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我が王は西に在りて

#UDCアース

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#UDCアース


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●誰かが呼んでいる
 ――王よ。我が王。

 ――まだ、お目覚めになりませぬか。

 ――王よ。我が王。

 ――贄はまだ、足りませぬか。

 ――王よ。我が王。

 ――ならばもっと、もっともっと、捧げましょう……貴方のために……貴方の頭上を飾る、王冠のために……。


「大変大変、大変だよーっ!」
 メッティ・アンティカ(f09008)がいつも通り、猟兵たちを呼んでいる。けれど今回は少し、いつもより焦っているように思える。
「本当に大変なんだ! UDCアースで悪い神様が復活しようとしているみたい!」
 メッティがあわあわとノートをめくりながら曰く、最近UDCアースでは交通死亡事故が多発している。それらは一見不注意の事故、繋がりのないように思えるが――邪神への贄として捧げられたのだという。
「行ってみて調べたらきっと判るんだけど、UDCアースの……地図、地図……あ、あった! うん、この辺りでの事故が一番多いんだ。相手は狡猾で、色んな場所で事故が起こるように仕向けてるんだけど……此処が一番“起こしやすい”みたい」
 ぺろっと広げた地図の一か所、峠道を指差したメッティ。ヘアピンカーブ状になっているそこは、事故の名所と言われたら納得して頷いてしまいそうだ。

「君たちには神様が完全に目醒めるまえに倒して欲しいのはもちろんなんだけど……事故の原因となっているものも調べて欲しい。それが放置されたままだと、また同じことを考える人が出てくるかもしれないから」
 例えばうーん、同じものを持ってるとか。そういうのを調べたら良いんじゃないかな。多分。まあ、行ってみればきっと判るよ! という訳で、お願いしますっ。
 メッティは一度ぺこりと頭を下げると、グリモアを手の上に具現した。


key
 邪神は出るよどこまでも。
 keyです。こんにちは。今回は邪神退治に行っていただきます。

●第一章、第二章
 探索パートです。皆さんの得意分野に合わせて探索をお願いします。

●第三章
 戦闘です。何も遠慮をする事はありません。ぶっ倒しましょう。

●注意
 このシナリオで戦闘可能なのは第三章のみとなります。
 探索パートでは相手の目論見を阻止することが主目的となり、撃破は出来ません。
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第1章 冒険 『峠道に潜む影』

POW   :    事故あるいは事件の現場を虱潰しに捜索する

SPD   :    実際に峠道をクルマ等で通行し、囮となる

WIZ   :    記事等から情報を集め、整理する事で原因を特定する

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●死への曲がり角
 事故が起こった地点へと降り立った猟兵たち。
 油の燃える嫌な香りがした。――ガードレールが歪み、標識がひしゃげている。どれだけ事故が起こったのか、考えたくもない。
 捜査方法は様々ある。ローラー作戦を取っても良いし、自ら運転してみるのもいい。または記事などをあさってみるのもありだろう。
神計・紅牙
交通事故のう……。
乗り物の騒動など暴れ馬くらいしか見たことなかったが色々あるのだな。うむ。

UDC組織に車を借りて現地のドライブと洒落込もうかの
ああ、カーナビなるものも付けて貰うぞ。

正直、カーナビに表示される地図が怪しいと思っておるがまあ行ってみれば分かるであろう、頼むぞカーナビとやら。
まあ死出の道行きにならぬ事を祈るかのう

カーナビが偽の表示などするならそれで良し
何もなければ土地自体に何かあるのだろう
白線の引き方ひとつで目の錯覚を起こす事もある。
ま、我は物差しのヤドリガミ故その様な見た目に惑わされる気はないけどな!
怪しければ錬成カミヤドリで物差し増やして調べてやろうか。


甘夏・寧子
【SPD実際に峠道をクルマ等で通行し、囮となる】

ったく、やってることが悪どいねぇ。
アタシはバイクを持ってるから、バイクに乗って事故現場に行ってみようか。どういう感じで事故になったのか検証してみたい。
運が良ければ事故を起こす奴だと勘違いして誰か出てくるかもしれないし。
まぁ、そう上手くはいかないかもしれないけどさ。

連携できる相手がいるなら情報共有しておきたいと思っているよ。


霧島・クロト
バイクあるし実際に走って見ますかねっとォ。

ヘアピンカーブならばフツーは加速のしすぎで曲がりきれずに――
ってのがよく聞く話の筈だけどもなァ。
問題があるなら、其処が意図的に効かなくなるか、
『どうしても曲がれなくなる』ような何かがあるんだろうなァ。

