Operation Country Farm
道があれば交易が栄え、余ったり足りない物が行き来しては各地に繁栄をもたらしていく。
水。
それは人間の約70%を占める物。
人だけではない。
水がなければ生物は生きられない。
……だが、逆を言えば水があれば生物は生きられる。
水があれば、人は生きるために第一歩を踏み出すことが出来るのだ。
● グリモアベース 作戦会議室。
「うねうねうね……」
……よし、帰ろう。
「待てぃッ!!」
入ってさっそく見えた、嫌な予感しかしない触手生物。
そのまま踵を返そうとした猟兵達をユウキが呼び止めた。
「大丈夫だからっ!! 悪い触手じゃないからっ!!」
悪かろうが悪くなかろうがみてくれが問題である。
「品種改良を重ねて安心安全! 陸で育つ軟体生物! タコさんテンタクル君だ!!」
「うねっ!!」
……品種改良?
「思えば長い年月であった……」
わざとらしく目頭を押さえて俯くユウキ。
「前回の失敗からアフォロディシアックテンタクルとは別種の触手や別世界の触手を捕獲しては掛け合わし、毒性を排除しつつあの食感に陸上生物でありながら磯の風味を持たせるという難問……」
農家か貴様は。
「だがついに! ついに出来あがったのだよ諸君!!」
拳を強く天へと掲げ、元軍人であるグリモア猟兵兼触手農家は声高らかに叫ぶ。
「コリコリとしたタコを思わせる食感に一噛みすれば口に広がる仄かな磯の風味! 本体さえ傷付けなければ何度でも収穫できる手軽さと、自然繁殖を抑えつつ切り落とした触手の再生期間は僅か1月たらずという生産性! そして何より人懐っこいこの性格ッ!」
ユウキの差し出した腕に巻き付き、うねうねと蠢く触手。
「可愛いだろう!?」
少なくとも可愛くはない。
まぁ、話を聞くだけなら"食料としては"優秀である。
「そこでだ諸君。既に我が旧知の拠点フィサリスに【荒野における農業試験】と称して大規模な農地の開拓を行っているのだが……」
傍迷惑な話である。
そしてこの男が笑顔の時は大抵裏がある。
「じゃかしい。現状なかなか好評なんだぞ? 見た目は……まぁ、ともかく。味は良いし、水だけでしっかり育つってな。まぁ、あの水自体の栄養が良いのもあるが」
そう言いながら、ユウキは真っ直ぐ猟兵を見つめる。
「実は、この素敵な農場を攻撃しようとする輩が居るらしくてな」
それは奇遇だ。
目の前にも居るぞ。
「やめんか! ともかく、食料を狙うオブリビオンを撃破し、農地の開墾に手を貸して欲しい。神様に誓ったって良い。今回は何も企んじゃいない」
怪しいが、これ以上疑っても仕方ないだろう。
「あ、そうそう。淫魔が出るけど倒したら縛って畑に投げ入れてくれ。良い苗床になる」
……?
「人間は襲わないんだよ。人間は」
……オブリビオンは?
「女型なら大好物」
ユウキの開くゲートを潜るべきか潜らざるべきか。
「さぁ、猟兵! オペレーション【Country Farm】(田舎の農場作戦)を開始する! 皆の食事を守るために戦うのだ!!」
ユウキ
はじめましてこんにちわ。
はじめちわ!( ´・ω・`)b。
ギャグです。
……じゃなかった。ユウキです。
特に問題のない農業依頼です。
問題はありません。
今回はムフフなプレイングもギャグチックに補正されます。
基本的に第一章の敵は、勝手に農地のタコさんテンタクル君を自分達の持つ種と置き換えようとするので阻止して下さい。
第二章は淫魔さんです。
搾られたいなら止めはしませんが、お持ち帰りは出来ません。
タコさんテンタクル君達のママになって貰います。
第三章は、農作業です。
今回は本当にやましい事の無いユウキさんを呼べば喜んで手伝ってくれるでしょう。
「それでは皆様、豊作を願っております……」
第1章 集団戦
『明日を目指した人々』
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POW : きっと実るよ。ここには俺たちが眠るのだから。
自身の【全ての生命力】を代償に、【収穫可能になるまで自衛する植物】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【外敵のエネルギーを吸収する触手】で戦う。
SPD : 未来の為に逃げろ。そして何処かで芽吹くんだ。
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【安全地帯で成長を始める自走植物】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。
WIZ : これが実れば、食べ物で争う事は無くなるんだ。
【飢えに苦しむ人々を助けたい】という願いを【この世界の未来を憂う人々】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
地獄絵図……とはこのことだろうか。
転送された先。
極彩色の蠢く生き物がこぢんまりとしたスペースに所狭しと植えられてすくすくと育っている。
……まぁ、頑張れば多肉植物に見えない事もない。
蠢いていなければの話だが。
だが、区画で仕切られた広大な土地の他の場所にはなにかが植わっている様子はなく、一応綺麗に整地されてはいたもののこの状態ではとても農業が行えるようには見えない。
「他はまだ肥料も蒔いてないし、耕作はしばらく先だな。そもそも肥料もまだ足りないんだが」
そう言って初老の男性が話しかけてきた。
聞けば、現状畜産出来る生物も稀な為、基本的には人糞や各地で手に入った古い肥料等をかき集めてなんとか農地を広げていってはいるらしい。
しかしながら、試しに今植わっている触手を収穫して一部を切り刻んで蒔いた所、土壌はなかなかに肥えて良い土となると語った。
「あいつらは水で育つ生物のような物だ。生き物の遺骸と言うのは肥料としてはなかなかに上等な物だからね。見た目は確かに気にはなるが、なんだかんだ役に立つよ」
そう話しながら土に塗れた顔で笑顔を作る男性。
……その時だった。
「これが実れば、誰も飢えなくて済むんだ……」
「おい! 何をしている!?」
何かをぶつぶつと呟きながら、どこからか現れた人々が何かを土に植えていた。
「やめろ! 満足に準備も出来ていない土に植えた所で養分を無駄にするだけだ!!」
だが、彼らはそんな忠告に手を止める気配がない。
止めようと掴みかかった住人が、逆に突き飛ばされて数m吹き飛んだ。
……明らかにただの人間の力ではない。
「邪魔をするな……」
ゆらりと立ち上がった人々の目には、虚ろな光が宿っていた。
鈴木・志乃
ユウキさん。
私、前の所業忘れてませんから。
で、今度はどんな触手食物なんですか?(満面の笑み)
Oh、一面焼け野原にしたい……
ダークセイヴァーにも飢えから来る敵が一杯いるよ。
貴方達みたいに自分を犠牲にするオブリビオンもね。
であればこそ、その気持ちごと浄化する必要があるんじゃないかな、と。そう思うわけですよ。もう今となっては、何も聞かないだろうけどね。
UC発動【精神攻撃、催眠術】
実ればも何も、もう沢山実ってるじゃないですか(幻想)
貴方方はもうご自分の役目を立派に果たされました
安心して骸の海へ旅立ってください
飢えに苦しむ人はもう、いない。
大丈夫、これからは私達がこの世界を守って行きます。
秋山・軍犬
はい【指定UC】でーす
まずは初老の男性の救助と治療ですね
それにしても、此処で触手畑を見ようとは
しかも住人の方にも受け入れられてる
素晴らしい
しかし
だからこそ厳しい事を言わせてもらいます…
触手を出せばエロくなるなどというナイーブな考えは捨てろ
折角優秀な食品たる触手の安全性やイメージが
淫魔とか襲わせたら壊れますよね
触手=エロという固定観念に囚われてる内は
ユウキさんは所詮優秀な触手マニア止まりです
もっと頑張って下さい(偉そう)
軍犬「…あ、以下戦闘プレで」
飢えに苦しむ人々を助けたい
彼らの願いは分かるので
その想いは自分やこの世界に生きる人々が引き継ぐという
想いを込めた【圧力拳・改】で彼らの想いと真っ向勝負
化野・花鵺
「グリモアさんの水着カッコいぃ…来年はカヤも作ろっかなぁ…ハッ」
手錠ブロマイドを眺めていた狐、今回も全然話を聞いていなかった
「この空はアポヘルだよねぇ…てことは拠点防衛?」
狐、周囲をキョロキョロしてとりあえず拠点に紛れ込んだ
「そういえばここ知ってるぅ。触手もいるしぃ…もしかしてお料理依頼ぃ?…意外とイケるぅ」
狐、手持ち無沙汰だったので触手を齧ってみた
「やっと来たぁ。喰い尽くせ、管狐!」
「管狐の召喚」使用
現れた敵を全て喰い尽くすよう命じる
敵の攻撃は野生の勘で回避し衝撃波で弾きしオーラ防御で防ぐ
「これで畑の無断使用レイダーは退治したけどぉ…今回は畑防衛なのかなぁ」
狐、最後まで分かっていなかった
突き飛ばされた住人を見て軽くため息をつく。
無辜の市民が襲われているのならば助けよう。
オブリビオンが破壊を繰り返すのならば戦おう。
⋯⋯だが。
今回守るのは目の端に映る下手をすればオブリビオンよりおぞましい極彩色の触手。
いや、もちろん目の前で市民が襲われているので助けないわけにはいかず、ましてやそのために来たのだが⋯⋯⋯⋯。
この目の前に広がる悪夢を焼き払ってしまえばどれほどすっきりとした心持ちになるだろう。
先程の初老の男性には悪いが、今この場で全てを灰燼と化し全てリセットするというのはどうだろうか。
その時、まさに20〷年!!
