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【鋼神共撃】go further

#ヒーローズアース #【Q】 #鋼神ウルカヌス

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#ヒーローズアース
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#【Q】
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#鋼神ウルカヌス


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●ヒーローズアース・「アースクライシス2019」
 この世界――ヒーローズアースは、2019年11月に世界滅亡の危機「アースクライシス2019」に見舞われた。「知られざる文明」に現れたオブリビオンを、そしてオブリビオン・フォーミュラと化したヴィラン「クライング・ジェネシス」を打ち倒すために、ヒーロー「ジャスティス・ワン」の呼びかけに応じた全ヒーローズアースのヒーローと猟兵達はオブリビオンとの戦端を開いたのだった。
「――さらば、クライング・ジェネシス……! 猟兵の皆、アースクライシス2019を食い止めてくれたこと、深く感謝する! そして、全てのジェネシス・エイトの所在を突き止めることができずすまない。しかし、私達は総力を挙げて彼等を探し続けよう。その際には、どうかよろしく頼む」
 ジャスティス・ワンのこの言葉を持ってアースクライシス2019は猟兵達の勝利で幕を閉じ、ある者は社会や文明の復興に尽力し、ある者は残敵の捜索や掃討を、またある者は別の世界のオブリビオンを倒す闘いへ向かい、そしてある者は――雌伏し反撃の機会を虎視眈々と狙っていた。

●ヒーローズアース・アメリカ大陸
 アースクライシス2019から数ヶ月が過ぎ、世界は少しずつ、新たな時を刻んでいた。世界各地で様々なイベントが開催され、復興ムードを加速させていく。アメリカ大陸の広大な平地に造られたオーバル・トラック――世界を救った「彼ら」にあやかり、イェーガー・スピードウェイと改称されたサーキット――で開催される、ストックカー・レースもその一つだ。派手なカラーリングの様々な車が、ストレートと傾斜角がついたコーナーで構成されるコースを駆け抜ける。観客の中には、かつて「知られざる文明」と呼ばれた、地上以外の人々の姿も見える。異文明の人々が一体となって、一つのイベントに熱狂する、ヒーローズアースの新たな未来がそこにあった。
 しかし、その未来をも打ち砕かんとする「過去」の魔の手が忍び寄る。サーキットではレース以外にも、ファンサービスとしてピットウォークやステージイベントが開催される。そういったイベントのために、レーシングチームはレースクイーンを擁する。アースクライシス2019後に発足した新進気鋭のチーム「ヴァルカン・レーシング」も例外なく、レースクイーンによるファンサービスを開催する。彼女達のステージイベントがクライマックスを迎えた頃、コースから真っ黒なレーシングカーが客席に突っ込んだ。多くの人々を跳ね飛ばし、周囲は一瞬でパニック状態に陥る。その時、ステージ上のレースクイーンがマイクで呼び掛ける。
「こちらが私達のチームのマシンです。とってもエキサイティングでしょう?」
「皆さんもっと盛り上がりましょう!」
「「「ゴー・ヴァルカン・レーシング!」」」
 観客の大多数は悲鳴と怒号を上げ、この気が触れたようなレースクイーンの声援など耳にしていないが、この声は倒れ伏した人々の耳に届き、彼らを回復させる。
「立ち上がった皆さん! 私達が応援します!」
「もっとスリリングに、もっとデンジャラスに盛り上がって行きましょう!」
 レースクイーン――つまりイメージガールの魅惑の笑みに魅せられた彼らは、理性を失ったかのように暴れ出し、レーシングカーを追って走り出して、逃げ惑う人々を巻き込んでいく。熱狂のカーレースが狂乱の地獄絵図に変わるラップタイムは、紛れもなくコースレコード。レースクイーンの一人が、インカムで会話する。
「作戦成功です、オーナー」
『御苦労。こちらも諸君の「神鋼の鎧」が完成した。直に届けよう』

●グリモアベース
「――よし、時間だな。俺の事件予知に付き合ってくれること、感謝するぜ。今回のヤマは『ここ』の話だ」
 真っ赤なエプロンドレスのグリモア猟兵、カグラ・ルーラー(バーバリス・f21754)は、自身が纏う赤いヒーローズマントの留め金を親指で指す。
「『アースクライシス2019』っつう、でっけェ喧嘩がヒーローズアースであったのは知ってるな? 無論、俺らの勝ちで終わったドンパチだが、ジェネシス・エイトっつう強ェ奴らを一部ボコり損ねてた訳だ。そのうちの一匹、『鋼神ウルカヌス』をそろそろ潰そうぜって話がグリモアベースであってな。それで俺にも視えねェモンかとガンくれてみたら、尻尾出しやがった。どうやらアメリカ大陸のだだっ広い荒野で、『神鋼兵団』っつう、『神鋼の鎧』で固めた兵隊を仕込んでたらしい」
 カグラがグリモアに映したのは、人々が逃げ惑うサーキットと、ステージ上のレースクイーン達。

「まずは先兵として、レースクイーンのヴィランの連中がサーキットで暴れてる。レースの運営も『メーデー』を出してるし、警察・救急・ヒーローも向かってるとは思うが、予知からのテレポートで直送の俺らの方が断然早ェ。奴らをボコる、操られた奴を正気に戻す、怪我の手当てに避難誘導、何でもいいから奴らの好きにならねェことを解らせろ。幸い、奴らには、まだ神鋼の鎧は行き渡ってねェ。ボコる分には、いつも通りさ」

 グリモアの映像は、バイクに変わる。
「レースクイーン共を排除する頃には、一般人の避難も片付くはずだ。すると、こっちに向かってる最中のウルカヌスの腹心が先行して来る。こいつはバイクの形をしたオブリビオンで、ご丁寧に地面すれすれまで神鋼の鎧で固めてやがる。こないだと違って流石に完全無敵じゃねェが、それでも物理・魔法・精神攻撃に高ェ耐性がある。ただ、バイクである以上マフラー、つまり排気筒や、タイヤの接地面は塞げねェようでガラ空きだ。そういった隙間を狙えればよく効くはずさ」

 そして、グリモアは鋼神ウルカヌスの姿を映す。
「そのバイクをスクラップにすりゃ、後に引けねェ鋼神様のご到着だ。相変わらずこっちのより先に奴のユーベルコードが飛んでくるから、どうにかして凌いで反撃を叩き込んでやれ」

 カグラは左手のグリモアで空間に横線を描き、右手をその中に突っ込んでこじ開ける。線は広がり、テレポートのゲートと化した。
「準備出来た奴から行ってくれ。ジャスティス・ワンのオッサンに、いい報せ持ってこうぜ」
 猟兵達はゲートをくぐり、現場に急行する。


鷹橋高希
 グリモアベースで起案された『鋼神ウルカヌス』討伐企画、【鋼神共撃】のシナリオとなります。

 第1章は集団戦ではありますが、猟兵というスーパーヒーローとは戦うだけにあらずと思い、こういう表現としました。全員が攻撃せずとも、彼女達は青丸が溜まれば退場します。

 第2章はボス戦、サーキットという開けた空間で戦闘に打ち込んで下さい。「鎧の隙間」を狙うような行動には、プレイングボーナスが発生します。

 第3章は鋼神ウルカヌス戦、先制攻撃はプレイングで使用するユーベルコードの能力値に対応します。先制攻撃への対処法を思いつけたプレイングには、プレイングボーナスが発生します。

 リプレイ執筆に割く時間は金~日曜日となる可能性が高く、月曜日朝のプレイング返却から逆算して、木曜日がプレイングに最適ですが、あくまで私にとって最適なだけなので、プレイングはオープニングが承認され次第受け付けます。

 また、本シナリオの難易度は「やや難」となります。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 集団戦 『ビューティー・ダーティー・レースクイーン』

