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人類砦防衛戦~霧の辺境伯~

#ダークセイヴァー #辺境伯の紋章 #マイ宿敵

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●辺境伯の進軍
 ダークセイヴァーの辺境、とある山の麓にひっそりと隠れ住む人々の集落があった。それは吸血鬼の支配の及ばない『人類砦』の一つだ。
「それで上手く隠れたつもりかい? 全く、愚かにも程があるというものだよ」
 遠方よりそれを見据えるのは、この世界を支配者たるヴァンパイアだ。コートに身を包んだ白髪の彼は、名を『ミスト・ヴァーミリオン』と言う。
「辺境伯たる僕の領地にこんなものがあっては、一族の名折れ。さっさと潰してしまうとしようか」
 ミストの胸には辺境伯の証たる紋章のブローチが輝いていた。猟兵達の活躍と人類の抵抗に対して、より強力なオブリビオンが動き出したようだ。
「でも……簡単に殺すのもつまらないからね。自分の体が強酸で溶ける悲鳴を、十分に堪能しようじゃないか」
 辺境伯の軍勢は、人類砦への進軍を開始した。

●人類砦を護れ!
「皆、ダークセイヴァーで事件だ! 人類砦が危機に瀕しておる!」
 グリモア猟兵の天御鏡・百々(その身に映すは真実と未来・f01640)は、集まった猟兵達に人類砦壊滅の危機を告げる。
「我が予知によれば、『ミスト・ヴァーミリオン』なるヴァンパイアの軍勢が、とある人類砦ヘむけて進軍を開始した。貴殿らには、人類砦の防備を固め、これを迎え撃って欲しいのだ」
 人類砦への襲撃者の討伐が今回の任務だ。

「この人類砦は山の麓にある小規模な村だ。この付近は土地も痩せ、森の恵みも少ない。人が住むには厳しい環境だが、それ故にヴァンパイアの支配が及んでいなかったようだな」
 そんな厳しい土地でオブリビオンから隠れ住んでいたというのに、オブリビオンの動きの変化によって見つかってしまったらしい。
「オブリビオンの軍勢がこの人類砦に到着するにはしばしの時間がある。敵軍の偵察や地形の確認と迎撃地点の選択、そして住民の避難など、迎撃の準備を整えてくれ」
 敵の首魁の情報はある程度予知で分かっているが、配下の軍勢の情報は不明だ。また、村の周囲には探せば迎撃が有利になるような地形もあるかもしれない。

「敵の首魁に関してだが、どうやら『辺境伯』なる地位についているらしい」
 辺境伯のオブリビオンは、例外なく『辺境伯の紋章』と呼ばれる『寄生虫型オブリビオン』をその身に付けてパワーアップしているようだ。
「ミスト・ヴァーミリオンはその通称を『災厄の霧』と言い、体を強酸、猛毒、瘴気の霧へと変じさせる能力を持っている。物理攻撃はまともに通じない……が、辺境伯の紋章は霧化できないはずだ」
 能力こそ強化されるものの、その紋章こそが弱点と言えるだろう。そして、紋章は辺境伯を倒せば活動を停止する。紋章を数多く収集すれば、紋章を与えた『より上位の吸血鬼の存在』を明らかに出来るかもしれない。

「辺境伯のオブリビオンは強大だ。しかし、どうかこの人類砦を護りきって欲しい」
 百々の懇願を受け、猟兵達は現地へと転移していくのであった。


夢幻
●マスターの夢幻です。戦後恒例の新シナリオフレームによるシナリオです。

 1章:冒険『辺境伯迎撃準備』
 2章:集団戦『???』
 3章:ボス戦『ミスト・ヴァーミリオン』
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第1章 冒険 『辺境伯迎撃準備』

POW   :    襲撃を行うポイントに移動し、攻撃の為の準備を整える

SPD   :    進軍する辺境伯の偵察を行い、事前に可能な限り情報を得る

WIZ   :    進路上の村の村びとなど、戦場に巻き込まれそうな一般人の避難を行う

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

セルマ・エンフィールド
【SPD】
『より上位の吸血鬼』……猟兵となって1年半、この世界も確実にオブリビオン・フォーミュラへ近づいてきている。
逸らず、確実に。いきましょう。

防備を整えるにせよ奇襲を仕掛けるにせよ、まずは敵の布陣を知る必要がありそうですね。
吸血鬼と普通の人間では力の差は歴然、わざわざ部隊を分けたり、小道に迂回したりということはしないでしょう。一番通りやすい道からくると予測して敵の偵察へ出ます。

