首狩り辺境伯進軍~紋章の秘密と犠牲~
人々が虐げられ尊厳を踏みにじられる過酷な世界、このダークセイヴァーの辺境にて地平線の彼方から連なる黒い影が規則的に揺れていた。
影は自らの身動きを封じるかのように張り付け柱を背負って俯き、不格好なボロ布を深く被っているため素顔が定かではない。
そして彼らは自らの贖罪のためだと言わんばかりに、呻き声一つ上げず重い十字架を左右に傾け歩き続けていた。
「ふふふ……良い子達。本当に面白い玩具をよこしたものだ。」
最後尾の影たちが担ぐ椅子に座した首狩り辺境伯、またの名を『赤の処刑人』がそう呟く。
「あんな辺境では既に私へ逆らう人間共はおらず刺激が足らなかったのだ。子の首を落としても諦めの表情で頭を垂らし差し出すような壊れた玩具だけでは、やはりな。しかし……」
彼女が言葉を繋ぎ、首に下げた『紋章の刻まれている宝石』を大事そうに指先で弄ると口を開く。
「コレをよこしたのが言うには生意気な人間がまだいるらしいじゃないか。生きることに執着するゴミ共が上げる断末魔を久しく聞いていないし楽しみだねぇ……」
赤の処刑人はこれから起こる阿鼻叫喚の喧騒を想像し、恍惚としたまま唇を舐める。
そう、彼女が進軍しているのは『ヴァンパイアの支配が及ばない人類の活動圏』の噂を聞きつけ潰そうとするためだったのだ。
この無数の軍勢が乗り込めば束の間の安息を破壊され、間違いなく血の海へ人民が沈んでいくだろう。
「それに、この玩具の具合も確かめる良い機会だね。鳴かなくなったゴミ共に試したら面白い変化を遂げたんだから。」
彼女が弄っていた『紋章の刻まれている宝石』が月光に反射し、首狩り辺境伯を担いでいた影を照らしてボロ布の中が晒される。
しかしそこに人の姿はなく、青白い宝石結晶から赤く腫れあがったような醜い触手が幾本も無造作に生えていた。
さらに頭部と思われていた部位は既に落とされており、無機質な宝石結晶だけが地面に反射する月光を飲み込んでいたのだ。
実の所、彼らは辺境伯領にいた人間の成れの果て。
赤の処刑人によって宝石の力で死体を玩ばれた哀れな傀儡達なのである。
「さぁお行き。生意気な人間共はお前たちが捕えておくんだよ。私が首を落としやすいように、ね。」
「ってことになってるんだって!」
そういうと、グリモア猟兵の明石・真多子(軟体魔忍マダコ)が動画の停止ボタンを押す。百聞は一見に如かず、拙い説明より動画を見せたほうが楽な現代っ子だ。
「辺境伯にいた怖いお姉さんのせいで、ダークセイヴァーで平和に暮らそうとしている人達が狙われてるみたい!みんなを避難させる安全な場所は他にないし【まずは迎え撃つ準備をしないと】!!」
六本の腕をしっちゃかめっちゃか振り回し、なんとか身振り手振りで状況を説明する。
「最初は辺境伯の先兵達が物凄い沢山来るみたい!【触手で捕えようとしてくるから注意してね】!」
ピコンとアホ毛を伸ばし、緊張した様子を見せる。
「それと一番注意しなくちゃいけないのは辺境伯!見た目はただの怖いお姉さんだけど、なんだか【怪しい宝石で滅茶苦茶パワーアップしてる】みたい!すごい自信だったし油断してると痛い目を見るかも!?でも、みんななら大丈夫だって信じてるよ!!」
そういうと、真多子はすぐさまキミ達をグリモアで転送し始めた。
ペプシ派
少し余裕が出来てきたのでダークセイヴァーで暗めな話を出してみました。
とても許せない敵、『赤の処刑人』をドカンと蹴散らして少しでもこの世界を明るくしてあげましょう!
【一章】辺境伯軍の迎撃準備です。ここで皆さんには大量に襲い来る先兵と十分に戦えるように策を講じたり、安心して戦うため村を守るバリケードを作ったりしてもらいます。
勿論戦闘はまだ出来ませんが、あまり出ていない敵の情報収集のために接近することも有効かもしれません。
【二章】いよいよ大量の先兵が襲ってきます。敵は皆さんを怪しい触手等で捕えようとしてきますので、受け身になると危ないかもしれません。
元人間の死体ですが、傀儡から解放してあげることが慈悲でしょうから遠慮なく蹴散らしましょう。
【三章】今回の黒幕です。首から下げた『紋章の刻まれている宝石』の力でとても強くなっています。
皆さんが更なる力を発揮して正攻法で突破しても良いですし、怪しい部分を狙ってみるのも良いかもしれません。
ともかくここで負ければ多くの犠牲が出るので、全力でやっつけましょう!
第1章 冒険
『辺境伯迎撃準備』
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POW : 襲撃を行うポイントに移動し、攻撃の為の準備を整える
SPD : 進軍する辺境伯の偵察を行い、事前に可能な限り情報を得る
WIZ : 進路上の村の村びとなど、戦場に巻き込まれそうな一般人の避難を行う
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
トゥリース・リグル
連携アドリブ歓迎。
僕には、僕にしかできないことをするとしますかね。
…最近、戦闘ばかりでしたし、腕が鈍ってなければよいのですが。
【超速七変化】により、多機能ロングコート(ロングコヲト相当)の初期技能である【闇に紛れる】を強化し夜闇に溶け込む。
その上で更に【迷彩】を施して周囲の環境に溶け込み、【目立たない】ように体制を低くし【ダッシュ+忍び足】で足音を殺しつつ軍勢に接近。
【暗視】で目を凝らして敵勢の【情報収集】をしていきます。
更に【聞き耳】で有益な情報が無いか聞き取ってみます。
その間も【第六感】で周囲の警戒はしておきます。
月明かりが闇夜を照らすあぜ道の端。天から降りる月明かりより幾分か眩しい淡い光に包まれて一人の猟兵が地に足を着けた。
その猟兵は凶暴な魔物をねじ伏せるような屈強な戦士ではなく、まだまだ幼さを残す年頃に見え、少年であれば喉仏が現れ変声期を迎える頃合いだろう。
さらに短髪で中性的な顔立ちも相まって、薄暗い夜道では男女の判断が全くつかなかった。
「(すん)……良かった血の匂いはまだないみたいですね。かといって時間もありませんし、今の内に、僕には僕にしかできないことをするとしますかね。」
年頃の割りに大人びて気持ち低めの声色のせいか、より一層中性的な印象を強調するトゥリース・リグル(刃を為すモノ・f00464)。
彼女は月夜で霞むあぜ道の先を見据えてそうこぼすと、腰巻にしていた上着に手を掛けて周囲に目撃者や気配がないか聞き耳を立てる。
これからすることは誰かに知られたり見られるわけにはいかない。
技術とは目と耳で盗み、手で覚えるもの。ヤドリガミである彼女の元持ち主、怪盗ファルコンガールから学んだ、もとい盗み覚えたことだ。
「……最近、戦闘ばかりでしたし、腕が鈍ってなければよいのですが。」
彼女が腰巻に掛けた手に神経を集中させると、音も無く一瞬で動かし、塵一つ舞わせず多機能ロングコートに身を包み闇夜に紛れた。
リグルは技術を無暗にひけらかすことを警戒していた。しかしこのあまりにも短時間で見事な所作を気付ける者はほぼいないだろうということが、類稀なる才能の持ち主達の元で長年を過ごしたが故に彼女自身は気が付いていなかったのかもしれない。
闇に溶けた彼女はスッとあぜ道を外れると、まばらに立ち並ぶ雑木林の中を縫うようにするりと抜けて行く。
それは夜目の中とはいえ、リグルにとっては繁華街の人混みをぶつかることなく駆けるより容易なことだった。
そうしてしばらく颯爽と走り続けると、村に近付いて来る辺境伯軍の先兵の姿を捉えた。
「もうこんなところに……!ですが、標的の情報を素早く盗み見るのは僕の専売特許です。品定めさせてもらいますよ……!」
リグルが月夜も通さない鬱蒼とした木立の隙間から目を凝らすと、先兵達が明らかに人間では……いや生物ですらないことに気が付く。
身体こそボロ布で覆われてはいるが、内で月光に反射する青白い宝石結晶によって歪に形作られたその身から生気は感じられない。
ヤドリガミであるリグルだからこそ、あの冷たい結晶体に生命は宿っていないとハッキリ感じられたのだ。
「……っ!!」
そして、水晶の奥に眠るあるものを見つけてしまった。
それを知覚した瞬間、彼女の背筋に悪寒が走り嫌悪感が込み上げて来る。
「人間の死体……こんなの惨すぎます……」
リグルが眼を背けようとしたとき、内に閉じ込められた人間の死体の首元で、怪しく光るブローチのようなものを目聡く見逃さなかった。
シーフとしての勘か、よく観察すると触手のようなものが水晶を突き抜け、内側の人間の死体へと繋がっていた。
それは本体の宝石結晶の身体から生える腫れあがったような触手を細くしたようにも見え、明らかな関連性が察せられる。
「もしかしたら、あのブローチが傀儡を作り出した元凶なんでしょうか……?」
その疑問は他の先兵を観察しても同様のブローチを下げていることから、ほぼ確信へと至る。
「つまりあれを狙えばかなり優位に立ちまわれますね。有益な情報も掴めましたし一度下がりましょう。深追いは三流のやることですからね。」
そう呟くと、リグルは再び闇に溶けていくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
護堂・結城
辺境伯の紋章か、何が出てくるにせよやる事は変わらん
命を弄ぶ外道、殺すべし
【POW】
俺は【情報収集】しよう、指定UCを発動し闇を纏わせた狐の群れを召喚【闇に紛れる・迷彩】だ
人海戦術ならぬ狐海戦術でいくぞ【動物使い・動物と話す】で狐達と連携を取る
優先順位は
1.【忍び足】で【存在感】を極力【目立たない】ようにしながら敵戦力の【偵察】
2.【世界知識・戦闘知識】で【地形の利用】、使えそうなところを探す
3.【時間稼ぎ・罠使い】の技能を利用しながら木・土の属性をまとった狐に指示を出し罠を仕掛ける【属性攻撃】
「外道をさせないために俺達がいるんだ、狐さん舐めんなよ」
「それじゃお前ら、全力で目にもの見せてやるぞ」
月明かりが闇夜を照らすあぜ道の端。天から降りる月明かりより幾分か眩しい淡い光に包まれて一人の猟兵が地に足を着けた。
中肉中背で少し高めの身長を持つその青年は、唯一異様に目を引く9つの大きな房に分かれた尾を不機嫌そうに逆立てていた。
その尾先は薄暗く陰鬱なこの世界を塗り替えたいと言わんばかりに、それぞれ色彩豊かな色分けが為されており尚更と目を引いた。
しかし、実際にこの場で彼を注目する者はいない。この場には彼一人であり、微かに残る痕跡から先客は既に発っているようだった。
「俺一人、か。当然だな、外道が平気な顔してのさばるなんて、俺だって許せない気持ちは同じだ。一秒だって無駄に出来ないだろうさ。」
辺境伯に対する怒気を込めて護堂・結城(雪見九尾・f00944)が言い放つと、眉間に皺を寄せて暗闇の先を睨み付ける。
「しかし辺境伯の紋章か、一体何が出てくるにせよやる事は依然変わらん!命を弄ぶ外道、殺すべし!!」
結城は闇の中に木霊を残すと、人知れずその場を離れ暗闇へと溶け込んだ。
「さて敵は非道にも数で蹂躙する気だ。俺の方も人手はいくらあっても困ることはないだろう。」
雑木林の暗がりを渡り抜けながら、時間を無駄にできないと結城が策を講じる。
先人は既に発ち、結城単独での諜報活動。しかし、足りなければ足せば良いのだと人海戦術によるパワープレイを選択したようだ。
そして脚を止めることなく一瞬だけ眼を閉じ、九尾に力を込めると召喚術式を頭の中に浮かべ呼び掛けた。
「悪意ある者我等を恐れよ、我等は勝利を謳う者なり!」
すると彼の言葉に応えるように、獣の4つ脚で駆ける足音が次々と後ろに続き散開する。
鳴き声こそ上げず、鬱蒼とした木立の中では姿が判明しないが、妖狐たる結城の眷属である狐達が駆け付けたのだ。
彼らは一尾であっても妖力を持つ精鋭であり、さらにその数はゆうに400を超える大軍勢である。
「妖力こそ束になっても俺にはまだまだ届かないが、一尾だからこそ普通の狐と見分けはつかないんだ。頼んだぞお前ら!」
屋外において、夜行性で産まれながらのハンターである彼らほどこの闇夜に適した追跡者はいないだろう。
そして流石というべきか、あっという間に辺境伯軍の先兵の位置が判明した。
「もうこんな近くにまで迫っていたか……」
あぜ道で磔柱を揺らしながら先兵達が歩く様子を暗がりから結城が睨む。
彼らも元は人間と聞いていたが、今では命を刈り取る側の傀儡であると調べが付いている。
「つまり今では外道の手先、いや道具ってことだ。胸糞悪い話だな。だが絶対にそうはならないぜ。なぜなら外道をさせないために俺達がいるんだ!狐さん舐めんなよ!!」
一尾の狐を放った際に、結城は他にも策を立てていた。
このあぜ道の下には水脈があることを狐達が既に調べている。狐達の磁気感覚で地面の下から探り当てたのだ。
「それじゃお前ら、全力で目にもの見せてやるぞ!!」
結城の音頭と共に狐達が一斉に水脈へ向けて妖力を送ると、その上に続くあぜ道が地盤沈下し先兵達の脚を止めた。
「これで村に着くの遅らせることが出来たな。外道の思い通りには絶対にさせないぜ!」
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ダークセイヴァーで準備段階だとボケるスキがあんまり無いのが困り物でござる
進行地点の村の前、なるべく開けた場所が良いでござるね
ここに逆茂木をおっ立てて足止め用のバリケードを作りますぞ
