7
菓子は詭道なり

#キマイラフューチャー #戦後

タグの編集

 現在は作者のみ編集可能です。
 🔒公式タグは編集できません。

🔒
#キマイラフューチャー
🔒
#戦後


0




●頂点は常に一つ
「お菓子の王様と言えばチョコレート! そうですよねフォンデュ様!」
「どろどろ」
「シンプルな黒。その中に秘められた無限の幸福。まさに究極にして至高の甘味! そうですよねフォンデュ様!」
「どろどろ」
「だのに! 巷ではキワモノの菓子が流行り、あまつそれを集めたフェスまで開催されている! なんと嘆かわしい! そうですよねフォンデュ様!」
「どろどろ」
「かくなる上は我らが乗り込み、無知蒙昧の輩共に真なる甘味、真のチョコレートを知らしめねばならない! そうですよねフォンデュ様!」
「どろどろ」

●頂点じゃなくてもいいからたくさん食べたい
「みんなー! お菓子食べよー!」
 幼女ボディの花園・ぺしぇに憑依したミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)は、開口一番元気よくそう言った。
「あのね、キマイラフューチャーで変なお菓子が流行ってて、そのフェスがやってるの! 帝竜戦役も終わったしそのお疲れ様会も兼ねて、そこでお菓子いっぱい食べようよ!」
 甘いものは疲れが取れるとも言うし、確かに慰労会も悪くない。だが『変なお菓子』とはどういうことか。
「あのね、コンコンコンで色んなお菓子が出てくるところが会場なんだけど、出てくるお菓子がもんじゃ焼きやラーメン味のドロップスとかタイヤ味のリコリスグミとか、変なお菓子が多いの!」
 それは余計に疲れがたまるやつじゃ……猟兵たちのその視線を知ってか知らずか、ミルケンは続ける。
「あ、でもねでもね、運が良ければメロンとマロンとマカロンの三段重ねケーキとか、かき氷ブルー羽合(鳥取県)とかも出てくるし、出てきたお菓子を組み合わせてもっと新しいお菓子を作ったりもできるから、頑張ってみるといいと思うよ!」
 それは頑張る価値があるものなのかという疑問もわいてくるが、とにかくおいしいものを食べられる可能性は少なからずあるようだ。だが、キマイラフューチャーにはフェスと並ぶもう一つの名物があることを猟兵は知っている。
「なんだけど、やっぱりフェスを邪魔しに怪人さんたちが出てきちゃうんだよ。最初に出てくるのは『チョコスイーツ・アリス』っていう女の子の怪人だよ。チョコレート以外のお菓子は認めない! とか言ってこっちをチョコレート漬けにしてこようとしくるから、やっつけちゃってね!」
 やはりこちらの名物もしっかり出てくるようだ。チョコ怪人なだけあって、全身でチョコを味わわせようとしてくるということだろうか。
「で、その次に出てくるのがボスの『ビッグチョコフォンデュタワー』。こっちも参加者を捕まえてチョコフォンデュにしようとしてくるよ! 目はあるけど表情はないし、どろどろしてばっかりで喋らないけど、きっとフェスをチョコまみれにしちゃうつもりだろうから、こっちもやっつけちゃって!」
 もしかしてそれは部下に付き合わされているだけではないのだろうか……とも思うが、襲ってくるなら撃退せねばなるまい。
 ちなみにある意味当然というか、一般キマイラたちは戦闘が始まっても避難などせず、観戦や撮影に勤しむ者がほとんどだ。チョコ濡れになった程度なら戦後に湯煎でもすれば元に戻るので、命に別条のない範囲で適当に放置しても問題はないだろう。もちろん彼らを観客として映える戦いを目指すのも大いにありだろう。
「ちょっと戦いもあるけど、大体はお菓子いっぱいのフェスだから楽しんじゃえばいいと思うよ! それじゃ、がんばってねー!」
 無邪気にそう言いながら、ミルケンは猟兵たちをキマイラフューチャーへと送り込んだ。


鳴声海矢
 こんにちは、鳴声海矢です。
 今回はキマイラフューチャーでお菓子フェスです。シリアスな戦争で疲れた頭に糖分補給しましょう。

 第一章は変なお菓子フェス。コンコンコンすると色々なお菓子が出てきます。運が良ければ奇跡のハーモニー、運が悪ければ地獄のシンフォニー。基本的にはプレイング次第で何でも出てきます。出たものは基本食べていただきますが、こっそり誰かに押し付けてしまうのもありでしょう。逆にもっとヤバいものを渡されても自己責任ですが。

 第二章は『チョコスイーツ・アリス』との集団戦。スカートからチョコを飛ばしたり、飛ばしたチョコをスライムにして使役したりしてチョコ固めにしてこようとします。チョコ以外のお菓子を褒めると激昂しますが、チョコを褒める相手には甘くなるので、割と操作は容易かもしれません。

 第三章はボスの『ビッグチョコフォンデュタワー』が出てきます。彼もまたこちらをチョコで固めてチョコフォンデュにしようとしてきます。無表情で喋らないのでおだてたり怒らせたりの効果があるかは不明ですが、自我はあるようです。

 当然ながらはっちゃけ系ギャグシナリオとなります。やりたいことを詰め込んでください。
 それでは、プレイングお待ちしております。
138




第1章 日常 『空前の愉快なお菓子ブーム!』

POW   :    食え!何がなんでも食え!

SPD   :    配れ!周囲に問答無用で配れ!

