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漆黒のケモノ

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●ある場所にて
 僅かな光しかない空間にゆらりと動く影が居る。
 暗闇に溶け込む大きな身体、その身体を僅かに照らすのは頭部にある大きな角。
 そのケモノが歩けば足元には小さな水晶の華が咲き砕け散る。
 ケモノは探す、より多くの光ある場所を。

●不思議な夢
「あのね、あのね! 不思議な夢を見たの! 」
 フェアリーの人形遣いにしてビーストマスターの柊・弥生(獣婚師・f01110)は興奮気味に話し出す。
 それは、暗い洞窟の奥深くに1体の魔獣が住み着いたという夢。
「洞窟の場所近くまでは頑張って調べたけど……そこから先が分からなかったの……」
 申し訳無さそうにションボリとして話す6歳児。
 なんか可哀想になってきたよね?。
 よし、じゃあ、その気持ちのまま聞いててね!。

 場所はアックス&ウィザーズの洞窟の奥深く、普段人が踏み入ることの無い場所にあるんだが大きな渓谷に挟まれた向こう側だ。入り口近くに連れて行きたかったらしいが、足場が切り立った崖になるため安全を考えた結果、皆には崖を飛び越える事からお願いする事になります。跳び方は、一人で飛んでも協力して飛んでも、どんな方法でもいいので思いついた方法で飛んでね。
 あ、言い忘れた事があるようです。
「えとえと、ビューンてしてスチャッてしたら着くんだけど、飛んでる途中にそこに住んでる鳥さんが来ちゃうかもなの。危ない子じゃ無いんだけど、好奇心旺盛で気になるものをツンツンってしちゃうから気をつけてほしいの」
 鳥の真似をしてツンツンしてる、かわいいわぁ~ では無く、危険性は低いがくれぐれも気をつけて進んで欲しい。

「魔獣さんはどんな力があるかもハッキリと分かってないから、危険がある前に何とかしたいの! あんまり力になれなくてごめんなさい。それでも皆の力を貸してほしいです! よろしくお願いします! 」
 ぺこりと頭を下げながら、場所へと向かう準備を開始する。


弥兎
 初めまして、弥兎(やと)と申します。
 今回が初めての作品となります。
 手探りでは御座いますが、誠心誠意書かせていただきますのでご参加のほどお待ちしております。
 皆様の物語を少しでも彩れたらと思います。

●シナリオについて
 崖を飛び越える描写につきましては一人で飛ぶ方、誰かと組んでも構いませんがパートナーがいらっしゃる場合はご記入忘れの無い様にお願い致します。
 また、こちらで協力プレイングにする事もございますので苦手な方はその旨も記入いただけると幸いです。
 アドリブやおもしろプレイングもお待ちしております。

●最後に
 皆様からのプレイングを心よりお待ちしておりますので、気軽にご参加下さい。
 皆様の冒険が心躍るものであります様に。
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第1章 冒険 『飛べ!我ら鳥人猟兵!!』

POW   :    気合いで空中技の連続コンボ!

SPD   :    技術を生かし空を飛ぶ!

WIZ   :    魔法で空を飛ぶ!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニィナ・アンエノン
弥生ちゃんはかわいいなぁ!
ここはにぃなちゃん、頑張っちゃう☆
と言う事で崖を飛び越えなきゃね!
フェアリーさんやオラトリオさんなら自分の羽で飛べちゃうんだろうな。
でもやっぱりにぃなちゃんと言えば宇宙バイク!
宇宙バイクは重力があってもジャンプできるから……
とにかく遠くからめっっっっっちゃ助走つけてトップスピードで思い切りジャーンプ!
ゴッドスピードライドで変形させれば絶対届く!……はず!
多分鳥さんも寄って来られないくらい速いよ、にぃなちゃんは!


江戸川・律
△飛べない鳥の王様
あっ?ちょっと王様!何勝手に出て来てんの?
えっ?空を飛ぶなら我に任せろって?
いやいや、王様はペンギンじゃん!無理、マジ無理だって…
(後に律は語るあの時の王様の目は何時に無くマジだったと)
△そして挑戦が始まる
本当にやるんだね…
もうどうにでもなれ!!

レプリカクラフトで作成可能最大規模の氷の滑走台を作成
地形の利用・衝撃波を使用
王様の背中に乗り
衝撃波を推進力に一気に滑走して対岸を目指してジャンプします
一応、保険で念動力もバレないように…

着地は考えてません

何、大願成就ってかんじで嬉し泣きしてんのさ!!別に飛んでないよ!跳
んだ、だけだからね!!

アドリブ連携歓迎です


リィン・エンペリウス
黒い魔獣・・・ボクが見たことのない変わった子だといいな。ビーストマスターとして会いにいってみないとね♪

さてさて、まずは崖を飛び越えないといけないんだね。
崖に住んでいる鳥さんが邪魔するなら…うん、ならいっそその鳥達に手伝ってもらうのが良さそうかな。
まずは手持ちの獣奏器の【楽器演奏】で鳥達を呼び寄せようか。
来てくれた鳥達に【動物と話す】でこの崖を渡りたいこと伝えて、運んでくれないかい?とお願いをしてみようかな。
きっと好奇心旺盛な子達だけど、人と一緒に空を飛ぶ経験をしたことがないだろうし、わくわくしてお願い聞いてくれるんじゃないかなって思うよ。
あ、もし同行者で渡るのに困っている人がいたら一緒に渡るよ



「弥生ちゃんかわいいなぁ!ここはにぃなちゃん、頑張っちゃう☆」
 と、誰よりも速く駆けつけてくれたのはニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)彼女自慢の宇宙バイク、ヤンソンは軽快な音を鳴らしながらそのタイミングを待っている。

 渓谷との距離を測りながらニィナは少し思案し、
「少し助走がいるのかな?よーし、それじゃあ思いっきり跳んじゃうんだよ!」
 愛車を一撫でしたら崖の倍以上の距離を取り、
「いっけぇぇぇ~!!」
 と、宇宙バイク加速用電磁スラスターによる超過速により音を置き去りに渓谷の向こう側へ向かう。
 渓谷に差し掛かったときヤンソンは突如変形する。
 ゴッドスピードライド、自身が乗る宇宙バイクを変形させ騎乗する事で速度を更に上げる技。
 制御の難しい速度での跳躍だがその速度は難なく渓谷を飛び越えることになる。
「にぃなちゃんいっっっちばん☆」
 尚、着地の際に洞窟入り口の壁に勢い良くぶつかり掛けた為に冷や汗を掻いたのはここだけの秘密だったり?

