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廃寺に剣を論ず

#サムライエンパイア #戦後

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#戦後


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「おのれ……おのれぇッ!」
 己の首から下にぶら下がっているのは何だ?他人の体の様ではないか。
 小指一つも動かせず、連中の眼前で無防備な姿を晒している不甲斐なさを思えば、呪詛の一つも述べたくはなる。
 周りを窺えば己の他にも十数名、全く同じ状況らしく、それぞれが思い思いに連中を罵倒している。奴らもあの妖しげな術で金縛りにあっているのだろう。

 ぐしゃ。
 視界の端で鮮血が散った。どうやら手空きの敵が一人一人、処理に入ったのだろう。
 あの編笠どもの持っていた錫杖で。

 ぐしゃ。
 段々と近づいてくる。

 ぐしゃ。
 目の前に立つ男を見る。しかし、笠のせいで、その目を睨んでやる事すら出来ない。
 こんな何を考えているかもわからぬような――。

 ぐしゃ。

「皆、武学には一家言あることだろう。すまんが、少し披露願う事になる」
 そう言って、馮・志廉(千里独行・f04696)は頭を下げた。
 彼の語る事には、田舎の小藩の、更にその片隅の廃寺。そこに夜な夜な、オブリビオンが出没するようになったという。
「藩主は討伐隊を募集したが、そこは小藩。武士や浪人、雑多な者が集まった」
 彼らは件の廃寺に乗り込み夜を待つのだが、初対面の者も多く、暇に耐えられなかったのだろう。誰ともなくこう言い出した。
 刻限まで、鍛練でもしようぞ。

「これから戦闘を控えている事もあり、和やかな腕比べではある。しかし、彼らが如何に腕を磨こうとも、今宵のオブリビオンにはとても及ばない」
 そこで、と志廉は言う。討伐隊に紛れ込み、鍛練をしつつ力の差を理解させ、夜が来る前に追い返すのだ。
「彼らは先の信長軍との戦いでも前線には立っていない。つまり、オブリビオンの強さを目の当たりにしている訳ではない」
 彼らは知らぬだけで、愚かな訳でも腕が御粗末な訳でも無い。
 しかし、武辺の彼らは魔法の類には疎く、あまりにも彼らの理解を越えるようなものを見せても、取り合ってはもらえない。
 面子や仕官のかかる者も多い。あくまでも刀槍や弓馬、或いは軍学など、彼らに馴染みのある方法でその差を見せなければ、納得して引き下がりはしないだろう。

「無用な死体を出さぬためにも、一手、御披露願いたい」
 そう言う志廉の目は、己自身も皆の技量に興味があるという事を隠しきれてはいなかった。


鉄錆
 鉄錆と申します。
 今回は、廃寺にて武芸を披露して頂きます。

 第一章はオープニングの通り、一般人の武芸者を相手に腕前を見せます。
 討伐隊と直接木剣等で立ち合う、猟兵同士の模擬戦を見せる、一人で精妙な技倆を見せる、武に関する理論を説く等、自由に武を論じて下さい。
 ユーベルコードの使用はせずとも、十分な格を見せれば納得して大人しく帰ります。
 第二章は集団戦、第三章はボス戦となります。こちらは特に縛りは在りませんので、存分に戦って下さい。
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第1章 日常 『目指せ剣豪!木刀勝負!』

POW   :    とにかく気合いだ!勢いと筋力でブチのめせ!

SPD   :    剣の威力はすなわち速さ。素早く切れるようにカラクリ燕に挑む

WIZ   :    剣の道は心の修練が大事。心静かに瞑想に励む

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「イェェエイッ!」
「トォーッ!」
「しかしこの構えでは……」
「心法の極意とは……」

 気声、木刀の撃ち合う音、理合の討論。
 荒れ果てた寺の境内にて、討伐隊の皆は思い思いに武を磨く。
 次に名乗りを上げるのは――。
東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷武を示す
「剣とはただ斬るためにあるのではなく、受け止め、時に流す為にある…そうは思わぬか?」
【威厳】ある声で唐突に投げかけ、注目を集める。
サムライでは無い私の剣、帝都を守り、影朧を斬るのでは無く救う桜の帝都軍人の剣を披露して彼らの戦意を斬るとしよう。
「一つ、お見せしよう…何人でも好きに打ち込んでくるがよい」
私は木剣二刀を構える、軍人としての【集団戦術】【戦闘知識】で多数の敵がどう攻めてくるかを読み、全ての太刀筋を【見切り】二刀による【武器受け】流しにて尽くを防ぎ、受けの真髄を見せようぞ。



 廃寺に、兵法談義の花が咲く。
 如何に斬るか?如何に殺すか?体験談など交えつつ喧々諤々と議論を交わす中。
 突如投げ掛けられた声がある。
「剣とはただ斬るためにあるのではなく、受け止め、時に流す為にある…そうは思わぬか?」
 威厳あるその声の主こそ、東雲・一朗(帝都の老兵・f22513)である。
「何を申す。主君の命ずるままに敵を討ち果たす。それが武士の剣であろう」
 武士の剣。それも一つの理ではあろう。しかし、武士ならぬ身の東雲の剣とは、そうでは無い。
 話していても交わらぬ。ならば。
「一つ、お見せしよう…何人でも好きに打ち込んでくるがよい」
 四人の武士が、勇み立った。

 木剣は、六本。
 東雲は、二刀。対するは一刀が四人。四方を囲み、じりじりと迫る。
 東雲は二刀の剣先、視線、足の運び……様々な要素で牽制を行い、四人の呼吸を制する。
 一対一では無いこのような戦いは、個人の戦闘であると同時に、戦場における戦術と通ずるもの。それは、軍人として隊を率いる東雲には慣れたものだ。
 武士と軍人の違い。煎じ詰めれば、武士とは生まれである。しかし、彼はその意思によって軍人となった。
 守るため。
 その守りの剣は、己を守り、他者を守り、ひいては護国の剣となるのだ。

 気合い一声、四人が同時に、斬りかかる。否、同時では無い。
 東雲によって巧みに引き出されたのだ。
 僅かな時間差を一つ一つ、一刀で捌き、一刀で打つ。これを四度、繰り返す。
 四本の木剣は軍服に掠りすらしない。
 返す刀も、彼らを傷つけはしなかった。
 しかし、その慢心は四つ、確実に切り裂かれたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
兵法ならば些か心得があり申す。
あまり腕を誇示するのは好みませんが、此度は是非もなし。

◆鍛錬
場に混ざり、信長公との戦では敵将と切り結んだ事があると語りましょう。

故に私との試合が、敵の力量を知る捷径になると。

その気になってくれた方と木剣で相対。

両肩、両の拳、そして呼吸。
これらを観察して動作の起こりを【見切り】、緩やかに接近。

人は迅速な動作より、緩慢な動きにこそ対応が遅れるもの。

後は断臂――腕ではなく肘で揮う最短の太刀筋で詰めさせて頂く。

そのまま望む方と何人でもお相手いたそう。

どうしても面目が立たぬという方には、後詰では如何かと説得。
それなら寺から離れていても、討伐に参加したという形になりましょう。



「剣は、瞬息なり」
 一際優れた体躯を持つ侍が言う。
 道理ではある。剣術とは突き詰めれば、相手よりも先にこちらの剣を当てる技術である。それ自体に異はないが……。
「いかにも。信長公との戦において敵将と切り結んだ折りの事をお話ししましょう」
 割って入るは鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)。穏やかだが、真実味のある口ぶりに周囲の耳目も集まる。
 実戦経験の少ない大柄な侍は、そうなるとぐうの音も出ない。論より証拠とばかり、景正に手合わせを申し出た。
「ええ。この試合が、敵の力量を知る捷径になりましょう」

