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ガラスの宇宙(そら)

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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 空っぽの宇宙(そら)の国に、穴があいた。

 兎の穴から浮かんできたのは、風船の愉快な仲間たち。
 あれれ、おかしい。思い通りに飛べないぞ?
 ここには重力がないらしい。もうどっちが上か下かも分からない。

 ――ぷ、かり。
 何も無い空間から、何かが生まれた。小さな小さな、ガラスの種だ。
 風船がガラスの種に触れると、一気に芽吹いて身体を包み込まれる。
 ぼくのからだが……ガラスドームに生まれ変わっちゃった!

 光の硝子玉を沢山浮かべたら、宇宙はうんと明るくなった。
 珊瑚に囲まれた熱帯魚が泳ぐ、クラゲ型のドームがゆらゆらと。
 クリスタルフラワーが永遠に咲くポット型のドームは。
 キャンディドロップを詰め込んだコップ型のドームに寄り添って。
 天使の翼が生えた巨大なドームでは、透明な鳥が羽ばたいている。

 ガラスドームの愉快の仲間は、自由に姿を変えるガラスの種で各々の世界を作った。
 今度はこの宇宙に何を生もうか?
 ――きらり。
 時折流れるガラスの流れ星に、願いをかけた。
 この世界をもっと素敵にしてくれる、誰かが来てくれますように!

 脆くて儚いガラスの宇宙を壊してしまう、暴れん坊のオウガが来る前に。


「アリスラビリンスで新しい国を見つけたんだけど、向かってもらえるかい?」
 メリー・アールイー(リメイクドール・f00481)が紹介したのは、生まれたばかりの不思議の国。名前はまだ無く、そこに住まう愉快な仲間たちには『ガラスの宇宙の国』と呼ばれているらしい。

 宇宙空間をモチーフとした御伽噺のような国。
 そこは無重力で誰もが宙に浮かんでしまうが、呼吸には困らない。
 何も無い空間から無数に生まれるガラスの種が、この国の命の源だ。
 ガラスの種に触れると、触れた者の心によって芽生え、好きな色形を得るらしい。
 まずはガラスドームの愉快な仲間たちと一緒に、この国を豊かにしてもらいたい。

「ガラスの種は、触れた者の想像力さえあれば大抵のものは作れるらしいよ。宇宙に浮かべるものと……ついでに、あんたたちが欲しい物も作っていいんじゃないかい?」
 猟兵が宇宙に残せるものを作ったら、愉快な仲間たちは大変喜ぶだろう。
 コップやペンや小物入れなどの日用品、ピアスやネックレスなどのアクセサリー、その他も猟兵が望む物を作れるはずなので、お土産が欲しかったら好きに作ってみるといい。
 ちなみに、お気に入りを包み込むことが大好きな愉快な仲間たちのおすすめは、ガラスドームアクセサリーだそうだ。

 暫くガラス細工作りに励んでいると、ガラスの流れ星を見つけられるだろう。
 今度は作り上げた国が壊されないように、お星さまの不思議パワーを注入しよう。
「この国がオウガに見つかるのも、時間の問題だろ。オウガが来る前に、どうやったらこの国を守れるか……考えて、お星さまにお願いしてみておくれ」
 例えば、この国のものに暴力を振るおうとする悪い奴だけを狙い撃つガラス銃とか。
 例えば、割られてしまったガラスを瞬時に元通りに直してくれるガラスの小人とか。
 この国の中に限れば、びっくりするような願いごとも叶えてくれそうだ。
「もちろん、あんたたち自身の願いごとをかけても構わないよ。いずれはこの国を出て行く者に関しては、お星さまの力が及ぶかは分からないけどね」
 それでも、願うだけなら自由だろ? とメリーは目を細めて笑った。

「予知の最後に猫っぽい影が見えたから、多分最後にそんなオブリビオンが現れるよ。猟兵の力と皆で作り上げた国の力を合わせて、とっとと追っ払っちまおう!」
 ガラスでキラキラ、美しい世界の誕生が嬉しいらしく、ご機嫌なメリーはボタン型のグリモアをいつもよりもクルクルと回して猟兵たちを送り出す。
「国を守ってもらうお仕事だけど……たっぷり楽しんでくるといい! よろしゅうにー!」


葉桜
 OPをご覧いただきありがとうございます。葉桜です。
 ガラスドーム、調べててテンション爆上がりしました。
 皆様のすきなものも、ガラスに詰め込んでみませんか?

 第1章。日常『硝子の魔法』。
 第2章。日常『星に願いを』。
 第3章。ボス戦『ロン』。

 各章でやれることは、OPに書いた通りです。
 この国で作ったガラスのお土産はご自由にお持ち帰り下さい。
 (アイテム配布はございません)

 ユーベルコードは指定した一種類のみの使用となります。
 プレイングはOP公開から募集開始です。
 必要最低限の青丸が集まりましたら、締切の日時をマスターページにてご連絡致します。1・2章は日常で必要な青丸が少ないので、早めに締まるかもしれません。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 日常 『硝子の魔法』

POW   :    大きく、鮮やかに!

SPD   :    時間をかけ、丁寧に

WIZ   :    儚く、繊細に

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

無明・緤
生まれたての御伽の国か
今度はどんな物語が読めるだろう
好奇心にひげをぴりりと震わせて
ガラスの種に前肢で触れる

この宙に浮かべる『船』をつくりたい
おれの【航海術】の知識をつめこんで
時間をかけ、細部まで丁寧に
いつかアリスや愉快な仲間たちが乗りこんで冒険ができるような
海をゆったり進む大魚に似た、ガラスの宇宙船を

尻尾でひとつ種をはたき、自分のからくり人形にパス
お前に触れた種はどんな夢を芽吹かせるだろう
…ニャンと、おれそっくりの黒い硝子猫かよ!

船が完成したら、この国の愉快な仲間たちにも
「乗ってみないか」と声をかける
処女航海に連れてってやるよ

流れ星を近くで見たいんだ
光る硝子玉の星々を道標にして
行こうぜ、一緒に




「生まれたての御伽の国か、今度はどんな物語が読めるだろう」
 ガラスの宇宙に浮かび上がった黒猫、無明・緤(猫は猫でしかないのだから・f15942)は、何とも楽しそうにニヤリと笑った。
 犬かきならぬ猫かきで無重力の宇宙を泳ぐと、すぐにお目当てのガラスの種とご対面する。この国を生み出す未知の魔法を前にした好奇心に、ぴりりとひげが震えた。

「おれは、この宙に浮かべる『船』をつくりたい」
 猫の前肢に触れられたガラスの種は、願いを受けて芽吹き出す。
 ぷぅーっと大きく大きく広がるガラスは、航海術の知識を詰め込んだ緤の脳にリンクするように、彼が思い描く通りの姿を形取っていく。
「いつかアリスや愉快な仲間たちが乗りこんで冒険ができるように」
 時間をかけて、夢を膨らませて。細部まで丁寧に想像しよう。
 そうして緤の前には、巨大なガラスの宇宙船が誕生したのだった。

 精巧な作りのガラス船を一目見ようと、ミニチュアガラスドームの愉快な仲間たちが集まって来る。
「乗ってみないか。処女航海に連れてってやるよ」
 緤の素敵なお誘いにカラカラと歓声をあげて、ガラスの兎や蝶々が船へとお邪魔する。
 生まれたばかりのガラスの種も、そわそわとこちらを見ているような気がしたから。緤は自分のしっぽで種をひとつはたき、自分のからくり人形にパスを出す。
 人形にも夢を芽吹かせることは出来るのだろうか。その答えはすぐにお披露目される。
「……ニャンと、おれそっくりの黒い硝子猫かよ!」
 人形のてのひらから飛び出したツヤツヤにゃんこに頬ずりされて、緤の猫目が優しく細まった。

 乗組員のガラスの生き物たちを従えて、緤船長は船首に立つ。
「流れ星を近くで見たいんだ。行こうぜ、一緒に」
 ガラスの船は、宇宙の海をゆったりと泳いでいく。
 こっちへおいでと誘うように瞬く、硝子玉の星々を道標にして。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・庚戌
おや、ボクにとっては何だか懐かしい場所だね。
ガラスドーム…
ボクが触ったらガラスドームの中に宇宙を作ってしまいそうだけれども…
構わないかな?

あとは何を作ろうかな…
そういえばトンボ玉というものを聞いたことがあるよ。
色々な色が混ざっている小さなガラスの球だそうだよ。
ボクはガラスで星みたいなトンボ玉を作ろうかな。
この宇宙にガラスの星を増やせるようにね。




 真っ暗闇を照らすガラス星の光があたたかい。
 遠い過去に流れたことがあるような、静かで美しい宇宙だった。

「おや、ボクにとっては何だか懐かしい場所だね」
 彗星にまつわる風説から生まれた妖怪、箒星・庚戌(1P/Halley・f28100)は星柄の外套を揺らして、生まれたてのガラスの宇宙を漂っていた。
 どこか目指すべき場所があるわけでもなく、上も下も分からない空間をふわりゆらり。
 すると、オレンジ色の瞳の前に小さなガラス粒が浮かび上がる。こんな風に当てもなく彷徨っているだけでも、この国の命の源、ガラスの種を見つけられるようだ。

「ボクが触ったらガラスドームの中に宇宙を作ってしまいそうだけれども……構わないかな?」
 い~よ~。庚戌の独り言に、間の抜けた声が応えてくれた。
 クジラ型のガラスドームとその中で泳ぐイルカの群れが尾ヒレを振っている。
 庚戌はクジラたちに軽く手を振り返して、種を芽吹かせた。
 彼の手の中で、小さな宇宙が広がっていく。ガラスドームに閉じ込められた宇宙の中では、キラキラ星が瞬き、時折星が流れる仕様までこの国と同じだ。
 キレイだね~。宇宙に放たれた宇宙が仲間に加わり、クジラたちは嬉しそうに旋回した。

「あとは何を作ろうかな……」
 順番を待つようにあちこちで生まれるガラスの種に、庚戌は再び手を触れる。
 どこかで聞いたことがあるものを思い出して、ガラスを練った。
 確か、色々な色が混ざっている小さなガラスの球……『トンボ玉』。
 薄い青から濃い青までが混ざり合い、角度によって様々な光沢を魅せる星が出来上がった。
「この宇宙にガラスの星を増やせるようにね」
 新しい星を宇宙に流して、また次の星を作り出す。
 トンボ玉の星は見えなくなるほど遠くまで飛んで、チカリと瞬いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リュヌ・ミミティック
・心情
ん、おー…き、らきら、とても、きれ、い、ね?