WIZ   :    新しいお菓子を開発しよう!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 キマイラフューチャーの一角。そこには『変なお菓子フェス! 出たものは食べてね!』と書かれた看板が掲げられていた。よく見れば看板の端っこには『猟兵たちがなんかどっかで凄いことやった記念』とマジックで乱暴に書かれている。どこかで帝竜戦役の話を聞きつけ急遽便乗の為に書き足したのだろう。
 そこではキマイラたちが各所でコンコンコンに勤しんでいた。
「これはスイカの皮バー! 最近暑くなってきたから丁度いいわ!」
「塩キャラメル減塩仕様? ちょうど血圧気になってたんだよなー」
「ガトーショコラ豚ダブルニンニクマシマシアブラカラメ……せ、せめて野菜を乗っけてくれ!」
「革命された暴君スナック、マイナス300,000スコヴィル……? うわ、甘! こ、これはここに置いておこう……」
「生ハム味のスフレにメロン味のポテチを砕いてかけたら普通に生ハムメロン味になった! 当たり前か!」
 出てきた菓子に一喜一憂のキマイラたち。中には引き当てたものをこっそり他人の皿に入れる不届き者や複数の菓子を組み合わせて新たな可能性を探す探究者もいるようだ。
 さあ猟兵よ、恐れることなくコンコンコンに挑むのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
変わったお菓子ですかぁ。
色々と試してみるには良さそうですねぇ。

【豊饒現界】を使用し[大食い]と[料理]を強化、飲み物に牛乳を持参して参加しますぅ。
コンコンして出たものは、一度少し齧って味を確かめてから、微妙な味の品は『調味料』等でアレンジして食べますねぇ。

歩いている内に、何やら凄い品が。
『スミスランドケーキ』と『揚げチョコレートバー』ですねぇ。
何方も桁違いの甘さと高カロリーで知られる品ですが、好きな人には好まれる品ですぅ。
『ディープフライドバター』も有るみたいですし、此処は高カロリー系のエリアでしょうかぁ?
丁度良いですし、暫くは此方でゆっくりしましょう。



「変わったお菓子ですかぁ。色々と試してみるには良さそうですねぇ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)は会場を見回し、キマイラたちの様子を見る。周囲には普通においしいものを引き当てて喜ぶ者、とんでもないものを引き当て転げまわる者、出たものを交換の名目で押し付け合う者など、キマイラフューチャーらしいカオス極まる会場となっていた。
 そんな中るこるは比較的騒がず食べているキマイラの近くで壁をコンコンコンとしてみる。そうすると出てきたのは、クッキーのような棒状のブロック菓子だ。
 とりあえず試しとして、ほんの少しだけ齧ってみるるこる。その味は決して不味くはないが、もそもそしてどうにも物足りない。素材の味が活かされている……と言えば聞こえはいいが、大した味付けがなく、あまりにもプレーンすぎる。いわば一本では不満足なバー、と言ったところだろうか。
「こういうのも出てくるのですか……持ってきておいて良かったですねぇ」
 そう言いながらるこるは、持参してきた調味料の中からココアパウダーを取り出し、バーにかけた。【豊乳女神の加護・豊饒現界】で料理の技能を強化していたため、それはかけすぎることもなく、物足りなかった味を丁度良い甘さに変える。
 味を調えたバーを食べ終わると、るこるは次なる菓子を求め、場所を変えた。
 会場を歩きながらコンコンコンして回っていくと、手元にはどうやら同じ傾向を持つ菓子が揃い始めてきた。
「えーと、これは……『スミスランドケーキ』に『揚げチョコレートバー』ですかぁ」
 チョコクリームと生地をこれでもかと多層構造にした巨大なケーキに、チョコレートバーに衣をつけて揚げた品。どちらも糖分も油もたっぷりの、超高カロリーで有名な品である。
 ケーキのほうを一口食べてみると、チョコはとても濃厚で、生地にはバタークリームも塗られている。いずれも素材自体はなかなかの上物で、味は決して悪くない。むしろ当たりの部類に入ると言ってもいいだろう。ただ甘い。とにかく甘いのだ。
 るこるは牛乳を一口飲むと、次いで揚げチョコレートバーも頬張る。衣はサクッと、中からはチョコレートだけでなく、ピーナッツ入りヌガーが糸を引いて出てくる。これもまた味自体はいいが、とにかく甘くて重い。
 しかしるこるには【豊乳女神の加護・豊饒現界】の力がある。それによって大食い能力を強化された彼女には、むしろこの重さがちょうどいい。さらなる菓子を求めてコンコンすると、現れたのは『ディープフライドバター』……つまりはバターの揚げ物である。
 油を油で揚げるという油分の暴力とも言えるそれは、しかし香ばしい衣とバターの香りが相まって、非常に薫り高い。
「もしかして此処は高カロリー系のエリアでしょうかぁ? 丁度良いですし、暫くは此方でゆっくりしましょう」
 そう考えたるこるはその場でコンコンコンを繰り返し、次々と高カロリー食を出現させていく。縦長の超巨大メロンパンに、マヨネーズ入り月餅など、普通なら健康を害しそうなレベルの高カロリー食が、次々と現れてはるこるの口の中へと消えていった。
「んんっ、これならまだまだいけますねぇ」
 幸せそうに食べるるこるの横で、好奇心から揚げチョコレートを出して齧った一般キマイラが胸を抑えてうずくまり水をがぶ飲みしているのは、また別の話であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

コトト・スターチス(サポート)
辻ヒーラーのコトトですっ

戦闘がなければ、まわりの迷惑にならないように注意しながら動画配信します
「〇〇(世界名)から今日も一日一ヒール!コトトですっ!」
観光きぶんで名所にいったり、おいしいものを食べたり、【コミュ力】で現地の方々といっしょにあそんだり…いろんなことをしたいですっ
視聴者のお兄ちゃんたちともお話ししながら、一緒にたのしみたいですにゃー!

もし戦闘関係のことがおきていたら、ケガしている方やピンチな方(特に一般人)を『いやしのてのひら』か『せいなるほのお』で【救助活動】します!
辻ヒーラーとしてぜったいたすけますね!