敵を発見したなら【狙撃待機】で偵察を。
存在を気取られにくくするUCですが、私が動いている時は隠密性も低くなる。用心に「迷彩マント」で闇に紛れ、目立たないように忍び足で敵を十分に観察したなら、情報を伝えに帰還します。



「『より上位の吸血鬼』……ようやく吸血鬼の支配階級への手がかりが見えましたね」

 グリモア猟兵の説明を聞いて、セルマ・エンフィールド(絶対零度の射手・f06556)は小さく安堵する。

「猟兵となって1年半、この世界も確実にオブリビオン・フォーミュラへ近づいてきている。逸らず、確実に。いきましょう」

 オブリビオン達を押さえ込んでいた他世界に対し、ここダークセイヴァーはヴァンパイアの支配下にある。そう容易く攻略は出来ないだろうが、何れ訪れる戦争のため、着実に進んでいきたいところだ。


「……防備を整えるにせよ奇襲を仕掛けるにせよ、まずは敵の布陣を知る必要がありそうですね」

 敵の軍勢の詳細は解っていない。そんな状況では、有効な作戦は立てられないだろう。情報こそ最優先と、セルマは敵の陣容の偵察に出る。

「吸血鬼と普通の人間では力の差は歴然、わざわざ部隊を分けたり、小道に迂回したりということはしないでしょう」

 圧倒的な力を持つヴァンパイアが策を弄するとも考えにくい。一番通りやすい道を駆けていったセルマは、地平線の先に蠢く軍勢を発見した。

「……見つけました」

 セルマは道を外れて遮蔽物に身を隠すと、得意の狙撃を応用した待機姿勢を取る。『絶対零度の射手』の異名を取るだけあって、彼女の潜伏技術はなかなかのものだ。そして彼女は、マスケット銃に備え付けられたスコープで敵を観察する。

(「あれは……ジャイアント・スラッグの一種でしょうか?」)

 辺境伯が引き連れていたのは、緑色の大ナメクジの群れであった。更に観察すれば、ナメクジの通った後の地面が爛れている。どうやらあのナメクジは強酸を分泌するらしい。

(「幸い、移動速度はさほど速くありませんね」)

 ナメクジの歩みは、人の歩行速度と同程度だ。これならば、敵が人類砦に辿りつくまでに十分な準備を整えられるであろう。こうして十分な敵の情報を手に入れたセルマは、それを仲間に伝えるために急いで帰還するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
辺境伯。即ちかの地を治めるヴァンパイアということだな。
討ち取れれば、民への脅威も大分減るであろうか。

ともあれまずは戦場と敵勢の把握だ。
探査機を飛ばし周辺地形を把握、次いで敵の現在位置を確認。それらの情報から進軍経路の予測を立てる。
人類砦へ向かう為に必ず通る区域があれば、その区域、またはその直前の領域を戦場と定める。
谷間のような、守る側が上を取り易く且つ敵の動きを把握し易い領域があれば最良であるな。

後は先に見つからぬよう注意しつつ、敵を待ち構えるだけだ。
くく、腕が鳴るではないか。


シャルロット・クリスティア
SPD

時間の猶予はある、とは言ってもあまりのんびりとはしていられません。
偵察に出ます。

周囲の地形は勿論ですが、必要な情報はいくらでもある。
敵の規模、兵種、陣形、進軍ルートに進軍速度……。
発見されないように細心の注意を払いつつ、敵軍の現状から今後の予測進路を推測。
地形にそってくるのか、地形を破壊しながら進軍するかでも変わってきます。

……その上で周辺地形と照らし合わせ、迎撃が可能そうなポイントを割り出します。
それなりに準備時間がとれ、かつ隠れる場所に事欠かない、包囲撃破が可能なポイント……麓とは言え山地付近なら木々もある、少しでも仕掛けやすいポイントがあればいいのですが……!



