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来る春へと種を蒔く

#ダークセイヴァー

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#ダークセイヴァー


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●冬
 其処はかつて、ひとつの街だった。
 赤茶く汚れ枯れた水路には清流が通っていたのか。潰れた家屋と瓦礫の転がる土の上、生けるものの気配は既になく。
 寒々しい、冬の景色。
「つまらん。つまらんなぁ……」
 油の切れた座椅子をギィ、ギィと軋ませながら。
「新しい玩具の仕入れ時か」
 窓の外広がる殺風景を退屈げに眺める、男の太い声が落ちる。

●来る春へと種を蒔く
「猟兵のみなさん、お集まりいただいてありがとうございます!」
 携行サイズのモニターに映し出される人面が綻ぶ。しかし声そのものはもっと下、黒光りする物体から発せられている。
 この生命体はブラックタールのグールドライバー、ニュイ・ミヴ(新約・f02077)。グリモア猟兵だ。
「今回お願いしたいのは、ダークセイヴァーでの事件解決でして。悪の領主を打ちのめし、近隣の村々を恐怖から救っていただきたいのです」
 胴らしき部位を折りぺこりと一礼。そうして、水音混じりの説明が始まった。
「護衛も強力ですからね。普段なら直接領主館を襲撃するのは困難ですが、こちらの街、実は今がチャンスなんですよ」
 そう。
 その護衛役らが領地拡大に向けた遠征に駆り出され、一時的に領主館を離れているというのだ。
「一体も側に残さないなんて、気が緩んでいるんでしょうか。とにかく、警護の薄いこの隙に叩いちゃおうという作戦! です」
 突入に際しては、大通りの逆側となる館の東側出入口を使うことでスムーズに事を為せる。
 扉自体、細かなケアをサボっているのかあちこち錆が目立つため障害と数えるまでもない。
 余程大きな音でも立てない限り、突入前に領主に気取られるといった事態にはならない筈だ。
「ただし館内では、番犬というのかなぁ。配下の獣型オブリビオンとの戦闘が予想されます。突入経路付近に限るなら、十体程ですね」
 これらを迅速に撃破することがまず第一の目標。
 無事切り抜けたなら、奥に座する領主へ仕掛けることが出来るだろう。
「それと領主オブリビオンについてですが、恰幅の良い成人男性の姿をしているようです。性格はー、一言で表すなら怠惰……かな?」
 危機管理能力といい領主としては小物にも感じられるが、現地民にとって大きな脅威であることは事実。
 その証拠ともいえるか。
 予知で窺えた街周辺の村々には破壊と略奪の痕跡が色濃く残る場も多く、人々の顔は一様に曇り俯いていた。
「それでもまだ、終わっちゃいません」
 笑顔を見せて。或いは気合を入れる風に――誰もに見えやすいようにとモニターを掲げていたニュイの、腕代わりの突起が蠢く。
「準備は万端ですよね? ではお気をつけて、ハッピーエンドを楽しみにしています!」


zino
 閲覧ありがとうございます。
 zinoと申します。よろしくお願いいたします。
 今回は、悪行を働く領主を倒すべくダークセイヴァーへとご案内いたします。

●最終目的
 領主の脅威を取り除き、人々に希望を示す。

●第1章目的
 領主館内にて、暗闇の獣の群れの撃破。
 ※館への突入方法を工夫する必要はありません。

 ・敵情報『暗闇の獣』
 数は十体程度。
 四足歩行の獣型で、狼に似た姿をしている。
 高い戦闘力を持つが知性は低い。

●その他
 セリフやこだわり等、ご記入いただいたものは執筆の際の参考とさせていただきます。

 以上、ご参加を心待ちにしております。
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第1章 集団戦 『暗闇の獣』

POW   :    魔獣の一撃
単純で重い【血塗られた爪】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    暗闇の咆哮
【血に餓えた叫び】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    見えざる狩猟者
自身と自身の装備、【自身と接触している】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。

イラスト:飴屋

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イヴ・イルシオン
「あれが噂のワンころですね、いい声で鳴きやがりますかね?」

とりあえず視界内の敵の数は数えておくです
数が足りなくなったら途中で敵が透明になっている可能性があるので要注意です

「さぁさぁ、殺戮ショーの始まりなのですよ!!」

位置的には階段の上とかで戦いたいですね
床をブレイズフレイムで燃やして炎の壁を作ってそこからアサルトウェポンで遠距離攻撃です
隠れてる敵は炎をなんとかしなければこちらに近づけません
炎の壁が生命線です、しっかり対処していくです
近距離の敵は鉄塊剣で叩き斬るです。死体は燃やして障害物にでもなってもらいましょう
もしダメージを受けたのならば、その傷口からブレイズフレイムの効果でカウンターです



未来は急速に色を変え始める。
 命枯れ黒茶けた赤、血路の先煌めく命の赤。そして、燃え立つ紅蓮の赤。

 ――冬色に一点の黒が落ちた。
「ざっと三体。あれが噂のワンころですね、いい声で鳴きやがりますかね?」
 音もなく駆け上った階段上。しんとした空気に長い髪を躍らせる少女は、イヴ・イルシオン(ミレナリィドールのブレイズキャリバー・f01033)。
 戦場慣れした彼女にとって、暗闇の獣など犬風情。滲む殺気に感付いたか階下の一体が鼻先を上げた。
 目が、合う。
「さぁさぁ、殺戮ショーの始まりなのですよ!!」
 どっ、と。静寂を破る口上とともに、その身を裂いて噴き出す炎が床を伝う。
 たちまち燃え広がるそれは、壁。地獄の炎でつくりあげた痛みの壁だ。

 目の前に侵入者がいる! 侵入者は殺す!