一応【騎乗】はあるけども、まずそうなら【地形の利用】や
ユーベルコードの氷の波動を巧く使って事故を回避することも視野に入れとくぜェ。
氷の足場作ったり、氷の盾を作ったりなんか、ってとこでなァ。
……スリップ事故?それは勘弁だなぁ。



「交通事故のう……こちらの乗り物も安全ではないという事か」
 己の故郷では暴れ馬が問題になるくらいだったな、と感慨深げにハンドルを握る神計・紅牙(天の御柱・f01140)。組織に借り受けて、カーナビもつけてもらった車を運転し、問題の峠に到着すると、バイクが2台止まっていた。先客だろうか。
「お?」
「あ、また来たね。ごめんね、此処はいま事故で――」
 近付いてくる女性に、ウインドウを開けて“猟兵じゃ”と一言伝える紅牙。なんだ、と安堵で肩を落としたのは甘夏・寧子(錦鈴の女・f01173)だ。その様子を見て同僚かと察する霧島・クロト(機巧魔術の凍滅機人・f02330)。
「もうそちらは調査を済ませたのか?」
「いや、人払いしていまからだよ。アタシと向こうさんはバイクを使う。一緒に走ってみるかい?」
「並んで走るのは無意味だろ。車なら後ろからついてきてもらって、観察してもらうってのはどうだ?」
「成る程、それもありか。いいかい?」
「もちろんじゃ。もし何かあったら知らせてくれい」
 一も二もなく紅牙は頷く。運転し慣れない以上、彼らについて行っては普通に事故を起こす危険性がある――勿論、気を付けはするが――。それに、バイク2台と車が並んで走れるような道でもない。
 クロトが改めて視線を送る。ヘアピンカーブは確かに、事故を起こしやすい地形ではある。加速のし過ぎで曲がり切れずに――よくある話だ。けれど、きっと、何かがおかしいのだ。
 ま、調べるしかないか。
 ヘルメットをかぶり、己のバイクにまたがるクロト。寧子もまた、紅牙と打ち合わせを終えたようで宇宙バイクの調子を見ていた。
「車は後ろからついてきて、異常がないか見てくれるって。事故るのは良いけど巻き込まないでよ?」
「こっちのセリフだ。間違っても引っ張ったりするなよな」

 バイクを噴かす音がする。
 二台のバイクを見つめながら、紅牙は改めてカーナビを確認する。道の表示はこの先に急な曲がり道がある事を示している。特に異常は見られない。
 ならば矢張り、走ってみるしかないか。二台のバイクがゆっくりと走り始めたのを確認し、彼もアクセルを踏む。
 カーブまであと少し。一台目が曲がった。二台目が――わずかに揺れて、曲がった。そして車も――

『おまえもちがう』

 ……。
 …………。

「うむ、取り敢えず全員生きておるようじゃの」
「そうね。でも、収穫はあったわ」
「え、何かあったか?」
 クロトはどうやら、安全にカーブを曲がり切ったらしい。紅牙は曲がり際、男の声で違うと言われた事を報告した。寧子も頷き、アタシなんか引っ張られかけたよ、と言う。
「もうちょっとで横転するところだった。あれでスピード出してたらイチコロだね」
「なんで俺には何もなかったんだ……?」
「まあ、たまたまの運じゃないかのう。結局3人とも引っ張るもののお眼鏡には適わんかったという事じゃ。それより、さっきこれを見つけたぞ」
 紅牙が取り出したのは、小さな糸くず――のように見えた。
「え?」
「我は小さな綻びも見逃さぬ。引っ張られた地点を見ておったら、こんなものがあったのよ」
「これは……糸、というか、ミサンガ?」
「ほう、みさんが。 糸を編んで器用な事じゃ」
 焼け焦げて僅かな一部しかないが――ピンクと白、そして赤い糸で編まれたそれは、確かに中高生に流行りそうなミサンガに見えた。
「なんでこんなものが……」
「さあのう。じゃが、何かある気がするの」
「ああ。街へ降りて、聞いてみた方が良さそうだ」
 三人は、是、と頷き合った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

蛇塚・レモン
【WIZ】
ここは、霊能力探偵レモンの出番ってことだねっ!
最近はボスの辻斬りばっかりだったからね~?
たまには頭脳派な一面を見せておかないと、
あたい、本当にゴリラガールになっちゃう……っ!
(乙女の尊厳の保持を優先)

事故現場から一番近い町の図書館で新聞記事を漁ってみるよ
【情報収集】【第六感】【学習力】を駆使
事故の共通点(天候・時間帯・車種・被害者・所持品)を洗い出す
あと、事故付近での言い伝えや祟りの話も集めておきたいよね
昔話みたく、欲に眩んだ愚者が積み荷を降ろさず坂を登ったら滑落した、とかありうるし
地域のお年寄りに【コミュ力】で接して
【念動力】【医術】で優しくマッサージしながら聞き込みをしてゆくね


