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嘘とクレームをコーヒーに溶かして

#UDCアース #呪詛型UDC

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●クレーマー嫌い
「て、てんちょぉ~……」
「今日はいつにも増して酷いわね……」
 東京都内某所、カフェ「マキアート」の店内にて。
 店員が小さくなって、頭を下げ続ける店長に縋りついていた。店長も店長で、げっそりした表情を隠さない。
 何故なら。
「ちょっと!! ミルクポットに髪の毛が入ってたんだけど!!」
「ラテアートお願いしますって言いましたよね? こんなのがラテアートだって言うんですか??」
「カフェだというのにウイスキーの一本も置いてないじゃと!? なっとらん!!」
 店内に飛び交う怒号、怒声。来る客来る客、揃いも揃ってクレーマーなのだ。
 そのいずれもが理不尽な要求を突き付けてくる。最後の老人なんて、ここをカフェバーだと勘違いしているんじゃなかろうか。ただのカフェなのに。
「はぁぁ……」
「なんだその溜め息は!! 客をバカにしているのか!!」
 店長以下、店員一同、心は一つだった。
 もうこんな店、絶対に辞めてやる。

●クレーマーめんどくさい
「……UDCアースは、こんな態度の客が横行しているのか……」
 イミ・ラーティカイネン(夢知らせのユーモレスク・f20847)はそう吐き捨てて、グリモアから映し出される映像を見ていた。
 彼の見た夢は事件の予兆。一見、テレビドラマのワンシーンのようにしか見えないその映像の中にも、オブリビオンの影は確かにある。
 イミが憎たらし気に視線を送るそのUDCは、口角泡を飛ばして店員に食って掛かる老人だ。このご時世、マスクは着けているものの、そのマスクは顎の下。意味がない。
「このなんとも尊大で不遜な男がUDC『暴走老人』だ。筋違いな怒りを周囲に撒き散らし、理不尽なクレームと乗用車による突貫で、店舗を次々に破壊する。このカフェ『マキアート』も今まさに、破壊される寸前だ」
 そう言いながらため息をついて、彼が映し出したのはカフェの店内だ。カントリー調の内装に柔らかな色合いで揃えられたチェア。趣味のいい店内なだけに、クレーマーの被害に遭っていることがなんとも惜しい。
 店長と思しき女性が頭を下げる姿を映しながら、イミが皮肉っぽく笑う。
「クレーマーというのは面白いものでな、誰か一人が目をつけたその店に、蟻のように集まってくる。始まりがどんなに些細なものであってもな。そこは攻撃していい場所だ、と認識するんだろう。逆に言えば、一度毅然とした態度で撃退すれば、自然と離れていく」
 攻撃していいと判断した店は攻撃していい。攻撃できない店は近寄らない。謎の嗅覚でそれらを判断するクレーマーには、毅然と対応してクレーマーを寄せ付けないのが最適解だ。
 お客様は神様とはよく言うが、貧乏神や疫病神はお帰りいただくのが一番である。
 それをよくよく理解しているらしいイミも、にやりと笑って猟兵たちに指を向けた。
「というわけで、だ。先輩たちにはクレーマー集団に対処してきてもらう。マイルドに嘘をついてやりこめるもよし、ズバッと正論で返して撃退するもよし、物理的にお帰りいただくもよし、だ。
 あぁ……だが、物理的にお帰りいただくのは最後の暴走老人だけだぞ。それ以外のクレーマーに物理手段を行使したら、向こうの思うつぼだ」
 クレーマーがどんどん押し寄せてくるが、手を出していいのはUDCの暴走老人だけ。それ以外のクレーマーは一般人なので、手を出したら逆に店の評判が落ちてしまう。
 口八丁を駆使して、正論で切り返して。様々なクレーマーに適切に対応するのが、今回の仕事の内容だ。
 説明を終えたイミがグリモアから投影する映像を消す。ガジェットをくるりと回せば、聞こえてくるのは穏やかなカントリーミュージックだ。
「準備はいいか、先輩たち? 面倒な案件だとは思うが、無事に仕事を終わらせて、ちゃんと帰って来るんだぞ」


屋守保英
 こんにちは、屋守保英です。
 クレーマーとクレーマーのUDCを何とかするシナリオです。
 理不尽をぶっ飛ばせ。

●目標
 ・暴走老人×6体以上の撃破。

●戦場・場面
(第1章)
 東京都内にあるとあるカフェ「マキアート」の店内です。
 この店で、皆さんは店員として働いてもらうことになります。
 お客さんが来店してきますが、理不尽な難癖をつけてきます。
 巧みに嘘をついて、お客さんに納得して帰ってもらいましょう。

(第2章)
 第1章と同じく、「マキアート」の店内です。
 別のお客さんが来店してきますが、その全てが悪質なクレーマーです。
 クレームに対処しつつ、UDCが出現するのを待ちましょう。

(第3章)
 第1章、第2章と同じく、「マキアート」の店内です。
 UDC「暴走老人」が最後のトドメとばかりに出現し、店内で暴れ始めます。
 骸の海にお引き取り願うため、撃破しましょう。

 それでは、皆さんの力の籠もったプレイングをお待ちしています。
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第1章 日常 『みーんな嘘つき』

POW   :    すっごくでかい嘘をつく

SPD   :    人を騙せそうな嘘をつく

WIZ   :    バレそうにない嘘をつく

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●クレームが留まらない
「ちょっと! 砂糖が足りないんですけど!」
「あのー、紅茶がぬるいんですけどー?」
「レモンティーなのにレモンが無い! なんでよ!?」
 クレームの声がカフェ「マキアート」の店内に響き渡る。
 このクレームに対応するのは猟兵たちだ。一般の店員さんは安全のため、厨房での調理を担当してもらっている。
 いかに、マイルドなクレーマーたちを丸め込むか。猟兵たちの口の上手さが、今試される。
神奈木・璃玖
やれやれ、クレーマーというものはどこにでもいるものなのですね
それが正当なクレームならば問題などないのですが、中には理不尽なものも存在します
商人である私も何度も体験したものですから、非常に身につまされる思いです

店員の皆さんは日々のクレーム対応で非常にお疲れの様子
ここは私にお任せ下さい
お客様への対応時には選択UCをもって、少々大袈裟ともいえるような反応と共にお客様の立場となってお答えしましょう(対価はお任せで)

クレームというものは毅然とした態度で真摯にお答えすればお客様も分かってくださるものなのです
お客様は神様ではありませんが、神様のように接するということを忘れてはいけませんからね



