惚感。
「はぁ~……極楽すぎる」
「出たくない……もう俺らは此処に住む」
「整わない人生なんてもうクソくらえだ……絶対出たくない」

 などなど、それはもうオブリビオンに有るまじき姿。いや、ある意味怠惰そのものであるから、正しくオブリビオンであるとも言えるのかも知れないが。
「別に無理して戦わなくてもいいぞー。その方が俺たちも楽だ」
 温泉に浸からぬように高台から見下ろすのは、猟兵であるオーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)。
 彼の知人が、この群竜大陸の一角、冷静と情熱の珊瑚礁の領主である縁で残党オブリビオンの討伐に赴いていたのだが、彼の思う以上に『整う』という感情の凄まじさに温泉に浸からぬようにと、高台を選んだのだ。
『…うきゅー』
『…うにゃー』

 二匹の白と黒の仔竜が恨みがましくオーガストを見て鳴く。その彼等の体には鋼糸が巻き付いている。
 一人と二匹は互いに感覚を共有し、襲い来る『整う』という感情に痛みで対抗しているのだ。
 故に、今回特別翻訳すると、彼等は『訳:鋼糸外して』と鳴いているのだ。
 だが、鋼糸を外すと即座に襲ってくる『整う』という感情に支配されそうになるので、オーガストは未だ外せないのだ。
「はいはい、文句は帰ってから聞くから」
 さらりと彼は二匹の訴えを流す。
 一刻も早く、この地から離れなければ、眼下に見る山賊オブリビオンたちと同じ末路をたどりかねない。

「まあ、特別思い入れがあるっていうわけじゃないから……さっさと済まさせてもらおうか」
 八色鋼糸の蜘蛛竜と呼ばれる鋼糸を生成する手のひらサイズの蜘蛛ロボから放たれる鋼糸がするどく温泉に突き刺さる。
 ん?と山賊オブリビオンたちが異変に気がついたが、『整って』ぐんにゃりしている彼等にとって、蜘蛛の糸など気に留めることもしない。

「ぎゃぁー!? え、電撃!? 電撃なんで!?」
「あばばば! 急に温泉の温度あつっ! あっつい!」
「ぶぶぶぶ……なんだか、向こう側に死んだ親父がががが……」

 などなど、様々な属性の攻撃が加えられることになるのだが、いいのだろうか、これ、とオーガストは思う。
 わりと一方的である。
 だが、それでもオーガストの攻撃以上に爆発的に増加する感情『整う』によって、山賊オブリビオンたちは、恍惚の顔で攻撃を受け続けている。
 その光景は何かとてつもないアレな拷問光景のようであり、見ているオーガスト自身も若干引いていた。
「これだけやっても『整って』しまうのか。すごいな、この温泉……」
 うわぁ。とオーガストは思いながらも、これでは埒が明かないとユーベルコード、糸砦【潜焔】(イトトリデ・センエン)を発動させる。

 それは不可視の炎纏わせた鋼糸が山賊オブリビオンたちを取り囲む。
 もはや逃げ場のない絶対的な領域となった温泉地帯。オーガストの指が鋼糸を弾く。
「しかし、俺も拷問趣味はないからなー……さっさと骸の海へと還してやるよ」
 鋼糸が弾かれ、かすかな音が響いた瞬間、鋼糸が一斉に山賊オブリビオンたちを切断し、霧散させる。
 一瞬の出来事故に山賊オブリビオンたちは何が己の身に起きたのかもわからぬままに骸の海へと帰ることになっただろう。

「ほれ、デイズ、ナイツ、次に行くぞ」
 まだまだオーガストの抑圧された『整う』という感情が解放される時は来ない。未だ見つけられぬ、この地に残るオブリビオン、鷲獅子の姿を求めて、一人と二匹は、冷静と情熱の珊瑚礁を包む湯気の中へと進んでいくのであった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャロル・キャロライン
な、なんで裸なんですか!?

いえ、一見、隙だらけに見えますが、油断はできません
世界には酔ったような動きをする武術もあると聞きます
まずは武具に光の力を込めて結界を作り【UC】、左手の治癒に専念します

左手が治ったならば……左……手?
何も、問題なんて、ない……です、よね?

この地の湧き水には、心と身体を侵食する力があると聞いています
召喚した騎馬に跨り、敵をランスで……どうしました!?
まさか、騎馬さえも……!?

ならば、私が直接参ります!
この地の平和のため、貴方達を倒させ……あっ、くっ、んっ♡

わ、私はかような力に負けません!
覚悟を決めて敵へと近付き、ランスを振るいます!