POW   :    セクシースマイル
【魅惑の笑みに魅せられた対象は暴走状態】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    恐怖の乱入マシーン
【高速で疾走する漆黒の高性能スーパーカー】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    黄色い声援
【熱狂的な声援】を聞いて共感した対象全てを治療する。

イラスト:多毛田ちゃけ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

亞東・霧亥
【WIZ】

・毒使い、早業
血液の凝固を妨げる抗凝固剤を精製し、吹き矢の風受けに塗る。
風受けの針は真ん中を筒状にしておく。

・目立たない
熱狂する人々に紛れてレースクィーン達の死角に移動する。

【UC】
レースクィーン達の頸動脈を狙い撃つ。
抗凝固剤が血液をサラサラにし、筒状の風受けからは血が噴き出す。

あれなら万が一、傷は治療出来ても失血死は免れないだろう。


鈴木・志乃
サーキットのレースクイーンみたいに
もうちょっとプロポーションが良かったらなァ……


……ウルカヌス戦、行きますか
オーラ防御展開
UC発動、天馬精霊のユミトに騎乗
鎧砕き出来る魔改造ピコハンを振りかぶってー思いっきりなぎ払い攻撃!
スーパーカーは第六感で見切り早業で避けるよ
あわよくばレースクイーンが自爆するように立ち回る

スーパーカー対策に高速詠唱で視認し辛いバリアを
通り道に配置しますか
正面衝突は痛いだろうね?
もしくは空を飛べないなら、空を中心に駆けて
どうやっても攻撃出来ないようにしよう

……スーパーカー破壊出来そうなら
遠慮なくピコハンで叩きに行くけどね?
皆を混乱の渦に巻き込んだ罪、今すぐ償ってもらうよ



●希望の光・闇討ちの刻
「私も、もうちょっとプロポーションが良かったらなァ……」
テレポートで群集の中に紛れ込んだ鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、ステージ上で狂乱を煽るレースクイーン達に目をやって呟いた。ゴムと油と金属の複合体を如何に速く走らせるかを競うことに取り憑かれた、ほとんど男だけの世界において、彼女達はとびきりの――同性の志乃から見ても――麗しい華である。しかし、その華は未来を喰らう「過去」、オブリビオンである。即ち、志乃――猟兵の倒すべき敵だ。
「……よし、行きますか」
避難する人々の流れから外れて、目を閉じて祈りを捧げると、志乃の体から眩いオーラが放たれる。
「うわっ、何だ!?」
「あ、あれは……!」
「おっと……」
突然の強烈な発光に避難者やレースクイーン達――目立たぬように避難者に紛れて隙を窺う猟兵も――の注目が集まり、その光が収まると、そこにはユーベルコード「Ray of Hope」で現れた天馬の精霊――ユミトに騎乗し、ピコピコハンマーを携えた志乃の姿があった。その姿はオーラの光の筋を残してレースクイーン達に肉薄し、
「――はぁっ!」
ピコピコピコピコン、と何人かのレースクイーンを薙ぎ払い、地平線の彼方に殴り飛ばした。志乃が振るったのは、見た目には何の変哲もないピコピコハンマーだが、これは敵対者には2tハンマー並の打撃を与える立派な得物である。それを時速8100kmで駆けるユミトの「助走」を付けて振るった一撃は、オブリビオンであろうとひとたまりもない、生命体の埒外の――猟兵の力だ。
「あれは……志乃だ! また猟兵が来てくれた!」
「猟兵が助けに来てくれたんだ!」
地獄絵図の中に射し込んだ一筋の希望の光は、瞬く間に人々に認識された。彼女は、このカーレース開催の趣旨である災禍――アースクライシス2019で多大な活躍を見せ、「ヒーローズ・フォーティナイナーズ」と呼ばれメディア化された猟兵の一人。世界滅亡の危機を救ったヒーローの出現に、避難者達は希望を見出し、歓声が上がるもパニック状態は急速に収まっていく。志乃はユミトの背からレースクイーン達を見下ろし、言い放った。
「皆を混乱の渦に巻き込んだ罪、今すぐ償ってもらうよ」

「――彼女、猟兵でしかも有名人か……。ちょうどいい」
一方、避難者達の中に紛れていた猟兵は志乃一人ではない。亞東・霧亥(峻刻・f05789)もまた猟兵である。彼もレースクイーン達を攻撃しようとしていたが、そのためには、この人々の中に目立たず紛れている必要があった。そこに全世界が知るヒーローが登場し注目を集めたのだ。願ってもない展開に、彼はすぐさま準備に取り掛かる。まずは、血液の凝固を妨げる抗凝固剤を精製し、それを吹き矢の風受けに塗布する。
 その間に志乃は、漆黒のスーパーカーを相手取っていた。複数台が高速でユミト共々志乃を跳ね飛ばそうと迫るが、速度には雲泥の差があり、彼女が残した高速詠唱でバリア状に硬化したオーラに突っ掛かったりと、もたついている。追跡とは程遠い有様で、「悪」がやり込められている状況に人々の歓声は一際高まる。
「じゃあ、もう一つ!」
オーディエンスの期待に応えるのがパフォーマーの性。タイヤに白煙を上げさせ急旋回するスーパーカーの一台に近付き、掬い上げるように殴ると、ピコンという音と共にマシンは錐揉み回転して地平線の彼方へ。また歓声が上がる。
 これだけやり込められて、レースクイーン達はいい気分ではない。全員が志乃を亡き者にしようと狙っている。つまり、避難者達に紛れた飛び道具――例えば吹き矢に狙われているとは思いもしていない。その吹き矢で、霧亥はじっくり狙いを付け、
(フッ……)
レースクイーンの頚動脈に向けて――ユーベルコード「黙殺」を――吹き放った。筒状の針は寸分の狂いなく突き刺さり、鮮血を噴き出しながら彼女は倒れる。避難者の一部の視界に入ったその光景はどよめきを生むが、レースクイーン達は絶句した。今のは志乃の攻撃ではない。つまり、敵は他にも潜んでいる。志乃を追うスーパーカーの一台が急停止し、その能力主のレースクイーンは吹き矢の攻撃者を探すが、急に探したところで見つかるはずもなく、見当違いの方向を向いている彼女の頚動脈にも、吹き矢が突き刺さる。
「あがっ……! 血が、止まらな……!」
「なっ……た、立ちなさい! 私達は負けられないの! ウルカヌス様のために!」
頽れる彼女に駆け寄ったレースクイーン達が声を掛け、彼女の傷はユーベルコードで癒えていくが、針に塗られた抗凝固剤が流血を止めさせず、傷が塞がる頃には、彼女の意識を繋ぎ止められる量の血液は身体の外へ流れ出ていた。

(他の猟兵の攻撃……私が引き付けた形かな?)
避難者達の期待に応え、レースクイーン達に立ち向かうフォーティナイナー・志乃。
(警戒はしているようだが、気付かれてはないな。一瞬でも隙を見せてみろ……叩き込んでやるぜ)
避難者達の熱狂に紛れ、レースクイーン達の緊張が切れる時を待つ懐中時計・霧亥。
 猟兵達の襲撃を受けたレースクイーン達は、焦燥、憎悪、恐怖といった負の感情に顔を歪め、麗しいイメージガール廃業へのレースを走らされ始める。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

来たわねウルカヌス!
このネミさんが来たからにはなんやかんやー!

というわけで暴れているらしいスーパーカーを止めに来たわけですが、
……発見しにくい? うん?
それは無視してレースクイーンをぶん殴ればいいのではないか?
うむ、そうに違いない。
殴ろう。それでだめならもっと殴ろう。
スーパーカーがレースクイーン守りに来れば場所がわかるだろうしそしたらまた改めて殴ろう。
世界のだいたいのことは殴れば解決する!

