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太陽の道標と『巨人の国』

#アリスラビリンス #猟書家

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#猟書家


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●猟書家
「わっしょい! わっしょい! わっせろーい!」
 不思議の国の住人たちは今日も元気に不思議の国を整備する。もうすぐ夏到来である。だからか、ねじり鉢巻に法被、巨大うちわに神輿と言った具合に、様々な動物のぬいぐるみたちが一生懸命アリスを迎える準備を始めていたのだ。

 そんな中、彼等は突然現れた。
 どこからともなく、音もなく、気配もなく。気がついたら、いつのまにか其処に居た。
 黒尽くめの紳士淑女は丁寧で綺麗なお辞儀を不思議の国の住人たち……愉快な仲間たちにする。
 その仕草は、あまりにも丁寧で、美しかったせいか、愉快な仲間たちは逆に、こちらも頭を下げねばと律儀にお辞儀を返した。
「お初目にかかります……我等は『猟書家(ビブリオマニア)』……」
 黒尽くめの紳士淑女の一人が手にした本を開く。

 瞬間、不思議の国の住人たちは全て『見たことのない別の世界』へと放り込まれていた。
「なんだなんだなんなんだー!?」
 愉快な仲間たちは戸惑いながら、その放り込まれた世界を見上げる。
 どこか実体を感じない国。自分たちが整備していた国ではないどこか別の国。空に浮かぶのは太陽であるが、それもどこか実体を感じさせない書き割りに描いたような太陽だった。
「んんー? あの太陽変だぞ変だぞ! 矢印が書いてる! それにページ数も!」
 愉快な仲間たちが見上げていた太陽には、矢印と数字が書いてあった。
 それがページ数だと分かったのは、徐々に矢印方向に動くにつれて数字が変化していくから。

「あれれ……なんだか疲れてきちゃた……」
 中にはぐったりし始める愉快な仲間たちがいる。どうしたことかと、他の仲間たちが駆け寄ってくる。そうすると駆け寄ってきた愉快な仲間たちもまた疲れたようにへとへとになってしまうのだ。
「これ、太陽の矢印と別方向に向かうと……疲れるんじゃ……」
 実際そのとおりであった。
 彼等は太陽に描かれた矢印と同じ方向に向かえば、疲れないことを知る。そして、矢印方向に進めば、どんどん数字が大きくなっていく。

「まさか、僕たち……本の世界に来ちゃってるー!?」

●擬態
 動物ぬいぐるみの愉快な仲間たちが、本の世界に放り込まれて大慌てしている頃、それをみつめる者たちがいた。
 そう、彼等が愉快な仲間たちであるというのならば、オウガが存在するのもまた然りである。
「クスクス……あんなに慌てちゃってみっともないね。私なんかすぐにこの世界のこと、わかっちゃったのに!」
 クマのぬいぐるみと頭巾を被った少女の姿をしたオウガが嗤う。
 彼女はこの本の世界の特性をいち早く理解し、順応していた。即座に取った行動は、この世界に同じく存在しているオウガたちの掌握。

 ひまわりに擬態していた植物型オウガ、ミミクリープラントの支配を掌握し、彼等の持つひまわりの愉快な仲間たちに擬態する能力で持って、本の世界に放り込まれた愉快な仲間たちを、完全なる本の世界の住人に変えようと企んだのだ。
「おっと、うかうかしてられないや。すぐに猟兵が駆けつけてくるだろうから……うふふ、でも、この巨大な国で無事に本の世界から逃げられるかな? うふふ、絶対絶対猟兵さんたちも本の世界の住人にしてあげるんだから!」
 無邪気に嗤う笑顔は、歪なものであった。
 それは全てを手に入れないと気の済まない、癇癪じみた子供の笑顔。オウガ、『クマずきんちゃん』は、何もかもが巨大な国に潜みながら、猟兵たちの到来を待ちわびるのだった―――。

●小さな大冒険
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちに頭を下げて出迎えるのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)だった。
 彼女はいつものように微笑みながら、集まってくれた猟兵達に礼を述べる。
「お集まりいただきありがとうございます。今回の事件はアリスラビリンス。不思議の国が繋がってできた奇妙な複合世界での事件になります」
 そう言ってナイアルテは、少し考えるような素振りを見せてから、集まった猟兵達に言葉を発する。

「みなさんは、猟書家という存在についてご存知でしょうか? つい最近からアリスラビリンスにおいて存在を確認されるようになった正体不明の黒尽くめの紳士淑女なのです。今回の事件、アリスラビリンスの不思議な国の住人、愉快な仲間たちが彼等の持つ本の世界に取り込まれてしまったのです。彼等が悪意あるオウガによって『本の世界の住人』になってしまう前に救出していただきたいのです」
 ナイアルテが言うには、猟書家という謎の存在によって不思議区の国より愉快な仲間たちが本の中へ放り込まれてしまっているのだという。
 彼等が完全に本の世界の住人となってしまえば、不思議の国を管理整備している愉快な仲間たちは戻らず、荒廃してしまうことは想像に難くないだろう。

「みなさんは不思議の国へと転移しますが、同時に本の世界へと転移してしまうのです。後から訪れた者たちも同様に取り込まれてしまうようですね」
 本の世界はどこか実体を感じさせない国であり、空に浮かぶ太陽に『矢印』と『数字』……『ページ数』が書かれているのだという。
 矢印方向に向かえば、ページ数が増えていく。矢印方向に逆らえば急速に生命力を失い、本の世界の住人になってしまうのだという。

「猟書家も、本の存在も何もわかりません。ですが、取り込まれてしまった愉快な仲間たちは救わなければなりません……勿論、本の中は危険で溢れています」
 そう、今回猟兵達が飛び込むのは巨人の国という本である。
 自分たちと愉快な仲間たち以外のものは全て巨人サイズとなっているのだ。さらに、巨人たちは小さな自分たちを捕まえようとする。
 それを交わしつつ、愉快な仲間たちに紛れ込んだオウガを打倒し、彼等を操るボスのオウガを倒さなければならない。

「オウガは愉快な仲間たちに擬態しています。彼等が本性を表したら、即座に撃破してください。全てのオウガを打ち倒せば、愉快な仲間たちと共に本の外へ生還できるでしょう」
 ナイアルテは未知なる世界へと猟兵たちを送り出すことに躊躇していたが、それでも猟兵たちならばと送り出す。
 彼等しか頼ることはできない。他の誰でもできることではないのだ。
 故にナイアルテは再び頭を下げ、どうか愉快な仲間たちを救ってくださいと願うのだった―――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアリスラビリンスでの事件となります。猟書家と呼ばれる存在によって本の世界へと放り込まれてしまった愉快な仲間たちを救いましょう。

●第一章
 冒険です。
 オープニングの通り、本の中へと転移したところからはじまります。太陽に描かれた矢印方向に向かって冒険するとページ数がぐんぐん進みます。
 みなさんは、本のタイトル「巨人の国」の世界である、何もかも巨人のサイズの世界を巨人に見つからないように進まねばなりません。
 時折、謎のナレーションが聞こえますが、それ以上のことはありません。

●第二章
 集団戦です。「戦闘番地」と書かれたページに、愉快な仲間たちに擬態していたオウガの群体が現れます。
 そのオウガの群体を全て倒すまで様々なページ、情景を渡り歩きながら戦闘することになります。

●第三章
 ボス戦です。さらに愉快な仲間たちに巧妙に擬態していた強力なオウガが現れます。
 このオウガは「本の特性」をよく理解しており、通常のユーベルコードの他に「外から来た者達を矢印以外の方向に投げ飛ばそうと」します。
 これに対抗しつつ、ボスのオウガを打倒しましょう。

 ※またオウガたちは矢印以外の方向に進んでも平気なようです。

 愉快な仲間たちを救い、オウガを撃破する本の世界の冒険のシナリオです。
 メルヘンな雰囲気でありながら、愉快な仲間たちの時に素っ頓狂な言動や行動散りばめられた本の世界の冒険。彼等と共に無事生還しましょう。
 皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 冒険 『小さな小さな大冒険!』

POW   :    物陰に隠れながら、素早く通り抜ける

SPD   :    何かに擬態しながら、気付かれないように進む

WIZ   :    愉快な仲間達を探して情報収集。協力を求める

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ひゃ~……でっか! えぇ……ここ通り抜けていかないといけないの?」
 猫、犬、虎、カバ、象……様々な動物のぬいぐるみの姿をした愉快な仲間たちが困惑した様子で『本の中の世界』に広がる巨人の国を見上げる。
 街中事態はメルヘンな建物が立ち並ぶが、そのサイズが見上げても見上げても天を衝くとしか言いようがないほどの大きさだった。

 さらには巨人が闊歩しており、彼等に見つかってしまえば……。
「あ、あわわわ……これはぱっくりちょと頭からいただかれてしまうやつでは……!」
 そう心配に成るのも致し方ないことだった。
 そんな愉快な仲間たちが右往左往している中、猟兵たちもまた同じく、本の中の世界……巨人の国へと転移してくるであった―――。
御園・桜花
「一人で進むのは怖くても、仲間がいれば安心でしょう?」

蜜蜂に
「もしも移動中に誰かが見つかってしまったら。見つけたオウガの顔の回りを飛び回って、気を逸らせて下さいね」
物陰に隠れたままUC「蜜蜂の召喚」使用
隠れて進んでいけそうなルートと周囲の愉快な仲間達と巨人オウガの居場所を探って貰う
その後、周囲の愉快な仲間達を隠れられそうな場所まで迎えに行く
次の指示場所までの隠れていけそうなルートを見つけたら、見つけた愉快な仲間達を2~3人で1グループにして次の場所までのルートと進み方を教えて送り出す
その際蜜蜂も一匹一緒につける
全員を次の場所まで送り出せたら自分も移動
これを繰り返して前進

「皆で帰りましょうね」



 グリモア猟兵に転移された世界に降り立った御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)の第一の感想は、どこか実体がない、というものであった。
 書割のような空。浮かぶ太陽には矢印とページ数。
 何もかもが偽物のような雰囲気。確かに実感できる。ここが『本の中の世界』であると。
 彼女が転移した時、彼女の周辺には動物のぬいぐるみの姿をした愉快な仲間たちがいた。
 彼等は一斉に猟兵である桜花を認め、駆け寄ってきたのだ。
「わー! わー! ありがたやー! 助けに来てくれた人だー!」
 わらわらと桜花の足元に駆け寄ってくる姿は可愛らしいが、彼等の不安を現すように体が震えていたのを見て、桜花は身をかがめる。
「もう安心してください。ここよりは、巨人の国。見つからないように進んで行きましょう」
 はっ、と愉快な仲間たちの一団が両手を口元に持っていって、口をつぐむ。コクコクとうなずきを返し、桜花は満足そうに微笑んでから、ユーベルコード、蜜蜂の召喚(ミツバチノショウカン)を発動する。

「おいで蜜蜂、花の蜜をあげましょう。私の代わりに追い駆けて、全てを見て聞いてくれるなら」
 彼女のユーベルコードに寄って召喚された蜜蜂は彼女と五感を共有する。
 さらには、それは極めて発見され難いのだ。この蜜蜂であるのなら、愉快な仲間たちを無事に隠れて進むことのできるルートを探せる。

