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未来へと続く道

#アポカリプスヘル #【Q】 #ストレイト・ロード

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#アポカリプスヘル
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#【Q】
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#ストレイト・ロード


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●ロード・トゥ・サバイブ
「皆、集まってくれてアリガト!」
 アコニィ・リード(偽神暗姫・f25062)はグリモアベースの会議室へ集った猟兵達にぺこりと頭を下げると、そのまま不慣れな手付きでコンソールを弄り倒す。
「少し、前から、ね……孤立した拠点同士を、結ぶ、道の建設が始まって、いるんだ」
 ガチャガチャとスイッチを押しまくり、ようやく背後のスクリーンには作戦地域の全景が映る。そこにはアポカリプスヘル・ジャパン・フナバシ・エリアと書かれた広大な土地があった。そして中心から四方八方へと伸びる筋――そのどれもが、新たに敷かれた道だという。この道についてアコニィが、マニュアルを見ながら懸命に説明していた。
「舗装の種類はマカダム舗装って言って、砕石をローラーで圧し固めたものになるの。まだ、アスファルトやコンクリートは確保出来てないから……」
 単に技術的な問題では無く、オブリビオンやオブリビオン・ストームによって『壊される』事も想定して敷設する為、作業性や材料の手間なども考えてこの手段が普及しているのだと思う、との事。それに何度壊されても、諦めなければやがて道は定着する……そう信じて、アポカリプスヘルの人々は道や新たな道を築いているのだ、とも。
「こうして、拠点同士が繋がればこの世界もきっと繁栄を取り戻せると思う。でね」
 続けてカチリとスイッチを押せば、予想通り奴ら――オブリビオンの姿が、スクリーンに映し出された。それは機械の獣と、機動兵器に跨った眼光鋭い老人。
「やっぱり出てくるんだ。邪魔する奴らが」
 どちらも悪しき気配を微塵も隠さないでいる。声を震わせてアコニィが言葉を続けた。

「道路を敷く為のルートを切り開いた先に、機械の獣の群れが待ち構えているわ」
 フナバシから北上して目指す拠点はイチカワ・エリア方面。この間に陣取っているのが、まずは機械の獣の群れだという。
「こいつらは人攫いの手先みたいなものね。で、獣の群れの奥に元凶……死神爺がいる」
 その機械の獣達を操っているのが死神爺と呼ばれる、歴戦のエンジニアだったオブリビオン。アコニィ曰く、自身を生み出したマッドサイエンティスト、らしい。
「人攫いと人体実験で生計を立ててる最低のクソジジィよ。オブリビオンになったみたいだけれど、やってる事は変わらない……むしろ、もっと酷くなってるわ」
 不死に近い特性を得た今、自由気ままに人狩りと研究を謳歌しているとの事だ。それこそオブリビオンをこの世界へ更に蔓延らせる様な悪魔めいた所業。
「だからお願い、絶対に倒して欲しいの」
 これからの世界と生命の為にと、アコニィは息を荒げた。

「作戦は三工程に分かれるわ。ルートの確保、障害の排除、ボスの撃滅、この三つ」
 アコニィの言葉と共に赤いロッドの先から光が迸り――グリモアがゲートを開く。
「それじゃあ皆、ヨロシクね!」
 明るい声と共に再び、アコニィはぺこりと頭を下げた。

 繋がったアポカリプスヘルの状況はいつも通り――ただ違うのは、猟兵達の背後ではこの世界の人々が道を広げるべく、様々な重機と共に道無き道を進んでいた。しかし眼前には隆起した巨大な断崖にそこかしこに亀裂の入った大地。真っ直ぐ進むだけではどうにもならないだろう……だからこそ今、猟兵達の力が必要なのだ。


ブラツ
 ブラツです。
 アポカリプスヘルで道を作るお話です。
 少数短期決戦を目標にします。

●作戦目的
 第1章冒険は舗装道路建設のルートを確保する為、ルート上の障害物を次々と排除して下さい。手段は問いませんので、瓦礫を消したり穴を塞いだり、兎に角何でもGO! ですが、敷設方法は一種類ですのでご注意を。詳細な状況はオープニングをご確認ください。

 第2章集団戦は後述するボスの尖兵との戦いです。友軍は猟兵のみですので、舗装道路に気を付けて、思いっきり暴れて下さい!

 第3章ボス戦は死神爺との戦いです。特にギミックなどありませんので、こちらも思いっきり暴れて大丈夫です。

 以上になります。
 プレイングは本シナリオ承認と同時に受け付けます。
 アドリブや連携希望の方は文頭に●とご記載下さい。
 単独描写を希望の方は文頭に△とご記載下さい。
 今回は各章6名前後の採用で進め、尚且つ2章以降は1章参加者を優先する予定です。
 その為、大人数での連携は採用率が低下しますのでご注意ください。

 それでは、よろしくお願い致します。
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第1章 冒険 『荒野を切り開け』

POW   :    道路を敷く為、荒れた地面の整地を行う

SPD   :    鋭い調査や直感によって、周囲の危険を避ける

WIZ   :    知恵や知識によって、最適な交通ルートを割り出す

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ウーナ・グノーメ

【心情】
「整備された道路は本当に大事なのです。物流が潤滑になるのはもちろん、防衛のしやすさも段違いなのです」

大地の妖精である彼女にとってまたとない仕事、いつもと変わらぬ無表情ながら、いつも以上に張り切っている様子。

「保持と整備のしやすさを考えると、ルートの計算は必至なのです。目覚めて、砂の精霊よ」

早速妖精は下級精霊を召喚し、地形の把握に乗りだす。

「砂礫の先達、不毛の荒野の案内人の本領発揮なのです」

【行動】
UCで召喚した砂精霊が【情報収集】を行い、得られた情報から断崖を避けた最短ルートを計算。
進路状を塞ぐ障害物は【念動力】で破砕したり、【吹き飛ばし】でどかしたり穴埋めに使ったりして皆を手伝う。


箒星・仄々
この世界がより素敵な未来へ進むための
大切なお仕事ですね
及ばずながら猫の手をお貸ししましょう

障害となる岩は超水圧の矢で穿ち
削り砕きます
これを砕石機に入れて舗装材に使えないでしょうか

亀裂へ火炎
大地を溶かしくっつけて裂け目や穴を塞ぎ
出来るだけ段差をなくします

火炎&超水圧で岩盤を砕けば
トンネルもお手伝いできるかも知れませんが
今後のメンテや修復を考えると
迂回した道がよいかも知れませんね

断崖絶壁や大きな障害地形に対しては
竪琴を奏で魔力を練り上げて歌い
魔法の音色で世界律に働きかけて地形を変化させます
シンフォニアの力、お見せしましょう…!

休憩時間にも竪琴を奏でます♪
頑張っている皆さんへ少しでも癒しになれば



●切り拓く者達
「整備された道路は本当に大事なのです。物流が潤滑になるのはもちろん、防衛のしやすさも段違いなのです」
「はい。この世界がより素敵な未来へ進むための大切なお仕事ですね」
 ふと、必死に未開の荒野を突き進む人々の前に光が降りてきた。それはウーナ・グノーメ(砂礫の先達・f22960)と箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)。突如現れた小さな援軍に驚きながらも、人々は一心不乱に身体を動かす事を止めない。この世界に新たな道を――道のりは決して容易では無く、だからこそ一々驚いてはいられないと。その様子に二人は顔を合わせて表情を綻ばせた。その力強い意志はきっと世界すら変えられる事を、今まで何度も見てきたから。

 暫く、現場の手が遂に止まる。目の前には巨大な岩塊――人々の手には余る代物だ。最も破砕用の重機が無い訳ではないが、余りにも数が少ない。ならば、と尻尾を振って前に出た仄々が静かにハットの鍔を上げて、巨大なそれと対峙した。
「任せてください。及ばずながら猫の手をお貸ししましょう」
 そっと肉球を岩塊に押し当てて、僅かに走る裂け目に這わせる。この位ならば――瞬間、仄々から放たれた炎が亀裂に沿って迸る。頑強な岩塊が熱せられれば静かに膨張して――裂け目が徐々に広がっていった。
「この位ですね。では仕上げを――」
 そして爆音と共に、細く鋭い鉄砲水が裂け目に沿って放たれる。脆くなった構造を内側からバラバラに砕く様に、水勢が四方八方に岩塊から溢れ出て。
「……これを砕石機に入れて舗装材に使えないでしょうか」
 膨張と収縮――今まで微動だにしなかった塊が、まるでケーキを切り分ける様に綺麗に解体されていった。その様子を感嘆の表情で眺める人々――正に魔法、数多の戦場を駆け抜けた猫の奇跡が、人々に光明を齎したのだ。
「今後のメンテや修復を考えると、迂回した道がよいかも知れませんね」
 水浸しになった地面と砕かれた岩塊の周りを、いそいそと人々が動き回って――確かに仄々の言う通り、この先ずっとこんな感じでは何かあった時に元に戻せなくなる恐れもある。
「ええ。保持と整備のしやすさを考えると、ルートの計算は必至なのです」
 そしてふわりと光が音と共に舞い――ウーナが鈴の音の様な声で人々に語り掛けた。
「――目覚めて、砂の精霊よ」
 顔色一つ変えずにウーナが呪文を唱えた途端、砂塵と共に羽根を生やした無数の砂の精霊が姿を現す。それらは音も無く辺りへ散って、大地に光が満ちていった。
「砂礫の先達、不毛の荒野の案内人の本領発揮なのです」
 精霊の力を行使した超高精度の地形把握――人の手では(特にこの世界では)一週間はかかるであろう工程を、たった一人、僅かな時でこなしてしまったのだ。続々とウーナの元へ集まる精霊からの報告が、そして精霊が導く新たな道筋が、人々を進むべき方角へと誘った。終着点まで届けばいい。先ずは先へ進む意志を力に、そっと猫の奇跡も添えれば、果たせぬ願いなど無いのだから。