・行動
猫憑き季月にダフィット、それにいっぱい狐のぬいぐるみさんたちに助けてもらおう
「ん。机、に、椅子に、ソファー、そうい、うの、必要だ、よねー?」
あとは、遊び道具だって、合っていいよね?
ボールにボールに、ボール……き、狐の習性だから仕方がない
あとはなにがいいかな、皆と一緒、たのしいねっ

・口調捕捉
ん、ん。が最初に必ず付き、変なところで区切ってしゃべるのが癖




 ガラスの宇宙にひょっこりと現れた、獣耳がひとつふたつみっつ……こんなにたくさん? かわいいお客様に気が付いたガラスドームの愉快な仲間がご挨拶にやってきた。
「ん、みん、な……こんにち、わ」
 妖狐のリュヌ・ミミティック(狐薊の鳴き声・f02038)に続いて、ジグザク縫い目の猫の縫い包み『猫憑き季月』と白きドラゴン『ダフィット』がぺこり。その後ろでお行儀よく並んでいる子狐のぬいぐるみたちは、【狐乃声援】で喚んだお手伝いさんだ。

 みんな、ようこそー!
 お腹をお花で満たしたガラス兎は、真っ赤なおめめをキラキラさせて歓迎してくれた。
「ん。そうす、る。……ん、おー…き、らきら、とても、きれ、い、ね?」
 早速リュヌの周りには沢山のガラスの種が浮かんでくる。
 指先でそうっと触れたら一気に芽吹いて、大きな金魚鉢のようなドームが出来上がる。
「ん。机、に、椅子に、ソファー、そうい、うの、必要だ、よねー?」
 作りたいものが沢山あるから、手伝って?
 リュヌのお願いに、ぬいぐるみとドラゴンたちもガラスの種に触って、彼がリクエストしたものを生み出してはドームの中に設置していく。
 透明ガラスの家具がおしゃれな金魚鉢のお部屋が、あっという間に出来上がった。
「ん、ん。遊び、にくる、アリスも、喜んで、くれ、る、ねー?」

 あとは何を作ろうか。迷っているリュヌたちの周りを、ガラス玉の光源がぷかぷかと漂っている。欲しい物見つけた、と。ぬいぐるみたちと一緒にガラスの種を芽吹かせた。
「ん、遊び道具、だって、あって、いい、よねー!」
 みんなで作ったのは、ボールにボールに、ボールばっかり。
 どうやらお狐様はボール遊びが大好きなようだ。
「ん。……き、狐の、習性、だから、仕方、が、ない」
 ガラスのボールは、金色、赤色、紫色。リュヌと季月の目の色みたい。
 とーん、とーん。ガラスを割らないように子狐たちとボール遊びをしていると……。
「ん、あれ。んー……誰か、宝箱、に、仕舞った?」
 これもまた狐の習性。綺麗なボールをこっそり仕舞われてしまったみたい。
 仕方ないなあ、まだボールはたくさんあるからいいけれど。
「ん。皆と一緒、たのしい、ねっ」
 とーん、とーん。ガラス星の光を反射するボールは、とっても綺麗に宇宙で跳ねた。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK
WIZ

うん大丈夫だ。本物の宇宙と違ってここは重力だけがない、大丈夫だ。(自分自身に言い聞かせ)
ええとガラスの種か。ガラスの…(ふと思いだす姿)兎…あいつ元気にしてっかな。
そのまま記憶の中のウサギの姿の、手のひらに余裕で乗る小さな置物を一つ。…これは自分用だな。

しかし他には何を…。形を成したら壊れてしまいそうで怖いってのもある。
…壊れても心に残せる輝きがあれば。
あぁそうか星を作ろう。どうせいつか消えるなら砕けてしまうなら、心に残す輝きを。
大小様々、形も五芒星・六芒星のようなものから思いつく限り、たくさんの星を作って浮かべる。
星のような輝きは俺は持ちようがないから、逆に幾らでも作れる。




 転送直後の浮遊感。
 視界を埋める暗闇は本物の星空に放り出されたようで一瞬鼓動が跳ねるが、確かめるようにゆっくりと息を吸い込めば、普段と変わらない、寧ろ普段よりも澄んだ空気が胸を満たしていく。
「うん大丈夫だ。本物の宇宙と違ってここは重力だけがない、大丈夫だ」
 黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は自分に言い聞かせるように呟いた。

 長い銀髪を揺らしながら漂っていると、すぐ傍でガラスの種がぷくりと生まれる。
「ええとガラスの種か。ガラスの……兎……あいつ元気にしてっかな」
 瑞樹はアリスラビリンスの他の国で出会った水鏡の卵の子、自分の内面を映し出して生まれた、あの時の兎を思い出す。
 瑞樹が記憶の中の兎の姿を思い浮かべると、種は芽吹いて形を変えていく。小さな丸い身体に、透明な刃物のような耳。あの子とそっくりな置物が瑞樹のてのひらに収まった。
「……これは自分用だな」
 割らないように壊さないように、そっとそっと。
 おまえは連れて帰る、と。自然と頬が緩まった。

「しかし他には何を……。形を成したら壊れてしまいそうで怖いってのもある」
 自分がこのガラスの宇宙に何を残せるだろうか。
 一般的にガラスとは脆いものに形容されるほど、壊れやすいものだ。この世界に残しても、いつかは塵になってしまうかもしれない。それなら――。
「……壊れても心に残せる輝きがあれば」
 何かを思いついた瑞樹は、再び近くのガラスの種に手を伸ばした。芽吹いたガラスは様々な星となり、てのひらから零れていく。
 五芒星だったり六芒星だったり、様々な星型の多面体は角度によって彩りが移り変わる。大きいものも小さいものも。規則性はなく、瑞樹はただ思いつく限りの星を作った。
「星のような輝きは俺は持ちようがないから、逆に幾らでも作れる」
 どうせいつか消えるなら、砕けてしまうなら。心に残す輝きを。
 瑞樹の願いを灯した星々が、果て無き宇宙へと広がっていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリア・アクア
まあ、まあ!なんて素敵な国なんでしょう!
ふふ、ふわふわ宙に浮くのも楽しい
もっともっと素敵な世界にできるよう、頑張りましょう!

どんな場所でも、やはり緑があると癒されます
私は緑色のガラスの木を作りましょう
できるだけ大きく、立派なものを……ああ、周囲のガラスに反射して、木漏れ日みたいですね!
ふふ、私の鳥さん達も嬉しそう
でもガラスは繊細なものですから、止まり木にはしちゃだめですよ?

立派な木ができたら、ガラスの木の葉をお土産用のガラスドームネックレスに飾りましょう
なるべく小さなところを使った方が、アクセサリーには向いてますよね
ドームの中には鳥さん形の飾りを入れて
いつでもこの世界を思い出せますように!




「まあ、まあ!なんて素敵な国なんでしょう!」
 金色の瞳に映るガラスの星々が瞬いた。
 空を羽ばたく鳥よりも可憐に、ふわふわと。宙に浮くのも心が躍る。
 アリア・アクア(白花の鳥使い・f05129)は一瞬でこのガラスの宇宙の虜になった。

「ふふ、もっともっと素敵な世界にできるよう、頑張りましょう!」
 ぷっくりと可愛らしく浮かんだガラスの種をアリアは両手に包み込み、祈りを捧げるように想像を広げる。
「私は緑色のガラスの木を作りましょう」
 種は芽吹き、エメラルドグリーンの双葉はするすると成長して、あっという間に逞しい幹から青々と生命力が溢れる大樹へと育った。
 大樹と共に大きくなったガラスドームは、人も中に入れるサイズのテラリウムへ。全てがガラス製の葉は重なりにより色の濃さを変えて、星の光をやわらかくアリアに届けてくれた。
「……ああ、周囲のガラスに反射して、木漏れ日みたいですね!」
 どんな場所でも、やはり緑があると癒される。アリアが微笑むと、彼女のお友達の小鳥たちも嬉しそうにドームの中を羽ばたいた。
「ふふ、私の鳥さん達も嬉しそう。でもガラスは繊細なものですから、止まり木にはしちゃだめですよ?」
 お利口さんの鳥達は、すぐにこの宇宙の飛び方も覚えたようで。アリアと大樹の周りを翼を広げたままゆっくりと泳ぐように旋回し、はじめての宇宙を穏やかに楽しんでいる。

 ふわり。鳥達と一緒にテラリウムから飛び出して、アリアはドームの縁に腰掛けた。
 浮いて来たガラスの種をもうひとつもらって、今度は自分用のアクセサリーを作る。
 芽吹かせたネックレストップのドームを片手に抱いて、もう片方の手を大樹に伸ばした。なるべく小さなガラスの葉っぱを選ぶ。
「少しだけ、分けて下さいな」
 葉っぱと鳥の飾りを入れたら、このテラリウムのミニチュア版のガラスドームネックレスが出来上がった。
「いつでもこの世界を思い出せますように!」
 アリアの首元で、小さな緑がキラリと輝いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミス・パンプキン
わあ、すてきね!あっちもこっちも、みーんなきらきらのガラスなんだわ!
目の前に愉快な仲間たちが見えたならコートの裾をつまんでお辞儀をするの

うっかり見惚れてしまったけれど、まずはお仕事をしなくちゃね
これはね、実はもう決めていたの
人差し指でそっとガラスの種に触れ、うまれたガラスのカボチャのランタンと目配せ
ひろいガラスの宇宙で迷わないように、迷子がいたらあなたが導いてあげるのよ

そうね、あとは…わたしの両掌に収まるくらいのスノードームなんてどう?この世界をまるごと閉じ込めたような
はじめてのお仕事の思い出なの、ずっと大切にするわ!




 ガラスドームの愉快な仲間たちは、たくさんのお客様の来訪に大喜び。
 次はどんな子来てくれるだろうと、期待とガラス細工をキラキラさせて待っていた。
 ポンッ、と。魔法のように転送されてきたのは、ミス・パンプキン(からっぽかぼちゃのおひめさま・f28048)。ガラスの宇宙にふわりと浮かんで可愛らしい歓声をあげる。
「わあ、すてきね! あっちもこっちも、みーんなきらきらのガラスなんだわ!」
 ティーポットとコップ型のガラスドームに向かって、小さなお姫さまはコートの裾をつまんでお辞儀をする。すると、ガラスドームの仲間も嬉しそうに、リィンと風鈴のような涼し気な音で挨拶を返した。

 クリスタルフラワーもキャンディドロップも宙を自由に漂うガラスの光を受けているから、キラリキラリと彩りを変えて、ひと時たりとも同じ表情をしていない。
 うっとり見惚れてしまうくらい綺麗だけれど、まずはお仕事をしなくちゃ、と。ミス・パンプキンはガラスの種に人差し指でそっと触れた。
「これはね、実はもう決めていたの」
 触れた指先からぷくぅっと形作られたのは、カボチャのランタンだ。
 透明な体の中でやさしく揺らめく灯は、見る者を安心させる道しるべとなるだろう。
「ひろいガラスの宇宙で迷わないように、迷子がいたらあなたが導いてあげるのよ」
 生まれたてのカボチャランタンと目を合わせて、役割を教えてあげる。
 カボチャは返事代わりにクルーリ回転すると、穴あきの目と口でにっこり笑った。