 爆音と人影に慌てて飛んでくる渓谷に住む怪鳥は余りの速さにニィナの影を見送る事しかできなかった。

 そして彼女の影を見送るのは後二人。
 江戸川・律(摩天楼の探求者・f03475)とリィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)である。

 律は自身の身長の2倍の【王冠を冠った巨大なペンギン】を必死に説得している。
「あっ?ちょっと王様!何勝手に出て来てんの?」
 どうやら、飛べない鳥の王様(ペンギンエレジー)より勝手に出てきてしまったらしいペンギンの王様、羽……両手?をパタパタ、こちらも必死の飛べますアピール!
 その様子を通訳するリィンという光景。
「王様飛べるって言ってるよ?飛ぶなら任せろって」
「え?いやいやいや?!王様ペンギンじゃん?!マジ無理だってっ!」
 通訳されて誇らしげな王様は、無理と言われて円らな瞳に闘志を宿した……
(うわぁ?!王様の目がマジに……)
「……ホントにやるんだな?(コクリ)……ホントにほんとだな?(うんうん!)……ええい!分かったよ!もう!どうにでもなれっ!!」
 半ば王様の意地勝ちな気もするが、律は王様の意思を汲み跳びやすい様に場所を整える。

(いや、この距離やっぱ無理じゃね?ばれない様に補助するか……浮かせる?)
 律はどうすれば王様の気を損ねずに成功させるかと考えながら氷を造り出す。
 渓谷の淵ギリギリから向こう岸に向かって氷の滑走路を造りだそうとするが……いかんせん水の気配も少なく水源である河も崖の遥か下にあった。
 その為作り出せた氷は渓谷の4/1程。
 ここを超えるには圧倒的に足りなかったが、意気揚々と、とても嬉しそうに王様は滑走路に向かっていく。
「あー……王様、王様。流石に距離が足りないから、勢い付けるぜ?」
 王様に許可を取れば、衝撃波で勢いを足して滑走路を滑り……
「やっぱり足りねぇぇぇっ!!ちょっ!王様ァァ……!!」
 律は王様の身体を浮かせるために念動力を使うも渓谷の3/2程で勢いが失われて、みるみる高度が下がっていく。
 王様も必死に両手をパタパタさせるもあまり前には進まず、何とかその場に止まってはいるが時間の問題であった。

 さて、ほんの少し時間を戻して通訳を終えたリィンはというと……
「この辺に……ってあそこにいるね」
 渓谷に住む怪鳥の懐柔を試みていた。
「とりあえず、こっちに来てもらわないと」
 と、獣奏器を奏で怪鳥達の興味を引く。
 半数以上の怪鳥がリィンの方へと向かい周りを飛び回りながら、何だどうしたと好奇心旺盛に様子を伺っている気配がする。
「君達に手伝って欲しい事があるんだよねぇ。ボク達はこの崖を向こう岸に行きたいんだよ、そこで!君達にはボク達と一緒にこの崖を飛んで欲しいんだけど無理そうかい?」
 と聞いてみると、自分達に話しかける存在が珍しいのか興奮気味に承諾するもの、興味はあるが警戒気味に様子を伺うものに分かれた。
(んん~、やっぱり野生の子なんだよねぇ)
 と、警戒している子を横目に承諾してくれた子達に架け橋になってもらうようにお願いする。
 怪鳥達の羽ばたきは力強くリィン一人だけなら問題なく向こう岸に渡す事が出来た。
 そう、リィン一人なら……
 渓谷もあと少しという所で今にも落ちそうな律と王様のコンビを見るまでは。
「ありゃ?やっぱり難しかったかぁ……あれ、落ちる……よねぇ?」
 と怪鳥と話していると、あっという間に崖下へと落ちている。
(あれは、ほって置いたらマズイ……よねぇ)
「はぁ、怪鳥さん。少し進路を変えてくれるかい?あの人達を回収して行こう」
 お願いすれば、難なく道を変えリィンを律の元まで導いてくれる。
 落ちかけの二人を回収したら入り口まで難なく進み、疲れ果てている律と王様を放置し、洞窟の奥に興味を見せる。
「黒い魔獣、ボクが見たことのない変わった子かな?会ってみたいなぁ」
 と、そわそわと猟兵達が揃うのを待っている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

水心子・静柄
知ってたかしら?人は飛ぶように出来ていないのよ…重力に従って落ちるだけの存在なの。

崖を飛ぶのに有用なユーベルコードががいくつかあるけど、私は自力で何とかしてみせるわ。使えるのは解いた柄巻かしらね。飛んだ先の地形を利用して、柄巻をロープ代わりに巧く(ロープワーク)使って引っ掛ければ、飛距離が足りなくても何とか届くはず…予想通りロープを引っ掛けられなかったとしても、私(鞘付き脇差)が崖に届けばグラウンドクラッシャーで崖の表面を陥没させて手を掛けられるようにするわ。まぁ向こう側に届かず落ちたとしても、底から登ってしまえば済むことよね。幸いクライミングは得意な方だし。


エダ・サルファー
この渓谷を飛び越える……飛び越えるのかぁ……
単純に助走してジャンプするだけだと難しいよねぇ……
うーん、アースジャイアント召喚して放り投げてもらうとか……、いや、私の動きをトレースするから難しそうだなぁ。

あっ、そうだ!
アースジャイアントと一緒に助走をつけてジャンプ、跳べるだけ跳んだ段階でアースジャイアントを踏み台にしてもう1回ジャンプ!これならどうだろう!?
アースジャイアントとタイミングを合わせて跳ぶのと、空中でアースジャイアントを踏み台にするのが大変そうだけど、ちょっと練習して試してみよう!

まあ、それでも届かなさそうならしょうがない。
すっごく申し訳無いけど、近付いてくる鳥も踏み台にするよ。


アイ・エイド
【行動的にPWO?】
双気弾銃を地面に撃って
ちょいと上の方から翼型飛行剣を広げて飛んでみるぜ!モモンガか羽ばたかない大型の鳥みてぇな感じかねェ?

鳥が近寄って来たら
危ねぇからあんま近寄ってくんなよォ?って若干殺気出して牽制するぜ!

高度が下がって来たら
双気弾銃でスピード遅めの1発を撃って何発かをその1発目に狙い撃って上昇!この連続攻撃はプログラムド・ジェノサイドだ!

んでまた翼型飛行剣広げて飛ぶ!

翼型飛行剣…鋭い翼を加工した背中・両腕装備型クランケヴァッフェ。扱いにくいが回転斬りや高所の飛行等が可能

師匠の双気弾銃…使用者が込めた気により、威力(最大大砲レベルまで)が変化する実弾の無い気弾銃2挺


ヴィゼア・パズル
【wiz】使用
其方もグリモアを手に入れるとはな。――― 不思議な縁だ
微力を尽くそうか。……どの様な者相手か気になるしな?

術式発動。アイテムの偽翼、もとい精霊フロゥラを憑依させれば【空中戦】技能と併用し風を纏って飛行しよう。梟の翼は音も無く木々の合間も縫いやすい

可能であれば【動物会話】を使い怪鳥コミュニケーションを計っても良いかもしれないな?
「この先の洞窟に用があってな。其方はこの辺りに住んでいるのかい?」
絡み、アドリブ歓迎
基本温和に接するが、無論、敵相手には容赦しない


ステラ・チェスロック
えっ、崖を越えるの?アタシは人間だから飛ぶ羽も無いし、ジャンプするのもちょっと……こ、怖くはないけどっ!

だからシャッフル・タイムでトランプを空中に固定して足場を作るわ。トランプをカード単位でバラバラに動かせばアタシが転んだりしてもちょっと余裕があるくらいの足場は作れるわよね?それで歩いたらトランプを移動させながら進むの。ちょっと余裕を持って作るから、もし鳥がバサーって来てびっくりしても大丈夫なはずよ!