って、本当に隙だらけじゃないですか!



 温泉とは、タオルをお湯につけることを禁ずる場所が往々にしてある。そういうものなのだ。
 だが、猟兵たちにとっての温泉とは公序良俗に反しないようにと水着着用で入るものである。
 だが、山賊オブリビオンたちは、そういう気遣いとは縁遠い。彼等は普通に全裸で温泉に浸かり、『整い』まくっているのだ。
 湯気であらゆる規制の概念が隠されてはいるのだが、それでも一国の姫であったキャロル・キャロライン(光の騎士・f27877)にとっては免疫のない光景であった。
「な、なんで裸なんですか!?」
 なんでって、それは温泉だから? と言わんばかりに山賊オブリビオンたちはキャロルの前でだらけて、ぐんにゃりとしている。
 戦うべき相手、猟兵が目の前にいるというのに彼等はまるで戦う気配を見せないのだ。
「いえ、一見、隙だらけに見えますが油断はできません。世界には酔ったような動きをする武術も有ると聞きます」

 流石にそれは買い被り過ぎではないだろうか。
 そう思う者は今彼女の近くにはいないし、悲しいかな。ツッコミ不在なのである。
 彼女は微塵の油断もなくユーベルコード無敵城塞によって、超防御モードとなった彼女は自身が全く動けなくなる代わりに無敵になるのだ。
 その間、彼女は武具に光の力を籠めて、先程の冒険で喪った左手の治療に専念するのだ。
「左手が治ったならば……左……手?何も、問題なんて、ない……です、よね?」

 デッドマンであるキャロルは、その特性上、傷や負の記憶は時間の経過とともに消えていく。その弊害が今まさに起こったのだろう。
 彼女にとって、左腕を喪ったという負の記憶は、今完全に消え去ってしまったのだ。
「この地の湧き水には、心と体を侵食する力があると聞いています。さあ、参りましょう!」
 召喚したアリスホースにまたがり、手にしたランスでぐんにゃりとしている山賊オブリビオンを貫こうとして、アリスホースが膝を折る。
 そのままお湯に浸かって、まさに極楽浄土に居るが如き表情でくつろぎ始めたではないか。

「まさか、騎馬さえも……!?」
 そう、まさかのアリスホースですら抗えない温泉の効能。『整う』!
 だが、ここで彼女は諦めない。彼女は世界を守ると誓った猟兵なのだ。その心に、意志に、一切の翳りなどない。
 騎馬が動かないというのならば、自ら赴くのが騎士の務めである。

「ならば、私が直接参ります! この地の平和のため、貴方達を倒させ……あっ、くっ、んっ!」
 ばしゃ!と足を一歩踏み出した瞬間、襲い来る多幸感と恍惚感。
 あまりの衝撃。それは初めて味わったかのような感覚。本来であれば、二度目である。だが、彼女は記憶を一定の期間で消え去ってしまうのだ。
 それ故に、襲い来る『整う』という爆発的な感情に慣れることができないのだ。
 なんという理不尽。不死身のデッドマンであるがゆえの弊害。

 だが、彼女の心の光は、そんな弊害など物ともしない。彼女の心の光は未だ潰えず。
「わ、私はかような力に負けません!」
 彼女の覚悟の前に、温泉の効能など、どれほどの障害となるだろうか。
 耐え難い恍惚感、多幸感、なにするものぞ。彼女の振るった槍は山賊オブリビオンの体を貫く。
 さしたる抵抗もない。え、と思うまもなく、あっという間に骸の海へと帰っていく山賊オブリビオン。

「って、本当に隙だらけじゃないですか!」
 キャロルのツッコミじみた声が冷静と情熱の珊瑚礁にて響き渡る。
 そう、山賊オブリビオンたちは全て『整って』しまっているのだ。その感情に支配された彼等にとって、戦いとは『整う』以上に大切なことなどではない。

 故に、あっさりとキャロルの槍に貫かれて、霧散していくのだ。
 心の決意とは裏腹な、あっさりとした決着に釈然としない物を感じつつ、キャロルは呆然と、しかし襲い来る『整う』という多幸感と恍惚感に抗い続けるのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

セフィリカ・ランブレイ
なんて奴らなの!許せない!
『なにキレてんのよセリカ』
シェル姉…相棒の魔剣は呆れ声

だって!ズルい!
私、この瞬間にも熱を十分に感じて、タオル一枚でいい椅子に座ってクールダウンしたい!整いたい!

