ハワイ沖、水深5,000mの暗黒の深海。
鋼神ウルカヌスは、太平洋の海底にある、高度な海洋文明『アトランティス』の海底都市の神殿内部で覚醒した。
「……また、『私』が猟兵に倒されたのか、くそっ!」
幾度と倒されては復活してきたウルカヌス。
だが、それもそろそろ限界だと予感していた。
覚醒した鋼神は、すぐさま世界中に散らばった仲間を呼び寄せることにした。
「レディ・オーシャンの従者、そしてあの戦闘狂の生き残ったクローンも呼び寄せるか。もはや私に一刻の猶予もない。ここも、いずれ猟兵達に嗅ぎ付かれるだろう。だが、今度こそは……!」
こうして、世界中に散らばった信頼できる最強の協力者達に招集をかけた鋼神は、急ピッチで神鋼の鎧を製造し始める。
今度こそ、猟兵達を打倒し、悲願である『神鋼兵団』の製造計画を実現させるために。
「鋼神ウルカヌスが同時に多数出現したっぽいっ!? 手が空いている人は手伝ってっ!」
グリモア猟兵の蛇塚・レモン(白き蛇神オロチヒメの黄金に輝く愛娘・f05152)は、すぐさま手近にいた猟兵達を集めて、今回の任務の内容を説明し始めた。
「アースクライシス2019で生き延びた敵幹部『ジェネシス・エイト』のひとり、鋼神ウルカヌスが、おそらく最後の攻勢に打って出てきたよっ! あたい以外にも、他のグリモア猟兵もほぼ同時に、鋼神ウルカヌスの『神鋼兵団』の動きをキャッチしたんだよっ! 多分、これが鋼神ウルカヌスとの最終決戦だろうねっ? みんなの力で、鋼神ウルカヌスを完全に撃破するのが、今回の任務だよっ!」
レモンが予知した『神鋼兵団』の動きは、ハワイ沖の水深5,000mの深海に存在する海洋文明『アトランティス』の海底都市だ。
「そこには、かつての『ジェネシス・エイト』の2体だった『レディ・オーシャン』の従者達と、生き残った『アシュラレディ』のクローンが、鋼神ウルカヌスの為に集結しているよっ! 従者たちは数で圧倒してくるし、『アシュラレディ』のクローンは神鋼の鎧を纏っていて、生半可な攻撃は弾き返しちゃう強敵だよっ!」
そして、本命の鋼神ウルカヌスは、絶対先制攻撃を仕掛けてくる超強敵である。
これまでのウルカヌス討伐戦と同じく、先制攻撃への対策を立てなければ、一方的に押し負けてしまうだろう。
「でも、皆ならどんな強敵でも圧倒できるって、あたいは信じてるからねっ!」
レモンがグリモアを起動し、ヒーローズアースへの転送を開始する。
鋼神ウルカヌスとの最終決戦にて、猟兵達の胸に去来するのは一体何か……?
七転 十五起
鋼神ウルカヌス最後の猛攻。
ということで、【鋼神挟撃】シナリオ、張り切って参りましょう。
なぎてんはねおきです。
このシナリオの難易度は【やや難】です。
それ相応のプレイング精度と行動量を求められますので、御理解の上ご参加下さい。
同プレイング内の複数回・複数種のユーベルコード使用は、オブリビオンもそれに対応してユーベルコードを複数回・複数種を放ってきますので、ご注意下さい。
第一章は集団戦です。
戦場はアトランティスの海底都市です。
(呼吸の心配はありません)
地の利は敵側にあることをお忘れなく。
第二章はボス戦です。
海底都市の中心にある神殿内部での戦闘です。
『敵の鎧の隙間を狙う、冴えたプレイング』にはプレイングボーナスが発生します。
第三章は鋼神ウルカヌスとの直接対決です。
猟兵の使うユーベルコードに応じて【必ず先制攻撃を仕掛ける】ので注意。
何も対策をしないと、一方的に排除されます。
ですので『敵の先制攻撃への対策を講じる』事が重要です。
対策を講じた方はプレイングボーナスを差し上げます。
ですが、成功度合いはダイスの女神様に一任します。
それでは、皆様の熱の籠もったプレイングをお待ちしております!
第1章 集団戦
『『海を統べる者の従者』アクア・ガールズ』
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POW : アクア・リヴェンジャー
全身を【倒れた仲間の体で構成する水のオーラ】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【戦闘不能者数】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
SPD : アクア・ウェポン
装備中のアイテム「【アクア・ウェポン】」の効果・威力・射程を3倍に増幅する。
WIZ : アクア・ボール
【周囲の水を集めて作ったアクアボール】を降らせる事で、戦場全体が【水中】と同じ環境に変化する。[水中]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:麻宮アイラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
エメラ・アーヴェスピア
話には聞いていたのだけれど…ウルカヌス、未だに残っていたのね
戦争中、結局戦う機会はなかった訳だけれど…確かにそろそろ撃滅すべきかしら
その為に私も力を貸しましょう
いきなり戦い辛い場所ね…水中戦なら私の選択肢はあまり広くないわ
ドレスベースを対象にUC発動
水中用の高速推進装置や装甲、魚雷等の兵器を装着…息ができるなら酸素ボンベは要らないわね
機動力を生かし、魚雷を撃ち込んでいくわ…比較的新しい兵器の魔導冷凍魚雷をね
一部でも凍らせてしまえば行動に不具合を起こせる筈
確実に再利用されないように処理していきましょう
…制作中の冷凍系の新兵器が間に合えば良かったのだけれど…手間取っているのよね
※アドリブ・絡み歓迎
ハワイ沖の海底にひっそりと佇むアトランティスの都市に、ソーダ水の身体を持った少女達が厳戒態勢で巡回をしている。
ここに来る直前、特殊な光線を浴びて深海適応能力を得たエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は、建物の影に身を潜めていた。
「話には聞いていたのだけれど……ウルカヌス、未だに残っていたのね。戦争中、結局戦う機会はなかった訳だけれど……確かにそろそろ撃滅すべきかしら」
同時多発予知による【鋼神共撃】作戦は、ウルカヌスの完全殺害を目的としている。
「いきなり戦い辛い場所だけど、ウルカヌス討伐の為に私も力を貸しましょう」
そう独りごちると、彼女はすぐさま戦闘準備に入る。
「水中戦なら私の選択肢はあまり広くないわ。水中用の高速推進装置や装甲、魚雷等の兵器……息ができるなら酸素ボンベは要らないわね」
頭の中でリストアップしたエメラは、手持ちの駆動用魔導蒸気缶を自身の浮遊型魔導蒸気製兵器固定用装備『ドレスベース』に装着を開始する。
「必要な兵器の選定終了……魔導蒸気缶装填……魔導蒸気機関起動確認……兵器の換装を開始……」
すると、エメラの装備がみるみるうちに水中戦に特化した武装へと変化してゆく!
これぞユーベルコード『我が紡ぐは戦装束(バトルドレス)』!
「……完了! さあ、征くわよ!」
エメラはジェットパックを噴出させながら猛進を開始。
アクア・ガールズ達の不意を突き、先制攻撃を放った。
「新兵器の魔導冷凍魚雷を喰らいなさい!」
大量の泡を放出しながら、魔導冷凍魚雷が魚雷管から発射される。
そのままアクア・ガールズ達の輪の中に直撃!
「きゃあああぁーっ!?」
炸裂した弾頭から放たれた超低温の冷気が海水ごとアクア・ガールズ達を凍結させ、そのまま砕いてしまった!
「敵襲だよっ! みんな、仲間の敵を討つよっ!」
リーダーらしき個体の号令を受け、アクア・ガールズ達の纏うオーラが強くなる。
倒れた仲間の身体から飛び散ったソーダ水を吸収しているのだ。
「それじゃあ、手数で押してゆくよ!」
「「おーっ!」」
アクア・ガールズ達が指先から水の弾丸を一斉に発射!
攻撃回数が上昇した弾幕の威力は、建物を一瞬で蜂の巣にしてしまうほど強力だ!