 ウーナが導いたルートに従い、続々と新たな道が出来上がっていく。時折現れる岩塊も仄々とウーナがそれぞれの力で即座に砕いて、気が付けば人々と猟兵の絶妙なコンビネーションは、当初の予定を大幅に超えて新たなルートを構築していったのだ。
「もともと道路があったのでしょう。大地の記憶が導くのです」
 ひらひらと妖精の羽根が光を振り撒いて人々を先導する。無表情ながら張り切って動き回る姿が、言葉は少なくとも溢れるやる気を周囲に伝播させる。
「凄い裂け目です。ならば……」
 ふと、目の前には奈落の様な巨大な裂け目が見えていた、橋を架ければ進めるだろうがそれでは補修した事にはならない。この先へ更に続く為にも――そっと目を閉じた仄々が手にした竪琴をゆっくりと奏でて、涼やかな音色が辺りに響く。
「シンフォニアの力、お見せしましょう……!」
 途端、みしりと大地が動く音が――緩やかな地響きと共に裂け目が徐々に細くなり、そして。
「手伝いましょう。わたしも大地の妖精なのです……!」
 ウーナの腕輪が眩い光を解き放ち、十二星座の加護が仄々の奏でる音色に合わせて、念動の光の波を打つ。
『これは、一体……』
 そして星と大地が織りなすハーモニーが巨大な亀裂をまるで何も無かった様に塞いで、遂に分かたれた断崖が元の広大な大地を取り戻したのだ。正に奇跡という他無い、鮮やかな手並みだった。
「さあ、行きましょう。遥かな先へ」
 爪を滑らせた竪琴が音を奏で、音色に続いて人々が新たな道を築く――人々の営みを繋げる為に。世界を取り戻す為に。可愛らしくも頼もしい二人の力があれば、それも叶うと強く信じて。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

玉ノ井・狐狛


道を造るなんざ、ふつうは統治機構がやるシゴトだ。
それを小規模な拠点同士でやろうってんなら、なるほど、たしかに人手(猟兵)は必要だよなァ。

土木工事に詳しいワケじゃないが……そこは実際に作業するやつらも大差ないか?
ま、ともかくジャマなものをどけりゃァいいんだろう。

◈UC
穴や大きなへこみがあったら盛り上げ、逆にでっぱりがあったら潰す。
アタシぁ力仕事は得意じゃない。そういうのは、地面サマ自身にやってもらおう。

あァ、細かい要望があったら言ってくれ。だいたいのことにゃ対応できると思うぜ。


オヴェリア・ゲランド

ふむ、道なき道を征かんとする者達の意思…気に入った!
ならばこの剣帝オヴェリアとゲランド帝国が貴様達の力になってやろう!

私は背後にいる者達へ演説を行い、士気を高めると共にUC【魔導砲ドーラ起動】を発動する。
「見よ!眼前には諸君らに立ちはだかり未来を閉さんとする断崖が聳え立っている!
ここで諸君らの旅は終わりか?
否、断じて否!
諸君らの情熱と結束、弛まぬ努力が有れば超えられぬ壁などありはしない!
諸君らの目指す先を拓くのは、その心に宿る炎だ!」
大演説でUCを発動出来れば、後は魔導砲ドーラの砲撃で邪魔な障害物を尽く粉砕できよう。
私は破壊しか出来ぬ、しかし破壊なくば再生の未来はない。



●突き進む者達
 荒野に道を――猟兵の力を借りて進み続ける人々の前に現れる障害は、何も自然だけが全てという訳では無かった。
『こいつは……厄介だ』
 目の前にはかつて大規模建造物だった過去の残滓が。それらが山の様に積み上がり、迂闊に触れれば崩落し更に余計な作業を増やしかねない。
『やはり、迂回するしか……』
「狼狽えるな諸君!」
 瞬間、凛とした声が現場に響き渡る。いつの間にか一団の先頭には軍装の麗人――オヴェリア・ゲランド(銀の剣帝・f25174)の姿が。
「これまでの道なき道を征かんとする諸君の意思……気に入った!」
 外套を翻し、労う様に声を張り上げるオヴェリア。立ち塞がる脅威を前に気を沈めた一同を、その意思を確かめる様にゆっくりと眺めながら言葉を続ける。
「ならばこの剣帝オヴェリアとゲランド帝国が貴様達の力になってやろう!」
 手にした大剣を大地に突き立てて、オヴェリアは更に声を張り上げた。その声にハッと顔を上げる人々の目には、未だ道を繋げる意志を放棄した者は一人も居なかった。
「見よ! 眼前には諸君らに立ちはだかり未来を閉さんとする断崖が聳え立っている! ここで諸君らの旅は終わりか?」
 終わり……そんな事があってなるものか。俺達がこれを成し遂げなければ、この世界に未来はない。
「否、断じて否!」
 オヴェリアの言う通りだ。もう引き返すなどという選択肢は無いのだ。前へ向かってひたすら突き進む以外、ありえないのだから。
「諸君らの情熱と結束、弛まぬ努力が有れば超えられぬ壁などありはしない!」
 これまでも巨大な岩塊を貫いてここまで進んできた。導きに従って新たな道を築いて来たのだ。だから、こんな瓦礫が幾ら立ち塞がろうと――決して折れはしない。
「諸君らの目指す先を拓くのは、その心に宿る炎だ!」
 そうしてオヴェリアに奮い立たされた心は遂に奇跡を育んだ。何物にも動じず、恐れない心はオヴェリアの超常を起動するに十分な火種となったのだ。
『こ、高エネルギー反応接近!?』
『馬鹿な、嵐が来るにはまだ早いぞ!』
 不意に空気が変わった。遠くで雷鳴が轟いて――それは世界を破壊するオブリビオン・ストームを想起させるに相応しい、凄まじきエネルギーの発露。
『違う……あれは!』
 しかしその嵐は――オヴェリアが呼び起こした超常の次元砲が齎す力は、再生の為の破壊。音よりも早く極太の光条が人々の前に聳える瓦礫を吹き飛ばして、長大で真っ直ぐな道筋を作り上げる。
「私は破壊しか出来ぬ、しかし破壊なくば再生の未来はない」
 それは彼等の未来を指し示す様な、荒々しくも清々しい一本の道となった。

「随分とまあ、派手にやってくれるねぇ」
 その様子を見やり、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)はニヤリと口端を歪めた。
「本来ならこういうのは統治機構の仕事だろうけど……」
 道すがら足並みが止まる度に博打を吹っかけては、いい具合に勝敗を付けてやった。少ない時間で気持ちを奮い立たせるにはこういうのは良く効く。馬だの船だのが走らなくても、札さえあればどこでも誰とでも仕事は出来る。
「事情が事情だ。確かに人手は必要、か」
 丁度良いサイズの岩場に腰掛け、進む一団をゆったりと眺める。この様子じゃあ次の仕事までしばらく掛かりそうだ――ここらで一服、とばかりに袖の下を漁った途端、崩れた瓦礫が音も無く狐狛の頭上へ落ちてきた。
『おいアンタ、危ない!』
 先程まで勝たせて貰い上機嫌だった人夫が血相を変えて叫ぶ。急なエネルギー放射で弾き飛ばされた瓦礫が予想だにしない方角から飛んで来たのだ……だが狐狛は顔色一つ変えずに人夫へと向き直った。
「なあアンタ、アタシが無事だったらさっきのは仕切り直しでいいかい?」
『えっ!?』
 パチン、と指を鳴らす狐狛。青ざめた人夫が見たモノは、飛んできた瓦礫を押し退ける様に突如盛り上がった、異形と化した地面そのもの。
「ま、ともかくジャマなものをどけりゃァいいんだろう」
『地面が、動いた……』
 まるで意志ある生物の様に、そこかしこで飛び散った瓦礫を払い除けて、あるいは削れた地面を塞いで、大地が荒波の様に踊り始めたのだ。
「アタシぁ力仕事は得意じゃない。そういうのは、地面サマ自身にやってもらおう」
 そしてしばらく、凪の様に静まった大地は平坦な地面を作り上げた。これならば舗装も容易――先程の瓦礫も綺麗に退かされて、改めて進むべき道がここに示された。
「あァ、細かい要望があったら言ってくれ。だいたいのことにゃ対応できると思うぜ」
『こりゃイカサマ……なんてモンじゃねえな』
 ニヤリと歯を見せ佇む琥珀を見て、ほっと胸をなでおろした人夫。正に奇跡の所業――大地を動かす超常があれば、そういう事も容易いのだ。
「しっかし、通るか通らぬか……随分とデカい博打だな」
 ガラガラと音を立てて邁進する重機を眺めて、ぼそりと呟く狐狛。
「でも、そういうのは、嫌いじゃないぜ」
 強き意志こそ人の営みを発展させてきた原動力。そして生き残る為に大切な素質の一つなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

陽向・理玖


アポヘル初めてだ
UDCやヒーローズアースと同じ地区…だよな…
こんなんなっちまってんだな…
まぁ感傷に浸っても仕方ねぇ
やるか…!