 生物として抱くべき畏怖の念すらなくしたか。ただそれだけの単純な命令に従って、段を駆け来る個体は臆さず炎の壁へと飛び込んだ。
 業火は影すら余さず焦がす。
 火だるまになって尚も追い縋ろうとする獣を、トンと冷やかに弾丸が撃ち抜いた。
「まず一体」
 赤の瞳は、既に他へと向けられている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

須藤・莉亜
「獣の血ってどんな味がするのかな?」
基本的には咎人封じで敵を弱体化させて大鎌で切る。
大鎌のリーチを活かして立ち回り、見えざる狩猟者を使われたら大鎌で周囲をなぎ払ってみたりしてみる。

「今宵の大鎌と僕は血に飢えてるよ?とか言ってみたり。」



「獣の血ってどんな味がするのかな?」
 戦地にあって、鷹揚な性質をうかがわせるひとりごと。繰り出す攻撃の鋭さがそこに合わさったのなら、捕食者の余裕にも聞こえよう。
 須藤・莉亜(メランコリッパー・f00277)の手には鎌。彼が放った咎力封じが、噛み砕かんと飛び掛かってきた獣の大口を今まさに強引に閉じさせたばかり。
 手段を封じられた獣が爪を振りかざそうとしてもそこはもう、刈り取るに十分な間合い。
 刃が閃く。
 猿轡を噛まされた首が、ひとつふたつ、飛ぶ。
 飛沫があがれば遅れて漂う陳腐な死臭。白の大鎌を介して知り得た味もまた、同様の。
「うーん、あんまり新鮮味はないか」
思案気に顎を擦っていた手を止め、あぁ、と視線を巡らせる莉亜。
 そういえば、なんて、世間話に付け足す程度の緩やかさで。
「今宵の大鎌と僕は血に飢えてるよ? とか言ってみたり」
 また一歩、踏み出す。――言われるまでもなく、この男は脅威。じりりと間合いを測るように、獣たちの爪は床を掻いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

蛇崩・京次郎
ギャハハ!なんダァ?肥えた豚の匂いがするゼ。誰かを踏み躙るクソ野郎の匂いダ。アーァ、厭な匂いだナァ。気に食わねぇ、気に食わネェ……。
……アァ分かってるゼ。侵入するまでは静かにしといてやル。だが中に入ったら話は別ダ。ギャハ、三下の犬っころガ。格の違いを教えてやル。

こういった手合の雑魚は文字通り蹴散らすに限ル。
1対10、上等ダ。正義なんざ柄じゃねぇ、人助けなんざ恥ずかしくてできねぇ。ただ気に食わねぇんだヨ。『誰かの何かを奪って壊して、そうして黙らせてふんぞり返っているようなクソ野郎』はナァ!!

頭が悪ィ犬なら<挑発>はよく効くんじゃねぇカ?
オレサマは強いて言うなら『ダークヒーローマスク』よ、ギャハ。



館に転がり込むや否や通路のど真ん中を塞ぎ、派手に立ち回る男もいた。蛇崩・京次郎(トシュカトル・f05525)だ。
「ギャハハ! なんダァ? 肥えた豚の匂いがするゼ。誰かを踏み躙るクソ野郎の匂いダ!」
 小細工はいい、出てきたヤツから叩くと両の腕広げ高らかに、轟々張り上げる挑発の数々!
「手下も雑魚しかいねえときタ! おい三下ども、かかってこイ。格の違いを教えてやル」
 本人が耳にしていたら顔を真っ赤にしていそうだ。少なからず主人の性質が影響しているのかもしれない、影の獣は苛立たしげな唸り声をあげ京次郎を取り囲む。
 ――正義なんて柄じゃない。人助けなんて恥ずかしくてできない。
 けれど、だからこそ、『誰かの何かを奪って壊して、そうして黙らせてふんぞり返っているようなクソ野郎』は気に食わない。
 ブッ潰す。そうと決めていた京次郎の掌が、側面から躍りかかる一体のぬめる頭皮をカウンター気味に鷲掴む。
 ミシリ。
 頭蓋軋ませる音、を認識する間も与えずに、叩き付けた巻き添えで床板を抜き左右の敵ごと沈黙させる。
「束になったところで、『ダークヒーローマスク』サマの敵じゃあねぇんだヨ」
 覚えとけ。ピッと払う血が残党へと飛ぶ。
 次はお前の番だ、そう言いたげに。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジェット・ラトリオック
「覚悟」は決めている。精神的なミスは無しだ。

「怪力」「ロープワーク」を用いつつ、【拷問具:断割鉈】を鞭のように変形させ、命中率重視で攻撃を行う。
「逃げ足」で距離も取りつつ、一体を集中狙い。
確実に「傷口をえぐり」、仕留める。

姿を消された場合も周囲を拷問具で「なぎ払い」、居場所を割り出す。

(獣相手に言葉もない。やるべき事をやるだけだ。)


阿銅・六火
ユーベルコード:ライオンライド を使用して機動戦を行うよ、周りを旋回しながら銃で攻撃、移動を邪魔された場合はライオンが攻撃してくれるんじゃないかな。囲まれるようだったら一方向の敵を攻撃して、怯んだ隙に突っ切る感じ、血に飢えた叫びをしようとしている個体に優先射撃を入れて怯ませられればいいな。「狩は専門外なんだけど、ね」



猟兵の力は圧倒的だった。
 戦線離脱を図った、若しくは仲間を呼びに向かおうとしたのか――獣擬きの頭の中など分かりはしないが――床を蹴った四肢は二度と地面に着くことはなかった。
 絡め取った鞭が、鞭のように形を変えた鉄鉈が、瞬く間に胴とそれらを分断してしまったからだ。
 的確な計算で彼我の距離を保っていた靴音が、中空を眺めるほかない獣の耳元へと次第に近付く。
 音の主、仕掛け人であるジェット・ラトリオック(黒玉の蛸・f01121)は、足元に転がるものを見遣ると元の形状へ収まった大鉈を間置かず振り下ろす。
「ガッ」
 先の一手で細かに刻み付けた傷が、刃の通りを尚良くした。
 姿を消して逃げることなど叶いもせずに、獣は二度目の死を迎える。
 ジェットの鉄兜の下は窺い知れない。ただただ整然と、手慣れた所作で始めて終えるだけ。
(「獣相手に言葉もない。やるべき事をやるだけだ」)
 覚悟。
 兜越しであろうと、言葉少なであろうと。抱くひとつは確たるものと示して。

 同時、向かいで廊下を駆けるは阿銅・六火(普通の戦場女子高生・f04659)と、彼女を背に乗せたライオンの姿。
 あどけなさを残す少女がぱらぱらと撒いて寄越すのは甘い菓子などではない。一粒ずつが殺傷力の高い、弾丸だった。
「へぇ、そっちは狼か」
 元々はただの動物好きであった六火が、歪な生に何を思ったにせよ。いやに場数を踏んでしまった瞳は凪いで強かに。
 獣VS獣ときたらいい勝負……とはいかせない、こちらは操り手の質が違う。
 ビーストマスターの指示のもと文字通り駆け巡るコンビを捉えることは至難の業、牙剥き追えどついには目を回してしまったらしい獣同士が互いに衝突し大きな隙が生まれる。
 待ってましたと跳ね飛ばして突き進む黄金の巨獣。すれ違い様、ご挨拶代わりの爪撃に続き、望んでもいない銃弾のおかわりが丁寧に仕留めた。
「狩は専門外なんだけど、ね」
 銃口から細く零れる煙をふぅっと吹き。
 後に残るは屍ばかり。最奥はもうすぐそこ、振り返ることなく、先へ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『ヴァンパイア』