世界は核の炎に包まれた!!
⋯⋯いや、まぁ“鈴木・志乃の脳内ビジョンで”ではあるが。
「ふ、まだまだ詰めが甘いですねユウキさん⋯⋯」
そんなことを呟きながら志乃の隣へと歩み寄って来る秘水・クティ⋯⋯と、お供の犬人間。
「ちょっと!! こっちが本体なんすけど!?」
知ったことか。
「うほー!! グリモアさんの水着カッコいぃ…来年はカヤも作ろっかなぁ…ハッ!?」
そしてどっから入手したのか分からないブロマイド片手に鼻息荒く戦場に降り立った、Ms.話を聞かないさん。
名を、化野・花鵺。
「この空はアポヘルだよねぇ…てことは拠点防衛?」
ほら、やっぱり聞いていない。
志乃が再び深くため息をつく傍らでおもむろに毟った触手に一切の躊躇無く齧りつくとクティがそんな乱暴なと叱り付けたのだが、只々その味の感想を述べるばかりで反省する様子はない。
曰く、味は悪くないらしい。
まぁ、かといって志乃の食欲には何ら影響を及ぼさないのだけは確かだと言える。
「ええい、こうなれば儘よ!!」
少なくともこの三人と一匹の戦闘力が伊達ではないことは言うまでもない。
戦えば苦戦することはまずないだろうし、何よりも
――え、こいつら何しに来たの?
と言わんばかりの―もちろん実際にそう言っている訳ではない―オブリビオンたちの濁った視線が痛い。
あの男の前回の所業を忘れたわけではないが、今は戦いに集中しよう。
大丈夫だ、何かあっても般若心経が私にはあるのだ!
「仕方ありません、ユウキさんには後で触手栽培の何たるかを一から教授するとして、まずは農場を守ると致しましょう。行きなさい、軍犬!!」
もはやどちらが主なのか。
「⋯⋯もういいっす」
そんな状態にも関わらず、当の本人も半ば諦め交じりに敵へと歩み出した。
「え!? あ、あれが敵さんだな!? やっと来たぁ。喰い尽くせ、管狐!」
そして召喚された管狐達が一瞬にして触手を喰らい尽くそうとするのを慌てて止める花鵺。
花鵺に敵はあっちだと指されても
――え? でも⋯⋯
と言わんばかりに管狐たちは困惑する。
そりゃそうだ。
多分事前に何も言われていなければ、志乃だって触手を敵と認識しただろう。
だって、あれ目が虚ろなだけで見た目はただの人だからね。
仕方ないね。
それでもなお困惑する管狐に業を煮やした花鵺は、一瞬にして狐の姿を取ると一喝する。
「ええい! 妾の指示が聞けんというのか戯けがっ!!!」
ぴしゃりと𠮟られて蜘蛛の子―狐の子か―を散らすように慌てて飛び出していく管狐たち。
そして花鵺はすぐにやれやれと元の姿に戻った。
ちょっとかわいそうである。
「敵とあらば容赦はせずっ! その無念、この拳で受け止めるっす!!」
自身が飢餓に死してなお、彼等は飢餓にあえぐ人々を救いたいと願った。
たとえ形が歪んでしまっても、真に秘めたる願いは変わらず。
ならばその思い受け止め、後世に残す。
「だから今は⋯⋯安らかに眠るっす!! 圧力拳・改ッ!!」
拳の触れたオブリビオンが、光に包まれ霧散して⋯⋯
いかない!!
「いや、まぁ、触手で何とかするって言われても納得しづらいのは分かるっすけど⋯⋯⋯⋯」
光る玉になったまま静止するオブリビオンに語り掛ける軍犬。
「ほら、これを刻んで肥料にすれば土地も肥えて作物も育つようになるし、ここはひとつ未来に賭けると言う事で⋯⋯どっすか?」
しばらく考え込むように―見た目は変わらないので恐らくは―静止していたが、仕方が無いといった風に―見た目は(以下略)―霧散していった。
「や⋯⋯やりづれェ⋯⋯⋯⋯」
霧散した直後、全員納得させなければいけないのかと少し気後れしたものの、漢軍犬。
一度やると言ったらやりきって見せる男である。
その点、花鵺の管狐たちは一切の躊躇なく敵に喰らい付いて撃破していく。
疑問が無い訳では無いだろうが、下手に戸惑ってまた怒られたくも無い。
ご飯なんて減らされた日には―人間なら憑き殺してやればよい話なのだが、相手はいかんせん天狐様である。逆らえよう筈も無い―しばらくはご機嫌取りに四苦八苦する羽目になるだろう。
つくづく飼い主に恵まれないものだ。
そんなこんなで順調にその数を減らしていく猟兵たち。
え?
志乃はって?
⋯⋯仕方ない。
「ぐぬぬ⋯⋯」
言ってしまえば、オブリビオンに対するアプローチそのものは軍犬のそれに近い。
彼らの無念を浄化し、あるべき場所へ魂を還す。
⋯⋯が。
「あなたたちの気持ちは⋯⋯」
仏説摩訶般若波羅蜜多心経⋯⋯⋯⋯
「私にも痛いほど⋯⋯⋯」
観自在菩薩行深⋯⋯⋯⋯
「自己犠牲の精神は⋯⋯⋯」
般若波羅蜜多時照見五蘊皆空度⋯⋯⋯⋯
「⋯⋯⋯⋯」
一切苦厄舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色受想行識亦復如是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意、無色声香味触法無眼界乃至無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得以無所得故菩提薩埵依般若波羅蜜多故心無罣礙無罣礙故無有恐怖遠離一切顛倒夢想究竟涅槃三世諸仏依般若波羅蜜多故得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜多是大神呪是大明呪是無上呪是無等等呪能除一切苦真実不虚故説般若波羅蜜多呪
即説呪曰羯諦羯諦波羅羯諦波羅僧羯諦菩提薩婆訶
般若心経⋯⋯⋯⋯
「あぁぁぁぁぁぁああああああああああああ゛ッ!?」
頭を抱えて悲鳴を上げる志乃。
浄化の祈りを般若心経が邪魔をする!!
