2
飛竜は雨夜に現る

#アックス&ウィザーズ

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#アックス&ウィザーズ


0




●雨夜の出来事
 雨覆う寒冷の折、暴風に紛れてひたひたと『それ』が這いずるような音がした。急降下からの爪の攻撃が、夜のような暗さを切り裂けば毒を持った尾が人々を穿つ。次いで足元を揺るがすほどの、耳に残るおぞましい咆哮が轟いた。大気を震わせて巨大な尾が振り下ろされると、群生する居住を横薙ぎに浚ってゆく。阻むもの全てを蹴散らしながら、『それ』は此方に向かってくる。長閑だった筈の夕暮時の村落にけたたましい悲鳴と助けを求める声、人々の最期を報す呻きが響いた。獲物に飢えた双眸は村を舐め、衝撃波を含む吐息を咆哮と共に吐き出した。雨は煌く粒となり、飛竜の零す涙のように辺りに散った。村は瞬く間に飛竜の居城へと姿を変えた。
 破壊を繰り返し、飢えた飛竜は尚も猛る。枯れた力の源をその身に宿さんと、止まぬ衝動を携えながら。

●グリモアベースにて
「みんな、集まってくれてありがとう」
 耳に心地よい声がグリモアベースの中で響いた。声の主は竜騎士にしてバーバリアンの少女、プルミエール・ラヴィンスである。茶色い髪を揺らしながら周囲に集まってきた猟兵を目で見て取ると、
「それじゃあ早速依頼の説明に入るね」
 と笑顔を作った。聞けば地域はアックス&ウィザーズであるという。
「私が予見したのは拓けた場所にある荒野でした。そこからほど近い村へ飛竜が現れ村を蹂躙していく…今回はそれを未然に防ぐことが目的です」
 その場所に辿りつくために、先ずは先に続く洞窟を分断する川を攻略して、水中洞窟を踏破する必要があるという。始めに雨で増水し激流が押し寄せている川を渡る必要があるようなのだが、目的地へ行くまでの道を分断するかのように流れているらしい。
「深さはかなりあるみたいで、流れも早いから、普通の人は泳いで渡れそうな感じじゃないんですけど…岩場などもありますので、それを利用することで先に進むことは出来ると思います。体力に自信のある方は勿論、橋を作ったりなど、その辺りは皆さんの得意なやり方でこの第一関門を突破してください」
 そう言うと洞窟の説明に移る。
「水中洞窟はその名の通り、水没した洞窟になっていて、そこを抜ければ荒野に辿り着くことが出来ます」
 また、所々に空気が溜まっている空間があるので溺れることはないが、洞窟には肉食の巨大魚や海老のような水生生物が潜んでいるともいう。恐らくは何処かの海と繋がっており、そこから流されてしまったのであろう。
「熟練の冒険者でもこの洞窟を抜けようとする人は少ないですが、みなさんなら大丈夫だと信じています」
 獲物を屠り日増しに力を付けていくワイバーンが村を廃墟に追いやれば、次の標的を狙って移動してしまうこと、そうなる前に今の状態のワイバーンを倒してほしいのだと告げた。
「ワイバーンの数は一体です。蒼みがかった鱗の飛竜で、全長は十メートルあろうかという巨躯の持ち主です。油断はしないでください」
 そう言うと猟兵たちを見渡して手を止める。川の増水の被害を心配する者やワイバーンを討伐する意欲に燃える者、水中洞窟に興味を惹かれた者と様々だが、その全てに向けてプルミエールは言葉を紡いだ。
「皆さんの協力が必要です、どうか力を貸してください」
 そう言うと、集まった猟兵たちに黙礼をした。

 プルミエールの説明を一通り聞き終えた劉・碧は、人懐こい笑みを浮かべて頷いた。
「このまま放っといたら村に被害が起こるのも時間の問題だろうな。そうなる前に俺らで食い止めてやろうじゃないか」
 そう言うと、決意の浮かぶ眼差しを猟兵たちに向けて軽い口調はそのままに鼓舞をする。
「さァ、アンタたちの覚悟は決まったかい?なぁに、きっと大丈夫さァ。胸張って行って来いって!」


雪芳
 こんにちは、雪芳と申します。
 数あるシナリオの中から当シナリオをご覧くださり、誠に有難うございます。

 第一章は川渡りです。村への被害は出ておりませんので、川渡りにのみ専念して頂ければと思います。第二章は水中洞窟踏破、第三章はワイバーンとの対決という構成になっております。近隣の住民が出てくる描写などはありません。
 尚、濡れます。濡れたり透けたりしますので、水着など着用の上ご参加くださると良いかと思われます。

