たった二つのシンプルなルール
グリモアベースにて。猟兵たちを集めたトレイシー・ライト(スターシーカー・f05807)は、地図を広げて一つの島を示した。
「実は、グリードオーシャンで新しい島を見つけたんだけど、困ったことになっててさ」
発見された島の名は通称『黄昏の島』という。ダークセイヴァーから落ちてきた島とされており、何故か一日中夕方の、薄暗い島なのだという。
「そこの住民はコンキスタドールに支配されてる。奴ら、島民に無茶苦茶なルールを課して喜んでるらしいんだ」
一つ、月に一度の集会を除き、島民同士で会ってはいけない。
一つ、集会では島民の一人を殺さねばならない。
「簡単だよね。けど……シンプルで、理不尽だ」
吐き捨てるように、トレイシーは言う。島民同士で会えばどちらも殺される。だから事前に生け贄を決めることは出来ない。それでも月に一度、誰かが殺されなければならない。誰が決断し、誰が犠牲になるのか、その瞬間まで誰にも分からないのだ。
「食料とかは島民に配られてるらしいんだ、だから島民は安定を取って、逆らうこともしない。この島のコンキスタドールは島民を飼ってストレスを与えて遊んでるんだ。……そういうのはダークセイヴァーだけで十分なんだけど」
猟兵達が到着できるのは、まさに月に一度の集会の日だ。まずは誰かを殺そうとする島民達を止めなくてはならない。
「集会の様子がおかしいとなったら見張りの雑魚が出てくるはずだから、こいつらは蹴散らして。頭領はその後で、徹底的に叩いてやってほしい」
配下を倒していれば、そのうち頭領とされるコンキスタドールが現れる。これを撃破すれば、晴れて島は開放となる。それが島民達にとって幸せかどうかは、分からないことだが。
「でも俺は、今の島が幸せだとは思わない。……エゴかもしれないけどさ、猟兵としてはオブリビオンだって放っておけないし」
変わることを拒むであろう島民達にいかにして接するか。それが、この島を救うための一番難しい課題なのかもしれない。
廉内球
猟兵の皆様こんにちは、廉内球です。
今回はグリードオーシャンにて、コンキスタドールの定めた掟から島民を救うシナリオとなります。しかし、島民達は理不尽なルールに支配されると同時にある程度の満足を与えられており、上手く説得しない限り味方になってもらうことは難しいでしょう。
彼らを言葉で奮い立たせるか、あるいは力尽くで変化をもたらし、順応してもらうのか。それは猟兵の皆様次第となります。
それでは、素敵なプレイングをお待ちしております。
第1章 冒険
『いがみ合う島民達』
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POW : 力ずくで止める、鬱積を自身に身で受け止める
SPD : 島民の気をそらす、怒りの方向を別へ誘導する
WIZ : とにかく落ち着かせる、そもそもいがみ合う必要があるのか説く
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🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
一駒・丈一
島民の説得にあたる。
先ずは問いかけを。
「同輩を犠牲にして食う日々の飯は美味いか?」
次の集会では、君達の過去現在未来の家族や恋人などが贄役になるかもな。
もしそうなれば、先程の問いはこう変わる。
「大事な者を犠牲にして食う飯は美味いか?」と。
そこまで堕ちれば、もう普通の人間には戻れんぞ。
キミたちは安定を守ってるつもりでいるかもしれんが、逆だ。
月一で贄を出すという仕組みを基盤を盤石なものとし、次の贄の脅威と成り得ているのは、キミたちの姿勢に他ならない。
基盤を維持してるのは君達なのだ。だが…それ故に、維持する側だからこそ、壊すのも容易い筈。
もしこの流れを断ちたいならば、手を貸そう。食料の工面も可能だ。
集落のほぼ中央にある広場に、いくつもの影が伸びた。一ヶ月にたった一度のその光景に、一人の猟兵が加わる。見知らぬ男、一駒・丈一(金眼の・f01005)の出現に、初め島民は驚いたものの、新入りか何かと判断したのだろう、追求されることは特になかった。
今日は誰が誰を殺すのか。自分の手を汚したがらない島民達のぴりぴりとした雰囲気の中、丈一は口を開いた。
「同輩を犠牲にして食う日々の飯は美味いか?」
その言葉に幾人かが身をすくめる。良心の呵責がある者たちだろう。しかし島民にも言い分はあるようで。
「誰も犠牲にならなきゃ、何も食えない」
「なら問いを変えよう。大事な者を犠牲にして食う飯は美味いか? 次の贄役は家族や恋人かもしれないぞ」
重い沈黙が場を支配する。誰も反論しようとしないのは、彼らにも丈一の言うことが分かっているからなのだろう。