そんなわけで【妖精の便利な槌】
ハンマーちゃんで思いっきりレースクイーンを殴ろう。
レース場の外までサヨナラホームランよー!



●何事も殴打で解決するのがネミさんだ
 レースクイーンが騒動を起こした瞬間にステージから遠かったため、混乱が拡大する前に避難出来た人々もいるが、サーキットというのは広大で、彼らには別のチームのコスチュームを着たレースクイーン達が迫っていた。どうやら、騒動を起こしたチーム以外にも潜り込んでいたらしい。避難者達が彼女達に楯突くことも出来ず、詰め寄られて後退りさせられていく。しかし、
「待っちなさーい! このネミさんが来たからにはウルカヌスは絶対許さーん!」
と叫びながら、ネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)がレースクイーン達の前に躍り出た。愛用のハンマーを突き付け、私が相手になってやるとばかりの宣戦布告ポーズで対峙する。
「あらあら、可愛らしいフェアリーちゃんだこと。私達とやる気かしら?」
そう、ネミはフェアリーである。その身長は24cmであり、その手で突き付けたハンマーの大きさも勿論フェアリーサイズ。羽ばたいてホバリングする彼女を見たレースクイーン達は、ユーベルコードが物理法則とか諸々を超越することは解っていても、どうしても見た目に負ける気がしない。そして、その余裕ぶりは、猟兵や「他世界からの迷い人の末裔」を正しく理解している避難者達にも伝染する。
「ぐぬぬ……ならもう殴る! 殴るわよ! 世界のだいたいのことは殴れば解決する! 行けー! ハンマーちゃーん!」
 ならば解らせてやると言わんばかりにネミが叫ぶと、彼女の持っているハンマーと同じ物――ユーベルコード「妖精の便利な槌」――が75個現れ、それらは一斉にレースクイーン達に飛び掛かり、打撃を与え始める。
「痛い痛い痛い!」
「ぐぅっ……!」
小さなハンマーのその威力は攻撃として遜色なく、ネミ自身も飛び掛かってハンマーで殴っており、まるで虻や蜂に追われるかのように、レースクイーン達はサーキット側へと散り散りにハンマーの群れから逃げ惑い、一時はどうだろう感を持っていた避難者達からも声援が起こり始める。
「フェアリーめ……跳ね飛ばしてやる!」
レースクイーン達もハンマーの群れに一方的にやられているわけではなく、漆黒のスーパーカーを操って、ネミにぶつけようと走らせる。遠くからエンジン音を上げて迫るその速さは、発見を許さぬままネミに追突し、
――ガシャアァァァン!!
と派手なクラッシュ音を響かせ、車体が宙を舞い、地面で数回跳ねてからタイヤが外れて明後日の方向へ転がっていった。一方、追突されたネミはというと、全くの無傷でレースクイーンを殴っており、
「トドメのサヨナラホームランよー!」
との掛け声と共に、今殴らせている全てのハンマーで同時に打ち上げ、レースクイーンをサーキットの向こうに殴り飛ばした。
 ネミはハンマーの群れに混じってひたすら殴っていただけであり、自身に迫るスーパーカーを発見する気もなかった。つまり、スーパーカーが勝手に突っ込んで来て、勝手にハンマーのいくつかに殴り飛ばされただけである。しかし、派手なクラッシュシーンを経て無傷なネミの姿に避難者達は歓声を上げ、残されたレースクイーン達は絶望する。
「よーしネミさんエンジン温まってきた! もう一発ハンマーホームラン行っちゃおー!」
歓声を受け、ホームラン量産体制のネミさんは次のレースクイーンに飛び掛かる。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
副人格のシルヴァーナメインで参加
「あらあら、賑やかなお祭りですこと」
優雅な足取りでサーキットの中へと歩み、【存在感】を以て注目を集め、【威厳】で避難を呼びかけ
「お祭りも節度を以て楽しんでこそですわ。怪我をされる皆様の姿を見るのはとてもお辛いですの。ですからあわてず、騒がず、ゆっくり避難してくださいまし」
そう呼び掛けている間に本人格の祐美を【オルタナティブ・ダブル】で召喚しておき、電脳魔術・センサー類による【情報収集】でスーパーカーの位置を補足。自分や観客に襲い掛かろうとしたら、ドラゴンランスを【早業】【串刺し】でボンネットに突き立て、地面に縫い付ける
「さあ、安心して避難してくださいませ」



●お嬢様が楽しまれるようです
 サーキットの他の一角でも、レースクイーン達の狂気の宴は催されており、避難者達は、やはり阿鼻叫喚の様相である。
「あらあら、賑やかなお祭りですこと」
その光景を眺めながら艶やかな長髪を靡かせ、優雅な足取りで混沌のサーキットへと歩み入るのは、中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)――の副人格・シルヴァーナ。惨殺ナイフ『principessa di tagliatore』とドラゴンランス「覇空竜スカイフォール」を携え、既に臨戦態勢である。レースクイーンにも負けず劣らずの美少女が、武器を手にして歩む。その存在感は、彼女を猟兵と認識させるのに充分過ぎるものだ。
「皆様、お祭りも節度を以て楽しんでこそですわ。怪我をされる皆様の姿を見るのはとてもお辛いですの。ですから慌てず、騒がず、ゆっくり避難してくださいまし」
シルヴァーナの威厳ある声は避難者達によく通り、彼女がアースクライシス2019中盤の「フォーティナイナー」であることも相俟って、避難者達に安堵感を抱かせた。
 この時、シルヴァーナはユーベルコード「オルタナティブ・ダブル」を発動させており、彼女の本人格である裕美をピットのコンピューターブースに向かわせていた。裕美は自身が展開する電脳魔術・センサー・そしてレース中の情報収集に使われる実機のコンピューターを駆使し、程なくしてスーパーカーの位置をシルヴァーナに認識させる。
『……完了よ。存分に……潰してやりなさい』
「ええ。勿論ですわ」
惨殺ナイフを口元でトランシーバーのように――あるいは歯を剥き出した笑みを隠すかのように――構え、シルヴァーナはレースクイーン達に向き直る。
「しゃしゃり出て来て、誰が逃げていいって!?」
「轢かれなさい!」
レースクイーン達はシルヴァーナ達を跳ね飛ばそうとスーパーカーを迫らせる。サーキットの向こうから数台、発見する間も許さない程のスピードで鉄塊はシルヴァーナに殺到し、
――ドンドンドンドンッ!!
という音と共に、その全てがボンネットに大穴を開け、彼女の前方に扇状に広がって煙を上げていた。そのうちの一台には、ドラゴンランスがアスファルトをも貫いて突き立っており、他の車両もそうやって瞬時に地面に縫い止められたことを語る。全ての車両が既に認識出来ていたのだから、シルヴァーナの早業をもってすれば造作もないことだ。避難者達とレースクイーン達の双方でどよめきが起こる中、シルヴァーナは避難者達に振り返り、
「さあ、安心して避難してくださいませ」
と、令嬢然とした柔和な笑みをたたえ、退避の再開を促した。
 そして再びレースクイーン達に向き直ったシルヴァーナは、ドラゴンランスを抜き取って、その先端を突き付ける。
「さあ……どうされますの?」
問いと共にたたえたその笑みは、獲物に向ける猟奇的なものだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
美しく魅力的な方々が
悪を為すとは嘆かわしいです
罪なき人々を操る非道を止めましょう

避難していただく為にも
まずは暴走を止めなければ

Kリート展開
破魔の魔力を込め
元のお心へ呼びかける歌曲を奏で歌います
暴走状態の解除の他
黄色い声援の阻害も兼ねます
風の魔力操作でサーキット中に届くように
:手をつなぐ&鼓舞&呪詛体制&優しさ&破魔&祈り&楽器演奏&歌唱&勇気&恩返し&属性攻撃

