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残響は狂気と共に

#UDCアース

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#UDCアース


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「はあ、はぁ……」
 暗闇の中を、少女が走っていく。生まれて初めて、家を無断で抜け出して夜遊びに出た。見知ったはずの見慣れぬ光景に、心が踊った。十余年真面目ないい子で生きてきたからこその、好奇心が彼女を普段立ち入らない歓楽街の裏路地へと踏み入らせた。
 それが、間違いだった。知らない場所、知らない道、そして――知らないモノ。少女は、息を乱しながら振り返る。街灯だけが照らす路地、その永遠の彼方に続いてそうな暗闇から、ソレは姿を現した。
「ヒ、イ……!?」
 ずるり……と暗闇から姿を現したのは、無数の触手の群れだ。あんなもの、知らない。学校では習わない。テレビでも、新聞でも、大人も教えてくれない……いてはいけないモノが、暗闇を這いながら少女へと襲いかかってきたのだ。
「が、は、あ!?」
 足首が、急に動かなくなる。想像したくない、理解したくない。それが触手に絡め取られたなどと――少女は、ただ言葉にならない悲鳴で助けを求めた。

 ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい! もう夜遊びなんてしない、ワガママなんて言わないから! 父さんや母さんの言うことだってちゃんと聞くから! だから、だから、だから――!

 たった一度の過ちに、償いの機会は与えられなかった……。

「……痛ましい事じゃ、まったく」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)は、少女の死を悼むように、黙祷した。
 祈ることしばし、目を開いたガングランは口を開いた。
「UDCアースのとある街に、どうやらオブリビオンが潜んでおるようでな。おぬしらには、その対処を頼みたい」
 その街では、路地裏に石像がよく見つかるようになったのだという。像の服装はボロボロで謎の粘液がところどころ付着しており、必ず手足や体の一部が欠損している。さらに、その石像は最近増えてきた行方不明者とそっくりらしい。間違いなく、オブリビオンの仕業だろう。
「まずは、この街のどこにオブビリオンが潜んでいるのか? それを見つけ出す必要があるじゃろう。その目印に、この石像……石にされた人達が、役立つじゃろう」
 ことさら感情を殺した声でガングランは語ると、猟兵達を見やって言った。
「これ以上、被害を出させる訳にはいかん。オブリビオンの居場所を見つけ出し、始末してくれ」


波多野志郎
コズミックホラー、大好きです。どうも、波多野志郎にございます。
今回はUDCアースの歓楽街へと潜む、オブリビオンに挑んでいただきます。。

まずは、歓楽街の裏路地に見つかるようになった石像を見つけ、手がかりを見つけ出しましょう。そうすれば、向こうから動きがあるでしょう――もちろん、ホラーの定番囮役も歓迎です。



それでは、繁華街に潜むオブリビオンを存分に堪能くださいませ。
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第1章 冒険 『路地裏に増える石像?』

POW   :    石像を調べる

SPD   :    近隣に聞き込みをする

WIZ   :    囮になる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

我は、搦め手は好まぬのでな…姿を見せずにうろつかれるのは、我慢がならぬ。
暗闇から引き摺り出し、良い声で啼かせてやろうではないか。
ああ、楽しみだ。

我は、囮として立ち回ろう。
犠牲者の石像は、裏路地に多いという話だったな…であれば、そういった場所を巡るのが良いだろう。
我だけ佇んでいても効果はあまり無い、黒の血玉より使い魔の蝙蝠を解き放ち偵察に向かわせる。
これで、より現場となりそうな、人目に付かぬ場所を探したい。
念を押す為、UC:ヴィーダーゲンガーの使用も視野に入れておく。
162にも及ぶ腕の群れだが、幸い極めて発見され辛いのでな…使い魔と併せれば、より広範囲を詳細に偵察出来るかもしれぬ。


麻生・大地
現場百回といいますしね。まずは犯行現場近隣を徹底的に調べてみましょうか

【情報収集】

まずは、石像が見つかったあたりの上面図を【多目的ドローン】の空撮
映像から作成します

次に、件の石像の発見報告のあった場所を上面図にマーキング
マーキングは、(石像から推測できる)年齢、性別等で大まかに区分けしておきます

そして最後に、マーキングの分布の傾向をチェックします
繁華街といっても様々な場所がありますからね
飲食店、カラオケ店、映画館、ゲームセンターetc…

特定の場所に出入りする人間を狙っている可能性もありえますし、
マーキング分布の偏りから分かることもあるでしょう

以上の情報はすべて他の共闘者に共有します


テフラ・カルデラ
この一連から予想するに、石化能力があるのは確実です
しかし!石化は良いですが欠損はいただけませんですぅ!

…と、犠牲者を調べつつ、もちろん囮として路地裏を歩き回ります
しかし、様々な犠牲者がいますね…こんな小さな子供や女の子まで…

(発見・襲われた場合)
そんなこんなで囮役として路地裏を歩き回っていると…野性の勘が囁いている…?
背後を振り向いたら…まさかオブリビオン!?
逃げようとするも素早く捕まってしまい…身体が石に!?
このままだと完全に石化したらぽっきり折られちゃうやつ…石化は良いにしても折られちゃうのは勘弁ですよ!?
完全に石化する前に大声で助けを呼びます
こ…これで誰来るはず…ま…間に合って…くださ…


アルエット・ブラン
アドリブ・絡み歓迎です
【wiz】囮希望ですが、囮が多ければ別のでもOKです

「無防備に、いればいいよね…」
ん、囮になって…触手を見つければ…いいんだよね?
囮…狙われてるの、私位の子だから…丁度良い、よね…
服は…学生の服がいい…かな?