「昔はわしにも妻がいた……けど、そこの男に殺されたよ」
口を開いたのはオラトリオの老人だ。結婚はこの地が支配される前のことだったのだと、丈一は推測する。コンキスタドールの戯れの掟に絆を引き裂かれ、その後永遠に奪われて。そこまでされて尚、老人は抗うことをしなかったということか。
「だからお前さん、わしに殺される理由があるな?」
「やめてよお爺さん、そういうことはやめるって、私たちずっと前に決めたじゃない……」
嫌悪を示した女だが、その言葉に覇気はなく。狂った土台の上に島民自身が歪なルールの増築を積み重ねて、今に至ってしまっている。土台を守っているのは島民自身、そこにさらに掟を足して、雁字搦めにしているのも。丈一はそれを指摘する。
「基盤を維持してるのは君達なのだ。だが……それ故に、維持する側だからこそ、壊すのも容易い筈。もしこの流れを断ちたいならば、手を貸そう」
幾人かが顔を上げる。壊すのは容易い、だが壊せるとは思っていなかった。ユーベルコードを持たない島民達にとって反抗は死を意味する。だが。
「あんた、出来るのか」
丈一は頷く。なぜなら彼は猟兵だから。
戦えぬ島民たちは気まずそうに目をそらした。思いもよらぬ新たな選択肢に困惑しているのだろう。だが、確実に一石は投じられたのだ。
成功
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鈴木・志乃
どうにかしたいと思ってる人は必ずいる筈なんだ
言わないだけで、胸に秘めてる人は絶対いる
誰かを亡くしたとか、亡くしたくない人がいるとか
皆が従ってることに違和感を感じる人とか
UCや高速詠唱を使って怪我や病気の人を治して行くよ
貴方が良くなりますように
貴方と大切な人が、末永く平和に暮らして行けますように
私はこの島に反乱をしに来ました
あんな悪法許されるもんですか
私の仲間も既にその為の準備を始めています
もう島に来ていますよ
無理に協力してくれなんて言いません
死ねと言っているようなものだから
まぁ情報も人も足りませんけれど
貴方を見て尚更放っておけなくなった
駄目だったら?
はは、私が犠牲になりますよ(満面の笑み)
日の傾いたままの島、『黄昏の島』。そこに上陸した鈴木・志乃(ブラック・f12101)は、集会所へ向けて歩みを進める。
(「どうにかしたいと思ってる人は必ずいる筈なんだ、言わないだけで、胸に秘めてる人は絶対いる」)
そういう人たちが味方とまではならずとも、敵対せずにいてくれたら。
広場は少しざわついていた。皆できるだけ隠してはいるが、手に刃物や鈍器の類いを持っていることは見て取れる。一触即発と呼ぶには後ろ向きながらも、いつことが起こってもおかしくはなさそうだ。
「……この中に、治療を必要としている人はいますか」
志乃は努めて静かに声をかける。
「こんな掟の下では、医者にもかかれないでしょう。……あなたは、ナイフで手を切っていますね」
島民の怪我を見抜き、志乃はその手を取った。右手のナイフの刃を隠すために左手で握ったせいだろう。一筋の赤い線が、手のひらに走っている。別の者は長らくろくに運動出来なかったせいで、体の各所に違和感を覚えていた。別の者は、以前殺されかけた時の傷が痛むという。
「貴方が良くなりますように。貴方と大切な人が、末永く平和に暮らして行けますように」
「そんなこと祈ったって……」
無駄だ、と島民は言いたいのだろう。そう思うことで、諦めたいのだ。それでも。
「私はこの島に反乱をしに来ました。あんな悪法許されるもんですか」
その一言に、島民達がどよめく。すでに仲間が準備を始めていることも告げると、困惑はさらに広がったようだ。
「無理に協力してくれなんて言いません。……まぁ情報も人も足りませんけれど、貴方を見て尚更放っておけなくなった」
ユーベルコードを持たない島民が反乱を起こすということは即ち死。ならば、猟兵の出番だ。だがそれも知らぬ島民達は、未だ諦めの中にいる。
「無茶だ……あんな化け物、倒せるはずがない。それに制裁だってあるかもしれない」
「化け物……ですか。はは、もしそうなったら、私が犠牲になりますよ」
あっけらかんと笑ってみせる志乃に、島民は及び腰ながらも体の不調を癒やしてもらうために集まっていた。
成功
🔵🔵🔴
ケルスティン・フレデリクション
ひどいことを、するのね
頑張って、住民に話しかけるよ【コミュ力】
…でも、それで、しあわせがあるの?
安定は、わるいことじゃないよ。でも
…誰かを犠牲にして自分の気持ちを蔑ろにするのは、あまりよくないせんたくだとおもうの。
みんな、じぶんのこころにきいてみて。
あなたたちは、ほんとうにそれがしたいの?
かぞくがしんでも、あなたたちは苦しまないの?
