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ディア・マイ・ディア(作者 いのと
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#UDCアース  #感染型UDC  #シナリオ50♡ 


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 おわあ、おわあ。
 どこかで赤ちゃんがないている。
 お父さんはどんな人かな。お母さんは。
 絶対うちの家族よりマシだ。
 あたしはブランコから立てずにいる。腫れたほおが痛い。
 夕陽は今暮れる。あの赤が全部灼いてくんないかな。公園のへっぽこな街灯がついた。
 スマホはあいつらからの通知でいっぱいだ。
 …家族を。
 家族を、選べたらいいのに。
 例えば。ひとつの顔を思い浮かべる。友達。あのこがあたしの、家族だったら。
「選べば良いじゃないか」
 あたしは顔を上げる。
 ブランコからちょっと離れた、真正面。
 俳優かモデルみたいな金髪の外人の男の人が立っていた。
 は?
「通りすがりさ」
 声も顔もいい。持ってる人は持ってるってやつだ。今最高に機嫌が悪いあたしにはご機嫌とりの薄っぺらい笑みにしか見えないけど。
 不快だ。
 スカしたおっさん。
「まあ君から見れば確かにおっさんだ。聞かなかったことにしよう」
 眉間が引きつる。
 不快だ。
「なにそれ。あたしそんなの言ってないけど」
 不快だ不快だ不快だ!
 知ったような顔すんな。
 ふ。鼻で笑いやがる。彼は立てた人差し指、爪で自分の唇を軽く叩いた。「随分と大きな独り言だ」
 あたしは思わず口に手を当てた。舌打ちする。
 男は気を悪くした様子はちっともない。
「選べばいいじゃないか」
「ふざけんな」
「私は選んだことがある」
 ――…。
 いいな、と思った。一瞬だけ。
「ロリコン」「期待に応えられず申し訳ないが幼女ではなかったな」「よりキモいじゃん」「弟子だよ」「へ〜え、それが?」
 喋りながらあたりを伺う。ひとけはないけど誰かの家がある。明かりだってついてる。
 叫べば、いけるか?
「当てはあるのかな」
 男は動こうとしない。
「ある」
 ない。
 くらやみを虫が煩く飛んでいる。「少なくとも知らないおっさんの誘いを断れる程度にはね」街灯の逆光で男は暗く沈んで見える。「ああ、誤解だ」両手を胸元まで上げるだけで小洒落た仕草になっていてムカつく。
「安心したまえ。女子高生を攫う趣味はないよ」
 くすくす笑いに熱が顔を焼く。バカにしやがって。あたしは立ち上がった。
「じゃあどんな趣味があんのよ」
 怒りは恐怖の裏っかえし。
 怒鳴るつもりの声は全然出てなかった。
 拳がぶるぶる震えてしまうのは怒りもだけど、一番は恐怖。膝も震えている。大人の男ひとりがどれだけ怖いか、あたしはよく知っている。こわい。

 握り締めたスマホが鳴る。着信。鳴らすようにしているのはたったひとり。あのこ。

「何れもしない」

 あの、男が。

 目の前に立っていた。

 喉がひきつる。だって距離、結構あった。こんなすぐ目の前に来るなんてあり得ない。「お手を失礼」指先があたしの空いている手をすくう。いやみも含みもない。ただ指の冷たさにぞっとする。
 ぞっとする。
 はずなのに。

「選ぶのが君ならば」
 さえざえ青い瞳が、うつくしい。
 暗闇にくり抜かれた青空。

 かがやかしい。

「決めるのも君だ」
 あんなにも薄っぺらく見えたはずの笑みに脳味噌がチリチリ言う。

「家族も友人も、すべて君が決めるといい」
 気づくと離れていて。

「それを永遠にするのも」
 男は、笑っている。

 人差し指の一振りにすら引き込まれた。
 あいつの人形みたいに、指示する先を見れば。
 さっき触れられた手に、紙がいちまい。

 男は消えていた。

 静かだ。赤ちゃんの声もしない。
 あたしは紙を見る。
 おまじない、だと思う。
 キモい。でも手放せない。あの青が頭の中で狂った太陽みたいに輝いている。
 おまじない。
 おまじないか。
 片手のスマホ。さっきまでの着信。大事な友達。
 試してもいいかもしれない。
 きっと何も起こらない。嗤ってやればいい。
 …でも、もしも。
 もしも何か起きるなら。
 ディア・マイ・ディア。
 首筋がうずく。何かがそこにいるみたいに。