 どの章からでも構いません、皆さんのご参加を心よりお待ち申し上げております。
9




第1章 冒険 『ここに激流があるじゃろ』

POW   :    関係ねぇよそんなもん!気合で渡る

SPD   :    要するに流されなければいい。岩や水面を跳び渡る

WIZ   :    大人しく迂回路を探すか作ってしまおう。橋を探すか作る

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アベル・スカイウインド
竜狩りか…フッ、なかなか楽しくなりそうだ。
竜を狩るのに竜騎士以上の適任者などそういまい。

しかし件の村にたどり着くまでにいくつか難所があるようだな。
フッ、まあ川渡りなどスカイステッパーを駆使すれば俺にとっては造作もないがな。
宙を蹴り、岩場を中継すればあっという間だろうよ。

グリモア猟兵の話では川、洞窟、ワイバーン以外の危険はなさそうだが、万が一ということもあるからな。
他のもの達には悪いが先行して周囲の様子を確認してくるとしよう。



 その日もさぁさぁと小雨が降っていた。増水した川にもまた雨が吸い込まれ、川の流れは勢いづいた。
「竜狩りか…フッ、なかなか楽しくなりそうだ」
 竜を狩るのに竜騎士以上の適任者などそういまい、とアベル・スカイウインド(天翔ける稲妻・f12583)は不敵に笑う。しかし飛竜の元に辿り着く前に幾つか難所があることはプルミエールによって予見されていた通りだった。先ずは川渡りである。しかしこれを攻略することはアベルにとって容易なことだった。自慢の長い足で地を蹴れば宙に踊り、更に宙を蹴り川に半ば埋もれるようにして突き出た岩肌を
蹴れば易々と向こう岸へと辿り着く。先行して辿り着けばやることは周囲の観察だった。天気は小雨。流れの急な場所や太い場所を確認し、岩が多い場所はそれを利用してくくった丸太なり木を倒しておけば橋渡しになるだろう。その場所とおおよその距離も把握した。そして実際に木を準備するならばどの辺りにいい物があるかそれらを探索するために足を延ばす。地味な努力だったが、準備しておいたお陰で
その後に続く仲間がやる行動がスムーズに進んだのは言うまでもなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ミアズマ・フォルテ
ワイバーンか、皆でだいぶ狩ったと思うのだが
いくらでも湧いて出てくるのは流石オブリビオンといったところか

SPD重視で行動

水面を歩く、のは私は無理なので岩場を跳んで行くとしよう
なるべく身軽な格好で、滑らないよう頑丈なブーツを履いて
片方を岸に、もう片方を自分の腰に結んだロープを用意して挑戦
万一失敗して落ちたらロープで引っ張ってもらうか自力で戻る
無事に渡れたら腰のロープを岸に結んで両岸にロープを渡す
これで後で渡るなり橋を造るなりする人が多少楽ができるだろう

まあ、空を飛べる猟兵がいたらその人にロープを渡してもらえばすっごく楽ができるんだけどな



「ワイバーンか、皆でだいぶ狩ったと思うのだが…いくらでも湧いて出てくるのは流石オブリビオンといったところか」
 歴戦の弓兵らしいミアズマ・フォルテ(求める者・f00215)は狩ってもキリが無いと大きく溜息をついた。水面を歩くのは無理なので岩肌を足場に跳んでいくことにした。常も軽装であるがより身軽な格好を取り入れ、滑り止めに頑丈なブーツを履いて跳躍を試みる。これで落ちて仕舞えば下流に流されるのは目に見えるようだった。気合を入れて片方を岸に固く結び、もう片方を自分の腰に結んだロープを用意する。万一失敗して落ちたら、後から来た者にロープで引っ張ってもらうか、自力で戻ろうという計算だ。このロープにはもう一つ、後で渡る者や橋を造るなりする人が多少楽ができるだろうという配慮も込められていた。周囲を見渡すも生憎今はまだ空を飛べそうなものはおらず、慎重に岩場を跳びながら、途中手に汗を握る緊張感も走ったが、なんとか向こう岸に辿り着いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

柊・雄鷹
関係ねぇよそんなもん!!!!
気合いで渡るんやぼけぇえぇええぇえ!!!!
……あの、ワイ羽があるんやけど、空中からの参加でも良ぇかな?
まぁ皆で仲良く濡れて渡るって言うんなら、それでも良ぇけど。

まぁ本番はワイバーンとの戦闘やし、
この辺りはサクサク行こか、サクサク!
うーん……素直に泳いで渡るんは難しそうやな
やっぱ空からの攻略が賢い気がする!!!