「一人で進むのは怖くても、仲間がいれば安心でしょう?」
 愉快な仲間たち数人を一グループにして桜花は蜜蜂が見つけた隠れて進めるルートを移動させようとしているのだ。
 確かに大所帯で進めば巨人に発見される可能性も高くなるだろう。
 愉快な仲間たちも2~3人で行動すれば目立ちにくく、彼女の周辺に居た一団も数回で進み終えることだろう。
「……もしも移動中に誰かが見つかってしまったら。見つけたオウガの顔の当たりを飛び回って、気を逸らせて下さいね」
 蜜蜂にそう頼みながら、愉快な仲間たちは、おっかなびっくりであるが身長に巨人の国を進んでいく。

 幸いに誰かが見つかることはなく、滞りなく太陽に記されたページ数は推移しているようだった。
 あの太陽が何を意味するのか、それはまだわからない。
 けれど、桜花と愉快な仲間たちは徐々に巨人の国を踏破していく。時に隠れ、時に駆け抜けて。
 それは物語のようであり、まさに桜花は、この『本の世界』における水先案内人のようであった。

『こうして、彼等は無事に巨人の国を抜けましたとさ……さあ、次なるは―――』

 桜花たちの一団が巨人の国を駆け抜けた時、ナレーションのように見知らぬ声が響き渡る。
 謎の声。
 これが一体何を示すのか。わからぬままに桜花は次なるページに控える情景を目の当たりにするのであった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

セルマ・エンフィールド
猟書家というのもオウガのようですが、愉快な仲間たちやアリスをただ食べるのが目的ではないのでしょうか? そちらも気になりますが、まずは彼らを助けてからですね。

こちらを妨害することのみを考えれば矢印とは逆方向に出口を設定するのですが、どうもそういうわけではないようですね。
建物の陰になりやすい路地を通り、【絶望の福音】の予知じみた第六感で巨人との遭遇を避けながら愉快な仲間達を先導し矢印の示す向きに忍び足で進みます。

矢印の示す進行方向上に巨人がいた場合に備えてドローン「ペレグリーネ」も準備しておきましょう、必要があればペレグリーネで巨人の気を逸らした隙に愉快な仲間たちと見つからないよう駆け抜けます。



 書割のような世界が広がる『本の中の世界』。
 見上げれば太陽があり、特定の方向に矢印を示している。それに数字。なぜだかわからないが、あれがページ数なのだと直感的にわかるのだ。
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)が、グリモア猟兵によって複合世界であるアリスラビリンス、その不思議の国へと降り立った瞬間、彼女もまた『本の中の世界』へと放り込まれてしまった。

「猟書家というのもオウガのようですが、愉快な仲間たちやアリスをただ食べるのが目的ではないのでしょうか?」
 疑問は次から次に湧き上がってくる。そもそも猟兵たちにとって猟書家事態が初めて遭遇する存在なのだ。
 未だ目的も何者かであるのかもわからぬ者たちを考える前に―――。
「わー! 猟兵さんだー! 助けに来てくれたんだー!」
 わらわらと本の中へと放り込まれてしまったセルマの元へと同じく本の中に放り込まれた愉快な仲間たちの一団が集まってくる。

 様々な動物のぬいぐるみの姿をした彼等が、セルマの足元で困ったように集まってくるのだ。
「……気にはなりますが、まずは彼等を助けてからですね」
 さて、とセルマが太陽の示す方角を見やる。進めば情景が変わっていくのだ。

『―――これより向かうは巨人の国。巨大なる建造物。巨大なる人……』

 ナレーションの如き謎の声が響く。
 ひぇ、と愉快な仲間たちが怯えるも、セルマは心配ないとなだめる。
 もしも、こちらを妨害する意図があるのだとすれば、矢印と逆方向に出口を瀬底するものであるが、どうにもそういうわけではないようだった。
 セルマの瞳が見やる方角には巨大な建物ばかりである。そこを闊歩する巨人たちに目をつけられてはいけない。
「ひぇー……あんな大きな人に見つかったら、頭からまるかじりどころか、ぱっくりちょと食べられてしまうー!」

 愉快な仲間たちの嘆きも最もである。
 だが、セルマはこともなげに言うのだ。
「大丈夫です。何も恐れることなんてありませんから……さ、皆さん、私についてきてください」
 彼女に先立って、索敵を行うドローン、ペレグリーネが飛ぶ。
 もしも、巨人に気取られたとしても、ペレグリーネが即座に反応してくれるだろう。

 「ぬきさし……さしあし……しのびあしー……」
 愉快な仲間たちはどこまで行ってもコミカルである。セルマの先導の元、彼等はちょこちょこと彼女の後を追う。
 偵察を行ってくれるドローン、ペレグリーネの性能もあるのだろうが、セルマは何故、こんなにも的確に隠れて進むことができるのだろう。
 それは彼女のユーベルコード、絶望の福音の効果である。
 それは、まるで10秒先の未来を見てきたかのように、予知じみた第六感で巨人との遭遇を避け続けているのだ。
 矢印方向に進めば進むほどに情景が変化していく。
 それは避けようと思っても避けられない決定的な遭遇であったはずだ。だが、セルマのユーベルコードと第六感によって、尽くが躱され続けていた。

「はえー……すっご。猟兵さんはすごいねー……」
「言ったでしょう? 何も恐れることはないと」
 セルマはそう言いながら、ジリジリと迫る気配を感じていた。それは彼女が第六感を持っているからに他ならぬ感覚。

『こうして、彼等は無事に巨人の国を抜けましたとさ……さあ、次なるは―――』

 再びナレーションのような謎の声が響き渡る。
 ざわざわと肌が泡立つ。来る。セルマは小さくそう呟いた瞬間、目の前の情景が一変する。

『―――戦闘番地』

 戦いの気配が、セルマの体を駆け抜けたのだった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

緋縅・善蔵
「小さな小さな大冒険……って、他がデカ過ぎるんじゃ!」
まぁ文句言っても仕方ないので巨大生物に潰されない高度を【迷彩】と【空中戦】の要領で【闇に紛れ】飛行。
俺みたいに飛び上がって蚊を叩き潰す輩が巨大生物に居ないとも限らないので、その際は【オーラ防御】と【力溜め】【武器受け】【盾受け】で極力防ぎ【激痛耐性】で堪える。
今回は頁を越えるだけだから、可能な限り戦闘は避ける。
可能なら、影の追跡者に自分を追跡させてレギュラーな事態は避けたいところ。
愉快な仲間達を追跡出来れば早いんだけどねぇ。



 アリスラビリンスは不思議な国という小さな世界がつながって出来上がる複合世界である。
 不思議の国に住まう愉快な仲間たちは、アリスを出迎え、オウガに隠れてこっそりとアリスの手助けをしてくれるのだ。
 彼等を助けることは、アサイラムにて召喚されるアリスたちがオウガより逃げ切ることのできる可能性を上げるためには必要不可欠なことだ。

 猟兵たちは次々と愉快な仲間たちと共に放り込まれた『本の中の世界』を進んでいる。書割のような、どこか実体のない世界。浮かぶ太陽には矢印とページ数。
 それは実体がないせいかもしれないが、放り込まれた者たちにとっては、気味の悪い世界であったかも知れない。
「小さな小さな大冒険……って、他がデカ過ぎるんじゃ!」
 緋縅・善蔵(首輪付き・f06737)の声が『本の中の世界』に響き渡る。
 彼の瞳が捉える世界は、どこもかしこも巨大な建造物と、そこを闊歩する巨人たちばかりであった。
 自分たちが小さくなったのではない。他が大きくなりすぎているのだ。

『圧倒的な建造物の群れ―――見上げるものばかり。果ては在るのかと思うほどに続く街並みは、どこもかしこも巨人だらけ……』

 ナレーションの如き謎の声が世界に響き渡る。
 これが何を意味するのかはわからない。けれど、善蔵は巨人たちに潰されたいように空飛ぶ高度を抑えつつ、迷彩と培った空中戦の経験に寄って闇に紛れながら巨人の街を飛ぶ。
 圧倒されるほどの巨大な建造物。そこを歩く巨人たちから見たら、己の体は蚊のようなものであろう。
 巨人たちから、そのように攻撃される可能性を考えて、彼は警戒を怠らないのだ。

「まぁ、文句言っても仕方ないので……」
 彼のユーベルコード、影の追跡者の召喚を召喚し、自分を追跡させる。
 そうすれば、自身を狙う巨人の行動も互換を共有する影の追跡者からの情報でいち早く察知することができるだろう。
「今回は頁を越えるだけだから、可能な限り戦闘は避ける。イレギュラーな事態は避けたいところでありますが……」
 善蔵がこの本の中の世界へと転移してきた時、周囲に愉快な仲間たちはいなかった。彼等を追うことができたのなら、手っ取り早かったのに、とこぼすも、他の猟兵達がうまくやってくれることだろう。

『こうして、彼は無事に巨人の国を抜けましたとさ……さあ、次なるは―――』

 まただ。
 頁を越える度に謎の声がナレーションのように情景を説明してくる。
 ナレーションの如き声を信じるのであれば、善蔵は巨人の国を抜けたということだろうか……?
 そう思っていながら、太陽の指す矢印に向かって飛ぶ。
 情景が切り替わるのだろう、再びナレーションの声が響き渡る。

『―――戦闘番地』

 そのナレーションに善蔵の体がすぐさま戦いの気配を感じ取った。
 周囲を見回す。警戒を怠らない。彼自身を追跡させていた影の追跡者からの反応は、飛行する彼の真下から―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
本の世界に入り込むというのは御伽噺のようですが…
実際に起こるばかりか、結末が悪意に満ちているならば当事者にはたまったものではありません
早急に解決し『猟書家』の手掛かりを得ましょう

センサーの●情報収集で音声や足音等を拾い巨人や愉快な仲間たちの所在把握
巨人の体高から視界を推測
建物に身を隠し移動し合流(地形の利用)

もう大丈夫です
出口まで騎士として皆様をお守りいたします

集団で足が遅くなる対処は遠方に●操縦するUCで物資収納スペース内の爆弾設置
遠隔操作で起爆(破壊工作)
爆発音で巨人を遠方に誘き寄せその隙に移動

…もう少し騎士とか雰囲気に合った手段が取れないものか…
皆様、クラッカー等はお持ちでしょうか…?