と言っても土木作業も初めてなんだが…
とりま邪魔な瓦礫を撤去してでけー奴はグラップル
拳で殴ってぶっ壊す
埋めるのにちょうどいいように大きさ大小調整し
持ち運びそのまま穴を塞ぐのに使う

やっぱ大体向こうと同じ感じなんかなぁ
方角確認し随時進む先の状況も確認
方角合ってりゃその内着くだろ
あまりにでかい穴とかあって進めないようなら迂回しつつ補正し
地図に記入したり都度確認

山道だって獣や誰かが歩くから繋がるんだ
誰かがやんなきゃ先には進めねぇ
ささやかな道だが
未来に繋がってると思えばやる気になる


高吉・政斗
●【POW】
「おっ!コッチも道路作るのか、よっしゃ手伝おうじゃないか。」

・二足型で
建築系・隆起物・3F,4F程度の高さの断崖など…
を取りあえず主砲でドカン!、踏みつけてドスンだ。
コレより大きいモノなら回数を分けて念入に壊そう…粉砕LVで。

・手持ち
俺の身長程度の障害物なら…
自前の小銃で擲弾(吹き飛ばし)やら徹甲弾(鎧無視攻撃)やらで
粉々にするぞ。

・砕石材
粉々にした石材は後衛の重機隊(って勝手にそう呼ぶぞ?)に運んでもらって
道なり(これから作るであろう道)にそって塗す様に…あ、勿論自前の粉砕石材も混ぜてね。あくまでも俺の案は「砕石材の不足分の補い方」だ。

「さて、サクッと終われば良いがな」



●撃ち砕く者達
「UDCやヒーローズアースと同じ地区……だよな……」
 陽向・理玖(夏疾風・f22773)の目の前に広がる光景は、知っている様な知らない様な――元居た世界と同じ風を感じさせた。
「こんなんなっちまってんだな……」
 一つ大きな違いがあるとすれば、空がとても広い事。オブリビオン・ストームによる大破壊は、元居た世界にあったような高層建築物の多くを破壊し尽くしていたからだ。
「まぁ感傷に浸っても仕方ねぇ。やるか……!」
 つまり、あの時――かつての戦争で負けていたら、こんな風になっていた可能性もあった? そんな事を思うとぞっとする。だが今はこの世界で、やるべき事を果たさなければならないのだ。そういう事は、全てが終わってから考えればいい。
「と言っても土木作業も初めてなんだが……!?」
 拳を握り一歩前へ。とりあえず目に付く瓦礫や岩塊を片っ端から殴り飛ばそうと力を入れた瞬間、不意に巨大な駆動音がこちらへと迫ってきた。
「おっ! コッチも道路作るのか、よっしゃ手伝おうじゃないか」
 それは長大な方を携えた戦車の様なマシン。だが剥き出しのフレームを軋ませて走行するその姿は、ただの車両では無い事が一目で分かった。
「キャバリアール起動。スタンディングモード」
『Roger。BCSystem、起動シマス』
 スピーカー越しに人の声と電子音が響いた途端、鋼がバキバキと擦れる甲高い音と共に戦車が徐々に大きく――まるで立ち上がる様に影を広げていく。
「何だ……ロボット?」
 それは大型のクレーン車の様に四方へ鋼鉄の脚を伸ばして、がっちりと荒れた地面に巨大な姿を固定させる。伸ばした脚の先からは更に細く強靭な固定脚が伸びて、あっという間に大きな砲台じみた威容が誕生した。
「ターゲット指定、正面の隆起した地形!」
『測距完了。弾種榴弾――アウトリガー展開、精密砲撃モードへ』
 高熱の排気が陽炎を揺らめかせて、くぐもった機械音が長大な砲身を正面の物体――剥き出しの岩塊へと向けさせる。瞬間、チャンバーが解放され内部構造がロックされた機械音が連続して響き、まるで獲物を見据えたドラゴンの様に巨体が動きを止める。
「よっしゃ、ドカンとやったれ!」
「撃つのか、あれを!」
 そして轟音と共に、大質量の砲弾が放たれた。それは正に、機械の竜の咆哮の様でもあった。

「流石の威力だ……って少年! そこ吹っ飛ぶから気を付けな!」
「少年って……俺かよ!」
 初弾命中。流石に固定目標への攻撃を外す事は無い――ハッチを開いて戦車より顔を出した高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)が満足げにその成果を眺めた後、続けて手にした重火器が火を噴いた。次は飛び散った木っ端を吹き飛ばす。足元で政斗の雄姿を興味深げに眺める少年――理玖へ自ずと警告を発し、そのままトリガーを絞る。もたもたしてれば敵襲があるのは明白――だからこそ可能な限り速やかに道を切り拓くのが今の使命。爆音が響く度に先の砲撃で破砕した岩塊に止めを加え、辺りを煙が満たしていく。
「大分飛び散ったか……ん?」
「大体分かったぜ、敷けるように砕けばいいんだな?」
 そしてそれが晴れた時、政斗の目に映ったのは拳を振り抜き、降り掛かる障害の尽くを打ち砕いた理玖の姿があった。
「やるねぇ。俺も負けてられんな。FECT!」
『次弾装填完了。破壊対象確認、砲撃開始』
 これは頼もしい。FECTで大物はどうにかなるが、半端なサイズの障害物は一つずつ潰さねばならんと思っていた所――眼下の少年も中々の手練れ、正確に邪魔になる障害だけを一つずつ、素早く、確実に破壊していったから。そうして砕いた砕石は、後ろへ回して再び道路の材料にすればいい。
「さて、サクッと終われば良いがな」
 砲撃可能の警鐘が鳴り響き、再び車内へ潜り込む政斗。さあ大仕事だ――照準に映る巨大な獲物を前に、政斗はニヤリと口端を歪ませた。

「やっぱ大体向こうと同じ感じなんかなぁ」
 乾いた風の匂いは文明の残り香を孕んで――それは自身が居た世界同様、人の世の匂いそのものだった。姿形は違えど元は一緒だった。そして今、この世界の人々はそれを取り戻そうと必死に動いている。振り抜いた拳をブンブンと振って砂埃を払い落とし、再び吹き飛ばされて迫る岩塊を見据え半身に構える理玖。
「時々冗談みたいな大穴があるけどな……」
 ちらりと、視線を外したその先に映るのはオブリビオン・ストームが穿った大穴か。まるで地球の中心まで届きそうな底無しの漆黒に、この世界の異常性を肌で感じ取る。だが、それがどうした。埋められないなら避けて通ればいい。あえて落ちてやる必要は無いんだ――今は真っ直ぐ、正面へ続く道を作るだけ。
「山道だって獣や誰かが歩くから繋がるんだ」
 爆音と共に飛来した巨大な破片を回し蹴りで打ち砕く。そのまま二発、三発と、振り抜いた両の拳が続けて飛び掛かる岩石を破壊して。常人ならばとても耐えられる質量ではない――だが理玖は、ヒーローだ。
「誰かがやんなきゃ先には進めねぇ、からな!」
 五体に満ちるその力を未来の為に行使する。誰かを傷つける訳じゃない――全力で力を振るえるその相手に、人類に立ち塞がる大自然に、理玖は妙な清々しさを感じた。どの世界でも人はこうして、明日への道を切り拓いて来たのだから、と。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ハロルド・ローレンス
やっぱりどこも苦労してるんだな。
道路の敷設は俺たちの拠点でもいずれやりたいから、
手伝いながら道づくりのノウハウを学ばせてもらえると助かる。

道路の敷設ルートを調査して、
件の機械の獣や危険な野生生物の痕跡がないか、
或いは盗賊に襲われやすいような地形がないかどうかを調べる。
相手が機械でも足跡なりなんなりは見つかると思うし、普通の野生生物ならわかりやすく糞や水場、餌の残骸があったりするだろう。

障害物は腕力や人海戦術でどうにかなるならいいけど、
時間もあまりかけてはいられないな。
最悪UC【キスショット】を使って熱線銃で吹き飛ばしてしまおう。
結構腕に来るんだけどな、これ。



●導く者
「やっぱりどこも苦労してるんだな」
 鳴り響く爆音の方を見やり、敷設部隊と共に進んでいたハロルド・ローレンス(ハル・f24579)は溜め息を吐く。ようやく復興が進んできたとはいえ各拠点は未だ孤立したままだ。こうして道を築く事は、この世界にとって何よりも重要な作戦である事は自身がよく知っている。
「手伝わせて欲しい。俺達もいずれ通る道だ」
『そりゃ助かる! 何でも参考になれば幸いだ』
 いずれは自身の拠点でも同じ様に道を築く事があるだろう。その為のノウハウをしっかりと吸収し持ち帰るのもハロルドの大事な仕事だった。事前に供与された地図を広げ、現状の進捗と照らし合わせて新たなルートを策定する。幸い大地のスペシャリストたる同胞が目ぼしいルートを見つけていた。排除出来る障害とそうでないものを選別し、工程は全体の半分を消化した所――傍目にはとても順調に見えていた。しかし。
「敵の襲撃が予測されているが、何か知らないか?」
『ああ。人攫い紛いの科学者が出るって奴ね……』
 何でもフラスコチャイルドを率いて人体改造用の人狩りを行っているらしい。そんな話を彼女が聞いたらどう思うだろう。科学者が相手なら希少なアレを持っている可能性もある――だとしたら、**してでも奪うのだろうか。
「成程、この辺りは野生動物が極端に少ないと」
 合わせて得た情報は、獣が殆ど姿を見せないという事。それも人や餌が少ないからという訳では無いらしい。確かに、ここまで無人の荒野だった。まるで人類の帰還を待ち望んでいたかの様に。
「獣が獣を追い払って、人をおびき寄せているのか?」
『かもしれん。だが、ここを突破しなきゃ先は無いんだ』
 それこそが罠じゃないのかと、ハロルドは訝しんだ。現に遠吠えの様な音が聞こえる事もあるという――特殊な周波数の音響で野生動物を追い払っている可能性。そうして安全だと錯覚した人々がやってきて、件の科学者の餌食にされるという事か。それでも、この先へ進まなければ――道が繋がれば、比較的大きな拠点“マイハマ・エリア”との交流だって可能になるのだから。
「ああ、やるしかない――だな」
 面を上げて先を見据えるハロルド。時間もあまりかけてはいられない――ふと大きな声が、目の前に立ち塞がった最後の巨岩をどうにか出来ないかと叫び声が聞こえた。
「任せろ。この位なら」
 熱線銃を手に前へ。この位の構造物ならどうにでもなる……ただ。
(……結構腕に来るんだけどな、これ)
 銃口を岩肌へ押し付けて深呼吸。青白い光が銃口に集束し――途端、超常のエネルギー塊が甲高い音と共に目の前の岩塊を見事、この世界から消し去った。
「……さあ、行こう」
 ゴールは目前。そしてそれは、戦いの時も近いという事。
 極熱が揺らす景色の奥を見据え、ハロルドは痺れる身体をゆっくりと引き起こした。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『マシンビースト』