※ネタ・シリアスどちらもOKですが、迷惑行為や公序良俗に反する行動はしません



「キマイラフューチャーから今日も一日一ヒール! コトトですっ!」
 コトト・スターチス(バーチャルネット辻ヒーラー・f04869)が配信用カメラに向けて可愛らしくアピールする。配信の本場キマイラフューチャーでおいしいもの(一部例外あり)を食べるイベントとあって、その意欲は高い。
「はい、それじゃあお菓子の前に、参加者の人たちとお話ししてみたいと思います。そちらのお兄ちゃ~ん、お菓子食べてますか~?」
 近くにいた一般キマイラに声をかけるコトト。話しかけられたキマイラは一瞬驚くが、猟兵の配信者とわかるとすぐに相好を崩し話に応じた。
「おー、今ね、これ食べてんだよ! ここから出てきたアップルミートグラタンパイ! ほら、君も食べてみな!」
 そう言いながら差し出されたパイを、コトトは一口齧ってみる。パイ生地はさっくりしており、中にはやや酸味のあるリンゴにジューシーなミート、さらに濃い目のホワイトソースが詰め込まれており、それらが一度に口の中へと入ってきた。意外なほどにお互いの味が喧嘩しておらず、悪くない味わいだ。これをお菓子と言っていいかはいささか疑問が残るが……まあキマイラフューチャーだし、三分の一はアップルパイなのだからお菓子の一種ということでいいのだろう。
「うーん、これは美味しいですね! これからのお菓子にも期待が持てちゃいます! ……おや?」
 そう言いながら歩いていたコトトの目に入るのは、うずくまって口を押えるキマイラ。その横には丼が置いてあり、その中からは強い醤油とニンニクの匂いが漂っていた。
「野菜……野菜を……」
 どうやらかなりヤバイものを引き当ててしまったが、根性でそれを食べ切り、その結果疲労困憊となってしまったようだ。そんな彼に、においに怯まずコトトは駆け寄る。
「大丈夫ですかお兄ちゃん。大変なものを頑張って食べたんですね! 人に押し付けたりしないでよくがんばりましたね。いいこいいこっ」
 うずくまるキマイラに、コトトは手のひらをかざし【いやしのてのひら】を発動する。苦しんでいる人がいれば辻ヒール。それがコトトのやり方だ。
「え、あ……ありがとう……でも、臭いだろ? 早く離れた方が……」
 突如楽になったキマイラは、顔を上げるもにおいを気にして口を抑えながら小声で礼を言う。それに対してコトトは笑顔を崩さない。
「いえ、ちゃんと元気になるまでこうしてます。辻ヒーラーですから!」
 天使のようなその笑顔はもちろん全国配信中。配信画面には視聴者からの「俺もヒールされたい」「ちょっとガトーショコラ食ってくる」などのコメントが溢れかえっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

鈴木・志乃
我が故郷ながら……ワクワクして来たね!
(精一杯の好意的表現。アド連歓迎)


おお……よく分からないものがいっぱいある……
食べられそうな物はある、が
あぁアレだったら平気かな……(スイカの皮バーをしゃりしゃりと)

……もう配信者のSNSで、最初にコンコンしたやつは絶対完食するって話して来ちゃったんだよなぁ。無謀だったかなぁ。
ええい、ままよ!(コンコン)
(そうして出て来たのは形容し難き螺旋を描く、蛍光色のウェディングケーキであった。空高く積まれたスポンジと、崩れ落ちそうなフルーツが無駄に不安定で危なっかしい)

……いやスイーツだけども!
(SNSに写真撮って投稿。コメント一言『ムリ』)



「我が故郷ながら……ワクワクして来たね!」
 会場を見回し、そこで起こる悲喜こもごもを目にした鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、精一杯に言葉を選びながらそう呟く。
「おお……よく分からないものがいっぱいある……食べられそうな物はある、が……」
 周囲で食べられているものを見ると、中々普通では売っていないような訳の分からない菓子類がてんこ盛りだ。中には引き当ててしまったものを見て悶絶していたり、処理方法を探して鋭い目で周囲を見渡している者がいたりと、危険なものを引いてしまった場合は相当なダメージがあることを覚悟する必要がありそうだ。
「あぁアレだったら平気かな……」
 通りすがりのキマイラからスイカの皮バーを一つ貰い、シャリシャリと食べる志乃。若干薄味だが歯触りは良く、その冷たさが体に心地よい。昔ながらの正統派アイスキャンディーにも近く、その味わいはキマイラフューチャーのイベント品とは思えないほどに真っ当であった。
 さて一品は食べたし、このアイスだけ味わってこのまま帰る……というわけにはいかない事情が志乃にはあった。
「……もう配信者のSNSで、最初にコンコンしたやつは絶対完食するって話して来ちゃったんだよなぁ。無謀だったかなぁ」
 ここはSNSと配信の本場キマイラフューチャー。そして志乃はこのキマイラフューチャーにて配信者『ブラック』としての顔を持っている。既にそのアカウントにて、最初に出た品が何であろうと食べきることを宣言してしまった。もしここで前言を翻せば、それは閲覧者数によからぬ影響を与えるであろうことは想像に難くない。視聴者とは時にシビアで、そして身勝手なものでもあるのだ。
「ええい、ままよ!」
 自身の宣言を実行するため、半ばやけ気味にコンコンする志乃。そうして出てきたのは……
「え、何これ……」
 現れたのは、形容し難き螺旋を描く、蛍光色のウェディングケーキ。空高く積まれたスポンジに物理法則を無視した形状でクリームが絡まり合いながら積み上がり、そこに多種多様なフルーツが危なすぎる奇跡のバランスで不安定に乗っかっている。
 その圧倒的すぎる形状は出てきた瞬間会場の視線を独り占めにし、周囲のキマイラたちは一斉に撮影、配信を開始した。もちろんキマイラたち自身の生の視線も志乃に釘付けである。
「……いやスイーツだけども!」
 完全に退路を断たれた志乃は、恐る恐る赤紫のクリームを掬い、口に運んでみる。味的にはクランベリーでも入っているのだろうか。酸味が強いがすっきりしている。これならばそれなりの量を食べられるかもしれない……が、その隣にあるコバルトブルーのクリームを見た瞬間、立ち上がりかけた心はあっさり折られる。何味なんだこっちは。
 志乃はぱしゃりとケーキの写真を撮り、しめやかにSNSに投稿した。
「ムリ」
 そしてすぐにその投稿にたくさんのコメントが付く。
『なぁに~? 聞こえんなぁ~!』
『どうしてそこで諦めるんだできるできる絶対できる!』
『諦めたらそこで試合終了ですよ』
 とても無責任……もといとても暖かい激励の言葉に志乃はがっくりと膝を突き、しばらくしてから立ち上がってよろよろとケーキに近づいていく。
 そして上がるキマイラたちの歓声。
 志乃とケーキがこの後どうなったかは、彼女のSNSにて確認して欲しい。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『甘い不思議の国『チョコスイーツ・アリス』』