POW   :    クルーエルオーダー
【血で書いた誓約書】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
SPD   :    マサクゥルブレイド
自身が装備する【豪奢な刀剣】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ   :    サモンシャドウバット
【影の蝙蝠】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。

イラスト:伊藤あいはち

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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


鮮やかな手腕で番犬を下した猟犬たちは、一気呵成に領主の元へと雪崩れ込む。
 
 誰かが扉を蹴破った。
 先には、無駄に広いだけの部屋。否、館内のどこよりも強い腐臭がそれだけではないと物語る。
 あるのは、壁に飾られたハンティング・トロフィー。人間の――、悲痛を嘆く最期の、――悪趣味極まりない。
「騒がしいと思えば、なんだッ、貴様らは……犬どもは何をしている!?」
 空間の中央。
 声を荒げながら、贅肉を揺らし椅子から立ち上がる男。背の翼は随分と小さくお粗末らしいが、例の領主に違いない。

 邪魔者はいない。喉元に、手が届く。
ジェット・ラトリオック
「退屈してたのだろう?面白い物を見せてやる。」

「呪詛耐性」「気合」「覚悟」を予め済ませ、触媒となる軟体生物を握り潰し、【呪物:精霊の苗床】を発動させる。

高速で敵の周囲を移動しつつ、触手を放ち攻撃。
「逃げ足」も利用しつつ、敵を翻弄。

(…酷く気分が悪い。早く終われ。)


蛇崩・京次郎
「──におウ。"におう”なァ。支配者の臭いダ。ギャハ、ギャハハ! オマエみてーな典型的なモンは久しぶりに見たゼ。エェ? オレサマ、オマエ、マルカジリ……なんてナァ」
「ソーセージにしてやル。覚悟しろヤ、豚野郎」

まず<サイコキネシス>を使って壁に飾られてるものでボスを攻撃。
シャンデリアがあればボスの真上に落とし、燭台があれば突き刺す。
「ギャハハ!! 自分のモンに傷付けられる気分はどうダ?」

周囲の物品に気をとられている間に接敵。
<グラップル><二回攻撃>を使用して近距離で拳撃を打ち込もうとする。

「『犬は飼い主に似る』って言葉知ってるカ? オマエの犬っころは、オマエによォく似てたゼェ。ギャハハ!」



剣! 私の剣はどこへやった?

 慌てふためくヴァンパイアが引っ掻き回す机の上から次々物が落ちる。
 正反対に落ち着き払った歩みで、ジェットは手の内の軟体生物を握り潰す。怒りに任せた行為ではない。精霊を扱うための支度を早くも完了させたのだ。
 にちゃにちゃと音鳴る床にも意識を、視線を逸らすことはなく。
「退屈してたのだろう? 面白い物を見せてやる」
 途端。ジェットの体を纏う鎧あるいは呪いのように、喚び出されし触手状の精霊が湧きだす。ぶわりと膨らんだそれは同じだけの速度で放射される。
 槍かなにかのようだった。真っ直ぐに伸び、男の脇腹に穴をあけて見せる芸当は。
「! がはッ、ぐ……これは」
 ……何度となく染め上げた部屋に、今や己の血が飛び散っている?
 その事実を、認識するため鉄錆びた脳が要した短くも長い時間。
 一歩二歩よろめいた領主は漸く手にした剣を鞘から抜き、加速し迫る追撃を寸でで止める。寸ででしか、止められなかった。
(「……酷く気分が悪い。早く終われ」)
 いいや、終わらせるとの念は業に。素早く死角へ跳んだジェットの手繰る触手は、剣の盾を押しやる勢いで横殴りに叩き込まれた。思わず大きく仰け反る男が、唾を吐き散らす程に叫ぶ。
「この力――まさか私の領地を奪いにきたのか!? そうはさせんぞ、このクニの王は私だッッ!」
 そしてゆくゆくは、等と、続けかけた領主の声にだだ被りする愉快げな笑い声。
「ギャハ、ギャハハ! オマエみてーな典型的なモンは久しぶりに見たゼ。エェ? オレサマ、オマエ、マルカジリ……なんてナァ」
 傍目には、彼の豪気さが眠れるなにかを目覚めさせたか。壁に掛けられていた『コレクション』が前触れもなく持ち場を離れ舞い始める――京次郎のサイコキネシス。
「な……」
「おっと、オレサマ以外にも齧りつきてえヤツがいるらしイ」
 もしも死肉に魂が残るのならば、幾度、眼前で苦もなく生き続けるこの男を喰い殺したいと望んだことか!
 所有物、それ以上に、虐げてきた弱者に襲われるとは思ってもいなかったのだろう。
 遮二無二振り回す腕が叩き落としたとて、それでも全ては払い切れず。さながら爆撃の如く、飛来物は領主の腹へ肩へとぶつかり爆ぜた。
「ギャハハ!! 自分のモンに傷付けられる気分はどうダ?」
「くそッ、が! 私に飾られる栄誉を仇で……」
 微妙に回りきらぬ腕で肩を庇いながら、転がるひとつを激昂し踏みしだく男。いつか人であった何かのぼさぼさの白髪が千切れる。ひしゃげた物言わぬ頭部はそれでも、支配されていた頃よりどこか安らかで。
 生まれた隙を逃す京次郎ではない。
「『犬は飼い主に似る』って言葉知ってるカ? オマエの犬っころは、オマエによォく似てたゼェ」
 ギャハハ!
 至近で繰り返される耳障りな響きに目を見開いても、遅い。駆け、固く握り込まれた豪速の拳が、無念の刻まれた腹の傷を上塗りする形で抉った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

須藤・莉亜
「んー、見た目的には脂っこい味の血かな?脂っこいのはダメなんだよなぁ。」
やる気無さげに、一先ずは死霊騎士を召喚し戦わせる
敵とある程度戦わせた後に死霊騎士をわざと負けさせ、油断を誘ったところを大鎌でバッサリ行こうとする。