…だいじょうぶ。てきは、わたしたちががんばってたおすから。
だから、みんなもいっしょにまえにすすんでほしいの
おねがい【祈り】
迷ってる住民と【手をつなぐ】 ほら、いのちって、あたたかいよ
「ひどいことを、するのね」
翼無きオラトリオの少女、ケルスティン・フレデリクション(始まりノオト・f23272)は誰に言うでもなくそうつぶやいた。そして集会場へと向かうと、引っ込み思案ながらも意を決して住民に話しかける。
「生け贄さえ差し出せば今の生活を続けられるんだぜ? 反乱ったって……なあ?」
「……でも、それで、しあわせがあるの?」
少女の鋭い質問に、島民達はギクりとする。
「安定は、わるいことじゃないよ。でも……誰かを犠牲にして自分の気持ちを蔑ろにするのは、あまりよくないせんたくだとおもうの」
反論は、無い。皆きっと分かっているのだ。毎月誰かを殺さなくてはいけない苦痛を。それさえなければどんなにいいか。それでも、安定した生活を捨てられない。多くの人は、変化には弱いのだ。それがリスクを伴うなら、尚更のこと。だが。
「みんな、じぶんのこころにきいてみて。あなたたちは、ほんとうにそれがしたいの?」「それは……」
毎月誰かを殺したいのかと問われれば、否だろう。多くの島民は、出来れば誰かにやってもらいたいのだ。殺される役も、殺す役も。それは本当の望みとはほど遠い。
「……でもやらなきゃみんな殺される」
誰かが絞り出すように言った。彼らが真に恐れるのは安定した生活の崩壊よりも、その先の死なのだろう。そんな彼らを包み込むように、ケルスティンは言う。
「……だいじょうぶ。てきは、わたしたちががんばってたおすから。だから、みんなもいっしょにまえにすすんでほしいの」
自分たちよりずっと小さな少女が、戦う決意を固めている。その事実に、島民達は迷う。死にたくはない。だが、この子だけを戦わせていいものだろうか。
「おねがい。……ほら、いのちって、あたたかいよ」
ケルスティンは近くにいた住民の手を取る。大人の冷えた手と違って、ケルスティンの手は小さく温かだ。手をつながれた住民は、しばらく迷っていたようだった。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
…………幸せだった頃のこと、思い出せなくなっているんですね。
誰かと一緒にくだらない話をして、困ったことがあったらお互いに助け合って。喧嘩する時もあるけれど、人と関わるのって凄く幸せなことです。
生きる中で一番の幸せを、この島は奪われている。
確かに生きるだけなら今のままでも良いのでしょう。
でも……最近、笑いましたか。
怒ったり、泣いたりしましたか。
心が震えること、ありましたか?
人は……心があってこそだと、私は思います。それは誰かが傍にいて、初めて気づけること。
思い出してください、皆で生活していたときのこと。
それって、大切なものだったはずだから。
UC発動(not攻撃)
甦れ、島の昔の姿よ
幸福を、見せて
秋山・小夜
アドリブ歓迎
一応SPDで
「あなた方は、自由が欲しくないのですか?」
話を聞く限り、島民同士で会い、自由に会話をすることもできない。
それでは楽しみもないのではないか?と問えるなら質問してみる。
それと、一つ、質問を投げかけてみる。
「あなた方は、今の生活に、とても満足できていますか?」
島を訪れた秋山・小夜(お淑やかなのは見た目だけ。つまり歩く武器庫。・f15127)には一つの疑問があった。
「あなた方は、自由が欲しくないのですか?」
「自由? 自由なんて贅沢さ……生きていけるならそれが一番だよ」
島民は事もなげにそんなことを言う。志乃はそれを、心の底から哀れに思う。
「…………幸せだった頃のこと、思い出せなくなっているんですね」
今でこそ外出も自由に出来ず、会話も制限されて掟に縛られてはいるが、この島に来た頃は違っただろう。一日中夕日が傾くこの島を開拓してこの集会場を作った頃は。
「誰かと一緒にくだらない話をして、困ったことがあったらお互いに助け合って。喧嘩する時もあるけれど、人と関わるのって凄く幸せなことです」
その幸せを、島民は奪われている。それが志乃にも、小夜にも納得のいかないことだ。「話すことも出来ないのなら、楽しみもないのではないですか?」
食べ物には困らなくて、けれど毎日たった一人で。笑うことも、喜ぶことも、泣くことも怒ることもない淡々とした生活を、島民は受け入れてきたのだろう。それは幸せとはほど遠い、ただ生かされているだけの生活ではないか。
「人は……心があってこそだと、私は思います。それは誰かが傍にいて、初めて気づけること。思い出してください、皆で生活していたときのこと」