頑張って二列は作りたいでござるね!拙者に敵を一網打尽にするいい考えがある
なお設置作業には近所の村人も【言いくるめ】て付き合ってもらう
この時ポイントは逆茂木を置く時一人分ぐらいなら通れそうな隙間を開けて置くこと、そして合間合間に地雷を仕込むんだ
そうすると隙間を抜けようとした間抜けの足を止めてくれますぞ
そして仕上げに逆茂木に油を塗布して準備完了でござるよ
後でこの暗いダークセイヴァーを明るく照らしてやるからな
月明かりが闇夜を照らすあぜ道の端。天から降りる月明かりより幾分か眩しい淡い光に包まれて一人の猟兵が地に足を着けた。
着けたのだが、直立で現れる他の猟兵達と異なり何故かポーズを取りながらである。
口角を上げてはいるが笑顔ではない無根拠に勝ち誇った所謂ドヤ顔の表情、下半身は直立90度の地に対し垂直で両脚を揃え、逆に上半身だけは器用に斜めへ傾け、そして右腕は肘を地面から水平に保った状態で親指を立てている。
この特定の者にはお馴染みの姿勢を保ち、眼だけを動かし周囲の反応を伺っていた。
「うーむ、どうもダークセイヴァーで準備段階だとボケるスキがあんまり無いのが困り物でござる。」
村の入り口に転移された彼、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)の掲げる👍サインは誰に向けられたものなのか。
そうして思った反応が返ってこないことを不服そうにしながら、エドゥアルトはヘルメットの下をポリポリと掻いている。
実際の反応は、彼が現れた際の不審な光を警戒して集まった村民から、謎のおっさんに対して唖然とした目線が集まっていたのであった。
もっとも、恐らくは特に意味は無いサインであるため、冷ややかな眼差しへの答えは返ってこないのであるが。
「しかし荒れた土地でござるな。やたらと殺風景で味気ないし、時代が時代ならサバゲ―場にされてますぞ。」
エドゥアルトは転送された村の入り口周囲を見渡し、その価値を見出そうと値踏みする。
現状暮らしていくのがやっとであった村民達にとって、防衛は二の次だったのだろう。いざとなれば村を捨てて逃げるつもりなのかもしれない。
「いやむしろ作るか……拙者専用のバトルフィールド……(ニカッ)!!」
何を言い出すのかと思えば、彼は突然不穏な言葉を発する。
それもやたらと良い笑顔でありながら眼は座っており、彼は本気である。
その笑顔をマスクのように顔へ貼りつけたまま、エドゥアルトは入り口に集まっていた村民のところへズイズイと迫り顔を近づける。
「ドゥフフフ!皆様御機嫌よう!……いやぁ良い村ですなぁ!ここまで発展するのにさぞ苦労なされたでござろう!が!実はこの後この平和な村に不幸にも悪者が攻めてきてしまうんですなぁ!いやぁ涙が零れてきますぞ!」
ねっとりと、芝居がかったように大仰な身振り手振りで村民を煽ると、エドゥアルトの気迫と謎の説得力から気押されて村民達はすっかりその気になってしまう。
エドゥアルトが目を細め舐めるように彼らの様子を観察していると、彼らの中からどうにか出来ないかどうにかしないと等と、防衛に前向きな言葉が出始める。
それを耳にした瞬間、エドゥアルトは目を光らせて、吊り上がった口角をさらに上げて白い歯を見せる。
「おぉっと、そういうことでしたら拙者に良い考えがありますぞ!」
彼はその言葉を皮切りに先導役を買って出て、この手付かずの荒れ地の魔改造計画を始めるのだった。
まずろくな資源もないことは村の経済状況から分かっている。
だからこそ彼は人的資源に眼を着けたのだ。
手始めに手分けして雑木林から木を伐り出し、粗く小枝を落としたらそのままやや傾けて逆さに地面へ突き立てて並べていく。即席の逆茂木だ。
やたらとかさばりそうな磔柱を背負っているならこれだけでも厄介だろう。
しかし、それだけでは終わらない。
所々にわざと隙間を開けて先兵達が通りたくなる道筋を作っておく。
そこに自前の地雷を埋め込んでおくのだ。
「ドゥフフフ良いですぞ!さぁて仕上げは逆茂木に油をぶっかけておくでござる!……(ボソッ)なぁに村は守るでござるよ、村は。後でこの暗いダークセイヴァーを明るく照らしてやるからなドゥフフフ!」
大成功
🔵🔵🔵
クロス・シュバルツ
連携、アドリブ可
どうやら最近、この辺りの状況が益々怪しくなってきたようですね
これがどういう事を意味しているのか、少々気になるところではありますが……
今やるべきは目の前の敵を倒し、村を守る事。それ意外は終わってから考えましょう
村を守るための準備を行う事に
それにしても、敵が歩行型で助かった。飛行だの地中移動でもされようものなら迎撃が難しい
バリケードを作る、塹壕を掘る、ついでに落とし穴も掘る等々で、敵が一度に通れる人数を減らす
一直線ではなくジグザグに作成する等で少しでも時間を稼げるように
流石に攻撃用の兵器を作成するのは難しいか
とはいえオブリビオン相手に然程効果があるとも思えないし、仕方ないか
月明かりが闇夜を照らすあぜ道の端。天から降りる月明かりより幾分か眩しい淡い光に包まれて一人の猟兵が地に足を着けた。
彼は月夜に照らされるとより一層引き立つように透き通る銀髪を伸ばし、その長身な青年の腰丈ほどまで下ろしていた。
そして人肌の恋しくなるような夜風がクロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)の後ろ髪を引くようになびかせると、彼は髪を押さえながら振り返る。
その目線の先には、ヴァンパイア達の手から逃れ募った人間達が作った村があった。
そこが今回守ることを依頼された村で間違いないだろう。
「どうやら最近、この辺りの状況が益々怪しくなってきたようですね。これがどういう事を意味しているのか、少々気になるところではありますが……」
彼はその出自故に、あの村の住民の平和を素直に願っていいのか、一瞬そのことが頭をよぎるが頭を振って意識から遠ざける。
今、そのことについて答えを探している場合ではない。
「今やるべきは目の前の敵を倒し、村を守る事。それ意外は終わってから考えましょう。」
「しかし、何から手を付けたものでしょうか……」
手元にある情報では、辺境伯軍の先兵は皆この村まで地上のルートを使って来ると判明している。
闇に溶けることに長けているクロスだが、地中や高高度から攻められれば流石に打てる手立てが苦しくなる。その点では幸いだっただろう。
「かといって喜んでもいられませんが。」
そう呟くと、クロスは再び村の方を見やる。
彼らは避難民だ。ヴァンパイアの力へ過剰な恐怖を抱く可能性がある。
クロスはダンピールとはいえ、力の片鱗を見せれば要らぬ心配をかけるかもしれない。
「…………」
言い表せない複雑に絡まった気持ちで言いよどみつつ、右胸の傷跡を服の上からなぞる。
いまだ彼ら人間との距離感が掴めないクロスは、心配し過ぎだとは自覚しつつも村の入り口からは少し離れて作戦を立てることにした。
「そうですね……敵はこのあぜ道を来るのでしょうから、ここに塹壕を掘って、余剰土であぜ道から外れないよう盛土で壁をつくりましょう。」
気軽に塹壕を掘るとは言うが、雑木林が好き勝手に根を張り巡らし整地されていないこのあぜ道、人力で穴を掘るのは並大抵の労力ではない。
一般人なら精々膝高まで掘って、その辺りから木々の根に阻まれ手が止まるだろう。
しかしそこはダンピールである。幾らか血を活性化させると、喉の渇きが顕著になるが一般人では到底出来ない力仕事もこなすことが出来たのだ。
「はぁっ、はぁっ、少し強引だったでしょうか。もっと予備の血液パックを持ってくれば良かったですね。」
力を使う程に乾きの欲望が膨らんでいく。理性を失わない様に節約しながら血を補給すると、ようやく塹壕と盛土が見れる形に整って来た。
最初は闇雲に塹壕を掘るつもりだったが、盛土を漏斗のように先細りの形に絞ることで、掘る面積を減らしたのだ。
さらにこの形状は後ろが詰まっていき渋滞するため、敵の脚を止めることにかなり有効となるはずだ。
「これで少しでも時間が稼げるといいのですが……」
額を伝う汗を拭い、熱を放つ身体から夜風が急速に体温を奪っていく心地良さを感じると、クロスは来たる戦いの時まで力を温存するのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…辺境伯、いよいよ吸血鬼側も本腰を入れてきたみたいね
ならば此方も相応の準備をして出迎えてあげるわ
事前にUCを使用して十数人の吸血鬼狩人を召喚し、
全員に周囲の第六感に干渉する“隠れ身の呪詛”を付与
自身や彼らの気合いや殺気を絶ち存在感を消して闇に紛れ、
敵に察知されない距離を見切りつつ敵の偵察に向かう
…今までグリモア猟兵の予知に頼っていたから、
こうして自分の足で情報を集めるのは久しぶりね
…敵の進軍経路、辺境伯の詳細な能力、進路上の人里の有無、迎撃に適した地点…
…辺境伯の紋章も可能な限り調べておきたいけど、
敵の力が未知数な以上、無理は禁物よ
今までの戦闘知識と経験が危険を感じたら無理せず撤退する
月明かりが闇夜を照らすあぜ道の端。天から降りる月明かりより幾分か眩しい淡い光に包まれて一人の猟兵が地に足を着けた。
辺りを包む常闇に溶けるような黒装束に身を包み、対照的に透き通るほど儚く淡い銀髪を自由なままに下ろす少女の姿。
どこかまだ未成熟でやや小柄な少女は、もうすぐ咲き誇りそうな蕾を想起させ、藤色の鮮やかな瞳が凛として眼前を見つめるのだった。
「……ついに辺境伯まで、いよいよ吸血鬼側も本腰を入れてきたみたいね。」
触れれば折れてしまうのではと思う程の色白い華奢な少女、リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)が内に秘める静かな怒りを抑えながら言葉をこぼす。
今までは主要な地域にのさばるヴァンパイアと雌雄を決してきた。
しかし敵方も劣勢に押され、ついに辺境で力を蓄えていた勢力に手を付けたということだろう。
ひたすらにヴァンパイアと戦い続けてきたカーライルにとって、これは朗報でもあり危険信号でもあった。
「ヴァンパイアはどんなに非道なことでも平気でやってくるはず……。ならば此方も相応の準備をして出迎えてあげるわ。」
幾人ものヴァンパイアを直に眼にしているからこそ、彼女の言葉に説得力があった。
奴らの残忍さは底を知らず、彼らが一人でもいる限りこの世界に平和の二文字は決して訪れることはないのだ。
進行してくる辺境伯軍の状況が気になるところだが、一番の問題はヴァンパイアたる辺境伯のほうだろう。
まずは怪しい動きを見せる辺境伯の様子を探ることに重視すると決め、カーライルはその働きに相応しい者達を思い浮かべる。
「……我ら、夜と闇を終わらせる者なり。吸血鬼狩りの誓いと業を胸に、今ここへ集え……!!」
彼女の言葉が雑木林に木霊すると、総勢18組の足音がカーライルの後ろに並び、僅かに踵を鳴らして集合の合図を返した。
現れたのは頭の先から足先まで黒装束に染めて、目深にフードを被り個を廃した上背のある屈強な集団。
「……分かっているでしょうけど、今回も吸血鬼狩りになるわ。ただ、いつもとは少し違うみたいね。それだけは覚えておいて。」
カーライルの後ろで規則的に並ぶ黒の集団へ振り返ると、彼女は慣れた様に指示を出す。
この黒の集団は吸血鬼を狩るために彼女が鍛え上げたプロフェッショナルであった。
闇に生きる獲物を求め闇に紛れ、誰とも知られず闇に葬りまた闇へと還る者達だ。
カーライルは彼らを連れて脚を進めると、約20人もの大所帯であることを感じさせない気配の殺し方で眼を光らせる。
「……今までグリモア猟兵の予知に頼っていたから、こうして自分の足で情報を集めるのは久しぶりね。」
しばらくして辺境伯軍の先兵の位置を捕捉すると、黒の集団を散開させて黒幕であるヴァンパイアを探らせる。
あのヴァンパイアは、ただ今まで辺境に篭り散々好き勝手しながら血を浴びて来ただけではないだろう。
「……恐らく、わざわざ進軍を決める程の『何か』があるはずね。」
それを掴めなければ、思わぬ不意打ちを喰らう可能性がある。
吸血鬼の抜け目のなさを熟知しているからこそ、カーライルは徹底的に敵の手の内を暴こうとしているのだ。
黒の集団の合図で偵察に適した場所へ移動すると、憎き相手が彼女の藤色の瞳に映り込む。
まるで鮮血のような赤い衣装に身を包み、身の丈ほどもある大きな首狩り鎌を背負うヴァンパイア『赤の処刑人』の姿だ。
その顔には、いつものように人間を狩る際のヴァンパイア特有の下卑た薄ら笑いを浮かべている。
「……何度見ても度し難いわね。……あれは?」
カーライルがふと、その首元を見ると『紋章の刻まれている宝石』を下げて大事そうに手で玩んでいるのだ。
精霊石を所持している彼女は、すぐにただの宝石ではないと見抜く。
そして観察していると、時折不気味で細い触手を伸ばし吸血鬼の首に巻き付こうとしては引っ込めていた。
「……力を与える代わりに寄生する宝石のようね。だけど完全にコントロール出来ているわけではなさそうだわ。そこを狙えばもしくは……」
そこまで仮説を立てるカーライルだが、その瞬間に赤の処刑人が視線に勘付いたのかこちらへ視線を向ける。
しかし、辺境伯の眼には何も見つからない。