無駄無く使えばカードの枚数的に結構余りが出ると思うから、崖を越えるのが大変そうな人や落ちそうな人には手助けしておくわ。その代わり、何かあったら助けてちょうだいね!此処ではそれが何よりのチップだわ。



 暫くして続々と猟兵達が駆けつけてくる。
 水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)とエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)は、どうやってこの渓谷を越えるかと、あーでもないこーでもないと相談していた。
「人は飛ぶように出来ていないのよ?…重力に従って落ちるだけの存在なの」
「ですよねえ、どうしましょうね?」
 どうにかならないかと相談するも、お互いに有効手段は浮かばず
「……何とかするしかなさそうだね」
「まあ、最悪崖底から登ってくれば済むことよね。クライミングは得意な方よ」
「あはは、そうならない様に頑張りましょう」
 と、お互い持てる力で頑張ろうという結論に落ち着いたが、人はそれをごり押しと言う。
 
さてそんな二人の近くでは、ステラ・チェスロック(リトル・ディーラー・f12374)が渓谷の底を覗き込みながら思案する。
(うっわ?!ここを越えるのよね?た……たかっ、い、いや、怖くないし!)
 と辺りを見渡しながら他の人の様子を伺うと静柄とエダの会話が聞こえてきた。
「あっ、あのっ!!」
「「ん?」」
 二人に駆け寄りながら軽く挨拶を済ませて。
「も、もし良ければアタシも一緒に行っていい?」
 と協力を申し込む。
「いいんじゃないかい?協力だね!」
「そうね、三人居れば何とかなるかもしれないわね」
 と快く受け入れてくれる二人。
 お互いに得意なこと苦手なこと、使う技や起き得る予想を改めて相談し、数回の練習をして、いざ行かん!渓谷の向こう側!

「うう……やっぱり高いよう……」
 準備を済ませお互いの連携のための立ち位置に着くステラだが、あまり来ることも無い断崖絶壁は怖いようだ。
「お~い!準備はいいかい?」
 とエダの声が聞こえ慌てて気を引き締め直し、自分の周囲に念動力で操れる愛用のトランプを展開させる。
 Shuffle time(シャッフル・タイム)でレベル分のトランプセットを操り足場にする算段だ。
 1枚単位で操れるトランプならばかなり広めの足場に成りそうだ。
 一方静柄とエダはというと、エダのアースジャイアントに静柄が乗っている。
 本来は、自身の身長の2倍の【大地の巨人】を召喚し、自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦うといった今回は足場替わりに使おうというのだ。
 「それでは、成功を祈りますわ」
 と呟いた静柄の声を合図に、エダはステラは向かって一直線に全速力で向かっていく。
 ステラは維持出来る最大距離までトランプを使い足場を作るが自身とエダ、何より大きく重いアースジャイアントの分となるとあまり距離としては長くない5/1程だろうか。
「ここまで来れば何とかなりそうっ!」
 とエダはトランプギリギリを勢いく跳躍し、最大高度まで来ると腕を思い切り振りかぶる。
 真似をするアースジャイアントのその腕には静柄が優雅に佇み、振りかぶる勢いのまま洞窟へ向かい飛んで行く。
 振りかぶったアースジャイアントを足場にエダも静柄に続く。
 二人ともあと少しの所まで飛ぶも僅かに届きそうに無い。
 静柄が落ち着きながら名工の柄巻きを解きロープの代わりにすると、崖の突起に巻きつけエダを掴むが洞窟入り口より少し離れた位置になってしまった。
 入り口に向かってあと少しとロープ渡りの様にしようとした時、追いついてきたステラの僅かなトランプを足場にする事が出来た。
 興味を持って近づいてくる怪鳥にトランプを弄られながらも、静柄・エダ・ステラの三人は無事に入り口に辿り着く事が出来た。

 場面は変わって三人が協力していた頃、アイ・エイド(腐れ狼時々2頭身ひよこ・f10621)は師匠の双気弾銃と翼型飛行剣を装備し攻略に挑む。
 気合たっぷりの彼の様子は秘策があるのかと思わせる。
「んじゃ、行くぜ!」
 の掛け声と共に双気弾銃を地面に向かって打ち込み、勢いよく空中へ身を投げる。
 上空まで来た時に翼型飛行剣を広げムササビの様に滑空していくが、ムササビは本来上から下へ滑空していく生き物。
 開始位置が低すぎたのかみるみる高度が下がってしまう。
「む?下がってきたか?なら、プログラムド・ジェノサイドだ!」
 【予め脳にプログラムしていた連続攻撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能な技の一撃目を可能な限り遅くしてそこに高出力の弾丸を撃ち込む。
 大砲レベルまで上げた弾丸の威力はかなり上空までアイを運んでいくが、そこには渓谷に住む怪鳥達が待ち受けていた。
 どうやら相次ぐ来訪者に警戒と興奮がピークに足して来ている様で、声高に鳴いている。
「おっと、お出ましか!危ねぇからあんま近寄ってくんなよォ?」
 と怪鳥達に警告をしながら、殺気を放つ……ん?殺気の場所が二種類ないかい?
 よーーく見てみると、腰の位置辺りに何か居ません?
 何かこう……黄色い小さい?円らな瞳の?あれは……ひよこ?!
 ひよこから殺気が出ているような……?そんなマッサカァ……?!
 と、真相は置いといて、怪鳥達は殺気を向けられたことで敵と判断したらしく、甲高い声と共に向かってくる。
「っと、しょうがねぇ……」
 と攻撃に移ろうとした所に、
「お困りのようだな、手を貸そう」
 声がした。

 音も気配もなくアイに近づいていたのは、梟の様な翼を纏うヴィゼア・パズル(風詠う猟犬・f00024)
 彼は術式を発動し精霊フロゥラを憑依させた偽翼、風翼の纏で音もなく飛行していた。
「ふむ、あまり手荒には行きたくないが……敵であれば容赦はしないよ」
 こちらもやや殺気を込めて怪鳥達に話しかけてみる。
 ヴィゼアの動物会話により一定の距離を開けて怪鳥達は止まるが、縄張りから出て行けとばかりに激しく鳴き続けている。
「……ふむ、あまり歓迎されてないようだな。ここは早めに立ち去ろうと思うのだが?」
 とアイに対し提案。
「……まあ、確かに。余計な殺生はしなくていいんじゃねえの?」
 とこちらも同意する、腰にあったあのひよこもいつの間にか居なくなってるし。
「あー、でよ、ええっと」
「ああ、ヴィゼアだ。よろしくな」
「オレはアイだ、助かったありがとよ。さて、早いこと場所をかえるか!」
 襲ってくる心配が無いのなら何も問題なく進む事が出来る二人。
 時折、アイが高さを調節するくらいで難なく崖の入り口に到着する。

 この先に待ち受けるのはどの様な脅威なのか。
 少しの不安と最大限の好奇心を抱き、
「……どの様な者相手か気になるな?」
 ひっそりとヴィゼアは呟くのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『水中洞窟を突破せよ!』

POW   :    肺活量にも力にも自信がある!肉食動物が出たら倒すまで!無理せず息継ぎをしながら泳いで進む。

SPD   :    一気に行こう!息継ぎは最小限で、肉食動物に見つかる前に泳ぎきる。

WIZ   :    息継ぎできる所ではちゃんと息継ぎをしよう!肉食動物には魔法や罠で混乱させている間に泳いで逃げる。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 無事洞窟へと突入する事が出来た猟兵達。
 暗い洞窟を僅かに照らすのは、床や壁際に生えるヒカリゴケの輝きであったり、小さな水晶の輝きである。
 人の踏み入ることの無い大自然の神秘、または秘境。
 そんな言葉が似合う洞窟探索、一時の穏やかで幻想的な空間を楽しんで……