波狼・拓哉
さてと探偵らしく行きますかね?
記事やインターネットを使い情報収集を行おう。
気にするのはタイヤの状態かな。滑ったのか、物理的にタイヤに細工があるのか、ブレーキ踏んだ跡が付いてるのか…とかね。
滑ったらなら地面、タイヤに細工なら狙撃とか、ブレーキ痕があるなら幻覚とか、逆にタイヤに何もないんだったら運転手直狙いってことだろうしね。少しでも絞りやすくなるといいなぁと。
後は…もう現地に行ってみてみるしかないかなぁ…?…乗り物乗っていくのはやめておくか、歩いていこう。
(アドリブ絡み歓迎です)



「きゅぴーん! ここは霊能力探偵レモンの出番だね!」
 目を光らせるのは蛇塚・レモン(叛逆する蛇神の器の娘・f05152)。久々の調査に心が燃えているようだ。いやー最近はボスの辻斬りばっかりだったからね! たまには頭脳派な一面を見せておかないと、名実ともにゴリラガールになっちゃう。それは乙女にとって致命傷!
「という訳でイン・ザ・図書館。まずは記事の調査が鉄板よね」
 ちゃんと図書館なので宣言も声は小さく。そんなに昔ではないはず、と半分はカン、半分は元々の情報収集力を頼りに記事を漁る。と、そら、出てきた出てきた。
「これね……」

「「スピードの出しすぎか、峠で事故」」

「え?」
「ん?」
 声が重なって、レモンは顔を上げた。青年がこちらを、もしや、と探るような目で見ている。
「……メッティくんは」
「グリモア猟兵。……なんだ、同業かあ。ちょっとびっくりした」
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は安心したように笑う。レモンも考える事は同じね、と頷き、手頃な記事を幾つかピックアップすると二人でテーブルに移動した。

「俺はタイヤの状態を中心に調べてみたんだ」
 拓哉が広げるのは、レモンとはまた違った、事故を取り上げた記事。
「ブレーキ痕があるかどうか、とか?」
「そうだね。滑ったら地面、細工がしてあれば狙撃、とかいろいろ考えたけど、ブレーキ痕は全部の事故で残ってる。つまり、運転手は抵抗したんだと思う」
「何に?」
「何かに」
 その何かは判らないけど、と拓哉は首を傾げた。レモンもコピーした事故の記事を拡げ、二人で睨めっこする。
「共通点は、見た感じではないわね」
「そうだね。老若男女手あたり次第って感じだ。でも、住んでいる場所が近い」
「となると、生活圏が被る……」
「うん、その辺も調べて行きたいなって。俺はこれから現場を見に行こうと思う。多分ブレーキ痕とかそのまま残ってるだろうしね」
「あたいは都市伝説の方を洗ってみるね。お年寄りのマッサージとかしながら聞いてみる。得意なの、そういうの」
「へえ、いいな。今度俺もやってもらおうかな」
 二人は笑って、それぞれ参考になりそうな記事を交換する。そして互いに連絡手段を交換すると、図書館を後にした。

 二人が別行動して判った事は二つ。
 ブレーキ痕は相当数残っていたという事。バイクから、四輪車のものまで。
 そして、言い伝えが一つ、残っていたという事。

 ――あの峠に登るときは、飾りをつけてはならん。もう守る者もおらん昔の与太話じゃが……山の神に捧げる生贄のみが、末期の飾りを許されたのじゃ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
ふむ、事故の原因のう
足で集めるのは他の連中に任せるとして、僕のできることをやろうかのー

事前に提示された峠道に関するネットで出ている記事を漁る(情報収集、世界知識)
さらに警察のデータベースにハッキングを仕掛けて、その詳細な事故調書を閲覧する(ハッキング、情報収集、鍵開け)
複数件に及ぶなら、時間や原因、その他共通項を探して、原因の目星をつける
あとは人為的な力が働いていないかも重点的に調べる