祈りを捧げようにも頭の中で壊れたラジオの様に繰り返し鳴り響く般若心経が全てを掻き消してしまい、何を祈ればいいのかわからくなってしまうのだ。
「なんという強敵ッ!!」
さすが はんにゃしんぎょう つよい。
だが、心なしか少しづつ数が減っているような⋯⋯⋯⋯
「まさか⋯⋯⋯⋯?」
流石は般若心経⋯⋯⋯⋯強い。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アビー・ホワイトウッド
……全く懲りてない。
でも肥料として使えるなら悪い話じゃない。
種を撒くオブリビオン…?食料確保の為に農地を作ろうとした人達の成れの果て…でも今は妄執に取り憑かれた亡霊。消えてもらう。
ラングレーの武装だと畑を破壊してしまいかねかいから、今回は待機。
ショットガンに弾を込めて一気にいく。奴らは種蒔きに夢中で気付いていない。今がチャンス。UC発動で至近距離から背中に喰らわせてやる。
…悪いとは思わない。オブリビオンである以上は殺す。
まともな武器もない…相手にならない。
突然植物が発生したなら狙いをつけて射撃。蜂の巣。
効かない…?なら。
銃撃が効果的でないなら火炎瓶を投げ付けてやる。よく燃えそう。
蔵方・ラック
(触手をおぞましいと感じる感覚が鈍いようだ)
(極彩色の触手をまっすぐ見上げながら)
なんと活きの良い植物!!……植物??……まぁ細かい事はいいでありますか!
食料として役に立っていて、ここまで順調に育ってるならあえて植え替える必要もないでありましょう!ね!オブリビオンになってしまったみなさん!安心して農作業の手を休めるであります!
……うーん、反応が芳しくない。意外と好き嫌いが激しいタイプでありますか?
しょーがない、では、物理的に大人しくなってもらうであります!
気絶まではさせない程度に怪力で押さえつけつつ、確実にUCで拘束して相手を無力化していく
シエラ・バディス
えーっと………
まぁ、食べれるのなら問題ない……のかなぁ……(どこか遠い目)
こんな見た目だけど、ちゃんと食べれますから!こんな!!見た目!!ですけど!!
そう力説しながら斧で触手を一本切り飛ばして刻んで、洗ったスコップをフライパン代わりに使って炒めて差し出します。
これで納得出来なければ、物理排除するしかないよね……
選択UCで攻撃回数を優先して叩きます。
皆さんの気持ちは分からなくはないけど、ここは荒らさせません!
見た目は大変気になりますけど!
※アドリブ・連携等歓迎です。
「ハァ⋯⋯」
小さなため息。
高台から双眼鏡のレンズ越しに視界に飛び込んだ光景に、これ以上相応しい反応も無いだろう。
―⋯⋯⋯⋯またか。―
すでに戦闘が始まっている以上ぐずぐずもしていられないのだが、いかんせん全く懲りていないあの男には一度灸を据えるべきなのかもしれない。
⋯⋯それで懲りるとも思えないが。
「どんな感じでありますか!?」
隣に座る妙にはしゃぐ少年―歳は近そうだ―に無言で双眼鏡を手渡すと、アビー・ホワイトウッドは装備を整えるために立ち上がる。
「一応⋯⋯食べられると⋯⋯⋯⋯聞いたのだけど⋯⋯⋯⋯?」
そう言って立ち上がったアビーに話しかけたのは、シエラ・バディス。
―なぜこの三人が現在行動を共にしているのかというと、端的に言えば同じタイミングで同じ場所に転送されたからだ―
シエラも“アレ”を見たのだろう。
もともとあまり血色の良くなさそうな顔が更に青くなっているうえに、その質問には頼むから肯定してくれと言わんばかりの必死さが滲み出ていた
まぁ、はっきり言って食べられないことはないんだろう。
あの男もそういう点では誠実だ。
そう告げてやると、シエラは安心したような呆けるような微妙な視線を空に向け
「えーっと⋯⋯⋯まぁ、食べれるのなら問題ない⋯⋯のかなぁ⋯⋯?」
と消え入りそうなか細い声で呟いた。
「いずれにしても、肥料として役に立つらしいことは確認してる⋯⋯それだけでも、価値はある」
アビーのその言葉にはもちろん「でも私は食べたくない」という言葉が続く。
まぁ、わざわざ口には出さないが。
この世界の状況を考えれば食料になる物を選り好みするなどもってのほかなのだが、少なくとも喜んでは食べたくない。
普通に考えたら誰だってそうだろう。
おそらくシエラも。
「なんと活きの良い植物!! ⋯⋯植物?? まぁ何にせよ、これだけ育っていれば腹も膨れそうでありますなぁ!!」
そう考えていた矢先に双眼鏡を覗いていた少年がそんなことを言うものだから、シエラとアビーは心底驚いたようにその顔を見合わせ、少年をほぼ同時に見た。
「ん? どうしたでありますか?」
ぎょっとした表情で見つめる二人の視線に不思議そうに目をぱちくりとさせる少年。
「まぁいいや。そんなことより何をぐずぐずしているのであります? このままではオブリビオンを取り逃しかねないでありますよ!!」
行くぞと笑いながら準備を始めた少年。蔵方・ラックの言葉を聞いた二人は再び目を見合わせた。
「えっとね⋯⋯これ、シエラ達がおかしいのかな⋯⋯⋯⋯?」
シエラがそう聞くと、アビーは渋い顔で呟く。
「そんなこと⋯⋯そんなことはない⋯⋯⋯⋯はず⋯⋯⋯⋯」
はっきり言ってアビーはこのアポカリプスヘル以外の知識に乏しい。
もしかしたら、ほかの世界ではああいうものを食べるのは当たり前の事なのかもしれない⋯⋯⋯⋯確信が持てない。
そんな煮え切らぬ心持ちの中で、三人はそれぞれ敵へと向かっていった。
⋯⋯まぁ、とりあえず戦おう。
少なくとも無条件で叩きのめすべき相手が目の前に居るのだから。
先の猟兵に攻撃されていてなお畑に固執し、何かを植えようと屈む敵の背中に散弾銃の引き金を引く。
派手な爆音と共に放たれた鉛のダブルオーバックがその背中を無慈悲に引き千切って地面に張り倒すと同時に、相手はピクリとも動かなくなった。
なんてことはない。
武器も持たず、ましてやこちらに興味すら示していない相手など取るに足らない。
素早く遊底を引いて薬室に次弾を送ると、続けざまに次の標的を撃ち抜いた。
「⋯⋯悪いとは思わない。オブリビオンである以上は殺す。それが私たちの仕事⋯⋯死人のエゴに付き合っている暇はない」
「それではみなさんはい注目!!」
我ながら今のセリフは少しかっこいいんじゃないだろうかと考えた矢先―戦闘中に何を考えているのだろう、私は―ラックの声が戦場に響き渡った。
「食料として役に立っていて、ここまで順調に育ってるならあえて植え替える必要もないでありましょう! ね!?」
⋯⋯
⋯⋯⋯⋯
⋯⋯⋯⋯⋯⋯。
「あれ⋯⋯?」
一株切り取った触手―まだ蠢いている―を掲げて見せるが、微妙に反応がよろしくないご様子。
「バトンタッチ!!」
「え゛っ!?」
ふいにぶん投げられた触手を何とかキャッチして見せるシエラ。
妙にぶにぶにとした感触と特有の粘液によるぬるぬる感に背筋が一気に凍り付いたが、それでもこらえて言葉を紡ぐ。
「こ⋯⋯こんな見た目だけど、ちゃんと食べれますから! こんな!! 見た目!! ですけどッ!!」
兎にも角にもこんなものはさっさと手放したいのだが、何とか敵の注意を引くことには成功しているらしく―そうでなかったら叩き付けていただろう―手放すに手放せない。
かといって、敵を排除できなければ意味が無い⋯⋯⋯⋯
「い⋯⋯今から料理をして見せます!!」
何を思ったのか、シエラは自分の口から出てきた言葉に自分で驚愕する羽目になった。
おぉ、と感嘆の声を上げるラックに一瞬憎たらしげな目を向けたものの、言ってしまった手前退くに退けない。
とりあえず、株から伸びた触手を一本切り取りそれを見た。
⋯⋯切り取っても蠢いているその姿に再び背筋が凍る。
「火、準備OKであります!!」
その声に一瞬遠退きかけた意識を引き戻されてラックの方を見ると、ご丁寧に焚火が焚かれていた。
どうやったのだろうかとその腕を見れば、腕の半ばからパカリと開いて鈍く輝く銃身が覗いている。
「うぅ⋯⋯⋯⋯」
正直、未知の食材を前にどうすればいいのかなど考えてもわかる訳は無いのだが、取り敢えず簡単に塩を振って炒めてみる事にする。
甲高い悲鳴のような水分の抜ける音を響かせ、フライパン代わりのスコップの上でのたうち回る触手。
⋯⋯すでにどう考えても食材が上げる音ではないが、気にしたら負けだ。
出来上がった“簡単、触手の塩焼きアポヘル風”をオブリビオンに差し出す。
「どうぞ!!」
え、俺?