正気を回復されたら
演奏継続し避難の呼びかけ

私たちやヒーローがいます
どうか落ち着いて避難してください
脱出することだけを考えて進んで下さい!
(クイーンさん達の顔を見ないように)

怪我や恐怖で身動き取れない方々へは
UCも重ねて再び立ち上がる力を



●響け猫の歌
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)の眼前では、レースクイーン達が暴徒と化した観客を避難者達にけしかけていた。
「あのように美しく魅力的な方々が悪を為すとは嘆かわしいですね……皆さんに避難していただく為にも、まずは暴走している方々を止めなければ」
仄々は懐中時計――カッツェンリートを取り出して、それに付けられたボタンを押す。すると、懐中時計が蒸気を上げながら中の機構を展開し、それは蒸気機関式の竪琴として組み上がった。一通り弦を弾いて音を確かめ、喉の具合を確かめ、仄々は破魔の魔力を込めた、元の心へ呼びかける歌曲――ユーベルコード「シンフォニック・キュア」――を弾き語り始める。仄々の歌声は周囲に広がって避難者達の心と体を癒していき、暴走させられた人々も正気を取り戻していく。
「あれっ……み、皆さん?」
「もっとエキサイティングでスリリングに楽しみましょうよ、ね?」
「「ほら、ゴー・エキサイティング! ゴー・スリリング!」」
レースクイーン達は急に我に返る人々に戸惑いながらも、再び暴走させようと人々にアピールする。
(そうはさせません)
仄々は弾き語りながら竪琴のペダルを踏み、拡声機能で風の魔力を操作して、歌声をサーキット全体へ――音は大きくなることはなく、同じ大きさと優しさで――届ける。サーキットを包んだ仄々の歌声は、全ての人々の暴走を、怪我を、恐怖を癒し、その歌声が止むと、奏者に惜しみない拍手喝采が送られた。仄々は楽曲をインストゥルメンタルに変えて引き続けながら、さらに呼び掛ける。
「光栄です、ありがとうございます。ですが、このサーキットには、まだ多くの危険がありますし、これからも迫りますが、私たち猟兵や、避難のためにこちらへ向かっているヒーローがいます。どうか落ち着いて避難して下さい。脱出することだけを考えて進んで下さい」
この呼び掛け以降、一切の混乱もなく、人々の避難は完了した。

 カッツェンリートを元の懐中時計に戻した仄々の前には、レースクイーン達が立ち尽くしていた。
「ケットシーめ、何ということを……!」
「私は貴女方とは争いません。ですが、罪なき人々を操る非道は止めさせていただきました」
「これで終わったと思うな!」
「いいえ、終わりです。貴女方は、歌っていた無防備な私にも、今も、手を出さなかったのですから。では、失礼致します」
 仄々は一礼し、踵を返して、サーキットの外へ避難した人々の様子を見に向かう。
その背中にも、レースクイーン達は手を出さなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『呪われし二輪機構『風塵』』

POW   :    神風ェェェェッ!!!!
【法規外燃料を 】【増設ブースターに注ぎ】【超弩級の瞬間加速】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
SPD   :    ゴッドスピィィィド!!!!!!
全身を【超加速ギアフレーム 】で覆い、自身の【速度】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
WIZ   :    ヒィヤッハァァァァァ!!!!!!!
【炎をあげるトゲトゲハーレー 】に変身し、武器「【トゲ付き車輪】」の威力増強と、【ロケットブースター】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。

イラスト:ずずず

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はナギツ・イツマイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●ヒーローズアース・アメリカ大陸の「何の変哲もない田舎道」
『……サーキットの占拠は、猟兵の襲撃により甚大な被害を受け、失敗しました』
「そうか。御苦労だった。詳細は後ほど聞かせてもらおう。退却せよ。オーバー」
「お嬢ちゃん達じゃ、やっぱ難しかったか」
「そのようだ」
レースクイーンとの通信を終えた鋼神ウルカヌスは、バイクにまたがり、何の変哲もない田舎道を走っていた。
 相棒とのやり取りをしながらのツーリングは、いかにも「荒野の狼の遠吠え」が聞こえてきそうな画ではあるが、残念なことに彼らの走りは気ままな旅ではなく、使命のある旅路であり、その使命におけるバッド・ニュースが先ほどの通信である。
「しかし、こんなに早くお嬢ちゃん達がやられちゃ、話が違ってこないか?」
「そうだな……やむを得んが、先行して猟兵達を排除し、サーキットを制圧してくれるか?」
「任せときな。大将の拵えてくれた『神鋼の鎧』と俺の全速力が合わされば怖いものなしさ。そうと決まれば降りてくれ。大将、正直重いんだよ」
「……」
ウルカヌスが降りたバイクは、解き放たれたかのように走り去っていった。

●サーキット「イェーガー・スピードウェイ」
 猟兵達は、サーキットの観客を避難させることに成功した。警察・救急・ヒーローも到着し、避難者達のことは、もう彼らに任せて問題ないと確信した、その時だった。
「――ヒィヤッハァァァァァ!!!!!!!」
という叫び声と共に、物凄いスピードで上空から「火の玉」がサーキット内に飛び込んだのだ。
 再びサーキット内に駆け込んだ猟兵達を待ち構えていたのは、一台のバイク。当然、今回のレースイベントの車両ではなく、その車体は見える限りのほとんどが金属の塊で覆われている。
「俺の速さ! そして『神鋼の鎧』の守り! この最強チューニングで、お前らをぶっちぎってやるぜ!」
 コロシアムと化したサーキットで、猟兵達とオブリビオンの闘いはセカンド・ラップに突入する。
箒星・仄々
風塵さんを倒しましょう
…バイクさんをサーキットで海へお還しできるのは
せめてもの贐でしょうか

風を纏い浮遊
疾風で加速し魔力の矢を連射
風塵さんを狙いつつ
逸れた矢がサーキットの路面を破壊することを企図しています
速さ故に当たらないと調子にのって下さるでしょう

路面が凸凹になれば
一瞬でも速度が落ちる時が出てきます(避けたり跳躍したり
動きに無駄が出るタイミングを見切り
カグラさんが教えて下さった隙間
排気筒やタイヤの接地面へ
早業で炎の矢を放ち誘爆を狙います

