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憧れ、虚飾を被る人生(みち)(作者 しじる
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「紙とインクの無駄だ。お前、どうして凄みも熱意もなくなっちまったんだ」
 わかっている。そんなことは判り切っている。でもしょうがないじゃないか。好きでも何でもない、むしろ嫌いな題材だが、それじゃないと読んですらくれないじゃあないか。
 昔の、あの男の言葉と顔が浮かんでくる。駄作だなんだの、吾輩の小説を破り捨ててきたあの男の言葉が。
「やめちまえ。上辺面だけの作品なんて、吐き気がするわ。流行なんぞに頼るから、まともに書けないんだろうが。お前が本当に書きたいものだけを書けばいいだろうに」
 それで書いたら誰か読んでくれるのか。誰も読まないだろう。吾輩の渾身の出来は、いつだって誰も読まなかった。だが、この上辺面は、誰もが読んでくれた。
 それが非難一色でも、読んでくれたということが一番嬉しかった。だから、この男の言葉は気にしなくていい。気にしなくていいのだ。
 ……なのに、どうしてこんなに心に響く。この【ユーベルコヲド】で、さらに見てもらえるようになったのに、どうしてこんなに虚しいんだろうか。
 分からない。分からないが、もう吾輩はやり直すことも退くこともできない。虚飾で蔽われた道だが、行くしかないのだから。

「サクラミラージュでやってほしいことが皆にあるんだ」
 そう言い出すのはクトゥルティア・ドラグノフ。事件という様子ではないようで、むしろそれを事前に防いでほしいという様子であった。
「幻朧戦線の連中が、また面倒なことをしてね。籠絡ラムプっていう影朧兵器を市井に密かにばら撒いたんだよ。この影朧兵器は、影朧を何らかの力で手名付けて、その力をまるで自分のユーベルコヲドのように扱うことが出来るようにするものなんだ」
 それは一市民からすれば、とても夢のある代物かもしれない。だがこれは影朧兵器。美味しい話には罠がある。いずれ影朧は暴走し、使い手を含めた帝都の人々に多大な被害を及ぼすだろう。
「だから、影朧の力を得た偽のユーベルコヲド使いから、籠絡ラムプを取り上げる必要があるんだよね。今回のターゲットが何者かまではわからなかったけど、どうやら古びた時計塔周辺に現れるそうなんだよね。錆びた時計塔を修理しつつ情報を集めて、事件を未然に防いでほしいんだ」
 そういってクトゥルティアはテレポートを開いた。無数の桜が舞うその先には、年季を感じさせる荘厳な時計塔が見えるだろう。針が完全に止まっており、動いていればさらに素晴らしいと感じさせる出来であった。
「あれが例の時計塔だよ。それじゃあみんな、よろしくたのんだよ!」
 そういってクトゥルティアは、猟兵たちを見送るのであった。





第3章 日常 『籠絡ラムプの後始末』

POW本物のユベルコヲド使いの矜持を見せつけ、目指すべき正しい道を力強く指し示す
SPD事件の関係者や目撃者、残された証拠品などを上手く利用して、相応しい罰を与える(与えなくても良い)
WIZ偽ユーベルコヲド使いを説得したり、問題を解決するなどして、同じ過ちを繰り返さないように教育する
👑5

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 影法師が敗れた。そのショックは、吾輩自身が思った以上に大きく、だが、どこかスッキリとしていた。靄が晴れたような、これでよかったのだという気持ちがある。
 可笑しな話だ、あれだけ名声を求めて、偽りの才能とはいえ夢をつかみ取って、それがこの舞い散る幻朧桜の花弁が如く、儚く終わってしまったというのに。
 吾輩は、心の奥底で願っていたのか? この偽りの名声が終わることを。マイナスからでもやり直したいと。
「港、癒しを。転生させてやるんだ」
 猟兵の一人が言う。そうだ、吾輩のせいで、この倒れた影法師は、やりたくもないことをやらされていたのだ。そうするのが筋で、そうするのが償いだろう。
「……許してくれとは言わない」
 そう呟く吾輩に対して、影法師はふっと笑って逝った。

 さて、久瀬港は敗れ、その悪行も公に晒されてしまった。民衆の眼は冷たく容赦がない。洗脳が解けた読者は、港へと無慈悲なバッシングと非難を向けるだろう。
 このまま放置すべきか。否、我々は幻朧戦線ではない。やるだけやったら投げっぱなしにはしない。
 久瀬港、彼がまた小説界に戻っていけるように、何か手伝えないか聞いてみよう。
 彼は間違ったが、まだやり直せるのだから。