誘惑への対抗心は嫉妬の力を源に頑張るしかない!

フワフワしてる奴らなんて直ぐに終わらせてあげる!
【月詠ノ祓】で、纏めて切り伏せる!


『いつもより速くて鋭いのはどうなのかしらね。けど、セリカが奥義持ち出すの、余程不満溜まってんのね』
生殺しだよ本当!
…シェル姉も人モードでなら私の気持ちが分かるんじゃ?
『やめろ。やめなさい』
じゃあせめて刀身をお湯につけてみたりとか」
『や、やめっ?!ふあああっ?!』
どうよ。ふふん!



 冷静と情熱の珊瑚礁。
 そこに潜む残党オブリビオンである山賊を討ち果たしに、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)は進む。
 この温泉地帯において、どうしたって足湯程度にはお湯に浸からなくてはならない。たったそれだけだというのに、今セフィリカを襲っている多幸感

と恍惚感は凄まじいものである。
 片時も気を抜けない。気を抜いた瞬間に、これまで我慢に我慢を重ねてきたもの全てが瓦解し、崩れ去っていく。
 それほどまでに『整う』という感情を爆発的に増加させる、この地の温泉は彼女を苦しめていた。

「あ~……整う~……もう戦いなんて馬鹿らしいんだぜ~……」
「極楽が過ぎる……温泉から出たくない……」
「この世の全てがここにあるといっても過言じゃない~……」

 そして、彼女の目の前で温泉にどっぷり浸かり、『整う』という多幸感と恍惚感に浸っているのは、猟兵たちが探していた残党オブリビオンである山

賊たち。
 彼等は、欲望の塊である。
 そんな彼等が少しでも『整う』という感情を我慢できるわけがないのだ。
「なんて奴らなの! 許せない!」
 セフィリカはその光景を前にして、たいへんご立腹である。もう猫かぶりなんてやってられないと言わんばかりに怒りを顕にした。
『なにキレてんのよセリカ』
 携えた魔剣シェルファのインテリジェンスが呆れ声で彼女を嗜める。だが、セフィリカは、そんな彼女の怒りを嗜める声にかまっていられないほどに

苛立っていた。

 なぜなら。
「だって! ズルい! 私、この瞬間にも熱を十分に感じて、タオル一枚でいい椅子に座ってクールダウンしたい! 整いたい!」
 そう、彼女は我慢している。お陰で戦闘力が増強されてはいるのだが、目の前で山賊オブリビオンたちが、こうも整った姿をさらけ出しているのは我

慢ならない。
 むさ苦しいむくつけき男たちが温泉に浸かっているというだけなのに、今のセフィリカには凄まじい誘惑に思えてならないのだ。

「争いは何も産まないぜ~……お嬢ちゃんもこっちで整っちまいなよ~」
 そんな声が響く。ぐんにゃりふわふわした様子で山賊オブリビオンがセフィリカに声をかける。それが彼女の逆鱗に触れた。
「フワフワしてる奴らなんてすぐ終わらせてあげる! ―――一式」
 脅威的な瞬発力によって、彼女が視認している山賊オブリビオン全てを高速の一閃が捉える。
 ユーベルコード、月詠ノ祓(ツクヨミノハラエ)。それは彼女が爆発的に増加し続ける『整った」という感情を我慢すればするほどに威力が増す。

『いつもより速くて鋭いのはどうなのかしらね。けど、セリカが奥義持ち出すの、余程不満溜まってんのね』
 魔剣シェルファは他人事である。セフィリカの振るう奥義は、彼女のフラストレーションを上乗せしたかのように凄まじい剣速と鋭さでもって、山賊

オブリビオン立ち全てを切り払い、骸の海へと還す。
 いつも以上、と魔剣シェルファが評するのも無理なからぬ程の業の冴えであった。
「生殺しだよ本当! ……シェル姉も人モードでなら私の気持ちわかるんじゃ?」

 それはセフィリカのほんのちょっとのいたずら心であったのかもしれない。
 少しはこの魔剣に今、彼女が感じているフラストレーションを知ってもらっても良いんじゃないかと思ったのだ。
 だからこそ、彼女は魔剣の主として命じようとする。それを察したのか、魔剣シェルファは制止するのだ。
『やめろ。止めなさい』
「じゃあせめて刀身をお湯につけてみたりとか」

 魔剣シェルファの制止は届かない。
 セフィリカにとって、魔剣シェルファは姉でありパートナーである。ならば苦楽を共にするのも当然。
 ぴちょん。
『や、やめっ?! ふあああっ?!』
 魔剣のインテリジェンスでも感じ取れることのできる多幸感と恍惚感。凄まじい感情の爆発。それは魔剣シェルファに新しい扉を開かせることになっ