「空を飛ぶような敵で無くて良かったです」
「全くだ。地面を這うならば、色々と迎撃の手段は考えられるであろう」

 セルマからの敵の情報を共有したシャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)とギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)は、迎撃地点を探すために偵察に出る。

「時間の猶予はある、とは言ってもあまりのんびりとはしていられません」
「そうであるな。迅速に捜索し、早々に迎撃地点を決めてしまうとしようか」

 ギージスレーヴは飛行型ドローン『ヴィッセン・ミトヴィルケン』を飛ばして周囲の地形を探査させる。そしてしばらくの後、集まった地形データを二人で確認する。

「セルマさんの情報では、敵軍はまっすぐ人類砦に向かっていると言うことでした」
「すると、通ってくるのはこの道か」

 敵の進行ルート自体は単純に予想出来た。慢心している辺境伯は搦め手をとって来るとは考えづらいし、そもそも配下がジャイアント・スラッグでは複雑な経路を取るのも効率が悪いだろう。

「隠れる場所に事欠かない、包囲撃破が可能なポイントが理想です」
「谷間のような、守る側が上を取り易く且つ敵の動きを把握し易い領域があれば最良であるが、そう上手くもいかないか」

 両側が崖になった隘路があれば良かったが、なかなかそこまでの立地は見つからない。

「そこまで敵を集中させることは出来ませんが、森の中を通るここでしょうか?」
「うむ。片側が多少丘のようになっている。このポイントがベターであろう」

 二人の意見が一致したのは、人類砦からほど近い場所。左右に木々が並ぶ森の中の道だ。ここなら隠れて奇襲するには十分。片側が若干高くなっているので、多少なりとも高さで優位も取れるだろう。

「辺境伯。即ち、それはこの付近の地を治めるヴァンパイアということだな。討ち取れれば、民への脅威も大分減るであろうか?」
「そうですね。次の敵が送り込まれて来ないとは保証出来ませんが、辺境伯という地位のヴァンパイアが倒れれば、そう簡単に後釜は用意出来ないでしょう」

 辺境伯に相応しい力を持つオブリビオンがそこまで多くいるとは思えない。また、辺境伯の紋章も容易に量産が効くとは考えにくいだろう。

「では、後は先に見つからぬよう注意しつつ、敵を待ち構えるだけだな。くく、腕が鳴るではないか」
「はい。必ず辺境伯を撃ち倒しましょう」

 二人は迎撃ポイントで、辺境伯の軍勢を待ち構えるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『溶かしすり潰す者』

POW   :    すり潰す
【のしかかり】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    強酸噴出
【吹き付ける強酸の塊】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【に捕食対象を溶かす酸溜まりを残し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    強酸自爆
【死に際に酸を撒き散らし破裂する為、身体】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 巨大ナメクジ『溶かしすり潰す者』の軍勢が、地面を爛れさせながら人類砦へ向けて進軍していく。

「ふふふ、愚かな人間共の悲鳴が今から楽しみだ。こいつらに溶かされ、どんな声を上げてくれるのか……」

 その後ろから進むミスト・ヴァーミリオンは、配下が人類砦の住民を蹂躙する様子を想像してほくそ笑んでいた。ナメクジ故に、溶かしすり潰す者の進軍速度は人の歩く速度程度だが、脅威は着実に人類砦へ近づいている。

 そして辺境伯の軍勢は、遂に猟兵達が待ち受ける迎撃ポイントに差し掛かかる。ここを突破されてしまえば、人類砦の全滅は必至だ。猟兵達よ、先ずは配下の溶かしすり潰す者を殲滅するのだ!

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●猟兵達は、左右に木々が並ぶ森の中の道にて敵を迎撃します。道の片側は若干高くなっています。
●待ち構えていた関係上、罠や準備等を行っていて構いません。
●『溶かしすり潰す者』は、その全身を強い酸性の粘膜に覆われています。迂闊に触れば、それだけでダメージを受けてしまうでしょう。
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リーヴァルディ・カーライル
…少しばかり出遅れたけど本番には間に合ったみたい

…辺境伯の紋章とやらも気になるけど、
今はあの気色悪いナメクジを退治する事が先決ね

事前に敵の侵攻ルート上に“魔晶弾”を複数設置しておき、
強酸で弾殻が溶けたら爆発するように魔力を溜めておく

…足止め程度にはなるはず。本命は別にあるし…

今までの戦闘知識と経験から敵の攻撃を予測して見切り、
第六感が好機を捉えたら自身の生命力を吸収してUCを発動

限界突破して水分を蒸発させる“火属性の霧”を放ち、
火属性攻撃のオーラで防御を無視してナメクジを干からびさせる

…この先にあるのは今を生きる人達が必死に築き上げた希望の地よ
お前達のような存在が踏み込んで良い場ではないと知れ



「……少しばかり出遅れたけど、本番には間に合ったみたい」

 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は安堵の息を吐き、迎撃場所に仕掛けを施す。辺境伯の軍勢はもう少しでここに到着するが、ちょっとした細工をする時間はある。そうして準備を終えたリーヴァルディ、迎撃場所の道で敵を待ち構える。