 剣術における速さとは何か?
 気合いとともに、侍はその豪腕を以て木刀を打ち込んで来る。
 確かに、速い。木刀は風を切り裂き景正に迫るが――届かない。常に、僅かに届かないのだ。
 景正は、侍の動きを見る。
 遠き山を見るように。二つの星を見るように。水面の月を見るように。
 その目を以て起こりを捉えれば、どのような速度も、未発の内に捉えるのだ。
 そして景正はゆるりと動く。
 侍に比べれば、あまりにも緩慢な動き。しかし、それ故に虚を突かれ起こりを捉えられぬ。
 景正の打ち込みも、激しいものでは無かった。振りかぶった刀を振り下ろす、その単純な動きの中に込められた、肘を進展せぬという最短最速の理。
 目に見えているのに反応できぬ打ち込みが、侍の肩口にピタリと付けられた。
 剣術における速さとは何か?大柄な侍も、その一端を覗き見る事となったのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

アンナ・ロードストレーム
◎アドリブ・連携歓迎!
サムライだね。みんな腕に覚えがありそうだけど、
流石にオブリビオンには負けちゃうよね。
なんとかしてあげたいな……。

【POW】
武器は大剣。
守りを捨てた軽装。代わりに速さを得ているよ。

討伐隊の一人と直接立ち会うよ。
一番長くて大きな木剣はあるかな。
軽いと持ち慣れなくて。

切先を相手に向ける。槍並みの間合いの剣。相対してみると厄介でしょう?
! 流石に日本刀は早いね。受けるのがやっとだよ。

じゃあ、反撃するね。
(水車斬りの要領でぐるっと回し)
多少重くても、工夫次第で袈裟斬りが連続で繰り出せる。

そして一番の武器は渾身の――
(ゴォッ!)
斬り下ろし。重さで兜ごと叩き切るんだ。実戦的でしょう?


黒瀬・ナナ
【POW】
藩の為にと集まった人達を、このまま犠牲にさせる訳にはいかないわ。
ここはおねえさんが、一肌脱いじゃうわよ。

討伐隊に紛れ込み、
「皆様、とてもお強そうね。是非、わたしにも稽古を付けて頂けないかしら?」と、鍛錬の輪の中へ。
流石にゆーべるこーどは使わないけれども、
『聞き耳』を立てて呼吸や仕草の音にも気を付け、相手の動きの癖や太刀筋等を良く観察して『見切り』
隙を見つけたら自慢の『怪力』で一気に『なぎ払い』捻じ伏せちゃう!
「あらあら、こんなにか弱い乙女(強調)に全く歯が立たないなんて。お家に帰って、一から鍛え直した方が良いんじゃない?」

他の猟兵さんとも可能な限り協力して、上手く引き下がらせるわね。



 戦国における寺院は、軍事拠点としての役割を担うことも少なくなかった。
 ここもその一つだったのだろうか。お陰で、訓練用の木剣の類いには困らぬのだった。
「やはり己に見合った差料を持つべきであろう」
 数名の浪人達が立ち合い前に、いくつもの木剣を前にその取り扱いについて語り合う中。
「皆様、とてもお強そうね。是非、わたし達にも稽古を付けて頂けないかしら?」
 そう声をかけたのは、黒瀬・ナナ(春陽鬼・f02709)とアンナ・ロードストレーム(黒剣士・f19028)。
 一見、武などとは縁遠そうな彼女達を懐疑の目で見つつ武具を指し示す浪人だったが、その眼は驚嘆に変わる。
「一番長くて大きな木剣はあるかな」
 そう言ったアンナが選んだのは、大の男でも難儀するであろう、長大な野太刀を模した木剣。軽いと持ち慣れなくて、などと言いつつ軽々と取り扱うではないか。
 ナナもまた、屈強な僧兵が用いるような剛壮な薙刀木刀を持ち上げて振るっている。
 これはかなりの力業、と互いに目配せをした数名の浪人が、彼女らとの立ち合いに望んだのだった。

 アンナは、彼らの中でも腕が立ちそうな一人と対峙した。
 浪人も、アンナが持つ槍のような間合いを持つ長剣に面食らうも、そのような長物は実戦的では無いと言い放ち、意を決して踏み込んで行った。
 アンナも、まずはあえて受けに回る。長大な剣を持つアンナは、その短さを利した浪人の連撃に、一見押されているように見える。
 が、己の勝ちを確信した浪人の耳に、信じられぬ言葉が届く。
「じゃあ、反撃するね」
 ぶぅん。まるで水車を回すようにアンナは木剣をひと振り。それだけで、浪人は身を投げ出して避けるはめに陥った。
 ひと振りでは終わらぬ。ほうほうの体で逃げる浪人を追い、遠心力を活用した袈裟斬りを次々と繰り出すアンナ。
 壁際に追い詰められた浪人を待っていたのは、その眼前に迫る――。
 ゴォッ!
 風圧と、渾身の切り下ろしであった。
「ね、実戦的でしょう?」

 一方のナナは、数名の浪人を相手取る。薙刀の間合いを大いに利用し、じっくりと彼らの動きを観察する。
 耳を澄ませば、その呼吸が。足を使えば、その歩法が。空振りを誘えば、その太刀筋が。
 十分にその癖を見切れば、その隙を見いだすのも容易い。
 いや、単なる隙ではいけない。彼らを一斉に打ってその敗北を理解させる。そういう隙でなくては。
 そしてそれは訪れる。彼らが一列に並ぶその瞬間。
 一瞬の機を逃さず、ナナの信じがたい豪腕によって振るわれる薙刀の一閃が、浪人らを薙ぎ払った。

「あらあら、こんなにか弱い乙女……かよわぁ~い、お・と・め、に全く歯が立たないなんて。お家に帰って、一から鍛え直した方が良いんじゃない?」
 煽るような言葉も、彼らを慮ってのこと。“おねえさん”の優しさの現れである。
 隣にやって来たアンナもまた、木剣を置き申し訳なさそうに浪人達を見る。
 しかし、彼らも兵法を嗜むもの。この敗北は受け入れ、オブリビオンとの戦いには及ばぬと自覚することが出来た。
 それに、彼らは一つの学びも得た。それは、小賢しい小業を粉砕する一撃。大いに巧みなる技術は、得てして一見稚拙な力業に映るものだ。その道理を、彼女らの太刀筋から見いだしたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鹿村・トーゴ
SPD
雑多とはいえ他藩者の上ガキのオレだ
報酬に惹かれて、とか言う?(相棒ユキエは樹で休ませ)

あは
ガキでも羅刹は人間より筋力あるんだ知ってるでしょ
腕比べ?いーね!やろやろ(羅刹らしく楽しげだ)
クナイと廃寺で拾った錫杖を【ロープワーク/念動力】で繋ぎ即席槍を作る

一人でも大勢でもいーよ
小鬼に負けたら帰ってな

遠い奴には石突を突き出し周囲に来れば旋回させて払い
向かって来る奴には切先を付き出すと見せかけ【スライディング/だまし討ち】で接近し足を払い転ばせ(or鎧・服の隙間に槍先を捩じ込み)引っ掛けぶん投げる
+砂・小石を蹴り【目潰し】

