6
未来を育む農場造り

#アポカリプスヘル

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アポカリプスヘル


0





 アポカリプスヘルという世界は、オブリビオン・ストームによって全てが壊滅してしまった世界。
 多数発生するオブリビオンが襲ってくる中でも、人々はたくましく拠点を築き、禁忌のオーバーテクノロジーを使ってでもこの世界で生き抜こうとする。
 ここしばらく、アポカリプスヘルへと現れた猟兵の活躍により、オブリビオンを討伐して拠点を守る事例が増えた。
 それもあって、この世界の人々も少しずつ未来への希望を取り戻しつつある。
「場所によっては、拠点の外に食料を確保する為に大規模な農場を築く人達も出始めたようね」
 グリモアベースにて、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)はアポカリプスヘルの近況について語る。
 とはいえ、オブリビオン・ストームという根本的な残っている以上、農場が吹き飛んでしまう可能性は否めない。
 それでも、せめて襲い来るオブリビオンからだけは護り、農園の維持に協力してあげたい。
「どうやら、その農園にオブリビオンの集団が襲ってくるようなの」
 すでにセレインは敵襲が起こる予知を視たらしく、その討伐を猟兵達と頼みたいとのことだ。

 現状、農園は開墾が進み、戦車を改造した農業機械をメインに使って畑を耕してトウモロコシ、キャベツ、キュウリなどの種まきをしている。
 そこに現れるのは、『禍神さん家のギョロちゃん』という名をした犬のような生物の分裂体の集団である。
 多数の瞳が浮かぶ不気味な姿をしており、ビームを放つことができるようだ。
 またその瞳には相手を拘束する力がある他、洗脳することもできるらしい。しかもその効果は生物だけでなく、機械にも及ぶという。
「農作業を行う人や農業機械にユーベルコードが及ぶと厄介ね」
 この為、できるだけ畑へとギョロちゃんの集団……オブリビオンが立ち入る前に殲滅したいところだ。
 またこのギョロちゃん達を指揮しているのは、『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式という名のボス。
 実験体であるこの指揮官は幸福の為と称して、触手を突き刺した相手を洗脳する肉塊に変え、あるいは体内にため込んだ汚泥をぶち撒けてくる。
 両者の関係性は不明だが、実験体がギョロちゃん達を従えている状況であり、築かれた農園を破壊しようとしているのは間違いなさそうだ。
「折角出来上がった農園を破壊させるわけにはいかないわ」
 だから、襲い来るオブリビオンの討伐を。
 セレインはそう猟兵達へと願い、説明を終えたのだった。


 とある拠点の脇に築かれた農場。
 そこで始まった農園での農作業、拠点に缶詰めだった人々にとって解放感に満ちた大仕事。
 オブリビオンとの戦力になれない大人だけでなく、拠点での遊びにも飽きた子供達も興味津々になってその手伝いを行う。
 拠点から外に出て広がる農園は、アポカリプスヘルで生きる住民達にとっては未来を感じさせる場所なのだ。
 だが、その未来への芽を摘み取ろうと、オブリビオンはどこからか嗅ぎ付け、破壊すべくやってくる。
 オブリビオンも一枚岩ではなく、私利私欲の為に奪う者、ただ暴れたいだけの者、完全なる破壊を望む者と様々だが、そいつらはそのどれも違ったようで。
「仲間、仲間増えるといいな!」
「どんな仲間が増えるか楽しみ」
 それらは4つ足で歩く犬を思わせる生物。
 しかし、多数の身体の複数個所に目玉があり、周囲にも目玉を浮遊させる生物が犬であろうはずもない。
 その生物の名は、『禍神さん家のギョロちゃん』と呼ばれる。
 禍神さんが誰かは不明だが、ギョロちゃんの群れは楽しそうに荒野を駆け回り、仲間を増やそうとしている。
 それらを率いているのは、これまだ不気味な泥を纏った女性と思しき人物。
 彼女が禍神さんかと思われたがそうではなく、『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式という名の実験体であるらしい。
「大丈夫、キット仲間ガ増エマスヨ」
 汚泥の中で目を光らせる実験体はうつろな表情で、じっと前方を見つめる。
 そこには、楽しそうに人々が農作業を行う農園が広がっていたのだった。


なちゅい
 猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
 当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
 アポカリプスヘルのあちこちで農場を作る動きが見られます。ただ、大規模農場が作られている場所へとオブリビオンが襲来してくるようですので、守っていただきますよう願います。

 第1章:集団戦シナリオ、『禍神さん家のギョロちゃん』の集団の討伐を願います。
 第2章:ボス戦シナリオ、『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式の討伐を願います。
 第3章:日常シナリオ、『アポカリプスで農業を』。
 トウモロコシ、きゅうり、キャベツなどの種を植えようとしております。皆様で協力し、作業を進めて頂ければと思います。

 第1章は14日の執筆を予定しています。14日朝9時半までにプレイングを頂けますと幸いです。その後はできる範囲で採用させていただきます。
 章間はプレイングの幅を広げる為の情報を加筆します。
 その最後に、次の締め切りに関しまして記述させていただきますので、ご確認の上でプレイングを頂けますと幸いです。
 なお、第1章に断章執筆の予定はありません。

 シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
 それでは、行ってらっしゃいませ。
143




第1章 集団戦 『禍神さん家のギョロちゃん』

POW   :    ちみたちー!こっちきてー!
【ギョロちゃんを助けて! 】という願いを【洗脳中の生物や機械】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD   :    ちみ、戦うのたのしんでるでしょ!
質問と共に【洗脳、拘束能力のある寄生型の瞳 】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    なんでギョロちゃんの友達を殺すの?
対象への質問と共に、【ギョロちゃんの口 】から【小さなギョロちゃん(敵のレベル×1体)】を召喚する。満足な答えを得るまで、小さなギョロちゃん(敵のレベル×1体)は対象を【瞳から出すビーム】で攻撃する。

イラスト:橡こりす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


(14日朝までの受付予定でしたが、クリアーに達しない状況の為、受付続行中です。現状、14日夜20時を目途に執筆開始を想定しております)
(14日20時現在、執筆を開始しておりますが、15日0時までプレイング受付は可能です。よろしければご参加くださいませ)
(15日0時現在、プレイング受付続行いたします。現状、追加のご参加 or 15日朝まで受付を延長中です)
薙沢・歌織
【WIZ】
アポカリプスヘルへは今回初めて訪れます。
この世界に差し始めた光が閉ざされないよう、私も一人の猟兵として農場を守りましょう。髪飾りの【戦闘知識】から調べた今回の敵は…また、変わった命名ですね。

何故あなたの友達を殺すのか?
私は猟兵として来た以上、住民達の自立性をオブリビオンから守る使命があります。それにこの過酷な弱肉強食の世界では、私自身の身は私で守る必要がありますからね。

無数の目玉をなぎ払うは【灼熱の想い】。【ダッシュ】で敵の攻撃を避けながら接近し、エレメンタルオーブの炎【属性攻撃】と緋炎剣の【範囲攻撃】で増幅された緋炎の剣閃で【切り込み】を!逃れた敵は精霊銃の【誘導弾・範囲攻撃】で!