「ふむ……貴様は猟兵か。どうやって嗅ぎつけたかは知らないけど、僕の楽しみをじゃまするつもりかい?」
「……この先にあるのは今を生きる人達が必死に築き上げた希望の地よ。お前達のような存在が踏み込んで良い場ではないと知れ!」

 虐殺を楽しみと宣うミストに、リーヴァルディは毅然と対応する。吸血鬼の支配をよしとせず、厳しい中でも必死で生きる人類砦の人々が、吸血鬼の遊びで殺されて良いはずが無い。

「アハハハハ! ここは僕の領地、つまりはその希望の地とやらも僕のものだよ。邪魔するというなら、貴様から死んでもらおうか。やれっ!」

 ミストの指示を受け、三体ほどの溶かしすり潰す者がリーヴァルディへ向かう。その体表は強酸で不気味にぬめっており、触れれば猟兵といえどただでは済みそうに無い。
 だが、その進軍は不意の爆発で中断された。リーヴァルディが事前に道に埋めておいた『魔晶弾』の弾殻が強酸で溶け、爆発したのだ。

「そんな小細工、踏み潰せ!」
「……足止めが出来れば十分。……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」

 爆発に大ナメクジが怯んだ隙に、リーヴァルディは『限定解放・血の教義』を発動させた。それによって生み出された超高温の霧は溶かしすり潰す者を包み込み、一気にその体から水分を奪って干からびさせた!

「ここは、通さない……!」

 辺境伯の軍勢は、一人の猟兵によってその足を止めた。人類砦を護る猟兵と、それを蹂躙せんとする辺境伯との戦いがここに始まったのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ギージスレーヴ・メーベルナッハ
頭目のみならず配下も溶解を得手とする存在か。
あまり近づきたいとは思えぬ存在であるな。

故に、黄昏大隊・歩兵部隊を発動し、呼び出した兵士に銃撃を命令し遠距離から戦おう。
森の木々を遮蔽として用いさせ、近い間合いにいる敵から集中砲火で一気に殲滅にかかる。中途半端に削ってユーベルコードで自爆されるのが一番厄介だ。
【集団戦術】にて集中攻撃するべき敵への攻撃や、残る敵の牽制をそれぞれに随時指示。

指揮の合間に余自身も攻撃に参加。
自爆しそうなナメクジを優先的に狙い、【スナイパー】による膨張箇所の狙撃を試みる。
ダメならば火をかけて燃やしてやろうか!


セルマ・エンフィールド
彼女たちに奇襲地点の選定をお任せして正解でしたね。
私も彼女たちも武器は銃。優位に戦える場所は一致します。

高所の優位も捨てがたいですが狙いを片側に絞らせる必要もなし。彼女たち、あるいは他の猟兵が森の木々に隠れながら攻撃するのであれば私はその反対側から、敵を挟み込むようにして木々に身を隠しながら狙撃を。

強い酸性の粘膜、接近して戦うのであればこちらの攻撃により飛び散った体にも気を付ける必要があるのでしょうが……この距離では関係ありません。

木を強酸の塊からの遮蔽にし、こちらの位置を気取られないように忍び足で目立たないよう移動しながら【氷の狙撃手】で溶かしすり潰す者を撃ち抜いていきます。


シャルロット・クリスティア
……悠長なことです。
そんな進軍速度では、迎撃態勢を整えてくださいと言っているようなものでしょうに。

高所を取り、木々の合間に隠れて狙撃体制を整えます。
酸性の不定形の身体……単純な物理攻撃では撃破は苦労しそうですが。
それならそれでやりようはある。
距離は十分、爆ぜたところでこちらには届かせない……。

氷結弾をセット、撃ちこみます。
弾力のある身体も、酸性の粘液も、着弾点から極低温で凍結させてしまえばその力を発揮することは難しい。
……固めてしまえばあとは簡単です。
通常弾でも何でも、弾性のなくなった身体は容易に打ち砕ける。

のんびりし過ぎましたね。
狩りの準備はとうに整っていますよ、こちらは。



 ここで時をしばし辺境伯軍と猟兵が交戦する前まで巻き戻す。迎撃地点の道を挟む森、その高台になっている側には、ギージスレーヴとシャルロットの姿があった。

「……悠長なことです。そんな進軍速度では、迎撃態勢を整えてくださいと言っているようなものでしょうに」
「大方、攻撃を受けることなど頭にないのであろう。支配者の驕りというやつだ」