致命傷を与えるのは【野生の勘】で避け
攻撃は【武器受け】で押し返す

アドリブ可



「どうだ。腕の立つ順に報酬を山分けというのは」
 捕らぬ狸の皮算用とはこの事。仕官を求めるでもない浪人達が舌なめずりをしていると。
「ホウシュウ!ホウシュウ!」
 バタバタ、と羽ばたいて白い影が樹上に躍り上がった。
 釣られて視線をやれば、白い鸚鵡が一羽。その下には羅刹の少年の姿があった。
「オレも報酬目当てなんだ。腕比べ、やろやろ!」
 実に楽しげに語りかけたその少年こそ、鹿村・トーゴ(鄙村の外忍・f14519)。忍の武技を継ぐものだ。
 参加が増えれば取り分も増える。浪人は望むところと木剣を手にしたのだった。

 いざ数名で数名で乱戦を開始せんとした時。
「大勢でかかってきていーよ」
 工具として用いる刃引きのクナイと拾い物の錫杖を縛り即席の槍としていたトーゴが、さらりと言ってのける。
 ちらりと目配せした浪人達。無論、遠慮など無縁の者達だ。トーゴに向けて一斉に躍りかかる。
 が――。
 その後は憐れなものである。
 迫ろうにも、錫杖の石突を眼前に付けられ腰砕けになる者あり。
 追いすがれば、その足で跳ね上げられた砂利を目に受け彼の姿を見失う者あり。
 ようやく斬りかかれば、槍の間合いの利を見事に捨てて懐に入られ、股間に刺し入れた槍で放り投げられる者まである始末。
 本物の妖怪変化の前に小鬼にしてやられたのでは……と、浪人達を消沈させるのに、トーゴの働きは十二分だったと言えよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

西条・霧華
「それが『護る』事に繋がるのなら…。私は喜んで『魅せ』ましょう」

それが私の、守護者の【覚悟】です

…私の体躯を鑑みるに、演武よりも立ち合いで実力を示す方法が納得して頂き易いでしょうか

『無名・後の先』で誘った攻撃を【見切り】つつ【武器受け】
纏う【残像】で相手を乱し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠め【カウンター】
カウンターは寸止めか、怪我をしない程度に打ち込むに留めます

どうでしょうか、納得して頂けましたか?
…退く事は決して恥ではありません
例え今は届かなくとも、生きてさえいれば至れる極致がある筈です
そしてその時こそが、あなたが命を賭して力を揮うべき時なのだと思っています
だから今は、退いて下さいませんか?



 身の丈六尺は有ろうかという、堂々たる体躯の武士が一人。見るからに、手練である。
 そんな彼に対して――。
「護らせては、頂けないでしょうか」
 大人と子ども程の体格差。それなのに、柔らかく、それでいて明確に。そう声をかけたのは、西条・霧華(幻想のリナリア・f03198)。
 呆気にとられる武士だったが、体格差を理由に取り合わない。
「致し方ありません。立ち合いにて『魅せ』ましょう」
 そこまで言われては、と武士も渋々といった体で木剣を取ったのだった。

 ――甘かった!
 そう感じる事ができるほどには、やはり武士は手練だった。
 居合の様な、霧華の構え。それは何と言うことも無いように見えて、それでいて隙は無い。
 否。隙が無いように見えて、その実僅かな隙を感じられる。ゆら、と霧華の体が僅かに揺れる度に、打ち込みたいという欲望にかられるのだ。
 これが、霧華の守護の剣『無名・後の先』である。
 誘いであるとは感じている。感じてはいるが――灯りに向かう虫の如く。武士は裂帛の気合いとともに打ち込んでいた。
 手応えは、無い。ただ、武士の眉間にピタリとつけられた、霧華の木剣があった。
「……退くことは、決して恥ではありませんよ」
 霧華の言葉に感じられる守護者の覚悟。彼の武士も、その覚悟を受け入れたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宴・段三郎
武とは何か…そんな事を他人に論じられて納得してしまう軟弱者はこの場にいないと思うが
ちがうかの?

【行動】
試合をする
全員でかかってきてもよいし
一番強い者でも構わん

しかしおぬしらは武士じゃ
わしの様な齢8つの子供に負けたとなっては些か浮かばれなかろう

ゆえに闘ってもらうのはわしの鍛えた刀じゃ

使用するのは
号 『大元帥明王』
ユーベルコードは
天地開闢

妖刀をヤドリガミにして一通り戦わせるかの。ヤドリガミの姿はまさしく大元帥明王の姿そのものじゃ

明王に木刀を持たせて
複数相手なら【なぎ払い】、【範囲攻撃】、【吹き飛ばし】で武士全体を軽くいなすかの

もし強者一人であるならば、
木刀のリーチを活かして闘おう



「戦場にあって武技とは多数を打ち払うべきもの」
 一人の武士の高説に、数名が聞き入っていると。
「そのようなこと、ただ論じられて納得してしまうような軟弱者は……」
 武士らが一斉に振り向いた先に居たのは、美しき稚児。宴・段三郎(刀鍛冶・f02241)だ。
「この場には居ないと思うが。……ちがうかの?」
 妖しく笑む段三郎に、いきり立つ武士達。しかし、斯様な幼子を相手には――。
 「何、心配は要らぬ。わしの鍛えた刀が相手をする故の」
 逡巡を悟る段三郎が一降りの剛刀を抜き放てば、それはたちまち人へと姿を変える。
 これぞ、刀鍛冶たる段三郎の『天地開闢』の力。
 現れ出でたるはその号『大元帥明王』そのものの姿。天魔を打ち払う偉容である。
 それが木剣を握れば。

 一方的であった。
 一太刀振るえば一人が跳ねる。返す刀で一人が伏せる。
 明王はさながら人無き野を行くようであり、その様は先ほど語っていた多数を打ち払う戦場武芸の理想像であり、大元帥の名に恥じぬものだ。
 物言わずとも確たる説得力に、武士達も否やは無い。ただ、八つの童に圧倒されたという屈辱を味わわずに済んだのは、段三郎が配慮のお陰と言えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナギ・ヌドゥー
自ら死地に赴きたいなら放っておいてもいいのですが
オブリビオンとの戦いの邪魔になるなら致し方ない。
軽く立ち合って、さっさとお引き取り願いましょう。

とはいえ血を見る様な手合わせをしたら、ぼくが我慢し切れなくなるかも……。
傷付けずに納得させて帰す……できるかな?