「ん~と、こっちの方だと思うの……あれ?こっちだっけ?」
 幻想的な空間に見とれたのは、どうやら君たちだけではなかったらしい……しっかりしてくれグリモア兵よ……
 そんな声が聞こえてきそうな気もするが、少しづつ確実に洞窟の奥には進んでいるようだ。

 なんやかんや進んだ頃に道の先に仄かな明かりが見え出した。
「あ!あったよ!あそこだよっ!!!……よかった」
 うむ、無事に辿り着いたようでなにより……最後の言葉は聞かなかったことにしてあげてね!泣いちゃうぞ☆

 さて、君たちが見た光景を伝えよう。
 そこは、薄暗い洞窟を照らす無数の水晶が生える透き通る水の空間。
 天井からも壁、水中からも生える水晶が青白く空間を彩っていた。
 そして何より美しいのが、水晶から滴る水滴が水面を揺らせば各々が光を反射させ、水中には水晶の光の下雄大に泳ぐ魚影。
 まるで一枚の絵画の様な、幻想を写した様な光景が広がっていた。

「うわぁ!きれいだね!すごいね!……でも道、無くなっちゃった……」
 また道を間違えたかと肩を落とした柊だったが、よく見ると水の向こう側に細い道が見えている。
 道を見つけて、水面に身を乗り出した瞬間に勢いよく魚影が向かって来た。
「あ!!あれっ!道だよぉぉぉぉぉぉっ?!?!」
 間一髪で魚影を回避したが、バッチリ見えてしまったね☆
 大きさは、一メートルを少し超える程度。
 無数の鋭い歯とギョロリと覗くまん丸お目目。
 魚と言うより鰐に近いかも知れないその姿。
 どうやらここに住む住人はお腹が空いているらしい。
 泳ぐ影や水面の動きに釣られて寄って来るかもしれない。

「……ここには、お腹の空いた怖いのが居るのよ……た、食べられないように進んで欲しいのよ……怖かったのよぉ……ぐずっ」
 半泣きになり魚影の届かない水晶の影から、みんなの無事を祈っている。
ステラ・チェスロック
先ずは目的地の確認ね!水辺を挟んで反対岸に道があるって事でいいのよね?でも、泳ぐ体力も息継ぎも自信が無いから、できればトランプでまた足場を作って水の上を歩いていきたいわ……。
それで、魚がもしザバーッて飛びかかってくるようなら持ってるトランクを両手で持ってえいって殴ってやるの!服が濡れたら嫌だもの!

歩いていくのが難しそうなら……頑張って泳ぐわ、仕方ないもの。なるべく急いで泳いじゃう。その時は魚に襲われたらトランクを盾にして噛み付かれない様にするの。武器受け?ってやつ。それから念力なら水中でも不自由なく動くわよね?近づくならトランプで刺身にするわよ!


水心子・静柄
水の中を進まないと行けないのね…私、重いのよね(特に鞘が!)。まぁしっかりと息継ぎしながらゆっくりと進んで行くわ。肉食動物が迫って来たらちゃんと相手をしていくわね。私の居合は範囲が狭いから、向こうから近づいて来るのは助かるしね。どうせならギリギリまで近づかせて、噛まれる覚悟で、柔らかい口内に捨て身の一撃の居合を放つわ。一撃で倒せなくても出血は狙えるでしょうね。あとは出血した肉食動物が囮になって、他の肉食動物を引き付けてくれると御の字ね。それにしても水に、血糊に、さっさとここを突破して(私自身)を手入れしたいわ。


江戸川・律
はぁ、さっきは散々だった…

えっ?我さっき飛んだって?頑張たって?
はぃはぃ良かったですね
痛い痛い摘んで拗ねないで下さいよ

おおぅ
次は水中洞窟かぁ…
すげぇ綺麗な場所
荒んだ心が癒される

えっと…あの先かな?
ココは王様ならすいすいっと行けますよ…ね…

あの王様?
目で魚追ってません?
お腹すいたとか今は無しですからね?
ほんと無しですよ?
えっ?食べた方が帰り道も安全?

…確かに一理あるか…

なら少し減らしますか?
威圧だけでも意外と仲間のサポートになりそうだし
減らしたら行きますからね?約束ですよ?

アドリブ歓迎です
動物と話すを修得しました。リィンにコツを教えて貰った感じです
念動力で魚の動きを阻害しつつ減らします


ニィナ・アンエノン
弥生ちゃんに限らずフェアリーさんとかなら一口だよねあれ……
まぁにぃなちゃん達くらいの大きさでも齧られたらヤバいね☆
んー、どうしようかなぁ……
そーだ、勿体無いけど餌でどっかに集めちゃおうかな?
【おびき寄せ】作戦だ!
持ってきてるインスタント芋煮を袋ごと遠くへぽーい!
→それをリピーターで撃って中身を水の中へ!
→いい匂いがしてお魚はそっちへ集まる!
→よし!
後は気を取られてるうちにゴッドスピードライドまで使って、一気に水中をバイクで渡るだけ!
宇宙バイクは宇宙でも進むし、息が続けば水中もきっとイケるよね☆

あ、もし先に強引に渡るって人がいたら【援護射撃】で手助けしてあげられるかも?


リィン・エンペリウス
鰐にも見えるし魚にも見える…アリゲーターガーに似ているね。あの魚パサパサしていて【料理】してもあまり美味しくないんだよね。
っと、そんなこと言ってる場合じゃないね。

水中戦は得意じゃないし、現地に住む【動物と話す】ことで協力をお願いしてみようかな。
獣奏器の【楽器演奏】で水辺に棲む動物を呼んでみようか。
攻撃はボクがするから、水中の気配を察して襲ってくるタイミングを教えてくれるような子がいると嬉しいね。

水中に入る前に手持ちの「手作りジャーキー」を食べてフードファイト・ワイルドモードを発動してから、その動物と一緒に【野生の勘】と【見切り】、【聞き耳】と自慢の「包丁」を使って、魚を倒しながら進んでいくよ。


エダ・サルファー
いやぁ、すっごく綺麗な場所だねぇ。
これで泳ぎ回ってるのがでかい肉食魚じゃ無くて、入っていかなきゃならない事情が無ければなぁ。
まあ観光しに来たわけじゃ無いし、覚悟決めて泳ぎますか。

進み方としては、無理せず息継ぎしながら進んでいこう。
魚が襲ってくるようであれば、まあしょうがないので倒して進もう。
相手のフィールドとはいえ、本気で戦って負けるようなことは無いでしょ。
必要があれば聖拳突きも使おう。
とはいえ、別にこの魚が目標じゃないんだし、無益な殺生はしない方向で。
脅かして逃げてくれるようならそれ以上は手を出さないよ。