●トラブルは付き物
「おーい、早く来い!」
「はーいただいまー! 少々お待ちくださーい!」
 客席から飛ぶ声に、厨房で動き回る店員が高らかに声を返す。
 そんな声を背中に聞きながら、神奈木・璃玖(九尾の商人・f27840)はすんと鼻を鳴らした。
「やれやれ、クレーマーというものはどこにでもいるものなのですね」
 どんな世界にも文句をつけないと気が済まない輩はいるものだが、UDCアースは別格で多いものだ。色々な店がクレーマーに悩まされて、店員が日々心を痛めている。
 この「マキアート」の店員も、日々降りかかる数々のクレームに疲弊していた。客から声が飛ぶたびに、小さく身を強張らせるのが見える。
「店員の皆さんは日々のクレーム対応で非常にお疲れの様子。ここは私にお任せ下さい」
 璃玖はそう発しながら、さっと襟を正して前に踏み出した。手を上げ続ける客に向かって一直線、びしりと背を正しながら向かい、真摯な態度で接する。
「お待たせいたしましたお客様、如何なさいましたか?」
「うっ……この、これさぁ、このパンケーキ! 写真じゃもっと薄っぺらかったと思うんだけど!?」
 璃玖の居住まいに、客の側が微妙に気圧される。しかしその凛とした佇まいに怯むべからずと、相手は声を張り上げた。
 それを受けて、璃玖の口角がうっすら持ち上がる。そして彼は深々と、わざとらしいくらいに頭を下げた。
「申し訳ございませんお客様、当店のパンケーキはメレンゲを立たせてふんわりとした食感に仕立て上げますため、膨らみ方がその時々で違うのでございます。今回お客様にお出ししたパンケーキは、大層よく膨らんだのでございましょう」
「う……」
 璃玖があまりにも毅然と、真摯に言葉を発するのに、クレームをぶつけてきた客の側は何も言えない様子だ。
 真摯に接する、それは商売における重要な要素だ。たとえその上で吐く言葉が嘘に塗れていても、真摯に発した言葉は説得力を持つ。
 この店のパンケーキが本来は薄めに焼かれているのは間違いない。今回ぷっくら膨らんだのは、たまたまだ。しかしそこに「メレンゲを立たせる」という嘘の理由付けをすることで、璃玖は現状に説得力を持たせた。
 しかして、クレーマーは振り上げた拳をゆっくりと下ろす。
「まぁ、美味しいから、いいけどさ」
「ありがとうございます」
 相手の言葉に、璃玖は満面の笑みを浮かべながら、また深々と頭を下げた。

成功 🔵​🔵​🔴​

九尾・へとろ
SPD

ひょひょ、給仕にケチをつける仕事かえ。
いいのー、ウチもその仕事で食っていきたいもんじゃ。
店員の皆様方は振り回されてお疲れのご様子じゃな。
ここはウチに任せておくがよい。
始めはやんわりはいはいと聞いて頭下げとけばいいんじゃろ?
それでも引かんなら強硬手段よ。

ウチのような可憐な美少女におさわりしたらせくはらとかいうやつで大変なんじゃろ?
男女問わず、隣に座って「誘惑」「言いくるめ」でぺろりとどこかしら触らせてやろう。
悲鳴を上げて訴えるとかいえば、愚昧な輩なら逃げ帰るじゃろ。
あるいは睦言のように脅しかければよいかの。

なに、店から甘味の一つでももらえれば良い程度の仕事じゃよ。
アドリブ共闘歓迎じゃ。



●セクハラは困り物
 何人かのお客が怒鳴り声を上げる中。
 カフェの制服に身を包んだ九尾・へとろ(武舞の姫・f14870)は、口元に手を持って行きながらくすくすと笑みを零した。
「ひょひょ、給仕にケチをつける仕事かえ。いいのー、ウチもその仕事で食っていきたいもんじゃ」
 彼女の言葉に、後方で聞いているカフェの店員は苦笑する他ない。実際、そんな仕事で金が貰えるのなら、どんなにか楽なことだろう。周囲は不快なことこの上ないが。
「店員の皆様方は振り回されてお疲れのご様子じゃな。ここはウチに任せておくがよい……なあに、始めはやんわりはいはいと聞いて頭下げとけばいいんじゃろ?」
 そんなことを言いつつ、へとろは厨房のスタッフに向かって蠱惑的な笑みを見せた。その含みのある言い方に、はにかんだ笑みを返す店内の面々である。
「おい、さっきから呼んでいるだろう! さっさと来い!」
「はい、ただいまぁ!」
 さて、怒鳴らせっぱなしにしておくわけにもいかない、へとろは先程から声高に店員を呼びつける、中年男性のところにしずしずと向かった。
 男性のテーブルの前に立ち、粛々と声をかける。
「お客様、どうされたのかのぅ?」
「どうしたもこうしたもあるか! この紅茶、死んだハエが浮いてたぞ!!」
 激高しながら冷めかかった紅茶のカップを指さす男性だ。その水面には確かに、動かないハエが浮かんでいる。
 なるほど、これは問題だ。この男性がわざと紅茶にハエを浮かべたのでなければ。
「まあ、それは一大事。ほんに申し訳なかったのう」
「本当に一大事だろうが! それになんだその口調は、反省する気があるのか!?」
 頭を下げるへとろに、男性はなおも食って掛かる。ついには彼女の口調のことにまで文句をつけ始めた。
 と、こちらに指を突き付けた男性の手を、へとろは即座に掴んだ。
「え……」
「ウチの口調は元々こうじゃからのぅ、堪忍してたもれや?」
 戸惑う男性に顔を寄せ、にんまりと笑ってみせる。そのままへとろの掴んだ男性の手は、彼女にされるがままに彼女の頬へ。
 触れるや否や、へとろは弾かれるように後方に飛びのいた。
「きゃぁぁっ、お客様!?」
「へっ!?」
 突然のことに訳も分からず硬直する男性。その男性に、へとろは涙目になりながら逆に指を突き付けた。
「手を出してこられるとは、セクハラというやつじゃな!? 訴えて進ぜようか!?」
「ひ、え……くそっ!」
 大声で叫ぶ彼女と、戸惑う男性に店内の視線が集まる。
 でっちあげたとはいえ、現状は男性が明らかに悪い。不利を悟った男性は、荷物を掴んで飛び出すように「マキアート」の店内から去っていった。
「ふう……ざっとこんなもんじゃ。褒美に甘味の一つでも所望しようかのう」
 そして、先程までのやり取りが嘘のように、へとろはまたゆるりと微笑みを見せるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ベッジ・トラッシュ(サポート)
◆戦闘時
戦うのは怖い!
なのでボス戦ではだいたい逃げ回っている。
(味方の手助けになる行動や、囮になるなどの功績を得ることはあるがだいたい無意識)
「こ、ここ…怖いのではないゾ!ベッジさんは様子をうかがってイタのだ!!」