「素敵な仲間を生んでくれてありがと! 宜しければガラスのお土産もいかが?」
 カボチャランタンを囲う愉快な仲間たちの提案を受けて、ミス・パンプキンはそうね、と指先を唇に当てる。
「あとは……わたしの両掌に収まるくらいのスノードームなんてどう?」
 賛同するように生まれたこの子に決めた。ガラスの種をてのひらで包み込み、この世界をまるごと閉じ込めたような宇宙のスノードームを作り出す。
 じぃっと中を覗き込めば、ガラスドームの愉快な仲間たちもカボチャランタンも、ちーっちゃくなってキラキラと輝いていた。
「うん、素敵な出来栄えね! はじめてのお仕事の思い出なの、ずっと大切にするわ!」
 ミス・パンプキンのカボチャ色の瞳の星も、満足気に瞬いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

音海・心結
【海星】

ふわりぷくり
足が地につかない初めての感覚
ねえ
浮いてるのですよっ!
はしゃぐ姿は子供そのもの

楽しんでいる一方
気付けばたくさんの水の球体が零を囲んでいて
わあ♪
綺麗でかわゆいのです
飛んできた水球をぷにり

そっと
手を伸ばせばガラスの種に触れられる距離
優しく両掌で包み込んで
……綺麗

想いを込めるように瞼を閉じ

みゆが想像するのは狼と赤ずきん
ここでは赤ずきんと狼さんは仲良し
狼さんに恋をした赤ずきんが結ばれる
そんなワンシーンも素敵ですよねぇ

ゆっくりと瞼を開いたその先には、

わわっ
ほんとに出来てしまいましたっ
褒められ、緩む口元

優しいオルゴールの音色が聞こえる
零のもとても素敵なのです
きっと家族も喜んでくれますよ


天星・零
【海星】
enigmaで夕夜も

『確かに普段は足が地面につかない事は無いですもんね。ふふ…楽しそうで何よりです』

「ん、じゃぁ一つ面白いことをしようぜ!」

零も夕夜のしたいことを理解し十の死の溺死の骸を出して小さな水の球体を出してもらい

「ここに色をつける薬剤を入れると…」

綺麗な色の水玉を辺りに作り優しく掌で音海さんの方へ撃つ

『ふふ、綺麗な水玉の完成です。』

ガラスの種
星の輝く夜空のようなガラスドームにオルゴールが付いたもの
家族へのお土産に

『音海さんのも素敵ですね。狼が赤ずきんに恋をしてハッピーエンドになる。いいお話です』

「こんな風な物語の結末も良いもんだな!いい、ガラスドームだな!」


夕夜の口調一言欄




 ふわり――重力から解き放たれて、足が地に着かない初めての感覚。
「ねえ、浮いてるのですよっ!」
 音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)はガラスの宇宙に虹の様な笑顔を咲かせた。はしゃいでいる姿は無邪気な子供そのもので、共にこの世界へ訪れていた天星・零(零と夢幻、真実と虚構・f02413)と夕夜もつられて笑みが零れてしまう。
 二つの人格を持つ半人半霊の少年は『Enigma』で実体を出し、それぞれの身体で宇宙に浮かんでいた。今日はこの三人で遊ぼうと約束していたのだ。
「確かに普段は足が地面につかない事は無いですもんね。ふふ……楽しそうで何よりです」
「ん、じゃぁ一つ面白いことをしようぜ!」
 夕夜と零は以心伝心、やりたいことはすぐに分かる。『十の死』の溺死の骸……なんて言うと物騒だけれど、そいつに生み出してもらったのはただの小さな水球だ。
「ここに色をつける薬剤を入れると……」
「ふふ、綺麗な水玉の完成です」
 夕夜と零は色とりどりの水球を心結に優しく飛ばした。
 ふわふわぷわぷわ。気が付けば、心結はたくさんの水玉に囲まれている。
「わあ♪ 綺麗でかわゆいのです」
 金色、葡萄酒色。銀色。瑠璃色――。
 零と夕夜の瞳の色を探して、ぷにりと指をさして遊んだ。

 水球の合間で浮かぶ小さな粒は、ガラスの種だ。
 ぷくりと浮かび上がったそれを、心結は両手でやさしく包み込む。
「……綺麗」
 生み出したい世界を想像して、想いを込めるように瞼を閉じた。

 しあわせなお話がいい。赤ずきんと狼さんの話はどうだろう。
「仲良しの狼さんに赤ずきんは恋をするのです。ハッピーエンドで結ばれるワンシーンをガラスドームの中へ……」
 心結が望んだストーリーは、てのひらの中で芽吹いていく。
 ゆっくりと瞼を開いたその先には、花畑で赤ずきんと狼さんが寄り添う、キラキラの幸福の花が舞う世界。ガラスドームアクセサリーが生まれていた。
「わわっほんとに出来てしまいましたっ」
『音海さんのも素敵ですね。狼が赤ずきんに恋をしてハッピーエンドになる。いいお話です』
「こんな風な物語の結末も良いもんだな! いい、ガラスドームだな!」
「ふふっ、ありがとうございます」
 自分が素敵な物語を生み出せたのも、二人に褒められたのも嬉しくて、心結の口元も幸せそうに緩んでいた。

「零は何を作ったのですか?」
「僕はこちらです。家族へのお土産にしようと思いまして」
 零は星の輝く夜空のようなガラスドームのオルゴールを心結に見せた。ネジを巻くとドームの中の星がキラキラと瞬き、優しいオルゴールの音色が流れる。
「零のもとても素敵なのです。きっと家族も喜んでくれますよ」
 すると、宇宙の演奏を聞きつけた愉快な仲間たちがゆらりと集まって来た。
 リィン、ピィン――。オルゴールに合わせて歌うようにガラスの音色が寄り添う。
「お前らのもなかなかにいい音だな!」
 夕夜が笑うと、拍手の代わりにカラフルな水球が花火のように弾けた。
 そんな奇跡のような共演が起こるガラスの宇宙は、不思議で中々に面白い。
 ガラスドームの中へ夜空を閉じ込めたように、零はこの世界の情報も自身の記憶に記録していく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユウイ・アイルヴェーム
たくさんの命が、輝いています
ここの空は、あたたかいのですね

この世界に、皆様に、送るもの。椅子はどうでしょう
誰かとゆっくりお話ししたいときのために、一人でゆっくり考えたいときのために
いい椅子はいいものを引き寄せてくれる、とあの人も言っていました
大きなもの、小さなもの。皆様に合う素敵な椅子を、送ります

これは、私のわがまま
どなたか、私と一緒に、この世界の外までついてきてはいただけませんか
この夕空を映す石を、守ってくれる方は
…とても、大切にしたいものなのです
外の世界はこことは違って、あたたかくないこともたくさんあります
それでも、一緒に来てくれますか

偶然かもしれません、それでも、手の中に来てくれたから




 今日の旅路は、ガラスの宇宙の星の海。愉快な仲間と猟兵の手によって生み出されたガラスの灯が、満天の星空を照らしている。
「たくさんの命が、輝いています。ここの空は、あたたかいのですね」
 ユウイ・アイルヴェーム(そらいろこびん・f08837)は、真っ白な全身を星空へ投げ出した。ふわふわと浮かびながらユウイは星を眺める、今まで見上げた星空のどれよりも星が近かった。――ほら、こうしたら、新しい命にも手が届く。

 ユウイは宇宙に生まれたガラスの種を両手に包み込む。
「この世界に、皆様に、送るもの。椅子はどうでしょう」
 まずはロッキングチェア。ゆらーりゆらり、ゆったりとしたリズムで宙に揺れる。
 誰かと一緒に座れる大きめのソファなら、ゆっくりとお話も出来るだろう。
 まあるいラウンジチェアもきっと可愛い。ミニ宇宙船のようなそれはひとりでゆっくり考えたい時に丁度良いはずだ。ベンチにスツール、ダイニングチェア。次々と生まれる種に触れて、大きいものも小さいものもどんどん芽吹かせていく。
「いい椅子はいいものを引き寄せてくれる、とあの人も言っていました。皆様に合う素敵な椅子を、送ります」

 ガラスのロッキングチェアに座って、ユウイはビワの花吹雪と甘い香り宇宙に広めた。可愛らしいな花びらに惹かれて、ガラスドームの愉快な仲間たちが集まって来る。どうやらユウイは、彼らにお願い事があるみたいだ。
「これは、私のわがまま。どなたか、私と一緒に、この世界の外までついてきてはいただけませんか」

 だれか――。この夕空を映す石を、守ってくれる方は。
 どうか――。とても、大切にしたいものなのです。
 ユウイは彼らに手を差し伸べて、願う。
「外の世界はこことは違って、あたたかくないこともたくさんあります。それでも、一緒に来てくれますか」

 けれど、愉快な仲間たちはこの国が大好きで、好きなものをドームの中に包んで、大好きなものに包まれていたいから。ユウイの手は寂しく宙を彷徨った。
 ……諦めかけたその時。彼女が差し伸べていた手に、宇宙を漂うガラス星が収まった。
 それは、仄かな灯りを灯すだけの、ただの小さなガラス玉だ。
 数多に浮かぶ星々のうちのひとつなら、持ち帰らせてもらっても構わないだろう。
 偶然かもしれない。それでも自分の元へ訪れてくれた光を、ユウイは胸に抱いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

杜鬼・クロウ
【蜜約】アドリブ歓迎
名呼ばず

前にアリラビで仕立てて貰った紳士服着用
黒のスペンサージャケット

羅刹女がその服を着て来るとは思わなかった
俺は…お前が居るから着たンだよ

無重力に慣れず興味津々
暫く浮かぶ

面白い空間だなァ
硝子の種か
何色に変わるかねェ

羅刹女の角飾りを作る
薄紅に紫のグラデ
蜜の雫
桜と紫苑の文様(他お任せ

俺の女を着飾るが如く
所有の証

その爪じゃァ上手く作れねェだろ?
ココは…おら、貸してみ

旅館はまるで匣庭のよう
完成品見て満足

お前に(彼女の角へ飾ろうと触れ
…フーン?羅刹女って角弱かったのか(指で撫ぞる

それ、この空間内では一度つけると外れねェから

(嘘だけど
…信じるのか
どうせならずっと付けていればいいのに)


千桜・エリシャ
【蜜約】
前にクロウさんに選んでいただいた夜桜の和ゴスドレス
あら、私も同じ理由よ
気が合いますわね?なんて

以前宇宙でデブリのお掃除をしましたから
無重力には慣れていてよ

面白い硝子ですこと
私は宇宙に浮かべる桜の花を
それとガラスドームアクセサリーを作ってみようかしら
うちの旅館をイメージしたものにしたいですわ

黒曜石の爪のせいで細かい作業に苦戦
クロウさんに手伝ってもらい仕上げましょう
お陰で素敵な代物になりましたわ!

