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くーるに火樹銀花(作者 ねこあじ
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 大事に育てた氷樹に氷の実がなった。
「里の外に出せるくらいにはなったんじゃねぇか?」
 ケントウの里の若者が砕いた氷片を口に入れれば、普通の氷とは違う美味しさ。元となった水が良いのだ。
「やっとシェルフワの大樹祭に氷菓子が出せるね!」
 違う若者が氷の実を収穫しながら喜びの声を上げる。
「前、祭りに行った時に、氷の実と合いそうなものを色々見繕ってたんだ」
 ふわふわに削った氷菓子を、祭会場で見つけた蜜とコラボしたりしたいなぁ、と若者。参加できたら忙しくなりそうだ。
 和気あいあいとしだした若者たちに、子供たちが反応する。
「おまつりいきたいー!!」
「おてつだいするからぁぁぁ!」
「えええ……今ん時期だと凍雨の氷河を越えなきゃいけねぇんだぞ……」
 今度はお年寄りたちが声を上げ始めた。
「死ぬ前に一度しぇるふわのおまつり行ってみたいのぅ」
「たのしく遊びたいのぉ」
「フィリアちゃんとメルルちゃんもこう言っておる。これでも儂は若いころはぶぉんぶぉんゆわせてたんじゃ、旅は任せておけ」
「えええええ……」
 里の若者たちは顔を見合わせた。
「頼もしいっちゃ頼もしいけど……」
「は????」
「いや……いちお、隣町の酒場に依頼出してみるわ。モンスターも出るだろうし」


「群竜大陸での戦い、お疲れさま! 皆さんのおかげでアックス&ウィザーズにも平穏が訪れたわ」
 そう言いながら猟兵たちを笑顔で出迎えるポノ・エトランゼ(エルフのアーチャー・f00385)。
「でも、帝竜が倒されたからといって、元から住んでいるモンスターはそのままなのよね。酒場とかには依頼も舞いこむし、冒険者の仕事は結構あるの」
 とある酒場で、ポノはオブリビオンが関係する依頼をひとつ見つけたようだ。
 掲示板から写した依頼書を猟兵へと渡す。
「難しいものでは無いんだけど、『トウケンの里』からの依頼よ。シェルフワの大樹祭で、里の人たちが美味しい氷菓子メインの店を出したいみたいなのだけど、今って一部梅雨の時期でしょう?」
 一瞬「?」となる猟兵たちだが、アックス&ウィザーズにも梅雨があるらしいと察し。
「梅雨時期の氷河って、凍雨が降るのよね」
 凍雨とは、過冷却状態の雨で、何かに触れると凍ってしまう滴だ。
「つ……ゆ??」
 ただの梅雨ではなさそうだ。
「里の人もそこそこ慣れてはいるんだけど、結構大所帯&大荷物になるらしくって、皆さんには荷運びのお手伝いと凍雨に氷漬けにされない助力を請いたいみたいなの」
「雇われ冒険者みたいな感じになるんだね」
「あと、道中、オブリビオンが襲ってくるからその対処と」
「護衛の仕事もだね」
 まあ、同行依頼なら当然だろう。と、頷く猟兵たち。
「あと、お祭り会場で何かイイカンジな物を見つけて、イイカンジな氷菓子の案を出して欲しいみたいで」
「……冒険者の仕事とは」
「氷菓子とかは食べ放題にしてくれるみたいよ? まあ、気が向いたらで良いからよろしくね」

 それはそれとして、と地図を広げるポノ。
 里を出ての道中は寒く、シェルフワの地に入ればそれなりにジメっと暑い、そんな気候を持つ地域だ。氷の実は、実の形状のままだと普通の氷よりも溶けにくい氷ゆえに、祭りでの売れゆきは上々となるだろう。
「出てくるオブリビオンは『甲鎧虫(こうがいちゅう)』っていう、硬くて分厚い甲殻に覆われた敵なの。甲殻は武器防具の素材にもなるみたいだから、道中撃破して回収するのもアリだと思うわ。大樹祭には加工の得意なドワーフもいるだろうし、何か作ってもらうのも良いかも」
 と、色々な説明を聞いた猟兵たちが最初にしたことは、防寒具の用意だ。
 旅立ちはトウケンの里。長旅となるので、装備を確認していく。
「準備はできたかしら? それじゃあ、あとは現場判断で! お祭りは楽しんできてね」
 そう言ってポノは猟兵たちを送り出すのだった。