まずは手を出さず対手の攻撃を【オーラ防御】で受け続ける。
この程度の装甲を破れないならオブリビオンに傷一つ付けられないですよ【精神攻撃】
一通りの攻撃を受けたら【殺気】を込めた【残像】を飛ばし【恐怖を与える】
ここから先の戦いは生命の埒外の領域、まだ人でいたい方はお引き取り下さい。


紬雁・紅葉
羅刹故、論ずるより魅せるが性分…
お頼み申します♪

手名椎・足名椎を使用
自然体(無形)に構え

誰も来ないのであれば近場に残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
先制怪力衝撃波切り込みで気絶させる

来るのであれば躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければ怪力衝撃波オーラ防御武器受け等で受ける
いずれもカウンター怪力衝撃波を以て薙ぎ払い吹き飛ばす

囲まれたら範囲攻撃二回攻撃などを併用し大いに気絶させ吹き飛ばす

あら、皆様?遠慮はいりませんよ?
我が"剣神"布都主は殊の外鍛練を好まれます
もっと、もっと打ち込んで下さいませ♪

羅刹紋を顕わにうっとり笑み


※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※



 邪魔になるから。ただ、それだけだ。
 死を、あまりにも近しいものとして接しているナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)には、目の前の武士達を助けるという発想は出てこないものだ。
 そもそも、死を恐れぬのがサムライとやらなのでは無いか……そうとすら思う。
 それでも、邪魔になるのなら。そう思って木剣を取ったとき、溌剌とした声が響いた。
「お頼み申します♪」
 二降りの妖刀『手名椎・足名椎』を手に、実に楽しげに立ち合いを申し出る羅刹の女性。
 紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)だ。
 女性的な柔らかさを持ちつつ明るく戦いを求める様は、まさに羅刹の性質の通り。
 片や、陰。片や、陽。真逆に見えても、その根底に流れるものは、案外近しいのかも知れない。

 羅刹の戦いは、斯くあるべし。紅葉の戦いぶりは、そう形容されて然るべきもの。
 自然体でゆるりと構え、複数の相手にもまるで臆することなく、真っ直ぐに悠然と進む。数に勝る武士達の方が却って気圧されたほどだ。
 こないのならばこちらから、と振るう太刀筋はまさしく剛剣。凄まじい余波を伴いつつ、武士達をなぎ倒して行く。
 何とか反撃に、と決死の踏み込みを見せる武士もいた。だが。
 結果はまるで同じこと。
 退こうが、進もうが、同じこと。最も威力の乗った打ち込みを、最も有効な拍子で叩き込む。
「あら、皆様?遠慮はいりませんよ?」
 気づけば、紅葉に立ち向かおうというものは、居ない。

 ナギは、その様を横目に見ていた。こちらは、数名を相手に激しい打ち込みを受けている最中。それでも横目に見ることが出来るというのは、余裕の現れである。
 尤も――“激しい打ち込み”と言っても、聞こえるのは武士達の気合いのみ。木刀が噛み合う音は、一切発せられないのだ。
 傍目には、いくつもの打ち込みを、ナギがその木刀で受け止めている、様に見える。
 だがその実、受け止めているのは木刀に非ず。ナギの発する、強靭なオーラである。
 武士達にとっては、これ程不気味なものはない。いくら打ち込んでも、手応えも何もないのだから。
「この程度を破れないならオブリビオンに傷一つ付けられないですよ」
 淡々と、残酷な真実を告げるナギ。
 これでも我慢しているのだから、早く察して退いて欲しい。傷つけてしまったら……。
 傷つけても、いいか。向こうは遠慮なく武器を振るっている。少しくらい――。

 ナギの口角が僅かに上がった時、武士達が突如後ろに転げた。
 紅葉が、背後から引き倒したのだ。
「うふふ。それ以上は……ね?」
 尤も、無様に尻餅をつく彼らは、紅葉が引き倒す前にナギの殺気で腰を抜かしていたのだが。
 だが、ナギはそれで良いのだと思う。彼らがまだ、ヒトで居たいのなら。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『編笠衆』

POW   :    金剛力
単純で重い【錫杖】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    呪殺符
レベル×5本の【呪殺】属性の【呪符】を放つ。
WIZ   :    呪縛術
【両掌】から【呪詛】を放ち、【金縛り】により対象の動きを一時的に封じる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 斯くして、討伐隊の面々は廃寺を後にした。
 更なる精進を誓ったもの。剣を置こうとするもの。
 悲喜交々あれど、猟兵達の目論見は達成されたのだった。

 そして夜。とても妖怪など出そうにも無い、きれいなきれいな月明かりの下。
 それらは姿を現した。
 編笠を目深に被った男達が、わらわらと。
 人に見えるが、人には非ず。ジャラ、と錫杖をならすと、一気呵成に猟兵達に襲い掛かった。
東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷撃滅
戦い…侍や武士にとってそれは果たし合いかも知れぬ、だが我ら軍人にとってそれは…戦争だ。
「最善、最適を以って敵勢力を打倒する!総員構え!」
豊富な【戦闘知識】に裏打ちされた【団体行動】指揮による【集団戦術】を用いた【大隊指揮戦術『壱』】の【制圧射撃】で遠距離から敵を撃滅する。
私自身は最前線に立ち、二刀を構えて敵の攻撃を【見切り】ながら桜花の霊気【オーラ防御】と【武器受け】にて、我が大隊を敵の攻撃から守り切る。
「守るばかりでは勝てぬ、確かにそうだ。
しかしそれは一騎討ちならばの話でしかない」


黒瀬・ナナ
あらぁ、綺麗なお月様。
こんな夜は静かに月見酒……っとと、そうも言っていられないみたいね。

集団で数が多いから、雷神様のお力をお借りして。
【破魔】の【祈り】を乗せて、【範囲攻撃】でまとめて一気に【なぎ払い】
オマケの【衝撃波】でさらに敵を巻き込めたら良いな。
ぁ、勿論、味方は巻き込まないように気をつけるのよ。

多少【呪詛耐性】はあるけれども、油断はせずに。
【第六感】も働かせて上手く相手の攻撃を【見切り】回避を。
当たりそうになったら咄嗟に【オーラ防御】

他の猟兵さんが居れば、呪符や金縛りを防ぐ【結界術】で支援し【鼓舞】
大丈夫大丈夫!わたし達なら、絶対に負けないのだわ!

※アドリブ等ご自由に。



「あらぁ、綺麗なお月様」
 このような妖怪どもを相手にせねばならぬのが残念、とでも言いたげに、ナナは己の右袖を捲る。
 一瞬。月明かりに負けぬ閃光が発せられたは気の所為か?
「最善、最適を以って敵勢力を打倒する!」
 まるで号令をかける様に凛然たる声を放ち、自らは二刀を抜き放つ東雲。
 先程までの個人の腕比べとは違う。軍人たる彼にとって、真の戦いとは多数が入り交じる戦場にある。
 ナナと東雲。二人によって、この戦の火蓋は切って落とされた。

 編笠衆の先陣が、東雲に迫る。その錫杖が振り下ろされれば、地形すらも変えようという一撃。正に金剛力と言えよう。だが――。
「総員構え!」
 『まるで』では無い。先程の声は、真実号令であったのだ。
 東雲が切っ先を向けるとともに、軽快な銃声が響き渡った。
 彼らは、東雲の、帝都の誇る『帝都第十七大隊』だ。良く訓練された一糸乱れぬ動きからは、日頃の謹厳ぶりが窺えよう。
 流石の錫杖の一撃も、予期せぬ掩護射撃には為す術無し。

 それでも敵もさるもの。強引にでも、抜け出てくる者はある。十分に距離を取っているとはいえ、呪殺の力を込めし符を放たれては、大隊の面々は一溜りも無い。
 あわや、という時、電光が閃いた。
 ナナの右腕が、尋常ならざる程に大きく、強く、そして凄まじい稲妻を纏っている。
 否。これは彼女の右腕であって彼女のモノに非ず。彼女に懸かりし雷神の右腕なり。
 掩護射撃にばかり気をとられていた編笠衆は、突然の閃光に目も眩まんばかり。
「雷神様!力をお借りします!」
 その腕をただ一度、横に一振り。それだけで、落雷の如き破壊力が編笠衆どもを薙ぎ払った。