 二人は雑談を交わしつつ、迎撃準備を進める。ギージスレーヴは『黄昏大隊・歩兵部隊』を召喚すると、木々を遮蔽に部隊を配置する。シャルトットも手頃なポイントを見つけ、木々の合間に隠れて狙撃体制を整えた。

「しかし、頭目のみならず配下も溶解を得手とする存在か。あまり近づきたいとは思えぬ存在であるな」
「ええ、ここにスナイパーが三人も集まったのは僥倖ですね」

 ここに潜伏するのはギージスレーヴとシャルロットの二人だけ。シャルロットの言う三人目のスナイパーは、道を挟んで反対側の木々の中に隠れていた。

「彼女たちに奇襲地点の選定をお任せして正解でしたね。私も彼女たちも武器は銃。優位に戦える場所は一致します」

 十分な遮蔽のあるこのポイントなら、相手の反撃も受けずに一方的な射撃が可能となるはずだ

「高所の優位も捨てがたいですが狙いを片側に絞らせる必要もなし。彼女たち、高所の方から攻撃するのであれば私はその反対側から、敵を挟み込むましょう」

 こうして猟兵達の挟撃準備は整った。後は敵を待ち構え、殲滅するのみだ。

 そして、敵軍に立ち塞がるリーヴァルディが敵の先鋒を撃破したところで、三人の射手は動き出した。

「歩兵部隊、攻撃開始! 近い間合いにいる敵から射撃せよ!」

 ギージスレーヴは黄昏大隊を統率し、アサルトライフルによる一斉攻撃を開始する。降り注ぐ銃弾の雨は溶かしすり潰す者にダメージを与えると共に、その動きを制する。そこに、シャルロットの射撃が続いた。

「酸性の不定形の身体……単純な物理攻撃では撃破は苦労しそうですが、この氷結弾なら……!」

 『術式刻印弾・氷結』、氷の魔力を封入した瞬間冷凍弾は、溶かしすり潰す者を一瞬で凍結させた。

「弾力のある身体も、酸性の粘液も、着弾点から極低温で凍結させてしまえばその力を発揮することは難しい。……固めてしまえばあとは簡単です」
「よくやった! 黄昏大隊よ! 凍結した個体を狙い集中砲火だ!」

 凍結した大ナメクジが、黄昏大隊の銃弾によって打ち砕かれて絶命する。凍結した状態ではまともに自爆も出来ず、強酸が飛び散ることも無い。二人は効率的に溶かしすり潰す者を殲滅していく。

「チッ、あんな所に隠れていたか……! 一旦退け! 反対側の森に隠れろ!」

 高所からの一方的な攻撃に、ミストは反対の森に逃げるように溶かしすり潰す者達に指示を出す。しかし、猟兵の布陣の前には通じない。

「逃げ道はありません」

 そちらの森に潜伏していたセルマが、移動し始めた大ナメクジを狙撃する。彼女が撃つのも氷結の弾丸、『氷の狙撃手』は次々と溶かしすり潰す者を凍結させていく。

「強い酸性の粘膜、接近して戦うのであればこちらの攻撃により飛び散った体にも気を付ける必要があるのでしょうが……この距離では関係ありません」

 森の中にいるセルマへ向けて、溶かしすり潰す者は強酸を吐き出して攻撃するも、射程の問題でセルマの位置まで届いていない。しかもセルマは位置を気取られないように常に移動しながら攻撃している。闇雲に攻撃しても、当たるはずが無いのだ。

 如何に強酸の粘膜に包まれていようと、ここまで徹底して遠距離攻撃で攻められれば、溶かしすり潰す者には反撃のしようが無い。しかも凍結までさせられてはお手上げだ。三人の射手によって、溶かしすり潰す者はあっけなく全滅したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ミスト・ヴァーミリオン』

POW   :     ヴァーミリオンミスト
対象の攻撃を軽減する【朱き霧】に変身しつつ、【万物を犯す強酸の霧】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
SPD   :    ディアボリックウェイブ
【霧化した体より放つ瘴気の波濤】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を穢し尽くして】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    トキシックミスト
見えない【猛毒の霧となった体】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠天御鏡・百々です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「まったく、折角連れてきたというのに。素敵な悲鳴を聞く計画が台無しじゃないか!」