ハッキングの足跡は残らないようにしておくが、時間との勝負なので多少荒っぽくデータを掻っ攫っていく勢い



「ふむふむ、成る程?」
 とあるコーヒー店の向かい側、人々がよく待ち合わせに使う場所。長く居座っても違和感のない場所を選んで、メイスン・ドットハック(引きこもり志望ハッカー・f03092)は自前のPCに向かい合っていた。ノート型スパコン「HIROSHIMA」を用い、入り込んだのは警察のデータベース。
 電脳魔術士――科学の神髄たる電脳でもって魔術を為す彼の前では、このデータベースも子どものパズル遊びでしかない。
 メイスンの指が踊るたび、情報が出るわ出るわ。車の車種から死亡した人間の個人情報、そして物的証拠の数々。それらに共通点がないかと探しているメイスンだったが、奇妙な事に気付く。
「――……なんか、腕飾りが多いのう」
 物的証拠に、時計以外の飾りが多い。特にミサンガ――というより、事故の証拠に必ずミサンガの一部が出てくる。警察は事故の証拠にはならないと軽く見ているようだが、メイスンには、これが事件のカギに見えた。
 時間、車種、年齢、性別。すべてがバラバラの中で、たった一つ同じものがミサンガ。はて、何かの手がかりになるだろうか。
 現場へ行けば同僚に会えるかもしれない。多少荒っぽくデータを抜き取り、しかし証拠は一切残さず。メイスンは警察のデータベースからおさらばして、現場へと行くことにした。多分そこには同業者がいるはず。

 この情報を活かすには、己一人では足りない。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『邪悪な占い師を追え』

POW   :    占い師に会う、悩み相談をする

SPD   :    占い師を追跡して行動を調べる

WIZ   :    祭具の出所を調べる、ばら撒かれた祭具の回収

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●おまじない、ってなんて書くか知っているかい
 捜査の結果、被害者は全員ミサンガを身に着けていたことを知る猟兵たち。
 町で聞き込みをしていると、女子高生がこぞって口にした言葉がある。
「人気の占い師がいて、たまにミサンガがもらえる」
「交通安全のお守りなんだって」
 それは調査の内容とも一致する。交通安全、とは程遠い形でだが。
 ――はて、その占い師とはどんな人物なのだろう?
メイスン・ドットハック
【WIZ】
まじないとは、呪いと書くようじゃのー
うまい言葉遊びじゃけど、洒落にはならんのー

占い師が出没するエリアの監視カメラをハッキングして、その足跡を追跡する(ハッキング、情報収集)
その際にその占い師が根城にしている場所、誰か他の共犯者・首謀者がいないか、ミサンガを配った人物がいないかをチェックする(情報収集)

ミサンガを配った人物がいた場合は、占い師関連の情報は仲間に渡し、ミサンガの回収に動く
ユーベルコード「名前のない宝石」を使って対象に接近。隙を見てミサンガを回収していく(忍び足)
たまにということなので対象は少ないと判断するが、多い場合は強奪もやむなしの方向で



「さてさて、その占い師とやらは見つかるかのー」
 待ち合わせに使う人が多いスポットに紛れ込み、メイスンは再びハッキングを試みていた。今度は警備システム――監視カメラの映像を抜き取る。聞き込みで得た情報をもとに、占い師らしき人物をピックアップ、その行動圏を絞り込んでいく。
「共犯者がいたら面倒じゃが……単独行動が多いのー。成る程、道端で占って……」
 メイスンが監視カメラから得た情報はこうだ。
 まず、占い師は一定の根城を持たない。歩き回っては人を呼び止め、占いをして、何か――おそらくミサンガだろう――を渡す。共犯者はおらず、時折ファミレスに立ち寄ってはミサンガをご丁寧に自前で編んでいるようだった。
「老若男女関係なかったのは、このせいか」
 例えば学校の近くが根城なら、学生が。繁華街の傍なら、もっと上の年齢層に事故の犠牲者は偏っていたかもしれない。それが偏らなかったのは、意図的に声をかける人物をバラバラにしているのだろう。
「しかしこれじゃと、ミサンガの回収が難しくなってくるのー……ふむ。その辺りは他の者に任せてみるか」

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
事故現場にあったというミサンガを配る占い師ねぇ・・・どうやら運転者を狙うようだし当たりかな。後は証拠か。
・・・うん。普通に客として接触するか。
相談内容は今の探偵業が上手く行くかどうか聞いてみよう。その中で「やっぱり足はあった方がいいんですかね?いや、事故が怖くてね。眉唾物でもいいんで何か事故率下がるみたいなの・・・まあ無いですよね(笑)」と聞いてみよう。
喰いついてミサンガ渡してくれるといいんだけど。
後は出る前に気が付かれないよう追跡者(ミミック)を出して追跡出来るようにはしておこう。
占い結果?ああ、そんなもの気にするからそうなるんだよ。気にする気ないから問題なし!