手の届かない相手にはパチンコで苦し紛れに絵の具弾を飛ばすこともある。

◆冒険時
基本的に好奇心が強く、巻き込まれ体質。

敵味方関係なく、言われたことには素直に従う。
怪しいような気がしても多少なら気にしない。
後先考えずに近づいて痛い目を見るタイプ。

◆他
口癖「ぎゃぴー?!」
お気に入りの帽子は絶対にとらない。
食べ物は目を離した隙に消えている系。
(口は存在しない)
性能に問題はないが濡れるのは嫌い。



●こだわりの強さ
「ちょっと!! まだなの!?」
「ギャピッ!?」
 先程から何度も呼び鈴を鳴らしている女性の大声に、女性のすぐそばの席に座っていたベッジ・トラッシュ(深淵を覗く瞳・f18666)は小さく飛び上がった。
「こ、ここ…怖いのではないゾ!
ベッジさんはクレーマーの様子をうかがってイタのだ!!」
 誰に言い訳をするでもなく独り言を零すベッジ。しかし今は戦闘でもなく、ただ人々がクレームをつけるだけ。
 勇気の出しどころはここだ。ベッジはぴょんとソファーから飛び降りる。
「ああもう、なんだって――」
「お姉さん、どうしたのダ?」
 そして、なかなか店員が来ないことに苛立つ女性客のもとへ向かい、声をかけた。
「さっきから大声を出しているノダ。ベッジさんが話を聞いてやるノダ」
「あ、え……えーと、そうね……」
 ベッジの素朴で朴訥な雰囲気に毒気を抜かれたか、女性客が気炎を収める。
 そのまま女性客の座るボックス席に座り、ベッジは彼女の話を聞いた。静かに、時には相槌を打ちながら、女性客の思いを受け止めていく。
「ふむふむ。つまりお姉さんは、レモンティーを頼んだのに、レモンがスライスレモンでなかったことを、怒っているのダナ?」
「そういうこと……紅茶の液面にレモンスライスを浮かべた、あのビジュアルが好きなのに……」
 そして粗方吐き出し終わった女性客に、確認するように声をかければ、相手はコクリと頷いた。
 彼女の前にはカップに入った紅茶。この時期に温かい紅茶を頼む客だ、こだわりは強いのだろう。その傍らに添えられたレモンについても。
「でも、お姉さん。レモンティーにカットレモンを付けてくれるお店なら、怒らなくても普通に頼めば、スライスレモンを出してくれるのではないかナ?」
「あ……」
 そして、ベッジの言葉かけに女性客は、ハッとした表情を見せた。
 スライスレモンが欲しいのなら、それをそのまま伝えればいいのだ。クレームの形にしなくても。この店はそれだけのポテンシャルがあるのだから。
「怒りながら言う必要は無いのダナ。まずは普通に、丁寧に頼む。それだけでもお互い幸せなんだナ」
 ベッジの言葉に、女性客は恥入るように俯いた。不見識を恥じたか、一時の激情に身を任せたことを恥じたか。
 いずれにせよ、彼女は俯いたままで小さく頷いた。
「……そう、そうね、ありがとう」
「どういたしましてなんだナ」
 彼女の言葉にベッジはこくりと頷き、ソファ席をぴょこんと飛び降りた。
 やるべきことはやった。彼の心は晴れやかだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイーグ・ソイル
[WIZ/連携アドリブ等歓迎です]
大丈夫ですよお客様、人狼は耳が良いのです、大声を出さずともちゃんと聞こえております!
そう、先ほどお客様が口にされたコーヒーに大変素直な小声で「美味しい」と呟いてくださったことも、きちんと届いておりますとも!ええ、ええ!
ですので、コーヒーはおかわりをお持ちしますね!
そちらのお客様はメニューを見て迷われているようで!今日の占いの結果をみてドリンクを決めてみませんか?当たるんすよここだけの話ですけど!ええここだけの話ですけど!!!!

合間にUC「シンフォニック・キュア」を交えた鼻歌を使って、店内の雰囲気をポジティブ方向に修正するっす!さあ和んでくださいっすよ~!


ギャレット・ディマージオ(サポート)
●設定等
ダークセイヴァー出身の冷静沈着な黒騎士です。
鎧の着用が一般的でない世界では、サングラスやヘルメットに黒いスーツを着ているように見られます。

●行動方針
🏠日常では、基本的に現地の人々のためになるような行動を取ろうとします。

絶望の世界で日々の食料にも事欠く旅を送っていた経験から、美味しいものがあるとつい余計に買ってしまう癖があります。余った分は人にあげます。

年長者には経緯を持って行動しますが、年長者でも明らかに間違ったことを言っている場合は適当にあしらいます。

他は全てお任せします。
別の猟兵との交流や連携等も自由に行ってください。
どうぞよろしくお願いします。



●威圧感と朗らかさ
 カフェ「マキアート」の店内が次第に落ち着きを見せながらも、未だクレーマーで賑やかしくなる中。
 ギャレット・ディマージオ(人間の黒騎士・f02429)はびしりと決めたスーツの裾をはためかせ、バックヤードから足を踏み出した。
「ふむ。クレームとあれば、毅然と接するより他にはない……ここは私が行くとしよう」
 ルイーグ・ソイル(寒がり人狼グールドライバー・f14784)もそれに伴い、一緒にフロアに踏み出していく。
「あ、クレーム対応っすね!? お供するっす!」
 足を向ける先は先程からガンガンにがなり立てている中年男性のもとだ。他のクレーマーに負けず劣らずの声量で、店内にダミ声を響かせている。
「おい、まだなのか! さっさとこっちに来ないか!!」
「はいはーい、ただいまお伺いいたしますー!」
 その彼のもとにルイーグは矢のように飛び出した。にこやかな笑顔と丁寧な所作を以て、クレーマーの元に馳せ参じる。
「はいお客様、大丈夫ですよ、人狼は耳が良いのです、大声を出さずともちゃんと聞こえております!」
 いっそ清々しい程ににこやかな表情を見せるルイーグに、クレーマーの男性は一層語気を荒げる。
「分かってるならさっさと来ないか!店長を――」
「お呼びでしょうか」
 と、そこに遅れてやってきたのはギャレットだ。黒スーツにサングラスという、凄まじく威圧感のある装いを目にした男性が、びくりとたじろぐ。
「えっ、う……」
「はい、当店の店長でございますお客様。非常に幸運ですね! 普段はいらっしゃらない方なので!」
 そこに追い打ちをかけるようにルイーグが言葉を重ねた。普段はいない、しかし権威のある人間、ということを殊更にアピールする二人に、クレーマーの勢いが見る間にしぼんでいく。
 すっかり萎縮した男性に、ギャレットが冷たい声で告げた。
「当店のコーヒーに、何かご不満が?」
「うっ、う、こ、この、味わいが安っぽすぎる! こんな喫茶店で、こんな安いコーヒーを飲ませるなんて、やる気があるのか!」
 そうありながらも、なおも虚勢を張る男性に、ギャレットは恭しく頭を下げた。一緒にルイーグも頭を下げる。
「お気に召さなかったのでしたら申し訳ありません。本日のブレンドは煎りが少々浅かったでしょうか。不手際をお詫びいたします」
 この店のブレンドコーヒーの味わいの如何はともかく、まずは頭を下げる。クレーム対応の常だ。だが、そこから先をどうするかが腕の見せ所。
 故にギャレットは背筋をしっかと伸ばしながら言う。
「ですが、その味わいの違いを見分けられるあたり、お客様は当店のコーヒーにご精通いただいているご様子。なればこそ、愛あるご指摘と受け止めることも叶うでしょう」
「う……」
 彼の言葉に、男性は今度こそ言葉に詰まった。
 彼としては、そこまで気を使って言うつもりではなかったはずだ。しかしそれを針小棒大、大袈裟に取り扱えば、逆にクレーマーは慄き、怯む。
 そこに畳み掛けるように、傍に立って聞いていたルイーグが密やかに声を発した。
「それに、お客様、私は耳にしておりましたよ。コーヒーを口にした瞬間、小さく『美味いな……』と呟かれましたことを」
「っ、う!?」
 その言葉がトドメになった。もうこうなっては、このクレーマーはコーヒーを美味しく感じながらも、愛ある指摘を齎した良客になる他ない。
「う、まぁ、その、なんだ、次はもう少し、深煎りにしてくれ」
「かしこまりましたー!」
「ご指導、ありがとうございます」
 観念した男性の言葉に、ルイーグもギャレットも深々と頭を下げて。
 そうして再びいつも通りの空気が流れ始める中、店員を呼ぶ客の声が上がる。
「すみませーん」
「はーいただいまー!」
 その声に反応して飛んでいくルイーグ。真摯に丁寧に、客の言葉に応対していく。
「これ、メニューの内容がよく分からなくて……」
「あぁなるほどです、でしたらお客様、今日の占いの結果をみてドリンクを決めてみませんか? 当たるんっすよここだけの話ですけど! ええここだけの話ですけど!!」
 いっそ白々しいくらいのことを言いながらも、彼は客の言葉に丁寧な対応をしていく。
 そうして徐々に、店内の空気が和やかになっていって。
「……ふっ」
 ギャレットはサングラスの下の瞳をうっすら細めながら、僅かに口角を持ち上げるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第2章 冒険 『お客様は神様です!』