 あたしは、自分が笑っていることに気づいた。

●血より濃い赤を込めて
「血縁に依らない関係を結んだことはあるか?」
 グリモア・ベースできみへ語りかけてきたイージー・ブロークンハート(硝子剣士・f24563)は死相思わす蒼白の面だった。「恋人でも友人でも家族でもいい」

「オレにも剣の師匠がいるんだけど――普通だよな?人と繋がるのは悪いことじゃない。救いですらある。そうだよな?」
 何かが手元からこぼれていくような必死さ。

「単刀直入に言う。緊急事態だ。舞台はUDCアース。感染するUDCにまつわるガチでヤバい案件だ。対応を依頼したい」
 普段なら手遊びに人の良い笑みを浮かべている男は今、真顔で木箱に座り膝の上で手を組んでいる。
「血縁に依らない家族、友人、恋人、義姉妹、義兄弟、師弟の契りなるオマジナイがある、という…そーいう噂のおまじないをダシにUDCが増殖しようとしている」
 目の下にははっきりと隈が出ていた。
「おまじないとはお呪い。…つまり、呪術、儀式だ」
 男はそこでかぶりをふる。「…願いは悪いことじゃないんだ。だから、タチが悪い」
 かたく組んだ手は震えている。
「今から送る先は噂を撒いてる奴に直で接触した一般人のとこだ。女子高生だよ」
 きみたちは気づく。
「噂が広まった今、おそらく転送と同時にUDCが大量発生する。まずこれを撃退してくれ」
 どこでもいそうな男の、恐怖と、嫌悪と。

「くっそしんどいと思う――だが、いいか、撃退するしかないんだ」

 悲痛に。

「厄介なことに噂というのは変化する。あちこち正誤入り混じりの“お呪い”だらけ」
 葉を隠すなら森の中。
 呪術を隠すなら…おまじないの中。
「撃退したら第一発見者の情報から本物を辿ってくれ。本物の呪術には条件が要るはずだ。例えば場所とか」
 くらい瞳が君たちを映している。「あんたたちなら絶対間に合う」

「アタリがついたんなら、きっとそこに奴がいる。この事件の中心の」
 男はそこで大きくためらった。

「UDC、が」
 言い切る。

 いいか。

「相手は、UDCだ。“アンディファインド・クリーチャー”(定義できぬばけもの)だ」
 剣士は片手を掲げる。
「こんな事件に巻き込んですまん。だけど、あんたたちの力が必要だ」
 砕かれた硝子のようなグリモアが展開される。

「奴さんも、待ってる、んだと、思う」
 まばゆい光がきみたちの視界を焼く。

「“ディア・マイ・ディア”」
 唇だけを動かした囁きは。
 笑みは。
 イージーではない誰かのようだった。
 ぱん。彼が自らの顔を引っ叩く。「…クソッ、見ただけだぞ、オレは」文句を言いながら転送を続行する。

「“認めるな。惑わされるな”」
 砕け散った硝子の光。

「“赦すな”」





第3章 ボス戦 『欺き導く者』

POW ●精神介入
対象への質問と共に、【任意の場所】から【洗脳された一般人達】を召喚する。満足な答えを得るまで、洗脳された一般人達は対象を【助けを求める声、猟兵を責める声、縋る腕】で攻撃する。
SPD ●詭弁
【扇動、鼓舞、挑発のいずれか】を披露した指定の全対象に【レベル×2倍の能力強化を行い、強い敵対】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ ●謀略
自身の【目を見た者に限り、自身の視覚】を代償に、【半径10メートル以内にいる猟兵同士】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【どちらかが倒れるま】で戦う。
👑11

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はジェイクス・ライアーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●Dear, My Dear.