「ん…だ、め…」
もし見つかったら…出来る限り、抵抗しないで…触手が何処から来たか…
我慢して、考えるね…あと、時間稼ぎ…しないと、だから…

「絶対に、許さない…から…」
原因の触手が見つかれば、いいなぁ…
できれば捕まえたい、けど…武器なしだと…難しい…かな…
でも、やるだけ…やるね…頑張る…


三寸釘・スズロク
【WIZ】

やるせねえなあ……何の罪もないコが犠牲になるってのは。
引き摺り出してやろうじゃねーの。

繁華街の路地裏か…最近は防犯カメラも増えてきてるケド。
一応ちょっと周辺のカメラの情報抜き取れねーか、
『不可視の黒猫』展開してハック試してみるかね。
けど、この手のモノって肝心なトコだけ何故か映ってないなんてことも多いよなァ。

どの道、足は動かさねーと始まらねえな。
夜の路地裏なんてウロウロしてると寧ろ俺が職質されそうなんスけど…
あと割と暗い所コワイ。怖いお兄サンとかもコワイ。
怪しいのはマンホールとか、側溝とか?
『Fanatic』いつでも抜けるようにしつつ、人気のないトコで待ってみる。
唸ってくれ俺の第六感。


榛・琴莉
WIZで判定。

なんてホラー映画…本当、映画の中だけなら良かったんですけど。

石像がある箇所を出来る範囲で確認して、その中心らへんへ向かいます。
一定の範囲にとどまっているかはわかりませんが…もし縄張りがあるなら、その中に入れば釣れるかもしれません。
【地形の利用】出来るだけ、裏路地などの細い道、人の気配がしない道を選んで行きます。
先手を取られて負傷なんて勘弁願いたいので、周囲の警戒は怠らないよう。

手がかりを発見したら仲間に場所を連絡。
敵を見つけた場合も同様に連絡し、手は出さないで待機。
もし攻撃を仕掛けられた時は耐久を重視して応戦しつつ、仲間が来るまで【時間かせぎ】。
他で見つかったなら全力で向かう。


甘夏・寧子
【SPD近隣に聞き込みをする】

物騒できな臭い事件だねぇ。とりあえず、その歓楽街事態に異変がないか調べる必要もありそうだよ。
歓楽街なんだから店の一つぐらいあるだろうし、そこの従業員にでも話を聞きたいね。
真相は分からなくても噂ぐらいは広まってると思うしねぇ。それとも……関係者だったなんてオチ……は、あるわけないか。はっはっはっ!
……ま、気を付けて聞き込みをしていくことにしよう。焦りは勿論、油断も禁物さね。


水野・花
裏路地に行って被害者の石像を調べましょう。
発見された石像は必ずどこか欠損しているんでしたね。
まず欠損した手や足が近くで発見できないか調べます。近くで発見できないなら何らかの目的があって持ち去った可能性があります。その痕跡をたどってオブリビオンにたどりつけるかも。

欠損の仕方も調べておきましょう。叩き壊されているのか、きれいに切られているのか、オブリビオンの攻撃方法から生態を推測できるかもしれません。

粘液も調べます。触ったり舐めたりして調べましょう。匂いなどに特徴があればそれをたどってオブリビオンを発見できる可能性があります。……この粘液が石化の原因だったら怖いけど、恐れていては前にすすめません!


雨宮・いつき
闇に紛れ人に仇なす物の怪…捨て置くわけにはいきません

危険は大きいですが、僕自身が囮になって敵を誘き出すため、
石像が見つかったという路地裏へ夜遅くに赴きます
無力な子供のフリをして【誘惑】すれば、より効果的、でしょうか?
他に囮をする猟兵の方がいても、一人の方が敵も誘いに乗りやすいでしょうし、あえて単独で行動を
少しでも危険を軽減するため【御狐戦隊】であらかじめ管狐達を召喚しておき、物陰に潜ませておきます
敵が現れて僕が合図したら、敵に襲い掛かって捕まえる役と大きな音を立てて他の猟兵達に敵襲を知らせる役に分かれて行動させます
加えて、【金行・封魔鉄鎖】により敵を捕縛、正体を突き止めます



●情報の対価
 街には、人が住む。当然だ、人の集まる場所が街と呼ばれるのだから。だからこそ、そこにはいくつもの情報が溢れている。人の口に戸は立てられない、それはどこの世界でも同じだ。
「歓楽街でおかしな事がないかって?」
「うん、そう。人がいなくなったりとか、正体不明の影とかさね」
 甘夏・寧子(錦鈴の女・f01173)の問いに、バーのマスターは苦笑する。夜のバーで、暇潰しにする話としては奇妙と思ったのだろう。
 しかし、この職が長いのだろう初老のマスターはグラスを磨きながら思考を巡らせた。
「……この辺りは、再開発が計画されてたんですよ」
「ふうん、過去形だね」
「ええ、再開発を計画していた企業が傾きましたね。結局、ぽしゃったんですよ」
 しかし、一年程度行われていた再開発計画は、住人に少なからず影響を与えていた。土地と建物を売って、出ていった者もいたのだという。
「なんで、無人の建物っていうもの残ってましてね。しかも、住人だってその全部を把握しちゃいない。噂じゃあ、密かに住み着いた連中もいるんじゃないかって言われてる。そういう連中ってのは――」
「あんまり、お行儀が良くないって?」
「はい、よくある話でしょう? そんな連中なら人を攫ってもおかしくありません……正体不明の影は、わかりかねますが」
 マスターは、そう肩をすくめる。確かに、人が集まる場所なら、どこにでもありそうな話だ。寧子も、そう納得した。
「――で、お客さん。ご注文は?」
「ああ、そうさね」
 マスターの問いに、寧子は改めてメニューに目を通す。今の情報に見合う対価としてふさわしい、1杯を注文した。