POW   :    ワイルドビースト
【野生化モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    同型機との経験共有
【頭部に内蔵した高熱の刃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ   :    光学迷彩
自身と自身の装備、【自身と同型の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●けものみち
 障害を概ね排除し、新たな道を舗装する旅路は順調に進んでいた――ここまでは。
『レーダーに感。センサー起動――熱源が多数接近してる』
『来たか、追い剥ぎどもめ……』
 人々が忌々しげに唇を歪めた。足音を殺して近付く殺意は機械の獣の群れ――狂科学者が率いる、人攫いの為のマシン。
『あと少し、ここを通り抜けられれば……道は繋がる』
 リーダーらしき人物が猟兵へ向き直り、地図を見せながら説明した。現在フナバシ・エリアからイチカワ・エリアへの直通道路は進捗70%だ。この獣どもを蹴散らして、狂科学者を倒す事が出来れば、この先に新たな未来への道が繋がる。だからこそ……何としても、やり遂げねばならない。
『この後ろは敷いたばかりの道路だ。それだけは気を付けて欲しい』
 そうすれば例えこの身が倒れても、後に続くものが必ず現れる。銃を手に道を守らんと立ち上がる人々。そして人々を守るのは――猟兵の仕事だ。
 さあ見せてやれ。未来を阻む過去の骸に、明日へ進む揺るぎない意志を。

※プレイング募集:現在より。他、オープニングコメントに準じます。
オヴェリア・ゲランド

フン、血の通わぬ意志無き鉄の獣に我らの道を阻む事など出来はせぬ。
者ども!案ずるな!戦場に剣帝オヴェリアいる限り、常に我が方の優勢である!

「ここより先は死地、何人も我を抜く事能わず!」
覇剣を振りかぶり、敵陣へと【切り込む】。
敵中にて【野生の勘】を用いて敵の動きを見切り、纏う【覇気】の【念動力】で時に攻撃を逸らし、【オーラ防御】で防ぎ、剣で【武器受け】流して【薙ぎ払い】【吹き飛ばし】【蹂躙】する。
「フン!意志の無い攻撃など、私には届かぬ!」
【継戦能力】の高さで存分に暴れ敵を引きつけたらば【皇技・百華剣嵐】にて残りの敵を斬獲し鏖殺する。
「これが人の強さ!人の夢を背負い辿り着いた極地なり!」


陽向・理玖


来やがったな
道も人も…ぜってぇ守る!
覚悟決め

UC起動し残像纏いダッシュで間合い詰めグラップル
拳で殴る
道と人守るように空から強襲
危ない時は距離取らせるよう立ち回り
どうしたこっちだぜ
…理性ねぇから動きは見え見えだけどな!
部位破壊で関節破壊し動き止め
拳の乱れ撃ち
1体ずつ一気に確実に数減らす

攻撃力高かろうが当たらなきゃ意味ないぜ
動き見切りジャンプで避けカウンター
蹴り入れて吹き飛ばし
他の敵へぶつけダメージ追加し
そのまま追撃

耐久高くても動き止めてひたすら殴れば壊せる
攻撃力高くたってセンサーぶっ壊せば見えなくなって当たんねぇだろ
数倒してりゃ弱点くらい分かるし
そもそもそんな大振り俺には当たんねぇ
遅ぇんだよ



●鋼の怒涛を突き破り
「来やがったな……道も人も、ぜってぇ守る!」
「フン、血の通わぬ意志無き鉄の獣に我らの道を阻む事など出来はせんよ」
 唸り声の様な駆動音を立てながら、造り立ての道路へとにじり寄る鋼の獣達。その前に立ちはだかるのは陽向・理玖(夏疾風・f22773)とオヴェリア・ゲランド(銀の剣帝・f25174)――じわじわと間合いを詰める獣たちを睨み返し、二人は手にした得物に力を籠めた。その背後で人々が固唾を飲んで戦いの趨勢を見守っている。
「者ども! 案ずるな! 戦場に剣帝オヴェリアいる限り、常に我が方の優勢である!」
「行くぜ……変身ッ!」
 虹色の龍珠が光を放って、理玖のドライバーにエネルギーの奔流が迸る。オヴェリアが大剣を掲げて、放たれた光が白刃を眩く照らす。その光が不意を突いて僅かに獣が足を止めた刹那――二つの鋼が戦場を疾駆した。

「フン! 意志の無い攻撃など、私には届かぬ!」
 その隙があれば十分。獣の群れへ飛び込んだオヴェリアは加速したまま大剣を振り下ろす。遅れて鞭の様な尻尾を振るった機械の獣を五体ごと叩き潰して、制動がてら諸手突きの要領でもう一匹の胴体を貫いた。
「これが人の強さ! 人の夢を背負い辿り着いた極地なり!」
 裂帛の気合いと共に片脚を軸にして、振り回された大剣が横薙ぎに獣達を吹き飛ばす。気迫と共に放たれた不可視の念動がそのまま獣の体勢を崩し、如何に野生の勘が冴えようとそれ以上の覇気が全てを飲み込んで。弾き飛ばされた鋼の獣の群れはまるで津波の様に高々と放り上げられ、一つ、また一つとオヴェリアに斬り伏せられる。大剣を軽々と担ぎ上げ竜巻の様に全てを蹂躙し破壊するオヴェリアに、感情の無い獣すらその動きに動揺を見せた――まるで恐怖する様に。
「――どうした? こっちだぜ!」
 更に弾き飛ばされた先には蒼き装甲――変身した理玖が空中より追撃を仕掛ける。飛ばされた鋼の獣は地に叩き伏せられ、返す刃にと振るわれた尻尾はむなしく虚空に線を描く。センサが捉えた理玖の姿は残像――もうそこには、誰もいない。
「フォームチェンジ! ライジングドラグーン!!」
 理玖の叫びと共に電子音と雷鳴が戦場に轟いて、七色の輝きが紫電を纏った昇り竜を爆現させた。その衝撃が稲光と共に獣達へと突き刺さり――全て超常の威力を纏った理玖の猛攻、無数の拳が地を穿つ様に獣へと突き立てられたのだ。
「見え見えなんだよ。そんなの当たるか」
 獣が暴れ狂うよりも早く、理玖の拳の乱れ打ちがその暴威を制したのだ。理性の無い攻撃など、純然たる格闘家の前では児戯にも等しい。
「そもそもそんな大振り俺には当たんねぇ……遅ぇんだよ」
 吹き飛ばされた獣がバラバラに――その礫が残る獣にぶち当たり、崩れた陣を切り崩さんと二つの風が戦場を席巻する。これ以上先へは進ませないという強き意志は、無機の野生を軽々と飛び越していったのだ。

「ここより先は死地、何人も我を抜く事能わず!」
 敵は十分に引きつけた。担ぎ上げた大剣を水平に下ろしたオヴェリアが居並ぶ獣達へ切先を突き立てて――瞬間、暴風が戦場に吹き荒れた。
「それでも我を恐れぬというのならば……来いッ!」
 気迫と共に影が踊る。縦横無尽に駆け抜けるオヴェリアの剣舞は正に超常――衝撃と共に斬り伏せられた獣が、影と触れる度にその五体をバラバラに散らして。
「センサーぶっ壊せば見えなくなって当たんねぇだろ……よっ!」
 更に続いた理玖の拳が、蹴りが、残された獣を一つずつ確実に屠っていく。最早陣形は崩されて、勢いを殺された獣の群れはしどろもどろに周囲をうろつくがらくたに過ぎない。
「如何に徒党を組もうが所詮は過去の残滓――道を開けろ、下郎どもが!」
 そして横薙ぎの剣閃が全てを巻き込み、先陣を切った鋼の群れは跡形も無く姿を消した。その威力は未来を切り拓かんとする人々の意志――背負ったものが違うのだ。
「さあ、次の相手はどいつだ?」
 不意に突風が飛び散った鋼を巻き上げて……吹き荒ぶ風は過去を洗い流す様に、見果てぬ地平を二人の前に曝け出させた。その未踏の荒野の先に、未来が見えた様な気がした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウーナ・グノーメ

【心情】
「巧みに姿を隠している。けれども、わたしの感覚は常人のそれとは異なる」

真の姿を顕にした妖精は、淡々と無機的に、しかし厳かに言葉を紡ぐ。

「わたしは五感に縛られない。わたしにとって光は聴くものであり、音は視るもの」

彼女は超能力者だ。
それ故に、彼女の知覚能力は第六感と呼ばれる。
如何なる蜃気楼も、彼女を欺けはしない。

「荒廃した大地よ、その怒りを以って略奪者の尖兵へと……牙を剥け」

何百もの砂岩が、姿なき機械獣へと襲い掛かった。

【行動】
【第六感】による知覚で光学迷彩を看破し、UCを撃ち込む。
敵の攻撃は【オーラ防御】で防ぎ、【念動力】による【吹き飛ばし】で常に距離を保ち、遠距離からの攻撃に徹する。


玉ノ井・狐狛


こういう喋れなさそうなメカが相手だと、煽り甲斐もねぇなァ?