POW   :    どろどろにしてあげる♪
【チョコ触手による捕獲】が命中した対象に対し、高威力高命中の【浴びると固まるドロドロに溶けたチョコ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    いっぱいめしあがれ♪
【スカート】から【垂れ落ちる溶けたチョコレート】を放ち、【全身ドロドロチョコ固め】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    ちょこすらいむさんだよ♪
【溶けたチョコレート】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【相手を引きずり込むチョコスライムの沼】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:麻風

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 数々の変なお菓子で盛り上がるイベント会場。そこに強烈な破壊音が響き渡る。
 壁を壊してやってきたのは、まるで不思議の国からやってきたような可憐な少女だ。お嬢さんここはアリスラビリンスじゃないですよ。
「この菓子を作ったのは誰だぁ!」
 怒りの声で叫ぶ少女。すみません作ったんじゃなくてコンコンしたら出てきたんです。
「菓子の本質を捕らえずただ見た目と味の奇抜さに走る愚昧なる輩共よ、その冒涜的行為の報い、ここに受けてもらいます!」
 なんかちょっと反論できないことを言いながら、少女はスカートをたくし上げる。するとスカートの中から溶けたチョコがどろどろと溢れ出し、床に広がった。さらにそのチョコが盛り上がり、中から全く同じ姿をした少女が多数現れた。
「フォンデュ様に代わり、この『チョコスイーツ・アリス』が真なるチョコレートの力をその矮小なる身に刻み込んでくれましょう! さあ、スイーツの王の力を全身で味わいなさい!」
 そう言って周囲にチョコを撒き散らすアリスたち。その姿にキマイラたちは悲鳴……
「うぉぉぉぉ! 来た! 怪人来た!」
「何、バトル見れるの? ラッキー!」
「俺のことも固めて踏んでください!」
 など上げるはずもなく、歓声を上げて大盛り上がりだ。
 ともあれ、彼女たちがイベントを壊しに来たオブリビオンであることには変わりはない。戦わないという選択肢はありえないだろう。
 さあ、このチョコレート狂信者を平らげてしまうのだ!
鈴木・志乃
アントシアニンとカプサイシンがコラボって
脳内ワルツでジャムってるから
ちょっと待ってくんない……(げっそり)

【猟兵配信~チョコアリス怪人とウェディングチョコケーキ作ってる~】

どーも、配信者のブラックです
○○フェスに遊びに来たら、チョコ以外認めねーとか言う怪人がいたので、さっき私がコンコンして完食するって宣言した! ウェディングケーキをデコろうと思います!(ヤケ)

第六感で行動を見切りケーキを盾にして回避
捕まった場合はUCを発動しチョコを燃やす(×溶かす)
菓子に貴賤はない!
王道、邪道はあれどまたそれも味の一つ!
美味いも不味いも個人の価値観!

菓子にさらなる未来を見る為にも
ここで止まってたまるかよ!



 イベントを滅茶苦茶にするべく強襲してきた『チョコスイーツ・アリス』。その前にまず一人の猟兵が立ちはだかり……
「アントシアニンとカプサイシンがコラボって脳内ワルツでジャムってるから、ちょっと待ってくんない……」
 もというずくまっていた。
 鈴木・志乃(ブラック・f12101)は自らコンコンコンによって出したモンスターケーキに果敢にも挑み、そしてダウンを奪われていた。普通同じ料理には入っていない成分二つを同時に摂取した彼女は、その味覚的衝撃に脳まで貫かれ膝をつくことを余儀なくされた。まあもしかしたら成分的に目がよくなってダイエット効果があるかもしれない。そんなものあった所で何かの慰めになるかどうかは甚だ疑問ではあるが。
 なお、打ちひしがれる志乃の前で、ケーキは未だ堂々と聳え立ち圧倒的王者の貫禄を見せつけている。
「ほら見なさい! キワモノの菓子なんかに手を出すからそうなるのです! これが邪道に走った者の末路! チョコ固めにして見せしめにして差し上げますわ!」
 志乃を制裁せんと息巻くアリス。だがその前で倒れ込んでいたように見えた志乃は、器用にデバイスを操作し配信を開始していた。

【猟兵配信~チョコアリス怪人とウェディングチョコケーキ作ってる~】
「どーも、配信者のブラックです。変なお菓子フェスに遊びに来たら、チョコ以外認めねーとか言う怪人がいたので、さっき私がコンコンして完食するって宣言した! ウェディングケーキをデコろうと思います!」
 タイトルと内容を宣言しつつ、ヤケ気味に立ち上がる志乃。
 だが行動はヤケ気味でもその動きは的確。触手を伸ばし突っ込んできたアリスの動きを見切り、身をかわす。まさか相手がそんなに正確に動くとは思っていなかったアリスは、勢い余って志乃の傍らにあったものに突っ込んでしまった。
「ぶふっ!? な、なんですかこれは……甘、辛っ!? な、なにこれ、嫌ぁぁぁぁぁぁ!!」
 そう、それは志乃が出した巨大ケーキ。蛍光色クリームにアリスのチョコがぶちまけられ、ケーキの一面をチョコ色に染め上げた。
「こ、こんな冒涜的なものを私に触れさせるなんて……許しませんよ!」
 ケーキにぶつかった姿勢のまま、スカート後方からチョコ触手を伸ばすアリス。それをつかむように志乃が受け止めるが、その触手を導線にして大量のチョコが一気に志乃に襲い掛かる。その高威力高命中のチョコを、志乃は真正面から迎え撃った。
「菓子に貴賤はない! 王道、邪道はあれどまたそれも味の一つ! 美味いも不味いも個人の価値観!」
 叫びと共に志乃が【浄化の炎】を発動。断罪の炎がそのチョコを逆に道のように伝い、アリスの全身を焼き尽くした。
「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
 ケーキと共にこんがり焼かれるアリス。炎が収まった時、そこには焼きチョコがトッピングされた新生モンスターケーキが残されていた。
「菓子にさらなる未来を見る為にも。ここで止まってたまるかよ!」
 配信カメラに向かってびしっと決めるアリス、もとい配信者ブラック。この後焼け残ったケーキがどうなったかは……やはり動画を再生して確認して欲しい。