しかし、エメラの機動力はユーベルコードによって強化されており、弾幕が届く前に緊急回避に成功していた。
「……制作中の冷凍系の新兵器が間に合えば良かったのだけれど……手間取っているのよね。地道に凍結させて、少しでも再利用されないようにしながら数を減らしてゆくしかないわね」
魔導冷凍魚雷を発射しては離脱してゆくヒット&アウェイ戦法を駆使し、エメラは着実にアクア・ガールズ達の数を削り始める。
このエメラの活躍により、都市の警備が手薄になったため、後続の猟兵が次々と到着し始めた。
「順調ね。このまま頭数を減らしてゆきたいところだわ」
ジェットパックで三次元潜航するエメラは、その後もアクア・ガールズ達を絶えず撹乱してゆくのだった。
成功
🔵🔵🔴
箒星・仄々
鋼神さんを撃破しましょう
他PC様の攻撃で大混乱のようです
一気にいきましょう
目旗魚のランさんに咥えられ敵陣へ突撃
ガールズさん達めがけて矢を放ち
水&風の魔力を発動
海水を押しのけた大きな空気の泡を形成
その内部に捉えます
これで水中適応は無意味です!
ランさんに吐き出してもらって
泡の上にぽよんと降り立ったら
掌から炎の魔力を直接内部に放ち
酸素と反応させ爆発させます
私は魔力操作と力場でダメージ逸らし
爆発の水流に乗って別のガールズさん達の元へ
これを繰り返します
この間
水中適応で行動成功率上昇したランさんは
超速での剣(吻)の突撃で牽制してくれています
事後にガールズさん達が骸の海で安らげることを願い
黙とうします
海底神殿を守るアクア・ガールズ達は、今や猟兵の強襲によって恐慌の渦中にある。
「先陣を切った猟兵様の攻撃で大混乱のようですね」
海底都市に転送された黒猫のケットシーこと箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、海水を掻き分けながら『カッツェンリート(ねこのうた)』の名の付いた懐中時計を取り出す。
頭頂部のボタンをグッと押し込むと、懐中時計がたちまち蒸気機関式竪琴へと展開された。
「さぁ、一気に行きましょう。そして鋼神さんを撃破しましょう」
箒星はここで自身の“槍”を呼び出す。
それは全長5mの目旗魚(メカジキ)であった。
『カッツェンランツェ(ねこのやり)』……愛称ランさんは、主の箒星を口に咥えると、体が持ってかれそうなほどの加速度で海中を突撃し始めた。
突如として海底都市の中を回遊し始める目旗魚の出現に、アクア・ガールズ達は更に大混乱!
「なんでここにカジキがいるの!?」
「きゃあっ! あの剣みたいに尖った部分が怖いっ!」
アクアガールズ達は逃げ惑いながらも、周囲の海水をアクア・ボール化させて自身の行動成功率を上昇させる。
しかし、相手は巨大魚だ。いわば水中こそランさんの本領発揮の場だ。
アクア・ボールはランさんの行動成功率をぐんと引き上げさせてしまっているのだ。
「ランさん、ここでおろして下さい」
箒星の声に、ペッと吐き出すランさん。
そのまま敵中手突撃してゆき、鋭利な剣状の部位で敵を刺突して回ってゆく。
「海中での行動成功率を上げるのでしたら、海中を取り除いてみせましょう」
箒星が竪琴を掻き鳴らしながら魔力を練り上げてゆく。
炎、水、風の三属性がグルグルと彼の周囲を駆け巡りだすと、それは次第に魔力の矢へと変換されてゆく。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ~」
365本の水と風の矢を敵集団の真ん中に撃ち込めば、海水は渦巻き、空気が水圧を押し退けて空気のドームを形成した。
その中へアクア・ガールズ達を閉じ込めると、仕上げに箒星は残された炎の矢を猫の手に宿す。
「魔法で酸素たっぷりの空気ドームを作って閉じ込めました。もう水中のように行動が上手くいきませんよ!」
そのまま空気ドームへ直に接触したまま炎の矢を放つ箒星。
海中で水蒸気の泡を発生させながら突き進む炎の矢が空気ドームに突き刺さると、酸素に引火してドーム内は炎で満たされてゆく。
「きゃああああーっ!?」
密閉空間の中で爆発した敵は一網打尽で骸の海へと沈んでゆく。
箒星は爆発の衝撃で後方へ吹き飛ばされるも、駆け付けたランさんが再び口でナイスキャッチ!
ついでに魔力操作で爆発の衝撃をカットする徹底ぶりだ。
「ガールズさん達が骸の海で安らげることを願いします……」
短い黙祷を捧げたあと、箒星は襲い掛かってくるアクア・ガールズ達へ再び魔法の矢を放ちながらランさんと一緒に海底神殿を目指してゆく。
大成功
🔵🔵🔵
大神・零児(サポート)
アドリブ共闘可
多対一又は多対多の場合
多数を一度に相手にできるUCを選択
各個撃破の場合はUCの選択はマスターに任せます
戦闘のみの場合
所持している武器・アイテムを効果的に使い
戦局を有利にするよう行動(フラッシュバン・煙幕等で攪乱や敵の隙をつくる等)
救出・護衛
対象者の命最優先で行動
敵の動きに注意し、牽制しながら戦う
仲間との連携・連絡はアイテムも駆使し密にする
常時使用技能
戦闘知識
第六感
野生の勘
見切り
世界知識
地形の利用
咄嗟の一撃
ダッシュ
ジャンプ
学習力
情報収集
早業
敵を盾にする
護衛・救出対象等有
拠点防御
時間稼ぎ
鼓舞
失せ物探し
オーラ防御
覚悟
救助活動
かばう
聞き耳
C-BA使用時
運転
操縦
動物使い
動物と話す
運搬
騎乗
フォルセティ・ソルレスティア(サポート)
◆性格
明るく元気で、好奇心旺盛で何にでも興味を持つけど、少し飽きっぽいところも。
年齢より子供っぽく(見た目に近い)、味覚も完全にお子様。
よく女の子に間違えられるが、言うほど気にしていない。
口調は「ボク~だよ」「わー、~だね」
◆戦闘
聖なる箒を振り回して、遠距離からの魔法系UCを使用。
グアルディアン・サトゥルノで相手のUCを相殺したり、ラビリント・ネプトゥノで
行動を制限したりすることもある。
フィニッシュはカラミダド・メテオーロが多い。
TPOに応じて愛用の宇宙バイクで戦うことも。意外と乗りこなす。
負傷者がいれば楽器演奏と歌で癒すことも多い。
◆非戦闘
情報収集を中心にしつつも直感を信じて行動することも
手厚い海底神殿への守りに、猟兵達はなかなか戦線を押し上げられずに苦しんでいた。
そこへ、救援の猟兵2名が急遽、海底都市へ転送されてきた。
「任務内容は把握した。水中でも呼吸できるのはありがたいな」
人狼の大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は『C-BA Mk=7』を機械獣モードのまま背に跨り騎乗すると、妖刀『魂喰』と其の鞘である黒剣『黒鞘』を左右の手に握って二刀流の構え。
もうひとりの救援猟兵のフォルセティ・ソルレスティア(星海の王子様・f05803)は、聖箒ソル・アトゥースを片手に、此方も『空飛ぶ箒』と名付けられた流線形が美しいバイク『Flying Broom GTS』に跨っていた。
「海中でのツーリングなんてワクワクするね! 頑張って敵を蹴散らしちゃうよ!」
奇しくもライダーコンビでの共闘となった大神とフォルセティ。
軽く自己紹介を済ませると、そのまま、海底神殿を警備するアクア・ガールズ達の集団へ突っ込んでゆく。
「俺が先陣を切る。フォルセティは後ろから援護を頼む」
「任せて下さい! ボクの魔法で零児さんを守ります!」
目上の人への敬語は忘れない。
魔法の箒に魔力を充填し始めるフォルセティをチラリと盗み見た大神は、早速、小型グレネードランチャーから、擲弾を発射!