たかもしれない。

「どうよ。ふふん!」
 してやったりと言う顔でセフィリカが、どや!という顔をする。
 二人の掛け合いは温泉地帯の湯気の向こう側で姦しく響き渡るのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『氷雪の鷲獅子』

POW   :    極寒の風
【両翼】から【自身を中心に凍てつかせる風】を放ち、【耐性や対策のないものは氷結】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    爪による連撃
【飛翔してからの爪による攻撃】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    凍てつく息吹
【氷の息吹】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を凍らせ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:うぶき

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 冷静と情熱の珊瑚礁の空を滑空するように飛来する氷雪の鷲獅子。
 それはオブリビオンでありながら、この温泉地帯より懇々と湧き出る、『整った』という感情を完璧にコントロールしきった存在である。
 今、かのオブリビオンには『整う』という感情は、風に撫でられたものと同じものである。

 大空を舞い上がり、氷に絶対の体制を持つ鷲獅子は優雅に翼を広げ、対峙する猟兵たちを威嚇する。
 逆に猟兵たちは『整った』という感情を押さえ込めば抑え込むほどに戦闘力がましていく。完璧にコントロールした氷雪の鷲獅子と戦うには、十分すぎるほどに戦闘力が強化されているのだ。

 この地に巣食う残党オブリビオン、その一角を討ち果たし、群竜大陸に平和をもたらさなければならない。

 そして最後はきっちりと『整い』たい! そんな個人的な願いも猟兵たちの心には宿っていたかも知れない。
 だが、それも氷雪の鷲獅子を討ち果たした後でなければ味わうことができない。いや、ちょっとさらっと整っていた者もいたが、それはそれ!
 猟兵たちの苦しく厳しい最後の戦いが幕を上げたのだった―――!
月守・咲凛
SPDで戦闘、アドリブ他諸々OK。
おそうじで綺麗になった温泉でゆっくりするのを邪魔するのはあなたですね?
そうですか、ならばあなたは私の敵です!
八つ当たり対象を見付けたので色々なフラストレーションを叩き付けてしまいましょう。
ガトリングで牽制射撃を放ちながら空中戦を挑みます。
遅いのです!反応がにぶいのです!避け方が甘いのです!相手の動きにダメ出しをしながらチェーンソーで斬りつけては一撃離脱で離れ、またガトリングでの牽制に戻ってダメ出ししながら攻撃していきます。
最後は隙を見てテンペスト。全力で斬り付けてそのまま空中で武装ユニットを再装着します。
はやく倒して温泉に入るのです。



 せっかく見つけた『整い』プレイス。
 そこはオブリビオンを倒した際に、それもう真赤に汚れきってしまっていた。その温泉地帯の一角をゴシゴシ一生懸命掃除し、元の綺麗な清流へと戻し終えて一息ついた月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)の耳に聞こえてきたのは―――。

「ケェェェェ―――!!」
 氷雪の鷲獅子と呼ばれるオブリビオンの雄叫びであった。獅子の体に鷲の頭部と前足、それにその巨体を羽ばたかせる翼。
 この群竜大陸に置いて、氷への絶対的な体制を持つがゆえに『整う』という温泉の効能、爆発的感情をコントロールすることに成功した個体である。
 このオブリビオンがいる限り、この地でゆっくり温泉に使って、びばのんする時は訪れないのである!

「おそうじで綺麗になった温泉でゆっくりするのを邪魔するのはあなたですね?」
 ゆらりと咲凛の体が氷雪の鷲獅子へと向き直る。
 空に浮かぶ氷雪の鷲獅子は、そうだと言わんばかりに雄叫びを上げ、その大きな翼でトップを起こし、咲凛の小さな体を吹き飛ばさん勢いで飛びかかる。
 その鋭い爪は鋼鉄すらも安々と切り裂く一撃。

 だが、咲凛はその一撃を華麗に空へと舞い上がるように飛び上がり躱す。
「そうですか。ならば、あなたは私の敵です!」
 今咲凛の胸の内を締めるのは、ゆっくりと温泉に使って極楽浄土の如き恍惚感と多幸感に包まれることである。それを邪魔するオブリビオンは、何者であろうと許せない。
 それに戦いとなれば、また温泉のお湯が汚れてしまうではないか!
 ほぼ八つ当たりな感情では有るが、彼女の心の内に溜まったフラストレーションをぶつけるには最高の相手であったのかもしれない。