POW   :    気合で耐え抜く!

SPD   :    速やかに要求に応える!

WIZ   :    頭を絞って言い負かす!

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●お客様は神様です、と客が言うのはどうだろう
「おい、このメニューは頼んでないぞ! ぼったくるつもりか!」
「どれだけ待たせるつもり!? もういいわ、キャンセルで!!」
 なおもカフェ「マキアート」の店内に響くクレームの声、声、声。
 店員たちは相変わらずげっそりしながら料理や飲料を作っている。クレームの度合いも先程までより幾分、悪質だ。
 そろそろ、嘘だけで言いくるめるには難しい部分もあるだろうか。
 猟兵たちは理不尽なクレームに対処すべく、また動き始めるのだった。

●特記事項
 ・第一章の時より悪質なクレーマーが、店内に跋扈しています。
  言いくるめ、耐え抜き、その他諸々を駆使して、クレーマーを撃退してください。
  ただし、腕づくで追い出すのはダメです。怪我をさせたりしたらクレームの元なので。
オークティス・ルーヴェルト(サポート)
【Support】
『M.O.F.M.O.F is Power』
『私はイッヌ。ワルイオオカミ、ジャナイヨ』
28歳♂:人狼のアリスナイト × 破戒僧
口調:カタコトダヨ。語尾や外来語が英語になりマース。

★舶来のオークティスデース。鎖型のUCや鼓舞で戦ウ元バーバリアンNE。チョット英語訛りの言葉ツカウヨ。デモ日本語全部ワカルヨ!★動揺すると平仮名も混じるね★女ノ子ニ良イトコ見セタイ!★人狼の持つ変化(獣耳型、獣人型、獣型)の他にモフモフな形状を変化させて戦況に適応シタリも出来ルYO!★コミカルなシーンでは思い切りハシャグから宜シクNE

*アドリブや台詞回しは適度に変更可
*多少キャラがブレてもOKです。



●種族的にしょうがない
「おい、これを作ったやつを呼べ! 早く!」
 若い男性が、テーブル席で大声を上げる。
 その声を聞いて、「マキアート」の店員の一人が彼のもとに駆け付けた。
「お客様、どうなさいましたか?」
「どうもこうも、見ろこれを! 髪の毛が入っていたどころの騒ぎじゃない、こんなにたくさんの毛が、どうやったら入るというんだ!」
 そう店員にがなり立てる男性客の手元には、食べかけのケーキがある。見たところ、毛のようなものが付着している様子はない。
 言いがかりだ。明らかにありもしないものをでっちあげようとしている。しかし店員は頭を下げた。
「も、申し訳ございません! 実は――」
「オーッ、I'm sorry!」
 そう言いながら件の客の元に駆けてきたのは、オークティス・ルーヴェルト(仮)もふみの求道者✨️・f06321)だった。
 人狼らしく変化の能力を持つ彼だが、今の彼は獣人型。それももふみマックスのもっふもふだ。
 突然のもっふもふな店員の出現に、その姿に違和感を持たないまでも言葉に詰まる客だ。
「えっ」
「実は、こちらの商品をご用意したのはこの方で、お姿もこの通りで……」
 困惑する客に対し、案内役の店員がおずおずと、オークティスへと手を差し伸べた。
 こんなもふもふな姿を見せつけられたら、獣毛が落ちてしまうことへの説得力には十分だ。例えこの客が、言いがかりとして毛が入っていたと言っていても。
 故にオークティスは、説得力を持たせるべく自分のもふもふな胸を大きく張る。
「私はイッヌ。ワルイオオカミ、ジャナイヨ! イッヌナノデ、毛ガ入ッテシマッター」
「お、おぉ……」
 もっふもふなその姿を見せつけられて、もはや客は何も言えない。
 こんなに大っぴらに毛が落ちやすい様を見せつけられたら、クレームもクレームではなくなってしまう。
 二の句が継げない様子の客に、オークティスがおもむろに近づく。
「オ客サン、モフモフ好キカ? モフモフ好キナラ、オワビニモフモフスルマス! コレデHappy、皆シアワセ!」
「ちょっ、待っ、うふ……っ」
 そのまま客を抱きすくめるオークティス。客はもふもふの毛に埋もれ、困惑が頂点に達しつつも幸せそうで。
 しかして、オークティスが客を解放した時には、相手はすっかり毒気を抜かれていた。
「ま、まぁ、うん、あれだ。仕方ないな、次からは気をつけてくれ」
「All right!」
 もふもふによってすっかり懐柔された男性客がオークティスに声をかければ、彼はびしりと背筋を伸ばして答えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

クレア・ベルディモード(サポート)
かわいい忠犬系お嬢様。
ギャグやお色気シーンの被害者要因。
割とひどい目にあっても健気に頑張ります。
天然でボケて、常識でツッコミをするタイプ。
勉強は出来る方なので、知識面ではそれなりに。
礼儀作法はお手の物、内心はともかく自信に溢れた笑みを浮かべ貴族らしく振舞う事は出来ます。
戦闘面ではいまいちですが、精神面ではどんなにボロボロになりながらも折れない鋼メンタルです。
貴族としての矜持もあり、庶民を守る義務と責任の為に無茶をすることも。