『―――巨人の国に機械騎士在り……』

 謎の声が『本の中の世界』に響き渡る。それはナレーションの如き言葉であり、アリスラビリンスの不思議の国の一つに転移したはずであるというのに、すでにトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は書割のような太陽が浮かぶ世界へと放り込まれていた。

「本の世界に入り込むというのは御伽噺のようですが……実際に起こるばかりか、結末が悪意に満ちているならば、当事者にはたまったものではありません」
 トリテレイアは、そのような状況にあっても冷静そのものであった。ぐるりと周囲を見回す。
 そこに彼が探す、この『本の中の世界』に不思議の国の住人である愉快な仲間たちを放り込んだ元凶、猟書家の姿はなかった。
 早急に解決し、手がかりを得ようと思ったのであるが、やはり一つ一つ積み上げていくしかないようだった。

 見上げる太陽には矢印とページ数。
 どこか実体のない世界にそびえるは巨大な建造物と闊歩する巨人。
 トリテレイアのセンサーは正しく機能している。あらゆる情報が洪水のように彼の電脳へと流れ込んでくる。
 もしも、通常の人間であったのならば、その情報を処理しきれなかったかも知れない。
 だが、彼は機械騎士である。此の程度の情報量の処理など造作もない。
「ふむ……私自身巨躯であると思っていましたが……あの光景を見ると、流石に巨人の国」
 センサーによって巨人の音声、足音を拾っていると、愉快な仲間たちのものであろう声も把握できた。

 巨人の国、その街並みを姿を隠しながらトリテレイアは移動する。
 巨大である建造物の死角を巧みに利用し、愉快な仲間たちがガタガタ震えている場所まで急行するのだ。
「もう大丈夫です。出口まで、騎士として皆様をお守りします」
 彼の姿を認めた、様々な動物のぬいぐるみの姿をした愉快な仲間たちが一斉に駆け寄ってくる。
「わー! よかったー! みんなみんなもう安心だー! よかったよー!」
 涙は出ていないのはぬいぐるみであるからだろうが、それでもその声は安堵の声であった。
 騎士として、その安堵の声に答えぬわけにはいかない。

「それでは、皆様参りましょう。すでに準備は整っております」
 そう、トリテレイアの仕事は迅速である。
 すでに発動していたユーベルコード、自律式妖精型ロボ 格納・コントロールユニット(スティールフェアリーズ・ネスト)によって呼び出された複数の妖精型偵察ロボが巨人の国の街中のあちらこちらで待機しているのだ。

「え! もうー? どうするの、どうするの?」
 愉快な仲間たちが心配そうな顔をする。大丈夫なのだろうかと不安になるのだろう。トリテレイアが駆けつけるまで、よほど怖い思いをしたのだろう。
 ご安心を、とトリテレイアのユーベルコードの管理化にある妖精型偵察ロボの物資収納スペース内に設置された爆弾が起動する。
 街中のあちらこちらで爆発が起こる。

 それは陽動である。
 大きな音、大きな混乱があれば、巨人であれど、そちらに注意が向く。その隙に移動を開始する。
 トリテレイアが駆けつけた愉快な仲間たちの一団は少なくない。それなりの集団に成れば、足が遅くなるのも当然。
 ならば、その足を補うために大きな隙を作れば良いのだ。

 混乱に乗じてトリテレイアは愉快な仲間たちを警護しつつ、巨人の国を駆け抜ける。

『こうして、混乱渦巻く巨人の国を駆け抜けたのでした―――』

 また謎の声。
 一体この声がなんであるのか、それは未だにわからない。しかし、トリテレイアは別のことを考えていた。

「……もう少し、騎士とか雰囲気にあった手段が取れないものか……皆様、クラッカーなどはお持ちでしょうか……?」
 それは場を和ませる冗談であったのかもしれない。
 愉快な仲間たちの表情が、心做しか柔らかくなるのをトリテレイアのアイセンサーは感じ取っていた。
 もってなーい! ないないー! と彼等は口早に言いながら、巨人の国を駆け抜けていく。

 情景が切り替わるのだろう、再びナレーションの声が響き渡る。

『―――戦闘番地』

 それは戦いの予感を感じさせる、ナレーションであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
愉快な仲間たちのノリは大好きであるぞ? それにロケーションも素晴らしいの~
はっはっは、お主らを食べたりはせんから安心せい! いやマジでマジで!

さて、愉快な仲間たちはできるだけ一緒に連れて行ってやるとしようかのう
なんなら妾が運んでやろうか? 背中に肩車、尾に乗るのもレアな素敵体験となるのは間違いなし!
ちなみにキマフュでの一番人気は左手の鷲掴みであるがな?
見つからんように声は潜めて、楽しく進むとしようではないか!

とまあトークでリラックスさせつつ、天地を飛ばして周辺の偵察を行っておこう
真面目に索敵しているのは、連れの皆には悟らせんようするぞ
一般人な者たちを荒事に巻き込むのは万が一にも避けんとな!



 天地通眼―――高性能AI内臓の映像撮影用ドローンが『本の中の世界』を飛ぶ。
 それのカメラアイが捉えるのは、いつだって主である御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の活躍である。

『―――『妾がいろんな世界で怪人どもをボコってみた』好評配信中!』

 謎の声が、謎のナレーションを世界に響かせる。
 それが何を意味するのか、それを理解できる者は、この世界にあまり多くは居なかったことだろう。
 菘が不思議の国が繋がり合って出来上がった複合世界であるアリスラビリンスへと転移した瞬間、彼女もまた『本の中の世界』へと強制的に放り込まれていた。
 書割のような世界が広がる。
 巨人の国、巨大な建造物が立ち並び、巨人が闊歩する世界。だが、その世界はどこか実体がないような、不可思議な気持ちを彼女に抱かせたことであろう。

 だが、今彼女にとっての最大の関心事は撮れ高と映えである。
「愉快な仲間たちのノリは大好きであるぞ? それにロケーションも素晴らしいの~」
 菘の笑い声が響き渡る。
 愉快な仲間たちの一団のすぐ近くに転移した彼女は、大変ご機嫌であった。彼女にとって、動画撮影できるロケーションは素晴らしいの一言に尽きる。
 様々な動物たちのぬいぐるみである愉快な仲間たちは、彼女の変わった容貌に気にした様子もなく、猟兵であるとわかると群がってくるのだ。
「食べる? 食べる? 食べられちゃうやつケロ?」
 カエルのぬいぐるみが首を傾げる。丸呑みされそう。
「はっはっは、お主らを食べたりはせんから安心せい! いやマジでマジで!」

 冗談であったのだが、わりと心配されそうなので慌ててフォローしたりする所が、邪神様の良いところである。
 愉快な仲間たちは、巨人よりは菘の方が怖くないと思っているようだった。それはそれで心外であろうが。
「さて、愉快な仲間たちはできるだけ一緒に連れて行ってやるとしようかのう」
 ふぅむ、と考える。
 一体どうするのが動画映えするだろうか。
 こう、バーン! と決まる画面が欲しいところであるのだ。

「なになに邪神さま、何考えてるー?」
 よじよじと彼女の体のあちこちに上ってくる、ぬいぐるみたち。背中に肩車。尻尾に乗るのもレアな経験かもしれない。
 いや、わりと自由に彼女の体のあちこちにしがみつく愉快な仲間たち。
「これはこれで良し!なんなら妾が運んでやろうか?とか思って負ったので、よし!」
 わりと自由な振る舞いをする菘であったが、愉快な仲間たちも自由さに掛けては負けていないのだ。
 それでも彼女の体に乗り切らない者たちもいる。
 どうしよう、置いていかれるのかな? と不安そうな顔をする彼等に快活に笑って巨大な左手を差し出す。

「ちなみにキマフュでの一番人気は左手の鷲掴みであるがな?」
 残っていた愉快な仲間たち全員が、彼女の左手の中に収まってしまう。天地、撮影ドローンのカメラアイに映る画面は、それはもうものすごい光景であった。

『―――タイトルを付けるのならば、『邪神様、ぬいぐるみまみれる』であった』

 謎のナレーションの声も認める画面映えであった。
「見つからんように声は潜めて、楽しく進むとしようではないか!」
 軽快なトークもまた動画配信者の花形である。
 そのトークは、巨人の国にあっても、愉快な仲間たちに過度の緊張を与えず、それこそ楽しげな雰囲気のまま書き割りの太陽に描かれた矢印と頁数を重ねていく。

「一般人な者たちをあら毎に巻き込むのは、万が一にも避けんとな……!」
 わりと真面目に索敵を行いつつ、彼女は巨人の国を通り抜けていたのは、愉快な仲間たちもわからなかった。
 それほどまでに彼女はエンターテイナーであったのだ。巨人の街を抜け、情景が変わる。

『―――戦闘番地』

 ナレーションの声が告げる。
 それは戦いの開始を告げる声であり、待ち受けるオウガたちの群れを菘の肌に刺さる殺気によって感じ取らせるのであった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

村崎・ゆかり
何もかもが巨大な『巨人の国』ね。ここに愉快な仲間達を捕らえたらどうなるか分からないけど、本の中にもオウガがいるなら一刻の猶予もないわ。

ここがUDCアース並の文明レベルなら、上下水道網があるはずね。
排水溝から、飛鉢法を使って下水道に入り、突破を目指すわ。
矢印の方角は、空高くに黒鴉召喚で呼び出した式神を飛ばしておいて、適宜確認する。
下水道だと、鼠やその他の害虫もいるかもしれないから、その時は不動明王火界咒で撃退。でも出来たら出会いたくないなぁ。
水路、上水道網に移れないかしら?

黒鴉召喚の式には愉快な仲間達の居場所を探る役目も与えておきましょう。
これで『戦闘番地』に入ったら、速やかに合流出来るはず。



 そこは実体の感じられない奇妙な世界であった。
 確かにグリモア猟兵によって、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は、不思議の国が連なる複合世界、アリスラビリンスへと転移したはずだった。
 しかし、彼女を取り巻く世界は、あまりにも想像とかけ離れた世界であったのだ。

 そこは『本の中の世界』。そう言われて、納得できるほどの違和感がひしめいていた。書割のような太陽。その太陽に描かれた矢印とページ数。
 巨大な建造物に、そこを闊歩する巨人たち。
「何もかもが巨大な『巨人の国』ね。ここに愉快な仲間達を捕らえたらどうなるかわからないけど、本の中にもオウガがいるなら一刻の猶予もないわ」
 考えるのは後にしよう。ゆかりはそう思い、ユーベルコード、飛鉢法(ヒハツホウ)を発動させる。
 華麗な戦巫女の盛装に身を包み、鉄の大鉢へと乗り込む。ふわりと宙に浮かぶ鉄鉢が目指すのは、上下水道網。

『―――ここは『巨人の国』。街並みは壮麗。整えられた近代社会。此処において異物は小さきもの……』

 何処からともなく謎のナレーションの如き声が響き渡る。
 その声の主が猟書家であるのだろうか? その答えは未だ出ない。だが、そのナレーションでゆかりは確信を持っていた。
 ここがUDCアース並の文明であれば、街中に上下水道はあるはず。
 ならば、排水溝から鉄鉢と共に入り込めば、巨人たちの目に止まることなく突破できるはずだからだ。

「それじゃ、お願いね―――」
 排水口の中へ飛び込めば、太陽に刻まれた矢印が見えなくなってしまうが、それも心配無用である。
 彼女の鴉形の式神があれば、五感を共有し矢印方向の確認は容易であるのだ。
「―――けど、懸念もあるのよねぇ……」
 ゆかりは心底げんなりした顔をする。
 確かに排水溝から入り込めば、巨人の目はかいくぐることは簡単だ。イージーと言っても良い。では何が、彼女にとっての懸念なのだろうか?