折角やし、怪力を利用して大きめの岩を運んで来よか。
足場にしたり、目印にしたり?
そやっ!次の人が渡りやすいように、ワイが岩場まで誘導するのもありやな。
水着は着てないけど、勝負パンツ履いてきたから濡れでも安心やで!



「関係ねぇよそんなもん!!!!気合いで渡るんやぼけぇえぇええぇえ!!!!」
 川を目前にして大声で気合を入れていたのは柊・雄鷹(sky jumper・f00985)だ。だが、その気合はどうやら持ち前のオラトリオの羽を使うことに向けられていたようである。
「まぁ皆で仲良く濡れて渡るって言うんなら、それでも良ぇけど…」
 と思い返したが、この激流では流石に濡れるだけには止まらないだろう。
「うーん……素直に泳いで渡るんは難しそうやな。やっぱ空からの攻略が賢い気がする!!!」
 ひとしきり悩んだ後に、雄鷹らしくすっぱりと飛ぶことを決意した。折角なので力自慢を良いことに大きめの岩を引き抜けばそこへ濁流が押し寄せた。
「ここに置いたら足場にも目印にもなるな!」
 ピンっと思い立った雄鷹は、次に来る者のために岩場から岩場へ誘導をすることにした。もし途中で足がすくんでも、心優しい雄鷹のサポートがあれば安全に向こう岸へ渡れるだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロー・オーヴェル
今後のことを考えたら簡易的な橋でも掛けるのがいいんだろうが
そんな悠長なことも言ってられないな

元々身軽な格好だし
おまけにシーフだ
点在する岩を跳んでいって川を渡る

靴裏には滑り止めを施す
岩の表面で滑り川に転落なんて恥ずかしい

慎重に行くか急いで渡るかは現地の岩の点在状態次第で決定
岩の数や岩から岩までの距離や表面の滑りやすさ等
それをきちんと把握して最適なルートで挑む

念のため頑丈で先の尖った鉄の棒を持参
もし川に落下した際に川底に突き刺して流されない予防用
もし移動の際にこの棒が活用できそうなら活用して渡りきる

スカイステッパーでもあれば楽なんだが……
制限された中で知恵と技能を駆使するのはある意味楽しいもんだぜ



「今後のことを考えたら簡易的な橋でも掛けるのがいいんだろうが…」
 と独り言ちたのはロー・オーヴェル(スモーキークォーツ・f04638)だ。だが、そんな悠長なことも言ってられないことは確かだ。予見では雨夜の夜に飛竜が村を襲撃するだろうとのことであり、それを未然に防ぐのが今回のミッションだからだ。あまり猶予はない。しかし元々身軽な格好ではあるし、おまけにシーフだ。すぐさま足場の良さそうな岩場の連なる場所を見つけると、雄鷹の誘導もあり点在する
岩を跳んでいく。
「スカイステッパーでもあれば楽なんだが……」
 と漏らせば、
「ワイのは自前やし無ければ無いで」
 ええんちゃう?と雄鷹が首を傾げれば、そうだなと返した。その仕草に口元が僅かに緩む。ここにくる前に靴裏には滑り止めを施しておいたのは、岩の表面で滑り川に転落なんて恥ずかしいと思ったからだ。仲間が先に到着しているならば急ぐより慎重に行動する方が良いと知り、岩までの距離を目測しながら着実に進む。万一川に落下した際に川底に突き刺して流されないようにと鉄の棒を持参したが、使わないならその方が良いなどと思いながら、時折岩場を突いては動いてしまわないか確認した。制限された中で知恵と技能を駆使するのはある意味楽しいもんだ、と胸中で思いながら進めば向こう岸まであと数歩といったところだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『水中洞窟を突破せよ!』

POW   :    肺活量にも力にも自信がある!肉食動物が出たら倒すまで!無理せず息継ぎをしながら泳いで進む。

SPD   :    一気に行こう!息継ぎは最小限で、肉食動物に見つかる前に泳ぎきる。

WIZ   :    息継ぎできる所ではちゃんと息継ぎをしよう!肉食動物には魔法や罠で混乱させている間に泳いで逃げる。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 無事に向こう岸までたどり着いた4人は次なる場所を目指す。先にアベルが周辺を探ると予見通り、水中洞窟が現れた。どうやらこの中を泳いで目的地へ向かうらしい。他に目的地へ行く方法も幾つか調べてみたのだが、目的地へ続く場所はこの水中洞窟以外に見当たらなかった。であれば、この洞窟を抜けて行くより他はない。この水中洞窟の中も油断のならない水生生物がいるとの予見から、気を引き締めて行った方が良さそうだ。
アベル・スカイウインド
本当にここを通らないといけないのか…?俺は濡れるのが嫌いなんだ…猫だからな。