志乃はユーベルコード・流星群(メテオストリーム)を発動する。
「今一時銀貨の星を降らせる、世界の祈りの風よ。甦れ、島の昔の姿よ。……幸福を、見せて」
周囲の無機物が幻想へと変わり、この島の開拓時代を描き出す。木を切り出し、草を刈り、資材へ加工してこの集会所を作った頃。まだ誰の手も血に濡れていなかった頃。島民皆で協力して、一つの集落を作った頃の幻が今、目の前に再演される。
島民達は皆、開拓作業に疲労しながらも笑顔だった。全てが進歩していった頃。今のようによどんだ停滞に沈んでいなかった頃。誰もが希望を持っていた頃のことだ。
「昔は……もっと楽しかったのう」
一人の老人がそう言うと、堰を切ったように人々は頷き合って話し始める。
「そうそう、この柱は俺の父ちゃんが立てたんだ……もう殺されちまったけど」
「あの頃はみんなにご飯を作るのが毎日楽しかったわね……」
けど、今やそれは幻。ユーベルコードの効果が徐々に薄れると、暗澹とした現実がそこにはある。
「改めて、一つ質問します。……あなた方は、今の生活に、とても満足できていますか?」
生きるだけの生活で満足かと、小夜は改めて問う。……反論は、ない。
「私たちは、これから反乱を起こします。だから……待っていて下さい。必ずかつての楽しかった暮らしを取り戻しますから」
「待ってくれ」
中年の男が小夜達に言う。
「我々も協力させてくれ。今からここで騒ぎを起こそう。そうしたら下っ端達が面白がって様子を見に来るはずだ、今までもそうだったろう?」
「そうだわ、人死にが起きるのを見に来てた!」
志乃はそんな島民達に驚きながらも微笑んだ。彼らもまた、彼らのやり方で戦うことを選んでくれたのだ。
「みんなで口論するふりをするんだ。そしたらあんたら、外で隠れて集会所にやってくる下っ端どもをやっつけちまってくれ!」
かくして島民と猟兵が一丸となっての作戦が開始される。島民達は適当な話題を選んで大声で罵り合うふりをし、いまにも殺人が起きそうな雰囲気を作る。それを見に来た配下のオブリビオンを、一網打尽にするのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『ドロップアウト・ルーキーズ』
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POW : 初歩的な斬撃
【大剣】が命中した対象を切断する。
SPD : 未熟な第六感
【山勘で】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ : 軽率な限界突破
【闘志】を一時的に増強し、全ての能力を6倍にする。ただし、レベル秒後に1分間の昏睡状態に陥る。
イラスト:ももんにょ
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ふざけるな! 殺してやる!」
「やめて! そんなに言うならあなたが死んでよ!」
住民達は口々にお互いを罵り合うが、それは敵をおびき寄せるための罠だ。殺人が起こりそうな雰囲気を作り出し、下っ端達が面白がって見に来るように仕向けている。猟兵は隠れることで、何も知らない配下達に不意打ちを仕掛けることが出来るだろう。戦闘を優位に進めることが出来るであろう事は間違いない。
それも、猟兵達が言葉を尽くして住民を説得したが故。今や、『黄昏の島』は一丸となってコンキスタドールへ反抗を始めている。
※猟兵達の説得により、島民達が手を貸してくれました! これにより、以降の章においてプレイングボーナスを多めに付けさせて頂きます。
ケルスティン・フレデリクション
…みんな、おてつだいしてくれて、ありがと、ね
うん、がんばるよ
敵が現れるまでは隠れてるね。
不意打ちは【ひかりのねむり】すやすや、おやすみなさい。
おやすみした?してなくても、一気に攻撃するよ
鳥型の氷の精霊ルルにお手伝いお願いするね
【範囲攻撃】【属性攻撃】で氷の雨をいっぱい降らせるよ
わるいことをするひとは、めっ、なんだよ
島の皆には怪我をしないよう、下がっててもらうけど…
攻撃がいくようなら、魔法で阻止するよ
島民達の騒ぎは、ケルスティンの耳にも聞こえていた。言い争いの声はつらいが、それこそ島民達のエールと知る彼女は、目を閉じて島民へと念じる。
(「……みんな、おてつだいしてくれて、ありがと、ね。」)
小さな体は木の陰で十分隠しうる。そしてそのまま、下っ端のオブリビオン達がやって来るのを待っている。その時が来るのにさほど時間はかからなかった。
「そーそろそかなぁっとぉ! へへっ、今日もおもしれーもん見物できそうだぜ」