と言わんばかりに―そう見えるだけかもしれないが―差し出されたそれを凝視するオブリビオン。
沈黙が世界を支配する。
「ほらほら、女の子の手料理はあったかいうちに食べなきゃもったいないでありますよ!!」
そう言って半ば無理矢理にオブリビオンの口に触手の塩焼きを運ぶラック。
どうやら、ラックも流石にあれを食べて見せる勇気は無いらしい。
「⋯⋯⋯⋯!?」
ついに観念したのか、ぱくりと一口食べたオブリビオンが目を見開いた。
「⋯⋯⋯⋯うまい⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯⋯」
そう呟いて、オブリビオンの目から涙が落ちる。
『え゛ッ!?』
三人の口からほぼ同時に驚愕の声が漏れた。
「あぁ⋯⋯俺たちはもう⋯⋯⋯⋯休んでいいんだな⋯⋯⋯⋯」
そう呟いて、オブリビオンが光に変わっていく。
「いや⋯⋯⋯⋯噓ッ!? 待って!! ねぇ待って!?」
こんなもんで納得されるのもなんだか釈然としない。
むしろこれで暴れてくれれば普通に戦って普通に倒せたというのに。
「⋯⋯⋯⋯ありがとう」
「お願いだから感謝しないで! こんなもので成仏しないで!!」
この触手料理でオブリビオンの心を癒してしまった。
そんなもん喜べよう筈も無い。
次々と光になって成仏していくオブリビオン達⋯⋯⋯⋯
「あぁぁぁあああああああああああ゛ッ!?」
声にならぬ悲鳴を上げるシエラの肩をポンと叩くアビー。
「なんていうか⋯⋯ドンマイ」
「この植物⋯⋯凄まじい効果でありますな⋯⋯ッ!!」
そして、なぜか触手の力だと勘違いして感嘆するラック。
「あぁぁぁあああああああああああ!? 何してくれてんのよ!!」
そんな中、謎の悲鳴が戦場に木霊するのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『乳魔マリエン』
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POW : マリエン式・エナドレチャーミング
【精気を奪う為の淫力】を籠めた【淫魔としては非常に発育した胸部】による一撃で、肉体を傷つけずに対象の【性感と、快楽への抵抗心】のみを攻撃する。
SPD : 『乳魔』の超絶乳技
自身の【淫魔としての飛行能力】を代償に、【発育した胸部を使用した、吸精の為の快楽】を籠めた一撃を放つ。自分にとって淫魔としての飛行能力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
WIZ : サキュパスペディア(淫魔の情報網)
【対象の弱点や好みを探る様な精気吸収】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【性感帯・好みの体位・性癖 等】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ロベリア・アナスタシア」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「あんた達、なんてことしてくれるのよ! せっかくその気色の悪い変なのを消そうとしてたのに!!」
そう響いた声の先、ふよふよと空を飛ぶ妖艶な女性。
⋯⋯おそらく、説明にあった淫魔だろうか。
「何考えてんの!? どう考えたってそれ、まともじゃないじゃないのよ!? なに? あなたたちそれ繁殖させる気なの? 正気!?」
⋯⋯どうしよう⋯⋯⋯⋯ぐぅの音も出ない。
「と・も・か・く!! そんなもん繁殖させるわけにはいかないわ! そもそも、植物の世話なんて女にやらせなさいよ!! 男が重労働で疲れ果ててたら、私の吸う生気の質が落ちちゃうじゃない!!」
⋯⋯いや、それは知らない。
「ええい、いずれにしてもそんな女の敵みたいな作物を繁殖させるわけにはいかないわ⋯⋯覚悟ッ!!」
鈴木・志乃
焼畑農業しちゃだめなの(?)
だめかー…そうかー…。
駄目ならそこの女体を丸焼きにして肥料と化し撒くしかないな!!(?)
取り出したるは西部劇にでも出てきそうな砂塵まみれの樽。こいつに適当に穴を空けると、中から溢れ出す無色透明の滑った液体。念動力で液体を操ると、何度も敵目掛けてビチャビチャと掛けて行き――
UC発動
一気に世紀末と化す戦場を冷ややか且つ虚ろな目で見つめ、般若心経を唱え続ける。
色即是空、空即是色。
(この世のあらゆるモノや現象は空である。)
夢幻泡影、
(人生や世の中の物事は空で、非常に儚い)
一切皆苦。
(人生全て苦しみである。※一切には快楽も含む。)
敵UCに堕ちかけた場合自身にもUCを向ける。
シエラ・バディス
まともじゃない…今回にいたってはあの人の言い分が正しいのが何とも言えない…
それでも、生きる希望…アレでも希望で良いんだよね…?
…それを邪魔される訳にはいきません!無駄に良性能ですし!!
近接戦に持ち込んでスコップを『怪力』任せに斬る様に振り回して戦います。
相手の攻撃を見てわざと食らい、そのカウンターで選択UCを発動させて攻撃力を重視した『怪力』合わせの掴み掛かりで逃がしません。
あ、シエラはデットマンの人達と違って死んだまま動いてるので、あなたの得意分野は効きづらいと思いますよ? まぁ…恥ずかしいとはおもうけど戦闘中だし…
あとは…良い苗床になるって言ってましたっけ…?
※アドリブ・連携等歓迎です
アビー・ホワイトウッド
困った…あのオブリビオンは何も間違っていない。立場が違えば仲良くなれたかもしれない…残念。
他の猟兵がダメージを与えてくれているはず…一気に制圧しよう。サクッといく。
UC発動、徒手格闘で挑む。傷つけずに生捕りにする。
くっ…こいつ、何とは言わないけどすごく大きい。羨ましい。手加減しないと決めた。
どんな攻撃をしてくるかと思えば。我慢すればどうとでもなる。組み付きから関節を極めて降参させよう。
…このままいくと腕が折れる。降参して。
降参した彼女を触手畑に放り込むのは本当に申し訳ない。恨むならこんな計画を立てた人を恨んでほしい。
合掌しておこう。
化野・花鵺
「ただの陸棲のタコにぃ、目くじら立てるおばさんがおかしいとカヤは思うぅ」
「カヤ食べたもん。タコ味で美味しかったよぅ。おばさんも食べればいいのにぃ」
狐、一応敵の説得?を試みた
「…分かった!つまりおばさんはタコと合成されたら幸せなんだねぇ。畑で男の人にお世話してもらえるからぁ」
「管狐!おばさんが陸タコと一緒に畑に生えられるよう、羽も尾も足もむしっちゃえぇ」
「管狐の召喚」使用
敵が飛べないよう浮力を司りそうな部分を全て食い散らかさせる
「大丈夫、牛チチと合成できたおばさんなら陸タコとの合成も軽い軽いぃ」
敵の攻撃は野生の勘で回避しオーラ防御で防ぐ
敵が落ちてきたら管狐にも手伝わせて畑に埋め、触手を食べさせる
秋山・軍犬
秘水「うっせーっ! やんのかこの淫魔! 触手の敵!」
さっきから聞いてれば
大地を肥やし、皆の飢えを満たす為
頑張ってるこの子達を馬鹿にして!(キャットファイト)
大体、この【初老の男性】の未来に繋がる
農作業に携わる誇りと希望に満ちた目を見て
重労働だから生気の質が落ちる?