 配下を殲滅され、ミストは憤慨している。だが、人類砦の住民をいたぶって蹂躙しようという計画など、猟兵達が許すはずは無い。

「仕方ないから、僕自身が手を下すとしかないか。一瞬で死んじゃうから楽しめないけど、あの集落は辺境伯として見過ごせないからね」

 『辺境伯の紋章』によって強化されたミストのユーベルコードは、先ほどの大ナメクジとは比べものにならない程になっている。十分に注意する必要があるだろう。そもそも全身を霧化させて戦うミストは、物理攻撃がまともに効かない厄介な相手だ。そのミストに力を与えている紋章は霧化出来ないとはいえ、霧となった彼に合わせて移動するため、攻撃するには精密な攻撃が必要となるだろう。

「もちろん、邪魔をしてくれた貴様達も皆殺しだ!!」

 災厄の霧『ミスト・ヴァーミリオン』と猟兵達の決戦が始まった!
ギージスレーヴ・メーベルナッハ
ふ、どうやら貴様とは趣味が合いそうだ。
己の優越を信じて疑わぬ輩が、塵芥と見下す者の手で屈辱の内に死す。
これ程の愉悦はあるまい?

黄昏大隊・蹂躙巨艦を発動。
艦より【砲撃】を行うが、主目的は爆風による行動への制約。
同時に兵を降下させ、一斉に敵への銃撃を行わせる。
敵は紋章への被弾だけは回避せんとするであろうから、そこを狙う兵・回避行動を制約する牽制射撃を行う兵に分け、其々に銃撃を繰り返させる【集団戦術】を以て敵を追い詰めにかかる。
艦の爆風で視界が悪くなろうとも、余の義眼による魔力感知で敵の居場所は把握できる(【情報収集】)。
動きが読みきれた処で、魔導小銃による【スナイパー】で紋章を撃ち抜いてくれよう。



「ふ、どうやら貴様とは趣味が合いそうだ。己の優越を信じて疑わぬ輩が、塵芥と見下す者の手で屈辱の内に死す。これ程の愉悦はあるまい?」
「猟兵のくせによくわかっているじゃあないか。貴様のその自信、うち砕いてあげるよ! 誰も霧を倒すことはできないことを教えてあげよう!」

 不敵な笑みを見せるギージスレーヴに対し、ミストはその体を紅き霧へと変化させる。その霧は強酸にして猛毒、これが霧化の能力を極め、『災厄の霧』と呼ばれるまでになったミストの能力だ。

「ゴットリヒター出撃! 目標はあのヴァンパイアだ! 砲撃開始!」

 対するギージスレーヴは、『黄昏大隊・蹂躙巨艦』にて武装飛行戦艦を召喚する。艦は彼女の指示を受けて砲撃を開始するとともに、黄昏大隊の兵士の霊を降下させる。

「兵士達よ! ニ部隊に分かれ射撃せよ! 一部隊は紋章を狙え! もう一部隊は回避を妨害せよ!」

 集団戦術に長けたギージスレーヴは、兵士たちに的確な指示を出す。砲撃の爆風で吹き散らされたところに、動きを制する牽制射撃、そして紋章狙いの銃弾、強力な布陣でミストへと挑む。

「なるほど。考えたね。確かに幽霊相手じゃ強酸も猛毒も通じない。でも、その程度の火力じゃあ僕は倒せないよ」

 しかし、辺境伯の力はその必殺の布陣をも上回る。紋章を護る霧は強力な酸によって、銃弾が届く前に溶かし尽くしてしまうのだ。後は忍び寄る無色透明な猛毒の霧が、ギージスレーヴまで届けばそこでおしまいだ。

「なに、ここまでは予想の内である。この余を只の指揮官と侮ったことを、後悔するのだな!」

 ギージスレーヴは優秀な指揮官であるが、同時に腕利きのスナイパーだ。眼帯を外し、義眼『エレクトロニシェアウゲ』の力を発揮させた彼女は、例え爆風の中であっても、魔力感知で紋章の位置は手に取るように解る。彼女はその目標へ向けて、魔導小銃『トーテンクロイツ』の精密射撃を撃ち放った!

「ひいっ! 紋章に傷がっ! なんてことをするんだ!」

 ギージスレーヴの放った銃弾は兵士のものとは訳が違う。その呪術弾頭はミストの防御を突破、辺境伯の紋章を傷つけた。その十分な戦果に満足したギージスレーヴは、黄昏大隊を盾に撤退に移るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャルロット・クリスティア
……ずいぶん驕っているようですね。
紋章を『授けられた』ということは所詮手駒に過ぎません。
この世界で貴様達を駆逐するのであれば……苦戦すら許されない。

霧……気体に限りなく近い液体、確かにこのままではまともに刃も銃弾も通らないでしょう。
……それであるなら対処は簡単です。『通る状態』にしてしまえばいい。
ポイズンボールを投擲。今回の中身は圧縮液体窒素です。
……つまりは極低温。霧の身体を凝結させる。そうそうその身体を維持できるとは思わないことですね。