あら?それは私に?
嬉しい…喜んでいるのも束の間
角に触れられて
…ひゃんっ!
ちょ、ちょっと!角は敏感ですのよ!?
んぅ…ってやめてくださいまし!
手を払うも
えっ、そんなの聴いてませんわよ!?
い、いじわる…




 今宵はガラスの宇宙で会いましょう。
 蜜約を交わした一組の男女、杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)と千桜・エリシャ(春宵・f02565)は、ガラスの星々に囲われる互いの姿を見つけた。
 クロウは黒のサスペンダージャケット。アリスラビリンスで仕立てたオーダーメイドの紳士服だ。エリシャが纏う夜桜の和ゴスドレスも、同じ時にクロウに選んでもらったもの。星空に良く似合う示し合わせたような衣装に、二人共目を丸くしている。
「羅刹女がその服を着て来るとは思わなかった」
「私も、クロウさんのその姿をまた見られるとは……」
「俺は……お前が居るから着たンだよ」
「あら、私も同じ理由よ」
 気が合いますわね? 羅刹女、と呼ばれるエリシャは桜色の眸で蠱惑的に微笑んだ。

「面白い空間だなァ」
「私は以前宇宙でデブリのお掃除をしましたから。無重力には慣れていてよ」
 無重力に慣れずに、でも興味津々で色々と体勢を変えながら浮かぶクロウの周りを、エリシャは揶揄う様に、触れそうで触れない距離を漂う。
 すると、彼女の舞に誘われるように、彼女の胸元でガラスの種がぷくりと生まれた。
「面白い硝子ですこと。私は宇宙に浮かべる桜の花を。それとガラスドームアクセサリーを作ってみようかしら」
 上向きのてのひらに乗せたガラスの種はエリシャの想像のままに芽吹き、淡紅色のガラス花びらとなってさらさらと宇宙へ零れて行く。
「へェ、羅刹女が触れるとガラスも桜色に染まるのか」
 クロウに艶やかな笑みを返すエリシャは、てのひらに残ったガラスの花びらをもう一度握って、小さなガラスドームに変えた。他のガラスの種にも触れて、イメージするのは彼女の旅館。此岸と彼岸の境界にある旅の宿。深紅の橋に紅桜を舞い散らせたい。
 部品は上出来、けれど小さなドームの中にそれを設置するのは、彼女の黒曜石の爪では難易度が高かったようだ。コツ、コツ……爪が当たる度、ガラスを割ってしまいそうで苦戦している。
「ココは……おら、貸してみ」
 すると、その様子を見兼ねたクロウがドームを取り上げて、彼女のイメージするものを代わりに詰め込んでやる。こんなもんだろと満足気に返されたドームの匣庭では、ゆらりと揺れる度、ガラスカレットが煌めいていた。

「お陰で素敵な代物になりましたわ!」
 礼を告げるエリシャの手にもうひとつ。初めて見るガラス細工が置かれる。
「あら? これは私に?」
「ああ、お前に」
 それはクロウが作った彼女をイメージした角飾り。クロウの指先から芽生えたのは薄紅色と紫のグラデーションガラスだった。ガラスの芽は桜と紫苑の紋様を形どり、蜜の雫の中に先程と同じ桜色のガラスカレットを閉じ込めた和洋折衷のティアラとなる。
(俺の女を着飾るが如く、所有の証……)
 男が選んだ服に、角飾り。その身にじわじわと彼の名が刻まれている事に、彼女は気が付いているのだろうか。

 今、つけてやる、と。
 再び角飾りを手に取ったクロウは、エリシャの角へ飾ろうとしたのだが、
「……ひゃんっ!」
 エリシャの口から愛らしい悲鳴が漏れて、紅に染まる頬をきょとんと見つめる。
「ちょ、ちょっと! 角は敏感ですのよ!?」
「……フーン? 羅刹女って角弱かったのか」
 夕赤と青浅葱の瞳が悪戯に弧を描く。そのまま角飾りを彼女の角に橋渡しするように取り付けて、離れ際に、すぃ、と。指でなぞる。
「んぅ……ってやめてくださいまし!」
「もう、つけた。それ、この空間内では一度つけると外れねェから」
「えっ、そんなの聴いてませんわよ!? い、いじわる……」
 いつもは見る者を惑わせる眸が、頼りなく揺らめいている。俺に、惑わされて。
 それはクロウの他愛もない戯れ。簡単に壊せるガラスの嘘。
(……信じるのか。どうせならずっとつけていればいいのに)
 クロウの願いは、人知れず宇宙に溶けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『星に願いを』

POW   :    あれもこれも、願いごとはたくさん!

SPD   :    流れ星よりも速く願う

WIZ   :    いちばん輝く星へ願う

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ガラスの宇宙を覗いてみよう。随分と賑やかになったようだ。
 ガラス玉の星に交ざって、トンボ玉と星型の多面体の灯が更に宇宙を照らしている。
 愉快な仲間たちと共に宇宙を巡れば、ガラスドームの遊び場もあちらこちらに。
 宇宙に放たれた宇宙を閉じ込めたドームは、もう見つけられただろうか。
 緑の大樹が茂るテラリウムも、桜の花弁の天の川で花見をするのも魅力的だ。
 ゆっくりしたい皆は家具付きの金魚鉢のお部屋へ。宙の椅子で休憩してもいい。
 どこへ向かおうか迷ってもご安心を。カボチャランタンがご案内しよう。
 冒険者はガラスの船へ。果て無き宇宙の旅へ連れて行ってもらえるはずだ。

 こんなに素敵なものを生み出してもらえるなんて。
 ガラスの種は嬉し涙を流すように、光を零していく。
 ――キラリ。お星さまが流れた。――キラリ! どんどん落ちてくる!
 お星さまに願えば、様々なお願い事を叶えてもらえるはずだ。
 この国はまだまだ生まれたばかりで、とても脆くて儚い。
 もしもお願い出来るなら、この国を守れる願いごとをかけてはもらえないだろうか。
 もちろん、自分たち自身の願いをかけてもいい。
 この国の中でしか、叶わないかもしれないけれど……。
 お星さまはどこからでも見えるから、好きな場所からで構わない。
 どうか、お星さまに願いを。
リュヌ・ミミティック
・心情
ん、おー!きらきら、おほし、さま、綺麗だ、ねー?

・行動
「ん、ん。この国を、守れる、こ、と……。
おぉう、むずかし、ねー……」
守る、護る、それは僕のお仕事でもあるんだけど、改めて言われるとちょっと難しい。
僕はレシャねぇ様を、ユトにぃと守るけれど、……うーん。
狐さんたちにも助言してもらおうかな…。
…ふむ、なるほど、確かに攻撃だけがすべてじゃないし、攻撃から身を護るだけがすべてじゃないよね
「ん、おー。けが、にん、を治し、て、くれる、小人、さん、とか?」
住人だけじゃなくて、アリスや僕たちを治してくれる小人さん!

・口調捕捉
ん、ん。が口調の最初に必ず付き、変な所で区切ってしゃべるのが癖




 作りたてのガラスのソファーに寝転んで天体観測。
 金魚鉢ドーム越しの星々はぐんにゃり歪んでいて、真上の出入り口の宇宙だけがくっきりとその姿を見せてくれる。リュヌ・ミミティック(狐薊の鳴き声・f02038)も子狐のぬいぐるみたちも、同じ景色をじーっと見つめていると、

 ――キラリ。
「ん、おー! きらきら、おほし、さま、綺麗だ、ねー?」
 ひとつめ、綺麗だねって見惚れてたら見逃しちゃった。
 ――キラリ。
「ん、ん。この国を、守れる、こ、と……。おぉう、むずかし、ねー……」
 ふたつめ、今度はお願い事が上手にまとめられなくて。

 困ったねぇ、狐さん。これは先によく考えておかないとダメだ。
 守る。護る。……守りたい、でリュヌが最初に思い浮かべたのは大切な姉と兄だ。
(僕はレシャねぇ様を、ユトにぃと守るけれど、……うーん)
 大好きな人を護る事、それはリュヌの誇りでもある。
 でも、お仕事として、こんなに広い宇宙を守れと改めて言われると……ちょっと難しい。狐の耳をぴこぴこ。頭からぷすぷす。煙が出てきてしまいそうだ。

「ん、狐さん。助言、お願い、でき、るー?」
 リュヌのヘルプに、子狐たちが尻尾をブンブンして応えた。
 ふらふら、ぱたり。一匹の子狐が倒れる。すると他の狐たちは倒れた子を一生懸命に介抱する。すると、倒れた子狐が元気になった!
「ん、ん……ふむ、なるほ、どー」
 どうやら、リュヌには子狐たちの言いたかったことが伝わったらしい。
 確かに攻撃だけが全てではないし、攻撃から身を護るだけが全てではない。
 受けてしまった攻撃から、この国を守る為には……。
「ん、おー。けが、にん、を治し、て、くれる、小人、さん、とか?」
 それがいい! 住人もアリスも僕たちも。皆を治してくれる小人さんを呼ぼう!

 ――キラリ。三度目の正直で、お星さまに願い事をかける。
 すると、ガラスの種からガラスの小人がぞろぞろと生み出された。
 修理工具に救急箱、ガラスの魔法も加われば、きっと何でもなおしてくれる。
「ん、ん。小人、さん……まもって、ね?」
 金魚鉢の縁に並んだ小人たちは、にっこり笑って頷いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

箒星・庚戌
ああ、とてもきれいな世界になったね。
本当の宇宙よりもずっとこっちのほうがきれいなんじゃないかと思ってしまうよ。
ボクは椅子に座って、休憩していようかな。
宇宙の旅はもういいからね…

この国のための願い事?
うーん、何がいいかなぁ?
害成すものが現れたら、ブラックホールで外に吸い出すようにとか…?
それよりも、害成すものが現れたら彗星が現れて遠くへ連れていきますようにのほうがボクにとっては想像しやすいね。

ボク自身の願い事…
何だか自分で自分に願い事するみたいで不思議な感じだけれど…
ボク自身彗星の悪いイメージからできてるから。
尾からお菓子が出てくるみたいな、皆から親しまれるような彗星が見たいかな。




 神様が創造した宇宙よりも自由で、人々が未知から怖れた風説の宇宙よりも優しい。
 ガラスの種から作られたこの世界は、みんなから愛されていた。
「ああ、とてもきれいな世界になったね。本当の宇宙よりもずっとこっちのほうがきれいなんじゃないかと思ってしまうよ」
 箒星・庚戌(1P/Halley・f28100)はラウンジチェアに座って星を眺めていた。
 小型宇宙船のような椅子は、ひとりの時間を満喫するのに持って来いの特等席だ。
 宇宙はきれいだけれど、宇宙の旅はもういいからね……。
 庚戌の小さな呟きはガスマスクの中で口篭った。流れるのはお星さまに任せるとして。庚戌は休憩をしながら、この国を守る為の願い事について思考を巡らせていく。

「うーん、何がいいかなぁ? 害成すものが現れたら、ブラックホールで外に吸い出すようにとか……?」
 口には出してみたけれど、いまいちしっくりこない。
 何でも叶えてくれるらしいが、それなら自分が一番イメージしやすいカタチのものを残したい。例えば、
「害成すものが現れたら彗星が現れて遠くへ連れていきますように……のほうがボクにとっては想像しやすいね」
 ――キラリ。願い事を承ったと告げるように、お星さまが流れる。
 平和で穏やかな時間が流れる今は、何の変化も見られないが。オウガが来た時にはきっと役に立ってくれるはずだ。

