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みんなオオカミになればいい

#アリスラビリンス #マイ宿敵 #アリーチェ・ビアンカ

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#アリーチェ・ビアンカ


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●アリスラビリンス 絶望の国
 ガチャガチャガチャと乱暴に扉を開けようとする音が響く。だが、三日月状に歪んでしまったその扉は開かない。いや、扉が『開かない事』を確認しているようにも見える。
「帰れるわけなんてないのに」
 ドアノブから手を離した少女はそう呟く。自分にはもう、帰る資格などないのだ。おぞましき獣へと堕ちてしまったのだから。もう、元の世界にいた家族や友人の顔も思い出せなくなっていった。そして、自分が誰だったのかも……、
「私は……」
 そう少女は呟いた後、口元をニィッと三日月のように歪ませる。
「私はァ! オオカミさんでしたァ!!」
 そう叫んでケタケタと笑い、走り出す。狼のような耳と尻尾を生やした少女『アリーチェ・ビアンカ』は四つん這いになり、獣のように走り出す。

 今日の獲物はなんだろう? アリスだったらご馳走だ。
 お腹いっぱいになって、それでもアリスを見つけたら、その子といっぱい遊んでやろう。噛んで引っ掻いて組み付いて……もしかしたら私と同じオオカミさんになってくれるかも。
 そしたら、その子も帰らなくっていい。ずっとここで野山を駆けて、獲物を狩っていればいい。

「今日は何が見つかるかな?」
 扉の前で考えていたことなどすっかり忘れ、少女は永遠に降りない満月の下を駆けてゆくのだった。

●グリモアベース
「今日はオウガ退治をお願いしたいっす」
 そう話すのはヒーローマスクのグリモア猟兵、リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)だ。
「アリスラビリンスの国の中にずっと満月の夜が続く国があるんす。そこが、オウガを生み出す『絶望の国』になっているんすよ」
 別名、『オウガのゆりかご』。この状態になってしまったら、一刻も早く国のボスであるオウガを倒さなければいけない。
「オウガは元アリスで、自分の本来の扉周辺を根城にしているらしいんすけど、そこに到達するまでが大変なんすよ」
 なんでも、空に浮かぶ満月の光を浴びると、心が凶暴化し、暴れたくなるという。
「任務そっちのけで目につくものに攻撃したくなったりとか、そんな感じっすかね? 仲間と参加する場合は勿論注意が必要っすし、たまたま他の猟兵や、偶然迷い込んできたアリスやこの世界の住人とかと鉢合わせすることもあるかもしれないっすからね。何かしら対策が必要っす」
 精神力に自身があるなら気合で耐えるのもいいが、気を紛らわせる方法などを用意したり、狂気に陥っても周りを傷つけたり任務を忘れたりしなくて済むように対策を考えてもいいかもしれない。
「で、ボスとなるオウガなんすけど、元の名前がわからないから『アリーチェ・ビアンカ』と呼ばせてもらうっす」
 直訳で『白のアリス』、白い狼の耳と尻尾が生えてるアリスなのでとりあえずそう呼ぶことにしたとのことだ。
「元はどこの世界かもわからないっすし、経緯も不明っすけど、この世界でオオカミみたいな姿になって帰れなくなったらしいっす。人狼病に罹患したのか、はたまたオウガにとり憑かれたのか」
 帰れなくなったというよりは『帰るのを諦めてしまった』が正しいのかもしれないっすけどね、とリカルドは付け加える。
「それで、ビアンカは自分と同じようなオオカミ型のオウガをどんどん増やそうとしているみたいっす。なので、これを止めて欲しいって訳っす」
 そこまで言ってから、リカルドは付け加える。
「ビアンカを倒した後、この絶望の国は崩壊するんすけど、そこで生まれたオウガは襲いかかってくるみたいなんで、そいつらも倒して欲しいんすよ。倒しきれないと、そのまま国の外に出て悪さすると思うんで」
 ただ、ボスであるビアンカの絶望を和らげた状態で倒すことができれば、生まれてくるオウガは少なくなるので、逃さずに倒し切ることも可能だという。
「もうアリスに戻すことはできないっすけど、できるだけ救ってあげたいとは思うんすよ。だから、よろしく頼むっすよ」
 そう言ってリカルドは猟兵達をアリスラビリンスへ転送するのだった。


麦門冬
 どうも、マスターの麦門冬(むぎとふゆ)です。今までオウガ化する前のアリスを救うシナリオをいくつかやってきましたが、今回は初っ端からオウガ化していますので、引導を渡してやってください。
 第1章ではボスである『アリーチェ・ビアンカ』を探してもらいます。自身の扉周辺をねぐらにしているので、そこへたどり着けば会えるでしょう。ただし、満月の光で心が凶暴化するので、無事たどり着けるかはプレイング次第です(たどり着く自体はなんやかんやでできると思います)。
 第2章では絶望の国の主『アリーチェ・ビアンカ』と戦ってもらいます。ただ倒すだけでも構いませんが、彼女の絶望を絶望を少しでも和らげることができれば、第3章の敵戦力に影響が出ます。
 第3章では、絶望の国が崩壊し、それに伴って絶望の国の内側で生まれるのをまっていた『オウガの群れ』が襲いかかってきます。群れの数は多く、既定の成功数までオウガを倒したとしても、倒しきれずに逃げられる可能性がありますが、『アリーチェ・ビアンカ』の絶望の度合いにより、その数は減少するようです。

 以下、補足事項です。

●絶望の国
 常に大きな満月が上空に上がっている常夜の国です。太陽は出てきませんが、植物の生育にはなぜか問題ありません。地形としては草原や森林があり、川も流れています。
 この月の光を浴びると、理性を失い、衝動的、暴力的になったりします。もしかしたらたまたま迷い込んだアリス(モブ)や愉快な仲間たち(モブ)に遭遇するかもしれませんが、彼らの生死はシナリオの成否に関係ありません(暴力を振るった結果、オウガの元へたどり着くのが遅れる可能性はありますが)。

●アリーチェ・ビアンカ
 人狼型のオウガ。本当の名前はあったようですが、狂気にさらされるうちに忘れ去ってしまいました。出身世界は詳しく分かっていませんが、人狼になったのはアリスラビリンスに入ってからであり、ダークセイヴァーの出身者ではないようです。【野生の勘】を250レベルで習得しています。

●オウガの群れ
 獣っぽい感じです。

 それでは皆様の冒険をお待ちしております。
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第1章 冒険 『狂気に満ちた満月の下』

POW   :    狂気にただひたすら耐える。

SPD   :    狂気を紛らわせたり軽減するような方法を取る。

WIZ   :    狂気に陥っても問題ないような対策をとっておく。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アハト・アリスズナンバー
オウガ退治。しかも元アリスと来ましたか。
まあ猟兵になって初めての依頼なので、情も慈悲もなく倒すだけですけど。

「狂気を紛らわせたり軽減するような方法を取る(SPD)」に挑戦しましょう。

ユーベルコード「アリスナイト・イマジネイション」を使い、鎧で隠して月の光を出来るだけ浴びないようにし、冷静に事を進めましょう。
この無敵の鎧。あの子もアリスならば覚えがあるでしょうしね。
まあ、ある程度の怪我や些細な失敗はやむを得ないものとします。