数多の経験からカーライルは危険を察知し、逸早くここを去っていたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
なにはともあれ情報収集だ
機構召還符を取り出し、愛用の蒸気バイクを呼び出す
一っ走りしてこよう【操縦、偵察】
敵軍を発見したら蒸気バイクを符に戻し、少し離れた場所に高周波シャベルで手早く穴を掘り、偽装を施して潜んで奴等を観察したい【トンネル掘り、怪力、地形の利用、迷彩、情報収集、戦闘知識】
ゴーグルに備え付けられた望遠や暗視のガジェットを活用すれば、より多くの情報が得られるだろう【メカニック】
「この辺りが潮時ね」
敵軍からの索敵リスクが高まる少し前を見極め、撤収して情報を持ち帰りたい【野生の勘、見切り、忍び足】
「参ったわね。中々厄介そうな連中ね」
月明かりが闇夜を照らすあぜ道の端。天から降りる月明かりより幾分か眩しい淡い光に包まれて一人の猟兵が地に足を着けた。
月夜のせいか栗毛色に染まる長髪を邪魔にならないようポニーテールで留め、飾り気の無い髪を夜風に流す女性。
飾り気がないのは髪だけではない。着ているものは味気ないスプブラとズボンの上に要所だけを守る砂色のプロテクター。
さらに身体を覆い隠すように纏う緑系迷彩色のマントをなびかせていた。
まるでこれからゲリラ戦を仕掛けに行くんだと言わんばかりの出で立ちである。
普段はアルダワ学園で淑女然とした振る舞いをする才堂・紅葉(お嬢・f08859)と同一人物であるとは想像もできない格好だ。
しかし、こちらの傭兵然とした荒々しい姿こそ彼女本来の生き様であり、野戦装備を完全に着こなし違和感を見せないところからも改めて伺えるだろう。
「敵影、殺気も無し……流石に敵の目の前というわけではなさそうね。」
迷彩マントの襟を口元まで覆い、ゴーグルの奥に隠された抜け目ない瞳で周囲をじっと観察していた紅葉。
一歩でも戦地に赴いた瞬間から彼女の中のスイッチが切り替わっており、この歳で既に一瞬の油断も見せない熟練の傭兵らしい心構えで緊張感を張り詰めていたようだ。
「まだ敵は見えない、だからこそ先手を打ちたいわね。なにはともあれ、そのためにも情報収集よ。」
紅葉が直近の目標を立てると、言うが早いか準備を始める。
腰に下げたサイドポーチから一枚の名刺大の金属板を取り出すと、親指で文字を描くように滑らせて目の前の開けた場所へ放り投げた。
すると、地面に触れた金属板は縁から僅かながら水蒸気を吹き出し、金属板の上に薄い蒸気の膜を作る。
そして金属板が淡い発光を放つと、蒸気の膜に光で魔法陣が投影された。模様からして召喚式の一種だろう。
すると、一瞬の内に紅葉が愛用する蒸気バイクが姿を現し待機していた。
これぞ蒸気技術と魔法技術の混合が為せる文明力だろう。
「ふふ、最近どんどんと小型軽量化が進んでくれて便利よね。技術部の連中にも偶には礼でも差し入れようかしらね。」
最新技術の進歩に感心しながら、リアやサイドへ荷物を括りつけていく。
今回は潜入任務でもないため、なるたk重心を下げ不整地での安定感を上げるつもりのようだ。
準備を終えると、紅葉は暗視ゴーグルを頼りに明かりも点けず闇夜のツーリングへと出発するのであった。
「……いた。ぞろぞろとアリみたいに並んで行進とは、隠れる気は毛頭ないみたいね。」
月明りもあり、稜線の上からでもあぜ道を進む辺境伯軍の姿がハッキリと確認できた。
これ以上のバイクでの接近は駆動音でバレてしまう。そう判断した紅葉は再び金属板へ収納すると、荷物から下ろしておいた折り畳みのシャベルを一本腋に抱えて闇に紛れる。
死角を意識しながら低地に降りると、三つ折りされたそれをワンタッチで展開する。
すると、カシュっと小さな音を立てて棒部分が開き持ち手となり、さらに柄が1.5倍ほど延長し元のコンパクトさからは想像できないほどしっかりとしたシャベルの形になっていた。
そのままスイッチを入れると、シャベルの剣先がブンと埃を飛ばし静かに空気を震わせる。
「高周波シャベルなら人一人隠れるのに1分も掛からないわ。」
紅葉の言葉通り、あっという間に土の中に身を隠すと、その中から辺境伯軍の動向を間近で観察し情報を得ていく。
分かったことは、先兵達の身体は主に宝石結晶で生成されており相当な硬度が予想されること。
さらにその身体から生える触手を手足のように動かし移動や捕獲を行っていること。
こちらに関しては人体とそう変わらない強度のようであり、狙えば動きを止めること自体は容易そうであった。
そうして、皆首からはドッグタグのように怪しいブローチを下げていた。
「この辺りが潮時ね。こいつらと違って辺境伯が近付けば偽装が通じる確証も無いもの。それにしても参ったわ、殲滅となると中々厄介そうな連中ね。」
引き際を弁え、紅葉は情報を手に潔くその場を後にするのであった。
大成功
🔵🔵🔵
一郷・亞衿
※内容的には【SPD】寄り、使用UCは【WIZ】
他の人がバリケードとか作ったりするなら、それの補佐に回ろうかな。
最近は切った張ったばっかりやってる身ではあるけど一応これでも探索者の端くれだし、仕掛け罠作ったりするのは任せて貰っても構わないよ。
……とは言うものの、敵の具体的な規模とかが解った方が有効なトラップを仕掛けやすいというのも事実。
『影の追跡者の召喚』で黒服の斥候を召喚して、辺境伯の方を探らせに向かわせとこうかな。赤の処刑人、ってのがどんな姿形してるのかとかも気になるしさ。
“敵を知り己を知れば百戦危うからず”、とも言うし、情報は多いに越したことはないよね。
(共闘・アドリブ等歓迎です)
月明かりが闇夜を照らすあぜ道の端。天から降りる月明かりより幾分か眩しい淡い光に包まれて一人の猟兵が地に足を着けた。
社会で疎まれない程度に軽く茶に染めた姫カット、ラフだが派手過ぎず身綺麗な私服に身を包み、大きめの白いマスクで口元を隠す少女の姿。
UDCアースでは大学生くらいの年頃ならばどこにでもいそうなごく普通の女の子に見える彼女、一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は街灯もない夜更けの世界へ連れてこられたのに少し驚きを見せるも、すぐに携帯のライト機能で足元を照らす。
「うわ暗っ。あ、でも星がよく見える。まるで映画のワンシーンみたい。」
真上に散らばる満天の星空に思う所があるのか、夜風で体温が徐々に冷えて寒気を感じるまで見上げると、ハッと正気に戻り周囲を見渡す。
「そうだった、あたしも働かなきゃ。今どうなってるんだっけ?」
能力に目覚めた当初は力に任せオブリビオンと切った張ったの連続で一般的な生活とも縁遠かったが、今では彼女も立派な社会人(とはいっても事情を知るUDC組織傘下企業)であるため仕事への責任感も湧いてきたのだ。
すぐに現場へ合流しようと状況確認しているが、すぐ目に付いたには村の入り口で人を集め何やら怪しい演説を行う男の姿くらいである。
「なんか見覚えのあるヒゲがいる……」
一郷の目線の先には、軍服の(絶対良からぬことを考えている)笑顔で身振り手振り動かしている知人の猟兵だった。
「あれほっといたら大変なことになるんじゃ……?」
彼の奇行をよく知っているためか、一郷はじとっとした眼でその光景を見つめていたが、心配になったのか彼らを手伝うために村へと脚を向ける。
「まぁ一応これでも探索者の端くれだし、仕掛け罠作ったりするのくらいなら。」
そう村人にも告げて作業の一助となる一郷。
「……とは言ったものの、敵の具体的な規模とかが解った方が有利なのは事実。」
このままヒゲを放っておくのも心配だが、偵察に出たい気持ちも大きい。
やりたいことは2つでも身体は1つ。
「だったら増やそうか。」
答えは至極簡単である。普通は何を世迷言をと一蹴されるが、彼女は見た目とは裏腹に普通でない力を持ち合わせるのだ。
携帯のライトでくっきりと生じていた彼女の足元から伸びる影。それと見つめ合うと、遮蔽物の形に縛られ動けないはずの影は独りでに動き出し一郷の脚からプツリと離れていった。
すると2次元体であった影にむくむくと肉が付き、立ち上がった頃には一郷よりも背丈のある黒ずくめなスーツにサングラスというエージェント然とした男が姿を現す。
最高秘密機関に所属していそうな彼は、その服装以外特徴といえるものは無く、どこにでもいそうな顔に髭やホクロも見当たらない。もはや特徴が無いのが特徴ともいえてやや不気味さがあった。
黒ずくめのエージェントは口を開かず頷き一つで合図を送ると、一郷と別れあぜ道を駆けていった。
「ちょっと趣味が出過ぎたかな。……邪魔になるわけでもないしいいよね?」
彼女は彼の完成度に一人頷くと、自分は再び作業へと戻っていく。
黒ずくめのエージェントと言葉を交わさなかったのは、彼が一郷の影から作られた分身体であり、以心伝心お互いの見聞きしたものが全て共有されるためだ。
戦闘力は護身程度で心許無いが、斥候や諜報に関してはピカイチの実力を発揮してくれるはずである。
一郷が作業に集中していると、しばらくして彼から心のコンタクトが入る。
「ん……なんだろう?」
どうやら黒ずくめのエージェントは『赤の処刑人』にバレることなく接近できたようだ。
そして彼が眼を着けたのが、辺境伯が首から下げる『紋章の刻まれている宝石』。そのまま視線を移動させて、辺境伯を担ぐ先兵達の首元に眼を向けると同じようなブローチが着用されていた。
「なんか変だな……あ、そうか下の人達はブローチの宝石から触手が出てるんだ。」
その通りと言わんばかりにエージェントも頷き視点が上下する。
「もしかしてあのブローチが洗脳装置か制御装置の役割……?『敵を知り己を知れば百戦危うからず』とはいうけど、これ結構重要な情報かも。」
思わぬ成果に驚く一郷だが、これ以上エージェントを敵地に置けば危険だと判断し彼を影へと戻すのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『スレイヴ・スクイーザー』
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POW : テンタクル・スクイーズ
【美味なる極上 】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【おぞましくのたうつ肉色の触手】から、高命中力の【感情を吸収する数十本の触腕】を飛ばす。
SPD : スラッジ・スキャッター
【全方位に汚濁した粘毒液 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : ブレインウォッシュ・ジャグリング
【幹触手の先端 】から【暗示誘導波】を放ち、【洗脳】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:小日向 マキナ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
猟兵達による数多の工作により、辺境伯軍の侵攻に大きな遅滞が産まれた。
まず、地平線の向こうより長く長く続く不気味な先兵達の行列は分断される。
道を崩され、堀を越えるのに人員を割かれ、断続的にでしか村へ戦力を投じることができなくなったのだ。
それにより、猟兵一人一人が一手に担う頭数はかなり絞られたことになる。
「忌々しい人間どもめ……だがいいさ、足掻き抵抗するこの生意気さが私の嗜虐心をより高めてくれるんだからね。」
時間稼ぎくらいではどうということもないと、首狩り辺境伯『赤の処刑人』は嗤う。
「せっかく気持ちを昂らせてくれたんだ、お前たち一匹も逃さず捕まえるんだよ!」
辺境伯が声を上げると、表情のない傀儡達はのたりのたりと村へ進み出した。
しかし、敵は気付ていない。猟兵達の成果はただ時間を稼いだだけではない。
その間にも十全に情報収集を行い、辺境伯が虎の子として用意していた秘密を既に暴いていたことに。
彼女が使役する先兵は、確かに宝石結晶の強靭な身体と柔軟に動く無数の触手を持つため強襲には適しているだろう。
だが、それは作られた力であり、力の源は存在する。
ボロ布で隠されており一見すると分からないが、先兵達は皆首元に『紋章の入った宝石のブローチ』を身に着けているのだ。
ただし、これを狙うのは注意が必要だろう。
場所は敵の真正面、それも無数の触手を始め様々な攻撃をかいくぐらなければ届かない。
この難易度こそ辺境伯の自信と余裕の根拠なのだ。
猟兵達は持ち寄った情報交換を終えると各自持ち場に着き、村の入り口に現れる敵影を待つのであった。
クロス・シュバルツ
連携、アドリブ可
事前の準備が功を奏し、若干の優位を勝ち取る事ができた形ですね
辺境伯を引きずり出す為にも、そして元人間の彼らを楽にする為にも……手早く片付けてしまいましょう
敵の攻撃を掻い潜ってピンポイントで攻撃を当てるよりは、全身を纏めて攻撃して破壊を狙う
UCを発動。元々は複数体を攻撃する為に分裂する鎖ですが、今回はそれを単体に集中して放つ。全身を纏めて『串刺し』にしつつ『継続ダメージ』を与える
一度で紋章を攻撃できればよし、駄目でも触手の動きを封じて紋章を狙う為の一撃に繋げる
敵の攻撃は『残像』で撹乱しながら黒剣で切り払い『部位破壊』する事で防御、破壊しきれずに喰らう分は『オーラ防御』で防ぐ
村の入り口、そこにはバリケード等がいくつか見られ、容易には侵入を許さない態勢をとっている。