「綺麗な所……っと先ずは行き先の確認ね。あの場所でいいのよね?」
 身体を水面に出さないように気を付けながら、ステラ・チェスロック(リトル・ディーラー・f12374)は向こう岸を確認する。
「んん~、これは……トランプ使えば歩けるかな?」
「あら、それは水に浸けても大丈夫なの?……それなら、私も一緒に歩きたいわ。重いのよ私、特に鞘が!敵が来るなら、守るわ」
 と、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)はステラに話しかける。
「それはいいんですけど……水晶が邪魔で歩ききれるか……それでもいいのなら」
 天井からも大なり小なり様々な大きさの水晶が生えている為、ルート確保が難しいらしい。
「それなら、途中まででもいいわ。それだけでも助かるもの」
「足場は広くは作れないから気をつけてね」
 Shuffle time(シャッフル・タイム)で足場を作ろうとトランプを浮かせた瞬間に、ザバン!と魚影が数枚のトランプを飲み込む。
 『ハッ!!』
 魚影に気が付いていた静柄が、掛け声と共に【自分の本体での抜刀斬りつけ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ技、居合(イアイ)を放つ。
 この技は相手との距離が近くないと放てないが、近づく相手なら問題なく放つ事が出来そうだ。
「この肉食魚の血に、他が寄って行ってくれればいいけど……」
 斬られた肉食魚は岸から離れたが、血に釣られた仲間達に追われることになった。
 その様子を見て、戦闘にも気を使わなければいけない空間はステラも気を使うが、仲間が居る事は心強いとトランプを展開させ、静柄と二人ゆっくりと進んでいく。

 何度目かの肉食魚を退けた所で。
「あ……」
「どうしたの?」
「いえ、ここから泳ぐしか無いみたいで……」
 次第に低くなる洞窟の中程に来た時、ステラは立ち止まった。
 ステラの目の前には、一際大きな水晶の群生。それに行く手を阻まれ、迂回しようにもこれ以上先は天井が低すぎる。
「ここからは泳ぐしかないわね……よいしょ」
 と、静柄は水の中へ入り、
「しかたないね。よし!」
 と、ステラもトランプを片付け静柄の後に続く。
 水の中では、肉食魚が数匹待ち構えていた。
 ステラと静柄はアイコンタクトを取りながら、襲い来る敵を返り討ちにしていく。
 静柄は寄って来るものを居合で、ステラは取り逃したものをShuffle timeで退けながら少しづつ目的地に向かっていた。

 一方入り口に戻り残りのメンバーはというと……
「んんん~、にぃなちゃんでも齧られたらヤバいね☆……どうしよう、かなぁ……あ、そーだ!おびき寄せ作戦だ!」
 ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)はイイコトを思いついたようにいそいそと荷物を漁る。
「確か、ここに……あったはず……あ!み~っけ☆」
 と、にぃなちゃんデバイスから取り出したのはインスタントの芋煮袋。
 それを、行き先から遠い所に投げてスチームリピーターで打ち抜けば、美味しそうな味噌味の芋煮がポチャポチャと水中に落ちていく。
 美味しい匂いに釣られたのかかなりの数の肉食魚が群がるのを尻目にニィナはヤンソンへ跨り、軽快にエンジン音を響かせる。
「よし!このまま一気に行っちゃうよ☆」
 呼吸が持てば、宇宙すら駆けるバイクは水中など難なく駆けるだろうが、念の為とニィナはゴッドスピードライドで更に速く駆け抜ける。

 ニィナがゴソゴソしていた隣では、エダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)とリィン・エンペリウス(もふもふ大好きグルメ妖狐・f01308)が泳ぐ準備をしていた。
「ここに住むのが肉食魚じゃなければ……ねぇ」
「しかたないよ、それにしても……あの種類は料理しても美味しくなかったはずだよ」
 料理が好きなリィンがそう伝えると
「なら、あまり倒さない方向で行こうかな……」
 と言いながらエダは水に向かうが、
「あ、少し待って下さい」
 と、リィンに呼び止められるエダ。
 エダが立ち止まるのを見たリィンは、獣奏器を取り出して楽器演奏で肉食魚を呼び出そうとする。
「ソレが、動物と話すってやつかい?」
 と興味深げに様子を見守る。
(……ボク達はここを通りたいだけなんd……ーーお腹空いた!ーー……うん。お腹空いたんだね、何かあげるかr……--お腹空いた!--……)
 暫く演奏をしながら話をしていた様子のリィンは、疲れた顔で首を振り頭痛を堪えるように額に手を当てながら、
「この子達お腹すいたしか言わない……」
「そ、それは……お疲れ様?」
 会話の内容がその一言で想像できてしまったエダは、リィンに労いの言葉を掛け、水面を見つめ
「なら、このままで行くしかないね……」
「そうですね、あ、少し待って下さい」
 そう言うとリィンは何処からともなく手作りジャーキーを取り出してパクリと食べ始める。フードファイト・ワイルドモード、戦闘中に食べた【肉】の量と質に応じて【全身の細胞が活性化し】、戦闘力が増加するといった効果がある。
「ふう、それじゃあ行きましょう」
「へえぇ、身体強化かい?」
 格闘術に身を置くエダはその効果を的確に見抜く。
「そんなところだよ。ボクも攻撃に回るから、お互いに気をつけながら行こう」
 話しながらも警戒を解かずに二人は水の中に入っていくと、こちらに向かう肉食魚の姿が見え、エダは己が拳を、リィンは愛用の火狐印の調理包丁を構えた瞬間……
(ごはんだぁぁぁ!!!)
 くるりと進行方向を変える肉食魚。何事かとそちらに視線をやれば、何かに群がる姿が……そう、ニィナの撒いた餌に群がったのである。
 そうとは知らない二人は、つかの間呆けた後、今のうちと進行方向へ泳いで行く。

 無理をせずお互いに周囲を確認しながら息継ぎをし、後半分といった所で、餌に釣られなかった肉食魚が待ち構えていた。
 グルグルと二人の周りを泳ぎながら噛み付くタイミングを計り……一斉に襲い掛かってきた。
「やっぱりくるか。しかたないね。くらえ必殺!聖拳突きぃっ!」
 エダが繰り出したのは必殺聖拳突き(ヒッサツセイケンヅキ)。単純で重い【祈りを込めた拳】の一撃を叩きつける技。周辺の地形をも破壊するほどの威力は、エダに向かってくる敵の殆どを近づける事無く退ける。
 一方のリィンも包丁を使い近づく肉食魚を文字通り捌いていく。
 しかし、アドバンテージは向こうにある。水中という動きが制限される空間は僅かな隙を生み出す。
「リィン!あぶないっ!!」
 エダがそれに気がついた時、肉食魚の一匹がリィンの目前に迫っていた。
 気が付いたリィンも慌てて武器を振るうが、それより速く噛み付こうとする肉食魚の姿。
 リィンも噛まれる事を覚悟したとき ……--どぉぉん!!
 目の前に居た肉食魚が吹き飛ばされた。
 何が起きたのか呆然と確認すると、猛スピードで駆け抜けるバイクの姿。
 そう、ニィナがリピーターを撃ったのだ。
 にぃっと二人に笑いかけながら、
「にぃなちゃん参上☆大丈夫そうだね♪先いっくよ~」
 と二人と魚を置き去りに、ニィナが駆け抜けて行った。
「……とりあえず、助かりました?……あ、もう居ない……」
 リィンが呟くと、エダも驚きながら頷き、
「そうみたい……魚達が警戒したのか動きが止まったから、今のうちに急ごうか」
 思わぬ助太刀に感謝しつつ、ニィナの後を追うようにして二人は泳いでいく。