●フラスコチャイルドはアリスの夢を見るか
「オウガ退治。しかも元アリスと来ましたか」
 大きな満月が地上を見下ろすこの絶望の国を、アハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)は進んでゆく。アリスの扉の大体の位置はグリモア猟兵からも聞いたので、おそらくは問題はない。問題があるとすれば、空に浮かぶ満月だ。
(鎧はうまく機能しているみたいですね)
 猟兵すらも狂気に陥れる魔性の光に対し、アハトは【アリスナイト・イマジネイション】で全身を覆う鎧を身に纏うことで、光を遮断して狂気を受けないようにしている。問題があるとすれば、
「少し、視界が悪いですね」
 光を遮断するということは、目に入ってくる光も制限されるということ。いっそ、光を通しても狂気の力は通さない鎧を作り出す選択肢もあったかもしれないが、猟兵になったばかりのアハトにとって、目に見えない狂気の力だけを遮断するイメージを創り上げるのはいささか難しい。結局は今時分のとっている方法がベターな選択ではあるのだろう。
(些細な失敗はやむを得ないですね。問題があれば、それをフィードバックして進むだけですから)
 アハトはアリスナイトではあるが、正確にはアリスではない。アリス適合者から複製されたと言われているフラスコチャイルドだ。今回のデータも故郷で更新され、同型機とともにアップデートされるだろう。
(この無敵の鎧。あの子もアリスならば覚えがあるでしょうか?)
 討伐対象の元アリスがアリスナイトとともに行動していれば、見たことある可能性は高いかもしれない。アハトの脳裏にそのようなことがふとよぎる。
(まあ、猟兵になって初めての依頼なので、情も慈悲もなく倒すだけですけど)
 そのような感傷は任務の遂行に不要か。思考を切り替えると、アハトは足元を確認しつつも、着実にオウガの元へと進んでゆくのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノエル・フィッシャー
【WIZ】
発動するUCは【王子様と十字架の世界】。出口を件のオウガの方向に定め、月光を遮る影を作りつつ万が一凶暴化した際に猟兵や無事な住民を巻き込まないようにするよ。
さらに月明りの方向に【架空の戦旗】を掲げて少しでも浴びる量を減らし、加えて【狂気耐性】によって凶暴化の影響を抑え、仕上げに【ダッシュ】で迷宮を素早く駆け抜けるよ。
ゴールに辿り着いてしまったら、再びUCを発動を繰り返し、オウガを目指すよ。

そう、この十字架はまだ見ぬ『キミ』の墓標。キミを救えぬボクだが、魂までは見捨てはしない。せめてこれ以上の罪を犯す前に『終わらせてあげる』よ。
だなんて、我ながら酷い偽善だね。

アドリブ・共闘歓迎だよ。



●走る王子
 絶望の国に突如迷路が出来上がる。天から降ってきた十字架が壁作り、月の光を遮る。そうして出来た通路を駆け抜けているのはノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)、いわゆる『王子様』だ。
「うまくいったみたいかな?」
 十字架で出来た壁の隙間から漏れ出る光も浴びないようにと『架空の戦旗』を掲げながら走っている。そう、この迷路はノエルが【王子様と十字架の世界】で生み出したユーベルコードの迷宮なのだ。
 迷宮の壁は月の光を遮断するだけでなく、狂気に陥っているであろうアリスラビリンスの住人やアリスたちと遭遇するのを避けるのにも役立っている。
「よし、次」
 迷路を抜けたノエルは再びユーベルコードを講師して新しい。迷路を作り、その中を駆けてゆく。自分の作った迷路なので、出口も勿論分かっている。
「そう、この十字架はまだ見ぬ『キミ』の墓標。キミを救えぬボクだが、魂までは見捨てはしない。せめてこれ以上の罪を犯す前に『終わらせてあげる』よ」
 この先で待ち受けているであろう元アリスのオウガに向けてノエルはそう呟く。そして、自嘲めいた笑みを浮かべる。
(だなんて、我ながら酷い偽善だね)
 ノエルにそう思わせるのは、過去の経験がそうさせているのか。
「……先を急ごう」
 どう思っているのであれ、ノエルは猟兵。オブリビオン……オウガを倒す力も資格も得ているのだ。ならば、自分の行うべきことは決まっている。
 迷路の出口が見えてきた。オウガのところまでは着実に近づいている。

成功 🔵​🔵​🔴​

メアリー・ベスレム
ふぅん
またメアリみたいなオオカミのアリスなのね
ブランシュの時とは少し違うみたいだけれど

メアリは元々ひとでなしだもの
今さらこんな月の光で簡単に狂ったりなんてしないわ?
それにメアリはアリスでもあるんだから
人の【演技】だって得意だもの
獣が人の振りをできるという事は
獣の狂気を制御できるという事でしょう?【狂気耐性】

狂月の徴を使って【ヴォーパルの獣】に変身し
敢えて人狼病の症状を進行させる事で制御する
そのまま獣のスピードでオウガのところまで駆けていく
【野生の勘】【聞き耳】で危険を察知しながら
アリスも仲間たちも障害物も【ジャンプ】で跳び越える
もし迷い込んだのがオウガなら
【踏みつけ】や【咄嗟の一撃】で殺すだけ



●オオカミは駆ける
「ふぅん」
(またメアリみたいなオオカミのアリスなのね。ブランシュの時とは少し違うみたいだけれど)
 グリモア猟兵から聞いた話を反芻しながら、メアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)は空を見上げる。ダークセイヴァーと違い、薄雲しかない空には凶悪な光を放つ満月が居座っている。
「メアリは元々ひとでなしだもの。今さらこんな月の光で簡単に狂ったりなんてしないわ」
 もちろん、この絶望の国の満月は普通の月よりも人の心を狂わせる力が強い。だが、そうした狂気に耐性のあるメアリにとっては強いか弱いかの違いでしかない。
「さぁ、素敵な夜を始めましょう?」
 更に宝石『狂月の徴』に触れ、そう呟いたメアリは意図的に人狼病の症状を進行させるユーベルコード【ヴォーパルの獣】によって半獣半人の姿になる。
 そしてメアリは驚異的なスピードで絶望の国を駆けてゆく。
「――!!」
 途中、月の光に侵されたアリスのような人物や愉快な仲間たちを見かけたが、メアリは目もくれず駆け抜け、時に跳び越えてゆく。
「オウガだったら踏み殺すところだけど……そうでないなら用はないわ」
 障害物、迷路のようなものも跳び越えてゆき、メアリはそのまま駆け抜けてゆく。狂気を乗りこなした彼女を止められるものは誰もいない。
「このあたり、かしら?」
 そして彼女は危なげなくオウガの住処へとたどり着いたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​


 そしてメアリは以前のアリスラビリンスの冒険で一緒に過ごした自分と同じで、それでいて人狼のアリスのことを思い出す。
「ブランシュ……」
 あの時の彼女はオウガになる前だったから救うことができた。だが、今回の相手はすでにオウガとなり、戻れないところにいる。
「ひとでなしなのだもの」
 相手はすでにひとでなし。こちらもひとでなし。ならば、やるべきことは決まっているのだった。
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK

ふーむ、オウガになったアリスを倒せばとりあえず良し、と。
相手を救わなくてもいいってのは気楽で良いねえ。

さて、狂暴化する月の光ね。
相手が居る位置がおおよそ分かってるなら、光を浴びずに進めればいいよね。
【土竜穿孔】で地面を掘って、光の届かない地下を進んでいこうか。
これなら目的の相手以外と顔を合わせる事もないだろうし。

しかしまあ、なんでオオカミなんかになっちゃったんだろうねえ。
オオカミなんて、狩人に狩られるのがオチだって分かるだろうに。



●潜るは土竜?
「ふーむ、オウガになったアリスを倒せばとりあえず良し、と。相手を救わなくてもいいってのは気楽で良いねえ」
 絶望の国でそう呟くのはペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)だ。相手を救う、絶望を和らげることは必須事項ではない。
「さて、狂暴化する月の光ね」
 その身に浴びるだけで暴力的な衝動が起きてしまいそうな月の光。対策をしなければ、無事到達することは難しいだろう。
「相手が居る位置がおおよそ分かってるなら、光を浴びずに進めればいいよね」
 そう言うと彼女は手をモグラの様に変形し、穴を掘ってゆく。地中を移動し奇襲できるようになるユーベルコード【土竜穿孔】である。月の光の届かない地下を悠々と掘り進んでゆく。これならば、月の光を浴びずに目的地まで進める上、狂気に侵されたアリスや愉快な仲間達に遭遇することも回避できる。今回倒すオウガ相手では獣の勘で掘り当てられる危険性もあるが、今現在進む上では特に問題はない。
「しかしまあ」
 地下を掘り進みながらペトニアロトゥシカは疑問を口にする。
「なんでオオカミなんかになっちゃったんだろうねえ。まあ、なりたくてなったわけじゃないのだろうけど」
 人狼のアリスやオウガに接触した、オウガブラッドとして体内のオウガに浸食された、原因は色々と考えられるが、
「オオカミなんて、狩人に狩られるのがオチだって分かるだろうに」
 どうであってもオウガとなってしまった以上は倒すほかはない。ペトニアロトゥシカが口をつぐんだ後は、地下を掘り進む音だけがその場に響くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シャーロット・ゴッドチャイルド(サポート)
ダークセイヴァ―の貧しい農村に生まれた聖なる力を宿した女の子です。暗い過去を背負った子ですが、いつも周りに気を使っていて笑顔を絶やしません。

ホーリー・ボルト~光の精霊の力で、光属性の魔法の矢を放ちます。
エレメンタル・ファンタジア~炎の精霊を呼び出し、炎の竜巻を巻き起こす。予想以上の威力のため、制御するのがやっと。
絶望の福音~10秒後の未来を予測する。
生まれながらの光~左の手のひらにある聖痕から他者を癒す。

「もう泣いているだけの私じゃない・・・私は貴方を倒します!」

エロやグロに巻き込まれなければ大体のことは大丈夫です。



●祈るは聖者
「少しの間、迷宮の中にいてくれる?」
 そう言ってユーベルコード【ラビリンス】を発動させたのはシャーロット・ゴッドチャイルド(絶望の福音・f23202)だ。ガラスの迷宮の中に閉じ込められたのは、絶望の国に迷い込んだアリス達。絶望の国の満月の力で狂暴になった彼らは、互いに傷つけようとしていたのだが、シャーロットの生み出した迷路によって隔離にされる。
「あああああ!!」
「邪魔、だ!」
 生み出された迷宮の壁に攻撃を加え始めるアリス達だが、アリスの力やユーベルコードでは猟兵であるシャーロットの生み出したユーベルコードの壁を破壊することはできない。
「もう泣いているだけの私じゃない……私は貴方を助けます!」
 自身も満月の力によって狂気に苛まれながらも、祈りの言葉とともに正気を保つシャーロット。彼女はアリス達に語り掛けながら微笑む。
「これでしばらくは大丈夫なはず。……みなさん、お願いします」
 オウガを倒しに行った猟兵達に思いを託しつつ、シャーロットは他にも狂気に苛まれている者達がいないか、探すのを再開するのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『アリーチェ・ビアンカ』

POW   :    狂月招来(フルムーン・コネクト)
予め【獣の本能と己の狂気に身を任せる】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。
SPD   :    狂気感染(パンデミック・ルナライト)
【あらゆる者を狂わせる月の光】を降らせる事で、戦場全体が【狂気に満ちた満月の下】と同じ環境に変化する。[狂気に満ちた満月の下]に適応した者の行動成功率が上昇する。
WIZ   :    狂光軍行進曲(ルナティック・マーチ)
【人狼化し、それぞれの武器】で武装した【自身が喰い殺した者達】の幽霊をレベル×5体乗せた【狼の幽霊の群れ】を召喚する。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠リカルド・マスケラスです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●白のアリス
 ようやく見つけた帰るための扉。
「やっと……帰れる」
 けれども、そのそばにあった鏡を見た時、映っていた私は私の知っている私じゃなかった。白い髪、オオカミのような耳に尻尾、鋭い爪と牙。化け物。
「やだ……やだよ」
 こんなの、帰れるわけがない。
「あああああああああああ!!!」
 そのまま衝動的に鏡を叩き割った後、どうなったかよく覚えていない。気づいたら、扉は歪んで開かなくなっていたし、あまり帰りたいとも思わなくなった。どうすればいいかは月が教えてくれる。

 オウガ、『アリーチェ・ビアンカ』の住処は森の中にあった。
「アハッ、なんかいっぱい来た!」
 絶望の国の主のものとしては、あまりにもこじんまりとした小屋。そこから人の気配を感じて現れたビアンカは三日月のように口を歪め、猟兵達を見回すと満面の笑みを浮かべる。
「私の、ごはん? おともだち? えーと……まあ、いいや」
 少し考える様子を見せたものの、それを放棄する。
「動かなくなったら、きっとそれはごはん。そうよね」
 空に浮かぶ満月を仰ぎ見て、ぶつぶつと呟く。
「じゃあ、遊びましょうか!!」
 ビアンカがそう叫ぶと、空に浮かぶ満月がひときわ強く輝く。
「あはははは!!」
 光を浴びてケタケタと笑うビアンカ。オウガとなってしまっている以上、彼女を倒すしかない。だが月の光に隠された、彼女に巣くう絶望を払うことはできるかもしれない。
 こうして戦いの幕は上がるのだった。
七星・龍厳(サポート)
『俺に挑むには10年早いな。』
 羅刹の剣豪×マジックナイト、46歳の男です。
 普段の口調は「男性的(俺、呼び捨て、だ、だぜ、だな、だよな?)」、仲間には「フレンドリー(俺、呼び捨て、言い捨て)」です。

行動の基準は戦闘が楽しめるか又は興味を持った事柄に積極的に関わります。
戦闘に関しては戦場で敵の技術を盗み自身が扱えるものに昇華させて戦場を探してる竜殺しです。
 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