一発で煙幕、チャフ、爆破、プラズマ、毒、金属片をばら撒く強化型小型グレネードが敵中で炸裂すれば、奇襲を食らったアクアガールズ達がまとめて吹っ飛ばされた。
そこへ縦横無尽に駆け巡る機械獣の背から、魂を啜る斬撃と岩をも砕きかねない打撃の連打を繰り出す大神。
「何かされる前に速攻で潰させてもらう」
大神が乗る機械獣が通り過ぎる度に、少女達はソーダ水を撒き散らして爆散していった。
「このままじゃ全滅だわ……!」
「仲間の敵を取るわよ!」
残されたアクア・ガールズ達は、ようやく仲間の残骸をオーラに変換して攻撃回数を強化。
指先からサブマシンガンのごとく、水の弾幕を一斉に大神へ放ってきた。
「フォルセティ、今だ!」
「了解です! はぁぁーっ!」
高速詠唱から繰り出されたユーベルコード『イスベル・ウラーノ』によって、天空より召喚した氷塊を海上から降り注がせるフォルセティ!
大神の前に氷塊が壁となって、水の弾丸を遮ってくれた。
フォルセティはそのままバイクで駆け回り、ユーベルコードの一撃離脱戦術を繰り返す。
「星霜纏いし冷厳の天王。黄天より招くは無窮の霊氷。氷で押し潰されちゃえ!」
「しまっ……っ!?」
海水の中では、氷は透明になって視認し辛いのだ。
気が付いた時には、巨大な氷塊は少女達の目と鼻の先にあり、為す術なく彼女達を圧殺してゆく。
「そろそろ俺も本気を出すか」
大神は妖刀『魂喰』に普段のの倍以上もの己の魂の量を喰わせることで、超強化を図ることが出来るのだ。
「起きろ、魂喰! そして、全部喰っていいぞ」
ユーベルコード『魂喰完全開放』は、妖刀を大神の持つ“魂喰”の名の付くユーベルコードを誘発させる状態に変化させて殺傷力を増す。
そして、今回出てきたのは『悪食魂喰「荒魂」』だった。
大神は妖刀を無造作に振り抜くと、海底都市全体を飲み込む程の衝撃波を発生させた!
「「ぎゃああぁーっ!?」」
断末魔を上げる少女達の魂を大量に食らった妖刀に、大神は肩で息を切って安堵の表情を浮かべる。
「今日はたくさん食えて満足だろ、『魂喰』……?」
所持するだけで、持ち主の魂を喰らい続ける妖刀に、通常の倍以上の自身の魂を捧げた大神の消耗は激しい。
「すごいですね! 一撃で周囲の敵が一掃されました! って、大丈夫ですか!? 今、治療しますねっ?」
フォルセティは慌てて銀月琴ルーナ・プラータを掻き鳴らし、その演奏と歌声で大神を癒やしていった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ドゥルール・ブラッドティアーズ
【ソロ希望・SPD】
こんにちは、可愛い子ちゃん達♥
貴女達オーシャンお姉様の従者なんですって?
なら貴女達も私と一緒に来るべきだわ
意味が分からない?
……こういう事ですよ~☆
守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高めると共に
レディ・オーシャンの面影を見せて動揺を誘い
【全力魔法】による『海神の戯れ』
私を中心に直径80mの渦潮を起こすわ。
アクア・ガールズの攻撃力や射程の3倍化は厄介だけど
それを発揮される前に無力化すればいい
目を回して 体力・精神力ともに弱った彼女達を
【誘惑・催眠術】で魅了。
濡れた姿に嗜虐心を覚え【慰め・生命力吸収】の威力もアップ♪
幼い体の隅々まで口づけて、愛撫して、悦びを教えてア・ゲ・ル♥
海底神殿の守りが薄くなってきた。
あとひと押しでアクア・ガールズを撲滅できそうだ。
と、そこへ、やけに軽装なツインテールのダンピールの女性が姿を表す。
「来ましたね、猟兵!」
「此処は通しません!」
オブリビオンであるアクア・ガールズは、目の前のドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)を猟兵だと判断して敵対行動を取る。
だが、ドゥルールは徒手空拳、薄着のワンピースに漆黒のマントを肩に羽織っているだけ。
「こんにちは、可愛い子ちゃん達♥」
しかも敵である彼女達に対して親愛の態度を向けてくるのだから、アクア・ガールズは困惑してしまう。
「貴女達、オーシャンお姉様の従者なんですって? なら貴女達も私と一緒に来るべきだわ」
「オーシャンお姉様ですって? 何者よっ?」
「何故あなたと一緒に来なければならないのですか!」
予想通りの反応に、ドゥルールはクスクスと笑みが溢れる。
「意味が分からない?」
そう告げた次の瞬間、ドゥルールの口調が、アクア・ガールズのよく知るそれとなる。
「……こういう事ですよ~☆」
ドゥルールの背後に、レディ・オーシャンの霊体が守護霊となって出現。
そしてドゥルールの中へ入り込むと、その仕草や面影がレディ・オーシャンに告示する。
「あれは、レディ・オーシャン様!?」
「どうしてそこにいらっしゃるのですかっ?」
混乱と動揺がアクア・ガールズに疾走る。
自分の主が猟兵に手を貸している、と疑念と現実否定に揺らぎ、彼女達は戦意を削がれてしまった。
ドゥルールは思惑通りに敵が怯んだ隙に、ユーベルコードを先んじて容赦なく放った。
「ほら~、水遊びのお時間ですよ~☆」
半径80mの海水が渦巻き、ドゥルールを中心とした大渦潮が発生!
あっという間にアクア・ガールズは大渦潮に飲み込まれ、彼女達の武器を強化するユーベルコードを封じてしまった。
「きゃああああーっ!」
「攻撃! 誰か攻撃して!」
「ダメよ! あれの中にはレディ・オーシャン様がいるわ!」
「じゃあどうすればいいのよーっ!?」
アクア・ガールズの阿鼻叫喚を聞きながら、内心、ドゥルールは安堵の声を漏らす。
(アクア・ガールズの攻撃力や射程の3倍化は厄介だけど、それを発揮される前に無力化すればいいわ。正直、いつ撃たれるかヒヤヒヤしたわ……)
だが想定以上に敵が動揺してくれたのは運が良かったと言えよう。
「さぁ、そろそろ仕上げよ?」
大渦潮で半数以下まで数が減ってしまたアクア・ガールズ。
彼女達は目が周り、着衣が乱れ、もはや戦意は完全に喪失された。
だが、ドゥルールは彼女達と“友達”になるための『通過儀式』を行うべく、ぐったりする彼女達へ歩み寄る。
「ふふっ♥ 渦潮で濡れて乱れた着衣を纏う未発達な女の子ってセクシー♥」
舌なめずりするドゥルールから逃げようと這い回るアクア・ガールズだが、すぐに首根っこを捕まれてしまう。
「だぁめ♪ そんな嗜虐心をそそる姿を見たら、もう……!」
ギラリと瞳の奥が輝くドゥルール!