 ガトリングの牽制射撃が鷲獅子の空中機動を阻む。ばら撒かれる銃弾の数は途方も無い。
 火線を躱し、鋭い爪の一撃を放つ氷雪の鷲獅子。その一撃は整いたいという感情を抑え込んだ咲凛にとってはあまりにも遅い一撃であった。
「遅いのです! 反応が鈍いのです! 避けた方が甘いのです!」
 逐一、咲凛は氷雪の鷲獅子の動きにダメ出しを出しながら、ビームチェーンソーでの一撃を持って切りつけ、一撃離脱を繰り返す。

 本来であれば、その戦法こそが氷雪の鷲獅子の専売特許のようなものであったはずだ。だが、温泉の効能を我慢することに寄って高められた咲凛の戦闘力は、それを凌駕するのだ。
「アーマーフルパージ、シフト【テンペスト】!一気に決めます!」
 彼女のユーベルコード、ユニット・シフト【テンペスト】(アラシトマウツルギ)が発動する。
 彼女の体を覆っていた装甲、それらが一気にパージされ分解されていく。一度分かたれた装甲は、次々と直結し彼女の手に強力な武装ユニットとして再び握られる。
 それはビームサーベル。
 その束ねられた出力の熱線はどんなものでも容易く切り払うだろう。

「―――はぁっ!」
 装甲をパージすることによって凄まじい速度を得た咲凛の放つビームサーベルの一撃は氷雪の鷲獅子の氷で覆った防御の鎧すらも切り裂いて、癒えぬ傷を与える。
 空中で切り結び、咲凛の体が地面へ激突すると思われた瞬間、ユーベルコードに寄ってパージした装甲が再び装着され、空へと舞い飛ぶ。
 互いに得意分野である空中戦を制したのは、咲凛であった。
 ビームサーベルの一撃で持って失墜した氷雪の鷲獅子を眼下に見据えながら、咲凛は、空中戦を制した己の力に酔うでもなく―――。

「速く倒して温泉に入るのです……!」
 一刻も早く温泉に使って、ぐんにゃりしたかったのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

オーガスト・メルト
『うきゅぎゅぎゅぎゅ』『うにゃががが』
…あー、なんかそろそろ我慢の限界っぽいか?
そうか、まぁゴール(鷲獅子)も見えたしな…解放するか!

【POW】連携・アドリブ歓迎
問答は無用!UC【真竜顕現】でデイズとナイツを真の姿にして襲いかからせる。
頑張れ、デイズ、ナイツ!そいつを倒せばミッション終了だ。
このイカれた温泉地から脱出して好きなだけ「整う」ぞ。
『うきゅるる?』『うにゃらら?』
ん?ここの温泉に入るのじゃないのかだと?
…そんな事したら、さっきの山賊共みたいに死ぬまで温泉から出られなくなるだろうが。
領主の所の安全な温泉に行くんだよ。
あそこなら入り放題だ!『うきゅるるー!』『うにゃららー!』



 冷静と情熱の珊瑚礁に広がる温泉地帯。
 その一角にある温泉の効能、『整う』という感情を爆発的に増加させる力は凄まじいものがあった。
 ここに来て以来、痛みで一人と二匹……オーガスト・メルト(竜喰らいの末裔・f03147)と子竜であるデイズとナイツは、その爆発的な増加を見せる『整う』という多幸感と恍惚感に抗い続けていた。
 その甲斐もあって、彼等の戦闘力は今や凄まじい上昇を見せている。
 そして、目の前には猟兵の攻撃によって失墜させられた氷雪の鷲獅子。傷ついてはいるものの、未だ健在なる力は見てわかる。
 かの氷雪の鷲獅子もまた、この地にある『整う』という感情を完全にコントロールしているがゆえに、オーガストが感じる圧に侮ることなどできようはずもない。

 だが、それ以上に深刻なのは―――。
『うきゅぎゅぎゅぎゅ』
『うにゃががが』
 そうナイツとデイズの二匹である。彼等もまたオーガストと同様に鋼糸による自傷によって、必死に『整う』という感情にあらがっていたのだが……。
「……あー、なんかそろそろ我慢の限界っぽいか? そうか、まぁゴールも見えたしな……開放するか!」
 もはや、この段階に来て問答は無用である。

「デイズ、ナイツ、真竜顕現だ!」
 彼のユーベルコード、真竜顕現(シンリュウ・ケンゲン)。それは宝石である『竜焔石』に籠めた魔力を代償にした、子竜であるナイツとデイズの封印を解くユーベルコードである。
 その秘められたる力を魔力を代償にして開放される。
 陽白竜王デイズと月黒竜帝ナイツの姿が、今群竜大陸に顕現し、その力の一端を発露させる。