カミンスキー・テレサ(サポート)
 多重人格者の學徒兵×力持ち、14歳の女です
口調は設定を参照して下さい

 普段(テレサ)は軍人口調で、生真面目な性格の優等生
規律を重んじ従順に従い行動しますが、世間知らずで割と天然です
馬鹿なので力と勢いで解決します
自己犠牲心が強く、他人を優先して行動します

別人格のゾフィアは余裕のあるクールな成人男性の人格
テレサよりは融通が利き、大人っぽいです。
ドジな所はあまり変わりません

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK

あたしはごはんでもおともだちでも無いんだけれど、
まあ、どうでもいいってのは確かだねえ。
それじゃあ、少しだけ遊んであげるよ。

さて、とりあえず鬱陶しい月の光をなんとかしておこうか。
【竜火天水】で炎のブレスを吐いて相手を牽制しつつ、
炎から大量の水蒸気を発生させて雨雲を作ることで月の光を遮るよ。
狂気は自分の物みたいだから戦闘力には関係なさそうだけど、まあいいや。

獣は普通雨の中で動き回ったりしないから、
獣の本能も野生の勘も雨の中なら鈍るだろうし、
後はしっかり動きを見切って斧で攻撃していこうか。

これから殺す相手に言う事はあたしには無いけれど、
何か言いたいことがあるなら聞いてあげようか。



●獣の力と猟兵の業
「がるるるあっ!!」
 猟兵達のところへ飛び込んで爪を振り下ろすのは人狼型オウガ『アリーチェ・ビアンカ』。その攻撃を退魔刀で受け止めたのはカミンスキー・テレサ(貫き通す意思・f23215)だ。
「ぐっ……なかなかの怪力であります!」
 テレサ自身も力には自信があるのだが、それでも押し負けてしまう。相手がユーベルコード【狂月招来】で自身の戦闘力を高めているのが大きいのかもしれない。
「このままではでは……」
 力ずくでねじ伏せ、ビアンカの牙がテレサに届こうとした時、急にビアンカはその場を離れる。そして、彼女が離れた刹那に通り過ぎるのはルーンソードによる一閃。
「技を持たない獣が俺に挑むには10年早い……と思ったが、なかなか厄介だな」
 自身の攻撃を回避した相手の動きをつぶさに観察するのは黒ずくめの剣士、七星・龍厳(紅蓮の竜殺し・f14830)だ。
「動きは単調だが、それを余りあって攻撃が速く鋭い。それでいてこっちの攻撃は獣の勘で察知して避けちまう。月の狂気が重なった上で、獣の本能ってのは実に厄介だ。使いこなすのに癖がありそうだが、習得できないものかね?」
 そして、相手の能力を盗み、自分の技術に昇華できないかと虎視眈々と、そして楽しそうに見ている。
「自分磨きに精を出すのはいいですが、まずは倒すことを第一に考えてほしいでありますよ!」
「ああ、分かってるさ。さて、どう攻めたものか……」
 娘よりも若いテレサに釘を刺されつつも龍厳は攻撃のチャンスをうかがう。

「さて、とりあえず鬱陶しい月の光をなんとかしておこうか」

 そう言って前に出てきたのはペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)だ。そして言うや否やユーベルコードによる炎のブレス【竜火天水】をビアンカに向かって放つ。
「ッ!!」
 火を警戒したのか、飛びずさるビアンカ。ブレスによる炎は周囲の草地を燃え上がらせだけに留まらず、煙の代わりに蒸気を上がらせる。そして、天高く上がった蒸気は雨雲となり、天空の満月を隠すとともに雨を降らせる。
「……雨?」
「獣は普通雨の中で動き回ったりしないから、獣の本能も野生の勘も雨の中なら鈍るよねぇ?」
 降り注ぐ雨は音を散らし、匂いを消す。ビアンカのアドバンテージを奪うには十分だ。
「あたしはごはんでもおともだちでも無いんだけれど、まあ、どうでもいいってのは確かだねえ。それじゃあ、少しだけ遊んであげるよぉ」
 手にした『古竜の戦斧』を振り回し、ビアンカに肉薄するペトニアロトゥシカ。小野の攻撃を回避するビアンカだが、雨が降る前とは勝手が違う。そのため、
「捕まえたであります!」
 視覚から組み付いてきたテレサへの反応が遅れ、足を掴まれる。
「掴んでしまえばこちらのものであります!」
 そのまま【びったんびったん】とビアンカを地面にたたきつける。
「がはっ!!」
 地面にたたきつけられた瞬間、雨で手が滑ったか、敵の反撃を懸念してあえてなのか、そのまま掴んでいた手を離され、バウンドするように跳ねるビアンカ。
「もらったよぉ」
「捉えたぜ」
 その隙を突き、ペトニアロトゥシカの斧の一撃が、龍厳の【剣刃一閃】がビアンカに叩き込まれる。
「ぐぅっ……」
 ビアンカもとっさに体をひねって致命傷を避けようとするが、受けた傷は決して浅くはない。
「これから殺す相手に言う事はあたしには無いけれどぉ、何か言いたいことがあるなら聞いてあげようかぁ?」
 ペトニアロトゥシカは距離を取り、自身の傷を手で押さえながらこちらを睨んでくるビアンカに向け、言葉を投げかける。
「言って何になるの……言ったところで……何も変わりはしない」
 月が隠れたことで狂気が薄れたのか、こちらを拒絶する形ではあるが、会話らしい会話を返すビアンカ。
「あるにはあるってことかねぇ。まあ、その辺りは任せようかねぇ」
 間延びした口調でそう言いながら、ペトニアロトゥシカは斧を構え直し、油断なくビアンカと対峙するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アハト・アリスズナンバー
【WIZ】アドリブ・連携OK
月に狂って、元の姿も記憶も思い出せないですか?
あなたは人間です。人を食い殺す化け物ではない。どうか月ではなく、自分自身を見てあげてください。

人であることを辞めたのなら、もう怪物になり果てたのでしょう。
怪物を倒すのは、人間の役目です。【アリスオブヴォーパルソード】起動。
【誘導弾】で射出した魔法剣を確実に幽霊たちに当てます。そのうちの一本を持っておき、ランスを構えてアリーチェに【ランスチャージ】で突撃。向かってきた攻撃にはヴォーパルソードで【カウンター】し、突き刺します。

さよならです。アリス。あなたの事を忘れない。それが私にできる唯一の慰めです。


ノエル・フィッシャー
【POW】

名も知らぬオウガよ、今夜はキミだけの晴れ舞台だ。キミの気が済むまで暴れ、狂い、そして嘆くといい。
誰よりも重いものを背負ってしまったキミには、きっとその権利があるはずだ。

UC【光溢るる夢幻の剣】を展開。無敵の剣による受けを主体とし、致命傷を避けつつオウガの挙動や癖を把握する。
十分なデータが取れた時点で回避からのカウンター戦法に移行、確実に体力を削っていくよ。。
無論、ボクの相手をしてくれないという無粋な真似をするなら、追い縋ってその背を貫くまでだ。