 その後。東雲とナナは一見すれば編笠衆に対して防戦一方の様にも見えた。
 彼ら自身が有効な反撃を繰り出してはいないからだ。だが。
「守るばかりでは勝てぬ、確かにそうだ。しかしそれは一騎討ちならばの話でしかない」
 立ち上る桜花の霊気とともに、金剛力の一撃をさらりと流す東雲。
「大丈夫大丈夫!わたし達なら、絶対に負けないのだわ!」
 呪殺符をも阻む強靭な結界とその笑顔を、大隊の面々に振りまくナナ。
 二人が前線で大隊を守り続ける限り、戦局はむしろ編笠衆が一方的に撃たれ続けるのだ。
 個人の武勇のみならず、“戦場”における強さとは、このようなものだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鹿村・トーゴ
…いい月夜だが
さて出たなー化け物が
さっきのおっさん達がこいつら相手に死ぬ事あっちゃなんねーよ
誰かの父ちゃんか亭主かもしれねーもん

んー解りやすい妖怪討伐って好きだぜ
そっちが殺る気ならオレもそーしよ
UC使用
代償(殺戮を唆す呪縛)に飲まれ過ぎないよう抵抗しながらもその勢いに乗じ
初手、野試合で使った即席槍で近い敵を突き【暗殺】
錫杖とクナイを離し
【ロープワーク/罠使い】で錫杖と縄を敵足元に絡め転ばせるか足止め

手にしたクナイで斬り付けながら【追跡/暗殺】手裏剣を数枚上から【念動力/投擲】
敵UCには【野生の勘】で躱し避けきれない符は【武器受け】で払う
被弾時は呪符を撃った敵を特に狙って仕留めに行く

アドリブ可



 こんなにもいい月夜に。
 こんな化け物連中の所為で、さっきのおっさん……侍達が命を落とすなど、あってはならない。
 トーゴは、改めて想う。彼らの日常を。彼らの家族を。
 編笠衆を見やれば、笠のお陰で表情は見えない。しかし、その殺気は肌に刺さる程に感じられる。
 分かりやすい殺気に対しては、こちらも、殺る気だ。
 意識を集中すれば、ズン、と体が重くなる。降りて来るは、如何なる悪鬼か?
 化身忍者の秘技【降魔化身法】により、その身は鬼と化す。
 もう、重さは感じない。あるのは、溢れでる力と、己を衝き動かす殺意のみ。

 迫り来る編笠衆。錫杖を振り上げんとすれば――その胸を貫いたモノがある。
 先程トーゴが即席で拵えた槍擬きだ。
 何時の間に放ったのか?そのような事を考える間もなく、状況は目まぐるしく動く。
 取り囲まんと迫る編笠に対し、トーゴは抜いた槍を足元へ投げ放つ。穂先となるクナイは取り外されており、今度は即席のポーラと言ったところか。
 複数の編笠衆に絡み付かせて転倒させれば、囲みは抜ける事が出来る。
 クナイで数体を切り抜けると、尋常ならざる跳躍力で躍り上がった。
 上空では避けられまいと、呪殺符を放つ編笠衆。だが、それはトーゴの手裏剣によって、地に縫い付けられて行く。

 斬らねば。殺さねば。己を衝き動かすこの殺意こそが、トーゴに憑く呪縛。
 呑まれてはいけない。しかし、抑え込む気も無い。
 悪鬼の殺意と、トーゴの遺志は渾然一体となり、月夜に跳ねるのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

鞍馬・景正
参られたか。
数を頼みに圧し潰す策は悪いとは思いませんが――。
それを崩す術も剣理の内なれば。

◆戦闘
敵と距離が詰まる前に周囲の状況を把握。
月明りがあっても視界が悪いなら、【暗視】の術で見透かし。

そして一撃の及ばぬ間合を維持し、何体か敵を引き付け。

斬撃の【衝撃波】で牽制し、足並みを乱し突出した一体が打ちかかってきた瞬間、此方も一歩踏み込み。

そして【羅刹の太刀】で刃を延ばし、迎え突きを見舞います。

仕留めた後は素早く引き抜き、残りの敵へ横薙ぎの【早業】を。

重い一撃を狙う相手には、迎え技が有効なもの。

より大勢相手ならば逃げつつ斬れ、と我が剣師は申していましたが……。

さておき、まだ敵が残るならお相手致そう。


アンナ・ロードストレーム
◎アドリブ・連携歓迎!
とても綺麗な月だね。
光が強いと闇も深くなる……あそこだね。

技能【闇に紛れる】発動。物陰に身を隠すよ。
その場で動かず、呼吸を殺して……ぎりぎりまで敵を引き付けるね。

敵の注意が他の場所に向いた瞬間を狙って
……今だ!一気に戦場を横断するよ。
放たれた呪符をUC【絶望の福音】で避けながら、ブラックモニュメントを迷い無く一閃させていくね。
もし突進の勢いが尽きた所を狙われたら、腰から急いでナイフを抜く。
重い錫杖の振り下ろしより、僕の突きの方が早いと良いな。
ごめんね。こういうやり方のほうが得意なんだ。
夜の戦場にこんな武器を持ち込む時点で、尋常な剣士とは言えないしね。



 月明かりの下を奔る影。
 景正は素直に囲まれてやる積もりなど無い。敵を釣り出し、有利に転ずるのも兵法である。
 夜目の利く景正には、この月明かりがあれば十分。上手く敵を分断できたと見て、その足を止める。
 対峙――。
 一方は刀を。一方は錫杖を。ジリジリと間を詰め、接するかという刹那。
 月に照らされた木蔭から、闇が動いた。

 闇の正体は、アンナである。
 光が強ければ、闇もまた濃くなるもの。その道理を知るアンナは、見事な隠形の技で身を伏せ、機を窺っていたのだ。
 アンナの手には、更なる闇。漆黒の刀身を持つ『ブラックモニュメント』がある。
 ひたひたと、しかし破竹の勢いで、アンナは編笠衆に突撃を仕掛ける。

 編笠衆にしてみれば、追い詰めた積もりが俄に挟撃を受ける形である。
 浮き足だった編笠衆の一体が、景正に打ち掛かった。杖と刀、どちらに間合いの理が在るかは明らか。
 悠然と正眼に構える景正へ、金剛力を以て錫杖を振り下ろす編笠。
 哀れ景正の頭蓋は砕かれるか?だがしかし、振り上げた錫杖は、力無く地に転げ落ちる。喉に、切っ先が突き立っていた。
 景正が踏み込んだのは一歩のみ。それでは到底杖の間合いには届かぬが……景正に、間合いを盗む秘術在り。
 【羅刹の太刀】によりその刀は長大な野太刀へと変じ、杖はおろか槍をも凌ごうという長物と化したのだ。
 虚を突く強烈な迎え突きにより、先鋒を仕留めた景正。しかし、続く者共に対しては如何に?
 突きを放ったからといって死に太刀にするような景正に非ず。
 素早く手元に引き寄せれば、長大な間合いを活かした横薙ぎ一閃。
 編笠衆は撫で斬りだ。

 呪符が、見えた。
 アンナは、それを見て符を避けて行く。
 編笠衆の呪符は甘くない。通常、見えてからでは到底避けられぬ。
 しかし、アンナの目に符が捉えられた時、符は未だ放たれてはいないのだ。
 傍目からは、まるでアンナの通り過ぎた跡に向けて符を放っている様に見えよう。
 対するアンナの太刀筋には、一切の迷い無し。
 黒剣の振るわれる先に、編笠が吸い込まれる様ですらある。
 【絶望の福音】。彼女が剣を磨いてきたのは、常に絶望的な状況下だった。
 その目は、腕は、自然と一手先を読む。迷ったら、首が飛ぶのは己だということをアンナは深く心に刻んでいる。