ヤラレ役、あるいは周囲を称賛する役大歓迎。
正直、貴族より農民が向いてる。



●とにかくめげない
 まだまだ、カフェ「マキアート」の店内は穏やかさを取り戻してはいない。
 再び、別のテーブルから初老の男性客が声を上げた。
「おい、そこの!」
「はい、ただいま伺います!」
 その声を受けて、男性客のテーブルに向かうクレア・ベルディモード(駆け出し猟兵・f05060)。彼の傍に歩み寄って、クレアは誠実に言葉をかける。
「はい、お客様!」
「私はこんなもの頼んでいないぞ! 注文したのはブレンドコーヒーだ! これはどう見てもカフェオレじゃないのか!!」
 やってきたクレアに、男性客は乱暴に言葉を投げつける。
 彼の手元には湯気を立てるカフェオレのカップがある。テーブルの上の伝票にもカフェオレの文字が確かに。
 故に、彼の男性客が「ブレンドコーヒーを注文するつもりだった」というのを証明する術は一つもないのだ。伝票の打ち間違いにせよ、言いがかりにせよ。
 しかしそれでも、クレアは深々と男性客に頭を下げる。
「も、申し訳ありませんお客様! すぐにご注文の品をお持ちいたします!」
「軽々しく商売しているんじゃないぞ! 一つの注文のミスが重大な事故につながるんだ、分かっているのか!?」
 大きく頭を下げるクレアに、ふんぞり返りながら男性客は言ってのける。
 その言葉を聞きつつ、クレアは頭を伏せながらちろりと舌を出した。
「(なーんて、よく言う。分かってるんだからね、このお客さんが注文したのはちゃんとカフェオレだってこと)」
「おい、聞いているのか!」
 内心で男性客を嘲るクレアに、男性客の厳しい声が飛んでくる。
 それを受けて頭をバッと上げたクレアが、男性客の前に置かれたカフェオレのカップを取り上げた。
「はい、申し訳ありません! つきましてはこちらのカフェオレは、キッチンに下げさせていただきます!」
「えっ、おいっ」
 突然のことに、戸惑う男性客。しかしブレンドコーヒーを頼んだつもりだ、と言った手前、カフェオレが下げられていくのを止めることは出来ない。
「(べーっだ)」
 困惑しつつも再び席に腰を下ろし、ブレンドコーヒーを待つ姿勢になった男性客に、内心で舌を出すクレアなのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

四軒屋・綴(サポート)
※口調
・語尾に「ッ!」がつきます(重要)
・敵には『貴様ッ!』
・一般人には『貴方』
・『~なのだなッ!』
・身振り手振りを多用します

※台詞例
・「仲間の為ならえんやこらッ! だッ!!」(だんだん《!》が多くなります)
・「良い夜だな、ご令嬢"フロイライン"。」(ルビを《"○○"》の形で振ります)

※行動例
・「なるほどッ! 了解だッ!!」(素直)
・「流石だ○○さんッ!」(サムズアップ)
・「生憎だがな、貴様達は此処が『終点』だッ!!」(それっぽい台詞)

ヒーローであろうとする一方、自分のことをヒーローとは呼ばず、正義を名乗る敵には一層の憎悪を抱く、ヒーローの仮面を被った面倒な奴です。

被弾とか破損とか全然OKです



●誠実に対応する
「おいっ、早くこっちに来ないかっ!!」
 男性客がイライラした様子で、テーブルを叩きながら声を張り上げる。
 そこに、颯爽と駆け付けた四軒屋・綴(大騒動蒸煙活劇・f08164)はここぞとばかりに力強い声を発した。
「そうかッ! 貴方はこの店の対応に不満があるのだなッ!」
 その覇気のある物言いに、びくりと身を強張らせる男性客。しかし彼は怯まずに、自分の目の前に置かれたコーヒーカップを指さした。
「う、え……そ、そりゃそうだ! 見ろ、このコーヒーを! こんな貧相なコーヒーを客に出して金を取ろうというのか!」
 その物言いは、随分と不遜で傲慢なものであっただろう。言いがかりと言われても仕方のないものである。しかしそれに対し、綴は腕を組んで頷いた。
「ふむ、貴方の言わんとすることは分からんでもない。しかし見よッ! この店の店員が如何に心を籠めてコーヒーを淹れているのかをッ!」
 大仰な振る舞いで、腕を大きく振る綴。その身振り手振りに、男性客は明らかに圧倒されていた。
「コーヒーは店の顔、その店の味わいの如何を左右するもの。その味わいで好みが分かれる。それは仕方のない。要は、その味わいで如何に客に感動を与えられるかであるッ!」
 味わいの向き不向きがあるのは仕方がない。しかしその商品に心を籠めているのは間違いない。それを熱弁する綴に、男性客は観念してこくこくと頷いた。
「う、うむ……」
「したらば味わうがいいッ! この店の味というものをッ!」
 観念した様子の男性客に、ダメ押しとばかりに現実を突きつける綴。頼んだものが目の前にあるのだ、その現実を直視しなければ何にもならないのである。

成功 🔵​🔵​🔴​

ハルア・ガーラント(サポート)
オラトリオのバロックメイカー×シンフォニア
口調:基本丁寧、時々くだける
「頑張りましょうね」
「わ、わたしだって!」

自らの力に懐疑的なため、自信なさげです。翼はかなり大型で出し入れできません。翼で飛翔する事で有利に働く場面がある場合は積極的にその行動をとります。

行動の傾向として、他の猟兵の手伝いや援護をしたがります。有効に働く技能があればその技能を使った行動をします。必要であれば歌に[祈り]や[慰め]を込め[歌唱]します。

戦闘になった場合は背の翼に巻き付く[咎人の鎖]を操作し[捕縛やマヒ攻撃、なぎ払い]又は[銀曜銃を誘導弾]で射出します。また、[念動力]で大きなものを動かしたり遠隔操作を試みます。


ルイーグ・ソイル
[SPD/連携アドリブ等歓迎です]
んあー、いろいろ考えてはみたんすけど、さすがに対応が難しくなってきてるっすね…!オレは今イチ頭はまわらないんで、行動力で出来るだけの対応を頑張ってみるっす!UDCの姿がわからないってのは、正直忍耐してもつらいところがあるっすね…とにかく迅速対応、オレに出来そうなのはこのくらいっす…UDC、炙り出せたら覚えてろっす!