アドリブ・共闘歓迎だよ。共闘の場合は味方を守ることを主体に動くよ。


メアリー・ベスレム
ごきげんよう
白い毛並みのきれいなあなた
絶望で黒く染まったあわれな白紙(ブランク)
メアリとおんなじひとでなし

あなたとは約束なんてしていないけれど
獣の誼でメアリがあなたを殺してあげる

引き続き【ヴォーパルの獣】と【狂気耐性】で
狂気に満ちた満月の下にも適応してみせるから
さぁ、捕まえられるものなら捕まえてごらんなさい?
【野生の勘】では敵わないけれど
獣のスピードと【逃げ足】で立ち回り
捕まりそうになったら【咄嗟の一撃】
一度傷付けたら【傷口をえぐる】ように繰り返し

メアリにはこうして殺す事しかできないけれど
それでも最期に何か遺したい言葉があるのなら
【聞き耳】立てて聞いてあげる
獣の咆哮でも、人の言葉でもね



●獣となった少女と怪物を討つ者達
「ごきげんよう、白い毛並みのきれいなあなた。絶望で黒く染まったあわれな白紙(ブランク)、メアリとおんなじひとでなし」
 手傷を負っている『アリーチェ・ビアンカ』に歌うように現れたのはメアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)だ。
「あはっ、新しい人が来……え、ひとでなし? 私もひとでなし? じゃあ私は……」
「月に狂って、元の姿も記憶も思い出せないですか?」
 メアリーの言葉に自問するビアンカに問いかけるのはアハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)、その表情はどこか悲しげだ。そして言葉を続ける。
「あなたは人間です。人を食い殺す化け物ではない。どうか月ではなく、自分自身を見てあげてください」
「人間……? 嘘よ、嘘、嘘!! 私はもう人間じゃあない! オオカミよ!」
 そんなアハトの言葉を否定するようにビアンカは吠える。すると、【狂気感染】の力か、先ほど猟兵が作り上げていた雨雲が裂け、再び大きな満月の光が大地へ降り注ぐ。それだけではなく、月から何かの群れが現れる。それは、オオカミの霊に乗った人狼達。【狂光軍行進曲】によって呼び出された、アリーチェ・ビアンカに襲われた犠牲者達のなれの果てだ。
「これで役者は揃った、というところかな?」
 今までの一連のやり取りを見届け、最後に口を開いたのはノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)だ。
「名も知らぬオウガよ、今夜はキミだけの晴れ舞台だ。キミの気が済むまで暴れ、狂い、そして嘆くといい。誰よりも重いものを背負ってしまったキミには、きっとその権利があるはずだ」
「私は……私はぁああああ!!!」
 どこか芝居がかったノエルの台詞、そしてそれに呼応するように吠えあがるビアンカ。それを合図に戦いが再開された。

「行け!」
 ビアンカは呼び出した人狼達に号令をかける。それと共に乗っている狼を走らせる人狼達。
「人であることを辞めたのなら、もう怪物になり果てたのでしょう。怪物を倒すのは、人間の役目です。アリスコード送信。対象をジャバヴォックと認識。ヴォーパルソード射出用意」
 アハトの詠唱とともに現れたのは600を超える魔法剣【アリスオブヴォーパルソード】だ。それらが複雑な軌道を描き、人狼達の群れを刺し貫いてゆく。
「があああああああ!!!」
 だが、その群れに紛れて近づいてきたのか、ビアンカが群れの陰から急に飛び出し、アハトに襲い掛かってくる。その動きは狂気の満月の下、【狂月招来】の力でさらに加速している。
「させないよ」
 そこへ颯爽と現れ、アハトの前に立ちはだかったのはノエル。その手には【光溢るる夢幻の剣】で生み出された光の剣が握られている。ビアンカの攻撃を剣で受け止めるノエル。
「さしずめこれが僕にとってのヴォーパルソードだね」
「おや、そちらにもヴォーパルソードはあったわけですか」
 ヴォーパルソード、童話『鏡の国のアリス』に登場する怪物ジャバウォックを討ったとされる剣だ。ノエルが光の剣を使い、アハトがそのものの名前であるユーベルコードを使えるのは、二人ともこの世界の所縁のあるものであり、決して偶然とは言い切れない。そして、『ヴォーパル』の名を関する力を持っている者がもう一人いた。
「だったら、メアリもお揃いね」
 そう言ったのは半獣半人の姿でビアンカに襲い掛かるメアリーだ。彼女のユーベルコードも【ヴォーパルの獣】と、怪物を討つものの名が刻まれている。
「メアリなら、狂気に満ちた満月の下にも適応してみせるから」
「ぐるるるぅ!!」
 勘の良さで間一髪メアリーの攻撃を回避するビアンカ。そのままメアリへ反撃を行おうとするが、寿命を削るほどの強化を行っているメアリーの方がスピードが上だ。反撃の一撃は空を切る。
「さぁ、捕まえられるものなら捕まえてごらんなさい?」
「があぅ!」
 お尻を振るようにして挑発的に言葉を投げかけるメアリー。それに応え、追いかけるビアンカ。途中、メアリーの行く手を遮ろうとビアンカの呼び出した人狼が邪魔をしようとするが、
「させませんよ」
 アハトのヴォーパルソードが宙を舞い、人狼達を切り裂いてゆく。更にはビアンカへ追撃を仕掛けるが、それは回避されてしまう。
「私と同じオオカミさん、どこまで逃げられるかな?」
 そしてビアンカは獣の狩猟本能というべきか、徐々にスピードで上回るはずのメアリを追い詰めてゆく。だが、メアリーの余裕は崩れない。
「あなたとは約束なんてしていないけれど、獣の誼でメアリがあなたを殺してあげる」
 メアリーはある人狼の少女と約束をしたのだ。

『もしもあなたがひとでなしになって、大切な家族を殺しそうになったら、メアリがあなたを殺しに行くわ、あなたがひとでなくなる前に』

 オウガされそうになり、その前に救うことができた人狼の少女。彼女にビアンカが重なるのだ。だからこそ、彼女がこれ以上罪を重ね、人であることをやめる前に、メアリーは止めたいのだ。
「逃げてばかりのあなたに何かできるのっ!」
 そんなメアリーに爪を振り下ろすビアンカ。だがその瞬間、メアリーはくるりと振り向きざま、とっさの蹴りの一撃を加えようとする。
「その程度!」
 だが、ビアンカはその攻撃を読んでいたかのように回避する。
「もらいました!」
 その隙を狙ってランスを構え、突撃するアハト。ビアンカは攻撃をその身に掠らせながらも、カウンターの一撃をアハトに振り下ろそうとする。とっさにランスを手放し、1本手元に残していたヴォーパルソードで迎撃しようとするが、間に合いそうもない。
「これでおしまいね!」
「ああ、君がね」
 振り下ろされた腕はアハトに届く前に宙を舞う。
「君の挙動や癖を観察させてもらった。こうなることは予測済みさ」
 そう話すのはノエル。光の剣を振りぬき、ビアンカの腕を斬り落とした体勢のままになっている。
「戦いもフィナーレだ」
「さよならです。アリス」
 ノエルに続くように、ビアンカの胸にヴォーパルソードを突き入れるアハト。
「あなたの事を忘れない。それが私にできる唯一の慰めです」
 そのまま、剣を抜き取った瞬間、今度はビカンカの胸から獣の手が生える。否、背後から突き入れたメアリーの腕がビアンカを貫通したのだ。
「メアリにはこうして殺す事しかできないけれど、それでも最期に何か遺したい言葉があるのなら聞いてあげるわ」
 そして腕を引き抜く。
「獣の咆哮でも、人の言葉でもね」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『『偽アリス』アリーチェ』