●街を調べるのならば――
「現場百回といいますしね。まずは犯行現場近隣を徹底的に調べてみましょうか」
 麻生・大地(スチームハート・f05083)は、一枚の地図を広げた。繁華街の地図には、事細やかな情報が一つ一つ書き込まれている。件の石像の発見報告の場所に、そこにあった石像から推測できる年齢、性別等で大まかに区分けがなされている。
 その情報から、大地がまず目についた項目は性別、そして推定の年齢だ。
「石像の全部が、十代の女性ですか」
「はい、後石像の欠損ですが……」
 横から地図を覗き込んだのは、水野・花(妖狐の戦巫女・f08135)だ。その指が、印の一つ一つを示していく。
「手や足、それが一本ずつというのがほとんどでした」
「……やるせねえなあ……何の罪もないコが犠牲になるってのは」
 そう、三寸釘・スズロク(ギミック・f03285)が言い捨てる。『不可視の黒猫』展開しながら、スズロクはもう一度地図を確認してから言う。
「繁華街の路地裏か…最近は防犯カメラも増えてきてるケド。一応ちょっと周辺のカメラの情報抜き取れねーか」
「お願いします」
 作業を開始するスズロクに、大地が頼む。大地達が集めた地図上の情報は、あくまで現在のものだ。その情報から、過去に遡る――スズロクがやろうとしているのは、そういう作業だ。
「けど、この手のモノって肝心なトコだけ何故か映ってないなんてことも多いよなァ……ん?」
 不意に、スズロクの手が止まる。ウインドウ画面に映った、ほんの一瞬の映像――それに、花が声を上げた。
「これ、石像が置かれた瞬間、ですよね?」
 そう、暗闇から音もなく現れた石像が道に置かれた瞬間だった。しかし、濃い闇を監視カメラは映しきれていない。
「解像度を上げられますか?」
「おお、今やってる……よし、出た!」
 ジジジ、と何度か画面が歪み、石像の後ろに細い蛇のようなモノが現れる。間違いない、これが繁華街に潜むオブリビオンだ。
 それを確認すると、大地が地図に丸をした。石像の置かれた範囲で、探索場所を絞ったのだ。
「この周辺を基本に、探してみましょう」
「皆さんにも伝えてきますね」
 そう言って、花は小走りで去っていく。その背中を見送り、スズロクはため息混じりに呟いた。
「どの道、足は動かさねーと始まらねえな」

●魔の潜む街
 繁華街は夜になると、昼間とは表情を変える。暗闇により死角は増え、住人の顔触れも入れ替わる――ここからが、魔の時間という事なのだろう。榛・琴莉(ブライニクル・f01205)は、呟く。
「なんてホラー映画……本当、映画の中だけなら良かったんですけど」
 人の賑わいが、遠い。裏路地を選んで歩いているからだ。
(「一定の範囲にとどまっているかはわかりませんが…もし縄張りがあるなら、その中に入れば釣れるかもしれません」)
 不意打ちを受けては堪らない――周囲の警戒は怠らないよう、琴莉は慎重に歩みを進めた。

「無防備に、いればいいよね……」
 ボソリ、とアルエット・ブラン(ゆりかごの月・f03968)がこぼす。囮になって触手を見つければいい――そう考えたからこそ、アルエットは敢えて学生服姿で裏路地を探索していた、のだが。

「――そこのキミ」

 自分に声をかけられたのだろうか、アルエットはその声に振り返る。そこにいたのは、夜間に見回っていた警察官だった。
「今、何時だと思ってるんだい? その格好、学生だろう?」
「…………」
「……黙っていてはわからんだろう?」
 見上げ、無言のままのアルエットに、警察官は困ったように頭を掻く。
「最近、このあたりで行方不明になる女の子が多くてね。それで、警戒してるんだが――」
 警察官の言葉は、半分は聞き流していた。だって、それよりも、重要な事があったから。

(「……だめ……」)

 警察官の後ろ、暗闇に蠢く『何か』の気配を感じ取っていたのだ。しかし、警察官は気付かない。
 しかし、『何か』が不意に激しく蠢いた。アルエットの見た、警察官を背後から貫こうとした触手に襲いかかる、管狐の姿を。
 管狐に襲われ、触手が路地の奥へと逃げていく。それをアルエットも、すかさず追いかけた。
「ちょっと、一緒に……こら、どこに行く!?」
「……ごめん、なさい……」
 触手を逃がす訳にはいかない、アルエットの全力疾走に警察官は追いつかない。不意に、アルエットの横に並ぶ人影があった――雨宮・いつき(歌って踊れる御狐様・f04568)だ。
「大丈夫でしたか?」
「……私は、大丈夫……」
 いつきの気遣いに、アルエットがうなずく。いつきは、ヒョコンと肩に乗った管狐に、耳を傾けた。
「どうやら、触手は人が通れないような細い隙間に入ったそうです。そこに向かいましょう」
「……ん……」
 触手が移動した場所を掴み、アルエットといつきは揃ってそこへ向かった。

 ――ひたり。

 その気配に、テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)が振り返った。「……野性の勘が囁いている……? まさか、オブリビオン?」

 ――ひたり、ひたり。
 ――ひたり、ひたり、ひたり。

 その気配は、どんどん数が増えていく。それは、まさに蛇の群れのように地面を埋め尽くしていく。
「ひ……や、ああああああああああああああああああああああ!!」
 ぬるり、と足に巻き付いてくる感触に、テフラが悲鳴を上げる。動こうとしても、足が動かない。それどころか、重くさえある――石化しているのだ、とテフラは気付いた。
「このままだと完全に石化したらぽっきり折られちゃうやつ……石化は良いにしても折られちゃうのは勘弁ですよ!?」
 体勢を崩し、テフラが地面に転ぶ。足に、手に、胴に――触手は獲物を絡め取る蛇のように、テフラを覆い隠していく。
 意識が、朦朧とする。体の自由が奪われ、飲み込まれていく中で、必死にテフラは手を伸ばした。
(「こ……これで誰来るはず……ま……間に合って……くださ……」)

「――良い声で啼かせてやろうではないか。ああ、楽しみだ」

 次の瞬間、無数の腐り爛れた腕が触手を掴み、引きちぎっていく。ブチブチブチ……! と粘液を撒き散らしながら、触手がぶち切られ、くねるながら消滅していった。
「我は、搦め手は好まぬのでな…姿を見せずにうろつかれるのは、我慢がならぬ。暗闇から引き摺り出してやる」
 赤い瞳に愉悦の色を称え見下ろすのは、フォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)だ。分が悪い、と判断したのか? 触手は闇へと逃げていく。
「追え、逃がすな」
「大丈夫ですか?」
 フォルターの指示で触手を追っていく腕達を見送り、駆けつけた琴莉はテフラを抱き起こす。どうやら、石化したのではなくまだ麻痺しただけのようだ。これなら、しばらくすれば問題ないだろう。
「……これで隠れた場所が見つかればいいのですが」
「問題ない、見つけてみせる」
 琴莉の言葉に、フォルターは請け負う。当然だ、我が引き摺り出すと決めたのだ。ならばもう、あのオブリビオンの運命は決まったも当然なのだから……。

