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勇気の火を灯して(作者 ブラツ
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●新たなる希望
「羊を鍛えて欲しい」
 ジュリア・レネゲード(叛逆者・f24378)は集った猟兵達へ唐突に口を開いた。
「ああ、羊と言っても賢い動物よ。何も毛刈りをするとかそういう話じゃないわ」
 グリモアベースの会議室、背後のスクリーンにはアポカリプスヘルの作戦地域がでかでかと表示されている。マイハマ・エリア――かつて激しい戦いがあった場所だ。
「彼はアイカワという名の気弱な羊。拠点では余り目立たないけれど、予知によれば恐るべき戦闘力を秘めているらしいの」
 そして眠そうな羊の姿が映されて――先の戦い、マイハマ・エリアの防衛線では目立たなかったが、何を隠そうたった一人で後方の拠点直通ラインを死守していたらしい。それを知った上層部が彼を今後の要にと推したものの、当の本人は至ってやる気がなく、拠点内でも相変わらず惰眠を貪っているらしい。
「彼を鍛え、拠点の……『賢い動物たちの国』をより盤石の体制にするのが目的よ」
 何故ならば度重なる戦いに疲弊した彼らは、ここを放棄するつもりだからだ。だからこそ新しい、若いリーダーを立ち上げて、この拠点を再び活気溢れる場所へ変えなければならないのだ。

「その為にまず彼と共に、マイハマから少し離れたカサイ・エリアで仕事をしてもらうわ。オブリビオンとの戦闘じゃないから、そこは慎重にね」
 そのやる気のない羊を連れて、荒くれ者が集う近隣のパトロールをする。随分な任務だが決して安全ではない。だがこれも世界の為だとジュリアは強く言い放つ。
「続いてニシカサイ・エリアへ移動してオブリビオンの拠点を叩く。アイカワに自信と経験を付けさせる為、しっかりサポートしてあげてね」
 アイカワが一人前になれば立派な戦力になる。優れたリーダーに率いられた集団は何よりも強い。10×10が1000にもなる可能性を秘めているのだから、と。
「最後に孤立した区画……ギョウトク・エリア方面へ彼を先頭に、孤立者への救援を行って欲しい。皆が鍛えた彼ならきっと大丈夫だろうけど、万が一のバックアップは万全に」
 そうして信頼と実績を得る事が出来れば、きっと独り立ちして新たな素晴らしいリーダーになるだろうとジュリアは結んだ。
「以上、作戦の内容から余り大人数での行動は想定していないわ。むしろ支援がメインだからそのつもりでよろしく。それじゃ……」
 グリモアが煌き、繋がった先はシェルターだ。目指すべき所は分かっている。
「来たるべき決戦に備え、やれる事をやりましょう。よろしく頼むわね!」
 今はやるしかない、この世界に平穏を取り戻す為に。

『アンタ達が猟兵か。ハァ……どうしてこんな事に』
 ぶっきらぼうに気怠そうな羊――アイカワが言い放つ。猟兵達も既にカサイ・エリア内。やるべき事は治安維持活動……だが。
『カサイの獣は狂暴だ。さっさと帰りたいんだがなぁ……』
 そう言った矢先に、ガラの悪いアライグマの群れがこちらを睨み返してきた。さて、アイカワを鍛える為にはどうすべきか……。





第3章 日常 『孤立者移住支援』

POW瓦礫の撤去や、扉の破壊など捜索に必要な力仕事を行う
SPD孤立者の居場所を特定したり、シェルターの扉の鍵を開けたりする
WIZ孤立者を説得して移住に合意させたり、移住先の住民との交流を促進する
👑5 🔵🔵🔵

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●帰還者たち
『ここがギョウトク・エリア……』
 アイカワら荒くれ動物達は休息を挟んだ後、孤立した人々が多数いると言われるギョウトク・エリアへとやって来た。
『とりあえず旧市街へ向かうか。それにしても』
 海岸沿いに到達したギョウトク・エリアは瓦礫に塗れた廃墟も同然だった。ホテルや警察署だった残骸。ガソリンスタンド跡地は既に略奪し尽くされ、最早そこに人影はない。だが、所々に車両が通過した跡や真新しい足跡がある。誰か氏らが近くに住んでいるのだろう。
『本当に誰か、住んでいるのか?』
 思案するアイカワ。兎に角人々と接触する為に、この廃墟を進まなければならない。

『誰かいるみたいだけど……瓦礫を退かせられればなあ』
『引き籠ってる奴もいる……扉ブチ破るか?』
『何か警戒の匂いがするな。話出来りゃあいいんだがよ』
 先立って偵察に出たアライグマ達が口々にアイカワへ報告を。成程、要はここいらで生活してる連中と話付けてこっちへ引き込めってか。幸い大きな戦がすぐに始まるとは思えないが、来たるべき時に向けて準備は常に進めなければならない。
『分かった。じゃあお前ら、もっかいそこ行って仕事してこい』
『『『マジですか僕らコミュ障ですけど!?!?!?』』』
『しっかり合わせてんじゃねえよッ!!』
 群れてれば調子のいい奴らだが一人になると途端にこれだ。だがこれからはリーダーとして、彼等をしっかり率いていかなければならない。その為には辛い指示を出さなければならない事もある。
『……えー、というわけで、ですね』
 そしてアイカワがちらりと猟兵を見やり呟いた。
『ちょっとだけアイツら、助けてやってくんねえか?』

※注意
・プレイングはフラグメントに沿って貰えれば大体何とかなります
・フラグメント外の自由な選択も大歓迎です
・アイカワは一緒に行動し、大体のプレイングに沿って動きます
・プレイング募集は現在より。他、オープニングコメントに準じます
フィーナ・ステラガーデン

(全体的によりダメな子を見ての反面教師とアライグマにフィーナの面倒を見させ答えを出させる)
あのアライグマ達を助ける?なんで私がそんなことしなきゃならないのよ!