あんまり派手に周囲を壊すような真似はよろしくない
かといって、後ろの道路に連中を通してもうまくない
じゃァ、まァ、ピンポイントでの攻撃で広範囲をカバーすりゃイイ、と

霊視でステルスを看破
万にひとつ敵そのものが見えなかったとしても、砂埃や気流から位置と姿勢を特定できりゃイイ
▻見切り▻視力

あとはそれを貫くように、ばーん、ってな

◈UC起動

水平~仰角の光線で地面を荒らさないように攻撃

❝大妖術❞部分で強風を起こして、撃破したがらくたどもを(このあとの工事の邪魔にならないような)脇にどける

拠点防御(タワーディフェンス)は、ゲーマーの嗜みだよな



●終わりのないディフェンス
「はぁ……こういう喋れなさそうなメカが相手だと、煽り甲斐もねぇなァ?」
 岩場に座り込み、呆れた口調で玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)は居並ぶ獣達へ悪態を突く。だが先の戦いで先陣を討ち倒された獣達は即座に戦術を転換――勢いを殺して、その身を隠しじわじわと間合いを詰めてきたのだった。
「でも気を使わなくて済みます。その方がありがたいのです……それに」
 ふわりと狐狛の周りを飛ぶ妖精のウーナ・グノーメ(砂礫の先達・f22960)は光を纏い――真の姿を、美しき女神の如き神々しい姿を発現させた。そして。
「巧みに姿を隠している。けれども、わたしの感覚は常人のそれとは異なる」
 淡々と言葉を続ける。その口調は先程までの可愛らしさなど微塵も感じさせない、淡白で無機的なモノ。しかし言葉の端々には、彼女の自信が溢れていた。
「まぁなあ。それじゃ始めようかい……一方的なかくれんぼをな」
 人の身を越えたモノ、か――クスリと微笑した狐狛がゆったりと立ち上がって、姿を隠した獣達へ宣戦を布告した。拠点防御(タワーディフェンス)は、ゲーマーの嗜みだ。

(機械だが、気配は分かる――それにだ)
 霊視で凡その位置は分かるし、幾ら姿を隠そうと地形までは誤魔化し切れない。迫る獣の足跡を見やり、狐狛は心中で呟いた。あんまり派手に周囲を壊すような真似はよろしくない――かといって、後ろの道路に連中を通してもうまくない。ならばピンポイントでの攻撃で広範囲をカバーすりゃイイ……手札は幾らでもあるんだぜ、と無言で口端を歪めて、狐狛はその手に符を取り出した。
「足元が丸見えだよ、がらくため」
 瞬間、地形を舐めるように真っ赤な光線が走る。それら一つ一つに威力は無い――だが、それに触れてはならない事は、姿なき獣達も即座に察した。
「あとはそれを貫くように、ばーん、ってな」
 その先が十重二十重に広がって――まるで巨大な網の様に大地を覆い尽くした。正面270度、水平に広がった光の筋は煌々とその威を解き放つ瞬間を待ち望む。
「わたしは五感に縛られない。わたしにとって光は聴くものであり、音は視るもの」
 続けてウーナが淡々と、されど厳かに祝詞の様な言葉を紡いだ。大地の精霊にも比肩する力を誇る彼女にしてみれば、秘された獣の姿を晒す事など鉱脈を掘り当てるよりも容易い事。
「荒廃した大地よ、その怒りを以って略奪者の尖兵へと……牙を剥け」
 ウーナの第六感は既に仕事を終えていた。把握した獣の位置――赤い網の様な光条の隙間へと逃げた彼等を追い立てる様に、重ねて放った威力が大地を揺らす。刹那に超常の鋭利な石柱が大地より出でて、剥き出しの腹ごと貫き早贄の様に突き立てた。如何なる蜃気楼も彼女を欺けはしない――大地の申し子に、現象は通じない。
「いい具合だ。よく見えるし、何より――狙いが搾れる」
 ばちりと紫電が空を満たして、かろうじで姿を隠そうにも獣の位置を如実に示す。赤色光線がずらりと向きを揃え、そのまま巻き上がる紫電に照準を合わせる。
「休憩してる場合かよ。そぅれ」
 瞬間、赤色光線をなぞる様に無数の極太の白き光が蜘蛛の巣の様に放たれた。それは破壊の光――触れれば最後、最早逃げる事も叶わぬ獣達は悲鳴を上げる事無く爆発四散。それらを吹き飛ばす様に旋風が大地を舐める様に放たれて、後には最早、何も残りはしなかった。
「一丁上がりだ……にしても」
 帯電した虚空を眺めて狐狛が呟く。成果は上々――されど、敵の数はまだまだ多い。
「余りオイルを撒き散らしたくはない、ですね」
 オイルは古の生物が遺した今へ繋ぐ糧。されどオブリビオンが撒き散らしたそれは、異界より出でし忌むべき過去の形象。決して未来への懸け橋などでは無い。
「わたし達が築く未来への道は、過去へは戻させません」
 スッと視線を徐々に迫る獣の群れへと移すウーナ。故にこの戦い、絶対に敗れる訳にはいかない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

箒星・仄々
70%って凄いです!
皆さんの
明日へ進む揺るぎない意志を実感します
皆さんの進む未来を
道路を必ずお守りします

人々&道路を守るのを第一として行動

まず機械獣さんの間合いの外から魔法の矢
出来るだけ数を減らします

その後は
猟兵を躱し
人々や道路へ向かおうとする個体から各個撃破
烈風で動きを阻害し又は吹き飛ばし
焔でオーバーヒートを誘い
超水圧で槍衾に

透明に対して
耳を澄ませて駆動音を探ったり
弦を爪弾き
その反響から探知したり(風の魔力も音を増幅してくれます
或いは炎を花火の如く打ち上げ
その強烈な煌きが生む影で居場所を捉えます

手先とはお可哀想に
貴方方もOストームの犠牲者です
その軛から解放します

事後に祈りの曲
海で静かな眠りを



●未来への道
「70%って凄いです! 皆さんの、明日へ進む揺るぎない意志を実感します!」
 箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)はここまで繋がれた巨大な道路を見やり、感嘆の声を上げた。やっぱり、未来へと向かう人々の意志は凄いと――心より畏敬の念を表す。しかしこの紡がれた希望を踏み躙ろうと、過去が徒党を組んでやってくるのだ。
「だから……皆さんの進む未来を、道路を必ずお守りします」
 故に、猟兵たる自身は全力を賭してこの道を守る。唸り声の様な駆動音が上がる方を見据え、仄々はハットの鍔をちらりと上げた。

 再び、姿を隠した獣達がじわりと仄々を取り囲んだ。先の戦いで散らばるのは愚策――更に猟兵と対峙するには、数で制する他無いと電脳が悟った為か。徐々に足音だけが螺旋を描く様に仄々への間合いを狭めて……瞬間、風を切る音と共に不可視の牙が唸りを上げた。
「手先とはお可哀想に――貴方方もオブリビオン・ストームの犠牲者です」
 しかし仄々は動じない。そのまま音よりも早く放ったのは超常――近づかれるよりも早く不可視の威力が、烈風が自身の周囲を護る様に放たれたのだ。
「今、その軛から解放します」
 その威に押されてがらんと大地に叩きつけられた獣達。姿形は見えなくとも、発される音と変わる地形は仄々の目と耳を誤魔化す事など出来はしない。続けて無数の火柱が立ち昇り、機械の獣の機体温度を急速に上昇させていく。
「機械でしたら……オーバーヒートしてしまえば、機能も十分に使えないでしょう」
 その読みは見事に当たる。廃熱に全リソースを回すべくステルスが解除され、赤熱化した装甲と共に獣の姿を曝け出した。その数四体――小柄な仄々を倒すには十分と判断したか、その認識が何よりも甘かった。

「苦しそうですね……少し、冷やしてあげましょう」
 煙を噴き音を立てる機械の獣へ、止めと言わんばかりに瀑布じみた水柱が迫り来る。三つの属性を放つ仄々の超常はその全てを以って、不可視の機械の獣を完全に封じ込めた。熱膨張した金属は急激に冷やされて変性を起こし、各所に無数のクラックを生じさせる。そのクラックが繊細な電子回路を巻き込んで、断線したハードウェアが、獣達を続々と倒れ伏させていったのだ。
「……こんな出会いでなければ、別の未来もあったのでしょうけど」
 モノアイから光を失い力無く倒れた獣達へ、仄々は鎮魂の調べを捧げる。せめて骸の海で静かな眠りを……二度と悲しき悪意が、溢れ出ない様にと。

大成功 🔵​🔵​🔵​

高吉・政斗
●【SPD】
「喋る犬よりキモイ格好だな…駄犬(マシンビースト)だなコレ」
(UC起動)

■相対
多数戦を意識したFECTを使ったやり方、閃いたぞ。

1)駄犬が接近時は二足型3次元立体起動攻撃
(ダッシュ・ジャンプ・蹂躙)で、囲まれそうな時は戦闘車型で一撃離脱の射撃&砲撃(ダッシュ・ジャンプ・鎧無視攻撃)
2)可能な限りジャンプしたりエンジンを吹かして喧しくしておく。

以下を駄犬等が沈黙するまで実行する(学習力)

■俺
常着してるベストの迷彩機能を常にONの状態で暴れているFECT
の背後や死角を突いて来る駄犬を小銃で一掃&援護。
デジタル生成(暗号作成)をしてもう一丁出して攻撃もいいな。

「道には行かせないぜ?」



●ビーストブレイカー
「道には行かせないぜ? しかし」
 高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)は遠くから迫る最後の獣の一群を見やり、ぼそりと呟いた。
「喋る犬よりキモイ格好だな……」
 それらは皆、賢い動物とは程遠い獣を模した別の存在。むしろ獣に似せる事で悍ましさが更に倍加している様な――醜い何かを政斗には想起させた。
「駄犬(マシンビースト)だなコレ」
 整然と列を組んで進行する一群は統制が取れた軍隊の様だ。それ故に、この様な荒地でわざとらしくそんな事をする獣達に、そこはかとない違和感を感じるのだ。
「――閃いたぞ」
 多数戦を意識したFECTを使ったやり方。単純に撃ちまくるだけじゃない、最大限に効率的な戦い方を。計器類をざっと眺め、政斗は愛機――FECTのスロットルを静かに開放した。