 メイスンの情報を頼りに、拓哉は占い師がよくうろつくという道にいた。誰かに声をかける前に、自分から声をかけて客になろうという寸法だ。
「(……きた)」
 エスニックな風貌は、聞き込みの特徴と一致する。きょろきょろと周囲を見回しているのは、声をかける相手を探しているゆえか。
「あのー」
 思い切って、拓哉は占い師に声をかけた。びくり、と相手の肩が跳ね、はい、と返事が返ってくる。
「この辺で占いやってるのって、あなたですよね? よかったら俺も占って欲しいんですけど……」

 占い師は存外素直に頷き、拓哉を占ってくれた。手法は手相。拓哉はどうせなので自身の探偵業について聞いてみたのだが……
「はあ……やっぱり安定はしませんか」
「まあ、探偵業というのはそういう商売でしょう? 入れば大きいが入らなければ……という奴ですな。ありきたりで申し訳ないんですが……」
 ――まー、占いってのは気にするから現実になるのであって。な! うん!
 心中でそう思うも、落ち込んだふりをする拓哉。
「やっぱり足はあった方がいいんですかね? いやあ、事故が怖くて。でも遠くのお客さんを相手にする時はあったほうがいいかなーと思ったりもして……どうですかねえ」
 何気なく話題を交通に移して、占い師を観察する。占い師はほうほう、と頷くと、懐を漁り始めた。
「よいものがありますよ。交通安全にはこれでも一家言ありましてな」
「よいもの?」
「ミサンガです。まあ、騙されたと思ってつけてみてくださいな」
 手渡されたミサンガは、成る程、手作り感あふれるものである。ありがとうございます、と頭を下げ、言われた料金を支払い(存外廉価であった)、その場を後にする拓哉。角を一つ曲がって――ミサンガをポケットに入れると、ミミックを一匹呼び出した。
「よし、じゃあ行ってこい。見失うなよ」

成功 🔵​🔵​🔴​

霧島・クロト
お呪い とは良く言ったモンだよなァ………。

占い師の行動範囲を訪ねつつ、見つけたら尾行を開始。
なるべく遮蔽とかの【地形の利用】で見付からないように。
もし施設に出入りしたりなどがあった場合、他猟兵に連絡共有。

ガジェットショータイムは『使えそうなら』で、基本は不使用。


甘夏・寧子
【SPD占い師を追跡して行動を調べる】

ふうん、ミサンガを渡す占い師ねぇ……。それだけでも怪しいけど、決定的な証拠が欲しいとこだ。
その占い師がどこで何をしてるか、健脚商売で調べるとしようか。
なんでミサンガを渡しているのかも気になるしねぇ。

連携できる相手がいるなら共同で占い師を見張りたいと思ってるよ。



「で、それは?」
「多分仲間のだと思うミミック。なんか……可愛くて」
 寧子とクロトは仲間とは違う地点から、占い師の尾行を始めた。後をつけているミミックがいたので、寧子が抱き上げて一緒に尾行している。
 占い師は歩く先々で人々に声をかけていた。中には自分から占い師に声をかける者もいる。恐らくは知り合いだろう。“交通安全以外の相談をした”、という枕詞が付くが。
「結構この辺りをうろうろしてるんだな」
「そうだねえ。知り合いも多いみたいだし……あ、見て」
 寧子が言う。占い師が角を曲がり、施設に入っていく。二人が後を追い、施設を見上げると――ゲームセンターのようだった。
「怪しい」
「怪しい」
 占い師とゲームセンター。中の人物でも占っているのだろうか、占い師はなかなか出てこない。ミミックが入りたそうにもぞもぞする。
「……そうか。ねえ、この子なら中に入ってもいいんじゃない? 目立たないしさ」
「ん、ああ。そうだな。情報が俺たちに来ないのはもどかしいが……」
 よし、いっといで。と寧子がミミックを放す。てってけてってけ、いざゆかんと施設に入ろうとしたミミックだったが――ぱかーん、と入り口で蹴飛ばされた。

「わ、わたしは何もしていない!! ただ言われた通りに……私は! わたしは!」

 占い師だ。ミミックを蹴飛ばしたことに気付かないほど動揺している。違う、私は、を繰り返しながらゲーセンから走り出し、寧子とクロトが見張っている反対側の角へと曲がり、後ろも振り返らず走っていく。
 ミミックが慌てて起き上がり、占い師を追いかける。
「何だなんだァ? 誰かともめたか?」
「尋常じゃない様子だったね。追う?」
「俺はちょっとゲーセンの中を見てくる。ミミックのサモナーと一緒に追いかけるさ」
「判った。アタシはこのまま追うよ」
 寧子は占い師を追いかける。恐らくミミックの召喚者も間もなく此処へ来るだろう。クロトはゲームセンターの中に、客を装って何事もないように入っていく。
「……誰もいないな」
 騒がしくゲームの筐体が音を鳴らしている。がらん、として、誰もいない。――ふと、自動ドアが開く音がした。
「!」
 クロトが音のした方に走ると、ドアをすり抜けて走っていく黒服の集団が見えた。待て、という制止の声はゲームの騒音に掻き消される。
「くっそ……!」
 今は占い師を追うしかないか。クロトは踵を返し、もと来た入り口へと急ぐのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『イネブ・ヘジの狂える王』