しかし、それも数の力に押されれば呆気なく瓦解するだろう。
そうならないためにも、一人の猟兵が入口より少し離れた場所で辺境伯軍の侵攻を待ち受けていた。
村の灯りも届かない闇の中、クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)は気配を消して身じろぎもせずじっと耐える。
すると、彼の前方で塹壕へ次々と先兵達が落ちて重なる金属音が響き渡る。
「事前の準備が功を奏し、まずは若干の優位を勝ち取る事ができた形ですね。」
そう呟くころには、敵も塹壕の存在にようやく気が付いたのか進軍を中断し金属音も止んでしまった。
それでも塹壕の底に溜まった敵はかなりの数だ。
夜目を凝らし、クロスが見下ろす先の敵影をざっと数える。
「このまま辺境伯を引きずり出す為にも、そして元人間の彼らを楽にする為にも……まずはこれを手早く片付けてしまいましょう。」
辺境伯の犠牲となり哀れにも死体を玩ばれている先兵達、『スレイヴ・スクイーザー』を目に留めてから静かに黙祷すると、彼はそのまま自らも塹壕へと飛び降り戦闘態勢に移るのであった。
タッと着地すると、クロスの前には仲間と重なり合った状態から持ち直したスレイヴ・スクイーザー達の姿があった。
落下時の衝撃でボロ布が破れたらしく、月明りを透通す青白い宝石結晶の歪な身体が晒され、そこから生える不気味で腫れ上がったような幾本もの触手がウネウネと獲物を求め揺れていた。
またその触手が動く度に、背中へ鎖で括りつけられた磔柱がジャラジャラと不協和音を奏で、まるで威嚇しているようにも聞こえて来る。
「動きは鈍いようですが、あの触手の間合いに入れば厄介そうですね……。ですがこの塹壕の中、後方からの奇襲の心配はありませんからね。この間合いさえ気を付ければ……」
クロスが覚悟を決めると、腕の激痛に顔を歪め身体を強張らせる。
「……ぐっ!」
だらりと力を抜くように下ろされたクロスの手首からは、ポタポタと鮮血が滴り落ちる。
そして、彼の腕輪『罪茨』が形状を変えて、地に吸われていく血を舐めとるように鎖のように伸びていく。
「棘よ、俺の血を啜れ。さあ、――罪茨よ、暴れ穿て……!!」
クロスの言葉に呼応し、地まで垂れた【蹂躙する棘の鎖】のの鎖は無数に分かれて宙を舞い、スレイヴ・スクイーザーの一体へ集中して襲い掛かった。
「……!?」
クロスの攻撃に反応し、物言わぬ敵は触手を前面へ壁のように覆い盾とするが、鎖の茨はそれを易々と突き破り釣り針のように引っ掛かる。
「無駄ですよ。」
貫かれた触手から鎖を必死に振り解こうとしているようだが、クロスがグッと引いて鎖が張っているためビクともしない。
その間にも茨が繁殖するようにじわりじわりと触手の肉を抉りながら侵食していき、ついに抉れた触手が千切れてスレイヴ・スクイーザーが丸裸となる。
「見えました。その紋章……それがあなた達を縛り付けているんですね。それでしたら……!」
彼が再び腕を振るうと、茨の鎖が『紋章の入った宝石のブローチ』を打ち砕き、その瞬間に本体の宝石結晶がひび割れて不透明に薄黒い石へと変貌する。
まるでそれは、弔われなかった者達の墓標のようにも見えた。
「救われた魂はまずは一つ、ですね。」
弱点は情報通りであった。そのことをその目で確認すると、クロスはさらに血を流して黒剣を取り出す。
そのまま鎖と干渉しない長さに調整すると、敵の中へ自ら飛び込み、襲い来る触手を薙ぎ払い、的確にブローチを破壊していく。
やがて鎖の音が止むと、塹壕の中には無数の黒い石柱と血に濡れた青年だけが立っていたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
才堂・紅葉
「さて。厄介な連中だけどどうしたものかしら」
傀儡達を見やって一息
マインドセットをして挑むとしよう
方針は簡単にいく
手榴弾の【投擲】で触手とボロ布を【吹き飛ばし】、ブローチを露にする
硬質なボディに爆風は効かないだろうが、一瞬でも触手の密度が薄まればそれで良い
機構靴の【跳躍、メカニック】で間合いをつめ、リボルバーのファニングショットでブローチの破壊を狙う【部位破壊、スナイピング】
射線を邪魔する触手は、高周波シャベルの【気合、怪力】で切り払いたい
深追いせずに【野生の勘】でバックステップ、体勢を整えて次の獲物を見定めたい
「今回は予備が一杯あるのよね」
機構召還符より追加の手榴弾を呼び出そう
村の入り口、そこにはバリケード等がいくつか見られ、容易には侵入を許さない態勢をとっている。
しかし、それも数の力に押されれば呆気なく瓦解するだろう。
そうならないためにも、一人の猟兵が入口より少し離れた場所で辺境伯軍の侵攻を待ち受けていた。
村へと続くあぜ道はいつもとは少しだけ様子が違った。
月明りだけでは僅かに膨らんだ土に気が付くことはないだろう。
そして注意深く見やれば、その土膨れの隙間より静かに月夜を反射する二つの瞳孔が見えた。
「さて。厄介な連中だけどどうしたものかしら……」
獲物を狩る獅子のように鋭い眼差しの持ち主、才堂・紅葉(お嬢・f08859)が小さくこぼす。
先ほどの偵察のように地面の中に身を潜めているのだ。
こうして土中にいると、全身で地面の振動を感じられ、視界が開けていないこの場からでも辺境伯の先兵達の進行が手に取るように分かる。
だが、身体に響いてくるのは踵が地面を蹴る音ではない。地を舐めるヘビの様な這いずり音と、揺れる磔柱を引きずる音だ。
「偵察時に見たアイツら、ちょっとやそっとじゃビクともしなそうな身体だったもの。一度姿を出してしくじれば分が悪いし、しっかりと頭に叩き込まないとね。」
仲間と共有した情報から弱点は割り出せている。
しかし、敵も易々と狙わせてはくれないだろう。
だからこそ一気に畳みかけて攻勢に出続ける必要があるのだ。
「臆せば負ける。通せば負ける。もとより背水の覚悟はもうできているのよね。」
言い終えると、深く一呼吸を吐き出し心拍数を上げて身体を作る。
そして暗い土の中で、紅葉がアンティークな見た目のリボルバーの撃鉄をカチリと上げると、目の前を通る先兵『スレイヴ・スクイーザー』達へ奇襲を仕掛けたのだった。
「これは挨拶代わりよ!」
飛び出した紅葉は、上空から腕一杯に抱えた手榴弾を撒いて多方面へ一手に攻撃する。
手榴弾には細工がしてあったのか、放つ際に細い糸が安全ピンに繋がっていたため既に全部引き抜かれていた。
地上で連鎖的に爆発するそれらは、勢いよく爆風を巻き上げ紅葉の頬に熱風を当て、ポニーテールが月に届かんばかりに尾を立てる。
対人ではなく炸薬量の多いタイプの手榴弾により、落下してくる紅葉を土煙が隠し、逆に爆風がスレイヴ・スクイーザーのボロ布を吹き飛ばしていた。
「やっぱり硬いわねその身体ぁ!でも『手脚』はそうでもないみたいよ!」
防塵ゴーグル越しに見えるのは、依然変わりなく透き通る宝石結晶の本体と、爆破の衝撃で所々ただれて千切れている無数の触手。
これで多数の敵の動きが重鈍なものとなり、囲まれにくくなった。
一対多の戦いでこの状況を作り出せるのは流石傭兵の経験というべきだろう。
「見えた!その『ブローチ』が敏感だっていうのは調べがついてるのよ!」
先ほど吹き飛ばしたボロ布の下、そこで触手を伸ばすブローチへリボルバーの銃口を向けると、スレイヴ・スクイーザーも咄嗟に防御態勢へと移り触手の肉壁を束ねる。
どちらが早いか、それを競うように紅葉がトリガーを引くと、長く膨らんだ破裂音が闇夜に響く。
残念ながらスレイヴ・スクイーザーは既に肉壁を作っていた。だが、そこには何度も銃弾が通ったような黒い条痕が空いており、ブローチには何発もコーン状に重なった銃弾が尻を出していた。
「ったく……こんな古臭い装填方式だけは改善が必要ね。」
なんと一瞬の内に同じ個所へ全弾撃ち切るという神業をさらりとやってのけ、分厚い肉の壁すらも貫いていたのだ。
そのままスピードローダーで次弾を込めると、同様にブローチを次々と打ち砕いていく。
守りを捨て触手を紅葉へと伸ばすスレイヴ・スクイーザーへは、逆に間合いを詰めることでガードの薄いブローチを直接射抜く。
初陣の敵を排除すると、土煙から後続がぬっと現れ触手を伸ばす。
しかしこれを高周波スコップの横薙ぎで一閃すると、紅葉は大きく飛退き再び土を掘り起こす。
「あら残念だったわね。今回は予備が一杯あるのよ!」
土中に備蓄していた手榴弾を抱えると、紅葉は再び一騎当千の戦へ飛び出すのであった。
大成功
🔵🔵🔵
護堂・結城
ぼろ布、集団戦、小さな目標物
狙いにくいなら狙いやすいようにしてやるだけだ
【POW】
美味なる極上?……何の感情もわかんよ、そんな姿をみちゃあな
緑月の尾で【焼却・属性攻撃・誘導弾】を放つ【範囲攻撃・衝撃波】の絨毯【爆撃】
ぼろ布を焼き払い、続けざまにもう1セット、雷の属性誘導弾で【マヒ攻撃】だ
「外道の道具…か。一人残らず、ちゃんと終わらせてやる」
マヒで動きが鈍った触手の間からブローチを狙い指定UC発動
複製した刃を【怪力】で【投擲】する【乱れ撃ち】
「待ってろよ外道、俺達がその首狩りとってやる」
村の入り口、そこにはバリケード等がいくつか見られ、容易には侵入を許さない態勢をとっている。
しかし、それも数の力に押されれば呆気なく瓦解するだろう。
そうならないためにも、一人の猟兵が入口より少し離れた場所で辺境伯軍の侵攻を待ち受けていた。
冷えた空気が月明りを一際綺麗に映す闇夜、その狐色の光も通さない土埃が辺りを覆うあぜ道で事は続いていた。
ここで多くの一尾の狐達によって引き起こされた地盤沈下、その衝撃で辺境伯の先兵達は半身を沈め足止めされていたのだ。
彼らの宝石結晶で作られた歪な身体は、非常に重く、非常に硬く、兵士としてなら重鎧と同等に扱える代物であった。
しかし、それがこの戦況では逆に仇となり、ぐずぐずに緩んだ地面へ己の自重により引きずり込まれてしまったというわけである。
あまりにも一瞬の内の出来事、まるで狐につままれたように辺境伯先兵『スレイヴ・スクイーザー』は身じろぎもせずに沈み、半身が埋まってようやく不気味な触手をのたうち慌て始める。
恐らく、行進の命令しか出されておらず、対応が遅れたのだろう。
その様子をしかと見ていた護堂・結城(雪見九尾・f00944)は、獲物を狙う狩人の眼光を両目に宿し、煌々と暗闇に浮かべていた。
「ぼろ布、集団夜戦、小さな目標物……狙いにくいなら狙いやすいようにしてやるだけだ。こういう風にな!」
目元を歪め、彼は白い歯を挑発的に見せると、九尾ある尻尾の内の一本をむんずと掴む。
すると、色とりどりの九尾の中でも毛先が緑色に染まった尻尾が、ギュッと縮むように圧縮すると一振りの大刀へと変化した。
すらりと伸びる刀身は薄らと緑色を帯びており、棟から刃先へとだんだん白く透き通っていくグラデーションが、月夜に照らされ美術品のような神々しさを顕現した。
結城の目の前にいる偽りの宝石結晶の身体、外道の道具達とは間違いなく比べようもない名太刀であろう。
「ふん、外道の道具……か。なぁに心配するな。一人残らず、ちゃんと終わらせてやる。この緑刀『雪見九尾の緑月の尾・嫉妬災害』でな!」
結城が緑刀を胸前で水平に構えると、もう片方の掌で棟を包み、妖力を込めて鍔からスイと撫で抜ける。
すると、妖力に満ちた刀身の緑色はさらに映えて淡く光る。刃文は命を持つように揺れて脈打ち、力の胎動を柄越しにひしひしと感じることが出来た。
「まずはそのボロ布を取って顔を拝ませてもらおうか!」
力を解放した緑刀を血糊を飛ばすように横薙ぎに振るうと、纏っていた力の波動が霧散し、次々と燃え上がった火球となってスレイヴ・スクイーザー達を飲み込んで焼き払う。
被っていたボロ布は一瞬で灰となり崩れ落ちたが、その瞬間、スレイヴ・スクイーザーは結城を排除対象として標的にしたのか、燃え盛る火の中触手を伸ばし共倒れを狙う。
「誰が一度しか放てないっていったよ、生身にはこいつを喰らいなッ!」
返す刀で刃先を回すと、風鳴りを起こす疾風の如き刀捌きで一文字に薙ぐ。
すると激しい迅雷が迸り、結城へと伸ばされた触手から蔦のように伝いスレイヴ・スクイーザー達の動きを硬直させる。
宝石結晶部は頑丈だが、触手は生物同様激しい通電により神経を焼き切られたのだろう。
「ようやく面を見れたな。」
カツカツと、結城は緑刀の棟で肩を叩き睨みを利かせる。
目前には凄惨たる状況で弱点のブローチを晒し、為す術の無い敵が転がっていた。
「これでお互い未練は無しだ。この世界に希望はどこにもないのかもしれない……それでもいい。ならば……俺が、せめてもの希望になろう!」
そう言うと、結城は緑刀を頭上高く放り投げて両手をパンと合掌する。
弧を描き落ちて来る緑刀は、それに合わせて空間がブレるように歪むと一瞬で400を超える数に増えた。
結城が両手に力を込めて念じると、それらは意思を持つように宙を舞い、正確にスレイヴ・スクイーザー達のブローチを貫き引導を渡すのであった。
「……待ってろよ外道、次は俺達がその首狩りとってやる!」
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
トンでるーアイデアー楽しくーフーフフーン
今日はねぇ地獄のピタゴラ装置を作っていくでござるよぉ
材料はこちら!事前に用意した逆茂木のバリケード!スレイヴ・スクなんたらァ!パンジャンドラム!以上!