 老年に差しかかった男が立っている。

 衣服、髪、容姿、仕草のどれをとっても文句のつけようのない気品に満ちた男だった。
 そこまでの品位がありながらどこか気さくさも漂わせ、きみたちの到着に目を細めている。

 暗い海の上は時々さざなむだけだ。果ては見えず、空(くう)と海(む)を分ける一線だけがただ、ある。
 あらゆる手でもってたどり着いたきみたちはそこに降り立つ。

「――やぁ、猟兵(イェーガー)たち」
 
 男は優雅にそう挨拶をした。

「血縁に寄らぬ関係を結んだことはあるかな?」
 
 生者と変わらぬ警戒もなく緊張もない朗らかさすら漂わせて。「恋人でも友人でも家族でも構わない」皆の顔を見て目を細める。

 彼はきみたちの方へ一歩、足を出す。

「たとえば私にも生徒、弟子のようなものがいるが――これはそう取り立てて珍しいことではない。
 人と繋がりを持つというのは決して悪い事ではない。寧ろ歓迎されるべき喜びであり、時に救いにすらなり得る。……そうは思わないかね?」

 待ちこがれたものを呼ぶ響き。
 さらに一歩。足を前に出し、立つ。

「過去の海は、どうして現在に手を伸ばすと思うね」

 笑みがある。

「君たちと繋がっているからだ」

 青い目が君たちを見ている。

「『我々』は、いつだってもう手の届かない君たちが懐かしく――恋しいのだよ」

「海は陸を恋うのだ。時に飲み込むほど」

「ようこそ、マイ・ディア」

「これは、そういう事件だ」

 きみは
 きみたちは戦わねばならない。
 彼を倒さねばならない。
 彼は本体だ。彼“が”本体だ。

 きみたちの侵食された過去の繋がりを完全にオブリビオンに変えないために。
 きみたち自身を過去のものに支配されない為に。
 きみたちによって、今のものたちを過去に引きずり込ませないために。

 男は足元の水面を軽く蹴った。通常の重力ではあり得ない浮き方をした水滴を掴み――つまり、海より一本の傘を取り出して右に握り、左手で中折れ帽を取り出して被る。
 そしてハットのつばを左手で押さえたまま、小洒落たタップ・ダンサーのように、しかしどこまでも優雅に片足を引いた。
 それだけできみたちにはわかることだろう。
 彼は、たまたま猟兵にならなかっただけの――君たちと対等に戦えるほどの傑物であると!
「……いつも見て協力する側だった背と向かい合うというのはなかなか嬉しいものがあるな」
 少しだけ、照れ臭そうに笑った。
「加減などしてくれるなよ?」
 悪戯っぽく囁く。

 ……心してかからねばならない。
 彼はこうして過去の側に立ち、コードすら得たのだから――一筋縄ではいかないだろう。

 See No Evil,――見ざる、その眼に注意せよ。
 Hear No Evil,――聞かざる、耳を貸してはならない。
 Speak No Evil,――言わざる、自ら語るに気をつけよ。

 もしいずれか、過つのならば。

 Do No Evil,
 ――きみは悪しきを成すだろう。

 男の一切にそつはなく、

「来たまえ」

 男の一切が紳士たるものであり

「私は、きみたちを待っていた」

 男の一切が――戦士として、在った。 

■状況■

・欺き導く者x1名

 油断なさらず――男の全身は武器庫である。

 また、ご注意下さい。
 あなた方の選択いかんによってはここに一般人が加わる可能性があります。

 あるいは、あなたの隣人が。

■舞台■

 過去の海:凪の浅瀬

 生きれば帰れるでしょう。
 死ねば、言わずもがな。

 一章のように過去が引きずり出されることはありませんが、おまじないのような手腕が襲いかかってくる可能性があります。

■受付期間■

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