第3章 日常 『大樹祭』

POW興行への飛び入り参加
SPD露天商・屋台巡り
WIZ祭りの喧騒を遠くに、静かに過ごす
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 むかしむかし、シェルフワというドラゴンが戦の絶えぬこの地に降り立った。
 人々は最初はシェルフワを強大な敵だと思ったのだが、優しきドラゴンは言葉を用いて人々と心を通じ合わせた。
 ドラゴンの穏やかな言葉は、やがて人の心に優しさを宿らせる。
 争いはなくなっていった。

 長い時が流れ、動かぬ大樹となったドラゴンは『辺り一帯』を守護するものとして称えられるようになった。
 過去、戦の絶えなかった地が今も平和だと、人も動物も元気だということを大樹に伝える。

 それがシェルフワの大樹祭である。


 大樹を中心にした大きな都。
 敷かれた石畳は、辿っていくと大樹へと行きつくのがほとんどだ。それを打つ人々の足音、喧騒が響く。
 フェアリーやエルフ、ドワーフなどなど集う人種も様々。
 明日から開催となる大樹祭のため、皆、慌ただしく準備している。その間を歩くのは、飲み物や食べ物を販売する売り子たち。
「ここまでありがとうな! 冒険者さんたち」
「いやあ助かったぜ。これ報酬ね」
 と、金貨の入った袋を手渡された。
 トウケンの里の皆も無事、出店の登録が終わり、出店準備を始めることとなった。
 猟兵たちは荷下ろしを手伝っていく。
 荷車――保護布の中の氷の実は溶けておらず、球体を保ったまま。不思議そうな表情の猟兵たちに、ココ、じつは皮でな、と説明する里の者。剥けば中身は正真正銘の氷である。
 机と椅子――道中のアイディアを取り入れたのか、カフェ風に設置された。

 その日は出店準備で終わった。
 旅の疲れは感じていたけれども、どこか心地の良い疲れであった。


 一夜明け。
 都全体で早朝から準備をしていたのだろう。上を見上げればカラフルな布地のガーランドや、道沿いには花を寄せ植えたプランター。店も屋台も装飾がされて華やかで、通りは既に人が賑わっている。
 猟兵たちは、まずは少し見て回ることにした。

 トウケンの里の店に行ってみると、お客さんもいて盛況の様子。
 専用の道具を使い、削ってふわふわになった氷。それに昨日里の者が買い付けた花蜜や果物のシロップがかけられて、濃淡ある甘めな香りを放っている。
「やあ、冒険者さん! 是非食べてってくれな!」
 里の若者が猟兵たちに気付き、声を掛けてきた。
 味の種類は豊富なようだ。ふわふわ冷え冷えな氷菓子に合うものを更に見つけてきたりするのも良いだろう。
 忙しそうなので、氷菓子の店を手伝ったりも出来そう。

 回収した甲鎧虫の素材は、そのまま売ってお金にしたり、職人通りに持っていったり。
 店が並び、武器や防具・道具が売られているのはもちろんのこと、一部には鍛冶場もあるのでドワーフが素材を加工・強化してくれるだろう。
 甲殻は繋いだ籠手や胸当て、肩当て、盾、日常雑貨など用途は様々だ。
 触覚の青い刃のようなものは、魔力を通せば岩がバターのように切れる代物。
 他にも、あちこちの土地から集まった商人が店を出しているので、買い物も色々とできそうだった。
 可愛い物もあれば、美味しい物もある。

 祭りの喧騒を遠くに、静かに過ごすのも良いかもしれない。
 賑やかな通り、静かな通りと、大樹へと続く道も様々だ。

 好きなように、思い思いに過ごしてみよう――。