固めてしまえば、後は狙い砕くだけです。
最低でも動きを鈍らせる程度は出来るでしょうから、その紋章ごと砕かせて頂きますよ。



「……ずいぶん驕っているようですね。紋章を『授けられた』ということは所詮手駒に過ぎません」
「弱肉強食は世の常さ。弱者は強者に従うべきなんだよ。貴様らも、這いつくばって従うというなら考えてあげてもいいけど?」

 借り物の力で調子に乗るミストを、シャルロットは痛烈に批判する。しかし、力で支配するヴァンパイアにとって、上位者に従うのは当然のことのようだ。逆にミストはシャルロットへ降伏を持ち掛けてきた。

「冗談を。私はあなたを駆逐します」

 もちろんシャルロットの答えは否だ。彼女は『マギテック・マシンガン』を構え、戦闘準備を整える。

「やっぱりそうなるよね。それじゃあ、ここで死んでもらおうか!」

 ミストの体が、赤い霧に変化する。単なる銃弾ならばこれで通じないし、霧に伴って浮遊する紋章を狙うのも容易でない。更には見えない猛毒『トキシックミスト』が、何処からかシャルロットへ忍び寄っている。

「霧……気体に限りなく近い液体、確かにこのままではまともに刃も銃弾も通らないでしょう。でも……霧とわかっているなら対処は簡単です。『通る状態』にしてしまえばいい」

 紋章の位置を目掛け、シャルロットは『ポイズンボール』を投擲する。そして強酸の霧で割れたボールからあふれ出たのは、圧縮液体窒素だ! 

「貴様ああああ!!!」
「-196℃の極低温の前で、そうそうその身体を維持できるとは思わないことですね」

 液体窒素は、ミストの霧の身体を凝結させていく。これでは酸も毒も意味をなさず、紋章の守りは無いも同然だ。

「その紋章、撃ち砕かせて頂きますよ」

 ユーベルコード『狙撃の心得』によるシャルロットの正確無比な射撃は辺境伯の紋章に命中、堅固な紋章に罅を入れた。どうやら紋章とミストの命は共有されているようで、紋章のダメージに合わせてミストも苦しんでいる。

「この世界で貴様達を駆逐するのであれば……苦戦すら許されない。このまま追撃を……くっ!?」

 紋章を完全に破壊すべく、再度狙いをつけようとしたシャルロット。だが、突如として彼女の体を猛毒が蝕んだ。ポイズンボールの中の液体窒素の量では、広がり始めていたトキシックミストの全てを凝結させるに至らなかったのだ。これ以上の毒を受けてはまずいと、悔しげなシャルロットは急いで撤退するのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…人類砦も私達も、お前の思い通りになんてならない
お前の命運は今日、此処で潰えるのだから

今までの戦闘知識から敵の殺気を暗視して攻撃を見切り、
霧の余波は毒耐性や魔力を溜めたオーラで防御し、
怪力の踏み込みから残像が生じる早業で安全圏に切り込み、
呪詛を纏う大鎌をなぎ払う闇属性攻撃のカウンターで迎撃

…どうしたの?本気を出さないの?
私達を皆殺しにするんじゃなかった?

…ナメクジの親玉だからって、自分までナメクジみたいな遅さにならなくても良いのよ?

…一連の流れをUCを乱れ撃ちして繰り返し、
消耗は敵の生命力を吸収する事で補い挑発して敵の注意をを引き付け、
他の猟兵と連携して辺境伯の紋章を破壊できないか試みる


セルマ・エンフィールド
霧化した敵をどうにかして攻撃するか、精密な狙いで紋章を撃ち抜くか……どちらも得手中の得手です。

とは言ったもののただでさえ強力な相手がさらに強化されている。ならば出し惜しみは無しです。

引き続き木に隠れて瘴気の波濤を避けながら辺境伯の紋章に接近します。最終的には森を抜けて敵に場所が知られても構いません。
接近出来たなら【ニヴルヘイム】を使用、半径80mを絶対零度の冷気で覆います。
瘴気だろうと、霧だろうと……全て凍てつかせるのみです。

霧のまま範囲から逃れようとするか、凍結を防ぐために一旦吸血鬼の体に戻るかは分かりませんが、どちらにせよ動きは鈍くなる。辺境伯の紋章を絶対零度の弾丸で狙い撃ちます。