まずは敵が通り過ぎるまで隠れて待機でござるよ
敵が逆茂木の前についたら装置起動!【コンソールコマンド】をサッと入力しパンジャンの火力を三倍にして敵の背後めがけてシューッ!全体が轢き飛ばされるのを眺める
そして押し出された先頭の敵が隙間の地雷を踏んで火属性付与、そのままパンジャンにも引火しドカン!
宝石も爆破できるので安心ですぞ!まあ宝石以外も粉微塵にしてるが
明るく照らしてやると言ったな?
どうだ明るくなったろう
村の入り口、そこにはバリケード等がいくつか見られ、容易には侵入を許さない態勢をとっている。
しかし、それも数の力に押されれば呆気なく瓦解するだろう。
そうならないためにも、一人の猟兵が入口で辺境伯軍の侵攻を待ち受けていた。
元々この村の入り口に防衛施設は何もなかった。
それは下手に目立つことを避けるという目的もあるが、一番はこの地に根付いて間もない人間達にとってそんな大掛かりな施設を作る資源も考える余裕も無かったことにある。
ところが、今回訪れた怪しい猟兵エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が焚き付けたことで、現地の乏しいありもの資源を活用して逆茂木のバリケードが築かれたのだ。
これも彼の巧みな話術の賜物だったのだろう。
ただ待ちながら怯えることしか出来なかった村人たちは、肉体労働で無心になることで不安を忘れ、自らの手で防衛施設を築けたことで自信を付けていた。
勿論それらはあくまでも一時凌ぎにしかならない代物である。
このバリケードの本当の姿はここからなのだ。
バリケード作成後、流石に前線に村人を残しておけないと他の猟兵達が追い返すと、先ほどまで先導して指示を出していたエドゥアルトの姿は見えない。
ところが、村の入り口から少し離れた暗がりから彼の鼻歌交じりの声が響いてきた。
「(ブッ)トンでるーアイデアー楽しくーフーフフーン♪」
いつの間に作成したのか、彼の腕に着用されたコンソールの画面に写るOP映像が暗がりを緑色光で照らす。
どうやら彼本人をデフォルメしたキャラと、謎のマスコット風のキャラが工作する内容のようだ。
「ね゛ぇ黒゛ヒゲさ゛ん゛!今゛日゛は゛何゛を゛作゛る゛の゛?」
OPが終わるとコンソールに先ほどのマスコットの顔が映し出されて、明らかにエドゥアルトの裏声で問いかけて来る。それにしても酷い声だ。
「今日はねぇ……なんと『地獄のピタゴラ装置』を作っていくでござるよぉ!」
「わ゛ぁすごい゛!でも゛それ゛ってどう゛や゛って作゛る゛の゛?」
マスコットはこれでもかと眉毛を上下させて驚くアピールをする。
そして、マスコットの問いを待ってましたと言わんばかりに、エドゥアルトは顔をほころばせてコンソールの画面を切り替える。
「材料はこちら!事前に用意した逆茂木のバリケード!スレイヴ・スクなんたらァ!パンジャンドラム!以上!」
緑色の画面には、非常に簡潔にまとめられた一枚図が表示される。
そして、それらが細かくアニメーションして子供心を掴む演出がされていた。
「え゛ぇ本゛当゛に゛それ゛だけ!?黒゛ヒゲさ゛ん゛、それ゛な゛ら゛ボクに゛も゛出゛来゛る゛かな゛?」
「勿論だとも!さぁ一緒にツクってアソんでみるでござる!ワクワクしてきますなぁ!」
一枚図の脇にワイプで顔を出し自己主張してくるマスコットにエドゥアルトが答えると、大きなミシンのボビンのような謎の物体を暗がりから移動させるのであった。
エドゥアルトが謎の物体と共に姿を隠してしばらくすると、辺境伯軍の先兵『スレイヴ・スクイーザー』達があぜ道を抜けてバリケード目前にまで迫る。
今まさにバリケードへ奴らの触手が触れようとしたその時、反対側、つまりスレイヴ・スクイーザー達の後方から声が上がる。
「ここでござるな装置起動!パンジャンドラムのバグリトリカルパレード、シューッ!!」
勢いよく暗がりから飛び出したエドゥアルトは、ボビンもといパンジャンドラムに点火すると、手元のコンソールからパラメータを弄って火力三倍にバグらせる。
スピードと質量はすなわち威力。この世の理を外れた火達磨はバリケードまで一直線に並ぶ敵を轢きながら押しつぶし爆走する。
バリケードを越えようとしていた敵は、その被害に巻き込まれてバリケード脇の地雷を踏むと、土を巻上げながら地鳴りを響かせて爆破。
連鎖するようにパンジャンドラムもその爆炎に飛び込み爆ぜる。
それだけでは終わらない。霧散したパンジャンドラムの破片は次々と地雷を起動していき無差別に爆炎を巻き起こして燃え広がっていくではないか。
さらにバリケードにたっぷりと塗られた油の気化ガスが一気に着火し、直径十何mにも及ぶ火柱が暗黒の世界を明るく照らした。
「明るく照らしてやると言ったな?どうだ明るくなったろう。」
満足気に火柱を見上げるエドゥアルトと、宝石結晶の身体すら融解していき倒れていくスレイヴ・スクイーザー達の地獄絵図を村人たちは忘れないだろう。
大成功
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一郷・亞衿
触手、かあー……端的に言うとすごい嫌だ……
まあ出発前からそういうの居るって話聞いてはいたけどさあ!
触手搔い潜って近接攻撃叩き込む手段も無くはないけど、正直あんまり近づきたくないな……ここは『未詳生物:スカイフィッシュ』を使って自律行動するロッズたちに攻撃させよう。
超高速で飛翔させて真空刃生じさせれば触手はぶった斬れそうだし、そのまま懐に突撃させられれば宝石かち割るなりブローチの鎖断ち切るなりして無力化出来るんじゃないかな。出来るといいな。
洗脳波が少し怖いけど、<呪詛耐性>用に持ってる[アルミホイル]細かく千切って撒いたらチャフみたくならないかな……まあ敵が攻撃放つ前に倒せればそれが一番だけど。
村の入り口、そこにはバリケード等がいくつか見られ、容易には侵入を許さない態勢をとっている。
しかし、それも数の力に押されれば呆気なく瓦解するだろう。
そうならないためにも、一人の猟兵が入口で辺境伯軍の侵攻を待ち受けていた。
「あれ、どこ行ったんだろう……」
村に設置されていたバリケード、それの建設を手伝っていた一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)は周囲を見渡す。
逆茂木作成を率先して指揮していた見覚えのあるヒゲがいなくなっていたのである。
「確か完成までは声がしたんだけど……嫌な予感がするし村の人達には避難してもらおう。」
虫の知らせか、一郷がバリケード完成で喜ぶ村人を入り口から遠ざけると、自身も村から離れ、敵に見つからない様に迂回しながらあぜ道を少し進んだ所で待つことにする。
すると、後方で激しい爆音と火柱が立ち、熱風が一郷の髪を吹き上げる。
「えぇ、何アレ……」
どこの猟兵がしでかしたのかは知らないが大変なことになっていた。
村の住民に被害が無いことを祈るばかりである。
その火柱がこの暗いダークセイヴァーを照らすと、迂回路からのハッキリと敵の姿を映しだした。
あぜ道に並び行進するのは辺境伯軍の先兵『スレイヴ・スクイーザー』達である。
ボロ布を頭から目深に被り、重く分厚い磔柱を背負い歩く罪人のような風体。
暗がりから覗けばそう見えただろう。しかし、世界が一時的に明るくなった今、ボロ布の影となっていた部分が鮮明になる。
火柱の赤い光に煌々と反射する宝石結晶の青白い身体。
そして何より目を引くのは赤く腫れ上がったような醜く不気味な無数の触手だ。
「うわ、触手、かあー……端的に言うとすごい嫌だ……」
一目見ればその醜悪な造形に誰もが腰を引くだろう。それは一郷も例外ではなく、眉間に皺を寄せて露骨に嫌悪感を現した。
「まあ出発前からそういうの居るって話聞いてはいたけどさあ!……はぁ、なるべく触手に触らないようにしよう……」
どれだけ嘆こうと喚こうと、事態は解決しない。社会は厳しいのだという社会人としての矜持を胸に耐えると、一郷は嫌々ながらも策を練る。
「確かあの触手って催眠波みたいなもの出すんだっけ。何その同人みたいな設定……」
武器などを用いて直接触らないとしても、女性がそのまま接近することは非常に危険であろう。
「厄介だな……催眠波、波、あっこれ使えるかな?」
彼女が連想から閃いたモノは厚めのアルミホイルであった。
電磁『波』を防ぐことが出来るために、特殊な状況下で電子部品を保護したりとUDCアースを始めとした文明の進んだ世界ではわりと重宝するのだ。
「まさかここでも使えるとは思ってなかったけど試してみよう。上手くいくといいけど……」
それでも少なからず不安が残るのか、一郷は念押しでさらに援軍を呼ぶことにする。
「行けっ!ロッズ!硬い身体は難しいだろうけど、触手の方はカマイタチで断ち切れるはず!」
彼女の掛け声と共に、周囲にモスキート音のような耳鳴りがキンと響く。
肉眼では捉えられないが、ここには既に400体近くの超高速飛行物体がひしめいており、合図共にスレイヴ・スクイーザー達へ襲い掛かった。
「それっ!」
それと同時に一郷はアルミホイルを放り投げた。
すると、一瞬の内にコマ切れとなり紙吹雪のように一面に舞ってキラキラと輝く。 ロッズが起こした真空刃がこれを引き起こしたのだ。
そしてこの鋭い風切りの刃は当然スレイヴ・スクイーザー達へも襲い、柔らかな触手はミンチのようにグズグズに朽ちていく。
「おぉう、スプラッター映画みたいになってきたね。」
だが敵も黙ってやられるつもりは無いらしく、見えない敵へ催眠波を放ち騒ぎを鎮めようとしているようだが、空気中に充満するアルミホイル片によって上手く力が伝達されずまるで効き目がない。
「良かった。ちゃんとチャフとして機能しれるみたいだね。ロッズの身体にも直接貼り付いてるのかも……見えないけど。」
またたくまに手足を失ったスレイヴ・スクイーザーは重い宝石結晶の身体を地に伏せて沈黙していく。
どうやら自重でブローチを割ってしまうようだ。
「これで全部かな?ロッズもういいよ。ふぅなんとか触手は避けられた……」
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
…理不尽に生命を奪われ、死後も亡骸を弄ばれて…
待っていて。今、貴方達を呪縛から解放してあげる
過去の戦闘知識と経験を頼りに敵の攻撃射程を見切り、
“隠れ身の呪詛”を維持して闇に紛れて魔力を溜めUCを発動
敵の暗視や第六感に感知されない飛刃を上空に待機させた後、
呪詛を反転し自身の殺気や気合い、存在感を増幅して敵の注意を引き付け、
早業の武器改造で無数に分裂した飛刃で敵群を乱れ撃つ
…さぁ、狩りの時間よ。我が敵を喰らえ、血の飛刃…!