●そして、そこへ至る。
 花は道に残っていた粘液を見て、目の前の四階建ての雑居ビルを見上げた。
「間違いありません、ここですね」
「退去して、無人になったビルですか」
 なるほど、と大地は納得する。ここなら、あの範囲の中心に近い。この雑居ビルが拠点に、間違いなさそうだ。
「噂によると、元々お行儀の悪い連中が使ってたビルらしいよ」
 寧子が調べた情報では、このビルの地下は三階まであるらしい。雑居ビルとしては、珍しい造りらしい。

 何にせよ、オブリビオンの拠点は発見できた。ここからが、本番だ。猟兵達は、触手が潜む地下へと挑む事となった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『パープルテンタクルズ』

POW   :    押し寄せる狂気の触手
【触手群】が命中した対象に対し、高威力高命中の【太い触手による刺突】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    束縛する恍惚の触手
【身体部位に絡みつく触手】【脱力をもたらす触手】【恍惚を与える触手】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    増殖する触手の嬰児
レベル×5体の、小型の戦闘用【触手塊】を召喚し戦わせる。程々の強さを持つが、一撃で消滅する。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●触手が蠢く地下へ
 かつて、その雑居ビルにいたのは反社会的勢力であったという。だからこそ、地下は一階から下はエレベーターでは行けず、隠し扉からしか行けないようになっているという。
 地下二階は秘密の事務所であり、地下三階は決して世には出せない物が詰め込まれた倉庫になっていた。しかし、今は地下二階の事務所は、触手が繁殖するおぞましい空間となっている。

 パープルテンタクルズ、この触手が何故少女達を攫っていたのか? その理由は地下三階にある――そこに至るためには、地下二階の触手の群れを突破しなくてはならない……。
フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

…先程、我は「我慢がならぬ」と言ったな
同じ事を二度言わせるな、無様な触手風情め
理解出来る脳が無いのであれば、そのおぞましい身体に我自らが教え込んでやる

見た目通り、どの攻撃も中々に厄介だな…極力回避を狙いたいところだ
その為に、UC:トーデスシュトラーフェを主軸に据えて立ち回ろう
攻撃と回避を両立しつつ、背後より誘惑や呪詛、催眠で甚振ってやる
恐怖を与えるのも良さそうではあるが、理解出来るかは怪しいかもしれぬな
傷を負った場合は、吸血や生命力吸収で賄うとしよう

※アドリブ歓迎


麻生・大地
「こんな有象無象に足止めされるわけにはいきません。ちゃっちゃと片付けていきましょう」

【念動力】【武器受け】【盾受け】

事務所ということはそれほど広い場所ではないでしょう
大立ち回りは難しいと判断し、時間をかけずに速攻を決めます

【サイレント・グラップル】を念動力最大解放で展開

触手をまとめて引っ掴んで圧殺します
念動力の鎖を周囲に張り巡らせて、死角からの攻撃に対応できるようにしておきしょう

完全包囲される危険性を少しでも減らしたいので、
孤立しないように、常に誰かと背中合わせで戦うよう心がけます
その方がこちらも随時サポートに回れますからね

ひと段落付いたら、触手をブラスターで焼却処分しておきます


アルエット・ブラン
アドリブ、歓迎だよ…
邪心復活は、絶対ダメ…
被害者さんも、助けないと…だね…

「危なかった…」
警察官さん、も私も危なかった…でも発見できたから…良いよね…
ビル…死角があればそれを利用する、ね…《目立たない》ように…
脱出口は確保、して…一匹、一匹…狙うね
《暗殺》《だまし討ち》で…確実に…

「ヌルヌル、だめ…悪い事、ダメだよ…」
囲まれそうになったら、外套を脱いで速度…あげるね…
頑張って、触手に絡まれないようにする…


甘夏・寧子
……っ、たく。気持ち悪い相手だ。こいつが主犯格ってわけじゃなさそうだけど、放置しておくのは大分まずいねぇ。んじゃ、さっさと撃ち抜かれちまいな!

群れてるんだったらこっちも手数勝負といこうか。『クロウ』の【早業】で手堅く攻撃していこう。
障害物とかがあって身を隠せそうなら『WATARI』を使ったスナイプ戦法も悪くないね。
確実に仕留められるのと、あんまりダメージを受けなさそうな行動をしたいところだ。
勿論、味方がいるなら連携もするよ。
互いが死角を補えば万事安心ってね。


榛・琴莉
随分と凝った作りのビルですこと。
隠し事にはうってつけですけど、敵に利用されてしまうと厄介この上ないですね。
暗い場合は【暗視】活用。

「増え過ぎでしょう、これ」
敵の攻撃にタイミングを合わせ、【属性攻撃】【範囲攻撃】【全力魔法】エレメンタル・ファンタジア。
本体を狙い、小型諸共に氷の津波で飲み込んでやります。
間髪入れず【2回攻撃】で押し込み、前線を上げて行きたいところ。

何かしら障害物があれば【地形の利用】で壁にして回避、防御に使います。
回避し切れない、防ぎ切れないなら【オーラ防御】【全力魔法】で対抗。


三寸釘・スズロク
石像化のターゲットと言いその状態と言い……んで更にこれか。
今回の黒幕サンは随分イイ趣味してるじゃねーの。
ああ~踏み込みたくねえなあ……!