 さて、最後の一人、江戸川・律(摩天楼の探求者・f03475)はというと。
 またもやペンギンを説得していた。
「王様、さっきは散々でしたよ……(何を言う。ちゃんと飛んだ!!頑張った!!)ちょ?!痛い!分かった、分かったから摘んで拗ねないで下さいよ……」
 痛ててと腕を擦りながら、洞窟内を見回す律と王様。飛べない鳥の王様(ペンギンエレジー)により自身の身長の2倍の【王冠を冠った巨大なペンギン】を召喚している律は、水中ならば王様のステージだ、これなら安心とばかりに、早く行こうと王様を見ると……
 じぃぃっと水中を見つめる王様の姿。
 その円らな瞳は水中を泳ぐ魚を追っている。
 リィンから動物会話の初歩を教わった律は、王様の言葉であれば察する事が出来る様になっていた。
(なあ、あれ、食べていいか?……ジュルリ……)
「いや?!いやいや?!何いってんのぉ?!今はお腹空いたとかなしですからね?」
(……数が減れば安心だろ……)
「あー……確かに、それはそうですが……」
(なら問題ないな、さ、行くぞ)
「だ~か~ら!勝手に行かないで下さいって!!少しだけですよ?減らしたら行きますからね!」
 そう言いながら律は王様の背中に乗ると、王様と一緒に水中に向かう。

 水中に入れば大勢の肉食魚が待ち構える。彼らは捕食者の顔をしながら律の前にやって来たが、水中に入った瞬間にキリリと引き締まった目付きの王様が居た。
 魚達は一瞬王様の瞳に怯んだが、餌が来たと悦び、一斉に襲い掛かる。
 そんな魚達を悠然とかわし、優雅に追い詰めていく王様。
 ペンギンのペンギンたる所以、滑るように泳ぐペンギンの速度に、泳ぎなれている彼らも逃げ回る事しかできない。
(やっぱり水中だとスムーズだよなぁ……さっきが無茶だったんだよなぁ……)
 遠い目になりながらも王様がお腹を膨らませるのを、念動力を使いながら補助していく律。
 その気配を感じ取ったのか、王様が律に合図を出す。
「ん?もういいのか?よし、じゃあ向かうか」
 と周りをみると……半数以上の数が減っていた。
(……いやいやいや、気のせい……気のせい。こいつ等は元から少なかった!)
 生態系に打撃を与えたかもしれないと冷や汗を流しながら、ばれなければ問題ないと見なかったことにした。
 無事にお腹いっぱいの王様と律も目的の場所へと向かう用意が整った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 水の洞窟を抜けたその先は……水晶が僅かに輝くだけの空間。
 視界が悪く、洞窟内が辛うじて判別出来る程度。
 その暗闇の中にゆらりと揺らぐ影一つ。

 漆黒の身体に青白く光る角、歩くたびに足元には水晶の華が咲き、体格は大柄な鹿に酷似している。その生き物の鼓動に合わせるように体表に浮かび上がる紋様と光る角、身体に生える植物がその生き物の全貌を見せる。
 ヒューレイオン。そう名付けられた獣は、穏やかな外見に似合わない獰猛さを秘めている。

 彼のものは気付いていた。
 己が領域に入り込む者達の存在を。
 生きるか死ぬか、生存を掛けた野生に生まれたものの宿命を。

 勝利を勝ち得、暖かな光を臨む者は果たしてどちらか。
 勝負は今、始まる。
トゥリース・リグル
アドリブ・連携歓迎。

やれやれ、これは面倒ですね。

【スカイステッパー】と【ジャンプ】で相手の上を取るように移動。
【錬成カミヤドリ】で複製したダガーで【先制攻撃】を行います。
その後は複製ダガーを操作、自身と合わせて【2回攻撃】を行い、基本的にヒット&アウェイを心がけ蹄の射程内に入らないようにします。
相手から攻撃が飛んできたら【見切り】+【第六感】で回避を優先、状況に応じて【ジャンプ】や【スライディング】、【ダッシュ】を用いて効率的に回避を試みます。

植物人間に対しては【範囲攻撃】で複数の植物人間を倒すようにし合体による強化を防いでいく。

連携時はエネミーの回避コースを潰すように複製ダガーを操作。


水心子・静柄
崖を飛んだり水中を潜ったりと色々大変だったけど、ようやくお目当ての敵とご対面ね。私の手入れとかあるから悪いけどさっさと倒させてもらうわ。

4足の獣って、あまり足の可動範囲は広くないのよね、ただ脚力は凄いから正面や後ろは危険ね。蹄の一撃に気をつけるなら、正面や後ろにいないで常に側面に回り込むようにして戦うわね。あとは蹄で攻撃しようとすると前後どちらかの足が地面から離れるから、グラウンドクラッシャーで地面に亀裂等を入れて蹄での攻撃をし難くしてみるわ。まぁやり過ぎてもアレだから、こちらが不利にならない程度に抑えておくわ。



「やれやれ、これは面倒ですね」
 暗闇に眼を凝らし、相手の動きを注意深く見つめるのはトゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)だ。
 彼女は、自分自身であるダガーを構えながら空間を把握していく。
 デコボコの地形と所々に生える水晶が厄介そうだが、動く分には問題ないと判断すると、錬成カミヤドリで複数個のダガーの複製を召還し駆ける。
 先んじての一撃、ダガーを相手に投げつけるが余裕を持って弾かれる。
 相手を見下したような様子のヒューレイオンは、トゥリースに向かい単純な突撃を繰り出す。
 頭を下げ、角を剥き出しにした態勢で向かってくるヒューレイオン。
「よっと!」
 その頭上を軽々と飛び越えるトゥリース。
 飛び越えながらその背にダガーを投げつけ、動きが止まった隙に、去り際のもう一撃をお見舞い。
 そして深追いする事無く、冷静にその場から離れる。
「あなたの攻撃、当らなければ問題ないでしょう」
 交戦的な笑みを浮かべながら、ヒューレイオンと対峙するトゥリース。
 思わぬ攻撃と痛みに、屈強な四肢を暴れさせながら頭をふり、今一度相手を睨みつけるヒューレイオン。

 だが、彼が相手をするのは一人ではない。

 トゥリースの傍らでは、水心子・静柄(剣の舞姫・f05492)も周りの様子を観察していた。
「……4足の獣って、あまり足の可動範囲は広くないのよね、ただ脚力は凄いから正面や後ろは危険なのよね」
 暴れるヒューレイオンを見ながら静柄は考える、どうすればあの蹄を抑えられるのか。
 ここはやはり、足場を崩すほうが良いのだろうが、やり過ぎれば洞窟の崩壊にも繋がるかもしれない為、加減が難しい。
「崖を飛んだり、水中を潜ったりと色々大変だったわ。私の手入れとかあるから悪いけどさっさと倒させてもらうわ」
 ヒューレイオンの正面に立たないように気をつけながら、静柄はグラウンドクラッシャーで単純で重い【武器】の一撃を、相手とその足元に打ち付けていく。
 
 多少足場の破壊は出来たものの、ヒューレイオンは問題無さそうに行動する。
 そして、標的と判断したのは静柄。
 グラウンドクラッシャーを打ち付けたあとの僅かな隙。そこを狙い、前足を振り上げながら、静柄に振り向くようにして、強靭な蹄を踏み降ろす。
「っつ?!」
 いきなりの事で反応が遅れ、回避は難しく、蹄による踏み抜きを食らってしまう。
 ヒューレイオンのディープフォレスト・アベンジャー。
 【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ技。
 静柄は、蹄の一撃を食らった後に来る攻撃は避けれないと判断し、自在に伸びる角の機動を読み致命傷を避ける事しか出来なかった。

 相手に一撃を入れることの出来たヒューレイオンは、嬉しそうに嘶いている。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ステラ・チェスロック
あら、あなた力自慢かしら?それならご愁傷様、この戦い(ゲーム)はアタシのものよ。

掌握者の見えざる手で制限を宣言しながら攻撃するわ。なるべく離れて、ヒューレイオンがアタシに気がつく前に、【早業】で!