『それは巨人の国においては、巨人と同じ様に巨大化した者たち―――』

 ナレーションの声にゆかりは、さらに顔をげんなりさせる。さっきよりもよほどげっそりしているのは、ナレーションの言葉の先がもうわかっているからだろう。
「でしょうね……予想はしてたけど……ほんと、一縷の望みを掛けていたのだけど……やっぱり、そうかぁ……」
 目の前にはとても見たくない光景が広がっていた。
 巨人のサイズに合わせて、サイズアップしなくてもいいサイズアップを果たしたネズミや害虫たち。
 一息に彼女は、不動明王火界咒によって放った白紙のトランプから噴出する炎でもって、その光景を薙ぎ払う。

 できれば、その光景を脳裏に刻みつけたくもなかった。できれば出会いたくなかったのだ。思った以上にこれはしんどい!
 慌てて水路や上水道へと鉄鉢と共に飛行する。
 彼女を追いかけすがる形容したくない群れが炎の巻かれて、焼き払われていく。
「でも、これで大分ショートカットはできたはず―――!」
 上水道へと上がると、そのまま一気に排水溝から飛び出すゆかり。その瞳に飛び込んできた光景、それは情景が代わり、巨人の国が消え失せた大地。

『―――戦闘番地』

 まただ。
 また謎の声。ナレーションを気取るように響く声が、ゆかりの五感に訴えてくる。
 戦いの気配。
 そして、ゆかりは気がつく。鴉の式神に探させていた愉快な仲間たち。その姿を捕らえた瞬間、違和感を感じたのだ。

「……何か、混じってる……?」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ミミクリープラント』

POW   :    噛み付く
【球根部分に存在する大きな顎】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【習性と味】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
SPD   :    突撃捕食
【根を高速で動かして、突進攻撃を放つ。それ】が命中した対象に対し、高威力高命中の【噛みつき攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    振り回す
【根や舌を伸ばして振り回しての攻撃】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。

イラスト:猫家式ぱな子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『―――それは地中の中より現れたるオウガ』

 謎の声がナレーションのように響き渡る。
 それは『戦闘番地』と呼ばれる『本の中の世界』における戦いの場。
 猟兵達によって様々な動物のぬいぐるみの姿をした愉快な仲間たちは、余さず救出されていた。
 だが、彼等の一団の中にひまわりの姿をした愉快な仲間たちがいた……。

 一人の猟兵が気がつく。

『愉快な仲間たちは、動物のぬいぐるみだけであったと―――』

 そのナレーションが響いた瞬間、ニコニコひまわりの愉快な仲間たちの地中から現れるは、ミミクリープラント!
 愉快な仲間たちに擬態して、紛れ込んでいたのだ。
 球根のような部分に巨大な顎を備え、愉快な仲間たちを襲おうとする。動物ぬいぐるみの愉快な仲間たちは恐怖におののく。
「ひ、ひえー! お、おたすけー! りょうへいさーん!」
村崎・ゆかり
太陽が示す矢印に注意。
頭に向日葵ね。脳内は夏なのかしら。まあいいわ。残さず殲滅するだけ。

愛奴召喚でアヤメを呼び出して、愉快な仲間達の避難誘導と、そっちにオウガが向かった時の足止めをお願いしておくわ。

敵は五行から見て木克土。相性が悪い。五行相克的に考えると、向日葵の方が主体と判ずる。
それなら、木生火。不動明王火界咒の出番。
「高速詠唱」「全力魔法」炎の「属性攻撃」「破魔」「範囲攻撃」で、燃やしてしまいましょ。
愉快な仲間達はアヤメが安全なところに連れて行ってくれてるから、遠慮なくいくわよ。

球根の顎で食いついてきたら、その中に火界咒の符を投げ込んであげる。内側から燃え尽きなさい。

全部片付いたかしらね?



『戦闘番地―――』

 その謎の声が発するナレーションは無機質で、その言葉の指す意味がわからぬままに、けれど、愉快な仲間たちは、これから良くないことが起こるのだと本能的に感じ取っていたのかも知れない。
 ひまわりの形をした愉快な仲間達がぶるぶる震える。
「どうしたんだい、キミ。そんなに震えちゃってさー……大丈夫かい?」
 心配したコアラのぬいぐるみの愉快な仲間たちが、ひまわりの近くによる。その瞬間、地中から球根状のものが飛び出し、大きな顎を広げて、コアラのぬいぐるみの愉快な仲間たちを丸かじりにしようとしたのだ!

「ひぇっ! お助けー! まるかじりにされちゃうー!」
 けれど、その悲鳴の通りにはならなかった。
 コアラのぬいぐるみの愉快な仲間たちを間一髪抱えて逃れたのは、村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)のユーベルコードによって呼び出されたくノ一のアヤメであった。
「大丈夫ですか? もう大丈夫ですよ。こっちです。みなさん!」
 彼女の誘導に従って、愉快な仲間たちは、わーわーきゃきゃー言いながら、ひまわりの愉快な仲間たちに擬態したミミクリープラントから逃げ出す。
 そんな彼等を護りながら戦わなければならない。

「アヤメ、太陽の示す矢印に注意してね!」
 ゆかりは、そう指示を出しながら、次々と大地から顔を出したひまわりの愉快な仲間たちに擬態していたミミクリープラントたちと対峙する。
「敵は五行絡みて、木克土。相性が悪い……」
 けれど、ひまわりのほうが主体であると判断すれば、彼女のユーベルコードの出番である。
 球根上の地下に隠れていた部分が大きな顎を開く。
 びっしりと鋭い歯が並んで、それに挟まれれば数に任せてゆかりを噛み砕こうとするだろう。

「ノウマク サラバタタギャテイビャク――」
 しかし、ミミクリープラントたちが彼女を襲う前に、事は決するのだ。
 彼女の唱える言葉は、聞く者によってはどこか異国の歌声のように聞こえただろう。それこそが、彼女の唱える高速詠唱。あまりにも早すぎて、別の音に聞こえてしまうほどである。
 全力で迎え撃つ。アヤメが愉快な仲間達の避難を誘導してくれてるから、遠慮なく放つことができるというものだ。

 彼女の眼前にミミクリープラントが大顎を開けて飛びかかる。視界が牙で覆われる。
 しかし、次の瞬間、彼女の投げつけた白紙のトランプが球根の口の中で猛烈なる炎と共に内側から焼き切る!
「内側から燃え尽きなさい」
 その一言と共にゆかりの眼前に内側から炎に灼かれたミミクリープラントが落ちる。それを踏みつけ、一気に消滅させる。

「さあ、全力でいくわよ……! ここからは一歩も進ませないし、矢印に逆行もさせられないんだから」
 次々と白紙のトランプが投げつけられる。それこそが、彼女のユーベルコード、不動明王火界咒(フドウミョウオウカカイジュ)である。
 不動尊の力を借りる炎は、噴出するままにミミクリープラントたちを焼き切っていく。
 次々と火だるまになり、それでも尚向かってくる者たちを交わし、叩き潰す。

 この『本の中の世界』において、太陽の示す矢印方向と逆方向に進むのは命取りになる。このオウガたちはそれを理解し、矢印方向とは逆に飛ばそうとするのだ。
 だからこそ、ゆかりは此の場に立ち留まり、周辺に現れるミミクリープラントたちを骸の海へと還し続ける。

『こうして、ひまわりの球根の怪物は、燃えつくされてしまうのでした―――』

 また、謎の声がナレーションの如き言葉の響きを紡ぐ。
 しかし、それは戦いの序曲でしかなかったのだ―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「本の中の世界か。
此処は俺が見た中でも特別奇妙だな。」
戦闘番地と書かれたページや辺りを見て。

敵を足止めする間に愉快な仲間たちには
避難してもらう。

常に太陽に書かれた『矢印』と『数字』に注意し
迂闊に動かない。
デモニックロッドから闇の魔弾を放ち
敵を牽制しながら戦場全体を確認。
敵と愉快な仲間たちの位置を確認したら
愉快な仲間たちを巻き込まない様に
【範囲攻撃】で効果範囲を制御した真羅天掌を発動。
燃焼属性の底なし沼を発生させる。
闇の魔弾での攻撃は継続し、敵を自身や愉快な仲間たち
には近づけず沼に撃ち落とす。
「態々地中から現れたところ悪いがまた直ぐに沈んでもらおう。
もっとも、今度は上がってこられないだろうが。」



『戦闘番地―――』

 その謎の声はナレーションの如き言葉を世界に響かせる。
 書割のような実体のない世界。転移した直後に現れる世界の風景に、奇妙な感覚を覚える。アリスラビリンスの不思議の国ではない、どこか別の世界。
 浮かぶ太陽は矢印とページ数が刻まれていて、すでにグリモア猟兵から情報を得ている通りであった。
 矢印方向と真逆に行くと生命力を失い、本の中の住人にされてしまう。

『巨人の国を抜けて、地中より現れしは擬態したミミクリープラント―――』

 またナレーションのような声が響き渡る。
 愉快な仲間たちは、先程まで同じ仲間だと思っていたひまわりの愉快な仲間たちが、その実、擬態したオウガであることに恐怖し、飛び上がる。
「本の中の世界か。此処は俺が見た中でも特別奇妙だな」
 フォルク・リア(黄泉への導・f05375)は、フードに隠れた顔の奥で転移した世界を軽く見回す。
 実体がない。だが、今はそれを感じ取る時間は少ない。

「足を止める。お前たちは矢印方向に逃げろ」
 フォルクが掲げた黒杖から闇の魔弾が放たれる。うかつに動いては太陽の矢印と別方向に動いてしまうかも知れない。
 不測の事態とは、いつだって自分の予測しないところからやってくる。だからこそ、今は足を止める。
 ミミクリープラントが舌をだらりと伸ばす。それは攻撃の予備動作。鞭のようにしならせ、ミミクリープラントたちが一斉に舌を振り回す。
 フォルクだけではない。逃げようとする愉快な仲間達を巻き込んで攻撃するつもりなのだ。

「大海の渦。天空の槌。琥珀の轟き。平原の騒響。宵闇の灯。人の世に在りし万象尽く、十指に集いて道行きを拓く一杖となれ」
 それを阻止せんと、フォルクのユーベルコード、真羅天掌(シンラテンショウ)が発動する。
 それは一瞬の閃きだった。
 瞬時に確認した愉快な仲間達とオウガの群れ。その位置関係を即座に読み取り、愉快な仲間たちを巻き込まぬ様に範囲を指定、制御した燃える底なし沼を発生させたのだ。

 一瞬にしてミミクリープラントたちは底なし沼に陥る。それでも抵抗しようと舌を愉快な仲間たちに伸ばそうとしても―――。
「させると思ったか……態々地中から現れたところ悪いがまた直ぐに沈んでもらおう」
 デモニックロッドから放たれた闇の魔弾が伸ばした舌を弾き落とす。
 何のために足を止めたのか。
 それは戦場の状況を見通すためであり、不測の事態を全て潰していくためである。フォルクの放った闇の魔弾は、次々と底なし沼から抜け出そうとするミミクリープラントたちの一手を尽く潰していく。

「―――もっとも、今度は上がってこられないだろうが」
 燃え盛る底なし沼の泥濘。
 そこに嵌っては、もはや逃れることなどできない。それがフォルクのユーベルコードの真骨頂である。
 愉快な仲間たちは一人として犠牲にはならない。フォルクがフードの奥で瞳を光らせている限り、そのような事態には陥らないのだから―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
はっはっは、今この場での最たる懸念は、他でもない、天の声だ!
バトルとは筋書きのないドラマ! 上手くいってもいかなくても、そこには意味があり感動が生まれる!
しかーし! 妾の動画にナレーションで干渉するのであれば…相応のハイクオリティを要求するぞ?
編集動画でカットされるなんて無様を晒してくれるなよ?

まあ安心せい、此度のバトルはまだ前哨戦であるからのう
妾の戦法を今からしっかり学習せい!
右手を上げ、指を鳴らし、さあ鳴り響けファンファーレ!

はーっはっはっは! 仲間たちに手を出させんのは大前提よ!
そのまま燃え尽きるもよし、妾の左腕にボコられブッ飛ばされるもよし、さあ好きに選ぶがよい!