残像のように物質を透過する飛刃のオーラで防御をすり抜け、
紋章を切り裂いた勢いで敵の体内に切り込み、
内部から傷口を抉る2回攻撃で仕留める
…もう苦しむ事はない。眠りなさい、安らかに…
村の入り口、そこにはバリケード等がいくつか見られ、容易には侵入を許さない態勢をとっている。
しかし、それも数の力に押されれば呆気なく瓦解するだろう。
そうならないためにも、一人の猟兵が入口より少し離れた場所で辺境伯軍の侵攻を待ち受けていた。
先の偵察で猟兵達が集めた情報によると、辺境伯軍の先兵達は傀儡のように操られており、さらに宝石結晶の身体の内に人間の死体が生贄として埋め込まれているというのだ。
これを耳にしたリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)はあまりにも残酷で非道な行為に、俯いて目を瞑る。
「……理不尽に生命を奪われ、あまつさえ死後も亡骸を弄ばれるなんて……」
そして僅かに震える自身の肩を抱きしめて、気持ちを抑えるようにグッと堪えると顔を上げた。
彼女の眼に浮かぶのは、先兵達に眠る人間達の尊厳を愚弄するだけではなく他の人間まで襲わせようとする外道、首狩り辺境伯のあの顔である。
カーライルが直接目に焼き付けたヴァンパイア特有の下卑た薄ら笑いを思い出すだけで、彼女の心に火が着き燃え盛る。
倒すべき敵、憎きヴァンパイア。そしてその傀儡として操られる先兵達をこのまま放っておくわけにはいかない。
「待っていて。今、貴方達を呪縛から解放してあげる!」
強い決意を胸にカーライルは脚を前へ踏み出し、敵へ接近するのだった。
カーライルはこの地、ダークセイヴァーでの数多の戦いで夜戦に慣れており、夜目を利かせながら灯りのない雑木林を抜けていく。
月明りの射す開けたあぜ道では敵に勘付かれる恐れがあるからだ。
そうして闇の溶け込み全身の感覚を広げると、彼女の中に眠る魔力までも殻を破るように膨張し、限界まで魔力が溜まってくのを感じていく。
その満ちた魔力を逃すぬうちに、闇の中でカーライルが藤色の瞳を見開くと、指を揃え開いた両手を勢いよく振り上げる。
「……限定解放。我が敵を切り裂くため現れよ、血の飛刃……!!」
彼女が頭上に眼をやると、そこには黄色くこの地を照らす黄色い満月に、血のように紅い三日月が重なりこちらを見下ろしていた。
それは血と膨大な魔力によって作り出された幻想の刃。現実に在りながら此方には無い矛盾を孕む刃であった。
月に重なる血刃。あれさえ呼び出せれば、もはや姿を隠す必要はない。
カーライルは暗い雑木林から飛び出すと、今まで抑えていた殺気を全力で放ち全方位に威嚇する。
野生の動物ならば気に当てられ卒倒するところだが、辺境伯軍の先兵『スレイヴ・スクイーザー』は心を持たないためかビクともしない。
しかしその強い気配を察知し、行軍を中断してわらわらと視界を埋める数のスレイヴ・スクイーザー達がカーライルの下へ集まり出した。
「そう、そのまま私に注目しなさい。こちらからもよく見えるようにね……」
キッと眼を鋭く細めると、彼女は天に伸ばした両腕を左右へ振り下ろして散開の指示を出す。
すると、月を隠していた紅い三日月は無数に割れて、満天の星空のように空を覆った。
「……さぁ、狩りの時間よ。我が敵を喰らえ、血の飛刃……!!」
カーライルの叫びで星々の煌めきが流星群のように降り注ぎ、スレイヴ・スクイーザー達を確実に狙う。
その多くは宝石結晶の強靭で強固な身体に阻まれると思われたが、しかし身体に触れる瞬間だけその存在を歪め、首元のブローチだけを正確に切り裂いた。
すると、スレイヴ・スクイーザーの身体は急に動きを止め、力を失ったように宝石結晶が黒くくすみ、墓石のように静かにたたずんだ。
背負わされていた十字の磔柱を結びつける鎖も同時に切断されており、カーライルの目の前には無数の墓標が立ち並ぶこととなった。
「……もう苦しむ事はない。眠りなさい、安らかに……」
悲しそうにその光景を見つめる彼女の髪を、夜風がそっと撫でて慰めるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『赤の処刑人』
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POW : 死刑執行
【大鎌】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD : 速やかなる執行
技能名「【先制攻撃】【切り込み】【早業】【部位破壊】」の技能レベルを「自分のレベル×10」に変更して使用する。
WIZ : 断頭の大鎌
自身が装備する【大鎌】をレベル×1個複製し、念力で全てばらばらに操作する。
イラスト:とのと
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「セシリア・サヴェージ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
クロス・シュバルツ
連携、アドリブ可
ようやく辺境伯のお出ましですか
その紋章を与えた者の事を教えて、大人しく下がるなら……なんて、お互いそういう訳にはいかないでしょう。言ってみただけです
最初は黒剣を大鎌状態にして幾度か打ち合い、同じ獲物使いだと誤認させる
隙を見つけて【噛み砕く黒蛇の牙】を使用
互いの片腕を繋いだ上で鎖を短くして、大鎌を十分に振るえない距離まで接近。此方は黒剣を短剣状態に変化させて、強制的に近接戦闘に持ち込む
鎖が噛み付いている限り『生命力吸収』『継続ダメージ』は続くので焦らず慎重に、但しチャンスがあれば迷わず首元の宝石を狙う
攻撃は『オーラ防御』で防ぎ『激痛耐性』『継戦能力』で耐えて戦闘続行
全身を血で濡らし赤く染まる青年が、塹壕の中に佇んでいた。
敵が落ちてくれば屠り、襲い来る触手は薙ぎ払い、孤独なリングで戦い続けついに後続がいなくなるまでに至る。
息もつかせぬ波状攻撃、人間ならば数分と持たず根を上げ押されるはずだが、ダンピールたる彼、クロス・シュバルツ(血と昏闇・f04034)はその血を使い己を高めて凌ぎ切ったのだ。
そうして、無我夢中で戦い続けた末に我に返ると、涙のように顔を伝う血を拭って塹壕を這い出る。
土埃を祓い面を上げたクロスの前には、手下を全て失った首狩り辺境伯、またの名を『赤の処刑人』が待ち受けていた。
「ようやく辺境伯のお出ましですか……」
「ふん、随分と骨のある人間がいると思ったら……なるほどね。半端者が手を貸してたってわけかい。」
身の丈ほどの大きな鎌を背負う、血のように赤い服を身に纏う褐色の美女が見下すような目つきでクロスを見やる。
その眼差しには侮蔑や軽蔑といった感情が読み取れ、クロスの心に棘を刺す。
「半端者……確かに俺は忌み子として疎まれてきました。ですが今では俺の後ろに控える人間達に寄り添おうと努力しているつもりです。決して半端者ではありませんよ。」
物憂げな表情のクロスだったが、言葉の最後には目を細め鋭い眼光で辺境伯を睨み返す。
明確な敵対行為。その意思表示。
互いに目線を一瞬も逸らさず、火花の散るような睨み合いは続く。
「チッ、100も生きてないくせに減らず口を叩くガキだね。どうやって知ったのかはしらないけど、『紋章』を叩き割るくらいの浅知恵はあるらしいじゃないか。」
塹壕の周囲でくすんだ黒色の墓標と成り果てた先兵達を顎で指しながら、辺境伯は自身の首元のブローチを見せつけるように弄る。
タネが割れている以上隠す気も無いようで、クロスを試すように問いかけた。
「言ったでしょう、俺はあちら側です。危険を冒して調べ、教えてくれる仲間がいるんですよ。」
たとえ相手が油断したような素振りであろうと、クロスは一切気を緩めない。ヴァンパイア達は狡猾かつ残忍、不意打ちだまし討ちは常に警戒して片時も眼を離すつもりは無い。
「一応確認しますがその『紋章』を与えた者の事を教えて、大人しく下がるなら……なんて、お互いそういう訳にはいかないでしょう。言ってみただけです。」
「おや、話が早いじゃないか。減らず口が続くなら無理にでも聞けないようにしようと思っていたところだよ。」
どうせ口を割ることはない。答えは分かり切っている。
なぜならクロスが黒剣を大鎌の形へ変形させると、目の前の敵も同様に大鎌を構えて一触即発の気を放っているからである。
互いに得物は同じ大鎌。間合いも互角であれば踏み込みも同時。
自ずと二つの刃は交わり、キンキンと金属音が立て続けに鳴り響く。
「あんたも人間どもに肩入れしたところで所詮は血を欲してるんだろう?大鎌使いだから分かるさ、動脈をバッサリ裂くのに便利だからねぇ!」
熟練した鎌の薙ぎと押し引きでの攻防戦、その動きについてくるクロスを揺さぶろうと辺境伯が言葉を放つ。
その言葉に反応し、クロスが力強く大振りを振るとそれを絡め取られ、鎌と鎌が噛み合い動きが止まる。
それ見たことかと図星を付いた気でいる辺境伯だが、対するクロスは怒りの感情など一切ない表情で見返す。
「俺は鎌使いだなんて一言も言ってないですよ。蛇よ、喰らえ。噛み砕くまでは――離しません。」
誘いに乗ってしまったのは辺境伯の方であった。互いの武器が止まった今、空いた腕に着用している腕輪を鎖へと変化させると、辺境伯が大鎌を握る腕に絡みつかせる。
「本命はこちらです!」
「がぁっ!ふざけんじゃないよ!半端者のくせに、あんた、あたしの血を!!」
蛇のように組み付いた鎖は鋭い棘を出し、啜るように傷を抉りながら血を抜き出していた。
ヴァンパイアにとって血を吸われることは侮辱と同様。
頭に血が昇り真っ赤になった顔でクロスを睨むと、引いて噛み合っていた大鎌を押して、間合いを詰めようと飛び出す。
それをクロスは大鎌から直剣、短剣と間合いに応じて取り回しの良いよう短くしながら、辺境伯の大鎌を鍔ぜり合いのようにいなしていく。
大きく引く押すの動作が必要な大鎌にとって、至近距離に詰められることはご法度である。
しかし、既に詰めた間合いは戻らず、否クロスの鎖がそれを許さない。
辺境伯が苦し紛れに鋭利な爪で襲い掛かるが、それを鎖で絡め取りついに両腕を完全に塞ぐ。
「辺境伯……その首、いただきます!」
もはや打つ手の無くなった辺境伯の首元に光る『紋章』のブローチに短剣を突き立てると、黒い瘴気を放ち彼女はミイラのように干からびて朽ちるのであった。
大成功
🔵🔵🔵
護堂・結城
【POW】
外付け強化とはなんて厄介な
このまま戦っちゃあ押されちまいそうだな、大鎌を自在に振り回すとか勘弁してほしいぜ
敵が強大なら外道を見逃す?んなわけないだろう、外道は必ず殺す
今の俺で勝てないなら、勝つ為のチカラを呼ぶだけだ
指定UC発動、夢幻竜奏を召喚【リミッター解除・限界突破】し【封印を解く】
紫電の鎧と氷牙の突撃槍を纏って【属性攻撃】
「理不尽に命を狩るというのなら、理不尽な暴力をもってそれを叩き潰す」
「それが外道狩り、それが護堂結城だ」
最大速度で【残像】を残す【ランスチャージ】、宝石を狙って突っ込む
【怪力】で【衝撃波】と刃をぶちこむ【捨て身の一撃】
「ギロチンチャージ、お前には相応しいだろ?」
カツカツと鞘の無い剥き身の太刀『緑刀』の棟で肩を叩き、8尾の青年はあぜ道を歩く。
彼の後ろには物言わぬ薄黒い墓標と十字の柱が所狭しと並んでおり、世話する者のいない無縁墓地のような不気味さと哀しさに満ちていた。
しかしよく見ていると、傾いた墓標達はどこか救われたように空を見上げているようにも感じ、まったく逆の印象も抱いた。
実際に彼らが本当に感謝しているかは、死人に口なしと今では誰も知る由は無い。
だが、背を向けて去っていく青年護堂・結城(雪見九尾・f00944)の、弱者を虐げ傀儡として再利用するという外道の道から解放したことは、間違いなく救いとなったはずだ。
この太陽の無い暗い世界において、今も、そしてこれからも代わりに救いとなる月の様な存在が必要となるだろう。
そう、事件の元凶たる外道はまだこの先にいる。
背負った彼らの無念はまだ晴れてはいないのだ。
「外道殺すべし、慈悲はない……!!」
そして静かに力強くこぼす結城の言葉は、積み重なった彼らの無念を代弁するかのように怒気が込めれていたのであった。
「よぅ、やっと外道のお出ましか。」
結城は目の前に現れた相手と眼を合わせると脚を止め、肩に担いだ緑刀を握る手にグッと力が入る。
興奮と緊張で僅かに手汗が滲むが、手袋がそれを吸ってよく馴染んだ。
命を取り合うためのコンディションは整ったといえるだろう。
臆する様子は微塵も無く、結城は白い歯を見せて挑発するように笑った。
「なんだい活きのいい餌が自分からノコノコやって来てくれたようだねぇ。それくらい反抗心がある方が血の出も良くて狩りがいがあるってものさね。」
身の丈ほどの大きな鎌を背負う、血のように赤い服を身に纏う褐色の美女が見下すような目つきで結城を見やる。
その威風堂々たる佇まいは間違いなく辺境伯『赤の処刑人』その人であろう。
彼女からは自らが圧倒的強者であるという自覚、自信がありありと見て取れ、傀儡を一掃されたことすらどうとも思っていない様である。
事実、先兵達は『紋章』に適応できなかった出来損ないであり、ヴァンパイアの辺境伯だからこそ『紋章』の真価を発揮できるのだ。
それを示してやるとばかりに、辺境伯は守りの構えで受けて立つ。
「そうかい、そのつもりなら……これでも喰らいなッ!!」
あえて誘いに乗った結城が、緑刀から妖力の波紋を複数薙ぎ飛ばし、辺境伯を囲むように全方位攻撃を仕掛ける。
「なぁんだ、てんで話にならないね坊や。」
しかし、辺境伯は嘲笑いながら大鎌を踊るように回転させて全て掻き消してしまった。
同時に首元のブローチ、『紋章』が怪しい光を放って大鎌に力を与えているようであった。
その大鎌に触れれば全てがこの世から消え去るとでもいうのか、凄まじい力の差をまじまじと見せつけられて、結城は緑剣を下ろし尻尾に戻す。
「なるほどね、外付け強化とはなんて厄介な。このまま戦っちゃあ押されちまいそうだな、無敵の大鎌を自在に振り回すとか勘弁してほしいぜ。」
「おや、だったらあたしから尻尾巻いて逃げるのかい?」
まるで子供相手へ話しかけるように辺境伯が問う。
勿論、結城の答えは決まっていた。
「敵が強大なら外道を見逃す?んなわけないだろう、外道は必ず殺す!今の俺で勝てないなら、勝つ為のチカラを呼ぶだけだッ!!」
ギンと鋭い眼光で辺境伯を睨み付けると、空気を震わす大声で天に吠える。
「此よりは我が領域、外道を砕く超越の刻、来たれ、夢幻竜奏ッ!!!」
彼の祈りが天を貫くと、薄黒くどよむ暗雲より二柱の光が差し込み結城を照らす。
その柱を滑り降りるように二頭の龍が舞い降り、彼に触れると赤金の光に包まれ姿を変貌させる。
「理不尽に命を狩るというのなら、理不尽な暴力をもってそれを叩き潰す。」
現れたのは二頭の龍を半分に分けた巨大な龍鎧。右腕に白龍の頭を模した袖口、左腕は黒龍の頭を模した袖口、身体の各所には金と赤のラインが施され神々しい威圧感を放っていた。
「それが外道狩り、それが護堂結城だ!」
「チッ、身体がデカくなったからっていい気になるんじゃないよ!」
見上げるその巨大兵装に一瞬怯むも、辺境伯は『紋章』の力を引き出し大鎌を振るって飛び出す。
この力の前では、どんな鎧だろうと張りぼてだ、そう確信しているのだろう。
しかし、その切っ先は空を舞う。
「残像……!?」
「遅いぜ、当たるかよそんなもん。」
結城の夢幻竜奏はその大きさからは想像もできない速さで稼働し、白竜の右腕を貫手のように突き出す。龍の牙のように鋭い指先、氷牙突が『紋章』を砕きさる。
辺境伯が力を失い纏っていたオーラを無くすと、黒龍の左腕を横に薙いで首を飛ばす。一瞬で断面から血吹雪きが噴きだし周囲を赤く染めた。
「ギロチンチャージ、お前には相応しいだろ?」
大成功
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エドゥアルト・ルーデル
ふぅ~!良い爆発だった…ナイスパンジャン!…なんでござるか藪から棒に出てきて!