蛇塚・レモン
あたいも農作業に携わっている身だから、せっかく収穫間近の作物を荒らされる悔しさはすっっっごく身にしみて解るよっ!
絶対に農場を守ってみせるよっ!

う~ん、なんか敵がキモいんだけど……

何で殺すかって?
農家が丹精込めて育てた畑を荒らす害獣は殺すべしっ!
慈悲はないっ!!
あと、わらわら召喚するの禁止~っ!

黄金霊波動全開で蛇神様を召喚
蛇神様に邪眼の破壊念動波を乱れ撃ちしてもらうよ
破壊念動波は本体のUCと動きを封じる効果があるから、
召喚物ごと本体を衝撃波で範囲攻撃&マヒ攻撃で破壊!
あたいの怒りと一緒にライムの魂魄を蛇腹剣に憑依させ、
全力魔法の炎属性+捨て身の一撃の薙ぎ払いで鎧無視攻撃!

早く親玉出てこーいっ💢


エル・クーゴー
●POW



躯体番号L-95、アポカリプスヘル指定座標に現着

オーダー、農園のタワーディフェンス
これより迎撃を開始します

敵ユーベルコードの分析を開始――完了しました

対抗プロトコルの構築を開始
>完了しました
>実行します


・アームドフォートの搭載火器に【メカニック】で副砲を増設
・【フルバースト・マキシマム】時の【一斉発射】を【2回攻撃】化させる【武器改造】を

・【空中戦】用バーニアで発進、敵群中央へ低空飛行で切り込む
・半径78m内により多くの敵を捕捉した瞬間に全敵性を照準し【フルバースト・マキシマム(誘導弾+範囲攻撃+蹂躙)】発動、そして即時離脱

・対抗策、それは即ち「助けて」と思わせる間も与えない一挙殲滅


メルフローレ・カノン
オブリビオンから農場を守りましょう。
一般人にも被害が出ないようにしないといけませんね。
やってくる敵は何とも形容しがたい姿ですが……
ともあれ、全力で行きますよ!

私の得物はメインがメイスで、サブが剣で、
[怪力][力溜め]の上でぶん殴ります。
敵が配下や機械などにより沢山やってきたら
[2回攻撃][なぎ払い]で一気になぎ払いましょう。
また、【神の見えざる手】により、遠くの敵を吹き飛ばしたり
農場から遠ざけるように引きはがしたりします。
「神よ、その奇跡の御手を、暫しお貸しください……」

敵のレーザー攻撃は[武器受け][盾受け][オーラ攻撃]で耐えます。
相手の問いには[勇気]をもって答えながら戦いましょう。


華上・ユーディ
ほい、アポカリプスヘルで
不穏な動きが・・・。

不穏分子が増える前にお掃除を致します。

◼️戦闘◼️

POW選択
 

戦闘中、敵の注意を引きつけるオトリ役になりつつ。

敵の懐に入るため
【野生の勘】を頼りに攻撃を避け。

ピンポイントで【ダッシュ】と
【ジャンプ】を使いギョロちゃんの中心部に潜ります。


そして
「持ち上げまーす。」
 禍神さん家のギョロちゃんの「ちみたちー!こっちきてー!(POW)」に対し、ユーベルコード「デンジャラススイング(デンジャラススイング)」を使い増えた仲間を一掃致しまする。




 アポカリプスヘルの荒野に降り立つ猟兵一行は、自分達の背後に広がる農園を見回す。
 現状、ようやく畑が形になったところで、野菜や穀物の種まきを始めるところのようだ。
「アポカリプスヘルは今回、初めて訪れます」
 穏やかな性格の魔法騎士、薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)はこの荒んだ世界を眺め、緑が少しずつ見え始めている背後の農園を見つめる。
 ある程度、事前知識としてアポカリプスヘルの情報を仕入れていた彼女だが、こうして築かれた大規模農場が拠点に住む人々にとって希望の種となっていることを感じて。
「この世界に差し始めた光が閉ざされないよう、私も一人の猟兵として農場を守りましょう」
 歌織に同意しつつも頬を膨らませていたのは、金髪オッドアイの蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)だ。
「折角手間暇かけて育てた収穫間近の作物を荒らされる悔しさは、すっっっごく身にしみて解るよっ!」
 レモンも普段から農作業に携わっているそうで、絶対に農場を守ってみせると人一倍強い気概でこの依頼に臨む。
「農場を守るのはもちろんですが、一般人にも被害が出ないようにしないといけませんね」
 清楚な黒髪ストレートの聖女、メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)は農作業に勤しむ人々を気にかける。
 生き生きとしながら畑を耕し、野菜の種まきを行う人々。
 この世界に住む人々の希望の芽を、オブリビオンなどに摘み取らせるわけにはいかないと、メルフローレは再確認するのだった。

 程なくして、こちらへと向かってくる一団の姿を、猟兵達は視認することになる。
「仲間、仲間増えるといいな!」
「どんな友達が増えるか楽しみ」
 それらは4つ足で歩く犬を思わせる生物なのだが……。
「今回の敵は……また、変わった命名ですね」
 歌織がそう感じるのも無理はない。
 髪飾りから引き出した【敵情報】によると、向かってくるオブリビオン集団の名前は、『禍神さん家のギョロちゃん』。
 禍神さんなる存在が不明なのはさておき。
 それらは、全身に紋様のような模様が刻まれた体の側面や口の中に目玉があり、さらに身体の周囲にも不気味な目玉を浮かばせた生き物だ。
「う~ん、なんか敵がキモいんだけど……」
 害獣討伐と気合いを入れていたレモンが、その見た目のグロテスクさに少しトーンダウンしてしまう。
「何とも形容しがたい姿ですが……ともあれ、全力で行きますよ!」
 一方で、メルフローレはオブリビオンである敵に感情は抱かずに、握りしめた『メイス』を全力で叩きつける構えだ。
「躯体番号L-95、アポカリプスヘル指定座標に現着」
 そこで到着した女性型ミレナリィドール、L-95ことエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)は素早く周囲の状況を確認して。
「オーダー、農園のタワーディフェンス。これより迎撃を開始します」
 すでに、近づいてきているオブリビオン『禍神さん家のギョロちゃん』と対するべく、エルは敵の分析を始める。
「あっ、あれかなー?」
「ちみたちー、こっちこっちー」
 ギョロちゃん達は楽しげに駆けてくるが、オブリビオンの群れが迫ってくれば、農作業を行う人々も溜まったものではない。
「おい、オブリビオンが来るぞ!」
「逃げろ、巻き込まれるぞ!!」
 折角、形にした畑が荒らされてはたまらないが、命あっての物種。人々は悔しそうに拠点へと戻っていく。
「ほい、アポカリプスヘルで不穏な動きが……」
 続いてこの地へと現れたのは、赤茶髪に白衣着用の華上・ユーディ(は一般人・f02310)。
 後進の育成の為に当たっているユーディだが、今回は呼びかけに応じて駆けつけたていた。
「不穏分子が増える前にお掃除を致します」
「敵ユーベルコードの分析を開始――完了しました」
 ユーディも向かい来る敵を視認している間に、エルは戦闘準備を整えていて。
「……対抗プロトコルの構築を開始」
 >完了しました。
 >実行します。
 エルは独り言のように対オブリビオン戦の準備を整えるべく、武装を展開していくのである。