…男を見る目がありませんねぇッ!…淫魔(笑)
何ですかやるんですか、テンタクルスマンぶつけますよ!
軍犬「…なあ、テンタクル君、女の子って怖くね?」
まあ、ユウキさんが苗床とか不穏な事言ってたけど
女の恨みは怖いし、秘水ちゃんも(触手エ〇に)厳しいから
紳士的に誠実に行動する事をお勧めするのよ?
所で、この触手 刺身でもイケるっすね、やるじゃん!
「うっせーっ! やんのかこの淫魔! 触手の敵!」
それは、煌々と太陽が照り付ける荒野でのお話。
「あぁ゛!? 当たり前でしょ!! ていうか、普通誰がそんなもんの味方になるって言うのよ!?」
正論である。
というかこの淫魔、徹頭徹尾まともな事しか言っていない。
「大地を肥やし、皆の飢えを満たす為頑張ってるこの子達を馬鹿にして! あなたにはこの子たちの良さが分からないんですか!?」
それに対して、売り言葉に買い言葉の怒声を浴びせるクティ。
本体(笑)はもはやカヤの外―花鵺ではない。念のため―である。
「困った…あのオブリビオンは何も間違っていない。立場が違えば仲良くなれたかもしれない…」
アビーがぼそりとつぶやく。
「うーん、私も触手根絶には賛成なんだけどなぁ⋯⋯」
それに静かに賛同する志乃と、なんだか微妙な顔で唸っているシエラ。
見た目はともかく用法と性能はこの世界の希望に⋯⋯なっていいんだろうか⋯⋯⋯⋯いや、少なくともここで農作業を行っている人々にとっては希望になっているはずだ。うん。
⋯⋯ダメだ。
今回ばかりはあの淫魔が正論過ぎて同意しかできない。
そんな風に猟兵たちの心を(無意識のうちに)淫魔は奪っていたのだが、ここで彼女はたった一つのミスを犯してしまう。
そう、たった一つの小さなミスを。
「あ、分かっちゃった~♪」
突如としてさも楽しそうに声を発する淫魔。
「あなた達⋯⋯可哀想ねぇ?」
⋯⋯ん? ⋯⋯達?
「どうせ、ろくに男に相手にされたことも無いんでしょう? ま、そんな貧相な体じゃあ男だって誰も振り向かない訳だわ♪」
⋯⋯猟兵たちの心に突き立てられる無慈悲な刃。
淫魔はそのはち切れんばかりに豊満に育った肉体をこれでもかと強調するポーズを取っている。
対する猟兵たちを見てみよう。
⋯⋯まぁ、何がとは言わないがこの淫魔と比べるにはなかなかに酷である。
ギリギリ花鵺くらいであろうか。
何がとは言わないが。
「あぁ、ごめんなさい。あなたたちの大切な彼を変なの扱いしちゃったわ! どうぞどうぞ、もう私は何も言わないから、精々その蠢く彼氏と楽しんでくださいな♪」
そう言って飛び立とうとする淫魔を、恐ろしく低い声が呼び止める。
「⋯⋯今⋯⋯なんて言った?」
志乃だった。
顔を伏せているためにその表情は分からないが、少なくとも怒っているのは確かだろう。
というより、特に気にしていなさそうな花鵺を除く全員がフルフルと怒りに身を震わせている。
―これはまずい―
軍犬はそう思った。
もしこの場に留まれば、確実に巻き込まれるであろう。
そそくさと退避を開始する。
そして、触手にこう語りかけるのだ。
「⋯⋯なあ、テンタクル君、女の子って怖くね?」
そりゃそうだろう。
女の子とは一度怒らせるとどうにもならない程に怖いのだ。
「あら、もう一回言わなきゃわかんないわけ? あんたらみたいにぺったんこな貧乳共にはそこの触手がお似合いだって言ってんのよ!!」
あーあ。言っちゃった。
この時の女性陣の様子を軍犬は後にこう表現している。
⋯⋯正に、粉塵塗れの炭鉱に火が投げ入れられたかのようであったと。
「グリモア猟兵の方が⋯⋯良い苗床になるって言ってましたっけ⋯⋯?」
シエラが小さく呟く。
「ええ⋯⋯言ってたわ」
同意する志乃。
「⋯⋯触手畑に彼女を放り込むのは本当に申し訳ない。恨むならこんな計画を立てた人を恨んでほしい⋯⋯或いは、その無駄に大きな脂肪の塊と口を」
そして、アビーが思い切り散弾銃の遊底を引く。
きっと、クティだけを相手取っていれば、このまま放っておかれる可能性もあったかもしれない。
「本当に、身体が貧相な娘は可哀想ねぇ。いや、本当に。私のこの"無駄な"脂肪を分けてあげたいくらい♪」
そのたわわなワガママボディをたゆんたゆんと擬音が聞こえて来そうなくらいに"わざと"揺らしながら、淫魔は「本当に、飛んだりするのに邪魔なのよね~」等とほざく。
その姿に、畑にいた若い衆はチラチラと視線を送っていた。
仕方のない事ではある。
日々の重労働の中で、男も女も等しく泥だらけ。
もちろん色気など微塵もなく"そんな行為"に及んでいる余裕もない。
かといって、欲はある。
彼女の扇情的かつ放漫な肢体は、溜まりに溜まった男衆の目にはさぞ毒であろう。
「ねぇ、お兄さん達?」
そんな中、淫魔は男衆に媚びた視線を送る。
「もし、一晩好きにして良いよって言ったら、私とそこの連中の誰かだったらどっちが良い⋯⋯?」
ごくりと生唾を飲み込む音。
頭では分かっている。
だが、本能がそれに抗えるかと言うと⋯⋯
「⋯⋯少し、黙ろうか⋯⋯⋯⋯?」
男衆が口を開こうとした瞬間、殺意という表現すら生ぬるい声と共に、淫魔に黒い影が迫る。
黒い影は手に持つスコップを振りかぶり、思い切りそれをたたきつけた。
「みんな~、美味しい物食べさせてあげるからちょっと離れるっすよ~?」
全てを悟った軍犬は後に語る。
あれらは、間違っても女の子が見せてはいけない顔であったと。
全身から滲む殺意のオーラは近づく物全てを灰塵と化し、千の憎しみに囚われた地獄の悪鬼すら頭を垂れて許しを乞うただろう。
あの時の自分にはただ無関係の人々を避難させるより、他に手はなかったと。
スコップを振りかぶり、淫魔に襲いかかったのは、シエラだった。
無言。
しかしながら、その身から溢れでる漆黒の殺意が全てを物語っている。
「ちょっと、いきなり危ないじゃ⋯⋯ッ!?」
抗議の悲鳴を上げた淫魔に、アビーの銃から立て続けに銃弾が放たれる。
散弾を的確に避けて行く様は流石にオブリビオンと言った所だろうか。
「キャッ!?」
だが、不意に散弾の連射が止んだかと思うと、その身体に何か赤みを帯びた液体が浴びせられる。
びちゃびちゃと降りかかるその液体は、妙な臭いを辺りに漂わせている。
「何よこれ!?」
叩き割られた古びた樽。
そこから志乃が撒き散らすそれは、すぐに揮発して周囲に異様な臭いを放っていた。
「花鵺ちゃん⋯⋯お願い」
暗く濁った声で志乃が呟くと、それとは対照的な明るい声音で花鵺は言う。
「ほい来たっ♪」
「ちょっ、待つっす!!」
その臭いにその液体の正体を見た軍犬。
即座にオーラキッチンの効果を発動させ、巨大なボウルを召還。
全員を包み込むようにそれを落とした。
「フォックスファイアッ!!」
この間、約0.3秒。
火が放たれた瞬間、猟兵や畑を含む一帯をボウルが覆い、続けて響き渡る巨大な爆発音。
ボウルが消えた時には、周囲にあるのはただ静寂のみであったという。
シエラとアビーが淫魔の気を逸らし、その間に志乃がガソリンを撒き散らす。