まあ言ってても始まらんか。フッ、こうなれば覚悟を決めて一気に進む!
壁面を蹴るなどでジャンプの要領で勢いをつければスピードも出るか?【地形の利用】【ジャンプ】
試したことはないがスカイステッパーはさすがに空気中でないと使えないか?なんにしても泳ぎの技術に応用できるかもしれん。
慣れない泳ぎの最中に肉食動物に襲われたらかなわんな。なるべく回避して進むとしよう…おいっ俺は餌じゃないぞ!

陸に上がったら急いで体を乾かさなくては…全く、二度とご免だぜ。


ロー・オーヴェル
【WIZ】

水中でも自由に息ができたらなァ……
そうすりゃ煙草だって水中でも……いや無理か

服や装備品は油紙にしっかりくるんで
バックパックに入れて進む
シガレットケースは特に念入りに防水措置を施す

洒落た柄ではないが一応サーフパンツ姿で
にしても男ばかりだと色々と残念な環境だな……

何が残念かって?
それは俺の口からは言えんな
「オトコってやつのサガ……これだけはどうにもならん」(微笑)

出会った敵は倒すより
此方の追跡を不可にさせることを主眼にする
水中では俺も陸ほどスピードは出せんからな

ジャッジメント・クルセイドで
相手が迅速に動けぬ様にできるよう攻撃
その隙をつき先へ進む
但し倒せるほど弱っているのなら倒してから進む


ミアズマ・フォルテ
SPD重視で行動

まず一度軽く潜ってみて洞窟の大体の長さと道筋を確認
しかるのちに覚悟を決めて一気に行こう
息継ぎは最小限で、戦闘は肉食動物に進路を塞がれるか
見つかって逃げ切れないと判断するまでなるべく回避
水中じゃロングボウは使えない
アサルトウェポンで水中でも射撃できるものはあったかな…
一体一体相手をしていたらきりがないので
AIに脅威の高い敵を優先的にロックオンさせてフルオート射撃で蹴散らす

うまく抜けられたらまず出口の安全を確保して、それから
後から抜けてくる人のサポートをしよう。
水面から引っ張り上げたり戦闘を手助けしたり
可能なら火を起こして暖かい飲み物を用意しておくのもいいな。



 川を渡り終え、暫く歩くと目前に岩場の多い海岸が見えてきた。次なる目的地は水中洞窟だ。洞窟のある場所はその周辺が海に続いており、海水が流れ込んでいるという情報と一致した。

「本当にここを通らないといけないのか…?俺は濡れるのが嫌いなんだ」
 …猫だからな、とアベルは鼻を鳴らす。そんなアベルを宥めるように、
「私は一度軽く潜ってこよう」
 と申し出たのはミアズマだ。
「いやいや、ここまで来たのなら一人も二人も変わらないだろ?」
 と同行を促したのはローである。彼は続けて、
「ま、なんとかなるさ。そう思えばだいたいなんとかなる」
 と加えると、にっと笑って見せた。水の中に入るということで、洒落た柄ではないものの無難なサーフパンツに着替えた彼は、服や装備品を油脂に包んだ後、シガレットケースに念入りに防水措置を施すとそれらをバックパックに収めつつぼやいた。
「水中でも自由に息ができたらなァ……。そうすりゃ煙草だって水中でも……いや無理か…」
 あぁ、と肩を落としたローを見つつアベルは促す。
「まあ言ってても始まらんぞ。フッ、こうなれば私も覚悟を決めて一気に進む!」
 美しいその毛並みが水に濡れて威厳が損なわれそうな気もしたが、アベルはやると決めたら目標に向かって駆け上ると決めているらしい。三人は慎重に岩場を進んだ。