 仲間の大半は既に倒れた。しかし道路を破壊するだけならばこれだけでも十分――敵の死角をついて別方向から迂回した獣達は、そんな意志を想起させるようなしっかりとした足取りでゆっくりと道路へ近付いていく。
「――行かせねえよ」
 突如、乾いた声色と共に無数の火線が天より降り注ぐ。鋼のスコールが整然と進む獣達の行く手を遮り、あるモノはそのまま穿たれ地に伏せて、あるモノはかろうじで避けて散開する。
「テメエら全員死んでんだ。とっとと墓場へ戻りやがれ!」
 上空にはいつの間にか爆音を轟かせ対空するFECTの姿が。先頃に跳躍し自由落下と共にスラスターを噴射。音を殺して獣達を待ち伏せていたのだ。そのFECTを取り囲む様に散った獣達が集う。いつまでも飛んではいられまい……しかしその認識が甘かった。
「そう来ると思ったぜ。そらッ!」
 着地と共に一斉に踊りかかる獣達。赤熱化した鋼の刃がFECTへと突き立てられ――否、届かなかった。着地の衝撃を受け止めながら車両形態に変形したFECTは、同時に最大戦速でその場を離れ砲塔を急旋回させる。見事なリンチだがやっぱりお頭が足りてねえ――一塊になった獣を照準に納め、必殺の一撃がそれらをまとめて葬り去った。
「こんな所か――フン」
 作戦終了。足を止めて戦況を眺め……途端、最後に一矢報わんと地の底に伏せていた一匹がFECTにその牙を突き立てた。
「だから、見え見えなんだ」
 ステルス化していたわけでもない。だからここで止まったのだ。刹那、FECTの装甲が両断され――否、一部だけ変形した鋼鉄の腕が熱を帯びて獣に返す刃を突き立てる。
「……じゃあな」
 その隙間から政斗自身の得物――突撃銃の銃口から苛烈な火線が、じたばたと藻掻く獣へと放たれた。そして乾いた銃声が消えて一陣の風が鋼の残滓を吹き飛ばした後、再び静寂が訪れる。未来への道を守る戦いは遂に決着を迎えたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『死神爺』

POW   :    「お前さん、動きが丸見えだ」『…ゲイゲキカイシ』
自身が操縦する【殺戮浮遊戦車 】の【AI演算による未来予測システム】と【制圧火力並びに防御フィールドの出力】を増強する。
SPD   :    無限の射撃
【搭乗している殺戮歩行戦車の全周索敵 】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【遮蔽も守りも無視して必ず急所を貫く一斉射】で攻撃する。
WIZ   :    銃神テリトリー
自身からレベルm半径内の無機物を【高い戦闘力を持つ武装フラスコチャイルド 】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠アコニィ・リードです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●死神
『あーあ……まあガラクタどもじゃこんなもんか』
 不意に風が止んだ。変わって聞こえてきたのは、嗄れた老人の声。
『ここから先は通行止めだ。そしてお前らは、道具だよ』
 浮遊する球体の戦闘マシンに坐した老人が、拳銃を片手に舗装された道へ向かい近付いてくる。細身ながら筋骨隆々の身体に旧式の義腕が、この老人が潜り抜けてきた修羅場を想起させる。ピタリとその動きを止めた老人は辺りを一瞥し、さも詰まらなそうに言葉を紡ぐ。諦観と哀悼と、僅かな憤怒を語気に混ぜて。
『道具が未来を今更始める必要もあるまい――だから』
 ぐらりと、獣だった残骸が揺れた様な気がした。それに僅か気を取られた刹那、いつの間にか手にした拳銃をこちらへ向けて――死神が宣戦を布告する。
『俺が有効活用してやる、まとめてな』
『システム、キドウ』
 その言葉は人々へ、そして猟兵達に向けて。遍く可能性を打ち消さんとする。
『もう手遅れなんだ。諦めて糧となれ』
 マシンが唸り、バチバチと紫電が舞う。この過去を討ち滅ぼさなければ、我等に未来は無い。

※プレイング募集:現在より。他、オープニングコメントに準じます。
箒星・仄々

人攫いや人体実験は許せません
そしてやはり貴男もOストームの犠牲者です
海へお送りします

ランさんに騎乗
UCで空気抵抗減じ速度増
上空から突撃

射撃超える速さとサーカスめいた機動で回避
魔力放ち迎撃したり魔力の盾で防御
被弾も鱗がつるっと受け流し

ランさんは反転し離脱
私は…いつの間にかいません

魔法の迷彩で消え
爆発や硝煙に紛れて飛び降り
風の魔力で戦車へ

発見されたら自由落下&疾風加速し
自身もUCで攻撃掻い潜り
一気に迫り戦車&死神さんをぺろ
摩擦0で腕や武装、機構が空回りや分解
道具は大切にしてあげて下さいね

事後に演奏
死神さんが
海で大切な方々と会えるよう祈念

未来への揺ぎ無い意志を祝福する曲を奏でます
やりましたね♪


オヴェリア・ゲランド

ほぅ、人馬一体…いや、人機一体というやつか。
面白い芸を持っているようだが…私の後ろで未来を紡がんとする勇者達には届かないな。

◎諦めを断つ
「老人、未来なく人すら辞めた貴様が諦めるのは勝手だが…それを他者に押しつけるのはやめていただこう」
遠距離からの火力は全て我が【覇気】による【念動力】で逸らし【オーラ防御】で弾き、力の【リミッターを解除】した【次元斬】で距離すら超え防御フィールドすら抜ける壱の太刀。
「先など誰にも分からぬ、ゆえに勝ち獲るのだ…未来を、明日を!」
未来予測システムさえ覆す超常の一刀にて開いた次元断裂を通って【切り込み】肉薄して【薙ぎ払い】戦車を【吹き飛ばし】て人機一体を崩す。


叢雲・凪(サポート)
人間のミュータントヒーロー×ゴッドハンド、
ヒーロー名【ジンライ・フォックス】

まずはその世界の住人・猟兵仲間に挨拶をしよう…。
礼儀は大事。年上の人や先輩にはちゃんとしないとね。
『どうも ジンライ・フォックスです』(お辞儀しつつ)

基本的な戦い方は【リミッター解除】を使ってからの【ダッシュ】+【残像】+【夜天九尾】を使った電光石火の接近で敵との距離を詰め畳み掛けよう。相手が強力な単体ボスなら一気に攻撃を仕掛ける。

※黒雷で生成されたマフラーを解いて夜天九尾発動。尻尾1本につき10秒 合計90秒間の間超高速で動ける。90秒で決着をつける。並みの動体視力では対応できないはずだ。

『天誅・・・』



●死者の帝国
『御託はもういいだろ……始めるぜ』
 問答無用。搭乗したマシンが唸り声を上げながらガンランチャーを乱射する。容赦の無い苛烈な砲撃が大地を穿ち、バリケード代わりに積み上げられた獣の残骸すら木端微塵に吹き飛ばす。しかし。
「人攫いや人体実験は許せません。そしてやはり貴男もオブリビオン・ストームの犠牲者です――」
『消えた!?』
 その奥、鋼に隠れた小柄な影は――箒星・仄々(ケットシーのシンフォニア・f07689)は凛として言い放ち、溢れる砲火を風の様に潜り抜けた。
「――だから、骸の海へ還します。ここは死者の世界じゃない!」
『ハッ! だったら……やって見せろよ!』
 何時の間にか巨大な空飛ぶ目旗魚に跨って、鋭い穂先で空を裂き地を駆ける仄々。如何に強烈な攻撃だろうと、視界に収まらなければ当たる事は無い。影が宙を踊り、風を裂く音すら貫いて――否、超常が自身の摩擦を極限まで落として、風よりも早く死神の元へと迫ったのだ。
『獣風情が……いや、違う!』
 全長が5mはあろう巨大な目旗魚が勇壮に尾を振って、あたかも水面を跳ねる様に地を滑る。死神の放つ誘導弾が引きつけられては手前で爆ぜて、爆炎の中より再び目旗魚が姿を現した時――仄々の姿は無かった。
『消えただと……!』
 矢張り、あれは只の猫と魚じゃあない。恐らくは異世界の――こんな所でも鉢合わせるとは。運命の皮肉を呪い、死神が再び周囲を索敵した刹那、不意に巨大な振動が死神を襲った。
「道具は大切にしてあげて下さいね」
『お前は生命を精々大事にしやがれ』
 いつの間にか、仄々がにゅっと影より出でて――魔力で姿を眩ませて、懐へと入り込んでいたのだ――その超常を死神のマシンへペロリと放つ。
『なっ、トルクが……!』
 それは摩擦抵抗を極限まで減らす恐るべき技。機械動作のかみ合いで駆動していた部品が途端に力を失い、マシンはぐらりと姿勢を崩してしまう。
「やりましたね♪」
『とでも言うと思ったか!』
 しかしそれも一瞬、バラリと滑らかな機械のパーツが散らばって、瞬時に機構をセカンダリに切り替えて瞬く間にその場から飛び去った死神。使えぬならば交換すればいい――徹底的な合理主義が生み出した機械の悪魔は未だ健在。しかしぎこちない動きは、それらが慣らし途中である事を暗に示す。
『これだけ動けば十分だ。そして――捉えたぞ』
 照準を示す赤いラインが仄々へと突き刺さり、ガンランチャーが一斉に火を噴く。刹那の猛襲――再び巻き上がった爆炎が視界を覆って、それらが晴れた時、目の前には大きな二つの影が姿を現していた。