複雑すぎるオブジェクト、しかもこの数を電脳演算するのは俺がパンクしそうだな。
諦めてツッコむか。
カンプピストルタイプのガジェット出して【氷海に棲む蛇の牙】、
触手共に撃つぜ。

連中どんだけ増えるんだよ!
こっちは弾数が限られてるんで……なるべく多く引き寄せて、纏めて凍らす
そんなに威力はねーけど、誰かが核を砕くための【時間稼ぎ】くらいにはなるだろ。
近くの猟兵サンとは勿論助け合いの精神で。
弾がなくなったら『Fanatic』の方も使ってなんとか。



●地の底に潜む狂気
「危なかった……」
 アルエット・ブラン(ゆりかごの月・f03968)は、思い出す。危うく、警察官が犠牲になるところだったからだ。
「警察官さん、も私も危なかった……でも発見できたから……良いよね……」
 不幸中の幸いだった、だからこそアルエットは警戒して進む。件のビルの地下へと向かう階段を見て、榛・琴莉(ブライニクル・f01205)が呟いた。
「随分と凝った作りのビルですこと」
 外の見た目からは、確かに地下が何階まであるかなどわからない。加えて、備え付けの小さなエレベーターさえ、ボタンは一階までしかないのだ。これでは、知らなければ地下が三階まであるとは思わないだろう。
「……ここ」
 地下一階、その部屋の片隅にアルエットは隠し扉を発見した。
「石像化のターゲットと言いその状態と言い……んで更にこれか。今回の黒幕サンは随分イイ趣味してるじゃねーの。ああ~踏み込みたくねえなあ……!」
 三寸釘・スズロク(ギミック・f03285)は、モノレンズグラスに映った情報に顔をしかめる。隠し扉の先、階段の下にいる存在を感知できたからだ。
「複雑すぎるオブジェクト、しかもこの数を電脳演算するのは俺がパンクしそうだな。諦めてツッコむか」
 スズロクの言葉に、仲間達はうなずく。そのまま慎重に階段を下っていくと、壊れて外れた扉があり――その光景が、視界に飛び込んできた。
「……っ、たく。気持ち悪い相手だ。こいつが主犯格ってわけじゃなさそうだけど、放置しておくのは大分まずいねぇ」
 嫌悪を隠さず甘夏・寧子(錦鈴の女・f01173)が吐き捨てたのは、事務所を埋め尽くす触手の海がそこにあったからだ。どこからが一匹で、どこからが群れかなど判別できない。本来なら床のある部分を覆い尽くす触手の群れに、麻生・大地(スチームハート・f05083)も言った。
「こんな有象無象に足止めされるわけにはいきません。ちゃっちゃと片付けていきましょう」
 ――その瞬間だ、触手の群れが膨れ上がった。まさに地面からせり上がってくる壁のような、そんな異様な光景だ。うねる触手達は、そのまま雪崩のように猟兵達へと襲いかかった。
 しかし、それを許さない者がいる。フォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)だ。
「……先程、我は「我慢がならぬ」と言ったな。同じ事を二度言わせるな、無様な触手風情め。理解出来る脳が無いのであれば、そのおぞましい身体に我自らが教え込んでやる」
 ヴン! とフォルターの宣言と共に魔法陣が触手の壁の背後に浮かぶ。だが、触手に前後などない。フォルターがそこに転移するのと同時、一部の触手が迎撃した。
「垂れる頭が無ければ、その身ごと削ってくれる」
 ゾブ! とフォルターが放った鋸鎌の一撃が、触手の壁を抉り斬った。

●触手の群れに挑むならば
 壁の一部が削り取られた事により、押し寄せる狂気の触手が途切れる。その間隙に、スズロクがカンプピストルタイプのガジェットを触手の群れへと向けた。
「ちっとばかし、立ち往生しといて貰うぜ」
 ドン! とスズロクが撃ち込んだのは着弾時に爆発拡散する冷凍弾だ。バキン! と触手の群れが、凍っていく――だが、それも総数からすれば薄皮一枚だ。すぐに凍結から逃れた触手が、襲ってくる。
「させません」
 そして、その触手達を琴莉がエレメンタル・ファンタジアによる氷の津波で動きを止めた。
「おっと、こっちも手数勝負といこうか」
 寧子がクロウでクイックドロウ、熱光線で氷漬けの触手を一発一発焼き貫いていく。
「――ッ!?」
 不意に、寧子は気配を感じて頭上を見上げる――そこには、天井を伝わった触手が迫っていた。触手が落下してくる――その途中で、見えない鎖によって触手が阻まれる。死角を無くそうと張り巡らされていた大地のサイレント・グラップルだ。
「今です!」
「……任せ、て……」
 空中で食い止められた触手へと斬撃を生む糸を放って切り刻んだのは、アルエットだ。飛び散る触手の体液を避けて、アルエットは外套を脱ぎ捨てた。
「ヌルヌル、だめ……悪い事、ダメだよ……」
「まったく潰し甲斐だけはあるヤツだ」
 黒の鋸鎌を構え、フォルターは言い捨てる。猟兵達に、焦りはない。この状況は、予測できたからだ。
(「やはり、狭く大立ち回りに向きませんね」)
 大地は、自身の予想の通り触手側に圧倒的有利な戦場に呼吸を整えた。この状況では、大地のサイレント・グラップルは有効な手段になる。だからこそ、取るべき手段は一つだ。
「時間をかけずに、速攻を決めましょう」

●数に対する解答
「連中どんだけ増えるんだよ!」
「増え過ぎでしょう、これ」
 スズロクの悲鳴じみた批難に、琴莉も呆れたように呟く。潰して、斬って、凍らせて――それでも、触手は尽きなかった。もしも耐久勝負を仕掛けていれば、押し切られたのは猟兵側だったかもしれない。
「まとめて固められますか?」
 大地の問いかけに、スズロクと琴莉はすぐに意味を理解して答えた。
「おう、任せろ!」
「後はお願いします」
 スズロクの氷海に棲む蛇の牙(エケネイス・フロスト)と、琴莉のエレメンタル・ファンタジアが部屋の両隅へと放たれた。ガキキキキキキキキキキキキン! と生み出されるのは触手入りの氷壁――その左右の氷壁に、大地は両手をかざす。
「念動クラフター起動。縛鎖形成」
 念動力で編んだ、巨大な手の付いた鎖が二つの氷壁を掴む。そして、大地がパン! と両手を打ち鳴らすのと同時、氷の壁が部屋の中心まで引っ張られ激突! 大量の触手を押し潰した。
「…………」
 その瞬間、アルエットが宙を舞っていた。ヒュオン、と振るわれるアルエットの両腕の動きに合わせ、告死の糸・線(コクシノシ・セン)が氷壁を中の触手ごと切り刻む。
 それを逃れた、一部の触手がいた。その触手の塊の動きは、他の触手とは違う。我が身を顧みなかった他のモノと違い、猟兵達の攻撃から距離をあけようと試みる動きだった。
「そこだね!?」
 即座に、寧子のクロウによる熱光線の連射が触手を穿っていく。削られ崩れ落ちる触手の中で、なおもあがこうとする触手へ無慈悲な声が投げかけられた。