志乃が撒き散らしたガソリンに、花鵺が着火。
軍犬が居なければ、本当に全てが灰塵と化していた事だろう。
さすが、やる時はやる男である。
「けほっ⋯⋯」
そこに立っていたのは、服が燃えてあられもない姿に成り果てた淫魔だった。
それを、ガシりと掴むシエラの細腕。
「グッ⋯⋯ナメるな!!」
向こうから近づいて来たのなら好機である。
掴んだ腕からその生気を吸い付くしてやろうとした淫魔は、奇妙な感覚に恐怖する。
「え⋯⋯なんで⋯⋯?」
シエラから、一切の生気を感じれないのだ。
「私が生きているなんて⋯⋯誰も言ってないよね⋯⋯?」
死した肉体を、機械が無理矢理動かしている身体。
それがこのシエラという少女だった。
ギリギリと淫魔を掴む腕に力が籠る。
「痛ッ⋯⋯」
そして、ナイフ片手にゆっくりとした足取りでアビーが歩み寄る。
「末端からバラして畑に撒こう⋯⋯その方が役に立つ」
その瞳は真っ直ぐ淫魔を見つめていた。
そのアビーの姿勢は、淫魔にそれが冗談や脅しではないという事を痛感させる。
「ま⋯⋯待って!! ねぇ!?」
志乃は、ただただ笑いながらブツブツと般若心経を唱えている。
「色即是空、空即是色」
(この世のあらゆるモノや現象は空である)
「夢幻泡影」
(人生や世の中の物事は空で、非常に儚い)
「一切皆苦」
(人生全て苦しみである)
⋯⋯他の者とは一線を画する不気味さである。
これではどちらが悪なのか分かった物ではない。
「みんな、ちょっと待ってよぉ」
そんな中、一人声を上げる者が一人。
「ただの陸棲のタコにぃ、目くじら立てるおばさんがおかしいとカヤは思うけどぉ⋯⋯殺すのは良くないんじゃないかなぁ?」
花鵺だった。
おばさんと呼ばれたことには若干腹立たしい気持ちも生まれたのだが、この際生き残れるならなんだっていい。
「お⋯⋯お願いします! 何でもするから命だけは!!」
お。
また言ってしまった。
無駄に一言多い淫魔である。
「今、何でもするって⋯⋯?」
終始にやにやとしていた志乃がふらりと近づいてくる。
⋯⋯怖い。
「あ、そうだぁ♪」
何かを閃いたとばかりにポンと手を打ち、続けてとんでもないことを平然と言った。
「おばさんはタコと合成されたら幸せだよねぇ。だって、畑で男の人にお世話してもらえるからぁ♪」
⋯⋯鬼か。
いや、狐だ。
「え⋯⋯何言って⋯⋯⋯⋯」
これには淫魔も理解が追い付かない様子。
そりゃそうである。
肩を押さえながら、シエラが優しそうな声音で聞く。
「何でもするって⋯⋯言ったよね?」
もはやこれまでか。
だが⋯⋯⋯⋯。
「嫌!! 離して!! イヤァァァ!?」
泣こうが喚こうが、シエラの手は緩まない。
「管狐!おばさんが陸タコと一緒に畑に生えられるよう、羽も尾も足もむしっちゃえぇ♪」
⋯⋯この狐、涼しい顔して言っている事が鬼畜である。
「大丈夫、牛チチと合成できたおばさんなら陸タコとの合成も軽い軽いぃ♪」
そういう問題ではない。
「ちょっと待ったぁ!!」
そこに口を挟むのはクティである。
「流石にそんなことをされれば死んでしまうでしょう。それでは触手たちのイメージが悪くなってしまいます!!」
ほっと胸を撫で下ろす。
良かった。
まだ良心が残っている奴が居た。
「⋯⋯いずれにせよ、ここは当初の目的を果たすべき⋯⋯⋯⋯私たちはそういう契約でここに来たはず」
アビーはそっと呟いた。
「じゃあ、とりあえず翼だけは切っておきましょうか」
志乃がそう言った瞬間、管狐たちが群がりその自慢の翼を捥いでいく。
「ひぎぃッ!?」
あれ、どっちが悪役だったっけ?
「これで空は飛べないね?」
シエラが優しそうに呟いて、笑みを浮かべる。
その笑みを睨みつけ、淫魔は小さくつぶやいた。
「⋯⋯どうするつもり⋯⋯⋯⋯なのよ⋯⋯⋯⋯?」
それを聞いたシエラは、まるで覚えの悪い子供に優しく教えるように呟いた。
「あれ、よ~く見てね?」
そう言うと、淫魔の首を触手たちの方へ向けた。
「へ⋯⋯あなたたち⋯⋯⋯⋯嘘でしょう?」
やっと悟ったのか。
そう言わんばかりに志乃がその耳元へ近付いて絶望の宣言をする。
「そう⋯⋯今日からあなたがママになるの」
その後、淫魔の姿を見たものは居ない。
「あ⋯⋯今日も生まれた⋯⋯私のかわいい赤ちゃん♪」
そこにいたのは、甲斐甲斐しく我が子の世話をする母親だったと、軍犬はのちに語る。
「あ、ちなみにこれは刺身でもイケるっすね」
その手に握られているのは淫魔印の朝採れ触手。
味良し、口当たり良し、栄養良しと評判である。
⋯⋯⋯⋯その製法を知る者は少ない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 日常
『アポカリプスで農業を』
|
POW : 力仕事を担当する
SPD : 丁寧な仕事を心掛ける
WIZ : 技術指導などを行う
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
全ては決した。
猟兵たちに残された仕事は、この広大な土地を開拓し、畑を作り上げる事。
触手を刻んで肥料にしたり、働く人々に料理を配ってもいい。
やることは山ほどあるのだ。
出来る事だって山ほどあるのである。
今日も、日差しが爛々と輝いていた。
鈴木・志乃
鈴木です。
貧乳貧乳言われて大分精神にガタが来ています。
私一応、ただの光球なんだけどなァ。貧相とか誰も振り向かないとか……。肉体への願望は捨てたつもりだったんだけどなァ。恋人が胸が大きい方が好きなんだよなぁ。あー生きてるの辛くなって来た。
で、ユウキさん。コイツラ切り刻んでよろしいでしょうか?
UC発動。包丁使うよりこっちの方が慣れてますんで……。
念動力でトランプ動かしてこう、すぱぱぱーっと、寸断して行きます。食べられるとかどうとか、知ったこっちゃないです。もう涙も出ないほど精神が病み始めてますんで。心経で抑えるレベル超えた。
料理補助でも肥料作成でも何でもやりますよ。
何かしてないと腐りそうだ。
拝啓
ヘンペル・トリックボックス様
鈴木です。
暑い日が続きますね。
私は今日、農家の方をお手伝いするお仕事に来ています。
ですが、少し心が落ち着きません。
……いや、少々問題が起きまして、いつも通り戦う事になったのですが…………
えぇ……心にとても深い傷を負ってしまったのです。
身体的特徴を散々コケにされた挙げ句、正直やりたくもないおぞましい植物のお世話をしています。
やりたくないのならやらずに帰れば良いのかもしれません。
ですが、今はたとえこんな事でもやっていないと、擦りきれた精神が持ちそうに無いのです。
……あなたは、大きな胸が好きだと行っていましたね?
はい。
その事です。
散々貧乳だまな板だ絶壁だとオブリビオンに罵倒され、私の心は深い悲しみに包まれています。
やっぱり男はみんなおっぱいが大きい方が良いのでしょうか?
私のおっぱいはダメですか?
膨らんでないと興奮しませんか?