「ケェェェェ―――!」
 氷雪の鷲獅子もまた負けじと翼を羽ばたかせ、全てを凍てつかせる風を巻き起こす。その氷雪の嵐の如き風がデイズとナイツを包み込む。
 彼等の体が氷結し、氷に覆われる。
 如何に魔力を開放し、真なる姿を開放したとしても、この地において感情をコントロールした氷雪の鷲獅子に敵う者は―――。

「頑張れ、デイズ、ナイツ! そいつを倒せばミッション終了だ。このイカれた温泉地から脱出して、好きなだけ『整う』ぞ」
 オーガストは何も慌てていなかった。
 絶対零度の氷雪が彼等の体を凍りつかせようとも、何も心配することはない。何故ならオーガストとデイズ、ナイツの間には感覚が共有されている。
 それはこの地に置いて、我慢すればするほどに戦闘力が上がる効果をも相乗的に蓄積せているのだ。
 故に!
『うきゅるる?』
『うにゃらら?』
 涼しい風であったけど、何かしたか?と言わんばかりの二匹。
 そして、二匹の竜は、体を覆う氷結を一気に粉砕し、翼を広げ咆哮する。氷結の風など何するものぞ。彼等は一気に間合いを詰め、その爪と牙とでもって氷雪の鷲獅子の体へと消えぬ傷を刻み込む。

 その圧倒的な戦闘力は、まさに竜王と竜帝そのものである。
 鷲と獅子の間の子が敵う理屈などあろうはずもない。盛大に吹き飛ばされた氷雪の鷲獅子を尻目に、オーガストは手をのばす。
 ユーベルコードの効果が切れ、ナイツとデイズはいつもどおりのサイズに元通り。可愛らしい姿になってオーガストへとすり寄ってくるのだ。
「ん?ここの温泉に入るのじゃないのかだと?」
 オーガストは苦笑する。
 この温泉も確かに心地よいものであろうし、恍惚感と多幸感が尋常ではないのだろうが、あんまりにもきつすぎる。
「過ぎたるは及ばざるが如しって言うだろう。そんな事したら、さっきの山賊共みたいに死ぬまで温泉から出られなく成るだろうが」

 ああー……と言った体でデイズとナイツが鳴く。
 確かに。あんな風になってしまったら、もう一歩も動けなくなることは明白であった。
「だから、領主のところの安全な温泉に行くんだよ。あそこなら入り放題だ!」
 知人の猟兵、この冷静と情熱の珊瑚礁の領主の元へ急ごう、と吹き飛ばした氷雪の鷲獅子のことなど忘れて一人と二匹は駆け出す。

『うきゅるるー!』
『うにゃららー!』
 二匹の愛らしい鳴き声が、冷静と情熱の珊瑚礁に元気良く響くのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャロル・キャロライン
あの鷲獅子が、この地を支配するオブリビオン!
あれを倒せば、この地に平和をもたらせるのですね。
そうすれば、足元から私を侵さんとするこの湧き湯のこともきちんと調べることができます!

エクウス(馬)は今回は役に立ちそうにありませんね。
ならば、まずはアルクス(弓)を召喚。分裂する矢を放って翼を貫き、飛行能力を奪います。
敵を落とすことができたならば、UCを発動!
氷耐性を持つ鎧を身に纏り、武具に光を宿して突撃!
ハスタス(槍)を突き立てた後、グラディオス(剣)で薙ぎ払います!

敵が極寒の風を放ってきたならば…………そうです! 一旦、水中に潜ってやり過ごし……あ、この鎧を着ているのでしたら大丈夫でし……はぁ♡



 行き過ぎた感情は時に人の心を脅かす毒となるだろう。
 冷静と情熱の珊瑚礁、その一角にある『整う』という感情を爆発的に増加させる温泉は、浸かる者に極上の恍惚感と多幸感を与える。
 だが、この地に潜んだオブリビオンたち……山賊たちを見ればわかるだろう。『整う』ことによって得た多幸感と恍惚感故に、彼等はあらゆる面においてぐんにゃりしてしまっている。
 他のことなど何一つできず、ただただ滅ぼし合う関係にある猟兵を前にしても戦うという選択肢を選べないでいた。