 てくてくと駆けてくる黒い4本足のオブリビオン、『禍神さん家のギョロちゃん』の群れ。
 だが、それらの身体と周囲に浮かぶ丸い瞳が不気味さを感じさせる。
「ちみたちー! こっちきてー!」
 ギョロちゃん達は周囲の生物、機械を洗脳しようと呼びかける。
 ただ、猟兵達がその群れを先に抑えており、畑から逃げる人々や農業機械へと洗脳を及ばせない。
 メルフローレはギョロちゃん目がけ、【力を溜めて】から『メイス』を振り上げた。
「仲間を増やさせはしませんよ!」
 彼女が【怪力】で殴りつけると、目玉は地面に落下し、ギョロちゃん本体も潰れてしまう。
 攻撃を開始すれば、ギョロちゃん達も殺気立ってきて。
「あー、友達がー」
「駄目だよ、それ以上やらせないよ!」
 ギョロちゃん達は多数ある目玉で攻撃を始め、猟兵達を睨みつけてくる。
 目玉によっては猟兵達を撃ち抜こうとビームを放つ。
 メルフローレはそれらの攻撃を【『メイス』や『ラウンドシールド』で受け止め】、間に合わない場合は全身を覆う【オーラ】で耐えていた。
 ユーディも【野生の勘】を頼りにギョロちゃんの攻撃を避けつつ【ダッシュ】し、オトリ役として敵の注意を引き付けようと動く。
 仲間達が直接ギョロちゃん達を抑えにかかる中、エルはギョロちゃんの群れの迎撃の為に武装を展開していく。
 『L95式アームドフォート』へと搭載した火器に、彼女は【メカニック】で副砲を【武器改造】によって増設していたのだった。
 
 その一方で、別方向にいる猟兵達へ、ギョロちゃんの群れの一部が尋ねる。
「なんでギョロちゃんの友達を殺すの?」
 その質問はユーベルコードのトリガーともなっており、ギョロちゃん達は口の中から多数の小さなギョロちゃん達を呼び出してくる。
 しかも、その小ギョロちゃん達は相手が強ければ強い程、その数が多くなり、瞳からビームを放って攻撃も行うのだ。
「何故、あなたの友達を殺すのか?」
 歌織が真剣な表情で、小さなギョロちゃんを増やす敵の問いかけに答える。
「私は猟兵として来た以上、住民達の自立性をオブリビオンから守る使命があります」
「それでー?」
 今にもビームで歌織を狙い撃とうと、小ギョロちゃん達が構えを取っている。
「それにこの過酷な弱肉強食の世界では、私自身の身は私で守る必要がありますからね」
 歌織の説明は猟兵としては当然ではあるのだが、ギョロちゃん達がそれで満足するはずもなく。
「理不尽だよ、許さない!」
「目からビーム!」
 一斉に攻撃を開始してくる目玉の攻撃を、歌織は【ダッシュ】で避けながら接近して。
「平穏に心馳せる我が灼熱の想い、花びらに乗せて届け……!」
 歌織は自身の武器を無数の燃えるポインセチアの花びらに変え、無数浮かぶ目玉を薙ぎ払っていく。
「なんでギョロちゃんの友達を殺すの?」
 レモンもまた、ギョロちゃん達から同じ質問を投げかけられていた。
「何で殺すかって? 農家が丹精込めて育てた畑を荒らす害獣は殺すべしっ!」
 慈悲はないと、レモンはユーベルコードによって黄金霊波動を全開にして。
「あと、わらわら召喚するの禁止~っ! 蛇神様っ! あいつにお仕置きしちゃって!!」
 姿を現した白い蛇神様は、レモンの願い通りに邪眼の破壊念動波を乱れ撃ちしてもらう。
 【広範囲】に放たれた破壊念動波は、本体のユーベルコードを封じるだけでなく、【衝撃波】を伴った【マヒ攻撃】によって動きを封じてくれる。
「からだが……」
「目玉が動かないよー」
 これだけではレモンの怒りは収まらず、ギョロちゃん殲滅の為に『蛇腹剣クサナギ』を強く握るのである。


 とりわけ、猟兵達からの働き掛けもなかったこともあり、農園を守るように奪還者達が布陣し、畑を守ろうと戦闘態勢を取り始める。
「「ちみたちー! こっちきてー!」」
 禍神さん家のギョロちゃんの集団は、仲間を増やそうと洗脳効果のある瞳を差し向けてきた。
 しかしながら、ユーディはその視線をしゃがんで避けて。
「持ち上げまーす」
 流れるままにユーディはギョロちゃんの体を掴み、大きく振り回し始める。
「うきゃー」
「ばたんきゅー」
 思いっきりユーディに振り回され、地面に叩きつけられたギョロちゃん達が目を回して倒れていく。
 ユーディはさらに別のギョロちゃんの脚を握り、同じようにジャイアントスイングで敵を一掃しようとしていた。
「ちみ、戦うのたのしんでるでしょ!」
 戦う猟兵達へ、1体のギョロちゃんが叫ぶ。
 すると、質問と同時に浮遊する寄生型の瞳が相手に憑りつき、洗脳、高速しようとしてくる。
 真実を言わなければ、ダメージを受けてしまうこのユーベルコード。メルフローレに真実を言わない手はない。
「そんなことありません!」
 彼女は【勇気】をもって返答し、数で押し寄せてくる相手へと『メイス』を叩きつけていく。
 さらに、メルフローレは両刃の直剣『グラディウス』に持ち替え、【連続】して敵の体を【なぎ払う】。
「「うきゃー」」
 蹴散らされ、仲間が減っていくのを見たギョロちゃん達は、仲間を増やそうと畑の方に着目する。
「あっちに人いっぱいいるよー」
 農園へと移動しようとし始めた敵を確認し、メルフローレが祈りを捧げて。
「神よ、その奇跡の御手を、暫しお貸しください……」
 メルフローレの【神の見えざる手】によって、ギョロちゃん達へと拳や蹴りを放ち、農場へと興味を示す相手を引き剥がそうとしていた。