●居住いをきちんと正して
「おい、さっさと来い! 何をぐずぐずしているんだ!」
「はいっ、ただいま伺います!」
 イライラが最高潮に達した様子の男性客が声を張るのを聞きつけて、ハルア・ガーラント(宵啼鳥・f23517)はすぐさまそのテーブルに急行した。
 背筋と背中の大きな翼をびしりと正して、彼女は男性客に柔らかく声をかける。
「お待たせしました、どうかなさいましたか?」
「注文したものはまだ来ないのか、もう五分も待っているんだぞ!!」
 テーブルを指先でカツカツ叩きながら、男性客はイラついた声をハルアにぶつけた。数分前にケーキセットを注文した客だ。
 ケーキも、ただ冷蔵庫から出して皿に盛り付けて持ってくればいい、というものでもない。カットして、見た目を整え、カトラリーも添えて、と作業は色々と発生するのだ。それに紅茶もつけてとなれば、数分でぱっと提供できるわけがないことは目に見えている。
 そんな現実に目を細めながら、ハルアはぺこりとお辞儀をしながら返す。
「はい、お客様のご注文なさいました品は、誠心誠意真心を込めて厨房にてご用意しております!」
「せ……っ、誠心誠意は感心するが、カフェオレ一杯とケーキのセットに時間がかかりすぎだ!! 俺は急いでいるんだぞ!!」
 一瞬言葉に詰まる男性客だが、なおもハルアに強い言葉を投げつけてくる。
 ケーキセットを頼んでいながら、急いでいるとは片腹痛い。そんな言葉をぐっとこらえながら、ハルアはもう一度頭を下げた。
「それは大変失礼をいたしました! もう間もなくお持ちできるかと思いますので、今しばらくお待ちください」
 丁寧で誠実なハルアの対応に、男性客は幾分か語調を弱める。しかし座りながらハルアをじとっと睨みつけた。
「本当にもうすぐ来るんだろうな!? これでもう数分待たせたら――」
「お待ちどうさまでーっす、ご注文の品をお持ちしたっすー!」
 と、そのタイミングでハルアの傍に歩み寄ってきたのはルイーグだ。手にはフルーツタルトの乗った皿と、湯気を立てるティーポット、カップを乗せたトレイを持っている。
 これらが、この男性客の注文したものであることは想像に難くなかった。なにしろ、ケーキセットを注文した客は彼一人。他の誰にこのタルトが行くはずもないのだ。
 虚を突かれた男性客が、途端に変な声を上げる。
「んあっ」
「ルイーグさん、ありがとうございます。ちょうどよかったです」
「いえいえ」
 助かった、と息を吐くハルアに、にっこりと笑いかけてルイーグは前に進み出る。ケーキも崩さなず、紅茶も零さないよう、丁寧に優しく取り扱い、男性客の前へ。
「というわけで、お待たせしました。季節のフルーツタルトと、ケーキセットのホットの紅茶でございます! どうぞごゆっくり、お召し上がりくださいね!」
「は、はい! どうぞごゆっくり!」
「あ、ああ……どうも」
 ごゆっくり、に力を籠めて、もう一度にっこり笑ってお辞儀をすれば、もう男性客は何も言えない。弱々しい声で返事を返しながらフォークを手に取った。
 そのままフルーツタルトを食べ始める男性客を後目に、ルイーグとハルアは互いに言葉を交わし合う。
「さすがに対応が難しくなってきてるっすね……!」
「はい、皆さんすごくピリピリして……どう対応すればいいのか悩みますね」
 ルイーグの言葉に、ハルアも頷いた。だんだん、クレーマーの要求が苛烈に、難解になってきている。
 対応は難しい。しかしここを乗り切らなければ、本筋であるUDCの出現には至らないのだ。
「とにかく迅速対応で行きましょうっす」
「はい!」
 決意を新たに、二人は他のクレーマーの席へと向かう。その最中、ルイーグは口の中で小さく呟いた。
「UDC、炙り出せたら覚えてろっす……!」
 出てきたら確実に叩きのめす。その決意は間違いなく固かった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神奈木・璃玖
クレーマーはさらに増える一方の様子
これは下手をすると店員がそこにいるからという理由でだけでもクレームになりかねません
そうなってしまっては商売になりませんので、悪質なクレーマーの方々には早々に立ち去ってもらわねば

どのようなクレームが来たとしても毅然とした態度は崩さずに対応します
叱咤暴言罵詈雑言は慣れている、とはあまり言いたくありませんが、商人をやっているとその手のお客様は一定数いるというもの
もちろん私も遭遇したことがありますから、あしらい方は存じています

それにしても、一日中クレームと戦うのはさすがに精神が摩耗しますね(選択UCの対価)
しかしこれでも商人の端くれ、負ける訳にはいきません



●毅然ときっぱりと
 店内の様子を伺いながら給仕をしていた璃玖へと、女性客から声がかかる。
「グシュッ……ちょっと貴方!」
「はい、ただいまお伺いいたします」
 先程からしきりにくしゃみを発している客だ。何事か、と近づいていけば、うっすら涙を浮かべながら如何にもつらそうにくしゃみをしている。
「お客様、どうかなさいましたか?」
「さっきからくしゃみが止まらないんだけど!! 猫とか動物とか飼ってる店員がいるんじゃないの!? ハクショッ!!」
 女性の物言いに、璃玖はきょとんとした。
 店員がそこにいるから、あの店員の態度が気に入らないから、などというクレームも覚悟はしていたが、これは同じようでいて若干趣が異なる。
 努めて冷静に、言葉を選びながら、彼は女性客に声をかけた。
「失礼いたします、お客様、もしかしてアレルギーをお持ちでいらっしゃいますか?」
「そうよ……ブシュン! それがどうしたっていうのよ!?」
 再び派手なくしゃみをしながら、彼女は答える。どうやらこれは本物らしい。
 となれば、これは誠心誠意謝るより他に無いやつだ。耳と尻尾を出しながら、璃玖は大きく頭を下げる。
「大変申し訳ございません、お客様。実は私、この通り妖狐でございまして」
「なっ」
 まさか獣系の種族が店員として入っているとは予想しなかったのだろう、女性客の顔つきが変わる。
 ダメ押しとばかりに、璃玖はちらりと視線を別のテーブルに向けた。そこでは、人狼の猟兵が他の客の相手をしている。おまけに獣人形態でもっふもふだ。
「更に申し上げれば、人狼種族の店員も複数名おります。動物の毛が舞いやすい場所であることは否めないかと存じますので、もしくしゃみが止まらないようでしたら、お早めに場所を変えられた方が賢明かと」
「えっ、えっ」
 女性客は戸惑いを隠せなかった。
 これは、この店に入った、さらに言えば店に入って席に着いた自分が、確実に悪い奴だ。
 自分がこの店に相応しくないことに気が付いた女性客が、バッグを手に取って立ち上がる。
「う……もう! クシュッ、犬カフェに来たつもりなんてないのに!! もういいわ、ハクション!!」
 何も注文をしなかったのが救いだっただろう。そのまま「マキアート」のドアを潜って退店していく女性客。
「アレルギーですか……あれは如何ともしがたいものですね」
 その背中を見送りながら、やれやれと肩を竦めて璃玖はため息をついた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 集団戦 『暴走老人』