「今日は一段と激しいなァ、ついに仲間割れかァ?」
何も知らないまま集会所へと向かっていく下っ端達を視界に捉えたケルスティンは、小さくつぶやく。
「うん、がんばるよ」
物陰から出ることすらなく、ケルスティンはユーベルコード・ひかりのねむりを展開した。辺りに青空を切り取ってきたかのような爽やかな青が散る。それが勿忘草の花弁と気付く前に、ドロップアウト・ルーキーズはするりと眠りに落ちてしまった。
こうなればケルスティンの思うままだ。
「ルル、お願い」
ふわふわとした鳥の形をした氷の精霊は、その名を呼ばれると翼を大きく広げて主の魔法を支援。その氷の魔法によって、この島に初めて雹が降った。それはオブリビオンの体のみを傷つけ、再起不能へと追いやっていく。
万が一にも島民に攻撃が向かないように警戒していたケルスティンだが、それも杞憂のようだ。寝込みを襲われたドロップアウト・ルーキーズは、なすすべもなく倒されたのであった。
大成功
🔵🔵🔵
秋山・小夜
アドリブ歓迎
鈴木志乃さんと
「人々を苦しめて、抑圧して、傷つけて。それを楽しむあなた方を、私は許さない。」
二〇式戦斧 金剛を展開すると同時にユーベルコードを発動。距離のある敵に対しては遠慮なく砲撃を、近くの敵は遠慮なく斬殺する。
なるべく島民に被害が及ばないように努力しつつ立ち回る。
鈴木・志乃
アド連歓迎
秋山小夜ちゃんと
私は完全に補助に回るね
しっかり押えとくから、頼んだよ小夜ちゃん
第六感と聞き耳で敵の居場所を察知
早業UCで纏めて同時に捕縛する。
あの貝が盾として起用出来ないように立ち回る
小夜ちゃんが狙うのに時間かかりそうな敵は、そのまま高速詠唱で氷漬けにして足止めする。
アイツら遠距離武器持ってなさそうだからね、私のUCと魔法、小夜ちゃんの銃は結構効くんじゃないかな?
まどろっこしくなって来たら、念動力で鎧砕き出来る魔改造ピコハンを操作しぶん殴るよ
島民の皆さん本当にありがとう
流れ弾に当たらないように頭低くしてね!
高速詠唱でオーラ防御も島民に張っとくよ!
また別の場所では、二人の猟兵がその身を隠している。
「私は完全に補助に回るね。しっかり押えとくから、頼んだよ小夜ちゃん」
志乃は小夜と軽い打ち合わせを済ませると、聞き耳を立てて周囲を伺う。……やがて、土を踏む誰かの足音が聞こえてきた。数は四人程度だろうか。こんなタイミングで歩き回るのは下っ端達に違いないと、彼女の第六感が告げている。
「……来た、北東。見える?」
「わたしにも見えました。行きましょう!」
小夜に続いて志乃が飛び出す。
「うわっなんだお前ら!」
「こんな島民いたか!?」
「さあ? でも、大人しくした方が身のためですよ」
志乃の言葉とともに、光の鎖がドロップアウト・ルーキーズを縛り上げる。驚愕するオブリビオンの一人が次に見たのは、向かってくる人狼の少女の姿だった。
「人々を苦しめて、抑圧して、傷つけて。それを楽しむあなた方を、わたしは許さない」
「はっ、どう許さないのか……ってええっ!?」
オブリビオンはさらに驚く羽目になる。なぜなら、小さな少女が抱えるのは実に十もの武器の数々。華奢な姿に似合わぬ渾名は正しく『歩く武器庫』である。
「剣戟の響きは円舞曲 響き渡る雄叫びは観客の歓声 舞い散る鮮血は最高のドレス さぁっ、一緒におどりましょう? 華麗なる大円舞曲!」
高速のステップとともに、小夜は武器の中から【二〇式戦斧 金剛】を選ぶ。そのまま振りかぶると、スピードと重さに任せてまずは一人を一刀両断する。なんとか捕縛を抜け出した者が山勘で避けようとするが、超高速戦闘を可能なものにした小夜の速さには山勘も役に立たない。
「う、うおおおおお!!」
「待て、俺も行く!」
残ったドロップアウト・ルーキーズは軽率に限界を超え、集会所へ向かって走る。速さには速さで対抗し、島民を人質に取るつもりだろう。だが一人の足が志乃の高速詠唱によって発生した魔法の氷で止められると、小夜の砲撃になぎ倒される。
なおも足を止めない最後の一人の目の前に、突如としてオーラの壁が現れる。さすがのオブリビオンもそれには足を止めざるを得ない。志乃の予想通り、飛び道具を持たないオブリビオンは、島民を人質に取ることさえできずに立ち往生した。
「嘘だろ……?」
「嘘じゃない。これが現実。みんなを苦しめた報いを受けて」
ルーキーが最後に見たのは、剣呑な表情で斧を振りかぶる小夜の姿。その背後には、鎧さえ砕くピコピコハンマーを構えた志乃。
「これで、終わり!」
それらが思い切り振り抜かれると、両断されたオブリビオンは跡形もなく消滅した。
「島民の皆さん本当にありがとう!」