大成功 🔵​🔵​🔵​

十字路・冬月(サポート)
 「どんなダンスが好き?あたしは何でもどんとこいさ!」
 隙あらば踊ろうとします。一人でも勝手に踊っていますが、できれば他の人とも踊りたい。

 心の声は保護者的存在(多分男性)の、いわゆるイマジナリーフレンドです。
 難しいことを考えることは苦手ですが、心の中で会話することで解決策を見出すことがあります。

 物欲はありませんが食欲はあります。料理はできません。
 子供も大好き。

 でも戦闘は苦手。負傷者の救出とか、皆との連絡役とかやりたい。
 それでも心のオカンに励まされつつ、誰かを守るために逃げはしません。
 
 他はお任せします。アドリブ歓迎!



 怪人と猟兵が入り乱れるフェス会場。次にそこに降り立ったのは、十字路・冬月(人間のスカイダンサー・f24135)だ。
「どんなダンスが好き? あたしは何でもどんとこいさ!」
 冬月はアリスもダンスの相手と見立て誘うように手を伸ばすが、アリスはそれには答えない。
「踊るのではなくチョコに染まりなさいませ! ほぉら、ドロドロチョコ固め!」
 冬月もチョコの虜にしてしまおうと、アリスはスカートから大量のチョコを出し、一気に飛ばした。冬月はまさに踊るように、何度も空中を跳ねてそれを躱していく。
「あたしもチョコは好きだよ! でも固まっちゃったら踊れないし、食べれないじゃん!」
 空中を舞いながらアリスに言う冬月。だがアリスはそんな冬月への攻撃を緩めない。
「チョコが好きなら、大人しくチョコまみれになればよろしいでしょうに!」
 そう言ってアリスはさらにチョコを間欠泉のように巻きあがらせ、冬月を撃ち落とすとした。
 さらに宙を蹴っての後方宙返りでそれを躱す冬月。
「うーん、何とか話を聞いてくれないかなぁ」
 もとより冬月は戦闘は好まないし、食べることは好きな方だ。説得して一緒にお菓子を楽しめればそれにこしたことはない、そう考えながら空中を飛び回る。
「残念だが向こうは元々ここを破壊するつもりで来ている。それを止めるのも戦いになるよ」
 その冬月に、男の声が語り掛けた。いや、正確には語り掛けたのではない。冬月の頭の中にだけ聞こえる心の声。誰にも見えないイマジナリーフレンドのような存在だが、いつも自分を気にかけてはアドバイスをくれる頼もしい存在。そんな彼の声に励まされ、冬月は相手と向き合う覚悟を決める。
「うん、そうだね……それじゃアリスちゃん、こっちにおいで!」
 一度地面に降りた冬月は、再度アリスの眼前に踏み込むと、そのまま空中を蹴って彼女を飛び越え裏に回った。
「この、待ちなさい!」
 アリスはチョコを撒き散らしながら冬月を追いかける。冬月はそれを躱し、さらに会場の別の場所へ。
「あたしの踊りについてこれる?」
 時折立ち止まってそう言いながら向かう先は、会場の端の壁。
「追い詰めましたよ……さあ、チョコの洗礼を受けなさい!」
 アリスはそう言ってチョコの波に乗り、自身の体ごと冬月へと襲い掛かった。冬月の体がチョコに飲まれそうなる、その瞬間。彼女は大きく身をひるがえし、空中を舞いながらアリスと入れ替わるように後方へ着地した。アリスは目標を失い、そのまま壁に激突する。
「ダンスのお相手ありがと! それじゃあね~!」
 巻き添えになる者が少なく他の仲間も戦いやすそうなところまで敵は誘導した。場所選びも戦闘においては重要な一手だ。これが自分の戦いだと冬月は確信し、壁にぶつかりダウンしたアリスを置いてその場を去る。
「じゃ、帰る前にお菓子も貰って~……」
「栄養が偏るし虫歯にもなる。3つまでにしなさい」
 フェスに参加しようとした冬月に、心の声が釘をさすのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
まあ、仰っていること自体は理解出来ますが。
他のお菓子も美味しいですし、其方も受け入れてほしいところですぅ。

チョコレートを武器に使うのであれば、[大食い]で全て食べてしまえば良いでしょうかぁ。
【夢鏡】で『消化吸収機能』を中心に『身体機能』を強化、彼女の出すチョコレートを順にいただいてしまいますねぇ。
『消化吸収機能』の強化で、既に食べた分もすぐ消化出来ますし、それ以前にまだまだ食べられますので。

後の『反動』と『吸収する』関係上、体重は相当酷いことになりそうですが『身体強化』も伴う分、行動に支障は有りません。
寧ろ、大幅増量した体重を利用しての突進&のしかかりで対処しますねぇ。