ロリになってから出直してこいよBBA!
貴様の相手は我がスタンドが務めますぞ!
そこにはデデンデッデデン!と人型に変形した【流体金属】君!こいつは自動操縦型スタンドな世界…
流体金属故に【大鎌】の攻撃を無効化する流体金属君で執拗に近接戦を仕掛けさせ囮にし、拙者は背後から接近、力の源泉らしい首元の宝石を【スリ盗り】でござるよ
重要アイテムっぽいがそんなの関係ねぇ!スリ盗った宝石は流体金属君のご飯にしよ!いっぱいお食べ…
力を失った貴様が生きられる世界はない…パワーを増した流体金属君が貴様へのギロチン処刑の世界を兼ねたッ!
太陽の無い空、暗雲立ち込め仄かな月明りだけが僅かに射しこみ陰鬱な空気と澱みが支配するこのダークセイヴァー。
しかし、その世界に似つかわしくない底抜けに明るい男、エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)が紛れ込んでしまったためにその様子は一変する。
彼はあろうことか、逃げ腰で反骨心の無い住民達を焚き付け扇動し、自ら守りに入るよう促し希望を持たせた。
その結果が村前のバリケード群であり、そして今では天まで貫く地獄絵図のような火柱へと昇華させたのである。
何をどうすればこんな大参事になるのか頭を抱えるところだが、この世界を明るく照らす灯火がこの地に住む者達をさらに元気づけたのは言うまでもない。
「ふぅ~!良い爆発だった……ナイスパンジャン!!」
今は粉々に散り、その職務を全うした亡き巨大パンジャンドラムに対し、いつもの傾きで👍っと親指を突き立て称賛を送るエドゥアルト。
そしてごうごうと逆巻く火柱の中に皆川フェードするパンジャンの影法師を覚えながら目を細める。
「それにしても盛大に燃える業火っていいよね……いい……。火事とか台風ってなんか無駄にテンション上がってくるでござる。」
遠足前の小学生の様なピュアな笑顔で、目の前で現在進行形で自らが引き起こした災害への反省をまるで見せない。
すると、火柱で出来たエドゥアルトの大きく伸びた影の方から女性の声が上がる。
「なんだい、随分と派手におっぱじめてるじゃないか。あんた中々見込み在りそうだねぇ、どうだいこのままそこの村も焼いてみないかい?」
クツクツと噛みしめるように笑う声は、エドゥアルトへ近づくにつれて灯火がその姿を露わにした。
彼女は身の丈ほどの大きな鎌を背負い、血のように赤い服を身に纏う褐色の美魔女で、見下すような目つきでエドゥアルトを見やった。
その威風堂々たる佇まいは間違いなく辺境伯『赤の処刑人』その人であろう。
彼女からは自らが圧倒的強者であるという自覚、自信がありありと見て取れ、傀儡を一掃されたことすらどうとも思っていない様である。
「Ha?……なんでござるか藪から棒に出てきて!拙者を誘惑したいならロリになってから出直してこいよBBA!!」
エドゥアルトは👂✋と耳に手を当て、何か言いましたかと大口開けながら辺境伯へ返答する。
「ババッ……!?く、くふ、ふ。どうやらあたしの見込みが甘かったようだね。所詮短命の猿どもは愚かでゴミ屑でしかないってことさね。」
長命で悠久の時を生きるヴァンパイアにとって、年齢を弄られるのは相当にキタのだろう。
恐らく三十路のデリケートな女性に対するそれよりもクリティカルヒットだ。
みるみる辺境伯の美しい顔が歪み、恐ろしいほど眉間にシワを寄せて鬼のような形相でエドゥアルトを睨む。
「このヒゲだけは血の一滴も残さず惨たらしくぶっ殺してやるよッ!!!」
そして当然、辺境伯はブチ切れた。
「おっと、ところがどっこい貴様の相手は我がスタンドが務める世界ですぞ!」
そう言うと、エドゥアルトは特殊樹脂製で出来た容器からドロッとした銀色のスライムの様なものを地面に垂らす。
「デデンデッデデン!いでよ流体金属『Spitfire』君!」
自分で口ずさむBGMと共に、水銀のような液体は意思を持つように自ら動き出して人型を成す。
肌の色や服まで作り出し、屈強な黒人男性となってエドゥアルトを守るように前へ出た。
「こいつは自動操縦型スタンドな世界……それ故に拙者にも制御出来ないマイッティなパワーでござるよ!」
駆け出したSpitfireは両手を広げ辺境伯を鷲掴もうと飛び掛かる。
「そんなコケオドシ真に受けると思ってるのかい!」
頭に血が昇っている辺境伯は、『紋章』を輝かせて大鎌を強化すると空間ごと削り取るように振るう。
この『紋章』の力を使えばどんな鎧だろうと真っ二つに切り裂くのだ。
そすていつも通り無謀に飛び込んで来た黒人の大男を胴を境に切り分けたのだが、ダルマ落としのように再びくっ付き辺境伯の両腕を封じる。
「なんだいこいつは!?」
爪で引き裂き顔を削ぎ落そうと、蹴りで股を吹き飛ばそうと、世界の理を無視するように目の前の男は動じず再生する。
流体金属生命体であるSpitfireには身体の位置が一瞬ズレた程度にしか感じずダメージになっていないのだ。
二人がそうやって組み合っている間、エドゥアルトは何をしていたかといえば、気配を消して辺境伯の背後へと回っていた。
完全にヘイトがSpitfireに向いていることを確認すると、先ほど光っていた怪しいブローチ『紋章』へ手を伸ばし盗み出す。
「……しまっ!?」
「ドゥフフフ!重要アイテムゲットだぜ!」
サッと身を引きSpitfireの後ろに隠れると、手にした得物を流体金属にブチ込んだ。
「この『ひでんマシン』を流体金属君に覚えさせるでござる!力を失った貴様が生きられる世界はない……パワーを増した流体金属君が貴様へのギロチン処刑の世界を兼ねたッ!いけっ流体金属君、『きりさく』!!」
大鎌を強化する力、それを逆に利用する。
黒人の頭は大きな鎌と変化し、身動きの取れない辺境伯の首を刎ねて最後を見届けたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リーヴァルディ・カーライル
収集した情報と戦闘知識から戦闘の流れを構築
第六感が捉えた気合いや殺気を暗視して敵の攻撃を見切り、
呪詛を纏う大鎌のなぎ払いで迎撃しつつ苦戦する演技を行う
…っ、はぁ、はぁ…
…これが、辺境伯に任ぜられる、吸血鬼の力…っ
この強さは…予想を越える…
わざと体勢を崩し大鎌を手放して隙を見せ、
残像が生じる早業のカウンターで懐に切り込みUCを発動
………ほどではない
怪力の掌打と同時に生命力を吸収する血杭で紋章ごと敵を貫き、
武器改造した血杭から無数の血棘を乱れ撃ち傷口を抉る2回攻撃を放つ
…聖槍は反転する。喰い破れ、血の魔槍…!
…流石は辺境伯に任ぜられる典型的な吸血鬼ね
自然と他者を見下すその傲慢…至極、狩りやすいわ
紅い三日月が覆っていた満月も今では黄色い顔を見せ、薄暗い世界を淡く照らす。
肌を撫でる冷たい夜風は、無縁墓地の黒い墓標達をより感傷的なものに変え、この場にいる者の心をひんやりと冷ましていく。
そのせいか、激情することもなくリーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は静かな怒りを募らせていった。
墓標の内に眠るのは既に帰らぬ人達であったが、それでも平穏と安らぎを与えてやりたかった。
だが、今の彼女に出来たのは邪なる吸血鬼の呪縛から解き放ってやることが精々である。
彼らの魂に報いるには、元凶たるヴァンパイアを駆逐し、これ以上同じ犠牲者を出させないことだろう。
奴らがのうのうと生き、人間達を虐げる限りあの魂達が安らかに眠る日は来ないのだから。
「過去に囚われた貴方達を私が今度こそ救ってみせるわ……そこで見ていて……」
カーライルは誰に向ける出なくその言葉を風に乗せると、血の導きに従いあぜ道の先へと脚を進める。
半分は自らにも混じっているヴァンパイアの血。それが呼応し互いを引き合わせるのだ。
近付くにつれて血管を流れる血がトクトクと脈打っている。
活性化しつつある自らの半身が、同族を前に暴れようとしているのかもしれない。
しかし、カーライルはその衝動に飲まれることなく己を律した。
先ほど別れを告げた眠れる者達によって覚まされ、冷静になった頭の中はどこまでも澄み切っている。
「そう、あなたの前に立つくらいで一時の愚かな情動に飲まれはしないわ。」
カーライルが脚を止めて暗闇の中へ声を投げる。
すると、黒い影を纏っていた女性がぬっと姿を現し彼女と眼を合わせた。
「へぇ……あんたら出来損ないのダンピールは、上位種のあたしらの前じゃ我を忘れるかと思ってたんだがね。辺境と違ってこっちにいるやつは可愛がりがいがありそうじゃないか。」
身の丈ほどの大きな鎌を背負い、血のように赤い服を身に纏う褐色の美魔女であり、値踏みするような目つきでカーライルを見やった。
その威風堂々たる佇まいは間違いなく辺境伯『赤の処刑人』その人であろう。
彼女からは自らが圧倒的強者であるという自覚、自信がありありと見て取れ、傀儡を一掃されたことすらどうとも思っていない様である。
事実、捨て駒のように無策で行進させて使い潰していたことからも伺える。吸血鬼以外を完全に下に見ている証拠だろう。
「可愛がる……?そんな軽口がいつまで続けられるかしらね……」
「あっはっは、いいねぇその反抗的な態度。その生意気な顔が苦痛で歪むのを早く見たくなるじゃないか。」
声は笑っていても眼は座っており、辺境伯の眼は血に狂うヴァンパイアのそれであった。
そして、怪しい手つきで大鎌の刃を撫でて柄を握ると、カーライルに向かって勢いよく飛び掛かって来た。
月光を反射する冷たい刃は見た目以上にリーチのある薙ぎで円を描く。
「……っ!!」
「あら惜しいねぇ。じゃぁ次は綺麗な内臓を見せてもらおうじゃないか。」
カーライルは咄嗟に飛退くが、服の一部が切り裂かれ紙一重でギリギリ裂傷を免れた。
移動しながら遠心力で前進してくるその大鎌捌きは、これ以上間合いを詰められれば素手での応戦は不可能だろう。
そう判断すると、カーライルも大鎌を取り出し構える。
「同じ得物での勝負ってわけかい?まったく随分舐められたものだねぇ。」
「彼らの御霊を背負ったこのグリムリーパー……そう簡単にやられはしないわ。」
相手は悠久の時を生きてきた真祖。辺境伯と比べれば技量差は確かに開くが、それでもカーライルに退く気はない。
全力を以って応戦し、刃を受け流しては反撃を試みるが、その度に辺境伯の首元でブローチの『紋章』が輝き押し返される。
徐々に反撃の機会は減り、今では受けるだけで精いっぱいとなるが、それでも身体のあちこちに細かい切り傷が増えて服を赤く染めていった。
「……っ、はぁっ、はぁ……これが、辺境伯に任ぜられる吸血鬼、そしての『紋章』の力……っ、この強さは……予想を越える……」
じりじりと追い詰められて息が上がり、大鎌を手放しカーライルは膝をついて俯いてしまう。
「おやおや、随分可愛い格好になったじゃないか。楽しい余興だったよ。どれ、最期にその苦痛の顔をよく見せてごらん……あんたその血の眼は……!!」
辺境伯がカーライルの顎に手を当て面を上げさせると、彼女の両目は真紅に染まり真祖たるヴァンパイアの証が現れていた。
「………ほどではない。」
一時的にヴァンパイアの力を引き出したカーライルは、眼を合わせ動けなくなっていた辺境伯の『紋章』を掌底で打ち砕くと、纏っていた力が抑えられなくなり身体から弾け飛ぶ。
魔力の塊は粉々に割れたガラス片のように鋭く周囲に飛び、その多くは目前にいた辺境伯へ棘のように食い込むが致命傷には至らない。
「がっ!?あんたよくもやってくれたね!……まぁ出来損ないじゃそれが限界だったようだけどねぇ!」
辺境伯は身体中から細かい血の雫を伝わせ、声を荒げる。
彼女の言うように、カーライルは実際疲弊していた。無理やり強引に力を引き出した反動がどっと来ているのだ。
だからこそ、カーライルの焦燥した様子に嘘はない。
「……流石は辺境伯に任ぜられる典型的な吸血鬼ね。自然と他者を見下すその傲慢……至極、狩りやすいわ。まだわからないのかしら、もうあなたは終わってるのよ。」
「何……?」
「……聖槍は反転する。喰い破れ、血の魔槍……!!」
カーライルが最後の力を振り絞り念じると、先ほど辺境伯へ食い込んだ魔力の楔は茨のように相手の血肉を貪りながら茂り、トマトを握りつぶすようにぐしゃりと血を絞り尽くしてしまったのであった。
大成功
🔵🔵🔵
一郷・亞衿
『フォース・カインド』を使って宝石一点狙いでいくかな?