 海に面した半没状態の入口から差し込んだ陽射しは、石灰質の明るい海底に反射し陽光を光彩へと変化させて海の青さを洞窟内に照らしだしていた。誰もが息を呑んで見惚れるほどの鮮やかな青は、陽が出ている時間帯ならいつでも美しい輝きを見ることができる。そんな空の青と海の碧とが織り成す水中洞窟へと冒険者たちは進んで行く。光が途切れたところで神秘的な青は闇に飲まれていくが、その先に荒野があると予見されていた。ローとミアズマは防水ライトを付け、片方は前方へ、もう片方は仲間を誘導するように後方へと灯りを送る。少しでも早く進みたい冒険者たちは所々空気が溜まる合間の空間を極力避け、息継ぎは最小限とばかりに先を急いだ。アベルも壁面を蹴りながら水を掻き、二人に遅れを取らぬよう急ぐ。

 そこへ鮮やかな紅がゆうらりと視界を過った。ライトを紅の過った方へと向けると、足だけはみ出させてするりと岩陰に隠れてしまった。伺うように目と大きすぎるハサミを片方覗かせる。…見た目は蟹のように見える。だがその大きさは通常の蟹を大きく上回り、大型犬の体高に匹敵するだろうか、ハサミも体に合わせたように凶悪な大きさへと変貌を遂げていた。
「(水中じゃロングボウは使えない)」
 ミアズマはギリっと奥歯を噛み締めながら、武器になりそうなものを咄嗟に探す。近距離まで差し迫ったそれは清らかな水中の中で円らな瞳で、凶悪なハサミと共に伺っている。既に視界に入っているのなら逃げるしかない。逃げ切れないと判断するまでなるべく回避を決めたミアズマはローをつつきアベルに目配せする。前に進むぞ、と合図し前へ進もうとした瞬間、後方のアベルがぶんぶんと水宙を掻いた。気づいたローがライトを向けると五体の巨大魚が口を大きく開けたまま迫ってきていた。
「(おいっ俺は餌じゃないぞ!)」
 水宙を掻いて威嚇するアベルの腕をローが強引に引くと、ミアズマと共に砂底に身を伏せる。喰われるか、あわやというところで、口を開いたまま巨大魚たちは頭上を通り過ぎて行った。顔を上げれば今度は逆に蟹が見下ろしている。距離にして凡そ三メートル。間合いを先に詰められたらハサミの餌食だ。迷わずミアズマはAIに脅威の高い敵と認識させ、フルオート射撃で蹴散らした。手応えは確かにあった気がしたものの、ぶわっと派手に砂埃が待ったため即座に上方へと浮上する。そのままライトで灯りを送ればローとアベルも追行し、巨大魚たちの後ろを尾行する。ローが巨大魚の最後尾に指を向ければ水の中に揺らめき収束した光が尾鰭を弾いて辺りを一瞬淡く照らした。ぼうやりと光が弱く光っている部分を視認したローたちは短く息を継ぐとその場所へ進んで行った。

「…全く、二度とご免だぜ」
 陸地に上がると大きく体を震わせて水飛沫をあげたのはアベルだ。隣にはバックパックから着替えを出して更衣するローが居る。
「にしても男ばかりだと色々と残念な環境だな……」
 離れた木陰で着替えているミアズマに聞こえないようにローはアベルに語りかける。アベルは不思議そうにローを見ながら毛繕いをしていた。
「オトコってやつのサガ……これだけはどうにもならん」
 とローは淡く微笑して着替えを終えると、煙の香りがする方へ向かった。そこには先に着替えを済ませたミアズマが火を起こし暖を取っており、アベルも乾き足りないらしく三人で共に焚き火に当たることにした。ミアズマが用意した温かい飲み物のお陰で、寒さは幾分か薄れていくようだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フォルク・リア
「泳ぎは得意じゃないが、
何とか行くとしよう。
息継ぎはしっかりして、溺れない様にしないとな。」

息継ぎの場所を把握しつつ、
水中では上下を見失わない様に意識する。
辺りを眺めて
「景色を見てゆっくりできないのが
ちょっともったいないくらいに
綺麗なところだけど。
それは後にしようか。」
周辺、死角に気を付けて生物を見落とさない様に警戒。
水中生物とはなるべく距離を取り、
静かに泳いだり岩陰に隠れて刺激しない様に注意。
どうしても逃げ切れない時のみ
拘束する闇の黒い鎖で束縛して
その隙に逃げる。
「流石に戦ってる場合じゃないからな。
先を急がせてもらうよ。」