POW   :    ミルクセーキはいかが?
【怪しげな薬瓶】が命中した対象に対し、高威力高命中の【腐った卵と牛乳で作ったミルクセーキ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    甘いおねだり
レベル×1tまでの対象の【胸ぐら】を掴んで持ち上げる。振り回しや周囲の地面への叩きつけも可能。
WIZ   :    お茶を楽しみましょ?
【頑丈なティーポット】から【強酸性の煮え滾る熱湯】を放ち、【水膨れするような火傷】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●獣は倒され、残ったものは
(ああ……)
 致命傷を受けたビアンカはそのまま力なく倒れようとして、猟兵に抱き留められる。
(私は何がしたかったのかな?)
 瞼を閉じそうになる視界に入ってきたのは猟兵達の顔。心配そうにこちらを見ている者もいる。そう言えば、彼女達の誰かが言っていた。
『キミの気が済むまで暴れ、狂い、そして嘆くといい。誰よりも重いものを背負ってしまったキミには、きっとその権利があるはずだ』
 私は、帰れなくなったこと、こうなってしまった理不尽を誰かに受け止めてほしかったのかな。そして、
『さようなら。アリス』
 自分では否定していたけど、アリスとして、人として見てもらいたかったのかな。そう思ったら口から言葉がこぼれた。
「ごめんなさい……」
 素直になれなくて、
「ありがとう……」
 わがままに付き合ってくれて。そこまで言えたら、周りは何も見えなくなって月明りも見えなくなった。けれども胸の中に沈んでいた何かがすとんと落ちて、スッとした気がする。そして、今まで思い出せなかったものが思い出せてきた。家族の顔、友達の顔、それに……私の名前。
 そうだ、私は……

●崩壊する絶望
 二言ほど喋り、瞳を閉じたアリーチェ・ビアンカはどこか満足そうな表情のまま、目を覚ますことはなかった。
 それから間もなくして地響きが起こる。絶望の国の崩壊の予兆だろうか。そして、空を見上げた誰かがはたと気づく。月が大きくなっている……否、月がこちらに落ちてくることに。狂気を与える魔性の光を発さなくなった月は、自分の役目を終えたと言わんばかりに、地面へと落下してゆく。今すぐ衝突するわけではないので、衝突前にこの国から脱出することは可能だろう。
 だが、その前にやらなければならないことがある。

「ここはどこかしら?」
「あら大変、月が落ちてくるわ」
「急いでここから離れないと」

 地面から湧き出るように合わられたのは、ウサギの耳、ネコの耳、オオカミの耳など、獣耳を生やした少女達、ビアンカの絶望が生み出した残滓『偽アリス・アリーチェ』だ。彼女たちを逃してしまえば、後々厄介なことになるだろう。幸い、ビアンカの絶望がある程度払われたのだろうか。数はそこまで多くなく、全滅させることも難しくなさそうだ。
 限られた時間の中、猟兵達の最後の戦いが始まろうとしていた。

(※なお、月は落下しますが、それによって絶望の国の外に何か影響があることはありません)
ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード
アドリブ・連携OK

さて、後は出てきたのを倒して終わりか。
時間もないし、さっさと片付けてしまおうか。

相手が掴みかかってくるなら、
発電器官を使って電撃を浴びせて動きを止めようか。
あとは【飛天襲爪】で蹴り飛ばして倒していけばいいかな。
【飛天襲爪】なら、相手が逃げ出してもすぐに追いつけるしね。

これ以上オウガも絶望も増やされるのはごめんだからねえ。
きっちり全滅させないとね。


虚偽・うつろぎ(サポート)
世界問わず大歓迎
世界を超えての自爆活動だよ

アドリブ連携等ご自由にどぞー

登場即自爆
とにもかくにも速攻で自爆
台詞よりも活躍よりも速攻で自爆することが最優先
1歩も動かず即自爆
自爆できれば台詞も活躍もいらぬ!

何かいきなり自爆する蠢く怪奇現象
自爆という概念生物
ただ自爆するためだけに現れる存在

技能:捨て身の一撃を用いてのメッサツモードによる高威力な広範囲無差別自爆

射程範囲内に敵が1体でもいれば速攻で自爆する
自爆することが最重要
なので敵がいなくても自爆するよ
近づかない動かない即自爆
大事なのはスピード、そうスピードなのですぞー

捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
1回限りの大爆発
自爆後は爆発四散して戦闘不能さ



●華々しきは残党狩り
「さて……後は出てきたのを倒して終わりかぁ。時間もないし、さっさと片付けてしまおうか」
 倒されたオウガと寄り添う猟兵達を一瞥すると、ペトニアロトゥシカ・ンゴゥワストード(混沌獣・f07620)は新しく湧いて出来てきたアリーチェ達を見渡す。
「あれはアリスかしら?」
「珍しい味がしそう」
「ここから出る前に食べてしまおうかし……」

 ちゅどおおおおおおおおおおおおおおん!

 アリーチェ達がペトニアロトゥシカに興味を向けた瞬間、爆音が響き、閃光があたりを照らす。
「な、なにがあっ」
「隙ありぃ」
「へぶぅっ!」
 突然の爆発に驚きそちらの方を見るアリーチェの一人にたいしペトニアロトゥシカは【飛天襲爪】による超高速の飛び蹴りを放ち、吹き飛ばす。当たり所が悪かったのか、直撃したアリーチェはそのまま動かなくなる。
「ちょっと!」
「いきなり襲い掛かるなんて卑怯よ!」
 アリーチェ達は抗議の声を上げ、【甘いおねだり】をしようとペトニアロトゥシカに掴みかかろうとするが、
「戦場で隙を見せる方が悪いんじゃなぁい?」
 間延びした口調でそう言いながら、キマイラの少女は体の一部を発電器官へ変え、電撃を浴びせる。
「あばばばばばば!!!」
「口を動かすより体を動かしていればよかったのにねぇ」
 電撃で動けなくなっているアリーチェ達を先ほどと同じように落ち着き払った動作で蹴り殺すペトニアロトゥシカ。
 そしてとりあえずの身の回りの危険がなくなったことを確認する、爆発のあった場所へと駆け出してゆく。爆心地に着いたペトニアロトゥシカが見たものは……、

「……」

 ひくひくと蠢いているひらがな状の物体こと虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)。先ほどの爆発は【ウツロギ(メッサツモード)】、ありていに言えば自爆である。よく見ると周囲に彼体の一部や、自爆に巻き込まれて黒焦げになったアリーチェ達などが散乱している。
「これ以上オウガも絶望も増やされるのはごめんだからねぇ。きっちり全滅させないとねぇ」
 何も見なかったことにしようと決めこみ、ペトニアロトゥシカはアリーチェ達をせん滅させるべく、駆けだすのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

紬雁・紅葉(サポート)
『業邪…御鎮めします』
基本戦闘場面に参加

破魔、属性攻撃、衝撃波、薙ぎ払い等とUCを適宜組み合わせて攻撃

見切り、残像、オーラ防御、武器受け等とUCで防御や回避

窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃

範囲攻撃と2回攻撃での雑魚払いが得意だが
ボスとの戦闘も遜色なく行えるし行う


羅刹紋を顕わに戦笑み
傷負っても笑みを崩さず
何処までも羅刹の血と"剣神"の導きに従い
災魔業邪を打ち倒す

敵の最期に
去り罷りませい!
の言葉を

 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


龍統・光明(サポート)
『その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……』
ヤドリガミの電脳魔術士×神器遣い

性別:男

外見:赤い瞳・銀髪・色白

口調:俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?