『―――戦闘番地』

 謎の声がナレーションの如く世界に響き渡る。その言葉、その声、何もかもが謎に包まれていて、何を意味するかもわかっていない。
 だが、これもまた蝋書家と呼ばれる存在の為せる業だというのならば、そこに警戒すべきことは山積していると言っていいだろう。
 愉快な仲間たち怯える。
 それまで同じ愉快な仲間たちだと思っていたひまわりの愉快な仲間たちは、オウガ、ミミクリープラントであったのだ。

 地中より現れた球根部分が大顎を開く。それは過たず、近くに居た狼のぬいぐるみの愉快な仲間たちに牙を剥く。
「ひゃー! おたすけー! じゃしんさまー!」
 狼のぬいぐるみの愉快な仲間たちは、見た目以上に大慌てな様子で迫る顎から逃れようとして、腰を抜かしていた。

『このままでは、頭からまるかじり。あわや―――』

 ナレーションの声が響く。
 だが、そのナレーションが続きを紡ぐ前に狼のぬいぐるみの愉快な仲間たちは、ひょいとつまみ上げられ、ミミクリープラントの大顎から逃れた。
 愉快な仲間たちが見上げた其処にあるのは、御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)の自信満々な、ホッとする笑顔であった。
「はっはっは、今この場で最たる懸念は他でもない、天の声だ!」
 ―――え? と愉快な仲間たちが見上げる。どゆこと?と。このナレーションの声が何か邪魔をするのだろうかと彼等は思った。
 だが、愉快な仲間たちにとって、邪神様、菘の言葉は恩人の言葉。疑うことなんて何一つない。

「バトルとは筋書きのないドラマ! 上手くいってもいかなくても、そこには意味があり感動が生まれる!」
 あっという間に菘は、ミミクリープラントたちに襲われそうな愉快な仲間たちをピックアップして、太陽の指す矢印方向へと逃がす。
 これより先には行かせぬとばかりに、ミミクリープラントたちと対峙するのだ。

「しかーし!妾の動画にナレーションで干渉するのであれば……相応のハイクオリティを要求するぞ? 編集動画でカットされるなんて無様を晒してくれるなよ?」
 その言葉は挑発であった。
 謎の声、ナレーションがオウガではない第三者によるものであるというのならば、彼女の挑発は有効であったであろう。
 だが、その言葉を気にナレーションの如き声はなりをひそめる。ミミクリープラントたちは次々と地中から現れる。
 オウガの大群と菘。
 その光景は、それは映えるものであった。

「まあ安心せい、此度のバトルはまだ前哨戦であるからのう。妾の戦法を今からしっかり学習せい!」
 右手を上げ、指を鳴らす。世界に響き渡るはファンファーレ。
 これより始まるは、邪神様の動画配信!
 見よ、この人だ(エッケ・ホモ)とユーベルコードが輝く。一瞬にしてミミクリープラントたちが発火する。
 それは盛大なる光景。一斉に燃えるミミクリープラントたちは、燃えながら、それでも菘から片時も目を離したくないという情動に苛まれ、身動きが獲れない。

「はーっはっはっは! 愉快な仲間たちに手を出させんのは大前提よ! そのまま燃え尽きるもよし!」
 駆け出す。その動きは、大蛇が大地を疾駆するが如く。彼女に見惚れるミミクリープラントたちを一斉に偉業なす左腕にて薙ぎ払われる。

「―――妾の左腕にボコられ、ぶっ飛ばされるもよし!」
 盛大に吹き飛び、霧散していくミミクリープラントたち。まだまだ数は盛大にいるのだろう、あちこちからミミクリープラントたちが地中より現れる。
 ふん、と菘は鼻を鳴らす。
 むしろ、それは望むところであった。撮れ高一杯まで付き合おうと盛大に大見得を切る。

「―――さあ好きに選ぶがよい!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
オウガと護衛対象の距離が近い…!

UC発動

センサーでの●情報収集で擬態していたオウガの位置を●見切り、愉快な仲間たちへとの距離や攻撃挙動から対処の優先順位決定

近距離のオウガは愉快な仲間たちを●かばいつつ、●怪力の近接攻撃で処理
遠距離、もしくは矢印の方向とは別方向のオウガは展開した頭部、腕部、肩部格納銃器での護衛対象の間隙を縫い●スナイパー射撃で排除
同時にワイヤーアンカーを複数発射し●操縦
愉快な仲間たちを●ロープワークで●優しく確保し此方の手の届く安全圏まで引き寄せ

これらの挙動を制限時間内で同時進行

皆様ご無事ですか? 怖がらせてしまい申し訳ありません
どうか私からあまり離れずに

残敵を掃討開始



『戦闘番地―――』

 謎の声はそう告げる。まるでナレーションのように響き渡る声の主が何者であるのか何一つわからぬまま、それでも戦わなければならない。
 様々な動物のぬいぐるみの愉快な仲間たちに紛れ込むようにして存在していたひまわりの姿をした愉快な仲間たちがいた。
 それは擬態を得意とするオウガ、ミミクリープラントの疑似餌のようなものであった。その心なる姿は地中に隠れた球根に映え揃った大顎でもって、愉快な仲間たちを襲おうというのだ。

「オウガと護衛対象の距離が近い……!」
 トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は決断を迫られていた。
 彼が護衛していた愉快な仲間たちにオウガが紛れ込んでいたこともそうであるが、そのオウガと愉快な仲間たちの距離が近すぎるのだ。
 これが彼等の擬態する能力の強み。
 こちらは愉快な仲間たちを守らなければならない。だが、擬態したミミクリープラントは猟兵を狙わなくても、愉快な仲間たちを狙ってしまう可能性もある。
 その択を猟兵に迫るという意味では、ミミクリープラントの戦法は理に適ったものであっただろう。

 だが、それはトリテレイア以外の猟兵であったのならばの話だ。
「コード入力【ディアブロ】、戦域全体の未来予測演算を開始」
 それはトリテレイアのユーベルコード。白騎士の背、未だ届かず(ホワイトライト・トゥルーライト・リミテッド)。
 それはもはや未来予測演算。
 彼の電脳だからこそ為せる業。彼が取れる選択など、二つではなかった。彼が掴み取るのは、愉快な仲間たち全ての安全。
 如何なる犠牲も出ない未来へと手をのばす。

 彼のアイセンサーが即座に擬態していたオウガの位置を把握する。その数は10を越えていた。だが、それでもミミクリープラントの挙動から演算した優先順位の決定は迅速だった。
 駆け出す。
「―――一つ!」
 トリテレイアより近い距離に居たミミクリープラントの開けた大顎をねじ伏せるような大盾によるシールドバッシュが圧殺する。
「ひえー! たべられちゃうやつー!」
 愉快な仲間たちの悲鳴が上がる。
 それはトリテレイアの手が届かぬ距離にあるミミクリープラントたちの大顎だった。だが、それでもトリテレイアの全身から射出されるワイヤーアンカーが、それぞれのミミクリープラントの口の中を突き破り、愉快な仲間たちから引き離す。

「―――数えるまでもありませんでしたね」
 さらに彼の腕の中には愉快な仲間たちが優しくワイヤーアンカーと共に戻ってくる。安全圏に彼等を逃しつつ、一瞬の攻防でミミクリープラントたちを霧散させたのだ。
「皆様ご無事ですか? 怖がらせてしまい申し訳ありません。ですが、どうか私からあまり離れずに」
 すでにトリテレイアの手の届く範囲に愉快な仲間たちは確保済みである。地中よりボコボコと現れるミミクリープラントたちの姿をアイセンサーが捉える。
 だが、もはやトリテレイアには懸念材料などない。

「残敵の掃討を開始―――」
 格納重火器が一斉に火を噴く。
 それは圧倒的な力で持ってミミクリープラントたちを薙ぎ払っていく。敵を排除するには効率的で善いとは思うのだが、トリテレイアは内心思うのだ。
 
 ―――やはり、世界観に合った手段を講じるべきかと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「大丈夫です、皆さんと元の世界に戻れるまで、きちんとお守りしますから」

UC「桜吹雪」使用
高速・多重詠唱で破魔と炎の属性攻撃も乗せ、敵本体だけでなく根や舌も切り刻む
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す

「植物由来の敵を見ると、少しだけ心がざわざわします。私…彼等を同族扱いしているのかもしれません」
敵を消滅させたら慰め乗せた鎮魂歌で送る


「お待たせしました。此処はミミクリープラントしか出ないようですから、隠れないで元気に歩いていきましょうか。こういう時こそ、前を向ける元気が大事だと思いますから」
周囲の愉快な仲間達と手を繋ぎ、一緒に遠足の歌を歌いながら歩いていく

「これ…最後に出てくるのは、猟書家でしょうか…」



『戦闘番地―――』

 再び響き渡るナレーションの如き謎の声。
 それが何を見するのかは未だわからない。一切の謎に包まれた声の主。しかし、その声色、言葉は愉快な仲間たちを不安に陥れるには十分な圧があった。
「ひぇっ! た、戦いがはじまる? だ、だいじょうぶかな? かなー!?」
 混乱に陥る愉快な仲間たち。
 彼等にとって、この『本の中の世界』は、巨人の国から始まって異質なことばかりなのだ。少しのことで不安に思ってしまうのは仕方のないことであったのかも知れない。

 だが、そんな彼等を優しく諭す者がいた。
「大丈夫です、皆さんと元の世界に戻れるまで、きちんとお守りしますから」
 御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)の、その言葉は優しく愉快な仲間たちに響き渡った。
 彼等の混乱は一先ず収まった……だが、それもつかの間である。動物のぬいぐるみの姿をした愉快な仲間たちばかりであったのだが、いつのまにかひまわりの姿をした愉快な仲間たちが紛れ込んでいる。

 あ、と桜花が思った瞬間、ひまわりの姿は疑似餌であったことがわかる。地中に埋まっていた球根が本体。大顎の開いた醜悪なるオウガの本性を表したミミクリープラントによって、再び愉快な仲間たちは混乱に陥れられる。
「わー! わー! 地中からー!?」
 愉快な仲間たちを背中に守りながら、桜花のユーベルコードが発動する。
 桜吹雪(サクラフブキ)。それは舞い散る桜の花弁に己の武器を変えて放つユーベルコードである。

「ほころび届け、桜よ桜」
 歌うように桜花の声が響いた瞬間、ミミクリープラントたちを切り刻む桜吹雪の花弁。それは舌を伸ばして愉快な仲間たちを捉えようとしたミミクリープラントを切り刻む。
 同時に破魔と炎の属性を持った攻撃を放ち、ミミクリープラントを牽制する。
 釣られるように次々と地中から姿を現すミミクリープラントたち。その姿を見て、桜花はなんともいえない感情を胸に抱く。
 アレがオウガであるということはわかっている。理屈では理解できているのだが、それでも理屈では処理できない感情が心に澱のように溜まっていくのだ。

「植物由来の敵を見ると、少しだけ心がざわざわします。私……彼等を同族扱いしているのかも知れません」
 それは彼女が桜の精であるからかもしれない。
 ざわざわと心が言いようのない感情に支配されるのを感じる。
 厳密には同族ではない。けれど、それでも。桜花の心が、そう感じてしまうのだ。
「それでも―――……オウガである以上は、愉快な仲間たちの皆さんを傷つけようとするのでしょう?」
 ならば、そこに己の感情を入り込ませてはいけない。桜吹雪が尽く、ミミクリープラントたちを切り刻み霧散させていく。

 その霧散して消えていくミミクリープラントにさえ、桜花は鎮魂の歌を送る。
 それが彼女の矜持なのだ。
 どんな敵にも、彼女はきっと最期には慰撫でもって見送る。それは影朧を転生させることのできる彼女だからこその優しさであったのだろう。
「お待たせいたしました。此処はミミクリープラントしか出ないようですから、隠れないで元気に歩いていきましょうか。こういうときこそ前を向ける元気が大事だと思いますから」