 その後、猟兵達は攻勢を強め、ギョロちゃん達の殲滅を急ぐ。
 攻撃態勢が整ったエルは『L95式バトルスーツ』からバーニアを展開し、【空へと飛びあがる】。
 低空飛行で敵軍中央まで切りこんだ彼女は自身の攻撃射程内により多くの敵を捕捉した瞬間、全適性を照準に収めて。
「フルバースト・マキシマム、スタンバイ……シュート」
 先程、改造したアームドフォートから【連続】してエルは【範囲攻撃】を行う。
 射出された砲弾は【誘導弾】となり、全てのギョロちゃんを逃さず【蹂躙】していく。
「「ああーー」」
 助けてと思わせる間も与えず、エルは敵集団を一挙に高火力で殲滅する。
「ダメだー」
「仲間がー、友達がー」
 ほとんどの仲間達が爆撃で、殴打で、斬撃で倒れ、エルの照準から外れていたギョロちゃん達は大慌て。
 近づいたそれらの敵へ、歌織は『エレメンタルオーブ』で【炎属性】を強化し、『緋炎剣アメノホアカリ』を横薙ぎに振るう。
 【広範囲】に放たれた緋炎の剣閃で歌織は【切りこみ】、ギョロちゃん本体も目玉も切り裂き、燃やしていく。
「ああー」
「友達がー、ああーぼくまでー」
 不気味な見た目のギョロちゃん達だが、元は仲間達と一緒にいたい、仲間をもっと増やしたいという気持ちは純粋な気持ちだったのだろう。
 だが、オブリビオンとなったことでその気持ちは歪められ、相手の思考を奪ってでも自分達の友達にしようとしていた。
 そんな敵の体に緋炎の斬撃を浴びせかける歌織は、逃した敵もしっかりと『精霊銃フュルギア・改式』から【広範囲】に【誘導弾】を放って仕留めていく。
 他方では、蛇神様が邪眼の破壊念動波を乱れ撃ちしたことでギョロちゃん達が動きを止めていて。
「ライム、出番だよっ!」
 そいつら目がけ、レモンは腹違いの妹、ライムの魂魄を『蛇腹剣』へと憑依させ、【全力】かつ【捨て身の一撃】で仕掛ける。
「畑は荒らさせないよっ!」
 燃え上がる蛇腹剣が伸び、片っ端からオブリビオンを【なぎ払い】、【防御も無視して】その体を切り裂いていく。
「もう、だめ……」
 ポトリと地面に落ちる目玉が爆ぜ、最後のギョロちゃんが倒れたのをレモンは確認して。
「早く親玉出てこーいっ💢」
 なおも怒りは冷めやらず、レモンは大声でこの集団を率いていたと思われるボスへと叫びかけたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式』

POW   :    世界ノ全テヲ幸福デ満タシマショウ
【物質・非物質を問わず強制同化する汚泥】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【をレベルm/分の速さで侵食する腐海と化し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    大丈夫、分カリ合エナイ筈ガアリマセン
命中した【対象と強制結合し、再生力にも秀でた性質】の【レベルの二乗本の不定形で悍ましい触手】が【生命体・非生命体を問わず洗脳する肉塊】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
WIZ   :    如何シテ私ニ酷イ事ヲスルンデスカ?
【自身のレベルm半径内を満たす腐海の汚泥】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、自身のレベルm半径内を満たす腐海の汚泥から何度でも発動できる。

イラスト:綿串

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は黒玻璃・ミコです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 アポカリプスヘル某所のとある拠点側。
 荒野に築かれた農園を襲撃してきたのは、多数の目玉を浮かび上がらせた四本足のオブリビオン『禍神さん家のギョロちゃん』の集団だった。
 目玉からの眼力による洗脳、束縛、またはビームといった攻撃を仕掛けてくるこの集団を見事に殲滅した猟兵達であったが、まだ気を抜くことができない。
 ギョロちゃん達に統率ができるような個体はいなかった。
 本能のままに行動するオブリビオン達だけでなく、それを率いるボスがいると見るのが自然だ。
 実際、戦闘態勢を維持したままの猟兵達の前に、強力なオブリビオンが姿を現す。
「彼ラハ仲間ヲ増ヤセナカッタノデスネ」
 カツカツとハイヒールの足音を鳴らして歩いてきたのは、全身に汚泥を纏った女性オブリビオンだった。

 その女性は、とある研究機関で生み出された実験体。
 名前は、『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式と名付けられており、個体としての本名は不詳だ。
 かつて、世界を浄化する為に生み出されたそうだが、失敗作であるこの実験体はオブリビオンとなり果ててしまった。
「貴方達トモ、キット分カリ合エルハズデス」
 ある意味で、仲間を増やしたいと考えるギョロちゃん達と似た思考を持つ相手だが……。
 彼女にとって目の前の畑、拠点の破壊はもちろんのこと、世界全てを汚泥に見たそうと考えている分、質の悪い相手だ。
 この実験台は世界を汚泥に包んで自らと強制同化しようとしたり、汚泥の中から伸ばした悍ましい触手を突き刺した相手を洗脳したりしてくる。
 また、汚泥で相手のユーベルコードを受け止めることで、コピーできる能力も持っており、一筋縄で倒せる相手ではない。
「サア、世界ノ全テヲ幸福デ満タシマショウ」
 とてもじゃないが、世界丸ごと災厄で満たそうとするオブリビオンを放置できようはずもない。
 こちらの言い分などまるで聞く素振りはなく、己の主張をごり押ししようとするその実験体を止めるべく、猟兵達は再び交戦を行うのである。

(※今回は、6月18日朝8時30分までの予定で受付しております。その後の受付分は間に合う分のみ対応致します)
コーデリア・リンネル(サポート)
 アリス適合者の国民的スタア×アームドヒーロー、13歳の女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、機嫌が悪いと「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。

内気な性格のため、三点リーダーや読点多めの口調になります。
ですが人と話すのが嫌いでは無いため、
様々な登場人物とのアドリブ会話も歓迎です。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


十文字・真(サポート)
14歳の中学生です。思春期なため女子に興味津々です
 基本の口調は「厨二(我、貴様、だ、だな、だろう、なのか?)」、素で話す時は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」です。当て字、横文字、妙に難しい言葉が好きです
常に厨二な感じで喋りますが色々未熟な為時折素の口調が出てしまったり、「それ厨二?」な事を言ったりもします。笑い方は「くくく…」です
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




 カツ、カツ……。
 埃舞い、乾いた荒野に響くハイヒールの足音。
「彼ラハ仲間ヲ増ヤセナカッタノデスネ」
 女性であるようだが、それをほとんど感じさせないのは、彼女が纏っている汚泥のせいだろう。
「くくく……、泥を操る実験体……怪しげな陰謀の臭いがするな!」
 サポーターとして駆けつけた十文字・真(十字神(クロス・ゴッド)・f25150)は、目の前の相手に含み笑いをして身構える。
 この場に現れたのは、『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式という実験体だ。
「……すごい臭いね」
 フリフリ衣装を纏うアリス、コーデリア・リンネル(月光の騎士・f22496)が鼻を覆う。
 そいつが纏っている泥が汚染物質を含んでいるせいだろう。
 世界を浄化する為に生み出されたという彼女だが、皮肉なことにオブリビオンと成り果てている。
「貴方達トモ、キット分カリ合エルハズデス」
 彼女はその汚泥で世界を包み込み、自身と同化させようと考えている。
 両手を広げるそいつは薄暗い笑みを浮かべ、こう言い放つ。
「サア、世界ノ全テヲ幸福デ満タシマショウ」
 次の瞬間、実験体は周囲……人々の拠点、畑、猟兵達に至るまで全てを腐海へと沈めようと、汚泥を飛ばしてくるのだった。