もし最初から飛行していたり
飛行で凸凹から逃がれた場合は
それこそタイヤが下から丸見えです
矢を弾幕の如く連射
数で押し切りましょう

水楯で防御

事後に鎮魂曲を奏で歌います



●サーキットの猫
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は、風を纏って浮遊すると、
疾風を吹かせて風塵に向けて加速しながら、炎・水・風の3種類の魔力の矢を――ユーベルコード「トリニティ・ブラスト」で――周囲に展開した。割合はおよそ3等分で総数375本。
「おっ、なかなかの速さじゃねぇか! 面白い、ついて来いよ!」
風塵は白煙を上げてターンし、仄々に背を向けて走り出す。その車体の排気筒は、グリモア猟兵の予知通り、神鋼の鎧で覆われずに煙を吐き出している。
(競走をするつもりはないですが……ここは一つ、乗りますか)
 逃げる風塵を追う形になった仄々は、サーキットを半周ほど追ったところのストレートで、風の魔力の矢を連射する。
その矢は1対1のデッドヒートに割り込めるほどの速度で風塵に迫るが、風塵はさらにスロットルを開きスピードを上げ、矢はアスファルトを砕くにとどまる。
「だが、やっぱ遅いなァ!」
風塵は横に傾き、タイヤと神鋼の鎧から白煙と火花を上げてターンすると、炎を上げて神鋼の鎧をトゲトゲのハーレー型に変形させ、前輪からトゲを生やし、ロケットブースターで急加速し仄々に迫る。仄々は水の魔力の矢を束ねて楯とし、風塵の特攻を受け止めた。
「串焼きだ! ヒィヤッハァァァァァ!!」
炎は水の楯に熱を奪われ小さくなり、水は炎に沸騰させられ空気中に消えていき、仄々の眼前に水の楯を貫いたトゲが迫る。
「大人しく逝っちまいなァ!」
「お断りします!」
仄々はさらに水の矢を内側に重ねてトゲを押し返し、風塵は水の矢の楯に弾かれ、乗り越えさせられた。
「往生際悪いぜ! 今度こそ逝っちま――おわッ!?」
 元の形態に戻り着地した風塵は、急に車体をよろめかせる。その着地点は、仄々が放った風の矢の着弾地帯。アスファルト舗装が崩壊した一帯に突っ込んでしまうと、オブリビオンとはいえ二輪車である以上、ランダムな凸凹で揺すられるのは弱いようで、体勢を重視して、凸凹地帯を抜け出そうとスピードが落ちる。
「そこです!」
 仄々は残りの魔法の矢を、全て炎の矢として放っていた。狙いは、排気筒やタイヤの接地面――バイクならではの、神鋼の鎧の隙間を造らざるを得ない箇所。いくつかは神鋼の鎧に弾かれるも、早業で放たれ殺到する炎は次々と吸い込まれるように突き刺さり、エンジン内部で誘爆する。
「グァァァァァッ!!」
タイヤもバーストさせられ、横倒しで神鋼の鎧の隙間から爆炎を上げる風塵は、ねずみ花火のように暴れ回りながら、サーキットの向こう側へ。
(…バイクさんをサーキットで海へお還しできるのは、せめてもの贐でしょうか)
 仄々がカッツェンリートを奏でつつ歌う鎮魂曲は、観客のいない今、紛れもなく風塵へ向けられた曲だった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

何あの鎧バイク! かっこいい! 欲しい!

そーと決まれたやることは1つ!
そこのバイク! ネミさんと勝負だ!
レースで負けたらネミさんのものになるんだ!
そっちはまーそのまま走るだろう!
こっちはえーと……、象さんゴー!

そんなわけで【巨象特攻】の象さんに乗りつつレース勝負を挑もう。
諸事情によりレース場には障害物がいっぱい転がってるしパワーがある方が大事なハズ。
瓦礫とか邪魔でも象さんの特攻ならやれる。
おおっとこんなところでさっきまで元気だった野生のスーパーカーが寝てる!
コースの真ん中で寝たら危ないぞ!
ってわけで鼻で掴んでぶん投げよう。
あ、バイクさんごめんそっちに投げちゃったアブナイ!



●風塵インサファリパーク
「何あの鎧バイク! かっこいい! 欲しい!」
目をキラキラ輝かせ風塵を見つめるのはネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)。神鋼の鎧を纏う風塵の絵面が「刺さった」らしく、ネミさんは早速クライマックス。
「そこのバイク! ネミさんと勝負だ!」
「勝負だァ? いやまあそうだろう。俺はお前らを倒しに、お前らは俺を倒しに来たしな」
「違う! レースで負けたらネミさんのものになるんだ!」
「……お? まさか、俺に速さで挑むつもりか? 面白い、受けて立つぜ! グリッドに着きな!」
 そんなこんなでグリッドに着く両者。
「ところで、もうサーキット無人なんだろ? シグナルランプどうするんだ?」
「これ使おう。この独楽が止まったらスタート。先に5周した方が勝ちね」
ネミが取り出したるは、「回すと奇跡が起きる」ティラノ先生のバトル独楽。シュパッと回して、やがて止まる。
「「ゴー!」」
 自然と両者の掛け声は合わさり、風塵は増設ブースターから爆炎を放ち、超弩級の瞬間加速でスタートダッシュを成功。ネミはユーベルコード「巨象特攻」で象を召喚し騎乗する。
「象さんゴー!」
ネミの号令を受け、象は歩き出す。勿論、一般的な象のスピードで。一見、勝負として成立しないように見えるが、レースの本質は速さではなく、生身の人間では到達し得ない高速度の領域を、
「ヒィヤッハァァァァァ!!」
未来永劫続くかのような果てしない時間、事故を起こさず、そして巻き込まれずに走り抜く、つまり生き残ることが大前提である。ウサギとカメの寓話が示すように、
「ゴッドスピィィィド!!」
遅くとも着実な歩みを進めた者が最後に笑うのだ。ドップラー効果の掛かった絶叫とエンジン音が二度ほどネミを追い抜いていったが、彼女のレース戦略は何も間違っていないのである。
「おおっと、こんなところでさっきまで元気だった野生のスーパーカーが寝てる!」
その証拠に、サーキットは諸事情――先刻の交戦により、ところどころに瓦礫が散乱している。こういう物に超高速で突っ込んだら目も当てられない。そのために、ネミは象にオーラの鼻でスーパーカーを持ち上げさせ、コースの外側へ放り投げるよう命じる。
 その時、ネミの背後から三度、甲高いエンジン音が聞こえる。振り返ると、またも追い抜く気満々の風塵が迫っていた。このままでは――。
「あ、バイクさんごめんそっちに投げちゃったアブナイ!」
「神風ェェェェウゴハァァァァ!?」
象が放り投げたスーパーカーは、風塵の車体側面に炸裂した。二輪車は真横からの突撃に耐えられず横転し、サーキット上を転がってピットエリアに突っ込んでいく。
「あぁー! ネミさんのバイクがぁー!」
 愛車(予定)のバイクの派手なクラッシュにネミが象で急行すると、風塵はピットエリアを自走して出てくる。「神鋼の鎧」には、傷と呼べそうなダメージは一切見られない。
「さすが神鋼の鎧!」
「うぉぉ……痛ってえ……」
しかし、その神鋼の鎧の内部で激しく揺さぶられた風塵本体が無傷で済むはずがない。車体から流れ出た血色のオイルが、後方にタイヤの跡を残している。
「あのクラッシュに遭いながらも無傷で生還した奇跡のマシン……勝者のネミさんの新たな相棒に相応しい!」
「いやいやノーカンだろあんなのッ!?」
 風塵の言葉は、既に脳内で新たな最速伝説の幕が上がっているネミさんには届いていなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

中村・裕美
「……ウルカヌスなら……ハーレーが似合いそうよね」
今回は主人格の方で戦闘

相手が瞬間加速で突撃してくるなら、地面に【罠使い】【ハッキング】し、地面から槍衾が飛び出す罠を設置して相手を【串刺し】にする。センサー類で相手の速度を把握し、タイミングを【見切り】ます。下からの攻撃ならタイヤ接地面を狙いやすいはず
「……マーキング完了……来なさい」
罠による槍が命中したら、そのまま【ドラゴニックエンド】で竜を召喚し、敵を襲撃。もし、味方と連携する場合は、鎧の隙間を狙うよりはこちらに攻撃を引き付ける感じで攻撃する。