「後は、ボク自身の願い事……何だか自分で自分に願い事するみたいで不思議な感じだけれど……」
 ここでは庚戌に願い事をかける人はいない。勿論、無闇な誤解で恐れてくる人も。
 宇宙を眺める全ての者の瞳に、星が流れる。庚戌も、そのうちのひとり。
 ボクたちはみんな、宇宙にあたたかく包み込まれていた。
「ボク自身彗星の悪いイメージからできてるから。尾からお菓子が出てくるみたいな、皆から親しまれるような彗星が見たいかな」
 ――キラリ。庚戌の願いを聞きつけたようにほうき星が通過した。
 庚戌の真上を弧を描くように通り過ぎ、光の尾から何やらコロコロと落ちてくる。
 それはカラフルなキャンディー型のガラス細工だった。ガラスの飴の雨を贈るほうき星。キャンディーはキラキラ輝きながら流れる星となり、再び人々の願いを叶えにいく旅に出る。そんなお話なら、確かに人々を喜ばせてくれるかもしれない。
 庚戌は自分の元へ届いた一粒のキャンディーを星明かりに照らす。
 この宇宙に溶けてしまいそうな、綺麗な星空の色だった。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒鵺・瑞樹
アドリブOK
WIZ

この国だけとはいえ願い事か。
浮かべた星達から敵を撃つ光線でも発動するようにするとか?
遠方からある程度攻撃できれば、数も体力も減らせるし、そうすれば接近戦も楽になるからな。
流石に流星のごとく体当たり攻撃みたいな、壊れる前提はちょっとなぁ…俺自身がやるならともかく。初めはそうしようかと思ってたけど…少し違う気がして。

俺自身は特に願いたいこともない。何よりあいつの事思い出せた、それだけで十分。
ガラスの兎を小突きながら思う。陸奥と同じように俺の心をもとにしても、写したのが違う部分らしく全然違うみたいだし。
あ、いや願いはあるな。また会えたら、今度は二人も一緒にな。




 黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)は逆さまに泳ぐガラスクラゲを眺めていた。いや、もしかしたら逆さまになっているのは自分の方かもしれない。無重力の世界に生み出されたガラスの命は、みんな自由に宇宙を漂っていた。
 ほわんほわん。穏やかな反復行動は心に凪を生む。瑞樹も静かな宇宙に包み込まれながら、この国を守る為の願い事を考えていた。

(流石に流星のごとく体当たり攻撃みたいな、壊れる前提はちょっとなぁ……俺自身がやるならともかく)
 初めはそうしようかと思っていたけれど。この宇宙に浮かぶ星を、砕けても残る光も作ったけれど。……少し違う気がして。代わりに思い付いた案を口に出す。
「浮かべた星達から、敵を撃つ光線でも発動するようにするとか?」
 遠方からある程度攻撃出来るシステムがあれば敵の体力も減らせるし、自分たち猟兵が接近戦に持ち込んだ時も楽になるだろう。
 ――キラリ。流れるお星さまに合わせて、宇宙を漂う星型の多面体が返事をするように瞬いた。敵が現れた時に、どのような働きを見せてくれるのか楽しみだ。

 ――キラキラキラリ。
 お星さまはまだまだ流れているので、自分の願い事をする余裕もありそうだ。でも、
「俺自身は特に願いたいこともない。何よりあいつの事思い出せた、それだけで十分」
 そう呟いて、瑞樹は先程生み出したガラスの兎の額を小突いた。
 自分の心を映したものがこいつだなんて、今でも少し不思議だけれど。
 瑞樹には他にも、自分の心を元にして誕生させた陸奥という精霊の仔がいる。白虎と兎、全く違う。けれど、人は一面で出来ている生き物ではないらしいから。ナイフが人の姿に顕現した瑞樹も、あの星のように多面体であってもおかしくはないのだろう。
「あ、いや願いはあるな。また会えたら、今度は一緒にな」
 兎が住む国も、確か願い事が叶う国だった。
 別の国で、あいつも同じような願い事をしてたら笑えるな。
 またなの挨拶はしなかったけれど。俺と兎と白虎が顔を合わす日がきたら面白い。
 願うだけなら自由だと言われたから。そんな夢のような願いをかけてみた。

成功 🔵​🔵​🔴​

杜鬼・クロウ
【蜜約】アドリブ◎

容易く壊れる硝子に嘘を交ぜ
透けて見せている真に

気付くなよ(気付けよ

ティアラを横目で見て宇宙巡る
金魚鉢は前に共に行った水族館の水槽を思い出す
天の川の桜星眺める

桜鬼の姫サンは何て願った?
俺は…「好きな服を沢山着る」だな
この国を護るのは俺が叶えるから願わねェよ

秘めた願いは「目の前の女を手に入れる」
したい、では無く
此れは慾
色付く感情

ソレ、ずっとつけてろよ似合ってるし(無理なのは承知の上で

冗談じゃねェ
この意味、分かるか?
外してもイイぜ
俺はそう捉えるだけだ

…次に逢うのが楽しみだわ(笑って以降は追及せず
何の料理作るか決めたから

曄は咲いて、割いて
残るは、
双眸閉じ

次があるなら
もう離したくない


千桜・エリシャ
【蜜約】

クロウさん!ご覧になって!
さきほど私が作った桜がこんなに…まるで天の川ね
はしゃいでくるり舞って
それから桜のお星さまを眺めましょう

私はこの国でもいつでもお花見ができますように
とお願いしましたわ
(もう一つは心に秘めて
親しい人たちがいなくなりませんように、と
もう誰かに置いていかれるのは嫌ですもの)
ふふ、クロウさんらしいお願いね?

あら、さすがにずっとは無理ですわ
冗談と受け取ってくすくす
…?どういう意味ですの?
(聴かなくたってわかるけれども
意味を理解するのはなんだか怖くて
だって私はあなたの想いに応えられるかは――)

…そうね
お料理、楽しみにしていますわ

(それでも想いは嬉しくて
いつの間にか頬も桜色)




 桜星の天の川に、流れ星の雨が降る。
 天の川をゆったりと渡る金魚鉢は、羅刹女と共に行った水族館を彷彿とさせた。
「クロウさん! ご覧になって! さきほど私が作った桜がこんなに!」
 ああ、見てる。杜鬼・クロウ(風雲児・f04599)は、桜星に目を奪われている千桜・エリシャ(春宵・f02565)を、その角に飾られたティアラを、ずっと横目に捉えていた。
 この空間では外れない――ガラスの嘘は見抜かれず。所有の印を身に付ける女は、いつまでも眺めていたくなる。はしゃいでくるりと宙を舞う姿も愛らしい。

 ――キラリ。流れ星は惜しげもなく何度も流れる。
「桜鬼の姫サンは何て願った?」
「私はこの国でもいつでもお花見ができますように、とお願いしましたわ」
(もう一つは心に秘めて。親しい人たちがいなくなりませんように。……もう誰かに置いていかれるのは嫌ですもの)
 桜の眸は秘め事が上手い。クロウは何かあると気付いても暴かない。
「俺は……『好きな服を沢山着る』だな。この国を護るのは俺が叶えるから願わねェよ」
 彼らしいお願いだとエリシャは笑う。彼に他の願いがあったとしても、追及はしない。

(……気付くなよ)
 クロウは微笑むエリシャの顔を覗き込み、指の背でガラスのティアラに触れた。
「ソレ、ずっとつけてろよ似合ってるし」
「あら、さすがにずっとは無理ですわ」
 くすくすと笑うエリシャは、当然のようにその言葉を冗談として受け取っている。
「……冗談じゃねェ。この意味、分かるか?」
「……? どういう意味ですの?」
 嘘だ。無理なのは承知の上。
 嘘だ。聴かなくたってわかるけれども。
(……気付けよ)
 容易く壊れる硝子に嘘を交ぜ、透けて見せている真が此処に在る。
 クロウの秘めた願いは「目の前の女を手に入れる」。
 それはしたいなどという甘い思いではなく。
 クロウの内で色付く感情――慾――いとしい女をほしがる心だ。

 エリシャは惑う。彼の言葉の意味を理解するのが、怖い。
 胸には桜吹雪が激しく舞い、己の心を見えないように包み込んでいた。
(だって私はあなたの想いに応えられるかは――)
「外してもイイぜ。俺はそう捉えるだけだ」
 クロウの指がティアラから離れた。軽くなると同時に走る一抹の寂しさ。
「あ……」
「次に逢うのが楽しみだわ。何の料理作るか決めたから」
「……そうね。お料理、楽しみにしていますわ」
 二人は笑い合い、それ以上掛け合いを続けようとはしなかった。

 今暫くは密やかに。花見と星見を堪能しよう。
 流れ続ける星は枝垂れ桜のようだ。咲いて割いて散る曄よ。
 自然と閉ざされる、双眸が二対。
(次があるなら、もう離したくない)
(それでも想いは嬉しくて、私は――)
 こんなに星は流れているというのに、願いはかけられない。
 ほしいほしいと恋う心を。想いに染まる桜の頬を。
 見つけていいのは互いだけ。星は二人を照らして瞬くばかり。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

無明・緤
宇宙船におれと愉快な仲間たちを乗せて
流れ星を近くで見に行こう
故郷の宇宙とは違うけど、懐かしい気分が胸に湧く

船内の壁を肉球で柔らかく蹴って
無重力空間をくるくる漂いながら願い事を考える
この国を守れるような、強い武器を

古いおとぎ話のように
おれたちを竜くらい大きくしたり、
逆にオウガを鼠くらい小さくしてしまう『魔法の鏡』とかどうだ?
自分がそれで遊んでみたいだけだろって? バレたか!

…おれ一匹の想像力には限界がある
だから小さなガラスの黒猫よ、お前に【名前を付けてやる】
『スイ』という名と「知性」を贈るから
お前も何か願ってみるといい

難しく考えなくていいんだ、いま一番欲しいものを言ってみろ
星はきっと叶えてくれる




「ほら、見てみろよ。星が掴めそうだぜ」
 無明・緤(猫は猫でしかないのだから・f15942)の宇宙船は、流星群の中にいた。
 流れ星は他のガラスを傷つけないように流れるので、衝突する心配はない。
 流星群の中を泳ぐ景色は、まるで超光速航法をしているようだった。
(故郷の宇宙とは違うが……)
 雄猫は自分の過去など無駄には語らない。緤は美しい光の雨を前に、胸の中で仄かに灯る懐かしさを抱いていた。そしてそれと共に、隣にいる愉快な仲間たちと眺める星の軌跡を、今、この瞬間を、目に焼き付けている。

 兎は跳ね、ガラスの蝶は羽ばたき、猫はくるくると無重力空間を漂っている。
 ぷにん。ぷにん。船内の壁を肉球で柔らかく蹴って、緤は器用に回転していた。
 ぐるり。ぐるり。思考も巡らせる。この国を守る為に、どんな願いをかけようか。
「そうだな。古いおとぎ話のように……おれたちを竜くらい大きくしたり、逆にオウガを鼠くらい小さくしてしまう『魔法の鏡』とかどうだ?」
 ひらひらと舞う蝶々がステンドグラスの羽根を遊ばせて、緤の学帽の唾に止まる。
「自分がそれで遊んでみたいだけだろって? バレたか!」
 蝶は夢のある提案に賛同してくれたのかもしれないけど、緤はそんな風に悪戯に笑う。ガラス兎は緤に寄り添って、共にお星さまを見上げた。
 ――キラリ。願い事を受け取った星は、流星群から外れてどこかへと飛んで行く。
 きっと在るべき時に在るべき姿に生まれ変わって、この国を守ってくれることだろう。