 自身の存在が世界の害になっているという考えなど、この事件体……『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式には全くない。
「サア、モットオ互イヲ分カチ合イマショウ……」
 彼女は自らの放つ汚泥が世界を救うことができると本気で考えているのだろう。
 なぜなら、この実験体はそういう風に作られたから。
 しかし、サポートに駆けつけた2人の14歳の少年少女には、それは単なる汚染物質にしか見えず。
「冗談じゃない。そんなので世界を汚させはしない!」
 真が迎撃にと動き、羽を生やした美しい女性の天使に騎乗し、飛んでくる汚泥を避けようとする。
 すかさず、実験体は素早く悍ましい触手を伸ばして天使の身体へと巻きつけ、洗脳する肉塊となって結合しようとしてきた。
「くそっ、放せ!」
 真は右手に燃え上がらせた炎で肉塊を焼き、洗脳から天使を解除する。
 さらに、真は実験体にもその黒炎を飛ばしていくが、敵は汚泥を巻き上げて盾として防いでしまう。
「あなたと一緒なんて……」
 コーデリアは【重武装モード】へと変形し、浴びせかけられる汚泥によるダメージに耐えながら、『夢幻槍』を振るって泥を切り裂きながらも、実験体本体へと斬撃を浴びせかける。
「……絶対にごめんよ」
 やや、怒り交じりにコーデリアが繰り出す一閃。
 それに体を裂かれた実験体目がけ、真も黒炎を直接撃ち込むと、ジュッと泥が焦げる嫌な臭いが周囲に漂う。
「大丈夫。キット理解シ合エマスカラ……」
 血を流し、体を焦がした実験体はなお微笑みを絶やすことなく、内から汚泥を放出してくるのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メルフローレ・カノン
親玉のオブリビオンが登場ですね。
やはり、姿も思考も私には理解しかねますが……
いずれにしても、農場と一般人を守るため、ここで食い止めます。
それでは……全力で行きますよ!

まずは【祝福の光】で飛行能力を得て、敵の汚泥攻撃をかわします。
また、汚泥が農場に向くと農場が汚染されるので、
空中に飛んだり[おびき寄せ]も活用して
敵の意識と攻撃を農場からそらします。

その上で、
私の得物はメインがメイス、サブが剣で、
[力溜め][怪力]の上で[2回攻撃][傷口をえぐる]で
思いっきり攻撃しましょう。

敵の攻撃をかわし切れなければ
[オーラ防御][呪詛耐性]で耐えます。
あと、ピンチの人は[かばう]で守りましょう。


白斑・物九郎
●POW



掛かって来なさいや、汚泥の女王
砂嵐の王が相手ンなってやりまさァ

ワイルドハント、白斑物九郎
アポヘルの壊れた人形を狩りに来た


・【ワイルドドライブ】発動
・フォースオーラ『モザイク状の空間』を、参拾五式目掛け畳み掛けるよう、扇状に広域展開
・モザイク(迷彩+蹂躙)の混沌たる力を以って敵POWの侵食力に真っ向対抗する

・汚泥に命中されたら、強制同化に捉われる前に自身の体のその部位をモザイクで洗い流さん
・腐海に変えられた地形も、モザイクで上書きして相殺せん

・領域の支配合戦を演じる傍ら【野生の勘】で攻撃を徹せる緩急と射線を見出す
・『心を抉る鍵(小)』を指弾で射出(早業+投擲)、出し抜けに参拾五式を狙う


薙沢・歌織
【WIZ】
『実験体参拾五式』。失敗作として捨てられ、過去の亡霊と化してなお本来の使命を果たそうとする…。哀しい存在ですが、今を生きる者達に必要なのは「未来」です。

戦闘前に【魔力溜め】し魔力に余裕を持たせます。地面の汚泥を避ける為基本は【空中浮遊】。
戦闘開始後【先制攻撃】でUC【汝に救いの光を】を汚泥へ放ちます。これは自分を癒やせず、使うと疲労する性質も引き継がれるはずです。

本体へは空中・遠距離から魔導砲の炎【属性攻撃・範囲攻撃】での【砲撃】連射、汚泥を焼き払いながら攻撃。
レイン・クロイン、魔法モード!大型火炎弾発射!
敵の攻撃は【ジャンプ】で高度を上げて避け、間に合わなければ【オーラ防御】です。


蛇塚・レモン
出たな~っ、黒幕っ!
みんなが頑張って育てた農作物を汚い泥まみれにしないでよねっ!

畑に泥が流れ込まないように塞き止めないとっ!
蛇神様、いっくよ~っ!
UCで超巨大化!
そのまま、とぐろを巻いで身体を迷路化
泥を完全に迷路の中に閉じ込めるよっ!
出口も土属性の全力魔法で塞いじゃえっ!
迷路の中は念動力+衝撃波、精神攻撃+催眠術、マヒ攻撃+呪詛の三重苦
迷路の中で迷路のUCを発動しても黒幕が迷うだけ
そのまま封殺しちゃえっ!

蛇神様が侵食されないように、あたいは蛇神様に触れて破魔と環境耐性と狂気耐性を練り込んだ黄金霊波動(オーラ防御)を送り込んで守るよっ!

1つになる?
もうここのみんなの心は、最初から繋がってるよっ!




 サポーターの2人が幾度か攻防を続けた後、『禍神さん家のギョロちゃん』を殲滅したメンバー達が駆けつけてくる。
「親玉のオブリビオンが登場ですね」
 両家の令嬢、メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)は倒すべき敵を見据え、表情を険しくする。
 それも致し方ないこと。相手は汚泥で包まれ、臭気も漂わせているのだ。
「出たな~っ、黒幕っ!」
 そう相手に叫んだのは、折角作った農園が破壊されるのを見過ごせないと、この依頼を受けていた蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)だ。
「みんなが頑張って育てた農作物を汚い泥まみれにしないでよねっ!」
 ビシッと相手へと言い放つレモン。
 ただ、オブリビオンとなった実験体……『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式はじっと猟兵達の方を見て微笑みを浮かべる。
「気ニシナクテイイノデス。全テ幸福デ満タサレル」
 その実験体に全ての反論は通用しない。根本的に、猟兵達と考えが異なるのだ。
「『実験体参拾五式』。失敗作として捨てられ、過去の亡霊と化してなお本来の使命を果たそうとする……」
 清楚な黒髪女学生、薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)は、調べた目の前の相手の情報を淡々と口にして。
「哀しい存在ですが、今を生きる者達に必要なのは『未来』です」
 その歌織の持論にも実験体はただ微笑みを湛えて。
「未来永劫、皆ト共ニアレバ、苦モナク暮ラスコトガデキマス」
「やはり、姿も思考も私には理解しかねますが……」
 『メイス』を強く握りしめた、メルフローレが言い放つ。
「いずれにしても、農場と一般人を守るため、ここで食い止めます」
 そこで、仲間達の言葉を黙って聞いていた褐色肌の猫のキマイラ、白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が前に出て。
「ワイルドハント、白斑物九郎。アポヘルの壊れた人形を狩りに来た」
 すぐに、彼は目の前のオブリビオンへ敵意をむき出しにして。
「掛かって来なさいや、汚泥の女王。砂嵐の王が相手ンなってやりまさァ」
 ユーベルコードによって、物九郎はモザイクに覆われて膨れ上がった右腕をさらす。
 【祝福の光】で全身を覆うメルフローレも宙に浮かび上がって。
「それでは……全力で行きますよ!」
 実験体が早速飛ばしてくる汚泥を避けつつ、メルフローレは敵の注意を引きつけ始めるのである。