特徴:基本冷静沈着。但しノリは良い。
普段二刀流と蹴術を織り交ぜる戦闘スタイルだが、
AS展開時は一転二丁銃と羽形ブラスターを操り戦う。

ユーベルコードは指定した物をどれでも使用

基本回避優先で防御の際は左腕を盾代わりに使う

常にクールである事に努めており、他に迷惑をかけない様に心掛けている

自由に動かして頂いて構いません。(NG:ギャグ・コミカル)


ウォーヘッド・ラムダ(サポート)
一人称、二人称、性格等はプロフィールを参照。

■戦闘行動
敵への接近、または敵からの攻撃回避は装備『フライトブースター』『ダッシュブースター』を使用しての回避行動。
防御に関しては装備『アサルトヴェール』>『重厚シールド』>『超重装甲』の優先順位での防御行動。
攻撃に関しては『ASMー7』『LLS-3』をメインにしつつ、他装備も使用。

強襲用ってことで自分への多少の被害が承知済み。

他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は無し。
また、"本目的に関係ない"NPC民間人への攻撃行動は無し。(やむを得ない牽制・威嚇射撃は有り)
あとはおまかせです。
アドリブ歓迎



●偽アリスを撃破せよ
 絶望の国から生まれた偽アリス『アリーチェ』達を倒すべく、新たな猟兵達が戦場へと送られてきた。
「その業喰わせて貰う。さぁ、貴様の業を数えろ……」
 まず口を開いたのは龍統・光明(千変万化の超越者・f02421)だ。
「業? 私達、ここから出たばかりだから分からなぁ~い」
「純真無垢な私達にそんなものあるわけないじゃな~い」
 くすくすとからかうようにアリーチェ達は答える。もちろん嘘である。
「そう答えるか」
「畜生に堕ちた身でしょうから、ちゃんと答えられないのも無理はないでしょう。骸の海より出でし時より宿りし業邪、御鎮めします」
 光明に続くように語りだしたのは羅刹の巫女である紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)。彼女の手には『天羽々斬・十握刃』が握られている。
「ほう、これは何かの縁か。ならば、今回俺はこれを使わせてもらおう。『天羽々斬』!」
 光明は紅葉の武器を興味深そうに眺めた後、自身も彼女の武器と似た名を持つ二丁拳銃を手にする。
「二人とも準備は出来たようだな。本機はいつでも襲撃可能だ」
 二人のやり取りを見届けた後そう口にするのはウォーマシンの騎兵、ウォーヘッド・ラムダ(強襲用試作実験機・f18372)である。
「ならば、戦闘行動開始だ」
 そして、【対重装甲用サブマシンガン】『ASMー7』を手に、アリーチェ達へ突撃をかける。それと同時にサブマシンガンが火を噴く。
「きゃあっ! これじゃ近づけないじゃない!」
「いきなり撃ってくるなんてずるいわ!」
 アリーチェ達は口々に文句を言いながら逃げ惑うが、ちゃっかり反撃のための道具は手にしている。
「【ミルクセーキはいかが?】」
 そう言いながらウォーヘッドに怪しげな薬瓶を投げつけてくるが、
「山を断ち川を流し雲を割り野を薙ぐ剣…以て斬り祓い奉る!!」
 紅葉の【九曜八剱・大蛇断】によって飛んできた斬撃に薬瓶は砕かれ、ウォーヘッドの元へ到達する前に砕かれ、中身である腐臭を放つ液体をぶちまける。
「支援、感謝する」
「この程度の露払い、お任せください」
 礼を言うウォーヘッドに笑みを浮かべて答える紅葉。その間にも刃を振るい、アリーチェ達を攻め立てている。
「んもう! こうなったら【お茶を楽しみましょ?】、熱ぅいお茶をね!」
 仲間達が倒れる中、頑丈なティーポットで攻撃を防いだアリーチェが、そこから熱湯を飛ばす。
「強酸性の熱湯よ! ちょっとした火傷じゃすまないんだから!」
 紅葉とウォーヘッドに向けて熱湯を飛ばすが、そこに割り込むように入ったのは光明。左腕を前に突き出し、熱湯を受ける。金属をも溶かす強酸の熱湯を受け、その腕は爛れるだけでなく溶解も始めている。
「あら、味方をかばって大怪我するなんてとんだお馬鹿さんね!」
 その様子にアリーチェはケラケラと笑うが、
「馬鹿はどっちだろうな。マルチロック完了、撃ち抜け!」
「へ?」
 光明の言葉にアリーチェが見回すと、周囲には無数の自律砲台。光明のユーベルコード【スレイブ招来・フルブラスト】で召喚した羽型の砲台である。
「きゃあああああああ!!」
 容赦のない砲撃と光明自身の銃撃により、残ったアリーチェ達も一掃される。
「ひとまずはこれで終わりだな」
「ところで、その腕の損傷は大丈夫なのか?」
 周囲に敵がいないことを確認する光明に、ウォーヘッドが声をかける。
「問題ない。俺の本体は無事だからな」
「あら、もしかしてヤドリガミの方かしら?」
「……そのようなものと思って構わない」
 紅葉の質問にとりあえずの肯定をする光明。彼の本体は彼の持っている刀。何故そうなってしまったかの紆余曲折はあるが、本体が無事であれば、問題はない。
「そうか、それならば良かった」
「では、時間もありませんし、残った敵を探しましょう」
 二人も仲間の事情を詮索するような野暮な性格はしていない。互いの無事を確認すると、猟兵達は次の標的を探すため、戦場を移動するのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アハト・アリスズナンバー
【WIZ】アドリブ・連携OK

アリスの物語は、あれで終わったのです。
これ以上の悲劇は許されません。排除します。

引き続きヴォーパルソードを持ちつつ、偽アリス達を一人ずつ片付けます。
相手の熱湯による火傷には【激痛耐性】で痛覚を遮断し、そのまま突っ込みつつそのままUCと共に【カウンター】で切り捨てます。
数がまだまだ多いようなら、ティーポットに対して氷結弾の【属性攻撃】を発射。ティーポットの温度自体を下げさせて酸性の部分を【破魔】で浄化してみましょう。