少し離れた場所で<破魔>の力が籠められた金属バットを構えて(向こうがこっちの存在を認識していなければ尚良し)、ワープ直後にフルスイングして宝石をカチ割ろう。
バッター第一打を担ぎ構えて……振ったーッ!(※多分この世に存在しない言い回し)
宝石壊せればそのまま畳めばよし、そうでなくとも超短距離転移してフェイント交えつつ殴打ブチ込んでいけば何とかなる……かな、どうだろ。
接近戦でバチバチ闘りあうのが無理そうなら、距離取ってバットから魔法弾撃つ戦法に切り替えようか。どんな攻撃でも一発までなら[ブードゥー人形]で受けられるし、離脱するだけならいけるはず!
錯乱する電波。キーンとする耳鳴り。月光を反射しキラキラと舞う銀粉。
はからずも幻想的、もしくは高熱時に見る白昼夢のようなダークセイヴァーに似付かわしくない光景が広がっている。
ここではつい先ほどまで、おぞましい触手をのたうたせてゾンビのように迫る宝石結晶体達が一面に広がっていた。
しかし今では傾いた十字架の前に黒くくすんだ無縁墓が並び、雪のように銀粉を積もらせている。
ではあの触手の怪は何処へ消えたのか。
それは一郷・亞衿(奇譚綴り・f00351)と呼び出したスカイフィッシュの大群によって退治され、『紋章』の入ったブローチを破壊したことで物言わぬ墓標に変えたのである。
「このブローチ見るからに怪しかったしね。……うわ、なにこれっ!」
スカイフィッシュに別れを告げた一郷は、未知なる物への好奇心か割れた『紋章』に興味を抱きまじまじと観察し驚愕する。
一見すると、何の変哲もないただの装飾品に見える。この不気味な先兵達が身に着けていなければ気にも留めない代物だっただろう。
しかし、ブローチの割れ目から覗くのは、潰れた虫のような気味の悪いモノであった。
さらにブローチはピンで刺しているかと思えば、蟲脚のようなあるいは触手のようなものが生えていたのだ。
「う、あたし触手ダメなんだってば……あれ、そういえば辺境伯のブローチも同じような触手が出てたような。」
自らの影から作り出した分身の眼を通して確認したあの強烈なヴィジョン。その光景がデジャヴする。
「やっぱりこっちの装飾の少ないブローチが命令装置的なやつの子機で、あっちのが親機で間違いなさそう……とすれば、辺境伯のブローチを狙えば……!!」
集めてきた情報を整理し、謎の答えへパチパチとピースをはめ込み考えていくと、敵の弱点を暴き出す。
「肉弾戦ってあんまり得意じゃないけど、これはチャンスあるかも?」
一郷の頭の中に希望の道筋が見えて来る。そして自分の身体能力の限界をどうカバーするか、幾つかパターンを想定し取捨選択した答えを『握る』。
「もっとバッティングセンター行っておけば良かったな。」
その手には、市販の金属バットの先端付近へ強引にデコられた灰狐の尻尾が特徴的な愛用バットであった。
一郷はじっと身を隠しチャンスを待つ。
チャンスは恐らく一度きり、二度目は無い。
「(気持ちは二死満塁、ホームランなら逆転勝ちってところかな……)」
フルスイング以外の選択肢はないからこそ、選球は慎重にいかなければならない。
そうしていると、前方から人影が現れる。
身の丈ほどの大きな鎌を背負い、血のように赤い服を身に纏う褐色の美魔女であり、自分以外を見下すような高慢な眼をしていた。
その威風堂々たる佇まいは間違いなく辺境伯『赤の処刑人』その人であろう。
彼女からは自らが圧倒的強者であるという自覚、自信がありありと見て取れ、傀儡を一掃されたことすらどうとも思っていない様である。
もとから死人達の尊厳を踏みにじるための悪趣味な実験が目的だったのだろう。
だが、それはある意味一郷にとって好都合であった。ターゲットである辺境伯が大した警戒もせずにあぜ道を歩いてくるのだから。
「(よし、隙だらけだっ!)」
チャンスと見るや、一郷は全力を込めてバットを振りかぶり辺境伯を見据える。
その距離はピッチャーと打者ほどの離れており、到底当たる見込みはない。
「(当てるんじゃない、当たりに行く!バッター第一打を担ぎ構えて……)」
そのまま大きく振りかぶると一郷の視界は一変、目の前に辺境伯が現れる。
「振ったーッ!」
「……ッなんだいあんた!?」
正確には辺境伯が目の間に現れたのではなく、辺境伯の目の前に一郷が現れたのだ。
得体の知れない謎の力により、一郷は瞬間移動を行い確実で防御不可能な奇襲を仕掛けたのである。
そして先ほどの辺境伯の不意をつかれた声が上がると同時に、バキンとバットが『紋章』を叩き割る。
「ぐッ、小娘よくもッ!!」
「……流石にこれだけじゃまだダメか。」
よろりと辺境伯が一歩退いて首元を押さえる。
その手からボロボロとブローチの欠片が零れていき、あれほどまでに感じていた絶対的強者のオーラが薄まったように感じられた。
「あと一押し……かな。」
一郷はゴクリと息を飲む。力は弱まったとしても相手はヴァンパイア、真正面からの肉弾戦で勝てるわけはない。
残りの一押しのために、もう一度逆転のチャンスを作り出さなければいけないのだ。
「ゴミ人間共のガキに舐められたもんだね!そんなに急いで死にたいなら今すぐ首を落としてやろうじゃないか!!」
辺境伯は担いだ大鎌を構えると、人間の動体視力を超えた人外的なスピードで踏み込み鎌を薙ぐ。
肉を裂くミチミチとした生々しい音、ゴリっと骨を砕き頭を弾き飛ばすギロチンのような背筋も凍る感触が、大鎌を伝って辺境伯の心に高揚感をもたらした。
「首狩り辺境伯は伊達じゃないんだ……よ、人形……?」
長年手に馴染ませてきた確かな手応え。間違えようもないはずだが、足元に転がってるのは不格好な人形の首であった。
その時、辺境伯の後ろで振り絞った叫びが反響する。
「当たれぇぇぇ!!!」
古来より身代わりとして伝わる人形を残し、一郷は再び瞬間移動を行い後ろを取っていたのだ。
そしてソフトボール大に圧縮した魔力魂をバットで打ち放ち、辺境伯のどてっぱらに大穴を空けた。
「デッド(Dead)ボール!……いやこの場合はピッチャー返し?」
崩れゆく辺境伯を見て気が緩んだのか、突き立てたバットに顎を乗せながらおぼろげな野球のルールを思い返していたのだった。
大成功
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才堂・紅葉
あんたが辺境伯ね
色々と聞きたい事があるけど、まぁ無理なんでしょうね
“楔”が怨嗟の唸りを上げるのに小さく息を吐き、紅の塗料を指で引いて戦化粧。無念を背負い、呪毒にも似た怨嗟を受け入れ笑みを浮かべる
相手の速やかなる執行を【野生の勘、見切り、怪力】でショベルでいなす
超強化された身体能力と反応速度でなければ、対応もできなかっただろう
方針は、機構靴で間合いを詰めての【グラップル】だ
奴の得物の苦手な距離で攻防し、隙を見て関節技でいずれかの四肢を【捕縛、部位破壊、重量攻撃】
奴程の化け物なら大した痛手にならないが、その隙を逃さずに“楔”の一撃を叩き込みたい【封印を解く、重量攻撃、吹き飛ばし、衝撃波】
爆炎の残火がくすぶり、鉄臭い硝煙がもうもうと立ち込める。
舞い上がった土埃が霧のように立ち込めて前が見えないが、マントをマスク代わりに顔に巻いているので防塵は出来ている。
だが、立て続けに炎上したこの場所は局所的に温度が上がっており、マスクのしたはじっとりと汗で濡れて気持ち悪い。
蒸れた空気を吸い込んで、肺の中から燃えているんじゃないかと錯覚するような不快感と疲労感でシャワーが恋しくなってきた。
しかし、この欲求こそが生き残ろうとする糧になる。自分は生きていると実感できる。
身体の節々は痛むものの、その程度で任務を諦めるほど才堂・紅葉(お嬢・f08859)はヤワではない。
「戦場の空気……この蒸し暑さもかえって身体が温まってきて丁度いいわ。準備運動はもういらないわね。」
土煙に影を作り、カーテンを押し通るように抜けてきた紅葉は、ガバっとマスクを剥いで新鮮な空気を肺に取り込む。
汗が伝う滝のようになっている顔をマントの裏地で拭うと、前髪を掻き揚げて一息つく。
そして、ここならば大丈夫だろうと傷の確認を行っていった。
今の装備は急所だけをピンポイントに守るものであるため、かすり傷や細かな裂傷が避けられない。
致命傷ではないものの、放っておけば化膿し重症化するリスクは歴戦の傭兵である紅葉も百も承知なのだ。
だからこそ念入りに血を拭い、消毒液で洗い、セロハンテープのようなもので応急措置をすると万全の状態に戻る。
「さぁ、VIPに会うんだもの化粧は気合いをいれましょうか。」
連戦の中で負った軽傷による流血。それを拭った手ぬぐいから、化粧品のように親指で血を掬い顔に塗りたくっていく。
真紅の戦化粧で決死の覚悟を自らに示し、相手に不退転の気迫をプレッシャーとして与えるのだ。
「あら、あんたもやる気なのね。いいわ、あの人達の弔いをしたいっていうなら、地獄の底まで私に付き合ってもらおうじゃないの。」
紅葉の覚悟を汲み取ったのか、コの字の畳まれたアタッシュケース形の鉄の塊が震えている。
神や仏を信じるつもりはないが、利用できるなら神も仏も関係ない。冒涜的な偽神の力であろうと使いこなしてやるつもりなのだから。
紅葉は荷物を背負うと、決戦の地へと脚を進めるのであった。
ザっと砂利を踏み締め歩を止める。
ここに来るまでも幾つもの黒くくすんだ墓標達を見てきた。
あれらには辺境伯によって利用された死体が詰められているはずだ。
戦場に忘れられた無縁墓を見るほど虚しくなるものはない。
奇遇にも肩に担いだこの偽神兵器も同感であるらしく、この場に漂っている無念を背負ったのかは知らないが勝手に展開して真の姿を見せる。
「そう……アイツが近くまで来てるのね。」
二つ折りされていたアタッシュケースは長方形の箱に変わり、銀色の杭と排煙機構がせり出した。
そしてパイルバンカー、別名杭打機とも呼ばれるピーキーな兵装が姿を現したのだ。
「おやおや、吸血鬼相手に杭を持ち出すなんて随分古臭い田舎娘もいたもんだねぇ。」
その声に紅葉が眼を上げると、そこには見知らぬ人影があった。
身の丈ほどの大きな鎌を背負い、血のように赤い服を身に纏う褐色の美魔女であり、自分以外を見下すような高慢な眼をしていた。
その威風堂々たる佇まいは間違いなく辺境伯『赤の処刑人』その人であろう。
彼女からは自らが圧倒的強者であるという自覚、自信がありありと見て取れ、傀儡を一掃されたことすらどうとも思っていない様である。
「あんたが辺境伯ね。色々と聞きたい事があるけど……まぁ無理なんでしょうね。」
聞きたいことがある、そう紅葉が口にする頃には既に辺境伯は大鎌を振りかぶってこちらへ飛び込んでいたからだ。
「あらぁ、意外とお利口な田舎娘じゃない。あたしの鎌捌きを素直に受けようとしなかったことだけは褒めてあげようじゃないの。」
紅葉の手がジンジンと痺れ、感覚が少し鈍い。
辺境伯とは初めから話し合いなど無理と分かっていたので準備はしていた。
だからこそ高周波シャベルをいつでも取り出せるようにしていたし、勘のようなもので後ろに飛退き少しでも間合いを取ろうとしたのだ。
だがそれでも、勢いを殺せずシャベルは弾き飛ばされた。かといって、持っていなければ命は無かっただろう。
「……ッ!予想以上ね、その『紋章』の力は。でも今度はこちらの番よッ!」
蒸気と魔法の技術のハイブリット靴に魔力を流すと、先ほどの辺境伯にも負けるとも劣らない瞬発力で跳び、パイルバンカーを突き出す。
「はんッ!少しは見直したと思えばこれだから田舎娘は!杭なんて何百年も打たれ慣れてんのさ!」
ヴァンパイアの再生力と『紋章』の力による驕りなのだろう。辺境伯は両手を重ねて前に突き出し杭を真正面から受け止めようと構えた。
しかし、その判断が誤りであった。
受け止める瞬間、突如炸裂音が鳴り響き杭が伸びたのだ。
「なッ!?がふ……」
爆破の勢いによって長く貫いた杭は、両手を超えて喉元のブローチの『紋章』を打ち砕いていた。
「もう一丁ォォォォ!!!」
炸裂すればいいパイルバンカーに予備動作は無い。
杭が引っ込むと続けざまに炸裂音と杭が飛び出し、ヴァンパイアの心臓に銀色の杭が突き立てられたのであった。
大成功
🔵🔵🔵