志乃が声をかけると、島民達は演技を続けながら拳を振り上げて見せた。小夜は彼らに向かって一礼すると、次の敵に備えるべく再び身を隠した。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
一駒・丈一
さて。うまい具合に奇襲を仕掛けることが可能となった。
とは言うものの…大技を使えば住民に被害が及ぶ。
折角協力してくれたのだ。被害を出すわけにはいかん。
啖呵を切った以上は、相応の責任は果たそう。
ならば…
【地形の利用】で物陰に隠れながら、敵一団の背後に移動する。
そして、背後からUC【静寂なる雷】で敵の後頭部目掛けて、手持ちの杭を【投擲】し、【早業】にて着実に仕留めて行こう。
1匹1匹着実にな。まぁ、スニークキルに近いかね。
これであれば、被害を最小限にし、且つ静かに敵を倒せる。
悪いなルーキー。来世では、人々の争いを愉しむ以外の趣味を見つけることだ。
(「さて。うまい具合に奇襲を仕掛けることが可能となった。とは言うものの……」)
丈一は考える。大技を使って万が一島民に被害を出すわけにはいかない。せっかくの協力者に怪我があっては事だ。コンキスタドールを倒せると啖呵を切ったからには、果たすべき責任というものがある。
ならば、取るべき手は一つだ。
「おいおい、今日はやけにうるさくねぇか?」
「島民どもが騒いでんだろ、早く行かねぇと殺人ショーに間に合わねぇぞ」
「じゃあ急ごうぜ」
ドロップアウト・ルーキーズが口々にはやし立てながら集会所へ向かっていく。それを、建物の影に隠れた丈一は密やかに狙う。
(「一匹一匹確実に……」)
手にした幾本もの杭の一つを構えると、ユーベルコード・静寂なる雷として投げつける。狙いは最後尾の雑魚、その後頭部だ。
狙い過たず命中した杭は、ルーキーを音もなく絶命させる。倒れる音はルーキー達自身の話し声と島民達の言い争う声によってかき消され、気付かれることなく次の獲物を狙うことができた。
そうして、一人、また一人と倒れていくオブリビオン。達人級の早業によって、ついに最後の一人となる。
「それになあお前ら……ってあれ?」
やっと振り返ったルーキーは、点々と続く仲間達の死体を視認した瞬間、頭部に杭の直撃を受けて死に至った。彼らは最後まで何が起きたか分からないままだっただろう。
「悪いなルーキー、正面切って挑むほどでもなかったのでね。来世では、人々の争いを愉しむ以外の趣味を見つけることだ」
もう何も聞こえないドロップアウト・ルーキーズへと、丈一は語りかける。これであらかたの雑魚は殲滅されたようだった。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『貪欲ドラゴン『ファフニール』』
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POW : 奪ってきた物の価値を知る竜
あらゆる行動に成功する。ただし、自身の【今まで自分の物にした財宝や犠牲者の幽霊】を困難さに応じた量だけ代償にできなければ失敗する。
SPD : 全てを奪い取る強欲な牙
【様々な能力を奪い取る噛みつき】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【知識や武装、思考】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 死して尚、強欲な犠牲者達
【生前の能力を持つ煌びやかな武器や防具】で武装した【腐食する猛毒な息で体を構成された犠牲者達】の幽霊をレベル×5体乗せた【口から吐き出す吐瀉物】を召喚する。
イラスト:塔屋
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「サジー・パルザン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「さあ、今月の贄は誰だ。その血肉も骨も魂も、我が財としようぞ」
島の山側から地響きのような足音が響く。この島を支配し、理不尽な掟を制定したコンキスタドール。その正体は貪欲ドラゴン『ファフニール』であった。
「これは……我が手下どもよ、不甲斐ない。貴様らも我が財となるがよい!」
貪欲ドラゴンはドロップアウト・ルーキーズの死体をむさぼり始める。そのおぞましい光景ににおびえた島民達は、ついに海岸側へと逃げ出した。
「あいつだ、あいつが頭だ!」
「頼む、家族の仇を取ってくれ!」
逃げ惑いながらも島民達は口々に叫ぶ。ここで猟兵が敗れては、島の住民も無事では済まないだろう。命がけで協力してくれた彼らの勇気を無駄にしてはならない。
島の未来は、猟兵達に託された。