命中してヒューレイオンとPOWを交換したら、POWを使った攻撃をする人に掌握者の優雅な手でPOWを渡してあげる。ついでにアタシは摩擦抵抗を減らして滑りやすくして、その力を利用して攻撃を避けるわ。みんな、いつもより力が出てびっくりするかしら?

それから【鼓舞】でみんなを激励していっぱい頑張れる様にしてみましょ。勝利はすぐそこよ!頑張って!


エダ・サルファー
なるほどなるほど、お前さんが打ち倒すべき敵なんだな。
特段の恨みやなんかがあるわけじゃないけど、猟兵として戦いを挑ませてもらうよ。

さてさて、やっぱりあの蹄での攻撃がキツそうだし、相手の足の動きをよく見て攻撃を仕掛けていくよ。
私は基本的に接近戦しか出来ないので、距離は一気に詰めていこうと思う。
うまいこと近づけたなら、やっぱり足の動きによく注意しつつ、拳で殴っていくよ。
隙があれば、胴体部か後ろ足に組み付いて、そのまま聖職者式脳天逆落としでぶん投げたいところ。

……しかしこいつ、あの肉食魚だらけの水没洞窟ぬけて、あの渓谷飛び越えなきゃ外出られないんだよねぇ。
……仮にここで倒されなくても、大変そうだなぁ。


ニィナ・アンエノン
わ、きれいな鹿さん……うーん、ちょっと違う?
まぁきれいでも倒しちゃわないといけないんだけどね。
うわ、味方が蹴られたり角で突かれたりしてる……
痛そうだし、狩りと言ったらやっぱりこれ!
にぃなちゃんは銃で遠くから撃っちゃうよ☆
バイクには【騎乗】したままだけど、【スナイパー】的にはこの距離なら十分当てられる、はず!
怯ませるなり怒らせるなり出来たら隙も見つけられるはず、そうなったら【ダッシュ】で近付いてゴッドスピードライド!
その角とバイクのどっちが硬いか勝負だ!
追跡してくるチャイルド・オブ・エコーズには気付けるかな?
気付けばそっちを優先して撃っちゃうんだけど。
五感を共有してるならきっと痛いぞー!


江戸川・律
(……)
どうしました?王様?食べ過ぎてお腹が痛いんですか?
(見えない…満足したし我帰る。)
えっ?ちょっ!?王様勝手に…
(円らな瞳をしばしばさせて不服そうに魔導書に消え)
何で急に?…あぁ、なるほど鳥目だからか

◆どうする?
確かにこう暗いと
素早い相手に立ち回るのはホントやり辛い

はぁ、、、
じゃぁ少し真面目にやりますか

徐に懐から「ルーンを記したカード」を取出し
宙に撒き起動コマンドを口にすれば
カードが一気に真っ赤に燃え上がり拳大の火球に変化
自分を中心に念動力で空中に漂わせ周辺を明るく照らします

さてさて、準備完了みんなのサポートに回るかな
(110個の火球を操り、攻撃の起点を潰して回ります)

アドリブ共闘歓迎


アイ・エイド
【召喚魔法発動】来いッ!
コレは…まさかピヨ吉なのか!?
一章で一緒に殺気出してた
例のひよこが召喚魔法によりダガー化したようだ!
黄色くて可愛らしいファンシーなダガーだが、あの殺気が鋭い刃に変化したようだな…!

ヒューレイオンお前…
こんな可愛らしいの攻撃すんのか!?
まァ、オレはお前を容赦なく攻撃するがなァ!!第六感で半透明の妖精の位置を何となくでも把握する。邪魔になるようなら、ヒューレイオンに警戒しつつ重い殺気を放ち怯んだところを斬る!

持ち前のスピードで攻撃は可能な限り回避!難しいければ【メンタリティ・ギャンビット】で攻撃を反撃狙いで受けとめる!

【アドリブ・絡み大歓迎!】



 嘶くヒューレイオンを見ながら、ステラ・チェスロック(リトル・ディーラー・f12374)は手持ちのカードを慎重に切る。
 ディーラーである彼女は、勝負の流れを慎重にそれでいて的確に読んでいく。
『“この戦い(ゲーム)の間だけ”、全てはアタシの思うままよ!』
 掌握者の見えざる手(エクスチェンジディール・パワー)……【その戦闘中のみという制限を宣言すること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【自身と対象のPOWを交換する影の手】で攻撃する技。
 ヒューレイオンに気が付かれる前に、相手との能力地を早業で交換する。
「あなたは、力自慢かしら?それならご愁傷様、この戦い(ゲーム)はアタシのものよ」
 不敵に笑うステラの技が当り、ヒューレイオンの能力が交換された。
「?!?!*%8#!」
 何が起きたのか分からなかったヒューレイオンは、ジタバタとその場で暴れるが、暴れている蹄の音が先ほどと違い、明らかに軽い。
 掌握者の見えざる手が成功したのを確認したステラは、交換した能力を他の仲間達に、少しずつ分けることにした。
 そして、ステラ自身は全員の応援に回る。

「わ、きれいな鹿さん……うーん、ちょっと違う?」
 と、ニィナ・アンエノン(スチームライダー・f03174)は緊張感漂う場にマイペースな感想を述べる。
「ん~ちょっと暗いなぁ……」
 スチームリピーターを構えながら照準を計るも、暗闇のため見えずらい。
 また、向こうも動き回るため僅かな隙が欲しい所。
「ん~もう少しチャンス待とうかな?」
 愛車ヤンソンに跨ったまま、ヒューレイオンの攻撃が当らない位置で出番を待つ。