「どうも。ジンライ・フォックスです」
「間一髪だったか。しかし」
 一人は漆黒を身に纏った叢雲・凪(断罪の黒き雷【ジンライ・フォックス】・f27072)、そしてもう一人はオヴェリア・ゲランド(銀の剣帝・f25174)……美しき戦士達が仄々の前に立ち、間一髪その攻撃を防ぎ切ったのだ。
「人馬一体……いや、人機一体というやつか。面白い芸を持っているようだが……」
 いつの間にか、死神のマシンの周囲に不可視の力場が形成されて、舞い上がる粉塵をじわりと押し退けていた。この僅かな間隙にモードを切り替えて――センサに光を滾らせたマシンが鋭くオヴェリアを睨む。
「私の後ろで未来を紡がんとする勇者達には届かないな」
『遅かれ早かれ終わるんだ。そんなに大事か、未来とやらが!』
 嘲笑する死神。されど臆する事無くオヴェリアは大剣を高々と掲げた。途端、オヴェリアの周囲に烈風が巻き起こる。視界を遮る爆炎が吹き飛ばされて、静寂が辺りを支配した。
「老人、未来なく人すら辞めた貴様が諦めるのは勝手だが……それを他者に押しつけるのはやめていただこう」
 一歩、踏み込むと同時にオヴェリアの姿が消えた。その跡を消し飛ばす様に凄まじき火線がマシンより放たれる。間一髪滾る気勢が念動と共にその威を削いで、眼前へ飛び込んだオヴェリアの一太刀がマシンごと死神を遠くへと弾き飛ばす!
「ヴィラン滅ぶべし。出てこい、眠れる九尾――黒神の化身!! 夜天九尾!!」
 更に凪の追撃が死神を襲う。九つの黒雷めいた尻尾を振って、徐々に漆黒が剥がれていく。それを代償に発動した超常が凪を神速の破壊力へと変貌せしめて、無数の残像を纏い四方八方から必殺の一撃が死神のマシンを揺らし続けた。
『ヴィランだと、貴様も俺と同じか――!』
 自らの出自を思い死神が叫ぶ。同胞か――それでも容赦はしない。視界にさえ入れば当てられる――だが、凪は余りにも早かった。オヴェリアの初太刀をかろうじで凌いだ隙に、漆黒の雷は戦場を支配したのだから。如何に強力な火器であろうと、当たらなければどうにもならない。
「まるでロデオだな。だがッ!」
 翻弄される死神を再び見据え、オヴェリアは掲げた大剣を脇構えに。狙いは超常の予測すら覆す超常の一撃を――バリアを張るならば、その内側から攻撃すればよい。
「こうなると予測できたか、老人?」
『過程などどうでもいい! いずれ何もかも死に絶える!』
 黒雷は更に勢いを増して、凪の姿が露わになっていく。最早誰にも止める事は出来ない――荒れ狂う稲光がマシンの意を削ぎながら、遂に必殺の機会は訪れる。
「そんな事はありません。勝手に決めつけないで下さい!」
 仄々が、まるでロケットの様に飛ばした目旗魚が死神の懐に不意の一撃を喰らわせたのだ。神速を携えるのは一人だけではない。意識外からの奇襲にたじろいだ刹那、怒涛の勢いで猟兵達が続々と力を開放する。
「そんなに死ぬのが怖かったか?」
『何ィッ!』
 可愛らしい、されど凛とした素顔を晒した凪の一撃が遂にマシンの動力を捉えて。
「――天誅」
『させるかッ!』
 黒雷が天より死神に裁きの一撃を喰らわせた。避けようにももう遅い――漆黒がマシンの動きを止めて、バリアの範囲を最大限露わにする。そしてそれこそが、オヴェリアの狙い。
「先など誰にも分からぬ、ゆえに勝ち獲るのだ……未来を、明日を!」
 裂帛の気合いと共に次元すら断つ一撃が、バリアを通り越して死神そのものを真っ二つに切り裂いた。その超常の一撃がマシンごと吹き飛ばして、物言わぬ機械はバチバチと紫電を纏って機能を停止する。
『貴様……らぁッ!?』
 継ぎ接ぎだらけの五体を晒し、死神が激高した。ざっくりと袈裟懸けに斬られた跡から淀んだオイルめいた血を垂れ流し、セーフモードで再起を図るマシンから尋常ならぬ爆音が轟いた。
『まだ、だ……これで終わりでは……無ァい!』
 瞬間、死神の叫びと共に周囲に転がる獣の残骸が――物言わぬ機械がずぶりと形を崩して、人造人間――フラスコチャイルドの姿となる。
『終わらせるのは……俺だッ!』
 そして吹き荒ぶ風が、地獄の第二ラウンドを厳かに告げるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

玉ノ井・狐狛


あァん? こりゃまた、元気の有り余ってそうなジジイだな。
未来がないっつうならよ、年くってるアンタのほうがよっぽどだろうぜ。

さっきの機械どもは結構なハイテクみたいだったし、あのジジイの手先だってんなら……たぶん、緒戦の記録は参照をしてるんじゃねぇかな。
そこを利用してみよう。

敢えて同じ◈UCを使用。
同じような戦法を採る――と見せかけて、弾道を変化させて不意をつく。
▻おびき寄せ▻弾幕▻罠使い▻おどろかす▻騙し討ち
とりあえず敵の手下を始末するのを優先すべきだろうが、他猟兵との協働やらでジジイに奇襲できそうならそっちも狙う。

センサー?
おいおい、まじない屋の使う術が、ふつうの光と同じ性質なモンかよ。


高吉・政斗
●【SPD】
「やっぱ見た目だけ同じか…」
っと納得して…

この爺との喧嘩戦な感じだが無理はしないぜ?
「無茶で無理で複雑な行動」をしないだけだがな。

■相対(ここでUC起動)
・戦闘車型で搭乗、取りあえず爺(と浮遊戦車)の懐に只管接近する。
常に爺から10m前後の距離を維持。

・接近時は戦闘車の主砲・機銃などの全兵装で一斉に撃ちまくる。
爺が攻撃を始めたら一気に離脱をしまた接近、これらを繰り返す。
(自分&FECTに迷彩、後は戦車のダッシュ・ジャンプで接近・離脱)

・攻撃も俺のUC発動中なので「無限の射撃」をそっくりお返し、
終了時は俺の戦車の兵装で攻撃…っと爺がくたばるまで続けよう。


「良いから……お前が終れ!」



●果てへと還れ
 ガラクタだった獣の残骸が煙を噴いて立ち上がる。その姿は無垢なる人の形――しかしそれらの虚ろな視線は、意志ある生物のものでは無い。
「あァん? こりゃまた、元気の有り余ってそうなジジイだな」
 端からこうするつもりだったのだろう。無機物をフラスコチャイルドへと変えるユーベルコード――一体一体は兎も角、数が揃えば厄介な事この上ない連中を見やり、玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)は口端を吊り上げた。
「未来がないっつうならよ、年くってるアンタのほうがよっぽどだろうぜ」
 人形を侍らす趣味でも無かろう。一人一人が残骸より組み上げた銃らしきものを手に、その先を一斉に狐狛へと向けた。いいだろう、再び弾幕勝負と行くかい。どうせ先の戦いで手札は見られてるんだ――だが役が同じとは限らないぜ?
『…………』
「さぁて、御開帳だ!」
 一閃、無数の光条が向日葵の様に花開く。幕間は終わりだ――立ち込める硝煙と爆音が、戦場を鮮やかに彩った。

「やっぱ見た目だけ同じか……」
 一方、高吉・政斗(剛鉄の戦車乗り・f26786)は愛機――FECTの中で死神との戦いを思い返していた。それはこの戦いでは無い――既に政斗は同一個体との戦闘経験があった。しかし骸の海から汲み上げられた過去の残滓は、姿形は同じと言えどその中身まで完全に同じという事はあり得ない。口調も、戦闘方法も何もかもが最早別のモノ――だがそれが何だというのだ。
「こっちも同じって訳じゃあないがな……!」
 システムを切り替えてFECTが再び姿を変える。四輪の戦闘車両が姿を現し、土煙を巻き上げて疾駆した。狙うは倒れた死神の爺のみ――唸る機関が荒ぶる弾幕の間隙を縫って、徐々にその間合いを詰める。
「見えてなきゃ当てられねえだろ、その耄碌した目玉で!」
 敵のユーベルコードはもう一つ、視認した対象に斉射を加えるもの。つまり視界を遮れば、少なくとも直撃の心配は殆どない。僅かに掠った砲弾が装甲を歪ませようと、FECTの運動性に一切の影響は無かった。
『ターゲット・インサイト――』
「全弾ブチ込めッ!」
 相対距離10m――この距離で外すなどあり得ない。そしてこちらは敵のユーベルコードをごっそりコピーしたのだ。如何に装甲で守られようと政斗の攻撃を防ぐ事は叶わない。
『テッキセッキン、ジエイモードキドウ』
「良いから……お前が終れ!」
 榴弾が、徹甲弾が、焼夷弾が――無数の放火が死神を守る様に広がった鋼鉄の帳を粉々に打ち砕く。政斗が死神を見ている限り、回避機動を取りながら、絶対必中の鋼鉄の雨が無慈悲に裁きを下すのだ。
『キケン、ダメージレベルガキョヨウチヲコエマシタ』
「そうさ、終わりだっつってんだろ! お前がな!」
 そして爆炎が――地形ごと抉る特大の砲撃が死神を飲み込んで、地図ごと書き換わる程の巨大な穴が大地に穿たれた。