「我は、死と共に歩む者――何人も、逃げる事能わず。さあ、冥府の門は開かれた」

 魔法陣により転移したフォルターが、黒の鋸鎌を振るう。血錆にまみれた鋸刃は、情け容赦無く最後の触手を抉り斬った。

「さて、次が本番だ」
 黒の鋸鎌を振り払い、フォルターはその扉を見た。事務所の奥、安っぽい銀色の扉の向こうに、更に下へと下る階段があるのだ。
 そして、猟兵達は目撃する事になる。残響と共にある狂気を――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『残響の女神』

POW   :    信者の供物
自身の装備武器に【生贄になった者の身体部位の一部 】を搭載し、破壊力を増加する。
SPD   :    叫ぶ
【絶叫 】を聞いて共感した対象全ての戦闘力を増強する。
WIZ   :    凝視
小さな【狂気 】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【トラウマに応じてダメージを与える空間】で、いつでも外に出られる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナハト・ダァトです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●残響の女神は、狂気と共に

「ひ、い、いいいいいいいいいいいいいい――」

 そのか細い、悲鳴がごとき声が倉庫内に響き渡っていた。残響の女神――そう呼ばれるオブリビオンは、倉庫の片隅で待っていた。
 何を? それは簡単だ。生贄を、だ。
 触手が運んでくる少女達の体の一部は、『ここ』にあった。生贄の体の一部を己の身へと組み込み、パーツにしているのだ。だから、石となった少女達の体は欠損していた。この女神とは名ばかりの化物に、奪われていたから。

「ひ、い、いいいいいいいいいいいいいい――」

 だからこそ、これから起こる戦いは鎮魂だ。命を、尊厳を、遺体さえ奪われた少女達への。
 階段を下れば、残響の女神がそこにいる。戦いの時は、近い。
フォルター・ユングフラウ
【WIZ】

何ともおぞましき姿よな…流石は触手の主、といったところか
貴様は女神どころか、単なる歪な塵の塊だ
不愉快極まるその姿、我の前に立つに能わず
塵は塵へと疾く還るが良い

よくもまあ、それだけの身体を蒐集したものよ…だが、それらは貴様の物ではあるまい
UC:ヴィーダーゲンガーにて、全て丁寧に引き毟ってやる
164の死霊の腕に弄ばれ、達磨となって無様に地を這うが良い
痛いか?
苦しいか?
それとも、それすら感じる知能も無いか?
恐怖と呪詛にまみれ、精々良い声で啼け
貴様の血を、命を啜る事で、我は心身共に癒されるというものよ

※アドリブ歓迎


アルエット・ブラン
アドリブ、歓迎だよ…
絶対に、許さない…
人を、モノみたいにしないで…

「音、うるさい…」
煩い叫びは止める、絶対に…
する事は、一つ…皆の援護…
<目立たない>ように死角から<だまし討ち>で【咎力封じ】する…

「動くことも、話す事も、許さない…」
叫ばないように口枷を…
手を動かせないように手枷を…
動けないようにロープでぐるぐるに…
面倒な、行動はさせないようにするね…


麻生・大地
「その有様で女神とは、笑える…いえ、笑えない冗談ですね」

【盾受け】【武器受け】【情報収集】【二回攻撃】

僕の目的は、『敵の戦闘力を分析して、後続の仲間に託すこと』です

戦闘前準備として【グラビティバインド】起動準備
後方に、多目的ドローンを飛ばしておきます

高周波ブレードで、斬り抜けながら戦います
ただし、ダメージ目的ではなく、出来るだけ敵の手の内を暴くことと、
敵のウィークポイントを探るために、手数重視で攻めます

ある程度情報を集めたら、距離を取って【グラビティバインド】起動
相手の足を止めます

ここまでで得た情報は後続の仲間に多目的ドローンを通して、共有できるようにしておきます


テフラ・カルデラ
や…やっと追いつきました…!
そして…石化した犠牲者が欠損した理由がわかりました!
なんて酷いことを…いや、こういうやつだからこそ平気でできるんですね…
犠牲者たちの無念や怒りを込めてウィザード・ミサイルを何度も撃ちこみます!!

撃退後は…今回の犠牲者たちに黙祷を捧げます
石化された人々たちを助けられなかったのは心残りでしたが…
これ以上被害が増えないと思うと、ちょっと安心です…


榛・琴莉
貴女の目的が何であれ、猟兵と人類の敵と言うだけで、殺し合う理由は充分。
「申し訳ありませんが、仕事ですので」

【戦闘知識】電子ゴーグルの内蔵コンピューターで最適な射撃コースを計算。
口腔を狙い【スナイパー】【全力魔法】【属性攻撃】で【CODE:スカジ】。
喚く時間は与えません。封鎖された空間で大声なんて反響して煩いですし。
着弾したらすかさず喉へ【2回攻撃】。
発声器官を潰します。
「悲鳴をあげるべきは、貴女ではありません」

仕事に私情は持ち込まない主義、ではありますが。
オブリビオンである以上、私たちが倒すべき敵であることに変わりはありませんし。
なら、この戦いに弔いの意味を付けるくらい、別に良いでしょう。


コロッサス・ロードス
●戦術
『武器受け』『盾受け』『オーラ防御』等の防御技能を活かす為、また仲間を『かばう』事で被害を抑える為にも、敵に肉薄して『おびき寄せ』攻撃を誘う

●通常攻撃
『怪力』と『鎧砕き』で防御を崩し、二の太刀でその隙を突く『2回攻撃』を基本とする

●コード
【信者の供物】に対しては、遺体の一部を搭載する所作を素早く『見切り』、相討ち『覚悟』で敵の懐に飛び込み、最も損傷を受けている箇所に『捨て身の一撃』【黎明の剣】を放つ

●心情
無残に命奪われ、邪神に囚われた哀れな魂よ
神ならぬ身では失われし命戻すこと能わず
だが、せめてその魂は愛する者達の元に届けてみせよう

「我ら猟兵の矜持に賭けて……魂だけでも返してもらうぞ!」


三寸釘・スズロク
ああ……そういう、「目的」かあ…
……ヒトのものだけど欲しくなっちまうコト、あるもんな。ハハ…わかるぜ。
…はぁ……トランク開けるか。

……『エレクトロワイヤー』スイッチオン。
『バーゲスト』起動。
……『俺』にはわからねェな。てめェには似合ってねえ。
手癖の悪い女神サマは潰してやるよ!!