 これだけ星が流れているのだから。緤はもうひとつ思いついたことを実行に移す。
「……おれ一匹の想像力には限界がある。だから小さなガラスの黒猫よ、お前に【名前を付けてやる】」
 緤の尻尾にじゃれついていたガラス猫を抱き上げて、二匹は小さな額を合わせた。
「『スイ』。お前にその名と知性を贈るから、お前も何か願ってみるといい」
 黒ガラスの身体がポゥっと光ると、スイはきょろきょろ辺りを見渡した。
「難しく考えなくていいんだ、いま一番欲しいものを言ってみろ」
 ――キラリ。星が瞬くと、スイの身体が大きくなる。ちょうど緤と同じ目線まで。
 まるで緤の影が立体化したような黒猫が、同じ笑顔でニィっと笑った。
「きっとこの世界の中だけだけど。オレはキズナと同じ目線で、同じ世界を見てみたかった。この身体なら、キズナと同じようにも戦えるだろ?」
「……ニャンと、今日は驚きの連続だぜ!」
 緤とスイは肩を組んで、瞳の中に宇宙を映した。
 この景色もきっと、忘れられないものとなるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユウイ・アイルヴェーム
もっと、この宇宙を見てみたいのです
まだ出会わない方と出会うために、船へ乗り込みます
きっと、たくさんの命と出会えるはずなのです

命を生み出すもの。それも、命なのです
ですから、手伝ってほしいと声を掛けます
どんなものもはね返す傘に、どんなものも受け止めてくれるクッションに、なってはいただけませんか、と
怖いものが近付けないように、驚いてしまっても痛い思いをしないように
…痛いかもしれません、怖いかもしれません、それでも、他の方を守るために変わってはいただけませんか
私達がいなくなってしまっても、大丈夫なように

ただの自己満足だったとしても、言葉が通じなかったとしても
私は、命あるものを大切にしたいのです




 愉快な仲間たちと一緒に、ユウイ・アイルヴェーム(そらいろこびん・f08837)もガラスの宇宙船に乗り込んでいた。
「もっと、この宇宙を見てみたいのです」
 ユウイはガラス蝶とガラス兎に挨拶すると、他にも共に旅を出来る仲間がいないか、船から手を振って呼びかけてみる。まだ出会っていない仲間たちとも出会いたい。常にガラスの種が芽吹くこの世界なら、きっと、もっとたくさんの命と出会えるはずだから。

 希望を映す陽色の瞳に誘われて、花型のガラスドームたちが集まって来る。
 あなたの見つめるものをわたしも見てみたい。ヒマワリがユウイを見つけると。
 前へ前へ進みましょう。ガーベラが船を追いかけて、追いついた。
 あなたと一緒に飛ぶのは面白そう。自由なフウセンカズラも隣に寄り添う。
「命を生み出すもの。それも、命なのです」
 この世界に生まれた命たち。生み出してくれたこの世界の命を共に救いませんか?
「どんなものもはね返す傘に、どんなものも受け止めてくれるクッションに、なってはいただけませんか」
 柔くて脆いこの世界を、恐ろしいものから守れるように。
「……痛いかもしれません、怖いかもしれません。それでも、他の方を守るために変わってはいただけませんか」
 それは決して強制ではない。ユウイから愉快な仲間へ投げかけられたお願いだ。
 星に願いをかける前に、まずは彼らの気持ちも尊重したかった。
「私は、命あるものを大切にしたいのです」

 ふわふわ。ユウイの周りをガラス花が囲う。逃げないで寄り添う、それが答え。
 ――キラリ。ユウイとガラス花の願いを受けて、流れていたお星さまが瞬いた。
 光を受けたガラス花は、より一層のやさしさを手に入れたようだ。
 ふに。ユウイが花に触れた指先が少し沈む。それは先程にはなかったやわらかさ。
「ありがとうございます。共にこの宇宙を守りましょう」
 ――こちらこそ、守る力をくれてありがとう。
 やわらかな花びらがユウイの頬を撫でた。
 この宇宙は今、やさしい願いで満ちている。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリア・アクア
ふふ、とっても素敵な国になりましたね!
この国を守るための願い、ですね……!

どんなものがいいかしら、と考えて、自然と見たのは傍らの鳥さん達
そうですね、私のお友達はとっても頼もしいですから、この国にも……!

星にかける願いは、この国を守る鳥さんをたくさん呼んでほしい、と
ガラスの鳥さん達は、敵が現れればいち早く発見し知らせてくれるでしょうし
攻撃だってしてくれるはずです

ふふ、みなさん元気いっぱいで、またこの国が明るくなったようです!
こんにちは、どうぞこの国を守ってくださいな
私の鳥さん達も、ご挨拶してくださいね

願いかけた後も、流れ星探し夜空を見上げましょう
この国が、ずっとずっと楽しい場所でありますように!




 すっかり賑やかになったガラスの宇宙を、愉快な仲間たちが嬉しそうに漂う。
 流れる星々も惜しみなく光を贈り、新たな命の誕生を祝福をしていた。
「ふふ、とっても素敵な国になりましたね!」
 アリア・アクア(白花の鳥使い・f05129)の笑顔もキラキラと零れる。
 ああ、後はこの素敵な国が壊されないように願いをかけないと!

 宇宙に身を投げ出して泳ぐアリアの瞳は、傍らに浮かぶ鳥達を自然と映す。
「そうですね、私のお友達はとっても頼もしいですから、この国にも……!」
 両手を胸の前で組んで、お星さまに願いを届けよう。
 ――この国を守る鳥さんをたくさん呼んでください。
 ――キラリ。星が瞬くと――。

 星空を緑の風が駆けるような、ファンタジーな光景。
 エメラルドグリーンの鳥の群れが、テラリウムから飛び立った。

「すごいです……ガラスの木も、この国を守ろうとしてくれたんですね」
 ガラスの葉が鳥と生まれ変わり宇宙へと羽ばたいていく神秘的な瞬間を目の当たりにしたアリアの心は、うるさいくらいに軽快なリズムを刻む。
 美しく宇宙を旋回するガラスの鳥は、この国を脅かす者の訪れをいち早く発見し知らせてくれる聡明さと、守るための刃を振るう勇気を携えているはずだ。
「ふふ、みなさん元気いっぱいで、またこの国が明るくなったようです!」
 アリアの肩にも一羽のガラス鳥が止まる。透き通る緑の羽根を指先でそっと撫でた。
「こんにちは、どうぞこの国を守ってくださいな」
 アリアの友達の鳥達も、ガラス鳥と挨拶を交わすように歌い出す。
 こんな綺麗な合唱、交ざらずにはいられない。アリアもソプラノを響かせて。
 聞き惚れていた愉快な仲間達も誘えば、グラスハープの音色を奏でてくれた。

 いつまでもお星さまが流れる夜空を見上げて、歌が広がる。願いをかける。
「この国が、ずっとずっと楽しい場所でありますように!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ロン』

POW   :    紺碧の稲光
【機械がショートするほどの電撃】を給仕している間、戦場にいる機械がショートするほどの電撃を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
SPD   :    悪戯好きの怪物
【相手の武器を奪い取る】と共に、同じ世界にいる任意の味方の元に出現(テレポート)する。
WIZ   :    Are You Ready?
自身が【カッコよさや興味】を感じると、レベル×1体の【玩具の軍隊】が召喚される。玩具の軍隊はカッコよさや興味を与えた対象を追跡し、攻撃する。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は宇冠・由です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 ピ――ッ!! エメラルドグリーンのガラス鳥が啼いた。
 次の瞬間。
 ガッシャ―ン!! ガラスの割れる音が宇宙に響き渡る。

 ガラスの宇宙へ飛び込んできたオウガ『ロン』が、天使のドームを踏みつけていた。
 猫ぐるみ型のオウガは、電撃をバチバチと纏いながら次の獲物へ飛び掛かろうとする!
 このままではロンにガラスの国を滅茶苦茶にされてしまう……!
 けれど、猟兵たちは既に、オウガの襲撃に備えて数々の準備を重ねていた。

 いち早く外敵を発見したガラス鳥の鳴き声で、宇宙に散っていた新しい命が集結する。
 破壊された天使のドームは、ガラスも人もなおしてくれる小人が修復中だ。
 この宇宙に害成すものを連れ去らう彗星も、光線で悪を穿つ星々もセッティング完了。
 おとぎ話から出てきたような、ものの大きさを操る魔法の鏡も。
 危険を受け止めてはね返す、花のクッションも。ロンを警戒して宙に浮かぶ。
 この国を守りたいという気持ちがキラキラと集う。
 みんなで協力して、暴れん坊をこの国から追い出そう!
リュヌ・ミミティック
・心情
ん、おー!み、んなの、願い、と力、が、合わさって、すごい、ねー

・行動
ダフィットと、猫憑き季月と戦うね
敵の数は多いみたいだし、【敵を盾に】したり、もしも、他の猟兵さんが危なそうなら【かばう】ね
基本的には他の猟兵さん達の補助として動くよ、狐乃雨でいっぱい巻き込んじゃえ!
ダフィットで【傷口をえぐる】ように攻撃して、うち漏らしもないようにしたいなぁ
「ん、おー、悪い、子、は、お仕、置き、だー!」

・口調捕捉
ん、ん。が口調の最初に必ず付き、変な所で区切ってしゃべるのが癖


黒鵺・瑞樹
アドリブ連携OK
右手に胡、左手に黒鵺の二刀流

猫と聞いてたから初めて会ったオウガ、チェシャ猫を想像してたが。
ぬいぐるみのような姿だったんだな。
まぁ無条件でかわいいと言えるとは限らんから、気を付けるに越したことはないか。

あいも変わらず存在感を消し目立たない様に立ち回る隠密行動を。
UC炎陽の炎で敵軍隊を焼き払う。俺自身が先に進む程度の間を開けてもらえれば十分。それに星達の援護もあるだろうし。
そして一気にロンへ距離を詰め直接攻撃を仕掛ける。
敵の攻撃は第六感で感知、見切りで回避。
回避しきれないものは本体で武器受けで受け流し、カウンターを叩き込む。
それでも喰らってしまうものはオーラ防御、激痛耐性で耐える。




 ――ニ゛ャ!?
 ガラスドームの愉快な仲間に飛び掛かろうとしていたロンの手を光線が弾いた。黒鵺・瑞樹(境界渡・f17491)が生み出したガラス星の防衛システムだ。
「猫と聞いてたから、初めて会ったオウガのチェシャ猫を想像してたが。ぬいぐるみのような姿だったんだな」
 あのチェシャ猫よりかはファンシーだが、オウガはオウガだ。警戒し過ぎるということはないだろう。瑞樹はその存在感を周囲の宇宙に溶かした。
「ん、おー! み、んなの、願い、と力、が、合わさって、すごい、ねー」
 リュヌ・ミミティック(狐薊の鳴き声・f02038)は、一早く動いたガラス鳥や小人の活躍や星の光撃に目を輝かせている。自分たちも一緒にこの国を守るんだ!
「ん、ん、行く、よ。ダフィット、猫憑き季月」
 白き竜とジグザグ縫い目の猫の縫い包みも、リュヌに呼ばれて周りの宙に浮かんだ。
(あの縫い包みは味方なんだな)
 宇宙に潜む影もリュヌの相棒を確認する。

 ピゥンピゥンと飛んで来る光線から、ロンはわちゃわちゃと逃げまくっていた。
 ニャンて格好いい星ニャんだ! ――Are You Ready?
 ロンは玩具の軍隊を大量召喚して、光線を撃つ星々に突撃させる!