 彼女は何事もなかったように愉快な仲間たちと共に手をつなぎ、遠足の歌を歌う。
 けれど、愉快な仲間たちは何も言わなかったが、分かっていた。桜花がどんな気持ちで明るく振る舞ってくれているのか。
 自分たちのためだ。
 自分たちをいたずらに不安にさせないように、あんなふうに振る舞ってくれている。だから、彼等も歌う。
「げんきよーく、うたおー! れっつらどーん!」
 少し調子外れであり、歌詞も意味のわからない歌。けれど、それはきっと桜花の心にも幾ばくかの癒やしを与えたのかも知れない。

「これ……最後に出てくるのは、蝋書家でしょうか……」
 その予想が当たるかどうかは、まだわからない。
 けれど、ナレーションの声が次に響いた時、それが戦いの合図であることは、疑いようがなかった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
来ましたか。
いつの間にか紛れ込んでいたようですが……
これでも彼らを助けに来た身、焦る様子は見せられません。

大丈夫ですよ。私の故郷では見たことはありませんが、あれはひまわり、夏の花……ですよね?
で、あれば……冬になれば枯れるのみです。
【シェイプ・オブ・フリーズ】を使用、触れたものを凍てつかせる氷雨で敵の根や舌を凍らせ、振り回し攻撃を封じます。もとはひまわり、覿面に効くでしょう……守る対象の彼らが本物の動物ではなく、ぬいぐるみで助かりました。彼らまで凍えさせるわけにはいきませんからね。

矢印はまだありますし迂闊に動くことはできませんが、その必要もありません。フィンブルヴェトで凍った敵を撃ち抜きます。



 複合世界であるアリスラビリンス、その一つの世界である不思議の国。
 そこはすでに転移すれば、即座に『本の中の世界』へと放り込まれる不可思議な減少に見舞われていた。
 書割のような世界。太陽の矢印と頁数。
 そして、時折世界に響き渡るナレーションの如き謎の声。

『―――戦闘番地』

 その言葉が何を意味するのか。保護した愉快な仲間たちは気が付かなかったけれど、察しの良い者、戦いに慣れた者であれば、即座に理解しただろう。
 これは戦いの気配。アリスラビリンスにおいて猟兵の敵足り得るのはオウガのみ。
 様々な動物のぬいぐるみの愉快な仲間たちの間にいつのまに存在しているひまわりの愉快な仲間たち。
 それらがぶるぶると震えた瞬間、地中より現れるは、オウガ……ミミクリープラント。球根の部分に大顎を生やし、近くに居た愉快な仲間たちを人のみにしようと大顎を広げ襲いかかるのだ。

「ひょえー! 食べないでー! おいしくないからー!」
 その悲鳴は、きっとミミクリープラントにまるかじりにされて消えてしまうはずだった。だが、ここには猟兵がいる。
 銃声が響き渡り、マスケット銃フィンブルヴェトから放たれた弾丸が過たずミミクリープラントを貫いて霧散させる。
「来ましたか。いつの間にか紛れ込んでいたようですが……」
 セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)がマスケット銃を掲げ、落ち着き払った様子でミミクリープラントの一匹を即座に骸の海へと還す。
 その様子は流石に歴戦の猟兵であることを愉快な仲間たちの瞳に刻みつけただろう。

 彼女は愉快な仲間たちを助けに来た身である。
 愉快な仲間たちに擬態していたミミクリープラントの出現に狼狽え、焦る様子は見せられないと、落ち着き払った所作を披露するのだ。
「大丈夫ですよ。私の故郷では見たことはありませんが、あれはひまわり、夏の花……ですよね?」
 愉快な仲間たちがセルマの背後に隠れながら、やんややんやと囃し立てるように地中から現れ続けるミミクリープラントを差して言う。
「そうだよ! ひまわりに化けてたんだー! こっちには猟兵さんがいるんだぞー! 負けるわけないない!」
 なんともコミカルな愉快な仲間たちの囃し立てを背中に受けながら、頷き返すセルマ。

「で、あれば……冬になれば枯れるのみです」
 彼女の青い瞳が輝く。
 それはユーベルコードの輝き。シェイプ・オブ・フリーズ。それは触れたものを凍りつかせる氷雨。
 彼女の掲げた手が伸びる先、天より降りしきる氷雨は、彼女の周囲全てを氷点下へと変えていく。
「あなたたちがぬいぐるみでよかった。本物の動物であれば、凍えてしまいますから」

 セルマたちの眼前で次々とミミクリープラントたちが凍りついていく。それをマスケット銃フィンブルヴェトから放たれた弾丸で全て打ち砕いていく。
 動きを止められ、弱まったミミクリープラントなど、一歩も動く必要はないのだというようにセルマは次々とミミクリープラントたちを撃破していく。
 天を仰ぎ見れば、未だ書き割りのような太陽の矢印は健在である。動き必要のない戦術をとったのは、大成功と言っていいだろう。
「……りょ、りょーへいさーん……さ、さすがにそろそろー!」
 は、と背後を見やれば、愉快な仲間たちがガタガタ震えている。
 ぬいぐるみと言えど、流石に布の表面まで凍るのはしんどいようだった。フィンブルヴェトからは放たれた弾丸が、ミミクリープラント全てを骸の海へと還した瞬間、ユーベルコードを解除する。

「やりすぎました。大丈夫ですか……?」
 セルマが愉快な仲間たちの身を案じる。どうやら、彼等も多少は氷点下に適応していたと見えるが、寒そうにしているのは忍びない。体の表面に張り付いた霜を払いながら、セルマは次なる情景へと瞳を向ける。
 従来どおりであるのならば、ここで―――。

『そして、最後のオウガが現れる。それは、とても、とても、無邪気で残虐なる徒』

 そう、ナレーションの如き声が頭上より降り注ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『クマずきんちゃん』

POW   :    心細いクマずきんちゃんは猟兵に抱きついた。
【背骨が折れるほど強力なアリスの抱きつき】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    しかし、頭巾は装飾だった。
防具を0.05秒で着替える事ができる。また、着用中の防具の初期技能を「100レベル」で使用できる。
WIZ   :    猟兵さんはアリスの仲間ですよね?
敵を【自身の意思とは関係なく怪力】で攻撃する。その強さは、自分や仲間が取得した🔴の総数に比例する。

イラスト:善治郎

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠幻武・極です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


『そして、最後のオウガが現れる。それは、とても、とても、無邪気で残虐なる徒』

 再び世界に降り注ぐようなナレーションの声。
 その声の主の姿は最後まで現れることはなかった。その存在の正体が今回明らかになることはないだろう。
 だが、猟兵たちはやらねばならない。最後に現れるオウガ、それがこの『本の中の世界』を支配している元凶であるからだ。
 この『本の中の世界』より愉快な仲間たちと共に脱出するためには、オウガを全て打ち倒さなければならないのだから。

「クスクス……すっかり猟兵さんも騙されちゃったんだね! あれだけ擬態するのが上手なオウガが一杯だったのに!」
 一体のクマのぬいぐるみが頭巾のように変形すると、そこから現れるのは一人の少女。可愛らしい外見、言動とは裏腹な重圧放つ姿はまさにオウガ。

「猟兵さん、猟兵さん。猟兵さんたちもみんな、私の本の中の世界の住人にしてあげるね! 太陽の矢印方向とは逆に投げ飛ばして、みんなみんな、仲良く本の中で暮らそう! 猟兵さんが本の住人になるのは初めてだから、上手く行くかわからないけれど……」
 牙を剥いて凄絶なる笑顔を浮かべる『クマずきんちゃん』。
 それは愛らしい姿とは裏腹な獰猛なるオウガの本性が溢れ出していた。

「きっとだいじょうぶ! 何人もいるから、何回でも試してあげるよ!」
 オウガ、『クマずきんちゃん』は駆け出す。その手で持って、猟兵たちを太陽の矢印方向とは逆に投げ飛ばし、彼等を自身の本の中の世界の住人に変えるために―――!
村崎・ゆかり
『ナレーション』が正しければ、あなたが最後のオウガね。きっちり討滅して、元の不思議の国へ帰らせてもらうわ。
愛奴召喚でアヤメを呼び出し、愉快な仲間達の避難と保護を頼んでおく。

あの子がいるから、後ろを気にする必要は無いわ。始めましょう、熊ずきん。
巫覡載霊の舞で己を神霊体へと変じて、「なぎ払う」薙刀の発する「範囲攻撃」「破魔」の「衝撃波」で熊ずきんを攻撃する。
心臓狙いが出来そうなら、「串刺し」にしましょ。
太陽の示す方角に背かないよう注意。

熊ずきんの攻撃は薙刀で弾いて、直撃を避ける。負傷が軽減出来るといっても、直撃は欲しくない。

これで全部のオウガは討滅出来たのよね。さっさと元の世界へ戻してちょうだい。



 オブリビオンであるオウガ、『クマずきんちゃん』の瞳が爛々と輝く。
 その瞳は外見からは想像も付かないような、狂気に飲まれたような輝きがあった。未だに書割のような太陽には矢印とページ数が刻まれている。
 徐々にページ数が増えてきている。本で言うところ終盤に差し掛かっているであろうページ数だった。

『最後のオウガ。一人ぼっちの『クマずきんちゃん』は言いました―――』

 ナレーションの如き謎の声もまた世界に響き渡る。
「―――猟兵さん、猟兵さんも本の中の住人にしてあげるからね! 何も心配いらないよ! 本の中はとっても快適だよ! 嫌なことも、悲しいことも、全文全部感じないようになるからね!」
 みんなと同じ役割を果たすだけの登場人物になれば、感情は必要ないのだというように『クマずきんちゃん』は猟兵へと駆け出す。
 オウガだけは太陽の矢印に左右されない。生命を喪わない。元々、本の中の住人であるからであろうか?
 答えは出ない。

 だが、それでも猟兵は戦わなければならないのだ。
「『ナレーションが正しければ、あなたが最後のオウガね。きっちり討滅して、元の不思議の国へ還らせてもらうわ―――……アヤメ!」
 村崎・ゆかり(《紫蘭(パープリッシュ・オーキッド)》・f01658)は、ユーベルコードに寄って呼び出した主従を結んだ恋人であるアヤメに指示を飛ばす。
 彼女が安心して戦うためには、愉快な仲間たちは数が多すぎるのだ。アヤメにその保護と避難を頼めば、ゆかりへの負担は減る。

「あの子がいるから、後ろを気にする必要はないわ。始めましょう、クマずきん」
「すてき! お互い信頼しあっているのね! すてきだわ! 私達もきっとそうなれるもの!」
 ゆかりがとっさにユーベルコード、巫覡載霊の舞によって、神霊体に変身する。あのオウガ、『クマずきんちゃん』は怪力に物を言わせてくるだろう。
 こちらを本の中の世界の住人にするための条件は『太陽の矢印と逆方向に進む』ことである。

 ならば、そのユーベルコードによって強化された膂力で持って、ゆかりへと掴みかかり投げ飛ばすことを意識するはずだ。
「負傷が軽減出来るからと言って―――! 受けるだけで終わるわけないでしょう!」
 ゆかりの薙刀が衝撃波を放ち、『クマずきんちゃん』を掴みかからせない。
 破魔の属性を付与させた薙刀から放たれる衝撃波は、今回の戦いの置いて、ゆかりの生命線だった。距離を取る。それが、『クマずきんちゃん』の狙いである『太陽の矢印とは逆方向に掴んで投げる』という行為を阻害する。