 だが、猟兵たちの攻撃にさらされた、この地の特殊な効能をコントロールするオブリビオン、氷雪の鷲獅子は違う。
 完璧に『整う』という感情をコントロールしているからこそ、増加した戦闘力を獲得し猟兵たちを圧倒する……はずだった。
 猟兵たちもまた、この『整う』という感情を抑え込み、同じ様に戦闘力を底上げしていたのだ。
「あの鷲獅子が、この地を支配するオブリビオン!」
 キャロル・キャロライン(白銀の騎士・f27877)の視線が捉えるのは、猟兵の攻撃を受け傷つきながらも空へと舞い上がった氷雪の鷲獅子。
 その姿は未だ健在であることを誇示するように両翼を広げて、キャロルを威嚇している。

「あれを倒せば、この地に平和がもたらせるのですね……そうすれば、足元から私を侵さんとするこの湧き湯のことも、きちんと調べることができます!」
 キャロルの手には美しき白銀の弓矢アルクス。彼女の想像力に応じて無限に進化する恐るべき弓である。
 今回、アリスホースであるエクウスは足湯に使ってしまって、ぐんにゃりしてしまい役に立たないと判断してキャロルは弓矢で氷雪の鷲獅子と対峙することを決めたのだ。

「ケェェェ―――!!」
 両翼が羽ばたく。
 凍てつく風を放つつもりなのだとキャロルは、それをさせまいと弓矢を射掛ける。その弓矢は過たず両翼を貫き、氷雪の鷲獅子を失墜させる。
 そこまでくればキャロルの領分である。
 ユーベルコード、アリスナイト・イマジネイションが発動し、無敵の戦闘鎧が彼女の体を覆う。それは文字通り無敵である。
 どれだけ苦し紛れな氷雪の突風を放とうとも、彼女の鎧はすでに氷耐性を獲得し、その攻撃を防ぐ。
 彼女の心の光を宿した白銀の槍ハスタスが失墜した氷雪の鷲獅子の体を貫き、振るう爪を白銀の剣グラディオスで薙ぎ払う。

 デッドマンでありながらアリスナイトでもある彼女にとって、己の想像力が高まれば高まるほど無限の力を発揮する。
 このまま何事もなければ彼女の勝利で幕を閉じることだろう。そう、何事もなければ―――。

「なかなかしぶといですね! ですが私の鎧には―――……あら、なんでしたっけ?」
 そう彼女はデッドマン。その特性により彼女の記憶は時としてリセットされてしまう。彼女の鎧は疑念を感じない限り、その無敵の力を発揮し続ける。
 そして、彼女はここぞというところで忘れてしまったのだ。
 己の鎧が氷耐性を持っていることを。

「クェェェ!」
 それは苦し紛れに放った両翼の羽ばたきだったのだろう。氷雪の鷲獅子が放った凍てつく風。
 それに遅れを取る彼女ではない。そう、氷耐性を持つことを忘れた彼女は、こともあろうに……。
「極寒の風……! ならば……そうです! 一旦、水中に潜ってやり過ごし……」
 あ、でもこの鎧を着ているのだったら大丈夫です、と自信満々でお湯の中に潜って、凍てつく風をやり過ごすキャロル。
 だが、『整う』という感情を爆発的に増加させるお湯に頭までどっぷりと浸かった彼女の心に到来するのは、それこそ、足湯に浸かる程度では済まされないほどの、圧倒的な感情の濁流。

 多幸感、恍惚感、もう何がなんだかわけのわからなくなるほどの本流。
 頭の中心まで見込んでくる感情に流され、ぶくぶくと温泉に沈むキャロル。いつまでたっても上がってこないキャロルに氷雪の鷲獅子は訝しみながらも、傷ついた体に鞭打って飛び去り、離脱する。
 それはお互いにとって良いタイミングであったのかもしれない。

 ざぱ、と温泉から上がるキャロルが膝を付き、肩で息をする。
 圧倒的な多幸感。恍惚感が頬を染め、彼女はただ、吐息を吐き出すことしかできなかった。けれど、氷雪の鷲獅子に多大なる打撃を与えたことは事実。
 他の猟兵達に託すしかないが……それでもキャロルは満足げに息を吐き出すのだった。

「……はぁ 極楽とはこのことなのですね……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

大町・詩乃
感情を抑え込むのに時間が掛かり、遅れてしまいましたが、私も参戦致します!