POW   :    アーマーンの大顎
自身の身体部位ひとつを【罪深き魂を喰らう鰐】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
SPD   :    カイトスの三魔槍
【メンカルの血槍】【ディフダの怨槍】【カファルジドマの戒槍】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    ネクロポリスの狂嵐
【腐食の呪詛を含んだ極彩色の旋風】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・綺里枝です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●神とは何たるや
 占い師が逃げるのを追いかける猟兵たち。ビルの隙間隙間を縫うように走っていく小柄な影に、なかなか追い付けないでいる。
 やがて占い師は幾度目かの角を曲がる。その後を追った猟兵だったが……そこには。

「……血溜まり……?」

 新鮮な血液の香りが脳髄を満たし、吐き気を催す。何故突然こんなものが現れたのか。占い師は何処へ行ったのか。上下左右を見渡し、今度は警戒しながら進む。
 すると、次の角を曲がった猟兵たちの目に飛び込んできたのは、横たわっている占い師だった。

「わたし、は……しっぱい、して、いな、」

 ぐしゃり。
 その頭が潰れ、脳髄と漿液が飛び散った。

 やがて足が現れた。それは占い師の血に塗れている。
 そして胴体が現れた。浅黒い色をして、白い衣を纏っている。
 そして頭が現れた。猟兵たちを無表情に見つめている。

 それは、あまりにも唐突で。
 けれど、見てはいけないと本能が警告する。
 此処にいてはいけないものだ。倒さなければならないものだ。
 そう、それはオブリビオン。占い師に呼ばれたのか、それとも異なるのか。思考する余裕もなく、猟兵たちは対峙を余儀なくされる。
メイスン・ドットハック
なるほどのー、占い師は用済みというわけかのー
邪神かどうかは知らんけー、それでも倒すだけじゃけどのー

ユーベルコード「木を隠すなら森の中」で敵の攻撃を防ぐ
効果:ミサンガを装備した男女を複製
罠:攻撃されると腐食性の酸をまき散らす
近距離での魔槍ならば、邪神を攻撃
投げてくるなら、魔槍を腐食させてある程度使いづらくする狙い

さらに相手の動きを阻害するために、地雷や爆薬を地面に仕込む(破壊工作、罠使い、地形の利用)
厄介と思ってこちらに直接攻撃を狙ってくるなら、罠を利用することもあり(おびき寄せ)
基本は複製を盾にして攻撃をしのぐ


甘夏・寧子
こいつは……一体、どうなってんだか。アタシ達は何を見させられてたんだい?
……まぁ、考えてても仕方ないか。とりあえず、目の前の奴をどうにかしないといけないことだけは分かるよ。
じゃあ、さっさと始めるかね!

相手がどう動いてくるか分からない以上、手数で攻めた方がよさそうだ。『クロウ』の【早業】、【2回攻撃】を使ってとにかく連射で決めていくよ。
相手が攻撃してきたら回避するか、周りに障害物があれば利用したいね。
勿論、連携もOKさ。迅速に行こうじゃないか。


霧島・クロト
……ったく、占い師も贄だってのか。あの黒服の連中は何だったんだァ…!?

カイトスの三魔槍が一番まずいなァ。
氷の盾なんか作りながらバイクと【氷戒装法『貪狼の狩人』】で機動力を確保、
【地形の利用】も絡めてなるべく槍に「あたらない」「あてさせない」で。