「そんな事言わないで、ねぇ! 一緒に本の中で暮らそうよ!」
 執拗なる突撃。
 一種の哀れみすら感じさせる愚鈍なる直進。何処まで行っても、オウガは己の欲望を満たすことしか頭にない。
「さっさと元の世界に戻って、あたしは……!」
 手に力がこもる。
 目に浮かぶのは同じ仲間の猟兵たちや、恋人の顔。それを全部置いて、本の中の世界で生きるということは、ゆかりにとっては死んでいるのと同じであったかもしれない。
 だからこそ、薙刀を握る手に力がこもる。

「あたしの世界を奪おうっていうのなら!」
 薙刀で掴みかかる『クマずきんちゃん』の手を払い、衝撃波で吹き飛ばす。態勢を崩し、矢印方向へと投げ飛ばされた『クマずきんちゃん』が起き上がる瞬間を狙って、ゆかりの薙刀の突きが心臓目掛けて放たれる。
 串刺しする刃が『クマずきんちゃんの胸を穿つ。だが、オウガとはオブリビオンであり怪物でもある。
「ガッ―――! ハッ―――! 痛い……どうして痛いことばっかりするの!」
 薙刀を引き抜き、『クマずきんちゃん』は、ゆかりから離れるように飛び退る。それは『太陽の矢印とは逆方向』。

「逃げられた……けど、手応えはあったわね。これで他の猟兵たちが、オウガを仕留めてくれれば……」
 ユーベルコードを解除する。
 生命を削っていく力は、諸刃の剣である。膝を大地につきそうになるも、横から支えるのはアヤメと愉快な仲間たち。

「大丈夫ですか! あんまり心配させないでください!」
 涙目になっているアヤメの顔もかわいいな、なんて軽口が言えたらよかったのだけど。そう思いながら、ゆかりはアヤメの方にもたれかかって息を吐くのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

セルマ・エンフィールド
仲良く暮らそうと言いつつ襲い掛かってくるあたり、仲良く暮らせそうにないというのは理解できましたよ。

あの怪力で掴まれたら私の膂力では抵抗できそうにありませんね……簡単に近づけさせるつもりもありませんが。

フィンブルヴェトおよび4丁のデリンジャーの射撃、袖口に仕込んだスローイングナイフの投擲で牽制しつつ、矢印の向きに逆らわないように立ち位置を変えて敵に接近されないように。
矢印のせいで移動が制限されていますし、いずれ追い込まれるとは思いますが……愉快な仲間達を巻き込まない位置にさえ移動できれば、逃げる必要もありません。
【終末の日】を使用、『氷』属性の『竜巻』を発生させ、敵を凍てつかせ巻き上げます。



 荒い吐息が『本の中の世界』に響き渡る。
 心臓を一突きにされたオウガ『クマずきんちゃん』の吐き出す息は荒い。
「ああ、あんまりにも楽しくって! 素敵な猟兵さんだったから、深追いしすぎちゃった!」
 でも、あきらめきれないなぁ、と痛手を負いながら『クマずきんちゃん』は物欲しそうな顔をする。

『それでも、オウガは諦めない。欲しいものは欲しいし、手に入れたいものは手に入れる。全部全部ほしいのだから―――』

 ナレーションの如き謎の声が響き渡る。
 その声を聞いたのは、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)だった。彼女の近くには、付かず離れずの距離で愉快な仲間たちが控えている。彼等に戦いの余波が及ばぬように、けれどオウガからの累が及ばないように、適度な距離を保っていた。
 そんな彼女の目の前に躍り出たのは、やはりオウガ―――『クマずきんちゃん』。クマの被り物をしたオウガは可憐なる姿とは裏腹な速度でセルマへと襲いかかる。
「わぁ! 素敵な猟兵さんがまた! ねえ! 私と一緒にこの『本の中の世界』で暮らしましょうそうしましょう!」
 その尋常ならざる怪力が籠められた手がセルマへと伸びる。手にしたマスケット銃の銃口が、『クマずきんちゃん』の額を捉える。

「―――仲良く蔵rそうと言いつつ襲いかかってくるあたり、仲良く暮らせそうにないというのは理解できましたよ」
 銃声が響き渡る。
 その一撃は『クマずきんちゃん』の額を貫くはずだった。だが、クマのかぶりものの歯がが銃弾を挟んで止めている。
 しかし、衝撃までは減ずることはできなかったのだろう、盛大に吹っ飛び、態勢を整える『クマずきんちゃん』
「あの怪力で掴まれたら、私の膂力では対抗できそうもありませんね……」

 確かに如何に猟兵であるセルマとて、ユーベルコードで強化されたオウガの膂力に敵うべくもない。組み付かれてしまえば、即座に太陽の矢印方向の逆へと投げ飛ばされてしまう。
 そうなれば、セルマとて生命力を失い、本の中の住人となる他ないだろう。
 矢印のせいで移動は制限されている。いずれ追い込まれるだろう。

「簡単に近づけさせるつもりもありませんが」
 飛びかかってくる『クマずきんちゃん』へと放たれる銃弾。
 マスケット銃フィンブルヴェトだけではない。マスケット銃を撃てば、次々と装備した4丁のデリンジャーが代わる代わる撃ち放たれ、オウガを近寄らせない。
「わあ! 手品みたいね! 素敵! もっと見せて!種も仕掛けもあるのでしょうから!」
 危機として銃弾を受け流しながら、距離を詰めてくる『クマずきんちゃん』。銃弾を全て弾き飛ばし、さらに迫る。セルマの袖に仕込んだスローイングナイフすらも、牽制にしかならない。
 不意打ちを付いたはずであるというのに、執念深さというにはあまりにもセルマに執着する『クマずきんちゃん』の姿は、徐々にセルマを追い込んでいく。

「もうおしまい? 逃げられないわよね? なら、ねぇ? 一息に投げ飛ばしてあげるわね! 何も怖くないわ、きっと優しく痛みもなくできるはずだから、まかせておいて!」
 にこやかに、どこか狂気に彩られた笑顔のままセルマへと歩み始める『クマずきんちゃん』を前にして、セルマは些かの焦りも見せない。
「逃げる必要がありませんから。だから立ち止まったのです」
 彼女の言葉は冷ややかであった。
 もうこの場では愉快な仲間たちを巻き込む心配はない。『クマずきんちゃん』がセルマを追い詰めたのではない。
 そのようにセルマが動いただけなのだ。

「―――あ……!」
「お覚悟を……何が起こるか、私にも分かりませんので」
 セルマの青い瞳が輝く。ユーベルコードの輝き。終末の日(イノチガオワルヒ)……それは氷属性と竜巻を組み合わせた、氷嵐。発生した、氷の竜巻が『クマずきんちゃん』の体を吹き飛ばしながら、はるか上空へと舞い上げる。
 その体を氷雪でもって凍りつかせ、高く舞い上がった体はそのまま地表へと叩きつけられる。
 何処か遠くで何かが砕ける音をセルマは聞いた。

 だが、彼女の青い瞳はすでに前を向いている。
「―――……エンドマークは未だ見えず、ですか。あれでもまだ健在とは。ですが、愉快な仲間たちの皆さんは守りきりました」
 この後は、仲間の猟兵達に任せていいだろう。
 このまま愉快な仲間たちを護衛し、オウガが骸の海へと還れば、自ずと自らも元の世界へと戻れるだろう。

「仲良くと言いつつ、その手段を間違えたまま……それがオブリビオンというものであるのかもしれませんが……時に無邪気さは残酷ですね」
 セルマは振り返ることもなく、愉快な仲間たちと頁めくるように変わる情景の中へと歩み始めるのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

トリテレイア・ゼロナイン
残念ですが、後ろの方々(愉快な仲間たち)を元居た世界に送り届ける役目がございまして
下がるつもりも、本の住人になるつもりも御座いません

お引き取り願います

格納銃器を全展開
●なぎ払い掃射や射出し●操縦するワイヤーアンカーを●ロープワークで鞭の様に操り抱きつき狙いの接近を迎撃、牽制

捕縛されればフレームごとへし折られそうです
ですが…

上記は囮と●目潰し
接触寸前でUCで●だまし討ちし電流で拘束、捕縛

擬態して伺っていたようですが…こちらは未だ見せてはいませんでしたね

ワイヤ巻き取り大盾殴打で空へ打ち上げ
射撃で追撃
落下した敵を剣で一閃

もう少し御伽の騎士のように正々堂々戦えぬものか
この世界では悩ましさが増しますね…



『氷雪の嵐が、オウガの体を宙に巻き上げる。叩きつけられた地面はとても硬くて、凍りついた体は散々に傷ついてしまう。けれど、『クマずきんちゃんは、諦めないのだ―――』

 またナレーションの如き声が響き渡る。あいも変わらず謎のままである声。今ここで憶測を張り巡らせたとしても、得られるものはない。
 ならば、とトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は目の前の驚異に対処するだけである。
 それが機械騎士である彼の騎士道。このメルヘンなアリスラビリンスの世界においては、多少場違いのものであったかもしれないが、それでも彼の心には常に矜持がある。
 誰かを守る。
 そのために、この機械の体はあるのだから。

「あ、ぁ……痛いよぉ……ねぇ、猟兵さん。こんな可愛そうな私を置いていかないよね? ね? 一緒に本の中で暮らそう? そうしよう?」
 他の猟兵からの攻撃を受けて吹き飛んできたであろうオウガ『クマずきんちゃん』がよろよろと体をもたげる。アレだけの攻撃を受けてもまだ健在出ることが、彼女をオウガ足らしめているのだろう。
 その痛々しい姿は、確かに人の心に訴えるものがあった。だが、それすらも擬態であることをトリテレイアは看破していた。

「残念ですが、後ろの方を元居た世界に送り届ける役目がございまして。下がるつもりも、本の住人になるつもりも御座いません」
 トリテレイアの体に格納された銃器が展開される。それは擬態していた『クマずきんちゃん』も見ている。
 飛び道具にワイヤーアンカー、それらを使った戦法も。

「あはは! それなら無理矢理にでも私の騎士様になってもらうからいいよーだ!」
 一気に駆け抜ける『クマずきんちゃん』。薙ぎ払うような銃器の掃射のどれもがあたらない。それほどまでに素早く動けるのだ。
 負傷しているとはとても思えないほどの圧倒的な戦闘力。ワイヤーアンカーが放たれるも、彼女を捉えることができない。
 牽制、という言葉もあまりにも儚い。

「捕縛されれば、フレーム毎へし折られそうです」
 見た目とは裏腹の脚力にトリテレイアは冷静に分析する。トリテレイアは、背後の愉快な仲間たちを守るために一歩も引けず、そして、『クマずきんちゃん』はトリテレイアを太陽の矢印とは逆方向に投げ飛ばそうとしている。
 トリテレイアにとっては不利な状況が続いている。
「へし折るなんて、そんな可愛そうなことはしないよ! しないよ! たぶん、ちょっとだけ痛いかも知れないけれど、本の住人になれば、痛いのも怖いのも感じなく成るからいいよね!」