「やっぱり不味いよ君の血は。もう少し痩せよ?」



腹の内に収まっていたものが開いた穴からぼたぼた零れる。思わぬ防戦を強いられたヴァンパイアの足元には、赤い水たまりが出来ていた。
「んー、見た目的には脂っこい味の血かな? 脂っこいのはダメなんだよなぁ」
 嗅いで確かめるまでもなし、獣以上に興味なさげな莉亜。ぐるんと鎌を手遊びしつつ死霊騎士を傍へ喚び、手の腹を向ける仕草で獲物を差した。
「やっちゃって」
 お使いでも頼む軽さ。痛み、そして下に見られ続け肩を震わせていた領主が脂でぎとつく顔を上げた。
「ぐ、ぐぐ……ク、犬など所詮混ざりモノよ。私には身を分けた眷属が残されている、出でよ!」
 ある意味、物理的に血の気が減ったことが男の幸運か。
 騎士を迎え撃つべく影の……血だまりの中から小蠅サイズの蝙蝠があふれ出る。
 本来の役目に沿わぬ召喚とはいえ、夥しい数の黒は目晦まし程度にはなって。
 キ、キ、――ガシャン!!
 切り結ぶ音、破壊音。のち蝙蝠の群れが散りゆけば。
 獲物の姿を僅か捉え損ねたようだ、死霊騎士の胴を汚れた銀が突き抜けていた。崩れる向こうで男が笑う。どうだと口を歪ませ、次いで使い手を薙ぐべく剣を振るう。

 だが。

 騎士は元より使い捨て、気の無い様子のその裏で備えていた莉亜の反応は速かった。
 リーチの相性というものがある。剣が莉亜の頬を掠める頃には、莉亜の大鎌は掻き切った男の半身から新たな血を飛沫かせていたのだ。
「やっぱり不味いよ君の血は。もう少し痩せよ?」
 ぺろり、と。直接己の口に伝ったわけでもない血を、舐めとる風に舌が動いた。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

エコリアチ・ヤエ
「さて、我の攻撃どこまで耐えられるかな」
冷酷な表情のままヴァンパイアを見据える。
戦闘は敵からは一定の距離を保ちつつリザレクト・オブリビオンを展開する。目には目を、オブリビオンにはオブリビオンを。
召喚した二体の死霊を操り舞い散ったコレクションなどを利用し、だまし討ち(フェイント)をかけつつヴァンパイアを挟撃する。



咄嗟に退路を求めブレた領主の視線の先にぬぅと影を落とし、屈強な男が仁王立つ。
 エコリアチ・ヤエ(多重人格者の戦場傭兵・f00287)。背丈以上の威圧感は、肉感溢れる鍛え上げられた体格からきていた。こきり、軽く首を鳴らす。
「くっ……」
「さて。我の攻撃、どこまで耐えられるかな」
 見下ろすは領主という個を標的以外何とも思っていなさそうな、底冷えのする瞳。その体から幽体が抜け出るが如く、闇より昏い騎士が姿を現し迫りくる。
「貴様も眷属を――ハッ! 二度も同じ手を喰らう阿呆がいる、か……」
 振る刃を、刃で弾き。蒼白の顔に強気を滲ませたヴァンパイアは直後、己の目を疑うこととなる。
 転がる壊れた元玩具たちが再び動いたのだ。いや違う。なにか、いる。闇が形を為したような、何かが……。
 何だ!? しかし騎士の他、いかにも力で物を言わせてきそうな風体で、けれど未だ踏み込んではこないエコリアチ本人や機を狙う猟兵らへの対処も必要ときた。
 どうあっても目が足りない。舌打ち再び己の影に手を翳す領主。
 その肘から先そのものが、突如ぷつんと視界から消える。正しくは、消された――ぞろりと並ぶ牙によって。
「どうした。二度目ではなかったのか」
 平坦な男の声に合わせ人であるならば、ニィと笑うように。右下方から覗き込む縦瞳孔が一層細まった。闇の正体。死霊蛇竜。
「あッが、ああァ!? 手が……貴様ァ! 返せッ!」
 この男はどうも、奪う側でなくては気が済まぬ性質のようだ。術者であるエコリアチでなく、いわば霞と云ってもいい死霊へと剣を振り回す。
 そんなお遊戯に一瞥もくれず、呑んだ肉とともに蛇竜は影へと溶けてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​

イヴ・イルシオン
「ほぉ、なかなか良い趣味してるじゃねぇですか。私も領主様を見習って作ってみましょうかねぇ、ハンティングトロフィー。皆に見せたら喜ぶのです、注目の領主様の首でやがりますからね!!!!」

アサルトウェポンで遠距離攻撃しつつ敵の足元にブレイズフレイムを放ち、部屋の壁際まで次第に追い込んで行くです
最後は地獄の炎を纏った(熱した)鉄塊剣でボコった後に首を頂くです
首だけでも生きてたらさっさと炭にしますが

敵の遠隔操作型のスキルも使う寸前であれば回避行動に出ますが、なるべく使わせない様にするです。先に頭撃ち抜いちまえば使え無いでしょう

・他台詞
「この私が敵の言う事を聞く事自体、簡単じゃ無ぇルールなんですよ」


須藤・莉亜
「あはっ、良いね良いね。盛り上がってきたよ。」
ここからは血統覚醒を使って全力で行こう。
大鎌を振り回して敵に攻撃する暇を与えないようにするよ。
隙があれば大鎌を敵に投げて、その隙に直接首に噛みつきに行ってみるのも良いな。
「んー?よーく味わってみたら、豚骨?っぽい感じでこれはこれでありかも?」