本能的に身の危険を察知したアクア・ガールズの表情が強ばる。
「私達を、どうする気ですか……!」
「怯えなくていいわぁ……ほら、あそこの廃屋で一休みして“おしゃべり”しましょう? ちょうど、美味しい羊羹があるの。もうイジメないから……一緒にきてくれるかしら?」
「羊羹!?」
「食べます!」
外見通り、思考回路も幼いのか、羊羹に釣られてドゥルールの後ろをゾロゾロとついて行くアクア・ガールズ。
だが……。
「それじゃあ……いただきま~す☆」
「ああーっ!?」
レディ・オーシャンの魂を宿したまま、ドゥルールはアクア・ガールズを思い通りに手篭めにして、彼女達の魂を接吻で解き放ってゆくのであった。
「う~ん、大漁大漁ねん☆」
大成功
🔵🔵🔵
第2章 ボス戦
『アシュラレディ』
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POW : 阿修羅旋風
予め【六本の腕に持った刃物を振り回す】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD : ブレイドストーム
自身が装備する【愛用の刃物たち】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
WIZ : シックス・ディフェンス
対象のユーベルコードに対し【六本の刃物による連続斬撃】を放ち、相殺する。事前にそれを見ていれば成功率が上がる。
イラスト:otomo
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
海底神殿の内部。
ここは海水ではなく空気が存在しており、地上と変わらぬ行動が可能だ。
「マジでムカツクね! 暇してたレディ・オーシャンの従者をあれだけ掻き集めて大量投入しても、結局、猟兵(イェーガー)に神殿へ侵入されてるじゃねーか!」
そう苛立つのは6本腕の剣士、アシュラレディ。かつて『アースクライシス2019』で猟兵達と激突した『ジェネシス・エイト』の1体である『戦神アシュラ』の量産クローン、劣化版が彼女である。
「アタシのオリジナルが殺されるほどの強敵だ、生半可な覚悟で向かうのは命取りだね。だが、今のアタシには、ウルカヌスから貰った、この神鋼の鎧があるのさ! これは物理・魔法・精神といったありとあらゆる攻撃を跳ね返す無敵の鎧だからね! そこにアタシの6本腕の剣技が組み合わされば文字通り、向かうところ敵なしさ! まー、急拵えだから、ところどころに隙間があるが……こんなところを狙い撃てるわけないよな!」
アシュラレディは勝ち誇った様子で大声を上げ、やってきた猟兵達に告げた。
「よく来たな、猟兵(イェーガー)! アタシのオリジナルをよくも殺してくれたねっ? ウルカヌスの悲願は『ジェネシス・エイト』の悲願、そしてクライング・ジェネシス様の悲願でもあるんだよ!」
アシュラレディは6つの刃を煌めかせると、怒気と殺気が入り混じった凄まじい闘気を猟兵達へぶつける。
「さーさー、殺し合おうか、猟兵(イェーガー)!」
シャノン・ヴァールハイト(サポート)
種族:人間
外見:183.7cm、赤茶色の瞳 、赤髪 、普通の肌
特徴:無表情、眼光鋭い、肌を露出しない、世間知らず、奴隷だった
口調 男性的(自分の愛称、貴殿、だ、だな、だろう、なのか?)
一人称:当方
基本的に、敵には殺意しか抱かないが、そうでない弱者は守る対象で、他は自分でどうにか出来ると考えている。
特徴は技能値460を超える怪力とソレを利用したUCでの攻撃。
ニノマエ・アラタ(サポート)
ふだんは無口(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)
だが、状況に応じて会話する。
相対する存在への礼儀は忘れない。
敵を前に怯えたり、ひるんだりはしない。
ユーベルコードは有効と判断すればどれでも使用、
怪我は厭わず積極的に行動する。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしない。
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしない。
あとはおまかせ。絡みやアドリブは常に歓迎する。
●ボス戦章に参加した場合
敵の動きを封じこめるべく、積極的に攻撃します。
攻撃することで弱点を探る等、突破口を開こうとします。
後先のことは考えず、全力で敵に突撃します。
動きながら敵の動きのクセを把握し、次の一撃へ繋ぎます。
虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えての自爆活動だよ
アドリブ連携等ご自由にどぞー
登場即自爆
とにもかくにも速攻で自爆
台詞よりも活躍よりも速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
自爆自爆自爆
何かいきなり自爆する動く怪奇現象
自爆という概念生物
技能:捨て身の一撃を用いてのオウサツモードによる広範囲自爆
対象は範囲内の敵全て
強化は攻撃力重視
射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
近づかない動かない、即自爆
捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して退場さ
神楽坂・神楽(サポート)
「君が今回のターゲットだね」
「僕の目と耳からは逃れられないよ」
「それじゃあ、捕まえさせてもらおうか」
UDCエージェントとして活動している女子高生格闘家です。
突然変異により超常的な身体能力を有しており、それらを活用して捜索や戦闘を行います。
それらで対応できる程度の敵には正攻法で戦い、捕縛したりもしますが、それ以上の敵には殺神鬼としての武具とUCを使用し、抹殺することを楽しみます。
「うん、合格。それじゃあ、今から本気で行こうか」
「僕の糸と目、どこまで防げるかな?」
「君は捕まえてやるって言ったね。あれは嘘だよ」
猟兵達の戦術の強みとして『数』が挙げられる。
質もさることながら、入れ代わり立ち代わり救援が駆け付けられる転送術は敵にとって厄介極まりない。
海底神殿の内部、救援として転送された猟兵4名は、互いに武器を取ってアシュラレディと対峙する。
「……なるほど、当方はあれを殺せばいいんだな? 任務、了解だ」
シャノン・ヴァールハイト(怪力乱神・f10610)は巨大な鉄塊の鞘から禍々しい輝きを放つ堕銀の剣を抜き払った。
「……ニノマエだ。その首、貰い受けるぜ」
ニノマエ・アラタ(三白眼・f17341)はボソリとアシュラレディに告げた。
普段が無口なニノマエだが、相対した敵への礼節は欠かさぬように心がけているのだ。
「君が今回のターゲットだね」
救援として一番戦意を剥き出しにしている神楽坂・神楽(UDCエージェント・f21330)が、敵を前にしても柔軟体操を欠かさない。
「君は神様? 腕が六本ある仏像とかあったけど、あれ? となると仏様かな? ま、どのみち殺しちゃうから関係ないか」
トントン、とスニーカーのつま先でニ、三度地面蹴ると、神楽坂は真っ先にアシュラレディへ飛び込んでいった。
「それじゃあ、捕まえさせてもらおうか」
拳を振り上げてアシュラレディの顔を狙う。
だがアシュラレディは冷静にバックステップ、続く連続ジャブを6本の刃の峰で弾き返してゆく。
「へぇ、なかなか疾いね!」
「うん、合格。それじゃあ、今から本気で行こうか」
「は? こっちだって全然本気じゃねーっつーの!」
戦闘狂と殺神鬼の激しい激突、攻防の応酬が暫く続く。
そこへニノマエが『妖刀 輪廻宿業』の柄に手を掛けたまま捨て身の突撃!
アシュラレディは左半身の3本の刃で、空気まで切り裂きそうな速さの斬撃を受け止める!
その剣圧はアシュラレディの足をよろめかせるのに十分だ。
「6本も腕があるんだから、猟兵2人左右の攻撃を受けて丁度いいんじゃない?」
神楽坂の挑発に、アシュラレディは憎まれ口を返す。
「うるさいね! たった2本の腕はアタシの3本の腕で事足りるよ! けど、これでどうだい!?」
アシュラレディの持つ6本の剣が次々に複製・増殖してゆくではないか!
「アタシはLv80! そしてユーベルコードで愛用の剣1本につき80本複製さ! つまり……こういうことだ!」
猟兵達の周囲を480本の複製剣が念動力で宙を舞っている!
「斬り刻まれな! ブレイブストーム!」
大量の刃が猟兵達の周囲を駆け巡り始め、ミキサーめいて骨肉を挽き裂かんと向かってくる!
そこへ飛び込んだのはシャノンだ。
「させるか、手数を増やして対抗させて貰うぞ!」
シャノンの左腕に、いつの間にかナックルガードが装着されている。
その左腕が突き出されると、眼前の複製剣の群れがたちまち粉砕された。
「光速衝撃(インパルスセレシティ)! 3億5千発以上の光速の拳から繰り出される衝撃波、受けきれるか?」
押し寄せる剣をシャノンの左腕が次々に砕いてゆく。
これに続けと神楽坂も奥の手を繰り出す。
「実は集団戦も得意なんだよね」
神楽坂の身体が次第にぼやけてゆく。
……否、ぼやけて見えているのではなく、実際に分裂している!
「おいで、神殺しの僕(しもべ)たち。あの剣を叩き落としておいて。僕は、6本腕を殺すから」
分裂するかのように召喚された59人の神楽坂は、向かってくる大量の剣を体術で叩き落としてゆく。
「おまたせ、それじゃあ、続きを殺ろうか?」
「調子に乗るなよ、猟兵(イェーガー)!」
「……俺もいるぞ」
点を穿つような牙突を繰り出すニノマエ!