 空中をぐるぐると円を描いて躍る汚染物質。
 泥状になったそれは、実験体参拾五式の意思に従い、猟兵達を飲み込まんとして襲い来る。
 襲い来る汚泥から逃れ、空中を飛び回るメルフローレ。
 彼女は拠点の人々が守ろうとする農場へと汚泥が及ぶのを避けるべく、相手を【おびき寄せて】農場から意識を逸らそうとする。
 メルフローレへと注意が向いている敵へ、物九郎が迫り、扇状、広域に『モザイク状の空間』を展開していく。
「全テヲ、幸福ニ……」
 実験体も汚泥で飲み込もうと地面を這うように……それはまるで、押し寄せる津波のように勢いよく荒野を滑ってくる。
 真っ向から汚泥の浸食力に、物九郎は【迷彩】と【蹂躙】の力が込められたモザイクの混沌たる力で対抗する。
 しかしながら、文字通りすべてを汚泥に沈めようとしてくる敵は、側面から彼を強襲しようとして。
「危ないです!」
 すかさず、【オーラ】でその身を覆うメルフローレが、【呪詛耐性】を活かしつつ、物九郎を【かばう】。
 ただ、物九郎も守られてばかりではおらず、腐海に変えられた地形や、汚泥を浴びた部分をモザイクで洗い流して相殺していく。

 戦いに先んじて【魔力を溜めて】いた歌織は、『魔法騎士の靴』の力を使って【空中へと飛び上がっていた】。
 徐々に押される実験体は、自分が攻撃される理由を理解できずに問いかけてくる。
「如何シテ私ニ酷イ事ヲスルンデスカ?」
 その言葉は、彼女のユーベルコードのトリガーともなり、相手になる猟兵達のユーベルコードをコピーし、汚泥から発動可能にしてしまうのだ。
 守りを固める実験体と周囲へと広がる汚泥を見た歌織は、ユーベルコードを使って祈りを捧げる。
「心の欠片、生命の光となりて彼の者を救い給え……」
 歌織は精神力を救いの光へと変換し、周囲を飲み込まんとする汚泥へと振りまく。
 歌織の使った他者回復のユーベルコードを、汚泥で受け止めた実験体。
「ウ、ウウ……」
 無意識にコピーしたそれを使ってしまった彼女は自らを癒すことができず、かつ使うと疲労してしまう。
 思い通りの効果を得られた歌織は次なる手をと、『魔導砲レイン・クロイン』を空中で構えていた。
「畑に泥が流れ込まないように塞き止めないとっ!」
 広がる汚泥の流れを止めようと、レモンも動く。
「蛇神様、いっくよ~っ!」
 レモンが呼び出した白き蛇神はすぐ巨大化し、とぐろを巻いて体を迷宮化。
 戦場に存在する汚泥を迷路の中へと閉じ込めてしまう。
「出口も塞いじゃえっ!」
 【土属性】の【全力魔法】によって、レモンは完全に汚泥を封じ込めてしまう。
「そのまま封殺しちゃえっ!」
「ウ、ウウッ……」
 迷路の中は、レモンによる【念動力】と【衝撃波】、【精神攻撃】と【催眠術】、【マヒ攻撃】と【呪詛】の三重苦。
 自らが世界を幸せと信じる手段を封じ込まれてしまい、実験体参拾五式は戸惑いの表情を浮かべ始めていたのだった。


 メインに使っていた汚染物質の含まれた汚泥をほぼ封じられてしまった『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式。
 ただ、彼女はなおも、自らの信じる方法で猟兵達と分かり合えると疑わない。
「皆、一ツにナレバ……!」
 そう告げ、実験体は悍ましい触手を伸ばし、自分と強制結合しようとしてくる。
 レモンはそれが命中し、洗脳されぬようにと蛇神様に触れ、【オーラ】……黄金霊波動を送り込む。
 それには、【破魔】と【環境耐性】と【狂気耐性】を練り込み、レモンは蛇神様を守っていたのだ。
「1つになる? もうここのみんなの心は、最初から繋がってるよっ!」
 力強くレモンが叫んだ直後、実験体は汚泥を量と勢いで噴出させ、迷宮から抜け出る。
「ハァ、ハァ……」
 だが、迷宮へと抑え込んでいたレモンによって体力を削られていた実験体だ。
 すでに苦しそうに息をしていた彼女が汚泥を噴出し始めれば物九郎がモザイクを再度ぶつけ始め、メルフローレが【力を溜めて】実験体目がけて『メイス』を叩きつけていく。
 持ち前の【怪力】で殴りつけるメルフローレに対し、実験体は汚泥を使って防ごうとするが、弱ってきていたからか先程までの勢いはない。
「レイン・クロイン、魔法モード! 大型火炎弾発射!」
 合間を見て、歌織も空中から『魔導砲』を手に【炎属性】の砲撃を【広範囲】へと【連射】していく。
 巻き上げられる汚泥に対しては【ジャンプ】で高度を上げ、炎で焼き払いながらも歌織は攻撃を続ける。
「弱ってきましたわな……」
 【野生の勘】で攻撃に徹することができる緩急と射線を見出した物九郎は【早業】で『心を抉る鍵(小)』を指弾で【飛ばし】、実験体へと叩き込んでいく。
「ウ、ウウッ……」
 膝から崩れ落ちかける実験体参拾五式。
 そいつの傷口を、両刃の『グラディウス』で【抉るように】メルフローレが切りこんで。
「……安らかに、お眠りくださいませ」
 泥と共に浄化されていく実験体参拾五式の身体。
「光ガ……コレガ、幸福……」
 災厄という存在となってしまった彼女は本当の意味で、幸せを手に入れることができたのかもしれない。
 消滅していく彼女を見ながら、猟兵達はそんなことを考えたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『アポカリプスで農業を』