戦いの余波でころころと転がった『人間だったもの』が、距離を取っての銃撃を繰り返していたイヴの靴先にもあたる。
「ほぉ、なかなか良い趣味してるじゃねぇですか。私も領主様を見習って作ってみましょうかねぇ、ハンティングトロフィー」
 皆に見せたら喜ぶのです――注目の領主様の首でやがりますからね!!
 皮肉たっぷりに叩き付ける言葉は、呼び起こす炎の荒々しさと瓜二つ。
 踊り子の花道を彩る風にも領主へ猛追する業火は、その道すがら、いくつもの悲劇の象徴を灰へ変えた。
 地獄からの迎えは、或いは救済であったろうか。
「ッ待て、止まれ、人形! 私の命に従え、そうだな……貴様は中々に面構えがいい。次の玩具として飾ってやらんでもない」
 "恭順せよ、さすらば"――壁際に追いやられながらも、領主は左手を前にした。どこから引っ張り出したのか、手には一枚の書類。ユーベルコード、血濡れた誓約書だ。
 もっともそんな紙くずイヴの目には映っていない。彼女が見据えるのもはヴァンパイアの首、それだけ。
 踏み切った小さな体は炎の海を切り裂いて、重力任せに鉄塊の如き剣を落とす。瞬き身を捩る間がなければギロチンとして決まっていた一撃は、左肩から入って胴の中ほどで止まる。
 ガッ、だとか。ギッ、だとか。男の口からは、血泡とおよそ言語にならぬ叫びが漏れた。
「ふうん。楽には死にたくないと、そう仰るみてぇですね?」
 それじゃお望み通り。そうでなくともお望み通り。
 次手に移ろうと蹴って剣を引き抜くイヴ。モロに入った壁には大層な縦穴が生まれている。もはや感覚の鈍い男の指に、握っていた筈の紙切れは火の粉に食われすっかり燃えて失せていて。
「この私が敵の言う事を聞く事自体、簡単じゃ無ぇルールなんですよ」
「あはっ、良いね良いね。盛り上がってきたよ」
 それでもなんとか脇へ転がり抜けようとしたヴァンパイアの頭数センチ先を、風が凪いだ。
 白い鎌は金糸の髪にきらきら炎色灯し、ひょいと戦列に並ぶ莉亜のもの。瞳の色もまた赤く――されどこちらは外から一色足したものと異なる、内から生じる血統の真紅。
 血狂いの戦場でこそ綻ぶ難儀な性か、つきものだった気怠い空気はそこにない。
「渡さん、渡さんぞ……私のものだ……」
 その姿に、纏う力に、本能で『同族』と認知した領主は震える指を持ち上げる。ならばたとえ成功したとて、どこまで効果が望めるのか?
 わからない。分からないが、他に術もない。
 流る血によってひとりでに綴られゆく誓約書が、男の手元に現れたようとしていた。
「それね、もう見飽きたから」
 カッ!
 莉亜がゆるやかに滑らせるよう放った鎌が、紙ごと領主の腕を壁に縫い付ける。なんと手慣れたフォームでのダーツ遊び。
 だけではない、引き抜こうと力を込めるが故浮き出たその首筋の血管に、ひたと触れたかと思えば鋭さ増した牙を立てたのだ。
 彼の男にとって、己が身、至純にして高位と信じ疑わぬ血を抜き取られる行いなどそれ以上の屈辱はあったものか。

「――があァァァ!」

「んー? よーく味わってみたら、豚骨?っぽい感じでこれはこれでありかも?」
 怒号。ガゴッ、と壁が抜ける。頭上を過る壁の腕輪付きヴァンパイア・クローを髪の数本躱して、後方へステップ踏んだ莉亜は首を傾いでみせた。
 まったく暴れ馬、いや暴れ豚だなぁ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジェット・ラトリオック
追撃を。コチラが有利だ。

【拷問具:断割鉈】を鞭のように変形させ、「怪力」「ロープワーク」を駆使し、攻撃回数重視で「傷口をえぐって」攻撃。
「二回攻撃」も利用し、反撃を許さない猛攻を仕掛ける。

刀剣、蝙蝠が来た場合は敵への攻撃回数を減らし、
「なぎ払い」迎撃する。


須藤・莉亜
「そろそろ終わってくれたら嬉しいなぁ。君の味は十分に堪能したしね?」
大鎌をいくつも複製し敵に向けて放つオリジナルのユーベルコードでトドメと行きたいね。
全方位から切り裂けばちょっとは効くでしょ?まあ、ちょっと味が伝わり過ぎて胸焼けしそうだけどね。

「次は油切った奴じゃなくて綺麗なおねーさんの血を味わいたいかなぁ。」
…戦い過ぎると変な欲求が出てくるね。気をつけないと。


クロード・ロラン
まさに悪の支配者って感じだな。……今のその、小物っぽい慌てようも含めて、な
こういうボスの方が、なんか、ムカつくんだよな

敵の攻撃を素早い身のこなしですり抜け、死角から咎力封じを使用
情けなんてかけない、全力で敵の力を封じて、無効化してやる
拘束されるのは苦しいか?それ以上の苦しみを、お前はずっと村の人に与えてきたんだよ
命乞いでもしてみるか?ここまでのお前の咎、俺は絶対許さないけどな!



「――死ね、今すぐ……私の前から消え失せろォ!!」
 疾うにルールの形を失っている誓約書に、目を血走らせたヴァンパイアは縋り続ける。
 鉄鉈構えたジェットの大振りが起こす風の圧が、その度に抵抗の術を斬り捨て薙ぎ払ってゆく。
 無駄口に付き合ってやる趣味もない。それでも兜の下の戦慣れした眼には見えていたに違いない。この戦いの、終わりがどのようなもので、いつ訪れるのか。
 ユーベルコードにより爆発的に戦闘能力の引き上げられた莉亜にとっても、配下の獣同様に我を忘れ突進してくる領主をいなすことなど造作もなかった。
 こんな茶番を延々続けていたのなら、もっと別のなにかが欲しくなってきてしまいそうで。
「そろそろ終わってくれたら嬉しいなぁ。君の味は十分に堪能したしね?」
「まさに悪の支配者って感じだな。……今のその、小物っぽい慌てようも含めて、な」
 溜息混じりの莉亜の声に、クロード・ロラン(人狼の咎人殺し・f00390)が言葉を続ける。
「あァ……?」
 小物? 領主が睨めつけたとてクロードは不快感を隠しはしない。頷けることだ、彼の憧れる『かっこいい大人』の真反対に巣食う下種であるならば。
 ムカムカと胃にまで浸みかねない空気を吸って、吐く瞬間の踏み込みの速さから獣の持つ俊敏性を存分に発揮する。
「……貴様、犬か? 犬が上位種に口を利いてイイと思っているのか!?」
 がなりたてる声に呼応し、握り切れず落としていた銀剣がゆぅらり宙へ浮かび上がってはひとつふたつみっつ――十を超える数にまで複製される。マサクゥルブレイド。その選択は、近接戦をこなすだけの余力はないと如実に物語る。