「まあ、仰っていること自体は理解出来ますが。他のお菓子も美味しいですし、其方も受け入れてほしいところですぅ」
 夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はアリスにそう言うが、アリスはむしろその言葉を聞き、眉を吊り上げる。
「何を言っているのです! チョコレートこそ王の中の王、他のお菓子と同列に扱う時点で論外! その大きな体、チョコ玉にして分からせて差し上げます!」
 受け入れろ、と言っているだけなのだが、アリスにとってはそれすら許しがたい事らしい。怒りの声と共にチョコ触手を伸ばすアリスに、るこるは少し残念そうな顔をした後戦いの構えに入った。
「楽園の彼方におわします女神様、あなたの使徒に『鏡の加護』をお与え下さいませ」
 るこるの胸元にある勾玉が鏡へと変形し、【豊乳女神の加護・夢鏡】が発動される。そのるこるの行動を封じようと、アリスはチョコ触手を伸ばし、一気にるこるの体を絡めとった。その豊満な体を触手がとりまき、戒める。
「さあ、とどめですよ!」
 そうしてアリスが固めチョコを発射しようとした、その時。
「それでは、いただきますぅ」
 口元に合った触手に、るこるが噛みついた。そのまま一部を食いちぎり、飲み込んでしまう。
「これは美味しいですねぇ。ミルクチョコですかぁ。やっぱり王様を自称するだけあって高級品みたいですねぇ」
 そう言いながら次々と触手を平らげていくるこる。
 『食べる』これ以上にチョコに対し有効な手立てはないだろう。ユーベルコードの力で体の消化吸収能力を強化したるこるは、物凄いスピードでチョコを腹の中に収めていった。
 それに対しアリスはというと……
「な、なんと、そんなこと言って……分かってるじゃないですか、あなた!」
 完全にいい気になっていた。そもそもチョコ至上主義をこじらせてここに殴りこんできた怪人である。チョコを褒めれば有頂天になるのもある種当り前であった。気を良くしたアリスは高威力高命中の固めチョコを、あえてゆっくりるこるに向けて放つ。
「おお、こちらはすぐ固まる感じで……ちょっとハードめな食感ですねぇ。おいしいですぅ」
 それもまた残すところなく食べていくるこる。食べられたチョコは驚異の吸収能力であっという間に体内に取り込まれていき、るこるのエネルギーとなっていった。エネルギー化すればお腹に空きは出来るし、そもそもがまだまだ満足には程遠い。
 やがてチョコの波がひと段落したころ。そこには触手も含めてすっかり食べ尽くしたるこるの姿があった。その体は、元々豊満だったのがさらに豊かになり、お腹も張り出している。
「やっぱり、これくらいにはなっちゃいますねぇ」
 ユーベルコードが起こす体系への反動と、そもそものチョコのカロリー。それを全て享受したるこるの体は、まさに超ヘビー級、圧倒的肉玉と化していた。その姿はもちろん観客たちによって一斉撮影、全国配信中だ。
「美味しいチョコをありがとうございましたぁ。でも、申し訳ありません。こちらもお仕事なんですぅ」
 そう言いながらふわりと飛び上がるるこる。肉体強化されたその動きは、体系からは想像できないほど軽やかだ。
「え、ちょっとまってくださいチョコは潰して食べるものじゃなくていやぁぁぁぁぁぁ!!」
 チョコを放出しつくしぐったりしていたアリスはその場から動けず悲鳴を上げるばかり。そして会場を揺らす強烈な地響きと共にるこるが着地し、その下から僅かにぷちっという音が聞こえた。
「この体もチョコで作ったようなものですし、本望だといいですねぇ」
 肉の下に埋もれるアリスを思い、るこるはそう呟くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『甘き巨塔『ビッグチョコフォンデュタワー』』

POW   :    無慈悲な等身大チョコフォンデュ
【オブリビオン本体】から【敵味方問わず捕獲するチョコ触手】を放ち、【チョコフォンデュによるチョコ化】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    無慈悲な等身大チョコフォンデュ
【オブリビオン本体】から【敵味方問わず捕獲するチョコ触手】を放ち、【チョコフォンデュによるチョコ化】により対象の動きを一時的に封じる。
WIZ   :    無慈悲な等身大チョコフォンデュ
【オブリビオン本体】から【敵味方問わず捕獲するチョコ触手】を放ち、【チョコフォンデュによるチョコ化】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:笹にゃ うらら

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠テフラ・カルデラです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 体内のチョコを枯渇させ、倒れ込むアリス。その傍らに、一つの巨大なチョコレートフォンデュが現れた。
 それは巨大な器から泉のように絶えず芳醇なチョコレートを湧き立たせ、周囲に甘い香りを漂わせている。アリスのチョコもなかなか上等だったが、これはそれ以上と見ていいだろう。そのチョコの滝の中にはなぜか流れに全く影響されずに二つの眼球がのぞき、器から生えた足でちょこちょこ歩いてアリスに近寄っていく。
「どろどろ」
「フォ、フォンデュ様……」
 顔を上げるアリスに眼球を向け、徐に泉の中から触手を伸ばし、アリスを掴み上げる。アリスはそのまま何かを言う暇もなくフォンデュの中へ飲み込まれ、中のチョコレートと一体化して消えた。

(好きなのを選んでください)
 ①「この役立たずめ、消えよ!」
 ②「よくやった、ゆっくり休んでいろ」
 ③「また人に迷惑をかけて……あとでお説教だからね!」
 多分この中のどれかを言いたげにどろどろしてから、フォンデュ様は眼球をぎょろりと猟兵の方へ向ける。

(自由に選んでください)
 ①「我自らが貴様らに真のチョコレートがどういうものか知らしめてくれよう」
 ②「よくも私の可愛いアリスを……許さん!」
 ③「すいませんねぇ、うちの部下がご迷惑をおかけして。一応こちらも仕事でして……」
 多分そんな感じでどろどろしながら、フォンデュ様は再びチョコ触手を伸ばし、今度はそれを猟兵の方へ向けた。
 何を考えているかはともかく、交戦の意思はあるようだ。大ボスの登場に、キマイラたちの盛り上がりも最高潮である。
 この甘き巨塔『ビッグチョコフォンデュタワー』を制し、フェスのクライマックスを飾るのだ!
ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
 人間のマジックナイト×電脳魔術士、16歳の女です。
 普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じです
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


二天堂・たま(サポート)
ワタシは流血を伴わない攻撃手段が主だ。
武器:ケットシーの肉球による“負の感情浄化”や、UC:常識を覆すピヨの波動によるスタミナ奪取を多用する。

直接触れないような相手(体が火や毒で覆われている等)の場合はUC:アルダワ流錬金術を応用した攻撃が主力だ。
(火に覆われているなら水、毒液で覆われているなら砂嵐等)