 ニィナの隣では相変わらず、江戸川・律(摩天楼の探求者・f03475)とペンギンの王様が言い荒そ……ん?様子が可笑しい。
(……)
「どうしました?王様?食べ過ぎてお腹が痛いんですか?」
(見えない……満足したし我帰る。)
「えっ?ちょっ!?王様勝手に……」
 円らな瞳をしばしばさせて、不服そうに魔導書に消える王様。
(何で急に?……あぁ、なるほど鳥目だからか……)
 あっという間に王様が帰ってしまった律は、その理由に思い至り納得。
 溜息一つ吐き出した後に、素早く状況を判断し、暗闇というバット要素を無くす為にルーンを記したカードを取り出す。
「周りを明るくする、ニィナ……狙えるか?」
 と、チャンスを待つニィナに語りかける律。
「ふふふ、チャンスがあれば、にぃなちゃんに出来ない事は無いのだよ☆」
 と、照準から眼を離さずに応えるニィナ。
「なら、俺が周囲を明るくする。そこを狙ってくれ」
 そう告げると、律はコマンドを紡ぎ出す。
『力ある文字よ!オレの敵を焼き払え!!』
 緋の射手座(ルーンアロー)……レベル×5本の【炎】属性の【ルーン魔術の矢】を放つ技は、110個の火球となり律の指揮の元、変幻自在に動き回る。
「わぁ~☆うんうん。これなら狙いやすいね☆」
 ニィナはリピーターを数発打ち込み、ヒューレイオンが僅かに怯んだ隙に
「じゃぁ☆いってきま~す!」
「は?……え、ちょっと?!」
 驚き、引きとめる律をその場に残してグルンと反転し、何も無い空間に向かっていく。
 ニィナのゴッドスピードライド……自身が装備する【宇宙バイク】を変形させ騎乗する事で、自身の移動速度と戦闘力を増強しながら進む ニィナ。
「おい!そっちはなにもな……」
ーードゴンーー
 引きとめる律の耳が鈍い衝突音を捉えた。
 ニィナの向かった先には、ヒューレイオンがひっそりと潜ませていたチャイルド・オブ・エコーズが居たのだ。
 チャイルド・オブ・エコーズ……【木霊を返す半透明の妖精】を召喚、それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する技。
 このお陰で、暗闇の中相手の位置を知っていたヒューレイオン。
 その存在に気が付いたニィナは、ひと先ずその情報源を断つことに成功した。
「……あれ?思ったより威力でちゃった?」
 一撃で消滅させることの出来たニィナは、その威力に驚く。
 それはステラの、能力の受け渡しが効いているに他ならない。
「うわ、気が付かなかった……」
 と、律は改めて周囲を見渡す。
 明るくなった空間はかなり見やすく、相手との距離も測り易くなった。

 チャイルド・オブ・エコーズが壊されたヒューレイオンは、苛立ちながら嘶き、猟兵達に近づこうとするも、火球が邪魔で近づけない。
 どのため、その場で魔力を展開させ、サモン・グリーントループを発動。
 レベル×1体の【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を、召喚。合体させると数字が合計され強っていく植物人間が多数召還される。
 召還されるそばから火球に焼かれるものも居たが、火球と共に消えるため、ゆっくりと数を増やしている。
 ヒューレイオンの傍には数字を増やした数体の植物人間が立たずむ。

 暗闇の中で相手に近づく手段を講じていたエダ・サルファー(格闘聖職者・f05398)とアイ・エイド(腐れ人狼時々2頭身ひよこ・f10621)は、律の火球のお陰で視界が広がり前線に立つ事が出来た。
「いや、この明るさは助かるね。さて、お前さんが打ち倒すべき敵なんだな。特段の恨みやなんかがあるわけじゃないけど、猟兵として戦いを挑ませてもらうよ。」
 と、ファイティングポーズを取りながらヒューレイオンへ対峙する。
「オレは暗闇でも問題なかったんだぜ?……だが、まあ。数を減らせるならいいんじゃねぇの?」
 注意深く植物人間を観察しながら、強気な発言のアイ。
「さて、オレ一人でも何とかなるだろうが、あの植物が邪魔だな」
 と、アイが話しかければ、
「そうだね、近づければ、聖職者式脳天逆落としが出来るんだけどね」
 と、近づく方法を考えるエダ。
 聖職者式脳天逆落とし(セイショクシャシキバックドロップ)……【祈りを込めた跳躍式バックドロップ】による超高速かつ大威力の一撃を放つ技。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えないという弱点もある。
 技の名前から大体を想像したアイは、
「それならオレが速さであいつ等を退かしてやるじゃん!」
 と、武器を構えるようにし言葉を。
『魔法は苦手なんだが…来いッ!!』
 召喚魔法(サモン・エラー)……いま戦っている対象に有効な【製作物が召喚事故により変形した状態の物】が召喚される。形状が毎回変わる為、使い方を理解できれば強いが、扱いが難しい。
 そして、召還されたのは……黄色い刀身のダガー、柄には何処かで見たような鋭い瞳の様なものが……あれ、これは、先ほど一緒に睨んでいたあのひよこではないですか?
 何故ひよこが刃物に?
「コレは…まさか……ピヨ吉なのか!?」
 なんと召還者もビックリのピヨ吉くん、刃物に変わってもその殺気は健在ですね!
「なんともまあ、か、可愛らしい……?」
 見た目は可愛いのに、殺気が凄いせいでコメントに困るエダさん。
 とりあえず、落ち着いて当初の目的を達成しましょう、そうしましょう。
「だがこれで、勝つ!」
 気を取り直したアイも、ピヨ吉ダガーを構えながらヒューレイオンに対峙する。

 エダの進路に居る植物人間を、アイが的確に排除し間に合わずともエダが打ち沈めていき、遠くから近づこうとするものは、ピヨ吉の殺気で近づけず火球に飲まれていく。
 味方のサポートにより、大した障害もなく二人はヒューレイオンと植物人間も傍に辿り着く。
「さあ、ヒューレイオン!オレが相手だぜ!!」
 と軽快に駆けて行くアイの前に、3と書かれた植物人間が踊り出る。
「一体じゃ話になんねぇぜ!……ほら、アンタも来いよ!」
 アイの殺気とピヨ吉の殺気を合わせ、身体が動かなくなるほどの重たい殺気を放つと、警戒度を上げたのかもう一体の植物人間もアイに向かい攻撃をしてくる。
 その攻撃を紙一重でかわしながら、植物人間をヒューレイオンから離して行く。
 その様子を見送るエダは、怒るヒューレイオンと最後の戦闘を始める。

 一進一退、攻撃をかわし、いなし、隙を見て拳による攻撃を繰り広げていくエダ。
 一方のヒューレイオンは能力を減らされ、五感を共有していた妖精へのこう威力のダメージ、また僅かではあるが足場が破壊されているせいで、本来の動きが出せなくなっていた。
 しかし、油断は禁物である。
 未だ、その蹄は強靭である事にかわりはない。
 なかなかエダに攻撃が当らないヒューレイオンは、苛立ち、冷静な判断力を無くしていた。
 対してエダは、焦る事無く冷静に状況を判断し、的確にダメージを与えていく。
 そして、その時はやってくる。
 苛立ちに任せたヒューレイオンは、大きく嘶きながら蹄を地面に打ちつけようと体勢を変えた。
「今!」
 エダは、瞬時にヒューレイオンの背後へ回り、太く逞しい後ろ足へ組み付く。
 そして、嘶く相手の勢いも利用しての、聖職者式脳天逆落としをお見舞いする。
『掴んだ!決める!』
 掴み叫んだ勢いは、そのままヒューレイオンの巨体を僅かに浮かせながら、勢いよく背面へと沈んでいく。
 そして、その勢いはヒューレイオンの見事な角を砕き、巨体そのものを地面に沈めた。

 角を砕かれ地に沈む巨躯は、動く事無く横たわる。
「終わったか」
 植物人間を倒し終わったアイもエダの元へとやって来た。
「そちらも無事で何よりだよ」
 消滅していくヒューレイオンを見ながら、ふと思い出したように話すエダ。
「そういえばさ」
「ん?」
「いや、……こいつ、あの肉食魚だらけの水没洞窟ぬけて、あの渓谷飛び越えなきゃ外出られないんだよねぇ。……仮にここで倒されなくても、大変そうだなぁって」
「ああ、そうだな。まあ、一件落着でいいんじゃねぇの?」
 エダの話を聞いたアイは、苦笑しながらも今回の依頼の終わりを告げる。

 その場に居る猟兵達に、依頼達成を告げた彼等は忘れていた。
 帰る為には、また、あの道を通らねばならないことを……

ーー fin --

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日


挿絵イラスト