まあいいわ!扉を退かせばいいのね?わかったわ!全部ぶっ飛ばしてやるわ!(魔力溜め)(不穏な空気を感じて止められる)
何よ?引きこもってる奴が巻き込まれる?形あるものはいずれ崩れるというやつね!諸行無常といってもいいわ!

じゃあどうすりゃいいのよ!話して説得?でっかい声で話しすりゃ聞こえるんじゃないかしら!
「中の奴ー!聞こえてるかしら?2秒以内に出てこなきゃ全部ぶっとば(止められる)」
何よ?余計警戒される!?じゃあどうすりゃいいのよ!!


●アレなるもの
「あのアライグマ達を助ける? なんで私がそんなことしなきゃならないのよ!」
『一体全体何しに来たんだよ!?』
 フィーナ・ステラガーデン(月をも焦がす・f03500)は三度激怒した。この理不尽な世界に、暴力に、そしてよく分からない業務内容に。
「そりゃあジンギスカン食べに来たのよ」
 そもそも羊をどうにかしろというから喜び勇んでフォークとナイフを握りしめ馳せ参じたというのに延々とお守りを続けなければならないとは一体どういう事なのよ! とアイカワへ思いを吐露するフィーナ。
『後生だからそれだけは……』
 この御方のご機嫌を損ねるとヤバい事は先の戦いで十分承知していた。もう一度、アライグマと共に今何をするべきかを淡々と説明するアイカワ。目的は交流を断っているここの住民の心を開き援助する事。その為にはまず、目の前の物理的な障害を突破しなければならない。
「まあいいわ! 扉を退かせばいいのね? わかったわ!」
 そう言い一歩前に出るフィーナ。手にした杖に魔力を込めて、すうと静かに息を吸う。魔法でここの扉を開こうというのか――緊張の面持ちでその動作をつぶさに見やる動物達。
「全部ぶっ飛ばしてやるわ!」
『どうしてそう極端なんですかやる事成す事!』
 目標をデストロイしたら目的を達成出来ないでしょ!? 焦るアイカワを見てアライグマは察した。ああこれはあかん奴だ、と。
「何よ? 引きこもってる奴が巻き込まれるって?」
 んなこと気にしてたら世界は救えないわ。多少の犠牲はつきものだ。鼻息荒く魔力を溜めるフィーナを、必死の形相でアイカワは止める。
「邪魔しないで! 戦わなければ生き残れないのよ! 祭の場所はここよ!」
『これじゃカーニバルじゃなくてカタストロフだ!』
 正にヒューマノイド・オブリビオン・ストーム――暴れるフィーナを何とか宥めて、アイカワがひたすら言葉を続ける。それ以外の方法で何とか業務を進めなければならないのだ――ああ、マイハマの大将達もこんな気苦労をずっとしていたのだろうか。そんな思いが脳裏を過って。
「形あるものはいずれ崩れるというやつね! 諸行無常といってもいいわ!」
『解体現場は今度紹介するから! しますから!』
「じゃあどうすりゃいいのよ!」
 無情で無慈悲なのはアンタだけだよ……と無言で見つめるアイカワの横で、最早凶暴さも鳴りを潜めたアライグマが、ここに来て恐る恐る口を開いた。
『あの、説得して開けてもらうとか……』

「中の奴ー! 聞こえてるかしら? 2秒以内に出てこなきゃ全部ぶっとば」
『これ以上いけない! これ以上いけない!』
『誰か救急車! 黄色いの!』
「あんたが先にブッ飛ばされたいかしら!?」
 これじゃ説得じゃなくて脅迫だ。恐怖が場を支配し、無法のエリアに暴力という名の法が君臨しかけ、慌てふためく動物達が必死の形相で魔女を宥める。
「何よ? 余計警戒される!? じゃあどうすりゃいいのよ!! どうしたいのよ!!!」
『出てきたくなる様にする、とか?』
『外は危なくないから大丈夫、みたいな』
「なら私がいるから安心ね!」
『『どこがだよ!?!?!?』』
 厳重な扉の前に居座って、ぎゃあぎゃあとすったもんだを繰り返す三人。何にせよ暴力沙汰だけは断固止めなければ……怖いけど。そう、暴力では何も解決しないのだ。そういう事がよく分かった。
『……五月蠅いっすよ、さっきから』
 不意に、聞き慣れぬぼうっとした声が聞こえた。いつの間にやら扉が僅かに開き、その隙間から人間の若者がこちらをじろりと見返していたのだ。
『……何、アンタら?』
 不審な挙動に目を細めて、フィーナらをじろりと一瞥。どうやら危なそうだが危険ではないらしい――一体誰なんだ、と訝しげに問いかける若者。
「ほらね!」
『苦情じゃねえか!』
 さも計算通りと言わんばかりに胸を張るフィーナ。違うそうじゃないと返すアイカワ。その横で粛々と若者に話しかけるアライグマ。そもそも孤立者の救援が目的だった筈――その事を懸命に伝え、ようやく理解を得る事が出来た。
『へー……大変っすね』
『ええ、まあ……』
 取り急ぎ拠点との連絡手段を確立し、継続的な相互扶助の契約を交わす一方で、魔女と羊は相変わらずバチバチとやっていた。きっとこれが終わった後魔女は『すべて計算通りだった』と言うのだろう。もうどっちでもいいよ……と、アライグマは心底思った。
大成功 🔵🔵🔵