 直後、一斉に散開した刃が猟犬たちへと放たれた!
 だがそれも、弾丸のように詰めたかと思えばするりと身を捻るクロードには掠り傷以上刻めずに。飛んだ一本足場に天井スレスレまで跳ねる狼は着地点を調整、死角を取ってみせる。
「知らないんだろ、ヴァンパイアの天敵は人狼って説」
「ッ!」
 領主の目が動きに追い付く頃には既にその首は回らなかった。攪乱しつつ幾重にも巡らせたクロードのロープが一挙に収束、ぎちぎちに首と四肢とを締め上げたのだから。
 莉亜の付けた噛み傷から血が溢れる。ガリリ、と、解放求める指が傷口と肉を益々引っ掻いた。すっかりそちらに逸れた意識では念力制御も儘ならない。
「拘束されるのは苦しいか? それ以上の苦しみを、お前はずっと村の人に与えてきたんだよ」
(「畳み掛ける」)
 冷静に戦況を読んでいたジェットも好機を逃さず躍りかかる。
「伸びろ――――」
 展開した断割鉈は枝分かれし再び鞭に似た姿へ。
 胴、腕、肩に頭――振るう度、ここまでに全員で積み重ね開いてきた傷口へと鋭利に喰らいついてゆき。
 攻撃回数重視の方針が活きていた。領主の焦りが影響し狂ったように飛び回り始めた剣が迫ったならば、それをも手前で打ち落とす。
 碌に使われず来て、手入れのなっていない証拠だろう。
 元々刃毀れしていた銀は、切り結ぶ度掛かる衝撃に耐えられず粉微塵に崩れ始める。
「潮時のようだな」
「命乞いでもしてみるか? ここまでのお前の咎、俺は絶対許さないけどな!」
 首を千切らんばかり、手にした縄にぐっと力を込めるクロード。
「わた――わだし゛は、ッ王は死なな゛いいイ゛ィ!!」
 消え失せる直前の複製の剣が断ち切ったのは、憎き猟兵でなく両足を拘束するロープだった。僅か自由を取り戻したつま先が開け放たれた扉へと向く。

 肥えた体と縮んだ翼で今更、どこへと逃げる気だったろう?

「はい、おしまい」
 ――許す者など此処にはいない。
 声無くも狙い違わず伸ばされた鉄鉈が踏み出したがった足を削ぎ。
 飽けども血を欲し、全方位から"群がる"白鎌は哀れなヴァンパイアをついに八つ裂いた。
 蓄積されたダメージが一気に弾けた風に。細切れに飛んだ肉片はぼたぼたぼた、屋内に雨を降らせる。屠畜される豚ですらこうまで無残な形となりはしないだろうに。
 心臓、か……蠢くひとかけらを気にも留めぬ様子でジェットが踏み潰した。鉄の兜はいつしか真っ赤に染まっている。
 今日一番にデカい水浸しを一瞥する莉亜。今しがたの攻撃で"胸焼け"気味の彼は、二度と関心示すことなく早速踵を返してゆく。
「次は油切った奴じゃなくて綺麗なおねーさんの血を味わいたいかなぁ」

 いつかは女。
 その次は赤子。
 次の次の次の――……次、そうして訪れた己の番。
 絨毯のシミに混じって溶ける、なんともあっけない最期がそこにあった。

 誰彼無しに吐いた息が、十数分ぶりの静寂に落ちる。
 長居は無用。
 なにせ激しい攻防が繰り広げられたわけだ。壁の崩壊のみならず柱の幾つも折れた『城』は、いつ崩れ始めてもおかしくはない。
 遠征にでた護衛とやらも領主の血肉を分けた存在ならば、主が死した今、二度とこの地へ帰りはしないと考えられた。
 つまりは、勝利。
 炎を血を武を志を揮い、駆け抜けた者たちのその毅さが。
 連綿と続く筈であった死の季節を、確かにひとつ、ここに終わらせた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 日常 『人々の笑顔の為に』

POW   :    食料の運搬、建物の修理など力仕事をする

SPD   :    村々を巡って困っている人を探す

WIZ   :    明るい歌や踊りで元気づける

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


休む間もなく、出立時の話を思い返すに猟兵にはもうひと仕事残っている。
 雪解けを――希望を示す、ミッションだ。

 街の北と南に続く街道――崩壊した今は瓦礫に覆われているが――をいくらか進んだ先にどうやら、彼の領主の支配を受けていた村が存在するらしい。
 規模と被害状況はどちらも大差ない。片や川辺、片や山辺の立地程度か。
 動ける男手は失われており傷病人ばかり。若い娘は好んで『コレクト』されたり、秘密裏に村人の手でより遠方の村へと逃がされた者も多い様子。
 自然、働き手が不足したことで食糧難や物資難は深刻。当然、活気そのものも。
 ある者はまた、骸を傍らに今この時も震えている。
 疲弊と諦念の渦中。他者から差し伸べられる手の温かみなど、きっと忘れてしまった彼らへ。

 何を、如何にして届けよう?
ジェット・ラトリオック
【POW】で食料の運搬、建物の修理などを行う。
「怪力」「早業」も使用し、効率よく速やかに行う。

…自分のような鉄兜が、受け入れられるとは思えないが。
それでも、俺は出来る事を。
「コミュ力」も利用して、彼等に叫ぼう。

「俺のような人間が言える言葉ではないが、どうか聞いてくれ。」
「領主は、いや、あのヴァンパイアは俺達が討ち取った。」
「首は無いのは許してくれ。肉一片でも残せば蘇る可能性もある。」
「俺達はその報告と、貴方達への支援のためにここに来た。」
「…もう、怯える必要はない。」


エコリアチ・ヤエ
食料を届ける。
道のりが瓦礫などで邪魔されるのであればリザレクト・オブリビオンを利用し瓦礫を力づくでどけ、引いてきた荷車を村まで運ぼう。
荷車いっぱいにのせたのは日持ちのする種類のパンやピクルスなど。また酒も多く積む。解放されたことを伝えるのならばそれは祝賀であり、祝いには酒がなにかと入り用だと思ったからだ。酒なら消毒にもなる。空きがありそうなら衣料品もいくばくか積もうか。
「腹が減っては戦ができぬ、だな。女子供でも腹さえ満たせればどうにでもなるだろう」
村人が訝しむようなら俺が口にして安全な食料であることを示そう。
今後は自分らで復興しなければならないのだから、俺からせめてもの餞別になればと思う。



ざり、ざり。

 荒廃した大地を踏みしめ、長躯の男が村の入り口へ姿を現す。
 鉄の兜。ぼろぼろの黒い外套に衣。着飾りはしないその姿は、ありあわせの装備だけで覚悟を胸に村を発った男たちのものに奇しくもよく似ていた。
 似ていたと……夢にまで見る程に再会を願ってやまぬ者には、尚の事感じられたのだ。

「――あんた! 無事だったのかい……!?」
 絶叫に近い。
 男の――ジェットの元へ、濁る水の入った器をひっくり返して、足を引きずりながらも女が駆け寄った。
 縋るように手が伸ばされたところで、ジェットは一歩身を引きついと首を振る。
「俺はこの村の者ではない。だが、貴方たちに届けられるものがある。どうか聞いてくれ」
 女の声が喜びを孕んでいたから。何事かと家々の扉から顔出す村人たちにも届くよう、ゆっくりと語り始める。
「領主は、いや、あのヴァンパイアは俺たちが討ち取った」
「は、……?」
「俺たちはその報告と、貴方たちへの支援のためにここに来た」
 必要以上を語らぬ男は、必要だからこそ声を大にして言葉を紡ぐ。
「首は無いのは許してくれ。肉一片でも残せば蘇る可能性もある」
 先とは別の意味で目を白黒させる女。半端に上げたままの手は行き場を失い、そうして自身の服の胸元をぎゅっと握りしめた。
「ヴァンパイア、を……?」
「そうだ。……もう、怯える必要はない」
 俺のような人間が言える言葉ではないが――。
 誰にも運べず半分入口を塞いでいた大きな瓦礫へ触れたかと思えば、軽々抱え上げるジェット。
 ここからは行動で力を貸そう、と崩れた家々、そして人々を眺め見た。
 戦いで見せた冷やかさはそこになく。男の声はずっと静かに穏やかに、煤けた景色へ溶けてゆく。