攻める時は氷の波動に【属性攻撃】【2回攻撃】を絡めてラッシュを仕掛けるぜェ。

……血生臭い王ってのは大概ロクでもねぇからなァ。お帰り願うぜ。



「こいつは……一体、どうなってんだか。アタシたちは何を見させられてたんだい」
 寧子がうめく。突然走り出して、角を曲がったかと思えば殺されている占い師。そして現れたオブリビオン。あまりにも突然、あまりにも突飛。けれど、目の前のオブリビオンを倒さなければ恐らくもう前にも後ろにも勧めない。
「占い師は用済み、というわけかのー。邪神かどうかはしらんけー、それでも倒すだけじゃけどのー」
 メイスンは淡々と述べる。その周りに現れるのは……人、人、人。その腕にはミサンガらしき装飾をつけた、かりそめの人形達。
 “木を隠すなら森の中”――
「…………」
 まるで神かその使いのようなオブリビオンは、黙って手を前に差し伸べた。空中からずるり、槍が穂先を見せたかと思えば、光もかくやたる速さで迫る。
「ったく、血腥い王ってのはロクでもねぇなァホントにッ!」
「全くだ! 挨拶もなしってのはちょっとねえ!」
「盾にしたら離れー! ちぃとわやくちゃになるけー!」
 クロトと寧子はありがたく、メイスンの作ったマネキンを盾にする。盾にしたまま真後ろへ下がるように離れると、槍は慈悲なくマネキンに突き立った。
 ばしゃり、と血潮のようにマネキンからあふれるのは――腐食性の酸。容赦なくオブリビオンが放った槍をぐずぐずに溶かしていく。
「うわぁ、おっかねえな」
「けどこれは盾にしかならねー」
「オッケー、攻撃はアタシたちって訳さね!」
 寧子が愛銃“クロウ”を抜き放つ。秒にして1に足るか否かの速さで放たれた。相手も槍を弾丸のように放ってくるが、それはメイスンが作り出す木を盾にする。熱線を、放つ。放つ、放つ、放つ。攻撃力よりも連射機能に優れるクロウの熱線は、オブリビオンのあちこちを焼き焦がした。
 一方クロトは、バイクに乗って更に機動力を上げ、槍よりも早く動く事でその魔手をかわしていた。路地ではあるが、バイクが走れないほどの狭さではない。広くもないこのフィールドは、己に有利でも相手に有利でもない。だからこそ、どちらが早く有利な状況を作り出すかが鍵――
「おい、そろそろ攻めるぞ」
「あいよ。そっちは大丈夫かい」
「おー。さっきのようなんなら幾つでもいけるぞ」
 三人はそれぞれ目くばせをする。攻めるなら同じタイミングでなければ意味がない。守りはメイスン、先手は寧子。そしてクロトがそこに続く。全員の認識は一致していた。
「――いくぞオラァ!」
「…………」
 オブリビオンは何も言わない。クロトは一気に氷の波動を解き放ち、周囲のマネキンを凍り付かせながら走る。
 オブリビオンの掌から、クロトを捕らえんと魔槍が迸る。
「させないっての! たらふく喰らいな!」
 寧子がクロウの連射で、魔槍を撃ち落とす。
「こっちも、こっちも撃ち落としてくれーや」
 メイスンがリンゴ型の何かをオブリビオンに向けて放った。それはクロトがオブリビオンに氷の波動を叩き付けながら過ぎ去った一瞬後。一気に冷えた空気の中、一筋の熱線が林檎を貫き、中身を弾けさせた。
「……!」
「どうじゃあ、直接酸を浴びる気持ちは。ま、判りたくもないがのー」
 オブリビオンが身を折って呻く。ぶすぶすと黒い煙が上がり、額が泡立っているのが見えた。
「えげつない」
「ほんとな」
「なんじゃー、お前らしっかり盾にしとったくせに」
 槍を維持できぬのは、それほどの痛手を負った証左か。顔を上げたオブリビオン。その表情は変わらねど、確かに青筋が浮き出ていた。
 怒りを纏った神もどきとの戦闘は続く。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

波狼・拓哉
追跡ご苦労ミミック。まあ、まだ終わってないからもうちょい頑張ってもらうけどね。…見た感じ悪そうな人ではなかったんだけどなー、まあ仕方がないか。悪いけどお帰り願おうか…!
さてと、それじゃあ先手必勝と、化け咆えなミミック。あ、周りの人は一応耳塞いどいてね、狂うから。一撃喰らわせた後は相手の至近距離で咆えたり、旋風を相殺してくれ。
俺は衝撃波込めた弾で顎や槍を撃ち落としたり、相手の傷口に打ち込んで抉ったりとサポートに努めよう。
(アドリブ絡み歓迎)


蛇塚・レモン
他の猟兵たちと連携・アドリブ歓迎

うわ、何だか近付くとヤバそうな奴っ!

【学習力】で敵の射程を予測して退避!
こういう時は、蛇神様っ! あとはお願いっ!
ユーベルコードで蛇神様の霊体を呼び出して敵へけしかけるよっ!
蛇神様は霊体だから腐食の呪詛は効かないよっ!
逆に蛇神様の呪縛と蛇眼の【念動力】&敵に噛みついて【マヒ攻撃】
敵の動きを止めて、【恐怖を与える】よ

【二回攻撃】であたいは連携
念動力で空を飛ぶことで【空中戦】からの【だまし討ち】!
衣服に宿った蛇神様の加護で光学【迷彩】発動
敵の射程圏外の直上から超霊力オーラガンで【スナイパー】攻撃
【衝撃波】を纏った【鎧無視攻撃】の霊力弾でトドメ!

蛇神様、ありがと~っ!