ケルスティン・フレデリクション
…なかまも、たべてしまうの…
その光景に少し青ざめるけど…でも、やるべきことはひとつ。
しまのみんなに、ひどいことをしたのはあなたね
島の皆に近づかないように、盾になりつつ…
呼び出された幽霊たちに【こうか】を使うね
…勿忘草の花をひらひら回せて攻撃するよ
幽霊のひとにも、少し罪悪感を感じるけど…。かなしくて、つらいね。
もうこんなことに、りようさせないように、たおすから…。
精霊銃の【きらめき】に光の精霊の力を宿すね
【全力魔法】【属性攻撃】【スバイパー】【2回攻撃】
きらきらした光の力を込めて、2回攻撃するよ。
たおせた、かな?…これで、みんながまえにすすめたらいいな…
(「……なかまも、たべてしまうの……」)
その光景にケルスティンは息を呑む。相手はオブリビオンといえど人の形をしていた。それを喰うとは、気分のいい光景ではない。しかし、いつまでも顔色を悪くしてはいられない。貪欲ドラゴンの視線が島民達の背に向くと同時に、ケルスティンはその間に割り込んだ。
「小娘、邪魔立てするなら容赦はせんぞ!」
ファヴニールは数多の幽霊を吐き出す。先ほど食したばかりのルーキーズが、煌びやかな武装を纏ってケルスティンへと迫る。
「ふわふわ、ひらひら、きらきら」
下っ端達が最期に見たであろう勿忘草も、今や記憶になく。ユーベルコード・こうかによって生まれた青の嵐へとまっすぐに突っ込んでは、亡霊達は打ち破られていく。
(「かなしくて、つらいね」)
死して尚利用されるドロップアウト・ルーキーズに哀れみを覚えながらも、ファヴニールのユーベルコードに対抗する。亡霊達は次々と勿忘草の花びらの中に消えていく。それは炎に焦がれた夏の虫のようであり、あるいは自ら本当の安寧を願っての事のようにも思えた。もう、こんな風に利用される存在を生み出してはならない。
「何!? 我が亡霊どもが……役立たずめ」
「しまのみんなに、ひどいことをしたのはあなたね」
ケルスティンは精霊銃【きらめき】を抜き、光の精霊の力を込める。全力による光の攻撃を二発分。それだけの力を素早く装填すると、その銃口をぴたりとコンキスタドールの口に向ける。直後、二筋の光がドラゴンの口に吸い込まれた。着弾した光は爆発を起こし、その牙を幾本か吹き飛ばす。
「これで、みんながまえにすすめたらいいな……」
成功
🔵🔵🔴
秋山・小夜
アドリブ歓迎
鈴木志乃さんと
「あんたですか。島民たちから笑顔と幸せを奪った輩は。」
戦闘開始直後からユーベルコードを発動。また、右手に二〇式戦斧 金剛を展開、左手に超巨大メイス 崩山を展開し、金剛で砲撃しつつ接近し、近接戦闘を試みる。
また、可能であれば使用しない多くの武装を出してユーベルコード【千本桜】を発動し、攻撃や防御に使用。手加減など一切しない。
「他者の命を軽く見る輩なんかにかける慈悲なんかありませんよ。」
鈴木・志乃
秋山小夜ちゃんと
アド歓迎
うっわあアレほんと危ないぞ……。存在するだけで危険じゃないか。
すぐさまUC発動。祈りと浄化の風で幽霊も腐食毒もなぎ払うよ!
幸福な幻想は当然価値ある財宝の幻想。幻想で彼の精神にハッキングかましてやる。一瞬でも気が逸れれば、小夜ちゃんが鉛玉をぶちこめるはずだ。なんなら油ぶちまけて、高速詠唱全力魔法で燃やしてやってもいいけどね。
高速詠唱でオーラ防御展開
第六感で行動を見切り光の鎖で早業捕縛。
さ、一気に決めようじゃん?
今度こそ、全部終わりだ
皆であたたかい陽の光を浴びて、くだらない話でもして盛り上がろうじゃないか。
もう、すぐそこだよ。
「うっわあアレほんと危ないぞ……。存在するだけで危険じゃないか」
直前まで配下であった者達の死体を貪るファヴニールの姿に志乃がドン引きする。一方で、小夜は毅然と言った。
「あんたですか。島民たちから笑顔と幸せを奪った輩は」
剣呑な表情で右手に砲を備えた【二〇式戦斧 金剛】を、左手に全長2メートルの【超巨大メイス 崩山】を展開した小夜は、華麗なる大円舞曲(カレイナルダイエンブキョク)による超加速で踏み込みながらも戦斧からの砲撃で牽制を行う。
「今一時……価値ある財宝の星を降らせる、世界の祈りの風よ!」
志乃はすぐさま幸福な幻想――ファヴニールにとって幸福とは金銀財宝の類いに違いない――を見せながら、周辺の無機物を操作する。金の財宝に変化した小石や砂を腐食の息の盾にして、亡霊達をなぎ払う志乃。貪欲ドラゴンの濁った瞳に財宝のきらめきが映る。明らかにそれに気を取られていることを察知した志乃は、隙を突いて光の鎖で捕縛にかかる。