【首なし人形の戯れ】射程距離まで接近、
攻撃…と見せかけて一度退く[フェイント][だまし討ち]
ああ、うるせえ!うるせえ叫ぶな!
叫ぶことすら出来ずに、てめェに殺された奴が何人も居んだろうが…
『俺』がその腕むしりとってやる。つって腕に組み付く
人形には事前に命令入力しておいて、その隙を狙ってけしかける

※連携アドリブ歓迎


甘夏・寧子
成る程ね。パーツをそう使ってたってわけか。理解はできたけど納得できないね。悪趣味だ。さぁて、それじゃ掃除といきますかね!

パーツそれぞれは固いのかねぇ? 取り敢えず『レイヴン』で撃ち込んで行こうか。【力溜め】で出力上げて一撃一撃ドカンとやろう。
集めたパーツの持ち主へ返魂の意味も込めて、せめてすぐに終わらせようか。



●残響の狂気
 階段を、駆けていく。テフラ・カルデラ(特殊系ドMウサギキマイラ・f03212)は、仲間達の戦った後を追いかけながら、ようやくたどり着いた。
「や……やっと追いつきました……!」
 呼吸を見出しながら、テフラは見る。先にたどり着いたはずの仲間達の背中を。彼らの視線を追い、何故言葉を失っているのかテフラは理解した。

「ひ、い、いいいいいいいいいいいいいい――」

 か細い悲鳴のような声を響かせ、ソレはいた。それは、人の形をしていた。いや、より正確には模そうとしていたと言うべきか。ソレは、人の体をツギハギした異形だった。手は左右逆だし、ついてはいけない場所に腕がついているなど、人の形に似せようとしているだけで、細部はおざなりだ。ただ、そのシルエットだけが人によく似ているだけという化け物だ。
「成る程ね。パーツをそう使ってたってわけか」
 甘夏・寧子(錦鈴の女・f01173)は、自分の声がひどく硬いものになっている自覚があった。石にされた少女達の手足には、欠損があった……その答えが、コレだ。
「ああ……そういう、「目的」かあ………ヒトのものだけど欲しくなっちまうコト、あるもんな。ハハ……わかるぜ」
 三寸釘・スズロク(ギミック・f03285)は、乾いた笑いと共にトランクケースに手を伸ばした。
「……はぁ……トランク開けるか……『エレクトロワイヤー』スイッチオン。『バーゲスト』起動――」
 ガシャン、と金属屑が詰め込まれたアンティークな旅行鞄が開くと、音を立ててニメートルを優に超える、電磁浮遊する機械人形『バーゲスト』が組み上がった。
「……『俺』にはわからねェな。てめェには似合ってねえ。手癖の悪い女神サマは潰してやるよ!!」
 腹の底から湧き上がる怒りが、スズロクの口から溢れ出す。そう、怒りだ。コレを認めては、いけない。認めれば最後、命の尊厳など、正道など、失われてしまう。

 ただ、あるだけで命を冒涜するモノ――コレは、そういうモノなのだと、ここにいる者が理性ではなく、感情で理解していた。

「ひ、い、いいいいいいいいいいいいいい!」
 ソレ、残響の女神は悲鳴を上げる。まるで、自分が生きているかのように。殺される事に怯えるように――コロッサス・ロードス(金剛神将・f03956)には、それが許せなかった。
「無残に命奪われ、邪神に囚われた哀れな魂よ。神ならぬ身では失われし命戻すこと能わず――だが、せめてその魂は愛する者達の元に届けてみせよう」
 コロッサスは犠牲となった少女達に祈りを捧げ、そして怯える残響の女神へと言い放った。
「我ら猟兵の矜持に賭けて……魂だけでも返してもらうぞ!」