POW   :    プリウスミサイル
【プリウス】が命中した箇所を破壊する。敵が体勢を崩していれば、より致命的な箇所に命中する。
SPD   :    筋違いの怒り
全身を【触れた者を蝕むどす黒い瘴気】で覆い、自身が敵から受けた【と思い込む侮辱への怒り】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
WIZ   :    理不尽なクレーム
【理解不能な屁理屈と聞くに堪えない罵詈雑言】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●最悪のクレーマー来襲
 ズガーン、とけたたましい音が響く。
 何事か、と店内の店員が、居合わせた客が顔を上げて、店の外に様子を窺いに行こうとするが、それを塞ぐように店に入ってくる者がいた。
「おい貴様ら!! この店の駐車場はどうなっとるんだ!!」
「車止めが無いからワシのプリウスちゃんが傷ついてしまったじゃないか!!」
 それは、頭の禿げあがった老人だった。同じような体格、見た目をした老人が複数名でぞろぞろと。服装だけは微妙に差異があるが、その外見は驚くほど似通っていた。
「あぁん? なんだその目つきは、ワシをバカにしているな!? そうだろう!?」
「もう許さん、美味いコーヒーが飲めると聞いて来てやったが、滅茶苦茶にしてやるわ!!」
 意味不明な理屈と暴力を並べ立て、店内の備品を床に叩きつける老人たち。
 居残っていた客たちは何が何やらわからず固まっていた。とにかく自分が怒りを向けられないよう、小さくなるので精一杯である。
 と、そこに。
「あの、皆さん」
 こっそりと声をかけてきたのは「マキアート」の店長だ。彼女が、店内で暴れ回り始めた老人たちを指さす。
「あれですか」
 その短い言葉。意図は明確だ。
 猟兵たちが頷けば、彼女も真剣な表情で頷く。
「分かりました、店内のお客さんは私達で避難させます! 皆さんはあの方々をどうにかしてください!」
 混乱の最中の店内。一気に慌ただしくなった店内から、何とか被害を避けようと縮こまる一般客を退避させるため、店長以下店員たちが動き出す。
 この悪質クレーマーはオブリビオン。物理的にお帰りいただくのに何の呵責も無いのだ。

●特記事項
 ・店長以下一般人の店員さん、および店内に残っていたお客さん(クレーマーも含む)は、全員店外に退避しています。
 ・戦場はカフェ「マキアート」の店内となります。プリウスミサイルはどこからともなく店内に突っ込んできます。
神奈木・璃玖
車で突っ込んできたのはそちらだというのに何たる言いがかり
この手のお客様はそんなこと我関せずで、自分の行為を正当化するだけになるので非常に厄介極まりないですよねぇ、とてもよくわかります
私も過去何度この手のクレーマーにあったことやら

となれば、速やかにお帰りいただくのが一番
選択UCで九尾の狐へと転じて、脅してやりましょう

(九つの尾を持つ狐に転じ)
ここは客がゆるりと珈琲と共に休息を味わう場所
騒々しい輩は店から出ていってもらおう

なに?客は神様?はっ、笑止千万ぞ!
その言は客側の言葉に在らず、我等店員が客は神のように扱えとの教えである
聞くに耐えぬ悪質な苦情要望を撒き散らすならば消え去るが良いわ



●お客様は神様である
 店内に飾られた観葉植物の花瓶を、老人の拳が掴んで床に叩きつける。
 バリーンというけたたましい音と共に、老人が怒声を張り上げた。
「こんな配慮のない店など、存在するに値せん!」
「車で突っ込んできたのはそちらだというのに何たる言いがかり」
 対して、璃玖はそれまでの態度を一転、非常に険しい目つきで老人を睨みつけた。その顔には明らかに、不埒な客に対しての怒りが見て取れる。
 その髪がぞわりと立ち上がったかと思うと、彼の背中に九本の狐の尾が現れた。その姿と気迫に、老人が僅かにたじろぐ。
「なぬっ、姿を変えただと!? だとしても飲食店で毛を持つ生き物になるなどけしからん!」
「ここは客がゆるりと珈琲と共に休息を味わう場所。騒々しい輩は店から出ていってもらおう」
 しかしなおも言いつのる老人に、黄金色の瞳を輝かせながら璃玖は冷たく告げた。
 彼の物言いに、老人が怯みながらも声を張り上げる。
「なんじゃと! お客様は神様であるという言葉を知らんのか! わしは客じゃぞ!」
「はっ、笑止千万ぞ! その言は客側の言葉に在らず、我等店員が客は神のように扱えとの教えである」
 老人の言葉を一笑に付しながら、璃玖はその手に剣を握って駆けた。一気に接近しながら、老人の身体を袈裟に切り裂く。
「聞くに耐えぬ悪質な苦情要望を撒き散らすならば消え去るが良いわ」
「ぐわっ……!」
 容赦のない一撃に、老人の身体が崩れ落ちる。そのまま、遺体も残さずにさらさらと世界から消え去っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シキ・ラジル(サポート)
あーあー、てすてす、マイクテスト…OK?

アタシはシキ・ラジル!
戦闘に救助、呼ばれたらなんでもがんばるよ!あっでも頭使うのは苦手だからごめんね!

戦い方
基本はWIZ型
サウンドウェポンを持って「パフォーマンス」しながら「衝撃波」「薙ぎ払い」で敵をぶっ飛ばしちゃう!
皆でボスに立ち向かう時は「鼓舞」と「援護射撃」でサポートするねっ

敵が多い時、人手が欲しいなら【アミィズ・マーチ】でミニシキちゃんたちがお手伝いするよ!「時間稼ぎ」に「一斉射撃」ちっちゃいけど数はいるからね!

性格傾向
やかましいくらいにハイテンションな音楽大好きっ子
キマフュ民なので楽しいことはなんでも首を突っ込む

☆アドリブ連携OK!



●歌は圧倒します
 「マキアート」の店内に駆け込んできたシキ・ラジル(揺蕩う雷歌・f11241)は、手に握った無線マイクをとんとんと叩いて声を出した。
「あーあー、てすてす、マイクテスト……OK? よーし!」
「なんじゃ……?」
 持参した高性能スピーカーから音が出ることを確認するシキに、いぶかしむ視線を向ける暴走老人。
 ここはカフェ、普段なら歌を歌って披露するような場所ではない。すぐにシキへと噛みついていった。
「そこの! ここはシャンソンバーじゃないぞ! すぐに――」
「はーいそこの哀れなパンピー!! このアタシの歌を邪魔しようとはいい度胸じゃん!! そこのキミもあっちのお前も聞いていけー!!」
「ぐわっ!?」
 が、シキが発した大声に、老人が文字通り吹き飛ばされていく。
 その声量はもはや暴力だった。歌声が音波となり、衝撃波となって店内の暴走老人に叩きつけられていく。最初に吹き飛んだ、音波を真正面から浴びた老人などは、壁にめり込んで全身の骨がみしみしと悲鳴を上げていた。
「いぇーい! サイコーサイキョーの夏がアタシを待ってる! 風も波もなんもかんも、ぜーんぶ吹っ飛ばして先へ行こうよ!」
「ぐ、が……」
 ワンコーラス歌ったところで、ついに老人が力尽きた。床に崩れ落ちながら、さらさらと砂になって消えていく。
「ぐぇぇ……」
「あれっ、もうおしまい? つまんなーい、もっと楽しませてくれると思ったのに!」
 その余りにも呆気ない幕切れに、シキは憮然とした表情で腰に手を当てた。

成功 🔵​🔵​🔴​

リディア・スカーレット(サポート)
 ダンピールのビーストマスター×パラディン、女です。
 普段の口調は「女性的(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」
 恋人には「無口(わたし、あなた、呼び捨て、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