その間にも、小夜の快進撃は続く。超重量の武器二本を自在に操り打撃を加えていく中で、徐々に桜の嵐が舞い始める。【七二式戦闘用パイルバンカー・震電改】、【超電磁加速投射砲紫電改】、【ソードメイス 岩崩】に【九九式軽機関銃】……ユーベルコード・千本桜によって、身に纏う数多くの武器を桜の花びらに変換、攻撃に使用する。
コンキスタドールがその鋭い牙を見せれば、すぐさま桜色が視界を潰す。それは春の嵐のように強く、容赦なくオブリビオンに襲いかかる。一切の手加減のない、まさに暴風のような攻撃だ。
「他者の命を軽く見る輩なんかにかける慈悲なんかありませんよ」
「確かにね。さ、一気に決めようじゃん?」
桜に紛れた志乃が、用意しておいた油をドラゴンにぶちまける。光の鎖と桜によって身動きの取れなくなっていたドラゴンには回避する手段もない。志乃が十分に離れ、小夜もまた高速で距離を取ったその瞬間、志乃の短くも全力の詠唱が炎を生み出し、油に点火し燃え広がっていく。
夕焼けのオレンジに、もう一つの光が加わる。巨大なドラゴンの悲鳴は、勝利が近いことを示している。
「今度こそ、全部終わりだ。皆であたたかい陽の光を浴びて、くだらない話でもして盛り上がろうじゃないか。もう、すぐそこだよ」
大成功
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一駒・丈一
今月の贄はお前自身だ。そして、今月でこの下らん掟も終了だ。
貴様が食らった部下は、貴様の最期の晩餐となるが…味わう姿を眺める気にもならん。仕事を始めるぞ。
敵の噛みつきをを警戒。あの強欲な牙を使われると一発逆転される可能性がある。
故に、敵の攻撃軌道を【戦闘知識】で【見切り】つつ、刀で斬撃を与えて後方に飛び退く形で回避。
この刀の攻撃は、ある意味ブラフだ。狙いは別にある。
後方に回避する先は、まだ食われていないルーキーズの遺体。先ほど俺が投擲した杭が刺さったままのはず。
その杭、【贖罪の道標】を手に取り、そしてUC【断罪の道標】を発動し、敵の口に対して【投擲】する。
これが食い納めだ。受け取ることだな。
貪欲ドラゴン『ファフニール』の凄惨たる食事風景に、丈一は舌打ちする。
「今月の贄はお前自身だ。そして、今月でこの下らん掟も終了だ」
「ほう、面白いことを言う」
言いながら、丈一は素早く周囲を確認する。遠い位置で杭を投擲した部下の死体はまだ喰われていない。だが、これ以上の食事を許すつもりもない。味わう姿を眺める気も、毛頭無かった。
「仕事を始めるぞ」
丈一は【介錯刀】を抜くとその刃に霊薬【雷光】を塗りつける。興味深げな貪欲ドラゴンの視線ににらみ返すと、丈一は刀を構え敵の動きに備える。
(「あの牙を受ければ一発逆転の可能性がある……ならば」)
にらみ合う猟兵とコンキスタドール。わずかな時間、静寂が戦場を支配する。それを打ち破ったのは、どこかで鳥が飛び立つ音。丈一は一気に踏み込むと、その頭を狙って斬撃を繰り出す。
だがオブリビオンもそれは想定のうち。刃を丈夫な牙で受け止めると、丈一を上空へ弾き飛ばしてその腹に収めんとする。
(「やはりそう来たか」)
だがそれもまた丈一は読んでいた。積み重ねた豊富な戦闘知識が最適な回避方法を導き出す。姿勢を制御し、幾多の命を引き裂いてきた牙の隙間に【介錯刀】を突き刺して噛みつきを回避すると、口元の鱗を蹴って後方へと飛ぶ。
丈一は反撃の好機をみすみす逃したのか? 答えは否。その真なる目的は、配下に使った杭の回収にあった。貪欲ドラゴンへの攻撃は、そのための布石に過ぎない。
残った遺体から素早く杭を回収した丈一は、ユーベルコード・断罪の道標(ダンザイノミチシルベ)によりとどめを狙う。
「これが食い納めだ。受け取ることだな。……この杭で穿たれたまま、悔いを抱いて裁きをうけろ!」
力の限り投擲された杭は一筋の光の如き速さで、コンキスタドールの口元へと飲み込まれていく。牙を打ち砕き、頭部までも破壊されたオブリビオンは、ついに地に伏すこととなる。
「おのれ……贄どもめ……」
呪詛の言葉を残して、オブリビオンはついに消滅する。それはこの島の理不尽な掟の消滅をも意味していた。
しばらくして。猟兵たちがそれぞれに安堵や喜びを表現する中、島民たちも恐る恐る戻ってきた。
「か、勝ったのか……?」
猟兵たちが肯定するように、丈一もまた頷いて見せる。島民たちから上がる歓声。理不尽に慣れてしまっていた彼らとて、本心では自由を望んでいたのだろう。
一日中夕日傾くこの島に、これから訪れるのは斜陽ではない。取り戻した自由、再びの発展。そして何より、島民たちの絆が蘇る、まさに夜明けの時代だ。
大成功
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