 わざとバラバラに行動する玩具に、星々は狙いを定められなくなって苦戦している。
 しかし、そんな時こそ猟兵たちの出番だ。
「ん、おー、お狐様、が、通る、よ!」
「緋き炎よ!」
 リュヌの【狐乃雨】と瑞樹の【炎陽】が同時に放たれた。
 先に水狐が宇宙を駆けるようにリュヌの矢の雨が玩具の軍隊を貫き、宇宙へ流す。大量に散らばった玩具を一気にお片付けするのは難しいけれど、残された玩具がリュヌにも襲い掛かる前に、瑞樹の放った金谷子神の錬鉄が確実に焼き払っていく。

「俺が進む道を開けてもらえれば十分だ」
 眩い炎にロンが丸バツの目をしぱしぱさせていると、忍んでいた瑞樹が一気に距離を詰めて胡を振り抜いた。――しかし、ロンは猫のようにしなやかに避けて、後方へ飛ぶ。
「ん、おー、悪い、子、は、お仕、置き、だー!」
 そんな華麗な回避も、待ってましたとリュヌが叫ぶ。猫憑き季月と一緒に捕まえた玩具をロンの背中に思いっきり投げ付ければ、その衝撃でロンは再び瑞樹の元へ。
「おかえり。で、さよならだ」
 ロンは縫い包みにしてはやけにリアルな口を獰猛に開いて、瑞樹に飛び込ん来た。
 うん、やっぱり無条件でかわいいと言える容姿じゃないな。
 そんなことを冷静に考えながら、瑞樹は黒鵺でロンの牙を受け止めた。そしてそのまま縫い包みのボディに胡のカウンターを叩きこんで吹き飛ばす!
「ん、ん、ホーム、ラン。こっちも、討ち漏ら、し、なし」
 残されていた僅かな玩具の軍隊もダフィットが墜落させてくれたので、リュヌはお片付け完了を告げた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

箒星・庚戌
【WIZ】
アナタがこの世界を壊そうとする者だね?
ボクはこの本物より優しいこの世界が好きなんだ。
悪いけれど排除させてもらうよ。
ウィザードブルームに乗って【空中浮遊】で近づきつつネクロオーブでオブリビオンを操って攻撃するよ。
ボクに興味を持つか分からないけれど、玩具の軍隊を召喚したら【俗信:火雨】で攻撃するよ。
ボクの攻撃で足りない分は、彗星にも手伝って貰いたいな。さっきお願いしたところですぐで申し訳ないけれど、君の出番が来たみたいだ。
この世界に害なす敵の排除を手伝ってくれないかな?
遠くへ遠くへ、誰もいない、帰ってこれないほど遠くへ玩具の兵隊を連れていってくれないかな?




 暴れん坊なオウガを追いかけて、ほうき星が宇宙を駆ける。
「アナタがこの世界を壊そうとする者だね?」
 ウィザードブルームに乗った箒星・庚戌(1P/Halley・f28100)は星柄の外套を靡かせてロンと並走していた。丸バツの瞳がキロッと振り向いて庚戌を捉える。
「ボクはこの本物より優しいこの世界が好きなんだ。悪いけれど排除させてもらうよ」
 庚戌はネクロオーブに魔力を込めると、オブリビオンの死霊を喚び寄せる。実体を失ったそれはヒトダマに似た火の玉で、ロンの動きを封じるように縫い包みの手足に絡みついた。

 ニャいすなヒトダマ、追いかけたくなるニャン! ――Are You Ready?
 二ィイッと口を歪めたロンは玩具の軍隊を召喚して、自身に絡みついていた火の玉を追っ払った。光の猫じゃらしのような火の玉を、ロンはべしべし猫パンチを喰らわせて墜落させていく。
「興味を持ってくれたようだね。……曰く、其は火雨を降らせ」
 庚戌が言霊を紡ぐと、今度は【俗信:火雨】の火矢を召喚した。幾何学模様を描き複雑に飛翔する炎を捕まえようと、ロンと玩具の軍隊が列を成して追いかけるので、
「さっきお願いしたところですぐで申し訳ないけれど、君の出番が来たみたいだ。この世界に害なす敵の排除を手伝ってくれないかな?」
 宇宙の彼方に向かって、庚戌は呼びかけた。すると、彼に存在を望まれたガラスの彗星が眩い光を放って落ちてくる。

 ――悪い子は攫ってしまうよ。
 ――遠くへ遠くへ、誰もいない、帰ってこれないところまで。

 彗星は火矢によってまとめられた玩具の軍隊を最後尾から順々に捕まえて行く。そして、全ての子を抱きかかえると、再び宇宙の彼方へと飛んで行った。
 ぐるりぐるり。残されたロンを火矢が包囲する。逃げ場のなくなったロンはあわあわ。でももう逃がしてはあげないよ。暴れん坊なオウガに、火の雨が降り注いだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

蛇塚・レモン(サポート)
いつも元気で優しく快活な性格
その身に蛇神と妹の魂を宿す19歳の娘
霊能力と保有する技能及びアイテムを駆使して事件解決を試みます

普段の口調は語尾に『っ』を多用します

時々「蛇神オロチヒメ(裏人格)」ですが老人口調NG
UCで召喚されると巨大な白蛇として顕在化

戦闘スタイル
召喚術士だけど前衛役も出来るパワーファイター
武器は蛇腹剣と指鉄砲から放つオーラガン
基本的に脳筋だけど、左目の蛇神の眼力の催眠術で敵に幻覚を見せたりUCで行動不能に陥らせたり絡め手も得意

多少の怪我は厭わず積極的に行動
また、例え依頼の成功のためでも、他の猟兵に迷惑をかけたり、公序良俗に反する行動はしません
あとはお任せ
よろしくおねがいします!




 ガラスの宇宙に金色の星が舞う。
「あたいたちも救けに来たよっ! まっかせっなさ~いっ!」
 蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)は元気いっぱい、勢い良く転移されてきたが、グルリ――突然の浮遊感と逆様になる世界にオッドアイの瞳を見開いてぱちくりさせる。
「……っととっ! この宇宙は無重力なんだねっ」
 得意の霊能力による念動力で体をサポートすれば……うんっ、しっかり踏み込めるっ。

 猫の縫い包み型オウガは、悪戯大好き暴れるの大好き。
 ガラスドームの愉快な仲間をガッシャガシャにしてやろうと猫の手を振りかぶった!
「そんなに暴れたいならあたいたちが相手だよっ!」
 猫の手をビシッと弾いたのは、レモンの蛇腹剣クサナギだ。霊力によって自在に変形稼働する神器はそのまま猫の足に絡みついて宙吊りにする。
「蛇神様の実力、思い知らせちゃうんだからっ! やっちゃえ、蛇神様っ!!」
 レモンは【戦闘召喚使役術式・崇めよ、偉大なる白き大蛇神様を】によって、自らの身に宿す蛇神様に邪眼を発動してもらった。蛇に睨まれた猫は、痺れるような衝撃波に吹き飛ばされる!

 ニ゛ャッんて痺れるイカす攻撃! ――Are You Ready?
 ビビビと感動したロンは玩具の軍隊を召喚して、突撃のGOサインを出した。辺りのガラス星を撒きこみながら、玩具の軍隊はレモンを目指そうとする。
 しかし、ガラスの宇宙も猟兵たちの願い事によって強くなったのだ。玩具がガラスを割る前に、宇宙を駆ける流れ星から天罰のような光線が下された。
「流れ星さん、守ってくれてありがと~っ! よーしっ、あたいもっ!」
 レモンはブレスレットを煌めかせると、指鉄砲から超霊力オーラガンを連射した。
 このガラスの宇宙は、誰にも壊させない! 強い想いがキラキラと宇宙を照らす。
 流れ星の光線とレモンのオーラガンによって、玩具の軍隊は宇宙の藻屑にされたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

無明・緤
稲妻みたいに素早いヤツめ
この国を滅茶苦茶にさせるかよ。捕まえて阻止してやる

からくり人形を相手の興味を引くように【操縦】して
ロンへ【フェイント】の攻撃を仕掛ける
どうだ、おれの武器はカッコいいだろ?

人形を囮に巧く敵を釣れたら
魔法の鏡を咥えて、ガラス猫『スイ』と一緒に
UC【猫をこころに、ニャンと唱えよ】
おれの相棒、人形の元へワープして泥棒オウガに急接近
そして鏡に願いを掛けよう

鏡よ鏡、この世で一番強いのは誰だ?
それは――おれたちだ!!
(カッコいいポーズを決めて鏡に映る)

鏡の力で巨大化してロンの前後に立ち塞がり
両前肢で【グラップル】!逃がさないよう捕まえる
鼠みたいに食っちまうぞ、と口を開けて脅してやろう




 お星さまと猫の追いかけっこ、といえば可愛らしいが。
 キラキラのガラス星をバリンッとしてやりたい猫ぐるみ型オウガのロンは、宇宙を激しく跳び回っていた。オウガを排除しようと防衛機能を搭載された星は光線で対抗するが、そのお遊びはもう飽きたと揶揄うように、軽々と逃げて行く。

「稲妻みたいに素早いヤツめ。この国を滅茶苦茶にさせるかよ。捕まえて阻止してやる」
 無明・緤(猫は猫でしかないのだから・f15942)はからくり人形『法性』をロンの元へ送り出す。クゥンと傀儡の駆動糸『無明』を操れば、黒の装甲にライムグリーンの光が映えるロボットの傀儡がオウガの前に立ち塞がった。星を守るヒーローが如く、光速パンチを喰らわせてやれ!
「どうだ、おれの武器はカッコいいだろ?」

 ニャンってスタイリッシュなフォルム! ――欲しい、にゃあ。
 牙が目立つ口が歪むと、悪戯好きの怪物はお気に召したからくり人形を後ろからぬるりと抱きしめて、遠くの星までお持ち帰りしてしまう。
「まんまと餌に釣られたようだな。魔法の鏡! スイ!」
 緤はお星さまにお願いして生み出した手鏡を口に咥えて、自分と全く同じ姿のガラス猫『スイ』と手を繋ぐ。
 【猫をこころに、ニャンと唱えよ】!
 ピクッ。同時に揺れる四つの黒猫の耳。仲間の元へ、からくり人形の元へ、二匹の猫はひとっ飛びにテレポートする!