アシュラレディは剣の峰で軌道を逸して直撃を免れるも、腕の筋肉を裂かれて血が溢れ出した。
「おっと、そのまま吹き飛べ!」
間髪入れずにシャノンの拳がアシュラレディの鳩尾に入り、そのままま後方へ吹っ飛ぶ!
「げフッ!?」
隙間に衝撃波が突き刺さり、アシュラレディの肺を圧迫!
「……ん? なんだ?」
初めて苦悶の声を漏らしたアシュラレディは、その背にぶつかったやけに弾力のある感触に違和感を覚える。
振り返ると、そこには、ひらがなの『うつろぎ』が立ち尽くしていた。
「どうも、はじめまして、かな?」
キラン☆と『う』の上の点部分が少女漫画のキラキラエフェクトで輝く。
この瞬間、アシュラレディの思考が大渋滞。
(なんだコイツ!? 生き物なのか!? うつろぎ、ってどういう意味だ? なんで割と手触りいいんだムカツクな!? てか、いつの間に居たんだ? ああ糞が、見た目とか存在そのものの情報量多すぎてよく分からねぇ!)
混乱するアシュラレディを前にした虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)は、立派な猟兵のひとりである。
なんか前世は殺人者だったけど、顎が立派なロードローラーになって同僚に殺されたような、救出されて生還したような。とにかく、顎が立派なロードローラーになって死んだことは間違いなく、気が付いたらブラックタールの“ひらがな”になっていた系猟兵である。……てか情報量多いよ大体顎が立派なロードローラーが闇落ち姿って絵面がずるくね?
「というわけで、早速ですが……」
うつろぎは胸(何処?)を張って宣言した。
「自爆で摩擦を削ぎ落とす。うつろぎ(ペロペロモード)です」
刹那、アシュラレディの視界が閃光と爆炎で覆われる。
速さと質量が基本の殺戮術『切宮殺戮術』の使い手。その『うつろぎ式』は自爆までの速さと爆発力がウリである。
というか、出オチ同然の自爆が、うつろぎの真骨頂だ。
零距離自爆が直撃したアシュラレディは、再び吹っ飛ばされてしまった。
「がはッ……!」
地面に血反吐を撒き散らすアシュラレディ。
あれだけの爆圧、鎧の隙間など関係ない!
「ふざけた姿でナメた真似しやがって……!」
すかさず破壊されていない複製剣を念動力でうつろぎへ空から降らせてゆく。
だが、うつろぎは自爆の反動で黒焦げ、身動きが取れない!
このままでは斬り刻まれて『う』と『つ』と『ろ』と『ぎ』に分断されてしまう!
しかし、うつろぎに接触した剣先が、つるんっと滑って軌道を逸れてしまった。
それも1本だけではなく、全ての剣の刃が、うつろぎの身体に突き刺さらずに、ちゅるーんとそのまま滑っていってしまう。
「……今、僕に何かしたか?」
強者感溢れるセリフを吐いて、今度こそ、うつろぎは自爆の反動でその場に倒れ込んだ。
「ピーヒョロロロー、ピーブピーブーピーガーーーーーーー」
妙に上手なFAXの送信音のモノマネを口にしながら、うつろぎは転送されて帰還していった。
アシュラレディだけではなく、猟兵達も唖然として立ち尽くしてしまう。
その中で、ひとり、無言でアシュラレディの首筋へ剣閃を迸らせる猟兵がいた。
「……隙あり」
ニノマエだ。
「くっ……!」
すかさずアシュラレディは6本の腕で斬りかかるが、その動きはニノマエが既に見切っていた。
妖刀の刃に全ての業を断ち彼岸へ導く力を籠めたニノマエは、満を持してユーベルコードを放つ!
「……諸共に」
アシュラレディの剣撃を掻い潜り、その肉体を素通りする妖刀の刃。
(斬られた! ……なのに怪我していない?)
アシュラレディの肩口から脇まで通った刃は、その肉体と鎧を一切傷付けていなかった。
だが、すぐにアシュラレディはその場に蹲ってしまう。
「なん、だ……? 力が、急に入らなく、なって……?」
「……俺が斬ったのは、この世界に存在するための因(よすが)……だ」
「ッ!?」
つまり、オブリビオンとしてこの世界に居座るための“存在意義”という概念を斬り捨てたのだ。これならば鎧の隙間など関係ない!
存在が次第に希薄になってゆくアシュラレディへ、追い撃ちが迫る。
「君は捕まえてやるって言ったね。あれは嘘だよ」
神縛りの糸がアシュラレディの思考、概念などあらゆるものを縛り、切り裂く。
細い糸が鎧の隙間に入り込むことで、甚大なダメージを敵に与えたのだ。
「糞がっ! やむを得ないか!」
アシュラレディは腕の一本を糸で削ぎ落として拘束を振り解くと、剣を口に咥えたまま海底神殿の更に奥へと逃げてゆく。
その後を、黒猫の猟兵が追い掛けてゆくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
箒星・仄々
神鋼兵団なんてとんでもありません
レディさんは骸の海へお還りいただきましょう
UCを相殺するUCなのですね
それを逆手にとり勝機としましょう
神殿ですのでちょっと気が引けますが…
矢で天井や壁を壊し
破片をレディさんへ
鎧もあるし無傷でしょうけれど
そしてレディさんへ矢
放つと同時に魔法の迷彩で姿を隠します
魔力そのものは相殺されても
或いは鎧で防がれても
突風や火の粉、水飛沫で視覚を阻害
疾風で加速し接敵
迷彩解除
残像伴う動きで間合いに入り
早業で抜刀
見切った鎧の隙間に刺突
柄頭の鈴がちりん
刃から魔力放出しダメージ
反撃に備え背面跳躍で距離をとります
旋風纏い回避
激流の盾で防御
ランさんも牽制してくれます
事後に
安寧を願い奏でます
「ああ、チクショウ! まだ追ってくるのか、猟兵(イェーガー)!」
これ以上は鋼神ウルカヌスの領域だ。
アシュラレディは踵を返すと、口に咥えた剣を噛み直し、追走してきた黒猫の箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)と対峙する。
「神鋼兵団なんて、とんでもありません。この世界は平和になったのですから。レディさん、申し訳ありませんが、そのまま骸の海へお還りいただきましょう」
「抜かせ……! クライング・ジェネシス様の仇……!」
もうこれ以上の言葉の応酬は不要だ。
箒星もアシュラレディも、次の一合でどちらかが、死ぬ。
それを悟った瞬間、両者は同時に動いた。
箒星はカッツェンリートを懐中時計から蒸気機関式竪琴へ瞬時に変形させると、魔法の矢をアシュラレディの頭上の天井へ向けて発射!
「神殿ですのでちょっと気が引けますが……!」
射抜かれた天井は瓦礫となって、アシュラレディの頭部を押し潰さんと降り注ぐ!
「こんな小細工……!」
アシュラレディは口と腕の6本の剣を素早く振るい、瓦礫を細く裁断して直撃を免れる。
それを見た箒星は、敵のユーベルコードを見定めた。
(攻撃、ないしユーベルコードを相殺するユーベルコードなのですね。では、それを逆手にとり勝機としましょう)
すかさず竪琴をかき鳴らすと、炎・水・風の三属性の魔法の矢を出現させる。
「さあ、ちょっと派手にいきますよ~?」
370本の3属性魔法の矢の弾幕がアシュラレディに降り掛かる!
「無駄無駄無駄だオラァッ!」
浴びせられる魔法の矢を6本の刃が叩き落としてゆくが、火の粉や風塵や水飛沫が顔に掛かるたびにアシュラレディの視界を奪ってゆく。
嵐のような矢の弾幕が止んだかと思ったら、今度は巨大な物量がアシュラレディの目の前に突っ込んできた。
(おいおい、嘘だろっ!? 水もないのになんでメカジキが“泳いで”るんだぁ!?)