水から上がったらよく体を乾かして
先に進める様に準備をする。



 少し遅れて皆の後に続くのはフォルク・リア(黄泉への導・f05375)だ。
「泳ぎは得意じゃないが、何とか行くとしよう。息継ぎはしっかりして、溺れない様にしないとな」
 先例に倣うように海に面した半没状態の入口に体を差し入れると、見えてきたのは陽光に照らされた神々しいまでの青と海の碧だった。フォルクは息継ぎの場所を把握しつつ前方へと進む。ここでは息継ぎが出来ない状況は不利であり、酸素を吸っても溜めておく時間に限度があるからだ。真水のように澄んだ水中洞窟では上下を見失いかねないが、そこも留意して慎重に先を急ぐ。辺りを眺めればイソギンチャクやクマノミがゆうらりと優雅に時間など気にしなくてもいいと言うように美しく揺らめいている。
「(景色を見てゆっくりできないのがちょっともったいないくらいに綺麗なところだけど。それは後にしようか)」
 残念に思いながらも、今は水中洞窟を踏破することが先だ。気を引き締め直して別れを告げると、徐々に暗がりへと差し掛かった。ここからは灯りがないとほぼ何も見えない為、小型の水中ライトを点灯して、周辺、死角に気を付けながら、生物を見落とさない様に警戒しつつ先へ進む。そこへ前方から巨大魚が現れた。最初は何かが動いた気配がしたが、十匹ほどの群れだったようだ。急いで距離を取るが、その動きは獲物を探るように緩慢としていた。岩陰に隠れて刺激しない様に注意しているとやがて、諦めたのか新しい獲物を見つけたのか、勢いをつけて明るみの方へ姿を消して行った。息継ぎをする為に空間のある場所へ浮上する。少ない空気を集めるように息を吸えば、心臓の高鳴りがまだ感じられるようだった。
「流石に戦ってる場合じゃないからな。先を急がせてもらうよ」
 と言うと、もう一度暗い洞窟内に潜っていく。だいぶ進んだ先から小さな光が漏れ出ており、荒野への入り口を見出せばその方へと向かって泳ぎ進めた。

 水中洞窟から上がれば潜る前に用意した着替えとタオルを取り出してよく体を乾かした。木陰を抜けた近くでは先に到着したのであろう冒険者たちが暖を取っており、着替え終わったフォルクもそこに席を連ねた。冷えた体に炎の暖かさが心地良く感じられ、次なる敵を打ち倒す算段を冒険者たちは口々に話し始めるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アベル・スカイウインド
ついにご対面か。ここまで来るのには苦労したぞ。
では、一番槍の名誉は俺が頂くとしよう…フッ、任せておけ。

俺はアイツの更に上をいく…文字通りな。
俺の【ドラゴンダイブ】ならたとえ奴が空中にいたとしてもその頭上から攻撃することもできるだろう。
もちろん一撃で倒そうなんて甘い考えはしていないさ。
頭上から一撃を見舞ったらそのまま【空中戦】を仕掛ける。
空中での戦いは俺の得意とするところでな…可能なら奴の翼を集中的に狙うとしよう。
翼が傷つき、飛行が困難になれば後続の仲間も戦いやすかろう。

では行くか…フッ、空中戦は奴だけのものではないと思い知らせてやろう。



【飛竜は雨夜に】【リプレイ③】

 水中洞窟を抜ければ目の前に広がったのは荒野だった。アベルは濡れていた毛を全て乾かし終えてから荒野を歩くと500フィート先にそれは居た。遠くからでも見紛うことなき青い鱗、頭から尾までの全長はおよそ10メートルといったところか。
「ついにご対面か。ここまで来るのには苦労したぞ」
 道中の苦労も相まって対面までは長い時間を要したように思えたが、今や敵はアベルの目前に迫っていた。
「では、一番槍の名誉は俺が頂くとしよう…フッ、任せておけ」
 アベルは飛竜の死角に入りつつ大きく跳躍するために力を溜めた。飛竜は暫く動かず視界に入るものを見ていたが、背後に何かの気配を感じ取ったのだろう、尾を振り回して後ろを振り返れば、アベルがタイミングに合わせて空高く華麗に跳躍をした。
「天を仰げ!」
 掛け声と共に愛用の長槍を構えると、飛竜の頭上から翼を狙った一撃を喰らわせる。翼が傷つき飛行困難となれば、後続の冒険者立ちにとって有利であろうと考えたのだ。思惑より軽度ではあったが、片翼の皮膜に傷が付いた。皮膜の下からは血が滲み地面へと垂れ落ちるが、元より一撃で終わらせるつもりもなく、アベルは空中戦に繰り出した。飛竜も大きく上昇すると、アベルに向かって急降下し、衝撃波を打ち付ける。アベルはスカイステッパーを使い、空中にできた足場を踏んで態勢を整えると再度、上昇を試みる。数度の交戦ののち、片翼のみ上昇不可となった飛竜は、歯噛みするように尾を激しく地面に打ち付けた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