●魂の冒涜
「ひ、や、あああああああああああああああああああ!!」
 残響の女神が、右腕を振りかぶる。ゾワワワワ! と体のあちこちから『右腕』がそこへ集まると、残響の女神は巨大化したそれを振り下ろした。
「よくもまあ、それだけの身体を蒐集したものよ……だが、それらは貴様の物ではあるまい」
 振り下ろされた先にいたフォルター・ユングフラウ(嗜虐の乙女・f07891)は、小揺るぎさえしない。ただ、当然のようにそこに立ったまま――ドォ! と鈍い衝撃音が倉庫に鳴り響いた。
「ひ、いいいいいいいいいいい、い!?」
 残響の女神が放った一撃は、フォルターの背後から伸びた貪れ、狂え、帰参者よ(ヴィーダーゲンガー)の無数の腐り爛れた腕が受け止めていた。ギリギリ……と拮抗する両者、そこへ麻生・大地(スチームハート・f05083)が踏み込んだ。
「その有様で女神とは、笑える……いえ、笑えない冗談ですね」
 残響の女神を構成する『右腕』の数本を、大地の肘から伸びた高周波ブレード【ゲブラー】が切り飛ばす! ぼとり、と落ちた腕は細く繊細な、十代半ばの少女のモノだ。手首に巻かれたままだったミサンガに、大地は目を細めた。
「ひ、ぎ、いいいいいいいいいいいいいいい!!」
 残響の女神が、腕を振り回しながら後退する。だが、そこには既にアルエット・ブラン(ゆりかごの月・f03968)が回り込んでいた。
「音、うるさい……」
 アルエットが死角から投げ放った手枷が、残響の女神の右腕を捉える。ガシャン、と重い音と共に右手首を手枷で拘束された残響の女神が、もがきあがいた。
「申し訳ありませんが、仕事ですので」
 榛・琴莉(ブライニクル・f01205)は電子ゴーグルの内蔵コンピューターで最適な射撃コースを計算、Mikhailを構えた。
「装填、スカジ」
 ガシャン、と装填された氷れる魔力を込めた弾丸の手応えを感じ、琴莉はMikhailの引き金を引く。ドン! と残響の女神の口内へ一発目が着弾、続けた二発目が喉へと撃ち込まれた。
「悲鳴をあげるべきは、貴女ではありません」
「ひ、ぎ、い、い――」
「フッ――!」
 すかさず、コロッサスが終焉砕きを袈裟懸けに振り下ろし、返す刃で切り上げる。よろける残響の女神へ、寧子はレイヴンの銃口を向けた。
「理解はできたけど納得できないね。悪趣味だ。さぁて、それじゃ掃除といきますかね!」
 ドン! と力を溜めて放たれる、熱光線が残響の女神を抉る。体に巻き付いていた少女の足が焼け落ち、こぼれ落ちた。
「この……!」
 テフラが犠牲者たちの無念や怒りを込めて、炎の矢を続けざまに撃ち込んでいく。残響の女神は、振り回した左腕で炎の矢を叩き落としながら前へ出た。
「行け! 『バーゲスト』」
 スズロクの命令を受けて、『バーゲスト』が鉤爪を振るう。残響の女神は、その鉤爪を真っ向から迎え撃ち、殴り合った。

●其れは、鎮魂の戦い
 ――それを、戦いと呼ぶにはあまりにも歪だった。
 残響の女神は、ただ抗うだけだ。そこに技はなく、その圧倒的な身体能力を行使するのみ。まるで、猛獣の力を持つ幼子のような戦い方だ。
 だが、猟兵達にとってこれは戦いだ。既に、残響の女神を見ている者などいない――これは、敵を倒すための戦いではない。穢され奪われた、魂達のための戦いだった。
「仕事に私情は持ち込まない主義、ではありますが。オブリビオンである以上、私たちが倒すべき敵であることに変わりはありませんし――」
 琴莉はMikhailを構え、いつもより力がこもる指で引き金を引いた。
「――なら、この戦いに弔いの意味を付けるくらい、別に良いでしょう」
 残響の女神が琴莉のCODE:スカジ(コード・スカジ)による氷の銃弾を受けて、大きくのけぞった。口に、喉に、何発もの銃弾を受けて――残響の女神が、金切り声を上げる。
「キ、イ、イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ!!」

 それは、残響の女神が見せた初めての怒りだ。何故、自分をこんなに苛めるのか。自分はただ、求められてここにいるのに――ただ、あるべき存在としてあるだけなのに!
 理不尽を訴える残響の女神の金切り声に、スズロクが無造作に手を伸ばした。
「ああ、うるせえ! うるせえ叫ぶな! 叫ぶことすら出来ずに、てめェに殺された奴が何人も居んだろうが……『俺』がその腕むしりとってやる」
 伸びるスズロクの手に、怯えたように残響の女神が身を引こうとした。だが、それを事前に命令を受けていた『バーゲスト』が許さない。
「暴れていいぜバーゲスト。全部、ズタズタに刻んじまえ!!」
 スズロクの許しを得て、『バーゲスト』がその鉤爪で残響の女神を刻んでいく。体に組み込まれていた手足が、宙を舞う。残響の女神がそれに手を伸ばそうとすると、ズン! とその巨体が重圧で動かなくなった。
「動力機関【ティファレト】、重力コンバーター起動。拘束力場、展開!」
 大地のグラビティバインドによる、超高重力の力場だ。残響の女神は体中が軋むのに悲鳴を上げようとするが、その口が口枷によって拘束される!
「動くことも、話す事も、許さない……」
 アルエットは冷たい声で、そう断言した。アルエットの咎力封じで、叫ぶ事さえ封じられた残響の女神に、寧子がレイヴンを向けた。
「持ち主へ返魂の意味も込めて、終わらせようか」
「ボクも、許せないですぅ……!」
 寧子のチャージされた熱光線と、全力で撃ち放ったテフラのウィザード・ミサイルが残響の女神の体を焼いていく。犠牲者達の手足が、灰へとかえっていくと残響の女神が動けずにもがいた。
「我、神魂気魄の閃撃を以て獣心を断つ」
 コロッサスが紅き神火と払暁の輝きを宿す神剣を顕現、横一文字に残響の女神を上半身と下半身に両断する! それでもなお、這って動こうとする残響の女神をフォルターは威風堂々と見下ろした。
「立ち塞がりし者に、遍く死の抱擁を――」
 ぞぶり、と残響の女神の周囲に、腐り爛れた腕の群れが召喚される。腐り爛れた腕達は、残響の女神の体を――構成する犠牲者達の手足を一つ一つ丁寧にむしり取っていった。「痛いか? 苦しいか? それとも、それすら感じる知能も無いか? ――恐怖と呪詛にまみれ、精々良い声で啼け。貴様の血を、命を啜る事で、我は心身共に癒されるというものよ」
 心地よさなど、与えてやるつもりはなかった。肉の一片まで、この化け物が奪ったモノを残らず、フォルターは取り戻す光景を最期まで見下ろし続けた……。

●例え、還らぬとしても――
 倉庫に、静寂が横たわっていた。誰も、口を開こうとはしない。ただ終わった、その実感がじわりと胸にこみ上げてくるだけだった。
「石化された人々たちを助けられなかったのは心残りでしたが……これ以上被害が増えないと思うと、ちょっと安心です……」
 黙祷を捧げ、テフラはこぼす。それは、慰めだろうか? 否、否だ。過去は、誰にも取り戻せない。それでも未来は、違うはずだ。
 過去と戦う猟兵達にとって、それがすべてだ。未来に奪われる命を救った、その事を猟兵達は確かに胸の奥へと刻むのであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月31日


挿絵イラスト