 流石に突撃の勢いも尽き、アンナが一息を……吐く間も与えず、編笠が躍り掛かった。錫杖は既に振り上げられている。
 長大なブラックモニュメントでは間に合わない。
 彼女には、やはり迷いは無かった。即座に黒剣を捨て、腰から抜き出したナイフで後ろ手に突く。
 間に合うか――?
 ナイフが編笠の胸部に突き立った。杖は。降ってこない。
 見れば、編笠の両手首が無いではないか。
 景正の太刀が、その振り上げたる腕を断ったのだった。
「ありがと。キミ、やるね。キレイな剣だ。僕は尋常な剣士とは言えないから」
 ナイフを取り直すアンナに、景正が答えて曰く。
「転変して留まる所が無いのも、剣理の内。頼もしいものですよ」
 野太刀とナイフ、背中合わせ。
 異なる剣理が、合わさり敵を討つ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

西条・霧華
「恨みはありませんけれど、人の世に悲劇を齎すと言うのなら…斬ります。」

守護者の【覚悟】を以て…

纏う【残像と【フェイント】で眩惑し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて『幻想華』
相手の攻撃は【視力】を以て【見切り】、【残像】と【フェイント】を交えた【ダッシュ】で回避
避け切れない分は【武器受け】しつつ【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止めます
何れの場合も返す刀での【カウンター】を狙い、攻撃の機会を増やします

この身が鬻ぐは所詮殺人剣に過ぎません
そう言う意味では私も彼らと同じ穴の狢なのかもしれません
それでも、この剣を揮う事で護れるものがあるのなら…
それが私の誓い、守護者の【覚悟】です



 次々と斃れてゆく編笠衆。
 戦場を見据える霧華も、その決着を予感していた。
 今、目の前に居る化け物達が、直接自分に何か害を及ぼした訳ではない。
 本来攻撃的な質ではない霧華。それでも彼らを斬ろうというのは、自らに課した守護者としての覚悟。
「恨みはありませんけれど、人の世に悲劇を齎すと言うのなら……」
 まだ、抜かない。抜くときは、斬るときだ。
「斬ります」

 動いた。
 地を蹴らぬ滑らかな動きは、編笠衆の反応を鈍らせる。それでいて、爆発的な勁力を秘めた足さばきは、目に写る全ての敵との距離を、無いものとできる。
 微かに揺れ動き、その向かう先を悟らせぬその歩法こそ、【幻想華≪リナリア≫】の要。
 霧華を視認できず、乱れ射つ様に放たれる呪力を躱す。
 まだ抜かない。
 味方に当たるのも構わずに全方位に放たれた符を鞘で叩き落とす。
 まだ、抜かない。
 苦し紛れに振り上げられた錫杖を――。
 今、と思った時には、既に刀は鞘の内。
 斬ったと思った時には、既に足は動いている。
 一時も留まること無く動き続け、斬り続け……。
 気づけば、最早動くものは無し。

 確かに残る手応えに、霧華の胸に去来する想い。
 所詮殺人剣に過ぎないという自嘲。
 それでも、化け物どもと自分を分ける明確な差は、自らに課した、守護者の誓いであると。霧華は、信じている。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『仮面の武僧』

POW   :    末世読経
予め【読経を行う】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    狛犬噛み
自身の身体部位ひとつを【狛犬】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    金剛力士の招来
戦闘用の、自身と同じ強さの【金剛力士(阿形)】と【金剛力士(吽形)】を召喚する。ただし自身は戦えず、自身が傷を受けると解除。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


夜も更け、月も傾きかける頃。
 その巨躯は姿を現した。幽鬼にしては確かな足取り。
 鬼面を被りし僧形のオブリビオンだ。
 主たる第六天魔王亡き後、如何なる策を練っていたものか。
 或いは、己に決着をつける場を求めていたものか。
 何れにせよ、討たねばならぬ。ここで逃せば、必ずや世の安寧を乱す。彼らは、そういう存在なのだ。
黒瀬・ナナ
……さっきとは全然違う気配に、背筋がぞくりとするけれども。
ここで退く訳にはいかないわ!
わたし達には、守るべきものと、負けられない【覚悟】があるってことを見せてあげる!

読経で強化された相手の攻撃は強そうだけれども、その分大振りっぽいわよね。
落ち着いてしっかり良く見て、【第六感】も働かせて【見切り】躱せるように。
避けきれなくても【咄嗟の一撃】で顔面ぶん殴ってやるんだから!

危なくなったら、少しだけ御先祖様のお力を借りて【限界突破】
【オーラ防御】と【結界術】で周囲を守りながら、
自慢の【怪力】でねじ伏せちゃうんだから!
勝利の宴会まであと一歩、気合い入れていくわよっ

※アドリブ等ご自由にどうぞ。


東雲・一朗
▷アドリブ歓迎です

▷服装と武装
帝都軍人の軍服、少佐の階級章付き。
刀と対魔刀の二刀流、2振りとも腰に帯刀。

▷討滅
「本命か…大隊は下がれ、あれほどの戦力ならば私がいく」
単一目標に対する数的有利を活かすのも戦略だが、兵の無意味な損耗を避けるのもまた指揮官の使命。
「ああいう手合いは、1人の方がやり易い」
私の豊富な【戦闘知識】から見て、彼奴の武は剛力無比ながら太刀筋の精確さには欠ける、なれば私は具に敵の動きを【見切り】桜花の霊気【オーラ防御】纏う二刀による【武器受け】流しで確実に猛攻をいなし、間合いに【切り込み】我が【破魔】の力を宿す斬撃を一回、【二回攻撃】と重ね機を見て【桜花封神】を放つ。
「桜と散れ」



 仮面の武僧の読経が響く。
 その声は夜気を震わせ、力の劣るものはそれだけで朦朧としてしまうかもしれない。
「本命か……大隊は下がれ、あれほどの戦力ならば私がいく」
 隊を率いる者にとって重要な事。敵を討つのは無論の事、味方の損耗を最小限に抑えるのは重要な事。資質である。
 号令一つで、早々に退却する大隊からは、行き届いた訓練が見てとれる。
 かの武僧の戦力が、東雲の率いる大隊を大きく上回る、とは見ていない。しかし。
「ああいう手合いは、1人の方がやり易い」
 常に、より良い選択肢を選び、決断するのが長の責任だろう。
 二刀を抜刀する東雲の横に立ち、勾玉を握るナナ。
 なるほど、先程の者達とは訳が違う。確かに、数で押せば何とかなる、といった手合いでは無い。とはいえ。
「ここで退く訳にはいかないわ!」
 守るべきものがある。負けられぬ覚悟がある。手にする勾玉に、改めて誓うのだ。
 ――読経が止んだ。