轟・富士王
ついにご対面か。ここまで来るのには苦労しなかったぞ。
なぜなら私は遅参おじさん、寝坊しましたわはははは!
まあ、そんな格好いい一番槍な御方の名乗りをパクるのはともかくとして、おじさんもちょーっくら仕事、しましょうかね(首をコキコキと鳴らしながら)
翼は傷ついてるし、お次は……そうだね、その見るからに毒々しい尻尾をなんとかしてみましょうかい。
剣刃一閃でワイバーンダイブを迎え撃つよ。
普通なら難しかったかもしれないが、向こうは手負いだ。見事その尾に傷を刻めたのならば、一番槍の御方には感謝しなきゃあならないね。
おじさんひとりの手には負えないけど、なんせこっちはお仲間がいっぱいいるんだ、後頼むよーぅ!



 片翼から血を流し、飛行不能となった飛竜は、もう片方の翼を広げ風を呼ぶ。敵を前に威嚇するのはこの体勢で精一杯のようだったが、咆哮を発すれば衝撃波を放つ。更に尾に帯びる毒も健在で、これが当たれば解毒をしても回復の時間がかかることだろう。遅れてやってきたのは轟・富士王(テキトーおじさん・f03452)だ。
「ついにご対面か。ここまで来るのには苦労しなかったぞ」
 何故なら富士王は寝坊をし、皆の後をついてきたからであった。わはははは!、と高らかに笑う富士王は一番槍な御方の名乗りをパクりつつも飛んできた毒尾を華麗に躱して見せる。
「おじさんもちょーっくら仕事、しましょうかね」
 首をコキコキと鳴らしながら敵対する飛竜を観察し、活路を開いていく算段だ。片翼は傷ついてるし次は……と的確に飛竜が戦闘不能になりそうな部位を選ぶ。
「…そうだね、その見るからに毒々しい尻尾をなんとかしてみましょうかい」
 意を決したところで反撃の体制に出た。小稲妻と王牙を両手に握ると、剣刃一閃で飛竜による爪の一撃を迎え撃つ。爪を押し戻した二刀から微かな振動が伝われば、その力未だ衰えずとばかりがその手に伝わってくる。次に狙うは大地を打ち咆哮を轟かしているあの毒尾だ。普通なら難しかったかもしれないが、向こうは手負いの飛竜である。
「(見事その尾に傷を刻めたのならば、一番槍の御方には感謝しなきゃあならないね)」
 心のうちでそんなことを思いつつ、獲物を握り直す。自分一人の手には追えないが、毒尾を見事切断せんと地を蹴った。煌めくは剣刃一閃、竜の毒尾を穿った。斬ったように見えたそれは、剣が突き刺さり毒が吹き出していた。更に刃を立て抉り落とすと体液と毒が富士王に吹き付ける。思った通り苦戦はしたが、富士王の手によって暴れまわる尾は切り落とされたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ロー・オーヴェル
随分とまぁ手負いの姿になったもんだな
それでもまだ戦闘意欲を失わないのは竜の矜持か

「だが、矜持……という格調高い言葉じゃないが、それっぽいものは俺にもあるんでね」

えーとつまり……『吸いかけのタバコは最後まで吸う』
こんな感じだな
うん俺らしい喩えだ

片方だけが無事なのも何ともバランスが悪いだろう
てことで俺は無傷のもう片方の翼を狙う

深手を負っているとはいえ相手は竜
【目立たない】等も活用し
敵の視界から外れる様立ち回り慎重に好機を伺う

機会が訪れたら【ダッシュ】【早業】等を駆使して
一気に間合いを詰め無事な翼に攻撃

「……さて、締めは誰がやる?」
このまま衰弱して死ぬのを待つのも時間がかかる
首を落とす勇者はいるか?