剣状の部位で刺突せんと飛び込んできたメカジキことカッツェンランツェ(ねこのやり)こと全長5mのランさんだ。
「邪魔だ! 刺し身にすっぞオラ!」
ランさんを蹴っ飛ばして地面に転がすアシュラレディ。
そのまま6本の剣でランさんを三枚に下ろさんと刃を振り下ろさんとしたその時だった。
「チェック・メイト、です」
箒星の声がアシュラレディの背後から聞こえると、その腹からレイピアの切先が飛び出した。
カッツェンナーゲル(ねこのつめ)と名付けた魔法剣が、アシュラレディの纏う神鋼の鎧の隙間を的確に捉え、背中から胸を一気に貫いたのだ。
「な……っ!? いつの、間に……? さっきまで、そこに、いたは、ず……?」
アシュラレディの口から剣と血がが零れる。
「あれは残像です。……そして魔法の矢の弾幕で、レディさんが防御に徹した際、私は魔法で気配を薄くしたのです。そしてランさんが飛び出してくれた瞬間に背後に回り込んだのです」
そして箒星の背を局所的な追い風を魔法で吹かせ、加速した勢いで鎧の隙間へ刃を滑り込ませたのだ。
柄頭の鈴がちりん、と鳴った次の瞬間、魔法剣の刃から膨大な火・水・風の魔力の奔流がアシュラレディの心臓を破壊!
「終わりにしましょう」
「ごフッ……ッ!」
完全に心臓を捉えたその一突きがアシュラレディの致命傷であった。
「反撃の余力は……ないようですね。サポートの皆さんがレディさんの体力を削ってくれたおかげです」
箒星は6本の剣での反撃が来ると想定し、刺突した瞬間に背面跳躍で防御姿勢をとっていた。
だがその場に崩れ落ちるように斃れるアシュラレディの身体が透き通ってゆく過程を視認すると、箒星は自身の勝利を確信した。
「レディさん、あなたにはあなたの譲れぬ信念があったのでしょう。ですが、私はそれを踏み越えて、鋼神さんを倒してみせます。これは……私からのレクイエムです」
竪琴をポロロンポロンと掻き鳴らし、アシュラレディへ葬送曲を贈る。
願わくば、骸の海で安寧を。
闘争を糧にした存在への、ささやかな優しさを捧げる箒星であった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『鋼神ウルカヌス』
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POW : 超鋼神装
無敵の【金色に輝く『神の鎧』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : 鋼と炎の神
自身の身体部位ひとつを【自在に液体化も可能な超高熱の金属】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ : 原初の神炎
自身からレベルm半径内の無機物を【使用者以外の全てを焼き尽くす原初の炎】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:あなQ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
鋼神は激怒していた。
度重なる『己』の失敗、その再現が近付く予感に。
思い通りにいかない『神鋼兵団』の実現に。
それを尽く土足で踏み潰す猟兵という存在に。
「許さん……許さんぞ……絶対に許さんぞっ!!」
鋼神ウルカヌスは海底神殿の最奥部にある祭壇で怒号を発した。
これが最後だ、いや最期に成るだろう。
これを逃せば、二度と骸の海から這い上がれない。
神はそう確信していた。
その身は超高熱の神鋼の鎧で覆われていた。
「……ゆくぞ。雌雄を決する時だ!」
遂に、猟兵達と鋼神ウルカヌスの最終決戦が勃発する!
伊敷・一馬
不採用含めて全て歓迎ッ。
POW対応
なんと…ボディ君にもあれほどの熱意があれば…いやワガママは言うまい。私と君は一心同体だしなッ!
(叩き割りたいべ)
無敵の鎧、確かに素晴らしい。だが無敵なら何度も倒されるはずはないし分身とて負けるはずがないッ。
まさかとは思うが鋼神よ…UCの使い方を知らないのでは?
(的を得た正論なのにやっすい挑発が逆効果にも程があるべ)
ゴーゴー☆ジャスティライザー!で戦場を駆け回りつつ熱血ヒーロー・ガジェットアーツ!で二回攻撃だ。
味方がいれば注意をそらすため援護攻撃を中心とする!
隙を見てUC使用。
神よ、美しき無敵の肉体とは熱血に燃える魂を宿したものを言うのだ。
ジャァアスティイーッ!
エメラ・アーヴェスピア
ごめんなさい、合流に手間取ったわ
そして…やっと追い詰めたわ、後は貴方を撃滅するだけね
他の同僚さん達も頑張っている筈…鋼神共撃作戦、必ず成功させましょう
鋼と炎の神、それでも撃破の報告が来ている以上、倒せない相手ではないわ
猟犬に騎乗して機動力を確保
相手のUCで金属化した部分に複合兵装より先程と同系統の兵器である冷凍術式型ミサイルを大量に射出
急激に冷やし続ける事で固め行動を抑制するわ
そして動きが鈍った所に『闇切り裂くは我が流星』よ
砲弾となるのは制作中の兵器の腕。相手を凍らせる兵器を内蔵した、ね
(『凍て付かすは我が極寒の巨人』で使われる巨人兵の腕・この依頼の時点ではUC制作中)
※アドリブ・絡み歓迎
箒星・仄々
完全撃破しましょう
先制対策は疑念の刺激
貴方は何度も敗北されています
その鎧は無敵ではないということを
ご自身が一番判っておいでなのでは?
弦や剣に属性魔力を宿し攻撃
超高熱の鎧へ水の魔力:蒼の音や紺碧の刃
最初は蒸発してしまうかも
けれど高熱⇔水冷を繰り返せば
負荷が蓄積します
僅かでも亀裂が生じたら
そこに超水圧を一点集中し砕きます
鎧が僅かでも砕ければ更に疑念のダメ押しに
神としての矜持が崩れ
自暴自棄になり隙が多くなる筈
翠の音や花萌の刃;風
緋の音や銀朱の刃:炎
も加え
三魔力の旋律や剣戟で畳みかけます
この世界に過去の居場所はありません
未来は今を生きる命のもの
どうぞ海へお還り下さい
事後に鎮魂曲を奏でます
安らかに
キャロル・キャロライン
鋼神ウルカヌス!
たとえ、貴方がこの世界を生み出した神々の一柱だったとしても、この世界を破壊することを認めるわけにはいきません!
その野望、私達がここで砕いてみせます!
敵が放つは、無敵の神の鎧を纏った一撃。
ですがその攻撃、このアリスランスで受け止めて見せます!
このランスは、私の心に呼応して進化する武器。
その力を穂先の一点にのみ集めれば、貴方の攻撃とて受け止められる筈です!
敵の攻撃を受け止めたならば、UCを発動!
光翼を持つ戦闘鎧を身に纏い、光速でランスチャージを行います!
この身が砕けようとも、貴方に一撃を与えましょう!
ウルカヌス!
貴方が何度甦ろうと、私も同じだけ甦り、貴方を討ち滅ぼしてみせます!
神楽坂・神楽
戦争が終わって半年経つのに、まだこんなことをやっているんだね
いい加減諦めてほしいけど、過去に囚われているオブリビオンには無理な話かな?