 長い、長い沈黙。

「俺たち、って……。あんた一人じゃないのか? できる筈があるか……村一番の力自慢だって、あのバケモノにすぐに食い殺されちまったんだぞ!!」 
 それを破るのは片腕片足を失った男の震え声。
 信じたい! 信じていいのか? 信じられない! 洪水のように溢れる感情が叫びを悲痛なものとする。
 そんな中、遠くから近づく車輪の音に気付くものが何人いたことだろう。
「おーい、ここでいいのか」
 ざっ、と。
 続いて数人の猟兵が村の入り口へ姿を見せた。声の主はその内の一人、エコリアチ。
 おっとお取込み中か、なんておどけてみせる彼が荷車に積んで運び来たのは日持ちのする食糧と衣料品。
「あらかた説明は終わったんだよな? ならほら、食った食った!」 
 パンにピクルス、それに酒。他にも――村にとって喉から手がでる程欲しい物資を、まだ状況を呑み込めていない人々へぽんぽん渡していくものだから。
 手の上で持て余す者ばかり。それでもまた別の男は、差し出される褐色の手をぱしんっと払いのける。
「そんなうまい話……俺には分かる! 食い物に毒が入っているんだろう!?」
 一瞬きょとんとしたエコリアチはしかし、躊躇うことなく手にしたパンを一口齧り、まぁたしかにうまいぜと笑ってみせて。
「腹が減っては戦ができぬ、だ。女子供でも腹さえ満たせればどうにでもなるだろう」
 酒なら消毒にもなる。言って、足の怪我が目立つ先の女へと汚れた布でなくパンと酒瓶を握らせた。
 女はただじっと、じっとそれを見て……。
「本当に……? 本当にもう、怯えなくてもいいの?」
 あの人が繋いでくれた時間は、無駄ではなかったの?
 瞳から滴を零す。
 痛みでなく――もっと別の何かのために。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

三蔵・迅
【SPD】村の中で困っている人を助けに回ります

こう見えても「掃除」は得意なんです。
重いものもサイキックで浮かせてしまえば、移動も楽々できますし。
火を熾す燃料さえ無いような家があれば、私の【ブレイズフレイム】で火を分けていきますね。冬ですから、とにかく暖かくしないといけません。
人間というのは、寒い時にはどんどん悪い方向へ考えてしまうものなんでしょう?食べて飲んで、笑っていれば、寒さもきっと吹き飛びます。

それから、もしも村の方に許可を頂けたなら、村の広い場所で大きな焚火をさせてください。
全てが終わったお祝いと、失った方々への追悼の為に。
「これだけ明るくて大きな燈があれば、闇も怖くはありませんよ」


クロード・ロラン
戦果の報告、物資の運搬は大丈夫そうだな
なら俺は【SPD】で人を探して、状況の報告と必要なものを持ってこよう
怪我や病気、赤ん坊の世話なんかで自分では取りに出てこれない人もいるだろうから

村の中を歩きながら、遭遇した人にも状況を報告
村の入り口で物資を配ってることを伝える
自分で物資を取りに出てこれない人が周囲にいないか訪ねて、積極的に向かう

ヴァンパイアは俺達が倒した
あんな怠惰なやつに、怯える必要はもうないんだ
これからは村人みんなで協力して生活していってくれよ
まずは物資で疲れた体と心を癒して
それが終わったらみんなで復興作業だ
生きてる限り、人は誰かの力になれる
そうして迎える春が明るいものなら、俺も嬉しい!


フィロメーラ・アステール
「なんだーお前ら、元気が足りてないぜ!」
星くずの妖精が空中【スライディング】で颯爽と登場! まさに流れ星!
運命の風がラッキーな希望を運んできたぞー!

【生まれながらの光】を放ちながら踊って【パフォーマンス】で【鼓舞】して【勇気】を与えるぜ!
身体がヘトヘトなヤツにも元気をお裾分けだ!

ま、歌は得意じゃないんでBGMは手拍子くらいしか用意できないぜ!
誰か用意するなら乗っかるぞ!
村の歌とかでもテキトーに踊るからな!

「星ってのはな……輝いてるヤツと、輝きを反射してるヤツがいるんだぜ! つまりお前らはどっちにしろ輝くってことだー!」

(白色矮星のように燃え尽きた妖精がへろへろ飛び去っていくのはまた別の話)


ザザ・ベルクハウト
「僕は旅の音楽家です。貴方達の為に少し、演奏させてください」
始めは喪った方への鎮魂曲を

初めて訪れる僕らの言葉を、すぐには信用して貰えないかもしれません
それでも、凝り固まってしまった恐怖や憂惧する気持ちを、どうにか解してあげたい

食料や物資があるのを確認したら、曲調を変えて食事を勧めてみます
「パンをどうぞ。空腹では益々気落ちしてしまいます。お腹いっぱいになれば、自ずと元気が湧いてきますよ」
僕が出来る精一杯の笑顔で明るい曲を奏でましょう