「狙いはお上手だが素直過ぎるんだよ。それじゃあ鉄火場は凌げないねえ」
 その周囲、無数の火線を引き付けて狐狛が戦場を駆けていた。火線が迸る度に七色の光が空を裂き、一つ、また一つと人形が地に伏せていく。
「光だからって真っ直ぐ来ると思ったかい? おいおい――」
 不敵な笑みを浮かべて狐狛が駆ける。地を踏むと同時に一つ、また一つと光が虚空より紡がれて、渦を巻きながら解き放たれる。まるで意志持つ光が獲物を狙う様に、それらは自在に軌道を変えて。
「まじない屋の使う術が、ふつうの光と同じ性質なモンかよ」
 言う通り、狐狛の光は縦横無尽に戦場を巡り、ある時は背後から、頭上から、人形の死角へと回り込んで回避を許さぬ痛烈な一撃を加え続けていた。
「汚い花火はガラじゃないんでね――折角拓けた道だ、邪魔はさせないよ」
 遠目に見ればまるで光のカーニバル。わざとらしい派手めなエフェクトが嫌が応にも殺意を引き付けて、二重攻撃を達成せしめたのだ。大分数も減らした。そろそろ本丸を強襲しようか……思案した途端、突如轟音が狐狛の耳に届く。視線の先に煙を吐いて上昇する歪な筒の様な物体があった。
「何だありゃ!?」
「対艦ミサイルだ! 奴めとんでもないモノ仕込んでやがった!」
 土埃を上げて狐狛の前で重厚な戦闘車両――FECTが急制動を掛ける。その中より現れた政斗が早く、と狐狛を手招きして。
「撃ち落としゃあいいだろう、あんなモノ」
「直掩が厄介だ。それに道路が駄目になる。更に手を止めりゃあ盤面をひっくり返される!」
 見れば有象無象の人形達は未だ殺意を剥き出しにして火線を放ち続けている。そしてランダム機動の対艦ミサイルを放置すれば、この距離では道路に甚大な被害が出る事は明白――一旦引く。可能な限りミサイルを引き付けて。
「しかしどうするよ、あの爺ぃはくたばっちゃいないんだろう?」
「その為の後続だ! ここで道を台無しにしちゃあ叶わん!」
 止むを得ない。FECTの上に飛び乗り、再び琥珀は迎撃を再開する。FECTから政斗が対空火器を制御して、FECTは二人を連れて可能な限り距離を取った。それでも、敵の大半は無力化せしめた。死神爺も動く事は出来ない。今は道路を守る事を最優先に――戦場を彩った鋼鉄は疾風の様にその場を後にした。最後の希望を仲間に託して。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウーナ・グノーメ

【心情】
「わたし達が道具(ツール)なら、あなたは愚者(フール)。この世界に法(ルール)なんてないけれど、あなたのやり方は粋(クール)とは呼べない」

表情を一切変えぬまま、フェアリーらしく愚弄には言葉遊びで返す。

「犯されし禁忌には、大地の怒りを。大地よ……煮え滾り、猛り狂え」

妖精の言葉と共に大地は沸き立ち、憤怒を剥き出しにした。

【行動】
UCによって「火」の属性を宿した「地すべり」、即ち溶岩の本流を解き放つ。
液体でありながら岩の比重を持つそれは、敵を熱で焼き焦がしながらも衝撃を分散、吸収する盾ともなる。
全霊の【念動力】で制御しつつ、【オーラ防御】で自身への熱を防ぎ、ダメージは覚悟の上で決戦に臨む。


陽向・理玖


変身状態維持

このじじいがアコニィの…

何だろう
すっげぇ
むかむかする

代わりにって思って来たけど
…それだけじゃ、ないのか?

残像纏いダッシュで距離詰めグラップル
まずは戦車狙い拳で殴り部位破壊
ぶっ壊せば予測も出来ねぇだろ
それに俺はあんたの予測を超える
UC起動しさらに限界突破
予測を超える速度で攻撃
仮に防御フィールドあってもそれごとぶん殴る
吹き飛ばし後追い打ち

動き見切り
制圧火力って事は直線か?
それくらい簡単に避けれるぜ

道具みてぇなもんだって
思う事はある
けど俺を使えるのは俺だけだ
勘違いすんじゃねぇ
道具がなけりゃ何も出来ねぇあんたとは違う

通行止めなのはあんたの未来だくそじじい
さっさと骸の海へ帰りな
拳の乱れ撃ち



●未来へと続く道
『全く……ここまでやられるとはな……』
 深い穴と化した地の奥で、浮遊戦車のキューポラをこじ開けて死神が姿を現す。
『ミサイルは撃ち落とされたか……だが、お陰でここはガラ空きだ』
 咽返りそうな煤けた大気が肺を満たし、ただでさえ悪い気分を更に苛つかせる。その元凶が――猟兵が歪んだ景色の奥から、その姿を徐々に浮かび上がらせた。
「このじじいがアコニィの……」
『アコニィ? 知らんな。そんな名前――』
 少年の声がした。聞いた事がある様な単語――だが、そんな事に構ってられる状態では無い。装備は大破、呼び起こしたフラスコチャイルドも大半が再び骸と化した。じりじりと近寄る少年――陽向・理玖(夏疾風・f22773)を睨み返して、死神は拳銃のセーフティを解除する。こうなれば、肉弾戦だ。
『道具の名前を一々覚えてられるか。どれだけ作ったと思ってんだ、小僧』
 その言葉に理玖は怒りを覚えた。何故だかは分からない――でも、生命を弄ぶその態度に、いつの間にか腹の底を煮え滾る様な思いが支配していた。
「代わりにって思って来たけど……それだけじゃ、ないのか?」
 一瞬動きが止まった理玖を見やり、死神は口元を歪ませる。幸い防御フィールドのジェネレータはかろうじで生きている。懐に入られる前に撃てばいい――引き金に指を掛けた刹那、突如可憐な歌声が辺りに響いた。
「わたし達が道具(ツール)なら、あなたは愚者(フール)。この世界に法(ルール)なんてないけれど、あなたのやり方は粋(クール)とは呼べない」
『お歌が上手だな小さいの――鳴き声もさぞかしだろうがよッ!』
 金色の光を纏いし長身の妖精――ウーナ・グノーメ(砂礫の先達・f22960)が視線の先をひらりと横切った。敵は二人か。澄ました顔で囀る小鳥なぞ人形に任せればいい。理玖がフィールドの手前に辿り着いた時、死神が空いた手を掲げ人形達へ檄を飛ばす。
『行け! とっとと奴等を片付けろ!』
「犯されし禁忌には、大地の怒りを。大地よ……煮え滾り、猛り狂え」
 瞬間、無数の銃声が戦場のそこかしこに轟いた。それと同時にぐらりと大地が傾いて――否、これは超常。自然現象ごと改変する恐るべき精霊の御業。
『こんな所で……溶岩、だと?』
 傾き裂けた大地の奥より、赤黒い熱流が吹き荒れる。それらが無数に散らばるフラスコチャイルドを飲み込んでは、瞬く間に冷え固まって大地へと取り込んでいった。その赤黒いうねりはまるで、二人の心の内を示すかの様。
「何驚いてんだ――あんたの相手は俺だろうが!」
 変身。手にした龍珠が七色の輝きを放ち、理玖の全身が超常の青白い装甲に包まれる。最初から全開だ――どろりと戦場を埋め尽くす赤黒い光を背景に、紫電を纏った竜が防御フィールドを容易くブチ破ると共に、最後の戦いが幕を上げたのだ。

『改造人間風情が――貴様も誰かに造られた道具だって訳だろう、え?』
 一目で分かった。あれは自分のいた世界の技術――俺みたいな奴に弄られたのだろうと死神は口元を歪ませる。
「……道具みてぇなもんだって思う事はある。けど、俺を使えるのは俺だけだ」
『ほざけ。使われ方も知らねえ道具が一丁前に口を利くか!』
 バチバチと紫電が破裂し、光速の拳が死神へと叩き込まれた。その一撃を機械の義腕でかろうじで受け止めて、片手の拳銃を零距離斉射。しかし乾いた銃声と金属音が、そんな豆鉄砲は通用しないと暗に死神へ無力を示す。
「勘違いすんじゃねぇ。道具がなけりゃ何も出来ねぇあんたとは違う」
 そうかい。最早用を成さない拳銃を投げ捨てて、ゆらりと屈んで足元の残骸を手に取り、猛烈な勢いで死神は殴りかかった。例え装甲を纏おうとも中の人間は――生体器官は尋常の筈。激しい振動が理玖を襲うが、それもまた覚悟してきた事。この程度、耐えてみせる。
「通行止めなのはあんたの未来だくそじじい――さっさと骸の海へ帰りな」
『ハッ! ヒーロー気取りか! こんな先も無い、凸凹だらけの世界の為に!』
 残骸を片手で受けて、もう片腕が機関砲の様に唸りを上げる。煙を噴いて放たれた理玖の連打が遂に死神を吹き飛ばし――それでも死神は倒れたフラスコチャイルドの手からガラクタ銃を奪い取り、必死の形相で弾丸を撒き散らす。
『こんな世界に! 未来があってたまるか!』
「未来はある。この大地が凸凹に見える、あなたの歪んだ眼には――」
 瞬間、ボコリと盛り上がった地面が理玖との間に壁を作った。ウーナの言葉に応えた大地が、岩塊の壁を即座に拵えたのだ。こうなれば最早幾ら火線を集中しようと、理玖を貫く事など叶わない。
「映らない。ただそれだけの事……」
『囀るなッ!』
 凛とした声色が再び猛々しい溶岩流を顕現させて――気を張るウーナごと焼き尽くしかねない凄絶な威力が波打ち、眼前の死神を飲み込まんと大口を開く。
「猛る大地よ、悪しきを呑み込み深くへ落とせ。骸は奈落へ地の底へ」
 その威容を見て、死神が何か叫んだ。しかし最早、その様な小さな声は――怨念は何処にも届かない。
「そこが、終焉――」
「あんたの未来だ!」
 紫電が迸る。いつの間にか死神の後ろへ回り込んだ理玖の爪先が七色の弧を描き、回し蹴りの要領で死神を前方へと蹴り飛ばした。
『ハハッ! やるねえ。そうだ、それでいい。全部ブッ壊せ……』
 吹き飛ばされながら死神が悪態を突く。全身を真っ赤に染めて、虚ろな視線が虚空を睨みながら。
『もうじきだ、もうじき全てが終わる。楽しみだなぁ!』
 最後まで怨嗟を振り撒いて、死神は特大の溶岩流に飲み込まれ――消えていった。

「終わったか……しかし」
 変身を解除し辺りを見渡す理玖。溶岩流は全て収まり、敷き詰めた道路にも影響はない。辺りの地形が大分変ってしまったが――それはまあ、どうにかなるはずだ。
「もうじき終わる。そんな事――させないのです」
 傍らにひらりと舞い降りたウーナは少女の姿へ戻り、死神の言葉に叛意を示す。それは彼女だけじゃない、この世界に生きとし生ける者達全てが、生きる事を諦めた訳では無いから。真新しい未来へと続く道はこれから、明日を紡いでいくのだから、と。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月12日


挿絵イラスト