静かな場所や花などの自然が大好きです。
人との会話は淡々とこなし、あまり私情を入れない様にしてます。
仲間は大切に思っており、仲間とは協力し合い
依頼の成功を目指します。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●お店を守るのは大事です
 店内を襲った衝撃が去っても、何人かの暴走老人は未だに元気だった。
 リディア・スカーレット(孤高の獣使い・f24325)が店内に飛び込んでくると同時に、一人の老人が召喚したプリウスに乗り込む。
「おのれ、客を大事にしない店などあってはならん! 建物もろとも潰してやる!」
 シートベルトを締めてアクセル全開、店内で一気に加速し、座席をなぎ倒すプリウスだが。
「させません!」
「なにっ!?」
 その前にリディアが割り込み、プリウスの車体を受け止めた。
「バカな、人間が車を受け止めるだと!?」
 がっしりと両手で車体を止めるリディアの姿に、暴走老人が驚く。ぐぐぐ、と両腕に力を籠めながら、リディアは冷たい目を老人に向けた。
「客、客とおっしゃいますが、貴方は真に客足りえる人間なのですか」
「なんじゃと……!?」
 彼女の言葉に、ぐ、と言葉に詰まる老人だ。
 客とは店にやってきた人間全てを指すものではない。その店でサービスを受け、対価を支払う姿勢を見せてこその客である。最初から難癖をつけることが目的とは、客とは呼べまい。
「客とはサービスを提供する人間あってのもの。お店の人を大事にしないで、客を名乗るとはおこがましい!」
「わ……っ!?」
 ぐ、とリディアの腕が持ち上がった。暴走老人がプリウスごと放り投げられる。
 シートベルトを着用している老人は逃げることも叶わない。そのまま、プリウスごとひっくり返った。
「ぐわっ!!」
「ふぅ、常識のない人間の相手は疲れます」
 プリウスと一緒に消滅していく暴走老人を見やりながら、リディアはその髪をさらと払った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルタ・ユーザック(サポート)
ダンピールの16歳女性です。
ユーベルコードを使える場面では、指定したユーベルコードを使用し、直接攻撃系か精神攻撃系で敵を攻撃します。
一人称は「わたし」(ひらがな)です。口調は「~だわ」や「~だな」の様なものではなく、「○○…。」の様に…で終わり語尾に何もつけない口数少な目のクールタイプの話し方です。
服装・体型・容姿・持ち物などは、ステータスシートの参照お願いします。

上記内容以外は全てNGなど無しでアドリブ・連携などもOKです。
よろしくお願いします。



●アイスコーヒーはしっかり冷やして
 暴走老人が次々店内から叩き出されていく中。
 アルタ・ユーザック(クール系隠密魔刀士・f26092)はうんざりした声色で、店内に未だ立つ老人たちを見やった。
「はぁ、さっきから、うるさい……」
 その率直な、はっきりとした言葉に、老人たちの視線がアルタへと向く。一人の老人がずかずかとアルタへと詰め寄った。
「なんじゃと!? 客に対しての態度がなっとらん!!」
「わたしは、店員でも、なんでもない……」
 愛用の刀「氷桜丸」をしゃらりと抜いて、アルタはその刃を眼前に構えた。
「うるさい客は、成敗する……」
「なにっ、急に寒く……!?」
 と、急速に下がっていく店内の気温。薄着をしている暴走老人が身を強張らせると。
「全て……凍って……」
「ぐわっ……!?」
 氷桜丸から一気に、猛烈な吹雪が発生した。氷が服を、皮膚を覆って固めてしまう。
 氷にまみれた暴走老人は、寒さに凍えて動けない。
「う、うごけん……」
「そこ……」
「ごっ!?」
 そしてそこに放たれる、凍り付いたものを崩壊させる衝撃波。暴走老人の身体に、びしりとひびが入った。
 そこからどんどん崩れていく老人の肉体。断末魔もくぐもって聞こえない。
「ごぉぉ……」
「うるさい客は、黙らせるのが、一番……」
 少し静かになった店内で、アルタは「氷桜丸」を鞘へと納めた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルイーグ・ソイル
[連携アドリブ歓迎です]
美味しいものを美味しくいただく場での非道な振る舞い、許さんっす…!
お客様の避難も済んでるということで、ここからは本気出して行くっすからね!
ユーベルコード「ブラッド・ガイスト」で、逆に喰らってやるっす…ウオオ!

『全く、たいして旨くもない、つまらない食事をしてしまった…』



●ごみはまとめてゴミ箱にポイ
 暴走老人が残り僅かとなる中。ルイーグは静かに怒っていた。
「美味しいものを美味しくいただく場での非道な振る舞い、許さんっす……!」
 クレーマーに悩まされはしていたけれど、とてもいいカフェなのだ、この店は。コーヒーも紅茶もいい香りだし、ケーキだって美味しそう。
 それなのに。この老人たちはそれを味わうどころかぶち壊そうとしているわけで。
「な、なんじゃと! わしの行いを非道じゃというのなら、そっちもそれ相応の対応を見せんか! 誠意が足りん!」
 そんなルイーグに食って掛かる老人だが、既に仲間はいない。孤立無援である。
 哀れにも虚勢を張る老人に、ルイーグはびしっと指を突き付けた。
「誠意を見せてほしいのなら、そっちこそそれなりの振る舞いをするべきっす! 自分は何もしないのに、相手からいい反応を引き出そうとか、傲慢にも程があるっす!」
「ぐぬぬ……!」
 強い口調で言い返されて、苦々しい表情を浮かべる老人だ。彼の前で、ルイーグはばっと腕を振る。
「お客様の避難も済んでるということで、ここからは本気出して行くっすからね!」
 そう力強く言いながら、ルイーグは自分の身体に埋め込まれた刻印に手を当てた。
「刻印、起動っす!」
「なにっ!?」
 手を当てた傍から光を発し、力を高めていく刻印。その刻印から発せられる禍々しいエネルギーに、暴走老人が狼狽する。
「ウォォォォ! 逆に喰らってやるっす!」
 そうして捕食形態に変化する刻印が展開し、暴走老人の身体を包み込んだ。
「ぐっ、ぐわぁぁぁ!?」
 ばきり、ぐちゃりと音を立てて喰らわれていく老人。やがてその断末魔も聞こえなくなり、店内には静寂が訪れる。
「……」
 刻印が元に戻り、自分の身体に収納されていくのを見ながら、ルイーグは小さくため息をついた。
「全く、たいして旨くもない、つまらない食事をしてしまった……さーて残ったごみは」
 そうして「マキアート」の店内を見ると、まあ、それは酷い有様で。
 椅子もテーブルもなぎ倒され、店内は砂と埃、氷が溶けた水にまみれている。あれだけ敵味方とも暴れたのだから、こうもなろう。
「……その前に、後片付けっすね」
 苦笑を零してルイーグは動き出す。どうやら、猟兵たちにはもう一仕事ありそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年10月10日


挿絵イラスト