鷲獅子さんの【凍てつかせる風】は、私が放つ【衝撃波】で相殺した上で、舞う氷を【念動力】で遠くに【吹き飛ばし】で対応。

その上で、煌月に【神罰・炎の属性攻撃】を宿して鷲獅子さんを【なぎ払い】ます。
「温泉はみんなで楽しむ為のものです。独り占めしたり、入力したい人を襲ったりしてはいけません!なのでここでお仕置きいたします!」
と頑張って戦います。

鷲獅子さんが空に退避するなら、「逃がしません!」と【風の属性攻撃・全力魔法・高速詠唱】で竜巻を発生させて鷲獅子さんを巻き込み、風で斬り裂きます!

任務達成すれば、温泉で至福の時を過ごしますよ♪



 群竜大陸、冷静と情熱の珊瑚礁の一角に氷雪の鷲獅子が飛ぶ。
 その姿はすでに猟兵達によって刻まれた傷跡が痛々しく残っており、回復しきれないままに地上へと失墜するような勢いで着地する。
「ケェェ―――ッ!」
 だが、それでもまだ、この地を支配しようとするオブリビオンの本能的欲求が薄まることはない。『整う』という多幸感、恍惚感のないまぜになった感情を漸く、コントロールできるようになったのだ。
 もっと力を。
 それは獣の本能の如き欲望の高まりであったのかも知れない。けたたましく吠える姿は、まさに欲望の権化。

 だが、そんな傷つき逃げ去ろうとする氷雪の鷲獅子の前に立ちふさがるのは、やはり猟兵である。
「感情を抑え込むのに時間がかかり、遅れてしまいましたが、私も……!」
 今まで、この温泉が放つ爆発的に増幅させられた『整う』という感情に翻弄されていた大町・詩乃(春風駘蕩・f17458)の姿があった。
 肩で息をついているのは、氷雪の鷲獅子を逃さぬと追いすがっただけではない。そう、彼女もまた、やっとの想いで、この地の温泉が放つ『整う』という感情を完璧にコントロールしたのだ。

 我慢すればするほどに戦闘力が増加する。
 その特性のままに今、詩乃の戦闘力は極限まで高められていた。私はできる子なのです、と言っていたことは伊達ではないのだ。
「クェェェェェ―――!!!」
 怒りに震えるように大きく息を吸い込む氷雪の鷲獅子。そして、一気に放たれるは凍てつく息吹。
 広範囲に広がる全てを凍らせる息吹は、詩乃を巻き込んで周囲の地形を凍りつかせる。
 だが、猟兵である詩乃は彼女の神力が宿るオリハルコンの刃を持つ、煌月を振るって放つ衝撃波によって凍てつく息吹を全て打ち払っていた。
 さらに続く念動力が衝撃波によって舞った氷をを吹き飛ばし、氷の破片すら彼女の身に降り注ぐことはなかった。

「温泉はみんなで楽しむ為のものです。独り占めしたり、入浴したい人を襲ったりしてはいけません!」
 詩乃の構える煌月が神力を受けて炎の神罰の力を宿す。その手が薙刀を振り回し、構えると周囲を凍てつかせていた氷が全て解けて消える。
 これこそが彼女が神たる所以。
 整って、ぐんにゃりしそうになっていた彼女はもうどこにもいなかった。

「なので、ここでお仕置きいたします!」
 その気迫は氷雪の鷲獅子をして後退させる。その力は今や、完全に感情をコントロールした氷雪の鷲獅子よりも遥かに上である。
 獣の本能で空へと飛び退き、逃げようとする。しかし、それをさせるほど詩乃も甘くはないのだ。
「逃しません!」
 高速詠唱に寄って放たれた全力の風の属性攻撃……竜巻が発生し、氷雪の鷲獅子は風に煽られ、風の刃に切り裂かれながら失墜する。

 だが、まだ大地に失墜はできない。竜巻がそれをさせないのだ。どこにも移動させず、逃げさせず、その体を竜巻の中に捕らえているのだ。
「―――お仕置きです! 良い子になって戻ってくるまで、何度だって私が骸の海へ還してさしあげます!」
 振るう煌月の刃が、一刀の元に氷雪の鷲獅子の体を両断する。
 竜巻の中で散り散りとなって霧散し、骸の海へと還っていく氷雪の鷲獅子を見やりながら、詩乃は華麗に着地する。

 これにて、冷静と情熱の珊瑚礁を騒がせた氷雪の鷲獅子は討たれた。
 後は―――。

「はぁ~……! なんと至福な時なのでしょう……♪ こんなに整ってしまって良いのでしょうか……!」
 詩乃は自分へのご褒美と言わんばかりに、温泉にしっかり浸かり体を温め、次なる戦いへの英気を養うのであった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月22日


挿絵イラスト