POW   :    力仕事を担当する

SPD   :    丁寧な仕事を心掛ける

WIZ   :    技術指導などを行う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 オブリビオンを無事、殲滅して……。
 アポカリプスヘルの大地に再び乾いた砂埃が舞い始める。
「おーし、今日もやるぞ!!」
「「おーーーーっ!!」」
 そんな中で、平穏が戻った畑に人々の活気が漲っており、彼らが丹精込めて耕した畑は生気に溢れている。
 農場で育てているのはまず、乾燥に強いトウモロコシ。
 荒野の夜の寒さにも耐えられそうなキャベツ。
 そして、キュウリ。こちらは寒さに弱いとのことだが、拠点の人々の希望で育てることにしたのだそうだ。
 カタカタカタカタ……。
 そんな畑では、戦車を改造した農業機械が小気味良い音を立てながら畑を耕している。
 幸い、奪還者が使えそうな戦車を別に1台確保したこともあり、この際そちらに回すことに決めたらしい。
「戦闘用が1台減るのは痛いが、まあ仕方ない」
 戦車乗りもやむなくといった具合で、農場開拓の為に拠点の人々と話し合ったのだそうだ。
 また、近くに流れる川から引いてきた水を人々が散布している。
 彼らは拠点から外に出ての農作業に、解放感を感じていた。
「農作業って新鮮でいいな」
「ボクもやる! なにをしたらいいの?」
 女性や子供達も率先して、その手伝いを行っている。
 閉鎖的な拠点での暮らしに飽き飽きしていたこともあり、心から農作業を楽しんでいたようだ。

 人々は気合を入れて農作業に勤しむものの、それでも手が足りないのが実情だ。
 拠点の人々の分を賄うことや、オブリビオン・ストームに破壊されるリスクを考えれば、農場は大きい方がいい。
 どこが破壊されるか分からないのだから、作付面積が広い方がそのリスクが分配できるからだ。
 だから、さらに荒野を開墾して畑を大きくしたいところ。その為の手を彼らに貸してあげたい。
 力仕事を担当するのもいいし、種まき、畑仕事と丁寧な仕事でサポートするのもいい。
 いずれは、人々が食べる糧となることを考えれば、丁寧に作物と接したい。そうすれば、人々は農場をオブリビオンから守った猟兵達に一層感謝してくれることだろう。
 また、畑は形になったばかりとあって、拠点の人々も手探り状態で農作業を行っている。
「なあ、多めに植えた種って、どこで間引くんだ?」
「肥料の加えどきって、どこでやればいいんだろう」
 こんな感じで、農業の技術面について、拠点の人々は知らないことも多い。
 特に、荒野の夜がかなり冷えることを考えれば、農業について技術指導できる知識がある者は是非対策法などを教授してあげたいところだ。

 広がりを見せる農場は、拠点の人々の希望だ。
 現状、人々にとって大切なこの農場での作業の手伝いを行うのであれば、立派な作物が育つよう尽力してあげたい。

(※今回は、6月21日朝8時30分までの予定で受付しております。その後の受付分は間に合う分のみ対応致します)
メルフローレ・カノン
連携アドリブOK

農場は守りましたね。
折角ですし、農作業のお手伝いもしましょう。

まずは……[怪力]を生かして畑仕事や土木作業を手伝います。
大規模な耕起は機械があるようなので、
手作業で耕す部分を耕したり、
灌漑設備や水路、農道の整備などを手伝います。

農作業の知恵ですか……?
私もあまり詳しくはないですが、
寒い土地なら、苗土や畝を覆うマルチシートを用いれば、
土の保温や保湿と雑草よけができるそうです。
この世界ならビニールシートはあるでしょうか。
あと、同じ畑で同じ作物を繰り返し作ると土地がやせるので、
他の物を植えたりいったん休ませたりするそうです。
そういった知識を伝えます。
多少はお役に立てばいいのですが。


ケイ・エルビス
アレンジ連携歓迎
WIZ

「永田農法ってのがあってさ。こいつは
ここみたいに痩せた土に向いてる農法なんだ」

ぎっしり付箋やメモをノートに書き込んで農業の実際を
分かりやすく具体的にまとめてある専門書を読んだり
普段運び屋の仕事で取引のある農家を手伝わせてもらって勉強してきたオレは
使えそうな各ポイントを分かりやすくコミュ力と優しさを活かして
トラックで運搬して大量に持ってきた肥料や道具で実践
その都度理由を説明しながら教えていく
これなら皆の労力も抑えられるしすぐに次の作物が作れるんだ

ポイントは
植え付け前に撒くのはケイ酸カルシウム
肥料には液体肥料を使う
肥料は一週間に一回程度

自分の事のように親身になって手伝うよ


薙沢・歌織
【WIZ】
ようやく、農作業のお手伝いに集中できますね。
作業前に多次元世界解読書の【世界知識・地形の利用】の項を確認。荒れた土壌では、農業は畑作や畜産が適していると思います。

UCで【手助けする徘徊犬達】を召喚し、農作業と技術指導のお手伝いをして貰います。疲れてきたら手作りお弁当を食べて【空腹耐性】を。食後の野菜やフルーツの種も種子としてお使い下さい。

簡易的ですがUDCアースのマルチ栽培を取り入れて地温を上げ、作物の生育促進を図りたいと思います。土壌へ肥料と水を撒いた後、ポリエチレンフィルムで覆って穴を開け、そこに種を蒔く。株の配置は四角にし、二条(縦二列)ごとに間を開けるようにします。


リカルド・マスケラス
「農業と聞いて、お手伝いに来たっすよ~」
そんな感じで颯爽と現れる狐のお面。

UCを畑に施す
「豊作祈願のおまじないを授けるっすよ」
畑の中に魔法陣を描いてゆく。与える属性の力の配分を【世界知識】を使いながら作物の特性ごとに陣の図面を変えたりしつつ。とりあえずはキュウリを優先に。
「みんなにも手伝ってもらいたいんすよ」
と、図面を書くのを手伝ってもらったり、住人の体を借りたり。

「それじゃ、いくっすよ!」
UCを使用し、大地の汚染を【破魔】で払い、【属性攻撃】で恵みを与えてゆく。うまくいけば即日収穫も夢じゃない。住人の体を借りるのは、UCの使用を通じて魔力の使い方を覚えてもらえたらラッキーという目論見もある




 拠点傍の農場を襲ってきたオブリビオンの群れを殲滅した猟兵一行。
「農場は守りましたね」
 清楚な見た目の猫かぶり少女、メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)の言葉に、こちらの上品さを感じさせる魔法騎士、薙沢・歌織(聖痕宿す魔法学園生・f26562)が頷いて。
「ようやく、農作業のお手伝いに集中できますね」
 オブリビオンがいなくなったことを受け、拠点の人々が笑顔で農作業をすべく外へと姿を現す。
 それに紛れ、いつの間にか運び屋兼何でも屋を営むケイ・エルビス(ミッドナイト・ラン・f06706)がトラック『タフボーイ』を持ち込んで何やら始める様子だ。
「折角ですし、農作業のお手伝いもしましょう」
 メルフローレに続き、頷く歌織も畑へと向かっていくのである。