……自身の容姿など、捨てたつもりでした。
……生きるのが辛いです。
私は、今日のお仕事で畑に撒く肥料を作りました。
なんでも、このおぞましい植物を刻んで畑に撒くと、良い肥料になるとの事。
グリモア猟兵のユウキさんが心配そうに話しかけて来てくれましたが、そもそもこの男がこんなもん植えようとしたのが事の発端ですし、一瞬刻む肥料と一緒にバラバラにしてやろうかとも思ったのですが倫理的にマズイのでやめました。
……帰ったら褒めて下さい。
目の前で蠢く肥料の元を切り刻んで、それを撒いていきます。
刻む時に悲鳴のような音がしますが、気のせいですよね?
ふわりと浮かぶ肉片が地面に撒かれ、それをみんなが土と混ぜていきます。
農家の皆さん、本当に良い笑顔です。
……私は涙も忘れてしまう程に苦しんでいるというのに。
一瞬「この場で全て焼き尽くせば私の心も晴れるかな」なんて思いましたが、倫理的にマズイのでやめました。
……帰ったらいっぱい褒めて下さい。
手伝いが終わって、少し休んでいってくれと言うので、温泉に向かいました。
湯船に浸かりながら自分の身体を見て、泣きたくなります。
でも、涙が出ないんです。
はは。
だってほら、確かに全然膨らんでないですもん。
ははは。
私はもしかしたら男なのかもしれません。
それなら、膨らんでなくてもおかしくないですもんね?
あはは。
……笑って下さい。
さて、もうしばらくしたら帰ろうと思います。
……帰ったらいっぱい慰めて下さい。
……それくらいは……甘えても良いですよね?
敬具
大成功
🔵🔵🔵
秋山・軍犬
軍犬は実は食材に関しては
ユウキさん以上に自重しない所がある
という訳で、アルダワでGETしたスライムを
品種改良という名の教育で健全にしたスライムがこちら!
※ストームが発生しない程度の持ち込み
グミみたいな見た目の家畜
水や生ごみでも育ち土壌改良にも役立ち
自身の古くなった肉を定期的に排出
皆の食卓を豊かに
力もあるので耕牛代わりにもなる健全なイカス奴
どのぐらい健全かと言うと…
スライム「俺は服を溶かすよりも、飢えに苦しむ
少女の絶望に凍てつく心を溶かす…!」
秘水「なっ! こんな健全カッコ良い台詞を息を吸う様に…
負けてられません、テンタクル君も何かカッコ良い台詞を!」
テンタクル君「エターナルフォースブリザード」
さて。
とりあえず問題は解決した。
この際一切活躍できた気がしないのは気にしないでおこう。
⋯⋯女のいざこざに男が首を突っ込むとロクなことが無い。
軍犬はそれを知っていたのだ。
「よし⋯⋯ご飯の時間っす!!」
しかしながらも漢軍犬。
食に関しては誰にも負けぬと自負がある。
まして一昼夜で食(?)に目覚めたユウキなどより美食には貪欲だ。
「そして何より⋯⋯⋯⋯自重しない!!」
ばっと取り出したるは⋯⋯
うじゅる⋯⋯⋯⋯。
スライムであった。
某国民的RPGのにやけた顔のあれではなく、色こそ涼しげな透き通ったスカイブルーなのだが、見た目は蠢く不定形の謎生物である。
説明しよう!!
触り心地や触感はのようなこれでも家畜!
水や生ごみでも育ち土壌改良にも役立ち、自身の古くなった肉を定期的に排出。
皆の食卓を豊かにするナイスガイ(性別は無い)
しかも力もあるので耕牛代わりにもなる健全なイカス奴なのだ!!
さて、どのぐらい健全かと言うと…
「俺は服を溶かすよりも、飢えに苦しむ少女の絶望に凍てつく心を溶かす…!」
⋯⋯おい、喋ったぞこいつ。
そもそも口とかねぇだろとかツッコミどころは満載なのだが、何せ今回はギャグ時空である。
スライムが喋る事だってあるさ。
「なっ⋯⋯⋯⋯」
それを見て憎々しげな声を上げたのはクティである。
「こんな健全カッコ良い台詞を息を吸う様に⋯⋯」
確かにセリフはかっこいいが、見た目はただのスライムである。
「負けてられません、テンタクル君も何かカッコ良い台詞を!」
無理である。
そもそも喋れるように作られてもいなければ、口にあたる開口部も⋯⋯⋯⋯
「エターナルフォースブリザード」
⋯⋯⋯
⋯⋯
⋯
喋ったね。
「⋯⋯凍てつく波動かな?」
暑いはずの荒野に、寒々しい風が吹いていた。
「⋯⋯⋯⋯エターナルフォースブリザード」
うるせぇ。
大成功
🔵🔵🔵
シエラ・バディス
……なんか色々あったなぁ。
触手を刻んで肥料を作っていく。
そうして作った肥料を持ち歩きながらスコップで畑の予定地を掘りながら肥料を混ぜていきます。
…貧相だなんだと言われてカッとなって暴れちゃったけど、そもそもこれ以上成長しないんだから諦めるしかないんだよね…
本当は鍬とかの方が良いんだろうけど……私の持ってるのはスコップだから…
畑予定の所を柔らかくしたらここの人達が作業する時に楽になるだろうから、後の事は任せちゃおう。
とにかく時間の許す限り、畑作業を手伝っていこう。
アビー・ホワイトウッド
あのオブリビオン…まともなことを言ってるから話の分かる相手かと思えば、とんだファッ○ンビッ○だった。残念。
怒り心頭。でも依頼はちゃんとやり切る。
待機させていた歩行戦車ラングレーを操縦して廃材のフェンスでも曳かせれば耕運機の代わりにくらいはなりそう。荒地を耕していこう。パワーは正義。
しかし見渡すばかりの触手畑。ほんとにここまでする意味が?
疑問に思ったなら事の元凶を問い詰めよう。
ユウキ、再度問う。この有様は本気?あのオブリビオンを完全に骸の海に還さなくてよかった?