●槍が″シン″を捕らえたら
「……ウルカヌスなら……ハーレーが似合いそうよね」
サーキットのストレートコース中央で、瞳と渦巻き眼鏡の間にハーレーを駆る鋼神ウルカヌスの姿を思い浮かべる少女は中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)。先刻の観客避難の際に活躍したシルヴァーナの主人格である。
 裕美の想像上のウルカヌスが上げるハーレーとは別のエンジン音がピットレーンから聞こえ、目をやると、風塵がコースに入って来ていた。ここからは現実に、あのバイクとの闘いである。裕美は周囲に電脳魔術のウィンドウを球状に展開し、様々なインプットを繰り返して、サーキットの地面にハッキングを仕掛ける。程なくハッキングは完了し、サーキットのアスファルトとタイヤ痕の間を、幾筋もの青白い光が直線と直角を組み合わせて駆け巡った。
「どんな策を弄したかは知らねぇが、俺の速さは止められねぇぜ!」
 風塵は法規外燃料を燃焼させ、増設ブースターから爆炎を放って、超弩級の瞬間加速で裕美に向かって走り出し、その瞬間には既に裕美の眼前に迫っていた。そのまま、風塵は裕美を跳ね飛ばして――いない。風塵と裕美の間は「鉄格子」で遮られ、裕美は間一髪助かった――わけでもない。
 その「鉄格子」の天辺は槍頭であり、このような「槍」がアスファルトから無数に天を突いている。裕美がハッキングしたサーキットは、センサー等で完全に同期できている、まさに掌の上。どれだけの超高速であろうと、風塵の「神鋼の鎧」に隙間を作らざるを得なかったタイヤの接地面から、それを貫きフェンダーをも串刺しにするよう、槍衾の罠にかけるタイミングを見切ることは難しくなかった。
「……止めさせてもらったわ」
「タイヤに穴開いた程度、何だってんだ! こんなもんで俺は止ま」
「……マーキング完了……来なさい」
 風塵の言葉に耳を貸さず、裕美はその場から離れる。すると、裕美が展開していたウィンドウの一つから覗いた、ホログラムのような青白いドラゴンの頭が、身体を構築しながら巨大化していく。これが、裕美がサーキットにコーディングした″畏怖″構文――ユーベルコード「ドラゴニック・エンド」。恐るべきドラゴンの巨腕が、槍衾ごと風塵を叩き潰し、薙ぎ払う。
「ギャアァァァァ!!」
 自身の超加速と同等かそれ以上の速度でサーキットを転がる風塵。裕美のウィンドウには、サーキット上に何らかの固形物が散乱したと告げるポップアップが飛び込んできた。センサーが解析したそれらは、風塵が纏う神鋼の鎧の欠片。鋼神ウルカヌスがもたらした無敵の守りは、またも猟兵に打ち砕かれようとしていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

亞東・霧亥
アウトローな感じがするのに、基本はサーキット上を走ってくれるなんて、良い奴だな。

【UC】
サーキットの大地を抜く。
落下すれば、上から大地で塞いで排気筒に土やら石が詰まる。
加速でジャンプや飛翔したりするなら、丸見えの下部を大地でアッパーする。

※絡み歓迎。



●スクラップは埋め立て処分
「アウトローな感じがするのに、基本はサーキット上を走ってくれるなんて、良い奴だな」
亞東・霧亥(峻刻・f05789)は、遠くのエンジン音が聞こえる方向を眺めていた。そのエンジン音は、わずかに砕けた痕がある「神鋼の鎧」を纏う、風塵の走行音だ。
「まだだ……まだ俺は走れる! 俺の速さが、猟兵共に負けるはずがッ……!」
風塵は、ストレートの向こうに人影――霧亥を捉える。忌々しそうな歯ぎしりのように、増設ブースターが火を吹いて超弩級の瞬間加速で速度を上げ、霧亥への体当たりの体勢になる。
「負けるはずがねぇッ!」
 その瞬間、風塵の目の前に土色の壁が迫り上がる。しかし、速度の付き過ぎた風塵は止まれない。飛び越えようとしたが、さらに壁は迫り上がり――それが霧亥の持ち上げた地面だと知る。
「何だとォォォォォォ!?」
風塵は持ち上げられた地面分の高さを転がり落ち、霧亥の足元の延長線上の岩壁に激突する。
「もう充分走っただろ。冥土の土産だ。遠慮するな」
 霧亥はユーベルコード「岩盤振舞い」で持ち上げた大地を、風塵の上に放り投げる。圧倒的な質量の岩盤は、重力に従って神鋼の鎧に押し付けられては砕けて小石や砂と化し、風塵の排気筒を――風塵そのものを埋めていく。やがて、押し潰され続けた神鋼の鎧にヒビが入り、鎧全体に広がり、ついには砕け散った。それでもなお岩盤は重力に従って、隙間がなくなるまで、あらゆる物を押し潰し続け――霧亥の前には、わずかに段差のついた、ひび割れたサーキットが広がっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『鋼神ウルカヌス』

POW   :    超鋼神装
無敵の【金色に輝く『神の鎧』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    鋼と炎の神
自身の身体部位ひとつを【自在に液体化も可能な超高熱の金属】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    原初の神炎
自身からレベルm半径内の無機物を【使用者以外の全てを焼き尽くす原初の炎】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:あなQ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●サーキット「イェーガー・スピードウェイ」
 猟兵達は、「神鋼の鎧」を纏ったオブリビオンに勝利した。それはつまり、次の――最後の闘いが始まることを意味している。
「猟兵よ聞こえるか! このサーキットに向かって、キャリアカーが『飛んで』きている! 上空を警戒するんだ!」
スピーカーから発せられる――恐らく警察かヒーローかの――声に、猟兵達は空を見上げる。その時、上空を何かがサーキットを飛び越えていった。それとは別の何かが猟兵達の真上で分裂し、「それ」はみるみるうちに大きく――否、落下してくる。サーキットの中央に落下した「それ」の衝撃は、地震のように大地を揺るがし、多数のヒビを刻み、辺り一面に土煙を巻き上げた。
 土煙が晴れていくと、「それ」の輪郭が徐々に明らかになる。黒と金の二色からなる重厚な鋼の鎧に包まれた巨躯、燃え上がる炎のような真紅のマント、両肩の百獣の王の意匠と、その間にあり、神の威厳と敵意を宿し猟兵達を睨みつける眼光――「神々の時代」から世界に存在する原初の鋼と炎の神であり、「アースクライシス2019」で猟兵達が討てなかった「ジェネシス・エイト」の一角であり、このサーキットで発生した一連の事件の首謀者である、鋼神ウルカヌスだ。

「猟兵よ、その名に違わず『猟る』ための獲物を探す鼻は相変わらずだな。だが、貴様らは嗅ぎ付ける匂いを誤った。この世界で最初に『鉱物』と『生命の礎』を手にしたのは私だ。その私を、鉱物から造られた機構を競わせる地で猟ろうとしているのだ。そのような不遜なる生命は焼き尽くし、造り直さねばならぬ。牙を剥いたことを――後悔せよ!」

 ウルカヌスから発せられる爆発的なオーラは、猟兵達をして何もかもを焼き尽くす炎のように感じられ、その圧倒的な強さに、グリモア猟兵の言っていた「先にユーベルコードが飛んでくる」ことを否応なしに解らされる。
「ユーベルコードでは絶対に先手を取れない」という圧倒的な差をつけられ、猟兵とオブリビオンのレースはファイナル・ラップを迎えた。しかし、レースはチェッカー・フラッグが振られるまで結末は誰にも判らないのだ。信念が、執念が、勇気が、祈りが、奇跡にも魔物にも姿を変えるのは、カーレースに限ったことではない。かつて「世界の滅亡」をひっくり返した猟兵達は、「未来」を望む「現在」のために、この世界の「過去」の最たる存在に挑む。
亞東・霧亥
【POW】
・真の姿に覚醒。