「霧化した敵をどうにかして攻撃するか、精密な狙いで紋章を撃ち抜くか……どちらも得手中の得手です」

 厄介な能力を持つミストだが、『絶対零度の射手』セルマはそれを攻略する手段を持っている。能力に頼り切った戦いをするミストにとって、彼女は天敵ともいえる存在だ。

「とは言ったものの、ただでさえ強力な相手がさらに強化されている。ならば出し惜しみは無しです」

 だからと言って、油断して勝てるほど辺境伯は甘くない。セルマは今一度気を引き締めて、木々に隠れて森よりミストへの接近を試みる。

 そしてリーヴァルディはといえば、正面からミストへと挑みかかっていた

「……人類砦も私達も、お前の思い通りになんてならない。お前の命運は今日、此処で潰えるのだから!」
「辺境伯であるこの僕に逆らうな! 人類砦の奴らも猟兵も、全員皆殺しだ! 瘴気に呑まれて消えろっ!」

 これまでの戦いで紋章に罅を入れられたせいか、ミストの余裕そうな様子は最早無い。怒りの形相でリーヴァルディを睨み、霧化して『ディアボリックウェイブ』を放ってきた。

「……ナメクジの親玉だからって、自分までナメクジみたいな遅さにならなくても良いのよ?」

 怒りで冷静さを失った攻撃ならば、回避は容易い。余波もオーラで受け流し、リーヴァルディはカウンターで大鎌『過去を刻むもの』による斬撃を喰らわせた。強力な呪詛を纏わせた闇属性の斬撃だ。これならば霧の体にもダメージを与えられる。

「……どうしたの? 本気を出さないの? 私達を皆殺しにするんじゃなかった?」
「五月蠅いっ! 死ねえええええ!!」

 瘴気の波濤は大地を穢し、ミストの力を高める。先ほどのものよりも更に激しい瘴気がリーヴァルディを襲う。しかし、リーヴァルディは不自然な動きで無理やりそれを躱し、大鎌の斬撃を返した。これは彼女の切り札、『吸血鬼狩りの業・正伝』によって、寿命を代償に行動を成功させたのだ。

「あの紋章、思ったよりも厄介。生命力はあまり奪えないし、寿命の消費が激しい」

 紋章による強化によって、ミストの全能力が上昇している。そのせいで生命力吸収による回復は芳しくなく、瘴気によって強化が重なったディアボリックウェイブを回避し続けるには、代償も大きすぎる。そろそろ彼女も限界だというところで、戦場を強烈な冷気が包み込んだ。

「瘴気だろうと、霧だろうと……全て凍てつかせるのみです。私が限界を迎えるのが先か、あなたが斃れるのが先か……勝負といきましょうか」

 リーヴァルディがミストを引き付けている間に、森から接近していたセルマは遂にミストを射程に捕らえたのだ。そして発動されたユーベルコードは『ニヴルヘイム』。99秒の間のみながら、セルマはその能力を大きく向上させ、絶対零度の冷気を操る力を得た。

「また冷気か! 忌々しい!」

 ミストは瘴気の波濤をセルマに放とうとするも、絶対零度の冷気の前に全ては凍り付く。重ねて穢した大地もそれは同じだ。反撃も防御もままならぬミストに、二人は決着の一撃を放つ。

「骸の海に還れ!」
「その紋章を、打ち抜きます!!」

 リーヴァルディの大鎌は赤い霧を両断し、セルマの放った絶対零度の弾丸は辺境伯の紋章を貫いた!

「馬鹿な! 辺境伯であるこの僕が! 猟兵なんかにやられるなんて!」

 紋章を貫通され、大鎌の呪詛に蝕まれ、辺境伯ミスト・ヴァ―ミリオンは力尽きた。朱き霧は掻き消え、穴の開いた紋章が地面に転がっている。

「これが、辺境伯の紋章ですね。これを集めていけば、紋章を与えた上位の吸血鬼が明らかになるのでしょうか?」
「グリモア猟兵はその可能性があると言っていた。そいつも何れ……狩る」

 セルマは壊れた辺境伯の紋章を回収する。紋章を与えた者は、この世界の支配者に類するもののはずだ。ダークセイヴァーをオブリビオンの支配から解放するにあたって、いつかは戦うことになるのだろう。

 猟兵達は辺境伯を倒し、この人類砦を護り切った。人類の抵抗が強まるに伴い、オブリビオンもより強力な相手が出現している。しかし、猟兵達ならば、必ずそれを打ち破っていけるはずだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年06月07日


挿絵イラスト