しかし実際には直接的な戦闘以外の方が得意だな。
ボビンケースの糸を使った即席の罠の用意、料理や情報収集や掃除。
UC:親指チックで呼びだした相棒による偵察と、同UCによる居場所交代(テレポート)で潜入・解錠して味方の手引きとかな。

もふもふが必要ならなでても構わんぞ。UCで呼んだ相棒達(ひよこ)もな。



 ついに姿を現したフォンデュ様こと甘き巨塔『ビッグチョコフォンデュタワー』
「どろどろ」
 やはり何を言っているのかは想像するしかないが、多分戦闘開始の掛け声を上げたのだろう。そうして触手を伸ばす先は、ローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)と二天堂・たま(神速の料理人・f14723)の二人だ。
「さぁ、楽しませて下さいますわよね」
 ローズはそれに怯むことなく【エレクトロレギオン】を発動、370体もの機械へ意思を召喚士、触手へと立ち向かわせた。
「出番だぞ! タイラント!」
 さらにはたまも、【タイラント召喚】を発動、もふもふしたひよこの群れを召喚しそれに騎乗する。
 猟兵側の圧倒的物量作戦に、見ているキマイラたちも大盛り上がりだ。
 まずはローズのレギオンたちが果敢にもフォンデュ様へと特攻をかけて行く。だが、フォンデュ様は次々と触手を伸ばしては兵を捕らえ、そのまま自らの中へ引きずり込んでしまった。そして一瞬後、チョコまみれになった機械兵器たちがぽいぽいとフォンデュの中から射出され、辺りへと転がる。
 完全にチョコレートコーティングされて動きを止めたそれは、まるで非常によくできた彫刻の様だ。
「接近戦は不利、ということですのね……」
「だったらワタシの出番だね。なぁに、任せておくがいい」
 得意げに前に出るたま。肉球で印を結び、その手をフォンデュ様へと向けた。
「そおれ、ちちんぷいぷいっ!」
 得意げに呪文を唱え、肉球をフォンデュ様へと向ける。一体如何な技が飛び出すか、と誰もが見守るが……
「……何も起きませんわね」
「あ、あれ?」
 慌てて何度も手を動かしては何かをフォンデュ様へかけようとするたま。しかし一考に何も起こる気配もなく。
「どろどろ」
 なにやっとんねん、と言いたげな触手がタイラントたちをべしーんと叩き、生命力を共有するたまもろとも吹き飛ばしてしまった。
「うおぉ、そうだった、チョコは無機物じゃなかった!」
「何やってますのー!?」
 たまをなぎ払った触手が次いで兵器たちを捕縛、次々とチョコ固めにしていく。
「仕方ありませんわね……食らいなさい!」
 ローズは『プリンセス・ローズ』を構え、連続でフォンデュ様を射撃する。いくつかの弾丸はフォンデュ本体に当たるが、ほとんどは液状のチョコを斬るだけでダメージには至らない。だがそのチョコを切る様子を見たたまは、一つの作戦を思いついた。
「そうだ……頼みがあるんだがね、残っているその兵器……全部あのフォンデュに放り込んでくれないかい?」
「……策がありますのね? わかりましたわ」
 たまの一瞬真剣になった目に、ローズは残る兵器を全てフォンデュ様へ特攻させた。案の定それは全て触手に捕らわれ、中へ引き込まれる。
「チョコはダメでもこいつはどうだ! そぉれ、ちちんぷいぷいっと!」
 その瞬間、たまは再び【アルダワ流錬金術】を発動。それと同時に、フォンデュ様の動きが目に見えて鈍り始めた。
「……!?」
 どろどろともできず困惑するフォンデュ様。見れば、その体はまるで熱を失ったように固まっていた。
「どうだね、中に氷を飲み込んじまった気分は!」
 ローズの生み出した機械兵器を飲み込ませ、中で氷に変換することで、たまはフォンデュ様のチョコを冷やし固めることに成功した。チョコレートフォンデュの固まりやすさは、やったことのある者なら容易に想像がつくだろう。
「これで撃ち放題ですわね。さあ、咲き誇りませチョコの薔薇!」
 固まったフォンデュ様に、ローズが銃弾の雨を浴びせる。固まったチョコは今度は容易に粉々に砕け、それはローズの言葉通り、黒い薔薇を裂いて散らせるようにあたりに散った。
「………!!」
 相変わらず何を言いたいのかは分からないが、苦しんでいるように見えるのは恐らく間違いではないのだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・印象:③
・アド/絡◎

■行動
成程、此方の方が上司ですかぁ。
確かに美味しそうですぅ。

それでは【渺喰】を使用、この方のチョコレートもいただいてしまいましょう。
此方は【夢鏡】以上に『消化吸収機能』を強化出来る上、代償で『満腹中枢の機能』も停止しますから、文字通り幾らでも食べられますぅ。
そして、既に超ヘビー級の体型になっているわけですが、ここから更に桁違いに増量することになりますねぇ。

一応全て食べ尽したら『カロリーを消費して攻撃』の予定ですが、敢えて先程同様の「押し潰し」にした上で、「フェス」で「超高カロリーの品々」を大量に食べ終えるまで「この状態」のまま増量を続けてみても面白そうでしょうかぁ?


鈴木・志乃
UC発動
さァ皆、配信もクライマックスだ
随分大きなチョコフォンデュ……あの中に果物とかマシュマロとか突っ込んで食べたら楽しそうだよなぁ?

ま、今回は完全にチョコレートケーキにしてもらうけどね!
第六感で行動を見切り矢張りケーキを盾にする
さらにそこら辺コンコンして放置されてるお菓子を、早業でチョコ触手に突っ込んで美味しそうに食べる。美味しそうに。ここ大事。
んーまーいっ! やっぱお菓子は最高だな!

(以下めっちゃ楽しそうな食レポが続く。ゲテモノ?
なんのはなしですか???)