とりあえず、変な所に出て来たりしないように捕まえさせてもらうよ
敵の先制攻撃は……ちょっとした熱さならこの身体には効かないけど、さすがに神様のは辛そうだね
サーバントを壁にしようか。壊れるかもしれないけど、神様を倒すためなんだし、UDCも認めてくれるよね
初手を凌いだなら、力任せの肉弾戦だ♪
と見せ掛けて、張り巡らせていた罠に誘導
関節を“糸”で縛りあげ動きを封じ、毒と呪詛を流し込むよ
原初の神様
世界で最初に上げた哭き声がどんなのだったのか、聞かせてくれると嬉しいな♪
怒れる鋼神ウルカヌスの前に、4人の猟兵達が集う。
「ごめんなさい、合流に手間取ったわ」
エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)が肩で息を切って、神殿の最奥部へ駆け込んできた。
既に4人の猟兵達は戦闘準備が整い、ウルカヌスの前で身を裂きそうな威圧感を前に足を踏ん張っていた。
「大丈夫です、私達も今、到着したばかりですから」
そう告げたのはデッドマンのキャロル・キャロライン(光の騎士・f27877)である。
「さあ、鋼神さんを完全撃破しましょう」
黒猫の箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、懐中時計の形状からボタン1つで蒸気機関式竪琴『カッツェンリート(ねこのうた)』に展開させる。
エメラは2人の言葉に首肯すると、ウルカヌスをじっと見据えた。
「そうね……やっと追い詰めたわ、後は貴方を撃滅するだけね。この同時多発的共同作戦【鋼神共撃】に、他の同僚さん達も頑張っている筈……鋼神共撃作戦、必ず成功させましょう」
その言葉に、ウルカヌスは語気を強めて怒鳴り散らす。
「なにが【鋼神共撃】だ! 私が一柱でも生き残れば、それで神鋼兵団は完成する! かといって、この『私』がむざむざとやられると思うな! 我が野望……いや悲願の前に燃え尽き、打ち砕かれるがいい!」
ウルカヌスの鎧が赤橙色に輝き始める。まるで地球のマントルをそのまま持ち出してきたかのような輝きと熱量を、猟兵に向けてデタラメに放ち始めた。
「なんと……ボディ君にもあれほどの熱意があれば……!」
口惜しそうに唸ってみせたのは赤ジャージ姿の伊敷・一馬(燃える正義のひょっとこライダー・f15453)。その本体は、彼の装着するひょっとこ面である。
一馬はすぐに胸の前で腕を組むと、そのまま堂々と仁王立ちをしてみせた。
「いや、ワガママは言うまい。なにせ私と君は一心同体だしなッ! 故に、足りない熱意は私がカバーしようッ!」
(いらん世話だべさ、本当このお面、即刻おらが叩き割りたいべ)
一馬(肉体)はひょっとこ面の暑苦しい性格にうんざりしているようだ。
だが、肉体のほうはすぐにお面を外そうとしない。
その訳を、ひょっとこ面がハキハキと暴露し始める。
「残念だがボディ君、何度も忠告していると思うが、私を外した途端、君の寿命はみるみるうちに縮んでいってしまうぞッ!」
(心底勘弁してほしいべ……)
一馬(肉体)はこの仮面をかぶった日から今に至るまでの全ての日時を激しく後悔していた。
「だからボディ君、馬鹿な真似をしないで、私に身体の操縦件を委ねてくれ。あの悪い神を殴りにゆくぞッ!」
(おらが止めろっつったってどうせ殴るだべ? わがった、お願ぇだから無茶はしないでほしいだ)
ようやく諦観した肉体の小言から解放された一馬は、キレキレの動きでウルカヌスへポーズ。
「フフフ! さあ、カッコイイ私が神へ引導を渡してやろうッ!」
「うわー味方なのに暑苦しい……」
傍で苦笑いを浮かべているのは神楽坂・神楽(UDCエージェント・f21330)だ。
「戦争が終わって半年経つのに、まだこんなことをやっているんだね。いい加減諦めてほしいけど、過去に囚われているオブリビオンには無理な話かな?」
「ほざけ。未来なんて言う不確定要素極まりない要素に縋って一喜一憂している貴様らには、この世界のあるべき姿が見えていないのだ!」
ウルカヌスの怒号に、神楽坂はまるで興味を示さずに欠伸をひとつ。
「あ、くそつまんない話終わった? とりあえず、これ以上変な所に出て来たりしないように捕まえさせてもらうよ」
「女ァッ! 貴様は念入りにすり潰してやるッ!!」
「そうはさせません!」
会話にキャロルは白銀の突撃槍を掲げて叫んだ。
「鋼神ウルカヌス! たとえ、貴方がこの世界を生み出した神々の一柱だったとしても、この世界を破壊することを認めるわけにはいきません! その野望、私達がここで砕いてみせます!」
「はっはっはっは! 口先は一丁前のようだが、貴様は5人の中で一番弱そうだなッ!?」
キャロルの表情が一瞬陰る。確かに、駆け付けた猟兵の中で一番経験が浅いのはキャロルだからだ。
「だとしても! 必ず貴方を倒してみせます!」
「そこまで言うのならば、証明してみせろ……猟兵共ッ!」
ウルカヌスの鎧の輝きがより一層強くなり、黄金色に染まりながら襲い掛かってきた!
唸りを上げる巨大な拳が彗星めいて猟兵達の頭上へ振り下ろされる!
「ここは私が! 私の願いに答えよ、アリスランス!」
キャロルが白銀の突撃槍に己の想像力を注ぎ込むと、一瞬だけ穂先が超高度の鉱物へと変化!
ウルカヌスの拳とそのまま衝突!
「ふんッ!!」
「ぐわァァアッ!?」
槍は砕かれずにウルカヌスの拳を受け止めたが、キャロルがその衝撃に耐えきれずに『くの字』の姿勢で後ろへ吹っ飛ぶ! そのまま壁の中にめり込んでしまった!
「口ほどにもないな! 次に死にたい痴者は誰だ?」
一撃で猟兵を弾き飛ばした膂力に、猟兵達は思わず息を呑んだ。
だが、この一部始終にケチを付けるものがいた。
「その無敵の鎧、確かに素晴らしい。だが本当に無敵なら、今まで何度も猟兵達に倒されるはずはないし、例えそれが分身とて負けるはずがないッ!」
一馬がウルカヌスを指差し、超鋼神装をズケズケとけなし始めた。
「大体、今の攻撃で理解したッ! 鎧を強くするユーベルコードのくせに、肝心の攻撃が拳だとッ? まさかとは思うが鋼神よ……ユーベルコードの使い方を知らないのでは?」
(的を得た正論なのにやっすい挑発が逆効果にも程があるべ)
肉体のツッコミに一馬は完全にスルーを決め込んだ。
一方ウルカヌスはというと。
「黙れ黙れ黙れッ! 防御を固めて殴ることの何処が悪いというのだッ?」
(あんれまぁ意外と聞いてるべ)
憤怒によって冷静さを失っていた神には、一馬の挑発にでさえ簡単に揺さぶられてしまう。
それを好機とみた箒星も“口撃”を仕掛ける。
(先制対策は疑念の刺激……つまり、一馬さん動揺、過去の鋼神さんの敗北の事実を突きつけて揺さぶりましょう)
正直、真正面から立ち向かっては勝ち目がないと箒星が一番理解していた。
先程まで使用していた魔法の矢の弾幕ではなく、自己強化のユーベルコードの使用を目論んでいたが、目の前の髪の鎧は箒星の強化された魔力なんて簡単にかき消してしまいそうなほど強固だと彼は悟っていたがゆえに、少しでも無敵度合いに疑念を抱かせたいのだ。
「何度でも言いましょう、貴方は何度も敗北されています。これは事実です。つまり、その鎧は無敵ではないということを……ご自身が一番、判っておいでなのでは?」
「馬鹿な……そんな事、ありえん……ッ!」
畳み掛けられた言葉の刃に、怒り狂う神の脳裏に疑念が生じる。
その瞬間、鎧の輝きが途端にくすんでゆくではないか!
「そうよ! 鋼と炎の神、それでも撃破の報告が来ている以上、倒せない相手ではないわ!」
エメラは問答の時間の最中に、自身が作成した魔導蒸気猟犬に跨っていた。更に言葉の刃の追撃を放ち、鎧の強度を弱めてゆく。
「黙れ……それ以上、さえずるな、劣等種族共がァーッ!」
ウルカヌスが右拳を前に突き出すと、その腕は超高熱の液体金属へと変化してエメラを貫かんと迸る。
だが騎乗モードで機動力を増したエメラは、即座にその場から飛び退いて初撃を回避。
「お返しよ!」
早業でエメラが操作する魔導蒸気製のライフルとミサイルポッドの浮遊型複合兵装から、大量の冷凍弾頭ミサイルが放たれる!
「ぬぅッ!?」
液体金属化した右拳が吹き飛ばされ、そのまま瞬間冷凍!
冷やされて固体化した右拳はウルカヌスの操作から外れて元に戻らなくなってしまった!
「そのユーベルコード対策は万全よ。伊達に出遅れていないもの、備えは完璧よ」
「おのれ! ならば宣言どおり、貴様からすり潰す!」
ウルカヌスは今度は左腕全体を液体金属化させると、神楽坂へ向けへ洪水のように解き放った!