 武僧が迫る。その手の錫杖を一薙ぎすれば、空を裂かんばかりの勢い。
 編笠衆の杖とは、まさしく格が違う。
 しかし、一方は歴戦の経験より。一方は天性の感覚より。その杖の軌道に、一筋の勝機を見いだしていた。
 二人はちらりと視線を交わす。考える事は同じか。同時に、前へ踏み出した。
 東雲は『影切』と『旧式退魔刀』の二振の愛刀で、ナナは愛用の薙刀『花嵐』で、それぞれに武僧の猛攻をいなす。
 とてもまともに受け止められる代物では無い。しかし、彼らの目を以てすれば、武僧が杖を振るう際の僅かな起こり、幽かな杖のブレ、これらを見切り、寸前の所で捌く事も可能である。
 捌くはおろか、東雲の二刀は時折反撃の太刀をも加えている。桜花の霊気が立ち上ぼり、全力を尽くした戦いぶりが見てとれる。
 しかしそれは綱渡り。僅かでも仕損じれば――。
 激しい手の痺れとともに、花嵐が弾かれた。受け損じたのだ。ナナの頭上に迫る杖。万事休すか?
 しかし、そこで咄嗟に前へ踏み込むのがナナのナナたる由縁である。なんと、拳で武僧の顔面を殴り付けたのだ。そしてそれは、結果として杖の間合いを外す最善の防御ともなる。
 この機を逃す東雲では無い。最大の戦力を勝機にぶつけるのだ。
「桜と散れ」
 二刀は交差し、桜花は散る。
 美しい花吹雪とともに放たれた斬撃は、確実に武僧の肉体を切り裂いた。
 手傷を負った武僧が体勢を立て直さんと顔を上げれば、そこには己に劣らぬ巨躯の鬼。祖先の力を宿したナナの姿である。
 鬼は、拳を大きく振りかぶると、もう一度。
 もの凄まじい膂力を以て、武僧の顔面を殴り飛ばした。
「勝利の宴会まであと一歩、気合い入れていくわよっ」
 ちらりと後ろを振り返ると、大隊の皆も一緒に!と付け加える事を忘れなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紬雁・紅葉
ぅふふ♪
作麼生切羽の問答…という訳でもなさそうです

御鎮めします


羅刹紋を顕わに戦笑み
天羽々斬を鞘祓い十握刃を顕現

残像忍び足で正面からゆるゆると接敵

射程に入り次第破魔火水風属性衝撃波UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う

敵の攻撃は躱せるかを見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければ破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で受ける
いずれもカウンター破魔火水風属性衝撃波UCを以て切り付け薙ぎ払う

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃


憤怒の相を纏っていても
倶利伽羅不動の境地に遠く
世を乱さんと何を恨むか
悟りの境地に程遠い

煩悩怨念天魔覆滅
坂を転げて
去り罷りませ

※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※


鹿村・トーゴ
坊さんの化け物ね…潰れた寺に似合いの親玉だな
この寺に縁のモンか?まぁそんな事訊いても詮ないかー
狙いは殺り合いか成仏か解んないけど
こっちがやる事は決まってる
な、化け物連中に負けず劣らず猟兵も結構罰当たりだよな?
(敵の読経に一瞬だが一応片手拝み。即、攻撃態勢に)

【暗視/地形の利用】正面切るのは避けて廃寺を身隠しに利用しながら手裏剣数枚で狙い【暗殺/投擲】
平行してUCを使用
投擲群に紛れさせたUCの棒手裏剣は的中させる為
可能なら【念動力】を使い補正
UCが成功、失敗どちらでも追撃に入り【追跡】でクナイを手にし接近し斬る
可能なら手数増しに先に投げた手裏剣も念動で回収し再度投擲

…今度は成仏してな?

アドリブ可



「坊さんの化け物ね……潰れた寺に似合いの親玉だな。この寺に縁のモンか?」
 トーゴが、そんなことを聞いてもしょうがないか、とおどけて見せれば。
「ぅふふ♪作麼生切羽の問答…という訳でもなさそうです」
 紅葉は冗談を口にして艶然と微笑む。
 羅刹二人、軽口を叩いている様に見えて、一切の油断は無い。
 それは、トーゴのゆるりとした姿勢の内に秘められた即応の構え。紅葉の柔肌に浮かび上がる羅刹紋。これらを見れば、容易に知ることができよう。
 敵が如何なる事を考えていようとも、猟兵がすることは決まっている。
 己の因果を思い、片手で拝んで見せるトーゴ。この後は、一切の無駄は無し。

 真っ先に動いたのは、紅葉。天羽々斬を鞘祓えば、十柄刃がその姿を顕す。
 その歩みは、一見すれば常の歩みの如し。ゆるりゆるり、嫋やかですらある。しかし、その正面に立てばその恐ろしさが知れよう。
 ただ近づいてくるのみにも係わらず、まるで幾人もの紅葉が迫るような感覚。
 武僧も危険と悟りその杖を振るわんとするが――ここでも先手はやはり紅葉。
 炎や水、迸る衝撃波と、次々と刃を繰り出す紅葉。敵の得意は、容易に取らせない。
 武僧は飛びすさり、体勢を立て直そうとする。しかし、そのような隙は与えない。突如背後より無数の棒手裏剣が迫った。
 廃寺に上手く身を隠しつつ、トーゴが放つものである。

 挟撃を受ける形となった武僧は、素早く頭を巡らせる。手裏剣の方は、さしたる力を感じない。こちらを無視して、太刀を避けねば。
 結果的に言えば、この判断は重大な過ちであった。事実、ほとんどの手裏剣は虚仮威しであり、武僧に通じるものでは無かった。だが、その内の一本こそは。
 トーゴの禍言籠りし、『呼子針』。木を隠すなら森の中。手裏剣を隠すなら、やはり手裏剣の中だ。
 呼子針が掠めた直後、武僧を激しい痛みと違和感が襲う。棒手裏剣とは訳が違う、鋭く、熱いものが彼を貫いた。
 動きが鈍る。毒――と思う間もなく、紅葉の追撃が襲う。その刃より現れ出でたるは、三つの龍。
 それは武僧に絡み付き、容易には逃がさない。紅葉の十柄刃が武僧を切り裂き、トーゴのクナイが背を抉る。
「煩悩怨念天魔覆滅」
 紅葉が呟けば、トーゴも再び片手で拝み。
「……今度は成仏してな?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ステラ・ジオ
…侍の国の夜の音を探しに来てみれば、随分と物騒な音が。
このまま放ってはおけないし、ぼくにも手伝わせて?

まずは【目立たない】ように、【闇に紛れる】
【聞き耳】と【暗視】の能力を生かし、周囲の地形の把握、相手の動きの癖等、戦闘に役立ちそうな【情報収集】を。
可能なら【読心術】で相手の胸の内も探ってみる。
…もしもあなたが、己に決着をつける場を、求めていたのならば。
せめてあなたに相応しい終わりを、歌ってあげたいんだ。

逞しい金剛力士達に放つは<月女神の矢>
心のチャンネルを合わせて【ハッキング】するように、女神の矢で隙を作れたなら光線銃で仮面の武僧を狙い撃つ。

…さようなら。あなたの命の音を、ぼくは、忘れない。


西条・霧華
「己の結末を求める…それも武人としての在り方なのかもしれませんね。」

ならば私も全力でお相手したいと思います
守護者の【覚悟】を以て…

<真の姿を開放>し右腕と武器に蒼炎を纏います

纏う【残像と【フェイント】で眩惑し、【破魔】と【鎧砕き】の力を籠めた[籠釣瓶妙法村正]にて『君影之華』
相手の攻撃は【視力】を以て【見切り】、【残像】と【フェイント】を交えつつ【武器受け】
【オーラ防御】と【覚悟】を以て受け止め、返す刀で【カウンター】