・先制対策
足場習熟、ダッシュ、忍び足、残像、殺気、目立たない
緩急自在の歩法で残像を創りつつ残像に殺気を放たせながら、自身は目立たぬように遮蔽物の影に隠れる。

【UC】
過去の激闘から鋼神ウルカヌスに変身する。

・グラップル、リミッター解除、限界突破
本物と殴り合い一歩も退かぬ事で、【金色に輝く『神の鎧』】は偽物にも複製が可能であると思わせ、神のメッキを剥がす。

※絡み歓迎



●一番時計
「さすがは猟兵。尚もそれほどの殺気を私に向けられるか」
鋼神ウルカヌスから発せられる爆発的なオーラに対し、睨み返すのは亞東・霧亥(峻刻・f05789)。
「当然だ。貴様を倒すために俺達は時を刻んできたのだからな」
言い放った霧亥もまた、鋭い殺気をオーラとして発している。頭髪は燃え上がるように灰色と化し、服の胸元が裂けると、傷跡に埋め込まれたかのような懐中時計が顔を覗かせた。これが霧亥の「真の姿」――生命体の埒外であり、オブリビオンを「猟る」者の姿である。
「不遜な懐中時計め、叩き直してくれる!」
ウルカヌスが怒声を上げると、その周囲を金色の光の粒子が取り巻き、それらは鋼の鎧に包まれた巨躯を、さらに金色の鎧として包み込んだ。ユーベルコード「超鋼神装」による、無敵の「神の鎧」を纏った文字通りの鋼神は、その重量感を完全に無視した速度で跳躍し、霧亥目掛けて組んだ両手を叩き付けた――しかし、両手は霧亥の姿をすり抜け、サーキットのアスファルトを砕き散らす。
「僅かに残像だったか。だが、逃がさぬ!」
霧亥は縦横無尽に身を躍らせ、残像の殺気を利用して、ウルカヌスを暴れさせる。地面を殴り付け、レーシングカーを殴り飛ばし、タイヤやスポンジで構成されたクラッシュバリアを焼き尽くすウルカヌスは、徐々に苛立っていく。
「威勢の割に臆病者だな。尻尾を巻いて逃げてはどうだ!」
「それなら真正面から相手してやるよ。こっちを見ろ」
ウルカヌスは背後から声を聞き、向き直ると、そこにいたのは「神の鎧」を纏った鋼神――自らの姿。
「何の真似だ? 姿形を真似たところで、私と互角に闘えるわけでもあるまい」
「ああ、互角にはならないな。偽物にも複製可能な神など、俺の敵じゃない」
「抜かせ猟兵ッ!」
もう一体の鋼神ウルカヌス――ユーベルコード「屍山血河」によって、過去の激闘の記憶から鋼神ウルカヌスに変身した霧亥は、殴りかかるウルカヌスの拳を、全く同じモーションで殴り付けた。「神の鎧」の手甲同士がぶつかり合い、火花と共に、ギィンと甲高い金属音を響かせる。その音を皮切りに、両雄の金色の鎧が互いを打ち合い、火花と金属音を散らす。
 神の鍛冶場と化したサーキットで繰り広げられる耐久性テストは、互いの品質を充分すぎるほど保証した。しかし、サーキットは優劣を決める場所だ。それが決まらぬ限り、終われない。
「どうした? 敵ではなかったのだろう、猟兵よ」
「物真似を相手取って互角の闘いになる神が言えたことか?」
「敗北を望むならいつでも与えてやると言ったのだ!」
ウルカヌスの裂帛と共に繰り出された拳は、霧亥が撃ち返すよりも先に胸を打ち据えた。霧亥の「神の鎧」の胸は、ひび割れて砕け落ち、元の鋼神の鎧に埋め込まれた懐中時計をさらす。
「私は原初の鋼と炎の神だ! 私に砕けぬ鋼などない!」
「――例え『自身の纏う無敵の鎧』であっても、か?」
「なっ……!?」
無敵の鎧が砕けるほどの一撃を受けた霧亥の言葉――喋れていることに、ウルカヌスは動揺する。
「貴様、何故立っている? 何故口が利ける!?」
「『鎧』が無敵だからに決まっているだろう。砕けることで俺を守り、そして貴様は『鎧』を自ら砕いた。貴様の姿をした俺が纏う『鎧』をな。つまり、俺にも貴様の纏う『鎧』は砕けることになる。『無敵』のメッキ、簡単に剥がれたな」
「ほざけ猟兵! そのような――」
「それと、敗北をいつでも与えてやれるのは俺達も同じだ」
 霧亥の胸の懐中時計が、まるで「過去」から「現在」に巻き戻るかのような速度で針を回すと、その速度で霧亥の手甲はウルカヌスの胸を打ち抜いた。「神の鎧」は全て金色の光の粒子と化して霧消し、ウルカヌスの巨躯は、自身が到達し得ぬ速度でサーキットの反対側へ飛んでいき、土煙を巻き起こした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

箒星・仄々
未来は今を生きる命のもの
過去には海へとお還りいただきましょう

水の魔力の矢の弾幕で神炎迎撃
荒ぶる激流の如く押し返し

攻性防御を抜けた炎は疾風加速の残像で回避
幾重もの水流の楯で防御


弦爪弾き魔力を練り上げ
世界へ力添えを願い歌います
是からも未来へ進み続けられますよう
どうか

無機物→炎への変換阻止
威力や範囲が不安定となった間隙に超水圧の矢を連射
動きを見切り一点に集中&急速水冷の金属疲労で
ご自慢の鎧を穿ち鋼神さんを動揺
小水石を穿つ!です

その穿った点に矢
内部から炎や金属を冷やし砕きます

事後に鎮魂曲
現在を懸命に生きた命のお陰で
世界は未来へ進み
その積み重ねが現在です
私たちもそうして未来へ進んでいきます
どうぞ安らかに


ネミ・ミミーニーズ
いろいろおまかせ

出てきたわねウルカヌス!
ここで遭ったが初めまして!
ご挨拶に来てやったわよ!

まず原初の炎、と。
炎はウルカヌス中心に範囲が決まってるのでおなべ被って攻撃が落ち着くまで逃げ回り。
平和なべはなべなので炎でお料理されることはない、ハズ。

落ち着いたらこちらも仕掛けるよう!
神様にはかみさま!
いけ!奈良の鹿!
ってわけで【全ては鹿】
奈良の鹿はすごいぞ! なんたってかみさまの使いだからな!
今回はこれをネミさんの愛機こと風塵くんと神鋼の鎧に使おう。
これで奈良パワーにウルカヌスパワーも取り込んだダブル神パワーだ!

って!?
風塵くん砕け散ってるじゃん!
これじゃスーパーミニ鹿軍団じゃん! おのれウルカヌス!


中村・裕美
「……ついに最後ね。……頼んだわ……シルヴァーナ」
今回も最初と同じくシルヴァーナにお願いする。今回は祐美を出す余力はない

「チャオ、鋼神ウルカヌス。そしてさようならですわ」
UC対策として、無機物の変換→炎の操作の瞬間を【見切り】攻撃回避を試み、足元が急に変換されないよう、【早業】で【残像】の残るようなスピードで動き回り、場所を特定させない。武器は変換されないよう、生きている竜であるドラゴンランスを使用
「さあ、もっとギアを上げさせていただきますわ」
隙を見て【瞬きの殺人鬼】で更に速度とパワーを上げ、四肢を【串刺し】で穿ち【部位破壊】
「せっかく平和になったこの世界ですもの。無粋なことは許しませんわ」