無尽蔵にチョコ生み出して疲弊しないはずがあるまい
高速詠唱全力魔法で凍らしてしまえ



 凍ったチョコを何とか溶かし、再びどろどろし始めるフォンデュ様。その前に現れたのは、これまでフェスと配信を堪能しつくしてきた鈴木・志乃(ブラック・f12101)と夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の二人だ。
「成程、此方の方が上司ですかぁ。確かに美味しそうですぅ」
 るこるはフォンデュ様の流す極上のチョコを見てそう漏らす。確かに(アリスが勝手に)菓子の王を名乗るだけのことはあり、その味はフェスで出た当たりの菓子たちと比べても上位に位置するのは間違いないだろう。
「さァ皆、配信もクライマックスだ」
 そして志乃は、配信用の撮影ドローンを飛ばし、それに向かって今回の配信のクライマックスを宣言していた。
「猟兵配信者のブラックです。今から怪人を倒しに行きます。皆の力をかして!」
 そのメッセージはカメラの向こうの視聴者たちに届き、キマイラフューチャーを揺るがす大きな熱狂となり、志乃に力を与える。これは単なる応援ではない。ユーベルコード【CHIMERA FUTURE】によって志乃の戦闘力を増強させる、力ある応援だ。
「どろどろ」
 そんな二人に、フォンデュ様は躊躇なく触手を伸ばす。それを身じろぎもせず待ち受けるのはるこるだ。
「大いなる豊饒の女神、その深淵へと私の身をお導き下さい」
 ユーベルコード【豊乳女神の加護・渺喰】を発動、その豊かな体に巻き付く触手を、アリスの時と同じように食らい始めた。
「ん~、これは凄い! 何かにつけてもいいですけど、そのまま食べても十分美味しいチョコです!」
 歓喜の声を上げ、るこるはアリスのものよりも一回り以上太い触手を難なくその巨体の中へ納めていく。そしてその圧倒的カロリーは、既に超ヘビー級であった体形をさらに膨らませていた。今るこるが使っている【渺喰】は、アリスに使った【夢鏡】以上に消化吸収能力を強化する技だ。その代償として満腹中枢を麻痺させることとなるのだが、『食らう』ことへの特化において、これほど強力な技はないだろう。
 もちろんその姿は志乃のカメラによって配信、全キマイラたちを大いに沸かせていた。
「おっと、これはチャンネル主としてあたしも動かなきゃね。随分大きなチョコフォンデュ……あの中に果物とかマシュマロとか突っ込んで食べたら楽しそうだよなぁ?」
 そう言いながら、志乃はちらりと傍らに視線を向ける。そこにあるのは、あのモンスターケーキ。
「ま、今回は完全にチョコレートケーキにしてもらうけどね!」
 その言葉と共に、志乃は素早く動いてケーキの陰に隠れる。フォンデュ様の触手がアリスがそうであったようにケーキにぶつかり、ケーキをチョコ濡れにしていく。
「さーて、フォンデュ様と言うからにはフォンデュしなきゃ失礼だよねぇ?」
 そう言って志乃が手に取るのは、コンコンされて放置された多数の菓子。マシュマロやシュークリームなどのフォンデュの定番から、塩キャラメルやムースケーキのような流動系。無味無臭ムーチョやドンを撃ったタコスと言ったスナック菓子など多岐にわたるジャンルを、志乃は次々と早業でフォンデュしては食べていく。
「んーまーいっ! やっぱお菓子は最高だな!」
 満面の笑顔で、とても美味しそうに菓子を食べる志乃。カメラに大写しにされるその笑顔に、キマイラたちは『かわいい』『飯テロ』など声援を送り、それがまた志乃に食べ続ける力を与える。
「このシュークリーム、中にカスタードにマロンにストロベリーと入ってる超巨大な奴! それに極上チョコがかかって、さらに味が上乗せ! マスターピースってやつ? それからこっちのこれは……うん、いける! チョコに漬ければいける!」
 非常に楽しそうな食レポが続く。ところどころ説明が雑になるやつは、察していただきたい。
「どろどろ」
 二人にチョコを美味しくいただかれ、フォンデュ様もどことなく嬉しそうである。だが、物凄い勢い……とくにるこるには常人のそれをはるかに上回る勢いでチョコを食べられ続けた結果、無尽蔵に見えたフォンデュにもついに限界が来たのか、チョコの噴出が鈍り始めた。
「流石に疲れてきたみたいだな。凍っちまえ!」
 この瞬間こそ、猟兵の待っていた時でもあった。志乃は応援によって十分に高まった力を高速で練り上げ、氷の魔力を放ちフォンデュ様を凍らせる。
「『カロリーを消費して攻撃』の予定でしたが……」
 そしてるこるは、当初はここで貯め込んだカロリーを爆発させて体形を元に戻すとともにとどめをかけるつもりでいた。しかし凍り付いたフォンデュ様と、撮影と配信で盛り上がるキマイラたちを見ているうちに別の考えが浮かぶ。
「お仕事熱心で部下の面倒見もよさそうな方ですし……えいっ!」
 基本的にフォンデュ様のどろどろを『お母さん気質で対外的にはちょっと腰の低い苦労人』と見ていたるこるは、アリスと同じ手段でのとどめを思いついた。即ち、巨体による押し潰し。
 軽やかにその超巨体を浮かせ、固まったフォンデュ様へとのしかかっていく。ばきばきと音を立て、断末魔のどろどろを上げることもなく、フォンデュ様は砕け散ってチョコの欠片となった。
 ボスの撃破に大歓声が上がり、まるでそれをカーテンコールとして答えるかのように、るこるはさらに高カロリーの品を出しては摂取。フェス終了まで増量し続けることを宣言した。
「無事にボスも撃破、皆、応援ありがとう! 猟兵配信者ブラックでした!」
 志乃もそう言って配信を終了しようとする。しかし画面にモンスターケーキがちらと映り込んだ瞬間かかる『裏ボス! 裏ボス!』の一斉コール。
 裏ボス戦がどうなったか、るこるは手助けしたのか。配信者ブラックの運命は。その辺りは、タイムシフトで確認していただきたい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月17日
宿敵 『甘き巨塔『ビッグチョコフォンデュタワー』』 を撃破!


挿絵イラスト