 すでに、拠点の人々によって拠点傍の荒野が開墾され、ある程度の広さの畑が開墾して造られ、作物の種まきがされている状況ではある。
 とはいえ、まだ手づかずの荒野が広がっており、状況が許せば有効活用したいところ。
「少し待ってくださいね」
 歌織は作業の前に、所持する『多次元世界解読書』の【世界知識】や【地形の利用】の項を参照する。
 それによれば、荒れた土壌では、畑作や畜産が適しているとのことだ。
 ただ、拠点には畜産できるような牛も豚も鶏もいない。
 現状は奪還者達が入手した種が頼りとあり、トウモロコシや野菜の作付面積を増やすことになりそうだ。
「それでは、参りましょう」
 メルフローレは人々と協力しつつ、【怪力】を活かして土木作業のお手伝い。区切りがつけばそのまま畑仕事へと移行する予定だ。
 農地を広げるのであれば、大規模な耕起は農業機械がやってくれる。
 その為、メルフローレは灌漑設備や水路、農道の整備等の手伝いに当たっていた。
「ドッグ・レンジャーズ、召喚!」
 また、作業に当たり、歌織が70体余りの小さな犬のレンジャー達を召喚し、農作業と技術指導のお手伝い。
「猫の手も借りたいっていうけど、犬でもすごく助かるわねえ」
 一時的でも支援の手が増えたことに、人々は感謝を示していた。

 農地開拓や畑を耕すのに当たっては、ケイも技術指導を行っていて。
「永田農法ってのがあってさ。こいつはここみたいに痩せた土に向いてる農法なんだ」
 今回の為、ケイは分かりやすく具体的に纏めてある専門書を読み、普段運び屋の仕事で取引のある農家を手伝わせてもらい、ぎっしり付箋やメモをノートへと書き込み、勉強してきたそうだ。
 それらの中から使えそうなポイントを、ケイはコミュ力と優しさを活かして人々へと教えていく。
 先程、『トラック』を使って彼がこの世界へと運んできたのは、大量の肥料や道具だ。
「植え付け前に撒くのはケイ酸カルシウム。肥料には液体肥料を使うんだ。散布は一週間に一回程度行うといい」
 それら使いながら、ケイは得た知識を実践し、その理由を説明する。
「同じ畑で同じ作物を繰り返し作ると、土地が痩せてしまうのです」
 そこで、メルフローレが合いの手を入れる。
 その為、他の物を植えたり、いったん休ませたりするのが一般的なのだが、この世界において食料の供給は足りてるとは言えない。
 ケイがもたらしたのは、土地をフル活用する為の知恵というわけだ。
「……これなら皆の労力も抑えられるし、すぐに次の作物が作れるんだ」
 親身になり、手伝いを行うケイに、メルフローレまでこくこくと頷いてメモを取る。
「まさか、こんな荒地でも見事な畑になるとはねえ」
 畑の手入れの方法を学んだ人々は目を丸くして実践していたが、猟兵達がもたらす知恵はそれだけではない。
「農作業の知恵ですか……? 私もあまり詳しくはないですが」
 この近辺が夜になるとかなり冷えるとのこと。
 メルフローレが提案したのは、苗土や畝を覆うマルチシートの利用だ。
 これを使うことで、土の保温、保湿、雑草除けができる。
「ビニールシートはあるでしょうか?」
 この世界であれば、多少ボロボロになっていても、調達自体は問題ないだろうが、そこで歌織が人々と共に拠点の資材にあったポリエチレンフィルムを持ってくる。
「簡易的ですが、UDCアースのマルチ栽培を取り入れて地温を上げましょう」
 歌織も同じことを考えていたらしい。
 土壌にはケイが拠点の人達と肥料を、小さな犬のレンジャー達が水を撒いて暮れていたので、歌織はその畑をポリエチレンフィルムで覆って穴を開けていく。
 これから作付け、種蒔きを行う場所は株の配置を四角にし、二条(縦二列)ごとに間を開けるように作業を進めていく。


 作業を進めるうちにもう1人、この場に猟兵が現れて。
「農業と聞いて、お手伝いに来たっすよ~」
 颯爽とやってきたのは、いつの間にか拠点の拠点男性の姿を借りていた狐面のヒーローマスク、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)だ。
 リカルドはまず、畑の中へと魔法陣を描いていく。
 それが何になるのかと拠点の住人だけでなく、猟兵達までもキョトンとした顔をして互いの顔を見合わせていた。
「ユーベルコードを畑に施すっすよ。みんなにも手伝ってもらいたいんすよ」
 リカルドは猟兵達だけでなく、拠点の人々にも助力を得て……場合によっては、別の住人の体を借りて作業を進める。
 【世界知識】を使いながら作物の特性ごとに陣の図面を変え、それを皆に書くのを手伝ってもらう。
 リカルドが図面を変えていたのは、この後、畑へと与える属性の力の配分を考えていたから。特にこの荒野での育成に不向きなキュウリに力を与える為だ。
「それじゃ、いくっすよ!」
 準備が整えば、リカルドはユーベルコード【森羅穣霊陣(グレイスフル・ガーデン)】を使って。
「豊作祈願のおまじないを授けるっすよ」
 描かれた破魔と属性の力を込めた結界が地面へと施される。
 それによって、大地の汚染を【破魔】で払い、恵みを与えていくのだ。
 リカルドが住人の体を借りていたのは、ユーベルコードの使用を通じ、魔力の使い方を覚えてもらえたらという目論みもあったが、当の本人は戸惑うばかりで状況整理も追いついていない。
 いずれは使いこなすようになるかもしれないが、しばしの時を必要とするようだ。
 さて、リカルドのユーベルコードによって一気に作物が大きく育っていき、花を咲かせ、作物を実らせていく。
「おお……っ!!」
 これには、拠点の人々も驚きの声しか出ない。
 瑞々しいトウモロコシや大きく育ったキャベツ、しっかりと身の詰まったキュウリが収穫を今か今かと待ち望む状態に。


 とはいえ、これまでの作業もあり、皆疲労困憊。
 そこで、歌織が『手作りの弁当』を差し出す。
 それには、パン、ステーキ、野菜サラダや果物と様々な品が詰め合わされており、食べる者を楽しませる。
「まだまだ大変ですが、頑張ってくださいね」
 それらを拠点の人々へと行き渡らせるのに、小さな犬達やメルフローレもお手伝い。
 食べれば【空腹耐性】を得ることで、この世界で生き延びる力も得ることができる。
 また、食べ終われば、野菜やフルーツの種は新たに畑へと撒く種を生み出す。
「遠慮なくお使いください」
「本当にありがとう」
「うっしゃ、やるぞ!」
 そうなれば、また畑の拡張をと人々に気合が入る。
「じゃ、もう仕事行くか。収穫した作物を運ばないとな」
 立ち上がるケイが『トラック』へと乗り込むと、他の猟兵達もまたもう一仕事と手伝いに繰り出すのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月21日
宿敵 『『フラスコより溢れし災厄』実験体参拾五式』 を撃破!


挿絵イラスト