 迫る『クマずきんちゃん』の瞳には期待していたわけではないが、狂気に彩られている。迫る手。あれに捕まってしまえば、如何なトリテレイアとて、脅威的な怪力でもって投げ飛ばされてしまう。
 ワイヤーアンカーや銃器も『クマずきんちゃん』を止めるには値しない。
「ですが……騎士の戦法としては行儀が少々悪いのですが……!」
 トリテレイアのユーベルコード、両腰部稼働装甲格納型 隠し腕(通常拘束モード)(ワイヤード・サブ・アーム・ノーマルスタンモード)が発動する。

 隠し腕が接近する寸前で『クマずきんちゃん』の体を掴む。だが、怪力を誇る彼女にとって、隠し腕の脆弱なフレームは振り払うのは容易い。
 振り払おうとして、捕まえられた彼女の体に電流が流し込まれる。一気に体を駆け抜ける電流に悲鳴があがる。
「擬態し伺っていたようですが……こちらは未だ見せてはいませんでしたね」
 怪力を誇る膂力も、電流の前には無意味である。
 そのまま『クマずきんちゃん』の体をワイヤー接続された隠し腕毎巻き上げ、放たれた大盾による一撃で空へと打ち上げられる。

「が、あ―――! こんなっ、こと、でぇ!」
 打ち上げられた『クマずきんちゃん』の体を貫く銃器の追撃。
 さらに落下してくる彼女をトリテレイアの剣閃の一撃が切り払う。太陽の矢印方向とは逆に、盛大にふきとばした。
 これならば、愉快な仲間たちが本の中の世界、その終焉たるエンドマークまでたどり着く時間を稼げることだろう。

 しかし、それでもトリテレイアの電脳は晴れやかではなかった。なぜならば。
「もうすこし御伽の騎士のように正々堂々戦えぬものか。この世界では悩ましさが増しますね……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

御形・菘
誰の声でも構わんし、煽り倒す実況であろうが別に歓迎したのであるがのう…質は求めるが!
ともかく! 妾は常に映像へと雄姿を収めておるのでな
残念ながら本の住人は専門外、興味もない!

危険な罠は絶対に避けようとか、そんな弱い発想を妾がするはずがなかろう? 警戒はするがな!
妾がお主をボコり倒す前に、規定回数ブン投げることができればお主の勝ち、分かりやすいルールではないか!
妾に対して力で挑みかかるのであれば、真正面から受けるのが妾の流儀よ

凝った戦略など無い! 全力の左腕で迎撃してくれよう!
はっはっは、ある程度投げられたら弱ってくる、などと慢心しては困るぞ?
さあ限界ギリギリまで、ド派手に削りあおうではないか!



『電撃と斬撃が『クマずきんちゃん』を襲う。それは猟兵の苛烈なる攻撃。その背後に負った愉快な仲間たちを護るために剣は振るわれるのだ―――』

 何処からともなく謎の声がナレーションを紡ぐ。
 このナレーションの声もそろそろ聞き飽きてきたかも知れない。御形・菘(邪神様のお通りだ・f12350)は、愉快な仲間たちと共に『本の中の世界』のエンドマークを目指す。
「誰の声でも構わんし、煽り倒す実況であろうが別に歓迎したのであるがのう……質は求めるが!」
 しかし、彼女にとって、このナレーションはあまり好みではない。
 この書割の世界のように実体のないような、無味乾燥な感情のこもらぬナレーションは、彼女の求めるものとは違ったのだ。

 そんな彼女の前に現れたのは、幽鬼のようにゆらりと傷ついた体を表す『クマずきんちゃん』。猟兵たちによって、散々に懲らしめられてきたのだろう。
「あー……! こっちにも素敵な猟兵さん! ねえ、ねえ! 猟兵さんは本の中の世界で暮らしたいでしょう? 辛いことも悲しいこともなんにもない、平穏無事な世界で暮らしたいって思うでしょう? そうでしょう?」
 その瞳は狂気に彩られていた。
 もとよりオウガとはそのようなものであるかもしれない。どれだけ見た目が可愛らしい少女の姿をしていたとしても、あれはオウガである。人の肉を喰らうモノである。

「妾は常に映像へと雄姿を収めておるのでな。残念ながら本の住人は専門外、興味もない!」
 がっちりと手と手が組み合う。
 恐るべき怪力。それは互いの膂力を誇るものであったが、同時に太陽の指す矢印方向とは真逆に投げ飛ばそうとするオウガと、それに抗う菘との拮抗を示していた。
「猟兵さん、力が強いのねぇ! 今まで私と組み合おうっていう人はいなかったから、新鮮!」
「危険な罠は絶対に避けようとか、そんな弱い発想をわら我がするはずがなかろう? 警戒はするがな!」

 互いの握りしめた手がきしみ始める。
「妾がお主をボコり倒す前に規定回数ブン投げることができれば、お主の勝ち、わかりやすいルールではないか!妾に対して力で挑みかかるのであれば、真正面から受けるのが妾の流儀よ!」
 さらに力がこもる。左腕が歪に膨らむ。ユーベルコードで強化されているはずの『クマずきんちゃん』の怪力を持ってしても、ラスボスレッドゲージモード(ラスボスレッドゲージモード)へと至った、菘を投げ飛ばすには至らない。

 その身に宿るのは、禍々しきオーラ。
 心が削られる。
 これには絶対に勝てないのだと、『クマずきんちゃん』の心をへし折りに着ているのだ。びくともしない。
「なんで―――! なんでなんでなんで! どうしてビクともしないの!?」
 癇癪を起こしたように喚く『クマずきんちゃん』。けれど、どうやっても菘の体を投げ飛ばすことが出来ない。
 確かに『クマずきんちゃん』の怪力は菘の体をきしませていた。確実に、着実にダメージが入っているのだ。

「はっはっは、体が温まってきたのう! 確かにお主の怪力は見事なものよ! だが、妾は真正面から受けるが流儀と言ったであろう!」
 そう、それは彼女のユーベルコードである。
 身にまとう禍々しきオーラは、彼女の体が傷つけば傷つくほどに比例した戦闘力を増強させる。
 同時に組み合った手から生命力を吸収しながら、戦うものだから、どれだけ『クマずきんちゃん』が力を込めようと、彼女の強化された戦闘力を上回ることはできないのだ。

「さあ―――」
「ひっ!」
 その禍々しきオーラは正に邪神そのもの。
 戦いの神に愛されたが如く、その凄絶なる笑顔をして、『クマずきんちゃん』を戦慄させる。
 体が竦む。勝てない。負ける。
「限界ギリギリまで、ド派手に削り合おうではないか!」
 菘の左腕が『クマずきんちゃん』の小さな体を持ち上げる。あ、と思った瞬間、彼女の左腕が小さな体を投げ飛ばす。

 さあ、仕切り直しだ、と言わんばかりに『クマずきんちゃん』を投げ飛ばした菘が、また彼女に飛びかかってくるオウガを期待し、手を広げて待ち受ける。
 だが、投げ飛ばした『クマずきんちゃん』が戻ってくることはなかった。
 彼女は逃走したのだ。

 彼女の纏う禍々しいオーラは、『クマずきんちゃん』の心をへし折るには、十分すぎるものであったのだから―――。

「なんじゃ、つまらぬ。ド派手な絵が取れると思ったのにのぉ……」

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・桜花
「擬態を見破れないのは、本の中に居るからでしょうか手を」

UC「桜吹雪」使用し切り刻む
高速・多重詠唱で破魔と炎の属性攻撃も行い、直線的に敵が突っ込んでくるのを邪魔する
敵の攻撃は第六感や見切りで躱す

「貴女は此処が本の中だと分かっているような戦い方をしますけれど。貴女自身が、猟書家なのでしょうか」

「欲しいと言う願いを叶えるためなら何でもする…オウガらしいオウガですね、貴女は」

「此処にアリスがいなくても。(愉快な仲間達を指差し)この子達は守るべき存在で、守ると約束しましたもの。貴女の望む童話は作らせません。骸の海へお還りなさい…何時か共存できる貴方になられますよう」
破魔と慰め乗せた鎮魂歌で送る



『心が恐怖で麻痺したとしても、それでも駆け抜ける『クマずきんちゃん』。求めるものは何処にもないけれど、それでも欲しがる心は止められないので、次なる標的を探す―――』

 ナレーションの声が淡々と事実を紡ぐ。謎の声はどこからからこの世界を覗き見ている存在のものであるのか。
 それは未だ要として知れず。しかし、圧倒的な猟兵たちの力の前に『クマずきんちゃん』は敗走していると言っても間違いではなかった。
 逃げなければ、あんなに怖いものからは。
 でも、それでも。欲しい。本の中の世界、その住人をもっと増やしたい。

「優しそうなお姉さん―――……あなたなら、本の世界の住人になってくれるよね? ね?」
 その瞳は狂気に彩られていた。けれど、すがるような瞳をしていた。
 それが擬態であると断じられるものではあったが、目の前に対峙する猟兵―――御園・桜花(桜の精のパーラーメイド・f23155)の見返す瞳は、その擬態すらも見通すようなものであった。
「擬態を見破れないのは、本の中に居るからでしょうか」
 ミミクリープラントもそうであったが、本の中の世界に元より居た存在であるからか、彼等オウガは太陽の示す矢印方向とは無関係に動き回っていた。
「ねえ、いいでしょう! 一緒に本の中の世界で暮らそうよ!」
 桜花の思考を詐欺るように『クマずきんちゃん』が襲いかかる。その恐るべき怪力を持って、桜花を無理矢理にでも本の中の住人へと変えようというのだ。

 あの怪力に組み付かれてしまえば、矢印とは逆方向に投げ飛ばされてしまうのは想像に難くない。
 そうなってしまえば、生命力を失い、桜花もまた本の中の住人となってしまうだろう。
「貴方は此処が本の中だとわかっているような戦い方をしますけれど。貴方自身が蝋書家なのでしょうか?」
 その問いへの答えは『クマずきんちゃん』から返ってくるものではなかった。
 わかっていたことであるが、答えの代わりに伸ばされるのは怪力の手。桜花に掴みかかり、投げ飛ばそうとする悪意の手だ。

 それを振り払うように、彼女のユーベルコード、桜吹雪(サクラフブキ)によって変じた無数の桜の花弁が『クマずきんちゃん』の体と桜花の体の間に入り込んで阻害する。
「欲しいと言う願いを叶えるためなら、何でもする……オウガらしいオウガですね、貴女は」
 だからこそ、それを叶えることはできない。
 その願いは他者を害するものである。それを許容できるほど、桜花自身が全てを持っているわけではない。
 彼女に出来ることは―――。

 桜花嵐が吹きすさぶ。
 『クマずきんちゃん』の体を包み込む桜の花弁達。それは花弁でありながら、桜花の武器が変じた姿。
 無数の花弁がオウガの体を切り刻み、裁断するように散り散りにしていく。
「此処にアリスがいなくても―――」
 その瞳は、その背に負った愉快な仲間たちを指し示す。
「この子達は護るべき存在で、守ると約束しましたもの。貴女の望む童話は作らせません」

 最後まで『クマずきんちゃん』は桜花へと手を伸ばす。
 けれど、その手が桜花の体へと触れることはない。桜花嵐がオウガの体を切り刻み、霧散させていく。
「骸の海へお還りなさい……何時か共存できる貴女になられますよう」
 伸ばされた手の一片までも桜の花弁が切り刻んだ時、本の中の世界に歌が響き渡る。

 物語の終焉を告げる声がナレーションのように聞こえる。
 だが、そのナレーションを遮るようにいつまでも、叶うことのない望みへの慰撫とするように鎮魂歌が響き渡っていたのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月18日


挿絵イラスト