それにこの触手畑の規模、危険がないとは思えない…。
でも安心してほしい。いざとなれば全部焼き払う。楽しみ。
なんだかんだ目的は達成された。
だというにもかかわらず、心にぽっかりと開いたこの穴はなんだ。
得も言われぬ喪失感の如きこの感情は。
「……なんか色々あったなぁ」
手際よく触手をバラし、ぱたぱたと手慣れた手つきでシエラはそれを刻んでいく。
最初こそ戸惑ったことは認めるが“これはそういう生物だ”と無理やり納得してしまえば気にすることも無い。
要は気の持ちようである。
細かく刻んだ肥料とスコップを携えて、シエラは畑の開拓を始めた。
本当は鍬の方がやりやすいのだろうが手持ちの得物がこのスコップしかないのならば仕方がない。
「⋯⋯⋯⋯はぁ」
暫くスコップで掘り返しては肥料と混ぜる作業をしていたのだが、疲れたのか
少し手を休めて地べたへと座り込むとぺたぺたと自身の胸部に手を当てる。
無⋯⋯とまではいかないが、本当にささやかなふくらみだった。
いや、まぁ仕方がない事ではある。
貧相だなんだと言われてついカッとなってしまったものの、無いものは無いのだ。
ましてやこれ以上成長しないんだから、悩むだけ無駄というものである。
「だからって、あんなふうに言われたら⋯⋯⋯⋯」
彼女だって年頃の少女である。
怒るなという方が無理な話だ。
ごとごとごとごと⋯⋯⋯⋯
ゆっくりと休んでいると、何か大きなものが目の前を静かに横切った。
それは、アビーの歩行戦車【ラングレー】だった。
ちょこんと小さく足を畳んでゆっくりと大地を走っている。
廃材か何かを組んで引きずり回すその様は耕運機のようである。
それが戦車であると言う事を忘れてしまうほどに牧歌的な雰囲気がそこには漂っていた。
「お~い!」
ふと声がして見上げると、そこにはグリモア猟兵のユウキの姿があった。
ちょこんとラングレーの角に座り、恐らくは肥料を撒いていたのだろう。
そのままラングレーの車体を軽く叩いて、肥料が切れたから飯にしようと提案する。
そして、そこにシエラも同伴する事になった。
むっすー⋯⋯⋯⋯
さて、アビーはというと未だに少し気にしているらしい。
表情が乏しいのでぱっと見ではわからないだろうが、言葉や行動の節々から妙にむすくれた感じが見て取れる。
「はっはっは。いつまでむすくれてるんだお前は」
そう笑いながらユウキが持ってきたのは缶詰と水。
おそらくは個人の品だろうそれを二人に振る舞い始めた。
「あのオブリビオン…まともなことを言ってるから話の分かる相手かと思えば、とんだファッ○ンビッ○だった」
とても残念だと続けるアビー。
まぁ、途中までは⋯⋯⋯⋯というか、あの触手に関しては一貫して常識的な反応を示していたことは確かである。
それはシエラも認めている。
というか、やはり所々口が悪い少女である。
「⋯⋯こらこら。まぁ、元々ああいう手合いはそんなもんだ、諦めろ」
それを小さくたしなめると、ユウキも席に着く。
しパカリと缶詰を開けると、手を合わせていただきますと口にしてから食事に付き始めた。
「それで、あの有様は本気?」
唐突にユウキにアビーは問うた。
しばらく考え込んだユウキであったが、アビーがちらりと見た触手畑の方を見て合点がいったらしい。
静かにうなずくと一度食器を置いて説明を開始した。
「本気⋯⋯だが、もちろん無計画じゃないのは理解してもらいたいね」
そう言って煙草に火をつけたユウキにさらに質問を続けるアビー。
「まずはあのオブリビオンの処遇について。なぜ殺させなかった? それと、あのし植物の安全性について保証が欲しい」
たしかにそうだ。
食料になるオブリビオンを倒して喰らう話はよく聞くが、生け捕りというのはあまり聞かない。
「まず一つ。処遇については見せしめだ。少なくともここに襲撃を仕掛けるにはリスクに対してリターンが釣り合わないと知らしめる必要がある。もちろん、オブリビオンだけではなく人間に対してもだ」
だからわざわざ人型の敵が襲撃してくるのを見計らって依頼を出したのだと悪びれも無くユウキは言った。
「考えてもみろ、だれが好き好んで女を襲う化け物を栽培しているような集落を攻撃しようと思うんだ?」
それに関しては一理ある。
詳細を公表しなければ、男とて襲われると思うのが普通だろう。
「それならば通常の兵器を大量に配備すれば済むのでは?」
シエラも続けて質問する。
勿論オブリビオンストームは考慮しなければならないものの、それこそ猟兵が解決できる問題ではある。
「変な意味ではないが、ただの兵器ではあまりに普通過ぎるんだ。あの見てくれからしておぞましい未知の植物群は、心理的にも効果的といえる⋯⋯また、例えば銃を配備すれば弾が必要になってくる。定期的に十分な補給を行うというのも難しい話だろう。その点、水と大地の栄養だけでそれなりに効果的な防衛になるあれらは実にコストパフォーマンスが高い」
「安全性については?」
それについても織り込み済みだと話す。
「まず第一に、あれが敵意を示すのはオブリビオンに対してだけだ。また、オブリビオンが苗床になると言ったようにあれらは単体では数を増やせない。種の保存のため人間を襲う可能性については、そうなればむしろ彼らは絶滅するだろう。人間の塩基配列に対して彼等は対応していない。つまり、子孫を残せないんだ。彼等は所詮植物でしかない。自身にとって利益が無いと本能的に理解していることは間違っても行わないし、むしろ人間が手を加えて種を残せるのならばそうなるように進化していく」
ほかに何かあるかとユウキは聞いた。
しばらくアビーは何かを考えていたようだが、それでもやはりあの植物に納得はいかないらしい。
「最悪の場合は?」
相手が生物である以上、完全に進化を制御することは不可能だろう。
最悪の場合のフェイルセーフが欲しいところだ。
「好きにしろ。そもそもオブリビオンだからと言って全てで種を残せるわけでもないし、結果的に数年で絶滅する可能性も大いにある」
好きにしろ。
そう言われたアビーがほほ笑むのが見えた。
「⋯⋯わかった。いざとなれば全部焼き払う⋯⋯⋯⋯楽しみ」
その顔を見て、なんだか適当な理由をつけて今にでも焼き払うんじゃないかという気がしたが、シエラは黙っていた。
⋯⋯シエラも少しそうしたいからである。
大成功
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化野・花鵺
「陸タコが陸タコなのは生まれつきだからしょうがないと思うぅ。でもグリモアさんに期待されちゃったしぃ、もう少しどうにかしたいかなぁ」
薄く削いで日干しタコにしたり
上新粉・唐辛子・大蒜・煮干し粉で作ったキムチの素に細切れタコを漬け込んだり
薄く削ぎ切りにしたタコを昆布出汁入れて米と一緒に炊いたり
茹でて酢だこにしたり
「調味料があればいくらでも美味しい料理は作れるけどぉ、アポヘルはそこから無さそうだもんねぇ。そうすると最後は嵩増しとか焼くだけになりそうだよねぇ」
「グリモアさーん、食べたら幸運になる食べ物で売り出してぇ、食べない人は管狐で不幸をプレゼントってどぉかなぁ」
狐、大変ダメなマーケティング提案行った
一方その頃。
「むむむむむ……」
農作業の手伝いが始まってからというもの、延々と触手とにらめっこを続けながら、花鵺は時折今のような唸り声をあげるという謎の行動を繰り返していた。
「陸タコが陸タコなのは生まれつきだからしょうがないと思うぅ。でもグリモアさんに期待されちゃったしぃ、もう少しどうにかしたいかなぁ……?」
どうやら、食し方に何かバリエーションがあっても良いのでは無いかと悩んでいる様子である。
というか、別に陸タコとか言う名称では無いのだが、既に花鵺にとってはこの植物はタコの近縁種という事になっているらしい。
まぁ、確かに見ようによっては吸盤の無いタコの足には見えないこともないか。
薄く削いで日干しにしたり、上新粉・唐辛子・大蒜・煮干し粉で作ったキムチの素に細切れタコを漬け込んだり、薄く削ぎ切りにしたタコを昆布出汁入れて米と一緒に炊いたり、茹でて酢だこにしたり。
だが調理方法数あれど、たったひとつが足りない。
……それは。
「調味料が無いぃ!!」
これに尽きる。
根本的に各種調味料を手に入れようにも荒廃したこの世界ではえてして貴重品である。
しかしおキツネ様、ここに来て妙案を思い付く。
そして、なんやかんやで見つけたユウキにてててと駆け寄るおキツネ様。
「ユウキさぁ~んッ!!」
散々酷い目に逢わされているので一瞬警戒したユウキだったが、おキツネ様のありがたい言葉を聞いて頬を緩めた。
「ユウキさーん、食べたら幸運になる食べ物で売り出してぇ、食べない人は管狐で不幸をプレゼントってどぉかなぁ♪」
尻尾をぱたぱた、まるで飼い主に褒められるのを待つ犬が如く。
呼び出された管狐はなんのこっちゃと興味津々。
ガツンッ!!
「ぎゃふんッ!?」
飛んできた拳骨の痛みに頭を抱える花鵺はグリモアベースへのゲートに引っ張られていった。
「あぁ~! ぶったぁ!! 私は天狐の血筋なのにぃ!! 偉いのにぃ!!」
「やかましいッ!!」
怒られたのは言うまでもない。
こうして農地は守られた。
だが、いつか誰かがこの触手畑を「汚物は消毒だぁ~!!」と言いながら焼き払いに来るかも知れない……し、来ないかもしれない。
未来とは分からぬ物である。
この触手達が、未来を紡ぐ。
それだって、膨大な未来の可能性のひとつなのだ。
大成功
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