 ローが現場に到着すると、そこには既に片翼を射抜かれ、尾を切り落とされた手負いの飛竜が待ち構えていた。全長10メートルほどあった体躯は毒を備えた尾が無くなり7メートルほどに変貌している。片翼からは血が滴り、使い物にならないのだろう。未だ健在なもう片翼を広げると、精一杯の威嚇を成した。随分と手負いの姿になってはいるものの、それでもまだ戦闘意欲を損なわないそれは、竜の矜持とも取れた。
「だが、矜持……という格調高い言葉じゃないが、それっぽいものは俺にもあるんでね」
 ローは遠目にそれを見遣ると、少し考え込むような目をした。
「(えーとつまり……『吸いかけのタバコは最後まで吸う』…こんな感じだな)」
 乗りかかった船は最後まで見届けたいと考えたのだろう、自分らしい喩えだと笑って納得をした。そして竜の方を仰ぐと考えをまた巡らす。片方だけが無事なのも釣り合いが取れていない。何ともバランスが悪いだろうと考えれば、無傷のもう片方の翼に狙いを定めた。
そうと方針を定めれば、目立ちにくい服装と慎重な動きで飛竜の視界から外れるよう動いた。飛竜は翼と尾が思うように動かせないことが不満なのか、しきりに健在な片翼を羽ばたかせては、ギリギリと歯を噛んでいる。飛竜の真後ろに控えるローには気付いていないようだ。ローはそれでも慎重に数を数えると、好機を見出した。飛竜が何事か…自身の足元を注視しており、動く様子は無い。ローは全速力でダッシュし、間合いを詰めると、狙いをつけていた翼に得物を突き立てた。翼から新たに血が吹き、確かに打ち取ったかのように見えたーー途端、暴れる飛竜の口から衝撃波が走る。近くの木々に命中すれば枯れ葉が無残に舞った。飛竜は素早い動きで一度はローを視界に捉えるも、巨体に躓き見失ってしまっていた。もう一度奇襲をかければ今度こそ、ローに目掛けて爪を振り下ろすのだろう。
「……さて、締めは誰がやる?」
 放っておけば衰弱して死ぬのは目に見えて分かるようだが、死が訪れるのを待つのも時間がかかる。首を落とす勇者はいないかとローは首を巡らせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノエミ・カプドヴィエイユ
ドラゴン退治、やってやりますデス!
皆さんのおかげで優勢デスけど、こういう時の、相手の悪あがきが怖いのデス!

ワイバーンブラストは厄介デスね、【ミレナリオ・リフレクション】を使ってこちらも雄叫びをあげ、相殺してやりますデス!
「こっちだって負けてませんデスよ……うおおおっ! デスッ!」

他にもぼくだったり、味方を狙うような攻撃を繰り出してきたりしたら、【盾受け】技能を使ってしっかりガードしますデスよ。
攻撃は基本的に他の人に任せて守ることに徹しますデスが、隙あらばフォースセイバーでの一撃、やってやりますデスよ。



 最後にやってきたのは柔らかな黒髪のノエミ・カプドヴィエイユ(リトルドール・パラディン・f10355)だ。
「ドラゴン退治、やってやりますデス!」
 その瞳には凛とした輝きが込められており、手負いの竜相手にも負けぬ意気込みが感じられた。
「(皆さんのおかげで優勢デスけど、こういう時の、相手の悪あがきが怖いのデス!)」
 ノエミは胸の内で呟くと、颯爽と飛竜の前に躍り出た。見上げたノエミは想像以上の大きさに一瞬肩を竦めるが、そうもしていられない。竦んでしまえば竜の思う壺だと言い聞かせて、竜の頭部を睨み据えた。ごうごう、と咆哮を上げ爆風を齎す飛竜の攻撃には素早く回避を行うが、これは厄介だと判断したノエミは、ミレナリオ・リフレクションを使い雄叫びと共に衝撃波を放った。
「こっちだって負けてませんデスよ……うおおおっ! デスッ!」
 正面からミレナリオ・リフレクションを受けた飛竜は自身と同じ攻撃を受け、後方に派手に吹っ飛んだ。巨体が背中から落ちたことで、飛竜は状況把握に多少の時間をかけていた。体を捻って体制を起こすと、すぐさま敵の襲撃に備える。その隙を狙ったようにフォースセイバーを構えると、早足で駆け寄り、実体を持たないサイキックエナジーでできた光の剣を飛竜の喉元に突き立てた。穿たれた飛竜の急所は、どぷりどぷりと血を垂れ流し、フォースセイバーの一撃をゆっくり、深く飲み込んでいく。ノエミの心臓は早鐘を打ち緊張に体が固まっていたが、やがて飛竜が動かなくなると、静かにその場にへたり込んだ。手負いとはいえ、巨体の飛竜を仕留めたことに、安心感で力が抜けてしまったのだ。

 立ち向かってくれた猟兵たちのおかげで村の人々が襲われるといった未来は影を残さず消え去った。川の増水も村人たちが土嚢を積み上げるなどの働きのおかげで、氾濫することもないという。穏やかな平穏が春の足音と共に、村に戻ってきたようで、その日は夜まで竜退治の話で持ちきりになったそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月05日


挿絵イラスト