怪我をした方に有効であれば、シンフォニック・キュアを披露します
僕らには、こんな芸当も可能なのです。ヴァンパイアが討ち取られた事も信じて頂けるといいのですが



にわかに賑わい始めた広場を目に、猟兵たちはより小さな声にまで手を伸ばすため村の奥へと歩み出す。

「――だから、こんなこと続けてもいずれ全員死ぬだけだ!」
「何を言ってる、じゃあお前の嫁を贄に出すってか!?」
 外れから聞こえる諍いにクロードの獣耳がぴんと動いた。進路を変えて次第に小走りへ。
「子どもなんて泣きわめくだけで何にもならない……俺たちが、村が生きるには犠牲が必要なんだよ……!」
 今までだって、これからだって! 拳振り上げ殴りかかろうとする腕が後ろ、いや後ろ斜め下からぐい、と引かれる。
「その必要はないよ。あんな怠惰なやつに、怯える必要はもう、ないんだ」
 ほんのすこし息を上げたクロードだった。
 力に比べ声色と見上げてくる顔の幼さにか、男は目を丸くして固まる。もう一人も暫し呆気にとられてから、ハッとした顔で周囲を見渡した。
 言い争いが過熱し周りの状況が遮断されていた――視線を巡らせたすぐそこ、手際よく働く猟兵たちの姿があるというのに。
「人や物がこんなに……もしかして、領主に何か……あったのか?」
「ああ、俺たちが倒した。図体ばっかでほんとちっちゃいやつだったよ、あいつ」
 それはいいとして、で言葉を切った少年は自らが走ってきた方を指差してみせる。
「入り口近くで食べ物とかも配ってる。休んで、元気がでたらみんなで復興作業だ。もちろん俺も手伝うからさ」
 にっと八重歯を覗かせるクロードの真っ直ぐな強さは、この村でいつからか失われてしまった子どもの明るさそのもの。
 生きている限り、人は誰かの力になれる。
 子どもの笑顔も村の力であり宝――そんな大事なことを忘れてしまっていたらしい。己の心がいかに疲弊していたか、気付かされた男は恥じ入るように頬を掻いた。

 一方、三蔵・迅(遠き夕の灯・f04775)が足を止めたのはひとつの大きな家、だったものの前。
 一人二人で暮らすため建てられたのでないと、見て取れるだけの瓦礫の山が出来上がっていた。
 ふむ。
 あれをこちらに、それをあちらに。頭の中で試算を始める迅の背へと、いらないよと、不意にしわがれた声がかかる。
 振り返れば老婆が立って、曲がった腰にならい顔を俯けていて。
「構わないのさ。だれも戻ってきやしない。私一人で暮らすには、そんな家崩れたままで」
「いえ、私がさせていただきたいだけですから。どうぞ座っていらしてください」
 彼女がつく杖を見て取り、青年は脇に転がる木箱に積もる土埃を己の手で払う。
 しなやかな指が汚れても、気にした風もなく再び瓦礫へと向き合った。その様に押し黙る気配。声はそれ以上を止めることなく、箱の上に腰を下ろす音が続いた。
「……そんなひょろついたナリで何しようってんだ」
「ご心配なく。こう見えても、得意なんです」
 ――『掃除』は。柔らかに微笑み浮かべる迅が片手をかざす。
 当然、何も起こらない――……そう感じさせたのは一瞬限り。直後には眼前の岩や丸太がまるで羽でも生えたかのように、すぅと浮き動き始めるではないか。
 開いた口が塞がらない、といった様子で今度こそ黙り込む老人へ肩越しに視線を向ける迅。
「そうだ、火の足りていないお家はありますか? そちらにも後でお伺いできればと」
「あ、あぁ……」
 話の合間も手は止まらずに指揮者のように残骸を捌く。
 せっせと身を尽くす青年の背に、いつしか老婆は目を細めていた。
 誰を重ね見たのか――それは、失われて久しい晴天を眺むひとの仕草にも似ている。

 広場へ、家々へ。
 地獄と呼ぶには穏やかに揺らぐ明かりに惹かれ、迅が灯した炎のまわりに人々が集い始める。
「これだけ明るくて大きな燈があれば、闇も怖くはありませんよ」
「すごいね、まほー使いさんなんだね!」
 腹は膨れて大人たちのいつになく楽しげな空気もあって、残された子どもたちが顔を綻ばせた。
 食べて飲んで、笑っていれば寒さも吹き飛ぶ。そう考えていた迅もまた優しく笑い返して。
 ――ポロン。ポロロン。
 流れ始めるハープの音色のは、ザザ・ベルクハウト(ラルゴ・f08484)の鎮魂曲。
「僕は旅の音楽家です。貴方達の為に少し、演奏させてください」
 ぱちくりと瞬く人々へ恭しく目を伏せご挨拶。旋律は未熟なれど、爪弾く指の丁寧さに彼のまごころが溶け込んでいる。
 音楽をうつくしいと思える心は、未だ強張っているけれど。
 それでも胸に響く音色に、ある者は祈った。去ったものの安らかな眠りと、生かされた自らの生をもう決して諦めぬことを。

 だから星屑が降ったとき、これもまた見知らぬ旅人たちの施す魔法なのだと誰もが思ったのだ。
「なんだーお前ら、まだまだ元気が足りてないぜ!」
 その通りといえばその通り。
 ぱったぱたと横滑りに舞い込んできたフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は、煌めく星を供にして暗夜の空を踊ってみせる。
 それは彼女なりのパフォーマンス。鼓舞して勇気を与えて、もっともっと希望をと望む運び手のプレゼント。
「歌は得意じゃないんでな。そこのにーちゃん、ラッキーでハッピーなBGMをひとつ頼むよ!」
 指名されたらしきザザはくすりと笑って、お任せあれと一音高い弦を弾いた。
「えー!? なになに、こんなのはじめてみるよ!」
「なんだい、星を見るのは初めてか?」
 少女の前にきらきら舞い降りて、鼻先をつんと指で押すフィロメーラ。
 くすぐったそうな様を得意げに見遣ってもう一度、妖精は炎のそばをぐるり回る。
「いいか? 星ってのはな……輝いてるヤツと、輝きを反射してるヤツがいるんだぜ! つまりお前らはどっちにしろ輝くってことだー!」
 よく分からないけれど、すごい!
 煌めきを分け与えられながら、星屑を追いかけ走る子どもたちもまるで躍るよう。
 時に歌声も交え光景に見合うだけの明るい曲調を奏でていたザザは、ふとすこし離れたところで膝を抱える少年に目を向けた。
 黒い瞳はじっと賑わいを見ている。けれど混ざって行けないのは、その足にぐるぐると巻かれた茶赤い包帯が理由か。
「お怪我をされていたんですね。ちょっと失礼」
「わっ……」
 そばに跪きしゅるりと包帯を解いてみせたなら、かつて刻まれていたのであろう傷はどこにも見当たらない。ザザが歌声に込めた神秘の力が、正しく作用した証。
「どうです? もう痛くはないでしょう?」
「う、うん……ありがとう!」
 わっと花やぎ駆け出す小さな背中を、自らの精一杯を届けられたことを、流れの音楽家は安堵の面持ちで見送った。

 色を変えた先が何色か、今は誰にも分からねど。
 小さなことからひとつずつ、その上で人は芽吹きを願い種を蒔く。
 そうして迎える春が明るいものなら――俺も嬉しいと、想うクロードに応えるように今宵の赤はあたたかに。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2018年12月20日


挿絵イラスト