 ニャンだオマエたちは!?
 仰天するオウガを更にびっくりさせてやろう。持ってきた魔法の鏡を宙に浮かべた。
「鏡よ鏡、この世で一番強いのは誰だ? それは――おれたちだ!!」
 腕をガシッと組んで、鏡目線で決めポーズ!
 後ろでお星さまもペカーッと照らしてくれてるぜ! サンキュー!!

 お星さまの次は、鏡が願いを叶えてくれる。
 緤とスイの身体はみるみるうちに巨大化して、ロンを見下ろし挟み撃ち。両前肢をベチンと合わせて捕まえてやった。ささやかな抵抗として牙を剥くがカワイイものだ。
「鼠みたいに食っちまうぞ!」
 口を大きく開けて脅せば、ロンは硬直して猫の置物と化す。

 行くぞ! 来ーい! 二匹はボール遊びをするように、緤が放ったロンをスイが猫パンチを喰らわせて宇宙の彼方へ飛ばしてやった。ぱちんと肉球を合わせてハイタッチ!

 楽しかったな。楽しかったね。
 魔法のおわりで小さくなっていく黒猫たちは、再び額を合わせる。
「困ったときは、オレのことを思い浮かべてくれ」
 魔法の力のないちっぽけなガラス猫になっても、オレはキズナの傍にいるから。

成功 🔵​🔵​🔴​

ユウイ・アイルヴェーム
皆様を守るために、私はここに来たのです
この宇宙を壊してしまうものを、壊すために
「あなたは、ここを壊したいのですか」
私は問い掛けてみたいと、そう思うのです
たとえ答えがなくても、それでも、聞きたいのです

ここにいる皆様はとても壊れやすいのです
ですから、一つも攻撃を通さないように守らなければいけません
きっとクッションの皆様は受け止めてくれますが、きっと痛いのです
UCで玩具の軍隊を止めている間に、あなたに攻撃します
この手にある武器は、皆様を守るためのものなのですから
本当はあなたに触ってみたかったとしても、あなたがここを壊してしまうのを止めなければいけないのです




 こんなに怒られているのに、暴れん坊のオウガはちっとも大人しくならない。
 ボロボロの身体のまま、懲りずにガラスドームやガラス星に襲い掛かろうとする。
「あなたは、ここを壊したいのですか」
 ユウイ・アイルヴェーム(そらいろこびん・f08837)はロンに問いかけた。オウガに自分の言葉が通じるのかは分からない。それでも彼の気持ちを聞いてみたかったのだ。
 ――ニィイ。ロンは鋭い牙が目立つ口で、凶悪な笑みを浮かべた。可愛らしい縫い包みの見た目をしていてもオウガはオウガ。それが答えのようだ。
 壊したいから暴れて、暴れたいから壊す。手のつけられない悪戯っ子。
「分かりました。ここにいる皆様はとても壊れやすいのです。皆様を守るために、私はここに来たのです。この宇宙を壊してしまうものを、壊すために」
 ユウイは戦う決意を固めて、『Twinkling taivaalla』を握りしめた。

 誰かにどう思われようと気にも留めないロンは、すぐに彼女の問いから興味を失って、手近なガラスドームに狙いを定めた。今度はこいつをグシャっとしてやろう。
 ――ほわん。しかし、ロンの猫パンチはガラスドームには届かず、割り込んできたヒマワリのガラス花に遮られた。ユウイと星の力でクッションのような柔軟性を得た花は、オウガの攻撃をその身体で受け止める。

 身体を張って仲間を守るニャンてクールなやつ! ――Are You Ready?
 ロンは玩具の軍隊を召喚して、今度は沢山の手でいっぺんに殴りかかってこようとする。他のガラス花のクッションも援護に来てくれたのだが……。殴られるのは、痛い。仲間の為に頑張っているだけで、きっと彼らも痛いのだ。だから、ユウイも。
「私も守ります。この手にある武器は、皆様を守るためのものなのですから」
 玩具の軍隊の突撃は、【ミレナリオ・リフレクション】によって全く同じように召喚された玩具の軍隊がぶつかって相殺する。そして、再び一匹になったロンへ向かってユウイは飛んだ。

「本当はあなたに触ってみたかったとしても、あなたがここを壊してしまうのを止めなければいけないのです」
 仲良くなれたら良かったけれど。その願いはお星さまでも叶えられないから。
 ユウイは宝石花の薙刀でロンを斬る。
 天青石の刃の軌跡には、ヒペリカムの星が煌めいた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アリア・アクア
ああ、やはりオウガが来てしまうのですね!
皆さん、頑張って追い出しましょう!

住人さん達を背に守るように、ロンと対峙
UCでインコさんを召喚、敵を攻撃してもらいます
宇宙みたいな空間でも、このインコさん達なら素早く飛ぶことができますから!
敵も玩具の軍隊を召喚するでしょうけど、インコさんで対抗です

……ああ、この光景。まるでお伽話のようでおかわいらしいです
いえ、決して油断はしませんけど!(ふるふる)

ガラスでできた世界、一見脆そうですけど
ここは皆さんが愛情込めて作ったんです
簡単には壊れません、壊させません!

うまくいったら、ほっとひと息
この国がこの先も平和でいることを願います
私、また遊びに来ますね!




 この美しいガラスの宇宙は、ずっとずっと楽しい場所であって欲しかった。
 お星さまにも願ってみたけれど、予知は翻らずにオウガはやって来てしまう。
 ……いいえ、違いますね。
 私とお星さまとこの国の皆でこの素敵な世界を守って、願いを叶えるんです!
 アリア・アクア(白花の鳥使い・f05129)は宇宙の仲間へ声高らかに呼びかけた。
「皆さん、頑張って追い出しましょう!」

 猫の縫い包みのオウガはその身体がボロボロになっても、破壊衝動のまま執拗にガラスを狙い続けていた。ガラスドームの愉快な仲間へ飛ぼうとするロンを遮るように、アリアが立ち塞がる。大丈夫ですよと背後の仲間へ微笑みかけて、アリアは友達を呼んだ。
「インコさん、集まってください!」
 召喚された色とりどりの【群れ集うインコ】は、どんな場所でも自由を失わない。この無重力の宇宙でも素早く飛び回れる翼でロンを目指す。

 おいしそうニャ鳥さんじゃニャいか! ――Are You Ready?
 ロンは玩具の軍隊を召喚してインコの群れを捕獲しようとする。
 ふわもふインコVSちっちゃな兵隊さん。その数、力、共に互角。どちらも譲らない。
「……ああ、この光景。まるでお伽話のようでおかわいらしいです……いえ、決して油断はしませんけど!」
 アリアはその愛らしい戦いを目の当たりにして、つい目的を忘れかけてしまったが、ふるふると頭を振り我に返った。しかし、この拮抗状態のままではロンへ攻撃が届かない。
 どうしましょう。アリアが次の手を考えていた、その時――。

 ピィ――。

 共に歌ったあの鳴き声が聞こえた。
「ガラス鳥さん!」
 そう、アリアの願いで生まれたエメラルドグリーンの鳥たちが集まってくれたのだ。ガラス鳥とインコは力を合わせて、玩具の軍隊を宇宙へ撒き散らしていく。
「ガラスでできた世界……一見脆そうですけど、ここは皆さんが愛情込めて作ったんです。簡単には壊れません、壊させません!」
 同意するように鳴いた鳥たちは力強く羽ばたき、ロンの元へ。
 ひとつひとつの光は儚くても、星々は繋がり光を増して夜空を照らす。
 一羽一羽は弱くても、力を合わせれば大切な世界を守ることが出来る!
 それを証明するかのように、ガラスの翼の刃と鋭い爪が暴れん坊なオウガを貫いた。

 勇敢に戦ってくれた鳥たちを労わりながら、アリアは宇宙を眺める。
「この国がこの先も平和でいることを願います。私、また遊びに来ますね!」
 ――キラリ。星も笑ってくれた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミス・パンプキン
みんなでつくった大切な国なの
あなたに壊させやしないわ!

ロンの隙を見てこっそり近づいて【おどろかす】のよ
ばあっ♪トリック・アンド・トリックよ、オウガさんっ

捕まえられたらあとはお星様にお願いするわ
どうか、この国を一緒に守ってくださいな




「悪戯好きで暴れん坊のオウガが、この国を壊そうとしてるのね!」
 そうなんだ! こっちこっち! ここならきっとオウガに見つからないよ!
 カボチャランタンに案内されたミス・パンプキン(からっぽかぼちゃのおひめさま・f28048)は、大きなガラス星の後ろに隠れながら、そうっとオウガを覗いていた。
 沢山の猟兵に怒られて猫の縫い包みの身体をボロボロにされても、ロンはちっとも懲りてはいなかった。ああ、今もほら。ガラスドームの愉快な仲間たちをバキバキに割って壊そうとしている!
「そんなの絶対に許せないのだわ! 悪戯だったらわたしの方が得意なの!」

 そろーりそろり。ミス・パンプキンがこっそりとロンの後ろに近づくと……、
「ばあっ♪ トリック・アンド・トリックよ、オウガさんっ」
 振り向いたロンは丸バツの瞳を大きく見開いてビックリ仰天!
 可愛らしい女の子の周りに浮いた、たっくさんのカボタンに至近距離から見つめられていたのだから!

 ニャンとびっくりっ!? 驚かせやがって覚悟はいいかにゃ? ――Are You Ready?
 ロンはお返しに大量の玩具の軍隊を呼ぶ。しかし、
 ――ケタケタケタ。悪戯に成功したカボタンはご機嫌に笑った。もっともっとロンを驚かせてやる! お次にお見舞いするのは捕獲用の蜘蛛の糸だ!
 玩具の軍隊もロンもぜーんぶまとめて蜘蛛の網の中に閉じ込めてしまった。
 【ミス・パンプキン式いたずらコンボ】大成功だ!

「みんなでつくった大切な国なの。あなたに壊させやしないわ!」
 ジタバタ暴れても糸が縫い包みの手足に絡むばかり。
 暴れん坊を捕まえたミス・パンプキンは、空に向かって叫んだ。
「お星さま、どうか、この国を一緒に守ってくださいな」

 ――キラリ。みんなの願いで生まれたガラス星が瞬いた。
 ガラス星はピチュンピチュンとロンを光線を撃って、ピンボールのようにジグザグに宇宙へ転がしていく。途中で他のガラスにぶつからないように、花のクッションが守ってくれているのでご安心を。更に、合流したガラスの彗星がグルグル目を回すロンを抱えて、宇宙の彼方へと攫って行った。
 そして――宇宙の果ての果てで放られたロンへ、特大の光撃が落とされた。
 パアン、と。花火のようにオウガは散る。
 こうして脅威は取り除かれ、ガラスの宇宙に再び平和が訪れたのだった。


 ガラスの宇宙はもう脆くて儚い国ではない。
 美しくて強くて優しい住民たちは、これからも大好きなこの世界を守っていく。
 猟兵のみんな、ありがとう。またいつか、会えるかな会いたいな。
 きらきらきらり。今日も宇宙は輝き続けている。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月26日


挿絵イラスト