●finish line
「……ついに最後ね。……頼んだわ……シルヴァーナ」
中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)が副人格・シルヴァーナに交代すると、彼女は鋼神ウルカヌスに歩み寄っていく。
「チャオ、鋼神ウルカヌス。そしてさようならですわ」
彼女の挨拶は、ものの数秒で猟奇的な笑みをたたえていた。
「出てきたわねウルカヌス! ここで遭ったが初めまして!」
シルヴァーナの後ろから追い付いて飛び出したのはフェアリーのネミ・ミミーニーズ(蒸気打ちの妖精・f00595)。
「未来は今を生きる命のものです。過去には、海へとお還りいただきます」
二人と別の方向からは箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)がウルカヌスに近付いていた。
「猟兵が雁首揃えて、猟るために追い詰めたとでも思ったか!」
ウルカヌスの眼光が猟兵達を睨むと、周辺のフェンスやレーシングカーが――ユーベルコード「原初の神炎」で――原初の炎と化して燃え上がり、猟兵達を焼き尽くそうと四方八方から殺到する。
 シルヴァーナは、それらが燃え上がる瞬間を見切っては残像の残るようなスピードで動き回り、自身の場所を特定させず立ち回りながら、携えた槍を叩き込む隙を窺っている。その槍は「覇空竜スカイフォール」、生きている小型の竜が変身したドラゴンランスという武器であり、「原初の神炎」で変換されることはない。
 仄々は疾風加速の残像で回避し、幾重もの水流の楯で防御を試みるが、巻き起こした疾風が炎を煽るせいか、防御の手数は徐々に押されていた。
「このままでは……!」
「ケットシーくん! ネミさんとツーマンで凌ごう!」
助け舟を出したネミは仄々と背中合わせになり、仄々は水流の楯で、ネミは平和なべで炎を掻き消していく。
「馬鹿な! 何故鍋が炎になっておらぬ!」
ウルカヌスは思わず叫んだ。鍋は食材に火を通すための調理器具であり、故に有機物で務まるはずがない。有機物でなければ無機物であり、既にウルカヌスの手駒のはずだ。
「お堅い鋼神様には分かるまい! 平和なべは、ほんわかふわふわした気持ちにさせることに特化した不思議なべ! 日本では、鍋は囲んだ人々の心をつなげる料理! つまり鍋イズハート! 鍋イズピース!」
「ぬう……! 確かに、鍋は無機物である前に、侘び寂びの心……!」
ネミさんロジックを鋼神様に納得していただいたことで、ウルカヌスのユーベルコードへの意識が揺らぎ、猟兵達に反撃の機会が訪れる。

 最初に動いたのは仄々。ユーベルコード「トリニティ・ブラスト」で展開した385本の水の魔力の矢を次々に神炎に放つと、それらは元のフェンスやレーシングカーに戻っていく。一通り神炎を消した仄々は、ウルカヌスに向けて超水圧の矢を連射する。一点に集中した矢は、急速水冷の金属疲労を引き起こし、鎧を穿った。
「何っ!?」
「小水石を穿つ――日本とは違いますが、これも東洋の格言です。私達の命も、力も、生きた時間も、原初の神である貴方と比べたら小さいものでしょう。ですが、小さい力でも積み重なれば強大な力になるのです。この戦いも、かつての戦いも、私達はこうやって戦ってきたのです」
 次に動くのはネミ。
「神様にはかみさま! いけ! 奈良の鹿!」
鍋をガジェットに持ち替え、放った光線はユーベルコード「全ては鹿」。光線はネミさんの愛機こと風塵くん――が砕け散ったサーキットの地底へと繋がる地割れと、神鋼の鎧の欠片目掛けて飛び、光線を浴びて奈良パワーにウルカヌスパワーも取り込んだダブル神パワーのスーパーミニ鹿軍団が、穿たれた鎧の穴に次々と炸裂する。
「うぐぉッ!? 鹿だと!?」
「そうだ! これらは神鋼の鎧と風塵くんの受けた痛みへの神罰!」
屠ったのは貴様らだろう、と言わせない鹿のラッシュを背に、仄々はカッツェンリートで人々へ力添えを願い、歌い始める。
(是からも未来へ進み続けられますよう、どうか――)
竪琴のペダルを踏み、拡声機能で風の魔力を操作して、歌声を拡げていく。世界の隅々までは行き渡らないかもしれないが、少なくともサーキット周辺の避難者達や、彼らを守る警察・救急・ヒーローには届くだろう。彼らの想いは、猟兵達に託されているのだから。心なしか、ユーベルコードの矢や鹿、そして「覇空竜スカイフォール」が輝きを増した気がする。
「賑やかで楽しいお祭りでしたが、ラストソングが流れ始めたということはフィナーレですわね。では――もっとギアを上げさせていただきますわ」
「覇空竜スカイフォール」の輝きに呼応するように、シルヴァーナもユーベルコード「瞬きの殺人鬼」で殺戮本能を増強し、回避時の6倍の速度でウルカヌスに肉薄し、ドラゴンランスを突き出すと、重厚な鎧に包まれた腕を串刺しにした。
「ぐァァァァッ! この……ッ!」
ウルカヌスはもう片方の腕でシルヴァーナに殴り掛かるが、腕は空を切り――振り抜き切る前にドラゴンランスが鎧を貫いて追い抜く。
「ぐッ……小癪なッ!」
飛び退いて仕切り直そうとするウルカヌスだが、
「わたくしから逃げられるとでも思いまして?」
その瞬間にはシルヴァーナが耳元で囁きかけており、またも鎧ごと脚を貫かれ、そのまま地面に突き刺さったランスに縫い留められた。そのランスはすぐに引き抜かれ、もう片方の脚に突き立てられる。
「ヌグァァァァァァ!!」
「アハハハハ! いい色をしていますわね!」
穿たれた四肢の断面の色を見下ろし、シルヴァーナは恍惚とした高笑いを上げる。

 大勢は決した。もはや、ウルカヌスは動くこともままならない。
「鋼神ウルカヌス、貴方はここまでですわ。せっかく平和になったこの世界ですもの。無粋なことは許しませんわ」
猟奇的ながらも、どこか憑き物が落ちたような――ユーベルコードの発動限界82秒が迫る――微笑みでシルヴァーナは語りかけた。
「鍋……じゃなかった鋼神ウルカヌス様、一時だけだったけど、相棒と巡り合わせてくれて、ありがとうございました」
風塵との最速伝説の夢を見たネミは深々と頭を下げた。
「現在を懸命に生きた命のお陰で、世界は未来へ進み、その積み重ねが現在です。私たちもそうして未来へ進んでいきます。どうぞ安らかに」
仄々は脱帽し、一礼する。
 そして、仄々の水の魔力の矢が両腕に、ネミのスーパーミニ鹿軍団が両脚に、シルヴァーナの「覇空竜スカイフォール」が水の矢で穿たれた鎧の穴を砕いて突き立てられ、原初の鋼と炎の神、鋼神ウルカヌスの姿は白黒と明滅しながら粒子状に崩れ去り、ドラゴンランスに絡まりつつ渦を巻いて空へ消えていく。仄々がカッツェンリートで奏でる、風の魔力を帯びた鎮魂曲に乗って広がった粒子は、まるでチェッカー・フラッグのように靡いていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​


●go further
 鋼神ウルカヌスを倒した猟兵達がサーキットを出ると、歓声が巻き起こった。彼らはサーキットの観客を、そして、再びの滅亡の危機になり得る脅威から世界を救ったのだ。しかし、このレースの勝者である彼らには、トロフィーもシャンパン・ファイトも用意されていない。だが、彼らは「人々の未来」というかけがえのない戦利品を手にしたのだ。

 事件から数日後、避難者有志が「イェーガー・スピードウェイ社」に復旧費用を寄付したニュースが全世界を駆け巡り、共同会社「イェーガームービー社」の賛同をはじめとして多額の寄付金を集めることになる。「イェーガー・スピードウェイ社」はサーキットの復旧と増改築に伴い、復旧後のサーキット名を「イェーガー・サーキット2020」へと改称すると発表。その翌日、新聞の一面は「EC2019」の上に「JC2020」の看板を、鋼神様が打ち付けるイラストで彩られた。

最終結果:成功

完成日:2020年06月28日


挿絵イラスト