「あれは明らかに近づくとヤバい奴ね!」
 どんなときもレモンはレモンイズムを崩さない。例えどんな敵が相手であってもだ。
「そしてこれは近付いても大丈夫なやつね!」
「そうだね、あくまでも今は、だけど」
 レモンが視線で示したのは、此処に来るまでに一緒になったミミックと拓哉だ。拓哉はオブリビオンと一緒にしないで欲しいと内心思ったが、内心思っただけなので口にはしない。
「追跡も頑張って貰ったけど、戦闘でももう少し頑張ってくれな」
「え? その子戦えるの? がぶがぶって噛んだり?」
「いいや、ちょっと違うかな。という訳でお嬢さん、いっちょやりますか」
「ん~~、オッケ~! あたいと蛇神様のいいところ見せちゃうよ!」
 じゃ、お先!
 レモンが空間に光の魔法陣を描く。蛇がのたくったようなその魔法陣から、ずるりと抜け出てくるのは――
「紹介するね! こちら、あたいの親友の蛇神様だよ! って言っても、通じてるかな……ま、いいや! 蛇神様! あいつを懲らしめちゃって!」
 ずっとだんまりのオブリビオンに言語が通じるのか一瞬首を傾げるレモンだったが、まあ攻撃には支障ない。ぐるりと身をうねらせた白蛇は、蛙の跳躍よりも速くオブリビオンを締め付けにかかる。
「……!!!」
 酸の痛みからだいぶ回復したオブリビオンも負けてはいない。極彩色の旋風で、白蛇をねじり切ろうとする。渦を巻くつむじ風に蛇の身が刻まれ、刻まれたところから腐食が始まる。
「キャーッ!? へ、蛇神様ー!?」
「おいおい、大丈夫かアレ……! よし、援護する! 耳塞いでてくれ!」
「え?」
「だから、耳。気が狂いたくはないだろ?」
 白蛇はつむじ風に巻かれながら、それでもなおオブリビオンを狙っている。拓哉はその激戦区に向かって――ミミックを投げ上げた。
「さあ、化け吼えなミミック! こいつが真の狂気ってやつだ!」
 その瞬間、箱から……まるで羽化でもするかのように、竜体が伸びあがる。つむじ風を抱いてありあまる体、そのてっぺんにあるあぎとから、咆哮がオブリビオンに降り注いだように、レモンには見えた。

 まるで、蛇神様みたい。

 そう思うレモンの耳に、爆発音が小さく入り込んでくる。小さいのは耳を塞いでいるせいだが――オブリビオンが爆発して、つむじ風が消えたのが見えた。――蛇神様!
「今だよ!!」
 レモンが超霊力オーラガンを抱いて、念動力で飛び上がる。白蛇はレモンを護り、その命令を守り、オブリビオンを一気に締め付ける。
「……!」
「助かるぜ、蛇神様! よっしゃ、そのまま咆え立てろ!」
 拓哉がミミックだった竜に命令する。それもどこか遠く聞こえるほど高く、レモンは飛び上がっていた。深呼吸を一度して、狙いを定める。
 頭は揺れているからうまくいかない。蛇神様の身体と触れ合っている場所を――心臓部を、斜めに撃ち抜けば――!
「あっ……たれぇぇーーッ!」
 レモンの一撃が、高高度から放たれる。二度目の竜の咆哮に、その発砲音は掻き消され、しかし咆哮のごとき衝撃波を纏って――

 ――がどん、と大地を揺るがす音がした。

 灰になって散りゆくオブリビオンと、幻影のように消えてゆく蛇神様、そして竜。
「ふー……なんとかなったみたいだな……」
「だ、大丈夫!? 耳おかしくなってない?」
「あー、大丈夫大丈夫。それより、ありがとな」
「フ、いいって事よ! あー、またボスを辻斬りしてしまったわ……名探偵レモンちゃんのはずが……」
「まあいいじゃん、敵を倒せたんだから。しかし……気になるな」
「え?」
 撃破もそこそこに思案する拓哉に、終わったのではないのかとレモンが首を傾げる。
「ミミックには見えなかったんだが、占い師――そこにある死体だけど――は誰かと口論になったみたいなんだよな」
「えっえっ! それってつまり、占い師一人の犯行じゃないってことじゃない! 言ってくれればそっち追いかけたのにー!」
「追いかけたんだけど逃げられたんだよ。……まあ、そのうち尻尾を出すさ。このオブリビオンが奴らの崇める神だかどうだかもわかんないけど、そのうち」
「そのうち、ねえ……」
 レモンと拓哉は二人、空を見上げた。そこには影など一つもなく、青い空が広がっている。

 陰りがあれば直ぐ判る。だって自分たちは、猟兵なのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月27日


挿絵イラスト