人の世の安寧も、あなた自身の矜持も…
そのいずれも護ってみせます
それが私の示す武の在り方、守護者の誓いであり【覚悟】です

…だからどうか、過去と言う執着を捨て、輪廻の輪に還って下さい


アンナ・ロードストレーム
◎アドリブ・連携歓迎!
君が黒幕だね。それとも死に場所を探しているのかな?
終わりにしよう。これ以上人々を危険に晒さない為にも。

強いね。さっきみたいな小細工は効かなそうだよ。
でも一対一だと絶対に敵わない……。
今の僕に出来る事。それは盾になりつつ少しでも敵を傷付ける事。
大剣で接近戦を挑むよ。
【怪力】で攻撃を受け止めたり反撃したりするね。
相手の武器は鋭そうだから、付けられた傷から地獄の炎を噴出させてダメージの足しにしよう。

後は…拳銃を不意打ちで口元に撃ち込んで
読経を邪魔出来るかも知れない事は覚えておこう。
君は僧侶かい?何処までも身一つで済むのかも知れないけど
こっちは弱いから負けましたじゃ済まないんだ。



 深く傷つく仮面の武僧。それでも、仮面に隠された表情は窺えず、感情も表には現れない。
 しかし、戦う者達の間には通ずるモノがあるのか。滲むその感情を感じとる者も居る。
「己の結末を求める……それも武人としての在り方なのかもしれませんね。」
 霧華は、その想いを受け止める。その上で、全力を尽くす。
 彼女の右腕と、その得物『籠釣瓶妙法村正』は蒼く輝く炎に包まれる。これが解放されし“真の姿”。
「死に場所を探しているのかな?」
 アンナもまた、その感情を感じ取っていた。
 しかし、アンナにはどういった感傷も無い。戦って、戦って、戦って。負けたら、そこで終わり。だから。
「終わりにしよう。これ以上人々を危険に晒さない為にも」
 ある意味では、利害は一致しているのかも知れない。それでも、彼らは斬り結ぶ。剣と杖が、かん高い音を響かせる。
 武僧は落ちてきた体力を補わんと、二体の金剛力士を呼び出した。剣戟は、愈々激しいものへ。

 杖が空を裂き、夜気を震わせる。
 刀が血を払い、剣が唸りをあげる。
 物騒な音ではある。だがそれは、ある意味では尤もサムライの国に最も相応しい音であるのかも知れない。
 さりとて、放っておいて良いものでは無い。
 “夜の音探し”に散策をしていたステラ・ジオ(星詠みラジオ・f11605)は、だから助太刀の機を窺っていた。
 闇に紛れ、雑音と混じり、この地を、彼の敵を、見極める。
 見極めるのは、目に見えるものに限らない。彼の武僧の心の内までも、彼女は“聞いて”いた。
 聞こえた音に対して、彼女は行動を起こす。彼に相応しい終わりを、歌うのだ。
 ぽ、ぽ、ぽ、と明かりが灯る。それはステラの魔法の矢。今宵の月の様に淡く輝くそれは、『月女神の矢』。
 無数に飛び立ち、霧華、アンナと戦っていた金剛力士を取り巻く様に飛び回る。月の光で、惑わすように。

 独特の歩法で捉え所の無い、それでいて神がかりの速度で立ち回る霧華。小細工抜き、正面切って斬り結ぶアンナ。
 彼女達も、美しく飛び回る矢に気づいた。凄まじい力を持ったものだが、解る。味方だ。
 現に、金剛力士の動きは、目に見えて鈍っている。
 この機は逃せない。
 アンナが飛び込んだ。これまでの戦いで負った傷口からは血が滴り落ちるが、それも厭わずに、彼女は行く。この血は、力でもあるのだ。
 再び、正面から武僧の杖を打ち据えるアンナ。いかに剛剣でも、こうも単純では刃は届かない。
 しかし、それで良い。狙いは、武僧の動きを止めること。己に注意を引き付ける事。そして。
 地獄の炎が吹き上がった。力にて押し潰さんとしていた武僧にとり、それは虚を突く一撃となる。
「こっちは弱いから負けましたじゃ済まないんだ」
 宗教家が持つ一種の潔さとは違う。遣えるものは全て使うのだ。
 怯んだ武僧の前に、霧華が立つ。まるで地を縮めた様に突然に。
 護る。この世界の人々を。
 護る。ここに居る皆を。
 護る。あなたの、想いを。
 霧華が抜刀せんと柄手を取れば、武僧も読経により対抗せんとする。
 しかし、それは二筋の流星により遮られる。アンナとステラ。拳銃と、光線銃。
 そして武僧は、無防備で霧華の太刀を受けた。
 『君影之華≪コンヴァラリア≫』。
 その秘剣が断つは、肉体に非ず。その執着心。
 仮面の武僧。彼に相応しい終わりをもたらすべく戦った少女達。
 その心には確かに彼の命の音が響いた。
 そして、仮面の武僧もまた、終わりを悟ろうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

鞍馬・景正
首魁の登場ですか。
僧形とて、天下静謐を擾す輩に情けは掛けられぬ。

――参る。

◆戦闘
読経が長引く程、力を強化している様子。
なら懸りの太刀にて揺さぶるとしましょう。

八双に担ぎ、素早く間境を越して強襲の袈裟懸け。
剣速を最優先に刀勢は軽く、素人でも無ければ軽く払ってしまえる見掛けばかりの太刀を。

そして敵がその通りに打ち払ってくれば、その反発力を利用して切っ先で輪を描くように刀を旋回。

【手字種利剣】――鞍影心流十三打の一、虎輪。

即座に二歩目の踏み込みと共に、隙を晒した相手へ攻撃力重視の一刀を。

我が父が昔、天寧寺の善吉僧なる御仁に授かったという剣を独自に磨いた業のひとつ。

邪心を抱く身には、さぞ響くでしょう。



 最早、執着は無い。
 魔王信長に従い天下を争うという野心もとうに潰えている。
 しかし、武僧は立っている。何故にか?
 これまでで最も純粋な読経を唱え、彼は力を蓄えている。何の為に?
 景正には、彼の最期の望みが解った。
 ただ天下静謐を擾す輩ならば、情けなどかけぬ。
 しかし、目の前に立つのは、純粋に武を志したもの。そう映る。
 ならば、この刀にて応えるのみ。
 いざ。
「――参る」
 
 景正は刀を八双に担ぎ、武僧は杖を脇にとる。
 互いに間合いを探り合い、盗み合う。
 僅かに退けば、僅かに詰める。
 意により攻めれば、一歩も退かぬ。
 睨み合う間にも、武僧はその力を増して行く。それは景正に不利をもたらすか?
 そうではない。亢龍悔い有り。極まった力は、隙を生じるもの。

 不意に一歩、踏み込んだ景正が、間境を越えて神速の一刀を繰り出す。
 武僧は、渾身の力で払う。十分に払いのけて、逆手にて突くのだ。十分に払――。
 まるで、手応えが無かった。
 払いのける筈だった刀は、美しい輪を描く様に上段へ。
 突きを繰り出す筈だった杖は勢い余って正中線を晒している。誘い出されたのだ。
 勝敗は、決していた。
 ――鞍影心流十三打の一、虎輪。
 景正の父が去る神僧より学びし一手を磨きに磨いたその業が、武僧を唐竹割りに切り下げた。

 武僧は悟る。己の武への拘りこそが、邪心の始まりだということを。
 気づいた時には、もう遅い。しかし、己に相応しい決着とも思える。
 それをくれた猟兵達に感謝の念すら抱きつつ、武僧は骸の海へと却っていった。
 彼がその流転の業から逃れられたかは、定かでは無い。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月03日


挿絵イラスト