最後に可能ならばビアンカを連れて脱出します。月に潰されるくらいなら、私の手で何処かに眠らせましょう。
私はアリスではなく、アリスの物語を幸せに導く者ですから


ノエル・フィッシャー
【WIZ】
彼女の命は救えずとも、きっと魂は救えただろう。でもまだ終わりじゃない。この国にはまだ生きている者がいる。
彼らが怯えることなく暮らせる未来のため、残るオウガを倒さなくちゃ。

生憎だけど、今はティータイムという気分じゃないんだ。
ボクが放つUCは【王子様の尊き御言葉】。勅を以って凍える南風を巻き起こし、迫るアリスオウガやそのティーポットの氷漬けを狙うよ。
無理して倒すことを狙わず、広域の足止めを図るよ。動きさえ止めてしまえば、落ちる月が彼女らを始末してくれるだろうからね。

アドリブ・連携歓迎だよ。


メアリー・ベスレム
さようなら、あわれなアリス
最期の言葉、あなたの名前を
確かに覚えておいてあげるから
約束ね

さぁ、月が落ちれば
夜も明けるわ
獣の時間はもうお終い
悪い夢とはさようなら

えぇ、だけれど
まだ目覚めるまで時間があるなら
もう一仕事しないとね
ねぇ、そうでしょう?
獣のオウガのあなた達

今度はメアリが追いかける番ね
逃げるオウガを【野生の勘】と
【凍てつく牙】の高速移動で追いかけて
駆ける足を【部位破壊】で切り払い
転げたところを【ジャンプ】からの【踏みつけ】や
肉切り包丁の【重量攻撃】叩き切る

そのまま死にたくないのなら
メアリに触れてごらんなさい?
手癖の悪いその腕は【咄嗟の一撃】で切り落とし
あるいは触れた瞬間に凍り付く



●滅びるは絶望、眠るは……
「さようなら、あわれなアリス。最期の言葉、あなたの名前を確かに覚えておいてあげるから。約束ね」
 物言わぬビアンカにそう告げるのはメアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)。
「彼女の命は救えずとも、きっと魂は救えただろう」
 その様子を慈しむように見ていたのはノエル・フィッシャー(呪いの名は『王子様』・f19578)だ。そしてふぃっ、と周囲を見回す。
「でもまだ終わりじゃない。この国にはまだ生きている者がいる」
 周囲には、ビアンカの絶望が生み出したオウガ『アリーチェ』達がおり、猟兵達の方を見ていた。
「絶望の国の主は死んでしまったわ」
「所詮は獣になり切れなかった半端者」
「私達がおいしくいただいちゃおう」
 獣としての本能か、食らえば強くなれると信じてのオウガの性か。アリーチェ達はビアンカの骸を狙っているようだ。
「アリスの物語は、あれで終わったのです」
 もちろんそれを許す猟兵ではない。アハト・アリスズナンバー(アリスズナンバー8号・f28285)は無邪気なオウガ達を一瞥する。
「これ以上の悲劇は許されません。排除します」
 その手には魔法剣【アリスオブヴォーパルソード】が握られている。そんなアハトにノエルとメアリーも続く。
「ああ。この世界を生きるみんなが怯えることなく暮らせる未来のため、残るオウガを倒さなくちゃ」
「さぁ、月が落ちれば夜も明けるわ。獣の時間はもうお終い、悪い夢とはさようなら」
 メアリーは落ちてくる月を見上げた後、アリーチェ達を見据える。
「えぇ、だけれど、まだ目覚めるまで時間があるなら、もう一仕事しないとね。ねぇ、そうでしょう? 獣のオウガのあなた達」
 そして挑発的な笑みを浮かべてアリーチェ達を誘う。
「なら、主より先に貴方達をいただくわ!」
「【お茶を楽しみましょ?】」
 アリーチェ達はティーポットを手にし、猟兵達に熱湯を浴びせようとする。
「痛覚遮断。やれるものならやってみなさい!」
 多少の火傷は覚悟の上と、ヴォーパルソードを手にアリーチェ達へ斬りかかるアハト。アリーチェの一体を斬り捨てるが、実際に熱湯がアハトに降り注ぐことはなかった。
「生憎だけど、今はティータイムという気分じゃないんだ」
 ノエルが【王子様の尊き御言葉】を放つと、凍えるような南風が巻き起こり、アリーチェ達のティーポットを凍らせる。
「ッ!!?」
「今度はメアリが追いかける番ね」
 突然の事に狼狽するアリーチェ達に、今度はメアリーが肉薄する。【凍てつく牙】により極低温の冷気を纏ったメアリーが『肉切り包丁』を振るうと、アリーチェ達の足元が凍り付き、更に肉切り包丁を叩きつけることで、アリーチェの凍り付いた足を砕く。
「あああああああああああ!!!」
「そのまま死にたくないのなら、メアリに触れてごらんなさい?」
 足を砕かれ絶叫をするアリーチェにメアリーは挑発し、アリーチェも【甘いおねだり】をしようと手を伸ばすが、その手をも届く前に凍り付き、メアリーに打ち砕かれる。
「凍らせたのなら、深追いをする必要はないよ。その状態は君に負担をかけるだろう?」
 そんなメアリーの様子にノエルがやさしく声をかける。他のアリーチェ達もノエルの凍風が凍らせ、さらにそこへアハトが破魔の力を込めた氷結弾を飛ばし、アリーチェの凍結度合いをさらに高めた上で、ティーポットに込められた強酸の熱湯の力を奪っていった。
「動きさえ止めてしまえば、落ちる月が彼女らを始末してくれるだろうからね」
 そう言ってノエルは月を見上げる。先ほどよりも近くなっているのか、さらに大きく見える。そう、ここに残っていれば、早かれ遅かれ、月に押し潰され、絶望の国と共に終わるのだ。
「なら、月が落ちてしまう前に……」
 月を見上げる猟兵に対し、アハトは歩きながらある提案をする。アハトの歩み寄る先にはビアンカの亡骸。
「月に潰されるくらいなら、私達の手で何処かに眠らせましょう」
 そういってビアンカを抱き上げるアハト。
「確かにここは夢見心地が悪いわね。獣でなくなったのなら、もっと良い寝床があるべきだわ」
「そうだね。彼女の為にもうひと頑張りと行こうか」
 その提案に反対する者などいる筈がなかった。

 その後、ほどなくして狂気を失った満月は絶望の国へと落下、衝突し、絶望の国はそれを以て消滅することとなる。猟兵達の活躍もあり、そこで生まれたオウガ達は絶望の国の外へ出ることなく消滅し、この国に迷い込んでいたアリスやアリスラビリンスの住人達は無事に脱出することができた。
 そしてかつて絶望の国の主であり、その絶望から解放されたアリスの亡骸は、アリスラビリンスのどこかに安らかに眠っているのか、それとも彼女の元居た世界を判明することが出来て帰ることのができたのかは、

「私はアリスではなく、アリスの物語を幸せに導く者ですから」

 彼女を導いた猟兵達だけが知っている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月16日


挿絵イラスト