「ちょっとした熱さならこの身体には効かないけど、さすがに神様のは辛そうだね」
神楽坂は押し寄せる液体金属に、自身が従えるナノマシンのサーバントを差し出した。
「悪いね、壁になってよ。神様を倒すためなんだし、UDCも認めてくれるよね」
高熱の濁流がサーバントの壁に塞き止められて左右へ流れてゆく!
だがそれも数瞬で崩壊し、サーバントは溶解して完全に飲み込まれてしまう。
「危ない!」
エメラが神楽坂を救出するべく、冷凍弾頭ミサイルを乱射!
「同じ手は喰わぬ!」
ウルカヌスは慌てて腕を引っ込めるも、1/3の体積が凍結して削がれたままになった。
しかし、神楽坂の姿は何処にも見当たらない。
「まさか、さっきの攻撃で……?」
青ざめるエメラに、ウルカヌスの高笑いが再び響く。
「はっはっはっは! やはり人間は脆弱だな? どうやら骨まで溶けたようだぞ!」
「ウルカヌス……!」
エメラはありったけの残弾をウルカヌスへ向けて発射!
ウルカヌスの身体が青白く凍てつくかに思えたが、すぐに氷は蒸発してしまった。
「この神鋼の鎧が高熱を発することを忘れたか!」
「エメラさん、そのまま攻撃を続けてください。私も攻撃を仕掛けます!」
箒星は竪琴を爪弾き始める。先程までのじゃらんじゃらんと単調な演奏と違い、奏でるのは高速アルペジオ。そしてブーツの踵で地面をタップしてゆけば、聞き覚えのある曲調とリズムが戦場を駆け巡る。
「これはフラメンコッ! 今の私の熱い気分にぴったりじゃないかッ!」
(冗談は顔だけにしてほしいべ)
一馬は宇宙でも通用するジェットエンジン搭載型ママチャリ『ゴーゴー☆ジャスティライザー!』のペダルを全力で漕ぎながら、工事現場で振るわれる光る警棒めいた物体を振り回す。
「熱血ヒーロー・ガジェットアーツ! ジャスティィィッ・チェーンソー!」
光る警棒が瞬時に回転ノコギリへと姿を変え、すれ違いざまにウルカヌスの鎧の隙間へ刃を差し込めば、鎧とチェーンソウの摩擦でウルカヌスの周囲に激しい火花が飛び散ってゆく!
「どうしたウルカヌス!? 随分と神の鎧とやらは脆いじゃないかッ!」
(神をチェーンソウで攻撃とかゲームのやり過ぎだべ)
「ぐっ……馬鹿な、無敵の鎧のはずだぞ!?」
刃が接触するたびに鎧に火花が散り、その表面に深い傷が生まれてゆく。
ウルカヌスの無敵の概念が揺らいでいる証拠だ!
だが、接近するだけで一馬の全身は炙られ、赤ジャージに何度も引火しては消化しているのが現状だ。
「私達も忘れないでください、蒼の音!」
爪弾かれる音色が青く染まれば、それは水の刃となってウルカヌスに連続で浴びせられる。更に箒星はレイピアに水の魔力を宿すと、一馬が傷付けた鎧の傷へ向けて更に破損を広げるべく集中攻撃!
しかし、接近するだけで箒星の自慢の黒毛が焦げて縮れるほどの熱量を誇る鎧によって、水は浴びせられた途端に水蒸気へと変わってしまい、箒星の攻撃はさほど効いてないようだ。
だがそこへエメラの冷凍弾頭ミサイルが加われば別だ。
神の周囲に漂う水蒸気が一気に冷却され、次第に冷却と加熱を繰り返す鎧に負荷が蓄積してゆく。
「なるほどッ! だから私の攻撃で鎧を削り取れていたのだなッ!」
(もしかして何もか考えねぇで斬り刻んでいたんだべか?)
呆れた肉体のツッコミに一馬は即答する。
「大丈夫だ、何も問題ない! そしてこれで鎧は破壊だッ!」
チェーンソウ・エッジがより深く神の鎧に食い込むと、甲高い金属音と激しい火花を撒き散らしながらチャリの通過とともに鎧が真っ二つに割れたではないか!
「なん……だと……?」
呆然とするウルカヌス。
「無敵の……無敵の神の鎧が、砕けて割れただと……!?」
「もう終わりです、鋼神さん」
箒星のアルペジオが更に荒ぶる!
「翠の音よ、唸りを上げて花萌の刃へと。緋の音よ、狂い猛りて銀朱の刃へと。そして蒼の音よ、清らかに流れて紺碧の刃となれ!」
そこへ飛び出してきたメカジキのランさん!
箒星を背びれに乗せると、ランさんの頭部にそびえる剣状の部位に3色の魔力が宿る。カッツェンランツェ(ねこのやり)と呼称するだけあって、ランさんは立派な武器なのだ。
「喰らってください! ランさん、ゴー!」
空中を突進してゆくランさんの穂先が、ウルカヌスの腹を貫き突き飛ばした!
「ぐハッ!!」
壁まで叩き付けられたウルカヌスが、初めて吐血!
そこへ、聖なる光をまとった天使が突撃してくる!
否、あれは天使ではない。
真っ先に吹き飛ばされ、だがデッドマン故に死ねずに再生した騎士キャロルの姿だ!
「私を侮りましたね、神よ!」
その背には光の翼が出現していた。これが彼女の無敵の鎧『アリスナイト・イマジネイション』!
「ウルカヌス! 貴方が何度甦ろうと、私も同じだけ甦り、貴方を討ち滅ぼしてみせます! はあああああああああっ!」
光に近い速度のランスチャージが、ウルカヌスを壁に貼り付けにする!
そこへ猛進してくるのは魔改造チャリに乗った一馬!
サドルの上へ器用に立ち上がると、そのまま跳躍!
「神よ、美しき無敵の肉体とは熱血に燃える魂を宿したものを言うのだ!」
空中でキメる謎のポースが発光!
「グワーッ目潰し!」
ウルカヌスに光が命中すると、一馬は必殺の一撃を放った!
「バァニングプレェエス!! ジャァアスティイーッ!」
大の字になって火の玉とした超高々度ボディプレスがウルカヌスに直撃!
「畳み掛けるわ! さて、砲弾となるのは制作中の兵器の腕。相手を凍らせる兵器を内蔵した、ね」
空間から召喚された巨大な蒸気カタパルトに装填されるは、超冷凍の巨人の腕。
その上にエメラは乗っかると、残りの冷凍弾幕ミサイルをばら撒きながら一緒に射出された!
「さようなら、ウルカヌス!」
トリガーハッピーに冷凍爆撃してゆくエメラ!
「があああああああッ!」
全身が凍傷と衝撃で大ダメージを負ったウルカヌス。
その首にするりと撒かれたのは、神を殺す念動力の糸。
「ねぇ原初の神様? 世界で最初に上げた哭き声がどんなのだったのか、聞かせてくれると嬉しいな♪」
「貴様……死んだはずでは!?」
「勝手に殺さないでよ、連れないなぁ? お仲間さんが派手にドンパチしてくれたおかげで、僕はこうやってオイシイところを持ってけたんだから」
神殺しの猟兵、殺神鬼。
それが神楽坂の本質であり、二つ名である。
そして、その本領は真正面からのぶつかり合いだけではなく、暗殺も含まれているのだ。
「これが僕の『神殺しの技』だ」
「ぐゲエェェェェェーッ!?」
まるで鶏を絞めるかのごとく神楽坂は神の首を縊ると、ウルカヌスは断末魔を叫びながらその首を地面に転がす。
吹き出す神の血が神楽坂の身体を濡らし、その表情は満足気に、そして無邪気に笑うのであった。
「この世界に過去の居場所はありません。未来は今を生きる命のもの。どうぞ海へお還り下さい」
戦後、箒星は死んだ神へ鎮魂歌を捧げる。
「どうか、安らかに」
ヒーローズアースで暗躍する神との戦いの一端は、こうして集結した。
この世界の平和を祈り、黒猫は竪琴を奏でてゆく……。
大成功
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